以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<外観概略構成>
まず、図1を用いて、本実施形態のラベル作成装置1(印刷物作成装置に相当)の外観概略構成を説明する。なお、以下の説明において、前・後方向、左・右方向、上・下方向は、図1等の各図中に適宜示す矢印の方向を表す。
図1において、ラベル作成装置1は、装置の外郭を構成し、フロントパネル6を備えた筐体2と、上カバーユニット5とを有している。これら筐体2及び上カバーユニット5は例えば樹脂製である。上カバーユニット5は、タッチパネル部5Aと、操作ボタン部5Cと、を備えている。
上カバーユニット5は、後方端部において筐体2に回転軸部2a(後述の図2参照)を介して回動可能に接続されており、これにより上カバーユニット5は筐体2に対し開閉可能な構造となっている。なお、上カバーユニット5の下部には、上記筐体2の一部を構成する筐体カバー部2Aが一体に構成されており、上カバーユニット5の開閉時には、筐体カバー部2Aも一体となって開閉する。
操作ボタン部5Cは、上カバーユニット5の前方寄りの上面位置に設けられ、ラベル作成装置1の電源ボタン7Aや、周辺機器作動状態を表示させるためのステータスボタン7B、フィードボタン7C等が配置されている。
筐体2の左右の両側壁には、解除つまみ17が設けられている。この解除つまみ17を上方に押し上げることによって、筐体2への上カバーユニット5の係止が解除され、上カバーユニット5が開放可能な状態となる。
フロントパネル6には、第1排出口6A(排出口に相当)と、当該第1排出口6Aよりも下方側の部位に位置する第2排出口6Bとが、設けられている。また、フロントパネル6のうち第2排出口6Bを備えた部分は、例えば後述の被印字テープ3Aの設置や排紙等の便宜を図るために、前方側へ回動可能な開閉蓋6Cとなっている。
第1排出口6Aは、上カバーユニット5を閉じ状態としたときに、筐体2の前面側上縁部と上記上カバーユニット5の前面側下縁部とによって形成される。なお、上カバーユニット5の第1排出口6A側における下縁部内側には、切断刃8が下方に向けて付設されている(後述する図2も参照)。
<内部構造>
次に、図2を用いて、ラベル作成装置1の内部構造を説明する。
図2に示すように、ラベル作成装置1は、装置筐体2の内部空間の後方に、凹状のロール収納部4(ロール配置部に相当)を有している。ロール収納部4は、所望の幅の被印字テープ3Aをロール状に巻回したロール3(被印字テープロールに相当)を、被印字テープ3Aがロール上側より繰り出されるように収納する。ロール収納部4の上方は、上カバーユニット5により開閉される。
ロール3は、上記被印字テープ3Aの巻回の軸線を、前後方向と直交する左右方向となる状態で、回転可能にロール収納部4に収納されている。
<被印字テープ>
ロール3を構成する被印字テープ3Aには、図2中拡大図中に示すように、例えば値札等に使用されるラベル台紙LPが剥離材層3c上に長手方向に沿って離散的に配置されている。ラベル台紙LPは、この例では2層構造となっており、印字ヘッド61(印字手段に相当)によって印字が形成される被印字層3aと、粘着剤層3bと、の順で積層されている。そして、ラベル台紙LPは、上記粘着剤層3bの粘着力により所定間隔おきに剥離材層3cの一方側の面に接着されている。すなわち、被印字テープ3Aは、ラベル台紙LPが接着された部分では被印字層3a、粘着剤層3b、及び剥離材層3cの3層構造となっており(図2中拡大図参照)、ラベル台紙LPが接着されていない部分(すなわちラベル台紙LP同士の間の部分)では、剥離材層3cのみの1層構造となっている。印字が完了したラベル台紙LPは、最終的に剥離材層3cより剥がされることで印字ラベルL(印刷物に相当)として所定の物品等の被着体に貼り付けられる。
<支持ローラ>
ロール収納部4の底面部には、3つの支持ローラ51,52,53が設けられている。支持ローラ51〜53は、被印字テープ3Aを搬送させるためのプラテンローラ66(搬送手段に相当)が回転駆動されてロール3より被印字テープ3Aを引き出す際に、少なくとも2つのローラがロール3の外周面に接触することにより、従動的に回転してロール3を回転可能に支持する。これら3つの支持ローラ51〜53は、ロール3に対する周方向位置がそれぞれ異なっており、前方から後方に向かって、ロール3の周方向に沿って、第1支持ローラ51、第2支持ローラ52、及び第3支持ローラ53、の順に配置されている。これら第1〜第3支持ローラ51〜53は、上記左右方向(言い換えればロール幅方向)に複数の部分に分割されており、ロール幅に応じてロール3が搭載された部分だけが回転する。
<センサ>
また、ロール収納部4の前方側における被印字テープ3Aの搬送経路には、上記被印字テープ3Aの所定の基準位置を光学的に検出するための基準位置検出センサ100がロール3(被印字テープ3A)の幅方向(すなわち上記左右方向)に沿って移動可能に設けられている。基準位置検出センサ100は、発光部(図示せず)及び受光部(図示せず)を有する公知の透過型光学センサからなり、発光部と受光部とは被印字テープ3Aの搬送経路を挟んで対向配置される。基準位置検出センサ100は、発光部より発光された光が被印字テープ3Aを透過した透過光を受光部により受光して、このときの被印字テープ3Aのラベル台紙LPが接着された部分(被印字部3a、粘着剤3b、及び剥離材3cの3層構造)と、ラベル台紙LPが接着されていないラベル台紙L同士の間の部分(剥離材3cのみの1層構造)との、例えば厚みの相違による受光量の差に基づき、ラベル台紙LPの搬送方向における端部位置を基準位置として検出する。
さらに、第1排出口6Aには、該第1排出口6Aから排出される印字ラベルL(印字後の被印字部3a)の有無を光学的に検出するための排出口ラベル検出センサ110(検出手段に相当)が設けられている。排出口ラベル検出センサ110は、発光部(図示せず)及び受光部(図示せず)を有する公知の反射型光学センサからなり、発光部と受光部とは第1排出口6Aの被印字テープ3Aの搬送経路の一方側、例えば下側に配置される。排出口ラベル検出センサ110は、発光部より発光された光が被印字テープ3Aで反射された反射光を受光部により受光して、このときの受光の有無(又は受光量の差)により、第1排出口6Aにおける印字ラベルLの存在の有無を検出する。
<プラテンローラ、印字ヘッド、及びその周辺構造>
一方、上カバーユニット5の前端部下側には、プラテンローラ66により搬送される被印字テープ3Aに対し所望の印字を行う上記印字ヘッド61が設けられている。また、この印字ヘッド61に上下方向に対向するように、装置筐体2の前端部上側に、上記プラテンローラ66が設けられている。プラテンローラ66のローラ軸66Aは、軸方向両端に設けたブラケット65により回転自在に軸支されており、またローラ軸66Aの一方の軸端には、プラテンローラ66を駆動するギア(図示省略)が固定されている。
このとき、プラテンローラ66のローラ軸66Aに固定された上記ギアが、装置筐体2側の図示しないギア列に噛合し、ステッピングモータ等で構成される搬送用モータ180(後述の図3参照)によりプラテンローラ66を回転駆動する。これにより、プラテンローラ66は、ロール収納部4に収納されたロール3より被印字テープ3Aを繰り出し、被印字テープ3Aをそのテープ幅方向を左右方向とした姿勢で搬送する。
印字ヘッド61は、被印字テープ3Aの搬送方向と直交する方向に、複数個の発熱素子を備えている。印字ヘッド61の発熱素子が設けられた面と対向する側に、上記プラテンローラ66は配置されている。発熱素子には、印字すべきドットパターンデータに従って通電がなされ、これによって、ロール3から繰り出された被印字テープ3A上に文字や図像等が印字される。印字ヘッド61に設けられた各発熱素子の駆動は、後述する図3に示す印字ヘッド制御回路170によって行われる。
すなわち、プラテンローラ66が回転駆動され被印字テープ3Aが引っ張られると、被印字テープ3Aがロール3から繰り出され、ラベル台紙LP側の面を上方とした状態で搬送される。搬送される被印字テープ3Aに対し、被印字テープ3Aの上方に位置する印字ヘッド61によって、パーソナルコンピュータ等の外部端末190(操作端末に相当)から送信された印字データ(あるいは操作者がタッチパネル部5Aを介して入力した印字データであってもよい)に対応した所望の印字が形成される。
また、プラテンローラ66よりも前方側には、剥離材3cをプラテンローラ66の下方側へ折り返すことで、剥離材3cから上記被印字部3a及び粘着剤3bを引き剥がすための、剥離板200(剥離手段に相当)が設けられている。すなわち、腰が強い被印字部3aは上記のような折返し経路に追従できないことを利用し、剥離板200において、剥離材3cから被印字部3a及び粘着剤3bが引き剥がされる。上記剥離板200により剥離材3cから引き剥がされた印字済みの被印字部3a及び粘着剤3b(印字済みのラベル台紙LP)は、剥離板200のさらに前方側に位置する上記第1排出口6Aを介し筐体2の外部へ排出される。切断刃8は、上記第1排出口6Aを介し筐体2の外部へ排出される被印字部3a及び粘着剤3bを、操作者が所望の位置で切断するのに用いられる。切断された被印字部3a及び粘着剤3bは、その後、第1排出口6Aより筐体2の外部へ排出され、印字ラベルLとして使用される。
一方、プラテンローラ66の下方には、上記剥離板200により下方側へ折り返された剥離材3cを、当該プラテンローラ66との間に挟み込んで搬送するピンチローラ201が配置されている。ピンチローラ201は、開閉蓋6Cの内面側に設けられている。上記ピンチローラ201により搬送された上記剥離3cは、上記第2排出口6Bから、筐体2の外部へ排出される。
<制御系>
次に、図3を用いて、ラベル作成装置1の制御系について説明する。
図3において、ラベル作成装置1には、所定の演算を行う演算部を構成するCPU210が備えられている。CPU210は、RAM130の一時記憶機能を利用しつつROM140に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってラベル作成装置1全体の制御を行う。CPU210には、上記タッチパネル部5A、メモリ120、上記RAM130、上記ROM140、上記基準位置検出センサ100、及び、上記排出口ラベルセンサ110が接続されている。さらに、パーソナルコンピュータ(PC)等の外部端末190が複数(この例では、外部端末190Aと190Bの2つ)が接続されている。また、CPU210には、上記プラテンローラ66を駆動する上記搬送用モータ180の駆動制御を行うモータ駆動回路160、及び、上記印字ヘッド61の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路170が接続されている。
また、CPU210には、適宜の無線又は有線通信ネットワークNWを介し、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等からなる複数(この例では2つ)の外部端末190A,190B(操作端末に相当。以下適宜、これらを総称して単に「外部端末190」という)に対し、情報送受信可能に接続されている(図1参照)。操作者が上記外部端末190で作成した所望の印刷データを含む印刷ジョブが外部端末190から送信され、CPU210はその送信された印刷ジョブを受信して入力する。
ROM140には、ラベル作成処理を実行するための制御プログラム(後述の図6や図7のフローを実行する制御プログラムを含む)等が記憶されている。また、メモリ120は、第1記憶領域や第2記憶領域(いずれも詳細は後述)を備えている。
<ラベル作成動作の概要>
本実施形態のラベル作成装置1は、以上の構成により、外部端末190からの上記印刷ジョブに基づき、プラテンローラ66により搬送される被印字テープ3Aの被印字部3aに対して印字ヘッド61が印字形成を行うことで、上記印字ラベルLの作成が行われる。こうして形成された印字ラベルLは、剥離板200において剥離材3cから引き剥がされ、引き剥がさされた印字ラベルLが第1排出口6Aへと導かれ、第1排出口6Aから筐体2外へ排出される。また、印字ラベルLが分離された剥離材3cは、ピンチローラ201による搬送で第2排出口6Bへと導かれ、第2排出口6Bから筐体2外へ排出される。
<複数ユーザによるラベル作成時の問題点>
ところで、本実施形態の印字ラベル作成装置1においては、上述のようにして複数の印字ラベルLが順次作成される際には、印字ラベルLが第1排出口6A及びその周囲に貼り付くのを防止するために、上記剥離材3cからの引き剥がしが完了する寸前、印字ラベルLの一部(この例では搬送方向上流側端部)が剥離材3cに付着しつつ印字ラベルのそれ以外の部分が第1排出口6Aから筐体2外部に突出した状態で、搬送が停止される(後述の図4(b)〜(f)、図5(b)〜(h)参照)。そして、この搬送停止した状態(ユーザによる取り出し待ちの状態)において、ユーザが手動操作によってラベルを完全に剥離材3cから引き剥がすことで、ラベルが第1排出口6Aから取り出される。その後、先行作成のラベルの後に後行作成のラベルの作成が上記同様にして開始される。このように、複数のラベルが作成される場合には、被印字部3a(被印字テープ3A)の搬送→印字形成→搬送停止→取り出し待ち→取り出し→次の被印字部3a(被印字テープ3A)の搬送→印字形成→・・と繰り返されることで、複数の印字ラベルLが1つずつ間欠的に順次作成される。
<複数ユーザによるラベル作成時の問題点>
本実施形態のラベル作成装置1においては、上記のように間欠的なラベルの作成が行われる構成で、かつ、上記のように複数の外部端末190(この例では2つの外部端末190A,190B)からの印刷ジョブを受け付け可能となっている。このような場合に生じる問題点を、図4を用いて説明する。
図4に示す比較例において、この例では、あるユーザであるAさんが、作成を意図する1枚の印字ラベルL(以下適宜、単にラベル1と称する。図示も同様)の印字データを外部端末190Aで作成し、当該印字データを含む印刷ジョブがラベル作成装置1へ送信される。すると、図4(a)に示すように、ラベル作成装置1では、送信された印刷ジョブが受け付けられるとともに、印刷ジョブに含まれる上記「ラベル1」の印字データ(図中破線で示す)がセットされる。これに対応して、ラベル作成装置1は、図4(b)に示すように、上記セットされた上記「ラベル1」の印字データに基づき、対応するラベル1(図中実線で示す)の作成を実行する。
作成されたラベル1は、既に述べたように搬送方向上流側の端部Laが剥離材3cに付着した状態で搬送が停止され(図4(c)参照)、Aさんの取り出し待ち状態になる。一方このとき、別のユーザであるBさんが、作成を意図する複数枚(この例では3枚)の印字ラベルL(以下適宜、単にラベル11、ラベル12、ラベル13と称する。図示も同様)の印字データを外部端末190Bで作成し、各印字データを含む印刷ジョブがラベル作成装置1へ送信される。すると、ラベル作成装置1では、図4(c)に示すように、上記外部端末190Bからの印刷ジョブが受け付けられるとともに、当該印刷ジョブに含まれる各ラベルの印字データがセットされる。
そして、この状態で、例えばAさんが、上記印刷ジョブが外部端末190Aから送信されたことを失念し、当該印刷ジョブにより作成されたラベル1の取り出しをなかなか行わない場合があり得る。このような場合、上記のようにして後からBさんが外部端末190Bを介して印刷ジョブを送信していたとしても、当該印刷ジョブによるラベル11、ラベル12、ラベル13は作成されない。
したがって、このような場合、Bさんは、上記Aさんのラベル1の取り出しをAさんに無断で行うことで、自らの上記ラベル11、ラベル12、ラベル13の作成を実行しようとする可能性が高い。すなわち、Aさんがなかなかラベル1を取りに来ないので、Bさんは、やむを得ず、図4(d)に示すように、本来はAさんのものであるラベル1を手動で取り出す。これにより、ラベル作成装置1は、セットされた上記「ラベル11」の印字データに基づき、対応するラベル11(図中実線で示す)の作成を実行する。
その後、同様に、Bさんが、図4(e)に示すように、作成された上記ラベル11を手動で取り出すことにより、ラベル作成装置1は、セットされた上記「ラベル12」の印字データに基づき、対応するラベル12(図中実線で示す)を作成する。
さらに同様に、Bさんが、図4(f)に示すように、作成された上記ラベル12を手動で取り出すことにより、ラベル作成装置1は、セットされた上記「ラベル13」の印字データに基づき、対応するラベル13(図中実線で示す)を作成する。
そして、図4(g)に示すように、Bさんは、作成された上記ラベル13を手動で取り出すことにより、作成を意図していた3枚のラベル11、ラベル12、ラベル13をすべて取得することができる。このようにAさんがラベル1を取りに来る前にBさんが割り込みでラベル11,12,13を作成した場合、当該ラベル11,12,13の作成が完了した後のタイミングで、Aさんが自らのラベル1を取り出しに来たとしても、当該ラベル1は(上記図4(d)のタイミングで)既に他人であるBさんによって取り出され済みである。したがって、Bさんによって、Aさんが分からない場所に貼り付けられていたりあるいは捨てられていたり、等の可能性がある。この結果、Aさんの操作により外部端末190Aからの印刷ジョブがラベル作成装置1で正しく実行され、ラベル1が作成されているにもかかわらず、Aさんは目的とする自分のラベル1を取得できないおそれがある。
<本実施形態の特徴>
上記の弊害を回避するために、本実施形態において実行する手法を、図5を用いて説明する。本実施形態では、各外部端末190から送信されてくる各印刷ジョブに対し、当該外部端末190の端末識別情報としての端末IDが対応づけられている(例えば印刷ジョブに付加されている)。
まず、上記比較例と同様に、ユーザであるAさんが、作成を意図する1枚の印字ラベルL(ラベル1)の印字データを外部端末190Aで作成し、当該印字データを含む印刷ジョブがラベル作成装置1へ送信される。すると、図5(a)に示すように、ラベル作成装置1では、上記比較例と同様、送信された印刷ジョブが受け付けられると共に、印刷ジョブに含まれる上記「ラベル1」の印字データがセットされる。このとき、当該印刷ジョブには、前述したように外部端末190Aの端末ID(図中に「ID:A」で表す)が付加されている。本実施形態では、この端末ID「A」と、上記「ラベル1」の印字データとが、メモリ120の上記第1記憶領域に記憶され、セットされる。そして、ラベル作成装置1は、上記比較例と同様、図5(b)に示すように、上記メモリ120に記憶されセットされた上記「ラベル1」Aさんの印字データに基づき、対応するラベル1の作成を実行する。
作成されたラベル1は、上記比較例と同様、端部Laが付着した状態で搬送が停止され(図5(c)参照)、Aさんの取り出し待ち状態になる。一方このとき、上記比較例と同様、Bさんが作成を意図する複数枚(この例では3枚)のラベル11、ラベル12、ラベル13の印字データを外部端末190Bで作成し、各印字データを含む印刷ジョブがラベル作成装置1へ送信される。すると、ラベル作成装置1では、図5(c)に示すように、上記外部端末190Bからの印刷ジョブ(前述のように端末ID「B」が付加されている)が受け付けられるとともに、当該印刷ジョブに含まれる各ラベルの印字データがメモリ120の上記第1記憶領域に記憶され、セットされる。
この状態で、上記比較例において上述した理由により、図5(d)に示すように、Bさんが(本来はAさんのものである)ラベル1を手動で取り出すと、ラベル作成装置1は、上記セットされた上記「ラベル11」の印字データに基づき、対応するラベル11を作成する。
ここで、本実施形態では、各ラベルの作成時において、当該ラベル(第2印刷物に相当)の印字データ(第2印字データに相当)の印刷ジョブに付加された上記端末ID(第2端末識別情報に相当)と、当該ラベルの前の順番で作成されたラベル(第1印刷物に相当)の印字データ(第1印字データに相当)の印刷ジョブに付加された上記端末ID(第1端末識別情報に相当)とが、照合される。そして、上記2つの端末IDが一致しない場合には、上記第2ラベルの作成終了後に、改めて第1ラベルの再作成を行えるようにする。
すなわち、この例では、上記図5(d)に示す、Bさんがラベル1を取り出したときに作成されるラベル11に対応する端末IDは「B」であるから、その直前に作成された上記ラベル1に対応する端末ID「B」と不一致となる。そこで、先行して作成された当該「ラベル1」の印字データが、(上記再作成のために)メモリ120の上記第2記憶領域に別途記憶される。
その後、上記比較例と同様に、Bさんが、図5(e)に示すように、作成された上記ラベル11を手動で取り出すことにより、ラベル作成装置1は、セットされた上記「ラベル12」の印字データに基づき、対応するラベル12を作成する。
さらに、上記比較例と同様に、Bさんが、図5(f)に示すように、作成された上記ラベル12を手動で取り出すことにより、ラベル作成装置1は、セットされた上記「ラベル13」の印字データに基づき、対応するラベル13を作成する。
その後、図5(g)に示すように、Bさんは、作成された上記ラベル13を手動で取り出すことにより、作成を意図していた3枚のラベル11、ラベル12、ラベル13をすべて取得する。そして、この最後のラベル13の取得により、本実施形態では、上記のようにしてメモリ120の上記第2記憶領域に記憶されていた「ラベル1」の印字データが読み出されて再セットされる。
その後、図5(h)に示すように、ラベル作成装置1は、上記再セットされた「ラベル1」の印字データに基づき、対応するラベル1を再作成する。再作成されたラベル1は、上記図5(c)で説明したのと同様、ラベル1の端部Laが剥離材3cに付着した状態で搬送が停止され、Aさんの取り出し待ち状態になる(図5(i)参照)。
以上のようにして、本実施形態では、図5(d)のタイミングで(本来Aさんのものである)ラベル1をBさんが勝手に取り出しているものの、その後、図5(h)のタイミングで当該ラベル1が再作成され、図5(i)のタイミングで取り出し待ち状態になるので、その後、やって来たAさんがラベル1を確実に取得することができる。
なお、上記の例では、理解の容易のために、Aさんの外部端末190Aの操作により作成されるラベルが1枚である(1つのラベルの印字データのみが印刷ジョブに含まれている)場合を例にとって説明したが、これに限られず、複数枚のラベルが作成される(複数のラベルの印字データのみが1つの印刷ジョブに含まれている)ようにしてもよい。この場合、上記のように作成されるラベルをAさんが取りに来ない場合は、Bさんが(本来はAさんのものである)当該複数枚のラベルを次々と取り出すことになる。そしてこの場合には、上記の手法により再作成されるラベルは、最初に作成される1番目のラベルではなく、同一の印刷ジョブに含まれる他の順番の1枚のラベルとしてもよい。
<制御内容>
上記内容を実現するために、ラベル作成装置1のCPU210によって実行される制御内容を、図6を用いて説明する。
図6において、例えば操作者による電源ボタン7Aの押下でラベル作成装置1の電源がオンにされることによって、このフローが開始される(「START」位置)。
まずステップS5で、CPU210は、ID一致フラグF1=0、ラベル作成フラグF2=0に初期化する。ID一致フラグF1は、直前に作成されたラベルに係わる端末IDと今回作成したラベルに係わる端末IDとが、異なる場合に1となるフラグである。ラベル作成フラグF2は、ラベル作成の履歴がある場合に1となるフラグである。ステップS5が終了すると、ステップS10に移る。
ステップS10では、CPU210は、指定枚数分の各印字データを含むジョブを外部端末190から受け付ける。なお、前述したように、各印字データには、当該印字データを含む印刷ジョブを送信した端末IDが予め対応づけられている。前述の例に沿い、例えばユーザであるAさんにより作成された、1枚の印字ラベルL(上記ラベル1)のための印字データを含む印刷ジョブが外部端末190Aから送信されると、当該外部端末190Aの端末ID「A」に対応づけられた当該印刷ジョブがこのステップS10で受け付けられる。ステップS10が終了すると、ステップS15に移る。
ステップS15では、CPU210は、上記ステップS10で受け付けたジョブに含まれる印字データを印刷ジョブの受け付け順に配列し、対応する端末IDとともに上記メモリ120の第1記憶領域に記憶しセットする。上記の例では、上記ステップS10で受け付けられた印刷ジョブに含まれていた、1枚の「ラベル1」の印字データがセットされる。ステップS15が終了すると、ステップS20に移る。
ステップS20では、CPU210は、排出口ラベルセンサ110からの検出信号に基づき、第1排出口6Aに(上記取り出し待ち状態の)印字ラベルLが存在しない状態であるか否かを判定する。第1排出口6Aに印字ラベルLが存在している場合は判定が満たされず(ステップS20:NO)、上記ステップS10に戻って同様の手順を繰り返す。上記の例のようにまず最初に「ラベル1」の印字データを含む印刷ジョブが受け付けられた場合には、第1排出口6Aに印字ラベルLが存在しないことからステップS20の判定が満たされ(ステップS20:YES)、ステップS25に移る。
ステップS25では、CPU210は、上記モータ駆動回路160に制御信号を出力する。これにより、上記搬送用モータ180がプラテンローラ66を駆動し、被印字テープ3Aの搬送を開始する。ステップS25が終了すると、ステップS30に移る。
ステップS30では、CPU210は、被印字テープ3Aが印字ヘッド61による印字開始位置まで到達したか否か(言い替えれば、ラベル台紙LPの被印字部3aの印字領域の搬送方向下流端位置に相当する位置に印字ヘッド61が正対するようになるまで被印字テープ3Aが搬送さたか否か)を公知の手法で判定する。印字開始位置となるまで判定が満たされず(S30:NO)、ループ待機する。印字開始位置となったら、判定が満たされて(S30:YES)、ステップS35に移る。
ステップS35では、CPU210は、上記印字ヘッド制御回路170に制御信号を出力する。これにより、印字ヘッド61の発熱素子が通電制御され、上記被印字部3aに対し、上記ステップS15でセットした印字データのうち、処理対象である印字データ(最初は上記「ラベル1」の印字データ)を用いて印字形成が開始される。その後、ステップS40に移る。
ステップS40では、CPU210は、被印字テープ3Aの搬送方向位置が上記被印字部3aにおける印字終了位置に達したか否か(言い替えれば、ラベル台紙LPの被印字部3aの印字領域の搬送方向上流端位置に相当する位置に印字ヘッド61が正対するようになるまで被印字テープ3Aが搬送さたか否か)を公知の手法で判定する。印字終了位置に達していない場合は判定が満たされず(S40:NO)、ループ待機する。印字終了位置に達していたら判定が満たされ(S40:YES)、ステップS45に移る。
ステップS45では、CPU210は、上記印字ヘッド制御回路170に制御信号を出力し、印字ヘッド61の発熱素子への通電を停止する。これにより、被印字テープ3Aの被印字部3aへの印字が完了し、被印字部3aに対し上記処理対象の印字データによる印字が形成された印字ラベルL(最初は上記ラベル1)が作成される。ステップS45が終了すると、ステップS50に移る。
ステップS50では、CPU210は、被印字テープテープ3Aが搬送停止位置まで搬送されたか否か(言い替えれば、上述のようにして剥離板200により引き剥がされる印字ラベルLの搬送方向上流端が剥離材3cに付着しつつ他の部分が第1排出口6Aから筐体2外部に突出した状態となるまで、被印字テープ3Aが搬送さたか否か)、を公知の手法で判定する。被印字テープ3Aが搬送停止位置に搬送されるまでは判定が満たされず(ステップS50:NO)、ループ待機する。被印字テープ3Aが搬送停止位置まで搬送されたら判定が満たされ(ステップS50:YES)、ステップS55に移る。
ステップS55では、CPU210は、上記モータ駆動回路160に制御信号を出力する。これにより、上記搬送用モータ180がプラテンローラ66の駆動を停止し、プラテンローラ66による被印字テープ3Aの搬送が停止し、プラテンローラ66に従動回転するピンチローラ201による剥離材3cの搬送が停止する。これにより、上記印字ラベルL(最初は上記ラベル1)は、前述したように、その搬送方向上流端が剥離材3cに付着した状態で他の部分は第1排出口6Aから筐体2外部に突出した状態となる。また、印字ラベルLから分離されてピンチローラ201により搬送された剥離材3cは、第2排出口6Bから突出した状態で搬送が停止される。ステップS55が終了すると、ステップS65に移る。
ステップS65では、CPU210は、ラベル作成フラグF2がF2=0であるか否か、すなわち作成したラベルの直前に作成したラベルが存在するか否かを判定する。最初に上記ラベル1が作成されたときにはラベル作成フラグF2=0であることから、この判定が満たされて(ステップS65:YES)、ステップS95に移る。
ステップS95では、CPU210は、今回作成した印字ラベルLの印字データをメモリ120の第1記憶領域(図示省略)に上書きして記憶する。上述したように最初は上記ラベル1が生成されるので、当該「ラベル1」の印字データが第1記憶領域に記憶される。その後、ステップS100に移る。
ステップS100では、CPU210は、ラベル作成フラグF2を、印字ラベルLの作成履歴があることを表す、1とする。その後、ステップS102に移る。
ステップS102では、上記ステップS20と同様、CPU210は、排出口ラベルセンサ110からの検出信号に基づき、取り出し待ちの印字ラベルLが存在しない状態であるか否かを判定する。前述の例に沿い、上記のようにして作成されたラベル1をAさんが取りに来ない場合には、第1排出口6Aに当該ラベル1が存在することから判定が満たされず(ステップS60:NO)、上記ステップS10に戻って同様の手順を繰り返す。これにより、上記ステップS10及びステップS15を経て、ステップS20での印字ラベルLの不存在の判定が満たされるまでは、ステップS10での印刷ジョブの受け付けとステップS20での印字データのセットとが繰り返される。この結果、上述の例では、Bさんにより作成された、3枚の印字ラベルL(上記ラベル11、ラベル12、ラベル13)のための印字データを含む印刷ジョブが外部端末190Bから送信されると、当該外部端末190Bの端末ID「B」に対応づけられた当該印刷ジョブがステップS10で受け付けられ、その後ステップS15で当該印刷ジョブに含まれていた、「ラベル11」の印字データ、「ラベル12」の印字データ、「ラベル13」の印字データがこの順序でセットされる。
その後、上述の例のように、ラベル1を取りに来ないAさんに代わってBさんがラベル1を取り出すと、第1排出口6Aに印字ラベルLが存在しなくなってステップS20の判定が満たされ(ステップS20:YES)、ステップS25、ステップS30を経てステップS35でまず「ラベル11」の印字データの印字形成が行われる。その後、ステップS40、ステップS45、ステップS50、ステップS55により、ラベル11が作成される。そして、この時点では上記ステップS100でラベル作成フラグF2=1であることからステップS65の判定が満たされず(ステップS65:NO)、ステップS70に移る。
ステップS70では、CPU210は、作成した印字ラベルLに係わる送信元の端末ID(すなわち印字データを送信した外部端末190の端末ID)は、直前作成の印字ラベルLに係わる送信元の端末IDと同一であるか否かを判定する。上記のようにしてラベル11(対応する端末ID「B」)が作成された場合には、その直前に作成されたラベル1に対応する端末IDが「A」であることから判定が満たされず(ステップS70:NO)、ステップS75に移る。
ステップS75では、CPU210は、ID一致フラグF1=1であるか否かを判定する。上述の例においてラベル11の作成が完了したこの時点では、ID一致フラグF1=0のままであることからこの判定が満たされず(ステップS75:NO)、ステップS85に移る。
ステップS85では、CPU210は、上記ステップS95で上記メモリ120の第1記憶領域に記憶済みの、直前に作成した印字ラベルLの印字データ(上述の例では上記「ラベル1」の印字データ)を上記第1記憶領域から読み出し、メモリ120の第1記憶領域とは別の第2記憶領域(図示省略)に記憶する。これにより、この後のステップS95における第1記憶領域への印字データの上書き時に消去されないように図られている。ステップS85が終了すると、ステップS90に移る。
ステップS90では、CPU210は、ID一致フラグF1を1とする。その後、上記ステップS95に移る。ステップS95では、CPU210は、今回作成した印字ラベルLの印字データ(上述の例では上記「ラベル11」の印字データ)を上記第1記憶領域に上書き記憶する。その後、ステップS100を経て、ステップS102で、上述の例に沿い、上記のようにして作成されたラベル11をBさんが取り出すと、ステップS102の判定が満たされ(ステップS102:YES)、ステップS105に移る。
ステップS105では、CPU210は、この時点でステップS10において受付済みの全印刷ジョブに対応した全枚数の印字ラベルLの作成が完了したか否かを判定する。上述の例に沿うと、外部端末190Aからの印刷ジョブに基づく上記ラベル1と、外部端末190Bからの印刷ジョブに基づく上記ラベル11、ラベル12、ラベル13とが作成されれば全枚数のラベルの作成が完了する。上記のようにラベル11までの作成のみが完了している状態ではこの判定が満たされず(ステップS105:NO)、上記ステップS25に戻って同様の手順を繰り返す。
その後、ステップS25〜ステップS55において前述と同様にして次の処理対象である「ラベル12」の印字データを用いて対応するラベル12の作成が行われる。そして、ステップS65を経て、ステップS70では、作成したラベル12に対応する端末ID「B」と、その直前に作成されたラベル11に対応する端末ID「B」とが同一であることから判定が満たされ(ステップS70:YES)、直接上記ステップS95に移る。ステップS95では、今回作成した「ラベル12」の印字データによって上記第1領域が上書き更新される。その後、ステップS100を経て、上記同様にしてラベル12がBさんにより取り出されると、ステップS102からステップS105を経て再びステップS25へと戻る。
その後、ステップS25〜ステップS55において前述と同様にして次の処理対象である「ラベル13」の印字データを用いて対応するラベル13の作成が行われる。そして、ステップS65を経て、ステップS70では、作成したラベル13に対応する端末ID「B」と、その直前に作成されたラベル12に対応する端末ID「B」とが同一であることから判定が満たされ(ステップS70:YES)、直接上記ステップS95に移る。ステップS95では、今回作成した「ラベル13」の印字データによって上記第1領域が上書き更新される。その後、ステップS100を経て、上記同様にしてラベル13がBさんにより取り出されると、ステップS102を経てステップS105に移る。ここで、上記ラベル13の作成が完了することで、この時点で受け付け済みの印刷ジョブに係わる全枚数のラベルの作成が完了することから判定が満たされ(ステップS105:YES)、ステップS110に移る。
ステップS110では、CPU210は、上記ID一致フラグF1=1であるか否かを判定する。上述の例のようにラベル1、ラベル11、ラベル12、ラベル13の作成が完了した段階では、前述のステップS90においてF1=1になっていることから判定が満たされ(ステップS110:YES)、ステップS115に移る。
ステップS115では、CPU210は、前述のステップS85においてメモリ120の第2記憶領域に記憶された印字データ(上述の例では「ラベル1」の印字データ)を読み出してセットする。ステップS115が終了すると、上記ステップS25に戻って同様の手順を繰り返す。これにより、ステップS25〜ステップS55において、前述と同様にして次の処理対象である「ラベル1」の印字データを用いて対応するラベル1の作成(再作成)が行われる。そして、ステップS65を経て、ステップS70では、作成したラベル1に対応する端末ID「A」と、その直前に作成されたラベル13に対応する端末ID「B」とが異なることから判定が満たされず(ステップS70:NO)、再び上記ステップS75に移る。
ステップS75では、上述の例においてラベル11,12,13の作成及びラベル1の再作成が完了したこの時点では、上述のステップS90においてID一致フラグF1=1となっていることからこの判定が満たされ(ステップS75:YES)、ステップS80に移る。
ステップS80では、CPU210は、ID一致フラグF1をF1=0に戻して、ステップS120に移る。ステップS120では、CPU210は、メモリ120の第1記憶領域、第2記憶領域に記憶された印字データをすべて消去する。その後、ステップS125で、CPU210は、ラベル作成フラグF2をF2=0に戻し、このフローを終了する。
なお、以上説明した例以外に、例えば1つの印刷ジョブのみが受け付けられ当該印刷ジョブに対応する印字ラベルLのみが作成される場合は、ステップS5を経てステップS10で当該印刷ジョブが受け付けられる。そしてステップS20で当該印刷ジョブに含まれる全印字データがセットされた後、ステップS20を経て、ステップS25〜ステップS55において、上述したように処理対象となる印字データを用いた印字ラベルLの作成が実行される。ステップS55の後はステップS65を経てステップS95で最新作成の印字ラベルLの印字データで上書き更新が行われた後、ステップS100でラベル作成フラグF2=1とされ、ステップS102を経てステップS105で上記判定が行われる。当該印刷ジョブに1つの印字データのみが含まれていた場合には、ステップS105の判定が満たされた後にこの時点で上記ID一致フラグF1=0であることからステップS110の判定が満たされず、上記ステップS120、ステップS125で全印字データとラベル作成フラグF2のクリアが行われる。一方、当該印刷ジョブに複数の印字データのみが含まれていた場合には、ステップS105の判定が満たされて上記ステップS25〜ステップS55で次の印字ラベルLの作成が行われる。その後、ステップS65を経てステップS70で同一印刷ジョブであることから判定が満たされ、ステップS95で上記同様の上書き更新が行われた後、ステップS100、ステップS102を経てステップS105での判定が行われる。以下同様にして、当該印刷ジョブにおける全印字ラベルLの作成が完了するまで同様の手順が繰り返され、全印字ラベルLの作成が完了したら、上記同様、ステップS110からステップS120、ステップS125を経てこのフローを終了する。
以上の図6のフローにおいて、上記ステップS10を実行するCPU210が各請求項記載の印刷ジョブ受付手段として機能し、上記ステップS20及びステップS102を実行するCPU210が各請求項記載の連携制御手段として機能する。また、上記ステップS70を実行するCPU210が各請求項記載の識別情報判定手段として機能し、上記ステップS85、ステップS90、ステップS110、及びステップS115を実行するCPU210が、各請求項記載の再作成制御手段として機能するとともに再現処理手段としても機能する。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のラベル作成装置1においては、複数の印字ラベルLが作成される場合には、被印字部3aの搬送→被印字部3aへの印字形成→搬送停止→印字ラベルLの取り出し待ち→次の被印字部3aの搬送→印字形成→・・と繰り返されることで、印字ラベルLが1つずつ間欠的に順次作成される。このとき、本実施形態では、各印刷ジョブに対し各外部端末190の端末IDが対応づけられる。そして、後から作成された印字ラベルL(前述の例では例えばBさんのラベル11)に係わる印字データに対応した端末ID(前述の例では端末ID「B」)が、その前に作成された印字ラベルL(前述の例では例えばAさんのラベル1)に係わる印字データに対応した端末ID(前述の例では端末ID「A」)に一致するか否かが判定される。これら2つの端末IDが一致しない場合には、ラベル11,12,13の作成終了後に、先のラベル1を再現するための再現処理が実行される。具体的には、上記ラベル11,12,13の作成終了後に、上記Aさんのために改めてラベル1の再作成が行われる。これにより、Aさんは、前述のようにして作成されたラベル1を自ら取りに行く前に、Bさんに割り込まれる形でラベル11,12,13の作成が行われたとしても、目的とする自分のラベル1を上記再作成によって確実に取得することができる。
なお、前述したように、例えば上記Aさんにより外部端末190Aから送信された印刷ジョブに、複数の印字ラベルLの作成を指示するものであった場合であっても、当該印刷ジョブに含まれる当該複数の印字ラベルLすべての再作成を実行せず、そのうちの1つ(最初の印字ラベルL、若しくは、同一印刷ジョブによる他の1つの印字ラベルL)の再作成のみを実行するようにしてもよい。この場合、必要以上に過度な再作成を無駄に行うのを防止することができる。
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、印字ラベルLの再現処理として、上記実施形態のようにラベル1を再作成するのに代え、ラベル1を(本来の所有者である)Aさんに対し分かるように所定部位(例えば取り出す前の元の場所にほぼ相当する第1排出口6Aの近傍等)に貼り戻すように表示して促してもよい。以下、そのような変形例を図7を用いて説明する。
図7に示すフローチャートは、上記図6のステップS75、ステップS80、ステップS85、ステップS115を省略し、ステップS110とステップS120の間に新たにステップS112、ステップS114を設けた点が異なる。
すなわち、図7のステップS5〜ステップS70は図6と同様である。ステップS70において、上記図6と同様、CPU210は、作成した印字ラベルLに係わる送信元の端末IDが直前作成の印字ラベルLに係わる送信元の端末IDと同一か否かを判定する。そして判定が満たされない場合には(ステップS70:NO)、上記図6と同様のステップS90に移る。
図7のステップS90、ステップS95、ステップS100、ステップS102、ステップS105、ステップS110は図6と同様である。上記ステップS110において、CPU210は、上記図6と同様、ID一致フラグF1が1か否かを判定する。ID一致フラグF1=1で判定が満たされれば(ステップS110:YES)、新たに設けたステップS112に移る。
ステップS112では、CPU210は、タッチパネル部5Aに制御信号を出力する。これにより、タッチパネル部5Aに、所定の貼り戻しアラーム(詳細は後述)を表示させる。その後、新たに設けたステップS114に移る。
ステップS114では、CPU210は、上記ステップS20やステップS102と同様、CPU210は、排出口ラベルセンサ110からの検出信号に基づき、取り出し待ちの印字ラベルLが存在しない状態であるか否かを判定する。印字ラベルLが存在しない場合は判定が満たされ(ステップS114:YES)、上記ステップS112に戻って同様の手順を繰り返す。印字ラベルLが存在する場合は判定が満たされず(ステップS114:NO)、ステップS120に移る。ステップS120及びステップS125は図6と同様である。
上記のフローにおいて、前述の例に沿って説明すると、ステップS5を経てステップS10及びステップS15において外部端末190Aからの印刷ジョブにより「ラベル1」の印字データがセットされ、ステップS20を経て、ステップS25〜ステップS55でラベル1の作成が行われる。その後、ステップS65では最初に上記ラベル1が作成されたときにはラベル作成フラグF2=0であることから、この判定が満たされて(ステップS65:YES)、ステップS95に移る。
その後、ステップS95で上記同様に「ラベル1」の印字データが第1記憶領域に記憶され、ステップS100でラベル作成フラグF2が1とされた後、ステップS102でラベル1をAさんが取りに来ない場合には判定が満たされず(ステップS60:NO)、上記ステップS10に戻って同様の手順を繰り返す。これにより、上記同様に上記「ラベル11」「ラベル12」「ラベル13」の印字データを含む印刷ジョブがステップS10で受け付けられ、その後ステップS15でそれら「ラベル11」の印字データ、「ラベル12」の印字データ、「ラベル13」の印字データがセットされる。
その後、上述の例のように、ラベル1を取りに来ないAさんに代わってBさんがラベル1を取り出すとステップS20の判定が満たされ、ステップS25〜ステップS55でラベル11が作成される。そして、上記同様、ステップS65の判定が満たされずにステップS70に移り、ラベル11に対応する端末ID「B」がその直前のラベル1に対応する端末IDが「A」であることから判定が満たされず、ステップS90に移る。
そして、ステップS90でID一致フラグF1が1とされ、ステップS95では上記同様にラベル11の印字データが上書き記憶された後、ステップS100を経て、上記のようにラベル11をBさんが取り出すことでステップS102の判定が満たされ、ステップS105においてラベル11までの作成のみが完了している状態では判定が満たされず、上記ステップS25に戻って同様の手順を繰り返す。
その後、ステップS25〜ステップS55において前述と同様にしてラベル12の作成が行われ、ステップS65を経て、ステップS70で、作成したラベル12に対応する端末ID「B」と、その直前に作成されたラベル11に対応する端末ID「B」とが同一であり判定が満たされ、ステップS95で「ラベル12」の印字データによって上記第1領域が上書き更新される。その後、ステップS100を経て、上記同様にしてラベル12がBさんにより取り出されると、ステップS102からステップS105を経て再びステップS25へと戻る。
その後、ステップS25〜ステップS55において前述と同様にしてラベル13の作成が行われ、ステップS65を経て、ステップS70で、作成したラベル13に対応する端末ID「B」と、その直前に作成されたラベル12に対応する端末ID「B」とが同一であり判定が満たされ、ステップS95で「ラベル13」の印字データによって上記第1領域が上書き更新される。その後、ステップS100を経て、上記同様にしてラベル13がBさんにより取り出されると、ステップS102を経てステップS105に移る。ここで、上記ラベル13の作成が完了することでステップS110に移り、ID一致フラグF1=1であることから判定が満たされ、ステップS112に移る。
ステップS112では、上記の例でBさんが取り出した(本来はAさんのものである)ラベル1を所定部位(例えば第1排出口6Aの近傍)に貼り戻すことを促す、上記貼り戻しアラーム(例えば、「最初に取り出したラベルを排出口に貼り戻してください」のメッセージ等)がタッチパネル部5Aに表示される。この表示を見た操作者(上述の例ではBさん)が、先に取り出した上記ラベル1を、(上記ラベル11,12,13の作成終了後に)第1排出口6Aの近傍に貼り戻した場合には、そのことが上記排出口ラベルセンサ110によって検出されることから、ステップS114の判定が満たされなくなる。これにより、ステップS120での印字データの消去、ステップS125でのラベル作成フラグF2のクリアが行われてフローが終了する。
以上の図7のフローにおいては、上記ステップS112を実行するCPU210が、各請求項記載の表示処理手段として機能するとともに、再現処理手段としても機能する。
本変形例では、上記実施形態同様、後から作成された印字ラベルL(前述の例では例えばBさんのラベル11)に係わる印字データに対応した端末ID(前述の例では端末ID「B」)が、その前に作成された印字ラベルL(前述の例では例えばAさんのラベル1)に係わる印字データに対応した端末ID(前述の例では端末ID「A」)に一致するか否かが判定される。そして、これら2つの端末IDが一致しない場合には、ラベル11,12,13の作成終了後に、先のラベル1を再現するための再現処理が実行される。具体的には、ラベル1を第1排出口6Aの近傍に貼り戻すよう促すアラーム表示が実行される(貼り戻しが行われない間は当該アラーム表示が継続して実行される)。これにより、Bさんは、ラベル11,12,13の作成終了後(Aさんのために)取り出したラベル1を忘れずに貼り戻すことができる。この結果、Aさんは、前述のようにして作成されたラベル1を自ら取りに行く前に、Bさんに割り込まれる形でラベル11,12,13の作成が行われたとしても、目的とする自分のラベル1を確実に取得することができる。
なお、本変形例においても、上記実施形態と同様、外部端末190Aからの印刷ジョブにより複数枚の印字ラベルLの作成指示が含まれていた場合には、1番目の印字ラベルLではなく、同一印刷ジョブ内の他の1つの印字ラベルLを貼り戻すように促してもよい。
なお、以上において、図3に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図6、図7に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。