JP5878422B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成方法に関する。
インクジェット技術は、種々の被記録媒体に所望の画像形成が可能であることから、オフィスプリンタ、ホームプリンタ等の分野及び商業分野において広く期待されている画像形成法である。
インクジェット記録に用いるインクとしては、溶剤系のほか、地球環境や作業環境に配慮する点から水系のインクが注目されている。また、重合性のモノマー成分を含ませることで、硬化型に構成されたインクも利用されている。硬化型のインクでは、擦過耐性の高い画像を得ることができる。
また、インクジェット法を利用して画像形成する方法では、従来から、記録媒体上に着滴したインク滴が着滴後にその直径が変化して画像の精細さを欠いたり、あるいは複数種のインクを隣接し又は重ねて打滴した場合に画像面が粗れやすく、所望とする表面性状が得られない等、画像品質に関わる問題も指摘されている。
画像品質に関連する技術として、インクを所定の吐出量で普通紙に吐出し、着弾前のインク滴の直径に対するドット径を所定の範囲としたインクジェットカラー記録方法が開示されており、普通紙上での色境界での色混じりや色濃度に優れるとされている(例えば、特許文献1参照)。また、ドット密度による乾燥への影響を考慮して、遅乾性インク及び速乾性インクからインクを選択するインクジェット画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、光学濃度や色間滲みを改善するため、両面、片面印字モードでの単位面積あたりの各液体の付与量が所定の関係を満たすインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平6−24123号公報 特開2001−225544号公報 特開2006−7749号公報
上記のように、従来から画像の色濃度や色混じりなどに対する技術が種々検討されているものの、従来、複数のインクを用いて画像を形成したときに、画像部にスジや粗れが生じ、平滑な表面が形成され難いとの課題がある。これは、特にインクを凝集させて画像形成する場合に現れやすい。
一般に画像中のスジや粗れを改善するには、吐出されたインク滴が記録媒体上に着弾した後にある程度の範囲で拡がることが望ましい。すなわち、着弾後の液滴の拡がりが小さ過ぎるあるいは全く生じないと、画像中にスジ状のムラが発生することがあり、逆に液滴の拡がりが大き過ぎると、局部的に液が集中するために均一な厚みや濃度が得られ難い。例えばインクに含まれるポリマー粒子の割合が少ない組成では、着弾後にドットが媒体上を移動しやすくドット径が拡がりやすいが、ドットの拡がりに伴なって画像面に粗れが目立つようになり、所望とする画像品質が保てない。
したがって、インク滴を隣接させて又は重ねて打滴した際に記録媒体上に複数のインク滴で形成される画像部分の大きさが、着弾した個々の液滴のサイズの合計の大きさを超えて大きく拡がりすぎず、凝集して小さくならない性質をそなえていることが不可欠である。すなわち、画像中のスジ状の故障の発生を抑えつつ、画像部の粗れをも改善するには、着弾したインク滴(ドット)が適度に拡がることが重要である。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、インク中の成分を凝集させて画像形成する場合に、画像表面の粗れ及び画像中のスジ故障の発生が抑制された画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、画像中のスジ状故障の発生を防ぎながら、画像表面の粗れを抑制するには、最適な打滴量と着弾後の拡がり量が存在するとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> セルロースパルプを主成分とした支持体の少なくとも一方の面に顔料層を有する記録媒体上に、顔料、水、及び下記構造式(1)で表される水溶性の重合性化合物を含むインク組成物を、記録媒体上に着弾したときの下記式1で表される拡がり率Sを2.0〜2.4の範囲とし、同一色相のインク組成物の打滴量を4.5〜6.7g/mの範囲としてインクジェット法により付与することで、画像を形成するインク付与工程と、前記インク付与工程の前に、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含む処理液を前記記録媒体に付与する処理液付与工程と、少なくとも前記画像を乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程を経た前記画像に活性エネルギー線を照射し、記録媒体上の前記画像を硬化させる硬化工程と、を有する画像形成方法である。
前記構造式(1)において、Qは、n価の連結基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aは、酸素原子又はNHを表す。nは、2以上の整数を表す。また、
前記式1において、φ1は吐出されたインク滴の記録媒体に着弾する前の1滴当りの直径[μm]を示し、φ2は記録媒体上に着弾した時点の1滴当りのインク滴の直径[μm]を示す。
<2> 前記インク組成物中におけるポリマー成分の含有量が、インク組成物全量に対して1質量%〜3質量%である前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記インク組成物中の前記顔料は、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料である前記<1>又は前記<2>に記載の画像形成方法である。
<4> 前記凝集成分が、酸、及び多価金属塩から選ばれる少なくとも1種である前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
<5> 前記インク組成物中の前記顔料は、その表面の少なくとも一部がカルボキシル基を有するポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料である前記<1>〜前記<4>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
<6> 前記記録媒体は、セルロースパルプを主成分とした支持体上の少なくとも一方の面に一層もしくは多層の顔料層を有し、動的走査吸液計で測定した純水の転移量が、接触時間100msにおいて1ml/m以上15ml/m以下であって、かつ接触時間400msにおいて2ml/m以上20ml/m以下である塗工紙である前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
<7> 前記インク付与工程におけるインク組成物の着滴時点から5秒以内に前記乾燥工程での乾燥を開始する前記<1>〜前記<6>のいずれか1つに記載の画像形成方法である。
本発明によれば、インク中の成分を凝集させて画像形成する場合に、画像表面の粗れ及び画像中のスジ故障の発生が抑制された画像形成方法が提供される。
本発明の画像形成方法の実施に用いるインクジェット記録装置の構成例を示す概略構成図である。
以下、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、セルロースパルプを主成分とした支持体の少なくとも一方の面に顔料層を有する記録媒体上に、顔料、水、及び以下に示す一般式(1)で表される水溶性の重合性化合物を含むインク組成物を、記録媒体上に着弾したときの拡がり率S(S:以下に示す式1で表される)を2.0〜2.4の範囲とし、同一色相のインク組成物の打滴量を4.5〜6.7g/mの範囲としてインクジェット法により付与することで、画像を形成するインク付与工程と、インク付与工程の前に、インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含む処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、少なくとも付与されたインク組成物を乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程を経たインク組成物に活性エネルギー線を照射し、記録媒体上のインク組成物を硬化させる硬化工程とを設けて構成されている。
また、本発明の画像形成方法は、必要に応じて、更に熱定着する等の他の工程を設けて構成されてもよい。
本発明においては、顔料層が設けられて液体の浸透が比較的緩やかな記録媒体(塗工紙など)に付与された活性エネルギー線硬化性の水系インクを凝集成分で凝集させて画像形成する場合に、上記した知見のもと、単位面積当たりのインク付与量(打滴量)を所定の範囲に調節しつつ、着弾後にインク滴に適度な拡がりが現れるように調節する、つまりインク凝集させて形成される画像中に局部的にインクが行き届かず又は多くなり過ぎることのないように調節することで、画像中にスジ故障が発生しないように画像表面の粗れの発生を抑制する。
従来から画像中の色混じりなどを改善する技術としてドット径や付与量を調整することが検討されてはいるものの、複数のインクを用いて画像形成するときに画像に粗れが生じやすいのが実情である。本来、画像の形成には適切なインク量とインク拡がりが存在しており、多官能の重合性化合物を用いて所定の硬化性を確保した上でインク量と着弾後の液滴挙動を考慮して画像を形成することが重要であり、この点で本発明は従来法と区別される。本発明は、画像中にスジ状の故障が現れないように画像面の粗れを防ぐという効果が奏されるというものである。
−記録媒体−
まず、本発明における記録媒体について詳述する。
本発明においては、画像が形成される記録媒体として、セルロースパルプを主成分とした支持体の少なくとも一方の面に顔料層を有する塗工紙が用いられる。例えば一般のオフセット印刷などに用いられる塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面に、顔料を含むコート材を塗布してコート層を設けたものである。一般的に塗工紙を記録媒体として用いる水性インクジェットによる画像形成においては、光沢ムラや耐擦過性など品質上の問題を生じやすいが、本発明の画像形成方法では、光沢ムラの発生が防止され、耐擦過性の良好な画像が得られる。
前記塗工紙は、セルロースパルプを主成分とした支持体の少なくとも一方の面に、一層もしくは多層の顔料層を有し、動的走査吸液計で測定した純水の転移量が、接触時間100msにおいて1ml/m以上15ml/m以下であって、かつ接触時間400msにおいて2ml/m以上20ml/m以下である記録媒体を挙げることができる。
(支持体)
本発明におけるセルロースパルプを主成分とした支持体としては、化学パルプ、機械パルプ及び古紙回収パルプ等を任意の比率で混合して用いられ、必要に応じて内添サイズ剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤等を添加した原料を長網フォーマやギャップタイプのツインワイヤーフォーマ、長網部の後半部をツインワイヤーで構成するハイブリッドフォーマ等で抄紙されたものが使用される。ここでの「主成分」とは、支持体の質量に対して、50質量%以上含まれる成分をいう。
支持体に使用するパルプの詳細については、特開2011−42150号公報の段落番号[0024]の記載を参照することができる。また、支持体には、填料や内添サイズ剤などを用いることができる。填料や内添サイズ剤等の詳細については、特開2011−42150号公報の段落番号[0025]〜[0027]の記載を参照することができる。
(顔料層)
本発明における塗工紙は、前記支持体上の少なくとも一方の面に一層もしくは多層の顔料層を有している。
顔料層に用いられる顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機顔料及び無機顔料を用いることができる。顔料の具体例については、特開2011−42150号公報の段落番号[0029]の記載を参照することができ、記録媒体の透明性を保持して画像濃度を高める点で、白色無機顔料が好ましい。
前記顔料層は、更に水性バインダー、酸化防止剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、pH調節剤、硬化剤、着色剤、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤などの添加剤を含有することができる。水性バインダーの詳細については、特開2011−42150号公報の段落番号[0030]の記載を参照することができる。
前記顔料層を支持体上に形成する方法は、特に制限なく目的に応じて適宜選定できる。例えば、顔料を水に分散した分散液を原紙に塗布し、乾燥させることで、顔料層を形成できる。顔料層中の顔料の量は0.1g/m〜20g/mが好ましい。顔料の量は、0.1g/m以上であることで耐ブロッキング性がより良好になり、また20g/m以下であると脆性の点で有利である。顔料層に含まれる顔料は、層固形分に対して10質量%以上が好ましく、より好ましくは14質量%以上である。
塗工紙は、動的走査吸液計で測定した純水の該塗工紙への転移量が、接触時間100msにおいて1ml/m以上15ml/m以下、かつ、接触時間400msにおいて2ml/m以上20ml/m以下であるものが好ましい。すなわち、本発明では、転移量が前記範囲にある比較的インク吸収量の少ない記録媒体に、光沢ムラの発生が抑えられた画像の形成が可能である。なお、前記転移量に関し、接触時間100msにおいて1ml/m以上、及び接触時間400msにおいて2ml/m以上とは、吸収速度は緩いものの記録媒体がインクを吸収し得る顔料層を有することを示す。また、接触時間100msにおいて15ml/m以下、及び接触時間400msにおいて20ml/m以下とは、インクの吸収量が比較的少ないことを示す。すなわち、「動的走査吸液計で測定した純水の記録媒体への転移量」が上記の範囲内にあることは、記録媒体が顔料層を有してインクの浸透量が少ないことを意味する。
ここで、動的走査吸液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水又はインクの転移量を測定する。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。測定は23℃、50%RHで行なわれる。
本発明においては、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の該記録媒体への転移量は、1ml/m〜15ml/mであり、1ml/m〜10ml/mがより好ましく、1ml/m〜8ml/mがさらに好ましい。接触時間100msでの純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがある。また、該転移量が15ml/mを超えて多くなり過ぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
なお、ビーディングとは、インクジェット記録時に、あるインク滴が、記録媒体上に打たれてから次のインク滴が打たれるまでの間に、記録媒体内部に吸収され切れずに記録媒体の表面に液体状態で残り、後から打たれたインク滴と混合することにより、インク中の着色剤が部分的に塊となって濃度ムラができる現象をいう。
本発明においては、動的走査吸液計で測定した接触時間400msにおける純水の該記録媒体への転移量は、2ml/m〜20ml/mであり、2ml/m〜15ml/mがより好ましく、2ml/m〜10ml/mがさらに好ましい。接触時間400msでの転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがある。また、該転移量が20ml/mを超えて多くなり過ぎると、ブリードが発生しやすく、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすい。
顔料層は、顔料と樹脂バインダーとを主成分とする構成である。樹脂配合量をリッチにすることで前記転移量が減少する方向に、顔料配合量をリッチにすることで前記転移量が増加する方向に、それぞれ調整可能である。また、顔料層を構成する顔料粒子の比表面積を大きくすること、例えば粒径を小さくしたり、比表面積の大きな種類の顔料を使用することでも、前記転移量を大きくすることが可能である。
塗工紙としては、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙が好適に挙げられ、一般に上市されているものを入手、使用できる。塗工紙の例として一般印刷用塗工紙が使用可能であり、具体的には、A2グロス紙では、「OKトップコート+」(王子製紙社製)、「オーロラコート」(日本製紙社製)、「パールコート」(三菱製紙社製)、「Sユトリロコート」(大王製紙社製)、「ミューコートネオス」(北越製紙社製)、「雷鳥コート」(中越パルプ社製)、並びにA2マット紙では、「ニューエイジ」(王子製紙社製)、「OKトップコートマット」(王子製紙社製)、「ユーライト」(日本製紙社製)、「ニューVマット」(三菱製紙社製)、「雷鳥マットコートN」(中越パルプ社製)、並びにA1グロスアート紙では、「OK金藤+」(王子製紙社製)、「特菱アート」(三菱製紙社製)、「雷鳥特アート」(中越パルプ社製)、並びにA1ダルアート紙では、「サテン金藤+」(王子製紙社製)、「スーパーマットアート」(三菱製紙社製)、「雷鳥ダルアート」(中越パルプ社製)、並びにA0アート紙では、「SA金藤+」(王子製紙社製)、「高級アート」(三菱製紙社製)、「雷鳥スーパーアートN」(中越パルプ社製)、「ウルトラサテン金藤+」(王子製紙社製)、「ダイヤプレミアダルアート」(三菱製紙社製)、などを挙げることができる。
−インク付与工程−
本発明におけるインク付与工程は、上記のセルロースパルプを主成分とした支持体の少なくとも一方の面に顔料層を有する記録媒体に、顔料、水、及び以下に示す一般式(1)で表される水溶性の重合性化合物を含むインク組成物を、記録媒体上に着弾したときの下記式1で表される拡がり率Sを2.0〜2.4の範囲とし、少なくとも同一色相のインク組成物の打滴量を4.5〜6.7g/mの範囲として、インクジェット法により付与することで、画像を形成する。
本発明におけるインク付与工程では、記録媒体上に着弾したときの拡がり率Sを2.0〜2.4の範囲とする。「着弾したときの拡がり率」は、下記式1で求められる値であり、吐出された飛行中のインク滴のサイズ(直径φ1)に対する記録媒体に着弾した時点のインク滴のサイズ(直径φ2)の比をさす。この比が所定の範囲を満たすことで、スジ故障の発生が抑えられ、画像表面の粗れが防止される。
前記式1において、φ1は、吐出されたインク滴の記録媒体に着弾する前の1滴当りの直径[μm]を示し、φ2は、記録媒体上に着弾した時点の1滴当りのインク滴の直径[μm]を示す。〕
拡がり率Sが2.0未満であると、着滴後のインク拡がりが少なすぎてスジ状の白抜けが発生しやすく、画像面の粗れも悪化する。逆に拡がり率Sが2.4を超えると、局部的にインク量が多くなることによるスジ状のムラが発現し、画像面の粗れも悪化する。本発明における拡がり率Sとしては、2.05〜2.25の範囲が好ましい。
この「着弾したときの拡がり率」は、記録媒体に着弾するインクの量(打滴量)やインク滴の着弾時の速度(打滴速度)などを調節することで調整することが可能である。
また、本発明におけるインク付与工程では、少なくとも同一色相のインク組成物の打滴量を4.5〜6.7g/mの範囲とする。打滴量とは、記録媒体上に形成された画像を形成しているインクの量である。画像の種類により色相が同じ画像部分でもインクの打滴量が画像部位で異なるが、その打滴量を所定範囲に調節することで、スジ故障の発生を抑えつつ画像表面の粗れも防止される。前記打滴量は同一色相間に限られるものはなく、同様の理由から、色相の異なるインク組成物間でも前記範囲であることが好ましい。
打滴量が4.5g/m未満であると、着滴後のインク拡がりが少なすぎてスジ状の白抜けが発生しやすい。また、打滴量が6.7g/mを超えると、局部的にインク量が多くなることによるスジ状のムラが発現し、画像面の粗れも悪化する。
インク組成物の前記打滴量としては、5〜6.5g/mの範囲が好ましい。
前記拡がり率を算出するためのインク滴の着弾前の直径は、一定数の打滴量の重量を測定し、この重量とインクの比重から計算される1滴当たりの吐出液滴の体積から、液滴を真球としたときの直径を算出することにより求められる値であり、着弾後のインク滴の直径は、着弾後のドットを20個以上顕微鏡で観察し、その円相当径を求めて平均した値である。
また、画像を形成しているインクの量(打滴量)は、一定面積の機材表面に同一色相のインクを打滴duty100%で打滴した場合の重量増加を測定することにより求められる値である。
インクジェット法による画像記録は、エネルギーを供与することにより、前記塗工紙上にインク組成物を液滴状にして吐出し、画像を形成する。なお、インクジェット法としては、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
インクジェット法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インク付与工程は、例えば記録媒体の搬送速度を変えることにより画像形成することができる。搬送速度は、画像品質を損なわない範囲であれば特に制限はなく、好ましくは、100〜3000mm/sであり、より好ましくは150〜2700mm/sであり、さらに好ましくは250〜2500mm/sである。
本発明においては、インク組成物の記録媒体への最大付与量は15ml/m以下であることが好ましい。最大付与量が15ml/m以下であることで、画像の密着性により優れる。更には、最大付与量としては、画像の密着性と濃度の観点から、8〜15ml/mがより好ましく、8〜12ml/mが更に好ましく、8〜11ml/mが特に好ましい。最大付与量は、吐出ノズルからの吐出方法を調節することにより制御することができる。
[インク組成物]
本発明におけるインク組成物は、水を媒体として含む水性インク組成物であり、顔料と、水と、一般式(1)で表される水溶性の重合性化合物(好ましくは多価(メタ)アクリルアミド)とを用いて構成したものである。インク組成物は、必要に応じて、更に、ポリマー粒子、水溶性有機溶剤、及び界面活性剤や湿潤剤などの他の成分を用いて構成されてもよい。
インク組成物は、インクジェット記録用インクとして用いられるものであり、カラー画像の記録に用いることができる。例えばフルカラー画像を形成する場合は、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクとして用いることが好ましく、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクとして用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク等として用いることができる。
(顔料)
本発明におけるインク組成物は、顔料の少なくとも1種を含有する。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。顔料は、水に殆ど不溶であるか又は難溶である顔料であることが、インク着色性の点で好ましい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。
有機顔料を用いる場合、有機顔料の平均粒子径は、透明性・色再現性の観点から小さい方がよいが、耐光性の観点からは大きい方が好ましい。これらを両立する観点から、平均粒子径は10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜120nmがさらに好ましい。また、有機顔料の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ有機顔料を2種以上混合して使用してもよい。
(分散剤)
本発明のインク組成物は、分散剤の少なくとも1種を含有することができる。前記顔料の分散剤としては、ポリマー分散剤、又は低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。また、ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、又は非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、顔料を水溶媒に安定に分散させることができる。低分子の界面活性剤型分散剤は、分子量2,000以下の低分子分散剤である。また、低分子の界面活性剤型分散剤の分子量は、100〜2,000が好ましく、200〜2,000がより好ましい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基とは、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基とを連結するための連結基も適宜有することができる。
前記親水性基は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等である。前記アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。前記カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがさらに好ましい。前記ノニオン性基は、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
前記親水性基は、アニオン性基であることが好ましい。アニオン性基は、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
また、低分子の界面活性剤型分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、pKaが3以上であることが好ましい。低分子の界面活性剤型分散剤のpKaは、テトラヒドロフラン−水(3:2=V/V)溶液に低分子の界面活性剤型分散剤1mmol/Lを溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。低分子の界面活性剤型分散剤のpKaが3以上であると、理論上pH3程度の液と接したときにアニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子の界面活性剤型分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。かかる観点からも、低分子の界面活性剤型分散剤は、アニオン性基としてカルボン酸基を有する場合が好ましい。
前記疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有しており、特に炭化水素系であることが好ましい。また、疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また、疎水性基は、1本鎖状構造又はこれ以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
前記ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グアーガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
また、天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
更に、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや、他の親水基を有するモノマーとの共重合体などのように、カルボキシル基が導入された水溶性分散剤が親水性高分子化合物として好ましい。
ポリマー分散剤のうち、非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000であり、更に好ましくは5,000〜40,000であり、特に好ましくは10,000〜40,000である。
ポリマー分散剤は、自己分散性、及び処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が100mgKOH/g以下のポリマーであることが好ましく、酸価は25〜100mgKOH/gのポリマーがより好ましい。特に、本発明のインク組成物を、インク組成物中の成分を凝集させる処理液と共に用いる場合には、カルボキシル基を有し、かつ酸価が25〜100mgKOH/gのポリマー分散剤が有効である。処理液については、後述する。
顔料(p)と分散剤(s)との混合質量比(p:s)としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
顔料に代えて染料を用いてもよい。染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを用いることができる。染料を保持した担体(水不溶性着色粒子)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤は、上述の分散剤を好適に用いることができる。
本発明においては、画像の耐光性や品質などの観点から、顔料と分散剤とを含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含み、顔料表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料として含有されることがより好ましい。更には、インク組成物は、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含み、顔料表面の少なくとも一部がカルボキシル基を有するポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料を含むことが特に好ましく、凝集性の観点から、顔料はカルボキシル基を含むポリマー分散剤に被覆されて水不溶性であることが好ましい。
分散状態での顔料の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径が200nm以下であると、色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になる。平均粒子径が10nm以上であると、耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。ここで、分散状態での顔料の平均粒子径は、インク化した状態での平均粒子径を示すが、インク化する前段階のいわゆる濃縮インク分散物についても同様である。
なお、分散状態での顔料の平均粒子径、及びポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
顔料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
顔料のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
(重合性化合物)
本発明におけるインク組成物は、重合性化合物の少なくとも一種として、下記構造式(1)で表される水溶性の重合性化合物の一種又は二種以上を含有する。この重合性化合物は、多官能の重合性化合物であり、活性エネルギー線が照射されることで重合する化合物である。
水溶性とは、水に一定濃度以上溶解できることをいい、水性のインク又は場合により処理液中に溶解し得る性質を有していればよい。具体的には、水に対する溶解度が10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。
下記構造式(1)中のnがn≧2を満たす化合物は、活性エネルギー線照射により画像を硬化させる際の重合性、重合効率が高く、形成画像の耐擦過性や耐傷性が高められる。
前記構造式(1)で表される化合物は、不飽和ビニル単量体が連結基Aにより基Qに結合したものである。構造式(1)において、Qはn価の連結基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aは酸素原子又はNHを表す。nは、2以上の整数を表す。
前記構造式(1)で表される化合物は、不飽和ビニル単量体が酸素原子又はアミド結合により基Qに結合したものである。前記Rは、水素原子又はメチル基を表し、好ましくは水素原子である。前記Aは、酸素原子、又はNHを表し、好ましくはNHである。
n≧2では基Qは連結基を表し、連結基Qの具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン基等の炭素数4以下の置換又は無置換のアルキレン基、飽和又は不飽和のヘテロ環(ピリジン環、イミダゾール環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環など)を有する2価以上の連結基、並びに、オキシアルキレン基(好ましくはオキシエチレン基)を含むポリオール化合物の2価以上の残基、オキシアルキレン基(好ましくはオキシエチレン基)を3以上含むポリオール化合物の2価以上の残基を例示することができる。
前記基Qの価数nは、浸透性、重合効率、吐出安定性を向上させる観点から、2以上であり、2以上6以下が好ましく、2以上4以下がより好ましい。
重合性化合物としては、凝集成分と顔料等の分散粒子との反応を妨げない点で、ノニオン性又はカチオン性の重合性化合物が好ましく、水に対する溶解度が10質量%以上(更には15質量%以上)の重合性化合物が好適に挙げられる。
ノニオン性の重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルモノマーなどの重合性化合物を挙げることができる。(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールのグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、多価アルコールのエチレンオキシド付加化合物の(メタ)アクリル酸エステル、多塩基酸無水物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとの反応物などの紫外線硬化型モノマー、オリゴマーが挙げられる。前記多価アルコールは、エチレンオキシドの付加により内部にエチレンオキシド鎖で鎖延長されたものでもよい。
以下、ノニオン性の重合性化合物の具体例(ノニオン性化合物1〜6)を示す。但し、本発明においては、これらに限定されるものではない。
また、多水酸基化合物から誘導される1分子中に2以上のアクリロイル基を有するアクリル酸エステルも用いることができる。前記多水酸基化合物としては、例えば、グリコール類の縮合物、オリゴエーテル、オリゴエステル類等が挙げられる。
更に、ノニオン性の重合性化合物は、単糖類、2糖類などの2以上の水酸基を有するポリオールの(メタ)アクリル酸エステル又は;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリスヒドロキシアミノメタン、トリスヒドロキシアミノエタン等との(メタ)アクリル酸エステルも好適である。
また、ノニオン性の重合性化合物としては、前記構造式(1)におけるAがNHを表し、分子内に重合性基と複数の(メタ)アクリルアミド構造を有する下記一般式(1)で表される多価(メタ)アクリルアミド化合物が好ましい。特にn≧2である多価(メタ)アクリルアミドは、活性エネルギー線照射により画像を硬化させる際の重合性、重合効率が高く、形成画像の耐擦過性や耐傷性に優れている。
なお、一般式(1)中のQ、R及びnは、前記構造式(1)におけるQ、R及びnとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
以下、分子内に(メタ)アクリルアミド構造を有する多価(メタ)アクリルアミド化合物の具体例を示す。但し、本発明は、これらに制限されるものではない。
更に、多価(メタ)アクリルアミド化合物としては、高い重合能及び硬化能を備える点で、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。この化合物は、分子内に重合性基として4つのアクリルアミド基又はメタクリルアミド基を有している。また、この化合物は、例えば、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線等の活性エネルギー線や熱等のエネルギーの付与による重合反応に基づく硬化性を示す。下記一般式(2)で表される化合物は、水溶性を示し、水やアルコール等の水溶性有機溶剤に良好に溶解するものである。
一般式(2)において、Rは、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。複数のRは、互いに同じでも異なっていてもよい。
は、炭素数2〜4の直鎖又は分岐のアルキレン基を表す。複数のRは、互いに同じでも異なっていてもよい。Rは、炭素数3〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素数3のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数3の直鎖のアルキレン基であることが特に好ましい。Rのアルキレン基は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
但し、Rにおいて、Rの両端に結合する酸素原子と窒素原子とがRの同一の炭素原子に結合した構造をとることはない。Rは、酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とを連結する直鎖又は分岐のアルキレン基である。ここで、アルキレン基が分岐構造をとる場合、両端の酸素原子と(メタ)アクリルアミド基の窒素原子とがアルキレン基中の同一の炭素原子に結合した−O−C−N−構造(ヘミアミナール構造)をとることが考えられるが、一般式(2)で表される化合物はこのような構造の化合物を含まない。分子内に−O−C−N−構造を有する化合物は、炭素原子の位置で分解が起こりやすいため、保存中に分解されやすく、インク組成物に含有した場合に保存安定性が低下する要因となる点で好ましくない。
は、2価の連結基を表し、複数のRは、互いに同じでも異なっていてもよい。Rで表される2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、複素環基、又はこれらの組み合わせからなる基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。なお、2価の連結基がアルキレン基を含む場合、該アルキレン基中にはさらに−O−、−S−、及び−NR−から選ばれる少なくとも1種の基が含まれていてもよい。Rは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
がアルキレン基を含む場合、アルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基等が挙げられる。Rのアルキレン基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。Rのアルキレン基には、さらに−O−、−S−、及び−NR−から選ばれる少なくとも1種が含まれていてもよい。−O−が含まれるアルキレン基の例としては、−C−O−C−、−C−O−C−等が挙げられる。Rのアルキレン基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例としてはアリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
がアリーレン基を含む場合、アリーレン基の例としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる、Rのアリーレン基の炭素数は、6〜14であることが好ましく、6〜10であることがさらに好ましく、6であることが特に好ましい。Rのアリーレン基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例としてはアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
が複素環基を含む場合、複素環基としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、複素環は、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。複素環基としては、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。中でも、芳香族複素環基が好ましく、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが好ましい。なお、上記で示した複素環基は、置換位置を省略した形で例示しているが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能で、これらの置換体を全て含み得るものである。
複素環基は、さらに置換基を有してもよく、置換基の例としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基等が挙げられる。
前記一般式(2)中のkは、2又は3を表す。複数のkは、互いに同じでも異なっていてもよい。また、C2kは、直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。
また、x、y、及びzは、各々独立に0〜6の整数を表し、0〜5の整数であることが好ましく、0〜3の整数であることがより好ましい。x+y+zは、0〜18を満たし、0〜15を満たすことが好ましく、0〜9を満たすことがより好ましい。
上記のうち、Rが水素原子又はメチル基を表し、Rが炭素数3〜4のアルキレン基を表し、Rが炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基を表し、kが2又は3を表し、x、y、及びzは、各々独立に0〜6の整数を表し、x+y+zが0〜15を満たす場合が好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
前記一般式(2)で表される化合物は、例えば下記スキーム1又はスキーム2にしたがって製造することができる。
前記スキーム1において、第一工程は、アクリロニトリルとトリスヒドロキシメチルアミノメタンとの反応によりポリシアノ化合物を得る工程である。この工程での反応は、3〜60℃で2〜8時間行なわれることが好ましい。
第二工程は、ポリシアノ化合物を触媒存在下で水素と反応させ、還元反応によりポリアミン化合物を得る工程である。この工程での反応は、20〜60℃で5〜16時間行なわれることが好ましい。
第三工程は、ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程である。この工程での反応は、3〜25℃で1〜5時間行なわれることが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
前記スキーム2において、第一工程は、アミノアルコールの窒素原子に、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基等による保護基導入反応により窒素保護アミノアルコール化合物を得る工程である。この工程での反応は、3〜25℃で3〜5時間行なわれることが好ましい。
第二工程は、窒素保護アミノアルコール化合物のOH基に、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等の脱離基を導入し、スルホニル化合物を得る工程である。この工程の反応では、3〜25℃で2〜5時間行なわれることが好ましい。
第三工程は、スルホニル化合物とトリスヒドロキシメチルニトロメタンとのSN2反応により、アミノアルコール付加化合物を得る工程である。この工程の反応では、3〜70℃で5〜10時間行なわれることが好ましい。
第四工程は、アミノアルコール付加化合物を触媒存在下で水素と反応させ、水素添加反応によりポリアミン化合物を得る工程である。この工程の反応では、20〜60℃で5〜16時間行なわれることが好ましい。
第五工程は、ポリアミン化合物とアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物を得る工程である。この工程の反応では、3〜25℃で1〜5時間行なわれることが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてジアクリル酸無水物又はジメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
上記工程を経て得られた化合物は、反応生成液から常法により精製することで得られる。例えば、有機溶媒を用いた分液抽出、貧溶媒を用いた晶析、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーなどによって精製できる。
本発明では、前記構造式(1)で表される水溶性の重合性化合物として、カチオン性の重合性化合物を用いてもよい。カチオン性の重合性化合物は、カチオン基と不飽和二重結合等の重合性基とを有する化合物であり、例えば、エポキシモノマー、オキタセンモノマーなどを好適に用いることができる。カチオン性の重合性化合物を含有すると、カチオン基を有することでインク組成物のカチオン性が強くなり、アニオン性インクを用いたときの混色がより効果的に防止される。
前記カチオン性の重合性化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド、及びこれらの4級化化合物などが挙げられる。
エポキシモノマー類としては、例えば、多価アルコールのグリシジルエーテル、グリシジルエステル、脂肪族環状のエポキシドなどが挙げられる。
さらに、カチオン性の重合性化合物の例として、下記構造を有するものを挙げることができる。
前記構造において、Rは、ポリオールの残基を表す。また、Xは、H又はCHを表し、AはCl、HSO 又はCHCOOを表す。このポリオールを導入するための化合物としては、例えば、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、脂環型ビスフェノールA及びこれらの縮合物等を挙げることができる。
以下、カチオン基を有する重合性化合物の具体例(カチオン性化合物1〜11)を例示する。
前記構造式(1)で表される水溶性の重合性化合物は、多官能の重合性化合物であるが、耐傷性を高め得る観点から2〜6官能のモノマーが好ましく、溶解性と耐傷性の両立の観点から2〜4官能のモノマーが好ましい。
前記構造式(1)で表される水溶性の重合性化合物(多価(メタ)アクリルアミドを含む)のインク組成物中における含有量は、インク組成物の総量に対して、3質量%以上15質量%以下が好ましく、4質量%以上13質量%以下がより好ましく、5質量%以上12.5質量%以下が更に好ましい。多官能の重合性化合物の含有量が3質量%以上であると、硬化反応性が充分に得られ、画像全体に亘る硬化の均一化が達成できる。また、多官能の重合性化合物の含有量が15質量%以下である場合も、同様に画像全体に亘る硬化反応性の均一化を図ることができる。
本発明においては、前記構造式(1)で表される水溶性の重合性化合物(多価(メタ)アクリルアミドを含む)と共に、単官能の(メタ)アクリルアミドを併用する態様も好ましい。単官能の(メタ)アクリルアミドを含めることで、塗工紙における顔料層への浸透性に優れたインク組成物が得られる。これにより、画像のみならず顔料層も硬化され、より画像の密着性が向上する。
単官能の(メタ)アクリルアミドとしては、前記一般式(1)において、n=1である場合の化合物が挙げられる。n=1である場合の基Qは、(メタ)アクリルアミド構造と連結可能な1価の基であればよく、n=1である場合の基Qは水溶性を有する基が好適である。具体的には、以下の化合物群Xから選ばれる化合物から1以上の水素原子又はヒドロキシル基を除いた1価の残基が挙げられる。
化合物群X:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール,1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、チオグリコール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、及びこれらの縮合体、低分子ポリビニルアルコール、又は糖類などのポリオール化合物、並びに、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンジアミンなどのポリアミン化合物
単官能の(メタ)アクリルアミドの例としては、下記化合物が挙げられる。
−重合開始剤−
本発明におけるインク組成物は、後述する処理液に含有すると共にあるいは含有せずに、活性エネルギー線により重合性化合物の重合を開始する重合開始剤の少なくとも1種を含有することができる。重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して、あるいは増感剤と併用して使用することができる。
重合開始剤は、活性エネルギー線により重合性化合物の重合反応を開始し得る化合物を適宜選択して含有することができる。重合開始剤の例として、放射線もしくは光、又は電子線により活性種(ラジカル、酸、塩基など)を発生する重合開始剤(例えば光重合開始剤等)が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメートが挙げられる。更に、例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等の、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ハロニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物等が挙げられる。中でも、画像中に安定に存在し光沢ムラが低減する点で、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが好ましい。
インク組成物が重合開始剤を含有する場合、重合開始剤のインク組成物中における含有量としては、前記重合性化合物に対して、1〜40質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。重合開始剤の含有量は、1質量%以上であると画像の耐擦過性、耐傷性がより向上し、高速記録に有利であり、40質量%以下であると吐出安定性の点で有利である。
前記増感剤としては、アミン系(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジンなど)、尿素(アリル系、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N,ジ置換p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリn−ブチルホスフィン、ネトリウムジエチルジチオホスフィードなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ1,3オキサジン化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物の高分子化アミン、トリエタノールアミントリアクリレート、等が挙げられる。
増感剤は、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
−水−
本発明におけるインク組成物は、水を含有するものであるが、水の量には特に制限はない。中でも、水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
−水溶性有機溶剤−
本発明におけるインク組成物は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤を含有する場合、その含有量は少ないことが好ましく、本発明では水溶性有機溶剤の含有量を、インク組成物の全質量に対して3質量%未満とする。
本発明において、水溶性有機溶剤の含有量が3質量%未満であることは、インク組成物中に積極的に水溶性有機溶剤を含有していないことを意味し、好ましくは水溶性有機溶剤を含まないこと(含有量:0質量%)が好ましい。
水溶性有機溶剤は、インク組成物の乾燥防止、湿潤あるいは紙への浸透促進の効果が得られる。インク組成物が含有してもよい水溶性有機溶剤としては、例えば、
グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類や、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオールなどの多価アルコール類のほか、特開2011−42150号公報の段落番号[0116]に記載の、糖類や糖アルコール類、ヒアルロン酸類、炭素数1〜4のアルキルアルコール類、グリコールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、特開2011−42150号公報の段落番号[0121]〜[0125]に記載されているグリセリンのアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これら溶剤は、1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。多価アルコール類は、乾燥防止剤や湿潤剤としても有用であり、例えば、特開2011−42150号公報の段落番号[0117]に記載の例も挙げられる。また、ポリオール化合物は、浸透剤として好ましく、脂肪族ジオールとしては、例えば、特開2011−42150号公報の段落番号[0117]に記載の例が挙げられる。
−ポリマー粒子−
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含有することができる。ポリマー粒子は、後述する処理液又はこれを乾燥させた領域と接触した際に、インク組成物中において分散不安定化して凝集し、増粘することによりインク組成物を固定化する機能を有し、インク組成物の記録媒体への密着性及び画像の耐傷性をより向上させることができる。
本発明におけるインク組成物では、画像形成に際して後述する処理液を用いた場合の凝集速度や形成画像の光沢性などの観点からポリマー粒子を用いることができる。ポリマー粒子を含有する場合、ポリマー粒子の含有量は、インク組成物に対して固形分濃度で1質量%以上30質量%以下の範囲で適宜選択することができる。画像の耐擦過性、耐傷性を高めるながらインク吐出性を良好に維持する観点から、ポリマー粒子の含有量は1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上3質量%以下がより好ましい。ポリマー粒子は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ポリマー粒子は、例えば、粒子状にしたポリマーを水性媒体に分散させたラテックスとして用いることができる。ポリマーとしては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等を用いることができる。中でも、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂が好ましい例として挙げられる。
前記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶媒を含んでいてもよい。本発明においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶媒とで構成されたものが好ましく、水から構成されたものがより好ましい。
ポリマー粒子の中では、自己分散ポリマー粒子が好ましい。自己分散性ポリマーの粒子は、界面活性剤の不存在下、分散状態(特に転相乳化法による分散状態)としたとき、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。自己分散性ポリマーの粒子は、吐出安定性及び前記顔料を含む系の液安定性(特に分散安定性)の観点で好ましい。
ここで、分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンション)の両方の状態を含むものである。本発明における水不溶性ポリマーにおいては、液体組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマーの乳化又は分散状態、すなわち自己分散性ポリマーの水性分散物の調製方法としては、転相乳化法が挙げられる。転相乳化法としては、例えば、自己分散性ポリマーを溶媒(例えば、親水性有機溶剤等)中に溶解又は分散させた後、界面活性剤を添加せずにそのまま水中に投入し、自己分散性ポリマーが有する塩生成基(例えば、酸性基)を中和した状態で、攪拌、混合し、前記溶媒を除去した後、乳化又は分散状態となった水性分散物を得る方法が挙げられる。
自己分散性ポリマーの粒子の分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいう。溶解量は、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
本発明における自己分散性ポリマーの粒子については、特開2011−042150号公報の段落番号[0066]〜[0113]に詳細に記載されており、本発明においても参照、適用することが可能である。
本発明における自己分散性ポリマーの粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマー由来の構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来する繰り返し単位であれば、特に制限はない。親水性基含有モノマーとしては、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーが好ましい。解離性基含有モノマーの例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。例えば、不飽和カルボン酸モノマーの具体例として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましく、特にはアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば、特に制限はない。芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーが好ましく、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
自己分散性ポリマーの酸価は、処理液が接触したときの凝集性が良好である観点から、25〜100mgKOH/gが好ましく、30〜70mgKOH/gがより好ましい。酸価が25mgKOH/g以上であることで、安定な自己分散性が得られる。自己分散性ポリマーの粒子は、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有し、酸価が前記範囲にあるポリマーを含むことがより好ましい。
自己分散性ポリマーの粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量としては、重量平均分子量で3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで、水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、高速GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL Super HZM−H、TSKgeL Super HZ4000、TSKgeL Super HZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
自己分散性ポリマーの粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)を共重合比率として自己分散性ポリマー粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの具体例としては、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)、フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)、フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)、ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(35/59/6)、スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)、ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)、フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)、スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)、ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)、フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)、ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)、スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(50/5/20/25)、スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)、メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)、メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)、メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)、メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)、メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)等が挙げられる。括弧内は共重合成分の質量比を表す。
ポリマー粒子の平均粒子径は、体積平均粒子径で1nm〜70nmの範囲が好ましく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。前記平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)にて動的光散乱法により測定されるものである。
また、自己分散性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。Tgが70℃以上であると、局所ブロッキング耐性が向上する。
−他の成分−
本発明におけるインク組成物は、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、重合禁止剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物の場合はインクに直接添加し、また、油性染料を分散物として用いる場合は染料分散物の調製後に分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
−乾燥工程−
本発明における乾燥工程では、前記インク付与工程でのインク組成物の付与により記録媒体に形成された画像(インク組成物)中の水の少なくとも一部及び水溶性有機溶剤の少なくとも一部を乾燥除去する。乾燥工程を後述の硬化工程の前に設け、インク組成物中の水や水溶性有機溶剤の含有量を減らすことで、硬化工程での重合性化合物の硬化反応がより良好に進行する。特に、主走査方向にインクを吐出して1回の走査で1ラインを形成するシングルパス方式により画像形成する方法など、高速で画像形成する場合に、画像形成性が成り立つ感度を確保することができる。
例えば記録媒体の搬送速度を100〜3000mm/sとして画像形成する場合に本発明の効果がより奏され、更には搬送速度が、150〜2700mm/s、より好ましくは250〜2500mm/sとした場合に、乾燥を設けたことによる密着性及び耐傷性の向上効果に優れる。
本発明における乾燥工程においては、必ずしも水や水溶性有機溶剤を完全に乾燥させる必要はなく、水や水溶性有機溶剤が画像中及び顔料層中に残存してもよい。乾燥工程では、むしろUV硬化反応を損なわない範囲で残存する程度に乾燥させることが好ましい。
乾燥工程では、最大付与量で付与されたインク組成物(画像)に含まれる水のうち、60〜80質量%が除去される乾燥条件(以下、「乾燥量」ということがある。)で、前記インク付与工程で記録媒体上に付与されたインク組成物中に含まれる水の少なくとも一部が除去されることが好ましい。除去される水の量が60質量%以上であると、カックリングが抑制され、画像の密着性を良好に維持できる。また、除去される水の量が80質量%以下であると、画像の密着性が良好である。
乾燥条件は、必要に応じて適宜設定されるインク付与工程におけるインク組成物の最大付与量に基づいて設定されてもよい。かかる乾燥条件下で顔料を含むインク組成物中の水を除去することで、カックリングの発生が抑制され、密着性に優れた画像が得られる。
乾燥工程における乾燥量は、以下のようにして算出することができる。すなわち、
乾燥工程を設けずにインクの最大付与量で形成した画像に含まれる水分量Wと、所定の乾燥条件による乾燥工程を設けてインクの最大付与量で形成した画像に含まれる水分量Wとをそれぞれ測定する。次いで、WとWとの差の、Wに対する比率((W−W)/W×100[質量%])を求めることで、乾燥工程によって除去される水分量としての乾燥量(質量%)が算出される。
なお、画像に含まれる水分量は、カールフィッシャー法により測定される。本発明における水分量としては、カールフィッシャー水分計MKA−520(京都電子工業(株)製)を用い、通常の測定条件で測定した水分量を適用する。
乾燥工程で除去されるインク組成物中の水量(乾燥量)は、乾燥後の硬化効率が良好に保たれる点から、最大付与量を15ml/m以下として付与されたインク組成物の全水分量に対して、60〜80質量%が好ましく、65〜80質量%がより好ましく、70〜80質量%が更に好ましい。
また、乾燥は、インク組成物の液滴が記録媒体に着弾した時点から5秒以内に開始されることが好ましい。ここで、「着弾した時点から5秒以内」とは、インク滴の着弾時から5秒以内に、画像に送風されるか又は熱が与えられることを意味する。例えば、インク滴の着弾から5秒以内に乾燥領域内に記録媒体を搬送することで、着弾から5秒以内に乾燥が開始される。
インク滴の着弾から乾燥開始までの時間は、3秒以内がより好ましい。
乾燥は、ニクロム線ヒータ等の発熱体で加熱する加熱手段、ドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の画像形成面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の画像形成面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられる。加熱は、これらを複数組み合わせて行なってもよい。
−硬化工程−
本発明における硬化工程では、前記乾燥工程の後、形成された画像に対して活性エネルギー線を照射して硬化する。活性エネルギー線を照射することで、インク組成物中の重合性化合物が重合して、顔料を含む硬化膜を形成する。これにより、形成される画像の耐擦性がより向上する。
活性エネルギー線としては、前記重合性化合物を重合可能なものであれば、特に制限はない。例えば、紫外線、電子線等挙げることができ、中でも、汎用性の観点から、紫外線であることが好ましい。また、活性エネルギー線の発生源として、例えば、紫外線照射ランプ(ハロゲンランプ、高圧水銀灯など)、レーザー、LED、電子線照射装置などが挙げられる。
紫外線を照射する手段としては、通常用いられる手段を用いてもよく、特に紫外線照射ランプが好適である。紫外線照射ランプは、水銀の蒸気圧が点灯中で1〜10Paであるような、いわゆる低圧水銀灯、高圧水銀灯、蛍光体が塗布された水銀灯、UV-LED光源等が好適である。水銀灯、UV−LEDの紫外線領域の発光スペクトルは、450nm以下、特には184nm〜450nmの範囲であり、黒色或いは、着色されたインク組成物中の重合性化合物を効率的に反応させるのに適している。また、電源をプリンタに搭載する上でも、小型の電源を使用できる点で適している。水銀灯には、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンフラッシュランプ、ディープUVランプ、マイクロ波を用い外部から無電極で水銀灯を励起するランプ、UVレーザー等が実用されている。発光波長領域として上記範囲を含むので、電源サイズ、入力強度、ランプ形状等が許されれば、基本的には適用可能である。光源は、用いる重合開始剤の感度にも合わせて選択される。
本発明における活性エネルギー線の照度は、硬化に有効な波長領域において、1W/cm以上2W/cm以下とする。照度が1W/cmに満たず弱過ぎると、雲がかったような光沢ムラが解消されず、高い品位、堅牢性を有する画像が得られない。また、照度が2W/cmを超えて強くなり過ぎた場合にも、雲がかったような光沢ムラが発生しやすいばかりか、記録媒体へのダメージや色材の褪色の要因となる。
−処理液付与工程−
本発明の画像形成方法は、上記に加え、インク組成物と接触したときにインク中の成分を凝集させる凝集成分を含む処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程を有していることが好ましい。インク組成物中の成分を凝集させる処理液を付与することで、高濃度で精細な画像が得られやすく、したがって光沢ムラも現れやすいが、本発明においては処理液を用いた系でも光沢ムラが抑えられる。また、上記の乾燥効果をより良好に発揮させることができる。
記録媒体に付与された処理液は、インク組成物と接触して画像を形成する。この場合、インク組成物中の顔料及びポリマー粒子などの分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
処理液付与工程は、インク組成物を用いたインク付与工程の前又は後のいずれに設けてもよい。本発明においては、処理液付与工程で処理液を付与した後にインク付与工程を設けた態様が好ましい。具体的には、記録媒体上に予めインク組成物中の顔料及び/又はポリマー粒子を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化する態様が好ましい。これにより、乾燥効果がより向上し、画像形成が高速化し、高速に画像形成しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集成分の付与量が0.1g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集成分の付与量が0.2〜0.7g/mとなる量が好ましい。凝集成分は、付与量が0.1g/m以上であるとインク組成物の種々の使用形態に応じ良好な高速凝集性が保てる。また、凝集成分の付与量が0.7g/m以下であることは、付与した記録媒体の表面性に悪影響(光沢の変化等)を与えない点で好ましい。
また、本発明においては、処理液付与工程後にインク付与工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
(処理液)
本発明のインク組成物は、該インク組成物と接触したときにインク組成物中の成分を凝集させて凝集体を形成する凝集成分を含む処理液と合わせて、インクセットとして好適に用いられる。
本発明における処理液は、既述のインク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を少なくとも含み、好ましくは、更に重合開始剤を含む。また、処理液は、必要に応じて、更に、他の成分を用いて構成することができる。インク組成物の付与と共に処理液を用いて画像を形成することで、インクジェット記録を高速化することができ、また高速記録しても、濃度、解像度の高い描画性(例えば細線や微細部分の再現性)に優れた画像が得られる。
凝集成分としては、インク組成物のpHを変化させることができる化合物であっても、多価金属塩であっても、ポリアリルアミン類などの4級もしくは3級アミンを有するポリマーであってもよい。本発明においては、インク組成物の凝集性の観点から、インク組成物のpHを変化させることができる化合物、又は多価金属塩が好ましく、インク組成物のpHを低下させ得る化合物がより好ましい。
インク組成物のpHを低下させ得る化合物としては、酸性物質が挙げられる。酸性物質としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が好適に挙げられる。酸性物質は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
処理液が酸性物質を含む場合、処理液のpH(25℃)は6以下が好ましく、より好ましいpHは4以下であり、更に好ましいpHは1〜4の範囲であり、特に好ましいpHは1〜3である。このとき、インク組成物のpH(25℃)は、7.5以上(より好ましくは8.0以上)であることが好ましい。画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、インク組成物のpH(25℃)が8.0以上であって、処理液のpH(25℃)が0.5〜4である場合が好ましい。
中でも、本発明における凝集成分としては、水溶性の高い酸性物質が好ましく、凝集性を高め、インク全体を固定化させる点で、有機酸が好ましく、2価以上の有機酸がより好ましく、2価以上3価以下の酸性物質が特に好ましい。前記2価以上の有機酸としては、その第1pKaが3.5以下の有機酸が好ましく、より好ましくは3.0以下の有機酸である。具体的には、例えば、リン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸などが好適に挙げられる。
前記多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩を挙げることができる。これら金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。インク組成物を凝集させる凝集成分の処理液中における含有量としては、1〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜45質量%であり、更に好ましくは5〜40質量%の範囲である。
さらに、本発明における凝集成分は、用いられる凝集成分の能力に応じて適切な範囲で用いられることが好ましい。凝集成分の能力は、インクセットとして用いられるインク組成物中の凝集を起こす成分との反応性、インク組成物中の凝集を起こす成分の濃度、打滴されるインク組成物の打滴速度、インク組成物が打滴される記録媒体のインク吸収速度及び表面張力により影響を受ける。そのため、使用条件において吐出されたインク滴が着弾した際の拡がり率Sが2.0〜2.4の範囲になるように、凝集成分の含有量が調整されることが好ましい。
前述の因子により着弾時の拡がり率は影響されるので、拡がり率Sの調整手段は凝集成分の添加量のみに限られるものではないが、一般には使用条件において吐出されたインク組成物が着弾した際に、インク滴の拡がり率Sが2.0を下回る場合は凝集成分の添加量を減量し、拡がり率Sが2.4を上回る場合は凝集成分を増量することができる。
処理液には、前記インク組成物に含有すると共にあるいは含有せずに、活性エネルギー線によりインク組成物中の重合性化合物の重合を開始する重合開始剤の少なくとも1種を含有することができる。重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して、あるいは増感剤と共に使用することができる。
処理液に用いられる重合開始剤は、インク組成物と同様に、活性エネルギー線により重合性化合物の重合反応を開始し得る化合物から適宜選択することができる。重合開始剤の例としては、放射線もしくは光、又は電子線により活性種(ラジカル、酸、塩基など)を発生する重合開始剤(例えば光重合開始剤等)が挙げられる。光重合開始剤等の詳細については、前記インク組成物の項で説明した通りである。
本発明においては、重合開始剤はインク組成物及び処理液のいずれに又は両方に含有されてもよいが、重合反応性や硬化性の点、ひいては画像の密着性及び耐傷性の向上効果の観点からは、重合開始剤が少なくともインク組成物に含有された態様が好ましい。
また、処理液には、本発明の効果を損なわない範囲内で、更にその他の成分として他の添加剤が含有されてもよい。他の添加剤の例として、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
〜インクジェット記録装置〜
次に、本発明の画像形成方法の実施に好適なインクジェット記録装置の一例を図1を参照して具体的に説明する。図1は、インクジェット記録装置全体の構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置は、記録媒体の搬送方向(図中の矢印方向)に向かって順次、処理液を吐出する処理液吐出用ヘッド12Sを備えた処理液付与部12と、付与された処理液を乾燥させる加熱手段(不図示)を備えた処理液乾燥ゾーン13と、各種インク組成物を吐出するインク吐出部14と、吐出されたインク組成物を乾燥させるインク乾燥ゾーン15とが配設されている。また、記録媒体の搬送方向におけるインク乾燥ゾーン15の下流側には、紫外線照射ランプ16Sを備えた紫外線照射部16が配設されている。
このインクジェット記録装置に供給された記録媒体は、記録媒体が装填されたケースから記録媒体を給紙する給紙部から、搬送ローラによって、処理液付与部12、処理液乾燥ゾーン13、インク吐出部14、インク乾燥ゾーン15、紫外線照射部16と順に送られて集積部に集積される。搬送は、搬送ローラによる方法のほか、ドラム状部材を用いたドラム搬送方式やベルト搬送方式、ステージを用いたステージ搬送方式などを採用してもよい。
複数配置された搬送ローラのうち、少なくとも1つのローラはモータ(不図示)の動力が伝達された駆動ローラとすることができる。モータで回転する駆動ローラを定速回転することにより、記録媒体は所定の方向に所定の搬送量で搬送されるようになっている。
処理液付与部12には、処理液を貯留する貯留タンクに繋がる処理液吐出用ヘッド12Sが設けられている。処理液吐出用ヘッド12Sは、記録媒体の記録面と対向配置された吐出ノズルから処理液を吐出し、記録媒体の上に処理液を液滴付与できるようになっている。なお、処理液付与部12は、ノズル状のヘッドから吐出する方式に限らず、塗布ローラを用いた塗布方式を採用することもできる。この塗布方式は、下流側に配置されたインク吐出部14で記録媒体上にインク滴が着弾する画像領域を含むほぼ全面に処理液を容易に付与することができる。記録媒体上の処理液の厚みを一定にするために、例えば、エアナイフを用いたり、あるいは尖鋭な角を有する部材を、処理液の規定量に対応するギャップを記録媒体との間に設けて設置する等の方法を設けてもよい。
処理液付与部12の記録媒体搬送方向の下流側には、処理液乾燥ゾーン13が配置されている。処理液乾燥ゾーン13は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段を用いて構成することができる。加熱手段は、記録媒体の遮断層形成面と反対側(例えば、記録媒体を自動搬送する場合は記録媒体を載せて搬送する搬送機構の下方)にヒータ等の発熱体を設置する方法や、記録媒体の遮断層形成面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
また、記録媒体の種類(材質、厚み等)や環境温度等によって、記録媒体の表面温度は変化するため、記録媒体の表面温度を計測する計測部と該計測部で計測された記録媒体の表面温度の値を加熱制御部にフィードバックする制御機構を設けて温度制御しながら遮断層を形成することが好ましい。記録媒体の表面温度を計測する計測部としては、接触又は非接触の温度計が好ましい。
また、溶媒除去ローラ等を用いて溶媒除去を行なってもよい。他の態様として、エアナイフで余剰な溶媒を記録媒体から取り除く方式も用いられる。
インク吐出部14は、処理液乾燥ゾーン13の記録媒体搬送方向下流側に配置されている。インク吐出部14には、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各色インクを貯留するインク貯留部の各々と繋がる記録用ヘッド(インク吐出用ヘッド)30K、30C、30M、30Yが配置されている。不図示の各インク貯留部には、各色相に対応する顔料と樹脂粒子と水溶性有機溶剤と水とを含有するインク組成物が貯留されており、画像の記録に際して必要に応じて各インク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Yに供給されるようになっている。また、インク吐出用ヘッド30K、30C、30M、及び30Yの搬送方向下流側には、図1に示すように、必要に応じて特色インクを吐出可能なように、特色インク吐出用の記録ヘッド30A、30Bを更に配設することもできる。
インク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Yは、記録媒体の記録面と対向配置された吐出ノズルから、それぞれ画像に対応するインクを吐出する。これにより、記録媒体の記録面上に各色インクが付与され、カラー画像が記録される。
処理液吐出用ヘッド12S、並びにインク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Y、30A、及び30Bはいずれも、記録媒体上に記録される画像の最大記録幅(最大記録幅)にわたって多数の吐出口(ノズル)が配列されたフルラインヘッドとなっている。記録媒体の幅方向(記録媒体搬送面において搬送方向と直交する方向)に短尺のシャトルヘッドを往復走査しながら記録を行なうシリアル型のものに比べて、記録媒体に高速に画像記録を行なうことができる。本発明においては、シリアル型での記録、又は比較的高速記録が可能な方式、例えば1回の走査で1ラインを形成するシングルパスで主走査方向に吐出して記録できる方式での記録のいずれを採用してもよいが、本発明の画像記録方法によればシングルパスによる方式でも再現性の高い高品位の画像が得られる。
ここでは、処理液吐出用ヘッド12S、並びにインク吐出用ヘッド30K、30C、30M、30Y、30A、及び30Bは、全て同一構造になっている。
処理液の付与量とインク組成物の付与量とは、必要に応じて調節することが好ましい。例えば、記録媒体に応じて、処理液とインク組成物とが混合してできる凝集物の粘弾性等の物性を調節する等のために、処理液の付与量を変えてもよい。
インク乾燥ゾーン15は、インク吐出部14の記録媒体搬送方向下流側に配置されている。インク乾燥ゾーン15は、処理液乾燥ゾーン13と同様に構成することができる。
紫外線照射部16は、インク乾燥ゾーン15の記録媒体搬送方向のさらに下流側に配置されており、紫外線照射部16に設けられた紫外線照射ランプ16Sにより紫外線を照射し、画像乾燥後の画像中のモノマー成分を重合硬化させるようになっている。紫外線照射ランプ16Sは、記録媒体の記録面と対向配置されたランプにより記録面の全体を照射し、画像全体の硬化が行なえるようになっている。なお、紫外線照射部16は、紫外線照射ランプ16Sに限らず、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー、LED、電子線照射装置などを採用することもできる。紫外線照射部16は、インク乾燥ゾーン15の前後のいずれに設置されていてもよく、インク乾燥ゾーン15の前後両方に設置してもよい。
また、インクジェット記録装置には、給紙部から集積部までの搬送路に、記録媒体に加熱処理を施す加熱手段を配置することもできる。例えば、処理液乾燥ゾーン13の上流側や、インク吐出部14とインク乾燥ゾーン15との間、などの所望の位置に加熱手段を配置することで、記録媒体を所望の温度に昇温させることにより、乾燥、定着を効果的に行なうようにすることが可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
−シアン分散液の調製−
(ポリマー分散剤1溶液の調製)
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亞合成(株)製)4部、ブレンマーPP−500(日本油脂(株)製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、及びメチルエチルケトン24部を加え、混合溶液を調液した。一方、滴下ロートに、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6(東亞合成(株)製)9部、ブレンマーPP−500(日本油脂(株)製)9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を加え、混合溶液を調液した。
その後、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロートの混合液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後から2時間経過後これに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー分散剤1溶液を得た。
得られたポリマー分散剤1溶液の一部について、溶媒を除去することによって単離した。得られた固形分をテトラヒドロフラン溶液にて0.1質量%に希釈し、高速GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)HLC−8220GPC(東ソー(株)製)にて、TSLgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー(株)製)を3本直列につなぎ、重量平均分子量を測定した。測定された重量平均分子量は、ポリスチレン換算で25,000であった。また、JIS規格(JIS K0070:1992)に記載の方法により求めたポリマーの酸価は、80mgKOH/gであった。
(シアン分散液C1の調製)
次に、得られたポリマー分散剤1溶液を固形分換算で5.0g、シアン顔料(Pigment Blue 15:3、大日精化(株)製)10.0g、メチルエチルケトン40g、1mol/L(リットル;以下同様)の水酸化ナトリウム8.0g、及びイオン交換水82.0gを、1mmジルコニアビーズ300gと共にベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)で1000rpmで6時間分散した。得られた分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが充分に留去できるまで減圧濃縮し、さらに顔料濃度が10質量%になるまで濃縮して、樹脂被覆シアン顔料(水分散性シアン顔料)が分散したシアン分散液C1を調製した。シアン分散液C1中のポリマー分散剤の濃度は、5質量%である。
得られたシアン分散液C1の体積平均粒子径(2次粒子)を、Microtrac粒度分布装置(Version 10.1.2−211BH(商品名)、日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定したところ、77nmであった。
(シアン分散液C2の調製)
前記シアン分散液C1の調製において、ポリマー分散剤1溶液の添加量を固形分換算で3.0gに、1mol/Lの水酸化ナトリウムの添加量を4.8gに変更したこと以外は、シアン分散液C1と同様にして、シアン分散液C2を調製した。シアン分散液C2における顔料濃度は10質量%であり、ポリマー分散剤の濃度は3質量%である。
(シアン分散液C3の調製)
前記シアン分散液C1の調製において、ポリマー分散剤1溶液の添加量を固形分換算で8.0gに、メチルエチルケトンの添加量を64gに、イオン交換水の添加量を130gに、1mol/Lの水酸化ナトリウムの添加量を12.8gにそれぞれ変更したこと以外は、シアン分散液C1と同様にして、シアン分散液C3を調製した。シアン分散液C3における顔料濃度は10質量%であり、ポリマー分散剤の濃度は8質量%である。
(シアン分散液C4の調製)
前記シアン分散液C1の調製において、ポリマー分散剤1溶液の添加量を固形分換算で10.0gに、メチルエチルケトンの添加量を80gに、イオン交換水の添加量を164gに、1mol/Lの水酸化ナトリウムの添加量を16.0gにそれぞれ変更したこと以外は、シアン分散液C1と同様にして、シアン分散液C4を調製した。シアン分散液C4の顔料濃度は10質量%であり、ポリマー分散剤の濃度は10質量%である。
−自己分散性ポリマー微粒子の合成−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。その後、フラスコ内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルメタクリレート172.8g、ベンジルアクリレート115.2g、メチルメタクリレート54.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬工業(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、これに「V−601」0.72g及びメチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g及びイソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した。その後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続け、フェノキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸(=48/32/15/5[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の上記同様に測定した重量平均分子量(Mw)は、58,000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出)であり、酸価は38.9mgKOH/gであり、ガラス転移温度は72℃であった。
重量平均分子量は、高速迅速GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)HLC−8220にて、TSKgel SuperHZM−H、SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー(株)製)を3本直列につないで測定した。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)DSC6100(セイコーインスツル(株)製)にて測定した。
次に、得られた樹脂溶液668.3gを秤量し、これにイソプロパノール388.3g及び1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に、蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0質量%の自己分散性ポリマー微粒子B−1の水分散物を得た。
得られた水分散物における自己分散性ポリマー微粒子B−1の体積平均粒子径を、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定したところ、55nmであった。
(実施例1)
−インクC1の調製−
下記の組成になるように諸成分を混合し、シアンインクを調製した。調製後、得られたインクを5μmフィルターに通して粗大粒子を除去し、インクC1とした。
<組成>
・前記シアン分散液C1 ・・・25質量%
(顔料濃度:10質量%、ポリマー分散剤の濃度:5質量%)
・ヒドロキシエチルアクリルアミド ・・・10質量%
(HEAA;単官能アクリルアミド化合物)
・下記重合性化合物A−1(多価アクリルアミド化合物) ・・・10質量%
・サンニックスGP250 ・・・4質量%
(三洋化成工業(株)製;親水性有機溶剤)
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) ・・・1質量%
・イルガキュア2959 ・・・3質量%
(チバ・ジャパン(株)製;光重合開始剤)
・自己分散性ポリマー微粒子B−1 ・・・3.5質量%
(固形分濃度:28.0質量%)
・イオン交換水 ・・・43.5質量%
得られたインクC1は、重合性化合物A−1、水、及び樹脂被覆シアン顔料(水分散性シアン顔料)を含有し、ポリマー成分の含有濃度が2.23質量%であるインクジェット用シアンインクである。このインクは、粘度:5.2mPa・s、表面張力:36mN/m、pH:8.5であった。
−インクC2〜C16の調製−
前記インクC1の調製において、各成分を下記表1〜表2に示す組成になるように変更したこと以外は、前記インクC1と同様にして、インクC2〜C16を調製した。
なお、下記表1〜表2中に示す数値は、インク中の含有比率[質量%]を示す。
−処理液の調製−
以下のようにして、処理液1〜5を調製した。
(1)処理液1
下記組成中の諸成分を混合して、粘度:2.5mPa・s、表面張力:40mN/m、pH:1.0(25±1℃)の処理液1を調製した。
<処理液1の組成>
・マロン酸(和光純薬工業(株)製;凝集成分) ・・・25.0質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・20.0質量%
(和光純薬工業(株)製)
・エマルゲンP109(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤)・・・1.0質量%
・イオン交換水 ・・・54.0質量%
(2)処理液2
下記組成中の諸成分を混合して、粘度:2.3mPa・s、表面張力:41mN/m、pH:1.1(25±1℃)の処理液2を調製した。
<処理液2の組成>
・マロン酸(和光純薬工業(株)製;凝集成分) ・・・17.5質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・20.0質量%
(和光純薬工業(株)製)
・エマルゲンP109(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤)・・・1.0質量%
・イオン交換水 ・・・61.5質量%
(3)処理液3
下記組成中の諸成分を混合して、粘度:2.0mPa・s、表面張力:41.2mN/m、pH:1.1(25±1℃)の処理液3を調製した。
<処理液3の組成>
・マロン酸(和光純薬工業(株)製;凝集成分) ・・・15.0質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・20.0質量%
(和光純薬工業(株)製)
・エマルゲンP109(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤)・・・1.0質量%
・イオン交換水 ・・・64.0質量%
(4)処理液4
下記組成中の諸成分を混合して、粘度:1.9mPa・s、表面張力:40mN/m、pH:1.15(25±1℃)の処理液4を調製した。
<処理液4の組成>
・マロン酸(和光純薬工業(株)製;凝集成分) ・・・12.5質量%
・ジエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・20.0質量%
(和光純薬工業(株)製)
・エマルゲンP109(花王(株)製、ノニオン性界面活性剤)・・・1.0質量%
・イオン交換水 ・・・54.0質量%
(5)処理液5
下記組成中の諸成分を混合して、粘度:4.2mPa・s、表面張力:37mN/m、pH:6.5(25±1℃)の処理液5を調製した。
<処理液5の組成>
・硝酸マグネシウム・六水和物(凝集成分) ・・・25.0質量%
・イソブチルベンゾインエーテル ・・・10.0質量%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・10.0質量%
・グリセリン ・・・10.0質量%
・イオン交換水 ・・・45.0質量%
−画像記録−
まず、図1に示すように、記録媒体の搬送方向(図中の矢印方向)に向かって順次、処理液を吐出する処理液吐出用ヘッド12Sを備えた処理液付与部12と、付与された処理液を乾燥させる処理液乾燥ゾーン13と、各種インク組成物を吐出するインク吐出部14と、吐出されたインク組成物を乾燥させるインク乾燥ゾーン15と、紫外線(UV)を照射可能なUV照射ランプ16Sを備えたUV照射部16とが配設されたインクジェット装置を準備した。
処理液乾燥ゾーン13は、図示しないが、記録媒体の記録面側には乾燥風を送って乾燥を行なう送風器を備え、記録媒体の非記録面側には赤外線ヒータを備えており、処理液付与部で処理液の付与を開始した後900msecが経過するまでに、温度・風量を調節して処理液中の水の70質量%以上を蒸発(乾燥)できるように構成されている。また、インク吐出部14は、搬送方向(矢印方向)にブラックインク吐出用ヘッド30K、シアンインク吐出用ヘッド30C、マゼンタインク吐出用ヘッド30M、及びイエローインク吐出用ヘッド30Yが順次配置されており、各ヘッドは1200dpi/10inch幅フルラインヘッド(駆動周波数:25kHz、記録媒体の搬送速度:500mm/secであり、各色をシングルパスで主走査方向に吐出して記録できるようになっている。
図1に示すように構成されたインクジェット装置の処理液吐出用ヘッド12S、シアンインク吐出用ヘッド30Cにそれぞれ繋がる貯留タンク(不図示)に、上記で得た処理液1〜5、シアンインクC1〜C16を下記表3〜表4に示す組み合わせになるように、それぞれ装填し、記録媒体にベタ画像及び1200dpiのライン画像を記録した。記録媒体には、坪量104.7g/mのOKトップコート+(王子製紙(株)製)を使用した。
処理液の記録媒体への付与量は、1.5ml/mとした。
また、画像形成に際し、シアンインクは2つの吐出用ヘッドに繋がる貯留タンクに充填され、それぞれの吐出用ヘッドから解像度1200dpi×1200dpiで、最大打滴量(全ノズル吐出状態)のときの打滴量(インク滴量)を下記表3〜表4に示す値になるように調整した。
具体的には、下記表3〜表4に示す条件で画像形成を行なった。
まず、記録媒体上に処理液吐出用ヘッド12Sから処理液をシングルパスで吐出した後、処理液の乾燥は処理液乾燥ゾーン13で行ない、処理液乾燥ゾーンを処理液の吐出開始から900msec迄に通過するようにした。処理液乾燥ゾーン13では、着滴した処理液を着滴面の裏側(背面)から赤外線ヒータで膜面温度が40〜45℃となるように加熱しながら、送風器により記録面に120℃、5m/secの温風を5秒間あてて乾燥した。続いて、シアンインクを充填した吐出用ヘッド30Cにより下記表3〜表4の打滴量になるように、シアンインクをシングルパスで吐出して画像を記録した。このとき、表3〜表4に示す拡がり率になるようにインク滴の着弾時の液滴速度を調節した。その後、インク乾燥ゾーン15で前記同様にインク着滴面の裏側(背面)から赤外線ヒータで加熱しながら、送風器により120℃の温風を、風量を変えて乾燥させた。シアンインクが記録媒体に着弾した時点からインク乾燥ゾーンに搬送され乾燥が開始されるまでの時間は、1secである。画像乾燥後、UV照射部16において、UV光(アイグラフィックス(株)製のメタルハライドランプ、最大照射波長:365nm)を、照射面に対して照度2W/cm、積算照射量2J/cmになるように照射し、画像を硬化した。
−測定・評価−
前記画像形成により得られた画像について、下記の測定、並びに面粗れ、耐スジ性、及び耐傷性の評価を行なった。
(1)記録媒体の水の転移量の測定
記録媒体の純水の転移量を、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工(株)製)を用いて23℃、50%RHの環境条件下で測定した。ここで、OKトップコート+(王子製紙(株)製、104.7g/m)の接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれ3.0、3.4であった。
(2)面粗れ
A4サイズの記録媒体に、10cm×10cmの打滴duty60%、70%、80%、100%のディザハーフトーン画像を配置して2枚出力し、25℃、50%RHの環境条件下で10分間放置した後、その画像の均一性を下記の評価基準にしたがって採点し、平均点をとって評価した。平均点が3.5以上であれば、出力パターンによる修正が可能なレベルであり、実使用上支障のないレベルである。評価の結果は、下記表3〜表4に示す。
<評価基準>
5:全てのdutyの画像において均一な画像が得られた。
4:全てのdutyの画像においてほぼ均質だが、微小な濃度ムラが特定duty画像に存在した。
3:特定のduty画像に全領域濃度ムラが生じたが、他のduty画像ではほぼ均一な画像が得られた。
2:60%duty以上の画像に、全領域濃度ムラが生じた。
1:全てのdutyの画像に全領域濃度ムラが生じた。
(3)耐スジ性
正常な打滴が行なわれるようにノズル面を充分に洗浄した後、シアン濃度0.7(ANSI−T)になるように調整したディザハーフトーンパターン10cm×70cmの画像を、10cmおきに繰り返して形成する操作を1500回繰り返す出力をして、それぞれの画像中における「白スジ」の発生頻度を観察した。この出力を10回繰り返し行なって「白スジ」の発生頻度の平均値を下記の評価基準にしたがって評価した。評価の結果は、下記表3〜表4に示す。下記評価基準のうち、「4」以上が許容範囲である。
<評価基準>
5:全ての画像が均一に出力された。
4:1500の画像のうち、白スジ状の画像故障が発生した画像の発生頻度は5%以内であった。
3:1500の画像のうち30%以上80%未満の画像において、白スジ状の画像故障が発生した。
2:1500の画像のうち80%以上95%未満の画像において、白スジ状の画像故障が発生した。
1:1500の画像のうち95%以上に白スジ状の画像故障が発生した。
(4)耐傷性
全面にベタ画像が形成されたA5サイズのサンプルを25℃、50%RHの環境条件下で1時間放置し、放置後のサンプルのベタ画像の表面を、HEIDON表面性試験機(新東科学(株)製)で0.1mmのステンレス製引っ掻き針を使用して、0〜200gfまで荷重を変化させながら引っ掻いた。画像表面に傷が発生した荷重を下記基準にしたがって評価した。評価結果は下記表3〜表4に示す。下記評価基準のうち、「3」以上が許容範囲である。
<評価基準>
5:200gfでも傷は認められない。
4:100gf以上200gf未満で傷が発生した。
3:30gf以上100gf未満で傷が発生した。
2:30gf未満で傷が発生した。
1:30gf未満で傷が発生し、大部分の画像が脱落した。
前記表3〜表4に示すように、本発明では、比較の系に比べて、面粗れを抑制しつつも、スジ故障の発生が防止されており、画像の耐傷性も良好であった。
構造式(1)で表される重合性化合物を含まず単環能のモノマーのみを用いたインクC16では、拡がり率が大きくなり、面粗れ及びスジ故障の点でも劣っていた。
(実施例2)
実施例1において、インク打滴量及び拡がり率Sの吐出制御パターンを変更することにより下記表5に示すように調整し、実施例1と同様にして、面粗れ、耐スジ性、耐傷性の評価を行なった。評価結果は、下記表5に示す。

12・・・処理液付与部
12S・・・処理液吐出用ヘッド
13・・・処理液乾燥ゾーン
14・・・インク吐出部
15・・・インク乾燥ゾーン
16・・・紫外線照射部
16S・・・紫外線照射ランプ
30K、30C、30M、30Y・・・インク吐出用ヘッド

Claims (7)

  1. セルロースパルプを主成分とした支持体の少なくとも一方の面に顔料層を有する記録媒体上に、顔料、水、及び下記構造式(1)で表される水溶性の重合性化合物を含むインク組成物を、記録媒体上に着弾したときの下記式1で表される拡がり率Sを2.0〜2.4の範囲とし、同一色相のインク組成物の打滴量を4.5〜6.7g/mの範囲としてインクジェット法により付与することで、画像を形成するインク付与工程と、
    前記インク付与工程の前に、前記インク組成物中の成分を凝集させる凝集成分を含む処理液を前記記録媒体に付与する処理液付与工程と、
    少なくとも前記画像を乾燥させる乾燥工程と、
    乾燥工程を経た前記画像に活性エネルギー線を照射し、記録媒体上の前記画像を硬化させる硬化工程と、
    を有する画像形成方法。


    〔構造式(1)中、Qは、n価の連結基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Aは、酸素原子又はNHを表す。nは、2以上の整数を表す。〕


    〔式1中、φ1は吐出されたインク滴の記録媒体に着弾する前の1滴当りの直径[μm]を示し、φ2は記録媒体上に着弾した時点の1滴当りのインク滴の直径[μm]を示す。〕
  2. 前記インク組成物中におけるポリマー成分の含有量が、インク組成物全量に対して1質量%〜3質量%である請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記インク組成物中の前記顔料は、その表面の少なくとも一部がポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料である請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記凝集成分が、酸、及び多価金属塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5. 前記インク組成物中の前記顔料は、その表面の少なくとも一部がカルボキシル基を有するポリマー分散剤で被覆された水分散性顔料である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  6. 前記記録媒体は、セルロースパルプを主成分とした支持体上の少なくとも一方の面に一層もしくは多層の顔料層を有し、動的走査吸液計で測定した純水の転移量が、接触時間100msにおいて1ml/m以上15ml/m以下であって、かつ接触時間400msにおいて2ml/m以上20ml/m以下である塗工紙である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  7. 前記インク付与工程におけるインク組成物の着滴時点から5秒以内に前記乾燥工程での乾燥を開始する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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