JP5072395B2 - 反射防止膜及びこれを有する光学部品 - Google Patents

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Description

本発明は反射防止膜及びこれを有する光学部品に関し、詳しくはテレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載されるレンズ、プリズム、回折素子等の屈折率の異なる基板に対しても同一の光学膜厚を有する多層膜により、高い反射防止効果が得られる反射防止膜及びこれを有する光学部品に関する。
写真用カメラや放送用カメラ等に広く用いられている高性能なズームレンズは、多数枚(10〜40枚)からなるレンズ群の鏡筒構成を有している。これらレンズ等の光学部品の表面には、基板の屈折率と異なる大小の屈折率を有する誘電体膜を組み合わせ、各誘電体膜の光学膜厚を中心波長λに対して1/2λや1/4λに設定し、干渉効果を利用した多層膜による反射防止処理が施されている。近年、可視〜近赤外域の波長域を使用する天体望遠鏡、セキュリティカメラ、車載カメラ等においても、その波長域で反射率を低減しゴーストやフレアを大幅に改良することが要求されている。
一般的な反射防止膜は1〜3層程度の構成で、その反射率は0.5%程度である。このような反射防止膜を20枚のレンズからなる鏡筒レンズ群に施した場合、レンズの面数は40面であるから透過率は計算上0.99540≒82%となり、約18%の反射損失が生じてしまう。しかも、レンズ内又はレンズ間での多重反射によりフレアやゴーストが生じ、コントラスト等の光学特性を著しく劣化させる。また光ピックアップなどにおいてはレーザー光の干渉といった大きな弊害が起こる。
このような問題点を解決するには、より多くの層からなる反射防止膜による反射防止処理が有効であり、例えば特開平10-20102号公報(特許文献1)には7層構成の反射防止膜が開示されている。この反射防止膜は可視波長帯域での反射率が0.3%程度にまで改良されると記載されている。この様な反射防止膜は、基板の屈折率に応じて各層の光学膜厚を調節することで、反射率が最小になるように最適化している。即ち、屈折率の異なる基板に対して反射防止膜を形成する場合、最適な反射防止特性を得るためには、基板の屈折率に応じて、それぞれ異なる膜厚で各層を形成する必要がある。屈折率の異なる基板に対して同一の光学膜厚で各層を形成した場合、良好な反射防止効果が得られない。従って、基板の種類に応じてそれぞれ異なる条件で多層膜を形成しなければならず、生産効率が非常に悪い。
基板の屈折率に依存しない反射防止膜を得るために、非特許文献1は屈折率1.48〜1.75の基板に対して8〜23層の多層膜を形成した反射防止膜を報告しており、波長400〜800 nmにおいて1%以下の反射率が得られると記載している。しかしながら、屈折率1.95の基板に非特許文献1に記載の多層膜を形成した場合、波長400〜800 nmにおける最大反射率は1%を大きく超えてしまう。
特開平10-20102号公報 J. A. Dobrowolski and Brian T. Sullivan, "Universal antireflection coatings for substrates for the visible spectral region", Applied Optics 35, 4993-4997 (1996)
従って、本発明の目的は、屈折率の異なる基板に対しても、波長400〜800 nmで1%以下の反射率が得られる、同一の光学膜厚及び層構成を有する多層反射防止膜及びこれを有する光学部品を提供することである。
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、 下記の7層構成を有する反射防止膜により、基板の屈折率依存性の少ない反射防止効果が得られることを発見し、本発明に想到した。
即ち、本発明の反射防止膜は、基板上に、前記基板側から順に第1層〜第7層を積層してなる反射防止膜であって、波長400〜800 nmにおいて、前記第1層、前記第3層及び前記第5層が屈折率2〜2.45の高屈折率層であり、前記第2層、前記第4層及び前記第6層が屈折率1.35〜1.7の低屈折率層であり、前記第7層が屈折率1.05〜1.3の超低屈折率膜であることを特徴とする。
前記第1層の光学膜厚は7〜39 nmであるのが好ましく、前記第2層の光学膜厚は35〜65 nmであるのが好ましく、前記第3層の光学膜厚は22〜75 nmであるのが好ましく、前記第4層の光学膜厚は47〜102 nmであるのが好ましく、前記第5層の光学膜厚は1〜59 nmであるのが好ましく、前記第6層の光学膜厚は50〜165 nmであるのが好ましく、前記第7層の光学膜厚は121〜141 nmであるのが好ましい。
前記高屈折率層はTa2O5、TiO2、Nb2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、SnO2、In2O3、ZnO及びZnSからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる層であるのが好ましく、前記低屈折率層はMgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる層であるのが好ましく、前記超低屈折率層はMgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる多孔質層であるのが好ましい。
本発明の反射防止膜は、波長400〜800 nmの波長域にわたって反射率が1%以下の反射防止効果を有するのが好ましい。
本発明の光学部品は、前記反射防止膜を有することを特徴とする。本発明の光学部品は、前記基板の波長400〜800 nmにおける屈折率が1.45〜1.95であることを特徴とする。
本発明の7層からなる反射防止膜により、異なる屈折率(特に1.45〜1.95の屈折率)を有する基板を用いた場合でも、400〜800 nmの波長域において、反射率1%以下の反射防止効果を有する光学部品が得られる。本発明の反射防止膜には基板の屈折率による反射防止能の差がほとんどないので、異なる種類の光学部品に対しても同一の層構成の反射防止膜を施すことができる。このため、基板の屈折率の違いによって成膜条件を切り替えることなく一度に各種光学材料を製造できるようになり、生産効率が向上する。またフォトニック結晶材料のような屈折率の大きく異なる材料を組み合わせた光学素子にも好適に用いることができ、高い反射防止効果を得ることができる。
[1]反射防止膜
(1)構成
本発明の反射防止膜は、図1に示すように、所定の屈折率を有する第1層から第7層までの薄膜を基板3の表面に積層してなる。すなわち本発明の反射防止膜は、波長400〜800 nmにおいて、屈折率2〜2.45の高屈折率層である前記第1層101、前記第3層103、及び前記第5層105、屈折率1.35〜1.7の低屈折率層である前記第2層102、前記第4層104、及び前記第6層106、並びに屈折率1.05〜1.3の超低屈折率層である前記第7層107を基板3上に有する。高屈折率層の屈折率は、好ましくは2.05〜2.40、より好ましくは2.10〜2.40 であり、低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.36〜1.67、より好ましくは1.37〜1.48であり、超低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.06〜1.25、より好ましくは1.07〜1.23である。波長400〜800 nmの波長域における反射率は1%以下であるのが好ましい。
波長400〜800 nmにおいて良好な反射防止効果を得るためには、前記第1層の光学膜厚が7〜39 nmであり、前記第2層の光学膜厚が35〜65 nmであり、前記第3層の光学膜厚が22〜75 nmであり、前記第4層の光学膜厚が47〜102 nmであり、前記第5層の光学膜厚が1〜59 nmであり、前記第6層の光学膜厚が50〜165 nmであり、前記第7層の光学膜厚が121〜141 nmであるのが好ましく、前記第1層の光学膜厚が10〜36 nmであり、前記第2層の光学膜厚が38〜62 nmであり、前記第3層の光学膜厚が25〜72 nmであり、前記第4層の光学膜厚が50〜99 nmであり、前記第5層の光学膜厚が4〜56 nmであり、前記第6層の光学膜厚が53〜162 nmであり、前記第7層の光学膜厚が124〜138 nmであるのがより好ましい。なお 、光学膜厚とは、薄膜の屈折率(n)と物理膜厚(d)の積(n×d)である。
(2)材料
各層を構成する材料としては、例えば、Al2O3、TiO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、CeO2、Yb2O3、HfO2、Nd2O3、Pr6O11、La2O3、Er2O3、CdO、Eu2O3、NiO、Cr2O3、SnO2、Sb2O3、ZnO、ZnS、Sb2S3、CdS、AlN、SiO2、MgF2、AlF3、BaF2、CaF2、LiF、NaF、SrF2、In2O3、Y2O3、MgO、CeF3、YF3、DyF3及びフッ素樹脂が挙げられる。
屈折率2〜2.45の高屈折率層はTa2O5、TiO2、Nb2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、SnO2、In2O3、ZnO、Y2O3、ZnS及びLa2O3からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなるのが好ましい。屈折率1.35〜1.7の低屈折率層はMgF2、SiO2、Al2O3、MgO、CeF3、YF3、DyF3、AlF3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなるのが好ましい。屈折率1.05〜1.3の超低屈折率層はMgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる多孔質であるのが好ましい。この多孔質の細孔径は0.01〜0.5 μmであるのが好ましく、空孔率は20〜80%であるのが好ましい。
前記フッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE),三フッ化塩化メチレン樹脂(PCTFE),フッ化ビニル樹脂(PVF),四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体(FEP)及びフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等が好ましい。
(3)反射防止膜の形成方法
反射防止膜の各層(反射防止膜を構成する各層)は、既存の方法で形成することができ、例えば、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、化学蒸着法(CVD)等の気相成膜法(乾式めっき法)、湿式めっき法、ディップコーティング法、超音波ミストコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法及びインクジェットコーティング法が挙げられる。気相成膜法については、例えば、特開2001-59172号公報、特開2001-81548号公報に記載された方法を用いることができ、超音波ミストコーティング法については、特許3159780号等に記載されている方法等を用いることができる。特に真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、ディップコーティング法、超音波ミストコーティング法、スプレーコーティング法及びスピンコーティング法を用いるのが好ましい。反射防止膜の全層を同一の方法で形成しても良いが、各層ごとに最適な方法を選んで使用してもよい。
[2]基板
基板3としては、レンズ、プリズム、フィルター、光学ファイバー、ブラウン管等が挙げられる。基板3の構成材料としては、光学ガラス、合成石英、水晶、アルミナ結晶、LiNbO3結晶、KTP結晶、YAG結晶、BBO結晶、LBO結晶等の各種無機材料や、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられる。
基板3は、波長400〜800 nmにおける屈折率が1.45〜1.95であるのが好ましく1.47〜1.93であるのがより好ましい。このような範囲で、異なる屈折率を有する複数の基板3を用いた場合でも、反射防止膜の層構成を変えずに高い反射防止効果が得られる。
[3]光学部品
本発明の反射防止膜を前述の基板に施すことにより、400〜800 nmの広帯域において、反射率1%以下の反射防止効果を有する光学部品が得られる。本発明の光学部品は、テレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載されるレンズ、プリズム、回折素子等に好適である。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(1)有機修飾シリカ含有ゾルの準備
テトラエトキシシラン5.21 gとエタノール4.38 gとを室温で混合し、0.01 N塩酸0.4 gを加えて90分間撹拌した。エタノール44.35 gと0.02 Nアンモニア水0.5 gとを添加し46時間撹拌した後、60℃に昇温して46時間エージングし、湿潤状態のシリカゲルを得た。デカンテーションを繰り返すことによりシリカゲルの分散媒をエタノールに置換し、さらにデカンテーションにより分散媒をエタノールからヘキサンに置換した。このシリカゲルにトリメチルクロロシランのヘキサン溶液(濃度5体積%)を加え30時間撹拌し、酸化ケイ素末端を有機修飾した。得られた有機修飾シリカゲルをヘキサン洗浄後1質量%に調製し、超音波処理(20 kHz、500 W、5分間)を行い、有機修飾シリカゾルを得た。
(2)層形成
光学ガラスFK5(nd=1.487)、BK6(nd=1.532)、BaF10(nd=1.670)、LaF2(nd=1.744)、LaSF08(nd=1.883)及びSFS1(nd=1.923)の平板(直径25 mm、厚さ1.0 mm)基板上に、表1に示すような光学膜厚及び層構成で、Nb2O5(nd=2.25)からなる高屈折率層及びSiO2(nd=1.48)からなる低屈折率層をスパッタリング法で形成した。スパッタリング後の各基板に、前述の有機修飾シリカゾルをスピンコート法で塗布し、室温で乾燥させたところ、ゲルの収縮及びスプリングバックが起こり空隙率45%の多孔質が形成した。これを180℃で2時間焼成することにより、疎水性シリカエアロゲル(nd=1.13)からなる超低屈折率層を形成し、本発明の反射防止膜を得た。その5°入射分光反射特性を図2-1〜2-6に示す。
Figure 0005072395
図2-1〜2-6に示す分光反射特性から、本発明の反射防止膜は、屈折率1.487〜1.923の基板において、波長400〜800 nmの範囲で反射率を1%以下に低減できることが分かった。
実施例2
光学ガラスFK5(nd=1.487)、LaF2(nd=1.744)及びSFS1(nd=1.923)の平板(直径25 mm、厚さ1.0 mm)基板上に、表2に示すような光学膜厚及び層構成で、Ta2O5(nd=2.20)からなる高屈折率層及びMgF2(nd=1.38)からなる低屈折率層をイオンプレート法で形成した。イオンプレート後の各基板に、160℃で2時間焼成し、光学膜厚を表2の様に変更した以外は実施例1と同様にして、疎水性シリカエアロゲル層(nd=1.11)からなる超低屈折率層を形成し、本発明の反射防止膜を得た。その5°入射分光反射特性を図3-1〜3-3に示す。
Figure 0005072395
図3-1〜3-3に示す分光反射特性から、本発明の反射防止膜は、屈折率1.487〜1.923の基板において、波長400〜800 nmの範囲で反射率を1%以下に低減できることが分かった。
実施例3
光学ガラスFK5(nd=1.487)、LaF2(nd=1.744)及びSFS1(nd=1.923)の平板(直径25 mm、厚さ1.0 mm)基板上に、表3に示すような光学膜厚及び層構成で、TiO2(nd=2.40)からなる高屈折率層及びMgF2(nd=1.38)からなる低屈折率層を真空蒸着法で形成した。真空蒸着後の各基板に、300℃で2時間焼成し、光学膜厚を表3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、疎水性シリカエアロゲル層(nd=1.15)からなる超低屈折率層を形成し、本発明の反射防止膜を得た。その5°入射分光反射特性を図4-1〜4-3に示す。
Figure 0005072395
図4-1〜4-3に示す分光反射特性から、本発明の反射防止膜は、屈折率1.487〜1.923の基板において、波長400〜800 nmの範囲で反射率を1%以下に低減できることが分かった。
比較例1
屈折率1.45の基板に対して表4-1に示す屈折率を有する各層の光学膜厚を、波長400〜700 nmの範囲で反射率が最も小さくなるように光学薄膜計算シミュレーションにより最適化した。光学膜厚の結果を表4-1に示し、5°入射分光反射特性を図5-1に示す。
Figure 0005072395
比較例2及び3
屈折率1.70の基板及び屈折率1.95の基板に対しても比較例1と同様にして最適化を行った(それぞれ比較例2及び3)。光学膜厚の結果をそれぞれ表4-2及び表4-3に示し、5°入射分光反射特性それぞれ図5-2及び図5-3に示す。
Figure 0005072395
Figure 0005072395
比較例4及び5
屈折率1.70の基板及び屈折率1.95の基板に対して、比較例1と同じ光学膜厚を有する構成の反射防止膜(それぞれ比較例4及び5)に対し、光学薄膜計算シミュレーションにより、5°入射分光反射特性求めた。結果をそれぞれ図5-4及び図5-5に示す。
屈折率の異なる基板に対して反射率を最も小さくなるように各層の光学膜厚を最適化することにより、波長400〜700 nmにおいて反射率の低い(1%以下)反射防止膜が得られた(比較例1〜3)。このとき基板の屈折率によって各層の光学膜厚が異なった厚さに最適化された。しかしながら、基板の屈折率1.45(比較例1)で最適化した光学膜厚(表4-1)の構成を、屈折率1.70や1.95の基板にそのまま使用した場合には、図5-4(比較例4)及び図5-5(比較例5)に示すように波長400〜700 nmにおける反射防止性能は著しく劣り、波長によっては1%を超える反射率となってしまうことがわかった。
比較例6
J. A. Dobrowolski and Brian T. Sullivan, Applied Optics 35, 4993-4997 (1996)(非特許文献1)を参考に、光学ガラスFK5(nd=1.487)、LaF2(nd=1.744)及びSFS1(nd=1.923)の平板(直径25 mm、厚さ1.0 mm)基板上に、表5に示す層構成及び光学膜厚のように、高屈折率層としてZnS(nd=2.40)、低屈折率層としてMgF2(nd=1.38)を真空蒸着法で成膜した。非特許文献1では各層の厚さが物理膜厚で記載されているが、表5では光学膜厚に換算した値を示す。その5°入射分光反射特性をそれぞれ図6-1〜図6-3に示す。
Figure 0005072395
比較例7
J. A. Dobrowolski and Brian T. Sullivan, Applied Optics 35, 4993-4997 (1996)(非特許文献1)を参考に、光学ガラスFK5(nd=1.487)、LaF2(nd=1.744)及びSFS1(nd=1.923)の平板(直径25 mm、厚さ1.0 mm)基板上に、表6に示す層構成及び光学膜厚で、高屈折率層としてZnS(nd=2.40)、低屈折率層としてMgF2(nd=1.38)を真空蒸着法で成膜した。非特許文献1では各層の厚さが物理膜厚で記載されているが、表6では光学膜厚に換算した値を示す。その5°入射分光反射特性をそれぞれ図7-1〜図7-3に示す。
Figure 0005072395
実施例1〜3(図2-1〜2-6、図3-1〜3-3、図4-1〜4-3)と比較例6及び7(図6-1〜6-3、図7-1〜7-3)を比較すれば明らかなように、本発明の実施例1〜3は比較例6及び7よりも層数が少ないにもかかわらず、屈折率1.487〜1.923のいずれの基板に対しても低い反射率を有しており、優れた反射防止効果が得られた。特に屈折率の高い光学ガラスSFS1(nd=1.923)を基板として用いた場合、本発明の反射防止膜の効果は顕著であった。
基板の表面に形成された本発明の反射防止膜を示す断面図である。 実施例1の反射防止膜のFK5(nd=1.487)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例1の反射防止膜のBK6(nd=1.532)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例1の反射防止膜のBaF10(nd=1.670)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例1の反射防止膜のLaF2(nd=1.744)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例1の反射防止膜のLaSF08(nd=1.883)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例1の反射防止膜のSFS1(nd=1.923)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例2の反射防止膜のFK5(nd=1.487)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例2の反射防止膜のLaF2(nd=1.744)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例2の反射防止膜のSFS1(nd=1.923)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例3の反射防止膜のFK5(nd=1.487)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例3の反射防止膜のLaF2(nd=1.744)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 実施例3の反射防止膜のSFS1(nd=1.923)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例1の反射防止膜のnd=1.45の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例2の反射防止膜のnd=1.70の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例3の反射防止膜のnd=1.95の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例4の反射防止膜のnd=1.70の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例5の反射防止膜のnd=1.95の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例6の反射防止膜のFK5(nd=1.487)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例6の反射防止膜のLaF2(nd=1.744)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例6の反射防止膜のSFS1(nd=1.923)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例7の反射防止膜のFK5(nd=1.487)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例7の反射防止膜のLaF2(nd=1.744)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。 比較例7の反射防止膜のSFS1(nd=1.923)の基板に対する分光反射率を表すグラフである。
符号の説明
1 反射防止膜
101 第1層
102 第2層
103 第3層
104 第4層
105 第5層
106 第6層
107 第7層
3 基板

Claims (4)

  1. 基板上に、前記基板側から順に第1層〜第7層を積層してなる反射防止膜であって、
    設計波長587.56 nm(ヘリウムd線の光の波長)において、
    前記第1層、前記第3層及び前記第5層が、屈折率nd(ndはヘリウムd線の光で測定した屈折率)が2〜2.45の高屈折率層であり、
    前記第2層、前記第4層及び前記第6層が、屈折率ndが1.35〜1.7の低屈折率層であり、
    前記第7層が、屈折率ndが1.05〜1.3の超低屈折率層であり、
    屈折率ndが1.478〜1.923の範囲で異なる基板に、同一の光学膜厚及び層構成で共用可能であり、かつ前記屈折率ndの異なる基板に対しても400〜800 nmの波長域において反射率が1%以下であることを特徴とする反射防止膜。
  2. 請求項1に記載の反射防止膜において、
    前記第1層の光学膜厚が7〜39 nmであり、
    前記第2層の光学膜厚が35〜65 nmであり、
    前記第3層の光学膜厚が22〜75 nmであり、
    前記第4層の光学膜厚が47〜102 nmであり、
    前記第5層の光学膜厚が1〜59 nmであり、
    前記第6層の光学膜厚が50〜165 nmであり、
    前記第7層の光学膜厚が121〜141 nmである
    ことを特徴とする反射防止膜。
  3. 請求項1又は2に記載の反射防止膜において、前記高屈折率層がTa2O5、TiO2、Nb2O5、ZrO2、HfO2、CeO2、SnO2、In2O3、ZnO及びZnSからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる層であり、前記低屈折率層がMgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる層であり、前記超低屈折率層がMgF2、SiO2、Al2O3及びフッ素樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の材料からなる多孔質層であることを特徴とする反射防止膜。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止膜を有することを特徴とする光学部品。
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