JP4652251B2 - クリア塗工印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、オフセット印刷機での印刷において紙粉や層間剥離のトラブルがなく印刷走行性に優れ、印面品質に優れるクリア塗工印刷用紙に関するものである。
オフセット印刷機で使用されるクリア塗工印刷用紙は、オフセット印刷機での使用に耐えうることが最重要品質であり、紙粉トラブルに関係する表面強度や層間剥離に関係する層間強度に対する要求は極めて厳しい。そのうえ、近年の高填料化、古紙パルプ高配合化により、紙の強度は低下する傾向にある。
クリア塗工印刷用紙の印面を向上させるためには、紙中灰分を上昇させることが有効である。紙中灰分の上昇は、それに加えて平滑性を向上させる効果をもたらすが、高灰分化によってオフセット印刷機内で発生する紙粉が多くなってしまったり、層間強度の低下により層間剥離のトラブルが多くなる問題点がある。
填料を紙中に多く留まらせ、かつ紙力の低下を少なく抑える技術として、填料を予備凝集させ、この凝集物を紙料へ添加する次のような技術がある。例えば、安価な一般の粒度の細かい白色顔料を用いて、比散乱係数の増加を効率良く行わせ、しかも紙層への歩留が良好で紙力や剛度低下の少ない紙の製造方法の提供を課題として、屈折率1.45〜1.65の顔料の基本粒子を凝集させて、内部空隙を多数形成するようにした前記顔料の凝集粒子をパルプスラリーに添加して、抄造することを特徴とする紙の製造方法が開示されており、該顔料として炭酸カルシウム、カオリン、無水硫酸カルシウム、石膏、亜硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、珪藻土が例示され、凝集方法として酸、塩基によるpH調整、硫酸アルミニウム等の無機凝集剤、有機高分子凝集剤の添加が示されている。しかし、この技術は内部空隙の孔径が0.1μm以上で、かつできるだけ0.1μmに近い大きさの内部空隙を多数形成するように調整するものであり、この調整は難しい(特許文献1参照)。
次に安価な炭酸カルシウムを使用し、不透明度を効率よく向上させ、しかも紙層への歩留が良好で、紙力や剛度の低下が少ない填料入り紙製品及びその製造法の提供を課題として、主としてパルプ及び炭酸カルシウムからなる紙製品において、前記炭酸カルシウム粒子直径0.1〜0.3μmの粒子を凝集させ、凝集粒子を乾燥パルプに対して5〜80重量%含有する填料入り紙製品とその製造方法が開示され、凝集方法として酸、塩基によるpH調整、硫酸アルミニウム等の無機凝集剤、有機高分子凝集剤の添加が示されている。しかし、この技術では凝集粒子径を安定化させるために脱水乾燥を行う必要があり、実用的ではない(特許文献2参照)。
重質炭酸カルシウムを抄紙用填料として用いる際に生じる抄紙機のワイヤー摩耗を大幅に改善した抄紙法の提供を課題として、抄紙用填料として重質炭酸カルシウムを用いる抄紙方法において、該重質炭酸カルシウムを予めカチオン変性澱粉水溶液と混合した後、紙料中に添加する抄紙方法が開示されている(特許文献3参照)。
また、主としてパルプおよび炭酸カルシウム填料からなる紙を製造する方法において、凝集剤としてカチオン化澱粉およびカチオン化グアーガムを使用して該填料を凝集させ、あるいは硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウムなどの無機凝集剤を使用して該填料を凝集させた後にカチオン化澱粉およびカチオン化グアーガムを使用してさらに凝集させ、該凝集粒子を紙中に1〜50重量%添加する填料内添紙の製造方法が開示されている。しかし、単一のイオン性薬剤を用いるため、処理系の電荷バランスが処理剤量のみで決まり、電荷バランス的に処理の最適条件の範囲は狭くなり、その条件から外れた場合には、処理剤の填料への吸着効率が悪くなる問題がある(特許文献4参照)。
また、砕木パルプや再生パルプなどの低等級パルプを全パルプ中に30%以上含む完成紙料(特に新聞用紙用完成紙料)に予備凝集填料を添加する紙の製造方法が開示されている。填料としてはクレイ、チャイナクレイ、リトポン、硫酸塩フィラー、チタン顔料、二酸化チタン、サチンホワイト、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏、白亜などが挙げられており、凝集剤としては水溶性ビニルポリマー、ガム、硫酸アルミニウム、マンノガラクタン、アニオン系澱粉誘導体、カチオン系澱粉誘導体が挙げられている。しかし、紙の強度を十分に満たす手段や、填料凝集による表面強度低下に対する有効な手段の記述がない(特許文献5参照)。
また、高填料化による紙力低下を抑制するために、澱粉やポリアクリルアミド(以下、PAMと略す)等の紙力増強剤などの薬品が使用されるが、大きな紙力向上効果を得るためには薬品の添加量を多くする必要があり、汚れ等の問題が発生する。
特開昭54-50605号公報 特開昭54-116405号公報 特開昭60-119299号公報 特開平10-60794号公報 特開2000-129589号公報
本発明が解決しようとする課題は、オフセット印刷時に層間剥離や紙粉発生が少なく、かつ平滑度が高いため印刷品質に優れるクリア塗工印刷用紙を提供することにある。
(A)アニオン性多糖類と、(B)カチオン性及び/又は両性アクリルアミド系共重合体とからなる複合化アクリルアミド系共重合体を用いて填料を処理して得られた、レーザー回折法による平均粒子径が10〜80μmの予備凝集填料を、紙中灰分として5〜40固形分重量%含有するクリア塗工印刷用原紙に、表面紙力剤を塗工して、クリア塗工印刷用紙を得ることができる。成分(A)と成分(B)の重量比率がA/B=2/98〜45/55であることが好ましい。成分(A)と成分(B)からなる複合化アクリルアミド系共重合体の添加量が、填料に対して0.1〜3.0固形分重量%であることが好ましい。表面紙力剤は、ヒドロキシエチル化澱粉であることが好ましい。
紙力向上によってオフセット印刷機での使用時に層間剥離や紙粉発生が少なく、印刷品質に優れたクリア塗工印刷用紙を提供できる。
本発明で製造されるクリア塗工印刷用紙のパルプ原料としては、特に限定されるものではなく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、脱墨パルプ(DIP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、など、クリア塗工印刷用紙の抄紙原料として一般的に使用されているものであればよい。
本発明者らは、填料と処理剤との組み合わせについて検討した結果、填料と組み合わせる処理剤は(A)アニオン性多糖類と、(B)カチオン性及び/又は両性アクリルアミド系共重合体とからなる複合化アクリルアミド系共重合体(以下、複合化PAMと記述する)が最適であることを見出した。その理由としては、複合化PAMは、イオン性及びポリマー構造面で異なる特性を有する(A)アニオン性多糖類と、(B)カチオン性又は両性PAMからなり、当該多糖類のアニオン性で高分子量の広がり構造と、PAMのカチオン性及び親水的な特性によって、両者の特性を併せ持つポリイオンコンプレックスを形成するため、炭酸カルシウムなどの填料粒子に対する適度な凝集効果とパルプスラリーへの高い親和性を発揮することがきるためであると考えられる。予備凝集填料を紙料に添加する方法では、予め填料を凝集させているため、紙料中のアニオン性物質の影響を受けにくく、填料の歩留が大きく改善される。
また、複合化PAMで処理した填料を含有するパルプスラリーにカチオン化澱粉やPAM系の紙力増強剤などの内添薬品を添加する場合、填料と薬品のそれぞれの効果を阻害することなく相乗的な効果が働くため、より少ない薬品量で大きな紙力向上効果が得られる。
すなわち、電荷特性の異なる特定の2成分を組み合わせた複合化PAMで炭酸カルシウムなどの填料を処理した被覆化填料は適度の凝集効果があって、パルプスラリーとの親和性に優れ、あるいはパルプスラリーに内添される薬品との相性が良いため、高填料内添紙においても、少ない薬品量で大きな紙力増強効果を発揮することが可能である。
予備凝集填料を製造する方法は、成分(A)と成分(B)によって予め調整した複合化PAMの液を填料スラリーに添加することが望ましいが、成分(A)と成分(B)の2液を別々に填料スラリーに添加しても差し支えない。
予備凝集用の填料は公知のものを任意で使用でき、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などを1種類以上使用することができ、好ましくは炭酸カルシウム、更に好ましくは軽質炭酸カルシウムである。
更に軽質炭酸カルシウムの形状は、ロゼッタ型、紡錘型、柱状型が好ましい。填料の平均粒子径は0.1〜20μm、比表面積は3〜20m2が好ましい。
予備凝集填料の平均粒子径は特に紙の強度と紙粉量に影響し、平均粒子径は10〜80μmの範囲であり、好ましくは20〜60μm、より好ましくは25〜55μmである。凝集の程度が弱く平均粒子径が10μm未満のときには、紙の強度は低くなり、反対に凝集の程度が強く平均粒子径が80μmを超えるときには、紙の強度は問題ないが、白色度が低下したり、紙粉量が多くなる。
本発明の複合化PAMは、(A)アニオン性多糖類と、(B)カチオン性及び/又は両性PAMとからなる。この場合、成分(B)からアニオン性PAMは排除される。
上記アニオン性多糖類(A)としては、酸置換基として、例えば、カルボキシル基、スルフェート基又はスルホネート基が導入されたデンプン類、アルギン酸類、セルロース類、ガム類などの誘導体を単用又は併用できる。アニオン性多糖類の具体的な製造方法としては、各種多糖類にクロロ酢酸などのアニオン化剤を作用させることで、カルボキシル基を有する多糖類を製造できる。アニオン性多糖類の市販品としては、カルボキシメチルセルロース類(カルボキシメチルセルロース及びその塩;以下、CMCという)、アルギン酸類(アルギン酸及びその塩)、キサンタンガム、カルボキシメチルグアーガム、リン酸化グアーガム、カルボキシメチルデンプン、リン酸デンプンなどがある。本発明においては、当該アニオン性多糖類としてはCMC、アルギン酸類が好ましい。
上記成分(B)のうちの両性アクリルアミド系共重合体(便宜上、両性PAMという)は、(a)(メタ)アクリルアミドと、(b)カチオン性モノマーと、(c)アニオン性モノマーを構成成分とする。
上記(メタ)アクリルアミド(a)としては、アクリルアミド(AMと略す)及び/又はメタクリルアミドが挙げられる。
上記カチオン性モノマー(b)は、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウムハライドを始めとして、分子内にカチオン性基を1個乃至複数個有するものであり、例えば、4級アンモニウム塩基含有モノマーでは、下記の一般式(1)で示される化合物が代表例である。
[CH2=C(R1)−CO−A−R2−N(R3)(R4)(R5)]X・・・(1)
(式(1)中、R1はH又はCH3;R2はC1〜C3アルキレン基;R3、R4、R5はH、C1〜C3アルキル基、ベンジル基、CH2CH(OH)CH2N(CH33Xであり、夫々同一又は異なっても良い;AはO又はNHである。;Xはハロゲン、アルキルスルフェートなどのアニオン)
このカチオン性モノマー(b)としては、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、1〜3級アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
上記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドは、アミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドである。また、上記3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミドは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド(ジメチルアミノプロピルアクリルアミドはDMAPAAと略す)、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを代表例とする。
上記1〜2級アミノ基含有(メタ)アクリレートは、アミノエチル(メタ)アクリレートなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、或は、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの2級アミノ基含有(メタ)アクリレートである。また、上記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(ジメチルアミノエチルメタクリレートはDMと略す)、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートを代表例とする。
上記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、又は4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートは、3級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリルアミド、又は3級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレートを塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなどの4級化剤を用いたモノ4級塩基含有モノマーであり、アクリルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、メタクリロイロキシエチルジメチルべンジルアンモニウムクロリド(DMBQと略す)、アクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
また、カチオン性モノマーとしては、高分子量化を図る見地から、分子内に2個の4級アンモニウム塩基を有するビス4級塩基含有モノマーを使用できる。具体的には、2個の4級アンモニウム塩基を有するビス4級塩基含有(メタ)アクリルアミド、或はビス4級塩基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。ビス4級塩基含有(メタ)アクリルアミドの例としては、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドに、1−クロロ−2ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを反応させて得られるビス4級塩基含有(メタ)アクリルアミド(DMAPAA−Q2と略す)がある。このDMAPAA−Q2は、上記カチオン性モノマーの一般式(1)において、R1=H、R2=プロピレン基、A=NH、R3とR4は各メチル基、R5=CH2CH(OH)CH2N(CH33C、X=塩素に相当する化合物である。
一方、上記4級アンモニウム塩基含有のカチオンモノマーに属するジアリルジアルキルアンモニウムハライドは、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドである。
前記両性PAMの構成単位であるアニオン性モノマー(c)は、α、β−不飽和カルボン酸類、α、β−不飽和スルホン酸類である。
上記不飽和カルボン酸類は(メタ)アクリル酸(アクリル酸はAAと略す)、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸(IAと略す)、(無水)シトラコン酸、そのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩などである。
上記不飽和スルホン酸類は、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、その塩などである。
また、両性PAMにおいては、上記成分(a)〜(c)に、さらに架橋性モノマー(d)及び/又は連鎖移動剤(e)を使用して、共重合体に分岐架橋構造を持たせることができる。
上記架橋モノマー(d)は共重合体の分子量を増し、灰分を歩留らせる活性点を増大させるために寄与し、メチレンビスアクリルアミド(MBAMと略す)、エチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのビス(メタ)アクリルアミド類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート類、ジメチルアクリルアミド(DMAMと略す)、メタクリロニトリルなどが使用できる。
上記連鎖移動剤は共重合体の粘度の増大を抑制し、分岐構造を増して分子量を調整する作用をし、イソプロピルアルコール(IPAと略す)、メタリルスルホン酸ナトリウム(SMSと略す)、アリルスルホン酸ナトリウム(SASと略す)、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリコール酸等のメルカプタン類などの公知の連鎖移動剤が使用できる。
さらに、上記両性PAMでは必要に応じて、他のモノマーとして、アクリロニトリルなどのノニオン系モノマーを使用しても差し支えない。
両性PAMの構成成分(a)〜(c)は夫々単用又は併用できる。
上記両性PAMにおける成分(a)〜(c)の含有量は任意であって、特には制限されないが、共重合体に対する(メタ)アクリルアミド(a)の含有量は65〜98.8モル%、カチオン性モノマー(b)は1〜20モル%、アニオン性モノマー(c)は0.2〜15モル%が好ましい。
一方、成分(B)のうちのカチオン性アクリルアミド系共重合体(便宜上、カチオン性PAMという)は、(メタ)アクリルアミド(a)とカチオン性モノマー(b)を構成成分とする。
これらの(メタ)アクリルアミド(a)とカチオン性モノマー(b)は、上記両性PAMの構成モノマー成分として列挙した該当成分が使用できることはいうまでもない。
また、当該カチオン性PAMにおいても、上記成分(a)と(b)に、さらに、上記架橋性モノマー(d)及び/又は上記連鎖移動剤(e)を使用して、共重合体に分岐架橋構造を持たせるようにしても良い。さらに、このカチオン性PAMでは必要に応じて、他のモノマーとして、アクリロニトリルなどのノニオン系モノマーを使用しても差し支えない。
さらに、当該カチオン性PAMの構成成分(a)と(b)を夫々単用又は併用できる点は、前記両性PAMの場合と同じである。
上記カチオン性PAMにおける成分(a)と(b)の含有量は任意であって、特には制限されないが、共重合体に対する(メタ)アクリルアミドの含有量は85〜99モル%、カチオン性モノマー(b)は1〜15モル%が好ましい。
複合化PAMは、成分(A)と(B)を混合して調製するか、成分(A)の存在下で成分(B)の構成モノマーを重合反応させて製造する。
上記混合方式での成分の組み合わせは次の(1)〜(3)の通りである。
(1)アニオン性多糖類と両性PAM
(2)アニオン性多糖類とカチオン性PAM
(3)アニオン性多糖類と両性PAMとカチオン性PAM
上記成分(A)と成分(B)を混合することで、多糖類の有するアニオン性で高分子量の広がり構造と、アクリルアミド系共重合体のカチオン性及び親水的な特性とを兼備するポリイオンコンプレックスが形成される。
一方、上記重合方式のように、構成モノマーを共重合反応して成分(B)を製造する際に成分(A)を共存させて複合化PAMを製造することもできる。
即ち、両性又はカチオン性PAMを製造する際の構成モノマーは、前述した通り、(a)アクリルアミド、(b)カチオン性モノマー、(c)アニオン性モノマーであるが、これらの構成モノマーをアニオン性多糖類の存在下で共重合反応させると、生成した両性又はカチオン性PAMの中にアニオン性多糖類が混在した状態になり、両者でポリイオンコンプレックスを形成することになる。
換言すると、本発明の複合化PAMは、カチオン性又は両性PAMを共重合反応して製造するに際して、アニオン性多糖類(A)を共重合反応前に添加しても良いし、共重合反応の後で添加しても差し支えなく、成分(A)と(B)の間でポリイオンコンプレックスを形成すれば良い。
本発明の複合化PAMを製造するに際して、成分(A)と成分(B)の混合比率(重量比)は、A/B=2/98〜45/55が好ましく、4/96〜30/70がより好ましい。
アニオン性多糖類(A)が45重量%より多くなると、アニオンが過剰になって填料への吸着率が低下して、被覆化填料の粒子径が適正に増大せず、歩留りも低下する恐れがある。
電荷特性の異なる2種の複合が本発明の特徴であるため、アニオン性多糖類(A)が2重量%より少なくなると、この複合化の効果が低減する。
処理剤の量は凝集される填料に対して0.1〜3.0固形分重量%とすることで、凝集填料の粒径を10〜80μmに調整しやすく、また凝集填料が抄紙機内で壊れ難くその形状を維持しやすい。処理剤の量が填料の0.1固形分重量%以下であると、凝集填料の平均粒子径は10μmより小さくなりやすく、紙力向上効果が得られない。一方、3.0固形分重量%以上添加してもそれ以上の紙力向上効果が得られず、薬品使用コストが増加するのみであり、実用的ではない。
該予備凝集物は、クリア塗工印刷用紙の混合パルプ原料に添加される。抄紙工程では各種のパルプが混合されるミキサー以後、ヘッドボックス以前に添加されることが好ましい。ヘッドボックスへ添加することが最適である。
本発明のクリア塗工印刷用紙の該予備凝集填料率は、5〜40固形分重量%である。好ましくは7〜35固形分重量%、更に好ましくは10〜30固形分重量%である。5固形分重量%未満では、填料の歩留まりは良好でオフセット印刷機での層間剥離や紙粉の問題はないが、不透明度が十分ではないため裏抜けが大きく、平滑度が低いため印面は優れないという問題がある。40固形分重量%を超えると、紙粉量が多く問題となる。
本発明のクリア塗工印刷用紙を抄造するために用いられる抄紙機は、紙の2面性を抑制する意味で、両面脱水機構を有している、オントップフォーマー、ギャップフォーマなどが望ましいが、これに限定されるものではない。プレス、キャレンダーなどは通常の操業範囲内の条件で処理を行えば良い。
本発明のクリア塗工印刷用紙の製造には、表面強度の強化を目的とした表面紙力剤の外添塗工が必須である。塗工する薬剤は、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、熱変性澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用する。その中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉の塗工が最も好ましい。
また、外添塗工の薬剤は前記の薬剤以外に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物など一般的な表面サイズ剤を併用塗工することができるが、サイズ剤のイオン性がカチオン性であることで非常に良好な表面強度を得られることを見出した。その理由は、本発明での予備凝集填料はカチオン性であるので、カチオン性の表面サイズ剤の方がより表面にサイズ剤が留まって塗工され、紙のサイズ性が向上する。サイズ性が向上すれば、クリア塗工印刷用紙に要求されることが多い、ペン書きサイズ度を高くできる。
表面紙力剤と表面サイズ剤から成る表面塗工剤をクリア塗工印刷用紙原紙に塗工する場合、表面紙力剤と表面サイズ剤との混合比率は公知の範囲で行えば良く、特に限定はない。
クリア塗工印刷用紙に表面塗工剤を塗工する装置は公用のものであれば良く、特に限定はないが、シムサイザーやゲートロールサイズプレス等のフィルム転写型が、好ましい。
内添薬品としては、ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉などの乾燥紙力剤、ポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどの湿潤紙力剤を添加することができる。また、填料の歩留まりを更に高める目的で、公知の無機凝集剤(硫酸バンドなど)や有機高分子系凝集剤を添加することもでき、公知の高歩留まりシステム(例えば、ハイドロコールシステム、コンポジルシステムなど)を併用することもできる。
本発明のクリア塗工印刷用紙では、前述の内添薬品の他に、紙用嵩高剤を内添し紙中に含有させることができる。この紙用嵩高剤を具体的に化合物で例示すると、油脂系非イオン界面活性剤、糖アルコール系非イオン活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコール型非イオン界面活性剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、高級アルコールあるいは高級脂肪酸のポリオキシアルキレン付加物、高級脂肪酸エステルのポリオキシアルキレン付加物、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物のポリオキシアルキレン付加物、脂肪酸ポリアミドアミンなどが挙げられる。
この紙用嵩高剤を特許文献で例示すると、次の通りである。特許第3128248号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3453505号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3482336号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3537692号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3482337号公報記載の紙用嵩高剤、特許第2971447号公報記載の紙用嵩高剤、特許第3283248号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特許第3387033号公報記載の乾燥効率向上剤、特許第3387036号公報記載の平滑性及び透気性向上剤、特許第3517200号公報記載の抄紙用添加剤、特開2001-248100号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特開2003-336196号公報記載の紙質向上剤、特開2004-052216号公報記載の抄紙用紙質向上剤、特開2005-187989号公報記載の紙質向上剤、特開2004-107865号公報記載の紙質向上剤、特開2004-091950号公報記載の紙質向上剤、特開2005-299010号記載の紙質向上剤、特開2005-299011号公報記載の紙質向上剤、特開2005-299012号公報記載の紙質向上剤、特開2005-089953号公報記載の紙用嵩高剤、特開2000-273792号公報記載の紙用不透明化剤、特開2002-129497号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-275786号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-294586号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2002-294594号公報記載の嵩高剤、特開2003-96692号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-96693号記載の嵩高剤、特開2003-96694号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2003-96695号公報記載の古紙再生用添加剤、特開2003-171897号公報記載の紙厚向上剤、特開2003-247197号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253588号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253589号公報記載の紙用嵩高剤、特開2003-253590号公報の紙用嵩高剤、特開2003-328297号公報記載の紙用低密度化剤、特開2003-313799号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-11058号公報記載の抄紙用添加剤、特開2004-27401号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-115935号公報記載の紙用低密度化剤、特開2004-76244号公報記載の紙用嵩高剤、特開2004-176213号公報記載の紙用改質剤、特許第3521422号公報記載の紙用柔軟化剤、特開2002-275792号公報記載の嵩高柔軟化剤、特開2002-285494号公報記載の製紙用嵩高サイズ剤、特開2003-286692号公報記載の紙用嵩高剤、特開2004-270074号公報記載の製紙用嵩高剤組成物、特開2004-285490号公報記載の製紙用嵩高剤、特開2003-221799号公報記載の不透明度向上剤、特開2004-308095号公報記載の紙用添加剤、特開2005-042278号公報記載の嵩高剤、特開2005-042279号公報記載の嵩高剤、特開2005-060891号公報記載の製紙用嵩高剤、特開2005-082943号公報記載の紙用低密度化剤、特開2005-082949号公報記載の紙用改質剤。
得られるクリア塗工印刷用紙の密度は、0.3〜0.9g/m2の範囲であれば良く、通常のクリア塗工印刷用紙の摩擦係数などを有するレベルであれば良い。
(実施例)
以下、本発明を実施例及び比較例をあげてより具体的に説明するが、当然のことながら、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の%は特に断りのない限り重量%を示す。
(1)予備凝集填料調整方法
予備凝集填料はスタティックミキサーを用いて処理剤と填料を混合することで得た。尚、填料および予備凝集填料の平均粒子径はマルバーン(Malvern Instruments)社製マスターサイザー2000によって測定した。測定原理はレーザー回折法である。
以下では、本発明の複合化PAMの原材料としての両性またはカチオン性アクリルアミド系共重合体(PAM-1、PAM-2)、アニオン性アクリルアミド系共重合体(PAM-3)の合成例を述べる。
[PAM−1]
水670部、50%アクリルアミド水溶液262部、60%メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド18.6部、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド9.2部、イタコン酸3.9部、メチレンビスアクリルアミド0.1部、アリルスルホン酸ナトリウム0.5部の混合物を10%硫酸を用いてpH3に調整した。
次いで、温度を60℃に昇温し、2%過硫酸アンモニウム水溶液16部、2%亜硫酸ソーダ水溶液4部を添加して、温度60〜85℃で3時間反応させ、PAM-1を得た。
[PAM−2]
水670部、50%アクリルアミド水溶液262部、60%メタクリロイロキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド40.5部、ジメチルアミノエチルメタクリレート18.9部、98%アクリル酸6.2部、メタリルスルホン酸ナトリウム0.5部の混合物を10%硫酸を用いてpH3に調整した。
次いで、温度を60℃に昇温し、2%過硫酸アンモニウム水溶液16部、2%亜硫酸ソーダ水溶液4部を添加して、温度60〜85℃で3時間反応させ、PAM-2を得た。
[PAM−3]
水670部、50%アクリルアミド水溶液262部、98%アクリル酸33.2部、アリルスルホン酸ナトリウム0.5部の混合物を10%硫酸を用いてpH3に調整した。
次いで、温度を60℃に昇温し、2%過硫酸アンモニウム水溶液16部、2%亜硫酸ソーダ水溶液4部を添加して、温度60〜85℃で3時間反応させ、PAM-3を得た。
次に、上記合成例1、2で得られたPAM-1とアニオン性多糖類(CMC)とを混合調整し、複合化PAM-C1を製造する例を述べる。
また、アニオン性多糖類を使用せず、上記合成例3で得られたPAM-2(両性PAM)とPAM-3(アニオン性PAM)とを混合調整し、複合化PAM-C2を製造する例を述べる。
[複合化PAM1(PAM-C1)]
CMC(アニオン性多糖類:A成分)とPAM-1(B成分)をそれぞれ1%溶液としてA/B=15/85の重量比で混合し、PAM-C1(複合化PAM)を得た。
[複合化PAM2(PAM-C2)]
アニオン性多糖類(CMC)を使用せずに、両性PAM(PAM-2:B成分)とアニオン性PAM(PAM-3:B成分)をPAM-2/PAM-3=85/15の重量比で混合し、PAM-C2を得た。
次に複合化PAMと填料を混合した予備凝集填料の調整方法を示す。
[予備凝集填料1]
填料を重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.5μm)、処理剤を複合化PAM-C1とし、重質炭酸カルシウム/PAM-C1=100/0.7の混合比で予備凝集させ、平均粒子径27μmの予備凝集填料を得た。
[予備凝集填料2]
填料を軽質炭酸カルシウム(ロゼッタ型、平均粒子径3μm)、処理剤を複合化PAM-C1とし、重質炭酸カルシウム/PAM-C1=100/0.7の混合比で予備凝集させ、平均粒子径38μmの予備凝集填料を得た。
[予備凝集填料3]
填料を軽質炭酸カルシウム(ロゼッタ型、平均粒子径3μm)、処理剤を複合化PAM-C1とし、軽質炭酸カルシウム/PAM-C1=100/0.2の混合比で予備凝集させ、平均粒子径14μmの予備凝集填料を得た。
[予備凝集填料4]
填料を軽質炭酸カルシウム(ロゼッタ型、平均粒子径3μm)、処理剤を複合化PAM-C1とし、軽質炭酸カルシウム/ PAM-C1=100/2.5の混合比で予備凝集させ、平均粒子径41μmの予備凝集填料を得た。
[予備凝集填料5]
填料を軽質炭酸カルシウム(ロゼッタ型、平均粒子径3μm)、処理剤を複合化PAM-C1とし、軽質炭酸カルシウム/PAM-C1=100/0.05の混合比で予備凝集させ、平均粒子径8μmの予備凝集填料を得た。
[予備凝集填料6]
填料を軽質炭酸カルシウム(ロゼッタ型、平均粒子径3μm)、処理剤を複合化PAM-C2とし、軽質炭酸カルシウム/PAM-C2=100/0.7の混合比で予備凝集させ、平均粒子径8μmの予備凝集填料を得た。
[予備凝集填料7]
填料を軽質炭酸カルシウム(ロゼッタ型、平均粒子径3μm)、処理剤をCMCとし、軽質炭酸カルシウム/CMC=100/0.7の混合比で予備凝集させ、平均粒子径5μmの予備凝集填料を得た。
原料パルプのスラリー(NKP/LKP/TMP/GP/DIP=10/10/40/30/10、カチオン要求量 28μeq/l)に予備凝集填料を添加し、オントップ型抄紙機にて抄速800m/分で坪量60.0g/m2のクリア塗工印刷用紙を抄造し、オンマシンのゲートロールコーターで表面紙力剤または表面塗工剤(表面紙力剤、または表面紙力剤+表面サイズ剤)を両面で1.3g/m2塗工し、クリア塗工印刷用紙を得た(実施例1〜6、比較例1〜6)。このクリア塗工印刷用紙ついて、オフセット印刷機による印刷試験で、層間剥離回数、紙粉量の測定、印刷面感の評価を行った。
(1)層間剥離、紙粉量、印刷面感の評価方法
枚葉オフセット印刷機(KOMORI社PERFECTOR44)を用い、四六判横目通紙で8500枚/時の速度で、両面モノクロ印刷を行い、1000枚印刷したときの層間剥離枚数をカウントした。また、紙粉については、1000枚印刷終了後のブランケット上に堆積している紙粉をかきとり、その重量を測定し、100cm2あたりの重量で現した。さらに、印刷面感を目視で評価した(優:◎、良:○、やや劣:△、×:劣)。評価結果は表1に示す。
[実施例1]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料2をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[実施例2]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料2をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が30%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[実施例3]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料1をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中填料率が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[実施例4]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料4をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[実施例5]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料3をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[実施例6]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料2をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤としてヒドロキシエチル化澱粉を塗工し、紙中填料率が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[比較例1]
原料パルプのスラリーに、前記の予備凝集填料2用の軽質炭酸カルシウムと複合化PAMとをヘッドボックスで別々に添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。なお、軽質炭酸カルシウムと複合化PAMの比率は予備凝集填料2の比率と同じとした。
[比較例2]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料2をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が3%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[比較例3]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料2をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が50%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[比較例4]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料5をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[比較例5]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料6をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
[比較例6]
原料パルプのスラリーに前記の予備凝集填料7をヘッドボックスで添加した紙料を抄紙し、表面紙力剤として熱変性澱粉を塗工し、紙中灰分が15%のクリア塗工印刷用紙を得た。
Figure 0004652251
実施例1〜6では、層間剥離枚数、紙粉、印面評価がいずれも良好であることがわかる。実施例1と比較例1との比較から、凝集填料を添加したほうが填料と処理剤とを別添加する方法よりも紙の強度が上がることがわかる。実施例1、2と比較例2、3との比較から、クリア塗工印刷用紙の紙中灰分が5%未満では印刷面感が悪く、紙中灰分40%を超えると層間剥離が起きやすく、しかも紙粉量も多いため、いずれも実用できないことがわかる。比較例4は複合化PAMの添加量が少ないため、強度低下により、層間剥離が生じた。比較例5、6の結果から、複合化PAMを成分(A)あるいは成分(B)のみで調整することによって、強度の向上効果が小さく、いずれも印刷適性が劣ることがわかる。

Claims (5)

  1. (A)アニオン性多糖類と、(B)カチオン性及び/又は両性アクリルアミド系共重合体とからなる複合化アクリルアミド系共重合体を、成分(A)と成分(B)の重量比率が、A/B=2/98〜45/55であるように用いて填料を処理して得られた、レーザー回折法による平均粒子径が10〜80μmの予備凝集填料を添加し、紙中灰分が5〜40固形分重量%含有する原紙に、表面紙力剤を塗工して得られることを特徴とするクリア塗工印刷用紙。
  2. 成分(A)と成分(B)からなる複合化アクリルアミド系共重合体の添加量が、填料に対して0.1〜3.0固形分重量%であることを特徴とする請求項1に記載のクリア塗工印刷用紙。
  3. 填料が、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のクリア塗工印刷用紙。
  4. 表面紙力剤が、ヒドロキシエチル化澱粉であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のクリア塗工印刷用紙。
  5. 填料に、成分(A)アニオン性多糖類と、成分(B)カチオン性及び/又は両性アクリルアミド系共重合体とからなる複合化アクリルアミド系共重合体を、成分(A)と成分(B)の重量比率が、A/B=2/98〜45/55であるように使用して調製した、レーザー回折法による平均粒子径が10〜80μmの予備凝集填料を添加し、紙中灰分が5〜40固形分重量%になるように抄紙し、表面紙力剤を塗工することを特徴とするクリア塗工印刷用紙の製造方法。
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