JP2010031391A - 印刷用紙 - Google Patents

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一成 加茂
Masaki Ito
真記 伊藤
Takashi Yamaguchi
崇 山口
Yasunobu Ooka
康伸 大岡
Kazunari Sakai
一成 酒井
Takahiro Fujiwara
崇弘 藤原
Kazushige Inaoka
和茂 稲岡
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Abstract

【課題】効果的にサイズ性が付与されるとともに、印刷時の層間剥離や紙粉発生が少なく、印刷面感に優れる印刷用紙を提供すること。
【解決手段】本発明の印刷用紙は、原紙に共重合体及び填料の混合物である製紙用添加剤を含有し、抄紙機で抄造した印刷用紙であって、前記製紙用添加剤が少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体と填料との混合物であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷、グラビア印刷など各種印刷方式に使用可能な印刷用紙に関するものである。
オフセット印刷機やグラビア印刷機など大型高速の印刷機で大量に使用される印刷用紙は、印刷機での使用に耐えうることが重要品質であり、紙粉トラブルに関係する表面強度や層間剥離に関係する層間強度に対する要求は極めて厳しい。また、印刷用紙には、鮮明な画像など高い印刷面感が求められる。印面を向上させるためには、紙中灰分を上昇させることが有効である。紙中灰分の上昇は、それに加えて平滑性を向上させる効果をもたらすが、高灰分化によって印刷機内で発生する紙粉が多くなってしまったり、層間強度の低下により層間剥離のトラブルが多くなり、印刷作業性に悪影響を与える問題点がある。
さらに、印刷用紙に求められる品質の1つに、印刷が反対面から透けて見える現象、いわゆる「裏抜け」の防止がある。裏抜けを少なくするためには、紙の不透明度を上げることが最も効果的であることが知られている。紙の不透明度を上げる方法としては、比散乱係数が高く不透明度の上昇効果が大きい填料を配合し、紙中灰分を上昇させることが有効である。特に炭酸カルシウムは、比散乱係数が高く、紙料と比較して安価である点などで有利であることから、紙中における炭酸カルシウムの配合量は徐々に増加する傾向にある。しかし、上記のように高灰分化によって印刷作業性は悪化しやすい。
また、紙中の填料の増加により繊維間結合を形成できる繊維量が減少することから、填料を高配合すると紙の強度は著しく低下する。近年においては生産性の向上を意図して、抄紙機の高速化・広幅化が進んでいるが、抄紙機が高速化するほど、原料がワイヤー上に歩留まらず、白水系に流出する、いわゆる歩留りの低下が起こる傾向にある。さらに填料が高配合されると、ネットワークを作る繊維量が減少することから、ワイヤー上の歩留まりはさらに低下する。
このように、填料を紙中に多く留まらせつつ、印刷作業性を向上する技術の開発が要望されており、複合化ポリアクリルアミド系共重合体を用いて填料を処理して得られた予備凝集填料を添加した原紙に、表面紙力剤を塗工することが記載されている(特許文献6参照)。
一方、填料、特に炭酸カルシウムを多量に用いる最近の抄造方法では、内添サイズ剤として知られる中性ロジンを使用した場合、中性ロジンの効果が著しく低下し、必要なサイズ性(吸水抵抗性)を確保するために、大量の中性ロジンを添加する必要があるため、抄紙系の汚れや薬品コストの上昇が問題になる。また、中性ロジンはサイズ性の発現に硫酸アルミニウムの添加を必要とするが、サイズ性向上のために硫酸アルミニウムを増配すると、抄紙系のpHが低下して炭酸カルシウムが溶解し、抄紙機で石膏が析出して、欠陥や断紙の要因となる。
内添サイズ剤としてAKD(アルキルケテンダイマー)を用いた場合は、添加量が多いと抄紙機の汚れが問題になることに加え、サイズ性の立ち上がりが遅いため、サイズプレスでの吸液量が増加し、アフタードライヤーの乾燥負荷が増大することから抄速が低下する問題や、摩擦係数が著しく低下することから用紙品質に悪影響を与える問題がある。また、ASA(アルケニルコハク酸無水物)を用いた場合、添加量が多いと中性ロジン、AKD以上に抄紙機が汚れやすく、欠陥や断紙が頻発する問題があった。
そこで、填料自体の歩留まり、あるいは紙力などを改善することを目指した技術が提案されている。例えば、次の通りである。
(1)特許文献1
カチオン性ポリマー又は両性ポリマーで被覆・吸着処理したカチオン性炭酸カルシウムをパルプスラリーに配合して、填料の歩留りや紙力低下を抑制することが記載されている(請求項1、段落[0007])。また、実施例1として、ジメチルアミノエチルアクリレートとアクリルアミドとの水溶性ポリマーで軽質炭酸カルシウムを被覆処理して、パルプスラリーに添加することが記載されている(段落[0017])。
(2)特許文献2
填料をデンプンと有機高分子物質(例えば、ポリアクリルアミド(PAM))で処理することが記載されている(特許請求の範囲)。
(3)特許文献3
AKD、ASAなどのセルロース反応性サイズ剤をカチオン澱粉などの分散剤で水中に分散させた液を、炭酸カルシウムなどの填料と接触させた充填剤の製造方法によれば、高充填であってもサイズ性の低下を抑制できることが記載されている。
(4)特許文献4
カチオン変性AKDで処理された填料(好ましくはPCC(沈降炭酸カルシウム);段落[0005])を用いれば、サイズ剤の必要使用量を減少できることが記載されている。
(5)特許文献5
金属イオン(アルミニウム、バリウム、リチウム、マグネシウムなどのイオン;請求項7、第7〜9頁)の共存下で、C12〜C22水溶性脂肪酸塩(好ましくはステアリン酸ナトリウム;請求項6、第8頁)により被覆した填料(炭酸カルシウム、白土、酸化チタンなど;請求項2)によれば、内添サイズ剤の吸着を抑制できることが記載されている(請求項1〜6)。
特開平04−281094号公報 特開昭56−049097号公報 特開平04−228697号公報 特開平05−247886号公報 特表平08−507837号公報 特開2007−231426号公報
上記特許文献1は、カチオン性もしくは両性ポリアクリルアミドを用いて前処理することで填料自体の歩留りや紙力を確保するものであり、親水性ポリマーであるため填料および紙へ疎水性を付与する能力がなく、紙のサイズ性低下を抑制する効果は低い。上記特許文献2も、澱粉とカチオン性の有機高分子電解質を併用した前処理法であり、上記特許文献1と同様の効果を付与しようとするものである。
上記特許文献3〜4は、AKDやASAなどの反応性サイズ剤、あるいはカチオン変性AKDで填料を前処理することで疎水性向上を図ろうとするものであるが、使用量が多い場合や処理温度が比較的高い場合には、紙の滑り問題や製紙工程内の汚れ問題を誘発する恐れが大きい。
また、上記特許文献5は、脂肪酸塩により填料を被覆するものであり、比表面積の大きい填料に対する内添サイズ剤の吸着を抑制する手法として効果的であるが、過剰の金属イオンの添加は製紙工程内の状態を変化させ、薬品の効果に影響を与える恐れがある。
さらには、上記技術において填料を前処理するための処理剤の分子量は比較的低い範囲にあるため、製紙工程内の電気伝導度が高く、アニオントラッシュ量が多いと、填料およびパルプ繊維と処理剤自体との相互作用を阻害し、性能を低下させる恐れもある。また、特許文献6の技術では、十分なサイズ性を付与することはできない。
このように、既存の高填料化によるサイズ付与システムでは、それに伴う弊害に対応することは困難であった。これらの問題を解消できれば、さらに填料の利用拡大が期待できる。そこで、本発明の主たる課題は、填料として炭酸カルシウムを使用し、硫酸バンドを使用しないか硫酸バンド使用量が少ない中性抄造においても、効果的にサイズ性が付与されるとともに、印刷時の層間剥離や紙粉発生が少なく、印刷面感に優れる印刷用紙を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の印刷用紙は以下の構成を特徴とする。
(1)請求項1に係る発明の印刷用紙は、原紙に共重合体及び填料の混合物である製紙用添加剤を含有し、抄紙機で抄造した印刷用紙であって、前記共重合体製紙用添加剤が少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体であることを特徴。
(2)請求項2に係る発明の印刷用紙は、前記共重合体がカチオン性共重合体、または、アニオン性モノマー(C)を含む両性共重合体であることを特徴とする。
(3)請求項3に係る発明の印刷用紙は、前記両性共重合体が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対する前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1〜90%であるモノマー成分を重合して得られるものであることを特徴とする。
(4)請求項4に係る発明の印刷用紙は、前記原紙上に表面塗工剤を塗布乾燥したことを特徴とする。
(5)請求項5に係る発明の印刷用紙は、前記填料が炭酸カルシウムであることを特徴とする。
本発明によれば、次の効果が奏される。
(1)本発明の共重合体と填料との混合物からなる製紙用添加剤を含有することで、本発明の印刷用紙は、填料に適度の撥水性を具備させることができ、この撥水性を備えた填料がアニオン性を帯びたパルプ繊維に効率良く吸着するので、優れたサイズ性を有している。
(2)上記製紙用添加剤に加え、原紙上に表面塗工剤を塗工することにより、サイズ性がさらに向上するとともに、印刷時の層間剥離や紙粉発生が少なく、印刷面感にも優れる。
本発明で用いられる第一の製紙用添加剤は、4級化率が特定以上のカチオン性共重合体で前処理した填料を有効成分とするものであり、第二の製紙用添加剤は、4級化率が特定以上で、アニオン当量とカチオン当量の比率が所定範囲にある両性共重合体で前処理した填料を有効成分とするものであり、本発明の用紙は、これらの製紙用添加剤をパルプスラリーに添加して湿式抄造したものである。
疎水性基含有モノマーを必須成分とするカチオン性または両性共重合体を填料と混合(前処理)し、填料に適度の撥水性を付与すると、撥水性の付与された填料がアニオン性を帯びたパルプ繊維に効率良く吸着して、紙に効果的なサイズ性が付与される。そして、この填料によれば、内添サイズ剤を用いないか、減量しつつ、充分なサイズ性を確保することができるので、抄紙機の汚れが発生しにくく、しかも、内添サイズ剤より比較的少量で高いサイズ度が得られる。
(第一の製紙用添加剤の共重合体)
本発明で用いられる第一の製紙用添加剤において、前処理に使用するカチオン性共重合体は、疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を必須とするモノマー成分を重合し、4級化率を40モル%以上としたものである。
上記疎水性モノマー(A)は、スチレンまたはその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルなどであり、特に、スチレンまたはその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸のC〜C12アルキルエステルが好ましい。
なお、本発明においては、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または「メタクリル」を意味するものであり、同様に、「(メタ)アクリロ」は「アクリロ」または「メタクリロ」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。
上記スチレンまたはその誘導体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエン、クロロメチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、スチレンが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸のC〜C12アルキルエステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなどの炭化水素エステルが挙げられ、脂肪族だけでなく、脂環系や芳香族系の炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステルも使用できる。特に好ましくは、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートである。
上記カチオン性モノマー(B)は、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライド等のように、分子内にカチオン性基を1個乃至複数個有するものであり、特に、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライドが好ましい。
上記3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドとしては、アミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミドおよび4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートとしては、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド又は3級アミノ基含有(メタ)アクリレートを、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなどの4級化剤で4級化したモノ4級塩基含有モノマーが挙げられる。具体的には、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
上記カチオン性共重合体を構成するモノマー成分としては、上記疎水性モノマー(A)および上記カチオン性モノマー(B)以外に、必要に応じて、アニオン性モノマーを除くその他のビニルモノマーを使用することができる。
上記その他のモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、iso−プロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミド基含有モノマー、酢酸ビニルなどが挙げられる。
上記カチオン性共重合体を構成するモノマー成分は、単用又は併用できる。モノマー成分の組成比は、填料に適度の撥水性を付与できる範囲で任意に設定できるが、疎水性モノマー(A)の含有量は60〜90重量%程度、カチオン性モノマー(B)の含有量は10〜40重量%程度がそれぞれ好ましい。
(第二の製紙用添加剤の共重合体)
一方、本発明で用いられる第二の製紙用添加剤において、前処理に使用する両性共重合体は、疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)およびアニオン性モノマー(C)を必須とし、かつ前記モノマー(B)のカチオン当量に対して前記モノマー(C)のアニオン当量の比率が所定範囲であるモノマー成分を重合し、4級化率を40モル%以上としたものである。
上記アニオン性モノマー(C)は、α,β−不飽和カルボン酸類、α,β−不飽和スルホン酸類などである。
上記α,β−不飽和カルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、そのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などが挙げられる。
上記α,β−不飽和スルホン酸類としては、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、その塩などが挙げられる。
上記両性共重合体を構成するモノマー成分のうち、疎水性モノマー(A)及びカチオン性モノマー(B)については、本発明の第一の製紙用添加剤におけるカチオン性共重合体を構成するモノマー成分として前述したものと同様である。また、必須モノマー以外のその他のビニルモノマーを使用することができる点も、第一の製紙用添加剤の場合と同様である。
上記両性共重合体を構成するモノマー成分の場合も、上記各モノマーは単用又は併用できる。モノマー成分の組成比は、填料に適度の撥水性を付与できる範囲で任意に設定できるが、疎水性モノマー(A)の含有量は60〜90重量%程度、カチオン性モノマー(B)の含有量は9.8〜40重量%程度、アニオン性モノマー(C)の含有量は0.2〜10重量%程度がそれぞれ好ましい。
上記両性共重合体を構成するモノマー成分にあっては、カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対するアニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1〜90%であることが必要である。好ましい当量比率は5〜20%であり、より好ましくは5〜15%である。すなわち、本発明における両性共重合体は、カチオン当量リッチでアニオン当量の少ない方がサイズ効果を発現し易い。カチオン当量に対するアニオン当量の比率が多すぎると、アニオン性モノマー(C)がカチオン部分とイオンコンプレックスを形成して、パルプ繊維へのカチオンの作用を低下させ、サイズ性が発現しない恐れがあるので、上記比率の範囲のアニオン性モノマー(C)のアニオン当量が必要である。
(4級化)
上記カチオン性共重合体または両性共重合体の4級化率は、いずれも40モル%以上であることが重要である。4級化率は、好ましくは50〜100モル%である。4級化率が40モル%未満であると、填料及びパルプ繊維への有効な撥水性付与効果が得られにくくなる恐れがある。
上記カチオン性共重合体または両性共重合体の4級化に際しては、例えば、カチオン性モノマー(B)として3級アミノ基含有モノマーを含むモノマー成分を重合した後、得られた共重合体を4級化剤で4級化してもよいし、予め4級化して得られた4級アンモニウム塩基含有モノマーをカチオン性モノマー(B)として用いて重合するようにしてもよい。4級化剤としては、塩化メチル、塩化ベンジル、エピクロルヒドリンなどを用いることができる。
(填料)
本発明の第一および第二の製紙用添加剤において、上記カチオン性共重合体または両性共重合体と混合(前処理)する填料としては、公知のものを任意で使用できる。例えば、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料を単用または併用することができる。また、製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料も使用することができる。本発明では、本発明におけるカチオン性共重合体および両性共重合体が炭酸カルシウムへの作用に優れていること、炭酸カルシウムが安価であり且つ光学特性に優れていることから、炭酸カルシウムを使用することが好ましい。炭酸カルシウムとしては、内添サイズ剤との相互作用により、裏抜けが顕著に改善する紡錘状、ロゼッタ型の形質炭酸カルシウムが好ましい。また、炭酸カルシウム−シリカ複合物(例えば、特開2003−212539号公報あるいは特開2005−219945号公報等に開示の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物)も使用可能である。
上記カチオン性共重合体または両性共重合体による前記填料の前処理は、通常、パルプスラリーに添加する前に、予め当該共重合体の水溶液と填料スラリーとを混合撹拌することにより行う。混合温度は10〜50℃程度、混合時間は1分以上が好ましい。
上記カチオン性共重合体または両性共重合体と填料とを混合する際の、填料100重量部に対する共重合体の割合は0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量部であり、さらに好ましくは0.2〜2重量部である。共重合体の割合が少なすぎると、充分なサイズ効果が得られないおそれがある。一方、共重合体の割合を前記範囲より多くしても、得られるサイズ性の向上効果にはあまり変化がなく、コストの無駄になる傾向がある。
2.原紙
本発明の印刷用紙は、前記製紙用添加剤をパルプスラリーに添加し、これを抄紙機にて湿式抄造することにより製造される。
(添加量)
本発明では共重合体と填料を混合して製紙用添加剤とし、製紙用添加剤をパルプスラリーに添加する添加形態を取るが、対パルプ絶乾重量当たりの共重合体の添加量としては、通常0.05〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.3重量部含有することが好ましい。
(パルプ)
前記パルプスラリーを構成するパルプ繊維は、特に制限はなく、NBKP、LBKPなどの木材パルプ;TMPやGPなどの機械パルプ;脱墨パルプ(DIP)等の製紙用に通常使用されるもののほか、リンターパルプ、麻、バガス、ケナフ、エスパルト草、ワラなどの非木材パルプ;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維等を使用できる。
(填料)
本発明において、前記製紙用添加剤とは別に填料を配合してもよいし、配合しなくてもよい。填料を配合する場合、填料としては酸性抄紙あるいは中性抄紙において、一般に使用されている填料が使用でき、特に限定されるものではない。例えば、中性抄紙では、クレー、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料が単独でまたは適宜2種類以上を組み合わせて使用される。また酸性抄紙では、前記中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。平滑性、不透明度の点から、填料の配合量としては、パルプ重量に対して2〜30重量%が好ましい。
また、本発明では、紙中灰分が10%以上であることが望ましい。紙中灰分が10%以下であると、比較的低分子量の既存サイズ剤は、比表面積が大きい填料に吸着されてしまい、サイズ性を確保しにくくなることから大量の添加が必要となり、それに伴う弊害が大きくなるためである。
(その他添加剤)
前記パルプスラリーには、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの内添紙力増強剤;アクリルアミドとアミノメチルアクリルアミドの共重合物の塩、カチオン性澱粉、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウム共重合物などの濾水性及び/又は歩留まり向上剤;ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの内添サイズ剤;紫外線防止剤、退色防止剤などの助剤などを添加してもよい。
(抄紙方法)
本発明の印刷用紙原紙は、特に、中性抄造により得られる中性抄紙であることが、本発明の効果を有意に発揮させることができる点で好ましい。
抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ギャップフォーマー抄紙機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できる。抄紙速度は特に制限はなく、抄紙機の設定に応じた速度で抄紙すればよいが、通常500〜2000m/分程度であり、さらに2000m/分を超える抄紙機もある。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。
3.表面塗工剤
本発明では、原紙上に表面塗工剤を塗布乾燥することが好ましい。
(塗工装置)
本発明の表面塗工剤を原紙表面に塗工する装置には、特に限定は無く、2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメタリングサイズプレス、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、ナイフコーター、カーテンコーターなどの公知の装置を適宜選定して用いることができる。クリアー塗工液の場合は、液膜転写方式であり、高濃度で塗工可能で、サイズ効果の発現が良好なゲートロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレスを使用するのが好ましい。
(表面紙力剤)
表面塗工剤としては、表面紙力剤を主体として含有するクリアー塗工液を塗布乾燥することが望ましい。表面紙力剤としては、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、熱変性澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単用または併用する。その中でも表面強度向上効果に優れる変性澱粉が好ましい。
(塗工量)
表面塗工剤の塗工量は、原紙片面当たり0.05g/m〜3g/m以下が好ましい。より好ましくは0.1g/m〜2g/mである。塗工量が少ないと表面強度が弱くなり、オフセット印刷方式の中でも熱乾燥型のヒートオフセット印刷方式では、粘度(タック)の高いインキが使用されているため、紙がインキに貼り付いて取られる、いわゆる紙ムケの問題が起こりやすい。塗工量が多い場合は、オフセット印刷方式では湿し水を用いるため、ネッパリ問題(用紙が大量印刷された際、塗工材料がブランケットに転移、蓄積することにより引き起こされる粘着性トラブル)が生じやすくなる。
(その他成分)
上記表面塗工剤には、必要に応じて、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤、分散剤、保水剤、消泡剤の各種助剤を添加することができる。
(カレンダー)
表面塗工剤を塗工後乾燥された後は、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上げ工程により光沢付けがなされる。カレンダー装置の種類と処理条件は特に限定はなく、金属ロールから成る通常のカレンダーやソフトニップカレンダー、高温ソフトニップカレンダーなどの公用の装置を適宜選定し、印刷用紙の品質目標値に応じて、これらの装置の制御可能な範囲内で条件を設定すれば良い。特に、クリアー塗工液の場合は、嵩高な紙が得られ紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧が好ましく、また、ソフトニップカレンダーが好ましい。
4.顔料塗工
本発明においては、原紙上あるいは表面塗工剤を塗布乾燥した上に、顔料及び接着剤を含有する顔料塗工液を塗布乾燥することができる。
・顔料
顔料としては、重質炭酸カルシウムが主に使用されるが、要求品質に応じて軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、サチンホワイト、プラスチックピグメント、二酸化チタン、硫酸バリウム、、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ等を使用することができる。これらの顔料は、必要に応じて単独又は2種類以上併用して使用できる。
・接着剤
接着剤としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系等の各種共重合体エマルジョン及びポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体等の合成系接着剤、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、エーテル化デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン等を用いる。これらの接着剤は、顔料100重量部に対して5〜35重量部の範囲で使用することが好ましい。多すぎる場合は、塗工液の粘度が高くなり、配管やスクリーンを通過しづらくなるといった操業性の問題が生じる等のデメリットが生じ好ましくない。少なすぎる場合は、十分な表面強度が得られず好ましくない。
・塗工量
顔料塗工層の塗工量は、片面当たり3g/m〜25g/mであることが好ましく、より好ましくは5g/m〜15g/mである。塗工量が少なすぎる場合、十分な原紙被覆性が得られず、インキ着肉性が悪化する傾向がある。塗工装置は、表面塗工剤と同様に、各種の塗工装置から適宜選択して使用できる。
5.作用
本発明において優れた効果が得られる理由は次のように推測される。原紙に少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体と填料との混合物からなる製紙用添加剤を含有させることにより、摩擦係数を低下させることなく、既存の内添サイズ剤ではなし得なかったサイズ性を効果的に発現させることができる。また、前記製紙用添加剤は、填料、例えば炭酸カルシウムに適度の撥水性を付与することができ、これがアニオン性を帯びたパルプに吸着して紙層内に留まりやすいため、紙の層間強度を向上させ、印刷時の層間剥離現象の発生抑制に寄与すると考えられる。さらに、表面塗工剤の塗工により、表面強度や平滑性など表面性が改善されるとともに、原紙に浸透して層間強度も向上すると考えられる。そして、前記製紙用添加剤に加えて表面塗工剤を塗工することで、サイズ性を効果的に発現できることから、湿し水を用いるオフセット印刷の場合に、湿し水の影響で紙の表面強度が低下して紙粉が発生したり、印刷面感が粗くなったりする現象が抑えられる。
6.種類、用途
本発明の印刷用紙は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、その他各種の印刷方式で使用することができ、特段の制限はない。坪量やその他の物性は、用途に応じて所望の範囲に設定すればよく限定されないが、例えば坪量は30〜250g/m程度であり、好ましくは30〜150g/mである。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、当然のことながら、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中、部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部及び重量%を示す。また、薬品添加率については、特に指定が無い場合は、固形分の添加率を示す。有姿と指定している場合は、固形分ではなく薬品そのものの添加率を示す。例えば1%濃度の薬品を固形分で0.2%添加する場合、有姿では20%添加となる。
<カチオン性および両性共重合体の合成例>
(1)合成例1
温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素導入管を備えた0.5リットルの四つ口フラスコに、イソプロパノール30部、疎水性モノマーとしてスチレン50部、メタクリル酸メチル20部、ブチルアクリレート10部、カチオン性モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート20部、n−ドデシルメルカプタン1.5部を加え、攪拌しながら加熱し、温度を85℃まで上昇させた。
次いで、温度を85〜90℃に保持しながら、t−ブチルパーオキシエチルヘキサネート1.5部とイソプロパノール3部からなる重合開始剤溶液を3時間で全量滴下し、1時間熟成させて、反応を完結させた。
その後、温度を80℃に保持してカチオン性共重合体中和用の90%酢酸8.5部と温水260部を30分かけて添加して1時間保持し、4級化剤としてエピクロルヒドリン9.5部を添加して80℃で2時間保持し、完全に水溶化させた。
冷却後、水を添加して、固形分20%のカチオン性共重合体水溶液を得た。
なお、得られた共重合体について、そのカチオン性基の4級化率は80モル%であった。
(2)合成例2
温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素導入管を備えた0.5リットルの四つ口フラスコに、イソプロパノール25部、90%酢酸7.6部を入れ、撹拌しながら温度を80℃まで加熱した。
次いで、疎水性モノマーとしてスチレン30部、iso−ブチルメタクリレート50部、アニオン性モノマーとして無水マレイン酸1部、カチオン性モノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート19部のモノマー混合物に、n−ドデシルメルカプタン1.5部とアゾビスイソブチロニトリル1部を溶解した混合液を、フラスコ内温を80〜85℃に保ちながら3時間で全量滴下し、1時間熟成させて反応を完結させた。
その後、温度を80℃に保持して温水300部を添加して1時間保持し、4級化剤としてエピクロルヒドリン9部を添加して80℃で2時間保持し、完全に水溶化させた。
冷却後、水を添加して、固形分20%の両性共重合体水溶液を得た。
なお、単量体成分におけるアニオン性モノマーのアニオン当量をカチオン性モノマーのカチオン当量に対する比率(百分率)で示すと17%、また、得られた共重合体について、そのカチオン性基の4級化率は80モル%であった。
<評価方法>
得られた印刷用紙を下記の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
(紙中灰分):JIS P 8251、ISO 1762に準拠して測定した。
(ステキヒトサイズ度):JIS P 8122に準拠して測定した。
(摩擦係数):JIS P 8147に準拠して測定した。
(層間剥離、紙粉量、印刷面感):得られた印刷用紙について、枚葉オフセット印刷機(KOMORI社PERFECTOR44)を用い、四六版横目通紙で8500枚/時の速度で、両面モノクロ印刷を行い、1000枚印刷した時の層間剥離枚数をカウントした。紙粉については、1000枚印刷終了後のブランケット上に堆積している紙粉をかき取り、その重量を測定し、1000cm2あたりの重量で表した。さらに印刷面感を目視で評価した(優=◎、良=○、やや劣=△、劣=×)。
<印刷用紙の製造例>
[実施例1]
合成例1で得られたカチオン性共重合体水溶液を、対填料固形分0.25%となるように軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加し、製紙用添加剤とした。
一方、フリーネスを420mLに調整した原料パルプ(LBKP100%)に対し、対パルプ固形分に対し有姿0.5%の液体硫酸バンド、対パルプ固形分0.5%のカチオン変性澱粉、上記で得た製紙用添加剤を対パルプ固形分20%(カチオン性共重合体水溶液のパルプ固形分に対する添加率は表1参照)、対パルプ固形分で有姿0.2%の蛍光染料、対パルプ固形分100ppmの歩留まり向上剤を順次添加し、紙料を調製した。この紙料を、オントップ型ツインワイヤー抄紙機を用いて抄紙速度1200m/分で抄造し原紙を得た。この原紙にゲートロールコーターにて表面紙力剤として酸化澱粉(固形分濃度5%)を両面1.3g/m塗工し、坪量64g/m、紙中灰分13%のクリアー塗工印刷用紙を得た。
[実施例2]
原紙の抄造において、合成例1で得られたカチオン性共重合体水溶液を、対填料固形分0.5%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加し、製紙用添加剤とした以外は、実施例1と同様にして印刷用紙を得た。
[実施例3]
原紙の抄造において、合成例1で得られたカチオン性共重合体水溶液を、対填料固形分1.5%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加し、製紙用添加剤とした以外は、実施例1と同様にして印刷用紙を得た。
[実施例4]
原紙の抄造において、合成例2で得られた両性共重合体水溶液を、対填料固形分0.25%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加し、製紙用添加剤とした以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[実施例5]
原紙の抄造において、合成例2で得られた両性共重合体水溶液を、対填料固形分0.5%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加し、製紙用添加剤とした以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[実施例6]
原紙の抄造において、合成例2で得られた両性共重合体水溶液を、対填料固形分1.5%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加し、製紙用添加剤とした以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[実施例7]
原紙の抄造において、合成例2で得られた両性共重合体水溶液を、対填料固形分0.25%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加して製紙用添加剤とし、表面塗工剤を塗工しなかった以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[実施例8]
原紙の抄造において、合成例2で得られた両性共重合体水溶液を、対填料固形分0.5%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加して製紙用添加剤とし、表面塗工剤を塗工しなかった以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[実施例9]
原紙の抄造において、合成例2で得られた両性共重合体水溶液を、対填料固形分1.5%となるように炭酸カルシウム(奥多摩工業社製「TP−121」)に添加して製紙用添加剤とし、表面塗工剤を塗工しなかった以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[比較例1]
合成例1、2で得られたカチオン性および両性の共重合体水溶液を添加した製紙用添加剤を使用せず、代わりに炭酸カルシウムを対パルプ固形分20%添加し、中性ロジンサイズ剤を対パルプ固形分0.3%添加した以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[比較例2]
合成例1、2で得られたカチオン性および両性の共重合体水溶液を添加した製紙用添加剤を使用せず、代わりに炭酸カルシウムを対パルプ固形分20%添加し、AKDサイズ剤を対パルプ固形分0.1%添加した以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[比較例3]
合成例1、2で得られたカチオン性および両性の共重合体水溶液を添加した製紙用添加剤を使用せず、代わりに炭酸カルシウムを対パルプ固形分20%添加し、ASAサイズ剤を対パルプ固形分0.1%添加した以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[比較例4]
合成例1、2で得られたカチオン性および両性の共重合体水溶液を添加した製紙用添加剤を使用せず、代わりに炭酸カルシウムを対パルプ固形分20%添加し、中性ロジンサイズ剤を対パルプ固形分0.3%添加し、表面塗工剤を塗工しない以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[比較例5]
合成例1、2で得られたカチオン性および両性の共重合体水溶液を添加した製紙用添加剤を使用せず、代わりに炭酸カルシウムを対パルプ固形分20%添加し、AKDサイズ剤を対パルプ固形分0.1%添加し、表面塗工剤を塗工しない以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
[比較例6]
合成例1、2で得られたカチオン性および両性の共重合体水溶液を添加した製紙用添加剤を使用せず、代わりに炭酸カルシウムを対パルプ固形分20%添加し、ASAサイズ剤を対パルプ固形分0.1%添加し、表面塗工剤を塗工しない以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
Figure 2010031391
Figure 2010031391
上記表1中、添加率*1は共重合体の填料に対する添加率(対填料固形分)を示し、添加率*3は製紙用添加剤のパルプ固形分に対する添加率を示している。そして、添加率*2は共重合体のパルプ固形分に対する添加率を示し、上記添加率*1に添加率*3を掛けた値である。
表1及び表2から次のことが示される。
(ア)実施例1〜9は、サイズ性、摩擦係数、層間剥離、紙粉量、印刷面感の全ての評価結果が優れていることを示している。実施例1〜3と実施例4〜6とは、製紙用添加剤の共重合体の合成例が異なっている。実施例7〜9は、表面塗工剤の塗布乾燥がない場合である。このことから、原紙に少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体と填料との混合物を含有することで、全ての評価結果が優れたものとなることが示されている。
(イ)実施例1〜9と比較例1〜6のステキヒトサイズ度、静及び動摩擦係数の測定結果、そして、層間剥離、紙粉量、印刷面感の各結果を比較して、実施例1〜9は、サイズ性が良好で、静及び動摩擦係数の低下がなく、層間剥離、紙粉量、印刷面感の各結果が優れていることを示している。
(ウ)例えば、ステキヒトサイズ度に関して、比較例1〜3のステキヒトサイズ度は21秒以下であるのに対して、実施例1〜6のそれは30秒以上であることから、実施例1〜6は、サイズ性に優れることを示している。また、比較例4〜6のステキヒトサイズ度は16秒以下であるのに対して、実施例7〜9のそれは20秒以上であることから、実施例7〜9は、サイズ性に優れることを示している。
(エ)静及び動摩擦係数に関して、比較例2の静摩擦係数は0.71を示しているのに対して、実施例1〜6のそれは0.87〜0.89の範囲を示しており、比較例2の動摩擦係数が0.45を示しているのに対して、実施例1〜6のそれは0.53〜0.56の範囲を示していることから、実施例1〜6は、摩擦係数の低下がないことを示している。また、比較例5の静摩擦係数は0.70を示しているのに対して、実施例7〜9のそれは0.88〜0.89を示しており、比較例5の動摩擦係数が0.43を示しているのに対して、実施例7〜9のそれは0.55〜0.56を示していることから、実施例7〜9は、摩擦係数の低下がないことを示している。
(オ)層間剥離に関して、比較例1〜3および比較例4〜6は層間剥離の問題があるのに対して、実施例1〜6および実施例7〜9はその問題が全くないかほとんどないことを示している。そして、実施例1〜6は層間剥離が0であるのに対して、実施例7は4枚、実施例8は2枚であるから、原紙上に表面塗工剤を塗布乾燥することで層間剥離の問題が生じないことを示している。
(カ)紙粉量に関して、比較例1〜3および比較例4〜6は紙粉量の問題があるのに対して、実施例1〜6および実施例7〜9はその問題がないことを示している。そして、実施例1〜6は紙粉量が7〜14の範囲にあるのに対して、実施例7は23、実施例8は19であるから、原紙上に表面塗工剤を塗布乾燥することで紙粉量の問題を一層低減させることを示している。
(キ)印刷面感に関して、比較例1〜3および比較例4〜6は印刷面感の問題があるのに対して、実施例7〜9は良好であるから、原紙上に表面塗工剤を塗布乾燥しなくとも印刷面感が向上すること、そして、実施例1〜6は優れているから、表面塗工剤を塗布乾燥することで更に一層向上することを示している。
上記(エ)〜(キ)の結果から、原紙上に表面塗工剤を塗布乾燥することで、層間剥離、紙粉量及び印刷面感の評価結果が一層向上することがわかる。
以上の実施例1〜9及び比較例1〜6の結果から、本発明の印刷用紙は、原紙に少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体と填料との混合物からなる製紙用添加剤を含有し、原紙上に表面塗工剤を塗工乾燥することで、サイズ性、摩擦係数に優れ、印刷時の層間剥離や紙粉発生が少なく、印刷面感に優れる印刷用紙が得られることから、上述した本発明の課題を達成していることは明らかである。

Claims (5)

  1. 原紙に共重合体及び填料の混合物である製紙用添加剤を含有し、抄紙機で抄造した印刷用紙であって、
    前記共重合体が少なくとも疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の共重合体であることを特徴とする印刷用紙。
  2. 前記共重合体がカチオン性共重合体、または、アニオン性モノマー(C)を含む両性共重合体であることを特徴とする請求項1記載の印刷用紙。
  3. 前記両性共重合体が前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対する前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1〜90%であるモノマー成分を重合して得られるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の印刷用紙。
  4. 前記原紙上に表面塗工剤を塗布乾燥したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用紙。
  5. 前記填料が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷用紙。
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