JP5611858B2 - インク組成物および画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような紫外線硬化性の水系インクに適用可能な水溶性の重合性化合物として、長鎖の水溶性基を含む重合性化合物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また生体適合性素材を形成するための架橋性モノマーとして、ある種のアクリルアミド化合物が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
<1> (メタ)アクリルアミド基、マレイミド基、ビニルスルホン基、およびN−ビニルアミド基からなる群から選択される2つ以上の重合性官能基を有し、1分子中の前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が175以下であり、下記一般式(IVa)または下記一般式(IVb)で表される部分構造を含まない水溶性の重合性化合物と、重合開始剤と、水と、を含む、水性インク組成物。
<2> 前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が171以下である前記<1>に記載の水性インク組成物。
<3> 前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が84以上である前記<1>または<2>に記載の水性インク組成物。
<4> 前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が165以下である前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
<5> 前記重合性官能基の少なくとも1つは、(メタ)アクリルアミド基である前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
<9> 前記重合性化合物は、前記一般式(I)または一般式(III)で表される(メタ)アクリルアミド化合物である<1>〜<8>のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
(一般式(I)および一般式(III)中、R 11 およびR 31 はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R 12 はエチレン基、1,2−プロピレン基または1,3−プロピレン基を表し、R 32 およびR 33 はそれぞれ独立に、エチレン基または1,3−プロピレン基を表す。mおよびnはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表す)
<10> 前記重合性化合物は、前記一般式(III)で表される(メタ)アクリルアミド化合物である<1>〜<9>のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
(一般式(III)中、R 31 は水素原子またはメチル基を表し、R 32 およびR 33 はそれぞれ独立に、エチレン基または1,3−プロピレン基を表す。nは、0〜2の整数を表す)
<11> 更に顔料を含む前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
<12> 前記重合開始剤は光重合開始剤である前記<1>〜<11>のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
<14> 前記処理液は、酸性化合物、多価金属塩、およびカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む前記<13>に記載のインクセット。
<16> 前記<13>または<14>に記載のインクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、該インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を有する画像形成方法。
<17> 前記インク付与工程は、前記処理液付与工程において処理液が付与された記録媒体上に、前記水性インク組成物を付与する前記<16>に記載の画像形成方法。
<18> 前記記録媒体は塗工紙である前記<15>〜<17>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
<19> 前記インク付与工程は、インクジェット法により前記水性インク組成物を付与する前記<15>〜<18>のいずれか1項に記載の画像形成方法。
本発明の水性インク組成物(以下、単に「インク組成物」ということがある)は、(メタ)アクリルアミド基、マレイミド基、ビニルスルホン基、およびN−ビニルアミド基からなる群から選択される2以上の重合性官能基を有し、1分子中の前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が175以下である水溶性の重合性化合物の少なくとも1種と、重合開始剤の少なくとも1種と、水と、を含み、必要に応じて、色材(好ましくは顔料)、水溶性有機溶剤、その他の添加剤をさらに含んで構成される。
特定の重合性化合物と重合開始剤とを含むことで、例えば、記録媒体上にインク組成物を付与した後、活性エネルギー線を照射した場合に、優れた硬化感度でインク組成物が硬化し、さらに硬化して形成された画像の品質と耐ブロッキング性に優れる。
上記の各色調のインク組成物は、着色剤(例えば顔料)の色相を所望により変更することにより調製できる。
本発明の水性インク組成物は、(メタ)アクリルアミド基、マレイミド基、ビニルスルホン基、およびN−ビニルアミド基からなる群から選択される2つ以上の重合性官能基を有し、1分子中の前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が175以下であり、下記一般式(IVa)または下記一般式(IVb)で表される部分構造を含まない水溶性の重合性化合物(以下、「特定重合性化合物」ということがある)の少なくとも1種を含む。
尚、ここでいう水溶性とは前記特定重合性化合物が、25℃において蒸留水に2質量%以上溶解することを意味するが、3.5質量%以上溶解することが好ましく、5質量%以上溶解することがより好ましく、10質量%以上溶解することがより好ましく、20質量%以上溶解することがさらに好ましく、任意の割合で水と均一に混合することが特に好ましい。
また、(メタ)アクリルアミド基は、アクリルアミド基およびメタクリルアミド基の少なくとも一方を意味する。
さらにA値は、84以上175以下であることが好ましく、84以上171以下であることがより好ましく、84以上165以下であることがさらに好ましい。
中でも本発明においては、硬化感度と耐ブロッキング性の観点から、(メタ)アクリルアミド基、マレイミド基、およびビニルスルホン基からなる群から選択される2以上の重合性官能基を有することが好ましく、(メタ)アクリルアミド基を少なくとも1つ有することがより好ましく、(メタ)アクリルアミド基を2以上有することがさらに好ましい。
前記親水性基として具体的には、オキシアルキレン基およびそのオリゴマー、ヒドロキシル基、アミド基、糖アルコール残基、ウレア基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、チオール基、4級アンモニウム基等を挙げることができる。
また特に下記一般式(IVa)または一般式(IVb)で表される部分構造における窒素原子が(メタ)アクリルアミド基の窒素原子に対応する場合、下記一般式(IVa)または一般式(IVb)で表される部分構造の加水分解によって揮発性の(メタ)アクリルアミドが遊離する場合があるが、かかる部分構造を含まないことで(メタ)アクリルアミドの遊離が抑制される。
ここで一般式(V)における2つのR51は同一であっても異なっていてもよい。
以下に、Lで表される2価の連結基の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。尚、以下の例示中、*は(メタ)アクリルアミド基との結合位置を示す。
一般式(I)〜一般式(III)におけるR11、R21およびR31はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
その他の重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であって、前記特定重合性化合物以外の化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。
またその他の重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。
水溶性のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸およびメタクリル酸、ならびに、そのエステル誘導体、アミド誘導体およびその塩から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アクリル酸のモノエステルおよびメタクリル酸のモノエステル(以下、「モノアクリレート」ということがある)、アクリル酸とポリオール化合物とのエステルおよびメタクリル酸とポリオール化合物とのエステル(以下、「多官能アクリレートモノマー」または「多官能アクリレートオリゴマー」ということがある)、アクリルアミドおよびメタクリルアミドならびにその誘導体が挙げられる。
前記水溶性のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物が、ポリ(エチレンオキシ)鎖、ポリ(プロピレンオキシ)鎖を有する場合、エチレンオキシ単位、およびプロピレンオキシ単位のユニットの数は1〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜5の範囲である。ユニットの数が10以下であることで硬化した時の皮膜の硬度や記録媒体に対する密着性等が向上する。
また前記特定重合性化合物に対するその他の重合性化合物の含有比率としては、固形分換算で0〜80質量%の範囲であることが好ましく、0〜70質量%の範囲であることがより好ましく、0〜60質量%の範囲であることがさらに好ましい。
本発明の水性インク組成物は、重合開始剤の少なくとも1種を含有する。前記重合開始剤としては、公知の重合開始剤を特に制限なく使用することができる。本発明における重合開始剤としては、光重合開始剤を使用することが好ましい。
本発明で使用され得る好ましい光重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィン化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
重合開始剤の具体例としては、例えば、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
本発明の水性インク組成物における重合開始剤の含有量は、固形分換算で0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜20質量%の範囲であることがより好ましく、1.0〜15質量%の範囲であることがさらに好ましい。
また、本発明の水性インク組成物における重合開始剤の含有量は、前記重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜35質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の範囲で含有されるのが適当である。なお、ここで重合開始剤の含有量とは、水性インク組成物における重合開始剤の総含有量を意味し、重合性化合物の含有量とは、水性インク組成物における重合性化合物(特定重合性化合物および必要に応じて含まれるその他の重合性化合物)の総含有量を意味する。
本発明におけるインク組成物は、着色剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。本発明における着色剤としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、または難溶である着色剤であることが好ましい。具体的には例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、更に、耐光性の観点から顔料であることがより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
染料を保持した担体(着色剤)はそのまま、あるいは必要に応じて分散剤を併用して用いることができる。分散剤としては後述する分散剤を好適に用いることができる。
着色剤(特に顔料)の水性インク組成物中における含有量としては、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、インク組成物の全質量に対して、1〜25質量%となる量が好ましく、5〜20質量%となる量がより好ましい。
本発明における着色剤が顔料である場合、分散剤によって水系溶媒に分散された着色粒子を構成していることが好ましい。前記分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては水溶性ポリマー分散剤でも水不溶性ポリマー分散剤の何れでもよい。
本発明においては、分散安定性とインクジェット方式に適用した場合の吐出性の観点から、水不溶性ポリマー分散剤であることが好ましい。
本発明における水不溶性ポリマー分散剤(以下、単に「分散剤」ということがある)としては、水不溶性のポリマーであって、顔料を分散可能であれば特に制限は無く、従来公知の水不溶性ポリマー分散剤を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤は、例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位の両方を含んで構成することができる。
また前記親水性構成単位を構成するモノマーとしては、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はない。前記親水性基としては、ノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。尚、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。
本発明における親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基を共に含む形態であることもまた好ましい。
ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
前記着色粒子中の分散剤の含有量が、上記範囲であることにより、顔料が適量の分散剤で被覆され、粒径が小さく経時安定に優れた着色粒子を得やすい傾向となり好ましい。
工程(1):顔料、分散剤、および該分散剤を溶解または分散する有機溶剤と共に、塩基性物質を含み、水を主成分とする溶液を含有する混合物を分散処理する工程
工程(2):分散処理後の混合物から、前記有機溶剤の少なくとも一部を除去する工程
また、必要に応じて、縦型もしくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を用い、0.01mm〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズを用いた微分散処理を行うことにより得ることができる。
また、着色剤(または着色粒子)の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布または単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ着色剤を、2種以上混合して使用してもよい。
尚、着色剤(または着色粒子)の体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明において、上記着色剤(または着色粒子)は1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明におけるインク組成物は水系媒体を含む。水系媒体は少なくとも水を含み、必要に応じて有機溶剤の少なくとも1種を含んで構成される。
本発明における水としては、イオン交換水、蒸留水などのイオン性不純物を含まない水を用いることが好ましい。また、インク組成物における水の含有率は、目的に応じて適宜選択されるが、通常、10〜95質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましい。
本発明における水系媒体は水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。また水溶性有機溶剤は、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
以下、前記構造式(1)で表される化合物の例を示す。但し、本発明はこれに限定されるものではない。尚、例示化合物中、「POP(3)グリセリルエーテル」との記載は、グリセリンにプロピレンオキシ基が合計で3つ結合したグリセリルエーテルであることを意味し、他の記載についても同様である。
・n−C4H9O(AO)4−H(AO=EOまたはPOで、比率はEO:PO=1:1)
・n−C4H9O(AO)10−H AO=EOまたはPOで、比率はEO:PO=1:1)
・HO(AO)40−H(AO=EOまたはPOで、比率はEO:PO=1:3)
・HO(AO)55−H(AO=EOまたはPOで、比率はEO:PO=5:6)
・HO(PO)3−H
・HO(PO)7−H
・1,2−ヘキサンジオール
また水溶性有機溶剤のインク組成物中における含有量としては、1質量%以上60質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
本発明におけるインク組成物は、樹脂粒子の少なくとも1種を含有することが好ましい。樹脂粒子を含むことにより、インク組成物の記録媒体への定着性、画像の耐擦性、耐ブロッキング性を効果的に向上させることができる。
また樹脂粒子は、既述の処理液またはこれを乾燥させた記録媒体上の領域と接触した際に凝集、または分散不安定化してインクを増粘させることにより、インク組成物、すなわち画像を固定化させる機能を有することが好ましい。このような樹脂粒子は、水および有機溶剤の少なくとも1種に分散されているものが好ましい。
また樹脂粒子はラテックスの形態で用いることもできる。
また樹脂粒子の体積平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10nm〜200nmの範囲がより好ましく、20nm〜100nmの範囲が更に好ましく、20nm〜50nmの範囲が特に好ましい。
樹脂粒子のガラス転移温度Tgは30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
また、樹脂微子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、または単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい
本発明におけるインク組成物は、必要に応じて、界面活性剤の少なくとも1種を含むことができる。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。
表面張力調整剤として、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。更に、上記の分散剤(高分子分散剤)を界面活性剤としても用いてもよい。
本発明においては、インクの打滴干渉抑制の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレングリコール誘導体がより好ましい。
界面活性剤のインク組成物中における界面活性剤の具体的な量としては、前記表面張力となる範囲が好ましいこと以外は特に制限はなく、1質量%以上が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜3質量%である。
インク組成物は、上記の成分に加え、必要に応じて更にその他成分として各種の添加剤を含むことができる。
前記各種の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の添加剤が挙げられる。
防黴剤は、インク組成物中の含有量が0.02〜1.00質量%である範囲とするのが好ましい。
本発明におけるインク組成物の表面張力(25℃)としては、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、25mN/m以上40mN/m以下である。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定される。
本発明のインクセットは、既述の水性インク組成物の少なくとも1種と、前記水性インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤を含有する処理液の少なくとも1種と、を含む。
アクリルアミド構造を有する重合性化合物、重合開始剤を含むインク組成物と、凝集剤を含む処理液とを用いて画像を形成することにより、良好な画像品質で、硬化感度が高く、耐ブロッキング性に優れた画像が形成される。
本発明のインクセットは、前記インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集剤の少なくとも1種を含み、必要に応じてその他の成分を含んで構成される。
処理液が凝集剤を含むことで、良好な画像品質で耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
本発明における処理液は、インク組成物中の成分を凝集させる凝集剤を含んでなる。本発明における凝集剤は、記録媒体上においてインク組成物と接触することにより、インク組成物を凝集(固定化)可能なものであり、固定化剤として機能する。例えば、処理液を記録媒体(好ましくは、塗工紙)に付与することにより記録媒体上に凝集剤が存在している状態で、インク組成物がさらに着滴して凝集剤に接触することにより、インク組成物中の成分が凝集し、インク組成物中の成分を記録媒体上に固定化することができる。
前記インク組成物中の成分を固定化させる成分としては、酸性化合物、多価金属塩、カチオン性ポリマー等を挙げることができる。これらは1種単独でも、2種以上を併用することもできる。
酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、およびこれらの化合物の誘導体、ならびにこれらの塩等が好適に挙げられる。
酸性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに酸性化合物の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、0.9g/m2〜3.75g/m2であることがより好ましい
本発明における多価金属塩は、アルカリ土類金属、亜鉛族金属等の2価以上の金属を含む化合物であり、Ca2+、Cu2+、Al3+等の金属イオンの酢酸塩、酸化物等を挙げることができる。
本発明において、前記多価金属塩を含む処理液が付与された記録媒体(好ましくは、塗工紙)にインク組成物を吐出したときのインク組成物の凝集反応は、インク組成物中に分散した粒子、例えば、顔料に代表される着色剤や、樹脂粒子等の粒子の分散安定性を減じ、インク組成物全体の粘度を上昇させることで達成することができる。例えば、インク組成物中の顔料や、樹脂粒子などの粒子がカルボキシル基等の弱酸性の官能基を有するとき、当該粒子は前記弱酸性の官能基の働きにより分散安定化しているが、当該粒子の表面電荷を、多価金属塩と相互作用させることにより減じ、分散安定性を低下することができる。したがって、処理液に含まれる固定化剤としての多価金属塩は、凝集反応の観点で、価数が2価以上、すなわち多価であることが必要であり、凝集反応性の観点で、3価以上の多価金属イオンからなる多価金属塩であることが好ましい。
塩とは、上記のような多価金属イオンと、これらのイオンに結合する陰イオンとから構成される金属塩のことであるが、溶媒に可溶なものであることが好ましい。ここで、前記溶媒とは、多価金属塩とともに処理液を構成する媒質であり、例えば、水や後述する有機溶剤が挙げられる。
多価金属イオンと陰イオンとは、それぞれ単独種または複数種を用いて多価金属イオンと陰イオンとの塩を形成することができる。
また、陰イオンとしては、溶解性などの観点から、NO3 −が特に好ましい。
前記多価金属塩は、1種単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
多価金属塩の含有量は、前記処理液の全質量に対し、15質量%〜35質量%であることが好ましく、20質量%〜30質量%であることがより好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、ポリ(ビニルピリジン)塩、ポリアルキルアミノエチルアクリレート、ポリアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリエチレンイミン、ポリビグアニド、およびポリグアニドから選ばれる少なくとも1種のカチオン性ポリマーである。
カチオン性ポリマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記カチオン性ポリマーの中でも、凝集速度の観点で有利な、ポリグアニド(好ましくは、ポリ(ヘキサメチレングアニジン)アセテート、ポリモノグアニド、ポリメリックビグアニド)、ポリエチレンイミン、ポリ(ビニルピリジン)が好ましい。
カチオン性ポリマーの塗工紙への付与量としては、インク組成物を安定化させるに足る量であれば特に制限はないが、インク組成物を固定化し易いとの観点から、0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましく、0.9g/m2〜3.75g/m2であることがより好ましい。
本発明の第一の画像形成方法は、前記インク組成物を記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して画像を定着する活性エネルギー線照射工程とを少なくとも含み、必要に応じてその他の工程をさらに含んで構成される。
また本発明の第二の画像形成方法は、前記インクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して画像を定着する活性エネルギー線照射工程とを少なくとも含み、必要に応じてその他の工程をさらに含んで構成される。
本発明の画像形成方法に用いる記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明のインクジェット記録方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
処理液付与工程では、前記インクセットに含まれる凝集剤と酸発生剤を含む処理液が記録媒体上に付与される。処理液の記録媒体への付与は、公知の液体付与方法を特に制限なく用いることができ、スプレー塗布、塗布ローラー等による塗布、インクジェット方式による付与、浸漬などの任意の方法を選択することができる。
本発明におけるインク付与工程では、前記インクセットに含まれる着色剤、重合性化合物、開始剤、および水系媒体を含むインク組成物が記録媒体上に付与される。インク組成物の付与方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与可能な方法であれば、特に制限はなく公知のインク付与方法を用いることができる。例えば、インクジェット方式、謄写方式、捺転方式等の手段により、記録媒体上にインク組成物を付与する方法を挙げることができる。中でも、記録装置のコンパクト化と高速記録性の観点から、インク組成物をインクジェット方式によって付与する工程であることが好ましい。
インクジェット方式による画像形成では、エネルギーを供与することにより、記録媒体上にインク組成物を吐出し、着色画像を形成する。なお、本発明に好ましいインクジェット記録方法として、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載の方法が適用できる。
また、インクジェット方式で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。さらに前記インクジェット方式により記録を行う際に使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
尚、前記インクジェット方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する工程を含むことが好ましい。活性エネルギー線を照射することでインク組成物に含まれる重合性化合物が重合して、着色剤を含む硬化膜を形成する。これにより画像の耐擦性、耐ブロッキング性がより効果的に向上する。
さらに、この活性エネルギー線照射の際、処理液中に含まれる酸発生剤から供給される酸により、インク組成物がさらに凝集(固定化)し、画像部品質(耐擦性・耐ブロッキング性等)が向上する。
活性放射線の出力としては、5000mJ/cm2以下であることが好ましく、10mJ/cm2〜4000mJ/cm2であることがより好ましく、20mJ/cm2〜3000mJ/cm2であることがさらに好ましい。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
本発明で特に好ましい活性エネルギー線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
本発明の画像形成方法においては、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、水溶性有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を備えていてもよい。インク乾燥工程は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できれば特に制限はなく、通常用いられる方法を適用することができる。
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、およびメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
−樹脂被覆シアン顔料分散物−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、BASFジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物(着色粒子)を得た。
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、顔料として用いたフタロシアニンブルーA220の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、BASFジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして樹脂被覆イエロー顔料の分散物(着色粒子)を得た。
−重合性化合物1の合成−
攪拌子を備えた1Lの三口フラスコにアクリルアミド40.0g(563mmol)、ブタンジオールジグリシジルエーテル57.0g(282mmol)、炭酸カリウム15.6g(113mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド25.7g(113mmol)、ジオキサン500mLを加えて、90℃で10時間加熱攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、減圧下でジオキサンを留去し、飽和食塩水200mLを加えてブタノール300mLで3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物1を58.2g(169mmol、収率60%)得た。
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコに4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミン40.0g(182mmol)、炭酸水素ナトリウム37.8g(450mmol)、水100g、テトラヒドロフラン300mLを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド35.2g(389mmol)を20分かけて滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌した後、得られた反応混合物から減圧下でテトラヒドロフランを留去した。次に水層を酢酸エチル200mlで4回抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物2の白色固体を35.0g(107mmol、収率59%)得た。
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコにエチレンジアミン40.0g(666mmol)、水酸化ナトリウム90.0g(2250mmol)、水200g、アセトニトリル600mLを加えて、氷浴下、アクリル酸クロリド132.6g(1470mmol)を1時間かけて滴下した。滴下後、室温で5時間攪拌した後、得られた反応混合物から減圧下でアセトニトリルを留去した。次に水層をクロロホルム400mlで3回抽出し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物3の白色固体を45.0g(266mmol、収率40%)得た。
攪拌子を備えた1Lの三口フラスコに1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン40.0g(270mmol)、無水マレイン酸53.0g(540mmol)、酢酸200mLを加えて、130℃で5時間加熱攪拌した。得られた反応混合物を6N炭酸カリウム水溶液500mLへゆっくり注ぎ、食塩を加えてブタノール600mLで3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物4を41.6g(135mmol、収率50%)得た。
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコに2−クロロエタンスルホニルクロリド32.6g(200mmol)、塩化メチレン200mLを加え、−78℃でトリエチルアミン20.2g(200mmol)を加えて1時間攪拌し、その後0℃で2時間攪拌した。その反応混合物へ1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン14.8g(100mmol)、トリエチルアミン20.2g(200mmol)をゆっくり滴下し、室温で3時間攪拌して得られた反応混合物から減圧下塩化メチレンを留去した。次に0.01M塩酸水溶液200mLを加え、食塩をさらに加え、酢酸エチル400mlで4回抽出し、得られた有機層を重曹水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物5を25.6g(78mmol、収率78%)得た。
攪拌機を備えた1Lの三口フラスコに1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン40.0g(270mmol)、アセトアルデヒド26.2g(594mmol)、テトラヒドロフラン500mLを加え、室温で5時間攪拌した。その後、アセチルクロリド50.9g(648mmol)、トリエチルアミン70.8g(700mmol)をゆっくり加えて2時間攪拌した。その反応混合物へ重曹水500mLを加えて、酢酸エチル800mlで4回抽出し、得られた有機層を塩化アンモニウム水溶液で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物6を30.7g(108mmol、収率40%)得た。
攪拌子を備えた1Lの三口フラスコにアクリルアミド60.1g(846mmol)、グリセロールトリグリシジルエーテル73.4g(282mmol)、炭酸カリウム23.4g(169mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド38.5g(169mmol)、ジオキサン500mLを加えて、90℃で10時間加熱攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、減圧下でジオキサンを留去し、飽和食塩水200mLを加えてブタノール300mLで3回抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過を行い、減圧下溶媒留去することにより目的の重合性化合物22を69.6g(147mmol、収率52%)得た。
重合性化合物3の合成において、エチレンジアミンの代わりに1,3−プロパンジアミンを49.3g用いたこと以外は、重合性化合物3の合成と同様にして重合性化合物7を合成した。
重合性化合物3の合成において、エチレンジアミンの代わりに1,2−プロパンジアミンを49.3g用いたこと以外は、重合性化合物3の合成と同様にして重合性化合物8を合成した。
重合性化合物2の合成において、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンの代わりに1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタンを26.9g用いたこと以外は、重合性化合物2の合成と同様にして重合性化合物11を合成した。
重合性化合物2の合成において、4,7,10−トリオキサ−1,13−トリデカンジアミンの代わりに1,10−ジアミノ−4,7−ジオキサデカンを32.0g用いたこと以外は、重合性化合物2の合成と同様にして重合性化合物12を合成した。
重合性化合物3の合成において、エチレンジアミンの代わりにジエチレントリアミンを45.8g用いたこと以外は、重合性化合物3の合成と同様にして重合性化合物34を合成した。
重合性化合物3の合成において、エチレンジアミンの代わりにトリエチレンテトラアミンを48.7g用いたこと以外は、重合性化合物3の合成と同様にして重合性化合物35を合成した。
重合性化合物3の合成において、エチレンジアミンの代わりにビス(3−アミノプロピル)アミンを58.3g用いたこと以外は、重合性化合物3の合成と同様にして重合性化合物37を合成した。
重合性化合物3の合成において、エチレンジアミンの代わりにN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンを58.0g用いたこと以外は、重合性化合物3の合成と同様にして重合性化合物39を合成した。
<インクセット1の調製>
以下のようにして、インク処方1のシアンインク(C−1)、マゼンタインク(M−1)、イエローインク(Y−1)、ブラックインク(K−1)、および、処理液1をそれぞれ調製して、これらのインク組成物と処理液1からなるインクセット1を得た。
(シアンインクC−1の調製)
上記の樹脂被覆シアン顔料の分散物を用い、下記インク処方1となるように、樹脂被覆シアン顔料分散物、水溶性有機溶剤、イオン交換水、開始剤、重合性化合物、および界面活性剤を混合し、その後、5μmメンブランフィルタでろ過してインク処方1のシアンインクC−1を調製した。
・樹脂被覆シアン顔料分散物 ・・・ 6%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・下記重合性化合物1 ・・・ 10%
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のマゼンタインク(M−1)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆イエロー顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のイエローインク(Y−1)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−1)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、顔料分散物CAB−O−JETTM200(カーボンブラック分散物、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして、インク処方1のブラックインク(K−1)を調製した。pH値は8.5であった。
以下の材料を混合して、処理液1を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液1のpH(25℃)を測定したところ、1.0であった。
−処理液組成−
・マロン酸 : 25.0%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル : 5.0%
(水溶性有機溶媒)
・イオン交換水 : 70.0%
実施例1において、重合性化合物の種類を、重合性化合物1の代わりに、重合性化合物2〜6、22にそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、インク組成物C−2〜C−7、インク組成物M−2〜M−7、インク組成物Y−2〜Y−7、インク組成物K−2〜K−7をそれぞれ調製した。
次いでインク組成物C−1、M−1、Y−1、K−1、および処理液1からインクセット1を構成したことと同様にして、インク組成物C−2〜C−7、M−2〜M−7、Y−2〜Y−7、K−2〜K−7、および処理液1を用いて、インクセット2〜インクセット7を調製した。
<インクセット8の調製>
以下のようにして、インク処方8のシアンインク(C−8)、マゼンタインク(M−8)、イエローインク(Y−8)、ブラックインク(K−8)、および、処理液1をそれぞれ調製し、これらのインク組成物と処理液1とからなるインクセット8を得た。
(シアンインクC−8の調製)
上記の樹脂被覆シアン顔料の分散物を用い、下記インク処方8となるように、樹脂被覆シアン顔料分散物、水溶性有機溶剤、イオン交換水、開始剤、重合性化合物、および界面活性剤を混合し、その後、5μmメンブランフィルタでろ過してインク処方8のシアンインクC−8を調製した。
・樹脂被覆シアン顔料分散物 ・・・ 6%
・イルガキュア2959(開始剤) ・・・ 3%
・上記重合性化合物1 ・・・ 20%
・オルフィンE1010 ・・・ 1%
(日信化学(株)製;界面活性剤)
・イオン交換水 ・・・ 全体で100%となるように添加。
上記シアンインク(C−8)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方8のマゼンタインク(M−8)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−8)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、樹脂被覆イエロー顔料の分散物を用いた以外は上記と同様にして、インク処方8のイエローインク(Y−8)を調製した。pH値は8.5であった。
上記シアンインク(C−8)の調製において、樹脂被覆シアン顔料の分散物の代わりに、顔料分散物CAB−O−JETTM200(カーボンブラック分散物、CABOT社製)を用いた以外は上記と同様にして、インク処方8のブラックインク(K−8)を調製した。pH値は8.5であった。
実施例8において、重合性化合物1の代わりに重合性化合物2を用いたこと以外は実施例8と同様にして、インク組成物C−9、インク組成物M−9、インク組成物Y−9、インク組成物K−9をそれぞれ調製し、処理液1と合わせてインクセット9とした。
実施例1において、重合性化合物の種類を重合性化合物1の代わりに、重合性化合物7、8、11、12、34、35、37、39にそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして、インク組成物C−10〜C−17、インク組成物M−10〜M−17、インク組成物Y−10〜Y−17、インク組成物K−10〜K−17をそれぞれ調製した。
次いでインク組成物C−1、M−1、Y−1、K−1、および処理液1からインクセット1を構成したことと同様にして、インク組成物C−10〜C−17、M−10〜M−17、Y−10〜Y−17、K−10〜K−17、および処理液1を用いて、インクセット10〜インクセット17を調製した。
実施例8において、重合性化合物1の代わりに重合性化合物34を用いたこと以外は実施例8と同様にして、インク組成物C−18、インク組成物M−18、インク組成物Y−18、インク組成物K−18をそれぞれ調製し、処理液1と合わせてインクセット18とした。
以下の材料を混合して、処理液2を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、pH調整後の処理液2のpH(25℃)を測定したところ、4.0であった。
−処理液組成−
・ポリエチレンイミン(カチオン性ポリマー) : 13.0%
・イオン交換水 : 87.0%
以下の材料を混合して、処理液3を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液3のpH(25℃)を測定したところ、4.0であった。
−処理液組成−
・硝酸マグネシウム(多価金属塩) : 15%
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル : 4%
・下記界面活性剤A(10%) : 1%
・イオン交換水 : 80%
以下の材料を混合して、処理液4を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、pH調整後の処理液4のpH(25℃)を測定したところ、5.0であった。
−処理液組成−
・ポリ(ビニルイミダゾール)(カチオン性ポリマー) : 13.0%
・GP−250 : 10%
(水溶性有機溶媒、三洋化成工業製)
・下記界面活性剤A(10%水溶液) : 0.2%
・イオン交換水 : 76.8%
C7H15−CH=CH−C7H14−C(=O)−N(CH3)−CH2CH2−SO3Na
実施例1において、重合性化合物1の代わりに、下記比較重合性化合物1、2および3をそれぞれ用いたこと以外は実施例1と同様にして、インクセットC1、C3およびC5をそれぞれ調製した。
実施例8において、重合性化合物1の代わりに、下記比較重合性化合物1、2および3をそれぞれ用いたこと以外は実施例8と同様にして、インクセットC2、C4およびC6をそれぞれ調製した。
記録媒体(塗工紙)として、特菱アート(坪量104.7g/m2)を用意して、以下に示すようにして画像を形成し、形成された画像について以下の評価を行なった。
このとき、ライン画像は、1200dpiの1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインをシングルパスで主走査方向に吐出することによりライン画像を形成した。
またベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインク組成物を吐出することによりベタ画像を形成した。なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
記録媒体の全面に、アニロックスローラー(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が、1.4g/m2となるように処理液を塗布した。
次いで、下記条件にて処理液が塗布された記録媒体について乾燥処理および浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
その後、処理液が塗布された記録媒体の塗布面に、下記条件にてインク組成物をインクジェット方式で吐出し、ライン画像、ベタ画像をそれぞれ形成した。
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:2.0pL
・駆動周波数:30kHz
次いで、インク組成物が付与された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒータで加熱した。
次に、高圧水銀ランプ(出力120W/cm2)を用いて、記録画像に1000mJ/cm2のエネルギーとなる条件で、活性エネルギー線としての紫外線を照射して、画像形成された評価用サンプルを得た。
上記で得られた評価用サンプルについて、以下のようにしてインクの硬化性試験、画像の耐ブロッキング試験および耐テープ密着性試験を行った。結果を表1に示す。
未印字の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm2)、上記ベタ画像が形成された評価用サンプルの印画面を3往復擦った(荷重260kg/m2に相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A … 印字面に画像(色材)のはがれが視認できなかった。
B … 印字面に画像(色材)のはがれがわずかに認められた。
C … 印字面に画像(色材)のはがれが視認でき、実用上問題になるレベルであった。
ベタ画像が形成された評価用サンプルを印画直後に、2cm四方に裁断し、その印画面上に、記録していない記録媒体(記録に用いたものと同じ記録媒体(以下、本評価において未使用サンプルという。)を重ねて荷重350kg/m2をかけて、60℃、30%RHの環境条件下に、24時間放置した。未使用サンプルを評価用サンプルから剥がして、未使用サンプルの白地部分へのインクの転写度合いを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A : インクの転写は全くなかった。
B : インクの転写はほとんど目立たなかった。
C : インクの転写が多少見られ、実用上問題になるレベルであった。
D : インクの転写が顕著であった。
粘着テープ(商標名:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を、評価用サンプルにテープが全面に貼り付くように貼った後、直ちに剥がした。剥がしたテープへの色移りおよびテープ剥離部の紙面を観察し、下記評価基準に従って耐テープ密着性を評価した。
A : 粘着テープに、色移りがわずかに認められたが、紙面からの画像剥離はなかった。
B : 粘着テープに、色移りが認められたが、紙面からの画像剥離はなかった。
C : 粘着テープに、色移りが認められ、紙面からの画像剥離が部分的に起こった。
D : 粘着テープに、全面的に色移りし、紙面からの画像剥離が起こった。
さらに上記評価において、処理液1の代わりに処理液2〜4をそれぞれ用いたこと以外は上記と同様にして評価を行なったところ、処理液2〜4を用いた場合であっても、処理液1を用いた場合と同様に、硬化性(硬化感度)に優れ、耐ブロッキング性および耐テープ密着性に優れる画像を形成できた。
また、記録媒体として、特菱アート(坪量104.7g/m2)の代わりに、OKトップコート+(坪量104.7g/m2)およびユーライト(坪量104.7g/m2)を用いたこと以外は、上記と同様にして評価を行なったところ、OKトップコート+およびユーライトを用いた場合であっても、特菱アートを用いた場合と同様に、硬化性(硬化感度)に優れ、耐ブロッキング性および耐テープ密着性に優れる画像を形成できた。
Claims (19)
- (メタ)アクリルアミド基、マレイミド基、ビニルスルホン基、およびN−ビニルアミド基からなる群から選択される2つ以上の重合性官能基を有し、1分子中の前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が175以下であり、下記一般式(IVa)または下記一般式(IVb)で表される部分構造を含まない水溶性の重合性化合物と、
重合開始剤と、水と、を含む、水性インク組成物。
(一般式(IVa)および一般式(IVb)中、R 41 〜R 44 はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す) - 前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が171以下である請求項1に記載の水性インク組成物。
- 前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が84以上である請求項1または請求項2に記載の水性インク組成物。
- 前記重合性官能基の含有数に対する分子量の比が165以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
- 前記重合性官能基の少なくとも1つは、(メタ)アクリルアミド基である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
- 前記重合性化合物は、下記一般式(V)で表される(メタ)アクリルアミド化合物である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
(一般式(V)中、R51は水素原子またはメチル基を表し、Lは、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、酸素原子、および(メタ)アクリルロイルイミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される2価の連結基を表す。) - 前記重合性化合物は、下記一般式(I)〜一般式(III)のいずれかで表される(メタ)アクリルアミド化合物である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
(一般式(I)〜一般式(III)中、R11、R21およびR31はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R12およびR22はそれぞれ独立に、エチレン基、1,2−プロピレン基または1,3−プロピレン基を表し、R32およびR33はそれぞれ独立に、エチレン基または1,3−プロピレン基を表す。mおよびnはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表す) - 前記一般式(I)〜前記一般式(III)中、R 22 が、1,2−プロピレン基または1,3−プロピレン基である請求項7に記載の水性インク組成物。
- 前記重合性化合物は、下記一般式(I)または一般式(III)で表される(メタ)アクリルアミド化合物である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
(一般式(I)および一般式(III)中、R 11 およびR 31 はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R 12 はエチレン基、1,2−プロピレン基または1,3−プロピレン基を表し、R 32 およびR 33 はそれぞれ独立に、エチレン基または1,3−プロピレン基を表す。mおよびnはそれぞれ独立に、0〜2の整数を表す) - 前記重合性化合物は、下記一般式(III)で表される(メタ)アクリルアミド化合物である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
(一般式(III)中、R 31 は水素原子またはメチル基を表し、R 32 およびR 33 はそれぞれ独立に、エチレン基または1,3−プロピレン基を表す。nは、0〜2の整数を表す) - 更に顔料を含む請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
- 前記重合開始剤は光重合開始剤である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の水性インク組成物。
- 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の水性インク組成物と、該水性インク組成物と接触して凝集体を形成しうる処理液と、を含むインクセット。
- 前記処理液は、酸性化合物、多価金属塩、およびカチオン性ポリマーから選ばれる少なくとも1種を含む請求項13に記載のインクセット。
- 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、
前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して画像を定着する活性エネルギー線照射工程と、
を有する画像形成方法。 - 請求項13または請求項14に記載のインクセットに含まれる処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
該インクセットに含まれるインク組成物を、記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、
前記記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して画像を定着する活性エネルギー線照射工程と、
を有する画像形成方法。 - 前記インク付与工程は、前記処理液付与工程において処理液が付与された記録媒体上に、前記水性インク組成物を付与する請求項16に記載の画像形成方法。
- 前記記録媒体は塗工紙である請求項15〜請求項17のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記インク付与工程は、インクジェット法により前記水性インク組成物を付与する請求項15〜請求項18のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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