JP2010031400A - 紙容器用原紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】原紙断面からの溶液の浸透を抑えることが可能な、高い耐断面浸透性を有し、かつ抄造トラブルがなく操業性に優れる紙容器用原紙を提供する。
【解決手段】少なくともパルプと内添サイズ剤を含有する単層抄き又は多層抄きの紙容器用原紙であって、前記内添サイズ剤は、疎水性基とともにカチオン性基とアニオン性基とを有しかつ前記カチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする。前記両イオン性共重合体の4級化率が40モル%以上であることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】少なくともパルプと内添サイズ剤を含有する単層抄き又は多層抄きの紙容器用原紙であって、前記内添サイズ剤は、疎水性基とともにカチオン性基とアニオン性基とを有しかつ前記カチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする。前記両イオン性共重合体の4級化率が40モル%以上であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本願発明は、紙容器用原紙に関し、特に水や油等の液体を内容物とする紙容器用原紙に関する。
一般的な紙容器は、紙の表面へ印刷を行うなどした後、必要な形状に打抜かれ(打ち抜かれたものをブランクという)、折り成型加工されて完成する。内容物が水や油などの液体である場合又はこれらの液体を含有する飲料や食品等である場合は、紙容器に耐水性・耐油性などが必要とされるため、基材となる原紙の表裏にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネート加工した積層シートが用いられる。これを折り成型する際にはシーラーによりラミネートした熱可塑性樹脂を熱溶融させて貼り合わせ、紙容器を完成する。
上記積層シートを使用して、ブランクから液体紙容器、紙カップなどに成形する場合、積層シートからなるブランクの両側縁を貼り合わせて筒状の胴部を形成するが、その際、貼り合せた部分の内面において、積層シートの断面が内容物に接することにより、原紙の断面が内容物(液体)に曝露されるため、内容成分が原紙に浸透して、積層シートの強度低下、層間剥離、密封性の不良等が生じ溶液の漏れや容器の破損という重大な問題が発生する場合がある。
これを解決する手段として、積層シートの端部を折り返して貼り合わせる方法(例えば、特許文献1)やシート端部の断面にテープを貼る方法(例えば、特許文献2)などにより積層シート断面部が内容物に接触しないように保護する技術が知られている。 また、原紙断面からの溶液の浸透を抑制するために、紙容器用原紙にはロジンサイズ、アルキルケテンダイマー(AKD),アルケニル無水コハク酸(ASA)などの内添サイズ剤が配合される場合がある。 また、特許文献3では、特定の内添サイズ剤を用いて、原紙断面部からの液体の浸透を防止するとともに、単層抄きとすることにより、紙カップ成型加工時の紙層間剥離を防止する方法が提案されている。
上述した特許文献1や特許文献2等の方法では加工工程が煩雑になりコストアップとなる欠点がある。また、内添サイズ剤としてロジンサイズを用いた場合、水溶液のpHが低い条件下ではサイズ性が低下するため、酸性水溶液に対してはサイズ効果が小さくなる。一方、アルキルケテンダイマー(AKD)は水溶液のpHが低い条件下でも十分な撥水性を示すため、酸性水溶液に対しても高度なサイズ性が期待できるため好ましいが、多量に配合した場合に原紙抄造時、プレスロール等のロールが汚れたり、サイズリバージョンと呼ばれる経時でサイズ性が低下していく現象が生じたりすることがある。また、アルケニル無水コハク酸(ASA)を用いた場合は、乳化安定性が低いために、多量に用いた場合はパルプ繊維に定着しなかったアルケニル無水コハク酸が分解を起こしてAKD同様に抄造マシンの汚れを引き起こすことがある。 そこで、本発明の主たる課題は、原紙断面からの溶液の浸透を抑えることが可能な、言い換えると、高い耐断面浸透性を有し、かつ抄造トラブルがなく操業性に優れる紙容器用原紙を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の紙容器用原紙は以下の構成を特徴とする。(1)請求項1に係る発明は少なくともパルプと内添サイズ剤を含有する単層抄きの紙容器用原紙であって、前記内添サイズ剤は、疎水性基とともにカチオン性基とアニオン性基とを有しかつ前記カチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とすることを特徴とする。(2)請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明であって、前記両イオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)を必須として含みかつ前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量の0.1〜90%であるモノマー成分を重合して得られ、さらに前記両イオン性共重合体の4級化率が40モル%以上であることを特徴とする。
本発明に係る紙容器用原紙によれば、原料パルプが広葉樹漂白クラフトパルプ主体の配合で単層抄きであるにも係わらず、好適な耐断面浸透性を有する紙容器用原紙を得ることができる。また、抄造時のトラブルが少なく、操業性に優れる。
以下、本発明に係る紙容器用原紙を実施するための最良の形態を説明する。1.内添サイズ剤 本発明で用いられる内添サイズ剤は、疎水性基とともにカチオン性基とアニオン性基とを有しかつ前記カチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とする。これにより、填料として炭酸カルシウムを使用し、硫酸バンドを使用しないか硫酸バンド使用量の少ない中性抄造においても、効率的にサイズ性を付与することできる。しかも、実際の抄造系内に存在するアニオントラッシュとの相互作用が少ない点でも、パルプ繊維に良好に自己定着し、効果的にサイズ性を発現することが期待される。このように、本発明で用いる内添サイズ剤は、炭酸カルシウム量やアニオントラッシュ量の多い中性抄造条件においても、非常に効率よく優れたサイズ性を付与できるものである。
本発明で用いる内添サイズ剤がこのような効果を発現するのは、前記両イオン性共重合体が、一つのポリマー分子内にパルプに自己定着するとともに炭酸カルシウムと相互作用もする部位を持ち、かつ、ポリマー内およびポリマー間でイオン的な錯体を形成しうるからであると、推測される。つまり、一分子内に前述の部位を持つことにより、パルプと炭酸カルシウムの効率的な疎水化が可能となり、また、イオン的な錯体を形成することにより、巨大化した分子の集合体の構造を持つことが可能になり、パルプ繊維への物理的な歩留まりの向上や、アニオントラッシュなどとの相互作用が緩和されることによる自己定着能の向上などにより、効果的なサイズ発現が可能になっていると考えられる。
(モノマー成分)本発明で使用する内添サイズ剤は、両イオン性共重合体を有効成分とし、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)を必須とするモノマー成分を重合して得られるものであることが好ましい。この両イオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)に由来する疎水性基と、カチオン性モノマー(B)に由来するカチオン性基と、アニオン性モノマー(C)に由来するアニオン性基を有するものである。前記疎水性モノマー(A)としては、スチレン類、(メタ)アクリル酸のC1〜C14アルキルエステル(炭素数1〜14のアルキルのエステル)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、例えば(メタ)アクリロニトリル等も使用することができる。疎水性モノマー(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記スチレン類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。前記(メタ)アクリル酸のC1〜C14アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの脂肪族炭化水素エステルのほか、脂環系や芳香族系の炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記カチオン性モノマー(B)としては、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、例えば、1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド等のカチオン性モノマーも使用することができる。カチオン性モノマー(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
前記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、前記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド;メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノエチ
ル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。
ル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。
前記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート;メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミドや前記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、前述した3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドまたは3級アミノ基含有(メタ)アクリレートを後述する4級化剤(例えば、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなど)を用いて4級化したモノ4級塩基含有モノマーが挙げられる。具体的には、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
前記アニオン性モノマー(C)としては、α、β−不飽和カルボン酸類、α、β−不飽和スルホン酸類からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。アニオン性モノマー(C)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記α、β−不飽和カルボン酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)等が挙げられる。
前記α、β−不飽和スルホン酸類としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)等が挙げられる。
前記モノマー成分においては、前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量の0.1〜90%であることが好ましい。より好ましくは5〜50%、さらに好ましくは5〜20%である。つまり、前記モノマー成分を重合してなる前記両イオン性共重合体は、カチオン当量が多く、アニオン当量の少ない方がサイズ効果を発現し易いのである。カチオン当量がアニオン当量と近似した値もしくは同じ値であるか、カチオン当量がアニオン当量よりも小さい場合(具体的には、カチオン当量に対するアニオン当量の比率(百分率)が90%を超える場合)、共重合体のアニオン部位とカチオン部位とがイオン的に強く相互作用し過ぎることにより活性なイオン基が減少し、パルプ繊維へのカチオンの定着作用を低下させたり、疎水部位と親水部位の配向バランスが悪くなったりする等の要因から、効率良くサイズ性を発現しにくくなる傾向がある。
したがって、前記モノマー成分におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率と同様、モノマー成分を重合してなる両イオン性共重合体におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率も、前記と同じ範囲であることが好ましい。例えば、モノマー成分の重合がビニル結合によりなされるようモノマー成分を選択した場合など、重合にカチオン性基およびアニオン性基が関与しない場合には、両イオン性共重合体におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率は、モノマー成分におけるカチオン当量に対するアニオン当量の比率と一致することとなる。
前記モノマー成分における各必須モノマーの含有割合は、カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対するアニオン性モノマー(C)のアニオン当量が前述した範囲になるように設定することが望ましい点を除けば、特に制限はないが、例えば、モノマー成分全量に対して、疎水性モノマー(A)は60〜90質量%程度、カチオン性モノマー(B)は10〜40質量%程度、アニオン性モノマー(C)は1〜10質量%程度であることが好ましい。
前記モノマー成分は、さらに必要に応じ、前述した疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)のほかに、本発明の効果を損なわない範囲において、その他のモノマーを含有させることもできる。その他のモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、iso−プロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミド基含有モノマーのうちアミノ基を含有しないモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル等が挙げられる。その他のモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(重合) 前記モノマー成分の重合は、特に制限されるものではなく、例えば、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の公知の重合方法を採用することができ、また、各モノマーや開始剤等の仕込み方法も、一括、分割、部分滴下、全量滴下など公知の方法を適宜採用すればよい。また、重合を行う際の媒体(溶媒)も、重合方法等に応じて公知のものから適宜選択すればよい。
前記重合開始剤としては、以下のものが上げられる。(1)アゾ系重合開始剤:例えば、アゾビスメチルブチロニトリル、ジメチルアゾビスイソブチレート、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩等。(2)過酸化物系重合開始剤:例えば、過硫酸ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの無機過酸化物等。(3)レドックス開始剤:例えば、前述した過酸化物と、亜硫酸ナトリウム、硫酸鉄(II)、塩化鉄(II)、3級アミン類などの還元剤とを併用すればよい。
また、前記重合は、粘度上昇を防止して反応を円滑に行うために、必要に応じて、連鎖移動剤の存在下で行うこともできる。連鎖移動剤としては、油溶性、水溶性の連鎖移動剤を適宜選択することができるが、一般的には、親油性の有機溶剤中で重合する場合には油溶性連鎖移動剤が、逆に親水性の有機溶剤中で重合する場合には水溶性連鎖移動剤が好ましい。また、油溶性連鎖移動剤と水溶性連鎖移動剤を併用しても差し支えない。連鎖移動剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、モノマー成分全量に対して1〜5質量%程度が好ましい。
前記油溶性連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸ドデシルなどのメルカプタン類、(メタ)アリルメタクリレートのような疎水性アリル化合物、クメン、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン等が挙げられる。
前記水溶性連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオリンゴ酸、チオグリコール酸、およびこれらの塩などのメルカプタン類、(メタ)アリルアルコール、(メタ)アリルアミン、(メタ)アリルスルホン酸、およびこれらの塩などの親水性アリル化合物、エタノールアミン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
(4級化) 前記両イオン性共重合体は、そのカチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなるものであり、両イオン性共重合体のカチオン性基の4級化率は40モル%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜100モル%であるのがよい。4級化率が40モル%未満であると、抄紙pHが高い場合にパルプ繊維や填料への効率的な疎水性付与効果が得られない恐れがある。
前記両イオン性共重合体のカチオン性基を4級化するに際しては、前記モノマー成分を重合した後に得られた共重合体を4級化剤で4級化してもよいし、前記モノマー成分のカチオン性モノマー(B)として4級アンモニウム基含有モノマーを用いて重合するようにしてもよい。
4級化に際し用いることのできる4級化剤としては、例えば、硫酸ジメチル、炭酸ジメチル、塩化メチル、塩化アリル、塩化ベンジル、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エチレンクロルヒドリン、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等の1種もしくは2種以上が挙げられる。これらの中でも、エピクロルヒドリン、塩化ベンジルが好ましい。 なお、本発明において4級化率は合成時に投入するカチオン性モノマー(B)と4級化剤の当量から計算して求められる。
(平均分子量) 前記両イオン性共重合体の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは30,000〜600,000であるのがよい。重量平均分子量が10,000未満であると、サイズ剤の歩留まりが著しく低下してサイズ効果が得られにくくなる傾向があり、一方、1,000,000を超えると、抄紙の乾燥工程においてサイズ剤が紙中で効率よく拡散できなくなり、サイズ剤成分が紙中で不均一に存在してサイズ効果が低下するおそれがある。
(その他) 本発明においては、前記両イオン性共重合体は内添サイズ剤として用いられ、抄紙時にパルプスラリー中に添加される。このとき、前記共重合体を含む溶液または分散液(例えば、前記重合及び4級化により得られた反応液など)を添加しても良い。
2.紙器用原紙(単層抄き) 本発明の原紙は単層抄き、多層抄きいずれでも良いが、単層抄きであることが望ましい。多層抄きは単層抄きに比べ比較的叩解度の高いパルプを使用できるため、緻密な紙層構造を作り易い。そのため、原紙断面部からの液体の浸透には有利である。しかし、多層抄きの場合、成型加工時の紙層間剥離防止が課題となり、特に酸性水溶液を含有する飲料や食品に使用する耐酸性を有する原紙の場合、耐酸性を付与するための内添サイズ剤添加により、紙層間強度の低下がみられる。一方、単層抄きは紙層界面が存在しないため、成型加工時に紙層間剥離が発生せず、多層抄きより成型加工性が良好である。
(内添サイズ剤の使用量) 本発明の紙容器用原紙は、前記内添サイズ剤をパルプスラリーに添加し、これを湿式抄造することにより製造される。このとき、内添サイズ剤の添加量は、通常、有効成分(両イオン性共重合体)が対パルプ絶乾重量当たり0.05〜1.0質量%となるようにすることが好ましい。より好ましくは対パルプ絶乾重量当たり0.1〜0.8質量%であるのがよい。0.05質量%未満であると、耐断面浸透性の効果が無い怖れがあり、1.0質量%以上であると、抄紙機に汚れが発生する怖れがある。
(パルプ) 本発明に用いられるパルプには、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、ケナフ、竹
、麻などから得られた非木材繊維などを適宜配合することが可能であるが、原紙中への異物混入が発生し難い、使用後の紙容器を古紙原料に供してリサイクル使用する際に、経時変色が発生し難いなどの理由から化学パルプが好ましく、特にLBKP及びNBKPが好ましい。繊維強度の強いNBKPを配合することが好ましいが、原紙のラミネート加工後に表面へ印刷を行う際に、ベタ部の均一性が低下して印刷された画像の鮮明性が低下するなど、得られる紙容器の品質が低下するなどの問題が発生し易い。また、一般的にNBKPはLBKPより価格が高いため、コストアップを抑えるためにはNBKPの配合量を抑えることが望ましい。よって、本発明においては原料パルプ中のNBKPの配合量を50質量%未満とすることが好ましい。また、NBKPの配合量は40質量%以下が好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
、麻などから得られた非木材繊維などを適宜配合することが可能であるが、原紙中への異物混入が発生し難い、使用後の紙容器を古紙原料に供してリサイクル使用する際に、経時変色が発生し難いなどの理由から化学パルプが好ましく、特にLBKP及びNBKPが好ましい。繊維強度の強いNBKPを配合することが好ましいが、原紙のラミネート加工後に表面へ印刷を行う際に、ベタ部の均一性が低下して印刷された画像の鮮明性が低下するなど、得られる紙容器の品質が低下するなどの問題が発生し易い。また、一般的にNBKPはLBKPより価格が高いため、コストアップを抑えるためにはNBKPの配合量を抑えることが望ましい。よって、本発明においては原料パルプ中のNBKPの配合量を50質量%未満とすることが好ましい。また、NBKPの配合量は40質量%以下が好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
また、本発明の紙容器用原紙は、原料パルプ中のLBKPのカナダ標準濾水度(CSF)を450ml以上550ml未満とし、かつNBKPのCSFを500ml以上600ml未満とすることが好ましい。原料パルプ中のLBKPのCSF、及びNBKPのCSFを上述の範囲にすることにより、繊維間結合が適度に調整され、前述の通り紙容器用原紙としての加工用原紙に必要な紙力が得られ、また加工用原紙の折り加工を行う時に、樹脂ラミネート層の破壊の発生が抑えられる。
また、本発明の紙容器用原紙は、高い耐断面浸透性が必要であるが、液体の浸透を抑えるためには、浸透可能な細孔径を小さくする、連続細孔容積を小さくする、紙基材の撥水性を高くするなどの対策が有効である。細孔径を小さくすること、あるいは連続細孔容積を小さくすることに関しては、原料パルプの濾水度が大きな支配因子となる。この点からも、原料パルプ中のLBKPのCSFを450ml以上550ml未満とし、かつNBKPのCSFを500ml以上600ml未満とすることが好ましい。LBKPのCSFが550ml以上で、かつNBKPのCSFが600ml以上の場合では、紙層構造が粗くなるため、本発明が目標としている耐断面浸透性を得ることが困難となる。
(その他添加剤) 前記パルプスラリーには、本発明の効果を損なわない範囲で、中性ロジンや酸性ロジン、AKD、ASAなどの既知の内添サイズ剤も併用して使用することができる。 この他、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性の歩留まり剤、濾水度向上剤、嵩高剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。製紙用内添助剤としては、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が挙げられる。
また、製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。これら添加剤の添加量は、所望の性能に応じて適宜設定すればよい。
また、本発明の紙容器用原紙は、内添乾燥紙力増強剤として、分子量が600万未満、好ましくは分子量が10万〜400万であるポリアクリルアミドを対絶乾パルプ重量当たり0.2質量%以下含有することが好ましい。ポリアクリルアミドの例としては、アニオン性、カチオン性、および部分カチオン性変性による両性化したものなどが挙げられる。分子量が600万未満のポリアクリルアミドの含有量を0.2質量%以下とすることで繊維間結合を適度に調整することにより、前述の通り紙容器用原紙としての加工用原紙に必要な紙力が得られ、また、紙容器用原紙としての加工用原紙の折り加工を行う際に、加工用原紙の原紙層内が僅かに破壊され、樹脂ラミネート層に加わる応力が緩和されるので、樹脂ラミネート層の破壊の発生が抑えられる。
内添乾燥紙力増強剤として、カチオン化澱粉、酸化澱粉などの澱粉系を用いた場合でも、繊維間結合を適度に調整する事により、ポリアクリルアミドと同様の効果が得られるが、少量の含有量でも適度に調整することが容易であるため、ポリアクリルアミドを含有させることが好ましい。
また、本発明の紙容器用原紙は、ポリアミドエピクロロヒドリン系樹脂に代表される湿潤紙力増強剤を含有することが好ましい。湿潤紙力増強剤を含有することにより、液体の浸透に際して、パルプ間の繊維間結合が切断されることにより膨潤が起こり細孔経が拡大する現象、即ち吸水による原紙の膨潤を抑えることが容易となるので好ましい。更に、ポリアミドエピクロロヒドリン系樹脂はアルキルケテンダイマーのパルプへの定着を向上させる効果もあるため好ましい。湿潤紙力増強剤の含有量は、対パルプ絶乾重量当たり0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲であることが好ましい。
また、本発明の紙容器用原紙は、歩留剤として分子量600万以上であるポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉のいずれか1種以上を含有することが好ましい。これらのいずれか1種以上を含有することにより、内添サイズ剤のサイズ性が向上し、成型加工後の原紙断面からの酸性水溶液の浸透を抑えることが容易になるので好ましい。特に分子量600万以上であるポリアクリルアミドは、カチオン澱粉、両性澱粉と比較して、繊維間結合への影響が小さく、適度に調整することが容易であり、また少量の含有量でアルキルケテンダイマーのサイズ性を向上させるので好ましい。ポリアクリルアミドの例としては、カチオン性、非イオン性、およびアニオン性などが挙げられ、分子量としては600万以上2000万以下が好ましい。分子量600万以上であるポリアクリルアミドの含有量は、対絶乾パルプ重量当たり0.01質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。また、カチオン化澱粉、両性澱粉の含有量は、0.3質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。含有量が多くなるほど耐断面浸透適性は良好となるが、含有量がポリアクリルアミドでは0.5質量%、カチオン化澱粉あるいは両性澱粉では2.0質量%を超えてもサイズ性の向上は頭打ちであり、経済的に無意味である。
(抄紙機) 上記した本発明の紙容器用原紙は、以下に詳述するように、パルプとサイズ剤、乾燥紙力増強剤などを主体とした製紙原料を、単層抄紙することにより製造されるものであって、単層抄きとすることにより、優れた成型加工性を得ることが可能である。単層抄きであれば製造方法は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機など、各種抄紙機が適宜使用可能であるが、生産性が良好であるため、長網抄紙機及びツインワイヤー抄紙機が好ましい。
また、本発明の紙容器用原紙は、坪量が350g/m2未満であることが好ましく、特に170g/m2以上350g/m2未満であることが好ましい。紙容器用原紙は、その用途上紙力と剛度が必要であり、坪量は170g/m2以上であることが好ましい。一方、坪量が大きすぎると、成型加工時に前記原紙の厚さの分だけ折り部外側の半径が大きくなるため、樹脂ラミネート層に加わる応力が大きくなり、樹脂ラミネート層が破壊され易くなるため、坪量は350g/m2未満であることが好ましい。
また、本発明の紙容器用原紙は、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、いわゆる表面サイズ剤(スチレン・アクリル系樹脂、スチレン・マレイン酸系樹脂、スチレン・メタクリル酸系樹脂、オレフィン系樹脂、エステル系樹脂など)などにより、表面サイズを行ったものであってもよい。表面サイズ剤の塗布方法は特に限定されるものではないが、通常サイズプレスで使用される装置、例えば2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレスなどを使用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の%は特に明記されない限り質量%を示す。また、特に断らない限り内添サイズ剤の添加量は固形分の添加量を示す。
<内添サイズ剤の製造>(1)合成例1 疎水性モノマーとして、スチレン30質量部、ブチルアクリレート50質量部、カチオン性モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート15質量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド3質量部、アニオン性モノマーとしてメタクリル酸1質量部、イタコン酸1質量部からなるモノマー成分と、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン2質量部と、溶媒としてメチルイソブチルケトン50質量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤としてベンゾイルパーオキサイド2.5質量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300質量部および90%酢酸水7.7質量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してメチルイソブチルケトンを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてエピクロルヒドリン8.5質量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体(重量平均分子量:26×104、4級化率:80モル%、カチオン当量に対するアニオン当量の比率:24%)を含む固形分20質量%の水溶液を得、これを製紙用内添サイズ剤(1)とした。
(2)合成例2 疎水性モノマーとしてスチレン50質量部、ブチルメタクリレート26質量部、カチオン性モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート15質量部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド6質量部、アニオン性モノマーとしてメタクリル酸1質量部、アクリル酸1質量部、無水マレイン酸1質量部からなるモノマー成分と、連鎖移動剤としてチオグリコール酸1.5質量部と、溶媒としてイソプロパノール50質量部とを4つ口フラスコに入れ、85℃まで加熱した後、開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル2.5質量部を加え、次いで90℃で3時間重合させた。次に、水300質量部および90%酢酸水9質量部を加えて水溶化した後、加熱蒸留してイソプロパノールを留去させた。その後、85℃で4級化剤としてジメチル硫酸13.5質量部を添加して同温度で3時間反応させた。このとき、反応後の反応液は完全に水溶化していた。次いで、冷却し、水で希釈して、疎水性基を有する両イオン性共重合体(重量平均分子量:35×104、4級化率:80モル%、カチオン当量に対するアニオン当量の比率:34%)を含む固形分20質量%の水溶液を得、これを製紙用内添サイズ剤(2)とした。
[実施例1] カナダ標準濾水度(CSF)500mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)と、CSF530mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を80/20の重量比で配合して、原料パルプとした。原料パルプスラリーに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.1%、サイズ剤として合成例1の内添用サイズ剤を固形分で対絶乾パルプ重量あたり0.4%、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン(PAEH)系樹脂を対絶乾パルプ重量あたり0.15%、さらに歩留剤として分子量1000万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.08%添加した後、炭酸ナトリウムでpH7.5に調整して紙料スラリーとした。この紙料スラリーをフォードリニア式長網抄紙機で単層抄紙した。次
いで、得られた紙匹をカレンダーサイズプレスにより、酸化澱粉の濃度4.0%の表面サイズ剤水溶液を、固形分塗工量が両面で1.0g/m2となるように塗工して、坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
いで、得られた紙匹をカレンダーサイズプレスにより、酸化澱粉の濃度4.0%の表面サイズ剤水溶液を、固形分塗工量が両面で1.0g/m2となるように塗工して、坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[実施例2] 合成例1の内添サイズ剤を対絶乾パルプ重量あたり0.8%添加した以外は、実施例1と同様にして実施例2の坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[実施例3] 合成例2の内添サイズ剤を対絶乾パルプ重量あたり0.4%添加した以外は、実施例1と同様にして実施例3の坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[実施例4] 実施例2の内添サイズ剤を対絶乾パルプ重量あたり0.8%添加した以外は、実施例1と同様にして実施例4の坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[実施例5] LBKP(CSF550ml)とNBKP(CSF580ml)を80/20の重量比で配合して原料パルプとした以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[実施例6] LBKP(CSF600ml)とNBKP(CSF650ml)を80/20の重量比で配合して原料パルプとした以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[実施例7] LBKP(CSF450ml)とNBKP(CSF500ml)を80/20の重量比で配合して原料パルプとした以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[実施例8] 坪量を190g/m2とした以外は実施例1と同様にして紙容器原紙を得た。
[実施例9] 坪量を330g/m2とした以外は実施例1と同様にして紙容器原紙を得た。
[比較例1] 内添サイズ剤としてロジンを対絶乾パルプ重量あたり0.2%用い、炭酸ナトリウムの代わりに硫酸バンドでpH=4.5に調整した以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[比較例2] 内添サイズ剤としてロジンを対絶乾パルプ重量あたり0.8%用いた以外は、比較例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[比較例3] 内添サイズ剤としてAKDを対絶乾パルプ重量あたり0.1%用いた以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[比較例4] 内添サイズ剤としてAKDを対絶乾パルプ重量あたり0.5%用いた以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[比較例5] 内添サイズ剤としてASAを対絶乾パルプ重量あたり0.1%用いた以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
[比較例6] 内添サイズ剤としてASAを対絶乾パルプ重量あたり0.3%用いた以外は、実施例1と同様にして坪量255g/m2の紙容器原紙を得た。
<評価方法><マシン操業:抄紙機の汚れ>8時間抄紙した後、プレスロール及びフェルトの汚れを下記の基準で評価した。 ○:プレスロール及びフェルトがほとんど汚れていない △:プレスロール及びフェルトが汚れている ×:プレスロール及びフェルトがかなり汚れている
<耐断面浸透性:有機酸水溶液に浸漬した時の重量増加率> 基材となる原紙の坪量を測定し、原紙の両面を厚さ30μmのポリエステル粘着フィルムでラミネートした。ラミネート紙を1辺10.0cmの正方形に切断して試料片とする。試験片の重量を測定した後、試料片を23℃、pH4に調整した濃度1.0%のクエン酸水溶液に5時間浸漬する。浸漬後、表面に付着した溶液を十分に拭き取った後に、試験片の重量を測定する。これらの測定結果を基に、次式から重量増加率を算出した。重量増加率={(浸漬後の試料の重量−浸漬前の試料の重量)/試料中の紙基材の重量}×100 実施例及び比較例で製造した紙容器原紙の測定結果は表1に示した。
実施例1〜9より明らかなように、本発明の紙容器原紙は、好適な耐断面浸透性を有する紙容器用原紙が得られ、原紙を抄造する際の抄紙機の汚れの発生も見られなかった。一方、比較例1〜2のロジンサイズを用いた場合は、耐断面浸透性が不充分であり、また比較例3〜4のAKDを用いた場合は好適な耐断面浸透性が得られたものの、抄紙機の汚れが見られ、長時間の操業には適していなかった。比較例5〜6のASAを用いた場合は、抄紙機に汚れが生じない範囲の添加量とすると充分な耐断面浸透性が得られず、添加量を増やした場合は抄紙機の汚れが発生してサンプルが得られなかった。
Claims (2)
- 少なくともパルプと内添サイズ剤を含有する、単層抄き又は多層抄きの紙容器用原紙であって、前記内添サイズ剤は、疎水性基とともにカチオン性基とアニオン性基とを有しかつ前記カチオン性基の少なくとも一部が4級化されてなる両イオン性共重合体を有効成分とすることを特徴とする紙容器用原紙。
- 前記両イオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)、およびアニオン性モノマー(C)を必須として含みかつ前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量の0.1〜90%であるモノマー成分を重合して得られ、さらに前記両イオン性共重合体の4級化率が40モル%以上であることを特徴とする請求項1記載の紙容器用原紙。
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