JP6361095B2 - 反射防止膜、それを用いた光学部材、及び光学機器 - Google Patents

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Description

本発明はテレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載するレンズ、プリズム、フィルター等の光学部材に適用される反射防止膜、それを用いた光学部材、及び光学機器に関する。
写真用や放送用等に広く用いられている単焦点レンズやズームレンズは、一般的に多数枚のレンズからなる鏡筒構成を有しており、そのレンズ数は10枚程度から40枚程度にもなる。
レンズ枚数が多くなると各レンズ表面の反射光の総量が増加し、またその反射光が多重反射を繰り返して感光面に入射することでフレアやゴーストといった光学特性を著しく劣化させる弊害を発生させる原因となる。そのためこれらのレンズの表面には、レンズとは異なる屈折率をもつ誘電体膜を組み合わせ、各誘電体膜の光学膜厚を入射光の中心波長λに対して1/2λや1/4λに設定して干渉効果を利用した多層膜による反射防止処理が施されている。
従来の反射防止膜は可視域の範囲の入射光に対応するように設計されており、波長帯域幅の設計値は波長400〜700 nmと300 nm程度であった。しかし、反射防止膜を施すレンズの多くは表面に曲率を有するため、一般的な成膜方法ではレンズの中心部と周辺部との間に膜厚の差が生じ、光学特性に影響を与えてしまう。例えば真空蒸着法の場合、蒸着材料の蒸発源とレンズとの位置関係から、一般的に蒸発物質(蒸着材料)のレンズへの衝突入射角度が中心部に比べて周辺部は小さくなるために、周辺部の積層膜厚は中心部のそれに対し相対的に薄くなる。すなわち、中心部は設計値通りの膜厚を積層して所望の分光特性が得られるのに対し、周辺部での膜厚は設計値よりも小さくなる。そのため、レンズの周辺部での分光特性が短波長側にシフトし、長波長側の反射率が高くなってしまう。その結果、設計上回避できていたはずのフレアやゴーストといった光学特性上の弊害が発生するという問題があった。
特開2002-14204号公報(特許文献1)は、曲率を持ったレンズの周辺部分に至るまで、波長700 nm以上の長波長側も含めた広範囲な波長域で低反射率な反射防止域を得る目的で、一般的な可視域での反射防止膜の設計値のバンド幅に加えて長波長側に拡張した設計とすることで、通常の加工方法で膜厚が薄くなることにより分光特性上短波長側に波長シフトが起こる周辺部においても可視域全域で低反射率な特性を保つことのできる、積層数19〜21層の反射防止膜を開示している。この反射防止膜は、一般的な光学用基板上に基板側から空気側に向かって順にある一定の膜厚を基調とした6つのグループ層により形成され、このグループ層の各々の膜厚は425 nm<λ1<460 nm、565 nm<λ2<580 nm、500 nm<λ3<535 nm、430 nm<λ4<445 nm、450 nm<λ5<470 nm、540 nm<λ6<555 nmとしたとき、第1グループ層から順にλ1/4、λ2/2、λ3/2、λ4/2、λ5/4、λ6/4から成り、第1〜5グループ層は各々TiO2、TiO2/ZrO2の混合物、Al2O3、SiO2のうちの1つの材質より成る複数層により成り、第6グループ層はMgF2の材質より成る単一層により成る。
特許文献1の反射防止膜によれば、光線の入射角度が0〜10°の範囲内で、波長400〜790 nmでの反射率0.15%以下、波長790〜800 nmでの反射率0.3%以下の反射率特性が得られる。しかしこの反射防止膜では、波長400〜790 nmの範囲では反射率が0.15%以下であるが、波長790〜800 nmでは反射率が0.3%以下と高く、波長390〜400 nmの範囲での反射率も高いため、反射率特性が十分ではない。加えて、特許文献1の反射防止膜は5つの異なる材質からなる層を19〜21層積層して6つのグループ層を形成しているが、全体の積層数及び材質の異なる層の数を増加させることは即ち成膜時の誤差をその分累積させてしまうことになり、設計特性を得ることが難しい。
特開2002-14204号公報
従って本発明の目的は、光線の入射角度が0〜10°の範囲内で、波長390〜800 nmの広帯域において反射率が0.15%以下の反射防止膜を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、かかる反射防止膜を施した光学部材を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、かかる光学部材を有する光学機器を提供することである。
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、第1層〜第18層を基材側からこの順に積層してなる反射防止膜において、奇数層をHe光源のd線(波長587.56 nm)における屈折率が2.15以上2.70以下の高屈折率材料により形成された高屈折率層とし、第18層を除く偶数層を同じくd線における1.37以上1.93以下の中間屈折率材料により形成された中間屈折率層とし、最外層である第18層を同じくd線における屈折率が1.37以上1.40未満の低屈折率材料により形成された低屈折率層とすることにより、光線の入射角度が0〜10°の範囲内で波長390〜800 nmの広帯域において反射率0.15%以下を確保できるため、レンズの中心部及び周辺部を含む全面において極めて高い透過率特性と優れたカラーバランスを備えた反射防止膜を得ることができることを発見し、本発明に想到した。
即ち、本発明の反射防止膜、光学部材及び光学機器は以下の特徴を有している。
[1] 基材の表面上に、第1層〜第18層を前記基材側からこの順に積層してなる反射防止膜であって、
奇数層はHe光源のd線(波長587.56 nm)における屈折率が2.15以上2.70以下の高屈折率材料により形成された高屈折率層であり、
前記第18層を除く偶数層は前記d線における屈折率が1.37以上1.93以下の中間屈折率材料により形成された中間屈折率層であり、
前記第18層は前記d線における屈折率が1.37以上1.40未満の低屈折率材料により形成された低屈折率層であり、
前記低屈折率層の屈折率は前記中間屈折率層の屈折率より低く、
光線の入射角度が0〜10°の範囲内で波長390〜800 nmの範囲において反射率が0.15%以下であることが特徴とする反射防止膜。
[2] 上記[1] に記載の反射防止膜において、前記中間屈折率層と前記高屈折率層との間の屈折率差は0.77〜1.30であることが特徴とする反射防止膜。
[3] 上記[1] 又は[2] に記載の反射防止膜において、
前記高屈折率材料はTiO2、Nb2O5又はCeO2の単体又はそれらとSiO2又はAl2O3との混合物又は化合物からなり、
前記中間屈折率材料はMgF2、SiO2又はAl2O3の単体又はそれらとTiO2、Nb2O5又はCeO2との混合物又は化合物からなり、
前記低屈折率材料はMgF2の単体又はMgF2とSiO2、CaF2又はLiF2との混合物又は化合物からなることを特徴とした反射防止膜。
[4] 上記[1] 〜[3] のいずれかに記載の反射防止膜を施したことを特徴とする光学部材。
[5] 上記[4] に記載の光学部材を有することを特徴とする光学機器。
本発明によれば、第1層〜第18層を基材側からこの順に積層してなる反射防止膜において、奇数層をHe光源のd線(波長587.56 nm)における屈折率が2.15以上2.70以下の高屈折率材料により形成された高屈折率層とし、第18層を除く偶数層を同じくd線における1.37以上1.93以下の中間屈折率材料により形成された中間屈折率層とし、最外層である第18層を同じくd線における屈折率が1.37以上1.40未満の低屈折率材料により形成された低屈折率層とすることにより、光線の入射角度が0〜10°の範囲内で波長390〜800 nmの広帯域において反射率0.15%以下を確保できるため、レンズの中心部及び周辺部を含む全面において極めて高い透過率特性と優れたカラーバランスを備えた反射防止膜を得ることができ、さらにそれを用いた、フレアやゴーストといった光学特性を著しく劣化させる弊害が発生しない高性能な光学部材、そしてそれを有する光学機器を得ることができる。
本発明の一実施例による反射防止膜を示す図である。 (A) は実施例1-1の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-2の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-3の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-4の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-5の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-6の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-7の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-8の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-9の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-10の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-11の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例1-12の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-1の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-2の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-3の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-4の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-5の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-6の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-7の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-8の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-9の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-10の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-11の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例2-12の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその0°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例3-1の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその10°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例3-2の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその10°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例3-3の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその10°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例3-4の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその10°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例3-5の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその10°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。 (A) は実施例3-6の反射防止膜の基本データを示す表であり、(B) はその10°入射光に対する反射率の分光特性を示すグラフである。
図1は本発明の一実施例による基材10の表面上に基材10から順に第1層21〜第18層38を積層してなる反射防止膜20を示す図である。
図1に示す基材10は平板であるが、本発明はこれに限定されず、表面に曲率を有するレンズ、プリズム、ライトガイド、フィルム又は回折素子でも良い。基材10は、波長587.56 nmのHe光源のd線(以下、単に「d線」とする。)に対して屈折率が1.40以上2.10以下であるのが好ましい。基材10の材料は、ガラス、結晶性材料、プラスチック等の透明材料を用いても良い。具体的には、FK03、FK5、BK7、SK20、SK14、LAK7、LAK10、LASF016、LASF04 SFL03、LASF08、NPH2、TAFD4、S-FPL53(登録商標)、S-PSL5(登録商標)、S-BSL7(登録商標)、S-BAL50(登録商標)、S-BSM14(登録商標)、S-LAL7(登録商標)、S-LAL10(登録商標)等の光学ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英、青板ガラス、白板ガラス、ルミセラ(登録商標)、ゼロデュア(登録商標)、蛍石、サファイア、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アペル(登録商標)、ゼオネクス(登録商標)、アートン(登録商標)等が挙げられる。
反射防止膜20の奇数層(第1層21,第3層23,第5層25,第7層27,第9層29,第11層31,第13層33,第15層35,第17層37)はd線に対して2.15以上2.70以下の屈折率を示す高屈折率材料により形成された高屈折率層であり、第18層38を除く偶数層(第2層22,第4層24,第6層26,第8層28,第10層30,第12層32,第14層34,第16層36)はd線に対して1.37以上1.93以下の屈折率を示す中間屈折率材料により形成された中間屈折率層であり、第18層38はd線に対して1.37以上1.40未満の屈折率を示す低屈折率材料により形成された低屈折率層である。
本発明の反射防止膜としての特性に影響を与えない範囲であれば反射防止膜20にさらに膜を追加しても良い。例えば、反射防止膜の特性に影響を与えない範囲であれば、高屈折率層、中間屈折率層及び低屈折率層の間に屈折率の異なる薄い膜を挿入しても良い。また、高屈折率層、中間屈折率層及び低屈折率層と同じ光学特性が得られるのであれば、高屈折率層、中間屈折率層及び低屈折率層のうち少なくとも1層を複数の膜で置き換えても良い。
基材10の表面上に上記層構成を有する反射防止膜20を形成することにより、可視域の長波長側の波長域を含む広い波長帯に亘って反射率を十分に低減することができる。具体的には、光線の入射角度(基材10の表面に対する垂線と光線との角度を入射角度とし、表面に対して垂直に入射したときを0°入射とする。)が0〜10°の範囲内で波長390〜800 nmの範囲において反射率を0.15%以下に抑えることができる。
このように、高屈折率層と中間屈折率層との間の屈折率差は0.77〜1.30であるのが好ましい。これにより、光線の入射角度が0〜10°の範囲内で広い波長帯に亘って反射率を抑えることができる。高屈折率層と中間屈折率層との間の屈折率差は0.79〜1.30であるのがより好ましい。高屈折率層の屈折率は2.155〜2.695であるのが好ましく、中間屈折率層の屈折率は1.400〜1.925であるのが好ましい。
最外層(第18層38)である低屈折率層は中間屈折率層よりも低い屈折率を有するのが好ましい。これにより、光線の入射角度が0〜10°の範囲内で広い波長帯に亘って反射率を抑えることができる。低屈折率層の屈折率は中間屈折率層の屈折率よりも0.01〜0.56低いのが好ましく、0.03〜0.56であるのがより好ましい。低屈折率層の屈折率は1.370〜1.395であるのが好ましい。
高屈折率材料としては、TiO2、Nb2O5又はCeO2の単体又はそれらとSiO2又はAl2O3との混合物又は化合物を用いることができる。TiO2、Nb2O5及びCeO2は、その屈折率が高屈折率層の屈折率の範囲内に含まれているため、単独で高屈折率材料として用いることができる。SiO2及びAl2O3は、単独では高屈折率層の屈折率を有していないため、TiO2、Nb2O5及びCeO2のいずれかとの混合物又は化合物として用いることができる。
中間屈折率材料としては、MgF2、SiO2又はAl2O3の単体又はそれらとTiO2、Nb2O5又はCeO2との混合物又は化合物を用いることができる。MgF2、SiO2及びAl2O3は、その屈折率が中間屈折率層の屈折率の範囲内に含まれているため、単独で中間屈折率材料として用いることができる。TiO2、Nb2O5及びCeO2は、単独では中間屈折率層の屈折率を有していないため、MgF2、SiO2及びAl2O3のいずれかとの混合物又は化合物として用いることができる。
低屈折率材料としては、MgF2の単体又はMgF2とSiO2、CaF2又はLiF2との混合物又は化合物を用いることができる。MgF2は、その屈折率が低屈折率層の屈折率の範囲内に含まれているため、単独で低屈折率材料として用いることができる。SiO2、CaF2及びLiF2は、単独では低屈折率層の屈折率を有していないため、SiO2、CaF2及びLiF2のいずれかとの混合物又は化合物として用いることができる。
なお高屈折率材料、中間屈折率材料及び低屈折率材料は上記のものに限定されず、高屈折率層、中間屈折率層及び低屈折率層の所望の屈折率が得られるものであれば、適宜用いることができる。
第1層21〜第18層38の光学膜厚[屈折率(n)×物理膜厚(d)]は、基材10及び反射防止膜20の各層21〜38の屈折率に応じてコンピュータを用いて最適値を求めることができる。
高屈折率層、中間屈折率層及び低屈折率層はスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の物理蒸着法により形成するのが好ましい。特に第1層〜第17層をスパッタリング法又はイオンプレーティング法により形成し、第18層を加工精度の良い真空蒸着法により形成するのが好ましい。それにより屈折率が安定した反射防止膜20を効率良く形成することができる。
本発明の反射防止膜を施した光学部材は、優れた屈折率特性を有し、テレビカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、車載カメラ、顕微鏡、望遠鏡等の光学機器に搭載するレンズ、プリズム、フィルター等に好適に用いることができる。
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1-1〜1-12
図1に示す基材10及び反射防止膜20を用いて分光反射率のシミュレーションを行った。図2〜13の表(A) に示すように、高屈折率層21,23,25,27,29,31,33,35及び37の成膜材料としてd線に対して屈折率2.455を示すTiO2、中間屈折率層22,24,26,28,30,32,34及び36の成膜材料としてd線に対して屈折率1.644を示すAl2O3、低屈折率層38の成膜材料としてd線に対して屈折率1.388を示すMgF2を使用し、所定の屈折率を有する各基材10に対する最適な各層21〜38の光学膜厚の設計値をシミュレーションにより求めた。λ0は設計波長(550 nm)である。
各実施例1-1〜1-12の反射防止膜20の表面に入射角度0°(表面に対して垂直)で光線を入射させたときの分光反射率をシミュレーションにより求めた。その際、基材10及び反射防止膜20の各層21〜38の屈折率分散を考慮した。また基材10の反射防止膜20が形成されていない面での反射はないものとした。得られた計算結果をそれぞれ図2〜13のグラフ(B) に示す。
実施例2-1〜2-12
図14〜25の表(A) に示すように、高屈折率層21,23,25,27,29,31,33,35及び37の成膜材料としてd線に対して屈折率2.312を示すNb2O5、中間屈折率層22,24,26,28,30,32,34及び36の成膜材料としてd線に対して屈折率1.482を示すSiO2、低屈折率層38の成膜材料としてd線に対して屈折率1.388を示すMgF2を使用し、所定の屈折率を有する各基材10に対する最適な各層21〜38の光学膜厚の設計値をシミュレーションにより求めた。λ0は設計波長(550 nm)である。
各実施例2-1〜2-12の反射防止膜20の表面に入射角度0°(表面に対して垂直)で光線を入射させたときの分光反射率をシミュレーションにより求めた。その際、基材10及び反射防止膜20の各層21〜38の屈折率分散を考慮した。また基材10の反射防止膜20が形成されていない面での反射はないものとした。得られた計算結果をそれぞれ図14〜25のグラフ(B) に示す。
実施例3-1〜3-6
図1に示す基材10及び反射防止膜20を用いて分光反射率のシミュレーションを行った。図26〜31の表(A) に示すように、実施例3-1〜3-6の反射防止膜20の各層の屈折率及び光学膜厚はそれぞれ実施例1-2,1-6,1-11,2-2,2-6,2-11に対応している。
各実施例3-1〜3-6の反射防止膜20の表面に入射角度10°で光線を入射させたときの分光反射率をシミュレーションにより求めた。その際、基材10及び反射防止膜20の各層21〜38の屈折率分散を考慮した。また基材10の反射防止膜20が形成されていない面での反射はないものとした。得られた計算結果をそれぞれ図26〜31のグラフ(B) に示す。
図2〜図25のグラフ(B) から、本実施例の反射防止膜は、光線を0°入射させたとき、波長390〜800 nmの範囲において、最大反射率が0.15%以下に抑えられることが分かった。また図26〜図31のグラフ(B) から、本実施例の反射防止膜は、光線を10°入射させたときも、波長390〜800 nmの範囲において、最大反射率が0.15%以下に抑えられることが分かった。このことから本発明の反射防止膜は、光線の入射角度が0〜10°の範囲内で、可視域の長波長側の波長域を含む広い波長帯に亘って反射率を十分に低減することができ、もってフレアやゴーストといった光学特性を著しく劣化させる弊害の発生を抑制するとともに、より優れたカラーバランスを効果的に得ることができることが分かった。
10・・・基材
20・・・反射防止膜

Claims (5)

  1. 基材の表面上に、第1層〜第18層を前記基材側からこの順に積層してなる反射防止膜であって、
    奇数層はHe光源のd線(波長587.56 nm)における屈折率が2.15以上2.70以下の高屈折率材料により形成された高屈折率層であり、
    前記第18層を除く偶数層は前記d線における屈折率が1.37以上1.93以下の中間屈折率材料により形成された中間屈折率層であり、
    前記第18層は前記d線における屈折率が1.37以上1.40未満の低屈折率材料により形成された低屈折率層であり、
    前記低屈折率層の屈折率は前記中間屈折率層の屈折率より低く、
    光線の入射角度が0〜10°の範囲内で波長390〜800 nmの範囲において反射率が0.15%以下であることが特徴とする反射防止膜。
  2. 請求項1に記載の反射防止膜において、前記中間屈折率層と前記高屈折率層との間の屈折率差は0.77〜1.30であることが特徴とする反射防止膜。
  3. 請求項1又は2に記載の反射防止膜において、
    前記高屈折率材料はTiO2、Nb2O5又はCeO2の単体又はそれらとSiO2又はAl2O3との混合物又は化合物からなり、
    前記中間屈折率材料はMgF2、SiO2又はAl2O3の単体又はそれらとTiO2、Nb2O5又はCeO2との混合物又は化合物からなり、
    前記低屈折率材料はMgF2の単体又はMgF2とSiO2、CaF2又はLiF2との混合物又は化合物からなることを特徴とした反射防止膜。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の反射防止膜を施したことを特徴とする光学部材。
  5. 請求項に記載の光学部材を有することを特徴とする光学機器。
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