JP2009242968A - 内添サイズ剤を含有する紙 - Google Patents

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真記 伊藤
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至誠 後藤
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Abstract

【課題】 填料として炭酸カルシウムを使用し、硫酸バンドを使用しないか硫酸バンド使用量が少ない中性抄造においても、サイズ性と嵩高性とを両立させた紙を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の紙は、疎水性基を有するとともにカチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする製紙用内添サイズ剤、および嵩高剤を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、特にサイズ性と嵩高さが求められる印刷用紙などの用途に適した紙に関する。
昨今、紙製品に求められる重要な品質の一つとして嵩高性(低密度)が挙げられる。近年の環境保護気運の高まりにともない、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用する上で、紙の厚さを維持しつつ軽量化、すなわち低密度化した嵩高の紙製品がユーザーから求められている。
紙の低密度化の一つの手法として嵩高剤の使用によることが知られている。嵩高剤として、例えば、油脂系非イオン界面活性剤等の界面活性剤、高級アルコール、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物が知られている(特許文献1参照)。また、直鎖状脂肪酸モノアミドのエマルションが知られている(特許文献2参照)。これらの嵩高剤を用いて紙を嵩高にする技術では、特別な方法や装置を用いないため比較的容易に嵩高紙を得ることができる。
一方、近年、紙の製造においては、従来の酸性抄紙に代えて中性抄紙への移行が進んでいる。中性抄紙では、酸性抄紙に比べて紙力の保持性が良好であり、抄紙に際してフェルトやワイヤーの使用時間を長く延ばすことができ、ウェッブの水切れが良くなるとともに、地合形成が改善され、紙質が向上するという利点がある。また、酸性抄紙の場合とは異なり、紙の劣化や排水規制の問題も少なく、用水リサイクルの点でも有利である。さらに填料として、不透明性が高く安価な炭酸カルシウムを多量に使用できる利点もある。
このような中性抄紙において、サイズ性(吸水抵抗性)を付与するために添加される内添サイズ剤は、通常、ロジンエステルや強化ロジンエステル等を用いた中性ロジンサイズ剤、ASA(アルケニルコハク酸無水物)、AKD(アルキルケテンダイマー)等が知られている。しかし、アルキルケテンダイマー系サイズ剤には、サイズ効果の立ち上がりが遅いため抄紙直後のサイズ効果が劣る場合があるという欠点があった。加えて、アルキルケテンダイマー系サイズ剤は、一般に、高価格であるためコストアツプを招くという問題点があった。また、ロジンエステルや強化ロジンエステル等を用いた中性ロジンサイズ剤も知られているが、中性ロジンサイズ剤の場合には、サイズ剤の使用に際して抄紙条件を適正にコントロールしないと、初期のサイズ度が得られにくい。加えて、中性ロジンサイズ剤は、サイズ性能が低いためサイズ剤の添加率を高くする必要があり、サイジングコストが高くなるという問題があった。
また、スチレン同族体と(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステルとの共重合体をアルキルハライドで4級化して得られる疎水性基含有カチオン性ポリマーの4級化物からなるサイズ剤(特許文献3参照)が提案されている。さらに、前記サイズ剤において用いた4級化剤種やカチオン性モノマー種を最適化することにより、サイズ効果だけでなく成紙の強度や摩擦係数の向上をも図ったサイズ剤も知られている。具体的には、前記共重合体をアルキルハライドに代えてエピハロヒドリンで4級化して得られる疎水性基含有カチオン性ポリマーの4級化物からなるサイズ剤(特許文献4参照)や、スチレン類と(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル、(メタ)アクリル酸のアミノアクリルアミドまたはこれらの4級塩等とを構成モノマーとする共重合体からなるサイズ剤(特許文献5参照)が提案されている。これらのサイズ剤は、いずれもカチオン性であるために、硫酸バンドなどの定着剤を使用しなくても、アニオン帯電性のパルプ繊維に自己定着して紙へのサイズ性を付与するものであり、中性抄紙あるいはアルカリ抄紙が可能である。
さらに、サイズ効果の向上を目指し、疎水性モノマーとカチオン性モノマー類を共重合する際にロジン誘導体を所定量共存させて得られる、ロジン結合型カチオン性重合体からなるサイズ剤(特許文献6参照)も提案されている。このサイズ剤では、ポリマー中に導入されたロジンのバルキーな構造がパルプ繊維への定着後に高い疎水性を付与することができ、加えて、ロジン環のカルボキシル基が炭酸カルシウムと相互作用することによりポリマー自体が不溶化してカチオン基による定着が一層促進される。そのため、サイズ効果の大幅な向上が可能になる。
特許第3871107号公報 特開2005−54330号公報 米国特許第2964445号公報 特開昭48−11407号公報 特開平3−167397号公報 特開2001−73292号公報
しかしながら、特許文献3〜5のカチオン性サイズ剤は、填料として多量の炭酸カルシウムを使用した中性抄紙またはアルカリ抄紙においては、パルプ繊維への定着性や定着後の疎水化に改善の余地が大きく、充分に満足しうるサイズ効果が得られないのが現状であった。また、特許文献6のサイズ剤では、ロジン結合型カチオン性重合体の分子量が添加するロジン量の影響を受けやすいため、該重合体のパルプへの自己定着能、すなわちサイズ効果はロジン添加量によって左右されやすいという欠点があった。さらに、特許文献6のサイズ剤は、主鎖のポリマー中へのロジン導入量が少ない場合や未反応ロジンが残存した場合には、炭酸カルシウムと相互作用して疎水化に寄与するポリマー成分が少なくなり、サイズ効果の発現が不充分となる場合があった。また、特許文献3〜6のサイズ剤を含め従来のカチオン性サイズ剤では、実際の抄造系内において存在する多種多様なアニオン性の物質、いわゆるアニオントラッシュとも相互作用する可能性があり、そのような場合、パルプ繊維への自己定着が阻害され、効果的にサイズ性を発現しにくくなるという問題も有している。特に、硫酸バンド添加量が少ない中性抄紙においては、アニオントラッシュ量が増加する傾向があるので、この問題がより顕著に現れることになる。
また、界面活性剤系の嵩高剤を用いた場合は、嵩高剤は親水性が高いためか内添サイズ剤のサイズ効果を阻害する働きがある。また、嵩高剤と内添サイズ剤の組み合わせによって、そのサイズ性の立ち上がりが遅いため、抄紙直後のサイズ効果が劣るという欠点や、摩擦係数が低下するといった問題がある。さらに、嵩高剤の歩留が悪くなり十分な嵩が得られない場合もある。
そこで、本発明は、填料として炭酸カルシウムを使用し、硫酸バンドを使用しないか硫酸バンド使用量が少ない中性抄造においても、優れたサイズ性を付与できるとともに、サイズ性と嵩高性とを両立させた紙を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、疎水性基を有するとともにカチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする製紙用内添サイズ剤、および嵩高剤を含有させることで、中性抄造においても、優れたサイズ性を付与できるとともに、サイズ性と嵩高性とを両立させた紙を提供きることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の紙は、疎水性基を有するとともにカチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする製紙用内添サイズ剤、および嵩高剤を含有することを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明の紙は、前記両イオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)を必須とし、かつ前記モノマー(C)のアニオン当量が前記モノマー(B)のカチオン当量の0.1〜90%である単量体成分を重合して得られるものであり、そのカチオン性基の4級化率は40モル%以上であることを特徴とする。
請求項3に係る発明の紙は、前記嵩高剤が高級アルコール系、脂肪酸の多価アルコールとのエステル系、脂肪酸アミド系から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明によれば次の効果が奏される。
1)嵩高剤によるサイズ性発現への悪影響を受けることなく、内添サイズ剤がサイズ効果を発揮できる。
2)嵩高剤の歩留まりが高くなり、嵩が十分に出やすい。
3)サイズ性と嵩高性を兼ね備えた紙が得られる。
1.製紙用内添サイズ剤
本発明で用いられる製紙用内添サイズ剤は、疎水性基を有するとともに、カチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする。これにより、填料として炭酸カルシウムを使用し、硫酸バンドを使用しないか硫酸バンド使用量の少ない中性抄造においても、効率的にサイズ性を付与することできる。しかも、実際の抄造系内に存在するアニオントラッシュとの相互作用が少ない点でも、パルプ繊維に良好に自己定着し、効果的にサイズ性を発現することが期待される。このように、本発明で用いる製紙用内添サイズ剤は、炭酸カルシウム量やアニオントラッシュ量の多い中性抄造条件においても、非常に効率よく優れたサイズ性を付与できるものである。
本発明で用いられる製紙用内添サイズ剤がこのような効果を発現するのは、前記両イオン性共重合体が、パルプに自己定着するとともに炭酸カルシウムと相互作用もする部位を一つのポリマー分子内に持ち、かつ、ポリマー内およびポリマー間でイオン的な錯体を形成し得るからであると推測される。つまり、一分子内に前述の部位を持つことにより、パルプと炭酸カルシウムの効率的な疎水化が可能となり、また、イオン的な錯体を形成することにより、巨大化した分子の集合体の構造を持つことが可能になり、その結果、パルプ繊維への物理的な歩留まりの向上や、アニオントラッシュなどとの相互作用が緩和されることによる自己定着能の向上などが達成されて、効果的なサイズ発現が可能になっていると考えられる。
具体的には、炭酸カルシウムが存在し、硫酸バンドが存在しないか使用量の少ない中性抄造条件において、炭酸カルシウムの水分散液はその希釈状態やpHによって粒子表面電荷が異なり、また、炭酸カルシウム粒子の分散性向上のためにアニオン性のポリマーが添加される場合があることから、炭酸カルシウムと相互作用させる官能基としては、炭酸カルシウムが正電荷を有するときにはカルボキシル基などのアニオン性基が有効であり、負電荷を有するときにはアミノ基やアンモニウム基といったカチオン性基が有効であると考えられる。そして、スチレン、アルキル基を有する(メタ)アクリレートなどといった疎水部を持ったモノマーに、該モノマーと共重合しやすいカチオン性モノマーおよびアニオン性モノマーをともに共重合させることにより、あらゆる表面電荷状態の炭酸カルシウムと相互作用する両イオン性部位が導入されて、効率よく優れたサイズ性を付与することができると考えられる。
また、本発明で用いられる製紙用内添サイズ剤は、嵩高剤と併用してもサイズ効果が低下することなく、紙に高いサイズ性を付与することができる。この理由は明らかではないが、本発明で使用する内添サイズ剤は分子量が大きいため嵩高剤を覆う形態となり、嵩高剤のパルプへの吸着が強固に固定されると考えられる。そのため、水が付与した際の親水・疎水バランスによる嵩高剤の配向逆転が起こらず、サイズ性を保っているためと考えられる。
(単量体成分)
前記両イオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)を必須とする単量体成分を重合して得られるものであることが好ましい。この両イオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)に由来する疎水性基と、カチオン性モノマー(B)に由来するカチオン性基と、アニオン性モノマー(C)に由来するアニオン性基とを有するものである。
前記疎水性モノマー(A)としては、スチレン類、(メタ)アクリル酸のC1〜C14アルキルエステル(炭素数1〜14のアルキルのエステル)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、例えば(メタ)アクリロニトリル等も使用することができる。疎水性モノマー(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、本明細書においては、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸またはメタクリル酸の総称を意味するものである。同様に、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または「メタクリル」を、「(メタ)アクリロ」は「アクリロ」または「メタクリロ」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を、「(メタ)アリル」は「アリル」または「メタリル」を、それぞれ意味する。
前記スチレン類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸のC1〜C14アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの脂肪族炭化水素エステルのほか、脂環系や芳香族系の炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記カチオン性モノマー(B)としては、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、例えば、1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド等のカチオン性モノマーも使用することができる。カチオン性モノマー(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、前記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド;メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。
前記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミドや前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、前述した3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドまたは3級アミノ基含有(メタ)アクリレートを後述する4級化剤(例えば、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなど)を用いて4級化したモノ4級塩基含有モノマーが挙げられる。具体的には、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
前記アニオン性モノマー(C)としては、α、β−不飽和カルボン酸類、α、β−不飽和スルホン酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。アニオン性モノマー(C)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記α、β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)等が挙げられる。
前記α、β−不飽和スルホン酸類としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)等が挙げられる。
前記単量体成分においては、前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量の0.1〜90%であることが好ましく、より好ましくは5〜50%、さらに好ましくは5〜20%であるのがよい。つまり、前記単量体成分を重合してなる前記両イオン性共重合体は、カチオン当量が多く、アニオン当量の少ない方がサイズ効果を発現し易いのである。カチオン当量がアニオン当量と近似した値もしくは同じ値であるか、カチオン当量がアニオン当量よりも小さい場合(具体的には、カチオン当量に対するアニオン当量の比率(百分率)が90%を超える場合)、共重合体のアニオン部位とカチオン部位とがイオン的に強く相互作用し過ぎることにより活性なイオン基が減少する。その結果、パルプ繊維へのカチオンの定着作用を低下させたり、疎水部位と親水部位の配向バランスが悪くなったりする等の要因から、効率良くサイズ性を発現しにくくなる傾向がある。
従って、前記単量体成分におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率と同様、単量体成分を重合してなる両イオン性共重合体におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率も、前記と同じ範囲であることが好ましい。例えば、単量体成分の重合がビニル結合によりなされるよう単量体成分を選択した場合など、重合にカチオン性基およびアニオン性基が関与しない場合には、両イオン性共重合体におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率は、単量体成分におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率と一致することとなる。
前記単量体成分における各必須モノマーの含有割合は、カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対するアニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が前述した範囲になるように設定することが望ましく、それ以外の点では特に制限はない。例えば、単量体成分全量に対して、疎水性モノマー(A)は60〜90重量%程度、カチオン性モノマー(B)は10〜40重量%程度、アニオン性モノマー(C)は1〜10重量%程度であることが好ましい。
前記単量体成分は、さらに必要に応じ、前述した疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)のほかに、本発明の効果を損なわない範囲において、その他のモノマーを含有させることもできる。その他のモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなアミノ基を含有しない水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、iso−プロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を含有しないアミド基含有モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル等が挙げられる。その他のモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(重合)
前記単量体成分の重合は、特に制限されるものではなく、例えば、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することができる。また、各モノマーや開始剤等の仕込み方法も、一括、分割、部分滴下、全量滴下など公知の方法を適宜採用すればよい。また、重合を行う際の媒体(溶媒)も、重合方法等に応じて公知のものから適宜選択すればよい。
前記重合に用いることのできる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、その他の開始剤を適宜選択すればよい。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス開始剤を用いることもできる。重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、特に限定されず、適宜設定すればよい。
前記アゾ系重合開始剤としては、例えば、アゾビスメチルブチロニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩等が挙げられる。
前記過酸化物系重合開始剤としては、例えば、過硫酸ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの無機過酸化物等が挙げられる。
前記レドックス開始剤としては、例えば、前述した過酸化物と、亜硫酸ナトリウム、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、3級アミン類などの還元剤とを併用すればよい。
また、前記重合は、粘度上昇を防止して反応を円滑に行うために、必要に応じて、連鎖移動剤の存在下で行うこともできる。連鎖移動剤としては、油溶性、水溶性の連鎖移動剤を適宜選択することができるが、一般的には、親油性の有機溶剤中で重合する場合には油溶性連鎖移動剤が、逆に親水性の有機溶剤中で重合する場合には水溶性連鎖移動剤が好ましい。また、油溶性連鎖移動剤と水溶性連鎖移動剤を併用しても差し支えない。連鎖移動剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、単量体成分全量に対して1〜5重量%程度が好ましい。
前記油溶性連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸ドデシルなどのメルカプタン類;(メタ)アリルメタクリレートのような疎水性アリル化合物;クメン、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン等が挙げられる。
前記水溶性連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、およびこれらの塩などのメルカプタン類;(メタ)アリルアルコール、(メタ)アリルアミン、(メタ)アリルスルホン酸、およびこれらの塩などの親水性アリル化合物;エタノールアミン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
(4級化)
前記両イオン性共重合体は、そのカチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなるものであり、両イオン性共重合体のカチオン性基の4級化率は40モル%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜100モル%であるのがよい。4級化率が40モル%未満であると、抄紙pHが高い場合にパルプ繊維と填料(炭酸カルシウム)への効率的な疎水性付与効果が得られないおそれがある。
前記両イオン性共重合体のカチオン性基を4級化するに際しては、前記単量体成分を重合した後に得られた共重合体を4級化剤で4級化してもよいし、前記単量体成分のカチオン性モノマー(B)として4級アンモニウム基含有モノマーを用いて重合するようにしてもよい。
4級化に際し用いることのできる4級化剤としては、例えば、硫酸ジメチル、炭酸ジメチル、塩化メチル、塩化アリル、塩化ベンジル、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エチレンクロルヒドリン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の1種もしくは2種以上が挙げられる。これらの中でも、エピクロルヒドリン、塩化ベンジルが好ましい。
(平均分子量)
前記両イオン性共重合体の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは30,000〜600,000であるのがよい。重量平均分子量が10,000未満であると、サイズ剤の歩留まりが著しく低下してサイズ効果が得られにくくなる傾向があり、一方、1,000,000を超えると、抄紙の乾燥工程においてサイズ剤が紙中に効率よく拡散されなくなるため、サイズ剤成分が紙中で不均一に存在してサイズ効果が低下するおそれがある。
(その他)
本発明で用いられる製紙用内添サイズ剤は、前記両イオン性共重合体を有効成分とするものであればよく、例えば、前記両イオン性共重合体そのものであってもよいし、該共重合体を含む溶液または分散液(例えば、前記重合および4級化により得られた反応液など)であってもよい。また、本発明の製紙用内添サイズ剤は、前記両イオン性共重合体のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、中性ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水コハク酸(ASA)等の従来公知の添加剤を含んでいてもよい。
2.嵩高剤
本発明においては、上記した内添サイズ剤と嵩高剤とを併用することにより、優れたサイズ効果だけでなく、紙に高い嵩高性を付与することができる。この理由は明らかではないが、本発明で使用するサイズ剤の分子量が大きく、嵩高剤を覆い被せる形態を取ることによって嵩高剤の歩留が向上しているためであると考えられる。あるいは、本発明で使用するサイズ剤が高分子量であることにより、嵩高剤のパルプへの吸着が強固に固定されるためであると考えられる。
(種類)
本発明で使用する嵩高剤は、従来公知のものを使用することができ、特に制限されない。例えば、特許第3871107号公報に記載の油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン界面活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、高級アルコール、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミンや、特開2005−54330号記載の炭素数が12〜22である直鎖状脂肪酸モノアミド(そのエマルション粒子のレーザー回折散乱法で測定した平均粒子径が0.3〜20μm、標準静摩擦係数低下率が20%以下)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも、本発明では、高級アルコール系、脂肪酸の多価アルコールとのエステル系、脂肪酸アミド系が、前記内添サイズ剤と併用したときの効果が良好で好ましい。
前記高級アルコール系としては、多価アルコールのアルキレン付加物等が挙げられる。
前記脂肪酸の多価アルコールとのエステル系としては、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物であって、当エステル化合物1モルあたり平均で0モル超12モル未満の炭素数2〜4のオキシアルキレン基を有するエステル化合物等が挙げられる。
前記脂肪酸アミド系としては、直鎖状脂肪酸アミド、直鎖状脂肪酸ジアミド、直鎖状脂肪酸ポリアミド等が挙げられる。
3.紙の製造
(使用量)
本発明の紙は、前記製紙用内添サイズ剤および嵩高剤をパルプスラリーに添加し、これを湿式抄造することにより製造される。このとき、製紙用内添サイズ剤の添加量は、通常、有効成分(両イオン性共重合体)が対パルプ絶乾重量当たり0.05重量%以上好ましくは0.1重量%以上で、3重量%以下好ましくは1重量%以下とすることが好適である。また、嵩高剤の添加量は、対パルプ絶乾重量当たり0.1重量%以上で、5重量%以下好ましくは3重量%以下より好ましくは1重量%以下の範囲とすることが好適である。
(パルプ)
前記パルプスラリーを構成するパルプ繊維は、特に制限はなく、NBKP、LBKPなどの木材パルプ;TMPやGPなどの機械パルプ;脱墨パルプ(DIP);等の製紙用に通常使用されるもののほか、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材パルプ;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維;等を使用できる。
(填料)
前記パルプスラリーには填料を配合してもよい。填料としては、酸性抄紙あるいは中性抄紙において一般に使用されている填料であればよく、特に限定されるものではない。例えば、中性抄紙では、クレー、シリカ、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料が単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用される。また、製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料も使用することができる。本発明では、本発明における両イオン性共重合体が炭酸カルシウムへの作用に優れていること、炭酸カルシウムが安価であり且つ光学特性に優れていることから、炭酸カルシウムを使用することが好ましい。炭酸カルシウムとしては、炭酸カルシウム−シリカ複合物(特開2003−212539号公報あるいは特開2005−219945号公報等に記載の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物)も使用可能である。また酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。填料の配合量としては、不透明度等の点から、パルプ重量に対して2〜30重量%が好ましい。
(その他添加剤)
前記パルプスラリーには、本発明の効果を損なわない範囲で、中性ロジンやAKD、ASAなどの既知の内添サイズ剤も併用して使用することができる。
この他、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性の歩留まり剤、濾水度向上剤、嵩高剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。
また、製紙用内添助剤を添加しても良く、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が挙げられる。
また、製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。
さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
これら添加剤の添加量は、所望の性能に応じて適宜設定すればよい。
(抄紙系)
本発明の紙は、特に、中性抄造により得られる中性抄紙であることが、本発明の効果を有意に発揮させることができる点で好ましい。
(抄紙機)
抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ギャップフォーマー抄紙機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できる。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。表面処理剤は塗布しても良いし、しなくても良い。表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の成分には特に限定は無く、またサイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレスのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。キャレンダーは通常の操業範囲内の線圧で用いられるが、嵩高な紙を製造する観点から、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧が好ましく、また、ソフトキャレンダーが好ましい。
(表面処理)
表面処理剤としては、例えば、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独又は併用できる。その中でも表面強度向上効果に優れるヒドロキシエチル化澱粉が最も好ましい。また、表面処理剤には前記の薬剤の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を併用塗布することができる。
(用途)
本発明は、紙の嵩高化とサイズ効果を両立できるものであり、本発明の紙の種類は任意であって特段の制限はなく、例えば、上質及び中質印刷用紙、新聞用紙、アート紙、キャストコート紙等の原紙、PPC用紙、インクジェット記録用紙、レーザープリンター用紙、感熱記録用紙、感圧記録用紙等の記録用紙等の用途に好適である。坪量など各種物性は、それぞれの用途に求められる範囲に適宜設定すればよい。
以下に、本発明の実施例を示す。供試した製紙用内添サイズ剤および嵩高剤の型を下記に示す。また、紙質測定方法は下記の通りである。なお、特にことわらない限り、部および%は重量部および重量%を示す。
<内添サイズ剤>
・合成例1、2:両イオン性共重合体系サイズ剤
・中性ロジン:中性ロジン系サイズ剤
・AKD:アルキルケテンダイマー系サイズ剤
・ASA:アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤
<嵩高剤>
・嵩高剤A:高級アルコール系(ラウリル酸アルコールプロピレンオキサイド)
・嵩高剤B:脂肪酸の多価アルコールとのエステル系(ペンタエリスリトールジステアレート)
・嵩高剤C:不飽和脂肪酸アミド系(オレイン酸モノアミドアミン)
・嵩高剤D:飽和脂肪酸アミド系(オレイン酸ジアミドアミン)
・嵩高剤E:飽和脂肪酸アミド系(ステアリン酸ポリアミドポリアミン)
・嵩高剤F:飽和脂肪酸アミド系(ステアリン酸モノアミド)
<紙質の測定>
・密度:JIS P 8118に準拠して測定した。
・ステキヒトサイズ度:JIS P 8122に準拠して測定した。
<内添サイズ剤の製造>
(1)合成例1
スチレン30重量部、ブチルアクリレート50重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート15重量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド3重量部、メタクリル酸1重量部、イタコン酸1重量部からなる単量体成分と、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2重量部と、溶媒としてメチルイソブチルケトン50重量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤としてベンゾイルパーオキサイト゛2.5重量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300重量部および90%酢酸水7.7重量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてエピクロルヒドリン8.5重量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体(重量平均分子量260,000)を含む固形分20重量%の水溶液を得た。
なお、共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより下記の条件で測定した。(合成例2も同じ。)
カラム:昭和電工(株)製「Asahipak GF−7M HQ」、「Asahipak GF−310 HQ」
機器:昭和電工(株)製「GPC SYSTEM−21H」
(2)合成例2
スチレン50重量部、ブチルメタクリレート26重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート15重量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド6重量部、メタクリル酸1重量部、アクリル酸1重量部、無水マレイン酸1重量部からなる単量体成分と、連鎖移動剤としてチオグリコール酸1.5重量部と、溶媒としてイソプロパノール50重量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル2.5重量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300重量部および90%酢酸水9重量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロパノールを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてジメチル硫酸13.5重量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体(重量平均分子量350,000)を含む固形分20重量%の水溶液を得た。
<紙の製造>
[実施例1]
LBKP(ろ水度 CSF450ml)に対し、嵩高剤を対パルプ当たり1.0固形分重量%、カチオン化デンプンを対パルプ当たり0.5固形分重量%、硫酸バンドを対パルプ当たり1.0固形分重量%、重質炭酸カルシウムを12固形分重量%、サイズ剤(I)として上記の合成例1で得られた両イオン性共重合体系サイズ剤を対パルプ当たり0.6固形分重量%、嵩高剤Aを対パルプ当たり1.0固形分重量%、歩留剤を対パルプ当たり0.01固形分重量%となるように添加して紙料を調製しJIS P 8209に準拠して紙を得た。その後、この紙の密度、ステキヒトサイズ度、接触角を測定した。紙質結果等を表1に示す。
[実施例2]
嵩高剤Aを嵩高剤Bとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
嵩高剤Aを嵩高剤Cとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例4]
嵩高剤Aを嵩高剤Dとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例5]
嵩高剤Aを嵩高剤Eとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例6]
嵩高剤Aを嵩高剤Fとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例7]
合成例1のサイズ剤を合成例2のサイズ剤とした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例8]
合成例1のサイズ剤を合成例2のサイズ剤とし、嵩高剤Aを嵩高剤Bとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例9]
合成例1のサイズ剤を合成例2のサイズ剤とし、嵩高剤Aを嵩高剤Cとした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例1]
合成例1のサイズ剤を中性ロジン系サイズ剤とした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例2]
合成例1のサイズ剤を中性ロジン系サイズ剤とし、嵩高剤Aを嵩高剤Bとした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例3]
合成例1のサイズ剤を中性ロジン系サイズ剤とし、嵩高剤Aを嵩高剤Cとした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例4]
合成例1のサイズ剤をアルキルケテンダイマー系サイズ剤とし、その添加量を対パルプあたり0.15固形分重量%とした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例5]
合成例1のサイズ剤をアルキルケテンダイマー系サイズ剤とし、その添加量を対パルプあたり0.15固形分重量%とし、嵩高剤Aを嵩高剤Bとした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例6]
合成例1のサイズ剤をアルキルケテンダイマー系サイズ剤とし、その添加量を対パルプあたり0.15固形分重量%とし、嵩高剤Aを嵩高剤Cとした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例7]
合成例1のサイズ剤をアルケニルコハク酸無水物系サイズ剤とし、その添加量を対パルプあたり0.2固形分重量%とした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例8]
合成例1のサイズ剤をアルケニルコハク酸無水物系サイズ剤とし、その添加量を対パルプあたり0.2固形分重量%とし、嵩高剤Aを嵩高剤Bとした以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例9]
合成例1のサイズ剤をアルケニルコハク酸無水物系サイズ剤とし、その添加量を対パルプあたり0.2固形分重量%とし、嵩高剤Aを嵩高剤Cとした以外は、実施例1と同様に行った。
[参考例10〜12]
内添サイズ剤を添加しなかった以外は、実施例1〜3とそれぞれ同様に行った。
[参考例1〜4]
嵩高剤を添加しなかった以外は、実施例1、比較例1、比較例4、比較例7とそれぞれ同様に行った。
Figure 2009242968
表1の結果から次のことが示される。
1)両イオン性共重合体系サイズ剤(合成例1または2)と嵩高剤とを併用した実施例1〜9では、良好なサイズ性が得られるとともに紙の密度が低く、サイズ性と嵩高性を両立させた紙が得られている。サイズ性については特に、実施例4、5で用いた嵩高剤D、Eは、自己サイズ性を有するものであり、両イオン性共重合体系サイズ剤とこれら自己サイズ性嵩高剤との相乗作用により、高いサイズ性が得られている。実施例6のサイズ度は他の実施例に比べると高くはないが、比較例1〜4あるいは比較例6〜12における0秒とは大きな違いがある。
2)中性ロジン系サイズ剤(中性ロジン)と嵩高剤とを併用した比較例1〜3、アルケニルケテンダイマー系サイズ剤(AKD)と嵩高剤とを併用した比較例4、6、およびアルケニルコハク酸無水物系サイズ剤(ASA)と嵩高剤と併用した比較例7〜9では、サイズ効果が阻害されてサイズ性が発現しない。アルケニルケテンダイマー系サイズ剤と嵩高剤とを併用した比較例5では、サイズ性は発現しているものの、紙の密度が高くなっており、嵩高剤の低密度化作用が阻害されている。
なお、上記実施例および比較例では、サイズ剤の種類によりその添加量が異なっているが、参考例1〜4から示されるように、ほぼ同等のサイズ性が得られる添加量でそれぞれ使用したものである。
3)実施例1〜8と内添サイズ剤を添加せず嵩高剤のみを含有する比較例10〜12とを比べると、実施例1〜8の方が、比較例10〜12よりも紙の密度が低い。すなわち、本発明の両イオン性共重合体系サイズ剤と嵩高剤を併用した場合は、紙の低密度化(嵩高化)に関して相乗効果があるといえる。

Claims (3)

  1. 疎水性基を有するとともにカチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする製紙用内添サイズ剤、および嵩高剤を含有することを特徴とする紙。
  2. 前記両イオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)を必須とし、かつ前記モノマー(C)のアニオン当量が前記モノマー(B)のカチオン当量の0.1〜90%である単量体成分を重合して得られるものであり、そのカチオン性基の4級化率は40モル%以上であることを特徴とする請求項1記載の紙。
  3. 前記嵩高剤が高級アルコール系、脂肪酸の多価アルコールとのエステル系、脂肪酸アミド系から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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