JP2012000790A - 液体噴射装置、及び、液体噴射方法 - Google Patents

液体噴射装置、及び、液体噴射方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体噴射装置において、ヘッドが重複する部分のノズルに不噴射ノズルが発生してもヘッドのつなぎ目の部分でムラが目立たなくする。
【解決手段】第1ノズル列の一端と第2ノズル列の一端とが所定方向で一部重複し、その重複部分のノズルが所定方向の同じ位置にある液体噴射記録装置において、重複部分に不噴射ノズルがあるとき、不噴射ノズルと所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射される前記液体の量に対する、不噴射ノズルから噴射される予定であった液体の量の割合を、前記液体を不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために液体を噴射するノズルのうち、重複部分にあるノズルの数量分に分割し、不噴射ノズルの位置に形成されるドット列とその両隣のドット列を形成するために液体を噴射するノズルのうち、重複部分にあるノズルのそれぞれについて、分割された割合の分だけ、液体の噴射量を増加させる。
【選択図】図10

Description

本発明は、液体噴射装置、及び、液体噴射方法に関する。
ノズルから液体を噴射して媒体上に液滴(ドット)を着弾させることで記録を行う液体噴射装置が知られている。液体噴射装置(例えばプリンタ)で画像を形成する場合、画像データの色空間(RGB色空間)を、当該液体噴射装置で用いられる各液体(例えばインク)に応じた色空間(CMYK色空間など)に変換する必要がある。この色空間の変換の際に色変換テーブルが使用される(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−341065号公報
特許文献1のプリンターには、媒体の搬送方向にノズルが並んだ複数のヘッドが備えられている。該複数のヘッドを用いて記録を行う場合、製造誤差等によりヘッド毎に液体の噴射性能が異なるおそれがある。このため、特許文献1ではヘッド毎に対応して色変換テーブルが設けられている。
また、該複数のヘッドのノズル列同士が媒体の搬送方向に重複部分を有し、複数のヘッド(ノズル)によって搬送方向と交差する方向に1つのドット列が形成されるような記録を行う場合がある。そのような場合には、各ヘッドの使用比率に応じて重み付けをした色変換テーブルを作成しておくことによって、ヘッドのつなぎ目に生じる色ムラを低減することができる。
しかし、このように各ヘッドにおいてそれぞれのノズルの使用比率に応じて重み付けがされた色変換テーブル用いても、ヘッドの一部に不噴射ノズルが発生した場合には、ムラが目立つおそれがある。
本発明では、複数のヘッドによってドット列を形成する液体噴射装置において、ヘッドが重複する部分のノズルに不噴射ノズルが発生した場合であっても、ヘッドのつなぎ目の部分でムラが目立たないような記録を行うことを目的としている。
上記目的を達成するための主たる発明は、液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ノズル列と、前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記液体を噴射させて前記所定方向と交差する方向に沿ったドット列を形成させる制御部と、を備え、前記第1ノズル列の一端と前記第2ノズル列の一端とが、前記所定方向で一部重複しており、前記第1ノズル列の重複部分にある複数のノズルと、前記第2ノズル列の重複部分にある複数のノズルとが、それぞれ前記所定方向の同じ位置にある液体噴射記録装置において、前記重複部分に前記液体を噴射しないノズルである不噴射ノズルがあるとき、前記制御部は、前記不噴射ノズルと前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射される前記液体の量に対する、前記不噴射ノズルから噴射される予定であった前記液体の量の割合を、前記液体を不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に分割し、前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルのそれぞれについて、分割された前記割合の分だけ、前記液体の噴射量を増加させることを特徴とする液体噴射装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本実施形態の印刷システムを示すブロック図である。 プリンターが紙Sを搬送する様子を示す斜視図である。 ヘッドユニットの下面における複数のヘッドの配列の説明図である。 簡略説明用のヘッド配置とドット形成の様子を説明する図である。 プリンタードライバーによる処理の説明図である。 重複部分に不噴射ノズルが無い場合におけるヘッドの使用比率を説明する図である。 第1ヘッド33Aの重複部分のノズルのうち、#10Aが不噴射ノズルである場合のヘッドの使用比率を説明する図である。 図7の場合において、一般的なヘッド使用比率の変更方法を説明する図である。 第1実施形態において、ヘッド使用比率の変更を行うためのフローを示す図である。 第1ヘッド33Aの#10Aが不噴射ノズルである場合に、第1実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更する方法を説明する図である。 第1ヘッド33Aの#10A及び#12Aの2個のノズルが不噴射ノズルである場合に、第1実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更する方法を説明する図である。 第2実施形態において、ヘッド使用比率の変更を行うためのフローを示す図である。 第1ヘッド33Aの#10Aが不噴射ノズルである場合に、第2実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更する方法を説明する図である。 第1ヘッド33Aの#10A及び#12Aの2個のノズルが不噴射ノズルである場合に、第2実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更する方法を説明する図である。 第3実施形態によって印刷される画像の濃度を示す概念図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ノズル列と、前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ノズル列と、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記液体を噴射させて前記所定方向と交差する方向に沿ったドット列を形成させる制御部と、を備え、前記第1ノズル列の一端と前記第2ノズル列の一端とが、前記所定方向で一部重複しており、前記第1ノズル列の重複部分にある複数のノズルと、前記第2ノズル列の重複部分にある複数のノズルとが、それぞれ前記所定方向の同じ位置にある液体噴射記録装置において、前記重複部分に前記液体を噴射しないノズルである不噴射ノズルがあるとき、前記制御部は、前記不噴射ノズルと前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射される前記液体の量に対する、前記不噴射ノズルから噴射される予定であった前記液体の量の割合を、前記液体を不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に分割し、前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルのそれぞれについて、分割された前記割合の分だけ、前記液体の噴射量を増加させることを特徴とする液体噴射装置。
このような液体噴射装置によれば、複数のヘッドの重複部分のノズルに不噴射ノズルが発生した場合であっても、ヘッドのつなぎ目の部分でムラが目立たないような記録を行うことができる。
かかる液体噴射装置であって、前記制御部は、前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルから噴射される予定の前記液体の一部を、前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルと、前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射させる、ことが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、隣接するラスタライン間において、不噴射ノズルが発生した側のヘッドの使用比率の変動を小さくすることができるので、よりムラの目立ちにくい記録を行うことができる。
かかる液体噴射装置であって、前記制御部は、前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルから噴射される予定の前記液体の一部を、前記不噴射ノズルが属するノズル列と反対側のノズル列に属する複数のノズルから噴射させる、ことが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、使用比率を広範囲のノズルに分配することで、分配先ノズルにおける使用比率の変動の影響が小さくなるので、よりムラの目立ちにくい記録を行うことができる。
かかる液体噴射装置であって、前記重複部分に前記不噴射ノズルが複数ある場合は、前記制御部は、複数の前記不噴射ノズルのそれぞれについて前記割合を算出し、前記ノズルについて算出されたそれぞれの割合を合計したものを、複数の前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に分割することが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、不噴射ノズルが複数発生した場合でも印刷ムラを効果的に抑制することができる。
かかる液体噴射装置であって、前記割合を、前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に均等に分割することが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、不噴射ノズルの使用比率が隣接するノズルへ均等に配分されるので、該隣接ノズル間における使用比率の変動を最小にすることができる。
かかる液体噴射装置であって、前記制御部は、前記第1ノズル列に対応する第1LUTと、前記第2ノズル列に対応する第2LUTとを作成し、前記第1LUTと前記第2LUTをそれぞれ重み付けすることにより、前記それぞれのドット列に対応する合成LUTを作成し、前記それぞれのドット列ごとの前記第2ノズル列のノズルから噴射される前記液体の量に対する前記第1ノズル列のノズルから噴射される前記液体の量の割合にあわせて、前記第1LUT及び前記第2LUTの重み付けを変更することが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、色変換処理の精度を高くして色ムラの発生を抑制することができる。
また、(A)所定方向に複数のノズルが並んだ第1ノズル列から液体を噴射することと、前記所定方向に並び、前記第1ノズル列の一端と前記所定方向で一部重複した位置にある複数のノズルが並んだ第2ノズル列から液体を噴射することと、(B)前記重複部分に前記液体を噴射しないノズルである不噴射ノズルがある場合は、前記不噴射ノズルと前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射される前記液体の量に対する、前記不噴射ノズルから噴射される予定であった前記液体の量の割合を、前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に分割し、前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルのそれぞれについて、分割された前記割合の分だけ、前記液体の噴射量を増加させることと、を有する液体噴射方法が明らかになる。
このような液体噴射装置によれば、複数のヘッドの重複部分のノズルに不噴射ノズルが発生した場合であっても、ヘッドのつなぎ目の部分でムラが目立たないような記録を行うことができる。
かかる液体噴射方法であって、前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルから噴射される予定の前記液体の一部を、前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルと、前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射させる、ことが望ましい。
このような液体噴射装置によれば、隣接するラスタライン間において、不噴射ノズルが発生した側のヘッドの使用比率の変動を小さくすることができるので、よりムラの目立ちにくい記録を行うことができる。
===液体噴射装置の基本的構成===
発明を実施するための液体噴射装置の形態として、インクジェットプリンター(プリンター1)を例に挙げて説明する。
<印刷システムについて>
図1は、印刷システムの全体構成を示すブロック図である。この印刷システムは、プリンター1と、コンピューター110を備えている。
プリンター1は、紙・布・フィルム等の媒体に文字や画像を記録(印刷)する液体噴射装置であり、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
コンピューター110にはプリンタードライバーがインストールされている。プリンタードライバーは、表示装置(不図示)にユーザーインターフェースを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューターが読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、プリンタードライバーはインターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
なお、「液体噴射装置(印刷装置)」とは、狭義にはプリンター1を意味するが、広義にはプリンター1とコンピューター110とのシステムを意味する。
<プリンター1の構成>
図2に、プリンター1の概略断面図を示す。
プリンター1は、搬送ユニット20と、ヘッドユニット30と、検出器群50と、コントローラー60と、を有する。コントローラー60は、外部装置であるコンピューター110から受信した記録データ(印刷データ)に基づいて各ユニットを制御し、媒体(例えば紙)に画像を記録する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は検出器群50から出力された検出結果に基づいて搬送ユニット20、ヘッドユニット30の各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。搬送ユニット20は、上流側ローラー22A及び下流側ローラー22Bと、ベルト24とを有する。不図示の搬送モータが回転すると、上流側ローラー22A及び下流側ローラー22Bが回転し、ベルト24が回転する。給紙された紙Sは、ベルト24によって、印刷可能な領域(ヘッドユニット30と対向する領域)まで搬送される。ベルト24が紙Sを搬送することによって、紙Sがヘッドユニット30に対して搬送方向に移動する。なお、搬送中の紙Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。
ヘッドユニット30は、インク(液体の一種)を媒体に噴射するためのものである。ヘッドユニット30は、搬送中の紙Sに対してインクを噴射することによって、紙Sにドットを形成し、画像を紙Sに印刷する。本実施形態のプリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット20は紙幅分のドットを一度に形成することができる。ドット形成の具体的方法については後述する。
図3は、ヘッドユニット30の下面における複数のヘッドの配列の説明図である。図に示すように、紙幅方向に沿って、複数のヘッド33が千鳥列状に並んでいる。各ヘッドには、不図示であるが、ブラックインクノズル列、シアンインクノズル列、マゼンタインクノズル列及びイエローインクノズル列が形成されている。各ノズル列は、インクを噴射するノズルを複数個備えている。各ノズル列の複数のノズルは、紙幅方向に沿って、一定のノズルピッチで並んでいる。
検出器群50には、ロータリー式エンコーダー(不図示)、紙検出センサー(不図示)、不噴射ノズル検出部(不図示)などが含まれる。ロータリー式エンコーダーは、搬送ユニット20による紙Sの搬送量を検出することができる。紙検出センサーは、給紙中の紙Sの先端の位置を検出する。
不噴射ノズル検出部は、ヘッド33に並ぶ複数のノズルのうち、目詰まり等によってインクを噴射できないノズル(以下、不噴射ノズルとも呼ぶ)を検出する。不噴射ノズル検出部は移動可能なレーザー光源と受光部とを有する。レーザー光源は各ノズルのインク噴射方向と垂直に交わる方向にレーザー光Lを照射し、インクが噴射される領域を通過したレーザー光Lは受光部によって計測される。各ノズルから噴射されたインクは、媒体に着弾する前にレーザー光Lを遮ることになる。しかし、不噴射ノズルが発生していた場合は、その部分ではインクが噴射されないので、レーザー光Lも噴射されたインクによって遮られることはなく、高い出力の値が受光部によって計測される。各ノズル位置でレーザー光Lを計測することにより不噴射ノズルを検出することができる。
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
<印刷処理について>
このようなプリンター1では、コントローラー60が印刷データを受信すると、コントローラー60は、まず、搬送ユニット20によって給紙ローラ(不図示)を回転させ、印刷すべき紙Sをベルト24上に送る。紙Sはベルト24上を一定速度で停まることなく搬送され、ヘッドユニット30の下を通る。ヘッドユニット30の下を紙Sが通る間に、ヘッドユニット30のヘッドのノズルからインクが断続的に噴射される。つまり、ドットの形成処理と紙Sの搬送処理が同時に行われる。その結果、紙S上には搬送方向及び紙幅方向に沿った複数のドットからなるドット列が形成され、画像が印刷される。そして、最後に、コントローラー60は、印刷が終了した紙Sを排紙する。
<ドット形成方法について>
図4は、簡略説明用のヘッド配置とドット形成の様子の説明図である。ここではヘッドユニット30は、説明の簡略化のため、2つのヘッド(第1ヘッド33A、第2ヘッド33B)から構成されているものとする。また、説明の簡略化のため、各ヘッドには1つのノズル列(例えばイエローインクノズル列)だけが設けられているものとする。更に説明を簡略化するため、各ヘッドのノズル列は、ノズルを13個ずつ備えているものとする。
各ヘッドのノズルに対して、図中の上から順に、番号を付している。図で着色されている第1ヘッド33Aの#9A〜#13Aノズルと第2ヘッド33Bの#1B〜#5Bノズルの範囲では、紙幅方向の位置が一部重複している(重複部分)。例えば、第1ヘッド33Aのノズル♯9Aは、第2ヘッド33Bのノズル#1Bと紙幅方向の位置が同じになっている。また、第1ヘッド33Aのノズル♯13Aは、第2ヘッド33Bのノズル#5Bと紙幅方向(ノズル列方向)の位置が同じになっている。
なお、ヘッドと紙とが相対移動する方向に並ぶドットの列のことを「ラスタライン」と呼ぶ。本実施形態のようなラインプリンターの場合、「ラスタライン」は、紙の搬送方向に並ぶドットの列を意味する。一方、キャリッジに搭載されたヘッドによって印刷するシリアルプリンターの場合、「ラスタライン」は、キャリッジの移動方向に並ぶドットの列を意味し、移動方向と垂直な方向に多数のラスタラインが並ぶことによって、印刷画像が構成されることになる。なお、図に示すように、n番目の位置にあるラスタラインのことを「第nラスタライン」と呼ぶ。
図4では、では第9ラスタライン〜第13ラスタラインが重複部分となっており、この重複部分の画素では、第1ヘッド33Aのノズルと第2ヘッド33Bのノズルによってドットが形成される。
画像記録時は、搬送中の紙Sに対して各ノズルから断続的にインク滴が噴射されることによって、紙には搬送方向に沿って21個のラスタラインが形成される。例えば、第1ヘッド33Aのノズル♯1Aによって第1ラスタラインが紙上に形成される。また、第2ヘッド33Bのノズル♯6Bによって第14ラスタラインが紙上に形成される。一方、第9ラスタラインは、第1ヘッド33Aのノズル♯9Aと第2ヘッド33Bのノズル#1Bとの2個のノズル(ヘッド)によって形成される。また、第10ラスタラインは第1ヘッド33Aのノズル♯10Aと第2ヘッド33Bのノズル#2Bとの2個のノズル(ヘッド)によって形成される(オーバーラップ印刷)。
なお、各ヘッドにおけるノズル数や、重複部分のノズル数は説明のための一例を示したものであり、実際に使用されるプリンターでは異なる数量であってもよい。
<プリンタードライバーによる処理の概要>
上記の印刷処理は、前述したように、プリンター1に接続されたコンピューター110から印刷データが送信されることにより開始する。当該印刷データは、プリンタードライバーによる処理により作成される。以下、プリンタードライバーによる処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、プリンタードライバーによる処理の説明図である。
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンターに出力する。アプリケーションプログラムからの画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理・コマンド付加処理などを行う。
解像度変換処理は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間(第1色空間に相当する)により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。この階調値は、RGB画像データに基づいて定められるものである。
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間(第2色空間に相当する)のデータに変換する処理である。なお、CMYK色空間の画像データは、プリンターが有するインクの色に対応したデータである。言い換えると、プリンタードライバーは、RGBデータに基づいて、CMYK平面の画像データを作成する。
この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブルに基づいて行われる。このテーブルのことを色変換ルックアップテーブル(LUT)という。なお、色変換処理後の画素データは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンターが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。このハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごとに1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドットの形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。例えば2ビット(4階調)の場合、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成のように4段階に変換される。その後、各ドットのサイズについてドット作成率が決められた上で、ディザ法・γ補正・誤差拡散法等を利用して、プリンター1がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
ラスタライズ処理は、マトリクス状に並ぶ画素データを、プリンター1に転送すべきデータ順に、画素データごとに並べ替える。例えば、各ヘッドのノズルの並び順に応じて、画素データを並べ替える。
コマンド付加処理は、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方式に応じたコマンドデータを付加する処理である。コマンドデータとしては、例えば媒体の搬送速度を示す搬送データなどがある。
これらの処理を経て作成された印刷データは、プリンタードライバーによりプリンター1に送信される。
なお、図5に示すように、コンピューター110は、LUT記憶部とLUT作成部を有している。
LUT記憶部には、RGB色空間からCMYK色空間への色変換処理に用いる色変換LUTが記憶される。本実施形態では、ヘッドユニット30のヘッド毎の色変換LUTや、ヘッド毎の色変換LUTに基づいてLUT作成部によって作成された合成LUT(後述する)がLUT記憶部に記憶される。そして、プリンタードライバーによる色変換処理の際には、LUT記憶部に記憶された色変換LUTが読み出されて用いられる。
LUT作成部は、例えば各ヘッドを用いて印刷したテストパターンの測色結果に基づいて各ヘッドの色変換LUTを作成する。また、本実施形態のLUT作成部は、後述するように、各ヘッドの色変換LUTを合成して、ヘッドの重複部分の色変換に用いる合成LUTを作成する。
===各ヘッドの使用比率について===
ヘッドの重複部においては、1つのラスタラインを形成するために第1ヘッド33A及び第2ヘッド33Bの2つのヘッドが使用されることを説明したが、続いて、ラスタライン形成時における各ヘッドの使用比率について説明する。ここで、ヘッドの使用比率とは、あるラスタラインを形成するために使用されるヘッドの割合のことを言う。本実施形態では、第1ヘッド33Aの任意のノズルから噴射される液体の量と、該ノズルと同じラスタラインを形成する(紙幅方向の同じ位置にある)第2ヘッド33Bのノズルから噴射される液体の量との割合のことを意味する。
<重複部分に不噴射ノズルが無い場合>
はじめに、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bとの重複部分にインクを噴射しないノズル(不噴射ノズル)が無い場合、すなわち、第1ヘッド33Aの重複部分の全ノズル(#9A〜#13A)、及び第2ヘッド33Bの重複部分の全ノズル(#1B〜#5B)からインクが噴射される場合の各ヘッドの使用比率について説明する。
図6は、重複部分に不噴射ノズルが無い場合におけるヘッドの使用比率を説明する図である。左側の図は各ヘッドのノズル配置を表し、右側の図は各ヘッドの使用比率を表している。そして右側の図の縦軸はラスタラインを示し、横軸は第1ヘッド33A及び第2ヘッド33Bの使用比率をそれぞれ示している。
図6において、第1ラスタラインから第8ラスタラインまでの範囲には、第1ヘッド33Aのノズル(#1A〜#8A)があるが、第2ヘッド33Bのノズルは無い。したがって、第1〜第8ラスタラインは、第1ヘッド33A(#1Aノズル)のみによって形成されることになる。例えば、第1ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用比率が100%であり、第2ヘッド33Bの使用比率は0%である。言い換えると、第1ラスタラインの各画素に対して、第1ヘッド33Aによってドットの形成される確率は100%であり、第2ヘッド33Bによってドットの形成される確率は0%であることになる。このように、第1〜第8ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用比率が100%となる。
逆に、第14〜第21ラスタラインまでの範囲には、第2ヘッド33Bのノズル(#6B〜#13B)のみがあり、第1ヘッド33Aのノズルは無い。したがって、この範囲では第2ヘッド33Bのみによって各ラスタラインが形成される。つまり、第14〜第21ラスタラインでは第2ヘッド33Bの使用比率が100%となる。
これに対して、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bとの重複部分では、両ヘッドによって第9〜第13ラスタラインが形成される。例えば、第9ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用比率が83%であり、第2ヘッド33Bの使用比率が17%である。つまり、第9ラスタラインは第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bとの2つのヘッドによって形成され、第9ラスタラインの各画素に対して、第1ヘッド33Aによってドットの形成される確率は83%であり、第2ヘッド33Bによってドットの形成される確率は17%となる。
この重複部分では、ラスタラインの番号が大きくなるほど、第1ヘッド33Aの使用比率が徐々に減少している。図6の場合、第1ヘッド33Aの使用比率は、第9ラスタラインでは83%、第10ラスタラインでは67%、第11ラスタラインでは50%と、一定の割合で減少していき、第13ラスタラインで17%となる。そして、第14〜第21ラスタライン(ヘッドが重複していない部分)では、第1ヘッド33Aからはインクが噴射されないため、第1ヘッド33Aの使用比率は0%となる。
一方、第2ヘッド33Bの使用比率は、ラスタラインの番号が大きくなるほど徐々に増加していく。図6の場合、第9ラスタラインでは17%、第10ラスタラインでは33%と一定の割合で増加していき、第13ラスタラインで83%となる。そして、前述のように、第14〜第21ラスタライン(ヘッドが重複していない部分)では、第2ヘッド33Bの使用比率は100%となる。
つまり、ヘッドの重複部分(図6では第9〜第13ラスタライン)に不噴射ノズルが無い場合、該重複部分においては第1ヘッド33Aから噴射されたインクと第2ヘッド33Bから噴射されたインクとによって1つのラスタラインが形成される。そして、該重複部分では、第1ヘッド33Aの使用比率と第2ヘッド33Bの使用比率とがそれぞれ変更されながら各ラスタラインが形成される。図6の場合、第1ヘッド33Aでは該重複部分に隣接して形成される第8ラスタラインから第14ラスタラインまでの間でヘッドの使用比率が100%から0%まで一定の割合で低下する。逆に、第2ヘッド33Bでは、第8ラスタラインから第14ラスタラインまでの間でヘッドの使用比率が0%から100%まで一定の割合で上昇する。
このように、重複部分において2つのヘッドによって形成されるラスタラインでは、ラスタライン毎にヘッド使用比率を一定の割合で増減させることによって、隣り合うラスタラインで急激にヘッドの使用比率が変化することを防止している。例えば、第1ヘッド33Aの使用比率を、第9ラスタライン(#9Aノズル)では83%、第10ラスタライン(#10Aノズル)では67%、と段階的に減少させていく。これにより、隣接して形成される第9ラスタライン及び第10ラスタラインにおいて、第1ヘッド33Aの使用比率が急激に減少しないようにしている。逆に、第2ヘッド33Bでは使用比率が急激に増加しないようにしている。
隣接するラスタライン間ではヘッドの使用比率をなるべく緩やかに変化させるようにすることで、印刷ムラの発生を抑制することができる。
<重複部分に不噴射ノズルがある場合>
次に、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bとの重複部分のノズルにインクを噴射しないノズル(不噴射ノズル)がある場合における、各ヘッドの使用比率の変化について説明する。
図7は、第1ヘッド33Aの重複部分のノズルのうち、#10Aが不噴射ノズルである場合のヘッドの使用比率を説明する図である。左側の図は各ヘッドのノズル配置を表し、右側の図は各ヘッドの使用比率を表している。
ヘッドの重複部分においてノズル目詰まり等によりインクを噴射できないノズル(不噴射ノズル)が発生すると、その不噴射ノズルが担当するラスタラインでは、ラスタラインを形成するために必要な量のインクが噴射されないことになる。その結果、その不噴射ノズルが担当するラスタラインの濃度は他のラスタラインの濃度よりも薄くなりやすく、印刷画像の画質が劣化する。例えば、図7では#10Aのノズルが不噴射ノズルであるため、#10Aノズルが担当する第10ラスタラインでは、第1ヘッド33Aからはインクが噴射されない。つまり、第10ラスタラインにおいて、ラスタラインを形成するべきインクの67%分が第1ヘッド33Aから噴射される予定であったものが、0%となってしまう。したがって、第10ラスタラインでは第1ヘッド33Aから噴射されるはずであったインクの減少分だけインク量が不足するために、予定されていた量のドットが形成されず、印刷ムラの原因となる。
<比較例>
不噴射ノズルが発生した場合における一般的なムラの低減方法を比較例として示す。図8は、第1ヘッド33Aの重複部分のノズルのうち、#10Aが不噴射ノズルである場合の、一般的なヘッド使用比率の変更方法を説明する図である。図7と同様、左側の図は各ヘッドのノズル配置を表し、右側の図は各ヘッドの使用比率を表している。
図7で説明したように、不噴射ノズル#10Aの担当する第10ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用比率が0%となり、ラスタラインを形成するためのインク量が不足する。この不足分を補うために、コントローラー60は、第10ラスタラインにおける第2ヘッド33B(#2Bノズル)の使用比率を33%から100%に変更する。これにより、第10ラスタラインでは100%分のインクが噴射されることになるので、当初予定されていたインク量でドットを形成することができるようになる。
しかし、このような変更を行うことにより、隣接するラスタライン間ではヘッドの使用比率が大きく変動することになる。例えば、第2ヘッド33Bの使用比率に着目すると、第9ラスタラインでの使用比率が17%であるのに対して、隣接する第10ラスタラインでは100%に急増し、その隣の第11ラスタラインでは50%に減少する。また、第1ヘッド33Aの使用比率についても、第9〜第11ラスタライン間で83%、0%、50%と急激に変動する。したがって、この領域では濃度差が生じやすく、印刷画像のムラの原因となる場合がある。
以上のように、比較例においては、ヘッドの重複部分に不噴射ノズルが発生した場合であっても、該不噴射ノズルに対応するノズルの使用比率を高くすることで、ラスタラインを形成するために必要なインク量を確保することができる。しかし、ヘッド使用比率を急激に変動させることによって、隣り合うラスタライン間で濃度差が生じやすくなり、画像が劣化するおそれがある。
===第1実施形態===
第1実施形態では、ヘッドの重複部に不噴射ノズルが発生した場合に、隣り合うラスタライン間でのヘッド使用比率の変動をなるべく小さくするように各ヘッドの使用比率を変更することで、ムラの目立たない印刷を行う。
<第1実施形態におけるヘッド使用比率の変更方法>
図9に、第1実施形態においてヘッド使用比率の変更を行うためのフロー図を示す。本実施形態では、ハーフトーン処理後の印刷データについて、S101からS105までの工程を順番に実行することにより、各ヘッドの使用比率を変更して印刷を行う。以下、各工程について説明する。
(S101:不噴射ノズルの検出)
まず、不噴射ノズル検出部によって、ヘッドの重複部に発生している不噴射ノズルを検出する。検出される不噴射ノズルの数は1つであるとは限られず、例えば、第1ヘッド33A側に複数の不噴射ノズルが発生する場合や、第1ヘッド33A及び第2ヘッド33Bにそれぞれ不噴射ノズルが発生する場合などが考えられる。各ヘッドについての使用比率を効果的に変更するためには、発生した不噴射ノズルの個数とノズル列中での位置を正確に検出することが必要である。
検出された不噴射ノズルの情報はコントローラーのメモリー63に記憶される。
(S102:不噴射ノズルの使用比率の算出)
コントローラー60により、検出された不噴射ノズルについての使用比率が算出される。使用比率は、検出された該不噴射ノズルと紙幅方向の同じ位置にあるノズル(同じラスタラインを形成するノズル)から噴射されるインク量に対する、該不噴射ノズルから噴射される予定であったインク量の割合で表される。例えば、図6に示されるようなノズル配置を有するプリンターの場合、第1ヘッド33Aの#10Aノズルが不噴射ノズルとして検出された場合、対応する第2ヘッド33Aの#2Bノズル(第10ラスタラインを形成するノズル)から噴射されるインク量に対する、#10Aノズルから噴射される予定であったインク量の割合が不噴射ノズルの使用比率として算出される。
また、不噴射ノズルが複数検出された場合には、検出された全ての不噴射ノズルの使用比率の合計値が算出される。例えば、第1ヘッド33Aの#9Aノズル及び#11Aノズルが不噴射ノズルとして検出され、#9Aノズルの使用比率が83%であり、#11Aノズルの使用比率が50%であった場合、不噴射ノズルの使用比率は83%+50%=133%と算出される。
(S103:隣接ノズルの特定)
また、コントローラー60は、検出された不噴射ノズルと隣接した位置にある隣接ノズルを特定する。ここで、隣接ノズルとは、検出された不噴射ノズルが担当するラスタライン及び該ラスタラインに隣接するラスタラインを形成するノズルのうち、ヘッドの重複部にあってインクを噴射することが可能なノズル(不噴射ノズルではないノズル)のことをいう。
例えば、図6に示されるようなノズル配置を有するプリンターにおいて、第1ヘッド33Aの#9Aノズルが不噴射ノズルとして検出された場合、#9Aが担当する第9ラスタラインを形成する#1Bノズルと、第9ラスタラインに隣接する第8ラスタラインを形成する#8Aノズルと、第9ラスタラインに隣接する第10ラスタラインを形成する#10Aノズル及び#2Bノズルとの4個のノズルが検出される。そして、検出された4個のノズルの中から、重複部分に含まれる#1B,#10A,#2Bの3個のノズルが#19Aの隣接ノズルとして特定される。また、第2ヘッド33Bの#3Bノズルが不噴射ノズルとして検出された場合、#3Bノズルが担当する第11ラスタラインを形成する#11Aノズルと、それに隣接する第10ラスタラインを形成する#10Aノズル及び#2Bノズルと第12ラスタラインを形成する#12Aノズル及び#4Bノズルと、の5個のノズルが検出される。そして、検出された5個のノズルの中から、重複部分に含まれる#11A,#10A,#2B,#12A,#4Bの5個のノズルが#19Aの隣接ノズルとして特定される。
なお、(S102:不噴射ノズルの使用比率の算出)と(S103:隣接ノズルの検出)とは、実行される順番が逆であってもよい。
(S104:不噴射ノズル使用比率の分割)
コントローラー60は、(S102)で算出された不噴射ノズルの使用比率を、(S103)で特定された隣接ノズルの数に合わせて分割する。例えば、不噴射ノズルの使用比率が100%と算出され、隣接ノズルが5個特定された場合、使用比率100%を5等分して20%を得る。また、均等に分割するのではなく、100%の使用比率を5%、10%、15%、30%、40%のように割合を変えて分割してもよい。
(S105:隣接ノズルの使用比率変更)
コントローラー60は、(S103)で検出された隣接ノズルの使用比率に、(S104)で分割された不噴射ノズルの使用比率をそれぞれ加え、隣接ノズルの使用比率を変更(増加)させる。その際、(S104)において不噴射ノズルの使用比率が均等分されていれば、隣接ノズルの使用比率は均等に増加することになる。一方、(S104)の分割時に重み付けを行い、隣接ノズル毎に使用比率の変更割合を変えることもできる。例えば、第1ヘッド33Aの#10Aノズルのみが不噴射ノズルであった場合、隣接ノズルとして特定される5個のノズル(#2B,#9A,#1B,#11A,#3B)のうち#2Bノズルの重み付けを変更することで該ノズルの使用比率の増加分を大きくしたり、逆に小さくしたりすることもできる。
このようにして、不噴射ノズルから噴射される予定であった分のインクを該不噴射ノズルに隣接するノズルに分配する。比較例においては、不噴射分のインクは、不噴射ノズルと同じラスタライン位置にあるノズルから噴射されるように変更されていたが、本実施形態では、不噴射分のインクが不噴射ノズル周囲の複数のノズルに分配されるので個々のノズルの使用率変動が小さく抑えられ、ムラを低減することができる。
以下、具体的な例について説明する。
<不噴射ノズルが1つの場合>
図10は、第1ヘッド33Aの#10Aが不噴射ノズルである場合に、第1実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更した時の様子を表す図である。
#10Aのみが不噴射ノズルとして検出されるので、不噴射ノズルの使用比率は#2Bに対する#10Aから噴射される予定であったインク量の割合で表され、この場合67%である(図6参照)。
次に、不噴射ノズル#10Aの隣接ノズルが検出される。#10Aが担当する第10ラスタラインと(紙幅方向の)同じ位置にあるノズルとして#2Bが検出され、第10ラスタラインに隣接する第9ラスタラインを形成するノズルとして#9A及び#1Bが、第10ラスタラインに隣接する第11ラスタラインを形成するノズルとして#11A及び#3Bが、検出される。これら5つのノズルは、全て重複部分に含まれ、インクを噴射するノズルであるので、この5つのノズルが隣接ノズル(図10において黒く塗られたノズル)として特定される。
そして、不噴射ノズルの使用比率(67%)が隣接ノズルの個数分に分割され、隣接ノズルのそれぞれに分配される。図10の例では、67%分の使用比率が均等に分配される。つまり、隣接ノズルのそれぞれについて13.4%(=67%/5)分ずつ使用比率が増加している。なお、前述のとおり、不噴射ノズルの使用比率は各ノズルに均等に分配するのではなく、重み付けの変更により、例えば第2ヘッド33B側にあるノズルの分配率を第1ヘッド33A側よりも大きくする等の調整をすることが可能である。
このような使用比率の変更により、隣接するラスタライン間での使用比率の変動幅を比較例の場合よりも小さくすることができる。
比較例では、不噴射ノズルが発生した第10ラスタラインにおける第2ヘッド33Bの使用比率が100%であるのに対して、それに隣接する第9ラスタラインにおける第2ヘッド33Bの使用比率は17%であり、隣接する第9・第10ラスタラインの間で使用比率が大きく変動していた(図8)。
これに対して、本実施形態の使用比率変更方法では、不噴射ノズルが発生した第10ラスタラインにおける第2ヘッド33Bの使用比率は33+13.4=46.4%であり、それに隣接する第9ラスタラインにおける第2ヘッド33Bの使用比率は17+13.4=30.4%である。つまり、第10ラスタラインとそれに隣接する第9ラスタラインとの間での使用比率の変動幅は、不噴射ノズルが発生しない場合(図6の場合)と同等である。これは第10ラスタラインとそれに隣接する第11ラスタラインとの間でも同様のことが言える。
このように、隣接するラスタライン間で使用比率の変動幅をなるべく小さく抑えることができるので、印刷ムラを低減しやすくなる。
なお、使用比率を変更した結果、第1ヘッド33Aと第2ヘッド33Bとの合計の使用比率が100%を超えるラスタラインが発生することがある。例えば、図10の第9ラスタラインにおいて、使用比率変更の結果、第1ヘッド33A(#9Aノズル)は83+13.4=96.4%となり、第2ヘッド33B(#1Bノズル)は17+13.4=30.4%となるため、使用比率の合計が100%を超える。ヘッドの使用比率が100%を超えるラスタラインでは、それだけインクが多く噴射されるということなので、ムラが発生して印刷画像が劣化するようにも考えられる。しかし、第9ラスタラインでインク噴射量が増加した場合であっても、隣接する不噴射ノズル(#10A)が担当する第10ラスタラインではインク噴射量が減少しているため、巨視的に見るとこの領域でのインク噴射総量は変化しない。したがって、本実施形態によって画質が大きく劣化することは無い。
<不噴射ノズルが複数の場合>
次に、不噴射ノズルが複数発生した場合の例について説明する。図11は第1ヘッド33Aの#10A及び#12Aの2個のノズルが不噴射ノズルである場合に、第1実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更した時の様子を表す図である。
不噴射ノズルが複数検出された場合でも、前述の場合と同様に使用比率の変更を行うことができる。まず、不噴射ノズル#10Aが担当する第10ラスタライン及びそれに隣接する第9、第11ラスタラインを形成するノズル(#2B,#9A,#1B,#11A,#3B)が検出される。同様に不噴射ノズル#12Aが担当する第12ラスタライン及びそれに隣接する第11、第13ラスタラインを形成するノズル(#4B,#11A,#3B,#13A,#5B)が検出される。そして、その中から重複部分にあってインクを噴射することができるノズルが隣接ノズルとして特定される。図11では、黒く塗られた(#2B,#9A,#1B,#11A,#3B,#4B,#13A,#5B)の8個のノズルが隣接ノズルとなる。
その後、不噴射ノズルの使用比率が算出される。図11では、#10Aノズルにおける使用比率67%と#12Aノズルにおける使用比率33%との合計で、100%分の使用比率となる。算出された使用比率は隣接ノズルの個数分(図11では8個)に分割され、それぞれの隣接ノズルに分配される。つまり、特定された8個の隣接ノズルについてそれぞれ使用比率が12.5%(=100/8)ずつ増加する。
この場合も、不使用ノズルから噴射されなかった分のインクを周囲のノズルに分散させることができるので、第2ヘッド33B側では隣接するラスタライン間での使用比率変動が、比較例の場合よりも小さく抑えられ、ムラの発生を抑制することができる。
===第2実施形態===
<第1実施形態の留意点>
第1実施形態の使用比率変更方法では、不噴射ノズルから噴射される予定であったインクを該不噴射ノズルに隣接するノズルに分配する。つまり、不噴射ノズルの周囲のノズルから小量ずつインクを噴射させることで、特定のラスタラインのみに集中してインクが噴射されないようにする。特に不噴射ノズルが発生したヘッドと反対側のヘッドでは、隣接ラスタライン間でのヘッド使用比率の変動を小さく抑えることができる。
しかし、不噴射ノズルが発生している側のヘッドでは、隣接するラスタライン間でのヘッドの使用比率の変動幅を小さくすることができない点に留意する必要がある。
例えば、前述の比較例(図8)において、不噴射ノズルが発生した側のヘッドである第1ヘッド33Aでは、不噴射ノズル#10Aが担当する第10ラスタラインにおける使用比率は0%である。そして、第10ラスタラインに隣接する第9ラスタラインにおける使用比率は83%であり、第11ラスタラインにおける使用比率は50%である。これに対して、同じく#10Aノズルが不噴射ノズルであった場合に、第1実施形態によって変更された第1ヘッド33Aの使用比率は、第9ラスタラインでは83+13.4=96.4%となり、第11ラスタラインでは50+13.4=63.4%となる(図10参照)。すなわち、第9ラスタラインと第10ラスタラインとの間での第1ヘッド33Aの使用比率の変動幅は、比較例において83%分であったのに対して、第1実施形態の場合では96.4%となる。同様に、第10ラスタラインと第11ラスタラインとの間での第1ヘッド33Aの使用比率の変動幅は、比較例において50%分であったのに対して、第1実施形態の場合では63.4%となる。
つまり、不噴射ノズルが属する側のヘッドでは、第1実施形態の方法で使用比率の変更を行ったことにより、隣接ラスタライン間での使用比率の変動幅が大きくなってしまうことがある。
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、不噴射ノズルの使用比率を周囲のノズルに分配し、さらに、該不噴射ノズルが属するヘッドで不噴射ノズルに隣接するノズルの使用比率の一部を、対応する反対側のヘッドのノズルに負担させる。
不噴射ノズルの両隣に位置するノズルの使用比率が第1実施形態の場合と比較して下がるため、不噴射ノズルが属する側のヘッドにおいて、隣接ラスタライン間での使用比率の変動を小さくすることができる。これにより、さらにムラの目立たない印刷をすることができる。
<第2実施形態におけるヘッド使用比率の変更方法>
図12に、第2実施形態においてヘッド使用比率の変更を行うためのフロー図を示す。本実施形態では、S201からS208までの工程を順番に実行することにより、各ヘッドの使用比率の変更を行う。なお、S201〜S208の各工程は、コントローラー60によって実行される。以下、各工程について説明する。
(S201〜S205)
S201〜S205の工程は、第1実施形態におけるS101〜S105の工程と同様である。これにより、不噴射ノズルの使用比率がその周囲の隣接ノズルに分配される。
(S206:使用比率を減少させるノズルの選択)
(S203)の工程で特定された隣接ノズルのうち、不噴射ノズルが属するヘッドと同じ側のヘッドで該不噴射ノズルに隣接するノズルを、使用比率を減少させる対象のノズルとして選択する。例えば、図10では、第1ヘッド33Aの#10Aが不噴射ノズルとして検出され、その周囲の#9A,#11A,#1B,#2B,#3Bの5個のノズルが隣接ノズルとして特定されている。この場合、当該5個の隣接ノズルのうち、不噴射ノズルが発生している第1ヘッド33Aにおいて#10Aに隣接している#9A及び#11Aノズルが使用比率減少ノズルとして選択される。
第1実施形態では、使用比率減少ノズルが担当するラスタラインにおける第1ヘッド33Aの使用比率と、隣接する不噴射ノズルが担当するラスタラインにおける第1ヘッド33Aの使用比率(0%)との差が大きくなってしまう場合があった。本実施形態では該使用比率減少ノズルにおける使用比率を他のノズルに分配することにより、不噴射ノズルが担当するラスタラインと、該使用比率減少ノズルが担当するラスタラインとで使用比率の差を小さくすることができる。
(S207:使用比率を増加させるノズル選択)
続いて、使用比率減少ノズルの使用比率の分配先として、該使用比率減少ノズルに対応して使用比率を増加させる対象のノズルを選択する。本実施形態では、使用比率減少ノズルが担当するラスタラインと(紙幅方向の)同じ位置にあるノズルが使用比率増加ノズルとして選択される。例えば、前述の図10の例において第1ヘッド33Aの#10Aが不噴射ノズルとして検出され、#9A及び#11Aノズルが使用比率減少ノズルとして選択されたとする。このとき、#9Aに対応する使用比率増加ノズルとしては、#9Aが担当する第9ラスタラインを形成する第2ヘッド33B側のノズル#1Bが選択される。同様に、#11Aに対応する使用比率増加ノズルとしては、#11Aが担当する第11ラスタラインを形成する第2ヘッド33B側のノズル#3Bが選択される。
なお、使用比率減少ノズルの分配先のノズルとして、対応する一つの使用比率増加ノズルを選択するのではなく、複数の使用比率増加ノズルを選択することも可能である。例えば、第1ヘッド33Aの#11Aノズルが使用比率減少ノズルである場合に、第2ヘッド33Bの#2B〜#4Bの3つのノズルに使用比率を分配させるようにしてもよい。広範囲に分配するほど、分配先における使用比率の変動の影響を小さくすることができる。
(S208:使用比率の分配)
(S206)で選択された使用比率減少ノズルについての使用比率の一部を、(S207)で選択された使用比率増加ノズルに分配する。ここで、使用比率減少ノズルについての使用比率を対応する使用比率増加ノズルに100%分配してしまうと、該使用比率減少ノズルの使用比率が0%となってしまう。つまり、使用比率減少ノズルも不噴射ノズルとなってしまう。したがって、分配する使用比率は使用比率減少ノズルについての使用比率のうち一部のみである。例えば第1実施形態で不噴射ノズルから該使用比率減少ノズルに分配された分の使用比率を、本実施形態においてそのまま対応する使用比率増加ノズルに分配したり、使用比率減少ノズルについての使用比率のうち30%分を対応する使用比率増加ノズルに分配したりする方法がある。
さらに、実際に印刷された画像から判断して、次の印刷時に分配割合を変更することで、よりムラの目立たない印刷を行うことができる。また、一つの使用比率減少ノズルに対して分配先の使用比率増加ノズルが複数の場合は、分配する分の使用比率を対応するノズルの数で均等に分割したり、重み付けをして使用比率増加ノズル毎に分配割合を変えたりして分配を行うこともできる。
このようにして、不噴射ノズルの隣のノズルの分の使用比率を、対応するノズルに分配する。第1実施形態においては、不噴射ノズルにおける使用比率と該不噴射ノズルの隣のノズルにおける使用比率との差が大きくなり、隣接して形成されるラスタライン間でムラを生じさせる原因となる場合があった。本実施形態では、不噴射分ノズルの隣のノズルから噴射されるインクの一部を対応するノズルに分配することで、隣接して形成されるラスタライン間で、不噴射ノズルを有する側のヘッドの使用比率変動をなるべく小さく抑え、ムラを低減することができる。
以下、具体的な例について説明する。
<不噴射ノズルが1つの場合>
図13は、第1ヘッド33Aの#10Aが不噴射ノズルである場合に、第2実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更した時の様子を表す図である。同図は、第1実施形態の図10で説明した時の状態に、さらに(S206)〜(S208)の処理を行った時の状態を表している。
#10Aが不噴射ノズルとして検出され、その周囲に5個の隣接ノズルが特定される。この隣接ノズルのうち、#10Aと同じ第1ヘッド33Aにあるノズルで、#10Aに隣接するノズル#9A及び#11Aが使用比率減少ノズルとして選択される。そして、#9Aが担当する第9ラスタラインと(紙幅方向の)同じ位置にある第2ヘッド33B側のノズル#1Bが#9Aに対応する使用比率増加ノズルとして選択され、同様に、#11Aが担当する第11ラスタラインと同じ位置にある第2ヘッド33B側のノズル#3Bが#11Aに対応する使用比率増加ノズルとして選択される。使用比率減少ノズルとそれに対応する使用比率増加ノズルが選択されたら、該使用比率減少ノズルについての使用比率の一部が対応する使用比率増加ノズルに分配される。
図13では、使用比率減少ノズル#9Aについての使用比率の20%分を対応する使用比率増加ノズル#1Bに分配している。その結果、第9ラスタラインにおいて、第1ヘッド33A側の使用比率は第1実施形態における使用比率よりも小さくなり、その分だけ、第2ヘッド33B側の使用比率が大きくなる。同様に、使用比率減少ノズル#11Aについての使用比率の20%分が対応する使用比率増加ノズル#3Bに分配され、第11ラスタラインにおいて、第1ヘッド33A側の使用比率は第1実施形態における使用比率よりも小さくなり、第2ヘッド33B側の使用比率が大きくなる。
これにより、隣接するラスタライン間において、不噴射ノズルが発生した側のヘッドの使用比率の変動を小さくすることができる。
例えば、不噴射ノズル#10Aが担当する第10ラスタラインと、第10ラスタラインに隣接する第9ラスタラインとについて考える。第1実施形態では第9ラスタラインの使用比率(96.4%)と第10ラスタラインの使用比率(0%)との差が大きく、当該使用比率の変動によってムラを発生させやすくなっていた(図10参照)。しかし、本実施形態では第9ラスタラインの使用比率を小さくすることができるため、隣接する第10ラスタラインとの間での使用比率の変動も小さく抑えることができるようになる。
一方、第2ヘッド33B側の使用比率の変動を見ると、本実施形態の方が第1実施形態の場合よりも変動幅が大きくなる部分がある(図10、図13参照)。例えば、第9ラスタラインにおいて#1Bノズルの使用比率が増加したことにより、第8ラスタラインと第9ラスタラインとの間では、第1実施形態の場合よりも使用比率の変動が大きくなっている。しかし、第1ヘッド33A側の使用比率の大きさと比較すると、第8、第9ラスタラインの範囲においては、第2ヘッド33B側の使用比率の方が小さい。したがって、印刷時の影響の大きさを考慮すると、第1ヘッド33A側の使用比率変動を優先的に小さくする方が全体としてムラを解消しやすくなる。
<不噴射ノズルが複数の場合>
次に、不噴射ノズルが複数発生した場合について説明する。図14は第1ヘッド33Aの#10A及び#12Aの2個のノズルが不噴射ノズルである場合に、第2実施形態による方法で各ヘッドの使用比率を変更した時の様子を表す図である。同図は、第1実施形態の図11で説明した時の状態に、さらに(S206)〜(S208)の処理を行った時の状態を表している。
不噴射ノズルが複数検出された場合でも、前述の場合と同様に使用比率の変更を行うことができる。第1ヘッド33Aの#10Aと#12Aが不噴射ノズルとして検出され、その周囲に8つの隣接ノズルが特定される。この隣接ノズルのうち、第1ヘッド33A側にあるノズルで、#10Aに隣接するノズルとして#9A及び#11Aが選択され、#12Aに隣接するノズルとして#11A及び#13Aが選択される。すなわち、#9A、#11A、#13Aの3個のノズルが使用比率減少ノズルとして選択される。
そして、#9Aが担当する第9ラスタラインと(紙幅方向の)同じ位置にある第2ヘッド33B側のノズル#1Bが#9Aに対応する使用比率増加ノズルとして選択され、同様に、#3Bが#11Aに対応するノズルとして、#5Bが#13Aに対応するノズルとして選択される。その後、使用比率減少ノズルについての使用比率の一部がそれぞれ対応する使用比率増加ノズルに分配される。
図14の場合でも、図13の場合と同様、使用比率減少ノズルの使用比率の20%分が対応する使用比率増加ノズルに分配される。その結果、第1実施形態の場合(図11の場合)と比較して、第1ヘッド33Aにおける使用比率の変動幅を小さくすることができる。これにより、印刷村の発生を抑制しやすくなる。
===第3実施形態===
第3実施形態では、ヘッド毎の使用比率の変更にあわせて、LUT(色変換ルックアップテーブル)の設定を変更することにより、色ムラの発生を抑制する。
前述の色変換処理においては、複数のヘッドのそれぞれについてLUTが用意される。本実施形態では、第1ヘッド33Aに対応するLUT1と第2ヘッド33Bに対応するLUT2とが用意される。そして、各ヘッドの使用比率に応じてLUT1とLUT2を重み付けすることによってラスタライン毎に合成LUTが作成される。
ヘッドの重複部に不噴射ノズルがない場合、例えば、図6の場合、第9ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用比率が83%であり、第2ヘッド33Bの使用比率が17%である。このとき、LUT作成部は、第9ラスタラインについてLUT1に基づく変換量を83%で重み付けし、且つ、LUT2に基づく変換量を17%で重み付けした合成LUTを作成する。同様に、第10ラスタラインでは第1ヘッド33Aの使用比率が67%であり、第2ヘッド33Bの使用比率が33%であるので、LUT作成部は、第10ラスタラインについてLUT1に基づく変換量を67%で重み付けし、且つ、LUT2に基づく変換量を33%で重み付けした合成LUTを作成する。
そして、ヘッド重複部分の色変換処理では、前述のようにしてラスタライン毎に作成した合成LUTによってRGB色空間の階調値からCMYK色空間の階調値への色変換を行なう。
図15は、第3実施形態によって印刷される画像の概念図である。図の横軸はラスタラインを示し、縦軸は濃度を示している。なお、図に示す重複部分において、破線はLUT1とLUT2との平均によって作成された合成LUTを用いて印刷した場合を示しており、実線は上述したような各ヘッドの使用比率に応じた重み付けによって作成された合成LUTを用いて印刷した場合を示している。
図に示すように、破線では、重複部分の境界部分で濃度に段差が生じている(急激に濃度が変化している)が、実線(本実施形態)では、濃度の変化が緩やかになっている。このように、各ヘッドの使用比率に応じてLUTの重み付けを行うことによって濃度変化を緩やかにして、色ムラの発生を抑制することができる。
ヘッドの重複部に不噴射ノズルがある場合には、各ヘッドの使用比率の変更にあわせて合成LUTを作成する際の重み付けも変更する。
例えば、図10の場合、第9ラスタラインでは、第1ヘッド33Aの使用比率が83%から96.4%に変更され、第2ヘッド33Bの使用比率が17%から30.4%に変更されている。したがって、合成LUT作成時の重み付けも当該使用比率の変更に伴って変更され、第1ヘッド33Aに対応するLUT1の重み付けが96.4%となり、第2ヘッド33Bに対応するLUT2の重み付けが30.4%となる。
このように、合成LUT作成の際に、各ヘッドの使用比率変更に応じて対応するLUTの重み付けも変更を行うことにより、重複部分における濃度の変化を緩やかにできるので、色ムラをより目立たないようにすることができる。
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<印刷装置について>
前述の実施形態では、ヘッドが固定された、いわゆるラインプリンターであるプリンター1を例に挙げて説明したが、プリンターはヘッドをキャリッジとともに移動させるシリアルプリンターであってもよい。
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから噴射しているが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。また、ノズルから噴射する液体は、インクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから噴射しても良い。
<インクの噴射方式について>
プリンター1が有するヘッドのノズルからインクを噴射させるためのインク噴射方式としては、ピエゾ素子の駆動によりインク室を膨張・収縮させるピエゾ方式であってもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ該気泡によってインクを噴射させるサーマル方式であってもよい。
<プリンタードライバーについて>
プリンタードライバーの処理はプリンター側で行ってもよい。その場合、プリンターとドライバーをインストールしたPCとで印刷装置が構成される。
<ヘッドの使用比率について>
ヘッドの重複部分において第1ヘッド33A及び第2ヘッド33Bの使用比率を直線的に変化させていたが、これには限らない。例えば、隣接するノズルで使用比率が同じ所があってもよい。ただし、本実施形態のように使用比率を直線的に変化させると色ムラをより目立たないようにすることができる。
1 プリンター、20 搬送ユニット、
22A 上流側搬送ローラー、22B 下流側搬送ローラー、24 ベルト、
30 ヘッドユニット、33A 第1ヘッド、33B 第2ヘッド、
50 検出器群、60 コントローラー、61 インターフェイス部、
62 CPU、63 メモリー、64 ユニット制御回路、
110 コンピューター

Claims (8)

  1. 液体を噴射するノズルが所定方向に複数並んだ第1ノズル列と、
    前記液体を噴射するノズルが前記所定方向に複数並んだ第2ノズル列と、
    前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列から前記液体を噴射させて前記所定方向と交差する方向に沿ったドット列を形成させる制御部と、を備え、
    前記第1ノズル列の一端と前記第2ノズル列の一端とが、前記所定方向で一部重複しており、
    前記第1ノズル列の重複部分にある複数のノズルと、前記第2ノズル列の重複部分にある複数のノズルとが、それぞれ前記所定方向の同じ位置にある液体噴射記録装置において、
    前記重複部分に前記液体を噴射しないノズルである不噴射ノズルがあるとき、
    前記制御部は、前記不噴射ノズルと前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射される前記液体の量に対する、前記不噴射ノズルから噴射される予定であった前記液体の量の割合を、
    前記液体を不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に分割し、
    前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルのそれぞれについて、
    分割された前記割合の分だけ、前記液体の噴射量を増加させることを特徴とする液体噴射装置。
  2. 請求項1に記載の液体噴射装置であって、
    前記制御部は、前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルから噴射される予定の前記液体の一部を、
    前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルと、前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射させる、ことを特徴とする液体噴射装置。
  3. 請求項2に記載の液体噴射装置であって、
    前記制御部は、前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルから噴射される予定の前記液体の一部を、
    前記不噴射ノズルが属するノズル列と反対側のノズル列に属する複数のノズルから噴射させる、ことを特徴とする液体噴射装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の液体噴射装置であって、
    前記重複部分に前記不噴射ノズルが複数ある場合は、
    前記制御部は、複数の前記不噴射ノズルのそれぞれについて前記割合を算出し、
    前記ノズルについて算出されたそれぞれの割合を合計したものを、複数の前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に分割することを特徴とする液体噴射装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の液体噴射装置であって、
    前記割合を、前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に均等に分割することを特徴とする液体噴射装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の液体噴射装置であって、
    前記制御部は、
    前記第1ノズル列に対応する第1LUTと、前記第2ノズル列に対応する第2LUTとを作成し、
    前記第1LUTと前記第2LUTをそれぞれ重み付けすることにより、前記それぞれのドット列に対応する合成LUTを作成し、
    前記それぞれのドット列ごとの前記第2ノズル列のノズルから噴射される前記液体の量に対する前記第1ノズル列のノズルから噴射される前記液体の量の割合にあわせて、前記第1LUT及び前記第2LUTの重み付けを変更することを特徴とする液体噴射装置。
  7. (A)所定方向に複数のノズルが並んだ第1ノズル列から液体を噴射することと、前記所定方向に並び、前記第1ノズル列の一端と前記所定方向で一部重複した位置にある複数のノズルが並んだ第2ノズル列から液体を噴射することと、
    (B)前記重複部分に前記液体を噴射しないノズルである不噴射ノズルがある場合は、
    前記不噴射ノズルと前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射される前記液体の量に対する、前記不噴射ノズルから噴射される予定であった前記液体の量の割合を、
    前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルの数量分に分割し、
    前記不噴射ノズルの位置に形成されるドット列及びその両隣のドット列を形成するために前記液体を噴射するノズルのうち、前記重複部分にあるノズルのそれぞれについて、
    分割された前記割合の分だけ、前記液体の噴射量を増加させることと、
    を有する液体噴射方法。
  8. 請求項7に記載の液体噴射方法であって、
    前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルから噴射される予定の前記液体の一部を、
    前記不噴射ノズルが属するノズル列の前記不噴射ノズルに隣接するノズルと、前記所定方向の同じ位置にあるノズルから噴射させる、ことを特徴とする液体噴射方法。
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