JP5130752B2 - 車両用シート装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シートバック及びシートクッションを使用位置と格納位置との間を移動させる車両用シート装置に関する。
従来、シートバックとシートクッションとをフロアに倒して格納させる車両用シート装置としては、たとえば、特許文献1の図1に開示されているように、シートバックとシートクッションとをリンク機構で作動させるものがある。リンク機構は、床(12)とシートバック(16)とにヒンジ止めされた第1コネクチングロッド(18)と、床に固定され、シートクッションの底部(16a)をガイドするガイド(28)を有するガイド機構を備えている。シートクッション(14)の後部(14b)はシートクッションの底部(16a)に対して回動可能に装着され、リンク機構が、さらに、床に対して可動に装着されてシートクッション(14)の前部(14a)にヒンジ止めされたコネクションピース(24、54)を備えている。かかるリンク機構は、シートバックとシートクッションを連動して格納させる。そのため、シートバックについて傾斜角度調整を行うと、シートクッションの位置が変化し、着座姿勢が刻々と変化する。
特開2006−123905号公報(請求項1、図1)
しかしながら、上記従来の格納式の車両用シート装置においては、シートバックとシートクッションがリンク機構で互いに連結されているため、その連結部で各部材が干渉してしまい、スムーズに格納することができなかった。また、シートバックとシートクッションはリンク機構で拘束されているため、移動距離にも制約があった。
そこで、シートクッションとシートバックとをリンク機構で連結しないで、互いに独立して移動させることにより、格納位置に収容することが考えられる。しかし、この場合には、シートクッションとシートバックとが移動軌跡上で干渉して、互いに移動させることができなくなってしまう場合がある。このため、シートクッションとシートバックとが互いに移動中に干渉しないように、移動タイミングを調整する必要がある。
本発明は、上述した従来の問題を解消するためになされたもので、使用位置から格納位置までシートバックとシートクッションを互いに干渉させることなくスムーズに移動させることができる車両用シート装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、車両フロアに対して使用位置と格納位置との間で回動自在な車両シートのシートバックを前記車両フロアに対して所定角度位置で保持するロック状態及び前記シートバックの前記車両フロアに対する回動が許容されるロック解除状態を取り得る第1ロック機構と、前記車両フロアに対して使用位置と格納位置との間で移動自在な車両シートのシートクッションを前記車両フロアに対して所定位置で保持するロック状態及び前記シートクッションの前記車両フロアに対する移動が許容されるロック解除状態を取り得る第2ロック機構と、前記第1ロック機構と前記第2ロック機構の前記ロック解除状態において、前記シートバックの回動を前記使用位置と前記格納位置との間の前記シートクッションと干渉しない非干渉位置で規制する規制部材と、該規制部材に連係され前記シートクッションの移動に連動して前記規制部材による前記シートバックの回動規制を解除する解除部材とを有する干渉回避機構と、をもち、前記規制部材は、前記車両フロアに対して回動自在に支持され、その回動により前記シートバックと係脱するよう突設された係合部をもち、前記解除部材は、前記シートクッションの前記使用位置と前記格納位置の間の移動軌跡上に突出して前記シートクッションと当接可能な当接部をもち、前記シートクッションが前記当接部を押圧することによって移動するとともに前記規制部材を回動させて前記係合部の前記シートバックとの係合を解除させるよう構成されており、前記解除部材の前記当接部は、前記規制部材に連係され、前記シートクッションよりも常に前記格納位置側で前記移動軌跡上に摺動可能に位置していることによって構成したことである。
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、第1ロック機構及び第2ロック機構の双方をロック解除状態にすると、シートバックは前方に回動されるが、規制部材により、シートクッションに干渉しない非干渉位置で回動を規制される。一方、シートクッションは、解除状態になると、使用位置から格納位置まで移動する。その途中で、シートクッションは、解除部材を押動して規制部材によるシートバックの規制状態を解除する。これにより、シートバックは回動を再開するが、シートクッションは、シートバックが非干渉位置から格納位置に回動してくるまでの間にシートバックと干渉しない位置まで移動することができる。
このように、本発明では、シートバックとシートクッションとが干渉することなく、両者を格納位置に収容することができる。また、シートクッションとシートバックは、リンク機構で互いに連結されていないため、シートバックについて傾斜角度調整を行っても、シートクッションの位置が変化し、着座姿勢が変化することがない。
また、規制部材がシートバックと係脱自在に突設された係合部を有し、解除部材がシートクッションの移動軌跡上に突出してシートクッションと当接可能な当接部を有している。当接部がシートクッションの移動によって押圧されて、解除部材が移動されて規制部材を回動させる。この規制部材の回動により、規制部材に形成された係合部とシートバックとの係合が解除されて、シートバックが回動して格納位置に収容される。かかる簡素な構成で請求項1に記載の発明の効果を奏することができる。
また、解除部材は、規制部材に連係されシートクッションよりも常に格納位置側の移動軌跡上に位置する当接部をもつ。このため、シートクッションが使用位置から格納位置へ移動するときに、シートクッションにより解除部材の当接部が押圧され、シートクッションとともに移動軌跡上を格納位置側へ摺動する。それゆえ、解除部材が格納位置方向に移動し、解除部材と連係された規制部材を回動させる。従って、規制部材の係合部とシートバックとの係合が解除される。この係合の解除により、シートバックの回動が許容されて格納位置に収容される。一方、シートクッションが格納位置から使用位置に移動するときには、当接部はシートクッションよりも格納位置側の移動軌跡上に位置されているため、シートクッションは当接部から離間する方向に進む。このため、シートクッションは当接部に妨げられることなく移動軌跡上をスムーズに移動することができる。
本発明の参考形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る車両用シート装置は、シートクッション6とシートバック7とを、操作者が着座し得る使用位置(図1)とこれらを車両フロア上に倒した格納位置(図3)との間を移動させるための装置である。図1、図2に示すように、車両用シート装置は、シートバック7を所定範囲の傾斜角度に調整するリクライニング機構3と、シートクッション6を使用位置と格納位置との間で移動させ得るリンク機構62と、シートクッション6を所定位置に保持する第2ロック機構としてのリンクロック部材2と、シートバック7とシートクッション6とを格納位置に移動させるときにシートバック7をシートクッション6と干渉しない非干渉位置に一旦規制し、シートクッション6が格納位置に回動するシートバック7と干渉しない位置まで移動したときにその規制を解除する第1ロック機構としての干渉回避機構1と、干渉回避機構1及びリンクロック部材2にシートバック7及びシートクッション6を格納させるように作動させる操作部4とを有する。なお、操作者が車両用シートに着座したときに、操作者の左側となる方向を左側L、右側となる方向を右側R、前方となる方向を前方側F、後方となる方向を後方側Bと称する。
図1,図4に示すように、シートバック7は、左方フレーム71Lと上方フレーム71Tと右方フレーム(図示略)とからなる伏コ字状のバックフレーム71を有する。左方フレーム71Lと右方フレームの下端は、公知のリクライニング機構3を介して車両フロア9に固定された固定側ブラケット5に回動可能に支持されている。そして、シートバック7は、後述するようにリクライニングレバー31の操作によってリクライニング機構3を作動させることで、操作者が座るときの使用位置と格納位置との間で回動する。
シートバック7の左方フレーム71Lの下端には、干渉回避機構1と係合し得る突出部711が突出しており、この突出部711は、シートバック7が格納位置へ向けて回動して、その前傾角度α1となったときに干渉回避機構1の後述する係合部111に当接する。
また、シートバック7は、バックフレーム71の上方に固定されたクッション73と、バックフレーム71に囲まれクッション73の下方に開口する空間部74とをもつ。空間部74は、シートクッション6を使用位置と格納位置との間で移動させる際にシートクッション6を通過させるのに十分な空間をもつ。
前述した公知のリクライニング機構3は、たとえば、シートバックを前方へ傾倒するように付勢する図示しないバネと、リクライニングレバー31とをもち、リクライニングレバー31が上方に引き上げられると、係止機構が解除し、シートバックを後方へ回動させる力によってバネの付勢力に抗してシートバック7が後方へ傾斜することを許容し、リクライニングレバー31を離すと、係止機構が作動し、シートバック7を調整位置に固定するようになっている。
さらに、この公知のリクライニング機構3の係止機構は、シートバック7に支持され内歯を有するアッパアームと、固定側ブラケット5に半径方向に移動可能に支持され先端に内歯と係脱する外歯を有するポールと、リクライニングレバー31によって回動軸72を介して回動されポールを半径方向に進退させるカム部材とからなる。リクライニングレバー31を引くと、内歯が内心方向に移動して外歯との嵌め合いが解除されて、シートバック7の傾斜角度を調整できる。リクライニングレバー31を戻すと、図示しないバネの付勢力によってポールが遠心方向に戻りポールの外歯がアッパアームの内歯と噛合し、シートバック7が所定の角度にロックされる。尚、回動軸72は、シートバック7の回動中心にもなっている。
図1、図5に示すように、シートクッション6は、使用位置と格納位置との間を移動可能に、車両フロア9上に搭載されている。シートクッション6は、左方フレーム61Lと右方フレーム61Rと後方フレーム61B(図4参照)とからなるコ字状のクッションフレーム61、クッションフレーム61に連結されシートクッション6を移動させ得るリンク機構62、リンク機構62に連結されこれに回転トルクを与えるトルクロッド64を有する。
図5に示すように、リンク機構62は、クッションフレーム61の左方フレーム61L及び右方フレーム61Rにそれぞれ相対回動可能に連結されたリンク部材62L、62Rをもつ。リンク部材62L、62Rの下端は、車両フロア9に固定された床側固定部材91によって回動可能に支持されている。リンク部材62L、62Rには、上側に形成されたロッド穴624にトルクロッド64が挿入されて、溶接などによりトルクロッド64に回転不能に固定されている。トルクロッド64は、その両端(リンク部材62L、62Rより外側の端)が、クッションフレーム61の左方フレーム61L及び右方フレーム61Rの回動穴614に挿入されて、左方フレーム61L及び右方フレーム61Rに回転自在に支持されている。
図5、図6、図7に示すように、トルクロッド64は、パイプ状であり、内部にトーションバー66が挿通されている。トーションバー66の一端はU字状に屈曲されトルクロッド64の中の潰し加工部645に固定された屈曲部661をもち、他端はL字状に屈曲されクッションフレーム61の右方フレーム61Rの外側面に沿って延びるL字部662をもつ。L字部662の先端は、トルクロッド64に対して時計方向Xに回動された状態で右方フレーム61Rの外側面に形成された凹部613に係止部663で係止されている。このため、トーションバー66は、クッションフレーム61に対してトルクロッド64を時計方向Xに回動させる付勢力をトルクロッド64に与えている。
図1、図8、図9に示すように、シートクッション6を所定位置に保持するリンクロック部材2は、クッションフレーム61の左方フレーム61Lに回動可能に装着されている。リンクロック部材2は、左方フレーム61Lに回動自在に支持された軸部20と、リンク部材62Lの上方側面に突出する突出軸621と係脱可能に係合する係合用凹部21とをもつ。図1に示すように、リンクロック部材2には、ロック付勢スプリング28の一端が固定されている。ロック付勢スプリング28の他端は、クッションフレーム61に固定されて、係合用凹部21に突出軸621が係合する方向にリンクロック部材2を付勢している。また、リンクロック部材2には、係合用凹部21を形成した側縁部と反対側の側縁部に、操作部4のリンクロック解除ケーブル42が連結されたケーブル連結部24が形成されている。
図1、図4、図10に示すように、シートクッション6の後方側Bであってシートバック7の下部の左右両側には、車両フロア9に固定された一対の固定側ブラケット5が配設されている。一対の固定側ブラケット5は、それぞれ、車両フロア9から立設されシートバック7の後方側Bに延びるガイド壁部材51と、ガイド壁部材51に固定された垂直壁部材52とをもつ。ガイド壁部材51は、車両フロア9に当接してボルト締めされている締結部515と、締結部515を挟んでその両側に車両フロア9に対して立設するガイド壁516及び外側壁517とをもつ。ガイド壁516は、クッションフレーム61の後部に設けられたガイド用突部65をガイドするガイド穴510をもつ。ガイド穴510は、ガイド用突部65が使用位置と格納位置との間を移動する移動軌跡を規定している。ガイド穴510の前方部511は、車両フロア9からやや上方に離間した位置にある。そして、ガイド穴510は、後方にいくにつれて徐々にクッションフレーム61の後部を下降させる傾斜部512をもち、さらに後方にいくと車両フロア9に近接し車両フロア9と平行に延びる格納部513をもつ。このようなガイド穴510の形状は、シートクッション6が使用位置と格納位置との間を移動する際に、シートクッション6がシートバック7のクッション73の特に下部731と干渉しないようにシートクッション6を移動させるようになっている。ガイド壁部材51の外側壁517には、垂直壁部材52が固定されている。
左側Lの固定用ブラケット5の内部には、バックフレーム71の下部、リクライニング機構3及び干渉回避機構1が収容されている。干渉回避機構1は、図10に示すように、ガイド壁部材51の外側壁517の一部がガイド壁516側に屈曲された部分に、ピン53で支持されている。ピン53は、捩りコイルバネ15が巻回された頭部531と、干渉回避機構1の規制部材11の軸穴110に回動可能に挿入される胴部532と、外側壁517の屈曲部に固定された脚部533とからなる。捩りコイルバネ15の一端151は規制部材11に固定され、捩りコイルバネ15の他端152はピン53の頭部531に固定されている。規制部材11は、捩りコイルバネ15により図1の反時計方向Y(図10の紙面手前方向)に付勢されて、バックフレーム71の下部に当接している。
干渉回避機構1は、シートバック7を非干渉位置に規制する規制部材11と、シートバック7の回動規制を解除する解除部材12とをもつ。規制部材11は、ピン53の胴部532と回動穴110で嵌合されて、外側壁517に回動可能に支持されている。規制部材11は、バックフレーム71の突出部711と係脱するように突設された係合部111と、解除部材12を回動可能に保持する支持部112と、解除部材12を係止する係止部113とをもつ。
解除部材12は、ピン54の胴部542と回動穴120で嵌合されて、規制部材11に対して回動可能に支持されている。解除部材12は、規制部材11の係止部113に係止される被係止部122と、シートクッション6の使用位置と格納位置の間の移動軌跡上に進退可能に突出してクッションフレーム61のガイド用突部65と当接可能な当接部121とをもつ。ピン54は、ピン53と同様に、捩りコイルバネ16が巻回された頭部541と、回動穴120に挿入された胴部542と、規制部材11の支持部112に固定された脚部543とからなる。捩りコイルバネ16の一端161は解除部材12に固定され、他端162はピン54の頭部541に固定されている。解除部材12は、捩りコイルバネ16により図1の時計方向X(図10の紙面奥方向)に付勢されて、被係止部122を規制部材11の係止部113に当接させている。
解除部材12の当接部121は、ガイド用突部65により押圧されることにより、干渉回避機構1を作動させて、係合部111とバックフレーム71の突出部711との係合を解除させて、シートバック7を非干渉位置である前傾角度α1から前倒させる。したがって、当接部121の配置位置は、シートバック7が前傾角度α1から水平状態である格納位置に倒れてくるまでの間にシートクッション6が後方側Bの格納位置に移動して、シートバック7がシートクッション6と干渉しないように設定されている。
図1に示すように、操作部4は、車両フロア9上に固定されたブラケット99に回動可能に支持された操作レバー40と、一端が操作レバー40に連結され他端がリクライニングレバー31に連結されて操作レバー40の作動によりリクライニング機構3の係止機構を解除し得る係止解除ケーブル41と、一端が操作レバー40に連結され他端がリンクロック部材2に連結されて操作レバー40の作動によりリンクロック部材2のロックを解除し得るリンクロック解除ケーブル42とをもつ。
車両フロア9の後方側Bには、シートクッション6を格納するデッキボード95が設けられている。デッキボード95の開口側には、ヒンジ96を介して、カバー97が取り付けられている。カバー97は、シートバック7の背部に係合し、シートバック7の回動に追従して回動する。
次に、車両用シート装置の作動について説明する。まず、図1に示すように、シートクッション6とシートバック7の使用位置について説明する。シートクッション6の使用位置では、シートクッション6がリンク機構62により車体の前方側Fに保持されている。リンク部材62Lの突出軸621は、リンクロック部材2の係合用凹部21に係合されて、リンク部材62Lのクッションフレーム61Lに対する時計方向Xへの回動を規制している。クッションフレーム61の後部左外側のガイド用突部65は、干渉回避機構1の当接部121よりも前方側Fに位置している。このガイド用突部65が固定用ブラケット5のガイド穴510の前方部511に嵌合されることにより、シートクッション6が車両フロア9より上方に離間した状態で保持されている。また、シートバック7の使用位置では、シートバック7がリクライニング機構3により所定角度α2で保持されている。
シートクッション6とシートバック7を格納位置に収容するにあたっては、図1に示す操作レバー40を引き上げる。すると、操作レバー40の後部に連結された係止解除ケーブル41とリンクロック解除ケーブル42が前方側Fへ引っ張られる。係止解除ケーブル41は、リクライニングレバー31を引き上げる。すると、図11に示すように、バネ(図示略)によりシートバック7が前傾方向(反時計方向Y)に倒れこむ。シートバック7が前傾角度α1まで倒れこんだとき、バックフレーム71の外周方向に突出した突出部711が、干渉回避機構1の規制部材10に設けられた係合部111に係合して、シートバック7の回動が前傾角度α1で一旦規制される。
また、リンクロック解除ケーブル42は、ロック付勢スプリング28の付勢力に抗してリンクロック部材2を反時計方向Yに引き込む。これにより、リンクロック部材2の係合用凹部21がリンク部材62Lの突出軸621から離脱する。すると、トーションバー66による時計方向Xの付勢力によって、トルクロッド64に固定されたリンク部材62L、62Rが、クッションフレーム61に対して時計方向X、即ち両者のなす角度を拡大する方向に回動する。これにより、クッションフレーム61が後方側Bに移動され、クッションフレーム61の後方側Bに突設されたガイド用突部65は、ガイド穴510にガイドされて前方部511から傾斜部512へと後方側Bへ移動する。これにより、シートクッション6は使用位置から徐々に後方側Bへ移動する。
そして、ガイド用突部65は、ガイド穴510の傾斜部512にさしかかると、傾斜部512に突出している干渉回避機構1の解除部材12の当接部121に当接して解除部材12を後方側Bへ押圧する。解除部材12は、後方側Bに移動され、規制部材11の係止部113に係止されながら、規制部材11を時計方向Xに回動させる。この規制部材11の回動により、規制部材11に形成された係合部111は、バックフレーム71の突出部711から離脱する。これにより、シートバック7の前傾角度α1(非干渉位置)での回動規制が解除される。図3に示すように、シートバック7は、図示しない付勢部材による反時計方向Yの付勢力によって、前傾角度α1から更に反時計方向Yに水平状態の格納位置まで回動する。このシートバック7が前傾角度α1から水平状態の格納位置まで回動する間に、クッションフレーム61は、ガイド用突部65がガイド穴510にガイドされて、後方側Bの非干渉位置に移動するため、シートバック7はシートクッション6と干渉しない。
図3に示すように、シートクッション6は、当接部121を押圧して解除部材12を移動させることにより当接部121をガイド穴510から後退させて、更に後方側Bに移動していく。シートクッション6は、やがて車両フロア9に近接して平行な状態となり、車両フロア9に設けられたデッキボード95の中に収容される。このとき、デッキボード95の開口端にヒンジ止めされたカバー97は、シートバック7の背部に係止されているため、シートバック6とカバー97とデッキボード95とで略面一な平面を形成する。
次に、シートバック7とシートクッション6を格納位置から使用位置に移動させるにあたっては、まず、操作者は水平状態にあるシートバック7を手で持ち上げて、前傾角度α1よりも立設させる。この立設状態では、リクライニング機構3のポールが半径方向外方に移動し、ポールの外歯とアッパアームの内歯とが係合して、シートバック7は、リクライニング機構3により操作者が着座可能な使用位置で保持される。
次に、操作者はシートクッション6を前方側Fに引き出す。このとき、トルクロッド64の中のトーションバー66の後方側Bへの付勢力に打ち勝つ力で、シートクッション6を引き出す。すると、クッションフレーム61の前部のリンク部材62L、62Rは、トーションバー66に抗してクッションフレーム61に対して反時計方向Yに回動する。クッションフレーム61の後部は、ガイド用突部65がガイド穴510にガイドされることによって前方側Fに移動する。これにより、シートクッション6が前方側Fに引き出された状態となり、操作者が着座可能な使用位置となる。このようにシートクッション6が使用位置に到達すると、左側Lのリンク部材62Lの突出軸621が、リンクロック部材2の係合用凹部21に係合して、シートクッション6を使用位置にロックする。
このように、シートクッション6が使用位置から格納位置へと移動する途中で、解除部材12は、クッションフレーム61のガイド用突部65に押動され、規制部材11を回動させて、規制部材11の係合部111とシートバック7の突出部711との係合を解除させる。これにより、シートバック7の前傾角度α1での回動規制状態が解除され、シートバック7は、前傾角度α1から水平状態の格納位置に回動される。このとき、シートクッション6は、シートバック7が前傾角度α1から格納位置まで回動するまでの間にシートバック7と干渉しない位置まで移動している。したがって、シートバック7とシートクッション6とを干渉させることなくスムーズに格納位置に収容することができる。また、シートクッション6とシートバック7は、互いに連結されていないため、両者の格納位置を自在に設定することができる。
シートクッション6が前方側Fへ移動されるとき、クッションフレーム61のガイド用突部65によって解除部材12の当接部121が前方側Fへ押圧されて、解除部材12が前方側Fへ回動される。この回動によって、当接部121がガイド穴510から後退し、ガイド用突部65を通過させる。このため、ガイド用突部65は当接部121に妨げられることなく、スムーズにガイド穴510を前方側Fに移動することができる。
次に、本発明の第1実施形態を説明する。第実施形態は、図12に示すように、解除部材14の当接部145が、規制部材13に連係されシートクッション6の後方に設けたガイド用突部65よりも常に格納位置側のガイド穴510の中を摺動可能に配設されている点が、参考形態と相違する。
図12、図14に示すように、規制部材13は、固定側ブラケット5の垂直壁部材52に固定されたピン53の胴部532と回動穴130で嵌合されて、固定側ブラケット5に対して回動可能に支持されている。規制部材13は、バックフレーム71の突出部711に係合する係合部131と、解除部材14を連係させる長穴134とをもつ。ピン53には、第1実施形態と同様に、捩りコイルバネ15が巻回されている。捩りコイルバネ15は、固定側ブラケット5に対して規制部材13を図12において反時計方向Yに付勢している。これにより、係合部131をバックフレーム71の突出部711と係合させて、シートバック7が前傾角度α1を超えて反時計方向Yに回動することを規制している。解除部材14は、長尺状で、車体の前後方向に延在している、解除部材14の前方側Fには、規制部材13の長穴134の中に嵌合された嵌合突起141が設けられている。解除部材14の後方側Bには、クッションフレーム61のガイド用突部65と当接する当接部145が設けられている。当接部145は、ガイド用突部65よりも常に格納位置側でガイド穴510に摺動可能に突設されている。その他の構成は、参考形態と同様である。
第1実施形態において、車両用シート装置を使用位置から格納位置に移動させるにあたっては、参考形態と同様に、図12に示す操作レバー40を引き上げる。すると、シートバック7が前傾し、バックフレーム71の突出部711と規制部材13の係合部131とが係合し、その位置でシートバック7の回動が一旦ロックされる。一方、シートクッション6は、リンク機構62によってガイド穴510にガイドされながら後方側Bに移動する。このとき、クッションフレーム61のガイド用突部65が、ガイド穴510に突出する解除部材14の当接部145を押圧し、解除部材15を後方側Bに移動させる。すると、解除部材14に連係されている規制部材13が反時計方向Yに回動し、係合部131とバックフレーム71の突出部711との係合が解除される。これにより、シートバック7がバネの付勢力によって更に前傾して、格納位置に収容される。これにより、シートクッション6は、ガイド用突部65が解除部材14の当接部145を後方側Bに押し続けながら、ガイド穴510にガイドされて格納位置までシートバック7との干渉を確実に回避して移動することができる。
次に、車両用シート装置を格納位置から使用位置に戻すときには、図13に示すように、まず、操作者は水平状態にあるシートバック7を手で持ち上げて、前傾角度α1よりも立設させる。次に、シートクッション6を前方側Fへ移動させる。このとき、解除部材14の当接部145はクッションフレーム61のガイド用突部65よりも常に格納位置側のガイド穴510に位置しているため、ガイド用突部65は、解除部材14の当接部145に妨げられることなく、使用位置側へスムーズに移動できる。
このように本発明によれば、第1ロック機構及び第2ロック機構の双方をロック解除状態にすると、シートバック7は前方に回動されるが、規制部材11,13により、シートクッション6と干渉しない非干渉位置で回動を規制される。一方、シートクッション6は、解除状態になると、使用位置から格納位置まで移動する。その途中で、シートクッション6は、解除部材12,14を押動して規制部材11,13によるシートバック7の規制状態を解除する。これにより、シートバック7は回動を再開するが、シートクッション6は、シートバック7が非干渉位置から格納位置に回動してくるまでの間にシートバック7と干渉しない位置まで移動することができるので、シートバック7とシートクッション6とを干渉することなく格納位置に収容することができる。また、シートクッション6とシートバック7は、リンク機構で互いに連結されていないため、シートバック7について傾斜角度調整を行っても、シートクッション6の位置が変化し、着座姿勢が変化することがない。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種種の変形が可能であることは勿論である。
参考形態の車両用シート装置の使用位置を示す側面図である。 参考形態のシートバックのロック機構を示す部分拡大側面図である。 参考形態の車両用シート装置の格納位置を示す側面図である。 図2のC−C矢視線断面図である。 トーションバーを内挿したトルクロッドの斜視図である。 トーションバーをトルクロッドの中に固定する方法を示す説明図である。 トーションバーが係止されたクッションフレームの断面図である。 図1のA−A矢視線断面図である。 図1のB−B矢視線断面図である。 図2のE−E矢視線断面図である。 参考形態のシートバックのロック状態を示す側面図である。 第1実施形態の車両用シート装置の使用位置を示す断面図である。 第1実施形態の車両用シート装置の格納位置を示す側面図である。 図12のF−F矢視線断面図である。
符号の説明
1:干渉回避機構、2:リンクロック部材、3:リクライニング機構、4:操作部、5:固定側ブラケット、6:シートクッション、7:シートバック、11,13:規制部材、12,14:解除部材、20:軸部、21:嵌合用凹部、40:操作レバー、41:係止解除ケーブル、42:リンクロック解除ケーブル、51:ガイド壁部材、52:垂直壁部材、61:クッションフレーム、62;リンク機構、64:トルクロッド、65:ガイド用突出部、66:トーションバー、71:バックフレーム、111:係合部、112:係止部、121:当接部、122:被係止部、510:ガイド穴、621:突出部、711:突出部

Claims (1)

  1. 車両フロアに対して使用位置と格納位置との間で回動自在な車両シートのシートバックを前記車両フロアに対して所定角度位置で保持するロック状態及び前記シートバックの前記車両フロアに対する回動が許容されるロック解除状態を取り得る第1ロック機構と、
    前記車両フロアに対して使用位置と格納位置との間で移動自在な車両シートのシートクッションを前記車両フロアに対して所定位置で保持するロック状態及び前記シートクッションの前記車両フロアに対する移動が許容されるロック解除状態を取り得る第2ロック機構と、
    前記第1ロック機構と前記第2ロック機構の前記ロック解除状態において、前記シートバックの回動を前記使用位置と前記格納位置との間の前記シートクッションと干渉しない非干渉位置で規制する規制部材と、該規制部材に連係され前記シートクッションの移動に連動して前記規制部材による前記シートバックの回動規制を解除する解除部材とを有する干渉回避機構と、
    をもち、
    前記規制部材は、前記車両フロアに対して回動自在に支持され、その回動により前記シートバックと係脱するよう突設された係合部をもち、
    前記解除部材は、前記シートクッションの前記使用位置と前記格納位置の間の移動軌跡上に突出して前記シートクッションと当接可能な当接部をもち、前記シートクッションが前記当接部を押圧することによって移動するとともに前記規制部材を回動させて前記係合部の前記シートバックとの係合を解除させるよう構成されており、
    前記解除部材の前記当接部は、前記規制部材に連係され、前記シートクッションよりも常に前記格納位置側で前記移動軌跡上に摺動可能に位置していることを特徴とする車両用シート装置。
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