図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像記録装置1の構成を示す図である。画像記録装置1は、記録媒体9上にインクの微小液滴を吐出することにより、記録媒体9上にカラー画像を記録する印刷装置である。換言すれば、画像記録装置1は、インクジェット方式にてカラー画像を記録するインクジェットプリンタである。記録媒体9は、例えば、長尺状のフィルムや印刷用紙である。
図1では、互いに垂直な2つの水平方向をX方向およびY方向として示し、X方向およびY方向に垂直な上下方向をZ方向として示している。図1中のX方向およびY方向は必ずしも水平方向である必要はなく、同様に、Z方向も必ずしも上下方向である必要はない。すなわち、図1中の上側および下側は、必ずしも、重力方向の上側および下側に一致する必要はない。
画像記録装置1は、移動機構2と、記録ユニット3と、アンカーコートユニット5と、制御ユニットとを備える。図1では、制御ユニットの図示を省略する。移動機構2は、シート状の記録媒体9を移動する。記録ユニット3は、移動機構2による移動途上の記録媒体9の上面91(すなわち、記録面)に向けて光硬化型のインクの微小液滴を吐出する。画像記録装置1では、例えば、紫外線硬化型のインクが使用される。アンカーコートユニット5は、記録媒体9の上面91に対し、前処理であるアンカーコートを行う。制御ユニットは、移動機構2、記録ユニット3およびアンカーコートユニット5等を制御する。
移動機構2は、それぞれが図1中のX方向に長い複数のローラ21を有する。最も(−Y)側に配置されたローラ21の近傍には、ロール状の記録媒体9(供給ロール)を保持する供給部61が設けられる。最も(+Y)側に配置されたローラ21の近傍には、ロール状の記録媒体9(巻取ロール)を保持する巻取部62が設けられる。画像記録装置1では、移動機構2の複数のローラ21の一部が、X方向に平行な軸を中心として一定の回転速度にて回転することにより、供給部61から巻取部62に至る所定の移動経路に沿って記録媒体9が一定速度にて移動する。
記録媒体9の移動経路において記録ユニット3のヘッドユニット31と上下方向に対向する位置には、基材案内部64が設けられる。基材案内部64は、曲面641(以下、「案内面641」という。)を上面として有する。案内面641は、X方向に平行な仮想軸を中心とする円筒面の一部である。当該仮想軸は、ヘッドユニット31の真下((−Z)側)に配置される。ヘッドユニット31の下方において、滑らかな案内面641に沿って記録媒体9が移動する。このように、記録ユニット3に対向する位置において、記録媒体9の移動経路がヘッドユニット31に向かって凸となるように湾曲し、記録媒体9が案内面641に沿って伸ばされる。ヘッドユニット31に対向する位置では、記録媒体9は、案内面641に沿っておよそ(+Y)方向に向かう所定の移動方向に、記録ユニット3に対して相対的に移動する。
記録媒体9の移動経路において供給部61と基材案内部64との間には、記録媒体9の蛇行を補正する蛇行補正部63が設けられる。上述のアンカーコートユニット5は、記録媒体9の移動経路において蛇行補正部63と基材案内部64との間に配置される。また、アンカーコートユニット5は、記録ユニット3よりも記録媒体9の移動方向後側、すなわち、記録媒体9の移動の上流側に配置される。
アンカーコートユニット5は、コート剤付与部51と、コート剤定着部52と、対向ローラ53とを備える。コート剤付与部51およびコート剤定着部52は、記録媒体9の上面91に対向する。コート剤付与部51は、コート剤定着部52よりも記録媒体9の移動方向後側に配置される。対向ローラ53は、記録媒体9を挟んでコート剤付与部51に対向する。コート剤付与部51、コート剤定着部52および対向ローラ53は、記録媒体9のX方向(すなわち、上記移動方向に垂直な幅方向)の全幅に亘って設けられる。
コート剤付与部51は、記録媒体9の上面91にアンカーコート剤を付与する。図1に示す例では、コート剤付与部51は、記録媒体9の上面91にアンカーコート剤を塗布するローラ状のコータである。アンカーコート剤は、例えば、記録ユニット3から吐出されるインクの記録媒体9上における拡がりを抑制する。アンカーコート剤としては、例えば、紫外線硬化型のホワイトのインクが利用される。なお、コート剤付与部51は、例えば、記録媒体9の上面91にアンカーコート剤をスプレー状に吐出するコート剤吐出部であってもよい。
コート剤定着部52は、記録媒体9の上面91に付与されたアンカーコート剤を定着させる。アンカーコート剤が光硬化型である場合、コート剤定着部52から記録媒体9上のアンカーコート剤に向けて光が照射され、アンカーコート剤が記録媒体9上に定着する。また、アンカーコート剤が酸化重合型である場合、コート剤定着部52により記録媒体9上のアンカーコート剤が加熱され、アンカーコート剤が記録媒体9上に定着する。
記録ユニット3は、上述のヘッドユニット31と、定着ヘッド35とを備える。ヘッドユニット31は、アンカーコートユニット5よりも記録媒体9の移動方向前側、すなわち、記録媒体9の移動の下流側に配置される。定着ヘッド35は、ヘッドユニット31よりも記録媒体9の移動方向前側に配置される。また、定着ヘッド35は、記録媒体9の移動経路においてヘッドユニット31と巻取部62との間に配置される。ヘッドユニット31および定着ヘッド35は、記録媒体9の幅方向の全幅に亘って設けられる。
図2は、ヘッドユニット31を拡大して示す正面図である。図2に示すように、ヘッドユニット31は、複数の吐出ヘッド32と、複数の仮定着ヘッド33と、ベース34とを備える。複数の吐出ヘッド32および複数の仮定着ヘッド33は、ベース34に取り付けられる。複数の吐出ヘッド32および複数の仮定着ヘッド33はそれぞれ、記録媒体9の幅方向の全幅に亘って設けられる。
各吐出ヘッド32は、X方向に配列される複数の吐出口を(−Z)側の底面に有する。複数の吐出口は、記録媒体9の幅方向の全幅に亘って配置される。なお、複数の吐出口は、必ずしもX方向に配列される必要はなく、記録媒体9の移動方向に対して交差する方向に配列されていればよい。複数の吐出ヘッド32は、アンカーコートユニット5により予めアンカーコート剤が塗布された記録媒体9に向けて、複数の色成分の光硬化型のインクの微小液滴を複数の吐出口からそれぞれ吐出する。
各吐出ヘッド32の各吐出口から吐出されるインクの微小液滴のサイズは切替可能である。すなわち、各吐出ヘッド32では、各吐出口から異なる量のインクの微小液滴が吐出可能である。インクの微小液滴のサイズが切り替えられ、当該微小液滴が記録媒体9上に着弾することにより、記録媒体9上に形成されるドットのサイズも切り替えられる。図1に示す画像記録装置1では、各吐出ヘッド32から吐出されるインクの微小液滴のサイズが、「大サイズ」、大サイズよりも小さい「中サイズ」、および、中サイズよりも小さい「小サイズ」の3種類の間で切り替えられる。これにより、記録媒体9上に形成されるインクのドットサイズは、「大サイズ」、「中サイズ」、「小サイズ」、および、ドットが存在しないことを示す「ゼロサイズ」の間で切り換えられる。以下の説明では、大サイズ、中サイズおよび小サイズのドットをそれぞれ、「大ドット」、「中ドット」および「小ドット」とも呼ぶ。例えば、大サイズの液滴のインク量は9pl(ピコリットル)であり、中サイズの液滴のインク量は6plであり、小サイズの液滴のインク量は3plである。
複数の仮定着ヘッド33は、複数の吐出ヘッド32により記録媒体9に付与されたインクに向けて光(例えば、紫外線)を照射する。記録媒体9が各仮定着ヘッド33の下方を通過する際に、各仮定着ヘッド33から記録媒体9の各位置に照射される光のエネルギーの積算値は、記録媒体9上のインクを十分に硬化させるために必要なエネルギーに比べて小さい。これにより、記録媒体9上のインクが仮硬化(すなわち、プリキュア)し、記録媒体9上に仮定着する。インクの仮定着とは、インクのドットが記録媒体9に十分には定着していないが、当該インクのドットが周囲に拡がることが抑制または防止される程度には記録媒体9に定着している状態である。
図2に示す例では、4つの吐出ヘッド32と、4つの仮定着ヘッド33とが、ベース34に取り付けられる。4つの吐出ヘッド32と、4つの仮定着ヘッド33とは、およそY方向に沿って(正確には、上述の移動方向に沿って)、交互に配列される。各吐出ヘッド421の上記移動方向前側には、1つの仮定着ヘッド33が隣接して配置される。4つの吐出ヘッド32は、(−Y)側から順に、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色のインクを吐出する。
画像記録装置1では、マゼンタのインク濃度が、他の色成分のインク濃度よりも低い。換言すれば、マゼンタのインクにおける顔料等の着色材料の含有率が、他の色成分のインクにおける着色材料の含有率よりも低い。このため、後述する画像の記録において、マゼンタの発色が他の色よりも低下する可能性がある。そこで、画像記録装置1では、マゼンタの発色を良くして他の色の発色と同程度とする補正が後述のように行われる。すなわち、マゼンタは、当該補正の対象となる対象色成分である。
4つの仮定着ヘッド33のうち最も(−Y)側の仮定着ヘッド33は、ブラックのインクを吐出する吐出ヘッド32とシアンのインクを吐出する吐出ヘッド32との間に配置され、最も(−Y)側の吐出ヘッド32から吐出されたブラックのインクを記録媒体9上に仮定着させる。(−Y)側から2番目の仮定着ヘッド33は、シアンのインクを吐出する吐出ヘッド32とマゼンタのインクを吐出する吐出ヘッド32との間に配置され、(−Y)側から2番目の吐出ヘッド32から吐出されたシアンのインクを記録媒体9上に仮定着させる。
(−Y)側から3番目の仮定着ヘッド33は、マゼンタのインクを吐出する吐出ヘッド32とイエローのインクを吐出する吐出ヘッド32との間に配置され、(−Y)側から3番目の吐出ヘッド32から吐出されたマゼンタのインクを記録媒体9上に仮定着させる。すなわち、4つの仮定着ヘッド33のうち(−Y)側の3つの仮定着ヘッド33はそれぞれ、記録媒体9の移動経路において複数の吐出ヘッド32の間に配置される。最も(+Y)側の仮定着ヘッド33は、イエローのインクを吐出する吐出ヘッド32よりも、記録媒体9の移動方向前側に配置され、最も(+Y)側の吐出ヘッド32から吐出されたイエローのインクを記録媒体9上に仮定着させる。
ヘッドユニット31では、各仮定着ヘッド33からの出力が、各仮定着ヘッド33の上記移動方向後側(すなわち、(−Y)側)に隣接する吐出ヘッド32から吐出されるインクの定着特性に合わせて決定される。具体的には、各仮定着ヘッド33から出射される光の波長が、各仮定着ヘッド33の移動方向後側に隣接する吐出ヘッド32から吐出されるインクの硬化に適した波長とされる。したがって、複数の吐出ヘッド32から吐出される複数の色成分のインクの硬化に適した波長が互いに異なる場合、複数の仮定着ヘッド33から出射される光の波長も互いに異なる。
定着ヘッド35は、上述のように、ヘッドユニット31よりも上記移動方向前側に配置される。換言すれば、定着ヘッド35は、複数の吐出ヘッド32のうち記録媒体9に最後に付与される色成分のインクを吐出する吐出ヘッド32、すなわち、イエローのインクを吐出する最も(+Y)側の吐出ヘッド32よりも、記録媒体9の移動方向前側に配置される。また、定着ヘッド35は、複数の仮定着ヘッド33のうち、上述の最も(+Y)側の吐出ヘッド32の移動方向前側に隣接する最も(+Y)側の仮定着ヘッド33よりも、記録媒体9の移動方向前側に配置される。
定着ヘッド35は、複数の吐出ヘッド32により記録媒体9に付与された複数の色成分のインクに向けて光(例えば、紫外線)を照射する。定着ヘッド35から記録媒体9に照射される光のエネルギーは、例えば、各仮定着ヘッド33から記録媒体9に照射される光のエネルギーよりも少し大きい。定着ヘッド35から記録媒体9に照射される光のエネルギーは、例えば、各仮定着ヘッド33から記録媒体9に照射される光のエネルギーとおよそ等しくてもよい。
定着ヘッド35から記録媒体9に向けて光が照射されることにより、記録媒体9の各位置に各仮定着ヘッド33および定着ヘッド35から照射された光のエネルギーの積算値が、各色成分のインクの硬化に必要なエネルギー以上となる。これにより、記録媒体9に付与された複数の色成分のインクが硬化し、記録媒体9上に定着する。
画像記録装置1では、制御ユニット4の出力制御部41(図3参照)により記録ユニット3と移動機構2とが制御されることにより、供給部61から記録媒体9の連続する部位が順次引き出され、各部位(以下、「対象部位」という。)が、蛇行補正部63を経由して基材案内部64へと到達する。対象部位は、基材案内部64において案内面641に接触しつつ移動方向に沿って移動し、基材案内部64に対向するヘッドユニット31の下方、および、定着ヘッド35を通過する。これにより、対象部位に対して画像が記録される。
具体的には、最も(−Y)側の吐出ヘッド32により記録媒体9上にブラックの画像が記録され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33からの光により記録媒体9に仮定着する。続いて、(−Y)側から2番目の吐出ヘッド32により記録媒体9上にシアンの画像が記録され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33からの光により記録媒体9に仮定着する。次に、(−Y)側から3番目の吐出ヘッド32により記録媒体9上にマゼンタの画像が記録され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33からの光により記録媒体9に仮定着する。さらに、最も(+Y)側の吐出ヘッド32により記録媒体9上にイエローの画像が記録され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33からの光により記録媒体9に仮定着する。その後、定着ヘッド35からの光により、各色成分の画像の記録媒体9への定着、すなわち、各色成分のインクの硬化が行われる。そして、巻取部62にて対象部位が巻き取られ、対象部位に対する画像形成が完了する。
このように、画像記録装置1では、出力制御部41により移動機構2と記録ユニット3とが制御されることにより、記録媒体9を記録ユニット3に対して上記移動方向に1回だけ相対的に移動させて記録媒体9に画像が記録される。換言すれば、画像記録装置1では、記録媒体9に対するシングルパス印刷が行われる。これにより、短時間にて画像形成を行うことができる。ここで、ブラックを第1の色、シアンを第2の色、マゼンタを第3の色、イエローを第4の色と呼ぶと、記録ユニット3の4つの吐出ヘッド32は、(−Y)側から順に、第1の色のドットを記録する第1吐出部、第2の色のドットを記録する第2吐出部、第3の色のドットを記録する第3吐出部、および、第4の色のドットを記録する第4吐出部である。
制御ユニット4は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶するROM、および、各種情報を記憶するRAMをバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。図3は、制御ユニット4の機能を示すブロック図である。図3では、制御ユニット4に接続される画像記録装置1の構成の一部を併せて示す。制御ユニット4は、上述の出力制御部41と、各種演算を行う演算部42とを備える。
演算部42は、複数の色成分の画像を含む多階調のカラー画像に対して、記録ユニット3から記録媒体9に付与されるインクの総量を抑制する画像処理(以下、「インク抑制処理」という。)を行って、色成分毎のハーフトーン画像データを含む処理済みデータを生成する画像処理部である。記録媒体9への画像記録の際の出力制御部41による上述の制御は、当該処理済みデータに基づいて行われる。
演算部42は、画像メモリ421と、複数のマトリクス記憶部422(SPM(Screen Pattern Memory)とも呼ばれる。)と、画像データ生成部423(ハーフトーン化回路)と、色成分画像生成部424とを備える。色成分画像生成部424は、外部から入力される多階調のカラー画像にグレイ置換(GCR:Gray Component Replacement)を行いつつ分版処理を施す。グレイ置換とは、上記複数の色成分にブラックが含まれる場合に行われる処理であり、カラー画像においてシアン、マゼンタおよびイエロー等のドットを重ねて表現されるグレイの部分を、ブラックのインクの濃淡で表現する処理である。換言すれば、グレイ置換とは、カラー画像のグレイ領域を、上記複数の色成分のインクによる表現からブラックのインクの濃淡による表現に変更する処理である。これにより、グレイの部分に付与されるシアン、マゼンタおよびイエローのインク量を低減することができる。画像記録装置1では、当該グレイ置換が、画像処理部である演算部42によるカラー画像への上記インク抑制処理に含まれる。
色成分画像生成部424では、当該カラー画像の複数の色成分のうち、第1の色成分であるブラックの階調画像、第2の色成分であるシアンの階調画像、第3の色成分であるマゼンタの階調画像、および、第4の色成分であるイエローの階調画像が生成される。以下の説明では、色成分画像生成部424により生成されるブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの階調画像をそれぞれ、「第1色成分画像」、「第2色成分画像」、「第3色成分画像」および「第4色成分画像」と呼ぶ。また、第1ないし第4色成分画像をまとめて「色成分画像」と呼ぶ。
第1ないし第4色成分画像のデータ(以下、まとめて「色成分画像データ」ともいう。)は、画像メモリ421に記憶される。複数のマトリクス記憶部422は、第1ないし第4の色成分に対応する閾値マトリクスがそれぞれ記憶されるメモリである。
各マトリクス記憶部422には、大ドット用の閾値マトリクスである大ドット用マトリクス811と、中ドット用の閾値マトリクスである中ドット用マトリクス812と、小ドット用の閾値マトリクスである小ドット用マトリクス813とが記憶される。大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813はそれぞれ、不規則に配置されるドットの個数を変更することにより階調を表現するFM(Frequency Modulated)スクリーニングに用いられる閾値マトリクスである。
図3では1つのマトリクス記憶部422に記憶される大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813を図示しているが、他の色成分のマトリクス記憶部422にもそれぞれ、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813が記憶される。以下の説明では、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813の3つの閾値マトリクスをまとめて「マトリクスセット」とも呼ぶ。当該3つの閾値マトリクスの同じ位置では、大ドット用マトリクス811の閾値が最も大きく、小ドット用マトリクス813の閾値が最も小さい。また、中ドット用マトリクス812の閾値は、大ドット用マトリクス811および小ドット用マトリクス813の両閾値の間の値である。
図4は、マトリクスセットの特性を示す図である。図4では、一様な階調値の画像を画像記録装置1にて記録する場合の各色成分のインクの吐出率を縦軸に示しており、横軸は各色成分の画像の階調値を示している。上述の吐出率とは、記録媒体9上の単位領域においてインクのドットが付与可能な位置として定義されている記録位置の個数を基準個数として、単位領域に対して一の吐出ヘッド32から実際に吐出されて付与されるドットの個数の基準個数に対する割合を示す値である。
図4では、大サイズのインクの微小液滴の吐出率を符号A1を付す実線にて示す。以下の説明では、大サイズ、中サイズおよび小サイズのインクの微小液滴の吐出率をそれぞれ「大ドットの吐出率」、「中ドットの吐出率」および「小ドットの吐出率」という。図4では、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和を、符号A2を付す一点鎖線にて示し、全サイズのインクの微小液滴の吐出率である合計吐出率を符号A3を付す破線にて示す。
大ドット用マトリクス811の閾値の範囲は128〜254であり、中ドット用マトリクス812の閾値の範囲は64〜191であり、小ドット用マトリクス813の閾値の範囲は0〜127である。既述のように、マトリクスセットの3つの閾値マトリクスにおいて互いに対応する位置では、小ドット用マトリクス813の閾値よりも中ドット用マトリクス812の閾値の方が大きく、中ドット用マトリクス812の閾値よりも大ドット用マトリクス811の閾値の方が大きい。そして、1つの位置に大ドットが形成されると、小ドットおよび中ドットは入力画素値が閾値を上回っても描画されず、1つの位置に中ドットが形成されると、小ドットは入力画素値が閾値を上回っても描画されない。
図4に示すように、画像の階調値が0から64まで増加するに従って、小ドットのみによる吐出率が、破線A3にて示すように0%から50%まで線形に増加する。階調値が64から128まで増加する際には、合計吐出率は、破線A3にて示すように50%から100%まで線形に増加し、中ドットの吐出率は一点鎖線A2にて示すように0%から50%まで線形に増加する。破線A3と一点鎖線A2との差は、小ドットの吐出率に相当し、小ドットの吐出率は、階調値の増加にかかわらず一定である。
階調値が128から192まで増加する際には、合計吐出率は、破線A3にて示すように100%のままであり、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和は、一点鎖線A2にて示すように50%から100%まで線形に増加し、大ドットの吐出率は、実線A1にて示すように0%から50%まで線形に増加する。破線A3と一点鎖線A2との差は、小ドットの吐出率に相当し、小ドットの吐出率は、階調値の増加に従って減少する。一点鎖線A2と実線A1との差は、中ドットの吐出率に相当し、中ドットの吐出率は、階調値の増加にかかわらず一定である。
階調値が192から255まで増加する際には、合計吐出率は100%のままであり、大ドットの吐出率と中ドットの吐出率との和も、一点鎖線A2にて示すように100%のままである。また、大ドットの吐出率は、実線A1にて示すように50%から100%まで線形に増加する。一点鎖線A2と実線A1との差は、中ドットの吐出率に相当し、中ドットの吐出率は、階調値の増加に従って減少する。小ドットの吐出率は0%であり、小サイズのインクの微小液滴は吐出されない。
マトリクスセットの各ドットサイズに対応する閾値マトリクスが生成される際には、例えば、特開2008−199154号公報に開示された方法にて元となる閾値マトリクスが作成され、閾値の範囲を必要に応じて狭めるとともに最小閾値がそのサイズのドットの出現階調値に合うように各閾値にオフセット値が加えられる。
図3に示す画像データ生成部423は、色成分画像データと閾値マトリクスとを色成分毎に比較してハーフトーン画像データを生成する比較部である。画像データ生成部423は、第1色成分画像と第1の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第1ハーフトーン画像データ生成部425、第2色成分画像と第2の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第2ハーフトーン画像データ生成部426、第3色成分画像と第3の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第3ハーフトーン画像データ生成部427、および、第4色成分画像と第4の色成分に対応する閾値マトリクスとを比較する第4ハーフトーン画像データ生成部428を備える。なお、画像データ生成部423はソフトウェアにて実現されてもよい。
出力制御部41は、記録制御部411と、移動制御部412とを備える。移動制御部412は、画像データ生成部423からの出力に基づいて、移動機構2による記録媒体9の記録ユニット3に対する相対移動を制御する。記録制御部411は、画像データ生成部423からの出力に基づいて、記録媒体9の相対移動に同期して各吐出ヘッド32の複数の吐出口からのインクの吐出と、各仮定着ヘッド33および定着ヘッド35からの光の照射とを制御する。
次に、画像記録装置1が画像を記録する動作について、図5.Aおよび図5.Bを参照しつつ説明する。画像記録装置1では、第1ないし第4色成分画像の網掛け処理に利用される4つのマトリクスセットが、図3に示す演算部42の4つのマトリクス記憶部422にそれぞれ記憶される。また、外部のコンピュータから多階調のカラー画像のデータが色成分画像生成部424に入力される。当該カラー画像の各色成分の階調値(すなわち、各色成分画像の各画素が取り得る画素値)は、0から255である。階調値0は、画像濃度0%に対応し、インクのドットが形成されないことにより表現される。階調値255は、画像濃度100%(ベタ)に対応し、インクの大ドットにて表現される。すなわち、画像記録装置1では、画像濃度100%に対応する各色成分のインクの液滴の量は、9plである。
以下、カラー画像が第1の色相のチント画像である場合と、カラー画像が第2の色相のチント画像である場合とについて順に説明する。第1の色相は青紫色である。第2の色相は赤紫色である。L*a*b*表色系にて表現すると、第1の色相の色度は「a*>0」かつ「−100≦b*≦−50」の範囲に含まれ、第2の色相の色度は「a*>0」かつ「−50<b*<0」の範囲に含まれる。L*a*b*表色系の色度「a*」に関しては、プラス方向が赤方向を表し、マイナス方向は緑方向を表す。また、色度「b*」に関しては、プラス方向が黄方向を表し、マイナス方向は青方向を表す。また、a*およびb*の範囲はそれぞれ、−100以上100以下である。
第1の色相の上記カラー画像を記録する際には、まず、色成分画像生成部424により、第1の色相のカラー画像にグレイ置換を行いつつ分版処理が施される。これにより、階調値153(画像濃度60%)のブラックの階調画像、階調値255(画像濃度100%)のシアンの階調画像、階調値128(画像濃度50%)のマゼンタの階調画像、および、階調値0(画像濃度0%)のイエローの階調画像が生成される(ステップS11)。第1の色相は、青方向の色味が赤方向の色味に比べて強い色相である。色成分画像生成部424により生成された各色成分画像は、画像メモリ421に格納される。
続いて、第1ハーフトーン画像データ生成部425において、第1色成分画像であるブラックの階調画像の各画素の画素値(本実施の形態では、153)と、ブラックに対応するマトリクスセットの閾値とが比較される。これにより、ブラックの階調画像に網掛け処理が行われ(すなわち、ブラックの階調画像がハーフトーン化され)、ブラックの画像の記録に用いられる第1ハーフトーン画像データが生成される(ステップS12)。
ここで、階調画像のハーフトーン化(網点化)について説明する。図6は、階調画像および閾値マトリクスを抽象的に示す図である。図6ではマトリクスセットの1つの閾値マトリクスを符号81にて示している。閾値マトリクス81では、記録媒体9の幅方向に対応する行方向(図6中にてx方向として示す。)、および、移動方向に対応する列方向(図6中にてy方向として示す。)に複数の要素が配列されており、階調画像70においても行方向および列方向に複数の画素が配列されている。
階調画像70のハーフトーン化の際には、階調画像70を、図6に示すように、同一の大きさの多数の領域に分割してハーフトーン化の単位となる繰り返し領域71が設定される。図3に示すマトリクス記憶部422は1つの繰り返し領域71に相当する記憶領域を有し、この記憶領域の各アドレス(座標)に閾値が設定されることにより閾値マトリクス81を記憶している。そして、概念的には階調画像70の各繰り返し領域71と閾値マトリクス81とを重ね合わせ、繰り返し領域71の各画素の画素値と閾値マトリクス81の対応する閾値とが比較される。画素値と閾値との比較は、3種類のドットサイズに対応する3つの閾値マトリクス(すなわち、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813)に対して行われ、これにより記録媒体9上のその画素の位置に描画を行うか否か、および、描画されるドットのサイズが決定される。
実際の動作では、図3の画像データ生成部423が有するアドレス発生器からのアドレス信号に基づいて画像メモリ421から階調画像70の1つの画素の画素値が読み出される。一方、アドレス発生器では当該画素に対応する繰り返し領域71中の位置を示すアドレス信号も生成され、大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813の3つの閾値が特定されてマトリクス記憶部422から読み出される。そして、上記画素値と3つの閾値とが画像データ生成部423にて比較されることにより、出力画像の領域であるハーフトーン画像領域においてマトリクス状に配列された複数の画素位置(すなわち、複数の描画位置)にそれぞれ形成される複数のドットのサイズが順次決定される。
具体的には、階調画像70の各画素の画素値(以下、「入力画素値」という。)と、ハーフトーン画像領域の各画素に対応する画素位置における大ドット用マトリクス811の閾値とが比較され、入力画素値が閾値よりも大きい場合には、当該画素位置に値「3」が付与される。以下、ハーフトーン画像領域における値を「ハーフトーン画素値」という。入力画素値が大ドット用マトリクス811の閾値以下の場合には、入力画素値と中ドット用マトリクス812の閾値とが比較される。入力画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも大きい場合には、上記画素位置にハーフトーン画素値「2」が付与される。入力画素値が中ドット用マトリクス812の閾値以下の場合には、入力画素値と小ドット用マトリクス813の閾値とが比較される。入力画素値が小ドット用マトリクス813の閾値よりも大きい場合には、上記画素位置にハーフトーン画素値「1」が付与され、閾値以下の場合にはハーフトーン画素値「0」が付与される。
図7は、ハーフトーン画像が生成される領域であるハーフトーン画像領域75を簡略化して示す概念図である。図7では、ハーフトーン画像領域75を、縦方向に4つの画素位置751が配列され、横方向に4つの画素位置751が配列された正方形の領域として示す。図7では、ハーフトーン画像領域75には16個の画素位置751が含まれるが、実際には、ハーフトーン画像領域75にはもっと多数の画素位置が含まれる。図7において、各画素位置751に記載された数値は、第1ハーフトーン画像データのハーフトーン画素値を示す。
後述するように、ハーフトーン画素値が「3」であるハーフトーン画像領域75の画素位置751(すなわち、記録媒体9上のドット記録位置)には、大サイズのインクの微小液滴が吐出されて大ドットが形成される。また、ハーフトーン画素値が「2」である画素位置751には、中サイズのインクの微小液滴が吐出されて中ドットが形成され、ハーフトーン画素値が「1」である画素位置751には、小サイズのインクの微小液滴が吐出されて小ドットが形成される。ハーフトーン画素値が「0」である画素位置751には、ドットは形成されない。換言すれば、当該画素位置751のドットサイズは、ゼロサイズとなる。
このように、ステップS12において、第1ハーフトーン画像データ生成部425により生成される第1ハーフトーン画像データは、ブラックについて、ハーフトーン画像領域75の複数の画素位置751にそれぞれ形成される複数のドットのサイズを示す単色ハーフトーン画像データである。換言すれば、第1ハーフトーン画像データ生成部425は、ブラックの単色ハーフトーン画像データを生成する単色ハーフトーン画像データ生成部である。ブラックのドットのサイズを「第1ドットサイズ」と呼ぶと、第1ドットサイズは、最大サイズである大サイズ、最大サイズよりも小さい中間サイズである中サイズおよび小サイズ、並びに、ゼロサイズのいずれかである。
ステップS12が終了すると、図3に示す第2ハーフトーン画像データ生成部426により、第1ハーフトーン画像データを参照しつつ、第2色成分画像であるシアンの階調画像の各画素の画素値(本実施の形態では、255)と、シアンに対応するマトリクスセットの閾値とが比較される。これにより、シアンの階調画像に網掛け処理が行われ(すなわち、シアンの階調画像がハーフトーン化され)、第2ハーフトーン画像データが生成される(ステップS13)。第2ハーフトーン画像データは、シアンについて、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成される複数のドットのサイズを示す単色ハーフトーン画像データである。シアンのドットのサイズを「第2ドットサイズ」と呼ぶと、第2ドットサイズは、第1ドットサイズと同様に、最大サイズである大サイズ、最大サイズよりも小さい中間サイズである中サイズおよび小サイズ、並びに、ゼロサイズのいずれかである。
図8は、第2ハーフトーン画像データ生成部426の機能を示すブロック図である。図9.Aおよび図9.Bは、ステップS13の詳細な流れを示す図である。図8に示すように、第2ハーフトーン画像データ生成部426は、画素値記憶部461と、仮サイズ決定部462と、ドットサイズ積算部463と、サイズ決定部464と、画素値変更部465と、繰り返し制御部466と、第1閾値ドットサイズ記憶部467とを備える。
第1閾値ドットサイズ記憶部467は、第2ハーフトーン画像データの生成に係る第1閾値ドットサイズを記憶する。第1閾値ドットサイズは、1つの画素に記録されるブラックのインクのドットサイズとシアンのインクのドットサイズの合計の上限値を示す。画像記録装置1では、第1閾値ドットサイズは、大ドットと小ドットとの和に対応するサイズであり、当該サイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値はそれぞれ、12plおよび「4」である。第1閾値ドットサイズは、中ドットと中ドットとの和に対応するサイズでもある。
第2ハーフトーン画像データ生成部426では、画像メモリ421からシアンの階調画像が読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部461に記憶される(ステップS131)。続いて、シアンの階調画像において、一の画素が注目画素として選択される(ステップS132)。本実施の形態では、図7に示すハーフトーン画像領域75の左上の角部の画素位置751に対応する画素が注目画素として選択される。次に、仮サイズ決定部462により、注目画素に対して上述と同様の網掛け処理が行われ、ハーフトーン画像領域75の注目画素に対応する画素位置751(以下、「注目画素位置751」という。)に形成されるシアンのドットのサイズが仮決定される(ステップS133)。
具体的には、注目画素の画素値と、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751におけるシアン用の大ドット用マトリクス811の閾値とが比較され、注目画素の画素値が閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「3」が仮付与される。すなわち、注目画素位置751に形成されるシアンのドットサイズが、大サイズに仮決定される。注目画素の画素値が大ドット用マトリクス811の閾値以下の場合には、注目画素の画素値とシアン用の中ドット用マトリクス812の閾値とが比較される。注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「2」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるシアンのドットサイズが、中サイズに仮決定される。
注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値以下の場合には、注目画素の画素値とシアン用の小ドット用マトリクス813の閾値とが比較される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「1」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるシアンのドットサイズが、小サイズに仮決定される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値以下の場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「0」が仮付与され、注目画素位置751のシアンのドットサイズが、ゼロサイズに仮決定される。
ドットサイズの仮決定が終了すると、ドットサイズ積算部463により、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751に形成されるブラックのドットのサイズである第1ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425から取得される。図7に示すように、注目画素位置751のブラックのハーフトーン画素値は「3」であり、第1ドットサイズは大サイズである。続いて、注目画素位置751についてステップS133にて仮決定されたシアンのドットのサイズである第2ドット仮サイズと、上記第1ドットサイズとの合計である合計ドットサイズが求められる(ステップS134)。
そして、サイズ決定部464により、合計ドットサイズと、第1閾値ドットサイズ記憶部467に予め記憶されている第1閾値ドットサイズが比較される(ステップS135)。具体的には、第1閾値ドットサイズに対応するインク量(12pl)と、合計ドットサイズに対応するインク量とが比較され、合計ドットサイズに対応するインク量が12pl以下の場合、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズ以下であると判断される。また、合計ドットサイズに対応するインク量が12plよりも大きい場合、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
合計ドットサイズと第1閾値ドットサイズとの比較は、第1閾値ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(4)と、合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(すなわち、注目画素位置751におけるブラックおよびシアンのハーフトーン画素値の合計)との比較により行われてもよい。この場合、合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「4」以下であれば、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズ以下であると判断され、合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「4」よりも大きいと、合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
第2ドット仮サイズがゼロサイズ(対応するインク量:0pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズとゼロサイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は9plである。したがって、合計ドットサイズは、第1閾値ドットサイズ以下であると判断され、注目画素位置751に形成されるシアンのドットのサイズである第2ドットサイズが、サイズ決定部464により、第2ドット仮サイズに等しいサイズ、すなわち、ゼロサイズに決定される(ステップS136)。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「0」が付与される。
また、第2ドット仮サイズが小サイズ(対応するインク量:3pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズと小サイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は12plである。したがって、合計ドットサイズは、上記と同様に第1閾値ドットサイズ以下であると判断され、サイズ決定部464により、第2ドットサイズが、第2ドット仮サイズに等しいサイズである小サイズに決定される(ステップS136)。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
一方、第2ドット仮サイズが中サイズ(対応するインク量:6pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズと中サイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は15plである。したがって、合計ドットサイズは、第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。そして、サイズ決定部464により、第2ドットサイズが、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズ、すなわち、小サイズに決定される(ステップS137)。ドットサイズに対応するインク量で説明すると、第2ドットサイズは、第1閾値ドットサイズに対応するインク量(12pl)と第1ドットサイズに対応するインク量(9pl)との差(3pl)以下の範囲で最も大きいドットサイズである小サイズに決定される。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
また、第2ドット仮サイズが大サイズ(対応するインク量:9pl)である場合、合計ドットサイズは、大サイズと大サイズとの和に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は18plである。したがって、合計ドットサイズは、上記と同様に第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断され、サイズ決定部464により、第2ドットサイズが、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズである小サイズに決定される(ステップS137)。注目画素位置751には、シアンのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
ステップS135において合計ドットサイズが、第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS137に続いて、画素値変更部465が、画素値記憶部461に記憶されているシアンの階調画像にアクセスする。そして、画素値変更部465により、シアンの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置751のうち第2ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置751に位置する画素(以下、「周辺画素群」という。)の画素値が、注目画素の画素値、および、注目画素位置751における第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS138)。
図10は、周辺画素群の画素値の変更の様子を示す図である。図10では、階調画像701の注目画素702に平行斜線を付し、周辺画素群に含まれる画素703(以下、「周辺画素703」という。)にも、注目画素702とは異なる平行斜線を付す。周辺画素群に含まれる周辺画素703は、注目画素702と所定の位置関係を有する画素であり、本実施の形態では、周辺画素群は、注目画素702の右側および下側に隣接する2つの周辺画素703を含む。ステップS138では、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差を第2ドット仮サイズで除算した値を、注目画素702の画素値に対して積算し、積算結果を周辺画素群に含まれる周辺画素703に均等に分配して加算することにより、周辺画素群の画素値が変更される。
例えば、第2ドット仮サイズが中サイズである場合、ステップS137にて決定された第2ドットサイズは小サイズであるため、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、6−3=3plである。また、注目画素の画素値は、上述のように204である。そこで、図10に白抜き矢印にて示すように、204×(6−3)/6=102の画素値を周辺画素群に含まれる2つの周辺画素703に均等に分配し、各周辺画素703に画素値51が加算されて画素値が255となる。
一方、第2ドット仮サイズが大サイズである場合、ステップS137にて決定された第2ドットサイズは小サイズであるため、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、9−3=6plである。そこで、204×(9−3)/9=136の画素値を周辺画素群に含まれる2つの周辺画素703に均等に分配し、各周辺画素703に画素値68が加算されて画素値が272となる。ステップS138では、画素値の加算により周辺画素703の画素値が255よりも大きくなる場合、周辺画素703の画素値は255に変更される。
第2ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の画素値の変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(後述)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS139,S140)。そして、ステップS133に戻り、新たな注目画素について、ステップS133〜S138の処理が行われる。図11は、上記処理順序を示す図である。画像記録装置1では、図11中の各画素位置751において括弧内に示される番号の小さい順にステップS133〜S138の処理が行われる。図11に示すように、ステップS133〜S138の処理は、ハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。ステップS133〜S138の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
画像記録装置1では、図8に示す繰り返し制御部466による制御により、シアンの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第2ドットサイズが決定されるまで、ステップS133〜S140が繰り返される。これにより、シアンの画像の記録に利用される単色ハーフトーン画像データである第2ハーフトーン画像データが生成される。第2ハーフトーン画像データ生成部426は、シアンの単色ハーフトーン画像データを生成する単色ハーフトーン画像データ生成部である。
上述の説明では、注目画素位置751の第1ドットサイズが大サイズである場合について述べたが、以下、他の場合についても説明する。例えば、注目画素位置751の第1ドットサイズが中サイズである場合、第2ドット仮サイズがゼロサイズ、小サイズまたは中サイズであれば、合計ドットサイズは第1閾値ドットサイズ以下となるため、第2ドットサイズは第2ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。一方、第2ドット仮サイズが大サイズであれば、第2ドットサイズは、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズである中サイズに決定される。また、注目画素位置751の第1ドットサイズが小サイズまたはゼロサイズである場合、第2ドットサイズは、常に第2ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。
第2ハーフトーン画像データの生成が終了すると、図3に示す第3ハーフトーン画像データ生成部427により、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照しつつ、第3色成分画像であるマゼンタの階調画像の各画素の画素値(本実施の形態では、128)と、マゼンタに対応するマトリクスセットの閾値とが比較される。これにより、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われ(すなわち、マゼンタの階調画像がハーフトーン化され)、第3ハーフトーン画像データが生成される(ステップS14)。第3ハーフトーン画像データは、上述の対象色成分であるマゼンタについて、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成される複数のドットのサイズを示す単色ハーフトーン画像データである。マゼンタのドットのサイズを「第3ドットサイズ」と呼ぶと、第3ドットサイズは、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズと同様に、最大サイズである大サイズ、最大サイズよりも小さい中間サイズである中サイズおよび小サイズ、並びに、ゼロサイズのいずれかである。
図12は、第3ハーフトーン画像データ生成部427の機能を示すブロック図である。図13.Aおよび図13.Bは、ステップS14の詳細な流れを示す図である。図12に示すように、第3ハーフトーン画像データ生成部427は、画素値記憶部471と、仮サイズ決定部472と、ドットサイズ積算部473と、サイズ決定部474と、画素値変更部475と、繰り返し制御部476と、第2閾値ドットサイズ記憶部477とを備える。
第2閾値ドットサイズ記憶部477は、第3ハーフトーン画像データの生成に係る第2閾値ドットサイズを記憶する。第2閾値ドットサイズは、1つの画素に記録されるブラック、シアンおよびマゼンタのインクのドットサイズの合計の上限値を示す。第2閾値ドットサイズは、上述の第1閾値ドットサイズとは異なる他の閾値ドットサイズであり、第1閾値ドットサイズよりも大きい、または、第1閾値ドットサイズに等しい。マゼンタに係る第2閾値ドットサイズは、後述するように、閾値ドットサイズ決定部478により、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置に対してそれぞれ決定される。
第3ハーフトーン画像データ生成部427では、画像メモリ421からマゼンタの階調画像が読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部471に記憶される(ステップS141)。続いて、マゼンタの階調画像において、ステップS132と同様に、一の画素が注目画素として選択される(ステップS142)。本実施の形態では、図7に示すハーフトーン画像領域75の左上の角部の画素位置751に対応する画素が注目画素として選択される。
次に、閾値ドットサイズ決定部478により、グレイ置換後のカラー画像において、注目画素の色相が求められる(ステップS143)。上述のように、当該カラー画像は第1の色相のチント画像であるため、注目画素の色相の色度は、「a*>0」かつ「−100≦b*≦−50」の範囲に含まれる。
閾値ドットサイズ決定部478では、注目画素の色相が第1の色相範囲内に含まれる場合、注目画素に対応する注目画素位置751の第2閾値ドットサイズは、予め定められた基準閾値ドットサイズに決定される(ステップS144,S145)。一方、注目画素の色相が、上記第1の色相範囲よりも対象色成分であるマゼンタの色味が強い(すなわち、赤方向の色味が強い)第2の色相範囲内に含まれる場合、注目画素に対応する注目画素位置751の第2閾値ドットサイズは、予め定められた補正閾値ドットサイズに決定される(ステップS144,S146)。第1の色相範囲は、第2の色相範囲を除く全ての色相範囲である。また、補正閾値ドットサイズは、基準閾値ドットサイズよりも大きい。閾値ドットサイズ決定部478により決定された第2閾値ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ記憶部477に記憶される。
画像記録装置1では、上述の第1の色相範囲は、例えば、色度が「a*≦0」、「b*≦−50」および「50≦b*」のうち1つ以上の条件を満たす範囲である。この場合、第2の色相範囲は、色度が「a*>0」かつ「−50<b*<50」を満たす範囲である。上述のように、注目画素の色相の色度は、「a*>0」かつ「−100≦b*≦−50」の範囲に含まれるため、注目画素の色相は第1の色相範囲内に含まれる。したがって、注目画素位置751の第2閾値ドットサイズは、基準閾値ドットサイズに決定される。
画像記録装置1では、基準閾値ドットサイズは、大ドットと中ドットと小ドットとの合計に対応するサイズであり、当該サイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値はそれぞれ、18plおよび「6」である。基準閾値ドットサイズは、3つの中ドットの合計に対応するサイズでもあり、大ドットと大ドットとゼロドットとの合計に対応するサイズでもある。また、補正閾値ドットサイズは、大ドットと中ドットと中ドットとの合計に対応するサイズであり、当該サイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値はそれぞれ、21plおよび「7」である。補正閾値ドットサイズは、2つの大ドットと1つの小ドットとの合計に対応するサイズでもある。
次に、仮サイズ決定部472により、マゼンタの画像において、注目画素に対してステップS133と同様の網掛け処理が行われ、ハーフトーン画像領域75の注目画素に対応する注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットのサイズが仮決定される(ステップS147)。
具体的には、注目画素の画素値と、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751におけるマゼンタ用の大ドット用マトリクス811の閾値とが比較され、注目画素の画素値が閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「3」が仮付与される。すなわち、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットサイズが、大サイズに仮決定される。注目画素の画素値が大ドット用マトリクス811の閾値以下の場合には、注目画素の画素値とマゼンタ用の中ドット用マトリクス812の閾値とが比較される。注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「2」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットサイズが、中サイズに仮決定される。
注目画素の画素値が中ドット用マトリクス812の閾値以下の場合には、注目画素の画素値とマゼンタ用の小ドット用マトリクス813の閾値とが比較される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値よりも大きい場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「1」が仮付与され、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットサイズが、小サイズに仮決定される。注目画素の画素値が小ドット用マトリクス813の閾値以下の場合には、注目画素位置751にハーフトーン画素値「0」が仮付与され、注目画素位置751のマゼンタのドットサイズが、ゼロサイズに仮決定される。
ドットサイズの仮決定が終了すると、ドットサイズ積算部473により、ハーフトーン画像領域75の注目画素位置751に形成されるブラックのドットのサイズである第1ドットサイズ、および、注目画素位置751に形成されるシアンのドットのサイズである第2ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425および第2ハーフトーン画像データ生成部426から取得される。図7に示すように、注目画素位置751のブラックのハーフトーン画素値は「3」であり、第1ドットサイズは大サイズである。また、上述のように、第2ドットサイズは、小サイズまたはゼロサイズであり、以下、第2ドットサイズが小サイズであるものとして説明する。この場合、第1ドットサイズと第2ドットサイズとの合計に対応するインク量およびハーフトーン画素値は、12plおよび「4」である。
ドットサイズ積算部473では、上記第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計(以下、「前合計ドットサイズ」という。)と、ステップS147にて仮決定されたマゼンタのドットのサイズ(すなわち、仮ドットサイズ)である第3ドット仮サイズとの合計である合計ドットサイズが求められる(ステップS148)。ステップS148にて求められる合計ドットサイズは、ステップS134にて求められる合計ドットサイズとは異なる他の合計ドットサイズである。以下の説明では、ステップS134にて求められる合計ドットサイズを「第1合計ドットサイズ」と呼び、ステップS148にて求められる合計ドットサイズを「第2合計ドットサイズ」と呼ぶ。
そして、サイズ決定部474により、注目画素位置751の第2合計ドットサイズと、第2閾値ドットサイズ記憶部477に記憶されている注目画素位置751の第2閾値ドットサイズ(すなわち、基準閾値ドットサイズ)とが比較される(ステップS149)。具体的には、第2閾値ドットサイズに対応するインク量(18pl)と、第2合計ドットサイズに対応するインク量とが比較され、第2合計ドットサイズに対応するインク量が18pl以下の場合、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズ以下であると判断される。また、第2合計ドットサイズに対応するインク量が18plよりも大きい場合、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
第2合計ドットサイズと第2閾値ドットサイズとの比較は、第2閾値ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(6)と、第2合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(すなわち、注目画素位置751におけるブラック、シアンおよびマゼンタのハーフトーン画素値の合計)との比較により行われてもよい。この場合、第2合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「6」以下であれば、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、第2合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値が「6」よりも大きいと、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。
第3ドット仮サイズがゼロサイズ(対応するインク量:0pl)である場合、第2合計ドットサイズは、第1ドットサイズである大サイズと、第2ドットサイズである小サイズと、第3ドット仮サイズであるゼロサイズとの合計に対応するサイズであり、合計ドットサイズに対応するインク量は12plである。したがって、第2合計ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットのサイズである第3ドットサイズが、サイズ決定部474により、第3ドット仮サイズに等しいサイズ、すなわち、ゼロサイズに決定される(ステップS150)。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「0」が付与される。
また、第3ドット仮サイズが小サイズ(対応するインク量:3pl)である場合、第2合計ドットサイズは、大サイズと小サイズと小サイズとの合計に対応するサイズであり、第2合計ドットサイズに対応するインク量は15plである。したがって、第2合計ドットサイズは、上記と同様に第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、サイズ決定部474により、第3ドットサイズが、第3ドット仮サイズに等しいサイズである小サイズに決定される(ステップS150)。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「1」が付与される。
第3ドット仮サイズが中サイズ(対応するインク量:6pl)である場合、第2合計ドットサイズは、大サイズと小サイズと中サイズとの合計に対応するサイズであり、第2合計ドットサイズに対応するインク量は18plである。したがって、第2合計ドットサイズは、上記と同様に第2閾値ドットサイズ以下であると判断され、サイズ決定部474により、第3ドットサイズが、第3ドット仮サイズに等しいサイズである中サイズに決定される(ステップS150)。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「2」が付与される。
一方、第3ドット仮サイズが大サイズである場合、第2合計ドットサイズは、大サイズと小サイズと大サイズとの合計に対応するサイズであり、第2合計ドットサイズに対応するインク量は21plである。したがって、第2合計ドットサイズは、第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断される。そして、サイズ決定部474により、第3ドットサイズが、第2閾値ドットサイズと、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計との差以下の範囲で最も大きいドットサイズ、すなわち、中サイズに決定される(ステップS151)。ドットサイズに対応するインク量で説明すると、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズに対応するインク量(18pl)と、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計に対応するインク量(12pl)との差(6pl)以下の範囲で最も大きいドットサイズである中サイズに決定される。注目画素位置751には、マゼンタのハーフトーン画素値として「2」が付与される。
ステップS149において第2合計ドットサイズが、第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS151に続いて、画素値変更部475が、画素値記憶部471に記憶されるマゼンタの階調画像にアクセスする。そして、画素値変更部475により、マゼンタの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置751のうち第3ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置751に位置する画素である周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値、および、注目画素位置751における第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS152)。
ステップS152では、ステップS138と同様に、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差を第3ドット仮サイズで除算した値を、注目画素702(図10参照)の画素値に対して積算し、積算結果を周辺画素群に含まれる周辺画素703に均等に分配して加算することにより、周辺画素群の画素値が変更される。具体的には、第3ドット仮サイズが大サイズである場合、ステップS151にて決定された第3ドットサイズは中サイズであるため、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に対応するインク量は、9−6=3plである。また、注目画素の画素値は、上述のように128である。そこで、128×(9−6)/9≒42の画素値を周辺画素群に含まれる2つの周辺画素703(図10参照)に均等に分配し、各周辺画素703に画素値21が加算されて画素値が149に変更される。
第3ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の画素値の変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(図11参照)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS153,S154)。そして、ステップS143に戻り、新たな注目画素について、ステップS143〜S152の処理が行われる。ステップS143〜S152の処理は、ステップS133〜S138と同様に、図11に示すハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。ステップS143〜S152の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
画像記録装置1では、繰り返し制御部476による制御により、マゼンタの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第3ドットサイズが決定されるまで、ステップS143〜S154が繰り返される。これにより、対象色成分であるマゼンタの画像の記録に利用される単色ハーフトーン画像データである第3ハーフトーン画像データが生成される。第3ハーフトーン画像データ生成部427は、対象色成分の単色ハーフトーン画像データを生成する対象色成分ハーフトーン画像データ生成部である。
上述の説明では、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズがそれぞれ大サイズおよび小サイズである場合について述べたが、以下、他の場合についても説明する。例えば、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズがそれぞれ小サイズおよび大サイズである場合、または、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが共に中サイズである場合は、上述と同様に、第3ドット仮サイズがゼロサイズ、小サイズまたは中サイズであれば、第3ドットサイズは第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。一方、第3ドット仮サイズが大サイズであれば、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズと前合計ドットサイズ(すなわち、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計)との差以下の範囲で最も大きいドットサイズである中サイズに決定される。
注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が大サイズであり、他方がゼロサイズである場合、第2合計ドットサイズは常に第2閾値ドットサイズ以下となるため、第3ドットサイズは、常に第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。例えば、第3ドット仮サイズが大サイズであれば、第3ドットサイズも大サイズに決定される。第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が中サイズであり、他方が小サイズである場合、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが共に小サイズまたはゼロサイズである場合、および、第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が小サイズであり、他方がゼロサイズである場合も同様である。
上述の説明では、第1閾値ドットサイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値がそれぞれ12plおよび「4」の場合について述べたが、以下、第1閾値ドットサイズが異なる場合についても説明する。まず、第1閾値ドットサイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値がそれぞれ15plおよび「5」である場合について説明する。このとき、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が大サイズ(対応するインク量:9pl)であり、他方が中サイズ(対応するインク量:6pl)である場合、第3ドット仮サイズがゼロサイズ(対応するインク量:0pl)または小サイズ(対応するインク量:3pl)であれば、第3ドットサイズは第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。一方、第3ドット仮サイズが中サイズまたは大サイズであれば、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ(対応するインク量:18pl)と前合計ドットサイズ(対応するインク量:15pl)との差以下の範囲で最も大きいドットサイズである小サイズに決定される。
次に、第1閾値ドットサイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値がそれぞれ18plおよび「6」である場合について説明する。このとき、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが共に大サイズである場合、第3ドット仮サイズが大サイズ、中サイズまたは小サイズであれば、第2合計ドットサイズは第2閾値ドットサイズよりも大きくなるため、第3ドットサイズは、常にゼロサイズに決定される。
第3ハーフトーン画像データの生成が終了すると、図3に示す第4ハーフトーン画像データ生成部428により、第4色成分画像であるイエローの階調画像の各画素の画素値と、イエローに対応するマトリクスセットの閾値とが比較される。これにより、ステップS12におけるブラックの階調画像の網掛け処理と同様に、イエローの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、イエローの階調画像がハーフトーン化される)。その結果、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置に形成されるイエローの複数のドットのサイズを示す第4ハーフトーン画像データが生成される(ステップS15)。本実施の形態では、上述のように、ステップS11にて生成されたイエローの階調画像の階調値が0であるものとして説明しているため、ハーフトーン画像領域75の全画素位置751におけるドットサイズはゼロサイズとなる。
画像記録装置1では、このように、多階調のカラー画像に網掛け処理を行うことにより、当該カラー画像に含まれる複数の色成分の画像にそれぞれ対応する複数の単色ハーフトーン画像データの集合であるハーフトーン画像データが生成される。実際には、上記カラー画像のうち最初に印刷される部分のハーフトーン画像データが生成されて準備されると、出力制御部41の移動制御部412により移動機構2が制御され、記録媒体9の移動方向への移動が開始される(ステップS16)。
そして、記録媒体9の移動に同期しつつ、最も(−Y)側の吐出ヘッド32が第1ハーフトーン画像データに基づいて記録制御部411により制御され、記録媒体9に向けて第1の色成分であるブラックのインクの微小液滴が吐出される。これにより、記録媒体9上にブラックのインクのドットが形成される(ステップS17)。また、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が記録制御部411により制御され、記録媒体9に向けて光が照射される。これにより、ブラックのインクのドットが記録媒体9上に仮定着し、ブラックのドットによる第1ハーフトーン画像が記録媒体9上に記録される(ステップS18)。
続いて、第2ハーフトーン画像データに基づいて(−Y)側から2番目の吐出ヘッド32が記録制御部411により制御され、記録媒体9のブラックのドットが記録された領域(以下、「既記録領域」という。)に向けて第2の色成分であるシアンのインクの微小液滴が吐出される。これにより、記録媒体9上にシアンのインクのドットが形成される(ステップS19)。また、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が記録制御部411により制御され、記録媒体9に向けて光が照射される。これにより、シアンのインクのドットが記録媒体9上に仮定着し、シアンのドットによる第2ハーフトーン画像が記録される(ステップS20)。
次に、第3ハーフトーン画像データに基づいて対象色成分である(−Y)側から3番目の吐出ヘッド32(すなわち、対象色成分吐出部)が記録制御部411により制御され、記録媒体9の既記録領域に向けて第3の色成分であるマゼンタのインクの微小液滴が吐出される。これにより、記録媒体9上にマゼンタのインクのドットが形成される(ステップS21)。また、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が記録制御部411により制御され、記録媒体9に向けて光が照射される。これにより、マゼンタのインクのドットが記録媒体9上に仮定着し、マゼンタのドットによる第3ハーフトーン画像が記録される(ステップS22)。
さらに、第4ハーフトーン画像データに基づいて最も(+Y)側の吐出ヘッド32が制御され、記録媒体9の既記録領域に向けて第4の色成分であるイエローのインクの微小液滴が吐出される。これにより、記録媒体9上にイエローのインクのドットが形成される(ステップS23)。また、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が記録制御部411により制御され、記録媒体9に向けて光が照射される。これにより、イエローのインクのドットが記録媒体9上に仮定着し、イエローのドットによる第4ハーフトーン画像が記録される(ステップS24)。ただし、本実施の形態では、記録媒体9上にイエローのドットは記録されない。
そして、定着ヘッド35が記録制御部411により制御されることにより、記録媒体9の期記録領域に向けて光が照射される。これにより、記録媒体9に付与された複数の色成分のインクによる画像である第1〜第4ハーフトーン画像が、記録媒体9上に定着する(ステップS25)。各色成分のハーフトーン画像の記録は、上述のハーフトーン画像データの生成に並行して行われる。ハーフトーン画像データの生成では、第1〜第4ハーフトーン画像の記録順序(すなわち、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの複数の色成分の画像を記録媒体9に記録する順序)の通りに、複数の色成分の単色ハーフトーン画像データが生成される。
画像記録装置1では、既述のように記録媒体9は供給部61により逐次供給されるとともに画像記録後に巻取部62により巻き取られる。所望の長さの記録媒体9上にハーフトーン画像が記録されると、記録媒体9の移動が停止され、画像記録動作が終了する(ステップS26)。
次に、上述の第2の色相のカラー画像の記録について説明する。第2の色相のカラー画像の記録は、図13.Aおよび図13.BにおけるステップS145に代えてステップS146が行われる点を除き、上述の第1の色相のカラー画像の記録と同様である。まず、色成分画像生成部424により、第2の色相のカラー画像にグレイ置換を行いつつ分版処理が施される。これにより、階調値153(画像濃度60%)のブラックの階調画像、階調値204(画像濃度80%)のシアンの階調画像、階調値230(画像濃度90%)のマゼンタの階調画像、および、階調値0(画像濃度0%)のイエローの階調画像が生成される(ステップS11)。第2の色相は、赤方向の色味が強い色相である。色成分画像生成部424により生成された各色成分画像は、画像メモリ421に格納される。
続いて、第1の色相のカラー画像の場合と同様に、第1ハーフトーン画像データ生成部425により、ブラックの階調画像に網掛け処理が行われ、第1ハーフトーン画像データが生成される(ステップS12)。また、第2ハーフトーン画像データ生成部426により、第1ハーフトーン画像データを参照しつつシアンの階調画像に網掛け処理が行われ、第2ハーフトーン画像データが生成される(ステップS13)。第2の色相のカラー画像の記録においても、ステップS13の詳細な流れは、図9.Aおよび図9.Bに示すステップS131〜S140と同様である。
次に、第3ハーフトーン画像データ生成部427により、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照しつつマゼンタの階調画像に網掛け処理が行われ第3ハーフトーン画像データが生成される(ステップS14)。
詳細には、まず、マゼンタの階調画像の各画素の画素値が画素値記憶部471に記憶され、一の画素が注目画素として選択される(ステップS141,S142)。続いて、閾値ドットサイズ決定部478により、上述のカラー画像において、注目画素の色相が求められる(ステップS143)。上述のように、当該カラー画像は第2の色相のチント画像であるため、注目画素の色相の色度は、「a*>0」かつ「−50<b*<0」の範囲に含まれる。このため、注目画素の色相は、上述の第2の色相範囲内、すなわち、色度が「a*>0」かつ「−50<b*<50」を満たす範囲内に含まれる(ステップS144)。したがって、注目画素位置751の第2閾値ドットサイズは、補正閾値ドットサイズに決定される(ステップS146)。
第2閾値ドットサイズが決定されると、第1の色相のカラー画像の場合と同様に、仮サイズ決定部472により、マゼンタの画像において注目画素に対して網掛け処理が行われ、ハーフトーン画像領域75の注目画素に対応する注目画素位置751に形成されるマゼンタのドットのサイズが仮決定される(ステップS147)。続いて、ドットサイズ積算部463により、注目画素位置751に形成されるブラックおよびシアンのドットのサイズの合計である前合計ドットサイズが求められ、前合計ドットサイズと第3ドット仮サイズとの合計である第2合計ドットサイズが求められる(ステップS148)。
次に、第1の色相のカラー画像の場合と同様に、サイズ決定部474により、注目画素位置751における第2閾値ドットサイズ(すなわち、補正閾値ドットサイズ)と第2合計ドットサイズとが比較される(ステップS149)。上述のように、補正閾値ドットサイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値はそれぞれ、21plおよび「7」である。したがって、ステップS149では、第2閾値ドットサイズに対応するインク量(21pl)と、第2合計ドットサイズに対応するインク量とが比較される。ステップS149では、第2閾値ドットサイズに対応するハーフトーン画素値(7)と、第2合計ドットサイズに対応するハーフトーン画素値とが比較されてもよい。
上述のように、前合計ドットサイズは、第1閾値ドットサイズ(対応するインク量:12pl)以下である。このため、第3ドット仮サイズがゼロサイズ、小サイズ、中サイズおよび大サイズのいずれであっても、すなわち、第3ドット仮サイズに対応するインク量が0pl、3pl、6plおよび9plのいずれであっても、第2合計ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ(対応するインク量:21pl)以下となる。このため、第3ドットサイズは、第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される(ステップS150)。
第3ドットサイズが決定されると、第1の色相のカラー画像の場合と同様に、複数の画素位置751について予め定められた処理順序に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS153,S154)。そして、ステップS143に戻り、新たな注目画素について、ステップS143〜S152の処理が行われる。画像記録装置1では、繰り返し制御部476による制御により、マゼンタの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第3ドットサイズが決定されるまで、ステップS143〜S154が繰り返される。これにより、マゼンタの画像の記録に利用される第3ハーフトーン画像データが生成される。
第2の色相のカラー画像に係る上述の例の場合、第2閾値ドットサイズが補正閾値ドットサイズ(対応するインク量:21pl)とされ、第1閾値ドットサイズに対応するインク量が12plであるため、第3ドットサイズは常に第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。このため、画素値変更部475による周辺画素群の画素値の変更は行われない。
上述の説明では、第1閾値ドットサイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値がそれぞれ12plおよび「4」の場合について述べたが、以下、第1閾値ドットサイズが異なる場合についても説明する。まず、第1閾値ドットサイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値がそれぞれ15plおよび「5」である場合について説明する。このとき、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの一方が大サイズであり、他方が中サイズである場合、第3ドット仮サイズがゼロサイズ、小サイズおよび中サイズのいずれかであれば、第3ドットサイズは第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される。
一方、第3ドット仮サイズが大サイズであれば、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ(対応するインク量:21pl)と前合計ドットサイズ(対応するインク量:15pl)との差以下の範囲で最も大きいドットサイズである中サイズに決定される(ステップS151)。そして、画素値変更部475により、第1の色相のカラー画像の場合と同様に、マゼンタの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置751のうち第3ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置751に位置する画素である周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値、および、注目画素位置751における第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS152)。
次に、第1閾値ドットサイズに対応するインク量およびハーフトーン画素値がそれぞれ18plおよび「6」である場合について説明する。このとき、注目画素位置751の第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが共に大サイズである場合、第3ドット仮サイズがゼロサイズまたは小サイズであれば、第3ドットサイズは第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される(ステップS150)。
一方、第3ドット仮サイズが中サイズまたは大サイズであれば、第3ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ(すなわち、補正閾値ドットサイズ)と前合計ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズである小サイズに決定される(ステップS151)。そして、画素値変更部475により、第1の色相のカラー画像の場合と同様に、周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値、および、注目画素位置751における第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS152)。
第3ハーフトーン画像データの生成が終了すると、上記と同様に、第4ハーフトーン画像データ生成部428(図3参照)によりイエローの階調画像に網掛け処理が行われ、第4ハーフトーン画像データが生成される(ステップS15)。
画像記録装置1では、上述のように、カラー画像のハーフトーン画像データの生成と並行して、記録媒体9の移動方向への移動が開始される(ステップS16)。そして、記録媒体9の移動に同期しつつ、ブラックのインクを吐出する吐出ヘッド32が第1ハーフトーン画像データに基づいて制御され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が制御されることにより、第1ハーフトーン画像が記録媒体9上に記録される(ステップS17,S18)。続いて、第2ハーフトーン画像データに基づいてシアンのインクを吐出する吐出ヘッド32が制御され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が制御されることにより、記録媒体9の既記録領域に第2ハーフトーン画像が記録される(ステップS19,S20)。
また、第3ハーフトーン画像データに基づいて対象色成分であるマゼンタのインクを吐出する吐出ヘッド32(すなわち、対象色成分吐出部)が制御され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が制御されることにより、記録媒体9の既記録領域に第3ハーフトーン画像が記録される(ステップS21,S22)。さらに、第4ハーフトーン画像データに基づいてイエローのインクを吐出する吐出ヘッド32が制御され、当該吐出ヘッド32の(+Y)側に隣接する仮定着ヘッド33が制御されることにより、記録媒体9の既記録領域に第4ハーフトーン画像が記録される(ステップS23,S24)。ただし、本実施の形態では、記録媒体9上にイエローのドットは記録されない。
そして、定着ヘッド35が制御されることにより、記録媒体9の期記録領域に向けて光が照射され、第1〜第4ハーフトーン画像が記録媒体9上に定着する(ステップS25)。画像記録装置1では、所望の長さの記録媒体9上にハーフトーン画像が記録されると、記録媒体9の供給が停止され、画像記録動作が終了する(ステップS26)。
以上に説明したように、画像記録装置1では、演算部42によるインク抑制処理に、上述のステップS131〜S140が含まれる。具体的には、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成されるシアン(第2の色成分)のドットサイズを示す第2ハーフトーン画像データを生成する際に、ブラック(第1の色成分)のドットサイズを示す第1ハーフトーン画像データを参照しつつ、シアンの階調画像に網掛け処理が行われる。第2ハーフトーン画像データの生成では、第1ハーフトーン画像データを参照することにより、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ(第1ドットサイズ)とシアンのドットサイズ(第2ドットサイズ)との合計である前合計ドットサイズが、所定の第1閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、記録媒体9上への画像の記録途上において、シアンのドットが形成される際に、ブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラックのインクとシアンのインクとの混合による発色不良(色の濁り)やコックリング(記録媒体9の波打ち現象)を抑制することができる。
また、前合計ドットサイズを第1閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたシアンのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値と、シアンのドットサイズの変更量(すなわち、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、シアンのドットサイズの変更による影響を補正し、シアンの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
画像記録装置1では、マゼンタ(第3の色成分)のドットサイズを示す第3ハーフトーン画像データを生成する際に、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照しつつ、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われる。第3ハーフトーン画像データの生成では、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照することにより、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ、シアンのドットサイズおよびマゼンタのドットサイズ(第3ドットサイズ)の合計が、所定の第2閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、記録媒体9上への画像の記録途上において、マゼンタのドットが形成される際に、ブラック、シアンおよびマゼンタのドットの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラック、シアンおよびマゼンタのインクの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
また、ブラック、シアンおよびマゼンタのドットサイズの合計を第2閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたマゼンタのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の画素値が、注目画素の画素値と、マゼンタのドットサイズの変更量(すなわち、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、マゼンタのドットサイズの変更による影響を補正し、マゼンタの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
画像記録装置1では、対象色成分であるマゼンタの第3ハーフトーン画像データの生成(ステップS14)の際に、注目画素の色相に拘わらず第2閾値ドットサイズが一定であってもよい。この場合でも、上述のように、各画素位置における複数の色成分のドットの重なりが抑制されるため、インクの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。ただし、この場合は、対象色成分の色味が強い領域を描画する際であっても、対象色成分の色味があまり強くない領域を描画する際と同様に、対象色成分のインクの付与量が制限される。このため、対象色成分の色味が強い領域を描画する際に、他の色成分よりもインク濃度が低い対象色成分の発色(すなわち、赤系色の発色)が不足し、当該領域の色相が所望の色相から少しずれる可能性がある。
したがって、画像記録装置1では、演算部42によるインク抑制処理に、上述のステップS141〜S154が含まれることが、より好ましい。具体的には、カラー画像において各画素位置751に対応する各画素の色相が求められ、対象色成分(マゼンタ)に係る各画素位置751の閾値ドットサイズである第2閾値ドットサイズが、各画素の色相に応じて変更される。より具体的には、各画素の色相が、他の色成分の色味が対象色成分の色味よりも強い上述の第1の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズは基準閾値ドットサイズに決定される。また、各画素の色相が、対象色成分の色味が強い上述の第2の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズは、基準閾値ドットサイズよりも大きい補正閾値ドットサイズに決定される。
これにより、対象色成分の色味が強い領域を描画する際に、複数の色成分のドットの重なりを抑制して発色不良やコックリングを抑制しつつ、各画素位置における対象色成分のインクの付与量を増大させることができる。このため、インク濃度が低い対象色成分の発色を良くすることができ、他の色成分(シアンおよびイエロー)と同程度の発色を実現することができる。その結果、対象色成分の色味が強い領域の描画においても、所望の色相を表現することができる。なお、画像記録装置1では、対象色成分の色味があまり強くない領域を描画する際にも、各画素位置における複数の色成分のドットの重なりを抑制し、インクの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
記録媒体9上では、ブラックの色成分のドットと他の色成分のドットとが重なると、ドットが重なった部位では、ブラック以外の色成分はあまり認識されない。したがって、上述のように、第1の色成分をブラックとして、シアンおよびマゼンタのドット配置を示す第2ハーフトーン画像データおよび第3ハーフトーン画像データを生成する際に、ブラックのドット配置を示す第1ハーフトーン画像データを考慮することにより、シアンおよびマゼンタのドットがブラックのドットと重なることを抑制し、記録媒体9に記録される画像の発色を良くすることができる。また、他の色成分に対する影響が小さいイエローを第4の色成分として、ブラックの階調画像の網掛け処理と同様に、他の色成分のハーフトーン画像データを考慮することなく、第4ハーフトーン画像データを生成することにより、他の色成分のハーフトーン画像に対する影響を抑制しつつ、第4ハーフトーン画像データの生成を簡素化することができる。
上述のように、ステップS133〜S138の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向または横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。このように、ステップS133〜S138の処理順序において、処理が進む方向が変更される変曲点を少なくすることにより、注目画素の周囲における第2ドットサイズが未決定の画素の個数を、処理の進行の程度(すなわち、注目画素の位置)にかかわらず、およそ一定とすることができる。その結果、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って、ステップS133〜S138の処理の質を均一にすることができる。
同様に、ステップS143〜S152の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向または横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。このように、ステップS143〜S152の処理順序において、処理が進む方向が変更される変曲点を少なくすることにより、注目画素の周囲における第3ドットサイズが未決定の画素の個数を、処理の進行の程度(すなわち、注目画素の位置)にかかわらず、およそ一定とすることができる。その結果、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って、ステップS143〜S152の処理の質を均一にすることができる。
画像記録装置1では、第1ハーフトーン画像データを生成する工程(ステップS12)よりも前に、演算部42によるインク抑制処理の1つとして、カラー画像にグレイ置換を行いつつ分版処理が施される(ステップS11)。これにより、各画素位置に形成される複数色のドットの重なりを抑制し、発色不良やコックリングを効率良く抑制することができる。
画像記録装置1では、画像処理部である演算部42により、元画像であるカラー画像に対して、上述のステップS11,ステップS131〜S140,ステップS141〜S154にそれぞれ示すインク抑制処理が行われ、処理済みデータである第1〜第4ハーフトーン画像データが生成される。そして、第1〜第4ハーフトーン画像データに基づいて記録ユニット3および移動機構2が制御されることにより、予めアンカーコート剤が塗布された記録媒体9に画像が記録される。これにより、上述のように、発色不良、コックリング、インクの滲み等を抑制して記録媒体9上における画質を向上することができる。
上述のように、記録媒体9にはアンカーコート剤が塗布されているため、アンカーコート剤が塗布されていない場合に比べ、記録媒体9上のドット数は増加し、ドットを記録媒体9上に定着させるための出力は増大する。そこで、画像記録装置1では、複数の吐出ヘッド32の間に仮定着ヘッド33を配置し、定着ヘッド35によるインクの定着よりも前に、仮定着ヘッド33によりインクを記録媒体9に仮定着させる。これにより、定着ヘッド35の出力を、仮定着ヘッド33が設けられない場合に比べて小さくすることができる。具体的には、定着ヘッド35から記録媒体9に向けて照射される光のエネルギーを低減することができる。その結果、インク定着時に記録媒体9に向けて照射される光による記録媒体9のダメージを低減することができる。
記録ユニット3は、上述のように、4つの吐出ヘッド32のうち記録媒体9の移動方向に隣接する各2つの吐出ヘッド32間に配置される3つの仮定着ヘッド33(すなわち、(−Y)側の3つの仮定着ヘッド33)を備える。このため、シアンのインクは、ブラックのインクのドットが仮定着された後の既記録領域に吐出され、マゼンタのインクは、シアンのインクのドットが仮定着された後の既記録領域に吐出され、イエローのインクは、マゼンタのインクのドットが仮定着された後の既記録領域に吐出される。これにより、先に吐出された色成分のインクのドットと、後から吐出された他の色成分のインクのドットとが混ざって発色不良が生じることを、より一層抑制することができる。その結果、記録媒体9上における画質をさらに向上することができる。
なお、記録ユニット3には、必ずしも4つの吐出ヘッド32が設けられる必要はない。画像記録装置1では、記録ユニット3の複数の吐出ヘッド32が3つ以上の吐出ヘッド32を含み、記録ユニット3が、当該3つ以上の吐出ヘッド32のうち記録媒体9の移動方向に隣接する各2つの吐出ヘッド32間に配置される複数の仮定着ヘッド33を備えるのであれば、上記と同様に、記録媒体9上における画質をさらに向上することができる。
記録ユニット3では、また、イエローのインクを吐出する最も(+Y)側の吐出ヘッド32の(+Y)側(すなわち、移動方向前側)にも仮定着ヘッド33が設けられる。これにより、定着ヘッド35による光の照射よりも前に、イエローのインクも記録媒体9上に仮定着する。その結果、定着ヘッド35の出力をさらに小さくすることができ、インク定着時の記録媒体9のダメージを、より一層低減することができる。
上述のように、記録ユニット3では、複数の吐出ヘッド32と複数の仮定着ヘッド33とが、記録媒体9の移動方向に沿って交互に配列されており、各吐出ヘッド421の上記移動方向前側には仮定着ヘッド33が隣接する。各仮定着ヘッド33からの出力は、各仮定着ヘッド33の上記移動方向後側に隣接する吐出ヘッド32から吐出されるインクの定着特性に合わせて決定される。具体的には、各仮定着ヘッド33から出射される光の波長が、各仮定着ヘッド33の移動方向後側に隣接する吐出ヘッド32から吐出されるインクの硬化に適した波長とされる。これにより、複数の色成分のインクの仮定着を、およそ均等に行うことができる。なお、各吐出ヘッド421の上記移動方向前側には、移動方向に沿って配列された複数の仮定着ヘッド33が隣接してもよい。
画像記録装置1では、記録ユニット3よりも上記移動方向後側に配置されるアンカーコートユニット5を備える。これにより、記録媒体9にアンカーコート剤を塗布する他の装置を準備する必要がなく、記録媒体9に対する画像の記録を容易かつ迅速に行うことができる。
画像記録装置1では、上述の演算部42によるインク抑制処理に、ステップS11,ステップS131〜S140,ステップS141〜S154のそれぞれの処理が含まれる必要はない。例えば、ステップS11の処理のみがインク抑制処理に含まれてもよく、ステップS131〜S140の処理のみがインク抑制処理に含まれてもよく、または、ステップS141〜S154の処理のみがインク抑制処理に含まれてもよい。あるいは、ステップS11,ステップS131〜S140,ステップS141〜S154のそれぞれの処理のうちいずれか2つの処理がインク抑制処理に含まれてもよい。あるいは、上記以外の様々なインク抑制処理が行われてもよい。いずれの場合も、演算部42によるインク抑制処理が行われることにより、発色不良やコックリングを効率良く抑制することができる。
画像記録装置1では、ステップS14においてステップS143〜S152が繰り返される間に、マゼンタ用のマトリクスセットの大ドット用マトリクス811、中ドット用マトリクス812および小ドット用マトリクス813のそれぞれの閾値が変更されてもよい。例えば、1つの画素位置に形成されるドットサイズの決定毎に、各閾値マトリクスの閾値に乱数が付与されることにより、各閾値マトリクスの閾値が変更される。乱数の付与は、例えば、1つの画素位置の列のドットサイズが決定される毎に行われてもよい。このように、マトリクスセットの閾値が変更されることにより、ステップS151におけるドットサイズの変更が、ハーフトーン画像領域の全体において不規則に発生する。換言すれば、上記ドットサイズの変更の発生の不規則性を増大させることができる。その結果、ドットサイズの変更に伴う意図しない規則的なパターンの出現を抑制することができる。ステップS13においても同様である。
画像記録装置1では、図14に示すように、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にて所定のサイズ以上のブラックのドットが形成されることが決定された画素位置が抽出され、抽出された画素位置に隣接する画素位置における第1閾値ドットサイズが小さくされてもよい(ステップS121)。具体的には、ステップS12にて生成された第1ハーフトーン画像データにおいて、例えば、ハーフトーン画素値が「1」以上である画素位置(すなわち、ブラックの小ドット、中ドットまたは大ドットが形成される画素位置)が抽出される。そして、抽出された画素位置の上下左右に隣接する4つの画素位置における第1閾値ドットサイズが、大ドットと小ドットとの和に対応するサイズ(対応するインク量:12pl)から、例えば、小ドットと小ドットとの和に対応するサイズ(対応するインク量:6pl)に変更される。あるいは、抽出された上記画素位置の上下左右斜めに隣接する8つの画素位置における第1閾値ドットサイズが小さくされる。なお、ステップS121では、中サイズ以上のブラックのドットが形成される画素位置が抽出されてもよく、あるいは、大サイズ以上のブラックのドットが形成される画素位置が抽出されてもよい。
これにより、所定のサイズ以上のブラックのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にシアンのドットが形成されることが抑制され、また、シアンのドットが形成される場合であってもシアンのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上に形成された後のブラックのドットの拡がりを考慮し、拡がった後のブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。
また、画像記録装置1では、図15に示すように、ステップS148とステップS149との間において、ステップS12,S13にて所定のサイズ以上のブラックまたはシアンのドットが形成されることが決定された画素位置が抽出され、抽出された画素位置に隣接する画素位置における第2閾値ドットサイズが小さくされてもよい(ステップS157)。具体的には、例えば、第1ハーフトーン画像データにおいてハーフトーン画素値が「1」以上である画素位置、および、第2ハーフトーン画像データにおいてハーフトーン画素値が「1」以上である画素位置が抽出される。すなわち、ブラックの小サイズ以上のドットが形成される画素位置、および、シアンの小サイズ以上のドットが形成される画素位置が抽出される。そして、抽出された画素位置の上下左右、または、上下左右斜めに隣接する画素位置における第2閾値ドットサイズが、基準閾値ドットサイズ(対応するインク量:18pl)または補正閾値ドットサイズ(対応するインク量:21pl)から、例えば、小サイズに等しい分(対応するインク量:3pl)だけ小さくされる。なお、ステップS157では、例えば、中サイズ以上のブラックまたはシアンのドットが形成される画素位置が抽出されてもよく、あるいは、大サイズ以上のブラックまたはシアンのドットが形成される画素位置が抽出されてもよい。
これにより、所定のサイズ以上のブラックまたはシアンのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にマゼンタのドットが形成されることが抑制され、また、マゼンタのドットが形成される場合であってもマゼンタのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上に形成された後のブラックおよびシアンのドットの拡がりを考慮し、拡がった後のブラックおよびシアンのドットとマゼンタのドットとの過剰な重なりを防止することができる。なお、ステップS157は、ステップS144〜S146よりも後、かつ、ステップS149よりも前に行われるのであれば、必ずしもステップS148とステップS149との間に行われる必要はない。
上述のように、画像記録装置1では、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの順で記録媒体9上にハーフトーン画像が記録され、当該記録順序の通りに(すなわち、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの順で)単色ハーフトーン画像データが生成される。すなわち、ブラックの単色ハーフトーン画像データが最初に生成され、その後、他の色成分の単色ハーフトーン画像データが生成される。画像記録装置1では、当該他の色成分の単色ハーフトーン画像データが生成される際に、各画素位置において、上記記録順序における当該他の色成分よりも前の色成分のドットとしてブラックのドットのみが形成されている場合、当該ブラックのドットのサイズと当該他の色成分のドットのサイズとの合計が、所定の最大ドットサイズ以下とされる。そして、当該他の色成分が対象色成分である場合、当該他の色成分が対象色成分以外の色成分である場合に比べて、当該最大ドットサイズが大きくされる。
具体的には、上記他の色成分がシアンまたはイエローである場合、最大ドットサイズは、例えば、対応インク量が12plとなるサイズとされる。上記他の色成分が対象色成分であるマゼンタである場合、最大ドットサイズは、例えば、対応インク量が15plとなるサイズとされる。したがって、各画素位置において、ブラックのドットの次にシアンのドットが記録される場合、ブラックのドットのサイズとシアンのドットのサイズとの合計は、対応インク量が12plとなるサイズ(例えば、中サイズと中サイズとの合計)とされる。また、各画素位置において、ブラックのドットの次に、シアンおよびマゼンタのドットが記録されず、イエローのドットが記録される場合、ブラックのドットのサイズとイエローのドットのサイズとの合計は、対応インク量が12plとなるサイズ(例えば、大サイズと小サイズとの合計)とされる。
一方、各画素位置において、ブラックのドットの次に、シアンのドットが記録されず、マゼンタのドットが記録される場合、ブラックのドットのサイズとマゼンタのドットのサイズとの合計は、対応インク量が15plとなるサイズ(例えば、中サイズと大サイズとの合計)とされる。記録媒体9上では、ブラックのドットと重なる他の色成分のドットはあまり認識されないが、ブラックのドットのサイズがある程度のサイズ以下であれば、当該他の色成分もある程度は発色する。そこで、上述のように、ブラックのドットのサイズと他の色成分のドットのサイズとの合計の上限値(すなわち、上記最大サイズ)について、対象色成分に係る上限値を他の色成分に係る上限値よりも大きくすることにより、対象色成分のマゼンタのドットがブラックのドットの次に記録される場合に、マゼンタのドットの発色を良くすることができる。その結果、ブラックのドットの次に記録される他の色成分のドットについて、当該他の色成分が、インク濃度がシアンおよびイエローよりも低いマゼンタである場合であっても、当該他の色成分がシアンおよびイエローである場合と同程度の発色を実現することができる。
また、画像記録装置1では、ブラックのドットが形成された画素位置には、シアンやマゼンタ等、他の色成分のドットを形成しないようにしてもよい。この場合、図16に示すように、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第1閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされる(ステップS122)。これにより、ステップS135において、ブラックのドットが形成される画素位置における第1合計ドットサイズが、仮決定されたシアンのドットサイズである第2ドット仮サイズがゼロサイズである場合を除き、必ず、第1閾値ドットサイズよりも大きくなる。したがって、ブラックのドットが形成される画素位置にシアンのドットは形成されない。その結果、シアンのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像においてシアンの発色を良くすることができる。
さらに、図17に示すように、ステップS148とステップS149との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第2閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされる(ステップS158)。これにより、ステップS149において、ブラックのドットが形成される画素位置における第2合計ドットサイズが、仮決定されたマゼンタのドットサイズである第2ドット仮サイズがゼロサイズである場合を除き、必ず、第2閾値ドットサイズよりも大きくなる。これにより、ブラックのドットが形成される画素位置にマゼンタのドットは形成されない。その結果、マゼンタのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像においてマゼンタの発色を良くすることができる。なお、ステップS158は、ステップS144〜S146よりも後、かつ、ステップS149よりも前に行われるのであれば、必ずしもステップS148とステップS149との間に行われる必要はない。
画像記録装置1では、画像の記録に利用されるインクは光硬化型インクには限定されない。画像記録装置1では、例えば、複数の吐出ヘッド32から吐出されるインクは酸化重合型インクであってもよい。当該インクは、いわゆる水性インクであっても油性インクであってもよい。画像記録装置1において酸化重合型インクが利用される場合、記録媒体9として、例えば印刷用紙が利用される。アンカーコートユニット5により記録媒体9に塗布されるアンカーコート剤も、例えば、酸化重合型インクの記録媒体9上における拡がりを抑制するものが利用される。
記録媒体9上に付与された酸化重合型インクは、各仮定着ヘッド33により加熱されることにより記録媒体9上に仮定着し、定着ヘッド35により加熱されることにより記録媒体9上に定着する。各仮定着ヘッド33および定着ヘッド35としては、例えばヒータが利用される。仮定着ヘッド33が設けられることにより、定着ヘッド35の出力を小さくすることができる。具体的には、定着ヘッド35による記録媒体9の加熱温度を低減することができる。その結果、インク定着時の加熱による記録媒体9のダメージを低減することができる。
各仮定着ヘッド33からの出力は、各仮定着ヘッド33の上記移動方向後側に隣接する吐出ヘッド32から吐出される酸化重合型インクの定着特性に合わせて決定されることが好ましい。具体的には、各仮定着ヘッド33による記録媒体9の加熱温度が、各仮定着ヘッド33の移動方向後側に隣接する吐出ヘッド32から吐出される酸化重合型インクの硬化に適した温度とされる。これにより、複数の色成分の酸化重合型インクの仮定着を、およそ均等に行うことができる。
画像記録装置1では、例えば、複数の吐出ヘッド32から吐出されるインクはハイブリッド型インクであってもよい。ハイブリッド型インクとは、光硬化型インクの硬化特性(すなわち、記録媒体9に対する定着特性)と酸化重合型インクの硬化特性とを併せ持つインクである。したがって、ハイブリッド型インクの硬化は、光の照射と加熱とにより行われる。画像記録装置1においてハイブリッド型インクが利用される場合、記録媒体9として、例えばフィルムや印刷用紙が利用される。アンカーコートユニット5により記録媒体9に塗布されるアンカーコート剤も、例えば、ハイブリッド型インクの記録媒体9上における拡がりを抑制するものが利用される。
記録媒体9上に付与されたハイブリッド型インクは、各仮定着ヘッド33により加熱されるとともに光(例えば、紫外線)が照射されることにより、記録媒体9上に仮定着する。また、記録媒体9上のハイブリッド型インクは、定着ヘッド35により加熱されるとともに光(例えば、紫外線)が照射されることにより、記録媒体9上に定着する。仮定着ヘッド33が設けられることにより、定着ヘッド35の出力を小さくすることができる。具体的には、定着ヘッド35による記録媒体9の加熱温度、および、定着ヘッド35から記録媒体9に向けて照射される光のエネルギーを低減することができる。その結果、インク定着時の記録媒体9のダメージを低減することができる。
各仮定着ヘッド33からの出力は、各仮定着ヘッド33の上記移動方向後側に隣接する吐出ヘッド32から吐出されるハイブリッド型インクの定着特性に合わせて決定されることが好ましい。具体的には、各仮定着ヘッド33による記録媒体9の加熱温度、および、各仮定着ヘッド33から出射される光の波長が、各仮定着ヘッド33の移動方向後側に隣接する吐出ヘッド32から吐出されるハイブリッド型インクの硬化に適した温度および波長とされる。これにより、複数の色成分のハイブリッド型インクの仮定着を、およそ均等に行うことができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る画像記録装置について説明する。第2の実施の形態に係る画像記録装置は、図1に示す画像記録装置1とほぼ同様の構成を備え、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。また、当該画像記録装置では、上述の光硬化型インク、酸化重合型インクおよびハイブリッド型インクのいずれが利用されてもよい。第2の実施の形態に係る画像記録装置では、制御ユニット4の機能は図3に示すものと同様であり、画像を記録する動作は図5.Aおよび図5.Bに示すものと同様である。ただし、以下に説明するように、第2ハーフトーン画像データ生成部426および第3ハーフトーン画像データ生成部427の機能、並びに、ステップS13,S14の詳細な流れが、第1の実施の形態とは一部異なる。
図18および図20はそれぞれ、第2の実施の形態に係る第2ハーフトーン画像データ生成部426および第3ハーフトーン画像データ生成部427の機能を示すブロック図である。図18および図20に示すように、第2ハーフトーン画像データ生成部426および第3ハーフトーン画像データ生成部427では、画素値変更部465,475(図8,12参照)に代えて仮サイズ変更部465a,475aが設けられる。図19.Aおよび図19.B、並びに、図21.Aおよび図21.Bは、ステップS13,S14の詳細な流れを示す図である。
図18に示す第2ハーフトーン画像データ生成部426では、ステップS131と同様に、画像メモリ421からシアンの階調画像が読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部461に記憶される(ステップS231)。続いて、仮サイズ決定部462により、第2色成分画像であるシアンの階調画像の各画素の画素値と、シアンに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、ステップS12におけるブラックの階調画像の網掛け処理と同様に、シアンの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、シアンの階調画像がハーフトーン化される)。これにより、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成されるシアンの複数のドットのサイズが仮決定される(ステップS232)。
次に、シアンの階調画像において、一の画素が注目画素として選択され(ステップS233)、ドットサイズ積算部463により、注目画素に対応する注目画素位置に形成されるブラックのドットのサイズである第1ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425から取得される。そして、注目画素位置についてステップS232にて仮決定されたシアンのドットのサイズである第2ドット仮サイズと、上記第1ドットサイズとの合計である第1合計ドットサイズが求められる(ステップS234)。
サイズ決定部464では、第1合計ドットサイズと、第1閾値ドットサイズ記憶部467に予め記憶されている第1閾値ドットサイズが比較される(ステップS235)。第1合計ドットサイズと第1閾値ドットサイズとの比較は、ステップS135と同様に、両ドットサイズに対応するインク量、または、ハーフトーン画素値が比較されることにより行われる。
第1合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズ以下である場合、注目画素位置に形成されるシアンのドットのサイズである第2ドットサイズが、サイズ決定部464により、第2ドット仮サイズに等しいサイズに決定される(ステップS236)。一方、第1合計ドットサイズが第1閾値ドットサイズよりも大きい場合、第2ドットサイズは、ステップS137と同様に、第1閾値ドットサイズと第1ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズに決定される(ステップS237)。
ステップS235において第1合計ドットサイズが、第1閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS237に続いて、シアンの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置のうち第2ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置に位置する画素(以下、「周辺画素群」という。)が抽出される。周辺画素群に含まれる周辺画素は、注目画素と所定の位置関係を有する画素であり、本実施の形態では、周辺画素群は、図10に示すように、注目画素702の右側および下側に隣接する2つの周辺画素703を含む。そして、仮サイズ変更部465aにより、周辺画素群の第2ドット仮サイズが、注目画素位置における第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS238)。
例えば、第2ドット仮サイズが大サイズ(対応するインク量:9pl)であり、第2ドットサイズが小サイズ(対応するインク量:3pl)である場合、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、9−3=6plである。6plのインク量は、2つの周辺画素703に均等に分配され、各周辺画素703の第2ドット仮サイズに対応するインク量に3plが加算される。これにより、各周辺画素703の第2ドット仮サイズが、1サイズ大きいサイズに変更される。例えば、変更前の第2ドット仮サイズがゼロサイズであれば、第2ドット仮サイズは小サイズに変更される。また、変更前の第2ドット仮サイズが小サイズであれば中サイズに変更され、変更前の第2ドット仮サイズが中サイズであれば大サイズに変更される。なお、変更前の第2ドット仮サイズが大サイズの場合は、第2ドット仮サイズは変更されない。この場合、第2ドット仮サイズの変更に利用されなかったインク量は、他の周辺画素703の第2ドット仮サイズの変更に利用されてもよい。
また、例えば、第2ドット仮サイズが中サイズ(対応するインク量:6pl)であり、第2ドットサイズが小サイズ(対応するインク量:3pl)である場合、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に対応するインク量は、6−3=3plである。3plのインク量は、2つの周辺画素703に均等に分配され、各周辺画素703の第2ドット仮サイズに対応するインク量に1.5plが加算される。1.5plのインク量は、ドットサイズの差(すなわち、大サイズと中サイズとの差、中サイズと小サイズとの差、および、小サイズとゼロサイズとの差)の1/2に対応するため、各周辺画素703に係るインク量は、画像記録装置1にて表現可能なドットサイズに対応しない。この場合、例えば、各周辺画素703の第2ドット仮サイズに対応するインク量に3plを加算して第2ドット仮サイズを1サイズ大きくするとともに、各周辺画素703が注目画素になった場合の周辺画素から、各周辺画素703に余分に加算した1.5plを減算する。
注目画素位置の第2ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の第2ドット仮サイズの変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(図11参照)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS239,S240)。そして、ステップS234に戻り、新たな注目画素について、ステップS234〜S238の処理が行われる。図11に示すように、ステップS234〜S238の処理は、ハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。ステップS234〜S238の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、図18に示す繰り返し制御部466による制御により、シアンの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第2ドットサイズが決定されるまで、ステップS234〜S240が繰り返される。これにより、シアンの画像の記録に利用される第2ハーフトーン画像データが生成される。
第2ハーフトーン画像データの生成が終了すると、図20に示す閾値ドットサイズ決定部478により、上述のカラー画像の各画素位置について第2閾値ドットサイズが決定される。具体的には、ステップS143〜S146と同様に、グレイ置換後のカラー画像において各画素位置に対応する各画素の色相が求められる(ステップS241)。そして、各画素の色相が上述の第1の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズが基準閾値ドットサイズに決定され、各画素の色相が上述の第2の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズが補正閾値ドットサイズに決定される(ステップS242〜S244)。各画素位置の第2閾値ドットサイズは、第2閾値ドットサイズ記憶部477に記憶される。
続いて、ステップS141と同様に、対象色成分であるマゼンタの階調画像が画像メモリ421から読み込まれ、各画素の画素値が画素値記憶部471に記憶される(ステップS245)。そして、仮サイズ決定部472により、第3色成分画像であるマゼンタの階調画像の各画素の画素値と、マゼンタに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、ステップS232と同様に、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われる(すなわち、マゼンタの階調画像がハーフトーン化される)。これにより、ハーフトーン画像領域の複数の画素位置にそれぞれ形成されるマゼンタの複数のドットのサイズが仮決定される(ステップS246)。
次に、マゼンタの階調画像において、一の画素が注目画素として選択され(ステップS247)、ドットサイズ積算部473により、注目画素位置における第1ドットサイズおよび第2ドットサイズが、第1ハーフトーン画像データ生成部425および第2ハーフトーン画像データ生成部426から取得される。第1ドットサイズおよび第2ドットサイズの合計を、上記と同様に「前合計ドットサイズ」と呼ぶ。そして、注目画素位置についてステップS246にて仮決定されたマゼンタのドットのサイズ(すなわち、仮ドットサイズ)である第3ドット仮サイズと、前合計ドットサイズとの合計である第2合計ドットサイズが求められる(ステップS248)。
サイズ決定部464では、第2合計ドットサイズと、第2閾値ドットサイズ記憶部477に予め記憶されている第2閾値ドットサイズが比較される(ステップS249)。第2合計ドットサイズと第2閾値ドットサイズとの比較は、ステップS235と同様に、両ドットサイズに対応するインク量、または、ハーフトーン画素値が比較されることにより行われる。注目画素位置の色相が上述の第1の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズは基準閾値ドットサイズ(対応するインク量:18pl)に等しい。また、注目画素位置の色相が、第1の色相範囲よりも対象色成分であるマゼンタの色味が強い(すなわち、赤方向の色味が強い)上述の第2の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズは補正閾値ドットサイズ(対応するインク量:21pl)に等しい。
第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズ以下である場合、ステップS150と同様に、注目画素位置に形成されるマゼンタのドットのサイズである第3ドットサイズが、サイズ決定部474により、第3ドット仮サイズに等しいサイズに決定される(ステップS250)。一方、第2合計ドットサイズが第2閾値ドットサイズよりも大きい場合、第3ドットサイズは、ステップS151と同様に、第2閾値ドットサイズと、前合計ドットサイズとの差以下の範囲で最も大きいドットサイズに決定される(ステップS251)。
ステップS249において第2合計ドットサイズが、第2閾値ドットサイズよりも大きいと判断された場合、ステップS251に続いて、マゼンタの階調画像において、注目画素の周囲の画素位置のうち第3ドットサイズが未決定の1つ以上の画素位置に位置する画素である周辺画素群が抽出される。周辺画素群に含まれる周辺画素は、上述のように、注目画素と所定の位置関係を有する画素であり、本実施の形態では、周辺画素群は、図10に示すように、注目画素702の右側および下側に隣接する2つの周辺画素703を含む。そして、仮サイズ変更部475aにより、周辺画素群の第3ドット仮サイズが、ステップS238と同様に、注目画素位置における第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差に基づいて変更される(ステップS252)。
注目画素位置の第3ドットサイズが決定され、必要に応じて周辺画素群の第3ドット仮サイズの変更が行われると、複数の画素位置751について予め定められた処理順序(図11参照)に従って、注目画素が次の画素に変更される(ステップS253,S254)。そして、ステップS248に戻り、新たな注目画素について、ステップS248〜S252の処理が行われる。図11に示すように、ステップS248〜S252の処理は、ステップS234〜S238と同様に、ハーフトーン画像領域75の横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。ステップS248〜S252の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われてもよい。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、図20に示す繰り返し制御部476による制御により、マゼンタの階調画像の全ての画素に対応する画素位置751について第3ドットサイズが決定されるまで、ステップS248〜S254が繰り返される。これにより、対象色成分であるマゼンタの画像の記録に利用される単色ハーフトーン画像データである第3ハーフトーン画像データが生成される。第3ハーフトーン画像データ生成部427は、対象色成分の単色ハーフトーン画像データを生成する対象色成分ハーフトーン画像データ生成部である。
以上に説明したように、第2の実施の形態に係る画像記録装置では、画像処理部である演算部42によるインク抑制処理に、上述のステップS231〜S240が含まれる。具体的には、シアン(第2の色成分)のドットサイズを示す第2ハーフトーン画像データを生成する際に、第1の実施の形態と同様に、ブラック(第1の色成分)のドットサイズを示す第1ハーフトーン画像データを参照しつつ、シアンの階調画像に網掛け処理が行われる。そして、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ(第1ドットサイズ)とシアンのドットサイズ(第2ドットサイズ)との合計である前合計ドットサイズが、所定の第1閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、ブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラックのインクとシアンのインクとの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
また、前合計ドットサイズを第1閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたシアンのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の第2ドット仮サイズが、注目画素位置におけるシアンのドットサイズの変更量(すなわち、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、シアンのドットサイズの変更による影響を補正し、シアンの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、マゼンタ(第3の色成分)のドットサイズを示す第3ハーフトーン画像データを生成する際に、第1ハーフトーン画像データおよび第2ハーフトーン画像データを参照しつつ、マゼンタの階調画像に網掛け処理が行われる。そして、各画素位置に形成されるブラックのドットサイズ、シアンのドットサイズおよびマゼンタのドットサイズ(第3ドットサイズ)の合計が、所定の第2閾値ドットサイズ以下とされる。これにより、ブラック、シアンおよびマゼンタのドットの過剰な重なりを防止することができる。その結果、ブラック、シアンおよびマゼンタのインクの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
また、ブラック、シアンおよびマゼンタのドットサイズの合計を第2閾値ドットサイズ以下とするために、マトリクスセットとの比較により仮決定されたマゼンタのドットサイズが変更される場合、ドットサイズが変更される注目画素の周囲に位置する周辺画素群の第3ドット仮サイズが、注目画素位置におけるマゼンタのドットサイズの変更量(すなわち、第3ドット仮サイズと第3ドットサイズとの差)に基づいて変更される。これにより、マゼンタのドットサイズの変更による影響を補正し、マゼンタの階調画像を記録媒体9上に精度良く表現することができる。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、演算部42によるインク抑制処理に、上述のステップS241〜S254が含まれる。具体的には、第1の実施の形態と同様に、カラー画像において各画素位置751に対応する各画素の色相が求められ、対象色成分(マゼンタ)に係る各画素位置751の閾値ドットサイズである第2閾値ドットサイズが、各画素の色相に応じて変更される。より具体的には、各画素の色相が、他の色成分の色味が対象色成分の色味よりも強い上述の第1の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズは基準閾値ドットサイズに決定される。また、各画素の色相が、対象色成分の色味が強い上述の第2の色相範囲内に含まれる場合、第2閾値ドットサイズは、基準閾値ドットサイズよりも大きい補正閾値ドットサイズに決定される。
これにより、対象色成分の色味が強い領域を描画する際に、複数の色成分のドットの重なりを抑制して発色不良やコックリングを抑制しつつ、各画素位置における対象色成分のインクの付与量を、上述の比較例の画像記録装置に比べて増大させることができる。このため、インク濃度が低い対象色成分の発色を良くすることができ、他の色成分(シアンおよびイエロー)と同程度の発色を実現することができる。その結果、対象色成分の色味が強い領域の描画においても、所望の色相を表現することができる。なお、画像記録装置1では、対象色成分の色味があまり強くない領域を描画する際にも、各画素位置における複数の色成分のドットの重なりを抑制し、インクの混合による発色不良やコックリングを抑制することができる。
上述のように、ステップS248〜S252の処理は、ハーフトーン画像領域75の縦方向または横方向の画素位置751の列において、一方の端部の画素位置751から他方の端部の画素位置751へと順次行われる。これにより、第1の実施の形態と同様に、注目画素の周囲における第3ドットサイズが未決定の画素の個数を、処理の進行の程度(すなわち、注目画素の位置)にかかわらず、およそ一定とすることができる。その結果、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って、ステップS248〜S252の処理の質を均一にすることができる。ステップS234〜S238においても同様に、ハーフトーン画像領域のおよそ全域に亘って処理の質を均一にすることができる。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、画像処理部である演算部42により、元画像であるカラー画像に対して、上述のステップS11,ステップS231〜S240,ステップS241〜S254にそれぞれ示すインク抑制処理が行われ、処理済みデータである第1〜第4ハーフトーン画像データが生成される。そして、第1〜第4ハーフトーン画像データに基づいて記録ユニット3および移動機構2が制御されることにより、予めアンカーコート剤が塗布された記録媒体9に画像が記録される。これにより、上述のように、発色不良、コックリング、インクの滲み等を抑制して記録媒体9上における画質を向上することができる。
第2の実施の形態に係る画像記録装置でも、図1に示す画像記録装置1と同様に、複数の吐出ヘッド32の間に仮定着ヘッド33を配置し、定着ヘッド35によるインクの定着よりも前に、仮定着ヘッド33によりインクを記録媒体9に仮定着させる。これにより、定着ヘッド35の出力を小さくすることができる。具体的には、画像の記録に光硬化型インクが利用される場合は、定着ヘッド35から記録媒体9に向けて照射される光のエネルギーを低減することができる。また、画像の記録に酸化重合型インクが利用される場合は、定着ヘッド35による記録媒体9の加熱温度を低減することができる。画像の記録にハイブリッド型インクが利用される場合は、定着ヘッド35による記録媒体9の加熱温度、および、定着ヘッド35から記録媒体9に向けて照射される光のエネルギーを低減することができる。その結果、いずれの場合も、インク定着時の記録媒体9のダメージを低減することができる。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、上述の演算部42によるインク抑制処理に、ステップS11,ステップS231〜S240,ステップS241〜S254のそれぞれの処理が含まれる必要はない。例えば、ステップS11の処理のみがインク抑制処理に含まれてもよく、ステップS231〜S240の処理のみがインク抑制処理に含まれてもよく、または、ステップS241〜S254の処理のみがインク抑制処理に含まれてもよい。あるいは、ステップS11,ステップS231〜S240,ステップS241〜S254のそれぞれの処理のうちいずれか2つの処理がインク抑制処理に含まれてもよい。あるいは、上記以外の様々なインク抑制処理が行われてもよい。いずれの場合も、演算部42によるインク抑制処理が行われることにより、発色不良やコックリングを効率良く抑制することができる。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にて所定のサイズ以上のブラックのドットが形成されることが決定された画素位置が抽出され、抽出された画素位置に隣接する画素位置における第1閾値ドットサイズが小さくされてもよい(図14:ステップS121)。これにより、所定のサイズ以上のブラックのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にシアンのドットが形成されることが抑制され、また、シアンのドットが形成される場合であってもシアンのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上において拡がった後のブラックのドットとシアンのドットとの過剰な重なりを防止することができる。
また、ステップS248とステップS249との間において、図15のステップS157と同様に、ステップS12,S13にて所定のサイズ以上のブラックまたはシアンのドットが形成されることが決定された画素位置が抽出され、抽出された画素位置に隣接する画素位置における第2閾値ドットサイズが小さくされてもよい。これにより、所定のサイズ以上のブラックまたはシアンのドットが形成される画素位置に隣接する画素位置にマゼンタのドットが形成されることが抑制され、また、マゼンタのドットが形成される場合であってもマゼンタのドットのサイズが小さくなる。その結果、記録媒体9上に形成された後のブラックおよびシアンのドットの拡がりを考慮し、拡がった後のブラックおよびシアンのドットとマゼンタのドットとの過剰な重なりを防止することができる。なお、上述の第2閾値ドットサイズの変更は、ステップS241〜S244よりも後、かつ、ステップS249よりも前に行われるのであれば、必ずしもステップS248とステップS249との間に行われる必要はない。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、ブラックの単色ハーフトーン画像データが最初に生成され、その後、他の色成分の単色ハーフトーン画像データが生成される。そして、当該他の色成分の単色ハーフトーン画像データが生成される際に、各画素位置において、上記記録順序における当該他の色成分よりも前の色成分のドットとしてブラックのドットのみが形成されている場合、当該ブラックのドットのサイズと当該他の色成分のドットのサイズとの合計が、所定の最大ドットサイズ以下とされる。また、当該他の色成分が対象色成分である場合、当該他の色成分が対象色成分以外の色成分である場合に比べて、当該最大ドットサイズが大きくされる。
このように、ブラックのドットのサイズと他の色成分のドットのサイズとの合計の上限値(すなわち、上記最大サイズ)について、対象色成分に係る上限値をそれ以外の色成分に係る上限値よりも大きくすることにより、対象色成分のマゼンタのドットがブラックのドットの次に記録される場合に、マゼンタのドットの発色を良くすることができる。その結果、ブラックのドットの次に記録される他の色成分のドットについて、当該他の色成分が、インク濃度がシアンおよびイエローよりも低いマゼンタである場合であっても、当該他の色成分がシアンおよびイエローである場合と同程度の発色を実現することができる。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、ブラックのドットが形成された画素位置には、シアンやマゼンタ等、他の色成分のドットを形成しないようにしてもよい。この場合、ステップS12とステップS13との間において、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第1閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされる(図16:ステップS122)。これにより、シアンのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像においてシアンの発色を良くすることができる。
また、ステップS248とステップS249との間において、図17に示すステップS158と同様に、ステップS12にてブラックのドットが形成されることが決定された画素位置の第2閾値ドットサイズが、当該ブラックのドットサイズに等しくされる。これにより、マゼンタのドットがブラックのドットと重なることが防止され、記録媒体9に記録される画像においてマゼンタの発色を良くすることができる。なお、第2閾値ドットサイズをブラックのドットサイズに等しくする処理は、ステップS241〜S244よりも後、かつ、ステップS249よりも前に行われるのであれば、必ずしもステップS248とステップS249との間に行われる必要はない。
上述の画像記録装置では、様々な変更が可能である。
例えば、大ドット、中ドットおよび小ドットにそれぞれ対応するインクの液滴の量は、適宜変更されてよい。また、図4に示すマトリクスセットの特性も適宜変更されてよい。さらに、ゼロサイズを除く各色のインクのドットサイズは、必ずしも、大サイズ、中サイズ、小サイズの3種類である必要はなく、1種類、2種類または4種類以上であってもよい。
上述の第1閾値ドットサイズは、対応インク量が12plであるドットサイズには限定されず、適宜変更されてよい。第2閾値ドットサイズに係る基準閾値ドットサイズおよび補正閾値ドットサイズも、対応インク量が18plおよび21plであるドットサイズには限定されず、適宜変更されてよい。
ステップS138,S152における周辺画素群の画素値の変更では、上述の積算結果に係数(例えば、0.8)を積算した画素値を周辺画素703に均等に分配して加算してもよい。ステップS238における周辺画素群の第2ドット仮サイズの変更では、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差に係数(例えば、0.8)を積算したものを周辺画素703に均等に分配してもよい。ステップS252における第3ドット仮サイズの変更においても同様である。
上記実施の形態では、周辺画素群に含まれる周辺画素は、注目画素の右側および下側に隣接する2つの画素であるが、注目画素と周辺画素との位置関係は、様々に変更されてよい。さらに、周辺画素の画素値または仮ドットサイズの変更量も適宜変更されてよい。例えば、ステップS138において、注目画素の右側、右斜め下、下側、左斜め下に隣接する4つの画素が周辺画素とされてもよい。ステップS152,S238,S252においても同様である。この場合、ステップS138では、例えば、第2ドット仮サイズと第2ドットサイズとの差を第2ドット仮サイズで除算した値を、注目画素702の画素値に対して積算し、積算結果の7/16が、注目画素の右側に隣接する周辺画素の画素値に加算される。また、注目画素の右斜め下、下側、左斜め下に隣接する周辺画素の画素値には、上記積算結果の1/16、5/16および3/16がそれぞれ加算される。周辺画素は、必ずしも注目画素に隣接する必要はなく、注目画素の周囲の画素位置に位置する画素であれば、注目画素から離間した画素であってもよい。
注目画素が画像のエッジ近傍に位置し、周辺画素群に含まれる周辺画素の一部が存在しない場合、ステップS138,S152では、ドットサイズの変更により周辺画素群に分配される画素値のうち、存在しない周辺画素に加算される予定であった画素値が、存在する周辺画素に分配されて加算されてもよい。また、ドットサイズの変更により周辺画素群に分配される画素値のうち、存在する周辺画素に対応する一部の画素値のみが、存在する周辺画素に加算されてもよい。ステップS238,S252における周辺画素の仮ドットサイズの変更においても同様である。
ステップS133〜S138,S143〜S152,S234〜S238,S248〜S252の処理が行われる画素位置の順序である処理順序は、図11に示すものには限定されず、例えば、ペアノ曲線やヒルベルト曲線に沿って処理順序が定められてもよい。
第1の実施の形態に係る画像記録装置1では、第2の実施の形態と同様に、図13.AにおけるステップS143〜S146に代えて、ステップS142よりも前に、各画素位置の第2閾値ドットサイズの決定が行われてもよい。この場合、ステップS141よりも前に、あるいは、ステップS141とステップS142との間にて、カラー画像において各画素位置に対応する各画素の色相が求められる。そして、各画素の色相が上述の第1の色相範囲内に含まれる場合、各画素位置の第2閾値ドットサイズが基準閾値ドットサイズに決定され、各画素の色相が上述の第2の色相範囲内に含まれる場合、各画素位置の第2閾値ドットサイズが補正閾値ドットサイズに決定される。
第2の実施の形態に係る画像記録装置では、第1の実施の形態と同様に、図21.AにおけるステップS241〜S244に代えて、例えば、ステップS248とステップS249との間において、注目画素位置の第2閾値ドットサイズの決定が行われてもよい。この場合、カラー画像において注目画素位置に対応する注目画素の色相が求められる。そして、注目画素の色相が上述の第1の色相範囲内に含まれる場合、注目画素位置の第2閾値ドットサイズが基準閾値ドットサイズに決定され、注目画素の色相が上述の第2の色相範囲内に含まれる場合、注目画素位置の第2閾値ドットサイズが補正閾値ドットサイズに決定される。
画像データ生成部423では、ステップS15において、ステップS13,S14と同様に、第1ハーフトーン画像データ、第2ハーフトーン画像データおよび第3ハーフトーン画像データを参照しつつ、イエローの階調画像の各画素の画素値と、イエローに対応するマトリクスセットの閾値とが比較されることにより、イエローの階調画像に網掛け処理が行われて第4ハーフトーン画像データが生成されてもよい。
マトリクス記憶部422に記憶される閾値マトリクスは、規則的に配列されたドットの集合であるクラスタの大きさを変えることにより階調を表現するAM(Amplitude Modulated)スクリーニングに用いられるものであってもよい。ステップS12,S15では、必ずしも閾値マトリクス法が用いられる必要はなく、例えば、階調画像に誤差拡散法により網掛け処理を行うことにより、第1ハーフトーン画像データおよび第4ハーフトーン画像データが生成されてもよい。
ステップS133,S147でも、必ずしも閾値マトリクス法が用いられる必要はなく、例えば、階調画像に対して誤差拡散法により網掛け処理を行うことにより、注目画素位置に形成されるドットのサイズが仮決定されてもよい。具体的には、注目画素の画素値と、注目画素位置に設定されている所定の閾値とが比較され、注目画素位置に形成されるドットのサイズが仮決定された後、注目画素の画素値と、仮決定されたドットのサイズに対応する画素値との差が、次の注目画素の画素値に加算される。この場合も、ステップS133〜S138,S143〜S152が繰り返される間に閾値の変更を行うことにより、ドットサイズの変更に伴う意図しない規則的なパターンの出現を抑制することができる。ステップS232,S246においても同様に、必ずしも閾値マトリクス法が用いられる必要はなく、例えば、階調画像に対して誤差拡散法により網掛け処理を行うことにより、ドットのサイズが仮決定されてもよい。
画像データ生成部423では、シアンのドットのサイズを示す第2ハーフトーン画像データは、第1ハーフトーン画像データを参照することなく生成されてもよい。これにより、第2ハーフトーン画像データの生成を簡素化することができる。
上記実施の形態では、ステップS11においてカラー画像にグレイ置換を行いつつ分版処理が施され、その後、ステップS14において、カラー画像の各画素位置に対応する各画素の色相が求められるが、当該各画素の色相は、グレイ置換が行われる前のカラー画像において求められてもよい。
第1の色相範囲および第2の色相範囲は、上述の範囲に限定されるものではなく、適宜変更されてよい。また、第1の色相範囲および第2の色相範囲は、L*a*b*表色系以外の表色系により表現されてもよい。
上述の画像記録装置では、複数の色成分のドットの記録媒体9に対する記録順序は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの順には限定されず、適宜変更されてよい。また、画像データ生成部423による複数の色成分の単色ハーフトーン画像データの生成順序も適宜変更されてよい。
上述の対象色成分は、ブラックおよびマゼンタ以外の色成分(すなわち、シアンまたはイエロー)であってもよい。例えば、シアンが対象色成分である場合、各画素位置においてシアンに係る第1閾値ドットサイズが、各画素の色相に基づいて変更される。具体的には、青方向の色味が強い場合には、あまり強くない場合に比べて第1閾値ドットサイズが大きくされる。
上述の画像記録装置では、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエロー以外の他の色成分(例えば、ライトシアンやライトマゼンタ)のインクがドットの記録に利用されてもよい。この場合、対象色成分は、当該他の色成分であってもよい。また、ブラック以外の2つ以上の色成分が対象色成分とされ、各対象色成分に係る閾値ドットサイズ(すなわち、対象色成分のドットよりも前に記録される各色成分のドットサイズの合計と、対象色成分のドットサイズとの和の上限)が、各画素の色相に基づいて変更されてもよい。
上記実施の形態では、対象色成分(マゼンタ)の単色ハーフトーン画像データが生成される前に、2つの色成分(ブラックおよびシアン)の単色ハーフトーン画像データが生成される。画像記録装置では、これには限定されず、対象色成分の単色ハーフトーン画像データの生成前に、カラー画像の複数の色成分に含まれる1つ以上の色成分について単色ハーフトーン画像データがそれぞれ生成されていればよい。1つ以上の色成分の単色ハーフトーン画像データは、1つ以上の単色ハーフトーン画像データ生成部によりそれぞれ生成される。カラー画像の複数の色成分とは、カラー画像に含まれる複数の単色画像に対応する複数の色成分を意味する。対象色成分は、当該複数の色成分に含まれるとともに、当該複数の色成分のうち、上記1つ以上の色成分以外の1つの色成分である。対象色成分のインク濃度は、上述のように、当該1つ以上の色成分のインク濃度よりも低い。
この場合、対象色成分の単色ハーフトーン画像データが生成される際には、当該1つ以上の色成分の単色ハーフトーン画像データを参照しつつ、対象色成分の画像に網掛け処理が行われる。また、前合計ドットサイズは、注目画素位置751に形成される当該1つ以上の色成分の各ドットのサイズの合計である。
当該1つ以上の色成分には、上述のように、様々な色成分が含まれてよいが、図16に示すステップS122、または、図17に示すステップS158が行われる際には、当該1つ以上の色成分はブラックを含む。一方、図14に示すステップS121、または、図15に示すステップS157が行われる際には、当該1つ以上の色成分は、必ずしもブラックを含む必要はない。ステップS121およびステップS157では、記録媒体9上に先に記録される色成分のドットの拡がりが考慮され、先に記録されて拡がった後のドットと後から記録される他の色成分のドットとの過剰な重なりを防止することができる。
また、記録ユニット3では、上記1つ以上の色成分のインクの微小液滴をそれぞれ吐出して当該1つ以上の色成分のドットを記録媒体上にそれぞれ記録する1つ以上の吐出ヘッド32(すなわち、吐出部)が設けられる。当該1つ以上の吐出ヘッド32は、上記1つ以上の色成分の単色ハーフトーン画像データに基づいてそれぞれ制御される。
上記実施の形態に係る画像記録装置では、ハーフトーン画像データの生成および印刷動作は並行して行われる必要はなく、出力制御部41内に十分大きなメモリを設けることが可能であれば、カラー画像全体のハーフトーン画像データの生成が完了してから画像記録動作が開始されてもよい。
上述の画像記録装置では、記録媒体9が記録ユニット3に対してY方向に相対的に移動するのであれば、例えば、停止している記録媒体9の上方にて、記録ユニット3が移動機構2によりY方向に移動してもよい。画像記録装置の上記構造は、例えば、複数の記録媒体にカラー画像を順次記録する枚葉式の画像記録装置に適用されてもよい。記録媒体9は、フィルムや印刷用紙以外であってもよく、例えば、金属薄板が記録媒体9として利用される。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。