JP3971975B2 - カソードルミネッセンス分析装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、カソードルミネッセンス分析装置に関し、特に、その電子光学系の改良に関する。
【0002】
【発明の背景】
カソードルミネッセンス(Cathodeluminescence;以下、CLと表す)分析装置は、電子線によって試料表面を励起し、試料表面から発生するCLを検出器によって検出し、この検出器の出力に基づいて、試料中に含まれる元素の量(濃度)や分布状況または結晶性などを分析するもので、一般的には、電子線を用いるところから電子顕微鏡と組み合わせて構成される。
【0003】
図5は、従来のCL分析装置の電子光学系の構成を概略的に示すもので、この図において、50は鏡筒、60はこの鏡筒50の下方に設けられる試料室で、これら50,60の内部空間は、適宜所定の高真空になるように構成されている。
【0004】
そして、鏡筒50内には、その上方に電子銃(電子線源ともいう)51が鉛直方向に電子線eを発するように設けられるとともに、電子銃51の下方には、電子線eを適宜収束させる第1、第2のコンデンサレンズ52a,52b、電子線eをX方向(紙面の左右方向)およびY方向(紙面に垂直な方向)にそれぞれ走査する走査コイル53a,53bおよび対物レンズ54がこの順で設けられるとともに、電子銃51と対物レンズ54との間の電子光学系内に電子線eを適宜径に絞る4つのアパーチャ55a〜55dが設けられている。
【0005】
また、試料室60内には、電子銃51に臨むようにして試料61が設置されるとともに、この試料61の上方には、試料61に対向する反射面62aが回転楕円面に形成されるとともに、この反射面62aに電子線eを通過させる貫通孔62bが開設された反射ミラー62と、電子線eの試料表面61aへの照射により試料表面61aにおいて発生するCL63を受光するグラスファイバー受光部64が設けられている。なお、このグラスファイバー受光部64の他端側は、CL63を検出するための検出器(図示していない)に接続されており、この検出器の出力は、コンピュータなどの信号処理装置において処理されるように構成されている。
【0006】
上記構成のCL分析装置においては、電子銃51によって発生した電子線eを試料61に照射してその表面61aを励起し、このとき試料表面61aから発生するCL61を検出器によって検出し、この検出器の出力に基づいて、試料61中に含まれる元素の量(濃度)や分布状況または結晶性などが分析される。
【0007】
ところで、前記電子銃51として、例えば図6に示すように、一定結晶方位のV字形フィラメント71の下端に取り付けられ、一定結晶方位に鋭く尖らせたエミッタチップ72と、第1アノード73aおよび第2アノード73bを組み合わせてなる熱電界放出型(TFE)のエミッターが用いられる。なお、図6において、74はサプレッサー、75は加熱電源、76は加速電源、77は引き出し電源である。
【0008】
上記TFEのエミッターよりなる電子銃51においては、CL分析時のビーム電流(電子線)が多く得られるとともに、長時間の使用における安定性に優れているといった利点を有する。しかしながら、TFEのエミッターよりなる電子銃51は、電子を引き出すためにエミッタ−を数千Kといった高温に加熱する必要があるが、このように、エミッタ−を高温にすると、エミッター自体が発光し所謂漏洩光線が生ずる。この漏洩光線は、図5において仮想線Lで示すように、電子銃51を直接見込む位置に配置されている試料61に対して入射する。つまり、従来のCL分析装置においては、CL分析時、豆電球で照らされた状態でCL分析を行うことになる。そして、検出信号となるCL63以外の光あるいは光源が電子光学系内に存在していると、前記光あるいは光源がアパーチャ56a〜56dを通して試料61に到達するため、これがバックグラウンドノイズとなり、真のCL測定値に前記漏洩光線によるバックグラウンド値が上積みされ、それだけ、S/Nが低下するといった問題がある。
【0009】
上述のような問題は、電子銃51が図6に示す熱電界放出型エミッターを用いたCL分析装置のみならず、図7(A)にそれぞれ示すような熱電子放出型(TE)エミッターを用いたCL分析装置においても同様に生じている。また、電界放出型(FE)エミッターを用いたCL分析装置は、エミッターが常温で動作するため前記発光はないが、CL分析時に得られる電流が少なくさらに安定性において劣る。なお、図7(A)において、73はアノード、78はバイアス電源であり、また、図7(B)において、79はブラッシング電源、80はスイッチである。
【0010】
そこで、従来においては、上記漏洩光線Lに起因する問題を回避するため、図5において符号57で示すように、電子銃51とアパーチャ56aとの間に静電レンズよりなるビームブランキング装置を設けるとともに、信号処理部にはロックインアンプを設けるようにしていた。そして、前記ビームブランキング装置57を動作させることなく、電子銃51からの電子線eを試料61に照射させてみかけのCL測定値を求め、次いで、前記ブランキング装置57を動作させて、電子銃51からの電子線eを試料61に照射させないところのブランク(バックグラウンド)測定を行ってブランク測定値を求め、前記CL測定値からブランク測定値を差し引くことにより、真のCL測定値を求めるといった手法を採用していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の手法においては、電子光学系内にブランキング装置57を設けて、CL分析測定のほかにブランク値測定を行う必要があり、1回の分析に異なる測定動作を2回も行わなければならないといった分析操作が非常に煩わしいという課題があるとともに、信号処理部に高価なロックインアンプなどを組み込む必要があるなど、装置構成が複雑になるとともに信号処理のための構成が複雑になり、ハード面およびソフト面での構成が複雑になるといった課題があった。
【0012】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、CL分析に有害な漏洩光線を電子線から確実に分離して、光吸収手段により吸収させることができ、所望の電子線のみを試料に確実に照射することができ、したがって、S/Nの高い分析結果を得ることができると共に、分析のための操作がきわめて簡単であり、電子光学系を複雑にすることがなく、また、信号処理系に高価なロックインアンプなどを組み込む必要がない安価で使い勝手の優れたCL分析装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、電子銃から電子線を試料に照射したときに当該試料から発生するカソードルミネッセンスを検出器によって検出するようにしたカソードルミネッセンス分析装置において、前記電子銃からの電子線放出方向が前記電子銃と試料とを結ぶ直線と角度を有し、前記電子銃と試料との間に、前記電子銃からの電子線の進行方向を偏向させ、かつ、前記電子銃からの漏洩光線を直進させる電子線偏向手段を1以上設けてあり、さらに、前記電子銃から直進し、かつ、前記電子線偏向手段によって電子線と進行方向が分離した漏洩光線を吸収するための光吸収手段を設けてあることを特徴としている(請求項1)。
【0014】
上記構成よりなるCL分析装置においては、CL分析の際、試料に対して、バックグランドノイズの原因となる漏洩光線を照射することなく、電子線のみを照射することができる。したがって、従来のように、電子光学系内にビームブランキング装置を設けたるとともに、信号処理系に高価なロックインアンプなどを組み込む必要がないので、装置全体が安価となる。そして、バックグランドノイズを測定するためのブランク測定を行う必要がなく、誰にでも容易に所望のCL分析を行うことができる。
【0015】
そして、前記請求項1では、電子銃と試料との間に、電子線のみについて進行方向を偏向させる電子線偏向手段を1以上設けているので、電子線のみを確実に所望の方向に進路変更させることができ、試料に電子線を確実に照射することができる。
【0016】
また、この発明では、電子銃から電子線を試料に照射したときに当該試料から発生するカソードルミネッセンスを検出器によって検出するようにしたカソードルミネッセンス分析装置において、前記電子銃と試料との間に、前記電子銃からの電子線の進行方向を偏向させ、かつ、前記電子銃からの漏洩光線を直進させる1つの電子線偏向手段を設けるとともに、前記電子銃が試料を直接見込まないように、電子銃を試料からみて鉛直上方向より角度をなす位置に配置し、さらに、前記電子銃から直進し、かつ、前記電子線偏向手段によって電子線と進行方向が分離した漏洩光線を吸収するための光吸収手段を設けてあったり(請求項2)、さらに、電子銃から電子線を試料に照射したときに当該試料から発生するカソードルミネッセンスを検出器によって検出するようにしたカソードルミネッセンス分析装置において、前記電子銃と試料との間に、前記電子銃からの電子線の進行方向を偏向させ、かつ、前記電子銃からの漏洩光線を直進させるための電子線偏向手段を2以上設け、さらに、前記電子銃から直進し、かつ、前記電子線偏向手段によって電子線と進行方 向が分離した漏洩光線を吸収するための光吸収手段を設けてあってもよい(請求項3)
これらいずれのCL分析装置においても、前記請求項1に記載のCL分析装置と同様の作用効果が得られる。
【0017】
そして、上記請求項1〜3のいずれの発明においても、前記電子銃から直進し、かつ、前記電子線偏向手段によって電子線と進行方向が分離した漏洩光線を吸収するための光吸収手段を設けてあるので、CL分析に際して有害となる漏洩光線が積極的かつ効果的に除去され、漏洩光線による悪影響がほとんど完全に除去されることにより、精度のより高いCL分析を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態におけるCL分析装置の電子光学系の構成を概略的に示すもので、この図において、10は鏡筒、20はこの鏡筒10の下方に設けられる試料室で、これら10,20の内部空間は、適宜所定の高真空になるように構成されている。
【0019】
前記鏡筒10は、上方の鏡筒傾斜部10Aとこれに連なる鏡筒鉛直部10Bとからなり、例えば鉄よりなる。そして、鏡筒傾斜部10Aは、その中心線11が鉛直方向の線12に対して角度αだけ傾いている(図1においては誇張して表しており、αは例えば10-1〜10-2rad程度である。)。そして、この鏡筒傾斜部10Aの内部上方には、例えば図6に示すように構成された電子銃13が設けられており、電子線eを前記中心線11で示す方向に発するように構成されている。したがって、電子銃13から放出される電子線eの放出方向11は、後述する試料21と電子銃13とを結ぶ直線と角度をなしている。そして、前記鏡筒傾斜部10A内には、第1アパーチャ14a、第1コンデンサレンズ15aおよび第2アパーチャ14bがこの順で適宜の間隔をおいて設けられている。
【0020】
そして、鏡筒傾斜部10Aの下方に連なる鏡筒鉛直部10Bの内部には、第3アパーチャ14c、第2コンデンサレンズ15b、第4アパーチャ14d、第3コンデンサレンズ15c、第5アパーチャ14e、電子線eをX方向(紙面の左右方向)およびY方向(紙面に垂直な方向)にそれぞれ走査する走査コイル16a,16b、対物レンズ17および第6アパーチャ14fがこの順で設けられている。
【0021】
また、試料室20内には、第6アパーチャ14fに臨むようにして試料21が設置されるとともに、この試料21の上方には、試料21に対向する反射面22aが回転楕円面に形成されるとともに、この反射面22aに電子線eを通過させる貫通孔22bが開設された反射ミラー22と、電子線eの試料表面21aへの照射により試料表面21aにおいて発生するCL23を受光するグラスファイバー受光部24が設けられている。なお、このグラスファイバー受光部24の他端側は、CL23を検出するための例えばCCDを用いた検出器(図示していない)に接続されており、この検出器の出力は、装置全体を制御する機能を備えた演算制御装置(例えばコンピュータ)において処理されるように構成されている。
【0022】
ここまでの構成は、鏡筒10が上方の鏡筒傾斜部10Aと、これに連なる鏡筒鉛直部10Bとからなる点を除いて、従来のCL分析装置における構成と同じであるが、この発明では、さらに、鏡筒傾斜部10Aと鏡筒鉛直部10Bとの境目近傍の鏡筒10内部に、電子銃13から発せられる電子線eは偏向させるが電子銃13から発せられる漏洩光線Lは直進させる電子線偏向手段(ディフレクタ)30を設け、この電子線偏向手段30によって偏向された電子線eのみを試料21に照射するようにしている。すなわち、この実施の形態においては、前記電子線偏向手段30は、鏡筒傾斜部10A側の第2アパーチャ14bと鏡筒鉛直部10B側の第3アパーチャ14cとの間に設けられており、電子銃13を発し、鉛直方向と角度αだけ傾斜して直進する電子線eを鉛直方向に進むように偏向するもので、電界または磁界を利用したものを用いることができる。
【0023】
なお、上記電子銃13、コンデンサレンズ15a〜15c、走査コイル16a,16bおよび対物レンズ17などの部材は、それぞれ個々に、図示していない演算制御装置によって制御され、高分解能でCL分析や観察を行うことができ、CL強度が十分に得られる条件を任意に実現できるように構成されている。また、各レンズ間に設けられているアパーチャ14a〜14fは、電子線eを収束させる機能および鏡筒10内における散乱光を遮蔽する機能を備えている。
【0024】
上記構成のCL分析装置においては、CL分析時、電子銃13におけるエミッターが熱せられることにより、電子線eと漏洩光線Lが発生する。この電子線eと漏洩光線Lは、符号12で示す中心線に沿って鉛直方向13と角度αだけ傾斜した状態で、鏡筒傾斜部10A内を進む。このとき、電子線eは、第1アパーチャ14a、第1コンデンサレンズ15aおよび第2アパーチャ14bを順次通過することによって適宜収束され電子線偏向手段30に至る。一方、前記漏洩光線Lは、多少広がりながら電子線偏向手段30に向かい、その一部はアパーチャ14a,14bに遮断されるが、残りの漏洩光線Lは、第1アパーチャ14a、第1コンデンサレンズ15aおよび第2アパーチャ14bを順次通過して電子線偏向手段30に至る。
【0025】
そして、電子線偏向手段30においては、電子線eのみが偏向作用を受けて鉛直方向に偏向され、その状態で鏡筒鉛直部10B内を進む。このとき、電子線eは、第3アパーチャ14c、第2コンデンサレンズ15b、第4アパーチャ14d、第3コンデンサレンズ15cおよび第5アパーチャ14eを順次通過することによって適宜収束され、さらに、走査コイル16a,16bによって適宜X,Y方向に走査された後、対物レンズ17および第6アパーチャ14fを経て、試料室20内の試料21に照射される。一方、前記電子線偏向手段30に至った漏洩光線Lは、この電子線偏向手段30において偏向作用を受けることがなく、そのまま、図1において、仮想線L’で示すように直進し、前記電子線eと分離されて、鏡筒鉛直部10Bの内壁10b方向に向かう。つまり、漏洩光線Lは、試料室20内の試料21に照射されることはない。この場合、前記内壁10bを、例えばその全面にわたって光反射率が金属に比べて小さい物質(例えばグラファイトなど)を塗布しておくことにより、前記行路から外れた漏洩光線L’を吸収することができる。
【0026】
上述のように、上記第1の実施の形態におけるCL分析装置においては、CL分析の際、試料21に対して、バックグランドノイズの原因となる漏洩光線Lが照射されることなく、電子線eのみが照射される。したがって、従来のように、電子光学系内にビームブランキング装置を設けたり、信号処理系に高価なロックインアンプなどを組み込む必要がないので、装置全体が安価となる。そして、バックグランドノイズを測定するためのブランク測定を行う必要がないので、分析のための走査が簡単になり、したがって、誰にでも容易に所望のCL分析を行うことができる。
【0027】
そして、上記実施の形態におけるCL分析装置においては、電子線偏向手段30を経た電子線eが第2、第3のコンデンサレンズ15b,15cを通過するようにしているので、これらのコンデンサレンズ15b,15cを通過するごとに収束させられ、電子線偏向手段30の前段側に設けられる第1コンデンサレンズ15aとともに三段のレンズ構成となっているので、電子線eを十分に収束させることができる。
【0028】
なお、上記CL分析装置においては、電子線偏向手段30が一つだけであるので、電子線偏向手段30を、非点性収差の発生を可及的に抑制するように注意する必要がある。具体的には、電子レンズなど電子線偏向手段30として用いられる部材を、その機械的強度を高めて設計するなどの対策が考えられる。
【0029】
また、上述の第1の実施の形態においては、鏡筒10を鏡筒傾斜部10Aと鏡筒鉛直部10Bとによって構成し、鏡筒傾斜部10Aの上部側に設けられる電子銃13が、鏡筒鉛直部10Bの下方に設けられる試料室20内の試料21を見込まないようにしていたが、鏡筒10として、図5や後述する図2に示されるように、ストレートなものを用い、この鏡筒の上部側に電子銃13を、試料21を直接見込まないように、鉛直方向に対して若干傾斜させるように設けてもよい。
【0030】
上記第1の実施の形態においては、鏡筒10が鏡筒傾斜部10Aと鏡筒鉛直部10Bとによって構成されるものであったが、これに代えて、鏡筒10としてはストレートな形状のものを用い、この鏡筒10の上部側に設けられる電子銃13と、試料室20内の試料21が同一鉛直線上に位置するのではなく、電子線eと漏洩光線Lとを確実に分離することができる程度に、平面視において互いに位置をずらせた状態に配置させることにより、電子銃13からの電子線eの放出放出方向が電子銃13と試料21とを結ぶ直線と角度をなすようにしてあってもよい。以下、これを第2の実施の形態として、図2を参照しながら説明する。
【0031】
すなわち、図2において、10Cはストレートな鏡筒で、その上部側には電子銃13は、試料室20内の試料21が同一鉛直線上に位置するのではなく、電子線eと漏洩光線Lとを確実に分離することができる程度に、平面視において互いに位置をずらせた状態に配置されている。つまり、電子銃13を発した電子線eが仮に直線的に下方の試料21方向に向かったとしても、試料室20内の試料21に直接照射されない程度に、電子銃13と試料位置とがずれている。
【0032】
そして、図示する例においては、電子銃13の電子線e出射方向の下方に、第1アパーチャ14a、第1コンデンサレンズ15a、第2アパーチャ14bが所定の間隔をおいてこの順に設けられ、この第2アパーチャ14bの下方に、電子銃13において発生した電子線eおよび漏洩光線Lがそのまま通過できるように、第1電子線偏向手段31が設けられている。そして、この第1電子線偏向手段31の下方には、電子線eと漏洩光線Lとを確実に分離することができる程度に、平面視において互いに位置をずらせた状態で第2電子線偏向手段32が配置されている。これらの電子線偏向手段31,32は、電子銃13を発して鉛直方向に進む電子線eのみ偏向させるもので、前記電子線偏向手段30と同様に、電界または磁界を利用したものを用いることができる。そして、これらの電子線偏向手段31,32による電子線eの偏向は、偏量が互いに等しく、逆方向である。
【0033】
そして、第2電子線偏向手段32の下方には、第3アパーチャ14c、第2コンデンサレンズ15b、第4アパーチャ14d、第3コンデンサレンズ15c、第5アパーチャ14e、走査コイル16a,16b、対物レンズ17および第6アパーチャ14fがこの順で設けられている。この場合、対物レンズ17および第6アパーチャ14fは、それらを通過した電子線eが試料室20内の試料21に照射させるように位置していることはいうまでもない。
【0034】
上記構成のCL分析装置においては、CL分析時、電子銃13におけるエミッターが熱せられることにより、電子線eと漏洩光線Lが発生し、これらの電子線eおよび漏洩光線Lは、鏡筒10内を下方鉛直方向に進む。そして、電子線eは、第1アパーチャ14a、第1コンデンサレンズ15aおよび第2アパーチャ14bを順次通過することによって適宜収束され第1電子線偏向手段31に至る。一方、漏洩光線Lは、多少広がりながら電子線偏向手段30に向かい、その一部はアパーチャ14a,14bに遮断されるが、残りの漏洩光線Lは、第1アパーチャ14a、第1コンデンサレンズ15aおよび第2アパーチャ14bを順次通過して第1電子線偏向手段31に至る。
【0035】
そして、電子線偏向手段31においては、電子線eのみが偏向作用を受けて、所定角度だけ曲げられ、この1回目の偏向を受けた電子線eは、第2電子線偏向手段32方向に進むが、漏洩光線Lは偏向を受けることなく、そのまま下方鉛直方向に進み、これによって電子線eと漏洩光線Lは分離される。そして、前記第2電子線偏向手段32に至った電子線eは、第2電子線偏向手段32による偏向作用を受けて、所定角度だけ曲げられ、この2回目の偏向を受けた電子線eは、鉛直方向に進む。そして、この2回目の偏向を受けた電子線eは、第3アパーチャ14c、第2コンデンサレンズ15b、第4アパーチャ14d、第3コンデンサレンズ15cおよび第5アパーチャ14eを順次通過することによって適宜収束され、さらに、走査コイル16a,16bによって適宜X,Y方向に走査された後、対物レンズ17および第6アパーチャ14fを経て、試料室20内の試料21に照射される。一方、前記電子線偏向手段30に至った漏洩光線Lは、この電子線偏向手段30において偏向作用を受けることがなく、そのまま、図1において、仮想線L’で示すように直進し、前記電子線eの鏡筒鉛直部10B内における行路をたどることない。つまり、漏洩光線Lは、試料室20内の試料21に照射されることはない。
【0036】
この第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。さらに、この第2の実施の形態においては、以下のような格別の効果を奏する。すなわち、鏡筒10Cの形状は、鏡筒10とは異なり、ストレートな形状でよいから、その形状がシンプルなものでよく、その製作を容易に行うことができる。そして、電子線eを第1、第2の電子線偏向手段31,32を用いて互いに等しい偏量を互いに逆方向となるように偏向させるものであるので、単一の電子線偏向手段30を用いる場合と異なり、非点性収差の発生を殆どゼロにすることができる。
【0037】
そして、上記第2の実施の形態において、図3に示すように、第1電子線偏向手段31の真下(後段側)に、漏洩光線L’を吸収するために、例えば内面が光反射率が金属に比べて小さい物質(例えばグラファイトなど)で塗布された光吸収カップのような光吸収手段40を設けておけば、電子線eと分離された漏洩光線L’を殆ど吸収することができ、第2電子線偏向手段32を通過する漏洩光線Lを元の10-6程度にまで減少させることができる。
【0038】
この発明は、上述の各実施の形態に限られるものではなく、例えば、前記光吸収手段40を、第1の実施の形態における電子線偏向手段30の後段側に設けてもよい。また、図4に示すように、例えば第1の実施の形態におけるCL分析装置において、コンデンサレンズを2段構成としてもよい。勿論、第2に実施の形態においても、コンデンサレンズを2段構成としてもよい。さらに、電子線偏向手段30(31,32)を3以上設けてもよく、それに応じて、光吸収手段40を複数設けるようにしてもよい。
【0039】
また、各コンデンサレンズ15a〜15cの間に、透過型電子顕微鏡(TEM)や、走査型透過電子顕微鏡(STEM)などにおいて用いられるエネルギーフィルタを設置してもよい。
【0040】
さらに、この発明は、前記TEMやSTEMにおけるCL分析にも適用することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、この発明のCL分析装置においては、CL分析に有害な漏洩光線を電子線から確実に分離して、光吸収手段により吸収させることができ、所望の電子線のみを試料に確実に照射することができる。したがって、S/Nの高い分析結果を得ることができる。
【0042】
そして、この発明によれば、電子光学系を複雑にすることがなく、分析のための操作がきわめて簡単であり、また、信号処理系に高価なロックインアンプなどを組み込む必要がなく安価であるとともに、分析のための操作がきわめて簡単であり、使い勝手の優れたCL分析装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係るCL分析装置における電子光学系の構成を概略的に示す図である。
【図2】 第2の実施の形態に係るCL分析装置における電子光学系の構成を概略的に示す図である。
【図3】 第2の実施の形態に係るCL分析装置における電子光学系の他の実施態様を示す図である。
【図4】 電子光学系の他の実施態様を示す図である。
【図5】 従来のCL分析装置における電子光学系の構成を概略的に示す図である。
【図6】 電子銃の構成の一例を概略的に示す図である。
【図7】 (A),(B)はそれぞれ電子銃の構成の他の例を示す図である。
【符号の説明】
11…電子線照射方向、13…電子銃、21…試料、23…カソードルミネッセンス(CL)、30,31,32…電子線偏向手段、40…光吸収手段、e…電子線、L…漏洩光線。

Claims (3)

  1. 電子銃から電子線を試料に照射したときに当該試料から発生するカソードルミネッセンスを検出器によって検出するようにしたカソードルミネッセンス分析装置において、前記電子銃からの電子線放出方向が前記電子銃と試料とを結ぶ直線と角度を有し、前記電子銃と試料との間に、前記電子銃からの電子線の進行方向を偏向させ、かつ、前記電子銃からの漏洩光線を直進させる電子線偏向手段を1以上設けてあり、さらに、前記電子銃から直進し、かつ、前記電子線偏向手段によって電子線と進行方向が分離した漏洩光線を吸収するための光吸収手段を設けてあることを特徴とするカソードルミネッセンス分析装置。
  2. 電子銃から電子線を試料に照射したときに当該試料から発生するカソードルミネッセンスを検出器によって検出するようにしたカソードルミネッセンス分析装置において、前記電子銃と試料との間に、前記電子銃からの電子線の進行方向を偏向させ、かつ、前記電子銃からの漏洩光線を直進させる1つの電子線偏向手段を設けるとともに、前記電子銃が試料を直接見込まないように、電子銃を試料からみて鉛直上方向より角度をなす位置に配置し、さらに、前記電子銃から直進し、かつ、前記電子線偏向手段によって電子線と進行方向が分離した漏洩光線を吸収するための光吸収手段を設けてあることを特徴とするカソードルミネッセンス分析装置。
  3. 電子銃から電子線を試料に照射したときに当該試料から発生するカソードルミネッセンスを検出器によって検出するようにしたカソードルミネッセンス分析装置において、前記電子銃と試料との間に、前記電子銃からの電子線の進行方向を偏向させ、かつ、前記電子銃からの漏洩光線を直進させるための電子線偏向手段を2以上設け、さらに、前記電子銃から直進し、かつ、前記電子線偏向手段によって電子線と進行方向が分離した漏洩光線を吸収するための光吸収手段を設けてあることを特徴とするカソードルミネッセンス分析装置。
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