1…運転支援装置、10…路車間通信機、11…車車間通信機、12…GPS受信機、13…地図データベース、14…車速センサ、15…ブレーキスイッチ、16…ウインカスイッチ、20…ディスプレイ、21…メータモニタ、22…スピーカ、23…ブザー、31…通信制御部、32…送受信信号処理部、33…進路変更判定部、34…信号スケジュール判定部、35…HMI制御部、Ac…右折方向、B…青色灯火信号、BA…青色灯火右矢印信号、C…自車両、F…対向車両、L…右折用区間、R…赤色灯火信号、S…信号機、tn…現時点、Y…黄色灯火信号。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を附し、重複する説明は省略する。
まず、図1及び図2を用いて、本実施形態に係る運転支援装置の構成と、この運転支援装置の機能が発揮される交差点に設置された信号機の一例とについて説明する。図1は、本実施形態に係る運転支援装置1の構成概略図であり、図2は、運転支援装置1の機能が発揮される交差点に設置された信号機Sの一例を示す説明図である。運転支援装置1は、自動車などの車両(以下、自車両という。)に搭載されて、例えば図2に示す信号機Sが設置された交差点において自車両が第一進路方向(以下、例として右折方向とする。)へ進行しようとする場合の運転を、HMI(Human Machine Interface)としてのディスプレイによる画面表示、スピーカによる音声出力、ブザーによる警告報知などによって支援する運転支援制御を実行する装置である。
図2に示す信号機Sは、青色灯火信号B(第二信号)と、黄色灯火信号Yと、赤色灯火信号Rと、青色灯火右矢印信号BA(第一信号)とを有する。青色灯火右矢印信号BAは、右折方向(第一進路方向)への進行許可を灯火によって示す信号であり、青色灯火信号Bは、右折方向、左折方向、及び直進方向などへの進行許可を灯火によって示す信号である。
本実施形態に係る運転支援装置1は、図1に示すように、路車間通信機10(取得手段)、車車間通信機11(取得手段)、GPS受信機12(取得手段)、地図データベース13(取得手段)、車速センサ14(取得手段)、ブレーキスイッチ15(取得手段)、ウインカスイッチ16(取得手段)、ディスプレイ20(支援手段)、メータモニタ21(支援手段)、スピーカ22(支援手段)、ブザー23(支援手段)、ECU30(Electronic Control Unit)を備えている。このECU30には、通信制御部31(取得手段)、送受信信号処理部32(取得手段)、進路変更判定部33(第一判定手段)、信号スケジュール判定部34(第二判定手段)、HMI制御部35(支援手段)が構成される。
路車間通信機10は、路側の通信機(例えば、光ビーコン、電波ビーコン)と通信するための無線通信機である。路車間通信機10では、自車両が路車間通信エリア内に存在するときに、路車間通信用アンテナによって路側の通信機に対して自車両信号を送信するとともに、路側の通信機から路側信号を受信して取得する。路車間通信機10は、ECU30によって受信制御され、受信した路側信号をECU30に出力する。また、路車間通信機10は、ECU30によって受信制御され、ECU30から自車両信号を入力する。
ここで、路側信号には、自車両の進路上周辺の信号機Sの灯火に関する信号機情報(例えば、信号機Sまでの距離や、信号機Sの灯色スケジュール情報や、現時点で灯火されている灯色など)が含まれている。灯色スケジュール情報は、灯火される灯色の切り替わりタイミングを示すサイクルを規定するスケジュールに関する情報であり、この灯色スケジュール情報によって、例えば、現時点での灯色や、現時点での灯色になってからの経過時間や、次の灯色に切り替わるまでの推定時間が示される。
路車間通信で受信するデータには、VICS(Vehicle Information CommunicationSystem)情報とインフラデータなどがある。VICSデータは、道路交通情報であり、渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報などがある。インフラデータは、道路情報、周辺情報などがある。道路情報としては、道路形状情報、車線情報、停止線情報、制限速度情報、車線毎の信号サイクル情報(即ち、上記の灯色スケジュール情報)などがある。周辺情報としては、周辺の建物の情報、歩道橋の情報、立体交差の情報などがある。路車間通信で送信するデータには、車両の識別番号などがある。
路側の通信機は、交差点の手前などに設置される。この路側の通信機の設置位置や性能などに応じて、路車間通信エリアがそれぞれ設定される。この路車間通信エリア内に車両が存在する場合だけ、その車両に搭載される路車間通信機10と路側の通信機との間で通信が可能である。したがって、運転支援装置1では、対向車両など他車両の情報として、路車間通信エリア内を走行中のときだけインフラデータも取得できる。
車車間通信機11は、車両同士で通信するための無線通信機である。車車間通信機11では、車車間用アンテナによって所定距離以内に存在する対向車両など他車両に対して車車間信号を送信するとともに、所定距離以内に存在する対向車両など他車両から車車間信号を受信する。車車間通信機11は、ECU30によって受信制御され、受信した車車間信号をECU30に出力する。また、車車間通信機11は、ECU30によって送信制御され、ECU30から車車間信号を入力する。
車車間通信で受信するデータは、対向車両など他車両の現在位置、車速、進行方向、加速度、車種、車両サイズ、ボディ色などがある。車車間通信で送信するデータは、自車両の現在位置、車速、進行方向、加速度、車種、車両サイズ、ボディ色などがある。この車車間通信データにおける現在位置、車速、進行方向、加速度などは、車両側で検知した情報である。例えば、現在位置はGPS受信機12で検知した位置であり、車速は車速センサ14で検知した車速である。
GPS受信機12は、GPSを利用して自車両の現在位置などを推定するための装備である。GPS受信機12では、一定時間毎に、GPSアンテナによってGPS衛星からのGPS信号を受信し、そのGPS信号を復調し、その復調された各GPS衛星の位置データに基づいて自車両の現在位置(緯度、経度)などを算出する。そして、GPS受信機12では、自車両の現在位置情報などをECU30に送信する。また、GPS受信機12では主にGPS信号の受信処理だけを行い、GPS信号に基づく現在位置の算出処理をECU30で行ってもよい。
地図データベース13は、運転支援装置1の記憶装置の所定の領域に構成される。地図データベース13には、道路形状情報、車線情報、交差点形状情報などが格納される。なお、地図データベース13の中に、路車間通信エリアやインフラ検知エリアの情報、周辺の建物の情報、歩道橋の情報、立体交差の情報なども格納されていてもよい。
車速センサ14は、車両の速度を検知するセンサである。車速センサ14では、一定時間毎に、車速を検知し、その検知した車速を車速信号としてECU30に送信する。
ブレーキスイッチ15は、運転者によってブレーキペダルが踏み込まれたか否か(ブレーキペダルのON/OFF)を検知するスイッチである。ブレーキスイッチ15では、一定時間毎に、ブレーキペダルのON/OFFをブレーキ信号としてECU30に送信する。
ウインカスイッチ16は、運転者による方向指示(即ち、右ウインカ及び左ウインカのそれぞれのオン及びオフ)を入力するためのスイッチである。ウインカスイッチ16では、運転者のウインカ操作情報をウインカ信号としてECU30に送信する。車速センサ14、ブレーキスイッチ15、及びウインカスイッチ16によって検知された情報は、車車間通信データとして対向車両など他車両に送信される。これら以外にも、車両の進行方向などの各種の情報が検知され、運転支援装置1で利用される。
ディスプレイ20は、ナビゲーションシステムなどと共用される車載ディスプレイである。ディスプレイ20では、ECU30からの画像信号を受信すると、その画像信号に示される画像を表示する。
メータモニタ21は、スピードメータによって検知された情報を表示するモニタである。
スピーカ22は、他のシステムと共用される車載スピーカである。スピーカ22では、ECU30から音声信号を受信すると、その音声信号に応じて音声を出力する。
ブザー23は、自車両が右折方向へ進行しようとする場合のタイミングを知らせる警報用のブザーである。ブザー23では、ECU30からブザー信号を受信すると、そのブザー信号に応じてブザー音を出力する。ディスプレイ20、メータモニタ21、スピーカ22、及びブザー23は、運転支援装置1におけるHMIの手段として機能する。
ECU30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなる電子制御ユニットであり、運転支援装置1を統括制御する。ECU30では、ROMに記憶されている運転支援装置1用のアプリケーションプログラムをRAMにロードして実行することにより通信制御部31、送受信信号処理部32、進路変更判定部33、信号スケジュール判定部34、HMI制御部35を構成する。
通信制御部31は、路車間通信機10による路車間通信及び車車間通信機11による車車間通信を制御する。通信制御部31では、自車両が路車間通信エリア以外に存在する場合には路車間通信機10をスタンバイ状態とし、自車両が路車間通信エリア内に存在する場合には路車間通信機10に対して路側信号の受信制御を行うとともに自車両信号の送信制御を行う。この際、通信制御部31では、自車両の識別番号などからなる自車両信号を生成する。また、通信制御部31では、車車間通信機11を常時作動状態とし、車車間通信機11に対して対向車両など他車両からの車車間信号の受信制御を行うとともに自車両の車車間信号の送信制御を行う。この際、通信制御部31では、一定時間毎に検知した現在位置、車速、進行方向、加速度や予め保持している自車両の車種、車両サイズ、ボディ色などの情報からなる自車両の車車間信号を生成する。
送受信信号処理部32は、路車間通信機10で受信した路側信号及び車車間通信機11で受信した車車間信号に対して、ECU30内で取り扱えるデータになるように各種加工処理を施す。例えば、データの単位の整合、データの検知時刻の整合がある。
進路変更判定部33は、路車間通信機10が取得した信号機情報が、青色灯火信号Bは灯火中であることを示す場合に、自車両が右折方向へ進行しようとしているか否かを判定する演算アルゴリズム部である。自車両Cが右折用区間(即ち、右折レーンから交差点内の右折用進入路までの区間)に存在して右折待ちしており、更に、右ウインカのオン入力などで右折の意思が確認できる場合に、自車両が右折方向へ進行しようとしていると判定される。この判定は、路車間通信機10、車車間通信機11、GPS受信機12、地図データベース13、車速センサ14、ブレーキスイッチ15、ウインカスイッチ16などを用いて行なわれる。
信号スケジュール判定部34は、進路変更判定部33が、自車両は右折方向へ進行しようとしていると判定した場合に、青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間(即ち、残時間)が規定の所定時間以上であるか否かを判定する演算アルゴリズム部である。青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間は、路車間通信機10が取得した信号機情報によって示される。また、この所定時間は、実際にこの交差点を右折する際に要する時間であり、例えば、交差点の周辺状況を判断するための判断時間と、交差点を走行するための走行時間と、予備としての予備時間とのこれら三種類の時間の合計時間であり、運転者が待つのに長く煩わしいと感じない程度の時間(例えば10秒程度)である。
HMI制御部35は、信号スケジュール判定部34が、上記の所要時間は所定時間以上でない(即ち、所定時間未満である)と判定した場合に、青色灯火右矢印信号BAの灯火中に、右折方向へ進行するよう運転を支援するインタフェース部である。HMI制御部35は、ディスプレイ20、メータモニタ21、スピーカ22、ブザー23を用いて、運転者に対して、青色灯火右矢印信号BAが灯火するまで待ってその灯火中に右折方向に進行するよう促す運転支援制御(即ち、信号停止運転支援)を実行する。
一方、信号スケジュール判定部34が、上記の所要時間は所定時間以上であると判定した場合に、HMI制御部35は、青色灯火信号Bの灯火中に、路車間通信機10及び車車間通信機11による通信結果に基づく対向車両間の間隔が広くなる(即ち、対向車両が途切れる)タイミングで右折方向へ進行するよう運転者に対して促す運転支援制御(即ち、対向車両間運転支援)を実行する。HMI制御部35は、信号スケジュール判定部34による判定の結果に基づく画像情報を生成し、その画像情報からなる画像信号をディスプレイ20に送信する。
また、HMI制御部35は、信号スケジュール判定部34による判定の結果に基づいて、右折方向に進行すべき時期に灯火される信号を読み上げるための音声情報を生成し、その音声情報からなる音声信号をスピーカ22に送信する。更に、HMI制御部35は、信号スケジュール判定部34による判定の結果に基づいて、右折方向に進行すべき時期に灯火される信号に対応したブザー情報を生成し、そのブザー情報からなるブザー信号をスピーカ22に送信する。上記したように、HMI制御部35において、信号停止運転支援を優先させるか、対向車両間運転支援を優先させるかは、逐次変更可能であり、これら二つの運転支援が同時に可能な場合は、例えば表示図や文字の大きさなどを明確に変えていずれかの支援を優先させた同時支援を行なってもよく、また、優先度の高い方の支援にのみ音声出力やブザー警告を用いてもよい。
引き続き、図3及び図4を用いて、青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間以上であるか否かによって異なるHMI制御部35による運転支援制御の違いについて説明する。図3は、上記の所要時間が所定時間以上である場合のHMI制御部35による運転支援制御を説明する説明図であり、図4は、上記の所要時間が所定時間未満である場合のHMI制御部35による運転支援制御を説明する説明図である。
まず、図3を用いて、青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間以上である場合のHMI制御部35による運転支援制御について説明する。図3の中央部には、自車両Cが右折方向Acへ進行しようとしている状態の位置関係が示されており、図3の上部には、時間経過が矢印で示された信号機Sの灯色スケジュール情報が示されており、図3の右上部には、HMI制御部35によってディスプレイ20に表示されるディスプレイ表示が示されている。
始めに、信号機Sの現示の(即ち、現時点tnで示されている)灯色が青であり、自車両Cが右折用区間L(即ち、右折レーンから交差点内の右折用進入路までの区間)に存在して右ウインカがオン入力されている場合に、進路変更判定部33が、自車両Cは右折方向Acへ進行しようとしていると判定する。ここで、信号スケジュール判定部34が、矢青(即ち、青色灯火右矢印信号BA)の灯火までの所用時間(即ち、tn〜tb)は所定時間(即ち、ta〜tb)以上である、と判定する。そして、HMI制御部35が、青色灯火信号Bの灯火中に、対向車両F間の間隔が広くなる(即ち、対向車両Fが途切れる)タイミングで右折方向Acへ注意して進行するよう運転者に対して促すディスプレイ表示を行なう。
次に、図4を用いて、青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間未満である場合のHMI制御部35による運転支援制御について説明する。図4の中央部には、自車両Cが右折方向Acへ進行しようとしている状態の位置関係が示されており、図4の上部には、時間経過が矢印で示された信号機Sの灯色スケジュール情報が示されており、図4の右上部には、HMI制御部35によってディスプレイ20に表示されるディスプレイ表示が示されている。
始めに、信号機Sの現示の(即ち、現時点tnで示されている)灯色が青であり、自車両Cが右折用区間L(即ち、右折レーンから交差点内の右折用進入路までの区間)に存在して右ウインカがオン入力されている場合に、進路変更判定部33が、自車両Cは右折方向Acへ進行しようとしていると判定する。ここで、信号スケジュール判定部34が、矢青(即ち、青色灯火右矢印信号BA)の灯火までの所用時間(即ち、tn〜tb)は所定時間(即ち、ta〜tb)未満である、と判定する。そして、HMI制御部35が、運転者に対して、この所要時間(即ち残時間)を示しながら、青色灯火右矢印信号BA及び赤色灯火信号Rが灯火するまで待ってその灯火中に右折方向Acに進行するよう促すディスプレイ表示を行なう。
引き続き、図5を用いて、運転支援装置1で実行される運転支援制御の処理手順について説明する。図5は、運転支援装置1で実行される運転支援制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。図5のフローチャートに示される処理は、主として上記したECUによって行われるものであり、運転支援装置1の電源がオンされて処理が開始してからオフされるまでの間、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
まず、路車間通信機10が、路側の通信機と通信することにより、信号機情報を取得する(ステップS01)。信号機情報の取得の際に、ナビゲーションシステムや、地図データベース13に格納されている道路形状情報、車線情報、交差点形状情報などが併せて用いられて、青色灯火右矢印信号BA及び青色灯火信号Bが設置された交差点に関する情報が取得される。そして、進路変更判定部33が、この信号機情報に基づいて、青色灯火右矢印信号BA及び青色灯火信号Bが設置された交差点付近に自車両Cが位置しているか否かを判定する(ステップS02)。
ここで、該当交差点に自車両Cが位置していないと判定された場合、再度、この判定が行なわれる。この判定は、自車両Cの移動によって自車両が該当交差点に移動するまで行なわれる。一方、該当交差点に自車両Cが位置していると判定された場合、進路変更判定部33が、上記の信号機情報から灯色スケジュール情報を抽出して取得する(ステップS03)。なお、ステップS01及びステップS03を入れ替えてもよい。即ち、路側の通信機と通信することによる灯色スケジュール情報の取得、ステップS02における該当交差点付近に位置しているか否かの判定、及びステップS01における信号機情報の取得、という処理手順に変更してもよい。
次に、運転支援制御を開始するための第一の開始条件が成立しているか否かを、進路変更判定部33及び信号スケジュール判定部34が判定する(ステップS04)。この運転支援の第一開始条件とは、信号機Sの現示の灯色が青であって青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間以上であること、また、自車両Cが上記の右折用区間Lに存在していること、更に、右ウインカがオン入力されていて右折の意思が確認できることのこれら三条件全てのことであり、これら三条件全てが満たされている場合に、この運転支援の第一開始条件が成立していると判定される。この運転支援の第一開始条件が成立していると判定されなかった場合、再度、この判定が行なわれる。この判定は、運転支援の第一開始条件が成立するまで行なわれる。
一方、この運転支援の第一開始条件が成立していると判定された場合、HMI制御部35が、第二信号である青色灯火信号Bの灯火中に、対向車両F間の間隔が広くなる(即ち、対向車両Fが途切れる)タイミングで右折方向Acへ進行するよう運転者に対して促す運転支援を行なう(ステップS05)。ここで、進路変更判定部33が、自車両Cの右折が完了したか、又は、右ウインカがオフ入力されていて右折の意思が消滅したかを判定する(ステップS06)。自車両Cの右折が完了していない、又は、右ウインカがオン入力されていて右折の意思が確認できると判定された場合、後述のステップS11に移行する。
一方、自車両Cの右折が完了したか、又は、右ウインカがオフ入力されていて右折の意思が消滅したと判定された場合、運転支援制御を開始するための第二の開始条件が成立しているか否かを、進路変更判定部33及び信号スケジュール判定部34が判定する(ステップS07)。この運転支援の第二開始条件とは、信号機Sの現示の灯色が青であって青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間未満であること、また、自車両Cが右折用区間Lに存在していること、更に、右ウインカがオン入力されていて右折の意思が確認できることのこれら三条件全てのことであり、これら三条件全てが満たされている場合に、この運転支援の第二開始条件が成立していると判定される。
この運転支援の第二開始条件が成立していると判定されなかった場合、再度、この判定が行なわれる。この判定は、運転支援の第二開始条件が成立するまで行なわれる。一方、この運転支援の第二開始条件が成立していると判定された場合、HMI制御部35が、第一信号である青色灯火右矢印信号BAが灯火するまで待ってその灯火中に右折方向Acへ進行するよう運転者に対して促す運転支援を行なう(ステップS08)。このとき、HMI制御部35は、青色灯火右矢印信号BAが灯火するまでの残時間を運転者に対して表示して情報提供を行う。この残時間の表示の代わりに、音声による残時間の読み上げとしてもよく、残時間が短くなる様子を棒の長さの変化で示すバーグラフの表示としてもよく、周期が変動する間欠音の鳴動としてもよい。なお、青色灯火右矢印信号BAの灯火後、HMI制御部35は、青色灯火右矢印信号BAの灯火中に右折方向Acへ進行するよう運転者に対して促す運転支援を行なう。
ここで、進路変更判定部33が、運転支援制御を終了するための終了条件が成立しているか否かを、判定する(ステップS09)。この運転支援の終了条件とは、青色灯火右矢印信号BAの灯火が終了している(即ち、信号機Sの現示の灯色が黄のみ又は赤のみである)こと、又は、自車両Cの右折が完了したか右ウインカがオフ入力されていて右折の意思が消滅したことのこれら二条件のいずれかのことであり、これら二条件のいずれかが満たされている場合に、この運転支援の終了条件が成立していると判定される。この運転支援の終了条件が成立していると判定された場合、後述のステップS11に移行する。
一方、この運転支援の終了条件が成立していると判定されなかった場合、運転支援制御を再実行するための再実行条件が成立しているか否かを、進路変更判定部33及び信号スケジュール判定部34が判定する(ステップS10)。この運転支援の再実行条件とは、信号機Sの現示の灯色が青であって青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間以上であること、また、右ウインカがオン入力されていて右折の意思が確認できることのこれら二条件全てのことであり、これら二条件全てが満たされている場合に、この運転支援の再実行条件が成立していると判定される。この運転支援の再実行条件が成立していると判定された場合、上記のステップS04に戻って移行する。一方、この運転支援の再実行条件が成立していると判定されなかった場合、後述のステップS11に移行する。
そして、進路変更判定部33及びHMI制御部35が、この運転支援制御の終了処理を行う(ステップS11)。具体的には、進路変更判定部33が初期状態に戻るとともに、HMI制御部35が運転支援制御の終了の旨を運転者に伝える画像信号をディスプレイ20に送信して当該旨を表示させる。
引き続き、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、信号機情報が青色灯火信号Bは灯火中であることを示す場合に、自車両Cが右折方向Acへ進行しようとしているか否かを判定する。ここで、自車両Cは右折方向Acへ進行しようとしていると判定した場合に、青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間以上であるか否かを判定する。そして、所要時間は所定時間未満であると判定した場合に、青色灯火右矢印信号BAの灯火まで待ってその灯火中に右折方向Acへ進行するよう運転を支援する。
このため、青色灯火信号Bの灯火中に、対向車両F間の間隔が広くなるタイミングを狙って割り込んで右折方向Acに無理矢理進むことを試みるよりも、運転支援に従って、所定時間未満である青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間だけ待って青色灯火右矢印信号BAに切り替わって灯火されてから右折方向Acに進む方が、運転者にとって対向車両Fの目視などの無駄な労力が無くなり運転が容易となって安全な運転が可能となる。
特に、自車両Cが右折待ち車両列の先頭車両であって、目前に右折待ちの対向車両が存在している場合は、対向車両F間の間隔が広くなるタイミングが分かりづらいが、本実施形態によれば、対向車両F間の間隔に関わらず上記の所要時間だけ待って右折方向Acに進めばよいため、安全な運転が可能となる。また、右折待ちの後続車が多い場合に運転者が感じる圧迫感から解放され、気持ちにゆとりが生まれる。更に、右折開始に備えた心構え、気構え、PKB(即ち、パーキングブレーキ)のリリースといった運転準備などが運転者において事前に可能となり、スムーズな右折開始が可能になる。また、青色灯火右矢印信号BAの灯火までの残時間を知りたいという運転者のニーズを満たすこともできる。この結果、青色灯火右矢印信号BAが設置された交差点において、より安全な運転を支援することが可能になる。
また、信号スケジュール判定部34が、所要時間は所定時間以上であると判定した場合に、HMI制御部35が、青色灯火信号Bの灯火中に右折方向Acへ進行するよう運転を支援する。このため、青色灯火右矢印信号BAの灯火までの所要時間が所定時間以上であると判定された場合に、青色灯火右矢印信号BAの灯火まで待つよりも、青色灯火信号Bの灯火中に、対向車両F間の間隔が広くなるタイミングで右折方向Acに進むことを試みるよう運転が支援される。この結果、運転者にとって、青色灯火右矢印信号BAの灯火まで待つよりも時間の無駄なく右折方向Acに進むことができる可能性が生じる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、第一信号は青色灯火右矢印信号BAとし、第一進路方向は右折方向Acとしたが、青色灯火右矢印信号BAの代わりに他の方向を向いた青色灯火矢印信号とし、第一進路方向としては当該青色灯火矢印信号に対応した方向としてもよい。