JP4822606B2 - セラミックチップヒータ及びそれを用いた素子加熱型センサ - Google Patents

セラミックチップヒータ及びそれを用いた素子加熱型センサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサや感湿センサ等のセンサ素子の加熱に使用するセラミックチップヒータ及び素子加熱型センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、素子加熱型センサの一種であるガス漏れ検知器等に用いられるガスセンサは、一般的に図2に示すように、アルミナ等のセラミック基板12の上面12aに一対のセンサ素子用電極13を形成し、該センサ素子用電極13を介してガスを検知するためのセンサ素子17を載置するとともに、セラミック基板12の下面12bもしくはセラミック基板12の内部に発熱抵抗体14を備え、この発熱抵抗体14の両端をセラミック基板12に形成されたスルーホール16を経由してセラミック基板12の上面12aに一対の発熱抵抗体用電極15を形成してなる。
【0003】
このガスセンサを使用する場合は、一対の発熱抵抗体用電極15間に電圧を印加して発熱抵抗体14を発熱させ、セラミック基板12を通じてその上面12aに形成されたセンサ素子17を所定の温度に加熱し、この状態で空気中に存在するガスがセンサ素子17に侵入すると抵抗値が変化してセンサ素子17の抵抗値の変化をセンサ素子用電極13で検出することによって、ガスの濃度を検知する仕組みである(特開平8−15196号公報参照)。
【0004】
また、上述のセラミックチップヒータでは、セラミック基板12への密着強度、耐久性を向上させるために、センサ素子用電極13、発熱抵抗体14及び発熱抵抗体用電極15は、白金等を主成分としセラミック基板12と同質のセラミック粒子を分散させてなり、セラミック基板12にプリントした後に、セラミック基板12と同時焼成し、外部の回路と接続するためにセンサ素子用電極13及び発熱抵抗体用電極15に金線や白金線等をワイヤーボンドによって接続して形成されていた。
【0005】
さらに、前記ワイヤーボンドの強度を向上させるために焼成後のセラミック基板12のセンサ素子用電極13及び発熱抵抗体用電極15の上面にさらに金を主成分とするペーストパターンをプリントし700〜800℃で焼付けることにより形成していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、ガスセンサ等の素子加熱型センサに搭載するセラミックチップヒータは、さらなる小型化が進み、低消費電力で作動させることによって、素子加熱型センサを携帯可能にする動きがある。そのためには、センサ素子を搭載するセラミック基板の大きさを2mm角、1.5mm角、さらには1mm角の非常に小型なものとして省電力化することが要求されている。
【0007】
しかしながら、従来のセラミックチップヒータは、外部回路とセンサ素子用電極13及び発熱抵抗体用電極15をワイヤーボンドによって接続されていたため、センサ素子用電極13及び発熱抵抗体用電極15に添加されているセラミック粒子に金線や白金等から成るワイヤーが接触した場合、金属とセラミック粒子の接合のため、密着強度が低下しワイヤーが剥離しやすく、また接合面積が小さくなり強度低下を招くという欠点を有していた。
【0008】
これを防止するために、センサ素子用電極13及び発熱抵抗体用電極15上に金を主成分とするペーストをプリントし焼付けることが行われているが、2mm角以下の非常に小型なセラミックチップヒータを作製する場合、セラミック基板と金との焼成収縮のバラツキにより、セラミック基板上に形成されたセンサ素子用電極13及び発熱抵抗体用電極15と、その上面にプリントする金との位置にズレが生じてしまうという欠点を有していた。
【0009】
本発明は上述の欠点に鑑みて案出されたものであり、その目的は小型化に対応可能な高精度で、且つ耐久性の高いセラミックチップヒータ及び素子加熱型センサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミック基板の上面にセンサ素子用電極を形成するとともに、前記セラミック基板の下面に発熱抵抗体と、該発熱抵抗体の両端に接続する発熱抵抗体用電極とを形成してなるセラミックチップヒータであって、前記セラミック基板の上面の表面粗さ(Ra)は0.2μm以下であり、前記センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極は、セラミック基板側の第1電極層及びその上面に形成される第2電極層とからなり、各第1電極層は白金族金属を主成分として前記セラミック基板と同質で、平均粒径が0.4〜2.0μmのセラミック粒子が分散され、各第2電極層は白金族金属からなるか、もしくは白金族金属を主成分として前記第1電極層より含有量の少ない前記セラミック粒子が分散されており、前記第1電極層及び前記第2電極層は前記セラミック基板と同時に焼成されて一体的に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、前記センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極の各第1電極層に分散する前記セラミック粒子の含有量を20〜45体積%とするとともに、各第2電極層に分散する前記セラミック粒子の含有量を15体積%未満とすることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、本発明のセラミックチップヒータにおけるセンサ素子用電極を介してセンサ素子を搭載してなる素子加熱型センサを特徴とするものである。
【0013】
なお、本発明においては、セラミック基板におけるセンサ素子を形成する面を便宜上上面といい、もう一方の面を下面という。
【0014】
本発明のセラミックチップヒータによれば、センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極を、セラミック基板側の第1電極層及びその上面に形成される第2電極層とから形成し、各第1電極層は白金族金属を主成分とし、前記セラミック基板と同質のセラミック粒子が分散されており、各第2電極層は白金族金属からなるか、もしくは前記第1電極層より含有量の少ないセラミック粒子が分散されており、さらには各第1電極層のセラミック粒子の含有量を20〜45体積%とするとともに、各第2電極層のセラミック粒子の含有量を15体積%未満とすることから、セラミック基板に対する密着強度を向上させるとともに、センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極と外部回路とをワイヤーボンドによって接続する際、ワイヤーとの接続強度を高いものとすることができる。
【0015】
また、前記センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極の各第1電極層及び第2電極層は一体的に形成されているため、セラミックチップヒータの小型化が進んでも、それぞれの位置にズレが発生することはなく、高精度なセラミックチップヒータを提供することができる。
【0016】
さらに、本発明の素子加熱型センサによれば、前記セラミックチップヒータに直接センサ素子用電極を介してセンサ素子を形成してなることから、加熱効率に優れ、消費電力を小さくできる安定した性能の素子加熱型センサとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックチップヒータ及び素子加熱型センサの実施形態を図に基づいて説明する。
【0018】
図1(a)は本発明のセラミックチップヒータの一実施形態を示す断面図、(b)は同図(a)のX方向から見た平面図、(c)は同図(a)のY方向から見た平面図である。
【0019】
本発明のセラミックチップヒータ1は、図1に示すように、セラミック基板2の上面2aにセンサ素子用電極3を形成するとともに、該セラミック基板2の下面2bに形成された発熱抵抗体4と、該発熱抵抗体4の両端に接続する発熱抵抗体用電極5とから成る。
【0020】
前記セラミック基板2は、耐熱性、機械的強度の高いアルミナ質セラミックス、ムライト質セラミックス等からなり、その上面2aには、後述のセンサ素子を搭載するためのセンサ素子用電極3が形成されており、その下面2bには発熱抵抗体4及び発熱抵抗体4の両端に接続する発熱抵抗体用電極5及び前記センサ素子用電極3の両端をセラミック基板2の上面2aよりスルーホール6を介してセラミック基板2の下面2bに備えたセンサ素子用電極3が形成されている。
【0021】
前記センサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5は、それぞれ第1電極層3a、5a及びその上面に分散している第2電極層3b、5bとからなり、前記センサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5の各第1電極層3a、5aは、白金族金属を主成分とし、前記セラミック基板2と同質のセラミック粒子が分散しており、セラミック基板2との密着強度を向上させることができる。これは、各第1電極層3a、5aに分散したセラミック粒子が焼結時にセラミック基板2と反応してアンカー効果を発揮することによって、セラミック基板2との密着強度を向上させるためである。
【0022】
なお、前記センサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5の各第1電極層3a、5a及び各第2電極層3b、5bに形成されるセラミック粒子は、セラミック基板2の主成分からなるか、もしくはセラミック基板2を形成する原料粉末と同一の組成を有するものである。
【0023】
また、前記各第1電極層3a、5aに分散するセラミック粒子は、その含有量を20〜45体積%としておくことが好ましく、該含有量が20体積%未満となると、セラミック粒子の分散が偏って第1電極層3a、5aの厚みにバラツキが生じやすく、またセラミック基板2との密着強度が低下しやすくなる。一方、前記含有量が45体積%をえると、セラミック粒子が主成分である白金族金属の組織を分断しやすく、各第1電極層3a、5aが断線するおそれがあるためである。
【0024】
さらに、前記各第1電極層3a、5aに分散するセラミック粒子の平均粒径は、0.4〜2.0μm、さらには0.5〜1.0μmとすることが好ましく、主成分である白金族金属にセラミック粒子を分散させてもペースト化しやすく、セラミック基板2との密着強度を向上させることができる。
【0025】
またさらに、前記各第1電極層3a、5aは、その厚みを5〜20μmとしておくことが好ましく、各第1電極層3a、5aを形成する白金族金属がセラミック粒子を十分に覆い、部分的に断線することを防止することができる。
【0026】
前記各第1電極層3a、5aの上面には、第2電極層3b、5bが形成されており、外部回路の金線や白金線等のワイヤーと接続する作用をなす。
【0027】
各第2電極層3b、5bは、白金族金属からなるか、もしくはセラミック基板2と同質のセラミック粒子が分散されており、各第2電極層3b、5bにセラミック粒子を分散させる場合は、その含有量を第1電極層3a、5aに分散するセラミック粒子の含有量より少なくすることが重要であり、第2電極層3b、5bに接続する外部回路のワイヤーとの接続を強固なものとし、セラミックチップヒータ1がその作動時に高温となってもワイヤーが剥離するのを有効に防止することができる。
【0028】
また、前記各第2電極層3b、5bに分散するセラミック粒子の含有量は、15体積%未満とすることが好ましい。該含有量が15体積%を超えると、第2電極層3b、5bの上面にワイヤーボンド等によって接続されるワイヤーとの接続強度が低下するおそれがあるためである。
【0029】
さらに、前記各第2電極層3b、5bは、その厚みを2〜11μmとしておくことが好ましく、各第2電極層3b、5bの厚みを均一に形成することができる。
【0030】
前記各第1電極層3a、5a及び各第2電極層3b、5bは、ともにその主成分を導電材料である白金族金属としておくと、セラミックチップヒータ1及びこれを用いた素子加熱型センサの使用温度が200〜600℃と高温となっても、センサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5が酸化するのを防止することができ、耐久性の優れたセラミックチップヒータ1を提供することができる。なお、前記白金のほか、ルテニウム、ロジウム等の白金族金属を用いることが可能である。
【0031】
また、前記セラミック基板2の下面2bには、図1(c)に示すように発熱抵抗体4が形成されており、その中央部に2つの梯子状等の抵抗調整部を有している。
【0032】
前記発熱抵抗体4は、梯子状のパターンを有することから、4ヶ所の短絡部8をレーザートリミング等の手法で切断することにより、発熱抵抗体4の抵抗値を上昇させることができ、短絡部8の大きさを調節することで、発熱抵抗体4の抵抗値を所望の値に調整することができる。
【0033】
また、前記発熱抵抗体4は、梯子状のパターンの短絡部8を切断する前の初期の抵抗値に対し、トリミングパターンの短絡部8を全て切断した場合の抵抗値の増加率を抵抗値調整幅とした場合、この抵抗値調整幅を30〜120%とすることができ、セラミックチップヒータ1を多数個取りの手法で作製する場合、個々のセラミックチップヒータ1の抵抗値のバラツキを調整することができる。
【0034】
なお、この梯子状のパターンは、セラミック基板2の中央部に形成することが好ましく、レーザートリミングによって発熱抵抗体4のパターンの一部を切断する際、切断しろを設けることによってセンサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5を切断するのを防止することができる。
【0035】
なお、前記発熱抵抗体4は、梯子状のパターンとしたが、発熱抵抗体4のパターン中に幅の広い部分を形成しておき、レーザートリミングで幅を切断して抵抗調整部を設けても良い。
【0036】
ここで、本発明のセラミックチップヒータ1の製造方法を説明する。
【0037】
本発明のセラミックチップヒータ1は多数個取りの手法によって作製され、先ず、平均粒径が0.6〜1.0μm、99〜99.89重量%のアルミナ、0.01〜0.70重量%のシリカ、0.1〜0.5重量%のマグネシアを添加、混合し、脱水、乾燥して混合粉末を得る。
【0038】
なお、前記セラミック基板2を形成するセラミックスは、前記アルミナの他に、ムライト、コージェライト等の酸化物セラミックスや、窒化アルミニウムセラミックス等を用途に応じて用いることができる。
【0039】
そして、得られた混合粉末に所定の分散剤、バインダを添加、混合した後、テープ成形、ロールコンパクション等の成形方法によってシート状に成形し、100〜150mm角程度の大きさのセラミックグリーンシートを作製し、パンチングにてスルーホール6となる直径0.1〜0.3mm程度の穴を形成し、スルーホール6となる穴に92重量%の白金に8重量%のアルミナを混合した白金ペーストを充填する。
【0040】
次いで、前記セラミックグリーンシートの上面及び下面にセンサ素子用電極3の第1電極層3aとなる95重量%の白金に5重量%のアルミナを混合した白金ペーストをプリントして形成するとともに、セラミックグリーンシートの下面に発熱抵抗体4及び発熱抵抗体用電極5の第1電極層5aをプリント形成し、さらに、前記各第1電極層3a、5aの上面に、第2電極層3b、5bとなる白金をプリントして形成する。
【0041】
しかる後、個々のセラミックチップヒータ1に分割するためのスナップラインを形成した後、1500〜1650℃の温度で1〜4時間焼成する。
【0042】
最後に、得られたセラミックチップヒータ1の発熱抵抗体4にレーザートリミングを施して所定の抵抗値に調整して作製することができる。
【0043】
なお、セラミック基板2の上面2aは、その表面粗さ(Ra)を0.2μm以下としておくことが好ましく、上面に搭載するセンサ素子の特性のばらつきを抑制することができ、前記セラミック基板2を平均粒径の小さい高純度の原料を用いてセラミックグリーンシートを形成し、低温かつ短時間で焼成することにより、セラミックスの粒成長を抑制して、焼成後のセラミック基板2の表面粗さ(Ra)を0.2μm以下とすることが可能になる。
【0044】
このようにして得られたセラミックチップヒータ1は、センサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5の各第1電極層3a、5aと各第2電極層3b、5bとをセラミック基板2となるセラミックグリーンシートと同時焼成するため、センサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5とセラミック基板2との焼成収縮の差によって各電極層の位置がずれることがなく一体的に形成されるため、精度の高いセラミックチップヒータ1とすることができる。
【0045】
本発明のセラミックチップヒータ1は、前記発熱抵抗体4にレーザトリミングを施して所定の抵抗値に調節した後、セラミック基板2の上面2aに形成されたセンサ素子用電極3を介して、酸化鉄、酸化スズ、ジルコニア等の金属酸化物の半導体からなるセンサ素子7をスクリーン印刷やスパッタリング等によって形成するとともに、センサ素子用電極3及び発熱抵抗体用電極5にワイヤーボンド等によって金線や白金線等のワイヤーを接続することによって素子加熱型センサを得ることができ、前記セラミック基板2の上面2aに形成されたセンサ素子用電極3の両端をスルーホール6を介してセラミック基板2の下面2bに形成したことから、セラミックチップヒータ1にワイヤーを接続する場合、セラミック基板2の下面2bにのみワイヤーボンドすることによって得ることができる。
【0046】
前記素子加熱型センサは、例えばガスセンサとして好適に使用でき、セラミックチップヒータ1の発熱抵抗体用電極5間に電圧を印加して発熱抵抗体4を発熱させ、セラミック基板2を通じてその上面2aに形成されたセンサ素子7を300℃程度に加熱し、この状態で空気中に存在するガス等がセンサ素子7に侵入すると、抵抗値が変化してセンサ素子7の抵抗値の変化をセンサ素子用電極3で検出することによってガスの濃度を検知する仕組みである。
【0047】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、種々の変更は可能であり、上述の実施形態では、セラミック基板2の上面2aに形成されたセンサ素子用電極3の両端をスルーホール6を介してセラミック基板2の下面2bに形成したが、セラミック基板2の上面2aにセンサ素子用電極3を設け、その下面2bに発熱抵抗体4及びその両端に接続する発熱抵抗体用電極5を形成してもよく、また、セラミック基板2の下面2bに形成された発熱抵抗体4の両端をスルーホール6を介してセラミック基板2の上面に接続して発熱抵抗体用電極5を形成してもよい。
【0048】
【実施例】
ここで本発明の実施例を説明する。
【0049】
(実施例1)
図1に示すようなセラミックチップヒータを以下のように作製した。
【0050】
先ず、平均粒径が0.6μmのアルミナを99.4重量%、シリカを0.1重量%、マグネシアを0.5重量%添加、混合して得られた混合粉末に、バインダ及び溶剤を添加、混合し、ドクターブレード法によって厚み0.3mmのセラミックグリーンシートを得た。そして、このセラミックグリーンシートにスルーホールとなる穴を形成し、92重量%の白金に8重量%のアルミナを分散させたペーストを充填した。
【0051】
次いで、表1に示す如く組成のペーストをプリントし、セラミックグリーンシートの上面にセンサ素子用電極の第1電極層を形成するとともに、該センサ素子用電極の両端をスルーホールを介してセラミックグリーンシートの下面に形成されるセンサ素子用電極の第1電極層、発熱抵抗体及びその両端に接続してなる発熱抵抗体用電極の第1電極層を形成した。
【0052】
その後、各第1電極層の上面に、表1に示すごとく組成のぺーストをプリントし、各第2電極層を形成し、1550℃で2時間焼成してセラミックチップヒータ試料を得た。
【0053】
また、比較例として、上述と同様なセラミックグリーンシートの上面にセンサ素子用電極及びスルーホールを介してセラミックグリーンシートの下面に形成されるセンサ素子用電極、発熱抵抗体及び発熱抵抗体用電極を表1に示すごとく組成で形成し、1550℃×2時間焼成してセラミックチップヒータ試料を得た。
【0054】
得られた各セラミックチップヒータ試料のセラミック基板とセンサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極との接続強度を測定するため、セラミック基板の下面に対して平行に荷重を加え、その引張強度を測定した。
【0055】
また、各セラミックチップヒータ試料のセンサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極に直径30μmの金線を溶接部の径が80〜90μmとなるようにセラミックチップヒータを140℃に保持し、荷重50gで押し当て、周波数120kHz、出力80mWの超音波を5msec印加してワイヤーボンドした。そして、ワイヤーボンドの接続強度(シェア強度)を測定するため、ワイヤーボンドした溶接部にセラミック基板の主面に平行な方向に引張りワイヤーの引張強度を測定した。
【0056】
なお、各セラミックチップヒータ試料には同条件で10個ずつテストし、その平均値を算出した。
【0057】
結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0004822606
【0059】
表1から明らかなように、本発明の試料(No.1〜9)は、セラミック基板とセンサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極との密着強度が45N以上と大きく、ワイヤーボンドによるワイヤーとの接続強度も18g以上と高いことが判った。
【0060】
特に、センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極の各第1電極層に分散するアルミナの含有量が20〜45体積%、且つ各第2電極層に分散するアルミナの含有量が15体積%未満の試料(No.2〜4、7〜9)は、セラミック基板との接続強度が48N以上、ワイヤーとの接続強度が22g以上と高くなっていることが判った。
【0061】
これに対し、比較例である試料(No.10、11)はセラミック基板との接続強度、ワイヤーとの接続強度ともに低いことが判った。
【0062】
【発明の効果】
本発明のセラミックチップヒータによれば、センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極を、セラミック基板側の第1電極層及びその上面に形成される第2電極層とから形成し、各第1電極層は白金族金属を主成分とし、前記セラミック基板と同質のセラミック粒子が分散されており、さらには各第1電極層に分散するセラミック粒子の含有量を20〜45体積%とするとともに、各第2電極層に分散するセラミック粒子の含有量を15体積%未満とすることから、セラミック基板に対する密着強度を向上させるとともに、各第1電極層の上面に、白金族金属からなるか、もしくは第1電極層のセラミック粒子の含有量より少ないセラミック粒子を分散されており、前記第1電極層及び前記第2電極層は前記セラミック基板と同時に焼成されて一体的に形成されていることから、センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極と外部回路とを接続するためにワイヤーボンドする際、ワイヤーとの接続強度を高いものとすることができる。
【0063】
また、前記センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極の各第1電極層及び第2電極層は一体的に形成されているため、セラミックチップヒータの小型化が進んでも、それぞれの位置にズレが発生することはなく、高精度なセラミックチップヒータを提供することができる。
【0064】
さらに、本発明の素子加熱型センサによれば、前記セラミックチップヒータに直接センサ素子用電極を介してセンサ素子を形成してなることから、加熱効率に優れ、消費電力を小さくできる安定した性能の素子加熱型センサとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のセラミックチップヒータの一実施形態を示す断面図、(b)は同図(a)のX方向から見た平面図、(c)は同図(a)のY方向から見た平面図である。
【図2】従来のセラミックチップヒータを示す断面図である。
【符号の説明】
1:セラミックチップヒータ
2:セラミック基板
3:センサ素子用電極
4:発熱抵抗体
5:発熱抵抗体用電極
6:スルーホール
7:センサ素子
8:短絡部

Claims (3)

  1. セラミック基板の上面にセンサ素子用電極を形成するとともに、前記セラミック基板の下面に発熱抵抗体と、該発熱抵抗体の両端に接続する発熱抵抗体用電極とを形成してなるセラミックチップヒータであって、前記セラミック基板の上面の表面粗さ(Ra)は0.2μm以下であり、前記センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極は、セラミック基板側の第1電極層及びその上面に形成される第2電極層とからなり、各第1電極層は白金族金属を主成分として前記セラミック基板と同質で、平均粒径が0.4〜2.0μmのセラミック粒子が分散され、各第2電極層は白金族金属からなるか、もしくは白金族金属を主成分として前記第1電極層より含有量の少ない前記セラミック粒子が分散されており、前記第1電極層及び前記第2電極層は前記セラミック基板と同時に焼成されて一体的に形成されていることを特徴とするセラミックチップヒータ。
  2. 前記センサ素子用電極及び発熱抵抗体用電極の各第1電極層に分散する前記セラミック粒子の含有量を20〜45体積%とするとともに、各第2電極層に分散する前記セラミック粒子の含有量を15体積%未満とすることを特徴とする請求項1に記載のセラミックチップヒータ。
  3. 請求項1または2に記載のセラミックチップヒータにおけるセンサ素子用電極を介してセンサ素子を搭載したことを特徴とする素子加熱型センサ。
JP2001132732A 2001-04-27 2001-04-27 セラミックチップヒータ及びそれを用いた素子加熱型センサ Expired - Fee Related JP4822606B2 (ja)

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