JP5081328B2 - 静電潜像の測定装置、静電潜像の測定方法および画像形成装置 - Google Patents
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なお、厳密には、電荷は試料内に空間的に散らばっていることは周知の通りである。このため、ここで述べる表面電荷とは、電荷分布状態が、厚さ方向に比べて、面内方向に大きく分布している状態を指すことにする。また、電荷の概念には、電子だけでなく、イオンも含める。
また、表面に導電部があり、導電部分に電圧が印加されることにより、試料表面あるいはその近傍が電位分布を生じている状態であってもよい。
また、LSIチップの評価として、電子ビームを用い、1ミクロンオーダーの電位を計測する方法は、従来から知られている。しかし、評価は、LSIの電気が流れる導電部に対してであり、電位は高々+5V程度の低電位であり、かつ電位が限定され、本発明の測定対象である数百〜数千Vの負電荷に対応することはできない。
試料表面に電荷分布があると、空間に表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。このため、入射電子によって発生した2次電子はこの電界によって押し戻され、検出器に到達する量が減少する。従って、電界強度が強い部分は暗く、弱い部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じたコントラスト像を検出することができる。従って、露光した場合には、露光部が黒、非露光部が白となり、これより形成された静電潜像を測定することができる。
半導体レーザーは、基準以上の駆動電流を与えることでレーザー発振をするが、光応答性を高めるため、光の消灯のタイミングでも基準以下の一定の駆動電流(これを「バイアス電流」という)を常に供給している。バイアス電流があるとLED発光を起こす。LED発光とは、半導体レーザーを用いる場合は消灯の状態であっても発光していることを意味する。このときの光量は微弱ではあるため、照射時間が短い場合には静電潜像に影響しない。しかしながら長時間照射されると積分光量が増加し、感光体の必要露光量に達すると、静電潜像が形成されてしまう。この結果、所望の静電潜像を形成することができない。
従って、半導体レーザーを用いて、所望の静電潜像を形成するためには、消灯時のバイアス電流で発光される試料への照射時間を極力抑える必要がある。
走査領域の変化量は、帯電電位や試料高さなど様々な条件が変わるため、予め予測することは容易ではない。
放出粒子としては電子やイオンがあり、電子を検出して計測することが一般的であるが、検出器にマイナスの引き込み電圧を与えてプラスイオンを検出し、コントラスト像を観察することも可能である。
以上の各構成部品は真空チャンバ内に組み込まれている。
試料30にラインのパターンを形成するために、光学系にガルバノミラーやポリゴンミラーを用いたスキャニング機構を付けても良い。
図10(c)に、発光点をx軸方向と,y軸方向に平面に配置した面発光レーザー(VCSEL)からなる光走査装置の光源部の構成例を示す。この構成例は、水平方向(主走査方向)にm個(図では3個)、垂直方向(副走査方向)にn個(図では4個)、計m×n個(図では12個)の発光点を有する面発光レーザーを用いた例である。この構成例を、図10(a)に示す光走査装置に適用することにより、m×n個の走査線を同時に走査するように構成することができる。
また、所定の位置に潜像パターンを形成するために、光偏向手段からの走査ビームを検知する同期検知手段37を有してもよい。
試料30の形状は、平面であっても曲面であってもよい。
試料30と光源21の間には、半導体レーザーからの光束を時間的に遮光することが可能なシャッタ39が配置されている。
光の点滅で潜像画像パターンを形成する場合、光応答性を高くする必要がある。例えば、1μs以下で変調させる場合、パターン光パルス再現性向上やドループ特性改善の画像データが消灯のタイミングであっても、LDにバイアス電流を常に流しておく必要がある。
このため光応答性を重視して、LD消灯時でもバイアス電流を流しつづけている。
しかしながら、長時間照射されると積分光量が増加し、感光体の必要露光量に達すると、静電潜像が形成されてしまう。この結果、所望の静電潜像を形成することができない。
具体的な手段としては、LD光源と試料の間に前記シャッタ39を用いてもよい。すなわち、露光前はシャッタ39を閉じて光束が通過しないような構成とし、露光時はシャッタ39を開けて光束が通過するように構成にすることで、オフセット発光を遮光させることができる。
また、露光後は、必要に応じて、露光終了検知信号を与えてシャッタ39を閉めることができる。
そして、上述のシャッタ機構を配置して、LDバイアス電流によるオフセット光をカットすることにより、図11に示すような、潜像画像パターンなどの所望の静電潜像を形成することができる。
従って、試料30における「負極性に均一帯電している部分」である図3のQ1点やQ2点で発生した2次電子el1、el2は、荷電粒子捕獲器24の正電位に引かれ、矢印G1や矢印G2で示すように変位し、荷電粒子捕獲器24に捕獲される。
従って、2次電子検出部25で得られる電気信号を、信号処理部で適当なサンプリング時間でサンプリングすれば、前述の如く、サンプリング時刻:Tをパラメータとして、表面電位分布:V(X,Y)を「サンプリングに対応した微小領域」ごとに特定することができる。信号処理部により上記表面電位分布(電位コントラスト像):V(X,Y)を2次元的な画像データとして構成し、これをアウトプット装置で出力すれば、静電潜像が可視的な画像として得ることができる。
このようにすると、帯電部は2次電子検出量が多く、露光部は2次電子検出量が少ない明暗のコントラスト像が生じる。暗の部分を露光による潜像部とみなすことができる。明暗の境界を潜像の潜像径とすることができる。
このようにして、感光体の静電潜像をミクロンオーダーの高分解能で計測することが可能となる。
これを実現する手段として、走査光学系の同期信号を、シャッタを開くためのトリガ信号とすれば、書き出しのタイミングを揃えることができる。
いま、
トリガ信号を検知してから、シャッタが開き始める時間をTd、
シャッタが開き始めてから、レーザー光の有効径相当が開くまでの時間をTr、
とすれば、トリガ出力となる同期信号を受けてから、Td+Trの時間だけ遅れてシャッタが開く。従って、その遅れ分を考慮してLDを点灯させなければならない。すなわち、トリガ出力となる同期信号を受けてから、Td+Trの時間だけ遅れてLDを点灯させることが望ましい。
この時間の許容量は
Tr<Tf*Pon/Poff
であり、この式の範囲内に収める必要がある。
Tr<250μs*200=50ms
すなわち、Trは50ms以内であることが望ましい。
また、Tf=100μs,Pon=1mW,Poff=50μWの場合、
Tr<2ms
となる。この条件を満足する条件や方式を適宜選択することにより、さらにノイズ光の小さい静電潜像を形成することが可能となり、その結果、高精度に静電潜像を計測することが可能となる。
シャッタ手段としては、メカニカルシャッタを用いると良い。ここで述べる、メカニカルシャッタとは、光路進行方向に対して、物体が有る状態と無い状態を作り出し、その違いで、光路進行方向を変えることで、測定試料に光線を到達/遮光状態を作り出すことが可能な手段を指す。図9はその一例を示している。この例は、スライダが光路に直交する方向にスライドして光路を開閉するように構成されている。
また、メカニカルではあるが、電気信号にて制御可能な構成であってもよい。これにより、同期に合わせたより適切なタイミングで開閉することができる。
シャッタ手段として、メカニカルシャッタを用いることにより、レーザー光の透過波面を劣化させることなく、高速に、オフセット発光を遮光することができる。
なお、加速電圧は、正で表現することが一般的であるが、加速電圧の印加電圧Vaccは負であり、電位ポテンシャルとして、物理的意味を持たせるためには、負で表現する方が説明しやすいため、ここでは加速電圧は負(Vacc<0)と表現する。
電子ビームの加速電位ポテンシャルをVacc(<0)、試料の電位ポテンシャルをVp(<0)とする。
mv02/2=e×|Vacc|
で表される。真空中ではエネルギ保存の法則により、加速電圧の働かない領域では等速で運動し、試料面に接近するに従い、電位が高くなり、試料電荷のクーロン反発の影響を受けて速度が遅くなる。
図13(a)において、|Vacc|≧|Vp|なので、電子は、速度は減速されるものの、試料に到達する。
図13(b)において、|Vacc|<|Vp|の場合には、入射電子の速度は試料の電位ポテンシャルの影響を受けて、徐々に減速し、試料に到達する前に速度が0となって、反対方向に進む。
これに対して、1次反転電子は、試料表面の電位分布の影響を受けて、試料表面に到達する前に反転する電子のことであり、全く異なる現象である。
1.0<B/A<2.0
を満足する感光体を選定すれば、階調性、鮮鋭性が安定した最終出力画像を得ることができる画像形成装置を実現することができる。
ここで、下限の1.0は、光の散乱及び電荷の拡散はどんな感光体でも必ず起こるので、これ以下にはならないという原理的な限界であり、上限の2.0は、最終出力画像で階調性、鮮鋭性の安定性を確保するために必要な限界である。
従って、このまま非帯電時の寸法で、取り込んだ画像データから、寸法を計測すると倍率変動分だけ、誤差を生じる。よって、帯電時の倍率を精度良く計測する必要がある。
取り込んだ画像データの実際の寸法を計測するために、寸法が既知のパターンを露光して、寸法が既知の潜像パターンを形成するための座標補正用の露光光学系50(図16参照)を有していることがこの実施例の一つの特徴である。
β=L2/L1
となる。マスクパターン54は、光源51からの平行光が透過する部分と遮光する部分になるようなパターンがある。光ビームは、マスクパターン54により透過あるいは回折あるいは散乱を起こして、試料30方向に進む。結像レンズ56は、マスクパターン54と試料30の面とが共役となるように配置されている。結像倍率βとパターンサイズは予めわかっているので、試料30の面上に生じるパターンサイズやピッチを算出することができ、試料面に所望の潜像パターンを形成することができる。
d/(x2−x1)
で得ることができる。これにより、P1−P2方向の取り込み画像1画素当たりの間隔を正確に測定することができる。
d/(y3−y1)
で得ることができる。これにより、P1−P3方向の取り込み画像1画素当たりの間隔を測定することができる。
中心位置を、潜像画像の信号強度の重心より算出する方法がある。これを用いれば、中心位置は1画素以下で算出できるので、寸法を高精度に計測することが可能となる。
これにより帯電に伴う平均倍率を良好に補正することができる。
この局所的な倍率補正手段として、一列に3個以上で、なおかつ試料面上のピッチが既知である潜像パターンを形成するとよい。具体的には、等間隔のパターンを与えて、潜像パターンの不等間隔度合いから、リニアリティを計測するとよい。
取り込み画像データ上で隣り合う潜像パターンの中心位置をPi(xi,y0),Pj(xj,y0)とすると、Pi−Pj間の画像1画素当たりの間隔は、
d/{P_j(x_i+1,y0)−Pi(xi,y0)}
で表すことができる。各々の潜像パターンで同様の計算を行うことにより、局所的な倍率変動を算出することができる。別な算出方法としては、複数の潜像パターンの1つを基準として、算出してもよい。
歪曲収差が大きい条件では、周辺のピッチを細かくしてもよい。
また、不等間隔にすることも容易であるため、帯電による歪が有る状態で、潜像パターンが等間隔になるように形成し、LDの電気信号のON/OFF条件から、倍率変動を計測することもできる。
また、寸法を計測すべき露光光学系と評価すべき露光光学系とを共通で使用してもよい。走査光学系は、もともと等間隔に画像パターンを点灯させるように設計されているため、上記両光学系と条件が適合するし、省スペースであるだけでなくシステムを単純化することができ、寸法を安定して計測することができる。
寸法計測補正のための潜像パターンと評価すべき静電潜像を同時に形成することにより、1回ごとに、実際の帯電による倍率変動の影響を補正することができ、高精度に測定することができる。
このような方式を用いることにより、従来は困難であった、帯電時の試料面上の寸法を1μm以下での高分解能で計測することが可能となる。
露光エネルギ密度が10mJ/m2より大きいと潜像は形成されるが、過剰露光となって潜像が大きくなり、中心位置計測精度が悪くなる。
潜像のサイズが10μm以下になると、一般的には、サイズが小さく潜像も深く形成されるので、望ましいように見えるが、焦点深度が狭いのでフォーカス位置より少しでも離れると、感光体面でのビームスポットサイズが大きくなってしまい、誤差要因となる。
潜像のサイズが100μm以上になると、中心位置計測精度が悪くなる。
半導体レーザーは、基準以上の駆動電流を与えることでレーザー発振をするが、光応答性を高めるため、光の消灯のタイミングでも基準以下の一定の駆動電流(バイアス電流)を常に供給している。バイアス電流があるとLED発光を起こす。すなわち、半導体レーザーを用いる場合は消灯の状態であっても発光していることを意味する。この点も前に説明した。
a<b<cの関係が成立する。IFが小さい場合には、LED発光で微弱であり、IFが基準電流に達するとレーザー発振をする。通常レーザー発振は1〜10mW程度に比べて、消灯時のバイアス電流は、数十μWと1/100以下程度であり、通常問題になることはない。
このため光応答性を重視して、LD消灯時でもバイアス電流を流しつづけている。
しかしながら長時間照射されると積分光量が増加し、感光体の必要露光量に達すると、静電潜像が形成されてしまう。この結果、所望の静電潜像を形成することができない。
具体的な手段の一例として、LD光源と試料の間にシャッタを用いるとよい。すなわち、露光前はシャッタを閉じて光束が通過しないような構成とし、露光時はシャッタを開けて光束が通過するように構成にすることで、オフセット発光を遮光させることができる。
そして、シャッタ機構を配置して、LDバイアス電流によるオフセット光をカットすることにより、図19に示すような、潜像画像パターンなどの所望の静電潜像を形成することができる。
11 電子銃
19 検出器
20 露光部
21 LD光源
30 感光体試料
35 光偏向器(ポリゴンミラー)
39 シャッタ
Claims (10)
- 真空チャンバ内の試料に対して電子ビームを照射することで上記試料上に帯電電荷を生成させる手段と、
上記帯電された上記試料面に静電潜像を形成させるための露光光学系と、
上記試料面を電子ビームで走査し、この走査で得られる検出信号により上記試料面の静電潜像分布を測定する静電潜像の測定装置において、
波長400〜800nmの光を照射することで上記試料面上の寸法が既知の潜像パターンを形成する手段と、
上記静電潜像として得られる潜像画像を取り込む手段と、
上記試料の座標を計測する手段と、
を有してなることを特徴とする静電潜像の測定装置。 - 上記寸法が既知の潜像パターンを形成する手段として、寸法が既知のマスクパターンを投影露光する手段を有することを特徴とする請求項1記載の静電潜像の測定装置。
- 上記試料面上の間隔が既知である潜像パターンを2個以上形成し、上記取り込まれた潜像画像から平均倍率を計測することを特徴とする請求項1記載の静電潜像の測定装置。
- 上記試料面上のピッチが既知である潜像パターンを一列に3個以上形成し、上記取り込まれた潜像画像から、局所的倍率変動を計測することを特徴とする請求項3記載の静電潜像の測定装置。
- 光源からの光束を、偏向反射面を持つ光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向光束を走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光して、感光体試料面に対して等速的な光走査を行なう光走査装置を用いて、間隔が既知の潜像パターンを形成し、静電潜像として得られる潜像画像を取り込んだデータから、上記試料の座標を計測することを特徴とする請求項1記載の静電潜像の測定装置。
- 照射する露光エネルギ密度が0.5〜10mJ/m2、かつ、1つの潜像のサイズが100um以下であることを特徴とする請求項1記載の静電潜像の測定装置。
- 入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転するような領域が存在する条件下で測定する手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電潜像の測定装置。
- 半導体レーザーのパターン点灯に連動してシャッタを開放する手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電潜像の測定装置。
- 試料に対して電子ビームを照射することで上記試料上に帯電電荷を生成させる手段と、
上記帯電された上記試料面に静電潜像を形成させるための露光光学系と、
上記試料面を電子ビームで走査する走査手段と、
を有してなる静電潜像の測定装置が、上記走査手段による走査で得られる検出信号により上記試料面の静電潜像分布を測定する静電潜像の測定方法において、
上記試料面上で、波長400〜800nmの光を照射することで寸法が既知の潜像パターンを形成し、
上記静電潜像として得られる潜像画像を取り込んだデータから、上記試料の座標を計測することを特徴とする静電潜像の測定方法。 - 請求項1乃至9のいずれかに記載の静電潜像の測定装置または測定方法を用いて計測した潜像担持体の感光面に対して光走査を行うことにより潜像を形成し、現像して可視化する画像形成装置であって、
書き込み光源波長が780nm以下であり、
上記感光体面での副走査方向のビームスポット径が60μm以下であり、
上記感光体面での副走査方向のビームスポット径をAとし、形成される副走査方向の潜像径をBとしたときに、
1.0<B/A<2.0
を満足することを特徴とする画像形成装置。
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