JP5127904B2 - セラミックヒータ及びそれを用いたヘアアイロン - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用の空燃比検知センサ加熱用ヒータや気化器用ヒータ、半田ごて用ヒータなどに使用するセラミックヒータ及びそれを用いたヘアアイロンに関するものである。
従来より、例えば、自動車に使用される空燃比センサの加熱用ヒータとして、セラミックヒータが多用されている。このセラミックヒータは、例えば、アルミナを主成分とするセラミック基体中に、W、Re、Mo等の高融点金属からなる発熱抵抗体を内蔵し、その発熱抵抗体に外部電極を介して金属製端子(リード部材)が接合されることにより構成されている(特許文献1、特許文献2参照)。
このセラミックヒータは、例えば、セラミック芯材とセラミックシートを用意し、セラミックシートの一方面にW、Re、Mo等の高融点金属のペーストを印刷して発熱抵抗体と電極引出部を形成した後、これらを形成した面が内側となるようにセラミックシートをセラミック芯材に巻付け、全体を焼成一体化することにより製造される(特許文献1)。
より具体的には、セラミックシートには、その上面に発熱抵抗体とそれに接続された電極引出部が形成され、その裏面には外部電極が形成されている。また、セラミックシートの電極引出部は、スルーホールにより外部電極と接続されている。スルーホールには、必要に応じて導体ペーストが注入される。
また、図8A,Bに示したセラミックヒータは、特許文献3に示されたセラミックヒータ51である。この図8のセラミックヒータでは、発熱抵抗体53の両端に取出電極57が接続され、その取出電極57がセラミック基体52に設けた開口部58により露出されて、リード部材54が半田等のロウ材によりロウ付けされている。
取出電極57を露出させる開口部58は、取出電極57とリード部材54とをロウ付けする領域を規定するものであり、セラミック基体52となるセラミックグリーンシートに予め打ち抜き加工法により孔をあけておくことによって、セラミック基体52の端部に形成される。
この特許文献3のセラミックヒータでは、開口部58はその側壁にリード部材54の径に対応する大きさの凹部56が形成されており、開口部58内で発熱抵抗体53とリード部材54をロウ付けする際、凹部56内にリード部材54を挿入することにより、リード部材54を発熱抵抗体53の中央部に正確に位置合わせすることを可能とするとともに、これによってリード部材54を発熱抵抗体53に、極めて強固にロウ付け取着していた。
特開平5−34313号公報 特開平5−161955号公報 特開平06−196253号公報
しかしながら、従来のセラミックヒータは、電極部に熱変化が繰り返し加わるような状
況下では、接合部が劣化し、耐久性が著しく低下するという問題があった。
近年、自動車の排気ガスに関する規制が厳しくなり、空燃比制御用に使用する酸素センサでは立ち上がり速度を早くする必要が生じ、これに使用されるセラミックヒータの立ち上がり特性も早いことが求められる。これらの状況下では、上述の問題がより重要な課題となってきている。
すなわち、立ち上がり作動性が要求される装置に用いられるセラミックヒータは、使用条件が厳しく、取出電極付近の温度が上昇する傾向にある。これによりロウ材とセラミック基体との熱膨張差によりこのロウ付け部に応力が集中することからより高い耐久性が要求されることになる。特に、自動車用に使用されるセラミックヒータについては、高い信頼性が要求されるため、極めて高い耐久性が要求される。
また、例えば、ヘアアイロンのように、発熱領域が広くセラミックヒータ全体が保持部材に挟持されるようなセラミックヒータにおいては、加熱と同時に取出電極が急速加熱されるため、ロウ付け部分に高い耐久性が求められる。
そこで、本発明の第1の目的は、耐久性の高いセラミックヒータを提供することにある。
さらに、本発明の第2の目的は、耐久性の高いヘアアイロンを提供することにある。
以上の目的を達成するために、本発明に係るセラミックヒータは、セラミック基体と、前記セラミック基体中に内蔵された発熱抵抗体と、前記セラミック基体に設けられた開口部から露出し、前記発熱抵抗体に電気的に接続された取出電極と、該取出電極にロウ付けされたリード部材とを備え、前記開口部の壁面の一部に凹部が設けられるとともに、該凹部に前記リード部材が挿入されるようにして前記取出電極に前記リード部材がロウ付けされていて、前記開口部における壁面の角部および前記凹部における壁面の角部が、面取寸法0.05mm以上のC面または半径0.05mm以上のR面からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする。
なお、本発明において、「C面」とは、面と面が交わってできる角の部分が斜面になるように面取りされた状態をいい、「R面」とは、面と面が交わってできる角の部分が曲面状に面取りされた状態をいう。
また、本発明に係るヘアアイロンは、本発明に係るセラミックヒータを発熱手段として用いたことを特徴とする。
以上のように構成された本発明に係るセラミックヒータは、前記開口部における壁面の角部および前記凹部における壁面の角部が、面取寸法0.05mm以上のC面または半径0.05mm以上のR面からなる群から選択された少なくとも1つであることから、ロウ材と磁器との熱膨張差による応力が角部28eに集中せず、電極部の耐久性を効果的に向上させることができる。
したがって、本発明に係るセラミックヒータによれば、耐久性の高いセラミックヒータ
を提供できる。
またさらに、本発明に係るヘアアイロンによれば、本発明に係るセラミックヒータを発熱手段として用いているので、耐久性を高いヘアアイロンを提供できる。
実施の形態1のセラミックヒータの構成を説明するための部分切り欠き斜視図である。 実施の形態1のセラミックヒータにおけるセラミック基体2の展開図である。 実施の形態1のセラミックヒータにおける接合部の断面を拡大して示す部分断面図である。 本発明に係る実施の形態2のセラミックヒータの構成を示す斜視図である。 実施の形態2のセラミックヒータを作製するためのセラミックシート22aの平面図である。 実施の形態2のセラミックヒータを作製するためのセラミックシート22bの平面図である。 実施の形態2のセラミックヒータにおける取出電極を拡大して示す平面図である。 実施の形態2のセラミックヒータの取出電極の断面図(1)である。 実施の形態2のセラミックヒータの取出電極の断面図(2)である。 実施の形態2のセラミックヒータの取出電極の断面図(3)である。 施の形態3のセラミックヒータのロウ付け部分を拡大して示す断面図である。 本発明のセラミックヒータを用いたヘアアイロンの一例を示す斜視図である。 従来のセラミックヒータの平面図である。 従来のセラミックヒータの取出電極を拡大して示す斜視図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1Aは、実施の形態1のセラミックヒータの構成を示す一部破断斜視図であり、図1Bは、そのセラミック基体2部分の展開図である。
本実施の形態1のセラミックヒータ1は、図1Aに示すようにセラミック基体2中に発
熱抵抗体3が内蔵されている。また、実施の形態1のセラミックヒータ1は、発熱抵抗体3に通電する外部電極4をセラミック基体2の表面に備え、その外部電極4にはメッキ層5が形成されて、ロウ材6を介して金属製端子であるリード部材7が接合されている。ここで、特に本実施の形態1のセラミックヒータ1は、外部電極4の厚みが5〜200μmとなっていることを特徴とするものである。
この実施の形態1のセラミックヒータ1は、以下のように作製される。
まず、セラミック芯材10とセラミックシート8を用意して、セラミックシート8の一方の面にW、Re、Mo等の高融点金属のペーストを印刷して発熱抵抗体3と電極引出部3aを形成する。
そして、発熱抵抗体3と電極引出部3aが形成された面が内側となるようにセラミックシート8をセラミック芯材10の周囲に巻付け、全体を焼成一体化する。
このように、セラミックシート8を発熱抵抗体3が内側になるようにセラミック芯材10に密着させて焼成することによって、発熱抵抗体3を内蔵するセラミック基体2が製造される。
セラミック基体2を構成するセラミック材料として、アルミナ質セラミックス、窒化珪素質セラミックス、窒化アルミニウム質セラミックス、炭化珪素質セラミックス等の各種セラミックスを用いることができるが、特に、主成分をアルミナまたは窒化珪素とするセラミック材料を採用することが好ましく、これにより急速昇温並びに耐久性に優れたセラミックヒータを得ることが出来る。例えば、アルミナ質セラミックスの場合、Alを88〜95重量%、SiOを2〜7重量%、CaOを0.5〜3重量%、MgOを0.5〜3重量%、ZrOを1〜3重量%からなる組成が好ましい。なお、上記成分の他、微量の不純物を含んでいてもよい。Al含有量が88重量%未満であると、ガラス質が多くなるため通電時のマイグレーションが大きくなる恐れがある。一方、Al含有量が95重量%を超えると、セラミック基体2中に内蔵された発熱抵抗体3の金属層内に拡散するガラス量が減少し、セラミックヒータ1の耐久性が劣化する恐れがある。また、窒化硅素質セラミックスの場合、主成分の窒化珪素に対し焼結助剤として3〜12重量%の希土類元素酸化物と0.5〜3重量%のAl、さらに焼結体に含まれるSiO量として1.5〜5重量%となるようにSiOを混合するのが好ましい。ここで示すSiO量とは、窒化珪素原料中に含まれる不純物酸素から生成するSiOと、他の添加物に含まれる不純物としてのSiOと、意図的に添加したSiOの総和である。また、母材の窒化珪素にMoSiやWSiを分散させることにより、母材の熱膨張率を発熱抵抗体3の熱膨張率に近づけることにより、発熱抵抗体3の耐久性を向上させることが可能である。
さらに、窒化アルミニウムを用いる場合は、窒化アルミニウムに対して、焼結助剤としてY等の希土類元素酸化物やCaOを2〜8重量%添加したものを使用することが好ましい。
なお、実施の形態1において、セラミック芯材10とセラミックシート8からなるセラミック基体2は、例えば、外径が2〜20mm、長さが40〜200mm程度の円柱もしくは円筒形状であり、特に自動車の空燃比センサ加熱用に用いる場合には、外径が2〜4mm、長さが40〜65mmの円柱もしくは円筒形状とすることが好ましい。尚、本実施の形態1では、円筒形状としたが、これに限られるものではなく、平板状のものであってもよい。
発熱抵抗体3及び発熱抵抗体3に接続するように形成された電極引出部3aは、W、Mo、Re等の高融点金属を主成分とする材質からなり、電極引出部3aは図2に示すスルーホール9を介して外部電極4に接続されている。
外部電極4は、図2に示すように、セラミック基体2表面におけるスルーホール9の周
辺に形成され、その材質は、W、Mo、Re等の高融点金属を主成分とするメタライズ層からなる。特に、主成分がWまたはW化合物とすることが好ましく、これらは耐酸化性に優れた高融点金属であるので、外部電極の形状を保持したまま焼結する事が可能となる。そして、外部電極4の厚みDは5〜200μmであることが重要である。厚みDは外部電極4の全体の平均厚みとしてこの厚みであることが必要である。外部電極4の厚さをこのような範囲に設定すると、セラミック基体2と金属であるロウ材6の熱膨張差に起因した応力を緩和することができ、接合端子部に熱履歴が繰り返し加わるような場合であっても、接合部の強度及び耐久性を充分に確保できる。5μm未満であると熱負荷が繰り返し加わる事による熱膨張差により、サイクル試験実施後のリード部材7の接合強度が著しく劣化してしまう問題がある。また、200μmを超えると外部電極の厚み方向における接合力が低下してしまい、熱負荷により、外部電極内部からの剥離によるリード部材7の接合強度の劣化が起きる問題がある。
特に、この厚みDを5〜50μmとすることにより、耐久性をより効果的に向上させることができる。この外部電極4は、電極引出部3aの裏面にあたるセラミックシート8の他方の主面に、発熱抵抗体3および電極引出部3aの形成と同じように、プリントもしくは転写等の手法を用いて形成することができる。
尚、この外部電極4を厚く形成する手法として、プリントにおいて使用する製版のメッシュ開口率を上げることで、従来より厚くすることはできる。しかしながら、あまり上げすぎると形成された外部電極4の各面の平滑性に問題が生じるため、今回、他のパラメータも含め検討を進めた。その結果、上記製版のメッシュ開口率の検討とともに、同じくプリントに使用される塗布用のスキージの移動速度を早くする事によりさらに厚く形成する事が可能となった。さらに、プリントする際、前記スキージを上方より押さえる圧力を上げる事によりさらに厚く形成することが可能となる。なお、前記スキージの製版との接触部分の形状も重要であり、その接触部分の形状をより丸くする事により、厚く形成することが可能となる。さらに、前記スキージをスキージの移動方向に寝かせる様に角度を90度以下とする事によって、厚く形成しやすくなる。さらにまた、プリント前におけるペースト状の外部電極の粘度についても、粘性を上げる事により、厚く形成することが可能となるが、製版からの抜け性を充分考慮しなければならない。さらには、製版自体の厚みを厚くする事も非常に効果的である。
このように、今回、外部電極4を厚く形成するにあたり、開口率やスキージ速度及び圧力並びにスキージ形状や傾き、さらにはペースト状である外部電極の粘度及び製版の抜け性、そして製版自体の厚みと全体のバランスを考え、厚く形成できる優位な条件を見出した。
また、セラミック基体2の表面に形成された外部電極4の幅H1を、後述のリード部材7の幅Hよりも大きくする事により、ロウ材6がリード部材7より外部電極の端部になだらかに流れるようにして、ロウ材のメニスカスを形成することで、強度の安定化を図ることが出来る。ここで、リード部材7の幅Hより外部電極4の幅H1が小さくならない事で強度は保てるが、より好ましくは、H1をHの1.1倍以上とする事により、より接合強度を上げることができる。
また、外部電極4にセラミック基体2の主成分からなる添加物が含有されることにより(図示しない)、その添加物がセラミック基体2に拡散し、またセラミック基体2自身も外部電極4に相互拡散する事により、外部電極4のセラミック基体2への密着強度が増す。ここで、セラミック基体2の主成分からなる添加物の外部電極4における配合比率は、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは1〜10重量%であり、これにより、相互拡散による外部電極の密着強度の更なる向上が図れる。
特に、外部電極4の厚みDが5〜50μmであり、かつセラミック基体2の主成分からなる添加物の外部電極における配合比率が1〜10重量%であることにより、強度並びに耐久性が最も優れたセラミックヒータを得ることが出来る。
なお、外部電極4の表面には、図2に示すように、メッキ層5を形成しても良い。外部電極4にメッキ層5を形成することにより、ロウ材6の流れを良くし、ロウ付け強度を向上させる作用をなす。メッキ層5の材質としては、Ni、Cr、もしくはこれらを主成分とする複合材料等からなり、1〜5μmの厚みで形成される。
そして、外部電極4上には、金属製端子としての耐熱性が良好なNi系、Fe−Ni系合金等からなるリード部材7がロウ材6を用いてロウ付けされている。ロウ材6は、その材料としてAg−Cu、Au−Cu、Ag、Cu、Au等を主成分とし、必要に応じてバインダとなる樹脂や活性金属であるTi、Mo、V等の金属を含有するロウ材を用いて形成され、水蒸気を含有する還元雰囲気中で硬化させて形成される。
次に、実施の形態1のセラミックヒータの製造方法について説明する。
まず、アルミナを主成分とし、焼結助剤としてSiO、CaO、MgO、ZrOを合計量で4〜12重量%含有するセラミックスラリーを成形したセラミックシート8を準備する。
セラミックシート8の一方の主面に発熱抵抗体3および電極引出部3aをプリントもしくは転写等の手法を用いて形成し、電極引出部3aの裏面にあたるセラミックシート8の他方の主面に外部電極4を同じくプリントもしくは転写等の手法により形成する。
次に、電極引出部3aと外部電極4との間にスルーホール9を形成し、該スル−ホール9にW、Mo、Reの少なくとも1種類を主成分とする導電材料を充填するか、もしくはスルーホール9の内側面に塗布することにより、電極引出部3aと外部電極4が電気的に接続できるようにする。
その後、発熱抵抗体3および電極引出部3aの上にセラミックシート8とほぼ同等の組成からなるコート層を形成した後、セラミックシート8をセラミック芯材10の周囲に周回密着して筒状の生成形体を成形する。こうして得られた生成形体を1500〜1650℃の還元雰囲気中で焼成してセラミック基体2とする。
その後、外部電極4の表面に電界メッキ法や無電界メッキ法によりNi、Cr等の金属からなるメッキ層5を形成する。
次に、Au−Cuを主成分とするロウ材を用い、外部電極4とリード部材7とを水蒸気を含有した還元雰囲気中で接合する。
実施の形態2.
次に、本発明に係る実施の形態2のセラミックヒータについて、図3A〜Cを参照しながら説明する。
本実施の形態2のセラミックヒータ21は、内部に発熱抵抗体23を内蔵したセラミック基体22を備えた平板状のセラミックヒータであり、セラミック基体22の開口部28により露出された取出電極27にリード部材24をロウ付け固定した構造となっている。
この実施の形態2のセラミックヒータ21は、図3Bに示すように、セラミックシート22aの表面に発熱抵抗体23とそれに接続される取出電極27を形成し、その上に、図3Cに示すように、開口部28と凹部26を形成した別のセラミックシート22bを重ねて密着させ、1500〜1650℃の還元雰囲気中で焼成することにより作製することができる。
実施の形態2のセラミックヒータは、開口部における壁面の角部および凹部における壁面の角部が、面取寸法0.05mm以上のC面または半径0.05mm以上のR面からなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴としている。
図4に示すセラミックヒータの場合、開口部28における壁面の角部28eに半径0.05mm以上のR面が施されている。これにより、電極部の耐久性を向上させている。また、凹部26における壁面の角部26eにも半径0.05mm以上のR面が施されている。
このC面またはR面加工が0.05mm未満では、ロウ材と磁器との熱膨張差による応力が角部28eに集中し、電極部の耐久性を効果的に向上させることは困難である。尚、電極部の耐久性をより向上させるために、より好ましくは、C面またはR面加工は0.1mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上とする。
さらに、開口部28(または凹部26)の壁面22sとセラミック基体2の上面との境界である外周上端部30e(図5B参照)にも、面取寸法0.05mm以上のC面21cを施すのが好ましい(図5C参照)。また、外周上端部30eには、半径0.05mm以上のR面を施してもよい。また、外周上端部30eのC面またはR面加工は、開口部28及び凹部26の外周全体にわたって施すことが好ましいが、外周上端部30eにおいてロウ材と磁器との熱膨張差による応力が集中しやすい一部にC面またはR面加工を施すようにしてもよい。
また、図5Cに示すように、開口部28の壁面22sの上端の外周上端部30eにC面21c(またはR面)を形成すれば、リード部材24の設置の際にリード部材24を傷つけることを防止できる。この傷は、セラミックヒータ1の使用中に発生する腐食の原因となるので、このようなC面21c(またはR面)も耐久性向上に有用である。
このC面またはR面加工は、セラミックシート22bに開口部を加工する際に、加工くずの発生を抑制することが可能となるので、加工くずが密着するセラミックシート22a、22b間に挟まって密着不良を発生させ、発熱抵抗体23の耐久性が低下するような課題を未然に防止できる。
また、図4に示すように、開口部28により露出される取出電極27の外周(外辺)の50%以上がセラミック基体22中に埋設していることが好ましい。取出電極27にリード部材24をロウ付けした場合に、セラミック基体22との熱膨張率が異なるため、ロウ材が取出電極27の外周にまで流れ込んだ場合、その外周に熱膨張差による応力が集中する。このため、取出電極27の外周の50%以上がセラミックに埋設されずに露出していると、使用中の熱サイクルにより露出した外周部分にクラックが発生しやすくなる。
このような理由で、取出電極27の外周の50%以上をセラミック基体22中に埋設することにより、外周部分におけるクラックの発生を防止でき、耐久性の低下を防止できる。さらに好ましくは、取出電極27の外周の75%以上をセラミック基体22中に埋設するとより効果的にクラックの発生が防止できる。また、開口部28における壁面22sと
取出電極27とのなす角度θを60〜110°とすることが好ましい。ここで、壁面22sと取出電極27とのなす角度θは、図5Aに示すように、取出電極27のセラミック基体22中に埋設された部分の上面と壁面22sとのなす角度である。
この角度θが110°を越えると、壁面22s付近まで形成されたロウ材25の膨張収縮の際の応力がロウ材25の端部に作用し、ロウ材25の端部のセラミック基体22にクラックが発生しやすくなる。
また、角度θが60°未満になると、セラミックシート22aにセラミックシート22bを重ねて密着する際に、開口部28における取出電極27とセラミックシート22aの界面へ圧力が掛かりにくくなり密着が悪くなって隙間が発生して、取出電極27の剥離を防止する効果が小さくなってしまうので好ましくない。
さらに、角度θを60〜90°とすることがより好ましい。
なお、この壁面22sと取出電極27とのなす角度θは、取出電極27と壁面22sとの界面付近(例えば、境界から0.2mmの範囲内)において、110°以下、より好ましくは、90°以下に設定されていれば、ロウ材25の端部におけるロウ材5の膨張収縮の際の応力の集中が防止でき、セラミック基体22のクラックを防止できる。
また、図5Bに示すように、前記開口部28の取出電極27との密着界面に密着の際にセラミック基体22と同質のペースト20を配置して焼成し、開口部28の壁面22sまでロウ材25が流れないようにすることができる。
このように、開口部28の壁面22sまでロウ材25が流れないようにすることにより、角度θが、110°以上となっても、ロウ材25の熱膨張により壁面22sを押し上げるような応力により、開口部28内の取出電極27の端部にクラックが発生することを防止できる。
また、セラミックヒータ21の上に金属板を重ねて使用する場合に、C面21c(またはR面)付近で欠けが発生するのを防止できる。
また、取出電極27の厚みについては、10μm以上とすることが好ましく、該厚みが10μm未満では、取出電極27のセラミック基体22との密着強度が低く、使用中の熱サイクルに対するリード部材24の引張強度の耐久性が低下するので好ましくない。
さらに好ましくは15μm以上、理想的には20μm以上とすることが好ましい。
取出電極27の厚みがリード部材24の引張強度に影響する理由は、以下の通りである。すなわち、取出電極27は、W、Mo、Re等からなる高融点金属が多孔質に焼結している間隙にセラミック基体22から粒界のガラス成分が前記間隙に拡散し、このアンカー効果で強度が増加する。したがって、取出電極27の厚みが増すほど、リード部材24の引張強度が増す。
また、発熱抵抗体23に用いる材料としては、W、Mo、Reの単体もしくはこれらの合金、もしくはTiN、WC等の金属珪化物、金属炭化物などを使用することも可能である。
発熱抵抗体23の材料として、これらのような高融点の素材を用いると、使用中に金属の焼結が進むようなことがないので、耐久性が向上する。
図5Aに示すように取出電極27の周辺部をセラミック基体22の間に挟み込むようにすれば、取出電極24の接合強度を向上させることができる。
図5Bに示すように、取出電極27の表面には、必要に応じて一次メッキ層29を形成することにより、リード部材24のロウ付けの際のロウ材25の流れ性を良好にすることが可能となる。この時、リード部材24を固定するロウ材25のロウ付け温度を1000℃以下に設定すれば、ロウ付け後の残留応力を低減できるので良い。
また、湿度が高い雰囲気中でセラミックヒータ21を使用する場合、Au系、Cu系のロウ材25を用いた方が、マイグレーションが発生し難くなるので好ましい。ロウ材25としては、Au、Cu、Au−Cu、Au−Ni、Ag、Ag−Cu系の物が使用される。Au−Cuロウとしては、Au含有量が25〜95重量%とし、Au−Niロウとしては、Au含有量が50〜95重量%の成分量の物が使われる。Ag−Cuロウとしては、Ag含有量を60〜90重量%、さらに好ましくは70〜75重量%とすると、共晶点の組成となりロウ付け時の昇温、降温時の異種組成の合金の生成を防止出来るために、ロウ付け後の残留応力を低減できるので良い。
また、湿度が高い雰囲気中で使用する場合、Au系、Cu系のロウ材25を用いた方が、マイグレーションが発生しにくくなるので好ましい。
また、ロウ材25の表面には、高温耐久性向上及び腐食からロウ材25を保護するために通常Niからなる2次メッキ層を形成することが好ましい。
また、耐久性向上のためには、2次メッキ層を構成する結晶の粒径を5μm以下にすることが効果的で、この粒径が5μmより大きいと、2次メッキ層の強度が弱く脆いために高温放置環境下ではクラックが発生するおそれがある。
また、理由は定かでないが、2次メッキ層をなす結晶の粒径が小さい方がメッキの詰まりが良い(メッキ層の密度が高い)ためにミクロ的な欠陥を防止出来る物と考えられ、この2次メッキ層としては、硼素系の無電解Niメッキを用いることが好ましい。
また、無電解メッキの種類は硼素系の無電解メッキの他にリン系の無電解メッキ層被覆する事も可能であるが、高温環境下で使用される可能性があるときは、通常硼素系無電解Niメッキを施すのが一般的で、2次メッキ後の熱処理温度を変える事で、2次メッキ層の粒径をコントロールする事が出来る。
リード部材24の材質としては、耐熱性が良好なNi系やFe−Ni系合金等を使用することが好ましく、これは、発熱抵抗体23からの熱伝達により、使用中にリード部材24の温度が上昇し、劣化する可能性があるからである。
中でも、リード部材24の材質としてNiやFe−Ni合金を使用する場合、その平均結晶粒径を400μm以下とすることが好ましく、平均粒径が400μmを越えると、使用時の振動および熱サイクルにより、ロウ付け部近傍のリード部材24が疲労し、クラックが発生するので好ましくない。
他の材質についても、例えばリード部材24の粒径がリード部材24の厚みより大きくなると、ロウ材25とリード部材24の境界付近の粒界に応力が集中して、クラックが発生するので好ましくない。
なお、ロウ付けの際の熱処理は、試料間のバラツキを小さくするためには、ロウ材25の融点より十分余裕をとった高めの温度で熱処理する必要があるが、リード部材24の平均結晶粒径を400μm以下と小さくするためには、ロウ付けの際の温度をできるだけ下げ、処理時間を短くすればよい。
また、セラミックヒータ21の材質としてアルミナを用いる場合は、Al88〜95重量%、SiO2〜7重量%、CaO0.5〜3重量%、MgO0.5〜3重量%、ZrO1〜3重量%からなるアルミナを使用することが好ましい。ここで、セラミックスとしてアルミナの例を示したが、本発明で示したことは、アルミナ質セラミックスに限定されることではなく、窒化珪素質セラミックス、窒化アルミニウム質セラミックス、炭化珪素質セラミックス等、また、セラミックヒータ1のみならず、Au系のロウ付けを実施する全てのものに当てはまる現象である。
実施の形態3.
次に、実施の形態3のセラミックヒータについて図面を参照しながら説明する。
本実施の形態3のセラミックヒータは、取出電極27とリード部材24とをロウ付けするロウ材35が異なる以外は、実施の形態2と同様に構成されている。
本実施の形態3の特徴は、取出電極27とリード部材24をロウ付けしたロウ付け部35の構造にある。尚、本発明の実施の形態3のセラミックヒータ1において、ロウ材として用いるAg−Cuロウは、リード部材24の保持用の材料として最も一般的に用いられているものである。
取出電極27とリード部材24の間にあるロウ付け部35は、図6に示すように取出電極27側から順に第1層35a、第2層35b、第3層35cの3層からなる層が形成され、さらにその上に共晶の部分35dが乗った構造となっている。
このような構造を形成するには、取出電極27の表面にメッキ層を施し、リード部材24をAg−Cuロウ(BAg−8)などのロウ材を用いてロウ付けする。このとき、ロウ材およびメッキ層を構成する材料に応じて、ロウ材の溶解温度(ロウ付け温度)および溶解時間(保持時間)を所定の条件に調整することにより、取出電極27中の導電材料およびロウ材中の成分をメッキ層中に拡散させる。これにより、取出電極27と共晶の部分35dとの間に、第1層35a、第2層35b、第3層35cの3層が形成される。
リード部材24の材質としては、NiもしくはFe−Ni系の合金、例えばFe−Ni−Co合金等が好適に使用される。
また、取出電極27の導電材料(Meと表示する。)としてはW、Mo、Re等の高融点金属の単体もしくは合金が好適に使用される。
取出電極27に最も近い第1層35aは、取出電極27上に形成されたNiからなるメッキ層に取出電極27から導電材料Meを拡散させ、ロウ材からCuを拡散させることにより形成された層であり、Niを主成分とするNi(Me)Cu層である。実施の形態3では、このNi(Me)Cu層により取出電極27とロウ材の接合強度を向上させている。尚、第1層35aは、Niを主成分とするNiWCu層であることが好ましく、このNiWCu層により取出電極27とロウ材の接合強度をより強固にできる。このNiWCuからなる第1層35aは、取出電極27をWにより形成し、取出電極27上のNi層に取出電極27からWを拡散させ、ロウ材からCuを拡散させることにより形成できる。
また、第1層35aの上に形成された第2層35bは、Niを主成分とするNiCu層である。この第2層35b中には、Niが最も多く含まれている。このようなNiリッチの第2層35bは、ロウ付けする前に取出電極27の表面に形成されたメッキ層のNiとロウ材35のCuとによって構成される。この第2層35bは、Wが固溶した第1層35aの保護層として作用する。
さらに前記第2層35bの上に形成される第3層35cは、Cuを主成分とするCuNi層である。この第3層35c中には、Cuが最も多く含まれている。また、この第3層35c中には、Agが含まれている場合もある。この第3層35cは、Ag−Cuロウの本来の共晶相35dと取出電極27との熱膨張差による応力を緩和する応力緩和層として作用する。
第2層35bと第3層35cは、上記のように組成が異なるので、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)写真により、色調の差から識別することができる。
以上のように構成された実施の形態3のセラミックヒータでは、共晶の部分35dと取出電極27との間に、上記のような第1層35a、第2層35b、第3層35cを形成することにより、リード部材24の引張強度を向上させるとともに、耐久性を向上させることが可能となる。
これら第1層35a、第2層35b、第3層35cは、それぞれ、平均厚みを2〜30μmとすることが好ましく、さらに好ましくは、2〜20μm、よりいっそう好ましくは2〜12μmとする。
それらの厚みが2μm未満では、リード部材24の引張強度を効果的に向上させることができず、また、前記厚みが30μmを越えると、特に各層間の特性の差が効いてくるため脆くなる傾向があり、使用時間が長くなるにつれ引張強度が低下するようになり好ましくない。
第2層35bの厚みは、取出電極27の上に形成されたNiメッキ層の厚みに影響され、そのNiメッキ層の厚みは、2〜30μmとすることが好ましい。
第3層35cは、Ag−Cuロウ材の共晶層とNiメッキ層との間に両者の反応生成中間層として生成する。
第1層35a、第2層35b、第3層35cの厚みは、ロウ材の溶解温度(ロウ付け温度)および溶解時間(保持時間)に影響される。ロウ材のロウ付け温度および保持時間は、ロウ材を構成する材料、メッキ層を構成する材料に応じて適宜決定され、特に限定されるものではない。例えばAg−CuロウとしてBAg−8(JIS規格)を用いて、ロウ付け温度を800〜900℃程度に設定した場合、その保持時間は0.5〜5時間程度、好ましくは1〜5時間程度、より好ましくは1〜2時間程度に調整するのがよい。
また、以上の実施の形態2及び3のセラミックヒータにおいては、セラミック基体22の材質として、アルミナ、ムライト、フォルステライト等の酸化物セラミックスや、窒化珪素、窒化アルミニウム等の非酸化物セラミックス等を使用可能であるが、酸化物セラミックスを使用することが好ましい。
また、図7は、本発明に係る実施の形態2又は3に記載のセラミックヒータを用いたヘアアイロンの一例を示す斜視図である。
このヘアアイロンは、先端のアーム42の間に髪毛を挿入し、取手41を掴むことにより、髪毛を加熱しながら加圧して髪毛を加工する。アーム42の内部には、セラミックヒータ46が挿入されており、髪毛と直接触れる部分には、ステンレス等の金属板43が設置されている。
また、アーム42の外側には火傷防止のために耐熱プラスチック製のカバーを装着した構造となっている。
以上、本発明の実施の形態に係るセラミックヒータについて説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1に係る発明の有効性を確認するためにテスト品を作製し、下記試験を実施した。
先ず、図1に示すようなセラミックヒータ試料を得るため、セラミック基体2としてAlを主成分とし、SiO、CaO、MgO、ZrOを合計10重量%以内になるように調整したセラミックシート8に、W−Reからなる発熱抵抗体3とWからなる電極引出部3aをプリントした。また、セラミックシート8の裏面には外部電極4をプリントした。
そして、Wからなる電極引出部3aの末端には、スルーホールを形成し、ここにペーストを注入することにより外部電極4と電極引出部3a間の導通をとった。スルーホールの位置は、ロウ付けを実施した場合にロウ付け部の内側に入るように形成した。
次いで、発熱抵抗体3の表面にセラミックシート8と略同一の成分からなるコート層を形成して充分乾燥した後、さらに上記セラミックシート8と略同一の組成のセラミックスを分散させた密着液を塗布して、こうして準備したセラミックシート8をセラミック芯材10の周囲に密着し、1500〜1600℃で焼成した。
さらに、上記外部電極4の表面にNiからなるメッキ層5を形成し、還元雰囲気中700〜800℃で熱処理した後、Au−Cuからなるロウ材6を用いて、Niからなる直径0.8mmのリード部材7を還元雰囲気中830℃でロウ付けし、さらにその表面にNiからなるメッキ層を端部に形成して700℃で熱処理した。
上記のようにして得られたセラミックヒータに関して、外部電極4の厚み及び添加物配合比率を種々振って、試料を作製した。
かくして得られたセラミックヒータ試料の抵抗値をデジタルマルチメータを用いて測定し、デジタル値のちらつきがないか、安定性を確認した。
そして、セラミックヒータを水平にして、保持金具で固定し、リード部材のロウ付け面に対して垂直方向にリード部材を引っ張り、リード部材7の初期接合強度をデジタル式のフォースゲージにて測定した。
さらに、得られたセラミックヒータの試料の電極部の高温の耐久性について評価実施した。セラミックヒータを高温耐久炉に入れて、400℃にて3分の高温放置後、3分間で
100℃未満になるようなサイクル評価を、継続実施して3000サイクル実施後のリード部材の引っ張り強度を調査した。これらの結果を表1に示す。
Figure 0005127904
表1に示す通り、外部電極厚みが5〜200μmである試料(No.3〜28)は、初期接合強度で70N以上を有しており、充分な強度が確保できている。さらに、サイクル実施後のリード部材7の接合強度についても、50N以上の実用上問題の起きない強度を確保することが出来ている。
なかでも、外部電極に添加物を配合した試料(No.4〜8,10,12,14,16〜20,22,24〜28)は、初期接合強度で100N以上を有し、サイクル実施後の接合強度も70N以上と高く、さらに充分な強度が確保できている。
さらにその中でも、添加物配合比率が1重量%から30重量%の試料(No.4〜7,10,12,14,16〜19,22,24〜27)については、初期接合強度及びサイクル実施後の接合強度が充分確保されている上、抵抗も安定しており、ちらつきがなく、
製品の特性の安定性にも優れている。
そしてさらに、外部電極の厚みが5μm〜50μmで添加物配合比率が1重量%から10重量%の試料(No.4〜6,10,12,14,16〜18)については、サイクル実施後のリード部材の接合強度についてまでも、初期接合強度とほぼ変わらない100N以上の強度を有しており、特に優れていると言える。
次に、得られたセラミックヒータの外部電極4の幅H1を外部電極の厚み毎に振って、試料を作製した。
そして、上記同様、セラミックヒータ試料の初期接合強度と耐久試験3000サイクル実施後のリード部材7の接合強度を調査した。これらの結果を表2に示す。
Figure 0005127904
表2に示す通り、外部電極の幅H1がリード部材の幅Hより大きい試料(No.32〜35,37〜40,42〜45)については、初期接合強度で100N以上を有し、且つ、サイクル実施後のリード部材7の接合強度についても、70N以上の強度を有しており、充分な強度が確保されている。
その中でも、外部電極の幅H1がリード部材の幅Hより1.1倍以上大きい試料(No.33〜35,38〜40,43〜45)については、サイクル実施後のリード部材7の接合強度についてまでも、初期接合強度とほぼ変わらない100N以上の強度を有しており、特に優れていると言える。
(実施例2)
次に説明する実施例2〜5は、本発明に係る実施の形態2に関係した実施例である。
Alを主成分とし、SiO、CaO、MgO、ZrOを合計10重量%以内になるように調整したセラミックシート22aを準備し、該セラミックシート22aの表
面に図3Bに示したようにWからなるペーストをプリントして発熱抵抗体23と取出電極27を形成した。
その後、別のセラミックシート22bに種々形状を変更した開口部28と凹部26を形成し、前記セラミックシート22aの上にセラミックシート22bを重ねて密着し、1600℃の還元雰囲気中で焼成して、それぞれ長さ100mm、幅10mm、厚み1.2mmのセラミックヒータ1を各20本準備した。
この時、開口部28と凹部26の形状は、矩形形状の開口部28に4辺にかかる角部28eについて、開口部28打ち抜き用の金型形状を変更して、C面またはR面の大きさを0.01mm、0.03mm、0.05mm、0.10mm、0.20mm、0.30mm、0.50mmと変更した。
そして、開口部28に露出した取出電極27の表面に無電界Niメッキを施し、その後、0.6mm径のNi線をAg−Cuロウ(BAg−8)を用いてロウ付けした。
このようにして準備したセラミックヒータ21の両面に、セラミックヒータ21全体を覆うように長さ110mm、幅12mm、厚み5mmのアルミニウム板を設置し、セラミックヒータ21の中央部でそれぞれ密着固定し、加速試験として、セラミックヒータ21の最高温度部が300℃になるように電圧を5分間印加し、5分間空気を吹きかけて40℃以下まで全体を強制空冷する熱サイクル試験を3000サイクル繰り返して、セラミックヒータ1のリード部材24の引張強度変化を確認した。
引張強度は、それぞれN=10の平均を取った結果を表3に示した。
Figure 0005127904
表3から判るように、C面取りを施さなかったNo.46、C面取り寸法が0.05mm未満のNo.47、48は耐久試験後の引張強度が30N以下に低下した。
これに対してC面取り寸法が0.05mm以上のNo.49〜53は、40N以上の強度を示した。
さらに、C面取り寸法が0.2mm以上のNo.51〜53は、60N程度の強度を示
し、C面取りをR面取りに変えたNo.55、56についても、同様の結果を示したが、No.54については耐久試験後の引張強度が30N以下に低下した。
(実施例3)
ここでは、セラミックヒータ21の開口部28において、セラミック基体22中に埋設される取出電極27の外周の割合を30%、50%、70%、90%と変更して、セラミックヒータ21単体で、400℃の恒温槽にセラミックヒータ21を10分間入れて温度を安定させ、取り出した後、5分間空気を吹き付けて40℃以下まで冷却する熱サイクル試験を2000サイクル実施し、リード部材24の引張強度を測定した。
引張試験は、リード部材24の端部をセラミックヒータ21の周面に垂直な方向に引っ張ってその剥離強度を測定した。
なお、リード部材24としては、0.6mm径のNi線を用い、ロウ材25は、Ag−Cuロウ(BAg−8)を用いた。
引張強度は、それぞれN=10の平均を取り、試料の作製方法については、実施例2と同様の手法で作製した結果を表4に示した。
Figure 0005127904
表4から判るように、セラミック基体22中に埋設した取出電極27の外周の割合が30%のNo.57は、耐久試験後のリード部材24の剥離強度が20Nであったが、50%以上としたNo.58〜60は、50N以上と良好な引張強度を示した。
(実施例4)
ここでは、セラミックヒータ21の開口部28の壁面22sと取出電極27のなす角度θと熱サイクル耐久試験後のリード部材24の引張強度を測定した。
角度θを、50°、60°、80°、90°、100°、110°、120°と変更したサンプルを準備した。
耐久試験は、実施例3と同様にして評価し、それぞれn=10評価し、その平均をデータとして記載した結果を表5に示した。
Figure 0005127904
表5から判るように、角度θが50°であるNo.61は、耐久試験後の引張強度が50N以下となり、また、角度θが120°であるNo.67も、引張強度が50N以下となったのに対し、角度θが、60〜110°であるNo.62〜66は、引張強度が60N以上の良好な値を示した。
(実施例5)
ここでは、取出電極27の厚みと耐久試験後の引張強度との関係を調査した。
取出電極27の厚みを5μm、10μm、20μm、40μm、60μm、80μm、100μmと変化したサンプルをそれぞれ20本づつ準備し、実施例3と同様にして耐久評価を評価した結果を表6に示した。
Figure 0005127904
表6から判るように、取出電極27の厚みを5μmとしたNo.68は、耐久試験後の引張強度が30Nと低くなったが、前記厚みを10〜100μmとしたNo.69〜74は、良好な耐久性を示した。
また中でも、前記厚みを20μm以上としたNo.70〜74は、60N以上の強度を示した。
(実施例6)
施例6は、実施の形態3に関係した実施例である。
Alを主成分とし、SiO、CaO、MgO、ZrOを合計10重量%以内になるように調整したセラミックシート22aを準備し、該セラミックシート22aの表面にWからなるペースト10を図3Bに示すようにプリントして発熱抵抗体23と取出電
極27を形成した。
次に、別のセラミックシート22bに開口部28と凹部26を形成し、前記セラミックシート22aの上にセラミックシート22bを重ねて密着し、1600℃の還元雰囲気中で焼成して、それぞれ長さ100mm、幅10mm、厚み1.2mmのセラミックヒータ21を各20本準備した。
そして、開口部28に露出した取出電極27の表面に厚み5μmの無電界Niメッキを施し、0.6mmΦのNi線をAg−Cuロウ(BAg−8)を用いてロウ付けした。
また、無電界Niメッキに代えて無電界のCrメッキを施したサンプルも合わせて評価した。
この時にロウ付けの条件を、それぞれ温度800℃、850℃、900℃、保持時間を0.5時間、1時間、2時間、5時間と振ってロウ付けを実施した。
そして、連続使用における耐久性確認のため、初期の引張強度と400℃×800時間連続通電後の引張強度を測定した。引張試験は、リード部材24の端部をセラミックヒータ21の主面に垂直な方向に引っ張ってその剥離強度を測定した。
また、各ロット2個ずつ断面を電子顕微鏡にて観察し、取出電極27とロウ材との界面付近の組織を確認した。
なお、リード部材24としては、径1.0mmのNi線を用いた。
結果を表7(表7−1,表7−2)に示す。
Figure 0005127904
表7から判るように、取出電極27とロウ材との界面付近に、図6に示すような3層構造が見られないNo.75、79は、耐久試験後の引張強度が200N以下に低下したが、前記界面付近に3層構造が見られたNo.76,77、78、80〜87は、200N以上の高い引張強度が得られた。
(実施例7)
施例7も、実施の形態3に関係した実施例であり、ここでは、メッキ層の厚みを1,2、4、8、12μmと調整して、その影響を耐久試験により確認した。
ロウ材としては、Ag−CuロウのBAg−8を用いて、900℃×1時間処理してロウ付けした。その他については、実施例6と同様にして表8に示したようなサンプルを作製した。
このようにして準備したセラミックヒータ21の両面に、セラミックヒータ21全体を覆うように長さ110mm、幅12mm、厚み5mmのアルミニウム板を設置し、セラミックヒータ21中央部でそれぞれ密着固定し、加速試験として、セラミックヒータ21の最高温度部が300℃になるように電圧を5分間印加し、5分間空気を吹きかけて40℃以下まで全体を強制空冷する熱サイクル試験を3000サイクル繰り返して、セラミックヒータ21の抵抗変化を確認した。
その他、試料の作製方法については、実施例6と同様の手法で作製した。
結果を表8に示す。
Figure 0005127904
表8から判るように、メッキ厚みが1μmであったNo.88は、耐久試験後、100N以下の引張強度しか得られなかったが、メッキ厚みが2〜12μmのNo.89〜92は、耐久試験後、100N以上の良好な引張強度を示した。
1,21:セラミックヒータ
2,22:セラミック基体
3,23:発熱抵抗体
3a:電極引き出し部
4:外部電極
5:メッキ層
6,25:ロウ材
7,24:リード部材
8,22a,22b:セラミックシート
9:スルーホール
10:セラミック芯材
20:ペースト
21c:C面
22s:壁面
26:凹部
26e:凹部における壁面の角部
27:取出電極
28:開口部
28e:開口部における壁面の角部
29:メッキ層
30e:外周上端部

Claims (7)

  1. セラミック基体と、
    前記セラミック基体中に内蔵された発熱抵抗体と、
    前記セラミック基体に設けられた開口部から露出し、前記発熱抵抗体に電気的に接続された取出電極と
    該取出電極にロウ付けされたリード部材とを備え、
    前記開口部の壁面の一部に凹部が設けられるとともに、該凹部に前記リード部材が挿入されるようにして前記取出電極に前記リード部材がロウ付けされていて、
    前記開口部における壁面の角部および前記凹部における壁面の角部が、面取寸法0.05mm以上のC面または半径0.05mm以上のR面からなる群から選択された少なくとも1つであるセラミックヒータ。
  2. 前記開口部における外周上端部の少なくとも一部が、面取寸法0.05mm以上のC面または半径0.05mm以上のR面からなる群から選択された少なくとも1つである請求項1に記載のセラミックヒータ。
  3. 前記開口部における前記取出電極の外周の50%以上をセラミック基体中に埋設した請求項1または請求項2に記載のセラミックヒータ。
  4. 前記開口部の壁面と前記セラミック基体中に埋設された取出電極の表面とのなす角度θを60〜110°とした請求項に記載のセラミックヒータ。
  5. 前記取出電極の厚みを10μm以上とした請求項1乃至のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  6. 前記取出電極の上に、メッキ層が設けられた請求項1乃至のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  7. 請求項1〜6に記載のセラミックヒータを発熱手段として用いたことを特徴とするヘアアイロン。
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