JP5081024B2 - 静電潜像の測定装置、静電潜像の測定方法および画像形成装置 - Google Patents

静電潜像の測定装置、静電潜像の測定方法および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、静電潜像の測定装置、静電潜像の測定方法および画像形成装置に関するもので、電子写真プロセスにおける静電潜像の測定装置として、また高画質の画像を得ることができる画像形成装置ものである。
本発明は、従来技術ではきわめて困難であった、誘電体の表面に生じている電荷分布あるいは電位分布をミクロンオーダーで高分解能の計測する装置および計測方法を提供することを目的とし、特に、走査光学系にて露光された感光体上の静電潜像を測定する装置および方法を提供すること、さらには高品質の画像を得ることができる画像形成装置提供することを目的とする。
なお、厳密には、電荷は試料内に空間的に散らばっていることは周知の通りである。このため、ここで述べる表面電荷とは、電荷分布状態が、厚さ方向に比べて、面内方向に大きく分布している状態を指すことにする。また、電荷の概念には、電子だけでなく、イオンも含める。
また、表面に導電部があり、導電部分に電圧が印加されることにより、試料表面あるいはその近傍が電位分布を生じている状態であってもよい。
従来、感光体などの表面電位を計測する方法としては、センサヘッドを電位分布を有する試料に近づけ、そのときの相互作用としておこる、静電引力や誘導電流を計測し、これを電位分布に換算する方式がある。この方式では、分解能が原理的に数ミリ程度と悪く、1ミクロンの分解能を得ることができない。
また、LSIチップの評価として、電子ビームを用い、1ミクロンオーダーの電位を計測する方法は、従来から知られている。しかし、評価は、LSIの電気が流れる導電部に対してであり、電位は高々+5V程度の低電位であり、かつ電位が限定され、本発明の測定対象である数百〜数千Vの負電荷に対応することはできない。
電子ビームによる静電潜像の観察方法としては、特許文献1記載のものなどがある。従来の静電潜像の観察方法では、試料として、LSIチップや静電潜像を記憶・保持できる試料に限定されている。すなわち、暗減衰を生じる通常の感光体に形成される静電潜像は測定することができない。通常の誘電体は電荷を半永久的に保持することができるので、電荷分布を形成後、時間をかけて測定を行っても、測定結果に影響を与えることはない。しかしながら、感光体の場合は、抵抗値が無限大ではないので、電荷を長時間保持できず、暗減衰が生じ、時間とともに表面電位が低下してしまう。感光体が電荷を保持できる時間は、暗室であってもせいぜい数十秒である。従って、帯電・露光後に電子顕微鏡(SEM)内で観察しようとしても、その準備段階で静電潜像は消失してしまう。
また、特許文献2に記載されている発明においては、使用波長が全く異なる上に、任意のラインパターンや、所望のビーム径およびビームプロファイルの潜像を形成することは不可能であり、本発明の目的を達成することができない。
そこで、我々は、暗減衰を有する感光体試料であっても静電潜像を測定する方式を考案した(例えば、特許文献3〜5参照)。
試料表面に電荷分布があると、空間に表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。このため、入射電子によって発生した2次電子はこの電界によって押し戻され、検出器に到達する量が減少する。従って、電界強度が強い部分は暗く、弱い部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じたコントラスト像を検出することができる。従って、露光した場合には、露光部が黒、非露光部が白となり、これより形成された静電潜像を測定することができる。
ところで、静電潜像を形成するための露光光源として、波長が可視光領域から赤外光領域の半導体レーザー(以下「LD」という場合もある)を用い、光の点灯および消灯で静電潜像を形成する方法がある。
半導体レーザーは、基準以上の駆動電流を与えることでレーザー発振をするが、光応答性を高めるため、光の消灯のタイミングでも基準以下の一定の駆動電流(これを「バイアス電流」という)を常に供給している。バイアス電流があるとLED発光を起こす。LED発光とは、半導体レーザーを用いる場合は消灯の状態であっても発光していることを意味する。このときの光量は微弱ではあるため、照射時間が短い場合には静電潜像に影響しない。しかしながら長時間照射されると積分光量が増加し、感光体の必要露光量に達すると、静電潜像が形成されてしまう。この結果、所望の静電潜像を形成することができない。
従って、半導体レーザーを用いて、所望の静電潜像を形成するためには、消灯時のバイアス電流で発光される試料への照射時間を極力抑える必要がある。
ところで、試料を帯電させると、走査領域が変化する。試料表面上の電荷によって、装置内の電場が変化し、走査電子の軌道が曲がることがわかった。このため、非帯電時と同じ条件で画像としてデータを取り込むと、実際の寸法とは少し異なる結果となる。従って、取り込んだ画像データから試料の座標を正しく計測する必要がある。
走査領域の変化量は、帯電電位や試料高さなど様々な条件が変わるため、予め予測することは容易ではない。
従来の静電潜像の測定方法では、突起や穴など寸法がはじめからわかっている標準試料を設けてこれを基準とし、この基準に基づいて画像データを補正することが知られている。しかしながら、標準材料は通常導体試料であり、帯電させることはできない。絶縁試料では、帯電させることはできるが、基準となるような所望の領域に所望の帯電電位を与えることはできず、また電荷を取り除くことができない。電荷を取り除くことができる試料としては、感光体試料があるが、静電疲労および光疲労の影響を受けやすく、帯電状態は変化し、標準試料とはなりえない。測定試料に、既知の突起や傷をつけて基準とする方法では、試料にダメージを与えることになり適切でない。
特開平03−049143号公報 特開平3−200100号公報 特開2003−295696号公報 特開2004−251800号公報 特開2008−233376号公報
本発明は、以上述べた従来技術の問題点に鑑み、試料に対して、ダメージを与えることなく、帯電による観察領域の変化に対して、試料の座標を計測することで、静電潜像の寸法を高精度に測定することができる静電潜像の測定装置、静電潜像の測定方法およびこれらの装置および方法を用いて測定された像担持体を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、真空チャンバ内の試料に対して電子ビームを照射することで感光体試料上に帯電電荷を生成させる手段と、帯電された試料面に静電潜像を形成させるための露光光学系と、静電潜像が形成された試料面を電子ビームで走査する走査手段と、を有し、この走査で得られる検出信号により試料面の静電潜像分布を測定する静電潜像の測定装置において、露光光学系は、光源として半導体レーザーと、半導体レーザーからのレーザー光を走査する偏向器と、偏向器により偏向されたレーザー光を検知する同期検知器と、半導体レーザーに供給されるバイアス電流によるオフセット発光を遮光するシャッタ手段と、を有し、同期検知器からの検知信号に連動してシャッタ手段を開放し、シャッタ手段が露光光学系の有効径にまで開放されたタイミングにあわせて、半導体レーザーを点灯して試料面に静電潜像を形成し、シャッタ手段が真空チャンバ外に配置されている、ことを特徴とする。
上記発明において、試料面に静電潜像が形成された後にシャッタ手段を閉じる手段を有していてもよい。
同期検知器がレーザー光を検知してからシャッタ手段が開き始めるまでの時間をTd、シャッタ手段が開き始めてから半導体レーザーからのレーザー光の有効径にまで放されるまでの時間をTrとしたときに、同期検知器がレーザー光を検知してからTd+Trの時間だけ遅れ半導体レーザーを点灯させる手段を有していてもよい。
露光光学系により試料面を走査する1回の走査時間をTf、半導体レーザー消灯時のバイアス電流によるオフセット発光をPoff、半導体レーザー点灯時の光量をPonとしたときに、
Tr<Tf*Pon/Poff
の条件を満足するように構成するとなおよい。
シャッタ手段として、メカニカルシャッタを用いてもよい。
入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転するような領域が存在する条件下で測定する手段を有していてもよい。
本発明はまた、真空チャンバ内の試料に対して荷電粒子を照射することで試料上に帯電電荷を生成し、帯電電荷が生成されている試料上に光源としての半導体レーザーによる露光光学系を用いて静電潜像を形成し、試料面を電子ビームで走査し、この走査で得られる検出信号により試料面の静電潜像分布を測定することを特徴とす静電潜像の測定方法において、静電潜像を形成させる時間の前後で、半導体レーザーからのレーザー光が試料の観察領域に到達しないように遮光することで、半導体レーザーのバイアス電流によるオフセット発光を抑制することを特徴とする。
本発明はまた、上記静電潜像の測定装置または測定方法を用いて計測した潜像担持体の感光面に対して光走査を行うことにより潜像を形成し、現像して可視化することを特徴とする画像形成装置であって、書き込み光源波長が780nm以下であり感光体面での副走査方向のビームスポット径が60μm以下であり、感光体面での副走査方向のビームスポット径をAとし、形成される副走査方向の潜像径をBとしたときに、1.0<B/A<2.0を満足することを特徴とする。
半発明はまた、試料に対して電子ビームを照射することで感光体試料上に帯電電荷を生成させる手段と、静電潜像を形成させるための露光光学系と、試料面を電子ビームで走査し、この走査で得られる検出信号により試料面の静電潜像分布を測定する静電潜像の測定装置において、波長400〜800nmの光を照射することで感光体試料面上の寸法が既知の潜像パターンを形成する手段と、静電潜像として得られる潜像画像を取り込む手段と、試料の座標を計測する手段と、を有することを特徴とする。
上記静電潜像の測定装置において、寸法が既知の潜像パターンを形成する手段として、寸法が既知のマスクパターンを投影露光する手段を有しているとよい。
試料面上の間隔が既知である潜像パターンを2個以上形成し、取り込み画像データから平均倍率を計測するようにするとよい。
試料面上のピッチが既知である潜像パターンを一列に3個以上形成し、取り込み画像データから、局所的倍率変動を計測するように構成してもよい。
光源からの光束を、偏向反射面を持つ光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向光束を走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光して、感光体試料面に対して等速的な光走査を行なう光走査装置を用いて、間隔が既知の潜像パターンを形成し、静電潜像として得られる潜像画像を取り込んだデータから、試料の座標を計測するように構成してもよい。
照射する露光エネルギ密度が0.5〜10mJ/m2、かつ、1つの潜像のサイズが100μm以下となるように構成するとよい。
入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転するような領域が存在する条件下で測定する手段を有していてもよい。
本発明はまた、試料に対して電子ビームを照射することで感光体試料上に帯電電荷を生成させる手段と、静電潜像を形成させるための露光光学系と、試料面を電子ビームで走査しこの走査で得られる検出信号により試料面の静電潜像分布を測定する静電潜像の測定方法において、感光体試料面上で、波長400〜800nmの光を照射することで寸法が既知の潜像パターンを形成し、静電潜像として得られる潜像画像を取り込んだデータから、試料の座標を計測することを特徴とする。
上記発明において、半導体レーザーのパターン点灯に連動してシャッタを開放する手段を有しているとなおよい。
本発明はまた、上記静電潜像の測定装置および測定方法を用いて計測した潜像担持体の感光面に対して光走査を行うことにより潜像を形成し、現像して可視化する画像形成装置であって、書き込み光源波長が780nm以下であり、前記感光体面での副走査方向のビームスポット径が60μm以下であり、感光体面での副走査方向のビームスポット径をAとし、形成される副走査方向の潜像径をBとしたときに、1.0<B/A<2.0を満足することを特徴とする。
本発明によれば、露光光学系の光源として半導体レーザーを用い、光束が試料の電子ビーム走査領域外に照射する構成を有することにより、LDのバイアス電流によるオフセット発光を遮光することが可能となる。
LDバイアス電流によるオフセット発光を遮光するためのシャッタ手段を有するものによれば、所望の静電潜像を形成することが可能となり、その結果、静電潜像をミクロンオーダーの高分解能に測定することが可能となる。
走査光学系の同期信号に連動してシャッタを開放する手段を有するものによれば、シャッタの開放すべき時刻の最適なタイミングで実施することができ、その結果、静電潜像をミクロンオーダーの高分解能に測定することが可能となる。
走査光学系の同期検知信号をトリガ信号としてシャッタを開放し、静電潜像形成後にシャッタを閉じる手段を有するものによれば、シャッタの開放時間を必要最低限に抑えることができるため、所望の静電潜像を形成することができ、その結果、静電潜像をミクロンオーダーの高分解能に測定することができる。
シャッタの開き始めからLDによる露光開始までの時間を最適化することにより、所望の静電潜像を形成することができ、その結果、静電潜像をミクロンオーダーの高分解能に測定することができる。
シャッタ手段として、メカニカルシャッタを用いることにより、レーザー光の透過波面を劣化させることなく、高速にオフセット発光を遮光することができる。
電磁場変動を抑制するためにシャッタ手段を真空チャンバ外に配置することにより、周辺の電磁場の変動による走査電子ビームの軌道曲がりを抑制することができる。
入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転するような領域が存在する条件下で測定する手段を有することにより、電位深さの定量化計測を可能とし、電位分布を高精度に測定することが可能となる。
露光光学系の光源としてLDを用い、LDのバイアス電流によるオフセット発光を遮光するためのシャッタ手段を有することにより、所望の静電潜像を形成することが可能となり、その結果、静電潜像をミクロンオーダーの高分解能に測定することが可能となる。
以上説明した測定装置および測定方法を用いて感光体に形成される静電潜像を評価することにより、設計にフィードバックすることができ、各工程のプロセスクォリティが向上する。これにより、画質、耐久性、安定性、省エネルギにおいて優れた潜像担持体および走査光学系を提供することができる。さらに、上記潜像担持体および走査光学系を備える画像形成装置によれば、像担持体に形成される静電潜像を現像して可視化することにより、高密度・高画質・高耐久性の画像形成装置を提供することができる。
特に画像濃度むらが生じやすい、VCSELなどのマルチビーム走査光学系を搭載した画像形成装置に適する。
本発明によればまた、試料面上で、間隔が既知の潜像パターンを形成し、これを画像データとして取り込むことにより、試料に対してダメージを与えることなく、帯電による観察領域の変化に対して試料の座標を計測することで、静電潜像の寸法を高精度に測定することができる。
寸法が既知の潜像パターンを形成する手段として、寸法が既知のマスクパターンを投影露光する手段を有することにより、静電潜像の寸法を高精度に測定することができる。
試料面上の間隔が既知である潜像パターンを2個以上形成し、取り込み画像データから中心位置を算出することで、平均倍率を計測することができ、補正をすることで、静電潜像の寸法を高精度に測定することが可能となる。
試料面上のピッチが既知である潜像パターンを一列に3個以上形成することにより、局所的な倍率変動を補正することができ、帯電むらなどに伴う局所的な変動を良好に補正することができる
感光体試料面に対して等速的な光走査を行なう光走査装置を用いることで、電気信号を変えるだけで、任意の潜像パターンを形成することが容易となる。また、評価すべき露光光学系を共通に使用することも可能となる。
照射する露光エネルギ密度が0.5〜10mJ/m2、1つの潜像のサイズが10μm以上100μm以下とすることで、潜像パターンからの中心位置算出を高精度に計測することができる。
露光光学系の光源としてLDを用い、LDのバイアス電流によるオフセット発光を遮光するためのシャッタ手段を有することにより、所望の静電潜像を形成することが可能となり、その結果、静電潜像をミクロンオーダーの高分解能に測定することが可能となる。
試料に対して、ダメージを与えることなく、帯電による観察領域の変化に対して、試料の座標を計測することで、静電潜像の寸法を高精度に測定することが可能となる。
以下、本発明にかかる静電潜像の測定装置、静電潜像の測定方法および画像形成装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1に本発明の実施例を示す。この実施例は、荷電粒子ビームを照射する荷電粒子照射部と露光部、試料設置部、1次反転荷電粒子や2次電子などの検出部などを備えている。ここでいう、荷電粒子とは、電子ビームあるいはイオンビームなど、電界や磁界の影響を受ける粒子を指す。以下電子ビームを照射する実施例で説明する。
図1において、電子ビーム照射部10は、電子ビームを発生させるための電子銃11と、電子ビームを制御するためのサプレッサ電極121と、引き出し電極122と、電子ビームのエネルギを制御するための加速電極123と、電子銃11から放出された電子ビームを集束させるためのコンデンサレンズ13と、可動絞り15と、電子ビームの進行方向を変えるための偏心レンズと、偏心レンズを通過した電子ビームを走査させるための走査レンズ17と走査レンズ17を通過した電子ビームを再び集光させるための対物レンズ18を有してなる。それぞれのレンズ等には、図示しない駆動用電源が接続されている。
2次電子や1次反転電子などを検出する検出器19として、シンチレータや光電子増倍管などを用いている。通常シンチレータには引き込み電圧8〜10kV程度の高電圧を印加することで荷電粒子を捕獲する構成となっている。検出荷電粒子を検出器19に導くために、荷電粒子衝突時に放出粒子が発生する放出粒子発生部材を配置している。
感光体試料30は試料接地台16に載せられる。試料30の背面側は、通常は試料接地台16を通してGNDで使用するが、必要に応じて電圧を印加することも可能な構成となっている。
放出粒子としては電子やイオンがあり、電子を検出して計測することが一般的であるが、検出器にマイナスの引き込み電圧を与えてプラスイオンを検出し、コントラスト像を観察することも可能である。
以上の各構成部品は真空チャンバ内に組み込まれている。
露光部20は、感光体試料30に関して感度を持つ、可視光から赤外光波長の半導体レーザー(LD)などの光源21、コリメートレンズ22、アパーチャ23、集光レンズ29などからなり、試料30上に所望のビーム径、ビームプロファイルを生成することが可能となっている。また、図示されないLD制御手段により適切な露光時間で、適切な露光エネルギを照射することができるようになっている。
試料30にラインのパターンを形成するために、光学系にガルバノミラーやポリゴンミラーを用いたスキャニング機構を付けても良い。
図10は、上記露光部20を含む走査ユニットの例を示す。図10(a)に示すように、半導体レーザーを含む光源ユニット21から射出した光ビームは、コリメートレンズ22、シリンダレンズ25を介してポリゴンミラー35に導かれる。光ビームは、ポリゴンミラー35が回転駆動されることにより偏向走査され、走査結像レンズL1、L2、折り返しミラー36により被走査媒体または像担持体としての感光体すなわち試料30上に結像される。各発光点の発光信号を制御する画像処理装置内のバッファメモリには、各発光点に対応する1ライン分の印字データが蓄えられている。ポリゴンミラー35の偏向反射面1面での偏向走査毎に上記印字データが読み出され、試料30上の走査線上で印字データに対応して光ビームが点滅し、走査線に従って静電潜像が形成される。
図10(b)に示す構成例では、複数個の光源が配列された半導体レーザアレイが、コリメートレンズの光軸垂直方向に配置されている。
図10(c)に、発光点をx軸方向と,y軸方向に平面に配置した面発光レーザー(VCSEL)からなる光走査装置の光源部の構成例を示す。この構成例は、水平方向(主走査方向)にm個(図では3個)、垂直方向(副走査方向)にn個(図では4個)、計m×n個(図では12個)の発光点を有する面発光レーザーを用いた例である。この構成例を、図10(a)に示す光走査装置に適用することにより、m×n個の走査線を同時に走査するように構成することができる。
また、所定の位置に潜像パターンを形成するために、光偏向手段からの走査ビームを検知する同期検知手段37を有してもよい。
試料30の形状は、平面であっても曲面であってもよい。
走査光学系は、ポリゴンミラーおよびこれを回転駆動するポリゴンモータなどの振動や電磁場の影響が電子ビームの軌道に影響を与えないように、真空チャンバの外に配置するとよい。電子ビーム軌道位置から遠ざけることにより、外乱の影響を抑制することが可能となる。走査光学系は、光学的に透明な入射窓より入射させることが望ましい。
試料30と光源21の間には、半導体レーザーからの光束を時間的に遮光することが可能なシャッタ39が配置されている。
図2は、本実施形態の一部を拡大して示す断面図である。図2に示すように、真空チャンバの鉛直軸に対して45°の位置に、真空チャンバ内部に対して光源が外部から入射可能な入射窓を配置し、真空チャンバ外部に走査光学系を配置した構成となっている。図2において、走査光学系は、光源部、走査レンズL1、L2、同期検知手段、光偏向器であるポリゴンミラー35等を有している。走査レンズL1、L2はfθ特性を有しており、光偏光器が一定速度で回転しているときに、光ビームは像面に対して略等速に移動する構成となっている。また、ビームスポット径も略一定に走査可能な構成となっている。
走査光学系は、真空チャンバに対して離れて配置するので、ポリゴンスキャナ等の光偏向器を駆動する際に発生する振動は、直接真空チャンバに伝播されることの影響は少ない。さらに、図2では図示していないが、構造体と除振台との間にダンパを挿入すれば更に効果の高い防振効果を得ることができる。
静電潜像を形成するための露光光源として、可視光から赤外光領域のLD(レーザーダイオード)を用い、レーザー光をポリゴンミラーなどの偏向器で走査させ、かつ、レーザー光を点滅させることで、静電潜像を形成することができる。その場合、ポリゴンミラー35などの偏向器は、等速回転させるのに数秒程度の時間を要する。また、所望の位置にて点滅させるためには、同期検出器からの検出信号によって書き出し開始位置を決定している。
光の点滅で潜像画像パターンを形成する場合、光応答性を高くする必要がある。例えば、1μs以下で変調させる場合、パターン光パルス再現性向上やドループ特性改善の画像データが消灯のタイミングであっても、LDにバイアス電流を常に流しておく必要がある。
半導体レーザーは、基準以上の駆動電流を与えることでレーザー発振をするが、光応答性を高めるため、光の消灯のタイミングでも基準以下の一定の駆動電流(バイアス電流)を常に供給している。バイアス電流があるとLED発光を起こす。すなわち、半導体レーザーを用いる場合は消灯の状態であっても発光していることを意味する。
図4に、LDの駆動電流IFと光出力の関係を示す。aは消灯時の駆動電流、bはレーザー発振をし始める基準電流、そして、cはLD点灯の駆動電流を示している。PonをLD点灯時の光出力、PoffをLD消灯時の光出力とする。a<b<cの関係が成立する。IFが小さい場合には、LED発光で微弱であり、IFが基準電流に達するとレーザー発振をする。通常、レーザー発振は1〜10mW程度であり、これに比べて、消灯時のバイアス電流は、数十μWと1/100以下程度であり、通常問題になることはない。
このため光応答性を重視して、LD消灯時でもバイアス電流を流しつづけている。
しかしながら、長時間照射されると積分光量が増加し、感光体の必要露光量に達すると、静電潜像が形成されてしまう。この結果、所望の静電潜像を形成することができない。
そこで本発明では、半導体レーザーを用いて、所望の静電潜像を形成するにあたり、消灯時のバイアス電流で発光される試料への照射時間を極力抑えるため、光束が試料の電子ビーム走査領域外に照射される構成を備えていて、LDバイアス電流によるオフセット発光を遮光している。
具体的な手段としては、LD光源と試料の間に前記シャッタ39を用いてもよい。すなわち、露光前はシャッタ39を閉じて光束が通過しないような構成とし、露光時はシャッタ39を開けて光束が通過するように構成にすることで、オフセット発光を遮光させることができる。
これにより、図5(a)に示すように、従来は露光前のオフセット光の照射時間が長く、積分光量が必要露光エネルギに達するとオフセット露光で潜像が形成されてしまうのに対し、図5(b)に示すように、露光前のオフセット光の照射時間を極力抑制することができ、測定精度を高めることができる。
また、露光後は、必要に応じて、露光終了検知信号を与えてシャッタ39を閉めることができる。
次に静電潜像を形成する手段について説明する。まず、感光体試料30に電子ビームを照射させる。加速電圧|Vacc|は、2次電子放出比が1となる加速電圧より高い加速電圧に設定することにより、入射電子量が、放出電子量より上回るため電子が試料30に蓄積され、チャージアップを起こす。この結果、試料30をマイナスで一様に帯電させることができる。加速電圧と照射時間を適切に制御することにより、所望の帯電電位を形成することができる。
次に露光光学系により感光体試料30を露光する。光学系は、所望のビーム径及びビームプロファイルを形成するように調整されている。必要露光エネルギは、感光体特性によって決まるファクタであるが、通常、2〜6mJ/m2程度である。感度が低い感光体では、十数mJ/m2必要なこともある。帯電電位や必要露光エネルギは、感光体特性やプロセス条件に合わせて設定するとよい。
そして、上述のシャッタ機構を配置して、LDバイアス電流によるオフセット光をカットすることにより、図11に示すような、潜像画像パターンなどの所望の静電潜像を形成することができる。
試料表面に電荷分布があると、空間に表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。このため、入射電子によって発生した2次電子はこの電界によって押し戻され、検出器19に到達する電子量が減少する。従って、電荷リーク箇所は、露光部が黒、非露光部が白となり、表面電荷分布に応じたコントラスト像を測定することができる。
図3(a)は、荷電粒子捕獲器24と、試料30との間の空間における電位分布を、等高線表示で説明図的に示したものである。試料30の表面は、光減衰により電位が減衰した部分を除いては負極性に一様に帯電した状態であり、荷電粒子捕獲器24には正極性の電位が与えられているから、「実線で示す電位等高線群」においては、試料30の表面から荷電粒子捕獲器24に近づくに従い「電位が高く」なる。
従って、試料30における「負極性に均一帯電している部分」である図3のQ1点やQ2点で発生した2次電子el1、el2は、荷電粒子捕獲器24の正電位に引かれ、矢印G1や矢印G2で示すように変位し、荷電粒子捕獲器24に捕獲される。
一方、図3(a)において、Q3点は「光照射されて負電位が減衰した部分」であり、Q3点近傍では電位等高線の配列は「破線で示す如く」であり、この部分電位分布では「Q3点に近いほど電位が高く」なっている。換言すると、Q3点の近傍で発生した2次電子el3には、矢印G3で示すように、試料30側に拘束する電気力が作用する。このため2次電子el3は、破線の電位等高線の示す「ポテンシャルの穴」に捕獲され、荷電粒子捕獲器24に向って移動しない。図3(b)は、上記「ポテンシャルの穴」を模式的に示している。
すなわち、荷電粒子捕獲器24により検出される2次電子の強度(2次電子数)は、強度の大きい部分が「静電潜像の地の部分(均一に負帯電している部分:図3(a)の点Q1やQ2に代表される部分)」に対応し、強度の小さい部分が「静電潜像の画像部(光照射された部分:図3(a)の点Q3に代表される部分)」に対応することになる。
従って、2次電子検出部25で得られる電気信号を、信号処理部で適当なサンプリング時間でサンプリングすれば、前述の如く、サンプリング時刻:Tをパラメータとして、表面電位分布:V(X,Y)を「サンプリングに対応した微小領域」ごとに特定することができる。信号処理部により上記表面電位分布(電位コントラスト像):V(X,Y)を2次元的な画像データとして構成し、これをアウトプット装置で出力すれば、静電潜像が可視的な画像として得ることができる。
例えば、捕獲される2次電子の強度を「明るさの強弱で表現」すれば、静電潜像の画像部分は暗く、地の部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じた明暗像として表現(出力)することができる。もちろん、表面電位分布を知ることができれば、表面電荷分布も知ることができる。
このようにすると、帯電部は2次電子検出量が多く、露光部は2次電子検出量が少ない明暗のコントラスト像が生じる。暗の部分を露光による潜像部とみなすことができる。明暗の境界を潜像の潜像径とすることができる。
このようにして、感光体の静電潜像をミクロンオーダーの高分解能で計測することが可能となる。
上記LDのバイアス電流によるオフセット発光の影響を低減させるためには、静電潜像形成のために露光させる時間だけシャッタが開いている状態であり、その前後はシャッタが閉じた状態になっていることが理想的である。これを実現するためには、露光のタイミングとシャッタ開閉のタイミングを連動させることが望ましい。露光のタイミングは、走査光学系の同期信号によって決定される。従って、走査光学系の同期信号に連動して、シャッタを開放することが望ましい。
これを実現する手段として、走査光学系の同期信号を、シャッタを開くためのトリガ信号とすれば、書き出しのタイミングを揃えることができる。
制御系における上記動作を図6、図8に示す。図8に示すフローの各ステップを、S1、S2,・・・のように表わす。図6、図8において、測定のための制御コマンドが実行されたあと(S1)、走査光学系の同期信号を検知し(S2)、その検知信号をシャッタ開放のためのトリガ信号として出力する(S3)。そして、シャッタが露光光学系の有効径にまで開放されたタイミングにあわせて(S4)、半導体レーザーを点灯させ(S5)、試料に静電潜像を形成する。そして、露光の完了後にシャッタを閉じる。露光後は、シャッタを閉じる他に、LDのバイアス電流を0にして、発光自体を止めても良い。
図7は、以上説明した実施例の制御系等の構成を示す。ホストコンピュータを中心としてこのコンピュータが各部を制御するように構成されている。具体的には、ホストコンピュータから電子ビーム制御装置に電子光学系制御信号が送られ、電子ビーム制御装置からは取り込まれた各種データがコンピュータに入力される。コンピュータはまた、制御ボードに対して走査ビームの条件設定のデータを送信し、制御ボードは各種の条件設定を行う。制御ボードと光学ユニットとの間でLD・ポリゴンミラー制御信号、同期検出信号が互いに入出力される。制御ボードはまた、シャッタ制御コントローラにトリガ信号を送り、シャッタ制御コントローラはトリガ信号に基づきシャッタにシャッタ開閉信号を送り、シャッタの開閉を制御するようになっている。
ところで、シャッタは、電子シャッタにおいてもメカニカルシャッタにおいても、命令を与えてから実際に開くまでに時間のずれが生じる。
いま、
トリガ信号を検知してから、シャッタが開き始める時間をTd、
シャッタが開き始めてから、レーザー光の有効径相当が開くまでの時間をTr、
とすれば、トリガ出力となる同期信号を受けてから、Td+Trの時間だけ遅れてシャッタが開く。従って、その遅れ分を考慮してLDを点灯させなければならない。すなわち、トリガ出力となる同期信号を受けてから、Td+Trの時間だけ遅れてLDを点灯させることが望ましい。
LDの点灯時間を遅らせる方法としては、走査光学系による1回の走査時間をTfとしたとき、トリガ出力となる同期信号から、Td+Tr<n×Tfとなる自然数nのときにLDを点灯させて潜像を形成する方法がある。このタイミングチャートを図6に示す。
上記のように構成された実施例により、オフセット発光による照射時間は、大幅に減少されるが、それでも厳密には、Tr以上の時間で、オフセット発光が照射されてしまう。
この時間の許容量は
Tr<Tf*Pon/Poff
であり、この式の範囲内に収める必要がある。
具体的には、Tf=250μs,Pon=4mW,Poff=20μWの場合、
Tr<250μs*200=50ms
すなわち、Trは50ms以内であることが望ましい。
また、Tf=100μs,Pon=1mW,Poff=50μWの場合、
Tr<2ms
となる。この条件を満足する条件や方式を適宜選択することにより、さらにノイズ光の小さい静電潜像を形成することが可能となり、その結果、高精度に静電潜像を計測することが可能となる。
シャッタ手段としては、液晶変調素子のように光学的透過率を変化させる方法がある。この場合は、メカ的な可動部を必要としないメリットがある。ただし、光応答性や透過波面への影響が出る可能性がある。
シャッタ手段としては、メカニカルシャッタを用いると良い。ここで述べる、メカニカルシャッタとは、光路進行方向に対して、物体が有る状態と無い状態を作り出し、その違いで、光路進行方向を変えることで、測定試料に光線を到達/遮光状態を作り出すことが可能な手段を指す。図9はその一例を示している。この例は、スライダが光路に直交する方向にスライドして光路を開閉するように構成されている。
メカニカルシャッタとは、上記のように、シャッタの開閉動作や速度の制御をガバナーやスプリングなどによって機械的に行うものである。メカニカルシャッタには、ギロチンシャッタや複数のシャッタ羽根を用いて中心から周辺に開閉する手段などがある。ギロチンシャッタとは、2枚の板のそれぞれに孔が空いていて、先幕に相当する板が走行した後、後幕に相当する板が走行して光の通り道である孔を開閉するものである。孔の重なり状態の変化でシャッタ速度を変化させることができる。
また、メカニカルではあるが、電気信号にて制御可能な構成であってもよい。これにより、同期に合わせたより適切なタイミングで開閉することができる。
シャッタ手段として、メカニカルシャッタを用いることにより、レーザー光の透過波面を劣化させることなく、高速に、オフセット発光を遮光することができる。
シャッタの位置としては、真空チャンバの外側に配置するとなおよい。真空チャンバ内に配置すると、メカニカルシャッタの開閉時及びその前後では、周辺の電磁場が変動し、それが、走査電子ビームの軌道を曲げてしまう懸念があるが、真空チャンバ外に配置することによりそれを抑制することが可能なる。
表面電荷分布や表面電位分布のプロファイルを測定することにより、さらに高精度に静電潜像を測定することが可能である。図12は本発明にかかる静電潜像の測定装置の他の実施例を示す図である。より具体的には、表面電位分布測定装置の例である。図12において、試料30の下部にある試料設置台16は、電圧±Vsubを印加できる電圧印加部に接続されている。また、試料30の上部は、入射電子ビームが試料電荷の影響を受けることを抑制するために、グリッドメッシュ38を配置した構成となっている。
図13は、図12に示す実施例における入射電子と試料の関係を示す。図13(a)は加速電圧が表面電位ポテンシャルより大きい場合、同図(b)は加速電圧が表面電位ポテンシャルより小さい場合をそれぞれ示す。入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが、試料到達前に反転するような状態が存在する領域が存在し、その1次入射荷電粒子を検出する構成となっている。
なお、加速電圧は、正で表現することが一般的であるが、加速電圧の印加電圧Vaccは負であり、電位ポテンシャルとして、物理的意味を持たせるためには、負で表現する方が説明しやすいため、ここでは加速電圧は負(Vacc<0)と表現する。
電子ビームの加速電位ポテンシャルをVacc(<0)、試料の電位ポテンシャルをVp(<0)とする。
電位とは、単位電荷が持つ電気的な位置エネルギである。したがって、入射電子は、電位0(V)では加速電圧Vaccに相当する速度で移動する。すなわち、電子の電荷量をeとし電子の質量をmとすると、電子の初速度v0は、
mv02/2=e×|Vacc|
で表される。真空中ではエネルギ保存の法則により、加速電圧の働かない領域では等速で運動し、試料面に接近するに従い、電位が高くなり、試料電荷のクーロン反発の影響を受けて速度が遅くなる。
したがって、一般的に以下のような現象が起こる。
図13(a)において、|Vacc|≧|Vp|なので、電子は、速度は減速されるものの、試料に到達する。
図13(b)において、|Vacc|<|Vp|の場合には、入射電子の速度は試料の電位ポテンシャルの影響を受けて、徐々に減速し、試料に到達する前に速度が0となって、反対方向に進む。
空気抵抗の無い真空中では、エネルギ保存則がほぼ完全に成立する。したがって、入射電子のエネルギ変えたときの、試料面上でのエネルギすなわちランディングエネルギがほぼ0となる条件を計測することで、表面の電位を計測することができる。ここでは1次反転荷電粒子、特に電子の場合を1次反転電子と呼ぶことにする。試料に到達したとき発生する2次電子と1次反転荷電粒子では、検出器に到達する量が大きく異なるので、明暗のコントラストの境界より、識別することができる。
なお、走査電子顕微鏡などには、反射電子検出器があるが、この場合の反射電子とは、一般的に試料の物質との相互作用により、入射電子が後方背面に反射(散乱)され、試料の表面から飛び出す電子のことを指す。反射電子のエネルギは入射電子のエネルギに匹敵する。反射電子の強度は試料の原子番号が大きいほど大きいといわれ、試料の組成の違い、凹凸がわかるための検出方法である。
これに対して、1次反転電子は、試料表面の電位分布の影響を受けて、試料表面に到達する前に反転する電子のことであり、全く異なる現象である。
図14は潜像深さ計測結果の一例を示す図である。各走査位置(x,y)で、加速電圧Vaccと、試料下部印加電圧Vsubとの差をVth(=Vacc−Vsub)とすれば、ランディングエネルギがほぼ0となるときのVth(x,y)を測定することで電位分布V(x,y)を測定することができる。Vth(x,y)は、電位分布V(x,y)とは一意的な対応関係があり、Vth(x,y)はなだらかな電荷分布などであれば、近似的に電位分布V(x,y)と等価となる。
図14上段の曲線は試料表面の電荷分布によって生じた表面電位分布の一例を示している。2次元的に走査する電子銃の加速電圧は−1800Vとした。中心(横軸座標=0)の電位が約−600Vであり、中心から外側に向かうに従って、電位がマイナス方向に大きくなり、中心から半径が75μmを超える周辺領域の電位は約−850V程度になっている。図14中段の楕円形は、試料の裏面をVsub=−1150Vに設定したときの検出器出力を画像化して示すものである。このとき、Vth=Vacc−Vsub=−650Vとなっている。図14下段の楕円形は、Vsub=−1100Vとしたほかは上記条件と同じ条件で得られた検出器出力を画像化して示すものである。このときのVthは−700Vになっている。
図14からわかるように、加速電圧Vaccまたは印加電圧Vsubを変えながら、試料表面を電子で走査させ、Vth分布を計測することにより、試料の表面電位情報を計測することが可能となる。この方法を用いることにより、従来困難であった、静電潜像プロファイルをμオーダーで可視化することが可能となる。
1次反転電子で潜像プロファイルを計測する方式では、入射電子のエネルギが極端に変わるため、入射電子の軌道がずれてくることがあり、その結果として、走査倍率が変わり、また、歪曲収差を生じることになる。その場合には、静電場環境や電子軌道をあらかじめ計算しておき、それをもとに補正することにより、さらに高精度に計測することが可能となる。
感光体には、感光体に与えられる総露光エネルギ密度は同じでも、光量と露光時間の関係が異なると潜像形成状態が異なる相反則不軌の現象がある。一般的に露光エネルギが一定の場合、光量が強いほど、感度(潜像深さ)が低下し、トナー付着量に変化をもたらし、その結果として画像濃度の違いとして現れる。光量が強いとキャリアの再結合量が増大し、表面に到達するキャリア量が減少することが原因と考えられている。これがVCSELなどのマルチビーム走査光学系の場合、顕著に画像濃度むらとなってあらわれてくる。
本実施形態の静電潜像測定装置で感光体上の静電潜像を評価することにより、1μオーダーの分解能で計測することが可能であるため、1ドットレベルで潜像形成の過程が定量的に詳細に解析できる。これにより、露光量を最適化することができ、感光体に負担のかからない帯電及び露光条件が分かり、この感光体を用いる光走査装置や画像形成装置の省エネルギ、高耐久性を実現することができる。
画像形成装置の出力画像の高画質化のために、光学系の最適化及び光源波長を780nm以下に短波長化することにより、副走査方向のビームスポット径を60μm以下に小径化する試みが行われている。しかし、現在の感光体が短波長の光に対して感度が低いことや、小径化ビームでは感光体内での光の散乱及び電荷の拡散の影響を強く受け、潜像径が広がり、潜像の深さも浅くなり、最終出力画像では、階調性、鮮鋭性の安定性が得られないという不具合が発生している。
図15にビームスポット径および潜像径を概念的に示す。ここでのビームスポット径は、ビームスポット光量分布が最大光量のe−2以上である範囲の径で定義している。潜像径はコントラスト像の明暗の境界を潜像の潜像径とする。電荷輸送層の組成及び膜厚が光の散乱および電荷の拡散度合いに、また、電荷発生層の組成が感度にそれぞれ影響を与えることは知られているが、明確な相関関係が分かっていない。そこで、電荷輸送層の組成および膜厚、電荷発生層の組成を変えて感光体を作り、本実施形態の静電潜像測定装置を用いて実施される静電潜像測定方法において、画像形成装置で使用する条件と同じ条件、例えば帯電電位800V、露光エネルギ4mJ/m2として、光源波長が780nm以下、副走査方向のビームスポット径が60μm以下の条件で露光し潜像を測定する。
図15(a)および(b)に示すように、感光体面での副走査方向のビームスポット径をAとし、形成される副走査方向の潜像径をBとしたときに、
1.0<B/A<2.0
を満足する感光体を選定すれば、階調性、鮮鋭性が安定した最終出力画像を得ることができる画像形成装置を実現することができる。
ここで、下限の1.0は、光の散乱及び電荷の拡散はどんな感光体でも必ず起こるので、これ以下にはならないという原理的な限界であり、上限の2.0は、最終出力画像で階調性、鮮鋭性の安定性を確保するために必要な限界である。
次に、本発明にかかる静電潜像の測定装置の第2の実施例について説明する。図16は第2の実施例を示す。大半は図1に示す第1の実施例と同じ構成であるから、同じ構成部分には同じ符号を付してその説明は省略または簡略化し、第1の実施例と異なる部分を重点的に説明する。
感光体試料表面に電荷分布があると、空間に表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。このため、入射電子によって、発生した2次電子はこの電界によって押し戻され、検出器に到達する量が減少する。従って、電界強度が強い部分は暗く、弱い部分は明るくコントラストがつき、表面電荷分布に応じたコントラスト像を検出することができる。従って、露光した場合には、露光部が黒、非露光部が白となり、これより形成された静電潜像を測定することができる。
試料を帯電させると、入射電子が帯電電荷の影響を受けて軌道が曲がり、走査領域が変化する。図18は、帯電における走査領域の変化を示す。図18(a)は、非帯電/帯電時の走査領域の関係を示すもので、非帯電時の走査領域を基準にすると、試料が負に帯電したときの入射電子の走査領域は、広い範囲を走査することになることがわかった。また歪曲も生じることがある。この結果、断面xでの観察領域の走査倍率は、非帯電時を1とすると、図18(b)のようになる。倍率は、帯電電位に依存し、帯電電位−500〜−1000Vの範囲では、非帯電時に比べて5〜20%程度小さくなることがわかった。
従って、このまま非帯電時の寸法で、取り込んだ画像データから、寸法を計測すると倍率変動分だけ、誤差を生じる。よって、帯電時の倍率を精度良く計測する必要がある。
取り込んだ画像データの実際の寸法を計測するために、寸法が既知のパターンを露光して、寸法が既知の潜像パターンを形成するための座標補正用の露光光学系50(図16参照)を有していることがこの実施例の一つの特徴である。
図2に座標補正用の露光光学系50の実施例の詳細を示す。図2において、露光光学系50は、感光体資料30に関して、感度を持つ波長400〜800nmの光を照射するLDなどの光源51、コリメートレンズ52、アパーチャ53、マスクパターン54、結像レンズないしは集光レンズ56などを有してなる。また、光路を折り曲げるために適宜のミラー55,57が配置されている。
座標補正用の露光光学系50の光学レイアウトを図23に示す。マスクパターン54から結像レンズ56までの物体距離をL1、結像レンズから試料面までの像距離をL2とすれば、光軸を含む面に対して垂直な方向の結像倍率は
β=L2/L1
となる。マスクパターン54は、光源51からの平行光が透過する部分と遮光する部分になるようなパターンがある。光ビームは、マスクパターン54により透過あるいは回折あるいは散乱を起こして、試料30方向に進む。結像レンズ56は、マスクパターン54と試料30の面とが共役となるように配置されている。結像倍率βとパターンサイズは予めわかっているので、試料30の面上に生じるパターンサイズやピッチを算出することができ、試料面に所望の潜像パターンを形成することができる。
光学素子が電子ビームの照射領域に重ならないように斜めから照射する構成となっているこのため、光軸に対して、試料面(像面)が傾いた構成としても良い。また、像面の傾きに応じて、マスクパターン54も傾けることにより、像面上にマスクパターンを結像させることができる。図23に示す例では、試料30に対して約45度斜め入射するように構成されている。この場合、潜像分布のパターンは、垂直な場合に比べて√2倍になるが、その分を考慮してマスクパターンを設計してもよい。
図19に露光のためのマスクパターンの例を示す。露光パターンとしては、寸法と結像倍率が既知であれば、最低1個でも可能であるが、試料面上では、共役像に比べて潜像が広がっているため、2個以上複数の点を用い、1個の潜像の中心を求め、間の距離を算出すると良い。xy両方の寸法を計測するには、3個以上あるとよい。図19(a)は、マスクが合計4個の潜像形成パターンS1,S2,S3,S4を有する例を示す。マスクパターンのサイズ・ピッチおよび光学系の結像倍率は予め把握しておく。光学系の結像倍率をβ、マスクの上記パターンの間隔をd/βとしたとき、S1,S2は試料面上の座標としては、間隔dで露光され潜像が形成される。この条件では図19(b)のような潜像画像データとして、取り込まれる。
S1とS2のパターンによりS1とS2を結ぶ方向の寸法を計測するためには、S1,S2による潜像パターンの取り込み画像データでの中心位置をP1(x1,y1),P2(x2,y1)とすると、水平方向の画像1画素当たりの間隔は
d/(x2−x1)
で得ることができる。これにより、P1−P2方向の取り込み画像1画素当たりの間隔を正確に測定することができる。
同様にP1とP3で計算することにより、P3(x1,y3)とすれば、垂直方向の画像1画素当たりの間隔は
d/(y3−y1)
で得ることができる。これにより、P1−P3方向の取り込み画像1画素当たりの間隔を測定することができる。
水平方向の観察領域において1mmを画素数がXGA相当(1024×768画素)で取り込めば、1μm程度の分解能で位置を特定できる。
中心位置を、潜像画像の信号強度の重心より算出する方法がある。これを用いれば、中心位置は1画素以下で算出できるので、寸法を高精度に計測することが可能となる。
なお、潜像パターンは図19(c)のように平行なライン形状であってもよいし、図19(d)に示すようの3個以上の潜像パターンを配置して、平均化処理をしてもよい。
これにより帯電に伴う平均倍率を良好に補正することができる。
図6は、上記計測方法のフローである。寸法位置計測用静電潜像パターン形成(S11)、静電潜像データ取り込み(S12)、画像処理(S13)、潜像パターン抽出(S14)、潜像パターンの中心位置算出(S15)、画素1画素当たりの寸法計測(S16)の順に進められる。
次に、上記実施例における静電潜像を形成する手段について説明する。図16において、まず、感光体試料30に荷電粒子光学系より電子ビームを照射させる。加速電圧|Vacc|は、2次電子放出比が1となる加速電圧より高い加速電圧に設定することにより、入射電子量が、放出電子量より上回るため電子が試料に蓄積され、チャージアップを起こす。この結果、試料30にはマイナスの電荷が一様に帯電される。加速電圧と照射時間を適切に制御することにより、試料30に所望の帯電電位を形成することができる。
次に、露光光学系により感光体試料30を露光する。露光光学系は、第1の実施例における露光光学系の構成と実質的に同じ構成であり、所望のビーム径およびビームプロファイルを形成するように調整されている。試料表面に電荷分布があると、空間に表面電荷分布に応じた電界分布が形成される。このため、入射電子によって発生した2次電子はこの電界によって押し戻され、検出器に到達する量が減少する。従って、電荷リーク箇所は、露光部が黒、非露光部が白となり、表面電荷分布に応じたコントラスト像を測定することができる。
試料30の面上に、間隔が既知である潜像パターンを形成することで、平均倍率を計測することは可能となる。しかし、図18を用いて説明したとおり、厳密にいうと局所的に倍率がわずかに変化する。また、表面の帯電にむらがあれば、当然変動する。その量は平均倍率の変動に比べると大きくはないが、局所的倍率を補正できれば、さらに精度が向上する。
この局所的な倍率補正手段として、一列に3個以上で、なおかつ試料面上のピッチが既知である潜像パターンを形成するとよい。具体的には、等間隔のパターンを与えて、潜像パターンの不等間隔度合いから、リニアリティを計測するとよい。
局所倍率を計測するための概念図を図21に示す。試料面上では、等間隔dで3個以上(図21の例では7個の)露光パターンが形成されているとする。非帯電時には試料面上には、潜像パターンが等間隔に形成されているはずである。しかしながら、帯電により、潜像取り込み画像は不等間隔となっている(図21(a))。
取り込み画像データ上で隣り合う潜像パターンの中心位置をPi(xi,y0),Pj(xj,y0)とすると、Pi−Pj間の画像1画素当たりの間隔は、
d/{P_j(x_i+1,y0)−Pi(xi,y0)}
で表すことができる。各々の潜像パターンで同様の計算を行うことにより、局所的な倍率変動を算出することができる。別な算出方法としては、複数の潜像パターンの1つを基準として、算出してもよい。
S1,S2による潜像パターンの取り込み画像データでの中心位置をP1(x1,y1),P2(x2,y1)とすると、これらから得られた結果をスプライン補間や近似曲線を使って補正することにより、図21(b)に示すように補正関数を作ることで、より正確に潜像の寸法を計測することができる。
潜像の寸法計測のための潜像パターン形成方法として、走査光学系を用いてもよい。走査光学系とは、光源からの光束を、偏向反射面を持つ光偏向器により等角速度的に偏向させ、偏向光束を走査結像光学系により被走査面上に光スポットとして集光して、感光体試料面に対して等速的な光走査を行なう装置である。試料面に対して、等速であるため、光源であるLDを図22に示すような等間隔の変調をかけることで、試料面上に等間隔の露光パターンを形成することが容易である。ピッチは周波数を変えることで容易に調整することができる。
走査光学系を用いると、LDの電気信号のON/OFFを変えるだけで、潜像パターンを自在に変更することができる。このため、拡大率等を変更するときは、それに応じたパターンのサイズやピッチを適切に選択することが望ましく、この場合、走査光学系の場合、光源の点灯条件を変更するだけでよい。
歪曲収差が大きい条件では、周辺のピッチを細かくしてもよい。
また、不等間隔にすることも容易であるため、帯電による歪が有る状態で、潜像パターンが等間隔になるように形成し、LDの電気信号のON/OFF条件から、倍率変動を計測することもできる。
また、寸法を計測すべき露光光学系と評価すべき露光光学系とを共通で使用してもよい。走査光学系は、もともと等間隔に画像パターンを点灯させるように設計されているため、上記両光学系と条件が適合するし、省スペースであるだけでなくシステムを単純化することができ、寸法を安定して計測することができる。
寸法計測は、測定前に行って、補正データとして、使用してもよいが、実際の潜像評価計測と同時に形成させてもよい。この例を図24に示す。図24に示すように、変動の影響が大きく、感度の高い周辺に寸法計測補正のための潜像パターンを形成し、中心付近に評価すべき静電潜像を形成する。
寸法計測補正のための潜像パターンと評価すべき静電潜像を同時に形成することにより、1回ごとに、実際の帯電による倍率変動の影響を補正することができ、高精度に測定することができる。
このような方式を用いることにより、従来は困難であった、帯電時の試料面上の寸法を1μm以下での高分解能で計測することが可能となる。
露光エネルギ密度が0.5mJ/m2より小さいと潜像が浅く計測されるので、検出しにくくなる。
露光エネルギ密度が10mJ/m2より大きいと潜像は形成されるが、過剰露光となって潜像が大きくなり、中心位置計測精度が悪くなる。
潜像のサイズが10μm以下になると、一般的には、サイズが小さく潜像も深く形成されるので、望ましいように見えるが、焦点深度が狭いのでフォーカス位置より少しでも離れると、感光体面でのビームスポットサイズが大きくなってしまい、誤差要因となる。
潜像のサイズが100μm以上になると、中心位置計測精度が悪くなる。
そこで、照射する露光エネルギ密度が0.5〜10mJ/m2、かつ、1つの潜像のサイズが10μm以上100μm以下であることが望ましい。なお、潜像のサイズに関しては、測定すべき断面方向を指し、それと垂直方向は、それより大きくても構わない。すなわちラインパターンであっても構わない。
静電潜像を形成するための露光光源として、可視光から赤外光領域のLD(レーザーダイオード)を用い、レーザー光をポリゴンミラーなどの偏向器で走査させ、レーザー光を点滅させることで、静電潜像を形成する場合、ポリゴンミラーなどの偏向器は、等速回転させるのに数秒程度の時間を要する。また、所望の位置にてLDを点滅させるために、同期検出器からの検出信号から書き出し開始位置を決定している。
LDによる光の点滅で潜像画像パターンを形成する場合、光応答性を高くする必要がある。例えば、1μs以下で変調させる場合、パターン光パルス再現性向上やドループ特性改善の画像データが消灯のタイミングでもバイアス電流が常に流しておく必要がある。この点は前にも説明した。
半導体レーザーは、基準以上の駆動電流を与えることでレーザー発振をするが、光応答性を高めるため、光の消灯のタイミングでも基準以下の一定の駆動電流(バイアス電流)を常に供給している。バイアス電流があるとLED発光を起こす。すなわち、半導体レーザーを用いる場合は消灯の状態であっても発光していることを意味する。この点も前に説明した。
図11に、LDの駆動電流IFと光出力の関係を示す。aが消灯時の駆動電流,bがレーザー発振をする基準電流、そして、cがc :LD点灯の駆動電流となる。PonをLD点灯時の光出力、PoffをLD消灯時の光出力とする。
a<b<cの関係が成立する。IFが小さい場合には、LED発光で微弱であり、IFが基準電流に達するとレーザー発振をする。通常レーザー発振は1〜10mW程度に比べて、消灯時のバイアス電流は、数十μWと1/100以下程度であり、通常問題になることはない。
このため光応答性を重視して、LD消灯時でもバイアス電流を流しつづけている。
しかしながら長時間照射されると積分光量が増加し、感光体の必要露光量に達すると、静電潜像が形成されてしまう。この結果、所望の静電潜像を形成することができない。
そこで本発明では、半導体レーザーを用いて所望の静電潜像を形成する場合、消灯時のバイアス電流で発光される試料への照射時間を極力抑えるため、光束が試料の電子ビーム走査領域外に照射される構成にして、LDのバイアス電流によるオフセット発光を遮光している。
具体的な手段の一例として、LD光源と試料の間にシャッタを用いるとよい。すなわち、露光前はシャッタを閉じて光束が通過しないような構成とし、露光時はシャッタを開けて光束が通過するように構成にすることで、オフセット発光を遮光させることができる。
そして、シャッタ機構を配置して、LDバイアス電流によるオフセット光をカットすることにより、図19に示すような、潜像画像パターンなどの所望の静電潜像を形成することができる。
次に、本発明にかかる画像形成装置の実施例について説明する。この画像形成装置は、本発明にかかる静電潜像の測定装置を使用し、本発明にかかる静電潜像の測定方法を実施してデータを得た感光体を用いている。図25は画像形成装置の例としてレーザプリンタの例を略示している。レーザプリンタ100は像担持体111として「円筒状に形成された光導電性の感光体」を有している。像担持体111の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ112、現像装置113、転写ローラ114、クリーニング装置115が配備されている。この実施の形態では「帯電手段」として、オゾン発生の少ない接触式の帯電ローラ112を用いているが、コロナ放電を利用するコロナチャージャを帯電手段として用いることもできる。また、光走査装置117が設けられ、帯電ローラ112と現像装置113との間で「レーザビームLBの光走査による露光」を行うようになっている。
図25において、符号116は定着装置、符号118はカセット、符号119はレジストローラ対、符号120は給紙コロ、符号121は搬送路、符号122は排紙ローラ対、符号123はトレイを示している。画像形成を行うときは、光導電性の感光体である像担持体111が図25において時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ112により均一に帯電され、光走査装置117のレーザビームによる光書込による露光により静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。この静電潜像は現像装置113により反転現像され、像担持体111上にトナー画像が形成される。
転写紙を収納したカセット118は画像形成装置100本体に着脱可能で、図のごとく装着された状態において、収納された転写紙の最上位の1枚が給紙コロ120により給紙される。給紙された転写紙は、その先端部をレジストローラ対119に銜えられる。レジストローラ対119は、像担持体111上のトナー画像が転写位置へ移動するのにタイミングをあわせて転写紙を転写部へ送りこむ。送りこまれた転写紙は、転写部においてトナー画像と重ね合わせられ、転写ローラ114の作用によりトナー画像を静電転写される。トナー画像を転写された転写紙は定着装置116でトナー画像を定着されたのち、搬送路21を通り、排紙ローラ対122によりトレイ123上に排出される。トナー画像が転写されたのち、像担持体111の表面はクリーニング装置115によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。
本発明にかかる静電潜像の測定装置を用いて本発明にかかる測定方法を実施することにより、非常に望ましい潜像担持体を画像形成装置に用いることができる。これにより、解像力に優れて高精彩、かつ高耐久性で信頼性の高い画像形成装置を得ることができる。
本発明にかかる静電潜像の測定装置の第1実施例を示す光学配置図である。 上記実施例の要部を拡大して示す縦断面図である。 2次電子による電荷分布および電位分布検出の原理を示すモデル図である。 上記実施例に用いられる半導体レーザーの駆動電流と光出力との関係を示すグラフである。 時間の経過に対する光源からの光ビームの照射光量の変化を示すもので、(a)は従来方式による場合、(b)は本発明の上記実施例による場合のグラフである。 上記実施例の動作を示すタイミングチャートである。 上記実施例の制御系統の構成を示すブロック図である。 上記実施例による測定手順を示すフローチャートである。 上記実施例に用いることができるメカニカルシャッタの例を示す断面図である。 上記実施例に用いることができる光走査装置およびその光源部の例を示す斜視図である。 上記実施例において形成される潜像画像パターンの各種例を示すモデル図である。 本発明に適用可能な測定方法の変形例を示すモデル図である。 上記変形例における入射電子と試料の関係を示すモデル図である。 潜像深さ計測結果の一例を示すグラフおよびモデル図である。 レーザーのスポット径と潜像の径との関係を示すグラフおよびモデル図である。 本発明にかかる静電潜像の測定装置の第2実施例を示す光学配置図である。 上記第2実施例における露光光学系の詳細を示す光学配置図である。 感光体が帯電することによる走査領域の変化を示すモデル図およびグラフである。 上記第2実施例に用いることができる露光マスクパターンの各種例およびこのマスクパターンによって得られる潜像画像の例を示す正面図である。 上記第2実施例による測定手順を示すフローチャートである。 感光体における局所的倍率変動の例を示すモデル図およびグラフである。 走査光学系による寸法計測用パターンおよびこのパターンを作成するためのLDの動作例を示す波形図およびモデル図である。 上記第2実施例における座標補正用露光光学系の光学レイアウトを示す光学配置図である。 上記第2実施例に適用可能な寸法計測用潜像と潜像評価用の潜像を同時に形成する場合の潜像パターンの例を示すモデル図である。 本発明にかかる画像形成装置の実施例を概念的に示す正面図である。
符号の説明
10 電子ビーム照射部
11 電子銃
19 検出器
20 露光部
21 LD光源
30 感光体試料
35 光偏向器(ポリゴンミラー)
39 シャッタ

Claims (8)

  1. 真空チャンバ内の試料に対して電子ビームを照射することで感光体試料上に帯電電荷を生成させる手段と、上記帯電された上記試料面に静電潜像を形成させるための露光光学系と、上記静電潜像が形成された上記試料面を電子ビームで走査する走査手段と、を有し、この走査で得られる検出信号により上記試料面の静電潜像分布を測定する静電潜像の測定装置において、
    上記露光光学系は、
    光源として半導体レーザーと、
    上記半導体レーザーからのレーザー光を走査する偏向器と、
    上記偏向器により偏向されたレーザー光を検知する同期検知器と、
    上記半導体レーザーに供給されるバイアス電流によるオフセット発光を遮光するシャッタ手段と、
    を有し、
    上記同期検知器からの検知信号に連動して上記シャッタ手段を開放し、
    上記シャッタ手段が上記露光光学系の有効径にまで開放されたタイミングにあわせて、上記半導体レーザーを点灯して上記試料面に静電潜像を形成し、
    上記シャッタ手段が上記真空チャンバ外に配置されている、
    ことを特徴とする静電潜像の測定装置。
  2. 上記試料面に静電潜像が形成された後に上記シャッタ手段を閉じる手段を有することを特徴とする請求項1記載の静電潜像の測定装置。
  3. 上記同期検知器がレーザー光を検知してから上記シャッタ手段が開き始めるまでの時間をTd、上記シャッタ手段が開き始めてから上記半導体レーザーからのレーザー光の有効径にまで開放されるまでの時間をTrとしたときに、上記同期検知器がレーザー光を検知してからTd+Trの時間だけ遅れて上記半導体レーザーを点灯させる手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の静電潜像の測定装置。
  4. 上記露光光学系により上記試料面を走査する1回の走査時間をTf、上記半導体レーザー消灯時のバイアス電流によるオフセット発光をPoff、上記半導体レーザー点灯時の光量をPonとしたときに、
    Tr<Tf*Pon/Poff
    の条件を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電潜像の測定装置。
  5. 上記シャッタ手段として、メカニカルシャッタを用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の静電潜像の測定装置。
  6. 入射する荷電粒子の試料垂直方向の速度ベクトルが反転するような領域が存在する条件下で測定する手段を有することを特徴とする請求項1から5記載の静電潜像の測定装置。
  7. 真空チャンバ内の試料に対して荷電粒子を照射することで上記試料上に帯電電荷を生成し、上記帯電電荷が生成されている上記試料上に光源としての半導体レーザーによる露光光学系を用いて静電潜像を形成し、上記試料面を電子ビームで走査し、この走査で得られる検出信号により上記試料面の静電潜像分布を測定することを特徴とする静電潜像の測定方法において、
    上記静電潜像を形成させる時間の前後で、上記半導体レーザーからのレーザー光が上記試料の観察領域に到達しないように遮光することで、上記半導体レーザーのバイアス電流によるオフセット発光を抑制することを特徴とする静電潜像の測定方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載されている静電潜像の測定装置または測定方法を用いて計測した潜像担持体の感光面に対して光走査を行うことにより潜像を形成し、現像して可視化することを特徴とする画像形成装置であって、
    書き込み光源波長が780nm以下であり、上記感光体面での副走査方向のビームスポット径が60μm以下であり、上記感光体面での副走査方向のビームスポット径をAとし、形成される副走査方向の潜像径をBとしたときに、1.0<B/A<2.0を満足することを特徴とする画像形成装置。
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