JP5092734B2 - 液体吐出方法、液体吐出装置及びプログラム - Google Patents
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Description
このようなインクジェットプリンタにおいて印刷速度を高めるためには、ノズルの数を増やすことが望ましい。但し、多数のノズルを所定のピッチで精度良く形成するのは困難であり、また、製造コストもかかる。
本発明は、複数のノズル列を用いて液体を吐出する際に、ノズル列の特性差が目立つことを抑制することを目的とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
なお、後述する実施形態において、第1ノズル列42Aのノズルが「第1ノズル」に相当し、第2ノズル列42Bのノズルが「第2ノズル」に相当する。また、後述する第1実施形態のドットを削除又は追加すること、及び、後述する第2実施形態のドットの大きさを変更することが、「ドット列を構成するドットを変更すること」に相当する。
なお、後述する実施形態において、通常処理が「第1処理」に相当し、上端処理又は下端処理が「第2処理」に相当し、移行処理が「第3処理」に相当する。また、通常領域が「第1領域」に相当し、上端領域又は下端領域が「第2領域」に相当し、移行領域が「第3領域」に相当する。
<インクジェットプリンタの構成について>
図1は、プリンタ1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタ1の全体構成の横断面図である。以下、プリンタの基本的な構成について説明する。
<構成について>
図3は、ノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には2個のノズル群(第1ノズル群41A及び第2ノズル群41B)が設けられている。各ノズル群には、8個のノズル列が設けられている。8個のノズル列は、それぞれ濃シアン(C)、濃マゼンタ(M)、イエロー(Y)、濃ブラック(K)、淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)、淡ブラック(LK)、極淡ブラック(LLK)のインクを吐出する。
<ノズル列の表記方法について>
まず、ドットの形成方法を説明する前に、ノズル列及びノズルの表記方法について説明する。
図4は、仮想ノズル列42Xの説明図である。
図中の左側には、第1ノズル群41Aの濃ブラックのノズル列と、第2ノズル群41Bの濃ブラックのノズル列が記載されている。以下の説明では、第1ノズル群41Aの濃ブラックのノズル列を「第1ノズル列42A」と呼び、第2ノズル群41Bの濃ブラックのノズル列を「第2ノズル列42B」と呼ぶ。なお、説明の簡略化のため、各ノズル列のノズル数は15個とする。
第1ノズル列42Aの搬送方向上流側の4個のノズル(ノズル♯12A〜ノズル♯15A)と、第2ノズル列42Bの搬送方向下流側の4個のノズル(ノズル♯1B〜ノズル♯4B)は、搬送方向の位置が重複している。以下の説明では、各ノズル列のこれらの4個のノズルのことを、「重複ノズル」と呼ぶ。
ここでは、第1ノズル列42Aの重複ノズルのうち、ノズル♯12A及びノズル♯13Aからはインクを吐出し、ノズル♯14A及びノズル♯15Aからはインクを吐出しない。また、ここでは、第2ノズル列42Bの重複ノズルのうち、ノズル♯1B及びノズル♯2Bはインクを吐出せず、ノズル♯3B及びノズル♯4Bはインクを吐出する。
このような場合、図中の中央部に記載されたように、2個のノズル列を1個の仮想ノズル列42Xとして説明することができる。以下の説明では、2個のノズル列を別々に描く代わりに、1個の仮想ノズル列42Xを用いてドット形成の様子を説明する。
図5は、通常処理の説明図である。通常処理は、紙の中央部を印刷するときに行われる処理(ドット形成動作及び搬送動作)である。コントローラ60は、各ユニットを制御することによって、以下に説明する通常処理を実現する。
図中の領域A(紙上の領域)には、パス1〜パス6によりドットが形成される。図中の領域Bには、パス2〜パス7によりドットが形成される。
奇数番目のパスでは、各ノズルは、偶数番目(又は奇数番目)のラスタラインの位置になる。奇数番目のパスの後、9個のドット分の搬送量9Dにて紙が搬送された後に偶数番目のパスが行われるため、偶数番目のパスでは、各ノズルは、偶数番目(又は奇数番目)のラスタラインの位置になる。このように、各ノズルの位置は、パスごとに交互に、奇数番目又は偶数番目のラスタラインの位置になる。
図中の左側には、各パスにおけるノズルの相対位置が示されている。黒く塗り潰されたノズルは、そのパスにおいて、2画素に1画素の割合でドットを形成する。例えば、パス2のノズル♯8Bは、2画素に1画素の割合でドットを形成する。斜線によるハッチングがなされたノズルは、4画素に1画素の割合でドットを形成する。例えば、パス4のノズル♯10Aは、4画素に1画素の割合でドットを形成する。
斜線によるハッチングがなされたノズルは、黒く塗り潰されたノズルと比べて半分のドットしか形成しない。この斜線によるハッチングがなされたノズルのことを、「POLノズル」と呼ぶことにする。
同様に、あるパスの第2ノズル列42Bの搬送方向上流側の4個のノズル(ノズル♯12B〜ノズル♯15B)と、そのパスから2回の搬送動作が行われた後の第2ノズル列42Bの搬送方向下流側の4個のノズル(ノズル♯3B〜ノズル♯6B)は、搬送方向の位置が重複する。このようなノズルが、POLノズルになる。例えば、パス2のノズル♯12B〜ノズル♯15Bと、パス4のノズル♯3B〜ノズル♯6Bは、搬送方向の位置が重複するため、POLノズルになる。
あるラスタラインの奇数画素又は偶数画素に対してノズルが1個だけ対応付けられている場合、そのノズルは、2画素に1画素の割合でドットを形成する。例えば、1番目のラスタラインの奇数画素に対しては、ノズル♯8Bが1個だけ対応付けられている(他のノズルは対応付けられていない)。このため、ノズル♯8Bは、2画素に1画素の割合でドットを形成する。
一方、あるラスタラインの奇数画素又は偶数画素に対してノズルが2個対応付けられている場合、その2個のノズルは、それぞれ、4画素に1画素の割合でドットを形成する(POLノズルになる)。例えば、1番目のラスタラインの偶数画素に対しては、ノズル♯10A及びノズル♯1Aが対応付けられている。このため、ノズル♯10A及びノズル♯1Aは、それぞれ、4画素に1画素の割合でドットを形成する(POLノズルになる)。
また、通常処理では、あるパスと次のパスとを比較すると、各ノズル列がドットを形成する位置が異なっている。例えば、あるパスにおいて第1ノズル列42Aが奇数画素にドットを形成し第2ノズル列42Bが偶数画素にドットを形成する場合、次のパスにおいて、第1ノズル列42Aは偶数画素にドットを形成し、第2ノズル列42Bは奇数画素にドットを形成する。
このようにドットを形成することによって、一方のノズル列によって千鳥格子状にドットが形成され、その千鳥格子状のドットの間を埋めるように、他方のノズル列によって千鳥格子状にドットが形成される。図6Aの右側に注目すると、第1ノズル列42Aによって形成される丸印のドットは千鳥格子状になっており、第2ノズル列42Bによって形成される三角印のドットも千鳥格子状になっている。なお、ドットの形成順序からすると、第2ノズル列42Bによって千鳥格子状にドットが形成された後、その間を埋めるように、第1ノズル列42Aによってドットが形成されることになる。
図中の左上の表記において、奇数を「1」で示し、偶数を「2」で示している。例えば、パス1では、第1ノズル列42Aのノズル(ノズル♯1A〜ノズル♯13A)は奇数画素にドットを形成し、第2ノズル列42Bのノズル(ノズル♯3B〜ノズル♯15B)は偶数画素にドットを形成することが示されている。
次に、紙の上端を印刷するための上端処理を行った後に通常処理を行うときのドット形成の様子を説明する。
図7は、第1ドット形成方法の説明図である。第1ドット形成方法では、パス1〜パス4において上端処理が行われ、パス5以降に通常処理が行われる。上端処理では、パスとパスとの間に行われる搬送動作において、1個のドット分の搬送量D(通常処理での搬送量よりも短い搬送量)にて紙が搬送される。
これに対し、上端処理では、あるパスにおける第1ノズル列42Aのドット形成位置と、第2ノズル列42Bのドット形成位置とが同じである。例えば、パス1において、第1ノズル列42A及び第2ノズル列42Bは、両方とも奇数画素にドットを形成する。
これに対し、上端処理では、各ノズル列のドット形成位置は、奇数画素(パス1)→偶数画素(パス2)→偶数画素(パス3)→奇数画素(パス4)の順に変更される。つまり、上端処理では、必ずしも、あるパスと次のパスとの間で各ノズル列のドット形成位置が異ならないことがある。例えば、パス2及びパス3では、ドット形成位置は同じ偶数画素である。
もし仮に、上端処理において、通常処理と同じように各ノズル列のドット形成位置が奇数画素(パス1)→偶数画素(パス2)→奇数画素(パス3)→偶数画素(パス4)の順に交互に変更された場合、奇数画素又は偶数画素の一方にドットを形成できなくなるおそれがある。例えば、1番目のラスタラインを形成するパス1のノズル♯2Aとパス3のノズル♯1Aの両方とも奇数画素にドットを形成することになってしまい、1番目のラスタラインの偶数画素にドットを形成できるノズルがなくなる。
そこで、パス3では搬送方向上流側の4個のノズル(ノズル♯12B〜♯15B)からはインクが吐出されないようにしている。これにより、インクを吐出するノズルのうちの最も搬送方向上流側のノズルの搬送方向の位置が、パス3以降から、搬送方向の位置が9個のドット分(通常処理での搬送量に相当)だけパスごとに変化するようになる。この結果、第2ノズル列42Bは、パス3以降から、通常処理と同様に、千鳥格子状のドットの形成を開始することができる。
次に、第2ドット形成方法について説明する。第2ドット形成方法は、前述の第1ドット形成方法と比べて、上端処理における重複ノズル(ノズル♯12A〜ノズル♯15A、ノズル♯1B〜ノズル♯4B)の用い方が異なる。
なお、四角印のノズルがドットを形成するとき、半分の割合で第1ノズル列42Aのノズルが用いられ、残り半分の割合で第2ノズル列42Bのノズルが用いられる。例えば、図中の右側に表されるように、ある四角印のノズルが4個のドットを形成するとき、2個のドットは第1ノズル列42Aのノズルで形成され、残りの2個のドットは第2ノズル列42Bのノズルで形成される。
次に、第3ドット形成方法について説明する。第3ドット形成方法では、上端処理と通常処理との間に移行処理がある点で、前述の第1ドット形成方法とは異なる(第2ドット形成方法とも異なる)。但し、第3ドット形成方法の重複ノズルの用い方は、前述の第1ドット形成方法と同様である。
そこで、パス7では搬送方向上流側の4個のノズル(ノズル♯12B〜♯15B)からはインクが吐出されないようにしている。これにより、インクを吐出するノズルのうちの最も搬送方向上流側のノズルの搬送方向の位置が、パス7以降から、搬送方向の位置が9個のドット分(通常処理での搬送量に相当)だけパスごとに変化するようになる。この結果、第2ノズル列42Bは、パス3以降から、通常処理と同様に、千鳥格子状のドットの形成を開始することができる。
次に、第4ドット形成方法について説明する。第4ドット形成方法では、前述の第3ドット形成方法と同様に、移行処理を行っている。但し、第4ドット形成方法は、前述の第3ドット形成方法と比べて、上端処理及び移行処理における重複ノズル(ノズル♯12A〜ノズル♯15A、ノズル♯1B〜ノズル♯4B)の用い方が異なる。なお、第4ドット形成方法の重複ノズルの用い方は、前述の第2ドット形成方法と共通している。
上端処理では、前述の第3ドット形成方法と比べて、重複ノズルの用い方が異なる。図中のパス1〜パス4の仮想ノズル列において重複ノズルが四角印で示されており、四角印のノズルに対応付けられる画素にドットを形成するとき、半分の割合で第1ノズル列42Aのノズルが用いられ、残り半分の割合で第2ノズル列42Bのノズルが用いられる。
まず、移行領域のラスタラインの数を比較する。
図12A〜図12Dは、ノズル使用率のグラフである。図12A(左上)は、第1ドット形成方法のノズル使用率のグラフである。図12B(左下)は、第2ドット形成方法のノズル使用率のグラフである。図12C(右上)は、第3ドット形成方法のノズル使用率のグラフである。図12D(左下)は、第4ドット形成方法のノズル使用率のグラフである。
グラフの横軸は、ラスタ番号である。グラフの縦軸は、第1ノズル列42Aの使用率である。いずれのドット形成方法においても、上端領域では第1ノズル列42Aの使用率は100%であり、通常領域では第1ノズル列42Aの使用率は50%になる。なお、グラフ中の点は、2個のラスタラインにおける使用率の平均値である。
上端領域では、第1ノズル列42Aのみによってラスタラインが形成される。このため、上端領域では、第1ノズル列42Aの特性を強く反映した画質になる。例えば、製造誤差によって第1ノズル列42Aから吐出されるインク量が多い場合、上端領域は濃い画像になる。一方、通常領域では、第1ノズル列42Aと第2ノズル列42Bの両方の特性を反映した画質になる。例えば、製造誤差によって第1ノズル列42Aから吐出されるインク量が多くても、第2ノズル列42Bから吐出されるインク量が少なければ、通常領域の画像は上端領域の画像よりも濃くならないで済む。このように、上端領域の画質と通常領域の画質は、異なる画質になる。
移行領域のラスタラインの数が少ない場合、2つの領域が近接するため、上端領域の画質と通常領域の画質との差が目立ちやすくなる。一方、移行領域には上端領域と通常領域の中間的な性質をもつラスタライン(例えば第1ノズル列42Aの使用率が75%のラスタライン)が存在するので、移行領域のラスタラインの数が多い場合、上端領域の画質と通常領域の画質との差が目立ちにくくなる。
次に、移行領域での使用率の状態を比較する。
第3ドット形成方法(図12C)と第4ドット形成方法(図12D)の移行領域での使用率の変化を比較すると、第4ドット形成方法の方が徐々に変化している。言い換えると、第4ドット形成方法では、移行領域のラスタラインのうち、上端領域に近いラスタラインにおける第1ノズル列42Aの使用率ほど100%に近い値になり、通常領域に近いラスタラインにおける第1ノズル列42Aの使用率ほど50%に近い値になる。これに対し、第3ドット形成方法では、このような傾向はほとんどない。なお、移行領域が狭いために把握しにくいが、第1ドット形成方法(図12A)と第2ドット形成方法(図12B)の移行領域での使用率の変化を比較すると、第2ドット形成方法の方が徐々に変化する。このように、上端処理や移行処理における重複ノズルの用い方を、通常処理における重複ノズルの用い方と異ならせることによって、移行領域での使用率を徐々に変化させることができる。
上記の図12A〜図12Dは、各ノズル列のノズル数が15個の場合の使用率のグラフであるが、実際のノズル列のノズル数は180個である。
図13は、ノズル数が180個のノズル列を用いて第4ドット形成方法を行ったときの第1ノズル列42Aの使用率のグラフである。このように、ノズル数が増えると、移行領域での使用率が徐々に変化する様子が明確になる。
なお、プリンタドライバは、図に示された使用率のデータを使用率テーブルとして予め備えている。また、ドット形成方法が異なればラスタ番号が同じであっても使用率が異なるので、プリンタドライバは、ドット形成方法ごとにそれぞれ使用率テーブルを備えている。
この使用率テーブルは、色むら補正の際に用いられることになる。
ノズル列の製造誤差などの影響のため、各ノズル列から吐出されるインク量は均一ではない。このため、基準量よりも多い量のインクを吐出するノズル列は濃く印刷してしまい、基準量よりも少ない量のインクを吐出するノズル列は淡く印刷してしまい、印刷された画像に色むらが生じるおそれがある。
そこで、以下の色むら補正処理によって、各ラスタラインを構成するドットを増減させて、印刷される画像の色むらを抑制している。以下、色むら補正処理の手順について説明する。
図14は、プリンタの製造工場内において行われる色むら補正値の取得処理の説明図である。プリンタの製造工場には、補正値取得用のコンピュータと測色器が用意されている。測色器は、予めコンピュータに接続されている。工場でプリンタが製造されると、そのプリンタは補正値取得用のコンピュータに接続される。図中のコンピュータ内に描かれた各モジュールは、ソフトウェア及びハードウェアによって実現される。
次に、印刷データを受信したプリンタはテストパターンを印刷し、測定者は、印刷されたテストパターンを測色器によって測色する。テストパターンには多数のパッチパターンが形成されており、制御モジュールは、測色器から各パッチパターンの測色結果を取得する。
次に、補正値計算モジュールが、測色結果と予め記憶された基準色データとを比較して、色むら補正値を計算する。
最後に、書込モジュールが、プリンタのメモリに色むら補正値を書き込む。プリンタは、色むら補正値をメモリに格納した状態で、工場から出荷される。
図16は、ユーザの下での印刷処理時のブロック図である。図17は、プリンタドライバ及びプリンタ側のコントローラ60が行う処理のフロー図である。プログラムであるプリンタドライバは、コンピュータ110のハードウェア(CPUやメモリ等)と協働して、図16の各モジュールや図17の各処理を実現する。また、プリンタ側のコントローラ60は、メモリ63に記憶されたプログラムと協働して、図16の各モジュールや図17の各処理を実現する。
図18は、第1実施形態の色むら補正処理のフロー図である。
まずコントローラ60は、該当する色の色むら補正値を取得する(S201)。例えば、シアンの画像データのラスタデータに対して色むら補正処理を行うときには、シアンの色むら補正値を取得する。このとき、コントローラ60は、第1ノズル列42Aに対する色むら補正値、及び、第2ノズル列42Bに対する色むら補正値の両方とも取得する。ここでは、図19に示す色むら補正値をコントローラ60が取得したものとして説明する。
なお、本実施形態によれば、上端領域と通常領域との間に移行領域があり、この移行領域には、第1ノズル列42Aの使用率が0.5から1の間になるラスタラインが存在する。例えば第1ノズル列42Aの使用率が0.75(75%)となるようなラスタラインが移行領域に存在する。
上記の通り、ラスタ番号が決まれば各ノズル列の使用率は一義的に決定されるが、後述する図20及び図21には、第1ノズル列42Aの使用率が0.5〜1までの間を0.1刻みで記載している。
次に、コントローラ60は、色むら補正値及び使用率データに基づいて、吐出されるインク量の期待値である期待インク量を算出する(S204)。
図21は、削除又は追加すべきドット数の説明図である。ここでは、小ドット(基準量5ng)の期待インク量が4.87ngの場合(第1ノズル列42Aの使用率が0.7の場合)について説明する。
このラスタラインには本来であれば10000個の小ドットが形成されるはずであるが、期待インク量が基準量よりも少ない4.87ngであるため、10000個の小ドットしか形成しないとすると、そのラスタラインに吐出されるインク量は少なくなる。一方、期待インク量が4.87ngであっても、10267個の小ドットを形成すれば、そのラスタラインに吐出されるインク量は、本来吐出すべきインク量(50000ng)とほぼ同じになる。そこで、コントローラ60は、このラスタラインに形成する小ドットを267個追加すると決定する。すなわち、コントローラ60は、「基準量×カウント数÷期待インク量」に応じたドット数を、そのラスタラインに形成する。言い換えると、コントローラ60は、「基準量×カウント数÷期待インク量」から「カウント数」を引いた値に相応するドット数を増減させる。コントローラ60は、小ドットだけではなく、中ドットや大ドットに対しても、同様の計算を行って、削除又は追加すべきドット数を算出する。
図22は、ドット数増減処理のフロー図である。コントローラ60は、まず小ドットに対して図中のドット数増減処理を行い、小ドットに対するドット数増減処理の後、中ドット、大ドットの順にドット数増減処理を行う。
まず、コントローラ60は、位置Xを初期値に設定する(S301)。なお、位置Xは、ラスタラインにおける画素の位置(注目画素の位置)を示す値である。ここでは、位置Xの値が大きいほど、右側に位置するものとする。そして、S302において、位置Xはラスタラインの左端の位置を示す値になる。S303の判断は、最初はNOになる。
乱数を発生させた後、コントローラ60は、乱数値が閾値以下か否かを判断する(S306)。なお、閾値は、変更ドット数(削除又は追加すべきドット数)をラスタラインの全ドット数(カウント値)で割った値である。つまり、このドット数増減処理をあるラスタデータに対して行うとき、S306でYESと判断される回数は、変更ドット数とほぼ同数になる。
コントローラ60は、ドットを削除すると判断した場合(S307でNO)、位置Xのドットを削除する(S308)。言い換えると、コントローラ60は、注目画素に対応する画素データの階調値を、ドット無しを示す階調値に変更する。
ここでは、第1ノズル列42Aからは基準量よりも多いインク量が吐出され、第2ノズル列42Bからは基準量よりも少ないインク量が吐出されるものとして、色むら補正処理の効果の例を説明する。
図24A及び図24Bのいずれにおいても、色むら補正処理が行われた結果、上端領域の濃度と、通常領域の濃度との差が小さくなっている。このため、色むら補正処理によって、上端領域の画質と通常領域の画質との差が目立ちにくくなる。
但し、比較例では移行領域がないため、濃度の差は改善されてはいるが、上端領域と通常領域とのつなぎ目において急減に濃度が変化してしまう。このように急激に濃度が変化してしまうと、上端領域の画質と通常領域の画質との差が視認されやすくなってしまう。
第1実施形態の色むら補正では、ドットを削除したり、ドットの無い場所にドットを追加したりしている。一方、第2実施形態では、ドットの削除や追加ではなく、ドットの大きさを変更することによって、吐出されるインク量を補正し、色むらを補正している。第2実施形態では、第1実施形態の印刷時の処理のうちの図17の色むら補正処理(S108)の内容が異なっている。他の処理(例えば、解像度変換処理等)は第1実施形態とほぼ同じなので、ここでは説明を省略する。
図26は、ドットサイズの変更方向の対照表である。例えば大ドットの期待インク量が基準量(20ng)よりも大きければ、コントローラ60は、大ドットを中ドットに変更することを決定する。また、例えば中ドットの期待インク量が基準量(10ng)よりも小さければ、コントローラ60は、中ドットを大ドットに変更することを決定する。なお、大ドットの期待インク量が基準量(20ng)よりも小さい場合、大ドットよりも大きなドットは無いので、コントローラ60は、大ドットのサイズを変更するのではなく、大ドットを追加することを決定する。同様に、小ドットの期待インク量が基準量(5ng)よりも大きい場合、小ドットよりも小さなドットは無いので、コントローラ60は、小ドットのサイズを変更するのではなく、小ドットを削除することを決定する。
図27は、変更インク量の説明図である。大ドットから中ドットに変更する場合、又は、中ドットから大ドットに変更する場合、変更インク量は、大ドットの期待インク量と中ドットの期待インク量との差として算出される。また、中ドットから小ドットに変更する場合、又は、小ドットから中ドットに変更する場合、変更インク量は、中ドットの期待インク量と小ドットの期待インク量との差として算出される。なお、大ドットを追加する場合には、変更インク量は、大ドットの期待インク量となる。また、小ドットを削除する場合には、変更インク量は、小ドットの期待インク量となる。
図28は、変更ドット数の計算例である。ここでは説明を簡潔にするため、S403でのカウント値が、いずれの大きさのドットも10000個であるものとする。
図29は、ドットサイズ変更処理のフロー図である。コントローラ60は、まず小ドットに対して図中のドットサイズ変更処理を行い、小ドットに対するドットサイズ変更処理の後、中ドット、大ドットの順にドットサイズ変更処理を行う。
まず、コントローラ60は、位置Xを初期値に設定する(S501)。なお、位置Xは、ラスタラインにおける画素の位置(注目画素の位置)を示す値である。ここでは、位置Xの値が大きいほど、右側に位置するものとする。そして、S502において、位置Xはラスタラインの左端の位置を示す値になる。S303の判断は、最初はNOになる。
図30は、別のドット形成方法の説明図である。ここでは、通常処理を行った後に、紙の下端を印刷するための下端処理を行うときのドット形成の様子が示されている。この図を見れば下端側で行われるドット形成方法は理解できるので、詳しい説明は省略する。
このように、前述の上端側で行ったドット形成方法とほぼ同様のドット形成方法を、下端側でも行っても良い。これにより、上端側で得られる効果と同様の効果を下端側でも得ることができる。
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
前述の実施形態では、プリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。このような分野に本技術を適用しても、液体を対象物に向かって直接的に吐出(直描)することができるという特徴があるので、従来と比較して省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
上記の実施形態では、ノズル群(ノズル列)の数は2個であるが、3個以上であっても良い。仮にノズル群の数が3個以上であっても、上端処理や通常処理を行えば、1個のノズル群だけでドットが形成される上端領域や、複数個のノズル群でドットが形成される通常領域が存在する。そして、ノズル群の数が3個以上の場合においても、上記の実施形態と同様の処理を行えば、上端領域と通常領域の画質の差が目立ちにくくなる。
前述の実施形態では、色補正処理をプリンタ側で行っていた。しかし、これに限られるものではなく、プリンタドライバ側で行っても良い。但し、ドットの並び方に着目して色補正処理が行われるため、色補正処理はハーフトーン処理に後に行うことが望ましい。これにより、ハーフトーン処理の手法に依存せずに、色補正処理を行うことが可能になる。
21 給紙ローラ、22 搬送モータ(PFモータ)、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、40 ヘッドユニット、
41 ヘッド、41A 第1ノズル群、41B 第2ノズル群、
42A 第1ノズル列、42B 第2ノズル列、42X 仮想ノズル列、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、65 駆動信号生成回路、
65A 第1駆動信号生成部、65B 第2駆動信号生成部
Claims (8)
- 媒体を搬送方向に搬送する搬送動作と、複数の第1ノズルが前記搬送方向に並んだ第1ノズル列、及び、複数の第2ノズルが前記搬送方向に並んだ第2ノズル列を、移動方向に移動させつつ前記第1ノズル及び前記第2ノズルから液体を吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、を交互に繰り返すことにより、前記移動方向に並ぶドットから構成されるドット列を前記搬送方向に複数形成する液体吐出方法であって、
前記ドット列の前記搬送方向の位置と、前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率とを対応付けた使用率テーブルを予め用意しておき、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列によりドット列を形成する際に、そのドット列の前記搬送方向の位置に対応する前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率を前記使用率テーブルに従って決定し、そのドット列における前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率に応じて、そのドット列を構成するドットを変更する
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 請求項1に記載の液体吐出方法であって、
前記そのドット列を構成するドットを変更する際に、
前記そのドット列を構成するドットの位置と隣接する位置にドットを追加する
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の液体吐出方法であって、
前記そのドット列を構成するドットを変更する際に、複数のドットを追加する場合、
前記そのドット列を構成する複数のドットの位置の中からランダムに選択された位置を基準にして、追加すべき複数の位置が決定される
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出方法であって、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列は、それぞれ複数の大きさのドットを形成可能であり、
前記そのドット列を構成するドットを変更する際に、形成すべきドットの大きさを変更する
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出方法であって、
前記第1ノズルから吐出される液体量を示す第1補正値と、前記第2ノズルから吐出される液体量を示す第2補正値とが予め設定され、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列によりドット列を形成する際に、
そのドット列における前記第1ノズル列の使用率と、前記第2ノズル列の使用率と、前記第1補正値と、前記第2補正値とに基づいて、前記そのドット列を構成するドットを形成するときに吐出される液体量の期待値が算出され、
前記期待値に基づいて、前記そのドット列を構成する前記ドットの数が変更される
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出方法であって、
前記液体吐出方法は、
第1搬送量にて前記媒体を搬送する前記搬送動作と、前記ドット形成動作と、を交互に繰り返す第1処理と、
前記第1搬送量よりも短い第2搬送量にて前記媒体を搬送する前記搬送動作と、前記ドット形成動作と、を交互に繰り返す第2処理と、
前記第1処理と前記第2処理との間に行われ、前記第1搬送量よりは短く前記第2搬送量よりは長い第3搬送量にて前記媒体を前記搬送方向に搬送する前記搬送動作と、前記ドット形成動作と、を交互に繰り返す第3処理と、
を有し、
前記媒体上の第1領域の前記ドット列では、前記第2ノズルにより形成されたドットに対し、前記第1ノズルにより形成された前記ドットが所定の割合になっており、
前記媒体上の第2領域の前記ドット列では、前記第2ノズルにより形成されたドットは無く、前記第1ノズルにより形成された前記ドットから構成されており、
前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域には、前記第2ノズルにより形成されたドットに対し前記第1ノズルにより形成された前記ドットが前記所定の割合よりも高い割合になっているドット列が、含まれる
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
複数の第1ノズルが前記搬送方向に並んだ第1ノズル列と、
複数の第2ノズルが前記搬送方向に並んだ第2ノズル列と、
前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列を移動方向に移動させつつ前記第1ノズル及び前記第2ノズルから液体を吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、を交互に繰り返させることにより、前記移動方向に並ぶドットから構成されるドット列を前記搬送方向に複数形成させるコントローラと、
を備える液体吐出装置であって、
前記コントローラは、
前記ドット列の前記搬送方向の位置と、前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率とを対応付けた使用率テーブルを予め備えており、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列によりドット列を形成する際に、そのドット列の前記搬送方向の位置に対応する前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率を前記使用率テーブルに従って決定し、そのドット列における前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率に応じて、そのドット列を構成するドットを変更する
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
複数の第1ノズルが前記搬送方向に並んだ第1ノズル列と、
複数の第2ノズルが前記搬送方向に並んだ第2ノズル列と、
を備える液体吐出装置に、
前記搬送部により前記媒体を前記搬送方向に搬送する搬送動作と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列を移動方向に移動させつつ前記第1ノズル及び前記第2ノズルから液体を吐出して前記媒体にドットを形成するドット形成動作と、を交互に繰り返させることにより、前記移動方向に並ぶドットから構成されるドット列を前記搬送方向に複数形成させる機能と、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列によりドット列を形成する際に、前記ドット列の前記搬送方向の位置と、前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率とを対応付けた使用率テーブルに従って、そのドット列の前記搬送方向の位置に対応する前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率を決定し、そのドット列における前記第1ノズル列の使用率及び前記第2ノズル列の使用率に応じて、そのドット列を構成するドットを変更する機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。
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