JP4884103B2 - セラミックヒータおよびガスセンサ素子 - Google Patents

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本発明は、耐久性に優れ、半導体基板の加熱用ヒータや、石油ファンヒータ、および車両用のガスセンサの加熱用として好適に用いられるセラミックヒータおよびその製造方法に関する。
従来から、アルミナなどの絶縁性セラミックスからなる絶縁基板の内部に発熱部を埋設したセラミックヒータが知られており(特許文献1参照)、半導体基板の加熱ヒータの他、温水ヒータや、石油ファンヒータとして用いられている。
最近では、空燃比センサの立ち上がり時間が短縮され、しかも各種セラミックヒータの使用温度が上昇する傾向にあることから、発熱抵抗体(発熱部)の抵抗値を低下させる傾向にある。すなわち、上記の用途に対してそれぞれの機能を発現するに至る、いわゆる作動時間を短縮したり、高温度で使用する際の性能の安定化を図ったりすることが試みられており、耐久性と同時に、急速昇温性や加熱温度の高温化等の要求が高まってきた。
多くの場合、セラミックヒータに用いる導体ペーストは、発熱部とリード部の材料として同一のものを用い、両者の幅を調節することにより両者の抵抗比を調整してリード部の発熱を防止してきた。ところが、近年における発熱部の低抵抗化により、幅の調整だけでは抵抗比を調整できなくなってきている。
そこで、発熱部とリード部を分割しそれぞれに異なる材料を用いることによって抵抗比を大きくするようにしている(特許文献2参照)。このような異なる材料で発熱部とリード部を形成する場合、例えば発熱部の端部とリード部の端部とを重ね合わせることでこれらが接合される。
特開平3−149791号公報 特開2000−58237号公報
ところが、上記の方法で作製したセラミックヒータでは、図11に示すように発熱部2aとリード部2bとの接合部に、発熱部2aおよびリード部2bよりも厚みの薄い部分(段差D)が形成されてしまうことがあった。これは、印刷パターンの端部の厚みが薄くなる傾向にあることに起因している。このように厚みが薄い先端部同士を重ね合わせると、それにより形成される接合部には上記のような段差Dが形成されることがあった。これにより、高温まで急速昇温を行う際に段差Dに応力が集中し、断線するなどの耐久性を損ねる要因になっていた。
さらに、近年、急速昇温性や加熱温度の高温化等の要求がさらに高まっている中で、1000℃を超えるような高温度の環境でセラミックヒータが使用されることもあり、より耐久性の優れたものが求められている。また、想定温度を大きく超えるような高温で使用された場合には、発熱部とリード部の接合部近傍のセラミック体にクラックが発生するおそれがある。
本発明は、急速昇温時や高温環境下でも優れた耐久性を有するセラミックヒータおよびこれを備えたガスセンサ素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、発熱部とリード部が接合された接合部を所定の形状にすることで、急速昇温時や高温環境下でも優れた耐久性を有するセラミックヒータを得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のセラミックヒータおよびガスセンサ素子は、以下の構成からなる。
(1)セラミック絶縁層を積層圧着した後、焼成して成るセラミック体中に、発熱部と、該発熱部に電流を供給するためのリード部と、前記発熱部と前記リード部が接合された接合部とを有するセラミックヒータにおいて、前記接合部は、その両端部に隣接する前記発熱部および前記リード部の何れの上下面よりも前記積層方向の両側に突出した形状を有していることを特徴とするセラミックヒータ。
(2)前記接合部は、長さ方向の一端から他端にわたる全域において、前記積層方向の厚みが前記発熱部および前記リード部の厚みよりも厚い前記(1)に記載のセラミックヒータ。
(3)前記接合部における前記積層方向の一方側の頂点と他方側の頂点は、前記積層方向に対向する位置に形成されていることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のセラミックヒータ。
(4)前記リード部の厚みは、前記発熱部の厚みよりも厚く、前記接合部の厚みよりも薄いことを特徴とする前記(1)(3)のいずれかに記載のセラミックヒータ。
(5)前記接合部の長さが100〜1000μmであることを特徴とする前記(1)(4)のいずれかに記載のセラミックヒータ。
(6)前記発熱部は白金を主成分とし、30〜55体積%のアルミナを含有することを特徴とする前記(1)(5)のいずれかに記載のセラミックヒータ。
(7)前記リード部は白金を主成分とし、5〜29体積%のアルミナを含有することを特徴とする前記(1)(6)のいずれかに記載のセラミックヒータ。
(8)前記発熱部及び前記リード部は白金を主成分とし、前記リード部における白金の含有量が前記発熱部における白金の含有量よりも多いことを特徴とする前記(1)(7)のいずれかに記載のセラミックヒータ。
(8)前記(1)(7)のいずれかに記載のセラミックヒータを備えたことを特徴とするガスセンサ素子。
前記(1)に記載のセラミックヒータによれば、接合部がその両端部に隣接する発熱部およびリード部よりも厚み方向の両側に突出していることで、急速昇温時や高温環境下で使用した場合であっても、発熱部とリード部の接合部近傍のセラミック体にクラックが発生することを防止することができる。
このような効果が得られる理由は次の通りであると考えられる。すなわち、図11に示すような従来のセラミックヒータでは、接合部の厚み方向の一方側と他方側とは形状が大きく異なっている。セラミック体と発熱部及びリード部とは熱膨張係数が大きく異なるため、セラミック体に隣接する接合部の形状が従来のように厚み方向の一方側と他方側で大きく異なると、接合部に隣接するセラミック体における厚み方向の一方側と他方側でヒータ使用時の熱膨張・熱収縮の挙動が大きく異なる結果となる。このように接合部を介して隣接するセラミック体の熱膨張・熱収縮の挙動が大きくなると、接合部近傍のセラミック体にクラックが発生しやすくなる。急速昇温時や高温環境下で使用する際にはこのような現象が特に顕著となる。一方、接合部が、その両端部に隣接する発熱部およびリード部よりも厚み方向の両側に突出していることで、接合部の厚み方向に隣接するセラミック体の一方側と他方側の熱膨張・熱収縮の挙動に差が生じるのを抑制することができる。これにより、接合部近傍のセラミック体にクラックが発生するのを防止することができる。したがって、本発明のセラミックヒータによれば、クラックの発生を防止することができるので、急速昇温が可能な耐久性に優れたセラミックヒータを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態にかかるセラミックヒータについて図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態にかかるセラミックヒータを示す分解斜視図である。図2は本実施形態にかかるセラミックヒータを示す斜視図である。
図1および図2に示すように、本実施形態のセラミックヒータは、セラミック絶縁層(セラミック体)1中に、発熱部2aと、該発熱部2aに電流を供給するためのリード部2bと、発熱部2aとリード部2bが接合された接合部2cとを有している。ここで、本実施形態において接合部2cとは、発熱部2aとリード部2bとが重なり合った部分のことをいう。セラミック絶縁層1の外面には、リード部2bの端部に対応する位置に2つの電極パッド4がそれぞれ形成されており、これらの電極パッド4とリード部2bとがスルーホール導体5によってそれぞれ電気的に接続されている。
図3は、図2に示すセラミックヒータのY1−Y1線断面図(発熱部2aの幅方向の略中央を通り、接合部2cとリード部2bを通り、かつ、発熱部2aおよびリード部2bの上面に略垂直な平面でセラミックヒータを切り取ったときの断面図)の一例である。図4は、Y1−Y1線断面図の他の例である。
図3,4に示すように、本実施形態にかかるセラミックヒータは、発熱部2aとリード部2bの端部同士が互いに重なり合うように配置されて接合された接合部2cを有している。この接合部2cはその両端部に隣接する発熱部2aおよびリード部2bよりも厚み方向の両側に突出した凸形状を有している。
具体的には、接合部2cは、該接合部2cとの境界における発熱部2aの厚み方向の一端(図3,4における発熱部の上端)と、接合部2cとの境界におけるリード部2bの厚み方向の一端(図3,4におけるリード部の上端)とを結ぶ直線よりも厚み方向の一方の外側に突出した凸形状を有し、かつ、接合部2cとの境界における発熱部2aの厚み方向の他端(図3,4における発熱部の下端)と、接合部2cとの境界におけるリード部2bの厚み方向の他端(図3,4におけるリード部の下端)とを結ぶ直線よりも厚み方向の他方の外側に突出した凸形状を有している。
このような本実施形態のセラミックヒータによれば、接合部がその両端部に隣接する発熱部およびリード部よりも厚み方向の両側に突出していることで、急速昇温時や高温環境下で使用した場合であっても、発熱部とリード部の接合部近傍のセラミック体にクラックが発生するのを防止することができ、このクラックに起因する接合部の断線を防止することができる。
このような効果が得られる理由は次の通りであると考えられる。すなわち、図11に示すような従来のセラミックヒータでは、接合部の厚み方向の一方側と他方側とは形状が大きく異なっている。セラミック体と発熱部及びリード部とは熱膨張係数が大きく異なるため、セラミック体に隣接する接合部の形状が従来のように厚み方向の一方側と他方側で大きく異なると、接合部に隣接するセラミック体における厚み方向の一方側と他方側でヒータ使用時の熱膨張・熱収縮の挙動が大きく異なる結果となる。このように接合部を介して隣接するセラミック体の熱膨張・熱収縮の挙動が大きくなると、接合部近傍のセラミック体にクラックが発生しやすくなる。急速昇温時や高温環境下で使用する際にはこのような現象が特に顕著となる。一方、接合部が、その両端部に隣接する発熱部およびリード部よりも厚み方向の両側に突出していることで、接合部の厚み方向に隣接するセラミック体の一方側と他方側の熱膨張・熱収縮の挙動に差が生じるのを抑制することができる。これにより、接合部近傍のセラミック体にクラックが発生するのを防止することができる。したがって、本発明のセラミックヒータによれば、クラックの発生を防止することができるので、急速昇温が可能な耐久性に優れたセラミックヒータを提供することができる。
また、急速昇温時や高温環境下で長期間使用し続けると、セラミック体と発熱部及びリード部とは熱膨張係数が大きく異なるため、セラミック体と発熱部及びリード部との間において剥離が生じやすくなることがある。本発明のセラミックヒータにおいては、接合部が厚み方向の両側に突出した形状を有しているので、この突出部分がアンカー効果を発揮してセラミック体と発熱部及びリード部との間における剥離を抑制することができる。
さらに、接合部が、その両端部に隣接する発熱部およびリード部よりも厚み方向の両側に突出していることで、発熱部の熱がセラミック体へ伝達する際に、接合部がバッファゾーン(緩衝領域)としての役割を果たし、急速昇温時に発生する熱応力を低減することができる。
また、接合部は、その両端部に隣接する発熱部およびリード部よりも厚み方向の両側にほぼ対称な形状で広がって存在している。発熱部およびリード部とセラミック体との熱膨張差により発生する応力は、接合部を対称形状にすることによって平均化することができるため、結果として最大応力を低減できる。その結果、断線やクラックの発生を防止することができる。また、実用環境の振動下で急速昇温時、接合部より発生する磁器剥がれの問題も、応力が分散することによってこれを防止することができる。
さらに、体積固有抵抗値の異なる材料により発熱部およびリード部を構成する際、発熱部の高抵抗部とリード部の低抵抗部をつなぐ、接合部のパターン抵抗値が傾斜して変化することによって、よりブロードな温度分布を実現することが可能となる。これにより断線やクラックの発生をより確実に防止することができるので、急速昇温が可能な耐久性に優れたセラミックヒータを提供することができる。
図3に示すセラミックヒータでは、発熱部2aの導体パターンを印刷した後、リード部2bの導体パターンを印刷して接合部2cを形成している。一方、図4に示すセラミックヒータでは、リード部2bの導体パターンから先に印刷した後、発熱部2aの導体パターンを印刷して接合部を形成しており、これらの形成順序は特に限定されるものではない。
この接合部2cにおいて、厚み方向一方側の頂点と他方側の頂点は、接合部2cの長さ方向の位置がほぼ同じ(厚み方向に対向する位置)であるのが好ましい。ここで、本実施形態において接合部2cの頂点とは、接合部2cの厚み方向一方側において厚み方向の最も外側に位置する部位、および接合部2cの厚み方向他方側において厚み方向の最も外側に位置する部位のことをいう。また、上記2つの頂点は接合部2cの長さ方向の略中央に位置しているのがより好ましい。さらに、接合部2cは、厚み方向に垂直な平面に対して略面対称であるのがさらに好ましい。このように、上記2つの頂点が略同じ位置にあるか、接合部2cが略面対称であることによって、接合部の厚み方向に隣接するセラミック体の一方側と他方側の熱膨張・熱収縮の挙動に差が生じるのをより確実に抑制することができる。これにより、接合部近傍のセラミック体にクラックが発生するのを防止する効果をより高めることができる。また、昇温過程でのセラミック絶縁層1内部での温度勾配がより緩やかとなるため、セラミック絶縁層1内の温度分布がさらにつきにくくなり、その結果熱応力が低減するので、断線やクラックの発生を防止できる。
ここで、「厚み方向一方側の頂点と他方側の頂点が厚み方向に対向する位置にある」とは、次の状態にあることを意味する。すなわち、接合部における厚み方向一方側の頂点と他方側の頂点から中心線7に垂線をそれぞれ下ろし、これらの垂線の間隔(長さ方向のずれ寸法)をΔTとするとき、このΔTと接合部の長さnとの比(ΔT/n)を評価する。このとき、比(ΔT/n)が0.3以下のときに一方側と他方側の頂点が対向している状態であるとする。この比(ΔT/n)は、0.2以下であるのがより好ましく、0.1以下であるのがさらに好ましい。これにより、破損率を著しく低下させることができる。
接合部2cの厚みは、発熱部2aおよびリード部2bよりも厚くなるように設定されている。リード部2bの厚みは、発熱部2aよりも厚く、接合部2cよりも薄いのが好ましい。発熱部2aの厚みに対して、リード部2bの厚みが厚い方が、昇温過程でのセラミック絶縁層1内部での温度勾配が緩やかとなるため、熱応力が低減する。これは、前述の通り、発熱部2aからセラミック絶縁層1全体へ熱伝達する際における接合部2cのバッファとしての役割がより効果的に作用するためである。その結果、急速昇温時に発生する熱応力が低減するため断線やクラックの発生を防止できる。
発熱部2aから発生した熱が、リード部2bおよびセラミック絶縁層1へと伝達していくとき、熱伝導のよい白金等で形成された肉厚部分(接合部2c)を通じてセラミック絶縁層1へと熱伝導することにより昇温過程でのセラミック絶縁層1内部での温度勾配が緩やかになる。即ち、接合部2cが発熱部2aからセラミック絶縁層1全体へ熱伝達する際のバッファとしての役割を果たす。その結果、急速昇温時に発生する熱応力が低減するので、断線やクラックの発生を防止できる。
また、接合部2cは、長さ方向の一端から他端にわたる全域において、その厚みが発熱部2aおよびリード部2bよりも厚いのが好ましい。これにより、高温まで急速昇温を行う際であっても一部に応力が集中するのを防止し、断線などの不具合が生じるのを防ぐことができる。
本発明では、図5に示すように、接合部2dにおける厚み方向一方側の頂点と他方側の頂点が、接合部の長さ方向において異なる位置にあってもよいが、昇温過程でのセラミック絶縁層1内部の温度分布をよりつきにくくするためには、図3,4に示すように2つの頂点が略同じ位置にあるようにするのが好ましい。
図12に示すように、接合部2eの厚みが発熱部2aおよびリード部2bの厚み、またはいずれか一方の厚みよりも薄い場合は、接合部2cがリード部2bおよび発熱部2aよりも厚いときに比べて接合部のバッファ効果が十分に得られないので、発熱部2aで発生した熱がセラミック絶縁層1に直接伝達しやすくなるため、昇温過程でのセラミック絶縁層1内部での温度勾配が急激になり、急速昇温時に発生する熱応力が増大する。これにより、断線やクラックの発生する確率が大きくなるので、セラミックヒータの耐久性が低下する。
また、図13および図14に示すように、接合部2fが厚み方向のいずれか一方側のみに突出する形態の場合、接合部2fは厚み方向で非対称な形状となる。したがって、突出した側の接合部2fの近傍と、突出していない側の接合部2fの近傍との間では昇温過程でセラミック絶縁層1に大きな温度差が生じやすくなり、高い熱応力が発生するおそれがあるので、耐久性が低下する。
接合部2c、2dの長さ(長手方向の寸法)nは、100μm〜1000μmの範囲にあるのが好ましい。接合部2c、2dの長さnが100μm未満では、図12に示すように接合部の厚みが発熱部2aおよびリード部2bの厚み、またはいずれか一方の厚みよりも薄い形状となり(接合部の中央付近が凹んだ形状)、前記の通り耐久性が劣化する。すなわち、発熱部2aおよびリード部2bを形成する際の導体パターンは、その端部付近が厚肉になりやすく、さらに最先端付近は薄肉になりやすい。したがって、接合部2cの長さnを100μm〜1000μmの範囲に調整することで、発熱部2aの導体パターンの厚肉部分と、リード部2bの導体パターンの厚肉部分とをほぼ同じ位置で重ね合わせることができる。これにより、接合部2cにおいて、一方の凸形状における頂点と他方の凸形状における頂点を、接合部2cの長さ方向の略同じ位置に存在させることができる。
一方、接合部2cの長さnが100μm未満である場合、すなわち発熱部2aおよびリード部2bが互いに最先端付近のみで重なり合っている場合には、接合部2cの厚みが発熱部2aおよびリード部2bよりも薄くなる。また、接合部2cの長さnが1000μmを超える場合、すなわち発熱部2aおよびリード部2bが互いに重なり合う部分が長くなり、上記厚肉部分の位置が互いに重なり合わない場合には、図5に示すように一方の凸形状における頂点と他方の凸形状における頂点が接合部2dの長さ方向で異なる位置に存在することになる。
セラミック絶縁層1を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、例えばアルミナを主成分とするセラミック材料が挙げられる。また、発熱部2aを構成する材料、リード部2bを構成する材料としては、例えば白金を主成分とするものが挙げられる。
特に、発熱部2aおよびリード部2bが白金を主成分とし、セラミック絶縁層1がアルミナを主成分とするのが好ましい。具体的には、発熱部2aは、白金を主成分とし、30〜55体積%のアルミナを含有することが望ましい。さらに好ましくは35体積%〜50体積%のアルミナを含有することが望ましい。これにより、発熱部2aの抵抗を安定に保ち、また通電の際に白金粒子が粒成長することを防止し、セラミックヒータの急速昇温性を高めることができる。30体積%未満のアルミナの含有量では、昇温速度が遅いため急速昇温しなくなるおそれがある。55体積%を超えるアルミナを含有すると、所定の印加電圧に対し所望の温度に到達しなくなるおそれがある。
また、リード部2bは、白金を主成分とし、5〜29体積%のアルミナを含有しているのがよく、10体積%〜20体積%のアルミナを含有することがより望ましい。リード部2bが29体積%以上のアルミナを含有すると急速昇温しなくなるおそれがある。前記リード部2bのアルミナ含有量が5体積%以下になると、焼成時に焼結が進みすぎ、断線しやすくなる。また昇温速度が必要以上に高速化して耐久性が劣化するおそれがある。
発熱部2a及びリード部2bは白金を主成分とし、リード部2bにおける白金の含有量が発熱部2aにおける白金の含有量よりも多くなるようになされているのが好ましい。図6は、焼成前の接合部2cにおける発熱部2aとリード部2bが接する界面の拡大組織を模式的に示す模式図である。図7は、焼成後の接合部2cにおける発熱部2aとリード部2bが接する界面の拡大組織を模式的に示す模式図である。図6に示すように、焼成前には、発熱部2aとリード部2bが接する界面10において、その境界が明確である。焼成中に、リード部2bの組成が発熱部2aに対し白金過剰な組成であることによってリード部2bから発熱部2aへの白金粒子8の移動が促進され、図7に示すように、発熱部2aとリード部2bが接する界面10においてその境界は不明確となる。この結果、強固に接合する組織となり、急速昇温時の断線などを防止できる。この断線防止効果は上述した本発明の接合部2cの形状による断線防止効果と相乗的な作用を奏するので、極めて優れた耐久性を有するセラミックヒータを得ることができる。
本発明におけるセラミック絶縁層1を形成するアルミナセラミックスは、アルミナを97質量%以上含有するものであり、必要に応じてSiO、MgO、CaOなどの焼結助剤を3質量%以下、特に0.5〜1.5質量%含有させてもよい。また、相対密度80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスとすることによりセラミックヒータの強度を高め耐久性を高めることができる。
また、Naなどのアルカリ金属のマイナス極側への移動と抵抗増加を防止する観点から、アルミナを主成分とするセラミック絶縁層1aおよび1b中のアルカリ金属(Na,K,Li)の含有量がそれぞれ50ppm以下、特に30ppm以下にすることが望ましい。
また、本発明によれば、セラミック絶縁層1の中心線7よりも片側に発熱体2が位置し、セラミック絶縁層1の上下表面にヤング率が200〜1500MPaの緩衝層を設置して加圧積層することにより、中心線7に対し発熱体2が近い側のセラミック絶縁層1の外表面が、接合部にそって外側に変形するため上下に突出する形状を作ることが可能となる。すなわち、セラミックグリーンシートで構成される積層体の内部で、かつ、該積層体の厚み方向の中央よりも積層体の一方の主面側に偏った位置に、発熱部用の導体パターンとリード部用の導体パターンを、これらの導体パターンの端部同士が重なるように形成し、積層体の両側の主面に緩衝層を配置した状態で、積層体を押圧する工程を備えているのが好ましい。この結果、図3、図4、図5中の変形部6に示したように、セラミック絶縁層1の外表面が、接合部にそって外側に変形する。このように本発明のセラミックヒータは、変形部6が形成されていることで、接合部が存在する位置を容易に判別することができる。これにより、例えば接合部の断面を切り出して検査をするような場合であっても、その位置を容易に特定できる。また、接合部の位置を非破壊で特定できるので、本発明のセラミックヒータを何らかの装置に搭載する際に、位置決めが容易になる。なお、前記緩衝層としては具体的には、シリコーン、ポリウレタン等のようなものを使用すると良い。
前記緩衝層としてヤング率が200MPa未満のものを使用した場合は、図14に示すとおり、上下いずれか片方だけ突出する上下非対称な形状となる。このため前記の通り十分な耐久性が得られないおそれがある。またヤング率が1500MPaより大きくなると、指定の圧力をかけるために、かなりの高圧をかける必要があり、経済的でないために好ましくない。緩衝層の厚みは0.1mm〜5mm程度、好ましくは0.5mm〜2mm程度であるのがよい。
また、図13に示すように発熱体2の位置がセラミック絶縁層1の厚み方向の中央(中心線7上)に配置される場合は、上下いずれか一方だけに突出する上下非対称な形状となって、前記の通り耐久性が低下するおそれがある。すなわち、図3等に示すように導体パターンとセラミック絶縁層1の外表面(図3の下面)との距離が短い場合(厚みが薄い場合)、接合部2cの下方にあるセラミック絶縁層1が変形しやすいが、図13に示すように導体パターンとセラミック絶縁層1の外表面(図13の下面)との距離が長い場合(厚みが厚い場合)、接合部の下方にあるセラミック絶縁層1が変形しにくい。導体パターンとセラミック絶縁層1の外表面(下面)との距離は、セラミックグリーンシートの厚みを適宜調整することにより設定できる。
次に、本発明の白金の発熱部2aとリード部2bからなるセラミックヒータの製造方法を図1に基づいて説明する。まず、白金等の金属とアルミナとの混合粉末からなる発熱部2aとリード部2bの印刷用のペーストをそれぞれ調製する。そして、それぞれのペーストを用いて、未焼成のセラミック絶縁層1a(グリーンシート1a)表面に、発熱部2aのパターンを所定の幅および厚みで印刷した後、さらにリード部2bのパターンを所定の幅および厚みで、互いの端部が重なり合うように印刷する(発熱部2aとリード部2bの印刷に関しては、先にリード部2bを印刷した後、それと重なるように発熱部2aを印刷してもよい)。発熱部2aおよびリード部2bにおける白金とアルミナの比率は、セラミックヒータのヒータ特性や寸法に応じて適時調整すればよい。発熱部2aは30〜55体積%のアルミナを含有し、リード部2bは5〜29体積%のアルミナを含有するのが好ましい。
次に、未焼成のセラミック絶縁層1b(グリーンシート1b)に、貫通穴を形成して白金ペーストを充填してビア導体5を形成するとともに、白金ペーストを用いて電極パッド4を印刷形成した後、この未焼成のセラミック絶縁層1bを発熱部2aのパターンおよびリード2bのパターンの上に重ねて積層圧着した後、1200〜1700℃の温度で酸化性、または中性の雰囲気で焼成することによってセラミックヒータを作製する。
セラミック絶縁層1a、1bは、例えば、平均粒径が0.2〜1.0μmのアルミナ粉末に、SiO、MgO、CaOなどの焼結助剤を0〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%添加混合し、これに有機バインダを添加混合して調整されたスラリーをドクターブレード法などの成形法によって厚さ50〜500μmの厚さに成形して得られる。
積層圧着時の圧力は、30〜50MPaの範囲に調整するのがよい。これにより、セラミック絶縁層1の接合部に開きが発生することを抑制することができる。このセラミック絶縁層1a、1bのヤング率は有機バインダ量をセラミック粉末100質量部に対して固形分量として5〜20質量部の割合で、また可塑剤量を原料100質量部に対して50〜100質量部の範囲で変化させることによって容易に制御できる。また、積層圧着時には、積層体の両主面に上記した緩衝層を配置した状態で押圧するのがよい。
また、発熱部2aのパターン、リード部2bのパターンを印刷形成する導体ペーストは、平均粒径1〜3μmの白金粉末等に、平均粒径が0.1〜1.0μmのアルミナ粉末を前述した所定比率でそれぞれ添加混合して、これに、アクリル樹脂などの有機バインダおよびDBP、DOP等の可塑剤と、トルエンなどの有機溶媒を適量添加し、混合することによって調製される。
この導体ペーストは、グラインドゲージによる測定で凝集粒子の大きさを20μm以下、特に15μm以下に制御することが発熱部2aの耐久性の観点から重要である。このグラインドゲージとは、ペーストの凝集粒子の粒径測定用装置であり、最大の凝集粒子径を表すパラメータである。即ち、このグラインドゲージが20μmよりも大きいと、発熱部2a表面に凹凸ができたり、特性の信頼性を低下させたりする原因となる。なお、この凝集粒子の大きさは、ペースト中のアルミナ粒子径や白金の金属粒子径を調整することにより制御できる。
なお、本発明においては、発熱部2aのパターンは、図1に示すように、セラミックヒータの長手方向に伸び、長手方向の端部で折り返した構造でも、あるいは長手方向と直交する方向の端部で折り返した波形(ミアンダ)構造のいずれでもよいが、特に、セラミックヒータの耐久性の観点からは、図1に示すような長手方向の端部で折り返したパターンが望ましい。この際、発熱体2の線幅としては印刷の精度から0.15mm以上、特に0.2mm以上が好ましい。
さらに、本発明のセラミックヒータは、種々の構造部品における加熱手段の他、酸素センサ、NOxセンサ、COセンサ等の各種素子を高温に加熱するために、他の部材と一体化したセラミックヒータ構造体を形成できる。
本発明のセラミックヒータを酸素センサ素子の加熱用に応用した具体例を図8に示す。図9は、図8の概略斜視図で、X2X2の断面を示す。
図9に示すように、本実施形態の酸素センサ素子は、センサ部20とセラミックヒータ21とからなる。センサ部20は、ジルコニアからなる酸素イオン導電性を有する固体電解質基板22と、その対向する両面に形成された、空気に接する基準電極23aと、排気ガスと接する測定電極24aとを有しており、基準電極23aと測定電極24aとの間の酸素濃度差を検知する機能を有する。
一方、ヒータ21は、発熱部27aを埋設する絶縁性セラミック基体26から構成される。ヒータ部21とセンサ部20との間には、先端が封止された平板状の中空が形成されている。この中空部が大気導入孔22aを形成している。そして、この中空内壁に、空気などの基準ガスと接触する基準電極23aが被着形成され、この基準電極23aと対向する固体電解質基板22の外面に、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極24aが形成されている。
センサ部20を構成する固体電解質は、ZrOを含有するセラミックスからなり、安定化剤として、YおよびYb、Sc、Sm、Nd、Dy等の希土類酸化物を酸化物換算で1〜30モル%、好ましくは3〜15モル%含有する部分安定化ZrOあるいは安定化ZrOが用いることが可能である。また、ZrO中のZrの1〜20原子%をCeで置換したZrOを用いると、イオン導電性が大きくなり、応答性がさらに改善されるといった効果がある。
さらに、焼結性を改善する目的で、上記ZrOに対して、AlやSiOを添加含有させることができるが、多量に含有させると、高温におけるクリープ特性が悪くなることから、AlおよびSiOの添加量は総量で5質量%以下、特に2質量%以下とすることが望ましい。
固体電解質基板22の表面に被着形成される基準電極23a、測定電極24aは、いずれも白金、あるいは白金と、ロジウム、パラジウム、ルテニウムおよび金の群から選ばれる1種との合金が用いられる。
また、動作時に、前記基準電極23a、測定電極24a中の金属の粒成長を防止させ、応答性に係わる白金粒子と固体電解質と気体とのいわゆる3相界面の接点を増大させる目的で、上述のセラミック固体電解質成分を1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で上記電極中に混合してもよい。
また、基準電極23a,測定電極24aの形状としては、四角形でも楕円形でもよい。また、測定電極23a、基準電極24aの厚さは、3〜20μm、特に5〜10μmが好ましい。
一方、ヒータ部21は、図1および図2に示したセラミックヒータと同様に、発熱部2aとリード部2bの接合部の形状などを上記のように形成した本発明のセラミックヒータとする。
なお、発熱部27aを埋設するセラミック絶縁層26としては、アルミナセラミックスからなる相対密度80%以上、開気孔率が5%以下の緻密質なセラミックスによって構成されていることによってガスセンサの強度を高め耐久性を高めることができる。
また、測定電極24aの表面には、図8および図9には記載されていないが、測定電極を排気ガスによる被毒を防止する観点から、セラミック多孔質層が形成される。このセラミック多孔質層は、厚さ10〜800μmで、気孔率が10〜50%のジルコニア、アルミナ、γ−アルミナ、スピネルおよびチタニアの群から選ばれる少なくとも1種によって形成されていることが望ましい。
次に、本発明のセラミックヒータ構造体(ガスセンサ)の製造方法について、図8および図9の酸素センサ素子の製造方法を図10の分解斜視図をもとに説明する。
まず、固体電解質のグリーンシート41を作製する。このグリーンシート41は、例えば、ジルコニアの酸素イオン導電性を有するセラミック固体電解質粉末に対して、適宜、成形用有機バインダを添加してドクターブレード法や、押出成形や、静水圧成形(ラバープレス)、プレス成形などの周知の方法により作製される。
次に、上記のグリーンシート41の両面に、それぞれ測定電極24および基準電極23となるパターン42a、42cやリードパターン42b、42d、パット43a、スルーホール43bなどを例えば、白金を含有する導電性ペーストを用いてスラリーディップ法、スクリーン印刷、パット印刷、ロール転写などで印刷形成することにより、センサ部20を作製する。
さらに、この時に使用する白金を含有する導電性ペーストとしては、上述のセラミック固体電解質成分からなるジルコニアを1〜50体積%、特に10〜30体積%の割合で包含する白金粒子を用いて、その他に、エチルセルロース等の有機樹脂成分を含有するものが望ましい。
次に、絶縁性セラミック基体からなるグリーンシート47の表面に、平均粒径が1〜3μmの白金と、平均粒径が0.2〜1.0μmのアルミナとの混合粉末とアクリル樹脂などの有機バインダおよびトルエンなどの有機溶媒を添加して混合して発熱部2aおよびリード部2b形成用の印刷用ペーストを調製し、これを用いて、発熱部パターン49やリードパターン50、電極パターン51、スルーホール52などをスクリーン印刷、パット印刷、ロール転写で印刷して、前述したような所定の厚みにそれぞれ印刷形成する。
そして、さらにアルミナのグリーンシートをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら、大気導入孔44を形成した絶縁性セラミック基体からなるグリーンシート45、46と機械的に接着することにより、ヒータ部21用の積層体を作製する。
この後、センサ部20の積層体とヒータ部21の積層体とをアクリル樹脂や有機溶媒などの接着剤を介在させるか、あるいはローラ等で圧力を加えながら両者を機械的に接着することにより接着一体化した後、これらを焼成する。焼成は、発熱部2aやリード部2bの焼成に対応した雰囲気,即ち白金では、大気中または不活性ガス雰囲気中、タングステンやモリブデンの場合は、不活性ガスまたは還元ガス中で、それぞれ1200℃〜1700℃の温度範囲で1〜10時間焼成する。
その後、必要に応じ、測定電極42aの上に、プラズマ溶射法等により,アルミナ、ジルコニア、スピネルおよびチタニアの群から選ばれる少なくとも1種のセラミック多孔質層25を形成することによってヒータ部が一体化された酸素センサ素子を形成することができる。
なお、上記の方法では、ヒータ部21はセンサ部21と同時焼成して形成した場合について説明したが、センサ部20とヒータ部21とはそれぞれ別体で焼成した後、ガラスなどの適当な無機接合材によって接合することによって一体化することも可能である。
純度99.9%、平均粒子径0.5μmの市販のアルミナ粉末(シリカ0.1質量%含有)に、SiO、MgO、CaOを合計で0.5重量%添加したセラミック粉末に、アクリル系の有機バインダとトルエンを溶媒として添加してスラリーを作製し、ドクターブレード法により、シートの厚さが約0.3〜0.4mmになるようなアルミナのグリーンシートを作製した。
発熱部2aの導体として、焼成後の平均粒子径が約0.3μmとなるアルミナ粉末を25〜60体積%含有する平均粒子径2μmの白金粉末を含む導体ペーストと、リード部2bの導体として、平均粒子径が0.3μmのアルミナ粉末を約3〜32体積%含有する平均粒子径2μmの白金粉末を含む導体ペーストをそれぞれ準備した。この際、グラインドゲージにより測定される凝集粒子の最大径はいずれも15μm以下であった。
この2種類の導体ペーストを用いて、まず、発熱部2aの導体パターンを印刷し、ついでリード部2bの導体パターンを印刷して導体パターンの端部同士が重なって電気的に接続されるようにした。また、印刷の順番を換えて、まず、リード部2bの導体パターンを印刷し、ついで発熱部2aの導体パターンを印刷して導体パターンの端部同士が重なるようにした。このとき、発熱部2aとリード部2bの接合部2cの厚みNは焼成後80〜1200μmとなるように印刷した。また、隣接するリード部2b間の距離は、焼成後に1.0〜1.2mmになるようにした。
そして、これらの導体パターンの上面にアルリル系の有機接着材を用いて上記アルミナグリーンシートを室温で10MPaの圧力で積層圧着して、積層体を作製した。このとき、ヤング率が200〜1500MPaの緩衝材を積層体の上下に挿入した状態で積層圧着した。この積層体を1500℃の温度で1時間、大気中で焼成した。なお、この条件下でのセラミック絶縁層1の相対密度は98%以上、気孔率は2%以内であった。また、アルミナ中のアルカリ金属の含有量は50ppm以下であった。
この後、セラミックヒータの側面の凹凸を除去すると同時に、エッジ部については0.2mmのC面取りを施した。
(特性および性能評価)
表1に示す特性に関しては、下記の方法により測定した。
(1) 発熱部2aとリード部2bの接合部の長さ、厚み
作製したセラミックヒータについて、発熱部2aおよびリード部2bの断面を図3に示すように鏡面出しして、500倍の走査型電子顕微鏡写真を撮影し、各写真から接合部の長さn、厚み等を測定した。また、セラミックヒータの幅と厚みは、マイクロメータで測定した。試料数量は、下記の(4)の試料20個について測定して、その平均値を求めた。
(2)抵抗値
抵抗値は、25℃の恒温室中において、電極パッド4間で測定した。表1の値は、同様に(4)の20個の試料の平均値でその際抵抗値のバラツキは±5%であった。
(3)急速昇温性
急速昇温性は上記のセラミックヒータに12Vの電圧を印加した際に、図9に示すヒータ部21の最高表面温度が室温から400℃まで達するのに必要な時間(秒)を示す。これも、(4)の20個の平均値を示す。
(4)素子の破損率
上記のセラミックヒータに約25V前後の電圧を印加し、室温から1100℃まで約20秒で昇温し、さらに1100℃で1分保持した後、印加電圧を切ってセラミックヒータを室温まで空冷した。この温度サイクルを1サイクルとして、これを10万回繰り返した時のヒータの破損率を求めた。試料数はそれぞれ20個とした。
各測定結果を表1に示す。なお、表1中の「接合部の位置」とは、接合部における厚み方向一方側の頂点と他方側の頂点から中心線7に垂線をそれぞれ下ろし、これらの垂線の間隔(ずれの長さ)をΔTとするとき、このΔTと接合部の長さnとの比(ΔT/n)を評価したものである。この比(ΔT/n)が0.3以下のとき、接合部の一方側の頂点と他方側の頂点が対向しているとした。
Figure 0004884103
表1に示すように、本発明の請求範囲外である試料No.1は、接合部の厚みが発熱部2aおよびリード部2bの厚みよりも薄くなりセラミックヒータの破損率が90%と高くなった。
これに対して本発明の請求範囲内である試料No.2〜19は、良好な結果が得られた。特に、試料No.3,4,5,18は、発熱部2aとリード部2bの接合部の長さnを500〜800μmに制御し、かつ、積層体の中心線7よりも一方の主面側に導体パターンが位置し、積層時の緩衝材のヤング率を200〜1500MPaとすることにより、厚み方向の両側に突出した凸形状となり、温度サイクルによる破損率は極端に小さくなった。
また、表1から、発熱部2aのアルミナ含有量は30〜55体積%が好ましく、35〜50体積%がより好ましいことがわかる。一方、リード部2bのアルミナ含有量重は、5〜29体積%が好ましく、10〜20体積%がより好ましいことがわかる。
以上の結果から、本発明は急速昇温性ならびに温度サイクルなどの環境において耐久性に優れたセラミックヒータであることは明らかである。
本実施形態にかかるセラミックヒータを示す分解斜視図である。 本実施形態にかかるセラミックヒータを示す斜視図である。 図2に示すセラミックヒータのY1−Y1線断面図の一例である。 図2に示すセラミックヒータのY1−Y1線断面図の他の例である。 本発明の他の実施形態にかかるセラミックヒータを示す断面図である。 焼成前の接合部分の発熱部とリード部が接する界面の拡大組織を模式的に示した概略図である。 焼成後の接合部分の発熱部とリード部が接する界面の拡大組織を模式的に示した概略図である。 本発明のセラミックヒータを酸素センサ素子の加熱に応用した構造体の斜視図である。 図8のX2−X2線断面図である。 本発明の酸素センサ素子の製造方法を説明するための分解斜視図である。 従来のセラミックヒータにおいて、発熱部とリード部の接合部を説明するための概略図である。 発熱部とリード部の接合部の厚みが、発熱部およびリード部の厚みより薄い場合の概略断面図である。 発熱部とリード部の接合部が、上下の片方だけ突出する場合の概略断面図である。 発熱部とリード部の接合部が、上下異なる場所に突出する場合の概略断面図である。 本発明の他の実施形態にかかるセラミックヒータを示す断面図である。
符号の説明
1、1a、1b・・・セラミック絶縁層
2・・・発熱体
2a・・・発熱部
2b・・・リード部
4・・・電極パッド
5・・・ビア単体
6・・・変形部
7・・・中心線
8・・・白金
9・・・アルミナ
10・・・発熱部とリード部が接する界面
42a・・・測定電極パターン
42b・・・測定電極リードパターン
42c・・・基準電極パターン
42d・・・基準電極リードパターン
20・・・センサ部
21・・・ヒータ部
22・・・固体電解質基板
23、23a・・・基準電極
24、24a・・・測定電極
26・・・セラミック絶縁層基体
27a・・・発熱部
41・・・固体電解質グリーンシート
43a・・・パッド
43b・・・スルーホール
44・・・大気導入孔
45・・・グリーンシート
46・・・グリーンシート
47・・・グリーンシート
49・・・発熱パターン
50・・・リードパターン
51・・・電極パターン
52・・・ビア単体

Claims (9)

  1. セラミック絶縁層を積層圧着した後、焼成して成るセラミック体中に、発熱部と、該発熱部に電流を供給するためのリード部と、前記発熱部と前記リード部が接合された接合部とを有するセラミックヒータにおいて、前記接合部は、その両端部に隣接する前記発熱部および前記リード部の何れの上下面よりも前記積層方向の両側に突出した形状を有していることを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 前記接合部は、長さ方向の一端から他端にわたる全域において、前記積層方向の厚みが前記発熱部および前記リード部の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
  3. 前記接合部における前記積層方向の一方側の頂点と他方側の頂点は、前記積層方向に対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のセラミックヒータ。
  4. 前記リード部の厚みは、前記発熱部の厚みよりも厚く、前記接合部の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  5. 前記接合部の長さが100〜1000μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  6. 前記発熱部は白金を主成分とし、30〜55体積%のアルミナを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  7. 前記リード部は白金を主成分とし、5〜29体積%のアルミナを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  8. 前記発熱部及び前記リード部は白金を主成分とし、前記リード部における白金の含有量が前記発熱部における白金の含有量よりも多いことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のセラミックヒータを備えたことを特徴とするガスセンサ素子。
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