JP5123735B2 - 車両用シート - Google Patents

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この発明は、ロック解除機構等の作動機構を内部に備えた車両用シートに関するものである。
補助シート等として用いられる車両の跳ね上げ式のシートとして、シート本体の下方に脚部が延設され、その脚部の下端が車体フロア上のストライカにロックされるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この車両用シートの脚部には、ストライカに対するロックを解除するロック解除機構が設けられており、そのロック解除機構の操作部にはストラップが連結されている。ストラップは、ロック解除機構を覆うカバー部材の引出口から外側に引き出され、カバー部材の外側からストラップの先端部を引くことによってロック解除機構を操作し得るようになっている。また、ストラップの先端部は帯状部材が折り返されて成り、カバー部材の引出口には、引出口の開口内に突出して帯状部材の二層の帯部の間に挿入されるストッパ突起が設けられている。このストッパ突起は、ストラップの先端の折り返し部に当接することにより、ストラップがカバー部材の内部に完全に引き込まれるのを規制する。
特開2007−55586号公報
しかし、この従来の車両用シート装置においては、カバー部材の引出口に突設されたストッパ突起によってストラップの引き込まれを規制する構造となっているため、カバー部材の形状がストッパ突起によって大きく制限を受け、引出口の形状の自由度が狭まってしまう。
そこで、この発明は、引出口の形状を大きく制限することなくストラップの引き込まれを確実に防止できるようにして、カバー部材の外観品質の向上を図ることのできる車両用シートを提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、シート本体の作動機構(例えば、後述の実施形態におけるロック解除機構20)と、この作動機構を覆うカバー部材(例えば、後述の実施形態におけるカバー部材22)と、カバー部材に形成された引出口(例えば、後述の実施形態における引出口23)と、基端部が前記作動機構に連結され先端部が前記引出口から外部に引き出されるストラップ(例えば、後述の実施形態におけるストラップ19)と、を備え、前記ストラップの先端部が引かれることによって前記作動機構が操作される車両用シートにおいて、前記ストラップが前記カバー部材の内部に引き込まれるのを規制する前記カバー部材とは別体の規制部材(例えば、後述の実施形態におけるガイドワイヤ24A,24B)を、前記引出口よりも前記カバー部材の前記ストラップの長手方向における前記作動機構側に設け、前記規制部材が、ストラップの引出しをガイドする略長方形状の開口(例えば、後述の実施形態における開口28)を形成し、その開口が前記ストラップの側面および幅方向の端部と対向するように配置される第1のガイドワイヤ(例えば、後述の実施形態におけるガイドワイヤ24A)と、該第1のガイドワイヤよりも前記ストラップの長手方向における前記作動機構側に、前記ストラップの幅方向に沿って設けられた突出部(例えば、後述の実施形態における突出部24c)を有する第2のガイドワイヤ(例えば、後述の実施形態におけるガイドワイヤ24B)と、を有し、前記ストラップは、帯状部材が折り返されて成る先端部と、前記作動機構に連結される基端部を有し、前記突出部は、前記ストラップの折り返された二層の帯部の間に配置され、前記ストラップには、前記先端部と基端部の間で前記帯状部材の二層の帯部を相互に縫合した縫合部(例えば、後述の実施形態における縫合部25)が設けられ、この縫合部は前記突出部に当接することによって前記ストラップの引き込みを規制し、前記突出部は、その一端が自由端とされるとともに、前記ストラップの長手方向から見たときに、前記開口の内側に位置されるように配置されることを特徴とする。
ストラップが引き操作された後に離されると、ストラップがカバー部材の内側に引き込まれようとするが、このとき、ストラップの先端部と基端部の間の縫合部が引出口よりもカバー部材の内側において規制部材の突出部と当接し、その結果、ストラップの引き込みが規制され、ストラップの先端部が引出口の外側に残るようになる。
請求項1に記載の発明によれば、カバー部材とは別体の規制部材が、引出口よりもカバー部材のストラップの長手方向における作動機構側で、ストラップの引き込み変位を規制するため、引出口の形状を大きく制限することなく、ストラップが引き込まれるのを確実に防止することができる。したがって、カバー部材の外観品質を向上させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、規制部材の突出部がストラップの折り返された二層の帯部の間に配置されるため、簡単な構造によってストラップの進退作動を安定させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、先端部と基端部の間で帯状部材の二層の帯部を相互に縫合し、その縫合部がストラップの引き込み規制時に規制部材の突出部と当接するようにしたため、ストラップの構造を複雑にすることなく、ストラップの先端側の把持領域を引出口の外側に確実に残すことができる。
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図中矢印Iは、車幅方向の内側を指し、矢印Oは、車幅方向の外側を指し、矢印Fは、車両の前方側、矢印Rは、車両の後方側をそれぞれ指すものとする。
図1は、この発明を適用した車両用シート1を車室の中央側から見た斜視図である。この車両用シート1は、車室内の側部に跳ね上げ収納可能なシートであり、乗員の着座するシートクッション2と、シートクッション2の後端部に回動可能に連結され、背もたれとなるシートバック3と、備えている。シートクッション2のクッションフレーム4の車幅方向外側Oの端部は、ヒンジ機構5を介して車室内のホイールハウス6の上部に回動可能に支持され、クッションフレーム4の幅方向内側寄りの下面には、シートクッション2を車体フロア7上に支持させるための支持脚8が延設されている。
図2は、支持脚8を図1のA矢視方向から見た正面図であり、図3は、支持脚8を図2のB矢視方向から見た側面図、図4は、支持脚8を図1のC矢視方向から見た斜視図、図5は、図4のD−D断面に対応する断面図である。
これらの図に示すように、支持脚8の骨格部は、車体前後方向に沿いシートクッション2の下面と平行な角パイプ10と、角パイプ10に一体に結合され角パイプ10から上方に延出する上部ベースプレート11と、角パイプ10に一体に結合され角パイプ10から下方に延出する下部ベースプレート12と、から構成されている。
上部ベースプレート11の前後両端部には、シート支持ブラケット13,13が回動可能に取り付けられ、このシート支持ブラケット13,13にシートクッション2が結合されている。上部ベースプレート11とシート支持ブラケット13,13は車体前後方向に沿う軸pを中心としてほぼ90°の範囲での回動が可能とされ、支持脚8をシートクッション2の下面に対してほぼ90°引き起こした起立姿勢と、シートクッション2の下面に沿うように折り曲げた折り畳み姿勢とに選択的に操作し得るようになっている。なお、各シート支持ブラケット13と上部ベースプレート11の間には付勢スプリング14が設けられ、この付勢スプリング14の力によって支持脚8の姿勢が前記の起立姿勢と折り畳み姿勢のいずれかに維持されるようになっている。
下部ベースプレート12の下端の前後位置にはロック機構15A,15Bがそれぞれ設けられている。ロック機構15A,15Bは、シートクッション2を略水平に展開して支持脚8を起立姿勢にしたときに、支持脚8の下端を、車体フロア7上のストライカ16A,16Bに係止固定するものであり、下部ベースプレート12に揺動可能に支持されて車体フロア7上のストライカ16A,16Bに係合されるロック爪17A,17Bと、このロック爪17A,17Bをストライカ16A,16Bと係合される方向に付勢する図示しない付勢スプリングと、を備えている。
各ロック爪17A,17Bは、それぞれ対応する解除レバー18A,18Bに連結され、付勢スプリングの付勢力に抗する解除レバー18A,18Bの操作によってストライカ16A,16Bとの係合を解除し得るようになっている。前部側の解除レバー18Aは後部側の解除レバー18Bに連結され、後部側の解除レバー18Bの解除操作時に連動作動するようになっている。また、後部側の解除レバー18Bにはストラップ19(図3では図示省略)が連結され、このストラップ19の引っ張り操作によって解除レバー18A,18Bの解除作動が可能となっている。なお、解除レバー18A,18Bは、ロック機構15A,15Bの解除操作を行うロック解除機構20を構成するものであるが、このロック解除機構20はこの発明における作動機構を構成している。
支持脚8の骨格部の外側にはカバー部材22が取り付けられており、カバー部材22の下端近傍の後部面には略長方形状の引出口23が形成されている。この引出口23からは解除レバー18Bに連結されたストラップ19の先端部が引き出されるようになっている。そして、カバー部材22の内側の下部ベースプレート12のうちの、引出口23に臨む部位には、ストラップ19を案内し、かつストラップ19の引き込まれを規制するガイドワイヤ24A,24Bが取り付けられている。
ストラップ19は、帯状部材の先端部19aが二つ折りに折り返され、帯状部材の基端部19bが二層の帯部を重合した状態で解除レバー18Bに連結されている。そして、このストラップ19の先端部19aから設定距離離間した位置には、表裏の帯部を縫合した縫合部25が設けられている。ここで、ストラップ19の縫合部25よりも先端側の小さい環状部を第1環状部26と呼び、縫合部25よりも後端側の大きい環状部を第2環状部27と呼ぶものとすると、ストラップ19は、第1環状部26が引出口23を通してカバー部材22の外側に引き出され、第2環状部27がガイドワイヤ24A,24Bによってガイドされるようになっている。
一方のガイドワイヤ24Aは略コ字状に形成され、下部ベースプレート12の後部側端面に固定されて、下部ベースプレート12と略長方形状の開口28を形成するようになっている。この開口28は、カバー部材22の引出口23の内側においてストラップ19の周囲を案内する。
また、他方のガイドワイヤ24Bは、図4に示すように、下部ベースプレート12の後部側端面に固定される基辺部24aと、基辺部24aから下部ベースプレート12に沿って車両前方側に屈曲する前方延出部24bと、前方延出部24bからシートクッション4側(角パイプ10側)に屈曲する突出部24cと、を備えている。なお、前方延出部24bと突出部24cは、下部ベースプレート12の後部壁に対して車外側に離間して配置され、突出部24cは、車体後方側から見たときに、一方のガイドワイヤ24Aと下部ベースプレート12に囲まれた開口28の内側に位置されるようになっている。
ストラップ19は、カバー部材22の内側で第2環状部27に他方のガイドワイヤ24Bの突出部24cが挿通され、その状態において先端部19a側がガイドワイヤ24Aと下部ベースプレート12による開口28と、カバー部材22の引出口23を通してカバー部材22の外側に引き出されている。こうして引出口23から引き出されたストラップ19は、乗員が先端部19aの第1環状部26を把持して引っ張り操作することによってロック機構15A,15Bのロックを解除し得るようになっている。
以上の構成において、跳ね上げ状態で車体側部に収納された車両用シート1を展開して利用する場合には、ヒンジ機構5を介してシートクッション2を略水平に倒すとともに支持脚8を起立姿勢になるように引き起こし、支持脚8の下端のロック機構15A,15Bのロック爪17A,17Bを車体フロア7上のストライカ16A,16Bに係合させる。これにより、シートクッション2は車体フロア7に固定される。シートバック3はこの後に起立状態になるように後方側に引き起こす。
この状態から逆に車両用シート1を車体側部に跳ね上げて収納する場合には、シートバック3を前方に倒し、支持脚8の後部のストラップ19を後方に引くことによって前後の解除レバー18A,18Bを操作し、ロック機構15A,15Bを解除する。次に、この状態から支持脚8をシートクッション2の下面側に重ねるように折り畳み、ヒンジ機構5を介してシートクッション2を車体側部に跳ね上げる。
ところで、ロック解除のためにストラップ19を引き操作すると、ストラップ19の第2環状部27がカバー部材22の内側で一方のガイドワイヤ24Aと下部ベースプレート12による開口28によって周囲をガイドされつつ、先端部19aがカバー部材22の引出口23から引き出される。なお、このとき他方のガイドワイヤ24Bの突出部24cは第2環状部27の内部を相対的に前方に変位する。
この状態から乗員がストラップ19の第1環状部26から手を離すと、ストラップ19全体がロック機構15A,15Bの付勢スプリングの力によって引き込まれ、第2環状部27が一方のガイドワイヤ24Aと下部ベースプレート12による開口28によって周囲をガイドされ、縫合部25が他方のガイドワイヤ24Bの突出部24cに当接することによって過大な引き込まれを規制される。
この車両用シート1においては、ストラップ19の引き込まれを規制するガイドワイヤ24Bがカバー部材22の内側の引出口23に臨む位置に配置されているため、ストラップ19の引き込まれを規制する部材を引出口23内に突出するようにカバー部材22に設ける場合と異なり、引出口23の形状を制限することなくストラップ19の引き込まれを確実に防止することができる。したがって、引出口23を小型で内部の見えにくい形状とすることができる。
また、この実施形態の場合、下部ベースプレート12とともにストラップ19の周囲をガイドするガイドワイヤ24Aが同様にカバー部材22の内側の引出口23に臨む位置に配置されているため、ストラップ19の撓みや揺れによるストラップ19と引出口23の周縁部との干渉を防止することができる。したがって、引出口23を小型化し、支持脚8の外観品質を高めるうえで有利となる。
また、この車両用シート1で採用するストラップ19は帯状部材が折り返されて成る先端部19aと解除レバー18Bに連結される基端部19bを有し、ガイドワイヤ24Bの突出部24cが二層の帯部の間に配置されるようになっているため、簡単な構造によってストラップ19の進退作動を安定化させることができる。
さらに、この車両用シート1では、ストラップ19に二層の帯部を縫合した縫合部25が設けられ、その縫合部25がストラップ19の引き込み規制時にガイドワイヤ24Bの突出部24cと当接するようになっているため、簡単な構造でありながら、ストラップ19の先端側の把持領域(第1環状部26)を引出口23の外側に確実に残すことができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、ストラップ19に連結される作動機構は支持脚8のロック解除機構20であるが、作動機構は支持脚8のロック解除機構20に限らず、リクライニングのロック解除機構等であっても良い。
この発明の一実施形態の車両用シートを示す斜視図。 同実施形態の車両用シートを図1のA矢視方向から見た正面図。 同実施形態の車両用シートを図2のB矢視方向から見た側面図。 同実施形態の車両用シートを図1のC矢視方向から見た斜視図。 同実施形態の図4のD−D断面に対応する断面図。
符号の説明
1…車両用シート
19…ストラップ
19a…先端部
19b…基端部
20…ロック解除機構(作動機構)
22…カバー部材
23…引出口
24A…ガイドワイヤ(第1のガイドワイヤ,規制部材)
24B…ガイドワイヤ(第2のガイドワイヤ,規制部材)
24c…突出部
25…縫合部
28…開口

Claims (1)

  1. シート本体の作動機構と、
    この作動機構を覆うカバー部材と、
    カバー部材に形成された引出口と、
    基端部が前記作動機構に連結され先端部が前記引出口から外部に引き出されるストラップと、を備え、
    前記ストラップの先端部が引かれることによって前記作動機構が操作される車両用シートにおいて、
    前記ストラップが前記カバー部材の内部に引き込まれるのを規制する前記カバー部材とは別体の規制部材を、前記引出口よりも前記カバー部材の前記ストラップの長手方向における前記作動機構側に設け、
    前記規制部材が、ストラップの引出しをガイドする略長方形状の開口を形成し、その開口が前記ストラップの側面および幅方向の端部と対向するように配置される第1のガイドワイヤと、該第1のガイドワイヤよりも前記ストラップの長手方向における前記作動機構側に、前記ストラップの幅方向に沿って設けられた突出部を有する第2のガイドワイヤと、を有し、
    前記ストラップは、帯状部材が折り返されて成る先端部と、前記作動機構に連結される基端部を有し、
    前記突出部は、前記ストラップの折り返された二層の帯部の間に配置され、
    前記ストラップには、前記先端部と基端部の間で前記帯状部材の二層の帯部を相互に縫合した縫合部が設けられ、この縫合部は前記突出部に当接することによって前記ストラップの引き込みを規制し、
    前記突出部は、その一端が自由端とされるとともに、前記ストラップの長手方向から見たときに、前記開口の内側に位置されるように配置されることを特徴とする車両用シート。
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