JP2021134472A - 嵩高向上助剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度および不透明度を損なうことなく、嵩高剤との併用によって、低密度で嵩高い紙を製造することができる嵩高向上助剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法を提供する。【解決手段】(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体または(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体を含有する嵩高向上助剤、ならびに、嵩高剤および前記嵩高向上助剤を含む嵩高剤キットである。また、前記嵩高向上助剤と嵩高剤とを原料パルプを含有するパルプスラリーに添加することを特徴とする紙の製造方法である。【選択図】なし
Description
本発明は嵩高向上助剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法に関する。特に、嵩高剤との併用によって、強度および不透明度を損なうことなく、低密度で嵩高い紙を製造することができる嵩高向上助剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法に関する。
近年、地球の温暖化、資源の有効利用等の環境問題から、パルプの使用量を抑えるために紙の坪量を下げるとともに、紙の厚さが低下しないよう嵩高化の試みがなされてきた。紙を嵩高にする方法の一つとしては、例えば、嵩高剤を用いる方法(特許文献1)が知られている。
しかしながら、嵩高剤は、一般に、パルプへの定着性が低いため、使用量も多い上、抄紙系内の泡立ちや他の製紙用薬剤への阻害要因が強く、これまで特異的に嵩高剤を定着させる薬剤や方法は見出されていなかった。また、紙の坪量を下げると、強度や不透明度等の紙質の低下が問題となるため、嵩高化にはこれらの紙質の維持が課題とされている。
本発明の目的は、嵩高剤との併用によって、強度および不透明度を損なうことなく、低密度で嵩高い紙を製造することができる嵩高向上助剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解消するために鋭意検討した結果、嵩高剤の嵩高向上助剤として、エピハロヒドリンとアルキルアミンの重合体またはエピハロヒドリンとアルキルアミンと架橋性モノマーとの重合体を含有する嵩高向上助剤を用いることによって、前記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の嵩高向上助剤は、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体、または、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体を含有するものである。
本発明の嵩高向上助剤は、前記(C)架橋性モノマーが1分子中にビニル基を2個以上含有するものであることが好ましい。また、本発明の嵩高向上助剤は、前記(C)架橋性モノマーがメチレンビスアクリルアミドまたはトリアリルアミンであることが好ましい。
本発明の嵩高向上助剤は、前記重合体中の(C)架橋性モノマーの配合割合が0.1質量%以下であることが好ましい。
本発明の嵩高向上助剤は、前記重合体の粘度平均分子量が3000〜100万の範囲であることが好ましい。
本発明の嵩高向上助剤は、前記重合体のカチオン電荷密度が5.0meq/g以上であることが好ましい。
本発明の嵩高剤向上キットは、嵩高剤および嵩高向上助剤を含む嵩高剤向上剤キットであって、前記嵩高向上助剤が、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体、または、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体を含有するものである。
本発明の紙の製造方法は、前記嵩高向上助剤と嵩高剤とを原料パルプを含有するパルプスラリーに添加することを特徴とするものである。
本発明の紙の製造方法は、前記嵩高向上助剤と前記嵩高剤とを添加したパルプスラリーに、さらに歩留り剤を添加することが好ましい。
本発明によれば、嵩高剤との併用によって、強度および不透明度を損なうことなく、低密度で嵩高い紙を製造することができる嵩高向上助剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<嵩高向上助剤>
本発明の嵩高向上助剤は、嵩高剤の効果を向上するための助剤であって、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体または(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体を含有することが肝要である。
<嵩高向上助剤>
本発明の嵩高向上助剤は、嵩高剤の効果を向上するための助剤であって、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体または(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体を含有することが肝要である。
[(A)エピハロヒドリン]
本発明の嵩高向上助剤に用いられる(A)エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等を挙げることができ、中でもエピクロロヒドリンが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の嵩高向上助剤に用いられる(A)エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン等を挙げることができ、中でもエピクロロヒドリンが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(B)アルキルアミン]
本発明の嵩高向上助剤に用いられる(B)アルキルアミンは、第1〜3級のアルキルアミンの何れでも良く、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の炭素数1〜4のアルキル基を有する第1〜3級アミンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の嵩高向上助剤に用いられる(B)アルキルアミンは、第1〜3級のアルキルアミンの何れでも良く、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の炭素数1〜4のアルキル基を有する第1〜3級アミンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(C)架橋性モノマー]
本発明の嵩高向上助剤に用いることのできる架橋性モノマーは特に限定されないが、1分子中に2個以上の反応性基、特にビニル基を有するものが好ましい。具体的には、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミン、ジアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シアノメチルアクリレート、グリオキサール等が挙げられ、これらの内ビニル基を1分子中に2個以上有しているものが好ましく、特に、メチレンビスアクリルアミドとトリアリルアミンが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、(メタ)アクリレートという用語は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
本発明の嵩高向上助剤に用いることのできる架橋性モノマーは特に限定されないが、1分子中に2個以上の反応性基、特にビニル基を有するものが好ましい。具体的には、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミン、ジアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シアノメチルアクリレート、グリオキサール等が挙げられ、これらの内ビニル基を1分子中に2個以上有しているものが好ましく、特に、メチレンビスアクリルアミドとトリアリルアミンが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、(メタ)アクリレートという用語は、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
[(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体]
(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体において、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンのモル比は特に限定されないが、好ましくは1:4〜4:1である。前記重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体において、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンのモル比は特に限定されないが、好ましくは1:4〜4:1である。前記重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体]
(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体において、各成分の混合比は特に限定されないが、前記(C)架橋性モノマーの添加量は質量比で0.1%以下であることが好ましい。架橋性モノマーの混合比が0.1%を超えると、ポリマーの架橋構造が密になり、粘度が上昇し、ゲル化するおそれがある。より好ましい架橋性モノマーの配合比は、0.001〜0.01質量%である。また、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンのモル比も特に限定されないが、好ましくは1:4〜4:1である。前記重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体において、各成分の混合比は特に限定されないが、前記(C)架橋性モノマーの添加量は質量比で0.1%以下であることが好ましい。架橋性モノマーの混合比が0.1%を超えると、ポリマーの架橋構造が密になり、粘度が上昇し、ゲル化するおそれがある。より好ましい架橋性モノマーの配合比は、0.001〜0.01質量%である。また、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンのモル比も特に限定されないが、好ましくは1:4〜4:1である。前記重合体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体および(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体は、カチオン電荷密度の下限が、5.0meq/gであることが好ましく、6.0meq/gであることが更に好ましい。また、カチオン電荷密度の上限は、9.0meq/gであることが好ましく、8.0meq/gであることが更に好ましい。5.0meq/g以上とすることで嵩高剤をパルプに定着しやすくなる。9.0meq/g以下とすることで嵩高剤を凝集させずにパルプに定着することができる。なお、カチオン電荷密度とは前記重合体を構成する単量体単位中のカチオン電荷の当量数(meq/g)をいう。カチオン電荷密度は、ポリビニル硫酸カリウム(和光純薬株式会社製、商品名「ポリビニル硫酸カリウム滴定液(N/400)」を用いたコロイド滴定法により求められた数値を指す。
(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体および(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体は、粘度平均分子量の下限が、3000であることが好ましく、10000であることが更に好ましく、30000以上が特に好ましい。また、粘度平均分子量の上限は、100万であることが好ましく、80万であることが更に好ましく、特に50万が好ましい。3000以上とすることで嵩高剤の定着性に加え、パルプスラリーに添加した際のパルプへの歩留りをより向上させることができる。100万以下とすることで嵩高剤同士が凝集することなくパルプへの定着性をより向上させることができる。なお、ここでいう粘度平均分子量とは、極限粘度法により20℃で測定したポリビニルアルコール換算の粘度平均分子量である。具体的にはウベローデ粘度計(柴田科学株式会社製、商品名「粘度計 ウベローデ」)を用いて極限粘度(固有粘度)を測定し換算した数値を指す。前記(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体と、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体は、組み合わせて用いることもできる。
(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体および(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体の製造方法は特に限定されないが、重縮合法が好ましい。各単量体濃度は2〜30質量%であればよく、好ましくは5〜25質量%である。
<嵩高剤>
本発明の嵩高向上助剤と併用して用いることのできる嵩高剤としては、特に制限はなく、公知の製紙用嵩高剤を用いることができる。かかる製紙用嵩高剤としては、例えば、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、高級アルコールもしくは多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、飽和脂肪酸ポリアミドポリアミンのエピクロロヒドリン反応物、高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物、高級アルコールもしくは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。前記高級脂肪酸は、炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくはアルケニル基または炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルアリール基であることが好ましく、炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基又はアルケニル基であることがより好ましい。前記高級アルコールは、炭素数2〜40の直鎖もしくは分岐アルコールであることが好ましく、炭素数4〜24の直鎖もしくは分岐アルコールであることがより好ましい。前記ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレンやポリオキシプロピレンが挙げられる。これらの嵩高剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの嵩高剤は、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のいずれであってもよい。
本発明の嵩高向上助剤と併用して用いることのできる嵩高剤としては、特に制限はなく、公知の製紙用嵩高剤を用いることができる。かかる製紙用嵩高剤としては、例えば、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、高級アルコールもしくは多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、飽和脂肪酸ポリアミドポリアミンのエピクロロヒドリン反応物、高級アルコールのプロピレンオキサイド付加物、高級アルコールもしくは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物等が挙げられる。前記高級脂肪酸は、炭素数6〜22の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくはアルケニル基または炭素数4〜20のアルキル基を有するアルキルアリール基であることが好ましく、炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基又はアルケニル基であることがより好ましい。前記高級アルコールは、炭素数2〜40の直鎖もしくは分岐アルコールであることが好ましく、炭素数4〜24の直鎖もしくは分岐アルコールであることがより好ましい。前記ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレンやポリオキシプロピレンが挙げられる。これらの嵩高剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの嵩高剤は、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のいずれであってもよい。
<嵩高剤キット>
本発明の嵩高剤キットは、嵩高剤および前記嵩高向上助剤を含むことが肝要である。嵩高剤と嵩高向上助剤の使用順序に制限はない。
本発明の嵩高剤キットは、嵩高剤および前記嵩高向上助剤を含むことが肝要である。嵩高剤と嵩高向上助剤の使用順序に制限はない。
<紙の製造方法>
本発明の紙の製造方法は、嵩高向上助剤と嵩高剤とを原料パルプを含有するパルプスラリーに添加することが肝要である。本発明の嵩高向上助剤と嵩高剤の添加順序に制限はない。
本発明の紙の製造方法は、嵩高向上助剤と嵩高剤とを原料パルプを含有するパルプスラリーに添加することが肝要である。本発明の嵩高向上助剤と嵩高剤の添加順序に制限はない。
本発明の嵩高向上助剤を用いる際においては、あらかじめ前記重合体を溶媒、例えば、水に溶解させてもよい。固形分濃度は、0.01〜70質量%であることが好ましい。重合体の溶解方法としては、特に制限されないが、例えば、撹拌機で撹拌している水に対して前記重合体を添加すればよい。
前記パルプスラリーとは、従来から紙を製造する際に用いられている原料パルプを配合し懸濁させたものである。前記原料パルプとしては、バージンパルプ等においては勿論のこと、古紙再生パルプを用いることができる。パルプの種類としては、例えば、新聞古紙、雑誌古紙、チラシ古紙、段ボール古紙やシュレッダーダスト等脱墨古紙パルプや砕木パルプ、リファイナグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、亜硫酸パルプ、ソーダパルプ、クラフトパルプ、塩素法パルプ等の化学的パルプ、ケミカルパルプ、ケミグランドパルプ等の機械的、化学的パルプなどを挙げることができる。これらのパルプは未晒パルプであっても、晒パルプであってもよい。また、パルプの原木としては、エゾマツ、トドマツ、アカマツのような針葉樹や、ブナ、ポプラ、カバのような広葉樹などを挙げることができる。これらのパルプは2種以上組み合わせて用いることができる。パルプスラリー中のパルプ濃度は0.2〜2.0質量%であることが好ましい。
本発明のパルプスラリーは、パルプ成分を3〜5質量%程度含む濃厚パルプスラリーを調製後、白水のような希釈液により0.2〜2.0質量%に調製したものや、前記濃厚水性パルプスラリーを調製することなく、パルプ成分を0.2〜2.0質量%に調製したものであってもよい。
本発明のパルプスラリーには、従来紙を製造する際に用いられている慣用の填料を添加してもよい。かかる填料としては、特に制限はないが、例えば、酸化チタン、タルク、クレー、ホワイトカーボン、各種カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化珪素、合成シリカ、非晶質シリカ等の無機填料や、アクリル樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、微小中空粒子等を挙げることができる。中でも、酸化チタン、タルクおよび炭酸カルシウムが好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせたものであってもよい。
填料の配合割合は、パルプ成分に対して1.0質量%〜50質量%の範囲であることが好ましく、5.0質量%〜30質量%であることが更に好ましい。また、パルプスラリーに填料を配合する場合は、嵩高向上助剤や嵩高剤の添加前後のどちらにも添加することができる。
嵩高向上助剤や嵩高剤をパルプスラリーに添加する際には、パルプスラリーを十分に攪拌しながら添加することが好ましく、添加場所としてはマシンチェスト、種箱、ファンポンプを挙げることができる。嵩高向上助剤の添加量は特に制限はないが、パルプ成分に対して10〜800ppm、好ましくは50〜600ppmの範囲である。嵩高剤の添加量は特に制限はないが、パルプ成分に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5.0質量%の範囲である。
本発明の紙の製造方法においては、前記嵩高向上助剤と前記嵩高剤とを添加後のパルプスラリーに、さらに歩留り剤を添加してもよい。本発明に用いることのできる歩留り剤としては特に制限はないが、水とカチオン性樹脂またはアニオン性樹脂を含有するものである。歩留り剤中に含有するカチオン性樹脂またはアニオン性樹脂のいずれか1種を選択して使用することができるが、パルプスラリー中に含まれる填料やパルプ等の各種成分、この混合溶液の物性等に応じてカチオン性樹脂またはアニオン性樹脂の中から適宜選択すればよい。なお、カチオン性樹脂、アニオン性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
歩留り剤中に含有するカチオン性樹脂としては、従来より歩留り剤として用いられているカチオン性樹脂であればよく、特に限定されない。なお、本明細書において樹脂にはオリゴマーも含まれるものとする。好ましいカチオン性樹脂は、プロトンが配位し易く、水に溶解したとき離解してカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩を含有する樹脂である。その具体例としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキル−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の化合物およびこれらの塩酸塩、さらにジアリルアミン−アクリルアミド共重合体、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(ジアリルジエチルアンモニウムクロリド)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドと(メタ)アクリルアミドの共重合体、ジアリルジエチルアンモニウムクロリドと(メタ)アクリルアミドの共重合体、ジメチルアミン−アンモニア−エピクロロヒドリン共重合体、ジエチルアミン−エピクロロヒドリン−アンモニア共重合体等を挙げることができる。なお、(メタ)アクリルという用語は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
この中で、第4級アンモニウム塩を含有する樹脂が好ましい。本明細書において前記第4級アンモニウム塩を含有する樹脂とは、第4級アンモニウム塩残基を有する単量体を構成単位として含む樹脂のことをいう。第4級アンモニウム塩残基を有する単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルベンジルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミドプロピルトリエチルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムサルフェ−ト、2−(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムブロミド、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルメチルジエチルアンモニウムクロリド、3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−(メタ)アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、2−(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
この第4級アンモニウム塩を含有する樹脂は、前記第4級アンモニウム塩残基を有する単量体とこれと共重合可能な単量体、例えば、エチレン性不飽和化合物との共重合体であってもよい。この共重合体を構成するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン性不飽和モノカルボン酸類やジカルボン酸類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、芳香族ビニル化合物、不飽和アミド化合物および不飽和ニトリル化合物等を挙げることができる。このようなものの例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチルブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシヘキシル、スチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。中でも入手が容易で、重合が容易に行われるという点で、(メタ)アクリルアミド、特にアクリルアミドが好ましい。
これらの第4級アンモニウム塩を含有する樹脂の中でも、特に、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドを用いた単独重合体または共重合体がカチオン電荷密度と粘度平均分子量とを所望の値に調節しやすいので好ましい。なお、(メタ)アクリロイルという用語は、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味する。また、カチオン性樹脂は、直鎖状、分岐状、架橋型のいずれのものも用いることができる。
歩留り剤中に含有するカチオン性樹脂のカチオン電荷密度の下限は、通常0.4meq/g、好ましくは1.0meq/g、特に好ましくは1.5meq/g。歩留り剤中に含有するカチオン性樹脂のカチオン電荷密度の上限は、通常12.0meq/g、好ましくは10.0meq/g、特に好ましくは7.0meq/gである。0.4meq/g以上とすることでパルプとの電気的総合作用をより発揮できる。12.0meq/g以下とすることでフロックのサイズをより適切な範囲とすることができるので過凝集を抑制することができる。
歩留り剤に含有するカチオン性樹脂の粘度平均分子量の下限は、500万であることが好ましい。また、抄紙速度が1000m/min以上の高速抄紙において、ファンポンプやスクリーン通過時のせん断力が増加した場合であっても、この粘度平均分子量のカチオン性樹脂により形成されたフロックが壊れないという観点からは、前記粘度平均分子量の下限は1000万であることが好ましく、1300万であることが更に好ましい。
本発明に係るカチオン性樹脂の粘度平均分子量の上限は、7000万であることが好ましく、5000万であることが更に好ましい。7000万以下とすることで地合いをより適切な範囲に制御することができる。
第4級アンモニウム塩を含有する樹脂が共重合体の場合、第4級アンモニウム塩残基を有する単量体の含有量は、3モル%以上40モル%未満の範囲が好ましい。この範囲より第4級アンモニウム塩残基を有する単量体の含有量が少ないと分子鎖が広がらず凝集効果を発揮することができなくなり、この範囲を超えると過凝集を引き起こす可能性が高まるため好ましくない。より好ましい配合割合は5〜30モル%の範囲である。
カチオン性樹脂の重合方法としては、特に制限はなく、溶液重合法、乳化重合法、分散重合法、固体重合法等任意の方法を用いることができる。この際用いる重合開始剤としては、水溶性のアゾ化合物や過酸化物、例えば、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、水溶性無機過酸化物、または水溶性還元剤と水溶性無機過酸化物や有機過酸化物との組合せ等がある。
一方、歩留り剤に含有するアニオン性樹脂としては、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸を含有する水溶性単量体を構成単位とする重合体、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムや前記水溶性単量体とこれと共重合可能な構成単位、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル等の構成単位との共重合体、例えば、アクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体、メタクリルアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体等が挙げられ、特にアニオン性単量体としてアクリル酸ナトリウムを構成単位として含む単独重合体または共重合体が好ましい。また、アニオン性樹脂は、直鎖状、分岐状、架橋型のいずれのものも用いることができる。
歩留り剤に含有するアニオン性樹脂のアニオン電荷密度の下限は、0.6meq/gであることが好ましく、0.8meq/gであることが更に好ましい。歩留り剤中に含有するアニオン性樹脂のアニオン電荷密度の上限は、4.9meq/gであることが好ましく、2.5meq/gであることが更に好ましい。0.6meq/g以上とすることでパルプとの電気的総合作用をより発揮できる。4.9meq/g以下とすることでフロックのサイズをより適切な範囲とすることができ、過凝集を抑制することができる。なお、アニオン性樹脂の場合の電荷密度は、メチルグリコールキトサン溶液(和光純薬株式会社製、商品名「メチルグリコールキトサン溶液(N/200)」)を添加後、過剰分をポリビニル硫酸カリウム(和光純薬株式会社製、商品名「ポリビニル硫酸カリウム滴定液(N/400)」を用いたコロイド滴定法により求められた数値を指す。
歩留り剤中に含有するアニオン性樹脂の粘度平均分子量の下限は500万であることが好ましい。抄紙速度が1000m/min以上の高速抄紙において、ファンポンプやスクリーン通過時のせん断力が増加した場合であっても、この粘度平均分子量のアニオン性樹脂により形成されたフロックが壊れないという観点からは、前記粘度平均分子量の下限は1000万であることが好ましく、2500万であることが更に好ましい。
本発明に係るアニオン性樹脂の粘度平均分子量の上限は、7000万であることが好ましく、5000万であることが更に好ましい。7000万以下とすることで地合いをより適切な範囲に制御することができる。
アニオン性樹脂が共重合体の場合、アニオン性樹脂中の前記水溶性単量体の含有量は、3モル%以上40モル%未満の範囲が好ましい。この範囲より水溶性単量体の含有量が少ないと有効なアニオン性樹脂を得ることができないし、この範囲を超えると共重合体とする必要がなくなるので好ましくない。より好ましい配合割合は5〜30モル%の範囲である。
アニオン性樹脂の重合方法としては、特に制限はなく、前記カチオン性樹脂の重合方法と同様、溶液重合法、乳化重合法、分散重合法、固体重合法等、任意の方法を用いることができる。
カチオン性樹脂には、分子内にカチオン性を有する構成単位と、アニオン性を有する構成単位を含む重合体であって分子全体でカチオン性を呈するものも含まれる。アニオン性樹脂には、分子内にカチオン性を有する構成単位と、アニオン性を有する構成単位を含む重合体であって分子全体でアニオン性を呈するものも含まれる。前記カチオン性を有する構成単位としては、本発明の歩留り剤として用いられる前記カチオン性樹脂を構成するカチオン性モノマー単位が挙げられる。前記アニオン性を有する構成単位としては、本発明の歩留り剤として用いられる前記アニオン性樹脂を構成するアニオン性モノマー単位が挙げられる。
歩留り剤の性状はどのようなものでもよく、特に制限されないが、例えば、油中水型エマルション、溶液、ディスパージョン等を挙げることができる。
歩留り剤の添加場所に関しては、嵩高剤および嵩高向上助剤をパルプスラリーに添加した後であれば特に制限はなく、例えば、せん断工程であるファンポンプやスクリーンの前後等を挙げることができる。
本発明の紙の製造方法においては、さらに、従来使用されている慣用の添加剤を使用することができる。例えば、硫酸バンド、サイズ剤、紙力剤、濾水向上剤、凝結剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等を挙げることができる。なお、これらの添加剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記添加剤の添加場所に関しては特に制限はなく、例えばミキシングチェスト、マシンチェスト、種箱、ファンポンプ、スクリーン、白水ピット等を挙げることができる。好ましくは、ミキシングチェスト、マシンチェストである。
本発明の嵩高剤向上剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法によって製造される紙の種類に特に制限はないが、例えば、塗工紙、微塗工紙、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、PPC紙、ライナー原紙、中芯原紙、白板紙等が挙げられる。本発明によれば、嵩高化および低密度化が向上しても、強度および不透明度を維持することができるので、白色度等の低下が課題となる機械パルプを配合した中下級紙であっても製造することができる。
本発明においては、嵩高向上助剤を用いることで、強度および不透明度を損なうことなく、低密度で嵩高い紙を製造することができるため、製紙用嵩高剤およびパルプ使用量を大幅に削減することが可能である。
以下、本発明を、実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<合成例1>
下記表1に示す(B)成分および(C)成分を、攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた4つロフラスコに仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、氷水で冷却し温度を50℃以下に保った状態で、表1に示す(A)成分を2時間かけて添加した。さらに、2時間反応を行いA−1の重合体を得た。
下記表1に示す(B)成分および(C)成分を、攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えた4つロフラスコに仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、氷水で冷却し温度を50℃以下に保った状態で、表1に示す(A)成分を2時間かけて添加した。さらに、2時間反応を行いA−1の重合体を得た。
<合成例2>
合成例1において、温度を60℃以下に変更した以外は合成例1と同様に合成し、A−2の重合体を得た。
合成例1において、温度を60℃以下に変更した以外は合成例1と同様に合成し、A−2の重合体を得た。
<合成例3 >
合成例2において、(C)成分を添加しなかった以外は合成例2と同様に合成し、A−3の重合体を得た。
合成例2において、(C)成分を添加しなかった以外は合成例2と同様に合成し、A−3の重合体を得た。
<実施例1〜8、比較例1〜7、参考例1および2>
パルプ成分(機械パルプ:針葉樹晒クラフトパルプ:脱墨パルプ=60:35:5)3.2質量%濃度のパルプ含有懸濁液を白水で希釈し、スラリー濃度1.0質量%のパルプスラリーを調製した。白水とは紙の製造工程にて循環使用される水のことをいう。このパルプスラリー500mlを撹拌機を用いて毎分1000回転にて撹拌しながら、10秒経過後に表2〜4に示す嵩高剤をパルプ成分量に対して表2〜4に記載の添加量で添加し、さらに撹拌しながら、10秒後に合成例1〜3で得られた嵩高向上助剤を、さらに10秒後に填料(軽質炭酸カルシウム)を、さらにまた10秒後に歩留り剤を、表2〜4に示す添加量で添加して、15秒後に角型抄紙機を用いて抄紙した。但し、実施例7においては、嵩高向上助剤と填料の添加順序を逆にして、また、実施例8においては、嵩高剤と嵩高向上助剤の添加順序を逆にして、それぞれ抄紙した。尚、表中「−」はその成分は添加していないことを示す。
パルプ成分(機械パルプ:針葉樹晒クラフトパルプ:脱墨パルプ=60:35:5)3.2質量%濃度のパルプ含有懸濁液を白水で希釈し、スラリー濃度1.0質量%のパルプスラリーを調製した。白水とは紙の製造工程にて循環使用される水のことをいう。このパルプスラリー500mlを撹拌機を用いて毎分1000回転にて撹拌しながら、10秒経過後に表2〜4に示す嵩高剤をパルプ成分量に対して表2〜4に記載の添加量で添加し、さらに撹拌しながら、10秒後に合成例1〜3で得られた嵩高向上助剤を、さらに10秒後に填料(軽質炭酸カルシウム)を、さらにまた10秒後に歩留り剤を、表2〜4に示す添加量で添加して、15秒後に角型抄紙機を用いて抄紙した。但し、実施例7においては、嵩高向上助剤と填料の添加順序を逆にして、また、実施例8においては、嵩高剤と嵩高向上助剤の添加順序を逆にして、それぞれ抄紙した。尚、表中「−」はその成分は添加していないことを示す。
得られた紙について坪量、紙厚および密度を測定した。また、得られた試料スラリーおよび紙について、それぞれ以下の方法により評価した。得られた結果を表2〜4に示す。
[坪量]
得られた紙の坪量について、JIS P−8124(2011)(紙及び板紙−坪量の測定方法)に準拠して、坪量(g/m2)を測定することで評価した。
得られた紙の坪量について、JIS P−8124(2011)(紙及び板紙−坪量の測定方法)に準拠して、坪量(g/m2)を測定することで評価した。
[紙厚、密度及び密度低下率]
得られた紙の紙厚と密度について、JIS P−8118(2014)(紙及び板紙−厚さ,密度及び比容積の試験方法)に準拠して、厚さ(μm)、密度(g/cm3)を測定した。なお、密度低下率(%)は、下記式に基づき算出した値である。
[1−(各実施例、比較例、参考例の密度)/(比較例2の密度)]×100
得られた紙の紙厚と密度について、JIS P−8118(2014)(紙及び板紙−厚さ,密度及び比容積の試験方法)に準拠して、厚さ(μm)、密度(g/cm3)を測定した。なお、密度低下率(%)は、下記式に基づき算出した値である。
[1−(各実施例、比較例、参考例の密度)/(比較例2の密度)]×100
[歩留り性]
実施例、比較例および参考例で得られた紙を110℃で60分間乾燥し、乾燥後の質量と試料パルプスラリー濃度から測定することにより、全歩留り(%)を求めた。また、乾燥後の紙を550℃で2時間加熱したときの灰分と試料パルプスラリーの灰分濃度より、灰分歩留り(%)を測定した。
実施例、比較例および参考例で得られた紙を110℃で60分間乾燥し、乾燥後の質量と試料パルプスラリー濃度から測定することにより、全歩留り(%)を求めた。また、乾燥後の紙を550℃で2時間加熱したときの灰分と試料パルプスラリーの灰分濃度より、灰分歩留り(%)を測定した。
[内部結合強さ]
得られた紙の強度について、JAPAN TAPPI No.18−2:2000(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)に準拠して、内部結合強さ(mJ)を測定することで評価した。
得られた紙の強度について、JAPAN TAPPI No.18−2:2000(紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法)に準拠して、内部結合強さ(mJ)を測定することで評価した。
[不透明度]
JIS−P8149(紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法)に準拠して、得られた紙の不透明度(%)を測定した。
JIS−P8149(紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法)に準拠して、得られた紙の不透明度(%)を測定した。
※表中の嵩高剤の配合量は、パルプ成分量に対する添加量(質量%)
表中の嵩高向上助剤、比較化合物及び歩留り剤の配合量は、パルプ成分量に対する添加量(ppm)
填料は、パルプ成分量に対して15質量%添加
嵩高剤B−1:アニオン性嵩高剤(ステアリン酸エステルのポリオキシプロピレン付加物)
比較化合物R−1:poly-DADMAC((ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、粘度平均分子量3万、電荷密度6.0meq/g)
歩留り剤C−1:アクリルアミド−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体(粘度平均分子量1500万、カチオン電荷密度2.0meq/g)
表中の嵩高向上助剤、比較化合物及び歩留り剤の配合量は、パルプ成分量に対する添加量(ppm)
填料は、パルプ成分量に対して15質量%添加
嵩高剤B−1:アニオン性嵩高剤(ステアリン酸エステルのポリオキシプロピレン付加物)
比較化合物R−1:poly-DADMAC((ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、粘度平均分子量3万、電荷密度6.0meq/g)
歩留り剤C−1:アクリルアミド−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド共重合体(粘度平均分子量1500万、カチオン電荷密度2.0meq/g)
※実施例7は、填料の後に嵩高向上助剤を添加。実施例8は、嵩高向上助剤の後に嵩高剤を添加。
上記表2〜4に示す結果から、実施例の嵩高向上助剤の場合、嵩高剤の助剤として、強度および不透明度を損なうことなく、低密度で嵩高い紙を製造することに寄与していることが分かる。一方、本発明の嵩高向上助剤と同じカチオン性であるpoly-DADMAC(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド)を用いた比較例6および7の場合は、密度低下率がそれぞれ0.3%、6.4%と低く、嵩高向上助剤として、実施例よりも著しく劣っていることが分かる。また、比較例4と比較例5の密度低下率より、歩留り剤を増量しても嵩高効果の向上は望めないことが分かる。
Claims (10)
- (A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体を含有することを特徴とする嵩高向上助剤。
- (A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体を含有することを特徴とする嵩高向上助剤。
- 前記(C)架橋性モノマーが1分子中にビニル基を2個以上含有するものである請求項
2に記載の嵩高向上助剤。 - 前記(C)架橋性モノマーがメチレンビスアクリルアミドまたはトリアリルアミンである請求項2または3に記載の嵩高向上助剤。
- 前記重合体中の(C)架橋性モノマーの配合割合が0.1質量%以下である請求項2〜4のいずれか一項に記載の嵩高向上助剤。
- 前記重合体の粘度平均分子量が3000〜100万の範囲である請求項1〜5のいずれか一項に記載の嵩高向上助剤。
- 前記重合体のカチオン電荷密度が5.0meq/g以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の嵩高向上助剤。
- 嵩高剤および嵩高向上助剤を含む嵩高剤キットであって、
前記嵩高向上助剤が、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンとの重合体、または、(A)エピハロヒドリンと(B)アルキルアミンと(C)架橋性モノマーとの重合体を含有することを特徴とする嵩高剤キット。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の嵩高向上助剤と嵩高剤とを原料パルプを含有するパルプスラリーに添加することを特徴とする紙の製造方法。
- 前記嵩高向上助剤と前記嵩高剤とを添加したパルプスラリーに、さらに歩留り剤を添加する、請求項9に記載の紙の製造方法。
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JP2020034115A JP2021134472A (ja) | 2020-02-28 | 2020-02-28 | 嵩高向上助剤、嵩高剤キットおよび紙の製造方法 |
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