JP5072081B2 - 感光体静電潜像の測定装置、画像形成装置及び感光体静電潜像の測定方法 - Google Patents
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なお、ここで述べる表面電荷は、厳密には、電荷は試料内に空間的に散らばっていることは周知の通りである。このため、表面電荷とは、電荷分布状態が、厚さ方向に比べて、面内方向に大きく分布している状態を指すことにする。また、電荷は、電子だけでなく、イオンも含める。
また表面に導電部があり、導電部分に電圧が印加されて、それにより、試料表面あるいはその近傍が電位分布を生じている状態であってもよい。
また、請求項11の発明では、φ_n+1<φ_n×L_n+1/L_nであることを特徴とする。
図1(a)に本発明の実施例を示す。
荷電粒子ビームを照射する荷電粒子照射部と露光部、試料設置部、1次反転荷電粒子や2次電子などの検出部からなる。ここでいう、荷電粒子とは、電子ビームあるいはイオンビームなど電界や磁界の影響を受ける粒子を指す。
電子ビーム照射部は電子ビームを発生させるための電子銃と、電子ビームを制御するための、サプレッサ電極、引き出し電極と、電子ビームのエネルギーを制御するための加速電圧と、電子銃から発生された電子ビームを集束させるためのコンデンサレンズと、ピンホールと、電子ビームの進行方向を変えるための偏心レンズと偏心レンズを通過した電子ビームを走査させるための走査レンズと走査レンズを再び集光させるための対物レンズからなる。それぞれのレンズ等には、図示しない駆動用電源が接続されている。
2次電子や1次反転電子などを検出器する手段として、シンチレータや光電子増倍管などを用いている。通常シンチレータには引き込み電圧8〜10kV程度の高電圧を印加することで、荷電粒子を捕獲する構成となっている。
検出荷電粒子を検出器に導くために、荷電粒子衝突時に放出粒子が発生する放出粒子発生部材を配置している。
ラインのパターンを形成するために、光学系にガルバノミラーやポリゴンミラーを用いたスキャニング機構を付けても良い(図10参照)。
また、所定の位置に潜像パターンを形成するために、光偏向手段からの走査ビームを検知する同期検知手段を有しても良い。
試料の形状は、平面であっても曲面であっても良い。
走査レンズはfθ特性を有しており、光偏光器が一定速度で回転しているときに、光ビームは像面に対して略等速に移動する構成となっている。また、ビームスポット径も略一定に走査可能な構成となっている。
従って、試料SPにおける「負極性に均一帯電している部分」である図のQ1点やQ2点で発生した2次電子el1、el2は、荷電粒子捕獲器24の正電位に引かれ、矢印G1や矢印G2で示すように変位し、荷電粒子捕獲器24に捕獲される。
即ち、荷電粒子捕獲器24により検出される2次電子の強度(2次電子数)は、強度の大きい部分が「静電潜像の地の部分(均一に負帯電している部分 図3(a)の点Q1やQ2に代表される部分)」に対応し、強度の小さい部分が「静電潜像の画像部(光照射された部分 図3(a)の点Q3に代表される部分)」に対応することになる。
例えば、捕獲される2次電子の強度を「明るさの強弱で表現」すれば、静電潜像の画像部分は暗く、地の部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じた明暗像として表現(出力)することができる。勿論、表面電位分布が知れれば、表面電荷分布も知ることができる。
軸ずらしをすると収差が大きくなるので解像度が低下することになるが、それ以上に感光体の静電潜像変動を抑制する課題対して有効な手段である。
エミッタの中心から第1のピンホールまでの距離をL1,ピンホール直径をφ1
エミッタの中心から第2のピンホールまでの距離をL2,ピンホール直径をφ2
とすれば、第2のピンホールでの放射光の直径は幾何学計算ではφ3=φ1×L2/L1となるので、
偏心量としては、0.5×(φ3+φ2)だけずらせばよい。放射光を完全に遮光することが可能である。
L1=50mm,L2=100mm,φ1=φ2=0.05mmの場合、0.075mm以上偏心させれば、放射光を遮光することが可能である。また、0.075mm以下の場合は、完全には遮光できないがずらすことにより大幅に低減することができる。
従って、試料に到達する放射光を試料の観察領域からはずすことで、放射光による静電潜像変動を抑制することができる。
エミッタから放出される放射光照射光を低減するための別な方法として、放射光が照射される鏡筒内に反射防止コートを施す方法がある。
反射防止箇所としては、鏡筒内のさらに放射光があたりやすく漏れやすいところが適切である。ピンホール近傍や放射光が直接あたる狭い空間であればなおよい。
反射防止膜としては、誘電体多層膜がある。誘電体多層膜だと電荷が蓄積されてしまうが、これに対して、導電性反射防止膜であるとなおよい。膜構造として、Sn/In2O3超微粒子や貴金属超微粒子を使用することにより、導電性を上げることが出来る。10^9Ω/sq以下程度であれば、電荷がその場にたまって電場環境が変わることを防止することが可能である。
図8(b)のように狭い空間では、放射光が散乱しやすい領域であるため、この内側面をサブ波長構造とすると効果的である。
エミッタの中心から第nのピンホールまでの距離をL_n,ピンホール直径をφ_n
エミッタの中心から第n+1のピンホールまでの距離をL_n+1,ピンホール直径をφ_n+1
とすれば、第nのピンホールでの放射光の直径は幾何学計算ではφ_n×L_n+1/L_nとなるので、
放射光量としては、
[(φ_n+1×L_n) / (φ_n×L_n+1)]^2
だけ抑制することができる。
この方式により、光量を大幅に抑制することができる。
電子銃としては、熱電界放出電子銃が良い。ここでいう熱電界放出電子銃とは、陰極を高温に加熱し、かつ電界を印加させて、電子を放出させる電子銃を指す。ショットキー電子銃も含まれる。ショットキー電子銃の構成を図9に示す。陰極の加熱温度が1000K以下700K程度であれば、熱電界放出現象であり、陰極の加熱温度が1000K以上で1800Kと高温度であれば、ショットキー放出となる。通常ZrO/Wエミッタが使われる。熱電子銃と比べて輝度が高く、電子源も小さい。電界放出電子銃と比較すると、陰極が1800Kという高温度に加熱されているため、電流安定度が高いこと、大きなプローブ電流が得られること、動作圧力が若干高くても良いこと、などの優位性を持つ。
フィラメントが加熱されると発光されるデメリットがあるが、それは、上述の方法で抑制することができる。
表面電荷分布や表面電位分布のプロファイルを測定することにより、さらに高精度に測定することが可能である。
試料下部の試料設置部は、電圧Vsubを印加できる電圧印加部が接続されている。また、試料上部は、入射電子ビームが試料電荷の影響を受けることを抑制するために、グリッドを配置した構成となっている。
入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが、試料到達前に反転するような状態が存在する領域が存在し、その1次入射荷電粒子を検出する構成となっている。
電子ビームの加速電位ポテンシャルをVacc(<0)、試料の電位ポテンシャルをVp(<0)とする。
電位とは、単位電荷が持つ電気的な位置エネルギである。したがって、入射電子は、電位0(V)では加速電圧Vaccに相当する速度で移動する。すなわち、電子の電荷量をeとし電子の質量をmとすると、電子の初速度v0は、mv02/2=e×|Vacc|で表される。真空中ではエネルギ保存の法則により、加速電圧の働かない領域では等速で運動し、試料面に接近するに従い、電位が高くなり、試料電荷のクーロン反発の影響を受けて速度が遅くなる。
同図(a)において、|Vacc| ≧ |Vp|なので、電子は、速度は減速されるものの、試料に到達する。
同図(b)において、|Vacc| < |Vp| 場合には、入射電子の速度は試料の電位ポテンシャルの影響を受けて、徐々に減速し、試料に到達する前に速度が0となって、反対方向に進む。
したがって、入射電子のエネルギーを変えたときの、試料面上でのエネルギーすなわちランディングエネルギがほぼ0となる条件を計測することで、表面の電位を計測することができる。ここでは1次反転荷電粒子、特に電子の場合を1次反転電子と呼ぶことにする。試料に到達したとき発生する2次電子と1次反転荷電粒子では、検出器に到達する量が大きく異なるので、明暗のコントラストの境界より、識別することができる。
これに対して、1次反転電子は、試料表面の電位分布の影響を受けて、試料表面に到達する前に反転する電子のことで有り、全く異なる現象である。
各走査位置(x,y)で、加速電圧Vaccと、試料下部印加電圧Vsubとの差をVth(=Vacc−Vsub)とすれば、ランディングエネルギがほぼ0となるときのVth(x,y)を測定することで電位分布V(x,y)を測定することができる。Vth(x,y)は、電位分布V(x,y)とは一意的な対応関係があり、Vth(x,y)はなだらかな電荷分布などであれば、近似的に電位分布V(x,y)と等価となる。
この方法を用いることにより、従来困難であった、潜像プロファイルをミクロンオーダーで可視化することが可能となる。
その場合には、静電場環境や電子軌道をあらかじめ計算しておき、それをもとに補正することにより、さらに高精度に計測することが可能となる。
本実施形態の静電潜像測定装置で行われる静電潜像測定方法で感光体を評価することにより、潜像形成の過程が定量的に詳細に解析できるので、露光量を最適化することができ、感光体に負担のかからない帯電及び露光条件が分かり、省エネルギー、高耐久が実現できる。
ここでのビームスポット径は、ビームスポット光量分布が最大光量のe-2以上である範囲の径で定義している。潜像径は潜像電荷密度分布が光の当たっていない部分の電荷密度を基準として最も電荷密度差が大きい部分の電荷密度差のe-2以上である範囲の径で定義している。
1.0<B/A<2.0
を満足する感光体を選定すれば、最終出力画像で階調性、鮮鋭性の安定性が実現できる。
(1)請求項1に対する作用効果
試料の観察領域に対して、エミッタから放出される放射光が試料に照射されないように遮光する手段を有することにより、静電潜像変動を抑制することが可能となり、感光体の静電潜像をミクロンオーダーの分解能で高精度に測定することが可能となる。また、ピンホールの電子銃側に電子がピンホールに通過するための電子レンズを用いることにより、試料に到達する放射光量を問題無いレベルまで低減させることができる。
電子ビームの中心軸に対して偏心させることにより、電子ビームと放射光とを分離することができ、放射光を遮光することが実現できる。
その結果、静電線像をミクロンオーダーの高分解能に測定することが可能となる。
多極子レンズを用いることにより、電子ビームを容易に偏向させることが可能となり、電子ビームと放射光とを分離することができ、放射光を遮光することが実現できる。
その結果、静電線像をミクロンオーダーの高分解能に測定することが可能となる。
反射防止手段を用いることにより、放射光が部材に当たって、反射・散乱して、試料に照射される光量を抑制することができる。なおかつ、誘電体でなく導電性の反射防止手段により、鏡筒内に電荷が蓄積されて、電場環境を乱すことが無い。
導電性反射防止手段として、8百ナノメートル以下の周期構造をもつサブ波長構造体を用いることにより、コーティングなど新たな処理をすることなく、反射防止を実現することができる。また、特定の波長に依存せず、角度依存性も少ないため、帯域が広い放射光の散乱防止に有効である。
フィラメントを加熱する手段と電界を印加する手段を有する電子銃を用いることにより、電流安定度が高く、帯電時に必要な大きなプローブ電流が得られることができる。
入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが、反転するような領域が存在する条件下で測定する手段を有することにより、電位深さの定量化計測を可能とし、電位分布を高精度に測定することが可能となる。
請求項1〜8のいずれか測定方法及び測定装置を用いて、静電潜像を評価することにより、設計にフィードバックすることができ、各工程のプロセスクォリティが向上するため、高画質、高耐久、高安定、省エネルギー化に優れた潜像担持体及び走査光学系を提供することができ、現像して可視化することにより、高密度・高画質・高耐久な画像形成装置を提供することができる。
試料の観察領域に対して、エミッタから放出される放射光照射による静電潜像変動を低減するために、放射光を遮光することにより、静電潜像変動を抑制することが可能となり、感光体の静電潜像をミクロンオーダーの分解能で高精度に測定することが可能となる。また、ピンホールの電子銃側に電子がピンホールに通過するための電子レンズを用いることにより、試料に到達する放射光量を問題無いレベルまで低減させることができる。
Claims (11)
- 試料に対して、電子ビームを照射することで、試料上に帯電電荷を生成させる手段と、
静電潜像を形成させるための露光光学系手段と、
試料面を電子ビームで走査し、該走査で得られる検出信号により、試料面の静電潜像分布を測定する感光体静電潜像の測定装置において、
試料の観察領域に対して、エミッタから放出される放射光照射による静電潜像変動を低減する放射光遮光手段を有し、
前記放射光遮光手段は、2つのピンホール間に電子レンズを配置した構成からなり、
電子レンズの試料側に配置されたピンホールの直径φ_n+1、
電子レンズの電子銃側に配置したピンホールの直径φ_n、
エミッタの中心から前記試料側に配置されたピンホールまでの距離L_n+1、
エミッタの中心から前記電子銃側に配置されたピンホールまでの距離L_nとするとき、
φ_n×L_n+1/L_nに応じて放射光量を抑制することを特徴とする感光体静電潜像の測定装置。 - 放射光遮光手段として、電子ビームの中心軸に対して偏心させる手段を有することを特徴とする請求項1記載の感光体静電潜像の測定装置。
- 電子ビームの中心軸に対して偏心させる手段として、多極子レンズを用いる手段を有することを特徴とする請求項2記載の感光体静電潜像の測定装置。
- エミッタから放出される放射光が照射される領域に、導電性反射防止手段を用いることを特徴とする請求項1記載の感光体静電潜像の測定装置。
- 導電性反射防止手段として、8百ナノメートル以下の周期構造をもつサブ波長構造体であることを特徴とする請求項4記載の感光体静電潜像の測定装置。
- φ_n+1<φ_n×L_n+1/L_nであることを特徴とする請求項1記載の感光体静電潜像の測定装置。
- 電子源として、フィラメントを加熱する手段と電界を印加する手段を有することを特徴とする請求項1記載の感光体静電潜像の測定装置。
- 入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが、反転するような領域が存在する条件下で測定する手段を有することを特徴とする請求項1記載の感光体静電潜像の測定装置。
- 請求項1から8のいずれかに記載の測定装置を用いて計測した潜像担持体の感光面に対して光走査を行うことにより潜像を形成し、現像して可視化することを特徴とする画像形成装置であって、
書き込み光源波長が780nm以下であり、かつ、前記感光体面でのビームスポット径が60μm以下であり、感光体面でのビームスポット径をAとし、形成される潜像径をBとした時に、1.0<B/A<2.0を満足することを特徴とする画像形成装置。 - 試料に対して、荷電粒子を照射することで、試料上に帯電電荷を生成し、レーザー光学系を用いて静電潜像を形成し、試料面を電子ビームで走査し、該走査で得られる検出信号により、試料面の静電潜像分布を測定することを特徴とする感光体静電潜像の測定方法において、
試料の観察領域に対して、エミッタから放出される放射光照射による静電潜像変動を低減するために、放射光を2つのピンホール間に電子レンズを配置した構成からなる遮光手段を用いて遮光し、
電子レンズの試料側に配置されたピンホールの直径φ_n+1、
電子レンズの電子銃側に配置したピンホールの直径φ_n、
エミッタの中心から前記試料側に配置されたピンホールまでの距離L_n+1、
エミッタの中心から前記電子銃側に配置されたピンホールまでの距離L_nとするとき、
φ_n×L_n+1/L_nに応じて放射光量を抑制する
こと特徴とする感光体静電潜像の測定方法。 - φ_n+1<φ_n×L_n+1/L_nであることを特徴とする請求項10記載の感光体静電潜像の測定方法。
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