JP5215643B2 - 記録媒体及びその製造方法、並びに、該記録媒体を用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録媒体及び該記録媒体の製造方法、並びに該記録媒体を用いたインクジェット記録方法に関する。
インクジェット装置は簡単な構成であり、該インクジェット装置を用いて行われるインクジェット記録により高画質な画像記録が可能となる。インクジェット記録で用いられるインクは、インクジェットヘッドから吐出できるように、数mPa・s〜30mPa・s程度の粘度となり、20mN/m〜40mN/m程度の表面張力となるように設計されている。
インクの粘度が上記範囲内となるように、通常、インク中には50質量%〜90質量%インク溶媒が含まれる。インク溶媒として、水、有機溶媒、オイル、光重合性モノマー等が用いられるが、特に、環境適性の観点から水が多用される。また、インク溶媒の乾燥により、インクジェットヘッドの吐出ノズルが目詰まりを引き起こさないように、インク溶媒がグリセリン等の高沸点溶媒を含むことが一般的である。
一方で、インク描画された記録媒体において、多量のインク溶媒による画像滲みや色間の混色が発生する。このため、インク溶媒を吸収する20〜30μm程度の溶媒吸収層(インク受容層)を表面に有するインクジェット専用紙(図5)を記録媒体として用いて、画像滲みや色間の混色が発生するのを抑制している。
また、インク溶媒として水を用いた水性インクの場合、記録時に水が原紙に浸透することにより、カールやカックルといった紙変形が発生するが、図5に示すように、記録媒体が原紙21の上に形成された溶媒吸収層22を有すると、水が原紙に浸透するのを抑制して、この紙変形を抑制することができる。
一方、画像濃度と画像面積率の高いグラフィカルな画像を形成する場合には、記録媒体上での単位面積あたりのインク量が多くなり、溶媒吸収層がインク溶媒の原紙への浸透を抑えきれなくなるので、ポリオレフィン層等の耐水層を含む耐水紙(例えば、ラミネート紙)を使用する(例えば、特許文献1及び2参照)。
インクジェット技術は、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野に適用されてきたが、近年、商業印刷分野での応用がなされつつある。この商業印刷分野では、完全にインク溶媒の原紙への浸透をシャットアウトする写真のような表面を有するものではなく、汎用の印刷紙のような印刷の風合いが要求されている。ここで、記録媒体における溶媒吸収層が20〜30μmと厚くなると、記録媒体の表面光沢、質感、こわさ(コシ)等が制限されてしまうため、商業印刷分野でのインクジェット技術の適用は、記録媒体に対する表面光沢、質感、こわさ(コシ)等の制限が許容されるポスター、帳票印刷等にとどまっている。また、記録媒体は、溶媒吸収層、耐水層を有することによりコスト高となっており、それも上記制限の一因となっている。
また、特許文献3では、支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造され、下層が吸水性無機顔料、ラテックスからなるバインダー、ホウ酸又はその塩を含有し、かつ上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有しており、上層の表面のpHが8以上になる状態を得た後に、酸を含む液を用いて上層の表面のpHが5.5以下になるように処理するインクジェット記録媒体の製造方法が開示されている。
しかし、前記特許文献3では、遮断層の水を遮断する能力が十分でないために、インクで画像形成すると、インク中の水が遮断層を通過して原紙に達し、コックリング及びカールを引き起こす。また、pH調整前の表面pHが8と高いため、酸でpHを低く調節しても緩衝能をもつため、インク中に溶解乃至分散している色材の凝集が遅く、画像の滲み及び着弾後の打滴の変形による画質の低下を引き起こすという問題がある。
また、特許文献4には、pHの変化により水溶性から水不溶性に変化する染料を含む水系記録液を用いて記録を行う記録紙であって、中性紙であり、かつその表面pHを前記染料が水不溶性に変化するpH値以下に調整してなる記録紙が提案されている。
また、特許文献5には、親水性官能基として主にカルボキシル基を有する水溶性染料を用いたインクで記録される記録用紙が、炭酸カルシウムを含まず、かつ填料としてカオリン及び/又はイライトを含有する基紙、並びに該基紙の少なくとも片方の面に設けられた、吸水性顔料及び水系結着剤を主成分とすると共に、片面あたりの固形分で0.5〜3.0g/mの記録層からなるインクジェット記録用紙が提案されている。
しかし、前記特許文献4及び5では、インク水が原紙に達してしまい、コックリング及びカールを引き起こすという問題がある。
特開2005−238829号公報 特開2005−96285号公報 特開2007−130791号公報 特開平6−219044号公報 特開平8−244337号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、オフセット印刷と同等の高品質な印刷を安価かつ高速で実施することができる記録媒体及び該記録媒体の製造方法、並びに該記録媒体を用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料を含む第2の層とを順次積層してなる記録媒体において、前記第1の層が設けられた原紙は、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m以下であり、かつ、前記第2の層は、ブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m以上8mL/m以下であることを特徴とする記録媒体である。
<2> 第1の層が設けられた原紙は、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間2分間のコッブ吸水度が2.0g/m以下である前記<1>に記載の記録媒体である。
<3> 第1の層が設けられた原紙は、JIS P8140に規定される吸水度試験に基づいてジエチレングリコールを用いて求めた接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m以下であり、かつ、前記第2の層は、ブリストー法によりジエチレングリコールを30質量%含有する純水を用いて求めた接触時間0.9秒間の吸水量が1mL/m以上6mL/m以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の記録媒体である。
<4> 第2の層の層表面pHが、pH調整前において8.0未満である前記<1>から<3>のいずれかに記載の記録媒体である。
<5> 白色顔料が、JIS K5101に規定されるpH値試験法(常温抽出法)によるpHが8.0未満となる白色顔料のみからなる前記<1>から<4>のいずれかに記載の記録媒体である。
<6> 白色顔料が、JIS K5101に規定されるpH値試験法(常温抽出法)の測定液10gに対して1mol/Lの塩酸0.1mLを添加した後のpHが6.0未満である前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録媒体である。
<7> 第2の層の層表面pHが、pH調整後において5.5以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録媒体である。
<8> 第1の層におけるバインダーは、熱可塑性樹脂を含む前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録媒体である。
<9> 熱可塑性樹脂が、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選択される少なくとも1種である前記<8>に記載の記録媒体である。
<10> 第1の層は、層状無機化合物を更に含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録媒体である。
<11> 第1の層は、白色顔料を更に含む前記<1>から<10>のいずれかに記載の記録媒体である。
<12> 白色顔料が、カオリンである前記<11>に記載の記録媒体である。
<13> カオリンは、アスペクト比が30以上である前記<12>に記載の記録媒体である。
<14> 原紙上に第1の層を形成する第1の形成工程と、前記第1の層上に第2の層を形成する第2の形成工程とを含む前記<1>から<13>のいずれかに記載の記録媒体の製造方法であって、第1の形成工程において、原紙の表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子を、前記熱可塑性樹脂微粒子の最低造膜温度以上の温度領域で加熱処理することを特徴とする記録媒体の製造方法である。
<15> 第2の層を形成するための塗工液は、塗工速度S(m/min)及び塗工層の膜厚t(μm)によって規定されるせん断速度D(=S/(t×60×10−6))が10以上10以下(s−1)の範囲にある場合において、ハイシェアー粘度が20mPa・s以上150mPa・s以下である前記<14>に記載の記録媒体の製造方法である。
<16> 第2の形成工程において、第2の層を形成するための塗工液がブレード塗工方式によって塗布される前記<14>から<15>のいずれかに記載の記録媒体の製造方法である。
<17> 前記<1>から<13>のいずれかに記載の記録媒体に対して、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、前記インク描画された記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<18> 前記<1>から<13>のいずれかに記載の記録媒体に酸性物質を含む処理液を供給する処理液供給工程と、前記処理液が供給された記録媒体に対して、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、前記インク描画された記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、オフセット印刷と同等の高品質な印刷を安価かつ高速で実施することができる記録媒体及び該記録媒体の製造方法、並びに該記録媒体を用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明の記録媒体及び該記録媒体の製造方法、並びに該記録媒体を用いたインクジェット記録方法について図面を参照して説明する。
(記録媒体)
本発明の記録媒体は、原紙と、第1の層と、第2の層とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の層を有してなる。
例えば、図1に示すように、記録媒体100は、原紙としての上質紙11と、上質紙11の上に形成された第1の層としての溶媒ブロッキング層12と、溶媒ブロッキング層12の上に形成された第2の層としてのインク吸収層13とを有する。
また、前記記録媒体は、シート紙及びロール紙のいずれであってもよい。
<原紙>
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
原紙の原料として使用できるパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランスよく、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)や広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)等を使用することもできる。
パルプの叩解には、ビータやリファイナー等を使用できる。パルプを叩解した後に得られるパルプスラリーには、(以下「パルプ紙料」と称することがある)には、必要に応じて各種添加材、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤等が添加される。
填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が挙げられる。定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。pH調整剤としては、例えば苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤等が挙げられる。また、必要に応じて柔軟化剤等を添加することもできる。柔軟化剤については、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)に記載がある。
表面サイズ処理に使用される処理液には、例えば、水溶性高分子、サイズ剤、耐水性物質、顔料、pH調整剤、染料、蛍光増白剤等が含まれていてもよい。水溶性高分子としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
サイズ剤としては、例えば、石油樹脂エマルジョン、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、ロジン、高級脂肪酸塩、アルキルケテンダイマー(AKD)、エポキシ化脂肪酸アミド等が挙げられる。
耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン挙げられる。
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等が挙げられる。pH調整剤としては、例えば、塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が挙げられる。
原紙の材料の例としては、上記した天然パルプ紙の他に、合成パルプ紙、天然パルプと合成パルプの混抄紙、更には各種の抄き合わせ紙を挙げることができる。原紙は30〜500μm、好ましくは50〜300μm、より好ましくは、70〜200μmが好ましい。
<第1の層>
前記第1の層としては、バインダーを含み、前記第1の層が設けられた原紙における、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、前記第1の層が設けられた原紙における、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間2分間のコッブ吸水度が2.0g/m以下であること、前記第1の層が設けられた原紙における、JIS P8140に規定される吸水度試験に基づいてジエチレングリコールを用いて求めた接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m以下であること、バインダーとして、熱可塑性樹脂及びポリビニルアルコール(特に、重合度1000以上のアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好ましい)の少なくともいずれかを含むこと、層状無機化合物を更に含むこと、ポリビニルアルコールの質量Xと、層状無機化合物としての水膨潤性合成雲母の質量Yとの質量比率X/Yは、1以上30以下であること、硬膜剤を更に含むこと、白色顔料を更に含むこと等が好ましい。
溶媒ブロッキング層(第1の層)が設けられた原紙は、JIS P 8140に規定される吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m以下であれば、紙力の低下、膨潤による変形を防ぐことが可能となり、望ましくはJIS P 8140に規定される吸水度試験による接触時間2分間のコッブ吸水度が2.0g/m以下且つ、JIS P 8140に基づいてジエチレングリコールを用いた接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m以下であれば、紙力の低下、膨潤による変形がほとんど生じなくすることができる。
上記の具体的手段として、水に不溶ないし難溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水相の分散媒体中に分散した水分散性ラテックスを主成分として、片面当り固形分3乃至20g/m塗工することによって、ほぼ完全な耐水性が得られる。
また、樹脂表面には水を弾かない程度の親水性を与えるため、白色顔料を上述のバインダー100部当り白色顔料5質量部乃至50質量部配合してなる溶媒ブロッキング層を作製することで、第2の層を積層した塗布が容易になり、耐水性と両立した第1の層を設けられた原紙が得られる。
アスペクト比が30以上の白色顔料では上述のバインダー100質量部当り白色顔料200質量部まで配合することができ、第2の層を積層した塗布が容易となる以外に、取り扱い性、とりわけ洗浄性が良好となる。
<<バインダー>>
第1の層に含有されるバインダーは、熱可塑性樹脂及びポリビニルアルコールの少なくともいずれかを含むものであれば、特に限定されないが、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
<<熱可塑性樹脂>>
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のα−オレフィンの単独重合体又はこれらの混合物)等、公知の熱可塑性樹脂やそのラテックスから適宜選択して用いることができる。中でも、ラテックスが好ましく、ポリエステル系ウレタンラテックス、アクリル系ラテックス、アクリルシリコーン系ラテックス、アクリルエポキシ系ラテックス、アクリルスチレン系ラテックス、アクリルウレタン系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、及び酢酸ビニル系ラテックス等を好適に挙げることができ、これらから少なくとも1種を選択して用いるのが好ましい。これらの中でも、特に、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選択される少なくとも1種を選択して用いるのが好ましい。
前記ポリエステル系ウレタンラテックスとしては、大日本インキ化学工業(株)製のハイドランAPシリーズ、ハイドランECOSシリーズ等を挙げることができる。
前記アクリル系ラテックスとしては、市販品も使用でき、例えば、以下のような水分散性ラテックスが利用できる。即ち、アクリル系樹脂の例として、ダイセル化学工業(株)製の「セビアンA4635、46583、4601」など、日本ゼオン(株)製の「Nipol Lx811、814、821、820、857」等が挙げられる。
特に、特開平10−264511号、特開2000−43409号、特開2000−343811号、特開2002−120452号の各公報に記載のアクリルシリコーンラテックスのアクリルエマルジョン(市販品としては、例えば、ダイセル化学工業(株)製の商品名「アクアブリッドシリーズ UM7760、UM7611、UM4901、MSi−045、ASi−753、ASi−903、ASi−89、ASi−91、ASi−86、4635、MSi−04S、AU−124、AU−131、AEA−61、AEC−69、AEC−162」)、等も好適に使用することができる。
なお、上記の熱可塑性樹脂は、一種単独のみならず、二種以上を併用することもできる。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、5〜70℃が好ましく、特に15〜50℃が好ましい。該Tgを特に上記範囲にすることによって、第1の層形成用の液(例えば塗工液)のカワバリ等の問題を起こす等製造上の取扱いが困難となることがなく、またTgが高すぎてカレンダー温度をかなり高く設定しないと所望の光沢が得られない、金属ロール表面への接着が発生し易く逆に面状が悪化する等の支障を来すこともなく、容易に高光沢性、高平面性を得ることができる。
また、熱可塑性樹脂の最低成膜温度としては、20〜60℃が好ましく、25〜50℃がより好ましい。成膜しようとしたときの成膜可能な最低成膜温度領域を特に上記範囲にすることによって、第1の層形成用の液(例えば塗工液)のカワバリ等の問題を起こす等製造上の取扱いが困難となることがなく、また第2の層を形成したときの染み込みが大きくなって該層の塗布面状が低下することもなく、インク溶媒を速やかに透過するのに充分な微孔性を有する層に構成することができる。液(例えば塗工液)を付与しただけの層は良好な光沢性を具えるものではないが、後にソフトカレンダー処理を施すことで微孔性を保有した高光沢性の層が得られる。
前記組成物を層状に形成した場合において、前記熱可塑性樹脂の第1の層中における含有量としては、該第1の層の固形分に対して15〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましい。該含有量を特に上記範囲にすることによって、カレンダー処理を施した後の光沢性、平面性を損なうことなく、インク溶媒の浸透性が得られ、経時滲みの発生をより効果的に防止することができる。
<<ポリビニルアルコール>>
ポリビニルアルコールには、ポリビニルアルコール(PVA)のほか、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びその他ポリビニルアルコール誘導体も含まれる。ポリビニルアルコールは一種単独のみならず二種以上を併用することもできる。これらの中でも、ポリビニルアルコールとアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが好適に使用できる。
本発明におけるポリビニルアルコールとしては、ケン化度が70〜99%のものが好ましく、85〜99%のモノがより好ましい。また重合度としては、1000〜4500のものが好ましく、1500〜4500のものがより好ましい。前記範囲のケン化度、重合度とすることで、十分な膜の強度と伸張性を得ることができる。
<<アセトアセチル変性ポリビニルアルコール>>
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、一般には、ポリビニルアルコール系樹脂の溶液、分散液あるいは粉末に、液状又はガス状のジケテンを添加反応させて製造することができる。アセトアセチル変性ポリビニルアルコールのアセチル化度は、目的とする感熱記録材料の品質に応じて適宜選定することができるが、0.1モル%〜20モル%、より好ましくは、0.5モル%〜10モル%である。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニルの低級アルコール溶液をケン化して得られるポリビニルアルコール及びその誘導体が、更に酢酸ビニルと共重合しうる単量体と酢酸ビニルとの共重合体のケン化物が含まれる。ここで、酢酸ビニルと共重合しうる単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体、更には、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。
バインダーとしては、上記したアセチル変性ポリビニルアルコールの他に必要に応じて25℃の水に対して5質量%以上溶解する化合物を併用してもよい。これらのバインダーとして、ポリビニルアルコール(カルボキシ変性、イタコン酸変性、マレイン酸変性、シリカ変性及び上記アミノ基変性等の変性ポリビニルアルコールを含む)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類(変性デンプンを含む)、ゼラチン、アラビヤゴム、カゼイン、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド、酢酸ビニル−ポリアクリル酸共重合体のケン化物等が挙げられる。これらのバインダーは分散のみならず、塗膜強度を向上させる目的で使用されるが、この目的に対してはスチレン・ブタジエン共重合物、酢酸ビニル共重合物、アクリロニトリル・ブタジエン共重合物、アクリル酸メチル・ブタジエン共重合物、ポリ塩化ビニリデン等のごとき合成高分子のラテックス系のバインダーを併用することができる。また、必要に応じてこれらのバインダーの種類に応じて、適当なバインダーの架橋剤を添加してもよい。
また、第1の層に含有されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、酸素透過抑制が大きく、S−S特性が高い。ここで、S−S特性とは、膜の破断時までの応力−伸びで表される引張りエネルギー吸収量(タフネス)をいう。そのため、第1の層は、加熱を要する処理に対しても自在に伸縮し亀裂が発生せず、ブリスターが発生しにくい。
本発明において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの重合度は1,000以上であることが好ましく、1,500以上であることがより好ましい。重合度が1,000以上であることにより、低湿環境下(例えば、20℃、10%RH)でのクラックの発生を抑制する効果が大きくなる。これは、重合度を1,000以上と比較的大きくすることにより、破断時の強度、伸びを著しく大きくすることができることに起因すると考えられる。また、重合度を高めると、塗工液の粘度が向上し、塗布面状が低下するが、塗工液の濃度、水分散性雲母の比率を低下させることによりその欠点を補うことができる。
前記アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの変性率は、硬膜剤との反応による耐水化と、水溶液中での安定性の観点から、0.05〜20モル%であることが好ましく、0.05〜15モル%であることがより好ましい。
前記アセトアセチル変性ポリビニルアルコールのケン化度は、特に制限はないが、80〜99.5%が好ましい。ケン化度が低くなれば破断時の伸びが大きくなる。また、重合度が高いと、ケン化度が高くなるが、低重合度の場合はケン化度を低くすることが好ましい。更に、ケン化度を低くすると、伸びを大きくできる一方、低粘度化、塗布面のレベリングの向上が図られ塗布面状を向上するという利点がある。
<<コッブ吸水度>>
前記コッブ吸水度は、JIS P8140に規定される吸水度試験により得られたものであり、紙の片面から一定時間水が接触する場合に吸収する水の量を測定したものである。なお、接触時間は15秒間及び2分間とした。
<<コッブ値>>
前記コッブ値は、JIS P8140に規定される吸水度試験方法に基づき、接触時間を2分間として、紙の片面から一定時間ジエチレングリコールが接触する場合に吸収するジエチレングリコールの量を測定したものである。なお、接触時間は2分間とした。
<<層状無機化合物>>
上記第1の層は、更に層状無機化合物を含有することが好ましい。該層状無機化合物としては、膨潤性無機層状化合物が好ましく、これらの化合物としては、例えば、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイト等が挙げられる。これらの膨潤性無機層状化合物は1〜1.5nmの厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物よりも著しく大きい。その結果、格子層は正荷電不足を生じ、それを補償するために層間にNa、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に層間の陽イオンがLi、Na等の場合、イオン半径が小さいため、層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。ベントナイト及び膨潤性合成雲母はその傾向が強く本発明の目的には好ましい。特に、水膨潤性合成雲母が好ましい。
水膨潤性合成雲母としては、NaテトラシックマイカNaMg2.5(Si10)FNa、Liテニオライト(NaLi)Mg(Si10)FNa、又はLiヘクトライト(NaLi)/3Mg/3Li1/3Si10)F等が挙げられる。
本発明において好ましく用いられる水膨潤性合成雲母のサイズは厚さが1〜50nm、面サイズが1〜20μmである。拡散制御のためには、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性及び透明性を悪化しない範囲で大きいほどよい。従ってアスペクト比は100以上、好ましくは200以上、特に好ましくは500以上である。
<<質量比率>>
上記第1の層に含有されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの質量Xと水膨潤性合成雲母の質量Yとの質量比率X/Yは、1以上30以下の範囲であることが好ましく、5以上15以下の範囲であることがより好ましい。上記質量比率が1以上30以下の範囲であると、酸素透過抑制、ブリスター発生の抑制に効果が大きい。
<<硬膜剤>>
本発明の第1の層における硬膜剤は、アルデヒド系化合物と、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン及びその誘導体と、ハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物とから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。本発明における第1の層に、硬膜剤として、アルデヒド系化合物と、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン及びその誘導体と、ハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物とから選択される少なくとも1種を含有させることにより、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと反応し、第1の層用塗工液を増粘させることなく、記録材料の耐水性を向上させることができ、結果として記録材料の耐水性と第1の層用塗工液の塗布安定性とが向上した記録材料が得られる。
ハメットの置換基定数σpが正である置換基としては、CF3基(σp値:0.54)、CN基(σp値:0.66)、COCH3基(σp値:0.50)、COOH基(σp値:0.45)、COOR(Rはアルキル基を表す。)基(σp値:0.45)、NO2基(σp値:0.78)、OCOCH3基(σp値:0.31)、SH基(σp値:0.15)、SOCH3基(σp値:0.49)、SO2CH3基(σp値:0.72)、SO2NH2基(σp値:0.57)、SCOCH3基(σp値:0.44)、F基(σp値:0.06)、Cl基(σp値:0.23)、Br基(σp値:0.23)、I基(σp値:0.18)、IO2基(σp値:0.76)、N(CH基(σp値:0.82)、S(CH基(σp値:0.90)等が挙げられる。
上記ハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物としては、2−エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)−エチル]アセトアミド、ビス−2−ビニルスルホニルエチルエーテル、ビスアクリロイルイミド、N−N’−ジアクリロイルウレア、1,1−ビスビニルスルホンエタン、エチレン−ビス−アクリルアミドの他、下記構造式で表されるジアクリレート及びジメタクリレート化合物が挙げられ、この中でも2−エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)−エチル]アセトアミドが特に好ましい。
第1の層における上記ハメットの置換基定数σpが正である置換基に隣接するビニル基を単一分子内に二つ以上有する化合物の含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がより好ましい。上記第1の層における上記化合物の含有量が、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して、0.5質量%以上10質量%以下であると、第1の層用塗工液が増粘することなく、記録材料の耐水性を向上させることができるという本発明における上記化合物の効果がより発揮できる。
<<白色顔料>>
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、リトポン、アルミナ白、酸化亜鉛、シリカ、三酸化アンチモン、燐酸チタン、水酸化アルミニウム、カオリン、クレー、タルク、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。これらは一種単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。これらのうち、特にカオリンが好ましい。
<<<カオリン>>>
前記カオリンとしては、アスペクト比(直径/厚み)が30以上であることが好ましい。アスペクト比が30以上のカオリンとしては、グレードがエンジニアードのもの(例えば、Contour 1500(アスペクト比59)、Astra−Plate(アスペクト比34))が挙げられる。また、前記カオリンが、高い白色度とスティープな粒度分布(均一な粒径)を有するものであると、各種塗工紙に優れた白色度と印刷適正をもたらす。
白色顔料の粒子サイズとしては、2μm以下の粒子が75%以上であることが好ましく、更に平均粒子径が0.1〜0.5μmが好ましい。該粒子サイズを特に上記範囲にすることによって、白色度が低下したりあるいは光沢度が低下するのを効果的に回避することができる。
前記酸化チタンは、ルチル系、アナターゼ型のいずれでもよく、これらを単独もしくは混合して使用することができる。また、硫酸法で製造されたものや塩素法で製造されたもののいずれでもよい。前記酸化チタンとしては、含水アルミナ処理、含水二酸化ケイ素系処理、又は酸化亜鉛処理等の無機物質による表面被覆処理したもの、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,4−ジヒドロキシ−2−メチルペンタン等の有機物質による表面被覆処理したもの、あるいはポリジメチルシロキサン等のシロキサン処理したもの等から適宜選択できる。
白色顔料の屈折率としては、1.5以上であるのが好ましい。屈折率が該範囲にある白色顔料を含むと、高画質画像を形成することができる。
また、白色顔料のBET法による比表面積としては100m2/g未満であるのが好ましく、該範囲の比表面積を持つ白色顔料を含むと、第2の層を塗布形成する際の塗工液の染み込みを抑え、第2の層のインク吸収性を高めることができる。
前記BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体として窒素ガスが用いられ、吸着量を被吸着気体の圧又は容積の変化から測定する方法が一般的である。多分子吸着の等温線を表す著名なものとして、Brunauer Emmett、Tellerの式(BET式)があり、これに基づき吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。
前記組成物を層状に形成した場合において、前記白色顔料の第1の層中における含有量としては、白色顔料の種類や熱可塑性樹脂の種類、層厚等によって異なるが、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常50質量部〜200質量部程度が好ましい。
なお、第1の層には酸化防止剤等の公知の添加剤を添加することもできる。
前記組成物を用いて第1の層を形成した場合の膜厚としては、1〜30μmの範囲が好ましく、5〜20μmの範囲がより好ましい。該膜厚を特に上記範囲にすることによって、後にカレンダー処理された表面の光沢性、少量の白色顔料での白色性が得られると同時に、折り曲げ適性などの取り扱い性がコート紙、アート紙と同等にすることができる。また、第1の層が白色顔料を含むことにより、第1の層塗布後のカレンダー処理する際に、カレンダーへのはりつきを防止することができるという効果もある。
<第2の層>
前記第2の層としては、白色顔料を含み、ブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m以上8mL/m以下である限り、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、ブリストー法によりジエチレングリコールを30質量%含有する純水を用いて求めた接触時間0.9秒間の吸水量が1mL/m以上6mL/m以下であること、他のバインダー(熱可塑性樹脂)をさらに含むこと、白色顔料の固形質量部100部当たり、固形質量部10〜60部の可塑性樹脂を含むこと、層表面pHが酸性であること等が好ましい。
第2の層は、ブリストー法による接触時間0.5秒の吸水量が8mL/mを超えると、記録媒体へのインク溶媒の吸収が速く、表面付近でのインクの凝集反応が起こりにくくなり、定着ローラーに転写し、印刷物の汚れが生じる。
また、吸水量が2mL/m未満ではインクの凝集反応時に溶媒を抱き込み、画像の変形という問題が生じる。
実際のインク溶媒成分に近いジエチレングリコールを30質量%含有する純水を用いて求めたブリストー法による接触時間0.9秒の吸水量が6mL/mを超えると、上記と同様の印刷物の汚れが生じ、吸水量が1mL/m未満では画像の変形という問題が生じる。
第2の層をブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m以上8mL/m以下とする、好ましくは、ブリストー法によりジエチレングリコールを30質量%含有する純水を用いて求めた接触時間0.9秒間の吸水量が1mL/m以上6mL/m以下とするための具体的手段としては、第2の層において、白色顔料100質量部当り、バインダーの配合の範囲を5乃至15質量部とすることである。
<<白色顔料>>
前記白色顔料としては、特に制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、三水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、サチン白、タルクなど一般に印刷用コート紙の白色顔料として、利用させるものの中から選んでよい。第2の層が白色顔料を含むことにより、インクにおける顔料を第2の層内に留めることができるという効果がある。
前記白色顔料としては、JIS K5101に規定されるpH値試験法(常温抽出法)によるpHが8.0未満(好ましくは7.5以下)となる白色顔料のみからなることが好ましい。前記pHが8.0を超えると、第2の層の表面pHが高くなり、インク中の一般的な色材はアニオン電荷(アニオン性の解離基)を有しているため、色材の溶解乃至分散が比較的安定であり、色材の凝集が起こりにくく、画像のにじみ及び着弾後の打滴の変形による画質の低下を引き起こすことがある。
また、前記白色顔料は、JIS K5101に規定されるpH値試験法(常温抽出法)の測定液10gに対して1mol/Lの塩酸0.1mLを添加した後のpHが6.0未満(好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.0以下)であることが好ましい。前記pHが6.0以上であると、第2の層の表面pHが高くなり、画像のにじみ及び画質の低下を引き起こすことがある、また、色材の凝集を促進するために酸などを用いて第2の層のpHを低く調整する際には、白色顔料が中和して表面pHを高くしてしまうためにpH調整の効果を減少させてしまい、画像のにじみや画質の低下を引き起こすことがある。
このような顔料としては、例えばカオリン、酸化チタン、カオリンと酸化チタンの混合物が挙げられる。
前記白色顔料の第2の層における含有量は、50質量%〜98質量%が好ましく、70質量%〜97質量%がより好ましい。
<<ブリストー法>>
前記ブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及した方法であり、日本紙パルプ技術協会(J’TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は、J’TAPPI No.51「紙、板紙の液体吸収性試験方法」に述べられている。また、測定時には、インクの表面張力に合わせてブリストー試験のヘッドボックススリット幅を調節する。また、紙の裏にインクがぬけてしまう点は計算から外す。
<<バインダー(熱可塑性樹脂)>>
バインダー(熱可塑性樹脂)としては、特に制限はなく、例えば、第1の層で用いたものと同様のものを用いることができる。第2の層におけるバインダーの含有量は前記白色顔料100質量部に対して2質量部〜50質量部が好ましく、3質量部〜30質量部がより好ましい。
<<層表面pH>>
前記第2の層の層表面pHを酸性に調整することによって、インクを凝集させ、インクの定着を向上させることができる。
前記第2の層の層表面pHは、pH調整前において8.0未満が好ましく、7.5以下がより好ましい。前記pH調整前の層表面pHが8.0以上であると、画像のにじみ及び画質の低下を引き起こすことがある、また、色材の凝集を促進するために酸などを用いて第2の層のpHを低く調整する際には、白色顔料が中和して表面pHを高くしてしまうためにpH調整の効果を減少させてしまい、画像のにじみや画質の低下を引き起こすがある。
また、前記第2の層の層表面pHは、pH調整後において5.5以下が好ましく、4.5以下がより好ましい。前記pH調整後の層表面pHが5.5を超えると、画像のにじみや画質の低下を引き起こすことがある。
ここで、前記表面pHの測定は、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた膜面PHの測定のうちA法(塗布法)により行うことができ、例えば、前記A法に相当する、株式会社共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行うことができる。
前記pH調整は、前記第2の層表面の塗工液に添加しても、記録媒体の表面に酸を付与してもよいが、記録媒体の表面に酸を付与することで行うことが好ましく、具体的には酸性物質を含む処理液を付与して行うことが好ましい。前記酸性物質としては、例えばリン酸基、ホスホン基、ホスフィン基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸又はカルボン酸あるいはその塩を使用することができ、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基であることがより好ましい。リン酸としては、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩があり、スルホン酸としてはメタンスルホン酸、ポリスルホン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩があり、カルボン酸としては、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、フタル酸、乳酸、酢酸、トリクロロ酢酸、クロロ酢酸、ポリアクリル酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩があり、また、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が挙げられる。また、塩酸、硫酸、硝酸等の酸を使用することもできる。
<その他の層>
その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(記録媒体の製造方法)
本発明の記録媒体の製造方法は、第1の形成工程と、第2の形成工程とを含み、更に、必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
<第1の形成工程>
第1の形成工程としては、原紙上に第1の層を形成し、該第1の形成工程において、原紙の表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子を、前記熱可塑性樹脂微粒子の最低造膜温度以上の温度領域で加熱処理すること以外には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、前記加熱処理において、圧力を印加してもよい。
前記熱可塑性樹脂粒子としては、特に制限はなく、従来公知の熱可塑性樹脂の粒子を総て包括する。この様な公知の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン類;ポリアミドやポリイミド類;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類;等の汎用熱可塑性重合体を始め、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸フェニル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;スチレン、クロルスチレン、ビニルスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等からなる単独重合体、或いは、これらの構成単位を含む任意の共重合体等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂粒子は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記熱可塑性樹脂粒子としては、平均粒径が10〜200nmのものが好ましい。ここで、樹脂粒子の平均粒径は、動的光散乱法(装置名:大塚電子(株)ELS−800)により測定した値を採用している。また、樹脂微粒子を構成する熱可塑性樹脂としては、最低造膜温度(MFT)が5〜60℃であるものが好ましい。
また、前記熱可塑性樹脂の塗工量としては、1〜30g/m2であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂粒子としては、コックリングの抑制や経時ニジミの改善及び製造適性等の観点より、水分散性ラテックスの分散粒子を含むものが好ましい。
前記水分散性ラテックスは、水に不溶ないし難溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水相の分散媒体中に分散したものである。該分散状態としてはポリマーが分散媒体中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、或いはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したもの等いずれでもよい。尚、この様なポリマーラテックスについては、奥田平・稲垣寛編集「合成樹脂エマルジョン」(高分子刊行会発行、1978)、杉村孝明・片岡靖男・鈴木聡一・笠原啓司編集「合成ラテックスの応用」(高分子刊行会発行、1993)、室井宗一著「合成ラテックスの化学」(高分子刊行会発行、1970)等に詳しく記載されている。
前記水分散性ラテックスとしては、具体的には、アクリル系ラテックス、アクリルシリコーン系ラテックス、アクリルエポキシ系ラテックス、アクリルスチレン系ラテックス、アクリルウレタン系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系ラテックス、及び酢酸ビニル系ラテックスより選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
前記水分散性ラテックスの分子量としては、数平均分子量で3,000〜100,0000が好ましく、特に5,000〜100,000程度のものがより好ましい。該分子量が小さ過ぎるものは下塗り形成層の力学強度が不足することがあり、大き過ぎるものは分散安定性や粘度等の製造適性面で不利になることがある。
前記水分散性ラテックスの中でも、本発明の第1の層としては、インク溶媒浸透性とコックリング抑制の効果が高く経済性と製造適性を兼備できる観点より、アクリルシリコーン系ラテックス及びアクリルスチレン系ラテックスより選択される少なくとも1種が最も好ましい。
<第2の形成工程>
第2の形成工程としては、第1の層上に第2の層を形成すること以外には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第2の層を形成するための塗工液は、塗工速度S(m/min)及び塗工層の膜厚t(μm)によって規定されるせん断速度D(=S/(t×60×10−6))が10以上10以下(s−1)の範囲にある場合において、ハイシェア粘度が20mPa・s以上150mPa・s以下であること、第2の層を形成するための塗工液がブレード塗工方式によって塗布されることが好ましい。
<<ハイシェアー粘度>>
上塗り層(第2の層)用塗工液のハイシェアー粘度は、好ましくは30mPa・s〜150mPa・sであり、より好ましくは40mPa・s〜140mPa・sである。
前記ハイシェアー粘度が、20mPa・s未満であると、原紙に直接塗工するのと異なり、上塗り層用塗工液が下塗り層への染み込みがない為、ブレード塗工では塗工量が増やせなくなり、150mPa・sを超えると、上塗り層用塗工液の流動性が損なわれ、取り扱い上、不適となる。
<<ブレード塗工方式>>
前記ブレード塗工方式とは、紙支持体上にアプリケイトされた塗料をスクレイプする瞬間に比較的大きなせん断応力が発生する塗工方法である。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録方法は、インク描画工程と、乾燥除去工程とを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
<インク描画工程>
前記インク描画工程としては、所定の画像データに応じてインク描画する以外には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<乾燥除去工程>
前記乾燥除去工程としては、前記インク描画された記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本発明の記録媒体は、第2層としてのインク吸収層が緩浸透性であるので、インク溶媒(水)が記録媒体の表面付近に存在する状態で上記乾燥除去工程が実施される。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、処理液供給工程、加熱定着工程等が挙げられる。
−処理液供給工程−
前記処理液供給工程としては、後述する酸性物質を含む処理液を供給する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−加熱定着工程−
前記加熱定着工程としては、前記インクジェット記録方法で用いられるインク中に含まれるラテックス粒子を溶融定着する以外は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記インクジェット記録方法には、第2の層(インク吸収層)に予めインクを凝集剤(処理液)を予め含ませた記録媒体に対して、インク描画等を行うインクジェット記録方式1(図2)と、記録媒体に処理液を供給した(プレコート)後にインク描画等を行うインクジェット記録方式2(図3)とがある。
−インクジェット記録方式1−
前記インクジェット記録方式1は、例えば、下記の条件で、インク描画、乾燥(水乾燥、送風乾燥)、定着が行われる。
−−インク描画−−
ヘッド:1,200dpi/20inch幅フルラインヘッド
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
風速:8〜15m/s
温度:40〜80℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:70〜90℃
圧力:0.5〜2.0MPa
−インクジェット記録方式2−
前記インクジェット記録方式2は、例えば、下記の条件で、プレコート、インク描画、乾燥(水乾燥、送風乾燥)、定着が行われる。
−−プレコートモジュール用処理液用ヘッド−−
ヘッド:600dpi/20inch幅フルラインヘッド
吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
駆動周波数:15kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
描画パターン:インク描画工程において、少なくとも1色以上の色インクを描画を行う位置に予め処理液を付与するパターンを適用
−−プレコートモジュール用水乾燥(送風乾燥)−−
風速8〜15m/s、温度40〜80℃、送風領域450mm(乾燥時間0.7秒)
−−インク描画−−
ヘッド:1200dpi/20inch幅フルラインヘッド
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
風速:8〜15m/s
温度:40〜80℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:70〜90℃
圧力:0.5〜2.0MPa
<水系2液凝集インク>
前記インクジェット記録方法では、処理液と、該処理液と反応して凝集するインクとからなる水系2液凝集インクを用いてもよい。
−処理液−
前記処理液を酸性にする酸性物質として、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸又はカルボン酸あるいはその塩を使用することができ、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることが更に好ましい。カルボン酸としては、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が、処理液に添加される。
また、上記の酸性物質としては、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくはこれらの化合物誘導体、又は、これらの塩であることが好ましい。なお、これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
また処理液は、本発明の効果を害しない範囲内で、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
−インク−
前記インクとしては、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク(例えば無色)等を用いることができる。また、前記インクとしては、例えば、ラテックス粒子、有機顔料と、分散剤と、水溶性有機溶媒とを含み、更に必要に応じて、その他の添加剤を含むものが挙げられる。
−−ラテックス粒子−−
前記ラテックス粒子としては、例えば、ノニオン性モノマー、アニオン性モノマー、カチオン性モノマーからなる化合物の重合物等が挙げられる。
前記ノニオン性モノマーとは解離性の官能基を持たないモノマー化合物のことを表し、モノマー化合物とは広義には、化合物単独、あるいは別の化合物と重合する化合物のことを示す。モノマー化合物として好ましくは不飽和2重結合を有するモノマー化合物である。
アニオン性モノマーとは、マイナスの電荷を持ちうるアニオン性基を含んでいるモノマー化合物のことを表しており、アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることが更に好ましい。
カチオン性モノマーとは、プラスの電荷を持ちうるカチオン性基を含んでいるモノマーのことを表しており、カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが更に好ましい。
−−有機顔料−−
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
マゼンタ又はレッド用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
グリーン又はシアン用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、米国特許第4311775号明細書記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
ブラック用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
また、有機顔料の平均粒径は、透明性及び色再現性の観点からは小さいほどよいが、耐光性の観点からは大きい方が好ましい。これらを両立する平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましい。また、有機顔料の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ有機顔料を、2種以上混合して使用してもよい。
また、有機顔料の添加量は、インクに対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%が更に好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
−−分散剤−−
前記有機顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤の何れでもよい。
前記低分子界面活性剤型分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で、添加されるものである。低分子分散剤は、分子量2,000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2,000が好ましく、200〜2,000がより好ましい。
前記低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
親水性基はアニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等である。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることが更に好ましい。
カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが更に好ましい。
ノニオン性基は、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
前記親水性基はアニオン性基であることが好ましい。アニオン性基は、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることが更に好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、pKaが3以上であることが好ましい。本発明における低分子分散剤のpKaはテトラヒドロフラン−水(3:2=V/V)溶液に低分子分散剤1
mmol/L溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。低分子分散剤のpKaが3以上であれば、理論上、pH3程度の処理液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。即ち、凝集反応性が向上する。この観点からも、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有するが、特に、炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また疎水性基は、1本鎖状構造、又はこれ以上の鎖状構造でも
よく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基が更に好ましい。
ポリマー分散剤のうち水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物を用いることができ例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
また、合成系の水溶性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや他の親水基を有するモノマーの共重合体からなるようなカルボキシル基を導入したものが高分子分散剤として特に好ましい。
ポリマー分散剤のうち非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
前記分散剤の質量平均分子量は3,000〜100,000が好ましく、5,000〜50,000がより好ましく、5,000〜40,000が更に好ましく、10,000〜40,000が特に好ましい。
有機顔料と分散剤との混合質量比としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2がより好ましく、1:0.125〜1:1.5が更に好ましい。
−−水溶性有機溶媒−−
前記水溶性有機溶媒は、乾燥防止や湿潤促進等の目的で、使用される。また、乾燥防止剤は、インクジェット記録方式におけるノズルのインク噴射口において好適に使用され、インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する。
乾燥防止剤は、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。乾燥防止剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。このうち、乾燥防止剤は、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤は、インク中に、10〜50質量%含有されることが好ましい。
また、浸透促進剤は、インクを記録媒体(印刷用紙)によりよく浸透させる目的で、好適に使用される。浸透促進剤の具体的な例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を好適に用いることができる。これらの浸透促進剤は、インク組成物中に、5〜30質量%含有されることで、充分な効果を発揮する。また、浸透促進剤は、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で、使用されることが好ましい。
また、水溶性有機溶媒は、上記以外にも、粘度の調整にも用いられる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶媒の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。なお、水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
−−その他の添加剤−−
前記その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合は、インクに直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合は、染料分散物の調製後、分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチ・ディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等があり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体等がある。より具体的にはリサーチ・ディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、インクの表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量が更に好ましい。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号公報、特開2004−325707号公報、特開2004−309806号公報などに記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に指定しない限り、質量基準であり、「重合度」は「平均重合度」を表す。
参考例1)
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
(1)アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(ケン化度:95〜97%、重合度:1,000、商品名:ゴーセファイマ−Z−210、日本合成化学工業社製)を12部、水88部を加えて90℃以上で攪拌溶解した。
(2)水膨潤性雲母分散液(アスペクト比:1,000、商品名:ソマシフMEB−3(8%溶液)、コープケミカル社製、平均粒子径2.0μmの雲母分散液)。
(3)エチレンオキサイド系界面活性剤(商品名:エマレックス710、日本エマルジョン社製)1.66%液(メタノール溶解)。
前記(1)の12%のアセトアセチル変性ポリビニルアルコール溶液100部に水58部を加えて十分攪拌混合し、前記(2)の8%の水膨潤性雲母分散液を18部加えて十分攪拌混合し、前記(3)の1.66%のエチレンオキサイド系界面活性剤液を3部加えた。得られた混合液の液温度を30℃〜35℃に保ち、下塗り層用塗工液を得た。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)60部と、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)20部と、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)20部と、43%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.5部とを混合し、株式会社日本精機製作所製のNBK−2を用いて水中に分散し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部と、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)3部と、潤滑剤(商品名:SNコート231SP、サンノプコ社製)を1部とを添加して、最終的な固形分濃度が65%の上塗り層用塗工液を調製した。
<第1の層(下塗り層)の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの塗工量が8.0g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、50℃で3分間乾燥して、下塗り層を形成した。ここで、形成された下塗り層の厚みは8.1μmであった。
<第2の層(上塗り層)の形成>
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された上塗り層用塗工液を、高速枚葉式ブレードコーター(装置名:PM−9040M、エスエムテー社製)を用いて、片面当たりの乾燥質量が10g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度150℃、風速20m/secで3秒間乾燥して、上塗り層を形成した。このときの片面当たりの形成された上塗り層の厚みは11.2μmであった。
<記録媒体の評価>
参考例1で得られた記録媒体について、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を以下に示すように行った。その結果を表1に示す。
−下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験−
(1)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に15秒間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
(2)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に2分間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
(3)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ値(20℃のジエチレングリコールに2分間接触させたときのジエチレングリコールの浸透量g/m)を測定した。
−上塗り層の吸水量試験−
ブリストー法に基づき、以下のように測定した。
(1)A6サイズにカットした上塗り層を測定盤に設置し、試験液を充填したヘッドを接触した後、図4に示すような走査ライン(内側から外側)を自動走査して吸液特性を測定した。測定盤が回転速度(紙とインクとの接触時間)を段階的に変化させ、回転させることにより接触時間と吸液量(吸水量)との関係を得る。表1では、接触時間0.5秒における吸水量を示す。
(2)(1)の水をジエチレングリコールを30質量%含有する純水に変更した以外、同様にして測定した。表1では、接触時間0.9秒における吸液量を示す。
−上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定方法−
ハイシェアー粘度は、ハーキュレスハイシェアービスコメーター(ハーキュレス高剪断粘度計:熊谷理機工業社製)を用い、内径40mm、有効深さ80.5mmのカップに適量の上塗り層用塗工液を入れ、直径39.8mm、有効長25mm(カップとのクリアランスは0.1mm)のボブF(回転体)を使用して、スイープ時間を10秒にセットして最大回転数を8,800rpmとして流動曲線([剪断測度(回転数)]−[剪断応力(トルク)]曲線)を求め、これより見掛け粘度を求めた。
−白紙光沢評価−
白地部について、JIS Z8741(1997年)に従い、デジタル変角光沢計(商品名:UGV−5D、スガ試験機(株)製)を用いて、入射角75°、受光角75°での光沢度を測定し、下記の基準に従って評価した。
〔評価基準〕
AA:光沢度が50%以上であった
BB:光沢度が35%以上50%未満であった
CC:光沢度が20%以上35%未満であった
DD:光沢度が20%未満であった
−カール試験−
第2の層(上塗り層)が形成された記録媒体について、MD、CDそれぞれの方向に対して50mm×5mmサイズの試験片に水が10g/mとなるよう塗布し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.15−2:2000に規定されるカール曲率測定方法に準拠し、23℃で50%RH、8時間後のカール度を下記の基準に従って測定した。
〔評価基準〕
AAA:カール度5未満
AA:カール度5以上10未満
BB:カール度10以上20未満
CC:カール度20以上30未満
DD:カール度30以上
−印字直後カックル評価−
はがきサイズの上塗り層を塗工した記録媒体に2cm×2cmの単色100%ベタ画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さをレーザー変位計にて測定し、下記基準で評価した。
[評価基準]
AA:1mm以上2mm未満
BB:2mm以上3mm未満
CC:3mm以上
−濃度ムラ評価−
カックル評価用に印画した単色100%ベタ画像を下記基準に従い目視評価を行った。
[評価基準]
AA:ベタ画像部濃度が均一で白抜け、印字斑が全く認められない
BB:白抜け、印字斑が多少あるが、実用上問題がない
CC:白抜け、印字斑が多く見られ、実用性が低い
DD:白抜け、印字斑がひどくあり、実用性が極めて低い
−打滴試験−
<インクの作製>
(1)シアン顔料インクCの作製
−顔料分散物の作製−
大日精化社製のシアニンブルーA−22(C.I.PB15:3)10g、低分子量分散剤2−1、10.0g、グリセリン4.0g、イオン交換水26gを攪拌混合させて分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra-cell VC-750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Ampitude:30%)を用いて、前記分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射して顔料を更に分散させ、20質量%顔料分散液とした。なお、低分子量分散剤2−1は次の化学式で表される。
上述したものとは別に、以下に示す化合物を秤量攪拌混合して、混合液Iを調製した。
グリセリン 5.0g
ジエチレングリコール 10.0g
オルフィンE1010(日信化学工業製) 1.0g
イオン交換水 11.0g
この混合液Iを、攪拌した44%のSBR分散液(ポリマー微粒子:アクリル酸3質量%、Tg(ガラス転移温度)30℃)23.0gにゆっくりと滴下して攪拌混合し、混合液IIを調製した。
また、混合液IIを上述した20%の顔料分散液にゆっくりと滴下しながら攪拌混合して、シアン色の顔料インクC(シアンインク)を100g調製した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGを用いて、このようにして調製された顔料インクCのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(2)マゼンタ顔料インクMの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ色の顔料インクM(マゼンダインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(3)イエロー顔料インクYの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(C.I.PY74)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー色の顔料インクY(イエローインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(4)黒顔料インクKの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料分散液をCABOT社製分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック)としたこと以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の顔料インクK(ブラックインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<処理液の作製>
処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・リン酸 10g
・グリセリン 20g
・ジエチレングリコール 10g
・オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1g
・イオン交換水 59g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された第1処理液のpHを測定したところ、pH値は1.0であった。
<打滴方式>
上記シアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクK、処理液を使用して下記の条件で、図3に示す装置を用いて4色シングルパス画像形成を実施した。
−−プレコートモジュール用処理液用ヘッド−−
ヘッド :600dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッド
吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
駆動周波数:15kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
描画パターン:インク描画工程において、少なくとも1色以上の色インクで描画を行う位置に予め処理液を付与するパターンを適用
−−プレコートモジュール用水乾燥(送風乾燥)−−
風速:15m/s
温度:記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
−−インク描画−−
ヘッド:1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
風速:15m/s
温度:60℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
<評価方法>
評価用に印画したグレースケール及び文字画像を下記基準に従い目視評価を行った。
[評価基準]
AA:画像滲み、色間混色が見られず、4pt以下の“鷹”文字を解像
BB:画像滲み、色間混色が見られず、5pt“鷹“文字まで解像
CC:画像滲み、色間混色が多く見られ、実用性が低い
DD:画像滲み、色間混色がひどくあり、実用性が極めて低い
参考例2)
参考例1における下塗り層用塗工液の調製において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(ケン化度:95〜97%、重合度:1,000、商品名:ゴーセファイマ−Z−210、日本合成化学工業社製)を用いた代わりに、ポリビニルアルコール(ケン化度:98.5%、重合度:1,700、商品名:PVA−117、株式会社クラレ製)を用い、また、上塗り層の形成において、上塗り層用塗工液の片面当たりの塗工量を11.2g/mから10.8g/mに変更した以外は、参考例1と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは8.0μmであり、形成された上塗り層の厚みは11.0μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験(参考例1に記載の方法と同じ方法で評価)、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例3)
参考例1における下塗り層用塗工液に、硬膜剤溶液として、2−エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)−エチル]−アセトアミドの4%水溶液12.0部を更に加え、7.3%の下塗り層用塗工液を得たこと、参考例1における下塗り層の形成において、下塗り層用塗工液の片面当たりの塗工量を8.0g/mから5.0g/mに変更したこと、及び、参考例1における上塗り層の形成において、上塗り層用塗工液の片面当たりの塗工量を11.2g/mから10.1g/mに変更したとしたこと以外は、参考例1と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは4.8μmであり、形成された上塗り層の厚みは10.1μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例4)
参考例3の下塗り層用塗工液の調製において、硬膜剤溶液としての2-エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)−エチル]−アセトアミドの4%水溶液3.0部を、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンの50%水溶液24.0部に変更した以外は、参考例3と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは3.5μmであり、形成された上塗り層の厚みは12.3μmであった。また、参考例3と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例5)
参考例3の下塗り層用塗工液の調製において、硬膜剤溶液としての2−エチレンスルホニル−N−[2−(2−エチレンスルホニル−アセチルアミノ)−エチル]−アセトアミドの4%水溶液3.0部を、グリオキザールの40%水溶液15.0部に変更した以外は、参考例3と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは5.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.9μmであった。また、参考例3と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例6)
参考例1における「下塗り層用塗工液の調製」及び「下塗り層の形成」を下記のように変更したこと、下塗り層用塗工液の片面当たりの塗工量を8.0g/mから10.0g/mに変更したとしたこと、及びソフトカレンダー処理を行ったこと以外は、参考例1と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは9.7μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.0μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
<下塗り層用塗工液の調製>
二酸化チタン(商品名:タイペークR−780、石原産業(株)製)100部、25%の特殊ポリカルボン酸型重合物のNa塩(商品名:デモールEP、花王(株)製)1.2部、及び水121.7部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、45%の二酸化チタン分散液を得た。次いで、35%のアクリル系ラテックス水分散液(ガラス転移温度60℃、最低造膜温度50℃;商品名:アクアブリッド4635、ダイセル化学工業(株)製)100部に、水100部と得られた45%の二酸化チタン分散液3.9部とを加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って18.0%の下塗り層用塗工液を得た。
<下塗り層の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの塗工量が10.0g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、50℃で3分間乾燥して、下塗り層を形成した。更に、形成された下塗り層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。
−−ソフトカレンダー処理−−
前記下塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度80℃、ニップ圧100kg/cm、速度100m/分の条件でソフトカレンダー処理を行った。
(実施例7)
参考例6の下塗り層用塗工液の調製において、35%のアクリル系ラテックス水分散液を、35%のアクリルシリコーン系ラテックス水分散液(ガラス転移温度25℃、最低造膜温度20℃;商品名:アクアブリッドASi−91、ダイセル化学工業社製)に代えたこと以外、参考例6と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは9.9μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.3μmであった。また、参考例6と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例8)
参考例6の「下塗り層用塗工液の調製」及び、「下塗り層の作製」において、35%アクリル系ラテックス水分散液を、35%のアクリルエポキシラテックス(最低造膜温度40℃;商品名:アクアブリッドAEA−61、ダイセル化学工業社製)に変更したこと、ソフトカレンダー処理なしに代えた以外、参考例6と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは10.1μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.4μmであった。また、参考例6と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例9)
参考例6の「下塗り層用塗工液の調製」及び、「下塗り層の作製」において、35%のアクリル系ラテックス水分散液を、35%のアクリルウレタンラテックス(最低造膜温度0℃;商品名:アクアブリッドAU−124、ダイセル化学工業社製)に変更したこと、ソフトカレンダー処理なしに代えた以外、参考例6と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは9.5μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.3μmであった。また、参考例6と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例10)
参考例6の「下塗り層用塗工液の調製」及び、「下塗り層の作製」において、35%のアクリル系ラテックス水分散液を、35%のスチレン−ブタジエンラテックス(最低造膜温度0℃;商品名:Nipol LX110、日本ゼオン社製)に変更したこと、ソフトカレンダー処理なしに代えたこと以外、参考例6と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは9.4μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.5μmであった。また、参考例6と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例11)
参考例6の「下塗り層用塗工液の調製」及び、「下塗り層の作製」において、35%アクリル系ラテックス水分散液を、35%のアクリロニトリル−ブタジエンラテックス(最低造膜温度0℃;商品名:Nipol 1561、日本ゼオン社製)に変更したこと、ソフトカレンダー処理なしに代えた以外、参考例6と同様にして、記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは10.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.3μmであった。また、参考例6と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例12)
参考例6の下塗り層用塗工液の調製において、45%の二酸化チタン分散液3.9部を8.6部に代えたこと以外、参考例6と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは9.0μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.6μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例13)
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
(1)アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(ケン化度:95〜97%、重合度:1,000、商品名:ゴーセファイマ−Z−210、日本合成化学工業社製)を12部、水88部を加えて90℃以上で攪拌溶解した。
(2)2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンの50%水溶液
(3)エチレンオキサイド系界面活性剤(商品名:エマレックス710、日本エマルジョン社製)1.66質量%液(メタノール溶解)。
前記(1)の12%のアセトアセチル変性ポリビニルアルコール溶液100部に水58部を加えて十分攪拌混合し、前記(2)の2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンの50%水溶液を24部加えて十分攪拌混合し、前記(3)の1.66質量%のエチレンオキサイド系界面活性剤液を3部加えた。得られた混合液の液温度を30℃〜35℃に保ち、下塗り層用塗工液を得た。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)40部と、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)40部と、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)20部と、43%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.5部とを混合し、株式会社日本精機製作所製のNBK−2を用いて水中に分散し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)13部と、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)3部と、潤滑剤(商品名:SNコート231SP、サンノプコ社製)を1部とを添加して、最終的な固形分濃度が65%の上塗り層用塗工液を調製した。
<第1の層(下塗り層)の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの塗工量が3.5g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、50℃で3分間乾燥して、下塗り層を形成した。ここで、形成された下塗り層の厚みは3.4μmであった。
<第2の層(上塗り層)の形成>
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された上塗り層用塗工液を、高速枚葉式ブレードコーター(装置名:PM−9040M、エスエムテー社製)を用いて、片面当たりの乾燥質量が10g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度150℃、風速20m/secで3秒間乾燥して、上塗り層を形成した。このときの片面当たりの形成された上塗り層の厚みは10.3μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例14)
参考例13の上塗り層用塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)40部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)40部と、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)13部を使用する代わりに、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)70部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)10部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)9部に代えた以外、参考例13と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは3.5μmであり、形成された上塗り層の厚みは10.5μmであった。また、参考例13と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
参考例15)
参考例4における「上塗り層用塗工液の調製」を下記に示すように変更した以外、参考例4と同様にして記録媒体を作製した。
<インク吸収層(上塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)10部と、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)90部と、43%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)0.5部とを混合し、株式会社日本精機製作所製のNBK−2を用いて水中に分散し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部と、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)3部と、30%のリン酸水溶液9部と、潤滑剤(商品名:SNコート231SP、サンノプコ社製)を1部とを添加して、最終的な固形分濃度が65%の上塗り層用塗工液を調製した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは3.4μmであり、形成された上塗り層の厚みは12.0μmで、紙面pHは3.4であった。また、参考例4と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。ただし、「打滴試験」に関して、使用したインクは参考例1と同じだが、処理液は使用せず画像形成は下記の方法で行った。その結果を表1に示す。
<画像形成>
参考例1に示すシアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクKを使用して下記の条件で、図2に示す装置を用いて4色シングルパス画像形成を実施した。
−−インク描画−−
ヘッド :1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
風速:15m/s
温度:記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体の記録面背面から接触型平面ヒータで加熱
送風領域:640mm(乾燥時間約1秒間)
−−定着−−
シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
<打滴試験評価>
評価用に印画したグレースケール及び文字画像を下記基準に従い目視評価を行った。
[基準]
AA:画像滲み、色間混色が見られず、4pt以下の“鷹”文字を解像
BB:画像滲み、色間混色が見られず、5pt“鷹“文字まで解像
CC:画像滲み、色間混色が多く見られ、実用性が低い
DD:画像滲み、色間混色がひどくあり、実用性が極めて低い
(実施例16)
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
22.5%のポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水6.8部と、10%のエマルゲン109P(花王(株))0.7部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って21.0%の下塗り層用塗工液を得た。
<下塗り層の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの塗工量が8.0g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、70℃で3分間乾燥して、下塗り層を形成した。ここで、形成された下塗り層の厚みは7.1μmであった。更に、形成された下塗り層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。
−−ソフトカレンダー処理−−
前記下塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散し、平均粒子径が130nmの50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol LX407K、日本ゼオン(株)製)14部と、脂肪酸カルシウムエマルジョン(商品名:ノプコートC−104−HS、サンノプコ社製)1部と、1%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(商品名:セロゲンEP、第一工業製薬(株)製)10部と、10%のエマルゲン109P(花王(株)製)水溶液0.5部とを添加して、最終的な固形分濃度が59%の上塗り層用塗工液を調製した。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
<第2の層(上塗り層)の形成>
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された上塗り層用塗工液を、高速枚葉式ブレードコーター(装置名:PM−9040M、(株)エスエムテー製)を用いて、片面当たりの乾燥質量が20g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度150℃、風速20m/secで3秒間乾燥して、上塗り層を形成した。このときの片面当たりの形成された上塗り層の厚みは20.0μmであった。
−下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験−
(1)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に15秒間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
(2)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に2分間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
(3)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃のジエチレングリコールに2分間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
−上塗り層の吸水量試験−
ブリストー法に基づき、以下のように測定した。
(1)A6サイズにカットした上塗り層を測定盤に設置し、試験液を充填したヘッドを接触した後、図4に示すような走査ライン(内側から外側)を自動走査して吸液特性を測定した。測定盤が回転速度(紙とインクとの接触時間)を段階的に変化させ、回転させることにより接触時間と吸液量(吸水量)との関係を得る。表1では、接触時間0.5秒における吸水量を示す。
(2)(1)の水をジエチレングリコールを30質量%含有する純水に変更した以外、同様にして測定した。表1では、接触時間0.9秒における吸液量を示す。
−上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定方法−
ハイシェアー粘度は、ハーキュレスハイシェアービスコメーター(ハーキュレス高剪断粘度計:熊谷理機工業社製)を用い、内径40mm、有効深さ80.5mmのカップに適量の上塗り層用塗工液を入れ、直径39.8mm、有効長25mm(カップとのクリアランスは0.1mm)のボブF(回転体)を使用して、スイープ時間を10秒にセットして最大回転数を8800rpmとして流動曲線([剪断測度(回転数)]−[剪断応力(トルク)]曲線)を求め、これより見掛け粘度を求めた。
−白紙光沢評価−
白地部について、JIS Z8741(1997年)に従い、デジタル変角光沢計(商品名:UGV−5D、スガ試験機(株)製)を用いて、入射角75°、受光角75°での光沢度を測定し、下記の基準に従って評価した。
〔基準〕
AA:光沢度が50%以上であった
BB:光沢度が35%以上50%未満であった
CC:光沢度が20%以上35%未満であった
DD:光沢度が20%未満であった
−カール試験−
第2の層(上塗り層)が形成された記録媒体について、MD、CDそれぞれの方向に対して50mm×5mmサイズの試験片に水が10g/mとなるよう塗布し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.15−2:2000に規定されるカール曲率測定方法に準拠し、23℃で50%RH、8時間後のカール度を下記の基準に従って測定した。
[基準]
AAA:カール度5未満
AA:カール度5以上10未満
BB:カール度10以上20未満
CC:カール度20以上30未満
DD:カール度30以上
−印字直後カックル評価−
はがきサイズの上塗り層を塗工した記録媒体に2cm×2cmの単色100%ベタ画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さをレーザー変位計にて測定した。
[基準]
AA:1mm以上2mm未満
BB:2mm以上3mm未満
CC:3mm以上
−濃度ムラ評価−
カックル評価用に印画した単色100%ベタ画像を下記基準に従い目視評価を行った。
[評価基準]
AA:ベタ画像部濃度が均一で白抜け、印字斑が全く認められない
BB:白抜け、印字斑が多少あるが、実用上問題がない
CC:白抜け、印字斑が多く見られ、実用性が低い
DD:白抜け、印字斑がひどくあり、実用性が極めて低い
−打滴試験−
<インクの作製>
(1)シアン顔料インクCの作製
(顔料分散物の作製)
大日精化社製のシアニンブルーA−22(C.I.PB15:3)10g、低分子量分散剤2−1、10.0g、グリセリン4.0g、イオン交換水26gを攪拌混合させて分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra-cell VC-750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Ampitude:30%)を用いて、前記分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射して顔料を更に分散させ、20質量%顔料分散液とした。なお、低分子量分散剤2−1は次の化学式で表される。
上述したものとは別に、以下に示す化合物を秤量攪拌混合して、混合液Iを調製した。
グリセリン 5.0g
ジエチレングリコール 10.0g
オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1.0g
イオン交換水 11.0g
この混合液Iを、攪拌した44%のSBR分散液(ポリマー微粒子:アクリル酸3質量%、Tg(ガラス転移温度)30℃)23.0gにゆっくりと滴下して攪拌混合し、混合液IIを調製した。
また、混合液IIを上述した20質量%顔料分散液にゆっくりと滴下しながら攪拌混合して、シアン色の顔料インクC(シアンインク)を100g調製した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGを用いて、このようにして調製された顔料インクCのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(2)マゼンタ顔料インクMの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ色の顔料インクM(マゼンダインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(3)イエロー顔料インクYの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(PY74)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー色の顔料インクY(イエローインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(4)黒顔料インクKの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料分散液をCABOT社製分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック)としたこと以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の顔料インクK(ブラックインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<処理液の作製>
処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・リン酸 10g
・グリセリン 20g
・ジエチレングリコール 10g
・オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1g
・イオン交換水 59g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された第1処理液のpHを測定したところ、pH値は1.0であった。
<打滴方式>
上記シアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクK、処理液を使用して下記の条件で、図3に示す装置を用いて4色シングルパス画像形成を実施した。
−−プレコートモジュール用処理液用ヘッド−−
ヘッド :600dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッド
吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
駆動周波数:15kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
描画パターン:インク描画工程において、少なくとも1色以上の色インクを描画を行う位置に予め処理液を付与するパターンを適用
−−プレコートモジュール用水乾燥(送風乾燥)−−
風速:15m/s
温度:記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体の記録面背面から接触型平面
ヒーターで加熱
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
−−インク描画−−
ヘッド:1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
駆動周波数:30kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
風速:15m/s
温度:60℃
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
<評価方法>
評価用に印画したグレースケール及び文字画像を下記基準に従い目視評価を行った。
[基準]
AA:画像滲み、色間混色が見られず、4pt以下の“鷹”文字を解像。
BB:画像滲み、色間混色が見られず、5pt“鷹“文字まで解像。
CC:画像滲み、色間混色が多く見られ、実用性が低い。
DD:画像滲み、色間混色がひどくあり、実用性が極めて低い。
(実施例17)
実施例16における「下塗り層用塗工液の調製」を下記のように変更したこと以外は、実施例16と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは8.1μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.6μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散液を得た。次いで、22.5%のポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水5部と得られた65%のカオリン分散液7.0部と、10%のエマルゲン109P(花王(株))0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って24.0%の下塗り層用塗工液を得た。
(実施例18)
実施例17の「上塗り層の形成」において、下記のようにソフトカレンダー処理を行った以外は、を下記のように変更した以外は、実施例17と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは8.1μmであり、形成された上塗り層の厚みは19.1μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
−−ソフトカレンダー処理−−
前記下塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度80℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
(実施例19)
実施例18の「上塗り層用塗工液の調製」及び「上塗り層の形成」において、下記のように変更したこと以外は、実施例18と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは8.1μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.9μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%のカオリン分散し、平均粒子径が130nmの50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol LX407K、日本ゼオン(株)製)14部と、脂肪酸カルシウムエマルジョン(商品名:ノプコートC−104−HS、サンノプコ社製)1部と、1%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(商品名:セロゲンEP、第一工業製薬(株)製)10部と、10%のエマルゲン109P(花王(株)製)水溶液0.5部とを添加して、最終的な固形分濃度が27%の上塗り層用塗工液を調製した。
<第2の層(上塗り層)の形成>
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された上塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの乾燥質量が20g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、70℃で5分間乾燥して、上塗り層を形成した。
(実施例20)
実施例16における「下塗り層用塗工液の調製」を下記のように変更したこと以外は、実施例16と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは5.1μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.0μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
29.9%のアクリルシリコーン系ラテックス水分散液(ガラス転移温度25℃、最低造膜温度20℃;商品名:アクアブリッドASi−91、ダイセル化学工業(株)製)100部に、水41.9部と、10%のエマルゲン109P(花王(株))0.9部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って21.0%の下塗り層用塗工液を得た。
(実施例21)
実施例16における「下塗り層用塗工液の調製」を下記のように変更したこと以外は、実施例16と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは7.4μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.0μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%のカオリン分散液を得た。次いで、29.9%のアクリルシリコーン系ラテックス水分散液(ガラス転移温度25℃、最低造膜温度20℃;商品名:アクアブリッドASi−91、ダイセル化学工業(株)製)100部に、水7部と得られた65%のカオリン分散液13.9部と、10%のエマルゲン109P(花王(株))1部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って32.0%の下塗り層用塗工液を得た。
(実施例22)
実施例16における「下塗り層用塗工液の調製」及び「下塗り層の形成」を下記のように変更したこと以外は、実施例16と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは6.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.4μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
22.5%のポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水4.4部と得られた63%のカオリンスラリー(商品名:コンツアー1500、イメリス ミネラルズ・ジャパン社製)35.7部と、10%のエマルゲン109P(花王(株))0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って32.0%の下塗り層用塗工液を得た。
<下塗り層の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、高速枚葉式ブレードコーター(装置名:PM−9040M、エスエムテー製)を用いて、片面当たりの乾燥質量が7.0g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度150℃、風速20m/secで3秒間乾燥して、下塗り層を形成した。
(実施例23)
実施例16における「下塗り層用塗工液の調製」及び「下塗り層の形成」を下記のように変更したこと以外は、実施例16と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは6.8μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.4μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
22.5%のポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業(株)製)100部に、水3.4部と得られた67.5%のカオリンスラリー(商品名:アストラプレート、イメリス ミネラルズ・ジャパン社製)26.7部と、10%のエマルゲン109P(花王(株))0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って31.0%の下塗り層用塗工液を得た。
<下塗り層の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、高速枚葉式ブレードコーター(装置名:PM−9040M、エスエムテー社製)を用いて、片面当たりの乾燥質量が8.0g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度150℃、風速20m/secで3秒間乾燥して、下塗り層を形成した。
(比較例1)
参考例1における下塗り層の形成において、片面当たりの塗工量が8.0g/mとなるように調整する代わりに、塗工量が6.0g/mとなるように調整した以外は、参考例1と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは5.8μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.8μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
(比較例2)
参考例3の上塗り層用塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)60部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)20部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部を使用する代わりに、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)40部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)40部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)15部に代えた以外、参考例3と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは4.3μmであり、形成された上塗り層の厚みは11.0μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
(比較例3)
参考例3の上塗り層用塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)60部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)20部、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)20部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部を使用する代わりに、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)70部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)15部、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)15部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)9部に代えた以外、参考例3と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは4.6μmであり、形成された上塗り層の厚みは10.6μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
(比較例4)
参考例6における「下塗り層の形成」をソフトカレンダー処理なしに変更し、及び上塗り層用塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)60部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)20部、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)20部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部を使用する代わりに、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)40部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)50部、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)10部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)15部に代えた以外、参考例6と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは10.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは10.1μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
(比較例5)
参考例6における「下塗り層塗工液の調製」において、45%の二酸化チタン分散液3.9部を11.7部に代え、及び「上塗り層用塗工液の調製」において、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)60部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)20部、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)20部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部を使用する代わりに、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共精粉社製)70部、カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)10部、酸化チタン(タイペークR−780、石原産業社製)20部、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)7部に代えた以外、参考例6と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは9.6μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.8μmであった。また、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
(比較例6)
実施例16の「下塗り層の形成」において、下塗り用塗工液の片面当たりの塗工量が8.0g/mから4.0g/mに変更したこと以外は、実施例16と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは3.8μmであり、形成された上塗り層の厚みは18.9μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。なお、上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
(比較例7)
実施例17の「下塗り層の形成」において、下塗り用塗工液の片面当たりの塗工量が8.0g/mから4.0g/mに変更したこと以外は、実施例17と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは4.0μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.6μmであった。また実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。なお、上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は50.2mPa・sから138.2mPa・sであった。
(比較例8)
比較例7における「上塗り層用塗工液の調製を下記のように変更したことと、及びソフトカレンダー処理を行った以外は、比較例7と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは4.0μmであり、形成された上塗り層の厚みは5.1μmであった。また、実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散し、平均粒子径が130nmの50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol LX407K、日本ゼオン(株)製)14部と、脂肪酸カルシウムエマルジョン(商品名:ノプコートC−104−HS、サンノプコ社製)1部とを添加して、最終的な固形分濃度が59%の上塗り層用塗工液を調製した。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は18.6mPa・sから90.2mPa・sであった。
−−ソフトカレンダー処理−−
前記下塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度80℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
(比較例9)
比較例8における「上塗り層用塗工液の調製」及び「上塗り層の形成」を下記のように変更したこと以外は、比較例8と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは4.0μmであり、形成された上塗り層の厚みは19.6μmであった。また実施例16と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度測定」、「白紙光沢評価」、「カール試験」、「打滴試験」、「印画直後のカックル試験」、及び「濃度ムラ試験」を行った。その結果を表1に示す。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム(株)製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%カオリン分散し、平均粒子径が130nmの50%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:Nipol LX407K、日本ゼオン(株)製)14部と、脂肪酸カルシウムエマルジョン(商品名:ノプコートC−104−HS、サンノプコ社製)1部と、1%のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩(商品名:セロゲンEP、第一工業製薬(株)製)10部と、10%のエマルゲン109P(花王(株)製)水溶液0.5部とを添加して、最終的な固形分濃度が27%の上塗り層用塗工液を調製した。上塗り層用塗工液のハイシェアー粘度は17.0mPa・sから50.9mPa・sであった。
<第2の層(上塗り層)の形成>
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された上塗り層用塗工液を、バーコーターを用いて、片面当たりの乾燥質量が20g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、70℃で5分間乾燥して、上塗り層を形成した。
*DEG:ジエチレングリコール
表1−1及び表1−2の結果より、下塗り層が設けられた原紙のJIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸収度が5.0g/m以下であり、かつ、上塗り層のブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m以上8mL/m以下である実施例7、16〜23、参考例1〜6、8〜15は、比較例1〜9と比べて、カール試験、打滴試験、カックル試験、及び濃度ムラについての総合結果が優れており、紙変形及び画像滲みが抑制されていることが分かる。
(実施例24)
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム株式会社製)100部、0.1Nの水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成株式会社製)1.2部、及び水48.8部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%のカオリン分散液を得た。次いで、22.5%のポリエステル系ウレタンラテックス水分散液(ガラス転移温度49℃、最低造膜温度29℃;商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ化学工業株式会社製)100部に、水5部と得られた65%のカオリン分散液6.9部と、10%のエマルゲン109P(花王株式会社製)0.8部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って24.0%の下塗り層用塗工液を調製した。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム株式会社製)100部と、40%ポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成株式会社製)1.2部とを混合し、水中に分散し、7%のPVA245(株式会社クラレ製)水溶液100部と、10%のエマルゲン109P(花王株式会社製)水溶液を3.7部添加して、最終的な固形分濃度が27%の上塗り層用塗工液を調製した。
<第1の層(下塗り層)の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙株式会社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの塗工量が8.0g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度85℃、風速15m/secで1分間乾燥して、下塗り層を形成した。
更に、形成された下塗り層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。
−−ソフトカレンダー処理−−
前記下塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
<第2の層形成>
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された第2の層用塗工液を、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの乾燥質量が20g/mとなるように片面ずつ塗布し、温度70℃、風速10m/secで1分間乾燥して、第2の層を形成した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは8.0μmであり、形成された上塗り層の厚みは15.3μmであった。上塗り層表面の表面pHは7.4であった。
ここで、前記表面pHは、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた膜面PHの測定のうちA法(塗布法)により行うことができ、前記A法に相当する、株式会社共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行った。
<記録媒体の評価>
実施例24で得られた記録媒体について、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験」、及び「印画直後のカックル試験」を以下に示すように行った。結果を表2に示す。
−下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験−
(1)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に15秒間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
(2)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ吸水度(20℃の水に2分間接触させたときの水の浸透量g/m)を測定した。
(3)JIS P8140に規定される吸水度試験に準拠し、下塗り層が形成された上質紙の塗工面についてコッブ値(20℃のジエチレングリコールに2分間接触させたときのジエチレングリコールの浸透量g/m)を測定した。
−上塗り層の吸水量試験−
(1)A6サイズにカットした上塗り層を測定盤に設置し、試験液を充填したヘッドを接触した後、図4に示すような走査ライン(内側から外側)を自動走査して吸液特性を測定した。測定盤が回転速度(紙とインクとの接触時間)を段階的に変化させ、回転させることにより接触時間と吸液量(吸水量)との関係を得た。表2では、接触時間0.5秒における吸水量を示す。
(2)(1)の水をジエチレングリコールに変更した以外、同様にして測定した。表2では、接触時間0.9秒における吸液量を示す。
−カール試験−
第2の層(上塗り層)が形成された記録媒体について、MD、CDそれぞれの方向に対して50mm×5mmサイズの試験片に水が10g/mとなるよう塗布し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.15−2:2000に規定されるカール曲率測定方法に準拠し、23℃、50%RH、8時間後のカール度を下記の基準に従って測定した。
〔評価基準〕
AAA:カール度5未満
AA:カール度5以上10未満
BB:カール度10以上20未満
CC:カール度20以上30未満
DD:カール度30以上
<記録媒体のpH調整>
(処理液の作製)
処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・クエン酸・・・15g
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)・・・1g
・イオン交換水・・・84g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された処理液のpHを測定したところ、pH値は1.5であった。
この処理液を記録媒体に5g/mとなるように塗布し、60℃、15m/sで1分間乾燥した。処理後の表面pHは3.6であった。
これ以降の試験にはpH調整した。この記録媒体を使用した。
ここで、前記表面pHは、日本紙パルプ技術協会(J.TAPPI)の定めた膜面PHの測定のうちA法(塗布法)により行うことができ、前記A法に相当する、株式会社共立理化学研究所製の紙面用PH測定セット「形式MPC」を使用して行った。
−印字直後カックル評価−
はがきサイズの上塗り層を塗工し、pH調整した記録媒体に2cm×2cmの単色100%ベタ画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さをレーザー変位計にて測定した。
[評価基準]
AA:1mm以上2mm未満
BB:2mm以上3mm未満
CC:3mm以上
−打滴試験−
<インクの作製>
(1)シアン顔料インクCの作製
(顔料分散物の作製)
大日精化株式会社製のシアニンブルーA−22(C.I.PB15:3)10g、10.0gの低分子量分散剤2−1、グリセリン4.0g、イオン交換水26gを攪拌混合させて分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製、Vibra−cell VC−750、テーパーマイクロチップ:直径5mm、Ampitude:30%)を用いて、前記分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射して顔料を更に分散させ、20%の顔料分散液とした。なお、低分子量分散剤2−1は次の化学式で表される。
上述したものとは別に、以下に示す化合物を秤量し、攪拌混合して、混合液Iを調製した。
・グリセリン・・・5.0g
・ジエチレングリコール・・・10.0g
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)・・・1.0g
・イオン交換水・・・11.0g
この混合液Iを、攪拌した44%のSBR分散液(ポリマー微粒子、アクリル酸3%、Tg(ガラス転移温度)30℃)23.0gにゆっくりと滴下して攪拌混合し、混合液IIを調製した。
また、混合液IIを上述した20%の顔料分散液にゆっくりと滴下しながら攪拌混合して、シアン色の顔料インクC(シアンインク)を100g調製した。東亜DKK株式会社製pHメーターWM−50EGを用いて、このようにして調製された顔料インクCのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(2)マゼンタ顔料インクMの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(C.I.PR−122)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ色の顔料インクM(マゼンダインク)を調整した。東亜DKK株式会社製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(3)イエロー顔料インクYの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(C.I.PY74)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー色の顔料インクY(イエローインク)を調製した。東亜DKK株式会社製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
(4)黒顔料インクKの作製
顔料インクCの調製に使用した顔料分散液をCABOT社製分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック)とした以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の顔料インクK(ブラックインク)を調製した。東亜DKK株式会社製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<打滴方式>
上記シアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクKを使用して下記の条件で、図2に示す装置を用いて4色シングルパス画像形成を実施した。
−−インク描画−−
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
・駆動周波数:30kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
・風速:15m/s
・温度:60℃
・送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
・シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
・ローラ温度:90℃
・圧力:0.8MPa
<評価方法>
評価用に印画したグレースケール及び細線画像(2dot幅で形成された線)での線幅のバラつきやにじみを下記基準に従い目視評価を行った。
[評価基準]
AA:画像滲み、色間混色が見られず、細線画像を解像
BB:画像滲み、色間混色が見られず、細線の線幅のバラつきが認められるが問題ない
CC:画像滲み、色間混色が多く見られ、細線のにじみが大きく実用性が低い
DD:画像滲み、色間混色がひどくあり、細線の解像ができず実用性が極めて低い
(実施例25)
実施例24における「下塗り層用塗工液の調製」及び「上塗り層用塗工液の調製」をそれぞれ下記のように変更した以外は、実施例24と同様にして、記録媒体を作製した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは6.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.0μmであり、表面pHは7.2であった。また、実施例24と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験」、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム株式会社製)100部、0.1N水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)3.8部、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成株式会社製)1.3部、及び水49.6部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、65%のカオリン分散液を得た。
次いで、29.9%のアクリルシリコーン系ラテックス水分散液(ガラス転移温度25℃、最低造膜温度20℃;商品名:アクアブリッドASi−91、ダイセル化学工業株式会社製)100部に、水7部と得られた65%のカオリン分散液13.9部と、10%のエマルゲン109P(花王株式会社製)1部を加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15℃〜25℃に保って32.0%の下塗り層用塗工液を得た。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
実施例24における上塗り層用塗工液の調製において、カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム株式会社製)を用いた代わりに、二酸化チタン(商品名:タイペークR−780、石原産業株式会社製)を用いた以外は、実施例24と同様にして、上塗り層用塗工液を作製した。
参考例26)
実施例24における上塗り層用塗工液の調製において、カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム株式会社製)100部を用いた代わりに、二酸化チタン(商品名:タイペークR−780、石原産業株式会社製)30部、カオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム株式会社製)70部と、43%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成株式会社製)0.5部とを混合して水中に分散し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:スマーテックスPA2323、日本エイアンドエル社製)11部と、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ株式会社製)3部と、潤滑剤(商品名:SNコート231SP、サンノプコ株式会社製)を1部とを添加して、最終的な固形分濃度が65%の上塗り層用塗工液を調製した以外は、実施例24と同様にして記録媒体を作製した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは8.1μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.6μmであり、表面pHは7.4であった。また、実施例24と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験(実施例24に記載の方法と同じ方法で評価)、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
参考例27)
参考例26における上塗り層用塗工液の調製において、二酸化チタン、カオリンの変わりにカオリン(商品名:カオブライト90、白石カルシウム株式会社製)100部を用いた以外は、参考例26と同様にして、記録媒体を作製した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは8.1μmであり、形成された上塗り層の厚みは19.8μmであり、表面pHは7.6であった。また、実施例24と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験(実施例24に記載の方法と同じ方法で評価)」、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
(実施例28)
実施例25の「上塗り層用塗工液の調製」を実施例24と同様に変更した以外は、実施例25と同様にして、記録媒体を作製した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは6.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.0μmで、表面pHは7.2であった。また、「記録媒体のpH調整」を行わず、「打滴試験」における「打滴方法」を以下に変更した以外は、実施例24と同様にして、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験(以下に示す方法で評価)、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
<打滴方式>
実施例24で作製したのと同じ、シアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクK、処理液を使用して下記の条件で、図3に示す装置を用いて4色シングルパス画像形成を実施した。
<処理液の作製>
処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・クエン酸・・・15g
・グリセリン・・・20g
・ジエチレングリコール・・・10g
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)・・・1g
・イオン交換水・・・54g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された処理液のpHを測定したところ、pH値は1.6であった。
−−プレコートモジュール用処理液用ヘッド−−
・ヘッド :600dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッド
・吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
・駆動周波数:15kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
・描画パターン:インク描画工程において、少なくとも1色以上の色インクを描画を行う位置に予め処理液を付与するパターンを適用
−−プレコートモジュール用水乾燥(送風乾燥)−−
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体の記録面の背面から接触型平面ヒーターで加熱
・送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
−−インク描画−−
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
・駆動周波数:30kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
・風速:15m/s
・温度:60℃
・送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
・シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
・ローラ温度:90℃
・圧力:0.8MPa
(実施例29)
実施例25において、「記録媒体のpH調整」を行わない以外は、実施例25と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは6.2μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.0μmで、表面pHは7.0であった。また、実施例24と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験」、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
(比較例10)
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物10部(HBO換算で1.62部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ株式会社製、ファンシールX−37B)100部を添加した後、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行った。その後固形分が48%のスチレン‐ブタジエン(SBR)ラテックス(JSR株式会社製、0623N)83.3部(不揮発分として40部)を添加し、混合して、下記の上塗り層用塗工液を用いて上塗り層を塗工した後の表面pHが8.2になるように水酸化アルミニウムでpH調整して、下塗り層用塗工液を作製した。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
水74.8部に酢酸0.2部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製、Disperal HP14)25部を添加し、水中に分散し、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・sのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA235)の10%水溶液20部を添加し、上塗り層用塗工液を得た。
<第1の層(下塗り層)の形成>
坪量81.4g/mの上質紙(商品名:しらおい、日本製紙株式会社製)の両面に、得られた下塗り層用塗工液を、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの塗工量が10g/mとなるように調整しながら片面ずつ塗布し、温度85℃、風速15m/secで1分間乾燥して、下塗り層を形成した。
更に、形成された下塗り層に対して、下記に示すソフトカレンダー処理を行った。
−−ソフトカレンダー処理−−
前記下塗り層が表面に形成された上質紙に対し、金属ロールと樹脂ロールとが対をなすロール対を備えたソフトカレンダーを用いて、金属ロールの表面温度50℃、ニップ圧50kg/cmの条件でソフトカレンダー処理を行った。
<第2の層形成>
前記下塗り層が形成された上質紙の両面に、前記調製された第2の層用塗工液を、エクストルージョンダイコーターを用いて、片面当たりの乾燥質量が10g/mとなるように片面ずつ塗布し、温度70℃、風速10m/secで1分間乾燥して、第2の層を形成した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは9.6μmであり、形成された上塗り層の厚みは9.8μmであった。
また、酢酸を用いて表面pHが3.5となるようにpH調節を行い、参考例1と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験」、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
(比較例11)
実施例24における「下塗り層用塗工液の調製」及び「上塗り層用塗工液の調製」をそれぞれ下記のように変更したこと、下塗り層塗工後のソフトカレンダー処理を行わなかったこと以外は、実施例24と同様にして、記録媒体を作製した。
ここで、形成された下塗り層の厚みは7.6μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.0μmであり、表面pHは9.2であった。また、実施例24と同様に、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験」、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
<第1の層(下塗り層)用塗工液の調製>
二酸化チタン(商品名:タイペークR−780、石原産業株式会社製)100部、25%の特殊ポリカルボン酸型重合物のNa塩(商品名:デモールEP、花王株式会社製)1.2部、及び水121.7部を混合し、ノンバブリングニーダー(商品名:NBK−2、株式会社日本精機製作所製)を用いて分散を行い、45%の二酸化チタン分散液を得た。
次いで、35%のアクリル系ラテックス水分散液(ガラス転移温度60℃、最低造膜温度50℃;商品名:アクアブリッド4635、ダイセル化学工業株式会社製)100部に、水100部と、得られた45%のカオリン分散液3.9部とを加え、十分に攪拌混合した後、得られた混合液の液温度を15〜25℃に保って18.0%の下塗り層用塗工液を得た。
<第2の層(上塗り層)用塗工液の調製>
重炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#2000、三共製粉株式会社製)100部と、40%のポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アロンT−50、東亞合成株式会社製)1.2部とを混合し、水中に分散し、7%のPVA245(株式会社クラレ製)水溶液100部と、10%のエマルゲン109P(花王株式会社製)水溶液を3.7部を添加して、最終的な固形分濃度が27%の上塗り層用塗工液を調製した。
(比較例12)
比較例11と同様にして記録媒体を作製した。ここで、形成された下塗り層の厚みは7.6μmであり、形成された上塗り層の厚みは20.0μmであり、表面pHは9.2であった。また、「記録媒体のpH調整」を行わず、「打滴試験」における「打滴方法」を以下に変更した以外は、実施例24と同様にして、「下塗り層が形成された上質紙のコッブ吸水度試験」、「上塗り層の吸水量試験」、「カール試験」、「打滴試験(以下に示す方法で評価)」、及び「印画直後のカックル試験」を行った。結果を表2に示す。
<打滴方式>
実施例24で作製したのと同じ、シアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒顔料インクK、及び処理液を使用して下記の条件で、図3に示す装置を用いて4色シングルパス画像形成を実施した。
<処理液の作製>
処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・クエン酸・・・15g
・グリセリン・・・20g
・ジエチレングリコール・・・10g
・オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)・・・1g
・イオン交換水・・・54g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された処理液のpHを測定したところ、pH値は1.5であった。
−−プレコートモジュール用処理液用ヘッド−−
・ヘッド :600dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッド
・吐出液滴量:0、4.0pLの2値記録
・駆動周波数:15kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
・描画パターン:インク描画工程において、少なくとも1色以上の色インクを描画を行う位置に予め処理液を付与するパターンを適用
−−プレコートモジュール用水乾燥(送風乾燥)−−
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱
・送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
−−インク描画−−
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:0、2.0、3.5、4.0pLの4値記録
・駆動周波数:30kHz(記録媒体の搬送速度635mm/sec)
−−乾燥(水乾燥、送風乾燥)−−
・風速:15m/s
・温度:60℃
・送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
−−定着−−
・シリコーンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
・ローラ温度:90℃
・圧力:0.8MPa
*DEG:ジエチレングリコール
図1は、本発明の記録媒体の説明図である。 図2は、本発明の記録媒体を用いたインクジェット記録方法の説明図である(その1)。 図3は、本発明の記録媒体を用いたインクジェット記録方法の説明図である(その2)。 図4は、ブリストー法における試験液を充填したヘッドの走査ラインを説明するための図である。 図5は、従来の記録媒体の説明図である。
符号の説明
11 上質紙
12 溶媒ブロッキング層
13 インク吸収層
21 原紙
22 溶媒吸収層
100 記録媒体
200 インクジェット専用紙

Claims (16)

  1. 原紙と、バインダーを含む第1の層と、白色顔料を含む第2の層とを順次積層してなる記録媒体において、前記第1の層が設けられた原紙は、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間15秒間のコッブ吸水度が5.0g/m以下であり、かつ、前記第2の層は、ブリストー法による接触時間0.5秒間の吸水量が2mL/m以上8mL/m以下であり、
    前記第1の層におけるバインダーは、ポリエステル系ウレタンラテックス及びアクリルシリコーン系ラテックスより選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含み、
    前記白色顔料は、炭酸カルシウム、カオリン、二酸化チタン、三水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、サチン白、及びタルクより選択される少なくとも1種であることを特徴とするインクジェット記録用記録媒体。
  2. 第1の層が設けられた原紙は、JIS P8140に規定される吸水度試験による接触時間2分間のコッブ吸水度が2.0g/m以下である請求項1に記載のインクジェット記録用記録媒体。
  3. 第1の層が設けられた原紙は、JIS P8140に規定される吸水度試験に基づいてジエチレングリコールを用いて求めた接触時間2分間のコッブ値が5.0g/m以下であり、かつ、前記第2の層は、ブリストー法によりジエチレングリコールを30質量%含有する純水を用いて求めた接触時間0.9秒間の吸水量が1mL/m以上6mL/m以下である請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体。
  4. 第2の層の層表面pHが、pH調整前において8.0未満である請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体。
  5. 白色顔料が、JIS K5101に規定されるpH値試験法(常温抽出法)によるpHが8.0未満となる白色顔料のみからなる請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体。
  6. 白色顔料が、JIS K5101に規定されるpH値試験法(常温抽出法)の測定液10gに対して1mol/Lの塩酸0.1mLを添加した後のpHが6.0未満である請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体。
  7. 第2の層の層表面pHが、pH調整後において5.5以下である請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体。
  8. 第1の層は、層状無機化合物を更に含む請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体。
  9. 第1の層は、白色顔料を更に含む請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体。
  10. 白色顔料が、カオリンである請求項9に記載のインクジェット記録用記録媒体。
  11. カオリンは、アスペクト比が30以上である請求項10に記載のインクジェット記録用記録媒体。
  12. 原紙上に第1の層を形成する第1の形成工程と、前記第1の層上に第2の層を形成する第2の形成工程とを含む請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体の製造方法であって、第1の形成工程において、原紙の表面に設けられた熱可塑性樹脂微粒子を、前記熱可塑性樹脂微粒子の最低造膜温度以上の温度領域で加熱処理することを特徴とするインクジェット記録用記録媒体の製造方法。
  13. 第2の層を形成するための塗工液は、塗工速度S(m/min)及び塗工層の膜厚t(μm)によって規定されるせん断速度D(=S/(t×60×10 −6 ))が10 以上10 以下(s −1 )の範囲にある場合において、ハイシェアー粘度が20mPa・s以上150mPa・s以下である請求項12に記載のインクジェット記録用記録媒体の製造方法。
  14. 第2の形成工程において、第2の層を形成するための塗工液がブレード塗工方式によって塗布される請求項12から13のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体の製造方法。
  15. 請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体に対して、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、前記インク描画されたインクジェット記録用記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  16. 請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録用記録媒体に酸性物質を含む処理液を供給する処理液供給工程と、前記処理液が供給されたインクジェット記録用記録媒体に対して、所定の画像データに応じてインク描画するインク描画工程と、前記インク描画されたインクジェット記録用記録媒体におけるインク溶媒を乾燥除去する乾燥除去工程とを含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
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