JP4828232B2 - 反射防止膜を有する光学素子及びその製造方法 - Google Patents

反射防止膜を有する光学素子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材とその表面に形成された反射防止膜からなる光学素子に関し、特に光ピックアップ装置や半導体装置に用いる大きな開口数(NA)を有する光ピックアップ用の対物レンズに好適な反射防止膜及び係る反射防止膜を有し、光ピックアップの対物レンズとして用いられる光学素子と、その製造方法に関する。
光ピックアップ装置や半導体装置の対物レンズの表面には、入射光を効率よく透過させるために反射防止膜がコーティングされている。例えば単層の反射防止膜は、反射防止膜表面での反射光と、反射防止膜とレンズの境界での反射光との光路差が波長の1/2の奇数倍となってこれらの光が干渉により打ち消し合う厚さになるように設計される。一般的にはレンズの中心(光線入射角度が0°)付近で反射防止効果が最大となるような膜厚に設計する場合が多く、このように設計された反射防止膜の反射率は、入射光が反射防止膜に垂直となる領域で最小値を示す。対物レンズは、集光すべき光がその表面の中心に垂直(光線入射角度が0°)に入射するように配置される。しかしながら対物レンズのレンズ面は曲面であるため、垂直入射の条件をほぼ満たすのは光軸周辺の極めて限られた範囲のみである。このためレンズ周辺部では、光線入射角度が大きいので単層反射防止膜の設計条件から大きくずれてしまい、入射光の反射率が高い。
一方、多層反射防止膜は複数の層からなり、各層の界面で生じた反射光と、各層に入射する光とが干渉によって相殺し合うように設計されている。特願平9-335909号(特許文献1)は、基材側に導電性光吸収膜が形成され、この上に高屈折率透明膜と低屈折率透明膜がこの順で交互にそれぞれ複数層形成された反射防止膜を記載している。高屈折率透明膜及び低屈折率透明膜の好ましい厚さは、基材側から順に15〜30 nm(高屈折率層)、15〜30 nm(低屈折率層)、10〜314 nm(高屈折率層)、60〜120 nm(低屈折率層)であると記載されている。このように異なる厚さの層を有する反射防止膜は、広い波長範囲で反射光と入射光との干渉を起こす。従って対物レンズの表面に形成すると、光軸周辺からある程度離れた位置でも反射防止効果が得られる。
しかしながら、光ピックアップ装置等の対物レンズは大きな開口数を有しており、レンズ周辺部の光線入射角度が60°以上であるので、特許文献1のように異なる厚さの層からなる反射防止膜を有していても、周辺部では有効な反射防止効果を示すことができない。さらにレンズ等の曲面に反射防止膜を形成すると、レンズ周辺部の光学膜厚はレンズ中心部に比較して小さくなる傾向があり、レンズ中心を基準に膜厚設計すると、レンズ周辺部における反射防止膜の膜厚は設計膜厚から大きくずれてしまうという問題もある。反射防止特性は膜厚に大きく依存するため、設計膜厚からずれていると有効な反射防止効果を示すことができない。従って、レンズ周辺部においては、光線入射角度が大きい上に設計膜厚からのずれも大きく、十分な反射防止効果を得られない。特に、近年登場したブルーレイディスク用の光ピックアップの場合、0.85という大きな開口数を有する対物レンズが用いられるため、大きな入射角度の光に対しても良好な反射防止特性を示すことは非常に重要である。
さらに、最近ではブルーレイディスクとDVDディスクの両方に対応する光学ヘッドが登場しており、ブルーレイに用いられる波長405 nmと、DVDに用いられる波長650 nmの両方で良好な反射防止特性を示す光学素子が求められている。しかし、この両方の波長で、レンズ中心部のみならずレンズ周辺部においても優れた反射防止特性を示し、満足できる透過光量を得られる光学素子は未だ知られていない。
特願平9-335909号公報
従って、本発明の目的は、垂直入射光のみならず大きな入射角度の光に対しても広い波長領域で優れた反射防止特性を示す反射防止膜を有し、光ピックアップの対物レンズとして用いられる光学素子を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、複数の層からなる反射防止膜であって、各層の屈折率が光ピックアップ用の対物レンズの基材から順に徐々に小さくなるもののうち、基材側から順に(a) 紫外線硬化樹脂層、シリカエアロゲル層、(b) フッ化マグネシウム層、シリカエアロゲル層、又は(c) 特定の物理層厚の酸化アルミニウム層、緻密酸化ケイ素層、フッ化マグネシウム層、シリカエアロゲル層を有するものは、波長405 nmの光と波長650 nmのいずれに対しても、0〜70°程度の広い入射角度範囲で優れた反射防止特性を示すこと、並びに(d) シリカエアロゲル層の成分、又はシリカエアロゲル層及び紫外線硬化樹脂層の成分を含有する塗布液を、ノズルから基材上に噴霧し、得られた塗膜を乾燥させることにより、簡便で安価でありながら良好なスループットで均一な反射防止膜を再現性よく形成できることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の第一の光学素子は、基材と、その表面に形成された複数の層からなる反射防止膜とを有し、前記基材及び前記反射防止膜の各層の屈折率が前記基材から順に小さくなっているもので、前記光学素子は光ピックアップ用の対物レンズであり、前記反射防止膜が前記基材側から順に紫外線硬化樹脂層と、屈折率1.05〜1.35のシリカエアロゲル層とを有する二層構成であることを特徴とする。
第一の光学素子において、基材の屈折率が1.4〜1.6であり、前記紫外線硬化樹脂層の物理層厚が70〜130 nmであり、前記シリカエアロゲル層の物理層厚が150〜210 nmであるのが好ましい。
本発明の第二の光学素子は、基材と、その表面に形成された複数の層からなる反射防止膜とからなり、前記基材及び前記反射防止膜の各層の屈折率が前記基材から順に小さくなっているもので、前記光学素子は光ピックアップ用の対物レンズであり、前記反射防止膜が前記基材側から順にフッ化マグネシウム層と、屈折率1.05〜1.35のシリカエアロゲル層とを有する二層構成であることを特徴とする。
第二の光学素子において、前記基材の屈折率が1.4〜1.6であり、前記フッ化マグネシウム層の物理層厚が70〜130 nmであり、前記シリカエアロゲル層の物理層厚が150〜210 nmであるのが好ましい。
第一又は第二の光学素子において、前記基材の屈折率が1.6〜1.8である場合、前記紫外線硬化樹脂層又はフッ化マグネシウム層の物理層厚が140〜180 nmであり、前記シリカエアロゲル層の物理層厚が220〜350 nmであるのが好ましい。
本発明の第三の光学素子は、基材と、その表面に形成された複数の層からなる反射防止膜とを有し、前記基材及び前記反射防止膜の各層の屈折率が前記基材から順に小さくなっているもので、前記光学素子は光ピックアップ用の対物レンズであり、前記基材の屈折率が1.6〜1.8であり、前記反射防止膜が前記基材側から順に物理層厚120〜160 nmの酸化アルミニウム層と、物理層厚50〜90 nmの緻密酸化ケイ素層と、物理層厚80〜120 nmのフッ化マグネシウム層と、屈折率1.05〜1.35及び物理層厚220〜350 nmのシリカエアロゲル層とを有する四層構成であることを特徴とする。
いずれの光学素子においても、基材が樹脂又は硝材からなるのが好ましい。またブルーレイ及びDVDの両方に使用可能な光ピックアップの対物レンズ用であるのが好ましい
本発明の光学素子の製造方法は、本発明のいずれかの光学素子を製造するもので、有機修飾したシリカを含有するゾルを高圧のキャリアガスにより負圧吸引し、得られた塗布液微粒子とキャリアガスの噴霧をノズルから前記基材上に吐出した後、乾燥する工程を有し、前記ゾルの吐出量が1〜10 mL/分であり、前記キャリアガスの吐出量が1〜10 L/分であり、前記ゾルの吐出量誤差が0.1 mL/分以下であることを特徴とする。
本発明の光学素子は光ピックアップ用の対物レンズの基材と、その表面に形成された複数の層からなる反射防止膜を有し、基材及び各層の屈折率は基材から入射媒質にかけて順に小さくなっている。反射防止膜の各層をこのような構成とし、各層の物理層厚を最適化すると、光学素子は0〜70°程度の広い入射角度の範囲で優れた反射防止特性を示す。したがって、大きな開口数を要する光ピックアップの対物レンズ適する。また400〜650 nm程度の広い波長範囲で優れた反射防止特性を示すので、ブルーレイ及びDVDの両方に使用可能な光ピックアップの対物レンズに特に好適である。
このように優れた反射防止特性を有する光学素子は、シリカエアロゲル層等の成分を含有する塗布液をノズルから基材上に噴霧し、得られた塗膜を乾燥及び硬化させることにより、簡便で安価でありながら良好なスループットで再現性よく作製できる。
[1] 反射防止膜を有する光学素子
図1は、反射防止膜を有する光学素子の一例を示す。この光学素子は基材1と、基材1の表面11に形成された反射防止膜2とからなる。図中の反射防止膜2は、実際より厚く描かれている。反射防止膜2は基材1の表面11に形成された第一層21と、その上に形成された第二層22とからなる。
第一層21が紫外線硬化樹脂からなり、第二層22がシリカエアロゲルからなる反射防止膜2を有する光学素子について、まず説明する。紫外線硬化樹脂層は緻密層であり、シリカエアロゲル層はナノサイズの空隙を有する多孔質層である。
基材1の屈折率、紫外線硬化樹脂層の屈折率及びシリカエアロゲル層の屈折率は、この順に小さくなっている。基材1は紫外線硬化樹脂より大きい屈折率を有する材料からなる。基材1の屈折率の上限は、1.85であるのが好ましい。屈折率1.85超であると、一般に紫外〜青色域の波長の光を吸収するので、特に405 nm光用途では硝材として適しない。基材1の材料としてより好ましいのは、紫外線硬化樹脂より0.03〜0.3程度大きな屈折率を有するものである。例えば紫外線硬化樹脂の屈折率が1.38の場合、基材1は屈折率1.41〜1.68の材料からなるのが好ましい。基材1の材料の例として、BK7、LASF016、LaK14ガラス等の光学ガラス、PMMA樹脂、PC樹脂、ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。紫外線硬化樹脂層とシリカエアロゲル層からなる反射防止膜2はウェット法で作製可能であり、高温の加熱を要しない。したがって、樹脂製の基材1に特に適している。
紫外線硬化樹脂層はフッ素系樹脂からなるのが好ましい。フッ素系樹脂はポリオレフィン系樹脂との密着性を有するので、紫外線硬化樹脂層がフッ素系樹脂からなると、基材1がポリオレフィン系樹脂からなる場合でも、反射防止膜2が基材1に密着する。フッ素系樹脂は非結晶性であるのが好ましい。非結晶性のフッ素系樹脂からなる層は優れた透明性を有する。非結晶性のフッ素系樹脂の具体例として、フルオロオレフィン系の共重合体、含フッ素脂肪族環構造を有する重合体、フッ素化アクリレート系の共重合体が挙げられる。フッ素系樹脂はエチレン性のフッ素含有共重合体であって、側鎖にカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を有するのが好ましい。側鎖にカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を有するエチレン性のフッ素含有共重合体はポリオレフィン系合成樹脂からなる基材1との大きな密着性を有する。
フルオロオレフィン系の共重合体の例として37〜48質量%のテトラフルオロエチレンと、15〜35質量%のフッ化ビニリデンと、26〜44質量%のヘキサフルオロプロピレンとが共重合したものが挙げられる。
含フッ素脂肪族環構造を有する重合体には、含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーが重合したものや、少なくとも二つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化重合したものがある。含フッ素環構造を有するモノマーの重合により得られる重合体については、特公昭63-18964号等に記載されている。この重合体はパーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)等の含フッ素環構造を有する重合体の単独重合、又はテトラフルオロエチレン等のラジカル重合性モノマーとの共重合により得られる。
少なくとも二つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーの環化重合により得られる重合体は、特開昭63-238111号や特開昭63-238115号等に記載されている。この重合体はパーフルオロ(アリルビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等のモノマーの環化重合、又はテトラフルオロエチレン等のラジカル重合性モノマーとの共重合により得られる。共重合体の例として、パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)等の含フッ素環構造を有するモノマーとパーフルオロ(アリルビニルエーテル)やパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等の少なくとも二つの重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを共重合して得られるものが挙げられる。
共重合可能な含フッ素モノマーにカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を付加した後で共重合すると、側鎖にカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基を有するフッ素含有共重合体を得ることができる。
紫外線硬化樹脂層はフッ素系樹脂以外の樹脂を含有しても良い。フッ素系樹脂以外の樹脂の例としてアクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂が挙げられる。フッ素系樹脂以外の樹脂も紫外線硬化性であるのが好ましい。
紫外線硬化樹脂層は1.45以下の屈折率を有するのが好ましく、1.3〜1.4の屈折率を有するのがより好ましく、1.35〜1.4の屈折率を有するのが特に好ましい。1.45超の屈折率を有する層は、フッ素系樹脂の含有量が小さ過ぎて、基材1がポリオレフィン系合成樹脂からなる場合に十分な密着性を示さない。
シリカエアロゲル層の屈折率は空隙率に依存し、空隙率が大きいほど屈折率が小さく、空隙率が小さいほど屈折率は大きい。シリカエアロゲル層の屈折率は、1.05〜1.35である屈折率1.05未満にするには、反射防止膜2の空隙率を90%超にする必要がある。このため屈折率1.05未満であると、機械的強度が小さすぎる。屈折率1.35超であると、紫外線硬化樹脂層の屈折率に近すぎて、優れた反射防止効果を得られない。シリカエアロゲル層の屈折率は1.1〜1.2であるのがより好ましく、1.13であるのが特に好ましい。屈折率1.13のシリカエアロゲル層の空隙率は、約72%である。
各層の厚さは基材1の中心で最大であり、周辺部にかけて徐々に小さくなっている。本明細書中、基材1の周辺部は、基材1の有効径をRとすると、中心軸からの距離が2R/5〜R/2の部分を示す。反射防止膜2の厚さも、周辺部にかけて徐々に小さくなっている。
基材周辺部における反射防止膜2の物理膜厚Dと基材中心の物理膜厚D0との比D/D0は、(COS(基材傾斜角度))0.7〜(COS(SIN-1(SIN(基材傾斜角度/反射防止膜の屈折率))))-1であるのが好ましい。なお本明細書中、「基材傾斜角度」は基材中心の接線に対する基材表面の傾斜角度を表す。反射防止膜2の物理膜厚は基材中心から周辺部にかけて徐々に小さくなっているものの、その減少は比較的小さい。このため基材中心で最適な膜厚となるように設計されている場合でも、基材周辺部における反射防止膜2の膜厚が小さ過ぎず、良好な反射防止効果を示すことができる。基材周辺部における物理膜厚が一様でない場合、その最大値、最小値及び平均値のいずれを物理膜厚Dとしても良い。
基材1の屈折率が1.6〜1.8の場合、紫外線硬化樹脂層の物理層厚D1は140〜180 nmであるのが好ましく、150〜174 nmであるのがより好ましく、160〜165 nmであるのが特に好ましい。シリカエアロゲル層の物理層厚D2は220〜350 nmであり、230〜320 nmであるのが好ましく、240〜310 nmであるのが特に好ましい。なお基材1の屈折率が1.65〜1.75であると、反射防止膜2は特に優れた反射防止特性を示す。
基材1の屈折率が1.4〜1.6の場合、紫外線硬化樹脂層の物理層厚D1は70〜130 nmであるのが好ましく、90〜110 nmであるのがより好ましく、100〜105 nmであるのが特に好ましい。シリカエアロゲル層の物理層厚D2は150〜210 nmであり、170〜190 nmであるのが好ましく、175〜185 nmであるのが特に好ましい。なお基材1の屈折率が1.45〜1.55であると、反射防止膜2は特に優れた反射防止膜を示す。
上述の物理層厚D1,D2は、光学素子の中心で最小の反射率を示すように設計されたものではなく、基材周辺部又はそれに近い部分の反射率が小さくなることも重視して設計されている。反射防止膜2は、基材傾斜角度θが0°〜70°の範囲で優れた反射防止特性を示す。本明細書中、「反射防止特性」は反射率及び光透過率を示し、「優れた反射防止特性を示す」は小さな反射率及び大きな光透過率を示すことを表す。基材周辺部は面積が大きく光学素子全体の透過光量に大きく寄与するので、このような反射防止膜2を設けることにより光学素子の透過光量の総和を大きくすることができる。
反射防止膜2は、照射される光の波長が405〜650 nmの範囲で優れた反射防止特性を示す。波長405 nmの光を照射した場合も、波長650 nmの光を照射した場合も、基材傾斜角度θが0°〜70°の範囲で、反射率が6%未満である。
次に、第一層21がフッ化マグネシウムからなり、第二層22がシリカエアロゲルからなる反射防止膜2を有する第二の光学素子について説明する。第二の光学素子は、基材に接触する層がフッ化マグネシウムからなる以外、第一の光学素子とほぼ同じであるので、相違点のみ以下に説明する。
フッ化マグネシウムの屈折率は1.38であるので、基材は1.38より大きく、1.85以下の屈折率を有する材料からなるのが好ましい。基材の屈折率が1.6〜1.8の場合、フッ化マグネシウム層の物理層厚は140〜180 nmであるのが好ましく、150〜174 nmであるのがより好ましく、160〜165 nmであるのが特に好ましい。シリカエアロゲル層の物理層厚は220〜350 nmであるのが好ましく、230〜320 nmであるのがより好ましく、240〜310 nmであるのが特に好ましい。
基材1の屈折率が1.4〜1.6の場合、フッ化マグネシウム層の物理層厚は70〜130 nmであるのが好ましく、90〜110 nmであるのがより好ましく、100〜105 nmであるのが特に好ましい。シリカエアロゲル層の物理層厚は150〜210 nmであるのが好ましく、170〜190 nmであるのがより好ましく、175〜185 nmであるのが特に好ましい。基材、フッ化マグネシウム層及びシリカエアロゲル層の屈折率がこの範囲であると、波長405 nmの光を照射した場合も、波長650 nmの光を照射した場合も、光学素子の透過光量が多い。
図2は、反射防止膜を有する光学素子の別の例を示す。図2に示す光学素子は、基材1側から第一層31、第二層32、第三層33及び第四層34の順に形成された四層からなる反射防止膜3を有する以外、図1に示す例とほぼ同じであるので、相違点のみ以下に説明する。第一層31は酸化アルミニウムからなり、第二層32は緻密質の酸化ケイ素からなり、第三層33はフッ化マグネシウムからなり、第四層34はシリカエアロゲル層からなる。第一層31から第三層33は緻密層であり、第四層34は多孔質層である。
基材1の屈折率は1.6〜1.8であり、1.65〜1.75であるのがより好ましい。基材1の材料の好ましい例として、LaK14ガラスが挙げられる。酸化アルミニウム層の物理層厚は120〜160 nmであり、130〜150 nmであるのが好ましく、135〜145 nmであるのが特に好ましい。緻密酸化ケイ素層の物理層厚は50〜90 nmであり、60〜80 nmであるのが好ましく、70〜80 nmであるのが特に好ましい。フッ化マグネシウム層の物理層厚は80〜120 nmであり、90〜110 nmであるのが好ましく、100〜110 nmであるのが特に好ましい。シリカエアロゲル層の物理層厚は220〜350 nmであり、240〜320 nmであるのが好ましく、240〜310 nmであるのが特に好ましい。基材1及び反射防止膜3の各層が上述の物理層厚を満足すると、反射防止膜3は405〜650 nmという広い波長範囲で優れた反射防止特性を示す。
[2] 光学物品の製造方法
(1) フッ素系樹脂含有層
(a) フッ素含有組成物溶液の調製
フッ素系樹脂含有層21を形成するには、(a) フッ素含有重合体と、架橋性化合物とを含有する組成物の溶液をレンズ等の基材に塗布した後で架橋させても良いし、(b) フッ素含有モノマー及びこれと共重合する単量体を含有する組成物の溶液を塗布した後、これらを重合させても良い。フッ素含有組成物を用いてフッ素系樹脂含有層を形成する方法については、特開平07-126552号、特開平11-228631号、特開平11-337706号等に詳細に記載されている。
例えばフッ素含有オレフィン系化合物と、これと共重合する化合物と、溶媒とを混合し、フッ素含有組成物溶液とする。フッ素含有オレフィン系化合物/共重合化合物の混合比率は、共重合の比率に応じて適宜決定する。具体的には1H,1H,6H,6H‐パーフルオロ‐1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート1molに対して7‐アリロキシカルボニル‐2,2,4,4,5,5,7,7‐オクタフルオロ‐3,6‐ジオキサヘプタン酸が1〜99 mol%となるように、これらを混合する。また予め100万以下の平均分子量を有する程度に共重合させ、得られたフッ素含有オレフィン系共重合体を含むフッ素含有組成物溶液としてもよい。平均分子量100万超であると、溶媒に溶けにく過ぎる。フッ素含有オレフィン系重合体の濃度は、5〜80質量%とするのが好ましい。
フッ素含有組成物溶液の調製方法を具体的に説明する。まず2‐プロペン‐1‐オールと、実質的に等モルのパーフルオロ‐3,6‐ジオキサオクタン-1,8-二酸とを、ジエチルエーテル及びMIBKの混合溶媒中で脱水縮重合反応させる。ジエチルエーテル/MIBKの体積比は0.1〜10とするのが好ましく、0.5〜2とするのがより好ましい。次いで、得られたエステル化合物と、1H,1H,6H,6H‐パーフルオロ‐1,6‐ヘキサンジオールジアクリレートとの重合により得られた共重合体と、自己開裂型ラジカル系重合開始剤とをMIBK等の極性溶媒に均一に分散させ、フッ素含有組成物溶液とする。フッ素含有組成物溶液の共重合体の濃度は0.5〜10 g/L(例えば4g/L)とするのが好ましく、重合開始剤の濃度は0.001〜0.1 g/L(例えば0.01 g/L)とするのが好ましい。
フッ素含有オレフィン系化合物の種類や、共重合体の分子量にも拠るが、好ましい溶媒としてアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、パーフルオロヘキサン、パーフルオロベンゼン等のフッ素系溶剤及びこれらの混合物が挙げられる。
フッ素含有組成物溶液にはラジカル重合開始剤を配合する。ラジカル重合開始剤としては紫外線照射によりラジカルを発生する化合物が用いられる。好ましいラジカル重合開始剤の例として安息香酸エステル、ベンゾインエーテル、アセトフェノン、ベンゾフェノンやその誘導体、チオキサントン類、ベンジルジメチルケタール類、α-ヒドロキシアルキルフェノン類、ヒドロキシケトン類、アミノアルキルフェノン類及びアシルホスフィンオキサイド類が挙げられる。ラジカル重合開始剤の添加量は、フッ素含有組成物100質量部に対して0.1〜20質量部程度である。
(b) コーティング
ディッピング法、スピン法、スプレー法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法等によって基材にフッ素含有組成物溶液の層を形成する。例えばディッピング法による場合、形成する層の厚さは溶液の濃度、浸漬時間、引き上げ時間等によって制御することができる。スピン法による場合、回転初速度、回転速度、回転時間等によって層の厚さを制御することができる。
上述のコーティング法のうちより好ましいのは、スプレーコーティング法である。特に、フッ素含有組成物溶液を高圧のキャリアガスによって負圧吸引し、得られたフッ素含有組成物溶液の微粒子とキャリアガスの噴霧をノズルから基材1上に吐出した後、乾燥及び硬化処理を施すのが好ましい。この場合、フッ素含有組成物溶液の吐出量を1〜10 mL/分とし、キャリアガスの吐出量を1〜10 L/分とし、フッ素含有組成物溶液の吐出量誤差を0.1 mL/分以下とするのが好ましい。高圧のキャリアガスを用いたスプレーコーティング法については、シリカエアロゲル層の形成を例にとって詳細に説明する。
(c) 重合
フッ素含有組成物を架橋反応又は重合反応させる。UV照射装置を用いてフッ素含有組成物溶液の層に50〜10000 mJ/cm2程度でUV照射するのが好ましい。層の厚さにも拠るが、照射時間は通常0.1〜60秒程度である。次いでフッ素含有組成物溶液の溶剤を揮発させる。溶剤を揮発させるには、室温で保持しても良いし、30〜110℃程度に加熱しても良い。
(2) シリカエアロゲル層
(a) シリカエアロゲル層の原料
(a-1) アルコキシシラン及びシルセスキオキサン
アルコキシシラン及び/又はシルセスキオキサンの加水分解重合により、シリカゾル及びシリカゲルが生成する。アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するのが好ましい。アルコキシル基を3つ以上有するアルコキシシランを出発原料とすることにより、優れた均一性を有する反射防止膜が得られる。アルコキシシランモノマーの具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが挙げられる。アルコキシシランオリゴマーとしては、上述のモノマーの縮重合物が好ましい。アルコキシシランオリゴマーはモノマーの加水分解重合により得られる。
シルセスキオキサンを出発原料とした場合も、優れた均一性を有する反射防止膜が得られる。シルセスキオキサンは一般式RSiO1.5(ただしRは有機官能基を示す。)により表され、ネットワーク状ポリシロキサンの総称である。Rとしては、例えばアルキル基(直鎖でも分岐鎖でも良く、炭素数1〜6である。)、フェニル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)が挙げられる。シルセスキオキサンはラダー型、籠型等種々の構造を有することが知られている。また優れた耐候性、透明性及び硬度を有しており、シリカエアロゲルの出発原料として好適である。
(a-2) 溶媒
溶媒は水とアルコールからなるのが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。溶媒の水/アルコールのモル比は0.01〜2とするのが好ましく、0.1〜2とするのがより好ましい。水/アルコールのモル比が2超であると、加水分解反応が速く進行し過ぎる。水/アルコールのモル比が0.01未満であると、アルコキシシラン及び/又はシルセスキオキサン(以下、単に「アルコキシシラン等」という)の加水分解が十分に起こらない。
(a-3) 触媒
アルコキシシラン等の水溶液に加水分解反応の触媒を添加するのが好ましい。適当な触媒を添加することによりアルコキシシラン等の加水分解反応を促進することができる。触媒は酸性であっても塩基性であっても良い。酸性の触媒の例として塩酸、硝酸及び酢酸が挙げられる。塩基性の触媒の例としてアンモニア、アミン、NaOH及びKOHが挙げられる。好ましいアミンの例としてアルコールアミン、アルキルアミン(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン。)が挙げられる。
(b) ゾル及び/又はゲルの作製
水とアルコールからなる溶媒に、アルコキシシラン等を溶解する。溶媒/アルコキシシラン等のモル比は3〜100にするのが好ましい。モル比を3未満とすると、アルコキシシラン等の重合度が高くなり過ぎる。モル比を100超とすると、アルコキシシラン等の重合度が低くなり過ぎる。触媒/アルコキシシラン等のモル比は1×10-4〜3×10-2にするのが好ましく、3×10-4〜1×10-2にするのがより好ましい。モル比が1×10-4未満であると、アルコキシシラン等の加水分解反応が十分に起こらない。モル比を3×10-2超としても、触媒効果は増大しない。
アルコキシシラン等を含む溶液を20〜60時間程度エージングする。具体的には、25〜90℃で溶液を静置するか、ゆっくり撹拌する。エージングによりゲル化が進行し、酸化ケイ素を含有するゾル及び/又はゲルが生成する。本明細書中、「酸化ケイ素を含有するゾル」には酸化ケイ素からなるコロイド粒子が分散状態になっているもののほか、凝集したコロイド粒子からなるゾルのクラスターが分散状態になっているものも含まれる。
(c) 有機修飾
ゾル及び/又はゲルに有機修飾剤の溶液を加え、ゾル及び/又はゲルと有機修飾剤溶液とが十分接触した状態にすることにより、ゾル又はゲルを構成する酸化ケイ素の末端にある水酸基等の親水性基を疎水性の有機基に置換する。好ましい有機修飾剤は下記式(1)〜(6)
MpSiClq ・・・(1)
M3SiNHSiM3 ・・・(2)
MpSi(OH)q ・・・(3)
M3SiOSiM3 ・・・(4)
MpSi(OM)q ・・・(5)
MpSi(OCOCH3)q ・・・(6)
(ただしpは1〜3の整数であり、qはq = 4−p を満たす1〜3の整数であり、Mは水素、アルキル基又はアリール基であり、アルキル基は置換又は無置換であって炭素数1〜18であり、アリール基は置換又は無置換であって炭素数5〜18である。)のいずれかにより表される化合物及びそれらの混合物である。
有機修飾剤の具体例としてトリエチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、アセトキシトリメチルシラン、アセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、2-トリメチルシロキシペント-2-エン-4-オン、n-(トリメチルシリル)アセトアミド、2-(トリメチルシリル)酢酸、n-(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルシリルプロピオレート、ノナメチルトリシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール、t-ブチルジメチルシラノール及びジフェニルシランジオールが挙げられる。
有機修飾剤溶液の溶媒はヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物が好ましい。
有機修飾剤の種類や濃度にもよるが、有機修飾反応は10〜40℃で進行させるのが好ましい。10℃未満であると、有機修飾剤が酸化ケイ素と反応し難過ぎる。40℃超であると、有機修飾剤が酸化ケイ素以外の物質と反応し易過ぎる。反応中、溶液の温度及び濃度に分布が生じないように、溶液を撹拌するのが好ましい。例えば有機修飾剤溶液がトリエチルクロロシランのヘキサン溶液の場合、10〜40℃で20〜40時間(例えば30時間)程度保持すると、シラノール基が十分にシリル修飾される。修飾率は10〜30%であるのが好ましい。
(d) 分散媒の置換
ゾル及び/又はゲルの分散媒は、前述のエージング工程においてエージングを促進したり遅らせたりする表面張力及び/又は固相−液相の接触角や、有機修飾工程における表面修飾の範囲に影響する他、後述するコーティング工程における分散媒の蒸発率にも関係する。ゲルに取り込まれている分散媒は、ゲルの入った容器に置換すべき分散媒を注ぎ、振とうした後でデカンテーション操作を繰り返すことによって置換することができる。ゾルの場合、低沸点の分散媒又は置換すべき分散媒と共沸する分散媒をゾルに加え、元の分散媒を揮発させた後、新しい分散媒を補給することによって置換することができる。
置換する分散媒としては水、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、トルエン、アセトニトリル、アセトン、ジオキサン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチルメチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル及びこれらの混合物が好ましい。
置換する分散媒としてより好ましいのは、ケトン系溶媒である。後述する超音波処理工程までにケトン系溶媒に置換しておくと、良好な分散性の有機修飾シリカ含有ゾルを得ることができる。ケトン系溶媒はシリカ(酸化ケイ素)及び有機修飾シリカに対して優れた親和性を有する。そのためケトン系溶媒中で、シリカ及び/又は有機修飾シリカは良好な分散状態になる。(a) 有機修飾反応の前にケトン系溶媒に置換してもよいし、(b) ヘキサン等を溶媒として酸化ケイ素を有機修飾した後で、ケトン系溶媒に置換してもよいが、工程数を少なくする観点から、(a) 有機修飾反応の前に置換しておくのが好ましい。
ケトン系溶媒としてより好ましいのは、60℃以上の沸点を有するものである。60℃未満の沸点を有するケトンは、後述する超音波照射の工程で揮発しすぎる。例えばアセトンを分散媒として用いると、超音波照射中にアセトンが大量に揮発してしまうため、分散液の濃度を調節し難過ぎる。また成膜工程においても素早く揮発し過ぎるため、十分な成膜時間が得られないという問題もある。さらにアセトンは人体に有害であることが知られており、作業者の健康の面からも好ましくない。
ケトン系溶媒のうち、特に好ましいのはカルボニル基の両側に異なる置換基を有する非対称なケトンである。非対称ケトンは大きな極性を有するために、シリカ及び有機修飾シリカに対して特に優れた親和性を有する。分散液中で、有機修飾シリカは200 nm以下の粒径を有するのが好ましい。有機修飾シリカの粒径が200 nmより大きいと、実質的に平滑な表面を有するシリカエアロゲル膜を形成し難過ぎる。
ケトンの有する置換基はアルキル基でもよいし、アリール基でもよい。好ましいアルキル基は炭素数1〜5程度のものである。ケトン系溶媒の具体例としてメチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンが挙げられる。
(e) 超音波処理
超音波処理により、ゲル状及び/又はゾル状の有機修飾酸化ケイ素をコーティングに好適な状態にすることができる。ゲル状の有機修飾酸化ケイ素の場合、超音波処理により、電気的な力若しくはファンデルワールス力によって凝集していたゲルが解離するか、ケイ素と酸素との共有結合が壊れて、分散状態になると考えられる。ゾル状の場合も、超音波処理によってコロイド粒子の凝集を少なくすることができる。超音波処理には、超音波振動子を利用した分散装置を使用することができる。照射する超音波の周波数は10〜30 kHzとするのが好ましい。出力は300〜900 Wとするのが好ましい。
超音波処理時間は5〜120分間とするのが好ましい。超音波を長く照射するほど、ゲル及び/又はゾルのクラスターが細かく粉砕され、凝集の少ない状態になる。このため超音波処理によって得られるシリカ含有ゾル中で、有機修飾酸化ケイ素のコロイド粒子が単分散に近い状態になる。5分未満とすると、コロイド粒子が十分に解離しない。超音波処理時間を120分超としても、有機修飾酸化ケイ素のコロイド粒子の解離状態はほとんど変わらない。
空隙率79〜57%であって、1.1〜1.2の屈折率を有するシリカエアロゲル層を形成するためには、超音波の周波数を10〜30 kHzとし、出力を300〜900 Wとし、超音波処理時間を5〜120分間とするのが好ましい。
シリカ含有ゾルの濃度や流動性が適切な範囲になるように、分散媒を加えても良い。超音波処理に先立って分散媒を添加しても良いし、ある程度超音波処理した後で分散媒を添加しても良い。分散媒に対する有機修飾酸化ケイ素の質量比は0.1〜20%とするのが好ましい。分散媒に対する有機修飾酸化ケイ素の質量比が0.1〜20%の範囲でないと、均一な薄層を形成し難いので好ましくない。
単分散に近い状態の酸化ケイ素コロイド粒子を含有するゾルを用いると、小さな空隙率を有する有機修飾シリカエアロゲル層を形成することができる。大きく凝集した状態のコロイド粒子を含有するゾルを用いると、大きな空隙率を有する有機修飾シリカエアロゲル層を形成することができる。すなわち、超音波処理時間は有機修飾シリカエアロゲル層及びそれを加熱処理することによって得られるシリカエアロゲル層の空隙率に影響すると言うことができる。5〜120分間超音波処理したゾルをコーティングすることにより、空隙率25〜90%の有機修飾シリカエアロゲル層を得ることができる。
(f) コーティング
有機修飾シリカ含有ゾルからなる層を基材1の表面11に設ける。有機修飾シリカ含有ゾルからなる層を設ける方法の例としてスプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法及びバーコート法が挙げられる。有機修飾シリカ含有ゾルをコーティングすると、ゾルの構成要素である分散媒が揮発して、有機修飾シリカエアロゲル層が形成する。
スプレーコート法によって、有機修飾シリカエアロゲル層を設ける方法を説明する。スプレーコート法に拠ると、コバ部に液だまりを生じ難いため、均一な厚さでシリカエアロゲル層を形成できる。
(f-1) 塗布装置
図3は、有機修飾シリカエアロゲル層の形成に用いる塗布装置40の一例を示す。塗布装置40は有機修飾シリカ含有ゾル5とキャリアガス6との混合物を噴霧するノズル41と、有機修飾シリカ含有ゾル5を収容する塗布液タンク42と、塗布液タンク42内の空気を吸引して負圧を発生させる空気吸引手段43と、塗布液タンク42内に正圧ガスを供給して正圧を発生させる正圧供給手段44と、ノズル41内に高圧キャリアガス6を送気するコンプレッサ45とを備えている。塗布液タンク42はノズル41の側面部に接続しており、コンプレッサ45がノズル41の軸心部に接続している。塗布装置40として、特開2003-135999号に開示されている塗布液供給システムを用いても良い。
ノズル41の先端部に旋回流発生部を有するのが好ましい。旋回流発生部により高速の旋回流を発生させると、ノズル41より吐出される有機修飾シリカ含有ゾル5とキャリアガス6との噴霧は旋回流となる。これにより噴霧中の液滴はさらに微細化される。旋回流発生部の詳細な構造は特開2003-135999号に記載されている。
(f-2) シリカエアロゲル層の形成方法
(f-2-1) 有機修飾シリカ含有ゾルのノズルへの供給
まず空気吸引手段43により塗布液タンク42内を負圧にしておいてから、正圧供給手段44により正圧ガスの流量を調整して塗布液タンク42内の圧力を調節し、負圧吸引される有機修飾シリカ含有ゾル5の流量を制御する。正圧ガスは有機修飾シリカ含有ゾル5に影響を与えないように空気又は不活性ガスが好ましい。塗布液タンク42に供給する正圧ガスの流量は、マスフローコントローラ(図示せず)により圧力や温度変化の影響を受けずに調整できる。そのため、ノズル41への有機修飾シリカ含有ゾル5の供給量を微小に制御することができる。
(f-2-2) 有機修飾シリカ含有ゾルとキャリアガスの混合及び吐出
コンプレッサ45から高圧のキャリアガス6をノズル41に送給することにより、塗布液タンク42内の有機修飾シリカ含有ゾル5はノズル41に負圧吸引される。ノズル41内で有機修飾シリカ含有ゾル5はキャリアガス6の高速気流によって微粒子化されるとともに、キャリアガス6と均一に混合し、ノズル41より噴霧状に吐出される。キャリアガス6は、有機修飾シリカ含有ゾル5と反応しないように不活性ガスであるのが好ましい。
有機修飾シリカ含有ゾル5の吐出量は1.0〜10.0 mL/分であり、キャリアガス6の吐出量は1.0〜10.0 L/分であり、有機修飾シリカ含有ゾル5の吐出量誤差は0.1 mL/分以下である。有機修飾シリカ含有ゾル5の吐出量及びその誤差が上記範囲内にあると、均一なシリカエアロゲル層を効率良く形成することができる。
有機修飾シリカ含有ゾル5とキャリアガス6の吐出量は上記の範囲内であるが、さらに詳細に言うと、有機修飾シリカ含有ゾル5とキャリアガス6との体積比が1:100〜1:10000であるのが好ましく、1:500〜1:2000であるのがより好ましい。このように噴霧中の有機修飾シリカ含有ゾル5はキャリアガス6と比べて著しく微量であるため、噴霧中の塗布液微粒子の分布は非常に均一であり、基材1上に有機修飾シリカ含有ゾル5が均一に付着することになる。有機修飾シリカ含有ゾル5に対するキャリアガス6の量が100未満であると、噴霧中の塗布液微粒子の濃度が高すぎ、均一な光学膜の形成が困難である。また有機修飾シリカ含有ゾル5に対するキャリアガス6の量が10000超であると、噴霧が薄すぎ、有機修飾シリカエアロゲル層の形成効率が悪い。
(f-2-3) 走査
ステージ100上に載置した複数の基材1上に有機修飾シリカ含有ゾル5を噴霧する場合、ノズル41はステージ100に対して一定の距離を保ちつつ水平方向に二次元的に走査可能であるのが好ましい。ステージ100を固定してノズル41をステージ100に対して二次元的に移動させても良いし、ノズル41を固定してステージ100をノズル41に対して二次元的に移動させても良い。ステージ100上の基材1の載置領域内で、ノズル41をステージ100に対し一定の距離を保ちつつ水平方向に相対的に二次元移動させながら有機修飾シリカ含有ゾル5を噴霧すると、有機修飾シリカ含有ゾル5の無駄を抑制することができる。
これに対して、ノズル41をステージ100上の一点に設置すると、ノズル41に近い基材1とノズル41から離れた基材1とで有機修飾シリカ含有ゾル5の噴霧量が異なるので、基材1間でシリカエアロゲル層の厚さが不均一になる。ノズル41の二次元的移動により、ステージ100上に置かれた全ての基材1に対して均一に有機修飾シリカ含有ゾル5を噴霧することができる。
図4はノズル12の走査方法の例を概略的に示す。ノズル41は、走査線110,110’に示すように、ステージ100上の基材1の載置領域を直線的に走査する。基材1の上をノズル41が往復するのが好ましい。図5(a) に示すように、ノズル41を一方向のみに進行させながらスプレーさせた場合、塗り残し部分50が生じる。図5(b) に示すように、ノズル41を逆方向に進行させながらスプレーすることによって往路で生じた塗り残し部分50にも塗布することができる。
図4(a) に示すように、ノズル41が基材1の上を一方向に進んだ後、所定のピッチで平行移動してから復路を進んでも良いが、図4(b) に示すように、往路とほぼ同じ道のりを戻った後で、所定のピッチで移動しても良い。図4(b)に示す走査線110’のように進行する場合、有機修飾シリカ含有ゾル5を少量ずつスプレーする。具体的には、一回の吹き付けによって10〜100 nm程度の厚さの有機修飾シリカエアロゲル層が形成する程度の吹付け量にする。少量ずつスプレーすることによって、塗り斑を少なくすることができる。各基材1の上をノズル41が2〜10回往復するのが好ましい。
ピッチは5〜20 mmであるのが好ましい。ピッチが大きいほど走査する往復回数が少なくて済むが、ピッチが20 mm超であると基材1に有機修飾シリカ含有ゾル5を均等に塗布するのが難しい。ピッチの大きさは、基材1のサイズ、載置間隔等により適宜調整する。図4に示すように、ノズル41が基材1の上方に位置するときは小さなピッチで移動し、基材1間を移動しているときは大きなピッチで移動するように設定しても良い。
ノズル41の走査速度は100〜1000 mm/秒であるのが好ましい。走査速度が早いほど生産効率が向上するが、1000 mm/秒を超えると基材1への有機修飾シリカ含有ゾル5の付着が不十分になる。また走査速度を100 mm/秒未満にしても、効率が低下するだけで、均一化の効果は変わらないノズル41と基材1の上面との距離は10〜100 mmであるのが好ましい。ノズル41と基材1の上面との距離が大きくなると、広範囲での有機修飾シリカ含有ゾル5の噴霧が可能になるが、ノズル41と基材1の上面との距離が100 mm超であると、有機修飾シリカ含有ゾル5の多くが基材1の載置領域外に拡散するため、塗布効率が低い。またノズル41と基材1の上面との距離が小さすぎると、有機修飾シリカ含有ゾル5の付着が不均一であるだけでなく、走査ピッチを小さくしなくてはならず、生産効率が悪い。
(g) 乾燥
有機修飾シリカ含有ゾル5中の溶媒は揮発性であるので、自然乾燥することができるが、50〜100℃に加熱することにより乾燥を促進しても良い。有機修飾シリカエアロゲル層の空隙率は、分散媒が揮発している間は、毛管圧によって生じるゲルの収縮のために小さくなるが、揮発し終わると、スプリングバック現象によって回復する。このため有機修飾シリカエアロゲル層の空隙率は、ゲルネットワークの元々の空隙率とほぼ同じであり、大きな値を示す。シリカゲルネットワークの収縮及びスプリングバック現象については、米国特許5,948,482号に詳細に記載されている。
(3) 酸化アルミニウム層、緻密酸化ケイ素層及びフッ化マグネシウム層
酸化アルミニウム層、緻密酸化ケイ素層及びフッ化マグネシウム層の製造方法は特に限定されず、一般的な方法に拠ることができる。これらの層の作製方法の例として、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、熱CVD、プラズマCVD、光CVD等の化学蒸着法が挙げられる。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1) 紫外線硬化樹脂層の形成
2-プロペン-1-オール及びパーフルオロ-3,6-ジオキサオクタン-1,8-二酸それぞれ0.5 molをジエチルエーテル/MIBK混合溶媒中で脱水縮合反応させることにより合成したエステル化合物と、1H, 1H, 6H, 6H-パーフルオロ-1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとの共重合体を作製した。この共重合体4g/Lと、光重合開始剤として0.01 g/Lの自己開裂型ラジカル系重合開始剤とをMIBK溶媒に加え、均一に分散させて低屈折率層用の塗布液を調整した。
図7に示す形状を有し、ポリオレフィン系樹脂[Zeonex480R(登録商標)、屈折率1.51]からなるレンズ(θmax=66.05°)1に、図3に示す装置を使用し、表1に示すスプレー条件で紫外線硬化樹脂含有溶液をスプレーコートした。ノズル41は、図4(a) に示すように走査した。スプレーコート後、UV照射装置を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射し、物理層厚103 nmのフッ素系樹脂含有層21を形成した。
Figure 0004828232
(2) シリカエアロゲル層の形成
(i) 有機修飾シリカ含有ゾルの調製
(i-1) シリカゲルの作製
テトラメトキシシラン三量体3.54 gと、メタノール30.33 gと、0.05規定のアンモニア水溶液1.92 gとを添加し、室温で72時間撹拌したところ、湿潤状態のシリカゲルが生成した。湿潤状態のシリカゲルの溶媒をデカンテーションによって除去した後、素早くエタノールを加えて振とうし、デカンテーションすることによりシリカゲルの分散媒をエタノールに置換した。その後、メチルイソブチルケトンを加えて振とうし、デカンテーションすることによりエタノール分散媒をメチルイソブチルケトンに置換した。
(i-2) 有機修飾
ゲル状のシリカにトリエチルクロロシランのメチルイソブチルケトン溶液(濃度5体積%)を加え、30時間撹拌して、酸化ケイ素末端を有機修飾した。得られた有機修飾シリカゲルをメチルイソブチルケトン洗浄した後、メチルイソブチルケトンを加えて1質量%にし、超音波処理(20 kHz、500 W、10分間)したところ、有機修飾シリカ含有ゾルが得られた。
(ii) スプレーコート
実施例1(1) で形成した紫外線硬化樹脂層上に、実施例1(2) (i) で得られた有機修飾シリカ含有ゾルを図3 に示す装置を用い、表1に示す条件でスプレーコートした。これを室温で乾燥させたところ、ゲルの収縮及びスプリングバックが起こって有機修飾シリカエアロゲル膜となった。有機修飾シリカエアロゲル膜の空隙率を測定したところ、71.5%であった。
(iii) 焼成
(ii)で得られた光学素子を100℃で1時間焼成した。この光学素子の構成を表2に示す。
Figure 0004828232
注 層No.は、レンズ側から順に第一層、第二層とする。
実施例2
図6に示す形状を有し、LaK14ガラス(屈折率1.70)からなるレンズ(θmax=70°)1に、電子ビーム式の真空蒸着装置を用いて、物理層厚162 nmとなるようにフッ化マグネシウムを蒸着した。
フッ化マグシウム層上に、実施例1(2)(i)で調製した有機修飾シリカ含有ゾルを物理層厚246 nmとなるように、スプレーコートした後、150℃で1時間焼成した。得られた光学素子の構成を表3に示す。
Figure 0004828232
注 層No.は、レンズ側から順に第一層、第二層とする。
実施例3
LaK14ガラス(屈折率1.70)からなるレンズ1の代わりに、樹脂(Zeonex480R)製のレンズ(θmax=66.05°)1を使用した以外実施例2と同様にして、レンズ1の表面11に反射防止膜2を形成した。得られた光学素子の構成を表4に示す。
Figure 0004828232
注 層No.は、レンズ側から順に第一層、第二層とする。
実施例4
図6に示す形状を有し、LaK14ガラスからなるレンズ(θmax=70°)1の第一の面11に、電子ビーム式の真空蒸着装置を用いて、表5に示す層厚になるように酸化アルミニウム層、緻密質酸化ケイ素層及びフッ化マグネシウム層を形成した。次いで、実施例1(i) で得られた有機修飾シリカ含有ゾルをフッ化マグネシウム層上にスプレーコートした後、150℃で1時間熱処理した。加熱処理後のシリカエアロゲル層の厚さは305 nmであり、屈折率は1.13であった。
Figure 0004828232
注 層No.は、レンズ側から順に第一層、第二層・・・第四層とする。
比較例1
LaK14ガラスからなるレンズ(θmax=70°)1の第一の面11に、電子ビーム式の真空蒸着装置を用いてフッ化マグネシウム層を形成した。物理層厚は126 nmとなるようにした。
比較例2
樹脂(Zeonex480R)製のレンズ(θmax=66.05°)1の第一の面11に、電子ビーム式の真空蒸着装置を用いてフッ化マグネシウム層を形成した。物理層厚は126 nmとなるようにした。
実施例1〜4並びに比較例1及び2の光学素子の表面11に、波長405 nmの平行光及び波長650 nmの平行光をそれぞれ照射し、光透過率を測定した。また参考例として、反射防止膜を有しないLaK14ガラス製レンズ(参考例1)及びZeonex480R製レンズ(参考例2)の光透過率を測定した。各光学素子の光透過率を表6に示す。なお実施例1〜4並びに比較例1及び2の傾角特性(入射角ごとに測定した反射率)を図8〜13に示す。
Figure 0004828232
注1 波長405 nmにおける光透過率と、波長650 nmにおける光透過率の平均値を示す。
注2 測定せず。
実施例1〜4の光学素子を60℃、90 RH%の恒温恒湿槽に入れ、48時間保持した後、取り出して室温で1時間保持した。各光学素子に再び波長405 nmの平行光と波長650 nmの平行光を照射し、光透過率を測定した。光透過率の測定結果を表6に併せて示した。恒温恒湿槽中に保持した後も、良好な光透過率を示した。
本発明の光学素子の一例を示す断面図である。 本発明の光学素子の別の例を示す断面図である。 本発明の光学素子の製造に用いるスプレーコート装置の一例を示す概略図である。 ノズルの走査方法の例を示し、(a) は片道毎に所定のピッチでノズルを平行移動させる例を示す概略図であり、(b) は一往復毎にノズルを平行移動させる例を示す概略図である。 塗布装置のノズルから有機修飾シリカ含有ゾルをスプレーしたレンズを示す斜視図であり、(a) はノズルを一方向に進行させた後のレンズを示し、(b) はノズルを往復させた後のレンズを示す。 実施例2及び4に用いたレンズの形状を示す断面図である。 実施例1及び3に用いたレンズの形状を示す断面図である。 実施例1の光学素子の傾角特性を示すグラフである。 実施例2の光学素子の傾角特性を示すグラフである。 実施例3の光学素子の傾角特性を示すグラフである。 実施例4の光学素子の傾角特性を示すグラフである。 比較例1の光学素子の傾角特性を示すグラフである。 比較例2の光学素子の傾角特性を示すグラフである。
符号の説明
1・・・基材
11・・・表面
2、3・・・反射防止膜
40・・・塗布装置
41・・・ノズル
42・・・塗布液タンク
43・・・空気吸引手段
44・・・正圧供給手段
45・・・コンプレッサ
5・・・有機修飾シリカ含有ゾル
6・・・キャリアガス

Claims (3)

  1. 基材と、その表面に形成された複数の層からなる反射防止膜とからなり、前記基材及び前記反射防止膜の各層の屈折率が前記基材から順に小さくなっている光学素子であって、前記光学素子は光ピックアップ用の対物レンズであり、前記基材の屈折率が1.6〜1.8であり、前記反射防止膜が前記基材側から順に物理層厚120〜160 nmの酸化アルミニウム層と、物理層厚50〜90 nmの緻密酸化ケイ素層と、物理層厚80〜120 nmのフッ化マグネシウム層と、屈折率1.05〜1.35及び物理層厚220〜350 nmのシリカエアロゲル層とを有する四層構成であることを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、前記基材が樹脂又は硝材からなることを特徴とする光学素子。
  3. 請求項1又は2に記載の光学素子において、前記シリカエアロゲル層がスプレーコート法によって形成された層であることを特徴とする光学素子。
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