JP5043112B2 - 製紙用内添サイズ剤およびその用途 - Google Patents
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Description
従来、中性抄紙において用いられるサイズ剤としては、アルキルケテンダイマーからなるサイズ剤が知られている。しかし、アルキルケテンダイマー系サイズ剤には、サイズ効果の立上がりが遅いため抄紙直後のサイズ効果が劣る場合があるという欠点があった。加えて、アルキルケテンダイマー系サイズ剤は、一般に、高価格であるためコストアツプを招くという問題点があった。また、ロジンエステルや強化ロジンエステル等を用いた中性ロジンサイズ剤も知られているが、中性ロジンサイズ剤の場合には、サイズ剤の使用に際して抄紙条件を適正にコントロールしないと、初期のサイズ度が得られにくい。加えて、中性ロジンサイズ剤は、サイズ性能が低いためサイズ剤の添加率を高くする必要があり、サイジングコストが高くなるという問題があった。
詳しくは、本発明者らは、炭酸カルシウムが存在し、硫酸バンドが存在しないか使用量の少ない抄造条件においては、紙に疎水性を付与しにくくなるという通説に基づき、主鎖となる疎水性ポリマー中に、炭酸カルシウムと相互作用させ疎水化できる部位を効率よく導入し分布させることを目指し、研究を重ねた。そして、一般に、炭酸カルシウムの水分散液はその希釈状態やpHによって粒子表面電荷が異なること、および、炭酸カルシウム粒子の分散性向上のためにアニオン性のポリマーが添加される場合があること、に着目し、炭酸カルシウムと相互作用させる官能基としては、炭酸カルシウムが正電荷を有するときにはカルボキシル基などのアニオン性基が有効であり、負電荷を有するときにはアミノ基やアンモニウム基といったカチオン性基が有効であるのではないかと考えた。そして、スチレン、アルキル基を有する(メタ)アクリレートなどといった疎水部を持ったモノマーに、該モノマーと共重合しやすいカチオン性モノマーおよびアニオン性モノマーをともに共重合させることにより、あらゆる表面電荷状態の炭酸カルシウムと相互作用する両イオン性部位を導入すれば、炭酸カルシウムが存在し、硫酸バンドが存在しないか使用量の少ない条件下で中性抄造する場合であっても、効率よく優れたサイズ性を付与することができることを見出した。しかも、このような両イオン性を有するポリマー設計にすると、抄造系内に存在するアニオントラッシュとの相互作用も軽減できること、さらに、このようなポリマー設計においては、共重合体の分子量も容易に制御できることをも見出した。本発明は、これらの知見により完成したものである。
本発明の紙または板紙は、前記本発明の製紙用内添サイズ剤を含有してなる。
なお、本明細書においては、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸またはメタクリル酸の総称を意味するものである。同様に、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または「メタクリル」を、「(メタ)アクリロ」は「アクリロ」または「メタクリロ」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を、「(メタ)アリル」は「アリル」または「メタリル」を、それぞれ意味する。
前記両イオン性共重合体がこのような効果を発現するのは、前記両イオン性共重合体が、パルプに自己定着するとともに炭酸カルシウムと相互作用もする部位を一つのポリマー分子内に持ち、かつ、ポリマー内およびポリマー間でイオン的な錯体を形成しうるからである、と推測される。つまり、一分子内に前述の部位を持つことにより、パルプと炭酸カルシウムの効率的な疎水化が可能となり、また、イオン的な錯体を形成することにより、巨大化した分子の集合体の構造を持つことが可能になり、その結果、パルプ繊維への物理的な歩留まりの向上や、アニオントラッシュなどとの相互作用が緩和されることによる自己定着能の向上などが達成されて、効果的なサイズ発現が可能になっていると考えられる。
前記(メタ)アクリル酸のC1〜C14アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの脂肪族炭化水素エステルのほか、脂環系や芳香族系の炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
前記α、β−不飽和スルホン酸類としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)等が挙げられる。
したがって、前記単量体成分におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率と同様、単量体成分を重合してなる両イオン性共重合体におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率も、前記と同じ範囲であることが好ましい。例えば、単量体成分の重合がビニル結合によりなされるよう単量体成分を選択した場合など、重合にカチオン性基およびアニオン性基が関与しない場合には、両イオン性共重合体におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率は、単量体成分におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率と一致することとなる。
前記過酸化物系重合開始剤としては、例えば、過硫酸ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの無機過酸化物;等が挙げられる。
前記レドックス開始剤としては、例えば、前述した過酸化物と、亜硫酸ナトリウム、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、3級アミン類などの還元剤とを併用すればよい。
前記水溶性連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、およびこれらの塩などのメルカプタン類;(メタ)アリルアルコール、(メタ)アリルアミン、(メタ)アリルスルホン酸、およびこれらの塩などの親水性アリル化合物;エタノールアミン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
4級化に際し用いることのできる4級化剤としては、例えば、硫酸ジメチル、炭酸ジメチル、塩化メチル、塩化アリル、塩化ベンジル、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エチレンクロルヒドリン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の1種もしくは2種以上が挙げられる。これらの中でも、エピクロルヒドリン、塩化ベンジルが好ましい。
また、前記パルプスラリーには、例えば、硫酸バンド、填料、染料、紙力増強剤、歩留り向上剤、消泡剤などの添加剤を必要に応じて添加できることはいうまでもない。填料としては、製紙用として公知のものを任意で使用できる。例えば、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、炭酸カルシウム−シリカ複合物(特開2003−212539号公報あるいは特開2005−219945号公報等に記載の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物)、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料;製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料;等を単用または併用することができる。好ましい填料は炭酸カルシウムである。また、中性ロジンやAKD、ASAなどの既存のサイズ剤も併用して使用することができる。これら添加剤や既存のサイズ剤の添加量は、適宜設定すればよい。
なお、以下の実施例および比較例において、共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより下記の条件で測定した。
カラム:昭和電工(株)製「Asahipak GF−7M HQ」、「Asahipak GF−310 HQ」
機器:昭和電工(株)製「GPC SYSTEM−21H」
溶媒:ジメチルホルムアミド
スチレン30重量部、ブチルアクリレート50重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート15重量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド3重量部、メタクリル酸1重量部、イタコン酸1重量部からなる単量体成分と、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2重量部と、溶媒としてメチルイソブチルケトン50重量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.5重量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300重量部および90%酢酸水7.7重量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてエピクロルヒドリン8.5重量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体を含む固形分20重量%の水溶液を得、これを本発明の製紙用内添サイズ剤(1)とした。
表1に、用いた単量体成分におけるアニオン性モノマーのアニオン当量をカチオン性モノマーのカチオン当量に対する比率(百分率)で示すとともに、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
スチレン40重量部、イソブチルメタクリレート40重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート17重量部、イタコン酸2重量部、アクリル酸1重量部からなる単量体成分と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン2重量部と、溶媒としてトルエン50重量部とを4つ口フラスコに入れ、105℃まで加熱した後、開始剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート2.5重量部を加え、次いで110℃で3時間重合させた。次に、水300重量部および90%酢酸水7.2重量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してトルエンを留去した。その後、85℃で4級化剤として3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド10.2重量部を添加して同温度で3時間反応させた後、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体を含む固形分20重量%の微濁水溶液を得、これを本発明の製紙用内添サイズ剤(2)とした。
表1に、用いた単量体成分におけるアニオン性モノマーのアニオン当量をカチオン性モノマーのカチオン当量に対する比率(百分率)で示すとともに、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
スチレン50重量部、ブチルメタクリレート26重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート15重量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド6重量部、メタクリル酸1重量部、アクリル酸1重量部、無水マレイン酸1重量部からなる単量体成分と、連鎖移動剤としてチオグリコール酸1.5重量部と、溶媒としてイソプロパノール50重量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル2.5重量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300重量部および90%酢酸水9重量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロパノールを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてジメチル硫酸13.5重量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体を含む固形分20重量%の水溶液を得、これを本発明の製紙用内添サイズ剤(3)とした。
表1に、用いた単量体成分におけるアニオン性モノマーのアニオン当量をカチオン性モノマーのカチオン当量に対する比率(百分率)で示すとともに、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
単量体成分の種類と量、および4級化剤の種類と量を表1に示すように変えたこと以外、実施例1−1と同様の操作を行い、疎水性基を有する両イオン性共重合体を含む固形分20重量%の水溶液または微濁水溶液を得、それらを各々本発明の製紙用内添サイズ剤(4)〜(8)とした。
表1に、用いた単量体成分におけるアニオン性モノマーのアニオン当量をカチオン性モノマーのカチオン当量に対する比率(百分率)で示すとともに、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
スチレン30重量部、ブチルアクリレート50重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート19重量部、メタクリル酸1重量部からなる単量体成分と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.2重量部と、溶媒としてメチルイソブチルケトン50重量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.0重量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300重量部および90%酢酸水8.1重量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてエピクロルヒドリン9.0重量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体を含む固形分15重量%の水溶液を得、これを本発明の製紙用内添サイズ剤(9)とした。
表1に、用いた単量体成分におけるアニオン性モノマーのアニオン当量をカチオン性モノマーのカチオン当量に対する比率(百分率)で示すとともに、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
溶媒としてイソプロパノール50重量部および90%酢酸水8.5重量部を4つ口フラスコに入れ、撹拌しながら85℃まで加熱した。該フラスコに、スチレン30重量部、ブチルアクリレート50重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート20重量部からなる単量体成分に、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン2重量部と開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート2重量部とをあらかじめ溶解させた混合液を、フラスコ内温を80〜90℃に保ちながら3時間かけて全量滴下し、80〜90℃で1時間熟成させて重合を完結させた。次に、フラスコ内温を80℃に保持して温水300重量部を添加した後、加熱蒸留してイソプロパノールを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてエピクロルヒドリン9.5重量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有するカチオン性共重合体を含む固形分20重量%の水溶液を得、これを比較用の内添サイズ剤(C1)とした。
表1に、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
スチレン30重量部、ブチルアクリレート50重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート20重量部からなる単量体成分と、トールロジン10重量部と、連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマー3重量部と、溶媒としてトルエン40重量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)2.5重量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300重量部および90%酢酸水8.5重量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してトルエンを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてエピクロルヒドリン9.5重量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、ロジン結合型の疎水性基を有するカチオン性共重合体を含む固形分20重量%の水溶液を得、これを比較用の内添サイズ剤(C2)とした。
表1に、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
単量体成分の種類と量、および4級化剤の種類と量(比較例1−3においては4級化剤未使用)を表1に示すように変えたこと以外、比較例1−1と同様の操作を行い、疎水性基を有するカチオン性共重合体を含む固形分20重量%の水溶液または微濁水溶液を得、それらを各々比較用の内添サイズ剤(C3)および(C4)とした。
表1に、得られた内添サイズ剤中の共重合体について、そのカチオン性基の4級化率および重量平均分子量を示す。
スチレン77重量部、メタクリル酸10重量部、アクリル酸13重量部からなる単量体成分と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン2.5重量部と、溶媒としてイソプロパノール45重量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤としてt−ブチルパーオキシエチルヘキサネート2重量部を加え、次いで85℃で3時間重合させた。次に、加熱蒸留してイソプロパノールを留去させた。その後、80℃で25%アンモニア水22重量部および水300重量部を添加して同温度で1時間保持した。このとき、1時間保持後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有するアニオン性共重合体を含む固形分20重量%の水溶液を得、これを比較用の内添サイズ剤(C5)とした。
表1に、得られた内添サイズ剤中の共重合体の重量平均分子量を示す。
ST:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
IBMA:イソブチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMC:メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド
DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
MAA:メタクリル酸
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
MA:無水マレイン酸
EPCl:エピクロルヒドリン
CTA:3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド
DMS:ジメチル硫酸
BCL:塩化ベンジル
カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F)を400mLに調整した原料パルプ(LBKP100%)を用いて1.5重量%のパルプスラリーを調製し、40℃に保持した。次いで、このパルプスラリー中に、対パルプ0.15重量%または0.20重量%の内添サイズ剤(1)と、対パルプ30重量%の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)水分散物とを順次添加した後、このスラリーを1.0重量%まで希釈した。次に、得られたパルプスラリーを均一に攪拌した後、手抄き装置(TAPPIスタンダード・シートマシーン)を用いて、坪量70±1g/m2となるようにウェットシートを作製した。このウェットシートを濾紙の間に挟み、5kg/cm2の圧力下で1分間プレス脱水した後、回転式ドラムドライヤーにて105℃で2.5分間乾燥して、手抄き紙を得た。
実施例2−1において用いた内添サイズ剤(1)の代わりに、実施例1−2〜1−9で得た内添サイズ剤(2)〜(9)をそれぞれ用いたこと以外、実施例2−1と同様の操作を行い、各々手抄き紙を得た。
実施例2−1において用いた内添サイズ剤(1)の代わりに、比較例1−1〜1−5で得た内添サイズ剤(C1)〜(C5)をそれぞれ用いたこと以外、実施例2−1と同様の操作を行い、各々手抄き紙を得た。
実施例2−1において用いた内添サイズ剤(1)の代わりに、市販の中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成(株)製「ニューサイズ738」)を用いたこと以外、実施例2−1と同様の操作を行い、手抄き紙を得た。
実施例2−1において用いた内添サイズ剤(1)の代わりに、市販のアルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤(ハリマ化成(株)製「ハーサイズAK−720H」)を用いたこと以外、実施例2−1と同様の操作を行い、手抄き紙を得た。
脱墨パルプ(DIP)80重量%とサーモメカニカルパルプ(TMP)20重量%とからなる原料パルプを用いて3重量%のパルプスラリーを調製し、40℃に保持した。次いで、このパルプスラリー中に、対パルプ0.15重量%または0.30重量%の内添サイズ剤(1)と、対パルプ25重量%の炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)水分散物とを順次添加した後、このスラリーを1.5重量%まで希釈した。次に、得られたパルプスラリーを均一に攪拌した後、手抄き装置(TAPPIスタンダード・シートマシーン)を用いて、坪量50±1g/m2となるようにウェットシートを作製した。このウェットシートを濾紙の間に挟み、5kg/cm2の圧力下で1分間プレス脱水した後、回転式ドラムドライヤーにて105℃で2.5分間乾燥して、手抄き紙を得た。
実施例3において用いた内添サイズ剤(1)の代わりに、市販の中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成(株)製「ニューサイズ738」)を対パルプ0.15重量%または0.30重量%添加したこと以外、実施例3と同様の操作を行い、手抄き紙を得た。
実施例3において用いた内添サイズ剤(1)の代わりに、市販のアルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤(ハリマ化成(株)製「ハーサイズAK−720H」)を対パルプ0.15重量%または0.30重量%添加したこと以外、実施例3と同様の操作を行い、手抄き紙を得た。
Claims (7)
- 疎水性基を有するとともに、カチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする製紙用内添サイズ剤であって、
前記両イオン性共重合体が、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)を必須とし、かつ前記モノマー(C)のアニオン当量が前記モノマー(B)のカチオン当量の0.1〜90%である単量体成分を重合して得られるものであり、そのカチオン性基の4級化率は40〜90モル%である、
ことを特徴とする製紙用内添サイズ剤。 - 前記疎水性モノマー(A)が、スチレン類、(メタ)アクリル酸のC1〜C14アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の製紙用内添サイズ剤。
- 前記カチオン性モノマー(B)が、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2記載の製紙用内添サイズ剤。
- 前記アニオン性モノマー(C)が、α、β−不飽和カルボン酸類、α、β−不飽和スルホン酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の製紙用内添サイズ剤。
- 前記両イオン性共重合体の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000である、請求項1〜4のいずれかに記載の製紙用内添サイズ剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製紙用内添サイズ剤を含有してなる、紙または板紙。
- 中性抄紙である、請求項6記載の紙または板紙。
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