JP7154705B2 - ケテンダイマー系エマルションサイズ剤、及び紙の製造方法 - Google Patents

ケテンダイマー系エマルションサイズ剤、及び紙の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はアルキルケテンダイマー系製紙用サイズ剤および当該アルキルケテンダイマー系製紙用サイズ剤を用いる紙の製造方法に関する。
紙や板紙にサイズ性を付与するためにアルキルケテンダイマー系エマルションサイズ剤が使用されているが、アルキルケテンダイマーが加水分解性の化合物であるために十分な製品安定性が確保できないことが多い。そのため、安定な製品を得るべく様々な検討がなされおり、その分散剤としてカチオン化澱粉やカチオン性のポリアクリルアミドが主に使用されてきた(特許文献1~4参照)。
これらの発明によるサイズ剤は、性能が良好で製紙業界に貢献してきた。しかし、近年の製紙工程における、(1)安価填料である炭酸カルシウムの利用や増配合による抄紙pHの上昇、(2)古紙使用比率の増加、更には(3)抄紙排水低減のための抄紙系クローズド化により製紙薬品の効果が発現し難い状況に変化してきている。具体的には、アニオン性夾雑物によるサイズ剤の凝集やカチオン成分の失活が原因でパルプ繊維へのサイズ剤の分散定着が著しく阻害され、従来のサイズ剤ではサイズ効果が低下する傾向にある。
また、これらのサイズ剤は硫酸バンドを添加しない抄造条件で良好なサイズ効果を得るべく発明されたものであるが、現在の抄造方法ではこれらの自己定着性を付与するべくカチオン性を付与したアルキルケテンダイマー系サイズ剤でも硫酸バンドを添加した方がより良好なサイズ性能が得られるため、現在の一般的な製紙工程では硫酸バンドを使用している。このことから、従来のアルキルケテンダイマー系サイズ剤は、現在の製紙条件に十分に適合しておらず、現在の抄造条件に適合したアルキルケテンダイマー系サイズ剤は殆ど検討されてこなかった。
さらに、現在の製紙業界は競争が激化しており、低コストで紙を製造するべく、様々なコストダウンのための検討がなされており、製紙業界では、これらの従来のアルキルケテンダイマー系サイズ剤よりも使用量を低減しつつ、より高いサイズ効果が付与可能な高性能なアルキルケテンダイマー系サイズ剤が切望されていた。
特開昭59-026592号公報 特開昭60-088196号公報 特公平6-78462号公報 特公平6-78463号公報
本発明は、炭酸カルシウム等の灰分やアニオン性夾雑物の存在下においても凝集しにくく安定性が良好であり、製紙工程における汚れなどの問題が発生し難く、紙に良好なサイズ効果を付与することができるアルキルケテンダイマー系エマルションサイズ剤を提供することを目的とするものである。
前述の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、アルキルケテンダイマーと、所定の両性ポリアクリルアミドとを用い水性エマルションとすることで、より安定性に優れ且つサイズ性能が良好なアルキルケテンダイマー系サイズが得られ、内添サイズ剤としても表面サイズ剤としても、さらには塗工による優れた撥水効果が得られることを見出し本発明の課題解決に至った。
すなわち、本発明は、
[1]アルキルケテンダイマー(A)と、
次のモノマー(b1)~(b4):
(b1)(メタ)アクリルアミド
(b2) ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上
(b3)(メタ)アクリロイルオキシ(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩及び/または(メタ)アクリルアミド(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩
(b4)不飽和カルボン酸類またはその塩
を必須の構成単位とする共重合体である両性ポリアクリルアミド(B)とを含有する、製紙用エマルションサイズ剤。
[2]アルキルケテンダイマー(A)と両性ポリアクリルアミド(B)とを、質量比で(A)/(B)=75/25~97/3の割合で含有する、[1]に記載の製紙用エマルションサイズ剤。
[3]両性ポリアクリルアミド(B)のモノマー構成が(b1)が50~95重量%、(b2)が2~30重量%、(b3)が0.01~10重量%(b4)が1~25重量%の共重合体であるポリアクリルアミドを含有する水性エマルションからなる[1]又は[2]に記載の製紙用エマルションサイズ剤。
[4]アルキルケテンダイマー(A)が下記一般式(1)で表される化合物である[1]から[3]のいずれかに記載の製紙用エマルションサイズ剤。
Figure 0007154705000001
(式中のRおよびRは、それぞれ飽和または不飽和のアルキル基を表し、同一であっても異なってもよい。)
[5]さらに水溶性アルミニウム化合物を含有する、[1]から[4]のいずれかに記載の製紙用エマルションサイズ剤。
[6][1]から[5]のいずれかにおける製紙用エマルションサイズ剤をパルプスラリーへ添加しサイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法。
[7][1]から[5]のいずれかにおける製紙用エマルションサイズ剤を紙に塗工してサイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法。
に関する。
本発明の製紙用エマルションサイズ剤は、灰分やアニオン性夾雑物の存在下においても凝集することなく安定な粒子を維持できる。そのため、パルプ繊維に均一に分散、定着して溶融することで優れたサイズ効果を付与することができる。また、用水や塗工液中の汚れなどの問題が発生し難く、操業性に優れる。
本発明を以下に更に詳しく説明する。
なお、本明細書において「(ヒドロキシ)アルキル」とは、アルキルまたはヒドロキシアルキルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタアクリルアミドを意味する。
本発明におけるアルキルケテンダイマー(A)としては、下記一般式(1)で表されるアルキルケテンダイマーを使用できる。
Figure 0007154705000002
(式中、RおよびRは、それぞれ飽和または不飽和の炭化水素基を表し、同一であっても異なっても構わない。)
また、サイズ効果の発現に適した炭化水素基として、炭素数が8~30程度のものが好ましい。具体的には、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基などのアルキル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基等のアルケニル基などが挙げられる。なお、当該アルキルケテンダイマーは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
本発明における両性ポリアクリルアミド(B)は、次のモノマー(b1)~(b4)の共重合体である。
(b1)(メタ)アクリルアミド
(b2) ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上
(b3) (メタ)アクリロイルオキシ(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩及び/または(メタ)アクリルアミド(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩
(b4) アニオン性モノマーまたはその塩
(b1)(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(C1~2)(メタ)アクリルアミドなどが例示でき、安定な分散剤としての効果が得られる点で両性ポリアクリルアミド中の共重合割合は好ましくは50~95重量%、より好ましくは60~94重量%使用できる。
(b2)ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレートとしては、下記一般式(2):
Figure 0007154705000003
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数2~4のアルキレン基または炭素原子数2~4のヒドロキシアルキレン基、RおよびRはそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)
で表される化合物、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、などが挙げられ、これらの中でもジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。(B)両性ポリアクリルアミド中の共重合割合は製品安定性や経済性等の点で2~30重量%が好ましく、4~25重量%がより好ましい。また、これらは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。さらに、これらの無機酸或いは有機酸でアミノ基の全部または一部を中和塩類として用いることができる。
(b3)(メタ)アクリロイルオキシ(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩及び又は(メタ)アクリロイルアミド(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩としては、下記一般式(3):
Figure 0007154705000004
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素原子数2~4のアルキレン基または炭素原子数2~4のヒドロキシアルキレン基、R、R10およびR11はそれぞれ独立して炭素原子数1~3のアルキル基、Xは陰イオンを表す。)
で表される化合物、例えば、前記の(b2)ジメチルアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート及び又はジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド(塩)のハロゲン化ベンジルによる4級化物で、ハロゲン化ベンジルとしてはフッ化ベンジル、塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジルなどが挙げられ、(B)両性ポリアクリルアミド中の共重合割合は高pHでの安定性、サイズ効果及び乳化力の点で0.01~10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.02~8重量%である。
次に使用する(b4)不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびそれらの塩から選ばれる少なくとも1種のモノマーであり2種以上併用することができる。(B)ポリアクリルアミドへの共重合割合は硫酸バンドとの反応性、サイズ効果、乳化力及び製品安定性の点で1~25重量%が好ましく、さらに好ましくは2~20重量%である。
またこれらのモノマー以外にも、スチレン或いはその誘導体、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、メルカプタン類、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアルキルスルホン酸、システアミン塩酸(塩)、メルカプトプロピオン酸(塩)、チオグリコール酸(塩)、チオ酢酸(塩)チオリンゴ酸(塩)、チオグリコール酸アルキルエステル及びメルカプトプロピオン酸アルキルエステル、チオグリコール酸誘導体や多価メルカプト化合物、テルピノレン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、メチレンビスアクリルアミドなどの架橋剤、α-メチルスチレン、α-メチルスチレン2量体など前述の(b1)~(b4)のモノマーと反応する化合物も分散剤としての性能を阻害しない範囲で使用できる。
両性ポリアクリルアミド(B)の製造における重合方法については、溶液重合、乳化重合、懸濁重合など従来公知の方法で行うことができる。溶液重合の場合は水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ターシャルブチルアルコールなどの低級アルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン等の溶剤を使用して重合する。これらの溶剤において2種以上併用して使用することも可能である。乳化重合の場合は公知のアニオン性及び/又はノニオン性界面活性剤を使用し、前記溶剤下において重合をする。
ラジカル重合触媒としては、公知のものが使用できる。例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩、これら過硫酸塩と還元剤との組み合わせによるレドックス系重合触媒、あるいは2,2’-アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系触媒、もしくは過酸化水素、t-ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物を挙げることができる。
両性ポリアクリルアミド(B)は分散剤としての性能を阻害しない範囲で、アルカリ性領域で次亜塩素塩を反応させるホフマン分解反応やホルムアルデヒドおよびアミン類を反応させるマンニッヒ反応を行い変性することも可能である。
両性ポリアクリルアミド(B)の粘度及び重量平均分子量(Mw)は、経時安定性及び乳化性の点で好ましくは20重量%で50~1,000mPa・s、Mw1,000~700,000、より好ましくは100~600mPa・s、Mw10,000~300,000、特に好ましくは200~500mPa・s、Mw100,000~200,000である。
本発明によるケテンダイマー系サイズ剤は、両性アクリルアミド(B)を使用して前記アルキルケテンダイマー(A)を水中に乳化分散させて得られるが、十分な乳化力が得られる点で(B)成分の好ましい使用量は質量比で(A)/(B)=75/25~97/3、より好ましくは(A)/(B)=80/20~95/5である。
ケテンダイマー系物質を乳化する方法は、特に限定されず公知の方法が利用可能である。例えば、転相乳化法、溶剤乳化法、機械乳化法などいずれの方法でも乳化することができる。剪断力、圧力などの乳化条件を最適化させることにより、望まれる粒子径および粒度分布の乳化物を得ることができる。
また、乳化の際には、前述の両性ポリアクリルアミド(B)と共にアニオン性分散剤を使用して乳化してもよい。アニオン性分散剤としては公知の分散剤または高分子系共重合体型分散剤を使用することが可能である。使用可能なアニオン性分散剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ナフタレン系スルホン酸塩、ASAのアルカリ塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、スチレン-メタクリル酸系共重合体や(メタ)アクリルアミド系共重合体、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物などが挙げられ、これらの中ではナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物が好ましく、添加量としては、得られるアルキルケテンダイマー系サイズ剤の固形分100重量部に対し、0.05~10重量部が好ましい。
また、アニオン性分散剤の他にも本発明のアルキルケテンダイマー系サイズの性能を阻害しない範囲で、ノニオン性分散剤や両性分散剤なども使用することも可能である。
さらに、乳化の際には水溶性アルミニウム化合物を添加することが好ましい。水溶性アルミニウム化合物は、ケテンダイマー系物質を乳化する際又は乳化した後に添加することができ、これを含有することによりケテンダイマー系サイズ剤の経時安定性やサイズ性能が向上することができる。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムおよびこれらの重合体などが挙げられ、これらの中では硫酸アルミニウムが好ましい。添加量としては、得られるアルキルケテンダイマー系サイズ剤の固形分100重量部に対し、0.5重量部~5重量部が好ましい。また、硫酸バンド以外にも、塩化アルミニウム化合物や硝酸アルミニウム化合物およびこれらの重合体などケテンダイマー系サイズ剤に使用される公知のものを用いることができるが、硫酸アルミニウムを用いることが、経済的に好ましい。
こうして得られる本発明のケテンダイマー系サイズ剤は、通常固形分が10~40重量%、粘度10~100mPa・s(25℃、BM型粘度計)、pH2.5~6.0、平均粒子径0.3~2.0μm(レーザー回折/散乱式粒度測定装置)のものである。
次に、前述のようにして得られたケテンダイマー系エマルションサイズ剤を使用して内添サイズ剤としてサイジングを行う方法を説明する。サイジングに用いるパルプ原料としては、クラフトパルプ、サルファイトパルプなどの晒あるいは未晒化学パルプ、グランドパルプ、メカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプなどの晒あるいは未晒メカパルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙あるいは脱墨古紙などの古紙のいずれも使用することができる。特に制限はないが硫酸バンドを使用することが好ましい。硫酸バンドの添加量はパルプ固形分に対し0.01~2.0%、さらに好ましくは0.5%~1.5%の範囲である。また他の添加薬剤としてはカチオン化澱粉、澱粉、填料、染料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、消泡剤なども、必要に応じて使用することも可能である。
内添サイズ剤の添加場所は特に制限はないが、硫酸バンドの添加後でパルプとの撹拌が良好な場所が好ましい。内添サイズ剤としての添加量は特に制限はないが、対パルプ固形分で0.02~1.0重量%の範囲である。
また、表面サイズ剤としてサイジングに使用する場合は、紙種に特に制限はなく、抄造紙に対してサイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、キャレンダーなどで、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、APS変性澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉などの公知の澱粉類、ポリビニルアルコールなどと混合し塗工することで使用できる。さらに必要に応じて、消泡剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、増粘剤、pH調整剤、酸化防止剤、増膜助剤、顔料、染料などの公知の添加剤も使用することができる。表面サイズ剤の塗工量に特に制限はないが、好ましくは0.001~2g/mの範囲である。
こうして本発明によるケテンダイマー系サイズ剤を使用し、開示されたサイジング方法でサイジングされた紙は、従来のケテンダイマー系サイズ剤を使用した際の紙に比べ、さらに良好なサイズ効果が得られる。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、重量平均分子量の測定は下記条件により行った。
測定器:東ソー(株)製 GPC-8020 modeIII
カラム:(株)東ソーGPWXL
測定温度:40℃
検出器:示差屈折計
また、粘度の測定にはB型粘度計(株式会社東京計器製 形式:BM)を使用した。
<両性ポリアクリルアミドの合成>
合成例1
ビーカーにジメチルアミノエチルメタクリレート19.6部と硫酸6.3部とを加え混合し、pHが7.0以下となっていることを確認した。その後、40%アクリルアミド368部、メタリルスルホン酸ソーダ9.8部、75%ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロライド4級化物13.1部、イタコン酸9.8部を加え混合した。次に、温度計、冷却器、攪拌機、窒素導入管を備えた五つ口フラスコに水500部を加えて80℃まで加温し、過硫酸カリウムを3.9部添加後に、モノマー水溶液を1時間で滴下し反応を行った。その後、濃度調整を行うことで固形分20%、Mw190,000、粘度300mPa・sの両性ポリアクリルアミドB-1の水性分散体を得た。
合成例2
ビーカーにジメチルアミノエチルアクリレート19.6部と硫酸6.5部とを加え混合し、pHが7.0以下となっていることを確認した。その後、40%アクリルアミド368部、スチレンスルホン酸ソーダ9.8部、75%ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級化物13.1部、アクリル酸9.8部、メルカプトプロピオン酸6部を加え混合した。次に、温度計、冷却器、攪拌機、窒素導入管を備えた五つ口フラスコに水500部を加えて80℃まで加温し、過硫酸カリウムを3.9部添加後にモノマー水溶液を1時間で滴下し反応を行った。その後、濃度調整を行うことで固形分20%、Mw158,000、粘度250mPa・sの両性ポリアクリルアミドB-2の水性分散体を得た。
合成例3~8
合成例1と同様の操作で、表1に示すモノマー成分で(B)両性ポリアクリルアミドB-3~B-8の水性分散体を得た。
比較合成例1~6
合成例1と同様の操作で、表2に示すモノマー成分で両性ポリアクリルアミドC-1~C-6の水性分散体を得た。
なお、各合成例および比較合成例の重合pH調整用の硫酸の量は、適宜変更した。
Figure 0007154705000005
Figure 0007154705000006
表中の略号の意味は、以下の通りである。
AAM:アクリルアミド
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMBQ:ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロリド4級化物
DMMQ:ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド4級化物
DA:ジメチルアミノエチルアクリレート
DABQ:ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド4級化物
DMAPAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
DMAPAABQ:ジメチルアミノプロピルアクリルアミドベンジルクロリド4級化物
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
SMAS:メタリルスルホン酸ソーダ
NaSS:スチレンスルホン酸ソーダ
MPA:メルカプトプロピオン酸
<ケテンダイマー系サイズ剤の製造>
製造例1
2Lビーカーにアルキルケテンダイマーとしてパルミチン酸クロライド60%、ステアリン酸クロライド40%の混合物を2量体化したものを142部、合成例1で得られた両性ポリアクリルアミドB-1の水性分散体を200部、アニオン性分散剤としてナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(ルノックス1500A 40%水溶液 東邦化学工業(株))を20部、50%硫酸アルミニウム水溶液20部、水600部を仕込み、70~75℃で溶解し、高圧ホモジナイザー(APV、GAULIN社製)で乳化させ、30℃以下まで冷却し、固形分濃度20%のケテンダイマー系サイズ剤を得た。
製造例2~5、比較製造例1~6
両性ポリアクリルアミドB-1の水性分散体の代わりに合成例2~5、比較例1~5の両性ポリアクリルアミドB-2~B-8、C-1~C-6を使用した以外は製造例1と同様の操作で、ケテンダイマー系サイズ剤を得た。
製造例6
製造例1のケテンダイマー系物質を172部、両性ポリアクリルアミドB-1の水性分散体の代わりに合成例6で得た両性ポリアクリルアミドB-6の水性分散体を50部使用した以外は製造例1と同様の操作で、ケテンダイマー系サイズ剤を得た。
製造例7,8
製造例1のケテンダイマー系物質を180部、両性ポリアクリルアミドB-1の水性分散体の代わりに合成例7,8で得た両性ポリアクリルアミドB-7、B-8の水性分散体を100部使用した以外は製造例1と同様の操作で、ケテンダイマー系サイズ剤を得た。
製造したサイズ剤の性状及び効果を、以下に示す方法にて評価した。結果を表3に示す。
<粒子径の測定>
島津製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置SALD-2100で測定した。測定した粒子径はメディアン径である。
<経時安定性の評価>
製造例1~8および比較製造例1~6で得られたケテンダイマー系サイズ剤を40℃および25℃の恒温槽に静置し、1カ月間保管し安定性を確認した。
<DIP用水中での凝集性>
DIPスラリー(灰分5%)をNo.2ろ紙でろ過し、DIP用水(ドイツ硬度34°)を採取した。この用水中に製造例および比較製造例で得られたケテンダイマー系サイズ剤を添加し、凝集するかを目視で評価した。
<手抄き試験によるサイズ効果の評価>
カナディアン・スタンダード・フリーネス320ccの脱墨パルプを絶乾固形分2%のパルプスラリーとし、全紙用薬品添加後のパルプスラリーがpH6.5となるような量の水酸化ナトリウムを添加した。このパルプスラリーに絶乾パルプに対して1.5%の硫酸バンド、0.5%のカチオン化澱粉を添加し、0.2%の上記実施例で得たケテンダイマー系サイズ剤を添加した。その後、パルプ濃度0.2%まで希釈するとともに、23%の炭酸カルシウム水溶液を添加し、歩留り剤としてカチオン性アクリルアミド添加した。JIS丸型抄紙機でJIS P8222に準拠して坪量80g/mとなるように抄紙した。湿紙の乾燥はドラムドライヤーを用いて100℃で30秒間乾燥させた。得られたサイジング紙をJIS P8111に準拠して調湿し、JIS P8122に準拠して試験紙のステキヒトサイズ度を測定した。
<塗工試験によるサイズ効果の評価>
酸化澱粉(王子エースA 王子コーンスターチ(株)製)を固形分濃度15%として95℃で澱化したものおよび製造例および製造比較例で得たケテンダイマー系サイズ剤と水を用い、酸化澱粉濃度10%、ケテンダイマー系サイズ剤濃度0.1%の塗工液を得た。得られた塗工液を未塗工の中性上質紙(坪量80g/m)にサイズプレス機で塗工した。尚、塗工量は酸化澱粉2g/m、ケテンダイマー系サイズ剤0.02g/mであった。次に湿紙の乾燥はドラムドライヤーを用いて100℃で90秒間乾燥させた。得られたサイジング紙をJIS P8111に準拠して調湿し、JIS P8122に準拠して試験紙のステキヒトサイズ度を測定した。
Figure 0007154705000007
表3から分かるように、本発明のケテンダイマー系サイズ剤は、比較例のサイズ剤に比べ、安定性に優れ、優れたサイズ効果を有することが確認できる。

Claims (7)

  1. アルキルケテンダイマー(A)と、
    次のモノマー(b1)~(b4):
    (b1)(メタ)アクリルアミド
    (b2) ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上
    (b3)(メタ)アクリロイルオキシ(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩及び/または(メタ)アクリルアミド(ヒドロキシ)アルキルジアルキルベンジルアンモニウム塩
    (b4)不飽和カルボン酸類またはその塩
    を必須の構成単位とする共重合体である両性ポリアクリルアミド(B)とを含有する、製紙用エマルションサイズ剤。
  2. アルキルケテンダイマー(A)と両性ポリアクリルアミド(B)とを、質量比で(A)/(B)=75/25~97/3の割合で含有する、請求項1に記載の製紙用エマルションサイズ剤。
  3. 両性ポリアクリルアミド(B)のモノマー構成が、(b1)が50~95重量%、(b2)が2~30重量%、(b3)が0.01~10重量%(b4)が1~25重量%である、請求項1又は請求項2に記載の製紙用エマルションサイズ剤。
  4. アルキルケテンダイマー(A)が下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1から3のいずれかに記載の製紙用エマルションサイズ剤。
    Figure 0007154705000008
    (式中のRおよびRは、それぞれ飽和または不飽和のアルキル基を表し、同一であっても異なってもよい。)
  5. さらに水溶性アルミニウム化合物を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の製紙用エマルションサイズ剤。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかにおける製紙用エマルションサイズ剤をパルプスラリーへ添加し、サイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法。
  7. 請求項1から請求項5のいずれかにおける製紙用エマルションサイズ剤を紙に塗工してサイジングを行うことを特徴とする紙の製造方法。
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