この発明の実施例1を図面にしたがって説明する。図1〜図3に示すように、スライド回転シートは、車室フロア側から上方へ向かってベース部材10と、スライドテーブル20と、ターンテーブル50と、シートホルダ70と、シート本体1とを備えている。そして、ベース部材10とスライドテーブル20との間にはスライドレール機構30が配設され、スライドテーブル20とターンテーブル50との間には回転機構60が配設され、ターンテーブル50とシートホルダ70との間にはチルト機構80が配設されることで、スライド、回転及びチルト可能に構成されている。
図2に示すように、ベース部材10は、車室フロアに固定される左右の両サイドフレーム部11と、これら両サイドフレーム部11の前後部を連結する前フレーム部12と、後フレーム部13とを有して方形枠状に形成されている。そして、両サイドフレーム部11の上面には、後述するスライダ35と協働してスライドレール機構30を構成する左右の両スライドレール31が前後方向へ平行状に配設されている。
図2に示すように、スライドテーブル20は、方形板状をなし、その左右両側部には、上方へ段差状をなすスライド取付部21が形成されている。そして、スライド取付部21の下面には、スライドレール31に沿ってスライド可能に嵌合されるスライダ35が配設されている。なお、スライダ35は、スライドレール31に被さるようにして断面逆U字状に形成され、その対向する内壁面と、スライドレール31の両側面との間には、スライダ35のスライド動作を軽快かつ円滑にするためのボールが必要に応じて配設される。
図2と図11に示すように、スライドテーブル20とターンテーブル50との間には、外輪61と内輪62と転動体63(ボール又はローラ)とを有する回転機構60が配設されている。この実施例1において、スライドテーブル20の上面には、円環状の外輪61が配設されると共に、外輪61の内周面に沿って抜き孔25が形成されている。
図2と図11に示すように、ターンテーブル50は、方形板状をなす底板部51と、この底板部51の左右両縁から上方へ直角状に曲げ加工された左右の側板部52と、底板部51の後縁から上方へ直角状に曲げ加工された後板部53とを一体に有している。そして、底板部51の下面には、剛性が高い内輪プレート55が固着され、この内輪プレート55の下面には、外輪61に対応する内輪62が配設され、外輪61と内輪62との間の環状空間には、複数の転動体63が転動可能に配設されている。
図2に示すように、シートホルダ70は、シート本体1のシートクッション2が配置されるものであり、左右の両サイドフレーム部71と、これら両サイドフレーム部71の前後部を連結する前フレーム部73と、後フレーム部74とを有して方形枠状に形成されている。
図3、図5及び図6に示すように、チルトベース部材としてのターンテーブル50とシートホルダ70との間に配設されるチルト機構80は、ターンテーブル50の前後方向前側寄り部分にシートホルダ70を傾動可能に連結するチルト軸81と、ターンテーブル50の前後方向後側寄り部分と、シートホルダの前後方向後側寄り部分とに跨って両端部が連結軸83、84によって連結されたチルトリンク82とを備えている。そして、チルトリンク82の一方の端部の連結軸84上に対し、チルト時の衝撃を緩和するダンパ85が配設されている。
この実施例1において、ダンパ85は、軸ダンパによって構成されており、ターンテーブル50の後板部53にブラケット55によって支持されている。また、この実施例1において、図7に示すように、ターンテーブル50の後部とシートホルダ70の後部との間には、シートホルダ70と共に、シート本体1をチルト端位置(チルトダウン位置)からチルト初期位置(チルトアップ位置)に向けて引き込む(付勢する)チルト補助ばね88が配設されている。なお、図7の二点鎖線に示す状態がチルトダウン位置であり、実線で示す状態がチルトアップ位置である。
図7に示すように、チルトベース部材としてのターンテーブル50とシートホルダ70との間には、シートホルダ70をチルト初期位置に係脱可能にロックするチルトロック機構240が配設されている。チルトロック機構240は、チルトロック部材244とチルトロックストライカ250とを有している。この実施例1において、図7に示すように、シートホルダ70の後部のパネル部54aにチルトロックブラケット241が取り付けられ、このチルトロックブラケット241に対し、チルトロック軸242を中心としてチルトロック部材244がその上部において回動可能に取り付けられている。そして、チルトロック部材244は、その下部に横方向の軸状のロック部244aが設けられ、チルトロック本体ばね243によってロック方向へ付勢されている(図9参照)。
一方、図7に示すように、ターンテーブル50の後板部53と底板部51とにわたって、チルトロックストライカ250が配設され、このチルトロックストライカ250には、チルトロック部材244のロック部244aに係脱可能に係合するチルトロック溝251が形成されている。
図5と図8に示すように、シートバック3の上部の車外側肩部には、例えば、介護者によるチルト操作時に用いられるグリップ部材5が設けられ、このグリップ部材5の近傍には、レバーブラケット(図示しない)を介してチルト用操作部材としてのチルト用操作レバー403がレバー軸402を中心として回動可能に取り付けられている。チルト用操作レバー403の上部には側面形状で逆L字状をなすノブ取付部404が延出され、このノブ取付部404には操作ノブ405が組み付けられている。また、チルト用操作レバー403の下部にはケーブル接続体406が延出されている。そして、グリップ部材5のグリップ部を把持した状態で、チルト用操作レバー403の操作ノブ405を指先(例えば、親指)で押し込み操作することで、次に述べるチルト用ケーブル410を介してチルトロック部材244のロック解除が可能となっている。
図5、図8及び図9に示すように、チルト用操作レバー403とチルトロック部材244との間には、チルトロック部材244をロック解除するチルト用ケーブル410が配設されている。チルト用ケーブル410は、アウタケーブル411とインナケーブル412とを備えた遠隔操作用ケーブルによって構成されている。そして、図8に示すように、チルト用ケーブル410のインナケーブル412の一端部が、チルト用操作レバー403の下部に延出されたケーブル接続体406に接続されている。さらに、図9に示すように、チルト用ケーブル410のインナケーブル412の他端部がチルトロック部材244に設けられたケーブル接続体246に接続されている。
図10と図11に示すように、ベース部材10とスライドテーブル20との間には、スライドテーブル20のスライド方向への移動を阻止するスライドロック機構200が配設されている。スライドロック機構200は、左右の両スライドロック部材203と、これらスライドロック部材203に対する左右の両スライドロックストライカ部材210とを有している。
この実施例1において、スライドテーブル20の下面の左右部には、ケース状のロック保持部材201が、その前後部の取付片においてボルト等によってそれぞれ取り付けられている。ロック保持部材201には、前後方向のスライドロック軸202によってスライドロック部材203がロック、アンロック方向へ回動可能に取り付けられ、スライドロックばね208によってロック方向へ付勢されている。また、スライドロック部材203の一端部には、上方に向けて複数のロック爪204が延出されている。
一方、図4と図11に示すように、ベース部材10の左右の両スライドレール31の下方に位置する部分には、前後方向へ延びるスライドロックストライカ部材210が固定されており、これらスライドロックストライカ部材210には、スライドロック部材203の複数のロック爪204に係脱可能に係合する多数のスライドロック孔211が前後方向に所定間隔を隔てて形成されている。
図1〜図3に示すように、シートホルダ70の前部の車内側には、主として着座者が使用するスライド用操作レバー350(この発明のスライド用操作部材に相当する)が、レバー軸351を中心として回動可能に取り付けられている。また、シートホルダ70の前部の車外側には、主として介護者が使用するための、スライド用操作部材と回転用操作部材とを兼用するスライド・回転用操作レバー362(この発明のスライド用操作部材に相当する)が、レバー軸363を中心として回動可能に取り付けられている。
図4、図10及び図11に示すように、スライドロック部材203とスライド用操作レバー350及びスライド・回転用操作レバー362との間には、スライドロック解除機構300が配設されている。スライドロック解除機構300は、ターンテーブル50側に配設された第1のスライド用ケーブル330及び第2のスライド用ケーブル340と、スライドテーブル20側に配設されたリンク機構301と、を備えている。
図10と図11に示すように、リンク機構301は、左右のスライドロック機構200の中間に位置するスライドテーブル20の部分に、ベースブラケット302を介して回動可能に配設された上下方向のリンクヒンジ軸303と、リンクヒンジ軸303の上軸部に一体回転可能に配設された上リンク306と、下軸部に一体回転可能に配設された下リンク310と、下リンク310と両スライドロック部材203とをそれぞれ連結するリンクロッド320と、上リンク306上に突出されたリンクピン307に接離及び係合可能でかつターンテーブル50側に上下方向の支軸323を中心として回動可能に配設されたセパレートリンク324と、を備えている。さらに、下リンク310には、図10に示すようにカムピン312が下向きに突設されている。
図34〜図36に示すように、下リンク310のカムピン312に対応するカム面48は、スライドテーブル20のスライド動作に連動してターンテーブル50を設定角度の範囲において回転させる後述するカム機構40のカムプレート41の一側面の前後方向に沿って形成されている。そして、図34に示すように、ターンテーブル50を回転させるローラ47がカムプレート41のカム孔42の直線孔部43に配置されたときには、カムピン312がカムプレート41のカム面48に干渉しないように設定される。また、ターンテーブル50が回転を開始してから回転端位置まで回動する間においては、カムピン312が、カム面48に沿って移動案内されることで、スライドロック部材203がロック解除状態に保たれる(図10、図35、図36参照)。さらに、この実施例1において、図35に示すように、ローラ47がカムプレート41のカム孔42の湾曲孔部44の途上に配置されかつターンテーブル50が回転中間に配置されたときに、スライドロック部材203がロック動作可能に、カムプレート41のカム面48には、下リンク310のカムピン312の案内を回避する切欠状の回避部48aが形成されている。
スライド用操作レバー350とセパレートリンク324との間には、第1のスライド用ケーブル330が配設されている。また、スライド・回転用操作レバー362とセパレートリンク324との間には、第2のスライド用ケーブル340が配設されている。第1、第2の両スライド用ケーブル330、340は、アウタケーブル331、341とインナケーブル332、342とを備えた遠隔操作用ケーブルによってそれぞれ構成されている。そして、図3に示すように、第1のスライド用ケーブル330のインナケーブル332の一端部がスライド用操作レバー350のレバー操作に連動されるケーブル接続体352に接続されている。
さらに、図4に示すように、第1のスライド用ケーブル330のインナケーブル332の他端部がセパレートリンク324に形成された連結孔325に接続されている。また、第2のスライド用ケーブル340のインナケーブル342の一端部がスライド・回転用操作レバー362のレバー操作に連動されるケーブル接続体365に接続されている。さらに、第2のスライド用ケーブル340のインナケーブル342の他端部がセパレートリンク324に形成された連結孔326に接続されている。なお、セパレートリンク324の両連結孔325、326は、セパレートリンク324の支軸323を中心とする内周側と外周側との円弧状長孔によってそれぞれ形成されている。
図4及び図12〜図14に示すように、スライドテーブル20とターンテーブル50との間には、ターンテーブル50の回転方向への回動を阻止する回転ロック機構220が配設されている。回転ロック機構220は、ターンテーブル50の下面側に回転ロック軸221を中心として回動可能に配設された回転ロック部材222、この回転ロック部材222の一端部に形成された切欠状のロック溝224に係脱可能に係合する位置でスライドテーブル20上に配設された回転前ロックストライカ223と、回転ロック部材222の他端部に形成された回転後ロック爪225に係脱可能に係合する位置でスライドテーブル20上に配設された回転後ロックストライカ230と、を備えている。また、回転後ロックストライカ230は、回転機構60の回転中心と同心の円弧状に形成され、その円弧部には、回転ロック部材222の回転後ロック爪225に係脱可能に係合する複数又は単数の回転ロック孔231が形成されている。
図4と図12に示すように、回転ロック部材222とスライド・回転用操作レバー362との間には、回転用ケーブル370が配設されている。回転用ケーブル370は、アウタケーブル371とインナケーブル372とを備えた遠隔操作用ケーブルによって構成されている。そして、図3に示すように、回転用ケーブル370のインナケーブル372の一端部が、スライド・回転用操作レバー362のレバー操作に連動されるケーブル接続体365に接続されている。図13に示すように、回転用ケーブル370のインナケーブル372の他端部は回転ロック部材222に設けられたケーブル接続体226に接続されている。
また、この実施例1において、図2と図11に示すように、ベース部材10と回転機構60との間には、スライドテーブル20のスライド動作に連動してターンテーブル50を設定角度の範囲において回転させるカム機構40が配設されている。この実施例1において、ベース部材10の前フレーム部12と後フレーム部13との間に跨って、カムプレート41が架設されており、このカムプレート41には、カムフォロアとしてのローラ47と協働してカム機構40を構成するカム孔42(カム溝であってもよい)が形成されている。また、カム孔42は、その後側部分に前後方向へ直線状に延びる直線孔部43と、この直線孔部43の前端から車外側に向かって湾曲状をなす湾曲孔部44とを同一の孔幅で連通状に有している。一方、回転機構60の内輪62には、カム孔42に向けて支軸46が下向きに突設されており、支軸46の下部外周面には、カム孔42に沿って転動するローラ47が回転自在に装着されている。
図2、図15及び図16に示すように、スライドテーブル20とターンテーブル50とシートホルダ70との間にわたって、チルト防止インターロック機構90が配設されている。チルト防止インターロック機構90は、図21に示すシート本体1が回転初期位置(スライドテーブル20に対しターンテーブル50が整合する格納位置)から、図24に示す車外側へ向く回転端位置の直前まで回転される間において、シート本体1のチルト動作を不能とするチルトロック状態をなす。さらに、図27に示すように、シート本体1が回転端位置まで回転されたときに、シート本体1のチルト動作を可能とするチルトロック解除状態をなす。
図15、図16及び図19に示すように、チルト防止インターロック機構90は、シートホルダ70とターンテーブル50との両部材のうち、一方の部材に回動可能に配設されたチルト防止ロック体93と、他方の部材に配設されかつチルト防止ロック体93に対し係脱可能に係合してチルトロックするチルト防止溝112を有する係止部材111と、チルト防止ロック体93をチルト防止溝112に係合させるロック方向へ付勢するチルト防止ロックばね98と、チルト防止ロック体93をチルト防止ロックばね98の付勢力に抗してチルトロック解除方向へ回動するチルト防止ロック解除体95と、チルト防止ロック解除体95をロック解除方向へ作動するチルト防止ロック解除作動体121とを備えている。
この実施例1において、係止部材111は、シートホルダ70の後フレーム部74の後側に取付ブラケット110を介して取り付けられており、この係止部材111には、側方に開口部をもつチルト防止溝(チルトロック溝)112が形成されている。また、係止部材111には、後に詳述する回転防止インターロック機構100のピン状の回転防止ロック解除作動体113が横方向に突出して固定されている。
図16に示すように、チルト防止ロック体93とチルト防止ロック解除体95とは、ターンテーブル50の底板部51の所定位置に固定されたチルトロック支持体91に対し、軸中間部で回転可能に支持された支軸92(上下方向の軸)の上下部にそれぞれ一端部が固定され、かつ水平状に突出して一体回転可能に取り付けられている。そして、チルト防止ロック体93は、ターンテーブル50の底板部51の上面側に沿って配置され、チルト防止ロック解除体95は、ターンテーブル50の底板部51の下面側に沿って配置されている。
チルト防止ロック体93の側面には、チルト防止溝112内に挿脱可能に嵌挿されてチルトロック状態をなすロック部94が張出状に形成されている。さらに、チルト防止ロック体93は、ロック部94がチルト防止溝112内に嵌挿されるロック方向へチルト防止ロックばね98によって付勢され、シート本体1が回転端位置まで回転されたときに、チルト防止ロック解除体95にチルト防止ロック解除作動体121が作用し、チルト防止ロック解除体95がチルト防止ロックばね98の付勢力に抗して支軸92と共に回転され、これに伴って回転するチルト防止ロック体93のロック部94がチルト防止溝112より抜け出てる。すなわち、チルト防止インターロック機構90がロック解除される。
図2と図19に示すように、スライドテーブル20の所定位置には、回転端ブラケット120が固定されており、この回転端ブラケット120上には、シート本体1が回転端位置まで回転されたときに、チルト防止ロック解除体95に作用してロック解除するピン状のチルト防止ロック解除作動体121が垂直状に突出されている。また、回転端ブラケット120の上面には、次に詳述する回転防止インターロック機構100の回転防止体122が突出されている。また、回転防止体122は、回転端ブラケット120の上面から垂直状に立ち上がる立上り部123と、この立上り部123の上端から水平状に曲げられた回転防止片124とを有してして逆L字状に形成されている。
図2と図7に示すように、スライドテーブル20とターンテーブル50とシートホルダ70との間にわたって、回転防止インターロック機構100が配設されている。この回転防止インターロック機構100は、シート本体1が回転端位置まで回転されてチルトロック解除された状態において、シート本体1を設定されたチルト端位置(又はチルト途中)までチルト動作されたときに、シート本体1の回転動作を不能とする回転ロック状態をなし、シート本体1がチルト初期位置に戻されたときにシート本体1の回転動作を可能とする回転ロック解除状態をなす。
図17〜図20に示すように、回転防止インターロック機構100は、ターンテーブル50とスライドテーブル20と両部材のうち、一方の部材に回転可能に配設された回転防止ロック体103と、他方の部材に配設され、かつ回転防止ロック体103に対し係脱可能に係合して回転ロックする回転防止体122と、回転防止ロック体103を回転防止体122に係合させるロック方向へ付勢する回転防止ロックばね108と、回転防止ロック体103を回転防止ロックばね108の付勢力に抗して回転ロック解除方向へ回動する回転防止ロック解除体105と、回転防止ロック解除体105をロック解除方向へ作動する前記した係止部材111のピン状の回転防止ロック解除作動体113と、を備えている。
この実施例1において、回転防止ロック体103と回転防止ロック解除体105とは、ターンテーブル50の底板部51の上面に固定された回転ロック支持体101に対し軸中間部で回転可能に支持された支持された支軸102(水平方向の軸)の両端部軸回りにそれぞれ一端部が固定されて一体回転可能に取り付けられている。そして、回転防止ロック体103の先端部には、ターンテーブル50の底板部51に形成された抜き孔を通して回転防止体122の回転防止片124に係脱可能な鈎型状のロック部104が形成されている。
回転防止ロック解除体105は、係止部材111のピン状の回転防止ロック解除作動体113の下面に当接可能に延びている(図20参照)。さらに、回転防止ロック解除体105は、係止部材111のピン状の回転防止ロック解除作動体113の下面に当接する方向へ回転防止ロックばね108によって付勢されている。そして、シートホルダ70(シート本体1)がチルト動作(チルトダウン動作)され、これに伴って回転防止ロック解除作動体113が上方へ変位されると、図32に示すように、回転防止ロック解除体105が回転防止ロックばね108の付勢力によって、図17に向かって上方へ支軸102と共に回転される。これによって、回転防止ロック体103のロック部104が、回転端ブラケット120の回転防止体122の回転防止片124に係合可能な回転ロック状態となる(図32参照)。
これとは逆に、シートホルダ70(シート本体1)がチルト初期位置(チルトアップ位置)に戻されると、これに伴って回転防止ロック解除作動体113が下方へ変位されると、回転防止ロック解除体105が回転防止ロックばね108の付勢力に抗して、図29に向かって反時計回り方向へ支軸102と共に回転される。これによって、回転防止ロック体103のロック部104が、回転防止体122の回転防止片124から上方へ待避するロック解除状態となる。
また、この実施例1において、図2に示すように、スライドテーブル20の車内側端部には、水平方向へ張り出す延長部23が形成され、この延長部23の上面には、バックルブラケット130が固定されている。そして、バックルブラケット130には、シートベルトのインナバックル132が、その下端部132aにおいて前方へ倒される倒伏位置と、この倒伏位置から後方へ起立される起立位置とに配置切換可能に連結されている。また、バックルブラケット130とインナバックル132との間には、インナバックル132を倒伏位置に向けて付勢する付勢手段としての保持ばね133が配置されている。
この実施例1に係るスライド回転シートは上述したように構成される。したがって、シート本体1に着座している着座者が好みに応じてシート本体1を前後方向へスライド調整する場合(図3、図4、図10及び図11参照)、先ず、着座者によって、スライド用操作レバー350を、レバー軸351を中心としてロック解除方向へレバー操作する。すると、第1のスライド用ケーブル330を介してセパレートリンク324が作動される。セパレートリンク324の作動によって、リンクピン307を介して上リンク306、リンクヒンジ軸303及び下リンク310がロック解除方向へ回動され、これによって、リンクロッド320を介してスライドロック部材203がスライドロック軸202を中心として回動されてロック解除される。
次に、スライドロック部材203をロック解除した状態で、着座者によって、ベース部材10に対し、スライドレール機構30を介してスライドテーブル20、ターンテーブル50及びシートホルダ70と共に、シート本体1がスライド調整される。この際、カムプレート41のカム孔42の直線孔部43に沿ってローラ47が転動する。そして、着座者によるシート本体1の前後方向へのスライド調整量は、カム孔42の直線孔部43の前後方向の長さによって設定される。
次に、介護者によって、シート本体1を前方へスライドしながら車外側に向けて回転する場合(図3、図4、図10及び図11参照)、先ず、介護者によって、スライド・回転用操作レバー362がレバー軸363を中心としてロック解除方向へレバー操作される。すると、第2のスライド用ケーブル340を介してセパレートリンク324が作動され、セパレートリンク324の作動によって、リンクピン307を介して上リンク306、リンクヒンジ軸303及び下リンク310がロック解除方向へ回動され、これによって、リンクロッド320を介してスライドロック部材203がスライドロック軸202を中心として回動されてロック解除される。これと同時に、回転用ケーブル370を介して回転ロック部材222が回転ロック軸221を中心として回動されてロック解除される。
次に、スライドロック部材203及び回転ロック部材222をロック解除した状態で、介護者によって、ベース部材10に対し、スライドレール機構30を介してスライドテーブル20、ターンテーブル50及びシートホルダ70と共に、シート本体1が前方へスライドされる。この際、カムプレート41のカム孔42の直線孔部43に沿ってローラ47が転動する間は、ベース部材10に対し、スライドテーブル20、ターンテーブル50及びシートホルダ70と共に、シート本体1が前方へスライドされる。
引き続いて、ベース部材10に対し、スライドテーブル20が前方へスライドされる。この際、カム孔42の湾曲孔部44に沿ってローラ47が転動する。これによって、外輪61と、この外輪61の内周面に複数のボール(又はローラ)を介して回転可能に嵌挿される内輪62とを有する回転機構60を介してターンテーブル50及びシートホルダ70と共に、シート本体1が車外側に向けて回転動作される。そして、シート本体1が回転初期位置から90度近く回転して車外側へ向く回転端位置に配置される。
また、この実施例1において、ターンテーブル50及びシートホルダ70と共に、シート本体1が車外側に向けて回転動作され、ターンテーブル50が回転中間に配置されたときには、図35に示すように、ローラ47がカムプレート41のカム孔42の湾曲孔部44の途上に配置される。そして、カムプレート41のカム面48の切欠状の回避部48aに対し、下リンク310のカムピン312が配置される。この際、スライド・回転用操作レバー362が解放されると、スライドロック部材203がロック動作される。これによって、ターンテーブル50及びシートホルダ70と共に、シート本体1のスライド及び回転が拘束される。ここで、シート本体1に着座している着座者の姿勢が降車しやすい姿勢に変えられる。その後、再び、スライド・回転用操作レバー362によってスライドロック部材203をロック解除してから、シート本体1が回転初期位置から90度近く回転した回転端位置まで回転される。
図21と図24に示すように、シート本体1が回転初期位置から車外側へ向く回転端位置の直前まで回転動作する間において、図22と図25に示すように、チルト防止インターロック機構90のチルト防止ロック体93のロック部94が、チルト防止ロックばね98の付勢力によって、係止部材111のチルト防止溝112内に嵌挿されて保持され、チルト防止インターロック機構90がシート本体1のチルト動作を不能とするチルトロック状態をなす。このため、シート本体1が回転初期位置から車外側へ向く回転端位置の直前まで回転動作する間においては、シート本体1が不測にチルト動作されることがない。
図27に示すように、シート本体1が車外側へ向く回転端位置まで回転されると、チルト防止インターロック機構90のチルト防止ロック解除体95に対しチルト防止ロック解除作動体121が作用する。そして、チルト防止ロック解除体95がチルト防止ロックばね98の付勢力に抗して支軸92と共に図28に向かって時計回り方向へ回転される。チルト防止ロック体93が支軸92と一体となって回転することで、チルト防止ロック体93のロック部94が係止部材111のチルト防止溝112より抜け出てる。すなわち、チルト防止インターロック機構90がチルトロックが解除され、シート本体1のチルト動作が可能となる。
ここで、介護者がシート本体1に着座している着座者(被介護者)を降車させる際などにおいて、シート本体1をチルト端位置までチルト操作する場合、先ず、介護者は、シートバック3のグリップ部材5を把持した状態において、グリップ部材5又はその近傍に配設されたチルト用操作部材としてのチルト用操作レバー403の操作ノブ405先端をプッシュ操作する。すると、チルト用操作レバー403がレバー軸402を中心としてロック解除方向へレバー操作され、チルト用ケーブル410を介してチルトロック部材244がロック解除される(図7参照)。
引き続いて、介護者がシートバック3のグリップ部材5を把持した状態のまま、チルトベース部材としてのターンテーブル50に対し、シートホルダ70と共に、シート本体1が手動操作で持ち上げられることで、チルト機構80のチルトリンク82が一方の連結軸84を中心として上方へ回動する。これによって、ターンテーブル50に対し、シートホルダ70と共にシート本体1がチルト軸81を支点としてチルトダウン動作され、シート本体1のシートクッション2は、前側が低く、後側が高くなって下傾する(図7の二点鎖線参照)。この際、チルトダウンの衝撃を緩和するために、ターンテーブル50とシートホルダ70との前側寄りの対向面のうち、少なくとも一方の対向面に対しゴムや軟質樹脂等の弾性体78を配設しておくことが好ましい。
また、図30に示すように、シート本体1が車外側へ向く回転端位置まで回転された状態において、シートホルダ70(シート本体1)がチルトダウン動作され、これに伴って回転防止ロック解除作動体113が上方へ変位されると、回転防止ロック解除体105が回転防止ロックばね108の付勢力によって図32に向かって時計回り方向へ支軸102と共に回転される。これによって、回転防止ロック体103のロック部104が、回転端ブラケット120の回転防止体122の回転防止片124に係合可能な回転ロック状態となる。このため、シート本体1が設定されたチルト端位置、又はチルト途中までチルト動作(チルトダウン動作)された後は、シート本体1が不測に回転されることがない。
シート本体1がチルト初期位置に戻されたときには、前記とは逆に、回転防止ロック解除体105によって回転防止ロック体103が回転防止ロックばね108の付勢力に抗して回転ロック解除方向へ回動されることで、シート本体1の回転動作が可能となる。また、シート本体1が回転端位置から元の回転初期位置に戻されたときには、前記とは逆に、チルト防止ロック解除体95がチルト防止ロックばね98の付勢力によって支軸92を中心としてチルトロック方向へ回動され、チルト防止ロック体93が支軸92と一体となって回転することで、チルト防止ロック体93のロック部94が係止部材111のチルト防止溝112に係合し、チルトロック状態となり、シート本体1のチルト動作が不能となる。
また、この実施例1において、ベース部材10と回転機構60との間には、スライドテーブル20のスライド動作に連動してターンテーブル50を回転させるカム機構40が配設されている。このカム機構40は、ベース部材10の前フレーム部12と後フレーム部13との間に跨って架設されたカムプレート41に形成されたカム孔42と、回転機構60の内輪62の下面から突出する支軸46の軸回りに回転自在に配設されたカムフォロアとしてのローラ47とを有して構成されている。そして、スライドテーブル20のスライド動作に連動してカム孔42に沿ってローラ47が移動案内されることで、回転機構60の外輪61に対し内輪62が回転し、これによってターンテーブル50を所望とする角度だけ回転させることができる。このため、ターンテーブル50と共にシートホルダ70及びシート本体1の車外側への振り出し軌跡をカム孔42の形状によって任意に設定することができる。この結果、ターンテーブル50と共にシートホルダ70及びシート本体1の車外側への振り出し軌跡の領域を小さく抑制することが可能となり、足元スペースの確保が容易となる。
また、カム孔42の形状を前後方向に平行する直線孔部43とこの直線孔部43の前端から車外側に向けて湾曲する湾曲孔部44との組み合わせで設定することで、ターンテーブル50と共にシートホルダ70及びシート本体1を車内での直線スライドと、車外側への回転スライドとの組み合わせで連動させることができる。
また、この実施例1において、チルト機構80のチルトリンク82の一方の連結軸84の軸上に対し、チルト動作時の動作速度を緩和(抑制)するダンパ85が配設されている。そして、シートホルダ70と共にシート本体1がチルト軸81を支点としてチルト動作される際、(特にチルトダウンされる際)の動作速度をダンパ85によって効率よく緩和される。すなわち、チルト軸81の軸上にダンパ85が配設される場合に比較して、レバー比によりチルト軸81回りのトルクに対しダンパ85への入力トルクを小さく抑制することができる。このため、容量の小さい小型のダンパ85を用いてもチルト動作時の動作速度を良好に緩和することができる。さらに、小型のダンパ85を用いることで、ターンテーブル50とシートホルダ70との間の限られたスペース内に対しダンパ85を容易に配置することができる。さらに、スライド回転シートの薄型化や後席に対する足元スペースの確保も容易となる。
また、この実施例1において、チルトベース部材としてのターンテーブル50とシートホルダ70との間には、シートホルダ70を、チルト端位置(チルトダウン位置)からチルト初期位置(チルトアップ位置)に向けて引き込む(付勢する)チルト用補助ばね88が配設されている。このため、シートホルダ70と共にシート本体1をチルト端位置(チルトダウン位置)からチルト初期位置(チルトアップ位置)に向けてチルト操作する際、チルト用補助ばね88の引き込み力に相当する分だけ、チルト操作力が補助されるため、シート本体1を軽くチルト操作することができる。
また、この実施例1において、スライド・回転用操作レバー362は、回転用操作部材とスライド用操作部材とを兼務する。言い換えると、回転用操作部材とスライド用操作部材とは、共通のスライド・回転用操作レバー362によって構成される。そして、スライド・回転用操作レバー362をロック解除方向へ操作すると、その操作力が第2のスライド用ケーブル340を経てセパレートリンク324に伝達され、上リンク306、リンクヒンジ軸303及び下リンク310を介してリンクロッド320が連動され、スライドロック部材203がロック解除されると同時に、操作力が回転用ケーブル370を経て回転ロック部材222にも伝達され、回転ロック部材222がロック解除される。このため、スライドロック解除と、回転ロック解除とを別々の操作部材によって個別に行う必要がない。
また、この実施例1において、介護者がシート本体1に着座している着座者(被介護者)を降車させる際などにおいて、シート本体1をチルト初期位置からチルト端位置までチルト操作する場合、シートバック3のグリップ部材5を把持した状態において、グリップ部材5又はその近傍に配設されたチルト用操作レバー403をロック解除操作し、引き続いて、グリップ部材5を把持した状態のまま、チルトベース部材としてのターンテーブル50に対し、シートホルダ70と共にシート本体1をチルト操作することで、シート本体1をチルト端位置まで容易にチルト操作することができる。
また、この実施例1において、図2に示すように、スライドテーブル20の車室側端部の延長部23の上面に固定されているバックルブラケット130に対し、シートベルトのインナバックル132が、その下端部132aにおいて前方へ倒される倒伏位置と、この倒伏位置から後方へ起立される起立位置とに配置切換可能に連結されている。そして、バックルブラケット130とインナバックル132との間には、インナバックル132を倒伏位置に向けて付勢する付勢手段としての保持ばね133が配置されている。このため、図33に示すように、スライドテーブル20に対しターンテーブル50と共にシートホルダ70及びシート本体1がスライド回転動作される際、シートホルダ70及びシート本体1がインナバックル132に接触することを回避することができる。
すなわち、図33の二点差線で示すように、インナバックル132が起立位置に配置された状態にあると、スライドテーブル20に対し、ターンテーブル50と共にシートホルダ70及びシート本体1がスライド回転動作するときに、シートホルダ70及びシート本体1がインナバックル132に接触してシート回転の妨害物となる不具合が想定されるが、このような不具合が生じない。
次に、この発明の実施例2を図37〜図51にしたがって説明する。この実施例2においては、チルト防止インターロック機構1090と、回転防止インターロック機構1140との各構成部品の形状や組み付け関係を変更したものである。その他の部分は実施例1と同様にして構成される。図37に示すように、スライド回転シートは、車室フロア側から上方へ向かってベース部材(図示しない)と、スライドテーブル1020と、ターンテーブル1050と、シートホルダ1070と、シート本体(図示しない)とを備えている。そして、ベース部材とスライドテーブル1020との間にはスライドレール機構(図示しない)が配設され、スライドテーブル1020とターンテーブル1050との間には回転機構(図示しない)が配設され、ターンテーブル1050とシートホルダ1070との間にはチルト機構(図示しない)が配設されることで、スライド、回転及びチルト可能に構成されている。
この実施例2のチルト防止インターロック機構1090は、実施例1でも述べたように、シートホルダ1070(シート本体)が回転初期位置から、車外側へ向く回転端位置の直前まで回転される間において、シートホルダ1070(シート本体)のチルト動作を不能とするチルトロック状態をなす。さらに、シートホルダ1070(シート本体)が回転端位置まで回転されたときに、シートホルダ1070(シート本体)のチルト動作を可能とするチルトロック解除状態をなす。そして、チルト防止インターロック機構1090は、シートホルダ1070とターンテーブル1050との両部材のうち、一方の部材に回動可能に配設されたチルト防止ロック体1111と、他方の部材に配設されかつチルト防止ロック体1111に対し係脱可能に係合してチルトロックする係止部材1116と、チルト防止ロック体1111を係止部材1116に係合させるロック方向へ付勢するチルト防止ロックばね1114と、チルト防止ロック体1111をチルト防止ロックばね1114の付勢力に抗してチルトロック解除方向へ回動するチルト防止ロック解除体1130と、チルト防止ロック解除体1130をロック解除方向へ作動するチルト防止ロック解除作動体1152とを備えている。
この実施例2において、図37〜図39に示すように、チルト防止ロック体1111は、シートホルダ1070の後フレーム部1074の後側面にシートホルダ側ブラケット1091を介して取り付けられている。シートホルダ側ブラケット1091は、シートホルダ1070の後フレーム部1074の後側面にボルト1098によって取り付けられたホルダ側取付部1092と、このホルダ側取付部1092の幅方向一側から後方へ向けて曲げ加工されたチルト防止ロック体取付部1093とを備えている。また、シートホルダ側ブラケット1091のホルダ側取付部1092の幅方向他側には、後に詳述する回転防止インターロック機構1140の回転防止ロック解除作動体1095が後方へ向けて曲げ加工されている。そして、シートホルダ側ブラケット1091のチルト防止ロック体取付部1093に対し、チルト防止ロック体1111の上部が段付きボルトよりなる水平方向の支軸1100を中心として回動可能に取り付けられている。このチルト防止ロック体1111の下部には、鉤形状のロック部1112が形成さている。
さらに、チルト防止ロック体1111の上部には、ばね掛け片1113が形成されている。そして、チルト防止ロック体1111をロック方向へ付勢する引張コイルばねよりなるチルト防止ロックばね1114の一端部がばね掛け片1113に掛け止めされている。なお、チルト防止ロックばね1114の他端部は、シートホルダ1070の後部の所定位置に形成されたばね掛け片に掛け止めされている。チルト防止ロック体1111の下部側面には、後述するチルト防止ロック解除体1130に対応するチルトロック解除用連動ピン1115が一体状に固着されている。このチルトロック解除用連動ピン1115は、丸棒材がL字状に屈曲されて形成されその縦片がチルト防止ロック体1111の下部側面に溶接によって固着され横片が水平方向へ突出している。
図37と図40に示すように、係止部材1116は、ターンテーブル1050の後板部1053の前側面に溶接によって固着されている。この係止部材1116にはチルト防止ロック体1111のロック部1112に係脱可能に係合してチルトロックする係合部1117が形成されている(図47参照)。
チルト防止ロック体1111をチルト防止ロックばね1114の付勢力に抗してチルトロック解除方向へ回動するチルト防止ロック解除体1130は、図40と図41に示すように、ターンテーブル1050の下面に取り付けられている。この実施例1において、ターンテーブル1050の底板部1051の上面には、ターンテーブル側ブラケット1120が配設されている。このターンテーブル側ブラケット1120は、平板材がL字状に曲げられて形成され、その下片をチルト防止ロック解除体用取付部1121とし、上片を回転防止ロック体用取付部1125としている。
さらに、チルト防止ロック解除体用取付部1121には、ターンテーブル1050の底板部1051に貫設された位置決め孔に嵌挿されて位置決め及び回り止めされる回止め片1123が形成されている。そして、ターンテーブル1050の底板部1051上にチルト防止ロック解除体用取付部1121が配置され、かつ回止め片1123が位置決め孔に嵌挿されて位置決め及び回り止めされる。この状態で、ターンテーブル1050の下方から上下方向の段付きボルトよりなる支軸1131が、チルト防止ロック解除体1130及びターンテーブル1050をとおしてチルト防止ロック解除体用取付部1121上面のナット1128(ウエルドナット)にねじ込まれて締め付けられる。これによって、ターンテーブル1050の下面にチルト防止ロック解除体1130がその長手方向中央部において回動可能に取り付けられる。
図41と図46に示すように、チルト防止ロック解除体1130の長手方向の一端部は、シート本体(シートホルダ1070)が、車外側へ向く回転端位置の直前位置から回転端位置まで回動されたときに、後述する回転端ブラケット1150に一体に形成されたチルト防止ロック解除作動体1152に接離可能に接触してチルト防止ロック解除体1130を支軸1131を中心としてチルトロック解除方向へ回動させるチルトロック解除用作動部1135が形成されている。
図41、図44、図46〜図48に示すように、チルト防止ロック解除体1130の長手方向の他端部上面には、チルトロック解除用連動ピン1132がターンテーブル1050の貫通孔をとおして上方へ向けて突出されている。このチルトロック解除用連動ピン1132は、チルトロック用垂直係合部1133を下部に有し、このチルトロック用垂直係合部1133の上端からチルトロック解除用連動部1134が斜め上方に延びて形成されている。そして、シート本体(シートホルダ1070)が回転初期位置から、車外側へ向く回転端位置の直前まで回転される間においては、図47に示すように、チルト防止ロック体1111がロック状態にあり、チルト防止ロック体1111のチルトロック解除用連動ピン1115がチルトロック用垂直係合部1133に接する。さらに、シート本体(シートホルダ1070)が、車外側へ向く回転端位置の直前位置から回転端位置まで回動され、チルト防止ロック解除体1130が支軸1131を中心としてチルトロック解除方向へ回動する際に、図48と図50に示すように、チルト防止ロック体1111のチルトロック解除用連動ピン1115がチルトロック解除用連動部1134に沿って滑走することで、チルト防止ロック体1111をチルト防止ロックばね1114の付勢力に抗してチルトロック解除方向へ回動する。
回転防止インターロック機構1140は、実施例1でも述べたように、シートホルダ1070(シート本体)が回転端位置まで回転されてチルトロック解除された状態において、シートホルダ1070(シート本体)を設定されたチルト端位置(又はチルト途中)までチルト動作(チルトダウン)されたときに、シートホルダ1070(シート本体)の回転動作を不能とする回転ロック状態をなし、シートホルダ1070(シート本体)がチルト初期位置(チルトアップ位置)に戻されたときにシートホルダ1070(シート本体)の回転動作を可能とする回転ロック解除状態をなす。
また、回転防止インターロック機構1140は、ターンテーブル1050とスライドテーブル1020と両部材のうち、一方の部材に回転可能に配設された回転防止ロック体1142と、他方の部材に配設され、かつ回転防止ロック体1142に対し係脱可能に係合して回転ロックする回転防止体1153と、回転防止ロック体1142を回転防止体1153に係合させるロック方向へ付勢する回転防止ロックばね1145と、回転防止ロック体1142を回転防止ロックばね1145の付勢力に抗して回転ロック解除方向へ回動する回転防止ロック解除体1146と、回転防止ロック解除体1146と共に回転防止ロック体1142をロック解除方向へ作動する前記したシートホルダ側ブラケット1091の回転防止ロック解除作動体1095と、を備えている。
この実施例2において、図40、図41、図45に示すように、回転防止ロック体1142は、その中央部において、ターンテーブル側ブラケット1120の回転防止ロック体用取付部1125に対し水平方向の段付きボルトよりなる支軸1141によって回動可能に取り付けられている。回転防止ロック体1142の一端部には、ターンテーブル1050の底板部1051に形成された抜き孔を通して回転防止体1153に係脱可能な鉤形状のロック部1143が形成されている。また、回転防止ロック体1142の他端部にはばね掛け片1144が形成されている。そして、回転防止ロック体1142をロック方向へ付勢する引張コイルばねよりなる回転防止ロックばね1145の一端部がばね掛け片1144に掛け止めされている。なお、回転防止ロックばね1145の他端部は、回転防止ロック体用取付部1125から延出されたばね掛け片1127に掛け止めされている。
図41と図49に示すように、回転防止ロック体1142には、その回転中心(支軸1131)からばね掛け片1144寄り部分に上方へ延びる延長部が形成され、この延長部の側面には、回転防止ロック解除作動体1095に対応する回転防止ロック解除体1146が配設されている。この回転防止ロック解除体1146は、丸棒材がL字状に屈曲されて形成され、その縦片が延長部の側面に溶接によって固着され横片が水平方向へ突出している。そして、横片は、回転防止ロック解除作動体1095に接離可能に対向することで、回転防止ロック解除体1146として機能するようになっている。
図37、図42、図43に示すように、スライドテーブル1020の上面の所定位置(ターンテーブル1050が回転端位置まで回転された状態にあるときに回転防止ロック体1142に対応する位置)には、回転端ブラケット1150が位置調整可能に取り付けられている。回転端ブラケット1150は、スライドテーブル1020の上面に接して取り付け可能な平板材によって形成され、その一端側には、チルト防止ロック解除作動体1152が上方に向けて直角状に曲げ加工されると共に、チルト防止ロック解除作動体1152に隣接するようにして回止め片1155が上方へ向けてUターン状に曲げ加工されている。さらに、回転端ブラケット1150の上面中央部には、逆U字状をなす回転防止体1153が溶接によって固着されている。
また、回転端ブラケット1150の板面の中央部には、単数又は複数(図43では二つ)の取付孔1154が形成されている。これに対し、スライドテーブル1020には、回転端ブラケット1150の取付孔1154を通してボルト1158がねじ込まれる複数のねじ孔1157と、回止め片1155が挿通される位置調整用の複数の位置決め孔1156とがターンテーブル1050の回転軌跡に平行する方向に所定ピッチで配設されている。
すなわち、回転端ブラケット1150は、位置調整用の複数の位置決め孔1156のうち一つの位置決め孔1156を選択して回止め片1155を挿通した状態で、回転端ブラケット1150の取付孔1154を通してボルト1158をねじ孔1157にねじ込んで締め付けることで、スライドテーブル1020に上面に回転端ブラケット1150が回り止め及び位置決めされて取り付けられる。なお、図43に示すように、位置調整用に四つの位置決め孔1156が形成される場合には、例えば、二つのねじ孔1157を位置決め孔1156の二倍のピッチ間隔で形成し、回転端ブラケット1150には、二つの取付孔1154を位置決め孔1156と同ピッチ間隔で形成すればよい。
上述したように構成されるこの実施例2に係る回転チルトシートにおいて、実施例1と同様にして、ベース部材(図示しない)に対しスライドテーブル1020がスライドされ、スライドテーブル1020に対しターンテーブル1050が回転され、ターンテーブル1050に対しシートホルダ1070がチルトされることで、シート本体がスライド、回転及びチルトされる。
ターンテーブル1050と共にシートホルダ1070(シート本体)が回転初期位置から車外側へ向く回転端位置の直前まで回転動作する間において、図46と図47に示すように、チルト防止インターロック機構1090のチルト防止ロック体1111がチルト防止ロックばね1114の付勢力によって、係止部材1116に係合するチルトロック状態をなす。このため、シートホルダ1070(シート本体)が回転初期位置から車外側へ向く回転端位置の直前まで回転動作する間においては、シートホルダ1070(シート本体)が不測にチルト動作されることがない。
シートホルダ1070(シート本体)が車外側へ向く回転端位置の直前から回転端位置まで回転される間において、図48に示すように、チルト防止ロック解除体1130の長手方向の一端部のチルトロック解除用作動部1135が、回転端ブラケット1150のチルト防止ロック解除作動体1152に接触しながら、支軸1131を中心としてチルトロック解除方向へ回動する。すると、チルト防止ロック解除体1130の他端部のチルトロック解除用連動ピン1132のチルトロック解除用連動部1134に対し、チルト防止ロック体1111のチルトロック解除用連動ピン1115が滑走しながら、チルト防止ロック体1111がチルト防止ロックばね1114の付勢力に抗してロック解除方向へ支軸1100を中心として回動する。これによって、チルト防止ロック体1111のロック部1112が係止部材1116の係合部から抜け出てチルトロック解除され、シートホルダ1070(シート本体)のチルト動作が可能となる。
ここで、介護者がシート本体に着座している着座者(被介護者)を降車させる際などにおいて、シートホルダ1070(シート本体)をチルト端位置までチルト操作する場合、先ず、介護者は、実施例1で述べたように、シートバックのグリップ部材を把持した状態において、グリップ部材又はその近傍に配設されたチルト用操作部材としてのチルト用操作レバーの操作ノブ先端をプッシュ操作し、チルトロック部材をロック解除する(図7参照)。引き続いて、介護者がシートバックのグリップ部材を把持した状態のまま、ターンテーブル1050に対し、シートホルダ1070と共に、シート本体が手動操作で持ち上げられることで、ターンテーブル1050に対し、シートホルダ1070と共にシート本体がチルト軸を支点としてチルトダウン動作され、シートホルダ1070(シート本体)のシートクッションは、前側が低く、後側が高くなって下傾する(図7の二点鎖線参照)。
シートホルダ1070(シート本体)が車外側へ向く回転端位置まで回転された状態において、図50と図51に示すように、シートホルダ1070(シート本体)がチルトダウン動作されると、これに伴って、回転防止ロック体1142の回転防止ロック解除体1146に対し、回転防止ロック解除作動体1095が上方へ変位して離反する。すると、回転防止ロック体1142は、回転防止ロックばね1145の付勢力によって支軸1141を中心として回転ロック方向へ回動される。これによって、回転防止ロック体1142のロック部1143が、回転防止体1153に係合する回転ロック状態となる。このため、シートホルダ1070(シート本体)が設定されたチルト端位置、又はチルト途中までチルト動作(チルトダウン動作)された後は、シート本体1が不測に回転されることがない。
シートホルダ1070(シート本体)が、元のチルト初期位置に戻されたときに、前記とは逆に、回転防止ロック解除体1146によって回転防止ロック体1142が回転防止ロックばね1145の付勢力に抗して回転ロック解除方向へ回動される。これによって、シートホルダ1070(シート本体)の回転動作が可能となる。また、シートホルダ1070(シート本体)が回転端位置から元の回転初期位置に戻されたときには、前記とは逆に、チルト防止ロック体1111がチルト防止ロックばね1114の付勢力によってチルトロック方向へ回動され、チルト防止ロック体1111が係止部材1116に係合するチルトロック状態となる。このため、シートホルダ1070(シート本体)のチルト動作が不能となる。
なお、この発明は前記実施例1及び2に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することができる。例えば、前記実施例1においては、回転機構60の外輪61がスライドテーブル20に配設され、内輪62がターンテーブル50に配設される場合を例示したが、内輪62がスライドテーブル20に配設され、外輪61がターンテーブル50に配設されてもこの発明を実施することができる。但し、この場合、回転輪となる外輪61にカム機構40のカム孔42に沿って移動案内されるカムフォロアが配設すればよい。また、ベース部材10に対しスライドレール機構30を介してスライドテーブル20がスライド可能に配設される場合を例示したがスライドテーブル20やスライドレール機構30がない構造のスライド回転シートである場合においてもこの発明を実施することができる。この場合、ベース部材10とターンテーブル50との間に回転機構60が配設される。