JP4324071B2 - 嵩高紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は製紙用嵩高剤を内添する嵩高紙の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、嵩高剤の歩留りが高く、かつ抄紙系の汚れや泡の発生を低減でき、操業性が良好な嵩高紙の製造方法に関するものである。
近年の活字離れを反映して、急激にコミック本やペーパーバックが普及してきた。これに伴い、紙にも軽量化が求められている。ここで、紙の軽量化とは、紙の厚さは維持した上での軽量化、すなわち嵩高化(低密度化)のことを指す。環境問題が叫ばれている現在、森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用する上でも、紙の軽量化は避けて通れない問題である。
紙を嵩高にする従来の技術としては、界面活性剤系あるいは非界面活性剤系の嵩高剤を内添し嵩高紙を製造する技術があり、近年多用されてきている。
界面活性剤を用いる方法では、例えば、特定のアルコール及び/又はそのポリオキシアルキレン付加物を含有する紙用嵩高剤が開示されている(特許文献1参照)。また、非イオン界面活性剤を用いる方法がある(特許文献2参照)。また、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物からなる紙用嵩高剤(特許文献3参照)が開示されており、この紙用嵩高剤を板紙に応用した技術がある(特許文献4参照)。これらの界面活性剤を含有する嵩高剤の場合、界面活性剤による抄紙系内での泡の発生が問題になっている。
また、非界面活性剤系の嵩高剤の技術としては、例えば、特定構造のカチオン性化合物、アミン、アミンの酸塩及び両性化合物から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を含有する紙用嵩高剤が開示されている(特許文献5参照)。また、脂肪酸ポリアミドポリアミン型の嵩高剤もある。
これらの嵩高剤を内添した場合、嵩高剤のワイヤー上でのワンパス歩留りが低いために、ワイヤーを通過した嵩高剤が抄紙系内に次第に蓄積し、抄紙機インレットや白水中の嵩高剤濃度が高くなることにより、抄紙系内での汚れや泡の発生が問題となっていた。また、この汚れが製品に転移したり、紙の表面平滑性が損なわれたり、甚だしい場合には紙が切れることがあり、生産性が著しく低下するという問題を生じていた。
一般的に、内添抄紙薬品は比表面積の大きい微細繊維に定着しやすく、この微細繊維の歩留りを高めることにより、内添抄紙薬品の歩留りを改善できる。この観点から、硫酸バンドなどの無機凝結剤や各種成分の歩留向上剤を増配することにより、抄紙薬品の歩留りを向上させる対策が取られている。しかしながら、嵩高剤の場合、嵩高剤の微細繊維への定着強度は非常に弱く、可逆的な吸着であるので、これらの対策をとっても嵩高剤の歩留りを向上させることは困難である。この様な技術的な背景の中、製紙用嵩高剤の歩留りを向上させる技術の開発が切望されていた。
国際公開98/03730号パンフレット 特開平11-200283号公報 特許第2971447号公報 特許第3041294号公報 特開平11-269799号公報
本発明が解決しようとする課題は、嵩高剤の歩留りを高め、かつ抄紙系の汚れや泡の発生を低減でき、操業性が良好な嵩高紙の製造方法を提供することにある。
製紙用嵩高剤の水分散液と炭酸カルシウム系填料のスラリーを予め混合し、この混合液を紙料に添加し、抄紙することにより、嵩高剤の歩留りが高く、かつ抄紙系の汚れや泡の発生が少なく、嵩高紙製造の操業性が良好となる。製紙用嵩高剤の水分散液と炭酸カルシウム系填料のスラリーを予め混合することにより、該炭酸カルシウムの平均粒子径の2倍以上の平均粒子径を有する、嵩高剤−炭酸カルシウムの凝集物を生成させることがより好ましい。
嵩高剤のワイヤー上でのワンパス歩留りが向上し、抄紙系内における汚れや泡の発生が少なくなり、操業性が向上する。
本発明の嵩高紙の製造方法で使用できる製紙用嵩高剤は、その水分散液と炭酸カルシウム系填料のスラリーを予め混合した場合に、嵩高剤−炭酸カルシウムの凝集物を生成するものであれば良く、公知の製紙用嵩高剤から選択される。その中でも、製紙用嵩高剤の水分散液と炭酸カルシウム系填料のスラリーを予め混合することにより、該炭酸カルシウムの平均粒子径の2倍以上の平均粒子径を有する、嵩高剤−炭酸カルシウムの凝集物を生成するものがより好ましい。2倍未満の場合、本発明の嵩高剤の歩留まり向上効果が小さくなる。
嵩高剤−炭酸カルシウム凝集物の生成の判定、あるいは凝集物の平均粒子径の測定は次の方法による。
[嵩高剤−炭酸カルシウム凝集物生成の判定および凝集物平均粒子径の測定方法]
20固形分重量%の炭酸カルシウムのスラリーに、製紙用嵩高剤の水分散液を添加し、スターラーを用いて500rpmで5分間攪拌する。撹拌後の混合液を採取し、平均粒子径をレーザー散乱法(測定機種:Mastersizer 2000, MALVERN Instruments Ltd.)で測定し、混合前の炭酸カルシウムの平均粒子径と比較する。
製紙用嵩高剤の水分散液と炭酸カルシウム系填料のスラリーを予め混合することにより、該炭酸カルシウムの平均粒子径の2倍以上の平均粒子径を有する、嵩高剤−炭酸カルシウムの凝集物を生成し、かつ炭酸カルシウムへの嵩高剤の吸着率が高いものが更に好ましい。該吸着率は80%以上が最も好ましい。
嵩高剤−炭酸カルシウムの凝集物を生成する製紙用嵩高剤の具体例として、例えば、特許第2971447号公報に記載の公知の紙用嵩高剤を挙げることができる。この嵩高剤は、多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物、及び多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物であって当該エステル化合物1モル当たり平均で0モル超12モル未満の炭素数2〜4のオキシアルキレン基を有するエステル化合物、から選ばれる。1モルの多価アルコール当たりアルコール中のOHが10〜95当量%エステル置換され、HLBが1〜14、融点が100℃以下のエステル化合物からなる紙用嵩高剤である。
この紙用嵩高剤を構成する多価アルコールの脂肪酸エステル(a)の多価アルコールは、エーテル基を含んでいてもよい総炭素数2〜24の2〜14価アルコールが好ましい。2価アルコールとしては、エーテル基を含んでいてもよい総炭素数2〜10のもの、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールが、3価以上のアルコールとしては、エーテルを有していてもよい総炭素数3〜24のアルコールで、1分子中の総水酸基数/総炭素数=0.4〜1であるもの、例えばグリセリン、ポリ(n=2〜5)グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アラビトール、ソルビトール、スタキオース、エリトリット、アラビット、マンニット、グルコース、ショ糖などが挙げられる。好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エーテル基を有していてもよい総炭素数3〜12のアルコールで、1分子中の水酸基数/総炭素数=0.5〜1である3価以上のアルコールである。更に好ましくはグリセリン、ポリ(n=2〜4)グリセリン、ペンタエリスリトールである。
また、多価アルコールの脂肪酸エステル(a)を構成する脂肪酸は、炭素数1〜24、好ましくは炭素数10〜22の脂肪酸が挙げられ、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れでもよく、特に直鎖飽和脂肪酸が好ましい。更に好ましくは、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸である。
多価アルコールの脂肪酸エステル(a)は、従来公知のエステル化反応及びアルキレンオキサイド付加反応を行うことで得ることができる。例えば、脂肪酸と多価アルコールの混合物に要すればエステル化触媒を添加し、150 〜250 ℃で反応させることによりエステル化合物が得られ、更にアルカリ触媒等の存在下にアルキレンオキサイドを付加することにより、アルキレンオキサイド付加物が得られる。また、脂肪酸あるいは多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加後、エステル化してもよい。更に脂肪酸にアルキレンオキサイド付加のみを行って得られる場合もある。
多価アルコールの脂肪酸エステル(a)のエステル平均置換度は0よりも大きく、好ましくは1モルの多価アルコール当たり、アルコール中のOHが10〜95当量%置換されたものであり、特には1モルの多価アルコール当たり1〜2モルの脂肪酸基を有するものである。
多価アルコールの脂肪酸エステル(a)は、HLBが1〜14、好ましくは1.5〜10、更に好ましくは2.5〜6の範囲内にある。融点は100℃以下であり、好ましくは−15℃以上80℃以下、更に好ましくは20℃以上70℃以下である。
界面活性剤(b)は公知のものを使用することができ、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、ポリマー系、好ましくはノニオン系の界面活性剤である。
多価アルコールの脂肪酸エステル(a)と界面活性剤(b)との比率は、(a)/(b)=99.5/0.5〜70/30(重量比)、好ましくは98/2〜80/20である。
製紙用嵩高剤の水分散液と混合する炭酸カルシウムは、填料として使用できるものであれば良く、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが使用される。この中でも、得られる嵩高紙の不透明度や嵩高性を高める観点から、軽質炭酸カルシウムが好ましく、紡錘状の1次粒子が凝集した形状であり、かつ平均粒子径が0.5 ~ 5.0μmの軽質炭酸カルシウムが更に好ましく使用される。
製紙用嵩高剤の水分散液の固形分濃度は0.1〜30重量%であり、炭酸カルシウムスラリーの固形分濃度は1〜30重量%である。紙料に対する製紙用嵩高剤の固形分添加量は、製造する嵩高紙の密度(嵩高度合)の目標値で決定されるが、通常はパルプの絶乾重量に対して0.1〜25固形分重量%であり、更に0.1〜10固形分重量%が好ましいである。一方、紙料に対する炭酸カルシウムの固形分添加量は製造する嵩高紙の紙中填料率(灰分)の目標値で決定されるが、通常はパルプの絶乾重量に対して1〜40固形分重量%であり、さらに1〜30固形分重量%が好ましいである。従って、製紙用嵩高剤と炭酸カルシウムの固形分混合比率は、炭酸カルシウム100重量部に対して製紙用嵩高剤0.1〜25重量部の範囲に限定され、さらに0.1〜10重量部の範囲は好ましいである。本発明における製紙用嵩高剤と炭酸カルシウムの固形分混合比率は、この混合比率内で、前記のように、嵩高剤−炭酸カルシウムの凝集物が生成するように混合比率を設定する必要がある。また、混合前の炭酸カルシウムの平均粒子径の2倍以上の平均粒子径を有する嵩高剤−炭酸カルシウムの凝集物を生成するように、混合比率を設定することがより好ましい。この混合比率は製紙用嵩高剤の種類により異なってくるが、炭酸カルシウム100重量部に対して製紙用嵩高剤を2重量部以上とすることが好ましい。
なお、填料として添加する炭酸カルシウムの全量に製紙用嵩高剤を混合しても良いし、填料として添加する炭酸カルシウムの一部に製紙用嵩高剤を混合しても良い。
製紙用嵩高剤の水分散液と炭酸カルシウムスラリーの混合に用いる装置は、両液を充分に混合できるものであれば良く、特に限定は無いが、例えば、スタティックミキサー、ホモミキサー、高圧吐出型ホモジナイザー、超音波乳化機等の公知の混合装置が挙げられる。
混合装置により調製された混合液は、一時貯蔵した後、紙料へ添加することもできるし、混合液調製後、直ちに連続的に紙料へ添加することもできる。
本発明の嵩高紙の製造方法を適用する紙は、填料として少なくとも炭酸カルシウムを配合する紙であり、従って、中性抄紙またはアルカリ性抄紙の抄紙方法で製造される紙である。紙の種類には限定は無く、新聞用紙、印刷・情報用紙(上級、中級、下級、薄葉印刷用紙等の非塗工印刷用紙、色上質、葉書用紙等の特殊印刷用紙、複写用紙、感光紙用紙、フォーム用紙、PPC用紙、情報記録用紙等の情報用紙)、包装用紙、板紙、各種原紙(塗工原紙、微塗工原紙、軽量塗工原紙、インクジェット記録用紙原紙等)等、いずれの種類の紙にも適用できる。その中でも、嵩高性が特に要望されている書籍用紙、雑誌用紙等に好適に適用できる。
従って、本発明で製造される嵩高紙の原料パルプは、前記の各種類の紙に通常使用されているパルプであれば良く、特に限定は無い。ケミカルパルプ(CP)、砕木パルプ(GP)、ケミグラウンドパルプ(CGP)、リファイナーグラウンドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、セミケミカルパルプ(SCP)等の各種製造方法のパルプ、また、これらの針葉樹、広葉樹パルプ、あるいは晒、未晒パルプ、更に脱墨パルプ(DIP)等を紙の種類に応じて適宜配合したパルプである。
紙の種類に応じて必要であれば、公知の内添中性サイズ剤を使用でき、アルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤から選ばれる少なくとも1種類のサイズ剤を使用する。また、填料としては、軽質炭酸カルシウム以外に、本発明の嵩高紙の嵩高性を損なわない範囲内で、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等から選ばれる1種類以上を併用することができる。
製紙用嵩高剤の水分散液と炭酸カルシウムスラリーの混合液を添加する場所は抄紙工程以前であれば特に制限されるものではないが、好ましくはミキシングチェストや二次ファンポンプ前などであり、歩留向上剤を添加する前が良い。
本発明の嵩高紙の製造方法において、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性の歩留まり剤、濾水度向上剤、紙力向上剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物や、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等が内添されてもよい。その他製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
抄紙機の型式は特に限定は無く、長網抄紙機、ツインワイヤー機、ヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できる。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。表面処理剤は塗布しても良いし、しなくても良い。表面処理剤を塗布する場合、サイズプレスの型式も限定はなく、2ロールサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、シムサイザーのような液膜転写方式サイズプレスなどを適宜用いることができる。キャレンダーは通常の操業範囲内の線圧で用いられるが、嵩高紙を製造する観点から、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧またはバイパスが好ましく、また、通常のキャレンダーよりもソフトキャレンダーが好ましい。
表面処理剤を塗布する場合に使用する表面処理剤の種類は、特に限定は無く、例えば、生澱粉や、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉などの変性澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール、スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用できる。その中でも表面強度向上効果にすぐれるヒドロキシエチル化澱粉の塗布が最も好ましい。また、表面処理剤には前記の薬剤の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を併用塗布することができる。また、表面処理剤の塗布量も特に限定は無く、製造する嵩高紙に要求される表面強度やサイス性に応じて、適宜塗布量を決定する。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の例における部は特記しない限り重量基準である。
1.供試した製紙用嵩高剤
(1)多価アルコールの脂肪酸エステルと界面活性剤の混合物:KB-115(花王株式会社製)
2.他の供試原料
(1)原紙パルプ:LBKP(CSF400ml)
(2)内添サイズ剤:AS263(星光PMC株式会社製)
(3)填料:軽質炭酸カルシウA(紡錘状の1次粒子が凝集したもの、平均粒子径3.2μm、日本製紙株式会社製)
(4)カチオン化澱粉:CATO315(日本エヌエスシー株式会社製)
(5)歩留向上剤:NR-12MLS(ハイモ株式会社製)、FA230(ハイモ株式会社製)
3.嵩高剤−炭酸カルシウム凝集物生成の判定および凝集物平均粒子径の測定方法
20固形分重量%の炭酸カルシウムのスラリーに、製紙用嵩高剤の水分散液を添加し、スターラーを用いて500rpmで5分間攪拌する。撹拌後の混合液を採取し、平均粒子径をレーザー散乱法(測定機種:Mastersizer 2000, MALVERN Instruments Ltd.)で測定する。
4.炭酸カルシウムへの嵩高剤の吸着率の測定
炭酸カルシウムと嵩高剤との混合液を24時間静置し自然沈降させた後に、一定量の上澄み液を採取し、このTOC(島津株式会社製、機種TOC-V CPH)を測定し、炭酸カルシウムへの嵩高剤の吸着率を下記式(1)で計算した。
炭酸カルシウムへの嵩高剤の吸着率
=(1―上澄み液の嵩高剤検出濃度/添加嵩高剤濃度)×100%…式(1)
5.手抄き紙の作成方法
LBKPに各種薬品を所定量添加した後に、固形分濃度0.5%に調製した。プレスを行わず湿紙を作成した後に、シリンダードライヤーで乾燥したこと以外は、JIS P 8209に準拠して手抄き紙を作成した。
6.手抄き紙中の嵩高剤量の測定
オンラインメチル化熱分解ガスクロマトグラフィー(HEWLETT PACKARD株式会社製、機種HP6890 GC System)で定量した。熱分解ガスクロマトグラフィーの条件は次の通り。
初期 :温度50℃、保持時間3.0min
1段目:昇温速度8.0℃/min、昇温後温度280℃、保持時間0.0min
2段目:昇温速度20.0℃/min、昇温後温度320℃、保持時間6.0min
サンプル重量:約0.5μg。
[実施例1]
20固形分重量%の軽質炭酸カルシウムAのスラリーに、嵩高剤KB115を軽質炭酸カルシウム固形分重量に対し2.8%添加し、スターラーを用いて500rpmで5分間撹拌し混合液を調製した。混合液中には嵩高剤−軽質炭酸カルシウムAの凝集物が生成しており、その平均粒子径は8.9μmであった。また、軽質炭酸カルシウムAへのKB115の吸着率は99.4%であった。LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、紙中填料率(灰分)20%目標で嵩高剤−軽質炭酸カルシウムの混合液を添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
20固形分重量%の軽質炭酸カルシウムAのスラリーに、嵩高剤KB115を軽質炭酸カルシウム固形分重量に対し5.6%添加し、スターラーを用いて500rpmで5分間撹拌し混合液を調製した。混合液中には嵩高剤−軽質炭酸カルシウムAの凝集物が生成しており、その平均粒子径は10.1μmであった。また、軽質炭酸カルシウムAへのKB115の吸着率は90.8%であった。LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、紙中填料率20%目標で嵩高剤−軽質炭酸カルシウムの混合液を添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
20固形分重量%の軽質炭酸カルシウムAのスラリーに、嵩高剤KB115を軽質炭酸カルシウム固形分重量に対し8.4%添加し、スターラーを用いて500rpmで5分間撹拌し混合液を調製した。混合液中には嵩高剤−軽質炭酸カルシウムAの凝集物が生成しており、その平均粒子径は14.2μmであった。また、軽質炭酸カルシウムAへのKB115の吸着率は93.9%であった。LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、紙中填料率20%目標で嵩高剤−軽質炭酸カルシウムの混合液を添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
[実施例4]
20固形分重量%の軽質炭酸カルシウムAのスラリーに、嵩高剤KB115を軽質炭酸カルシウム固形分重量に対し11.2%添加し、スターラーを用いて500rpmで5分間撹拌し混合液を調製した。混合液中には嵩高剤−軽質炭酸カルシウムAの凝集物が生成しており、その平均粒子径は14.6μmであった。また、軽質炭酸カルシウムAへのKB115の吸着率は88.3%であった。LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、紙中填料率20%目標で嵩高剤−軽質炭酸カルシウムの混合液を添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、紙中填料率20%目標で軽質炭酸カルシウムAを添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、嵩高剤KB115を1%、紙中填料率20%目標で軽質炭酸カルシウムAを添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、嵩高剤KB115を2%、紙中填料率20%目標で軽質炭酸カルシウムAを添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
[比較例4]
LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、嵩高剤KB115を3%、紙中填料率20%目標で軽質炭酸カルシウムAを添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
[比較例5]
LBKP絶乾重量に対し、硫酸バンドを0.24%、カチオン化澱粉CATO315を0.6%、AKDサイズ剤AS263を0.12%、PAM系紙力剤を0.19%、嵩高剤KB115を4%、紙中填料率20%目標で軽質炭酸カルシウムAを添加し、次いで歩留向上剤(銘柄:NR-12MLS)を0.01%添加し、この紙料から手抄き紙を作成した。この手抄き紙の紙質と紙中の嵩高剤量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004324071
実施例1と比較例1とは嵩高剤を1%添加したものであるが、軽質炭酸カルシウムと嵩高剤とを混合後、添加した実施例1のほうが、紙中嵩高剤量が大幅に増加しており、嵩高剤の歩留まりが高いことが解る。また、紙中嵩高剤量の増加に伴い、紙の密度が大きく低下し嵩高になっていることが解る。実施例2と比較例2との比較、実施例3と比較例3との比較、実施例4と比較例4との比較でも、同様のことが言える。軽質炭酸カルシウムと嵩高剤とを混合し、この混合液を紙料へ添加する本発明の嵩高紙の製造方法により、嵩高剤の歩留まりが飛躍的に高まることから、嵩高剤を効率良く使用できる。従って、軽質炭酸カルシウムと嵩高剤とを紙料へ別々に添加する従来の製造方法に比較して、紙の目標密度を一定とした場合、嵩高剤の添加量を低減できる。更に抄紙系内での嵩高剤の蓄積が低減され、抄紙系内での汚れや発泡が低減でき、操業性が改善される。

Claims (2)

  1. 多価アルコールと脂肪酸のエステル(a)と界面活性剤(b)から成る製紙用嵩高剤の水分散液と、填料として紡錘状の1次粒子が凝集した形状であり、かつ平均粒子径が0.5〜5.0μmである軽質炭酸カルシウムのスラリーを混合し、この混合液を紙料に添加し、抄紙することを特徴とする嵩高紙の製造方法。
  2. 製紙用嵩高剤の水分散液と炭酸カルシウム系填料のスラリーとの混合により、該炭酸カルシウムの平均粒子径の2倍以上の平均粒子径を有する凝集物を生成させることを特徴とする請求項1記載の嵩高紙の製造方法。
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