以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態のラベル作成装置の全体概略構成を示す。図1において、ラベル作成装置1(印字ラベル作成装置)は、装置本体2と、この装置本体2の外郭を構成する筐体200と、外部アンテナ32(アンテナ手段)とを有している。
装置本体2の筐体200は、キーボード3と、各種表示を行うための表示部5(報知手段)と、ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源スイッチ3dと、カッタ駆動ボタン7と、開閉可能(又は着脱可能としてもよい)に設けられた開閉蓋8と、ACアダプター電源の出力プラグを接続するためのDCジャック6とを有している。
キーボード3は、操作者が各種入力操作や後述するラベル作成装置1のモードの切替え操作を行うためのものであり、決定キー3a、カーソル移動キー3b、及び文字や記号や数字等の入力を行う文字キー3c、さらにはファンクションキー(詳細は後述。図示省略)等を有している。上記液晶ディスプレイ5に表示される各表示画面の表示内容に基づき、キーボード3により、後述のモード設定等を含む各種操作を行うことができる。
カッタ駆動ボタン7は、筐体200内の所定の位置に配設されたカッタ31(後述の図3参照)を操作者の手動操作で駆動するためのものである。このカッタ駆動ボタン7が押されることで、テープ排出口(図示せず)より図中矢印Hで示す方向に排出された印字済みラベルテープ23を所望の長さにカットし、印字ラベルLを生成可能である。
外部アンテナ32は、この例では、上記筐体200の外部に設けられており、上記筐体200の外部に位置する無線タグ回路素子To(この例では、無線タグTに備えられた無線タグ回路素子To)に対し無線通信を行う。
表示部5は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)から構成されており、外部アンテナ32と上記無線タグ回路素子Toとの通信継続期間の態様に応じて設定される印字ラベルLの作成枚数等を表示することができる(詳細は後述)。
そして、上記装置本体2及び外部アンテナ32は、接続コード30(例えばUSBケーブル等。無線接続でもよい)を介して互いに情報送受信可能に接続されている。
また、無線タグTは、この例では、所定の印字領域に印字(図示の例では「春日井史郎」のテキスト)が形成されている。また、無線タグTには、情報を記憶するIC回路部150と情報を送受信するタグアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子Toが設けられており、上記外部アンテナ32と無線通信により情報の送受信を行うことができる。
図2に、ラベル作成装置1の開閉蓋8を開けた状態を示す。図2において、ラベル作成装置1の筐体200内部には、カートリッジホルダ9と、印字手段としての印字ヘッド19(サーマルヘッド)及び搬送手段としてのテープ圧着ローラ駆動軸26等を備えたサーマル印刷機構4(印字ラベル作成部)とが設けられている。
カートリッジホルダ9は、装置本体2に着脱可能に装着されるカートリッジ10を収納し装着することができる。また、このカートリッジホルダ9には、リボン巻取り駆動軸25と、上記テープ圧着ローラ駆動軸26と、上記カートリッジ10を収納した際に開口部27に位置するように放熱を兼ねたサブフレーム28とが設けられている。
上記リボン巻取りローラ駆動軸25及びテープ圧着ローラ駆動軸26は、使用済みインクリボン13(後述の図3参照)及び上記印字済みラベルテープ23の搬送駆動力をそれぞれ与えるものであり、互いに連動して回転駆動される。
図3に、無線タグ回路素子Toが形成された基材テープを備えるカートリッジ10を装着した状態のカートリッジホルダ9の周辺部分を、カートリッジ10とともに示す。
図3において、カートリッジ10は、筐体200内の凹所である上記カートリッジホルダ9に着脱可能に収納されている。また、カートリッジ10は、基材テープ16が巻回された第1ロール17と、上記基材テープ16とほぼ同じ幅である透明なカバーフィルム11(被印字媒体)が巻回された第2ロール12と、印字用のインクリボン13(但し被印字媒体が感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール14と、印字後のインクリボン13を巻取るリボン巻取りローラ15と、テープ圧着ローラ18とを有している。
第1ロール17は、リール部材17aの周りに、上記基材テープ16を巻回している。
上記基材テープ16は、複数層(この例では4層)の積層構造を備えている(図3中部分拡大図参照)。すなわち、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着剤からなり上記カバーフィルム11を貼り合わせるための粘着剤層16ha、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)等からなるテープ基材層16hb、適宜の粘着剤からなる粘着剤層16hc、剥離紙16hdの順序で積層され構成されている。
剥離紙16hdは、最終的に完成した印字ラベルLが所定の物品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着剤層16hcにより当該物品等に接着できるようにしたものである。
第2ロール12は、リール部材12aの周りに、上記カバーフィルム11を巻回している。リボン巻取りローラ15及びテープ圧着ローラ18は、それぞれカートリッジ10外に設けた例えばパルスモータであるテープ送りモータ118(後述の図3参照)の駆動力が図示しないギヤ機構を介し上記リボン巻取りローラ駆動軸25及びテープ圧着ローラ駆動軸26に伝達されることによって連動して回転駆動される。
テープ圧着ローラ18は、上記基材テープ16と上記カバーフィルム11とを押圧し接着させ上記印字済みラベルテープ23としつつ、図3中矢印Hで示す方向(図1も参照)にテープ送りを行う(=テープ送りローラとしても機能する)。
また、カートリッジホルダ9は、上記印字ヘッド19と、上記リボン巻取りローラ15を駆動する上記リボン巻取りローラ駆動軸25と、上記テープ圧着ローラ18を駆動する上記テープ圧着ローラ駆動軸26と、ローラホルダ22とを有している。
印字ヘッド19は、多数の発熱素子を備えており、上記第2ロール12から繰り出されたカバーフィルム11の所定の印字領域S(後述)に印字を行う。
ローラホルダ22は、支持軸29により回動可能に枢支され、図示しない切換機構により印字位置(図3に示す位置)とリリース位置に切換可能となっている。このローラホルダ22には、プラテンローラ20及びテープ送りローラ21が回転可能に配設されており、ローラホルダ22が上記印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ20及びテープ送りローラ21が上記印字ヘッド19及びテープ圧着ローラ18に対し圧着されるようになっている。
上記構成において、上記第1ロール17より繰り出された基材テープ16は、テープ圧着ローラ18へと供給される。一方、第2ロール12より繰り出されたカバーフィルム11は、その裏面側(=基材テープ16と接着される側)に配置されリボン供給側ロール14とリボン巻取りローラ15とにより駆動されるインクリボン13が、上記印字ヘッド19に押圧されて当該カバーフィルム11の裏面に接触させられる。
また、カートリッジ10が上記カートリッジホルダ9に装着されることにより、ロールホルダ22が上記リリース位置から上記印字位置に移動する。これにより、カバーフィルム11及びインクリボン13が印字ヘッド19とプラテンローラ20との間に狭持されるとともに、タグテープ17及びカバーフィルム11がテープ圧着ローラ18とテープ送りローラ21との間に狭持される。
その後、上記テープ送りモータ118の駆動力によってリボン巻取りローラ15及びテープ圧着ローラ18が図3中矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ圧着ローラ駆動軸26と上記テープ送りローラ21及びプラテンローラ20はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ圧着ローラ駆動軸26の駆動に伴いテープ圧着ローラ18、プラテンローラ20、及びテープ送りローラ21が回転し、第1ロール17から基材テープ16が繰り出され、上述のようにテープ圧着ローラ18へ供給される。
一方、第2ロール12からはカバーフィルム11が繰り出されるとともに、印刷駆動回路119(後述の図4参照)により印字ヘッド19の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム11の裏面の所定の印字領域Sに、操作者がキーボード3を介して入力したデータに対応する印字(鏡像印字)がされる。
そして、上記基材テープ16と上記印字が終了したカバーフィルム11とが上記テープ圧着ローラ18及びテープ送りローラ21により接着されて一体化されて印字済みラベルテープ23として形成され、テープ排出部(図示せず)よりカートリッジ10外へと搬出される。また、上記カバーフィルム11への印字が終了したインクリボン13は、リボン巻取りローラ駆動軸25の駆動によりリボン巻取りローラ15に巻取られる。
そして、上記カッタ駆動ボタン7(図1参照)が操作されることにより、カッタ31によって印字済みラベルテープ23が切断され、上記操作者がキーボード3を介して入力した所望のデータに対応する印字がされた印字ラベルLが生成される。
図4に、本実施形態のラベル作成装置1の制御系を示す。なお、図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。また、この図4では、ラベル作成装置1の装置本体2(筐体200)及び外部アンテナ32との間の接続コード30については図示省略している。
図4において、ラベル作成装置1の制御基板(図示せず)上には、制御回路46が配置されている。この制御回路46には、各機器を制御するCPU40と、このCPU40にデータバス45を介して接続された入出力インターフェース44と、表示用キャラクタジェネレータROM(表示用CGROM)41と、印刷用キャラクタジェネレータROM(印刷用CGROM)42と、ROM43と、RAM50とが設けられている。
表示用CGROM41には、文字や記号等の多数のキャラクタそれぞれに関する所定サイズの表示用ドットパターンデータが格納されている。印刷用CGROM42には、文字や記号等の多数のキャラクタそれぞれに関する印刷用ドットパターンデータが各書体(フォント、テキストスタイル、テキストサイズ等)ごとにコードデータに対応付けて格納されている。
ROM43には、表示制御プログラム47と、印字駆動制御プログラム48と、その他ラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラム及びデータ等が格納されている。
表示制御プログラム47は、キーボード3からの操作入力信号に対応して液晶ディスプレイ5の制御を行う。印字駆動制御プログラム48は、印字に供する1ドット列ごとのドットパターンデータを順次、印刷駆動回路(図4で後述)に転送して、図示しない搬送用モータを駆動させて印字を行う。CPU40は、上記したようなROM43に記憶されている各種プログラム及びデータに基づいて各種の演算を行う。
RAM50には、キーボード3から入力されたテキストデータ等を格納するテキストメモリ51と、CPU40で演算した演算結果を一時的に格納するワークメモリ52と、印字バッファ53と、印刷用メモリ54とが設けられている。
印字バッファ53は、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンが格納され、上記印字ヘッド19はこの印字バッファ53に記憶されているドットパターンデータに従って印字を行う。
印刷用メモリ54は、サーマル印刷機構4により直前に作成した印字ラベルLの作成時における印字ヘッド19による印字内容に対応する情報(例えば、操作者がキーボード3を介して入力したテキストデータ等)を、ラベル印字情報として記憶する。このラベル印字情報は、印字ラベルLを作成する時に、これを利用して上記印字ヘッド19で印字を行うためのものである(詳細は後述)。
入出力インターフェース44には、上記キーボード3と、上記液晶ディスプレイ5と、上記印字ヘッド19を駆動させる印刷駆動回路119と、テープ送りモータ駆動回路117と、ソレノイド駆動回路131と、上記カッタ駆動ボタン7と、RF通信制御部55と、印字ラベルLの作成枚数の設定時において前述の通信継続期間の態様に応じた音声報知を行うスピーカ60(報知手段)と、印字ラベルLの作成枚数の設定時において前述の通信継続期間の態様に応じた発光報知を行う発光ランプ61(報知手段)とが接続されている。
テープ送りモータ駆動回路117は、テープ送りモータ118を駆動することにより、上記リボン巻取りローラ駆動軸25及びテープ圧着ローラ駆動軸26を駆動し、基材テープ16、カバーフィルム11、及び印字済みラベルテープ23の搬送を行う。
ソレノイド駆動回路131は、上記カッタ31を駆動して切断動作を行わせるソレノイド132を駆動する。
RF通信制御部55は、上記外部アンテナ32を介して、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報へアクセスする(詳細は後述する)。
また、上記印刷駆動回路119、印字ヘッド19、テープ送りモータ駆動回路117、テープ送りモータ118、リボン巻取りローラ駆動軸25、及びテープ圧着ローラ駆動軸26等により、印字ラベルLの作成を行う上記サーマル印刷機構4が構成されている。
図5に、上記RF通信制御部55の詳細構成を示す。なお、この図5では、RF通信制御部55とCPU40との間の入出力インターフェース44については図示省略している。
この図5において、RF通信制御部55は、上記外部アンテナ32を介し無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報へアクセスするものであり、またCPU40は、無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンドを生成するものである。
RF通信制御部55は、外部アンテナ32を介し無線タグTの無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部142と、外部アンテナ32により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部143と、送受分離器144とから構成される。
送信部142は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部142は、周波数の基準信号を出力する水晶振動子145Aと、CPU40の制御により水晶振動子145Aの出力を分周/逓倍して所定周波数の搬送波を発生させるPLL(Phase Locked Loop)145B及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)145Cと、上記CPU40から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU40からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路146(振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路146により変調された変調波を増幅(この例ではCPU40からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)して所望の質問波を生成する可変送信アンプ147とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯(又はマイクロ波帯、あるいは短波帯でもよい)の周波数を用いており、上記可変送信アンプ147の出力は、送受分離器144を介し外部アンテナ32に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部143は、外部アンテナ32で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波とを乗算して復調するI相受信乗算回路148と、そのI相受信乗算回路148の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのI相バンドパスフィルタ149と、このI相バンドパスフィルタ149の出力を増幅するI相受信アンプ162と、このI相受信アンプ162の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するI相リミッタ163と、上記外部アンテナ32で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波が移相器167により位相を90°遅らせた信号とを乗算するQ相受信乗算回路172と、そのQ相受信乗算回路172の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのQ相バンドパスフィルタ173と、このQ相バンドパスフィルタ173の出力を増幅するQ相受信アンプ175と、このQ相受信アンプ175の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するQ相リミッタ176とを備えている。そして、上記I相リミッタ163から出力される信号「RXS−I」及びQ相リミッタ176から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU40に入力されて処理される。
また、I相受信アンプ162及びQ相受信アンプ175の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路178にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU40に入力される。これにより、無線タグ回路素子Toとの通信時における当該無線タグ回路素子Toからの信号の受信強度を検出することが可能となっている。
図6に、上記無線タグTに備えられる無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を示す。
この図6において、無線タグ回路素子Toは、上述したように外部アンテナ32と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介し上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記外部アンテナ32からの質問波の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出し、当該クロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図7に、上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155の記憶内容の一例を概念的に示す。
図7において、メモリ部155には、タグ識別情報としてのタグIDと、サーマル印刷機構4に対しカバーフィルム11に所望の印字を行って印字ラベルLを作成するように指示するためのコマンド(印字コマンド)と、カバーフィルム11に印字される印字データ(=ラベル印字情報。この例では「春日井史郎」のテキスト)とが記憶されている。
上記の基本構成において、本実施形態の最大の特徴は、既に触れたように、外部アンテナ32と上記無線タグ回路素子Toとの通信継続期間の長さに応じて、印字ラベルLの作成枚数を設定することにある。この印字ラベルLの作成枚数の設定手法について、以下、順を追って説明する。
図8に、無線タグTとの通信継続期間の長さによる印字ラベルLの作成枚数の設定手法を概念的に示す。
図8において、操作者が無線タグTを手に持ちその無線タグTをかざしたり、そのかざす動作をやめる(はずす)ことで、通信継続期間の長さを長短調整するにより、印字ラベルLの作成枚数を適宜に設定することができる。このとき、「タグをかざす」動作とは、操作者が無線タグTを手で持って、無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toを外部アンテナ32の通信可能範囲内に進入させて、外部アンテナ32と無線タグ回路素子Toとを通信させることである。また「タグをはずす」動作とは、外部アンテナ32の通信可能範囲内に侵入させた無線タグTを通信可能範囲内から退出させることである。
図8(a)及び図8(b)において、本実施形態では、上記のような「タグをかざす」動作の後「タグをはずす」動作を行うまで(正確には「タグをはずした」状態から「タグをかざした」状態に移行してから、「タグをはずした」状態に戻るまで。以下、同様)の時間tを、操作者が適宜に調整するようにする。この調整によって、無線タグTが外部アンテナ32の通信可能範囲内に存在する時間、言い換えれば外部アンテナ32と無線タグT(詳しくは無線タグTに備えられた無線タグ回路素子Toである。以下、同じ)との通信継続期間(以下、必要に応じて「通信継続期間t」と称す」を調整し、その長さに応じた印字ラベルLの作成枚数を指示入力して設定することができる。
この例では、通信継続期間t=2秒を境に、印字ラベルLの作成枚数を大小切り替えて設定可能となっている。すなわち、図8(a)は、通信継続期間tが2秒以下(=「タグをかざした」状態に移行してから「タグをはずした」状態に戻るまでが2秒以下。以下同様)であった場合を示している。この場合は、印字ラベルLの作成枚数は1枚に設定される。そして、ラベル作成装置1はその設定に基づき、操作者により無線タグTが外部アンテナ32の通信可能範囲外へ退出してから、1枚の印字ラベルLを自動的に作成する。1枚作成終わったら、ラベル作成作業を終了する。
一方、図8(b)は、通信継続期間tが2秒を超えた場合を示している。この場合は、印字ラベルLの作成枚数は30枚に設定される。そして、ラベル作成装置1は、その設定に基づき、操作者により無線タグTが外部アンテナ32の通信可能範囲外へ退出してから、30枚の印字ラベルLを自動的に作成する。30枚作成が終わったら、ラベル作成作業を終了する。なお、ラベル作成開始(印刷開始)タイミングは、タグをはずした状態となったときに限られない。すなわち、図示下段に示すように、例えば通信継続期間tが2秒に達した時点で(まだ無線タグTが外部アンテナ32の通信可能範囲内にあったとしても)印字ラベルLの作成を開始するようにしてもよい。
上記図8(a)及び図8(b)の枚数設定手法をテーブル形式に整理して図9に示す。
なお、設定枚数が切り替わる通信継続期間tの境界は上記のt=2秒でなくともよい。また、当該切り替わりにより切り替わって設定される作成枚数も、上記1枚や30枚以外とすることができる。さらに、上記のように2段階に作成枚数の設定を切り替えるのではなく、もっと多段階に切り替わるようにして、1回の通信継続期間tが長くなるにしたがって、印字ラベルLの作成枚数が順次小刻みに増えていくように設定してもよい。いずれにしても、通信継続期間tが長いほど、印字ラベルLの作成枚数は多くなる。
図10に、印字ラベルLの作成時にラベル作成装置1のCPU40によって実行される制御内容を示す。なお、このフローでは、先に図8(b)において説明したラベル作成開始(印刷開始)タイミングに関する2つの例のうち、ラベル作成開始タイミングを、「タグがはずされた状態となったとき」とする場合を例にとって説明する。
まず、ステップS310において、CPU40は、無線タグTからの応答の受信有無を表す受信フラグFを初期化してF=0とする。
その後、ステップS320で、CPU40は、入出力インターフェース44を介してRF通信制御部55に制御信号を送信し、無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して接続コード30及び外部アンテナ32を介し無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。
ステップS330では、CPU40は、上記タグ読み取り信号に対応し無線タグTの無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号を外部アンテナ32、接続コード30、RF通信制御部55、及び入出力インターフェース44を介し受信したか否かを判定する。なお、このステップS330は、後述のように設定手段の一部として機能するが、これとともに、各請求項記載の印字情報読み取り手段としても機能する。
操作者が、無線タグTを手で持って外部アンテナ32の通信可能範囲内に進入させる動作をしない間は、無線タグTからのリプライ信号が受信されないので判定が満たされず、ステップS360に移る。
ステップS360では、CPU40は、F=1であるか否かを判定する。最初は前述のようにF=0であるので判定が満たされず、ステップS320へ戻り、同様の手順を繰り返す。
上記のようにして、ステップS320→ステップS330→ステップS360→ステップS320→・・と繰り返しているうちに、操作者が、外部アンテナ32の通信可能範囲内に無線タグTを進入させると無線タグTからのリプライ信号が受信されてステップS330の判定が満たされ、ステップS340に移る。
ステップS340では、上記受信フラグFを、無線タグTからの応答を受信したことを表す1にした後、ステップS350に移る。ステップS350では、CPU40は、自身が備えるタイマ機能により経過時間の計測を開始し、ステップS320に戻って同様の手順を繰り返す。これにより、操作者が外部アンテナ32の通信可能範囲内に無線タグTが存在する状態を維持している(かざしたままの状態を維持している)間は、ステップS320→ステップS330→ステップS340→ステップS320→・・と繰り返されつつ、上記タイマによる時間計測が継続される。操作者が、外部アンテナ32の通信可能範囲外に無線タグTを退出させると、無線タグTからのリプライ信号が受信されなくなってステップS330の判定が満たされず、ステップS360に移る。ステップS360では、この時点では先のステップS340でF=1となっていることからは判定が満たされて、ステップS370に移る。
ステップS370では、先のステップS350で開始していたタイマによる計時を終了する(ここまでの計時結果は例えば適宜の箇所に記憶しておく)。これにより、無線タグTとの上記通信継続期間tが計測されたことになる。その後、ステップS380に移る。
ステップS380では、CPU40は、上記ステップS330で受信したリプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID、コマンド、及び印字データ(いずれも図7参照)を取得する。
その後、ステップS400で、CPU40は、上記ステップS380で取得したコマンドに基づき、カバーフィルム11に対し上記取得した印字データの印字を行って印字ラベルLを作成するラベル作成処理を実行する(詳細内容は後述の図11参照)。そして、このフローを終了する。
図11に、上記ステップS400のラベル作成処理の詳細内容を示す。
まず、ステップS405で、CPU40は、上記ステップS370で計測された無線タグTとの通信継続期間tに基づき、一例として図9及び図10を用いて前述した手法に基づき印字ラベルLの作成枚数を設定する。この際、例えば図9のテーブルが制御回路46内に格納されており、その格納されたテーブルに基づいて枚数設定を行うようにしてもよい。なお、このときに、前述したように表示部5において設定されたラベル作成枚数を表示する。また、前述のスピーカ60による音声報知(例えば枚数と同じ回数の「ピッ」「ピッ」・・という発音等)を行う。あるいは、これに代えて前述の発光ランプ61による発光報知を行ってもよい。
その後、ステップS410で、CPU40は、テープ送りモータ駆動回路117に制御信号を出力し、テープ送りモータ118によりテープ圧着ローラ駆動軸26及びリボン巻取りローラ駆動軸25を駆動する。これによって、第1ロール17からの基材テープ16の繰り出しと第2ロール12からのカバーフィルム11の繰り出しを開始し、これら基材テープ16、カバーフィルム11、及び印字済みラベルテープ23(以下、単に「基材テープ16等」と総称する)の搬送を開始する。
そして、ステップS420において、CPU40は、基材テープ16等が所定量だけ搬送されたか否かを判定する。この所定量とは、例えば印字ヘッド19がカバーフィルム11の印字領域Sの先端にほぼ対向する位置に到達するだけの搬送距離である。この搬送距離判定は、例えば基材テープ16に設けたマーキングを公知のテープセンサ(不図示)で検出することにより行えば足りる。所定量搬送されるまではステップS420の判定が満たされずループ待機し、所定量搬送されたらステップS420の判定が満たされて、ステップS430に移る。
ステップS430では、CPU40は、印刷駆動回路119に制御信号を出力し、印字ヘッド19に、カバーフィルム11の印字領域Sに対し、上記図10のステップS380で取得した印字データに対応した印字を実行開始させる。
その後、ステップS440において、CPU40は、カバーフィルム11の上記印字領域Sに対する印字が全て完了しているかどうかを確認した後、ステップS450へ移る。
ステップS450では、CPU40は、基材テープ16等がさらに所定量(例えば、カバーフィルム11の印字領域Sの全てがカッタ31を所定の長さ分越えるだけの搬送距離)だけ搬送されたかどうかを判定する。このときの搬送距離判定も例えば上記ステップS420と同様にすれば足りる。所定量搬送されるまではステップS450の判定が満たされずループ待機し、所定量搬送されたらステップS450の判定が満たされて、ステップS460に移る。
ステップS460では、CPU40は、テープ送りモータ駆動回路117に制御信号を出力し、上記テープ送りモータ118によるテープ圧着ローラ駆動軸26及びリボン巻取りローラ駆動軸25の駆動を停止し、第1ロール17及び第2ロール12からの基材テープ16及びカバーフィルム11の繰り出し及び基材テープ16等の搬送を停止する。
その後、ステップS470で、CPU40は、ソレノイド駆動回路131に制御信号を出力してソレノイド132を駆動し、カッタ31によって印字済みラベルテープ23の切断を行う。前述したように、この時点でカバーフィルム11の印字領域Sを含む印字済みラベルテープ23の全てがカッタ31を十分に越えており、このカッタ31の切断によって、印字データに対応した印字が行われた印字ラベルLが作成される。これにより、作成された印字ラベルLがテープ排出口(図示せず)より装置外へと排出される。なお、このように自動切断を行うのではなく、前述したカッタ駆動ボタン7に対する操作者の手動操作によって切断を行うようにしてもよい。
その後、ステップS490において、CPU40は、ステップS405で設定された設定枚数の印字ラベルLが全て作成されたか否かを判定する。上記ステップS405で設定された枚数の印字ラベルLがまだ全ては作成されていない場合は、ステップS490の判定が満たされず、上記ステップS410に戻り、同様の手順を繰り返す。上記ステップS405で設定された設定枚数の印字ラベルLが全て作成された場合は、ステップS490の判定が満たされ、このフローを終了する。
なお、以上において、図10に示すフロー全体の、ステップS310〜ステップS380及びステップS400の全ての手順が、各請求項記載の、制御手段として機能し、そのうち上記ステップS310〜ステップS380が設定手段として機能し、ステップS400(言い換えれば図11の全手順)が、第1作成開始手段として機能する(t≦2秒の場合)とともに、第2作成開始手段としても機能する(t>2秒の場合)。
以上の制御により、ラベル作成装置1は、外部アンテナ32の通信可能範囲内に存在する無線タグTの通信継続期間tを計測し、その通信継続期間tに基づき印字ラベルTの作成枚数を設定し、その設定された枚数の印字ラベルLを作成する。
図12に、前述したフローを用いた制御によって作成される印字ラベルLの一例を示す。この例では、前述の印字データにより形成されたものを示しており、印字ラベルLの印字領域Sに、氏名「春日井史郎」が印字されている。
以上説明した実施形態のラベル作成装置1では、印字ヘッド19がカバーフィルム11に印字を行い、さらに基材テープ16と貼り合わせた印字済みラベルテープ23を生成し、これを所定の長さに切断し、印字ラベルLを順次作成する。そして、その印字ラベル作成時の作成枚数を、無線タグTに備えた無線タグ回路素子Toとの通信継続期間tの長さに応じて決定する。これにより、操作者は、例えば無線タグ回路素子Toを備えた無線タグTを手に持ち、外部アンテナ32の通信可能範囲に進入・退出させ通信継続期間tを適宜の長さとする(すなわち無線タグTを外部アンテナ32に対し近づけた後、適宜のタイミングで遠ざける)だけで容易に、印字ラベルLの枚数を指示入力することができる。これにより、印字ラベルLを複数枚作成するときに、キーボード3のキー操作や、あるいはラベル作成装置1に接続した端末でのキー操作を必要とすることなく、容易に作成枚数を設定することができる。この結果、操作者の操作労力を低減し、利便性を向上することができる。
このとき特に、1回の通信継続期間tが長いほど、印字ラベルLの作成枚数を多く設定可能となっている。この結果、操作者は、無線タグTを外部アンテナ32に向かって近づけた状態を維持し通信可能範囲内への通信継続期間tを長くすることで、設定する印字ラベルの作成枚数を順次多くし、自分が作成したい印字ラベルLの枚数を確実に指示入力することができる。
また、本実施形態では特に、操作者が、無線タグTを近づけた後に遠ざける動作を行って無線タグ回路素子Toと外部アンテナ32との通信継続期間tを終了させることで、それまでに設定した枚数の印字ラベルLの作成を自動的に開始させることができる(図10のステップS330→ステップS360→ステップS370→ステップS380→ステップS400の流れを参照)。すなわち、枚数設定のみならず、その設定した枚数の印字ラベルLの作成の実行開始指示についても、ラベル作成装置1のキーボード3のキー操作や、あるいはラベル作成装置1に接続した端末でのキー操作等を必要とせず、行うことができる。この結果、操作者の操作労力をさらに低減し、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、無線タグTの無線タグ回路素子Toに記憶された、印字ラベルLに印字する内容を表す印字データ(ラベル印字情報)を読み取って、当該印字データに対応した内容の印字が印字ヘッド19により実行され、印字ラベルLが作成する。このようにして、無線タグ回路素子Toを、印字内容を記憶させるメモリとして用いることができるので、予め作成したい印字ラベルLの印字内容を記憶させておくだけで、容易に所望の印字内容の印字ラベルLを複数枚(それぞれが同一印字内容である)作成することができる。そしてそのときの印字ラベルの作成枚数を、当該無線タグの無線タグ回路素子Toとの通信継続期間の長さに基づき設定することができる。このように、印字ラベルLの作成枚数のみならず、その作成する印字ラベルLの印字内容についても、無線タグ回路素子Toからのラベル作成装置1の読み取りにより設定することができる。この結果、操作者の操作労力をさらに低減し、利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、設定された作成枚数を表示部5で表示し、またスピーカ60により音声報知(あるいは発光ランプ61による発光報知)を行う。これにより、操作者は、設定される印字ラベルLの作成枚数を視覚的又は聴覚的に認識しながら、無線タグTを外部アンテナ32の通信可能範囲内から離脱する動作を行い、最終的に作成する印字ラベルLの枚数を確実に指示入力することができる。またこれらの報知により、操作者は、ラベル作成装置1側において自らの意図する通信継続期間tの長さが検出された旨を認識できるので、心理的に安心感をもちつつ、設定を行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
(1)無線タグとの通信継続期間中、連続的に印字ラベルの作成を継続する場合
上記実施形態では、操作者が無線タグTを手に持って外部アンテナ32の通信可能範囲内に適宜の時間長さだけ存在させることにより、自分が作成したい印字ラベルLの作成枚数を指示入力して設定したが、これに限られない。すなわち例えば、操作者が無線タグTを手に持って外部アンテナ32の通信可能範囲内に存在させた状態を維持している間(外部アンテナ32と無線タグ回路素子Toとの通信が継続している間)は、印字ラベルの作成枚数を不定数に設定して印字を開始し、印字ラベルLの作成を連続的に継続する(追加指示あるまで印字ラベルLの作成を継続する)ようにしてもよい。
図13に、そのような変形例における印字ラベルLの作成手法を概念的に示す。
図13において、本変形例では、操作者により前述の「タグをかざす」動作がされたら、作成枚数を特に定めないまま(あるいは十分に大きい数字に仮に設定するようにしてもよい)、印字ラベルLの作成を開始する。そしてそのまま印字ラベルLの作成を1枚、2枚、3枚、4枚、・・と続行している間に、操作者により前述の「タグをはずす」動作がされたら、その時点でそれ以上の印字ラベルLの作成を行わないようにし、ラベル作成作業を終了するようにしたものである。
図14及び図15に、本変形例における印字ラベルLの作成時にCPU40によって実行される制御内容を示す。図14は、無線タグTの無線タグ回路素子Toからの情報読み取りに関する制御手順のフローであり、図15は、印字ラベルTの作成に係わる制御手順のフローである。このときの処理方法としては、例えばコンピュータのOS等でしばしば行われる「マルチタスク処理」と同様の公知の手法により、これら図14と図15のフローがCPU40によって同時並行処理されるようになっている。
図14において、まず、ステップS510において、CPU40は、ラベル作成フラグFtをFt=0に初期化する。
その後、ステップS520で、CPU40は、入出力インターフェース44を介してRF通信制御部55に制御信号を出力し、接続コード30及び外部アンテナ32を介し無線タグTの無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶された情報を読み取るためのタグ読み取り信号を生成して無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。
そして、ステップS530で、CPU40は、上記タグ読み取り信号に対応し無線タグTの無線タグ回路素子Toから送信(返信)されたリプライ信号を外部アンテナ32、接続コード30、RF通信制御部55、及び入出力インターフェース44を介し受信したか否かを判定する。なお、このステップS530は、後述のように設定手段の一部として機能するが、これとともに、各請求項記載の印字情報読み取り手段としても機能する。
操作者が、無線タグTを手で持って外部アンテナ32の通信可能範囲内に進入させる動作をしない間は、無線タグTからのリプライ信号が受信されないので判定が満たされず、ステップS530に移る。
ステップS530では、CPU40は、Ft=1であるか否かを判定する。最初は前述のようにFt=0であるので判定が満たされず、ステップS520に戻り、同様の手順を繰り返す。
上記のようにして、ステップS520→ステップS530→ステップS560→ステップS520→・・と繰り返しているうちに、操作者が、外部アンテナ32の通信可能範囲内に無線タグTを進入させると無線タグTからのリプライ信号が受信されてステップS530の判定が満たされ、ステップS540に移る。
ステップS540では、CPU40は、上記ステップS530で受信したリプライ信号に基づき、無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部155に記憶されたタグID、コマンド、及び印字データ(いずれも図7参照)を取得する。
その後、ステップS550で、CPU40は、ラベル作成フラグFtを印字ベルLの作成の実行を表すFt=1とし、ステップS520に戻り、同様の手順を繰り返す。
上記のようにして、ステップS520→ステップS530→ステップS540→ステップS550→・・と繰り返しているうちに、操作者が、外部アンテナ32の通信可能範囲外へ無線タグTを進入させると無線タグTからのリプライ信号が受信されなくなってステップS530の判定が満たされず、ステップS560へと移り、前述と同様の処理となる。
以上のようにして、このフローでは、操作者が無線タグTを外部アンテナ32の近傍にかざしている間はFt=1となり、操作者が無線タグTを外部アンテナ32の近傍からはずすと、Ft=0となる。
一方、図15に示すフローチャートは、前述の図11のフローチャートのステップS405、ステップS490に代えてそれぞれステップS402、ステップS495を設けた点が異なる。図15において、図11と同等の手順には同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、ステップS402では、CPU40は、ラベル作成フラグFtがFt=1であるか否かを判定する。前述のように操作者が無線タグTを外部アンテナ32の近傍にかざしてない状態ではFt=0であるから判定が満たされず、(ラベル作成指示がないものとみなして)このステップS402を繰り返してループ待機する。一方、操作者が無線タグTを外部アンテナ32の近傍にかざすとFt=1となって判定が満たされ、(ラベル作成指示があったものとみなして)ステップS410に移り、既に述べたステップS410〜ステップS480の手順を行う。そしてステップS495に移る。
ステップS495では、CPU40は、再びラベル作成フラグFtがFt=1であるか否かを判定する。操作者が無線タグTを外部アンテナ32の近傍にかざした状態を維持していると引き続きFt=1となっていることから判定が満たされ、上記ステップS410に戻り、ステップS410〜ステップS480の手順を行う(すなわち、次々に印字ラベルLの作成を続行する)。操作者が無線タグTを外部アンテナ32の近傍からはずすとFt=0となって判定が満たされなくなり、このフローを終了する。なお、本変形例では、印字ラベルLの設定枚数としては不定であることから、例えば前述の表示部5ではこれに対応した「CONT」等の表示を行う。またスピーカ60や発光ランプ61においても対応する報知を適宜行ってもよい。
以上において、図14に示す上記ステップS510〜上記ステップS560の全手順と、図15に示す上記ステップS402〜ステップS490の全手順とが、各請求項に記載の制御手段として機能する。そのうち図14に示す上記ステップS510〜上記ステップS560の全手順が設定手段として機能し、図15に示す上記ステップS402〜ステップS490の全手順が、第3作成開始手段として機能する。
本変形例においても、上記実施形態と同様、操作者の操作労力を低減し、利便性を向上できる効果を得る。特に本変形例では、操作者は、無線タグTを外部アンテナ32に向かって近づけ無線タグ回路素子Toを通信可能範囲内に存在させることで印字ラベルLの作成を開始し、その状態を維持している間印字ラベルLの作成を続行することができる。そして、自分が希望する枚数の印字ラベルLが作成されたら、操作者は、無線タグTを外部アンテナ32から離して無線タグ回路素子Toを通信可能範囲外に離脱させることで、印字ラベルLの作成を停止させる。このようにすることで、操作者は、特に枚数を決めないまま印字ラベルLを作成開始し、所望のタイミングで印字ラベルLの作成を停止させることができる。したがって、具体的な枚数設定も印字ラベルLの作成開始指示も必要なくなるので、操作者の操作労力をさらに確実に低減し、利便性を向上することができる。
(2)実施形態の手法と上記(1)の変形例の手法とを組み合わせる場合
すなわち、(上記実施形態のように)無線タグTとの通信継続期間t=2秒まで印字ラベルLの作成枚数を1枚に設定するようにするとともに、上記通信継続期間tが2秒を超えた場合には、(上記(1)の変形例のように)印字ラベルLの作成を連続的に継続するようにしてもよい。この場合、無線タグTとの通信が終了しても印字ラベルLの作成が継続され、電源スイッチ3dにより電源がオフされるまで作成が継続される。
図16(a)及び図16(b)に、本変形例における印字ラベルLの作成手法を概念的に示す。
図16(a)は、無線タグTとの通信継続期間tが2秒までの間における枚数設定手法である。前述したように、この期間では上記実施形態と同様の手法であり、この図は前述の図8(a)と同等である。すなわちこの場合は、印字ラベルLの作成枚数は1枚に設定される。そして、ラベル作成装置1はその設定に基づき、操作者により無線タグTが外部アンテナ32の通信可能範囲外へ退出してから、1枚の印字ラベルLを自動的に作成する(=第1作成開始手段としての機能)。1枚作成終わったら、ラベル作成作業を終了する。
図16(b)は、無線タグTとの通信継続期間tが2秒を超えた場合である。前述したように、この期間では上記(1)の変形例と同様の手法となる。すなわちこの場合は、作成枚数を特に定めないまま(あるいは十分に大きい数字に仮に設定するようにしてもよい)、t=2秒を超えた時点で印字ラベルLの作成を開始する(=第2作成開始手段としての機能)。電源OFFでそれ以上の印字ラベルLの作成を行わないようにし、ラベル作成作業を終了する。
本変形例によっても、上記実施形態や上記(1)の変形例と同様の効果を得ることができる。特に、t=2秒を超えた場合、2秒の経過をもって自動的に印字ラベルLの作成を開始させるので、枚数設定のみならず、その設定した枚数の印字ラベルLの作成開始指示についても不要となる。この結果、操作者の操作労力をさらに低減し、利便性を向上することができる。
(3)無線タグとの通信継続期間中、印字ラベルの作成枚数をカウントアップして設定する場合
図17(a)に、本変形例における印字ラベルLの作成枚数の設定手法を概念的に示す。
図17(a)において、本変形例では、外部アンテナ32と無線タグ回路素子Toとの通信継続期間tの間、印字ラベルLの作成枚数を逐次1枚ずつ増加(カウントアップ)させ、無線タグTを外部アンテナ32から離脱した時点で作成枚数を確定させる。そして、その確定時に印字ラベルLの作成を開始し(=第1作成開始手段としての機能)、当該確定した枚数分の印字ラベルLの作成が終わったら、ラベル作成作業を終了する。
図17(b)に、印字ラベルLの作成枚数の設定を示す。図示のように、この例では、無線タグTとの通信継続期間tの間、枚数設定の時間基準を例えば0.5秒刻みとして、0.5秒経過ごとに1枚ずつ増大させている。すなわち、通信継続期間tが0.5秒までは作成枚数を1枚に設定し、以降、0.5秒<t≦1.0秒では2枚、1.0秒<t≦1.5秒では3枚、1.5秒<t≦2.0秒では4枚、2.0秒<t≦2.5秒では5枚、2.5秒<t≦3.0秒では6枚、3.0秒<t≦3.5秒では7枚、・・のように設定される。なお、このようにして変化する設定枚数に応じて、前述の表示部5やスピーカ60、あるいは、発光ランプ61による報知が適宜行われる。
本変形例によっても、上記実施形態と同様、ラベル作成装置1のキー操作や、あるいはラベル作成装置1に接続した端末でのキー操作を必要とすることなく、容易に作成枚数を設定して、印字ラベルLを作成することができる。この結果、操作者の操作労力を低減し、利便性を向上することができる。
また、本変形例においては特に、1回の存在継続時間tにおいて、その長さに応じて、印字ラベルLの作成枚数を1枚ずつ増加させて設定する。したがって、操作者は、無線タグTを外部アンテナ32に向かってかざし続けることで、設定される印字ラベルLの作成枚数を1枚ずつ増大させることができる。そして、自分が作成したい印字ラベルLの枚数となったら、無線タグTをかざすのをやめることで、作成枚数の増大を停止させる。このようにすることで、操作者は、自分が作成したい印字ラベルLの枚数を容易かつ確実に入力することができる。また、
1枚ずつ増大可能とすることにより、例えば10枚ずつ増大させる場合よりも小刻みに枚数を設定することができるので、操作者の希望する枚数に精度よく合致させて無駄のないラベル作成を行うことができる。
(4)キーボード3の上記ファンクションキーによる枚数設定を併用する場合
上記実施形態及び(1)〜(3)の各変形例では、いずれも、外部アンテナ32の通信可能範囲内に存在させた無線タグTとの通信継続期間の長さに応じて印字ラベルLの作成枚数が設定された(枚数不定の場合を含む)が、これに限られない。すなわち、キーボード3(操作手段)の操作を用いた手動入力による作成枚数の設定を併用するようにしてもよい。具体的には、例えば上記ファンクションキー等を操作することで、印字ラベルLの作成枚数を手動設定するための手動設定モードに移行させた後、文字キー3cによって作成枚数を手動で入力する。
一例として、図8等に相当する図18に示すように、無線タグTとの通信継続期間t=2秒までは、上記実施形態のように印字ラベルLの作成枚数を1枚に設定し、上記期間tが2秒を超えた場合に、自動的に、予めキーボード3の上記ファンクションキーで手動入力した設定枚数に切り替えられるようにすればよい。
本変形例は、例えば、日頃よく作成するときのラベル枚数がほぼ定型的に決まっているような場合に有効である。すなわち、操作者が、予めキーボード3を介しその枚数を手動で入力し、ラベル作成装置1側に記憶させておく。これにより、実際のラベル作成時には、操作者が無線タグTを手で持ち外部アンテナ32の通信可能範囲内に存在させ続けることで、通信継続期間tが2秒を超えたときに、上記定型的に決まっている印字ラベルTの作成枚数を簡単に指示入力することができる。この結果、操作者の操作労力を低減し、利便性を向上することができる。
(5)その他
なお、以上においては、印字の終了した印字済みラベルテープ23をカッタ31で切断して印字ラベルLを作成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタ31で切断しなくても、テープが排出口から排出されてきた後にラベル台紙(印字がなされたもの)のみをテープから剥がして印字ラベルLを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
また、以上においては、基材テープ16とは別のカバーフィルム11に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、基材テープ自体に備えられた被印字テープ層(熱により発色し印字形成可能な感熱材料からなる感熱層や、インクリボンからの熱転写により印字形成可能な被転写材料からなる転写層や、インクを塗布することで印字形成可能な受像材料からなる受像層)に印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)に本発明を適用してもよい。
さらに、以上は、基材テープ16がリール部材17aの周りに巻回されて第1ロール17を構成し、カートリッジ10内にその第1ロール17が配置されて基材テープ16が繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックして(例えばトレイ状のものに平積み積層して)カートリッジ化し、このカートリッジをラベル作成装置1側のカートリッジホルダに装着して、上記収納部から移送、搬送して印字を行い印字ラベルLを作成するようにしてもよい。
さらには上記第1ロール17を直接ラベル作成装置1側に着脱可能に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートをラベル作成装置1外より1枚ずつ所定のフィーダ機構によって移送しラベル作成装置1内へ供給する構成も考えられ、さらにはカートリッジ10のようなラベル作成装置1本体側に着脱可能なものにも限られず、装置本体側に着脱不能のいわゆる据え付け型あるいは一体型として第1ロール17を設けることも考えられる。この場合も同様の効果を得る。
なお、以上において、図4、図5、図6等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図10、図11、図14、図15等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。