JP2009242967A - 嵩高剤を含有する紙 - Google Patents

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晃一 柳内
Masaki Ito
真記 伊藤
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至誠 後藤
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Abstract

【課題】 サイズ性と嵩高性を両立させた紙を提供すること。
【解決手段】 疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上のカチオン性共重合体と填料との混合物からなる製紙用添加剤、または、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)およびアニオン性モノマー(C)を含み、かつ前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対する前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1〜90%であるモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の両性共重合体と填料との混合物からなる製紙用添加剤を含有し、かつ、嵩高剤を含有することを特徴とする紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、特にサイズ性と嵩高さが求められる印刷用紙などの用途に適した紙に関する。
昨今、紙製品に求められる重要な品質の一つとして嵩高性(低密度)が挙げられる。近年の環境保護気運の高まりにともない、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用する上で、紙の厚さを維持しつつ軽量化、すなわち低密度化した嵩高の紙製品がユーザーから求められている。
紙の低密度化の一つの手法として嵩高剤の使用によることが知られている。嵩高剤として、例えば、特許文献1(特許第3871107号公報)には、油脂系非イオン界面活性剤等の界面活性剤、高級アルコール、多価アルコールと脂肪酸とのエステル化合物他が記載されている。また、特許文献2(特開2005−54330号公報)には、直鎖状脂肪酸モノアミドのエマルションが記載されている。これらの嵩高剤を用いて紙を嵩高にする技術では、特別な方法や装置を用いないため比較的容易に嵩高紙を得ることができる。
一方、近年、紙の製造においては、従来の酸性抄紙に代えて中性抄紙への移行が進んでいる。中性抄紙では、酸性抄紙に比べて紙力の保持性が良好であり、抄紙に際してフェルトやワイヤーの使用時間を長く延ばすことができ、ウェッブの水切れが良くなるとともに、地合形成が改善され、紙質が向上するという利点がある。また、酸性抄紙の場合とは異なり、紙の劣化や排水規制の問題も少なく、用水リサイクルの点でも有利である。さらに填料として、不透明性が高く安価な炭酸カルシウムを多量に使用できる利点もある。
このような中性抄紙において、サイズ性(吸水抵抗性)を付与するために添加される内添サイズ剤は、通常、ロジンエステルや強化ロジンエステル等を用いた中性ロジンサイズ剤、ASA(アルケニルコハク酸無水物)、AKD(アルキルケテンダイマー)等が用いられている。
特許第3871107号公報 特開2005−54330号公報
しかしながら、界面活性剤系の嵩高剤を用いた場合、親水性が高いためか内添サイズ剤のサイズ効果を阻害する働きがある。また、嵩高剤と内添サイズ剤の組み合わせによって、そのサイズ性の立ち上がりが遅いため、抄紙直後のサイズ効果が劣るという欠点や、摩擦係数が低下するといった問題がある。さらに、嵩高剤の歩留が悪くなり十分な嵩が得られない場合もある。
そこで、本発明は、サイズ性と嵩高性を両立させた紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の紙は、少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体と填料を前処理した混合物からなる製紙用添加剤を含有し、かつ、嵩高剤を含有することを特徴とする。
同様に、請求項2に係る発明の紙は、前記共重合体がカチオン性共重合体、または、アニオン性モノマー(C)を含む両性共重合体であることを特徴とする。
請求項3に係る発明の紙は、前記両性共重合体が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対する前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1〜90%であるモノマー成分を重合して得られることを特徴とする。
請求項4に係る発明の紙は、前記製紙用添加剤において、填料100重量部に対する前記カチオン性共重合体または両性共重合体の割合が0.1〜10重量部であることを特徴とする。
請求項5に係る発明の紙は、前記嵩高剤が高級アルコール系、脂肪酸の多価アルコールとのエステル系、脂肪酸アミド系から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明によれば次の格別な効果が奏される。
1)嵩高剤によるサイズ性発現への悪影響を受けることなく、製紙用添加剤がサイズ効果を発揮できる。
2)嵩高剤の歩留まりが高くなり、嵩が十分に出やすい。
3)サイズ性と嵩高性を兼ね備えた紙が得られる。
1.製紙用添加剤
本発明で用いられる第一の製紙用添加剤は、4級化率が特定以上のカチオン性共重合体と填料を予め混合するもの(以下、カチオン性共重合体と填料を予め混合することを「前処理」といい、混合したものを「混合物」という。)を有効成分とするものであり、第二の製紙用添加剤は、4級化率が特定以上で、アニオン当量とカチオン当量の比率が所定範囲にある両性共重合体と填料を前処理した混合物を有効成分とするものであり、本発明の印刷用紙は、これらの製紙用添加剤をパルプスラリーに添加して湿式抄造したものである。
疎水性基含有モノマーを必須成分とするカチオン性または両性共重合体を填料と混合(前処理)し、填料に適度の撥水性を付与すると、撥水性の付与された填料がアニオン性を帯びたパルプ繊維に効率良く吸着して、紙に効果的なサイズ性が付与される。
<第一の製紙用添加剤>
本発明で用いられる第一の製紙用添加剤において、前処理に使用するカチオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を必須とするモノマー成分を重合し、4級化率を40モル%以上としたものである。
上記疎水性モノマー(A)は、スチレンまたはその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルなどであり、特に、スチレンまたはその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸のC1〜C12アルキルエステルが好ましい。
なお、本発明においては、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または「メタクリル」を意味するものであり、同様に、「(メタ)アクリロ」は「アクリロ」または「メタクリロ」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。
上記スチレンまたはその誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、スチレンが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸のC1〜C12アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの炭化水素エステルが挙げられ、脂肪族だけでなく、脂環系や芳香族系の炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステルも使用できる。特に好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートである。
上記カチオン性モノマー(B)は、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド等のように、分子内にカチオン性基を1個乃至複数個有するものであり、特に、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライドが好ましい。
上記3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、アミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミドおよび4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートとしては、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド又は3級アミノ基含有(メタ)アクリレートを、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなどの4級化剤で4級化したモノ4級塩基含有モノマーが挙げられる。具体的には、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
上記カチオン性共重合体を構成するモノマー成分としては、上記疎水性モノマー(A) および上記カチオン性モノマー(B)以外に、必要に応じて、アニオン性モノマーを除くその他のビニルモノマーを使用することができる。
上記その他のモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、iso−プロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミド基含有モノマー、酢酸ビニルなどが挙げられる。
上記カチオン性共重合体を構成するモノマー成分は、単用又は併用できる。モノマー成分の組成比は、填料に適度の撥水性を付与できる範囲で任意に設定できるが、疎水性モノマー(A)の含有量は60〜90重量%程度、カチオン性モノマー(B)の含有量は10〜40重量%程度がそれぞれ好ましい。
<第二の製紙用添加剤>
一方、本発明で用いられる第二の製紙用添加剤において、前処理に使用する両性共重合体は、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)およびアニオン性モノマー(C)を必須とし、かつ前記モノマー(B)のカチオン当量に対して前記モノマー(C)のアニオン当量の比率が所定範囲であるモノマー成分を重合し、4級化率を40モル%以上としたものである。
上記アニオン性モノマー(C)は、α,β−不飽和カルボン酸類、α,β−不飽和スルホン酸類などである。
上記α,β−不飽和カルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、そのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などが挙げられる。
上記α,β−不飽和スルホン酸類としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、その塩などが挙げられる。
上記両性共重合体を構成するモノマー成分のうち、疎水性モノマー(A)及びカチオン性モノマー(B)については、本発明の第一の製紙用添加剤におけるカチオン性共重合体を構成するモノマー成分として前述したものと同様である。また、必須モノマー以外のその他のビニルモノマーを使用することができる点も、第一の製紙用添加剤の場合と同様である。
上記両性共重合体を構成するモノマー成分の場合も、上記各モノマーは単用又は併用できる。モノマー成分の組成比は、填料に適度の撥水性を付与できる範囲で任意に設定できるが、疎水性モノマー(A)の含有量は60〜90重量%程度、カチオン性モノマー(B)の含有量は20〜40重量%程度、アニオン性モノマー(C)の含有量は0.2〜10重量%程度がそれぞれ好ましい。
上記両性共重合体を構成するモノマー成分にあっては、カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対するアニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1〜90%であることが必要である。好ましい当量比率は5〜20%であり、より好ましくは5〜15%である。すなわち、本発明における両性共重合体は、カチオン当量リツチでアニオン当量の少ない方がサイズ効果を発現し易い。カチオン当量に対するアニオン当量の比率が多すぎると、アニオン性モノマー(C)がカチオン部分とイオンコンプレックスを形成して、パルプ繊維へのカチオンの作用を低下させ、サイズ性が発現しない恐れがある。
<4級化>
上記カチオン性共重合体または両性共重合体の4級化率は、いずれも40モル%以上であることが重要である。4級化率は、好ましくは50〜100モル%である。4級化率が40モル%未満であると、填料及びパルプ繊維への有効な撥水性付与効果が得られにくくなる恐れがある。
上記カチオン性共重合体または両性共重合体の4級化に際しては、例えば、カチオン性モノマー(B)として3級アミノ基含有モノマーを含むモノマー成分を重合した後、得られた共重合体を4級化剤で4級化してもよいし、予め4級化して得られた4級アンモニウム塩基含有モノマーをカチオン性モノマー(B)として用いて重合するようにしてもよい。4級化剤としては、塩化メチル、塩化ベンジル、エピクロルヒドリンなどを用いることができる。
2.填料
本発明の第一および第二の製紙用添加剤において、上記カチオン性共重合体または両性共重合体と混合(前処理)する填料としては、公知のものを任意で使用できる。例えば、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料;を単用または併用することができる。また、製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料も使用することができる。本発明では、本発明におけるカチオン性共重合体および両性共重合体が炭酸カルシウムへの作用に優れていること、炭酸カルシウムが安価であり且つ光学特性に優れていることから、炭酸カルシウムを使用することが好ましい。炭酸カルシウムとしては、炭酸カルシウム−シリカ複合物(特開2003−212539号公報あるいは特開2005−219945号公報等に記載の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物)も使用可能である。
上記カチオン性共重合体または両性共重合体による前記填料の前処理は、通常、パルプスラリーに添加する前に、予め当該共重合体の水溶液と填料スラリーとを混合撹拌することにより行う。混合温度は10〜50℃程度、混合時間は1分以上が好ましい。
上記カチオン性共重合体または両性共重合体と填料とを混合する際の、填料100重量部に対する共重合体の割合は0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量部であり、さらに好ましくは0.2〜2重量部である。共重合体の割合が少なすぎると、充分なサイズ効果が得られないおそれがある。一方、共重合体の割合を前記範囲より多くしても、得られるサイズ性の向上効果にはあまり変化がなく、コストの無駄になる傾向がある。
3.嵩高剤
本発明においては、上記した製紙用添加剤と嵩高剤とを併用することにより、優れたサイズ効果だけでなく、紙に高い嵩高性を付与することができる。この理由は明らかではないが、填料、例えば炭酸カルシウムと疎水性基含有のカチオン性または両性共重合体とを予め混合(前処理)することにより、填料に適度の撥水性を具備させることができ、この撥水性を備えた填料がアニオン性を帯びたパルプ繊維に効率良く吸着して、紙に効果的にサイズ性を付与できる。また、従来、紙料中に内添サイズ剤と嵩高剤とが添加された場合、内添サイズ剤によって嵩高剤のパルプ繊維への定着が妨げられるところ、本発明ではあらかじめ上記カチオン性共重合体または両性共重合体と填料とを混合してから紙料に添加するため、嵩高剤のパルプ繊維への定着を阻む内添サイズ剤の作用が抑制されて、嵩高剤のパルプ繊維への定着量が増加する、あるいはパルプ繊維に定着した嵩高剤の効果が阻害されにくくなるため、嵩高効果が得られやすくなるものと考えられる。
(種類)
本発明で使用する嵩高剤は、従来公知のものを使用することができ、特に制限されない。例えば、特許第3871107号公報に記載の油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン界面活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、高級アルコール、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミンや、特開2005−54330号記載の炭素数が12〜22である直鎖状脂肪酸モノアミド(そのエマルション粒子のレーザー回折散乱法で測定した平均粒子径が0.3〜20μm、標準静摩擦係数低下率が20%以下)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中でも、本発明では、高級アルコール系、脂肪酸の多価アルコールとのエステル系、脂肪酸アミド系が、前記内添サイズ剤と併用したときの効果が良好で好ましい。
前記高級アルコール系としては、多価アルコールのアルキレン付加物等が挙げられる。
前記脂肪酸の多価アルコールとのエステル系としては、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物であって、当エステル化合物1モルあたり平均で0モル超12モル未満の炭素数2〜4のオキシアルキレン基を有するエステル化合物等が挙げられる。
前記脂肪酸アミド系としては、直鎖状脂肪酸アミド、直鎖状脂肪酸ジアミド、直鎖状脂肪酸ポリアミド等が挙げられる。
3.紙の製造
(使用量)
本発明の紙は、前記製紙用添加剤および嵩高剤をパルプスラリーに添加し、これを湿式抄造することにより製造される。このとき、製紙用添加剤の添加量は、通常、有効成分(カチオン性または両性共重合体)が対パルプ絶乾重量当たり0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上で、3重量%以下、好ましくは1重量%以下とすることが好適である。また、嵩高剤の添加量は、対パルプ絶乾重量当たり0.1重量%以上で、5重量%以下好ましくは3重量%以下より好ましくは1重量%以下の範囲とすることが好適である。
(パルプ)
前記パルプスラリーを構成するパルプ繊維は、特に制限はなく、製紙用に通常使用される、NBKP、LBKPなどの木材パルプ、TMPやGPなどの機械パルプ、脱墨パルプ(DIP)のほか、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材パルプ、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維等を使用できる。
(填料)
本発明の紙は、前記製紙用添加剤とは別に填料を配合しても良いし、配合しなくても良い。填料を配合する場合、填料としては酸性抄紙あるいは中性抄紙において、一般に使用されている填料が使用でき、特に限定されるものではない。例えば、中性抄紙では、クレー、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料が単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用される。また酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。平滑性、不透明度の点から、填料の配合量としては、パルプ重量に対して2〜30%が好ましい。
(その他添加剤)
前記パルプスラリーには、本発明の効果を損なわない範囲で、中性ロジンやAKD、ASAなどの既知の内添サイズ剤も併用して使用することができる。
この他、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性の歩留まり剤、濾水度向上剤、嵩高剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。
また、製紙用内添助剤を添加しても良く、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が挙げられる。
また、製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。
さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
これら添加剤の添加量は、所望の性能に応じて適宜設定すればよい。
(抄紙系)
本発明の紙は、特に、中性抄造により得られる中性抄紙であることが、本発明の効果を有意に発揮させることができる点で好ましい。
(抄紙機)
抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できる。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。表面処理剤は塗布しても良いし、しなくても良い。表面処理剤を塗布する場合、表面処理剤の成分には特に限定は無く、またサイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレスのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。キャレンダーは通常の操業範囲内の線圧で用いられるが、嵩高な紙を製造する観点から、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧が好ましく、また、ソフトキャレンダーが好ましい。
(表面処理)
表面処理剤は、特に限定は無く、例えば、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独又は併用できる。その中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉の塗布が最も好ましい。また、表面処理剤には前記の薬剤の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を併用塗布することができる。
(用途)
本発明は、紙の嵩高化とサイズ効果を両立できるものであり、本発明の紙の種類は任意であって特段の制限はなく、例えば、上質及び中質印刷用紙、新聞用紙、アート紙、キャストコート紙等の原紙、PPC用紙、インクジェット記録用紙、レーザープリンター用紙、感熱記録用紙、感圧記録用紙等の記録用紙等の用途に好適である。坪量など各種物性は、それぞれの用途に求められる範囲に適宜設定すればよい。
以下に、本発明の実施例を示す。供試した内添サイズ剤および嵩高剤の型を下記に示す。また、紙質測定方法は下記の通りである。なお、特にことわらない限り、部および%は重量部および重量%を示す。
<嵩高剤>
・嵩高剤A:高級アルコール系(ラウリル酸アルコールプロピレンオキサイド)
・嵩高剤B:脂肪酸の多価アルコールとのエステル系(ペンタエリスリトールジステアレート)
・嵩高剤C:飽和脂肪酸アミド系(ステアリン酸モノアミド)
・嵩高剤D:飽和脂肪酸アミド系(オレイン酸ジアミドアミン)
<紙質の測定>
・密度:JIS P 8118に準拠して測定した。
・ステキヒトサイズ度:JIS P 8122に準拠して測定した。
<カチオン性および両性共重合体の合成例>
(1)合成例1
温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素導入管を備えた0.5リットルの四つ口フラスコに、イソプロパノール30部、スチレン50部、メタクリル酸メチル20部、ブチルアクリレート10部、ジメチルアミノエチルメタクリレート20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を85℃まで上昇させた。
次いで、温度を85〜90℃に保持しながら、t−ブチルパーオキシエチルヘキサネート1.5部とイソプロパノール3部からなる重合開始剤溶液を3時間で全量滴下し、1時間熟成させて、反応を完結させた。
その後、温度を80℃に保持してカチオン性共重合体中和用の90%酢酸8.5部と温水260部を30分かけて添加して1時間保持し、エピクロルヒドリン9.5部を添加して80℃で2時間保持し、完全に水溶化させた。
冷却後、水を添加して、固形分20%のカチオン性共重合体水溶液を得た。
(2)合成例2
温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素導入管を備えた0.5リットルの四つ口フラスコに、イソプロパノール25部、90%酢酸7.6部を入れ、撹拌しながら温度を80℃まで加熱した。
次いで、スチレン30部、iso−ブチルメタクリレート50部、無水マレイン酸1部、ジメチルアミノエチルメタクリレート19部のモノマー混合物に、n−ドデシルメルカプタン1.5部とアゾビスイソブチロニトリル1部を溶解した混合液を、フラスコ内温を80〜85℃に保ちながら3時間で全量滴下し、1時間熟成させて反応を完結させた。その後、温度を80℃に保持して温水300部を添加して1時間保持し、エピクロルヒドリン9部を添加して80℃で2時間保持し、完全に水溶化させた。
冷却後、水を添加して、固形分20%の両性共重合体水溶液を得た。
<紙の製造>
[実施例1]
合成例1で得られたカチオン性共重合体を、対填料2.0%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加し、製紙用添加剤とした。
LBKP(ろ水度 CSF450ml)に対し、嵩高剤を対パルプ当たり1.0固形分重量%、カチオン化デンプンを対パルプ当たり0.5固形分重量%、硫酸バンドを対パルプ当たり1.0固形分重量%、上記製紙用添加剤を対パルプ当たり10固形分重量%、嵩高剤Aを対パルプ当たり1.0固形分重量%、歩留剤を対パルプ当たり0.01固形分重量%となるように添加して紙料を調製しJIS P 8209に準拠して紙を得た。その後、この紙の密度、ステキヒトサイズ度を測定した。紙質結果等を表1に示す。
[実施例2]
嵩高剤Aを嵩高剤Bとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例3]
嵩高剤Aを嵩高剤Cとした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例4]
合成例1で得られたカチオン性共重合体水溶液を、対填料固形分3.0%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加して製紙用添加剤とした以外は、実施例3と同様に行った。
[実施例5]
嵩高剤Aを嵩高剤Dとした以外は、実施例2と同様に行った。
[実施例6]
合成例2で得られた両性共重合体水溶液を、対填料固形分2.0%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加して製紙用添加剤とした以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例7]
嵩高剤Aを嵩高剤Bとした以外は、実施例6と同様に行った。
[実施例8]
嵩高剤Aを嵩高剤Cとした以外は、実施例6と同様に行った。
[実施例9]
嵩高剤Aを嵩高剤Dとした以外は、実施例6と同様に行った。
[比較例1]
嵩高剤Aを添加しないこと以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例2]
製紙用添加剤を添加せず、代わりに填料として炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)を対パルプ当たり20固形分重量%添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例3]
製紙用添加剤を添加せず、代わりに填料として炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)を対パルプ当たり20固形分重量%添加したこと以外は、実施例2と同様に行った。
Figure 2009242967
表1の結果から次のことが示される。
1)本発明の実施例1〜9から、カチオン性または両性共重合体と填料を前処理した混合物である製紙用添加剤を用いた場合は、どの嵩高剤と併用した場合でも、サイズ性が発現することが分かる。比較例1の製紙用添加剤のみを用いた場合では、紙の嵩の点で実施例に劣り、また嵩高剤のみを添加した比較例2〜3では、サイズ性が全く得られないことが分かる。
2)実施例1、2および実施例6、7と比較例2、3とを比べると、カチオン性または両性共重合体と填料を前処理した混合物である製紙用添加剤を用いた実施例1〜2および6〜7は、嵩高剤のみを含有する比較例2〜3に比べて嵩高化(低密度化)が認められる。このことから、カチオン性または両性共重合体と填料を前処理した混合物である製紙用添加剤は、嵩高剤の効果に関しても有効に作用していることがわかる。

Claims (5)

  1. 少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体と填料を前処理した混合物からなる製紙用添加剤を含有し、かつ、嵩高剤を含有することを特徴とする紙。
  2. 前記共重合体がカチオン性共重合体、または、アニオン性モノマー(C)を含む両性共重合体であることを特徴とする請求項1記載の紙。
  3. 前記両性共重合体が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対する前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1〜90%であるモノマー成分を重合して得られることを特徴とする請求項2記載の紙。
  4. 前記製紙用添加剤において、填料100重量部に対する前記カチオン性共重合体または両性共重合体の割合が0.1〜10重量部である請求項1〜3のいずれかに記載の紙。
  5. 前記嵩高剤が高級アルコール系、脂肪酸の多価アルコールとのエステル系、脂肪酸アミド系から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017035854A (ja) * 2015-08-13 2017-02-16 北越紀州製紙株式会社 インクジェット記録用紙

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