JP4457989B2 - 車両用収納式シートの収納移動構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用収納式シートの収納移動構造に関する。詳しくは、車両のシートを着座使用状態位置からこの着座使用状態位置とは別の位置でシートを収納することのできる収納状態位置に移動させるために、シートとこのシートを設置するフロアとの間に配設されたリンク部材による連結によりシートが両位置間を移動可能とされていると共に、移動時におけるシートの傾倒姿勢を制御するための姿勢制御ワイヤがシートとフロア或いはリンク部材との間に配設されている車両用収納式シートの収納移動構造に関する。
従来、例えば車両のリヤシートには、不使用時におけるシートを着座使用時の使用状態位置からこの使用状態位置に対して車両前方或いは後方の低位(例えばフロア面)にある収納状態位置に倒し込んで収納状態とするための収納機構が備え付けられているものがある。この収納機構としては、例えばシートクッションの後端部とフロアとをリンク部材によってリンク連結し、シートをこのリンク部材の回動に従って上記使用状態位置からその低位にある収納状態位に向けて倒し込むようにした技術が知られている。また、例えば特許文献1では、上記リンク部材とは別に、シートクッションとフロアとを姿勢制御ワイヤによって連結した技術が開示されている。この開示では、シートの移動時に姿勢制御ワイヤが緊張状態となることにより、この姿勢制御ワイヤがコネクタとなってシートのリンク部材に対する傾倒姿勢を制御するようにしている。また、この姿勢制御は、シートが使用状態位置や収納状態位置にあるときには、姿勢制御ワイヤを撓ませて畳み込んでおくことができる。なお、同開示では、姿勢制御ワイヤと係止してこの姿勢制御ワイヤがシートとフロアとの間にある障害物と干渉しない形状に撓み変形するように規制案内する規制案内部材(テンショナー装置)が設けられている。
特開平10−035745号公報
しかしながら、上記従来の技術、すなわち姿勢制御ワイヤが規制案内部材に係止される技術では、車両走行時における振動等の影響を受けて両者の当接する当接部位間で叩打を伴うことがあり、これにより異音が発生することがあった。
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シートのリンク部材に対する傾倒姿勢を制御する姿勢制御ワイヤとこの姿勢制御ワイヤの撓み変形形状を規制案内する規制案内部材との当接部位間で異音が発生するのを抑止することにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両用収納式シートの収納移動構造は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、車両のシートを着座使用状態位置から着座使用状態位置とは別の位置でシートを収納することのできる収納状態位置に移動させるために、シートとシートを設置するフロアとの間に配設されたリンク部材による連結によりシートが上記した両位置間を移動可能とされていると共に、移動時におけるシートの傾倒姿勢を制御するための姿勢制御ワイヤがシートとフロア或いはリンク部材間に配設されている車両用収納式シートの収納移動構造である。姿勢制御ワイヤがシートの移動に応じて撓む場合に、撓み可能範囲にある障害物と干渉する撓み状態を回避するように姿勢制御ワイヤの撓み状態を規制案内する規制案内部材が姿勢制御ワイヤと当接可能な位置状態として設けられている。規制案内部材の姿勢制御ワイヤとの当接部位は軟質材で形成されている。規制案内部材は、シートの下面に敷設されたカバー部材である。カバー部材は、姿勢制御ワイヤのシートとの連結軸を被覆して設けられている。カバー部材の敷設された後縁部から姿勢制御ワイヤが引き出されて、姿勢制御ワイヤとカバー部材の後縁部とが当接する構成となっている
ここで、軟質材の材質は、例えばゴム、樹脂及び布等のように姿勢制御ワイヤとの当接が緩やかとなる材質のものであれば、特に限定されない。
この第1の発明によれば、シートは、リンク部材に対して回動可能ではあるものの、コネクタたる姿勢制御ワイヤの緊張する位置まで回動させることにより、同方向への回動が規制される。一方、シートを上記緊張方向とは逆方向に回動させることにより、姿勢制御ワイヤは軸方向の圧縮力を受けて撓み変形する。このとき、姿勢制御ワイヤは、規制案内部材と当接により、その撓み可能範囲にある障害物と干渉しないように撓み変形が規制案内される。この規制案内部材は、シートの下面に敷設されたカバー部材として構成されており、姿勢制御ワイヤと当接する部位が軟質材により構成されている。この規制案内部材は、その後縁部から引き出された姿勢制御ワイヤと緩やかに当接して、姿勢制御ワイヤの撓み変形を規制する。
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、姿勢制御ワイヤの両端は、リンク部材のリンク連結軸と平行なワイヤ連結軸によりそれぞれ連結され、リンク部材と同じ方向に回動可能に軸支されており、規制案内部材は、姿勢制御ワイヤの一端と近接する部位と当接し姿勢制御ワイヤの回動方向の一方向の撓み変形を規制案内するものである。
この第2の発明によれば、姿勢制御ワイヤは、その両端の連結状態(固定条件)により、ワイヤ連結軸回りのどちらか一方向側に向けて撓み変形を生じるように変形形態が制限される。そして、規制案内部材は、上記姿勢制御ワイヤの回動方向の一方向の撓み変形を規制案内するように作用する。この規制案内部材は、上記のように両端回転自由の固定条件のときには比較的大きく撓み変形が生じるとされる圧縮負荷の入力側部位(姿勢制御ワイヤの他端側部位)と当接して、姿勢制御ワイヤの撓み変形を規制案内する。
本発明は上述した手段をとることにより、次の効果を得ることができる。
先ず、第1の発明によれば、軟質材によって形成された規制案内部材によって姿勢制御ワイヤの撓みを規制案内する構成としたことにより、両者の当接部位において発生する叩打音等の音を抑止することができる。また、上記した規制案内部材が、シートの下面に敷設されたカバー部材として構成されて、姿勢制御ワイヤのシートとの連結軸を被覆する構成となっていることにより、連結軸が外部に露出しないようにすることができる。また、規制案内部材(カバー部材)が、その敷設された後縁部から姿勢制御ワイヤを引き出して、同後縁部において姿勢制御ワイヤを当接させる構成となっていることにより、姿勢制御ワイヤをシートと連結するための通し孔をカバー部材に別途形成したり、その通し孔内に姿勢制御ワイヤを通したりするなどの工程を不要とすることができ、係る構成を簡単化し、かつ組み付け性を良くすることができる。
更に、第2の発明によれば、姿勢制御ワイヤの両端がリンク部材のリンク連結軸と平行なワイヤ連結軸によってそれぞれ連結され、リンク部材と同じ方向に回動可能となるようにされ、規制案内部材が姿勢制御ワイヤの一端と近接する部位と当接して姿勢制御ワイヤの回動方向の一方向の撓み変形を規制案内する構成となっていることにより、姿勢制御ワイヤの撓み変形方向を特定して規制案内部材による規制力を良好に発揮させられるようにする構成を簡単な構成によって得ることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態の実施例について、図面を用いて説明する。
図1〜図6は、実施例1の車両用収納式シートの収納移動構造の構成を表したものである。図1はシート10の概略構成を示す側面図、図2は姿勢制御ワイヤ30の連結構造を示す要部拡大図、図3はシート10が着座使用位置にある状態を表した側面図、図4は図3の状態からシート10を折り畳み姿勢とした状態を表した側面図、図5は図4の状態からシート10を収納位置に向けて倒し込んでいる途中状態を表した側面図、図6はシート10が収納位置に倒し込まれた状態を表した側面図である。なお、図1〜図6においては、紙面内左方向が車両前方向として表されている。
本実施例のシート10は、車両のリヤシートとして適用されている。このシート10は、図3に良く示されるように、通常、乗員が着座して使用する使用位置のときには、段差状に形成されたフロアFの上段側位置(以下、上段側フロアFu)に設置されている。また、シート10は、後述するリンク部材20によってフロアFとリンク連結されており、不使用時には、このリンク部材20の回動に従って、上段側フロアFuよりも車両後方側の低位に形成されたフロアFの下段側位置(以下、下段側フロアFl)に向けて倒し込んで収納する収納操作が行えるようになっている。また、シート10は、後述する姿勢制御ワイヤ30によってもフロアFと連結されており、上記シート10の収納操作時には姿勢制御ワイヤ30がコネクタとして機能して、シート10のリンク部材20に対する傾倒姿勢が規制制御されるようになっている。この姿勢制御ワイヤ30は、図2に良く示されるように、後述する規制案内部材40と係合した状態とされており、その撓み変形する方向や形状が規制されるようになっている。
以下、各構成部材の構成について詳細に説明する。
先ず、シート10の構成について説明する。すなわち、シート10は、図3に良く示されるように、シートクッション11とシートバック12とがリクライニング軸(図示省略)によって連結されている。このシートバック12は、図4に良く示されるように、その裏側から垂出して設けられた折畳ストラップSoを引っ張る操作を行うことにより、シートクッション11側に折り畳まれるようになっている。
また、シート10は、図3に良く示されるように、乗員が着座して使用する使用状態の時には、上段側フロアFuに設置された状態で位置固定されている。具体的には、シート10は、シートクッション11の後側下部に連結されたリンク部材20や、シートクッション11の前側下部に設けられたロック機構13によって、フロアFに対して支持されている。前者のリンク部材20は、その両端がシート10及びフロアFに対してそれぞれ回動可能に連結されている。このリンク部材20は、シート10の車幅方向の両側位置に一対で設けられている。後者のロック機構13は、同じくシートクッション11の車幅方向の両側位置に一対で設けられており、シートクッション11と一体的とされている。このロック機構13は、上段側フロアFuに設置されたストライカFsに対して係合ロック可能に出没動する係合フック(図示省略)を有する。ここで、係合フックは、常時はストライカFsと係合ロックする突出方向に附勢されている。そして、ロック機構13とストライカFsとが係合ロックした状態では、リンク部材20が回動不能にロックされるため、シート10が上段側フロアFuに設置された状態として位置固定される。このロック機構13は、上述した折畳ストラップSoとは別にシートバック12の裏側から垂出して設けられた解除ストラップSuの操作と連動するようになっている。具体的には、図1に良く示されるように、解除ストラップSuを引っ張る操作を行うことにより、突出状態の係合フックが没入し、ロック機構13とストライカFsとの係合ロック状態が解除される。
また、図3に良く示されるように、シートクッション11の下面には、表皮材としての布製のカバー部材14が敷設されている。このカバー部材14は、例えばシートクッション11の骨格を成すクッションフレーム11a(図2参照)間に張り付けられて設けられている。
次に、リンク部材20の構成について説明する。すなわち、リンク部材20は、図1に良く示されるように、長尺板状に形成されており、その下端に設けられた連結軸21がフロアFに対して回動可能に連結されており、上端に設けられた連結軸22がクッションフレーム11aに対して回動可能に連結されている。ここで、連結軸21,22がそれぞれ本発明のリンク連結軸に相当する。この連結軸21,22の連結により、シート10は、上段側フロアFu上の使用位置(図4参照)と、下段側フロアFl上の収納位置(図6参照)と、の間で回動移動可能とされている。
また、リンク部材20とクッションフレーム11aとを連結する連結軸22の近傍位置には、図示しないばね部材が設けられている。このばね部材は、いわゆるスパイラルスプリングであり、シート10をリンク部材20に対して跳ね上げる方向、すなわちシート10を図4の状態位置から図5の状態位置に向けて跳ね上げる方向に回動させるべく附勢する。詳しくは、図1に良く示されるように、このばね部材による附勢は、シート10のロック機構13とストライカFsとの係合ロックが解除された自由状態ではシート10をリンク部材20に対して跳ね上げることができるが、図6に良く示されるように、跳ね上がったシート10を操作者が手で押さえ込むことにより、シート10を上記附勢に抗して簡単に押し下げることのできる程度に作用する。
次に、姿勢制御ワイヤ30の構成について説明する。すなわち、姿勢制御ワイヤ30は、図2に良く示されるように、可撓性を有した長尺線形状に形成されており、その下端側部位30aに設けられた連結軸31がフロアFに対して回動可能に連結され、上端側部位30bに設けられた連結軸32がクッションフレーム11aに対して回動可能に連結されている。ここで、連結軸31,32がそれぞれ本発明のワイヤ連結軸に相当する。これら連結軸31,32は、リンク部材20(図1参照)の両連結軸21,22と平行に配置されており、姿勢制御ワイヤ30をリンク部材20と同じ方向に回動可能となるように軸支している。
この姿勢制御ワイヤ30は、図3及び図4に良く示されるように、シート10が上段側フロアFu上の使用位置にある常時は、シートクッション11の下面形状とフロアFの段差形状とに挟み込まれて撓み変形している。この撓み変形時には、姿勢制御ワイヤ30は、例えば前述したロック機構13等の絡み付きの生じ得る障害物とは干渉しない撓み状態とされている。そして、姿勢制御ワイヤ30は、図1に良く示されるように、シート10の収納移動時には、シート10のリンク部材20に対する傾倒姿勢を制御するべく作用する。具体的には、シート10が解除ストラップSuの引っ張り操作によって上段側フロアFu上の使用位置からリンク部材20に対して跳ね上げられると、姿勢制御ワイヤ30は、このシート10に引っ張られて直線状の緊張状態となる。これにより、シート10は、姿勢制御ワイヤ30によって、リンク部材20に対する跳ね上げ移動が規制された状態となる。すなわち、この姿勢制御ワイヤ30の緊張状態では、シート10のフロアFに対する連結構造が、リンク部材20と姿勢制御ワイヤ30とに連結されて成る四節リンクとして構成されている。したがって、シート10を下段側フロアFlに向けて倒し込む操作を行うことにより、合わせて、シート10のリンク部材20に対する傾倒姿勢も序々に倒し込まれるように連動させることができる。これにより、シート10の収納移動時には、シート10のリンク部材20に対する傾倒姿勢を維持する操作が不要となる。
なお、シート10は、図5に良く示されるように、前述もしたように、常時、リンク部材20に対して跳ね上げられる方向に附勢されているため、最終的には、シート10を上記附勢に抗して下段側フロアFlに向けて押し込むように押動操作を行うことにより、シート10を図6に示されるような収納姿勢状態とすることができる。このシート10の収納姿勢状態時では、シートクッション11の下部に設けられたロック機構13等のロック構造が下段側フロアFl上に設けられた収納用のストライカ(図示省略)と係合ロックするため、シート10に上記跳ね上げ方向の附勢が作用しても、シート10をこの収納位置にて保持することができる。ここで、収納用のストライカと係合ロック状態にあるロック機構13等のロック構造は、解除ストラップSuを引っ張る操作を行うことにより、その係合ロック状態を解除することができる。これにより、収納位置にあるシート10を、再度、使用位置へと戻し込む操作を行うことができる。
次に、規制案内部材40は、図2に良く示されるように、軟質材たるゴム材より成る係止部41と、係止部41と一体的に形成されたフック42と、を有する。この係止部41は、環状に形成されており、その環状内部に姿勢制御ワイヤ30の軸回りを囲い込んだ状態で、フック42によってクッションフレーム11aに掛け止められて固定されている。詳しくは、係止部41は、姿勢制御ワイヤ30の上端側部位30bと係合する位置に配置されており、常時、この上端側部位30bと当接し、姿勢制御ワイヤ30を連結軸31,32回りの回動方向の一方に向けて引張って撓み変形させている。
ここで、姿勢制御ワイヤ30は、その両端の連結状態によって、撓み変形する方向が連結軸31,32回りの回動方向に限定されている。これは、姿勢制御ワイヤ30が、その両端の固定状態によって、圧縮方向の負荷を受けた際に上記回動方向のいずれかに撓み変形し易い構成とされていることによる。そして、規制案内部材40は、姿勢制御ワイヤ30の変形形態が上記回動方向のうちの一方側に向くように規制案内している。詳しくは、規制案内部材40は、姿勢制御ワイヤ30がその撓み可能範囲にある障害物と干渉することのないように撓み状態を規制案内している。具体的には、本実施例では、姿勢制御ワイヤ30が絡み付くことのある障害物としてロック機構13を定めている。したがって、本実施例では、図6に良く示されるように、姿勢制御ワイヤ30を、シート10が収納位置に収納された際にロック機構13(図1参照)と干渉しないように、このロック機構13から離間する方向となる下方に向けて撓み変形させるべく規制案内している。
また、図2に良く示されるように、規制案内部材40の係止部41と姿勢制御ワイヤ30との当接部位が上端側部位30bに設定されているため、姿勢制御ワイヤ30の撓み状態の規制案内が安定して行われる。これは、姿勢制御ワイヤ30の固定条件が両端回転自由とされている場合には、姿勢制御ワイヤ30の変形モードが、シート10の収納操作時にかかる圧縮負荷の入力側部位である上端側部位30bに比較的大きな撓み変形を伴う変形形態となることによる。すなわち、姿勢制御ワイヤ30の撓み変形し易い部位(上端側部位30b)を撓み変形させるべき方向に予め撓ませておくことにより、姿勢制御ワイヤ30の撓み状態を規制案内する作用が効果的に発揮されるというものである。
また、姿勢制御ワイヤ30と当接する係止部41が軟質材たるゴム材によって形成されているため、係止部41と姿勢制御ワイヤ30との当接が緩やかとなる。したがって、例えば車両走行時における振動等の影響を受けても、両者の当接する当接部位間で叩打を伴うことがなく、叩打音等の異音を発生させることがない。ここで、軟質材の材質は、上述したゴム以外のものであっても良く、樹脂及び布等のように姿勢制御ワイヤ30との当接が緩やかとなる材質のものであれば、特に限定されない。また、軟質材は、少なくとも係止部41の姿勢制御ワイヤ30との当接部位に形成されていれば足り、例えば硬質材によって形成された係止部の一部(姿勢制御ワイヤ30との当接部位)に軟質材を組み付けた構成としても良い。
続いて、本実施例の使用方法を説明する。
すなわち、先ず、図3に良く示されるように、上段側フロアFu上の使用位置で着座使用されているシート10は、折畳ストラップSoを引っ張る操作を行うことにより、図4に良く示されるように、シートバック12をシートクッション11に向けて折り畳んだ姿勢状態とすることができる。このとき、姿勢制御ワイヤ30は、シートクッション11の下面形状とフロアFの段差形状とに挟み込まれて撓み変形している。
次に、解除ストラップSuを引っ張る操作を行うことにより、ロック機構13とストライカFsとの係合ロック状態が解除される。すると、図1に良く示されるように、自由状態とされたシート10がリンク部材20に対して跳ね上げられる方向に附勢回動し、姿勢制御ワイヤ30が引っ張られて緊張状態となる。そして、図5に良く示されるように、解除ストラップSuをそのまま引っ張るようにして操作を行うことにより、シート10が下段側フロアFl上に向けて倒し込まれながら移動する。そして、図6に良く示されるように、最終的には、シート10を下段側フロアFlに向けて押し込むように押動操作を行うことにより、シート10を収納位置に収納することができる。このとき、シート10の押動操作に伴って姿勢制御ワイヤ30が撓み変形するが、姿勢制御ワイヤ30は、規制案内部材40によって撓み状態が規制案内されるため、障害物たるロック機構13と干渉することのない形状に撓み変形する。
また、規制案内部材40と姿勢制御ワイヤ30との当接部位は、叩打を伴うことのない緩やかな当接関係となっているため、この当接部位から叩打音等の異音が発生することはない。
このように、本実施例の車両用収納式シートの収納移動構造によれば、シート10の収納移動時に、シート10のリンク部材20に対する傾倒姿勢を制御する姿勢制御ワイヤ30と、この姿勢制御ワイヤ30の撓み変形形状を規制案内する規制案内部材40と、の当接部位間で異音が発生するのを抑止することができる。
更に、姿勢制御ワイヤ30の連結状態によって、姿勢制御ワイヤ30の撓み変形する方向を特定することができるため、規制案内部材40による規制力を好適に発揮させることができると共に、規制案内部材40の構成を簡単化することができる。更に、規制案内部材40の係止部41と姿勢制御ワイヤ30との当接部位を上端側部位30bに設定しているため、姿勢制御ワイヤ30の撓み状態を規制案内する作用を効果的に発揮させることができる。
続いて、実施例2の車両用収納式シートの収納移動構造について、図7を用いて説明する。図7は姿勢制御ワイヤ30の連結構造を示す要部拡大図である。なお、本実施例では、実施例1の車両用収納式シートの収納移動構造と同様の構成及び作用を奏する箇所については同一の符号を付して説明を省略し、相異する構成については異なる符号を付して詳しく説明することとする。また、図7に示されていない構成については、実施例1の図1〜図6に示された同一符号の構成を適宜参照するものとする。
本実施例における規制案内部材50は、図7に良く示されるように、シートクッション11の下面に表皮材として敷設された布製のカバー部材14(軟質材)が適用されている。この規制案内部材50は、姿勢制御ワイヤ30のクッションフレーム11aとの連結軸32を被覆して設けられており、その敷設された後縁部51から姿勢制御ワイヤ30が引き出される配置構成とされている。そして、この規制案内部材50は、例えばクッションフレーム11a間に張り付けられて設けられている。詳しくは、規制案内部材50は、姿勢制御ワイヤ30の上端側部位30bと係合する位置に配置されており、常時、この上端側部位30bと当接し、上記敷設された張力によって、姿勢制御ワイヤ30をロック機構13(図6参照)と干渉しないように撓み変形させるべく規制案内している。
なお、本実施例の使用方法については、実施例1と実質的に同様であるため、省略する。
このように、本実施例の車両用収納式シートの収納移動構造によれば、既存の構成(カバー部材14)を利用した簡単な構成によって、姿勢制御ワイヤ30の撓み変形を好適に規制案内することができる。また、姿勢制御ワイヤ30は、規制案内部材50(カバー部材14)の後縁部51を通ってクッションフレーム11aと連結されているため、例えばカバー部材14に対し、姿勢制御ワイヤ30とクッションフレーム11aとを連結するための通し孔を別途に形成することが不要となるため、好適である。
以上、本発明の実施形態を2つの実施例で説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施ができるものである。
例えば、障害物の配置によっては、姿勢制御ワイヤを回動方向の他方に向けて撓み変形させるようにしてもよい。また、姿勢制御ワイヤの両端の固定状態は、必ずしもリンク部材と同じ方向に回転するように設定する必要はなく、使用目的に応じて他の方向に回転させるようにしたり、回転不能に固定させたりして、適宜設定すればよい。また、規制案内部材と姿勢制御ワイヤとの当接部位は、上端側部位に限定されることなく、例えばシートの収納移動を阻害しないような位置など、各機構構造において好適とされる位置に設定すればよい。
また、姿勢制御ワイヤを、シートとリンク部材との間に連結するようにしてもよい。この場合であっても、姿勢制御ワイヤによってシートの傾倒姿勢を制御することは可能である。
また、本実施例では、シートを車両の後方側に向けて移動させて収納する形態であったが、車両の前方側や側方側に向けて移動させて収納するタイプであってもよい。
実施例1のシートの概略構成を示す側面図である。 姿勢制御ワイヤの連結構造を示す要部拡大図である。 シートが着座使用位置にある状態を表した側面図である。 図3の状態からシートを折り畳み姿勢とした状態を表した側面図である。 図4の状態からシートを収納位置に向けて倒し込んでいる途中状態を表した側面図である。 シートが収納位置に倒し込まれた状態を表した側面図である。 実施例2の姿勢制御ワイヤの連結構造を示す要部拡大図である。
符号の説明
10 シート
11 シートクッション
11a クッションフレーム
12 シートバック
13 ロック機構
14 カバー部材
20 リンク部材
21 連結軸(リンク連結軸)
22 連結軸(リンク連結軸)
30 姿勢制御ワイヤ
30a 下端側部位
30b 上端側部位
31 連結軸(ワイヤ連結軸)
32 連結軸(ワイヤ連結軸)
40 規制案内部材
41 係止部
42 フック
50 規制案内部材
51 後縁部
F フロア
Fu 上段側フロア
Fl 下段側フロア
Fs ストライカ
So 折畳ストラップ
Su 解除ストラップ

Claims (2)

  1. 車両のシートを着座使用状態位置から該着座使用状態位置とは別の位置でシートを収納することのできる収納状態位置に移動させるために、シートと該シートを設置するフロアとの間に配設されたリンク部材による連結によりシートが前記両位置間を移動可能とされていると共に、該移動時におけるシートの傾倒姿勢を制御するための姿勢制御ワイヤがシートとフロア或いは前記リンク部材間に配設されている車両用収納式シートの収納移動構造であって、
    前記姿勢制御ワイヤがシートの移動に応じて撓む場合に、該撓み可能範囲にある障害物と干渉する撓み状態を回避するように該姿勢制御ワイヤの撓み状態を規制案内する規制案内部材が該姿勢制御ワイヤと当接可能な位置状態として設けられており、該規制案内部材の前記姿勢制御ワイヤとの当接部位は軟質材で形成されており、前記規制案内部材は、前記シートの下面に敷設されたカバー部材であり、該カバー部材は前記姿勢制御ワイヤのシートとの連結軸を被覆して設けられており、該カバー部材の敷設された後縁部から前記姿勢制御ワイヤが引き出されて該姿勢制御ワイヤと前記カバー部材の後縁部とが当接する構成となっていることを特徴とする車両用収納式シートの収納移動構造。
  2. 請求項1に記載の車両用収納式シートの収納移動構造であって、
    前記姿勢制御ワイヤの両端は、前記リンク部材のリンク連結軸と平行なワイヤ連結軸によりそれぞれ連結され、前記リンク部材と同じ方向に回動可能に軸支されており、
    前記規制案内部材は、前記姿勢制御ワイヤの一端と近接する部位と当接し該姿勢制御ワイヤの回動方向の一方向の撓み変形を規制案内することを特徴とする車両用収納式シートの収納移動構造。
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