JP5031645B2 - ミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤及び該固形化補助剤を含有したミキサー食又はブレンダー食 - Google Patents

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Description

本発明は、ミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤及び該固形化補助剤を含有した咀嚼・嚥下困難者用のミキサー食又はブレンダー食に関する。詳細には、舌で容易に潰せる程の硬さでありながらも食塊形成性がよく(まとまり感がある)、付着性も小さく、更には表面が滑らかで飲み込みやすい(喉越しがよい)ミキサー食又はブレンダー食、及びミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤に関する。
高齢者人口の増加に伴い、食物を飲み込む動作に障害をきたす、いわゆる咀嚼・嚥下困難者が増加し、該咀嚼・嚥下困難者用食品を提供するために増粘剤やゲル化剤を用いた食品の調製が数多く試みられている。例えば、アミラーゼと増粘多糖類(一種としてジェランガム)もしくは寒天を配合してなる摂食・嚥下適性の高い物性を付与するための澱粉性食品用品質改良剤(特許文献1)、予め別個に加熱されたゲル化剤及び増粘剤(一種としてネイティブジェランガム)を含有する溶液を混合し、冷却してなるゲル状組成物(特許文献2)、ジェランガム等の各種糊料を含有する誤嚥防止のための咀嚼・嚥下困難者用の食物に添加される糊料(特許文献3)、脱アシル型ジェランガム及び又は寒天と、サイリウムシードガムとを含むことを特徴とする咀嚼・嚥下困難者用食品ならびに咀嚼・嚥下補助組成物(特許文献4)、煮汁を含む具材入り惣菜またはペースト状惣菜に、ジェランガム及び澱粉を分散、加熱溶解してゲル化させることを特徴とするゲル化食品(特許文献5)が開示されている。また、特許文献6には米等を原料とした粥類で代表される酵素含有ペースト状食品組成物に、安定剤としてジェランガム等のゲル化剤を添加できることが開示されている。
特開2007−228834号公報 特開2002−300854号公報 特許第3524359号 特開2004−283073号公報 特開平10−215797号公報 特開2002−136275号公報
粥、野菜、果物、惣菜、調理ソース(カレーやシチュー)等をミキサー又はブレンダーを用いてペースト状に調製した、いわゆるミキサー食やブレンダー食は、米や野菜などの固形物を含有する食品をペースト化する際に、ミキサーやブレンダー等の強攪拌条件下で原材料由来の澱粉質が溶出、糊化することで付着性が非常に大きくなる、また、原材料由来の水分が流出(離水)して不均一になるなどの現象があり、調製したミキサー食又はブレンダー食が嚥下に不向きな食感になるという問題があった。咀嚼・嚥下困難者は筋肉の衰えなどから食塊を咽頭から食道へ送り込む機能が低下しており、特に付着性が大きい食品はスムースに咽頭相を通過することができない。従って、嚥下したときに咽頭に食塊がへばりつかない低付着性が重要である。また、ミキサー食やブレンダー食は、ミキサーやブレンダー等の攪拌時に泡をかみやすく、泡をかんだ食品に咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を添加しても食品を固形化することができない、あるいは望まれる食感や物性を付与できないなど、ミキサー食やブレンダー食に咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食感や物性を付与することは極めて難しい課題であった。
更に、粥、野菜、果物、惣菜、調理ソースといったミキサー食やブレンダー食は通常、温かい状態で喫食されることが多く、咀嚼・嚥下困難者においてもQOL(Quality Of Life)の観点から、再加温しても喫食可能な咀嚼・嚥下困難者用食品の提供が望まれている。しかし、ゼラチンや寒天といった従来の固形化剤を用いて調製された咀嚼・嚥下困難者用食品は、例えば約60℃に再加温した場合にゲルが融解したり、ゲル強度が著しく低下するなどして、食感や物性が変化する(食塊形成性が低下する)ため、再加温によっても咀嚼・嚥下困難者用として適した食感や物性を保持できる固形化補助剤が求められている。
また、ミキサー食やブレンダー食は食品の形や大きさにばらつきがない程度にまで均質化(ペースト化)するのが一般的であるが、ミキサーやブレンダーの攪拌力が弱い場合やペースト化する食品の水分含量が低い場合はペースト化に長時間を要し、あるいはペースト化する食品に澱粉質や繊維質が含まれる場合は粘度が高くなり、その結果、ミキサーやブレンダー処理時の発熱によって食品の栄養、機能成分が損失する等の問題があった。
一方、従来技術として特許文献1に開示されている技術は、澱粉質を主体とする食品(米飯、粥、麺など)に、糖質の消化酵素であるアミラーゼとゲル化剤(増粘多糖類)としてジェランガム、アルギン酸ナトリウム、カラギナン、または寒天を添加する方法である。アミラーゼの作用によって米飯のおねば(粘性)成分が分解され、それを上記ゲル化剤で固形化することにより、嚥下特性を改善するものである。この方法では、加熱等の処理によってアミラーゼを失活させないと、食感や物性が経時的に変化する場合があり、品質が安定し難いという問題がある。アミラーゼの純度が高くない場合は、アミラーゼ以外の酵素の影響により、増粘多糖類によって構成されるゲルの強度が低下することがある。また、特許文献2に開示されている技術はゲル化剤及び増粘剤を含むゲル状組成物を予め別個に加熱しなければならない点で利便性に欠け、またネイティブ型ジェランガムを単独で使用した際は付着性が大きく、咽頭へへばりつきやすくなり、必ずしも嚥下に適した食感にならない。特許文献3に開示されている技術は、特定のカチオン含量のジェランガム、特にネイティブ型ジェランガムを液状食品に添加し、非加熱状態でとろみを付けることを特徴とするが、特許文献2と同様、ネイティブ型ジェランガムを単独で使用する場合は付着性が大きく、咽頭へへばりつきやすくなり、必ずしも嚥下に適した食感にならない。また、特許文献2および3は基本的に増粘剤としてのネイティブ型ジェランガムの使用であり、ミキサー食やブレンダー食への適応を考慮したゲル化目的での固形化補助剤としての利用は記載されていない。更に、特許文献4〜6において開示されている技術は、ジェランガムとしていずれも脱アシル型ジェランガムを用いた技術と考えられるが、脱アシル型ジェランガムを単独で用いた際は、脆さが増すと同時に食塊形成性が低くなる傾向があり、必ずしも嚥下に適した食感にならない。また、脱アシル型ジェランガムはネイティブ型ジェランガムに比べて分散、溶解しにくいため、所望の食感や物性を得るためには強攪拌や加熱処理が必要となる。
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、舌で容易に潰せる程の硬さでありながらも食塊形成性がよく(まとまり感がある)、付着性も小さく、更には表面が滑らかで飲み込みやすい(喉越しがよい)ミキサー食又はブレンダー食、及びミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を提供することを目的とする。また、本発明は再加温によっても咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食感や物性を保持できる、ミキサー食又はブレンダー食に適用可能な固形化補助剤を提供することを目的とし、更にはミキサー又はブレンダー処理時の作業効率に優れ、短時間で均質(ペースト)化ができ、従って食品本来の栄養、機能成分の損失を防止できる固形化補助剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガムを配合した固形化補助剤を、ミキサー食又はブレンダー食中に配合することにより、舌で容易に潰せる程の硬さでありながらも食塊形成性が良く、付着性も小さく、更には表面が滑らかで飲み込みやすくなることを見出した。また、該固形化補助剤を添加したミキサー食又はブレンダー食は60℃程度に加温しても食感・物性がほとんど変化しないこと(再加温耐性を有すること)を見出した。更に、本発明者らは上記ネイティブ型ジェランガム及び脱アシル型ジェランガムに加え、アラビアガムを併用することにより、ミキサーやブレンダー等の攪拌時に良好な流動性を有し、食品本来の栄養、機能成分の損失を防止できること、及び均一な食感の咀嚼・嚥下困難者用食品を提供できることを見出して本発明を完成した。
本発明は、以下の態様を有するミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤及び該固形化補助剤を含有するミキサー食又はブレンダー食に関する;
項1.ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガムを含有することを特徴とする、ミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤。
項2.更にアラビアガムを併用する、項1に記載のミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤。
項3.項1又は2に記載の固形化補助剤を含有することを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食。
更に本発明は、以下の態様を有する咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食の付着性低減方法及び再加温耐性付与方法に関する;
項4.ミキサー食又はブレンダー食中に以下の配合割合(a)〜(c)を満たすように調製した固形化補助剤を配合することを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食の付着性低減方法;
(a)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.02〜2質量%のネイティブ型ジェランガム、
(b)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.001〜0.5質量%の脱アシル型ジェランガム、
(c)ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガム。
項5.ミキサー食又はブレンダー食中に以下の配合割合(a)〜(c)を満たすように調製した固形化補助剤を配合することを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食の再加温耐性付与方法;
(a)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.02〜2質量%のネイティブ型ジェランガム、
(b)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.001〜0.5質量%の脱アシル型ジェランガム、
(c)ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガム。
本発明の固形化補助剤により、舌で容易に潰せる程の硬さでありながらも食塊形成性がよく(まとまり感がある)、付着性も小さく、更には表面が滑らかで飲み込みやすい(喉越しがよい)ミキサー食又はブレンダー食を提供できる。該ミキサー食又はブレンダー食は、再加温耐性を有し、温度変化によって食感や物性の変化がほとんどないため、喫食時に60℃程度まで温めた場合でも咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食感や物性を有するミキサー食又はブレンダー食を提供できる。更に、ミキサーやブレンダー等での攪拌時に良好な流動性を有し、食品本来の栄養、機能成分の損失が防止され、均一な食感を有する咀嚼・嚥下困難者用食品を提供できる。
本発明のミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤はネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガムを含有することを特徴とする。
本発明で用いるネイティブ型ジェランガムは、D−グルコース2分子、D−グルコン酸1分子及びL−ラムノース1分子を構成単位とする多糖類(分子量約60〜70万)であるジェランガム(特開昭55−79397号)の脱アシル処理前の前駆体として得られる微生物起源の高分子多糖類(融点及び固化点:65〜70℃)である。(1→3)結合したD−グルコースのC2位にグリセリル基が、C6位にアセチル基(置換度約50%)がエステル結合している。当該ネイティブ型ジェランガムは、一般に微生物の培養によって生産される。具体的には、Sphingomonas elodea(旧名Pseudomonus elodea:ATCC31461)又はその同等の菌株を、例えばグルコース3%、KHNO 0.05%、MgSO・7HO 0.01%、NHNO 0.09%及び窒素源として有機成分を少量含む液体培地に接種し、これを好気的条件下で約30℃、約50時間培養して得られる培養物から菌体表面に生産された粘質物を、脱アシル処理することなくそのまま単離・回収することによって製造する方法が例示される。
ネイティブ型ジェランガムは天然に起源を有するものであるため、用いる産生微生物や精製条件によっては、その構造も変わりうる。従って、本発明で用いられるネイティブ型ジェランガムは、特定の構造式(Sanderson,G.R.,FOODGELS,ed.PeterHarris,ElsevierSciencePublishiersLTD.,England,1990,p.204)に基づいて一義的に限定されることなく、上記方法に従って微生物(ATCC31461)により産生されるネイティブ型ジェランガム相応の性質を有するものであればよい。ネイティブ型ジェランガムの商業的に入手可能な製品として、ケルコ社製の「ケルコゲルLT 100」、「ケルコゲルHT」、「ケルコゲルHM」などを挙げることができる。
本発明で用いる脱アシル型ジェランガムは、Sphingomonas elodeaが産出する発酵多糖類を脱アセチル化したものである。この多糖類は、D−グルコース、D−グルクロン酸、D−グルコースとL−ラムノースの4つの糖の反復ユニットが直鎖状に結合したものである。なお、脱アシル型ジェランガムの商業的に入手可能な製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ゲルアップ[商標]K−S」、ケルコ社製の「ケルコゲル」などを挙げることができる。
本発明のミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤は、ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部、好ましくは0.05〜0.2質量部、更に好ましくは0.1〜0.2質量部の脱アシル型ジェランガムを含有することを特徴とするが、ここでネイティブ型ジェランガム1質量部に対する脱アシル型ジェランガムの添加量が0.01質量部より少ないと付着性が大きく、咽頭へへばりつきやすくなり、嚥下に適さない食感となる。一方、ネイティブ型ジェランガム1質量部に対する脱アシル型ジェランガムの添加量が1質量部より多くなると、脆さが増すと同時に食塊形成性が低くなり、嚥下に適さない食感となる。
本発明の咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤は、更にアラビアガムを含有することが好ましい。アラビアガムを併用することにより、ミキサーやブレンダー処理時の食品の流動性が改善され、ミキサーやブレンダーの刃の回転が滑らかになる。短い処理時間でより均質にペースト化することができ、更に、ミキシング中の発熱による食品本来の栄養、機能成分の損失を抑制することができる。
本発明で用いるアラビアガムは、マメ科アカシア属の植物の幹や枝から得られるゴム状の滲出液を乾燥して調製される天然樹脂(多糖類)である。アカシアの木の種類としては500種以上のものが知られており、一般に流通しているものは主にアカシア・セネガル(Acacia senegal)やアカシア・セイアル(Acacia seyal)から採取されているが、本発明で使用できるアラビアガムはこれらに限定されるものではなく、2種以外から採取されたものでも良い。アラビアガムは製法によって、粗砕品、粉砕品、殺菌精製スプレードライ品、脱塩精製スプレードライ品と分けられているが、本発明では特に限定されず、いずれのものも使用することができ、使用されるアラビアガムは任意的に分子量を上げたり、揃えたものであっても良い。かかるアラビアガムは商業上入手可能であり、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ビストップ[商標]D−2041」、「スーパーガム EM-2」、および「スーパーガムNo.8」などを挙げることができる。
アラビアガムの添加量は求められる物性や対象食品によって適宜調整することが可能であるが、前記ネイティブ型ジェランガム及び脱アシル型ジェランガムの合計量に対し、10〜1000質量%、好ましくは30〜700質量%、更には50〜500質量%添加することが好ましい。
本発明の咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤の形態はネイティブ型ジェランガム及び脱アシル型ジェランガム、必要に応じてアラビアガムが含有されていれば特に限定されず、液状、半固体状、固体状、粉末状など各種形態をとることができる。固形化補助剤の調製方法の具体例としては、(1)リボンミキサーやブレンダーを用いて粉体で混合する方法、(2)水中で加熱することによって溶解、均一分散させ液状とする方法、(3)別々に溶液を調製し、使用時に混合する方法、(4)混合溶液にアルコールなどの貧溶媒を加えて、ゲル化剤(増粘多糖類)成分を共沈処理(コプロセス処理)する方法、(5)混合溶液をスプレードライ等により分散粉末化する方法、(6)粉体で混合し、プレス機で圧縮することにより打錠し、錠剤状にする方法、及び(7)粉体で混合し、造粒、顆粒化して使用する方法等などが挙げられ、中でも(7)に係る方法を用いて調製することが好ましい。
なお、前記固形化補助剤は、種々のバインダー(倍散剤)を含むことにより、食品への分散性、溶解性を向上させることができ、このようなバインダーとして、デキストリン、澱粉及び糖類から選択される少なくとも1種以上のバインダーを好適に使用することができる。具体的に、デキストリンとして、デキストリン、アミロデキストリン、エリトロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン等のデキストリンが、澱粉として、トウモロコシ、モチトウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、餅米、タピオカ、サゴヤシ等由来の生澱粉や、当該澱粉に物理的又は、化学的処理を施した加工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基等を導入したエーテル化澱粉、アセチル基等を導入したエステル化澱粉、澱粉の2カ所以上の水酸基間を官能基を介して結合させた架橋澱粉、オクテニルコハク酸基のような疎水基を導入した乳化性澱粉、湿熱・乾熱処理澱粉等)等の澱粉が挙げられる。糖類は、ショ糖、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、澱粉糖化物、還元澱粉水飴、トレハロース等の糖類などが挙げられる。中でも、DEが1〜50程度のデキストリンを好適に使用することができる。前述のバインダーを、粉体混合等の混合によってゲル化剤(増粘多糖類)に含有させることにより、固形化補助剤の食品への分散性、溶解性を向上させることができる。
バインダーの配合割合については用いるゲル化剤(増粘多糖類)の種類や形態によって適宜調節することが可能であるが、ネイティブ型ジェランガム及び脱アシル型ジェランガム、必要に応じてアラビアガムの合計量に対して、10〜1000質量%、好ましくは50〜900質量%、更に好ましくは100〜400質量%添加することができる。なお、粉末の形態で本発明の固形化補助剤を用いる場合は、食品への分散性、溶解性の観点より、造粒(顆粒化)されていることが好ましい。造粒することにより、食品への分散性、溶解性が一段と向上し、ダマなく、均一に混合することができる。つまり、咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤として、高齢者や介護者が簡便に取り扱うことができるようになり、また該固形化補助剤を用いて調製されたゲル状食品の物性も安定する。造粒は常法にて行うことができ、例えば、回転式滴下型造粒装置、流動層造粒装置、転動造粒装置等の公知の装置によって造粒する方法などが挙げられる。中でも、流動層造粒装置によって造粒する方法が好ましい。なお、造粒する際のバインダー(倍散剤)としては特に限定されず、前述のバインダーを用いることができる。
かくして調製された咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤をミキサー食又はブレンダー食に用いることによって、舌で容易に潰せる程の硬さでありながらも食塊形成性がよく(まとまり感がある)、付着性も小さく、更には表面が滑らかで飲み込みやすい(喉越しがよい)ミキサー食又はブレンダー食を提供することができる。また、調製されたミキサー食又はブレンダー食は約60℃まで加温しても食感や物性がほとんど変化しない再加温耐性を有することを特徴とする。
咀嚼・嚥下困難者用食品、特に嚥下困難者用食品では、1)食塊形成性がよい(まとまり感がある)、2)飲み込みやすい(喉越しがよい)、更に、3)付着性が小さい(べたつき感が少ない)等の食感的特性が求められる。これらの特性の重要性については、赤羽:栄養日本 Vol.35, 178-180 (1992)、大越:食品流通技術 Vol.22, 9-12 (1993)、高橋、大越:日本家政学会誌 Vol. 50, 333-339 (1999)、および丸山ら:栄養学雑誌 Vol.58, 23-28 (2000)に記載されている。
本発明の咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤が対象とするミキサー食又はブレンダー食は、主食、主菜、副菜を別々あるいは混合してミキサー又はブレンダーにかけ、ペースト状に調製した食事のことである。かかるミキサー食やブレンダー食において、米や野菜などの固形物を含有する食品をペースト化する場合、ミキサーやブレンダー等の強攪拌条件下で原材料由来の澱粉質が溶出、糊化することで付着性が非常に大きくなる、また、原材料由来の水分が流出(離水)して不均一になるなどの現象があり、調製したミキサー食又はブレンダー食が嚥下に不向きな食感になるという問題があった。また、ミキサー食やブレンダー食は、ミキサーやブレンダー等の攪拌時に泡をかみやすく、泡をかんだ食品に咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を添加しても食品を固形化できない、あるいは望まれる食感や物性を付与できないなど、ミキサー食やブレンダー食に咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食感や物性を付与することは極めて難しい課題であった。しかし、本発明にかかるミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を用いることにより、舌で容易に潰せる程の硬さでありながらも食塊形成性がよく(まとまり感がある)、付着性も小さく、更には表面が滑らかで飲み込みやすい(喉越しがよい)ミキサー食又はブレンダー食を、通常の調理によって調製できるようになった。調製されたミキサー食又はブレンダー食は、60℃程度にまで加温しても食感や物性がほとんど変化しない(つまり、再加温耐性を有する)。また、本発明のミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤は、ミキサー又はブレンダー処理により起泡する場合であっても、咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食感や物性を付与できる固形化補助剤である。ミキサー食又はブレンダー食としては、ミキサーやブレンダー等で処理され喫食される食品であれば特に限定されず各種食品を挙げることができる。具体的には、粥、うどんなどの主食、すき焼き、肉じゃが、うなぎの蒲焼、野菜のクリーム煮などの主菜、コーンサラダ、野菜スープ、漬物などの副菜が挙げられる。特に、粥などの米を含有した食品では、ミキサー又はブレンダー処理時に米由来の澱粉質が溶出し、付着性が非常に高くなるため、主食としてもちいられる食品でありながらも、咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食事を提供することが困難であったが、本発明のミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を用いることにより、かかる付着性も顕著に低減され、更には表面が滑らかで飲み込みやすい(喉越しがよい)粥を提供することが可能となった。
本発明の咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤は、該固形化補助剤をペースト化前の食品あるいは食品原料に添加した後、ミキサーやブレンダー等で処理する方法又は食品あるいは食品原料をミキサーやブレンダーでペースト化した後に添加、混合する方法のいずれによっても咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食感や物性を有するミキサー食又はブレンダー食を調製することができる。より好ましくは、該固形化補助剤を添加後、ミキサーやブレンダーを用いてペースト化する方法を挙げることができる。該固形化補助剤は、粉末の状態で直接、食品あるいは食品原料に添加するだけでなく、水、だし汁、煮汁等に予め溶解あるいは分散させて添加することもできる。なお、本発明の咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を用いることにより、加熱の必要なくミキサー食又はブレンダー食を固形化することが可能であり、従来の固形化補助剤を用いた際と比較してより短時間、より簡便、更により安全にミキサー食又はブレンダー食を固形化することが可能となった。
ミキサー食又はブレンダー食に対する本発明の咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤の添加量は、求められる食品の食感や物性、更には対象となる食品あるいは食品原料によって適宜調整することが可能であるが、ミキサー食又はブレンダー食に対し、ネイティブ型ジェランガムが0.02〜2質量%、好ましくは0.05〜1質量%、脱アシル型ジェランガムが0.001〜0.5質量%、好ましくは0.005〜0.1質量%、アラビアガムが0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%となるよう添加することが好ましい。
本発明のミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤は、本発明の効果に影響を与えない範囲内において、その他のゲル化剤や増粘多糖類、糖質、食物繊維、たんぱく質、ペプチド、油脂、有機酸、無機酸とその塩類、乳化剤、着色料、香料、甘味料、調味料、機能性素材等を添加することが可能である。
本発明は更に、咀嚼・嚥下困難者用のミキサー食又はブレンダー食に、以下の配合割合(a)〜(c)を満たすように調製した固形化補助剤を配合することを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食の付着性低減方法を提供するものである;
(a)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.02〜2質量%のネイティブ型ジェランガム、
(b)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.001〜0.5質量%の脱アシル型ジェランガム、
(c)ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガム。
従来、粥、野菜、果物、惣菜、調理ソースなどの固形物や固形物を含有する食品をペースト化する場合、ミキサーやブレンダー等の強攪拌条件下で原材料由来の澱粉質が溶出、糊化することで付着性が非常に大きくなる、また、原材料由来の水分が流出(離水)して不均一になるなどの現象があり、調製したミキサー食又はブレンダー食が嚥下に不向きな食感になるという問題があった。咀嚼・嚥下困難者は筋肉の衰えなどから食塊を咽頭から食道へ送り込む機能が低下しており、特に付着性が大きい食品はスムースに咽頭相を通過することができない。従って、嚥下したときに咽頭に食塊がへばりつかない低付着性が重要である。本発明では、上記特定構成をとることにより、かかるミキサー食又はブレンダー食であっても付着性が顕著に低減され、咀嚼・嚥下困難者であっても飲み込みやすい(喉越しがよい)ミキサー食又はブレンダー食を提供することが可能である。また、ミキサー食やブレンダー食は、ミキサーやブレンダー等の攪拌時に泡をかみやすく、泡をかんだ食品に咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を添加しても食品を固形化することができない、あるいは望まれる食感や物性を付与できないなどの問題がある。脱アシル型ジェランガム、寒天、およびカッパカラギナンなどに代表される硬くて脆いゲルでは、含気により剛直な網目構造が破壊され、スポンジ化することでゲルの強度(弾性率)が低下する場合が多い。ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム及びローカストビーンガムの併用系、およびイオタカラギナンに代表される柔らかく弾力のあるゲルでは、網目構造が柔軟であるため、含気してもゲルの強度が変化しにくい傾向がある。しかし、キサンタンガム及びローカストビーンガムの併用系のゲルでは食塊形成性が低い上に付着性も大きく、咀嚼・嚥下困難者用食品として適したミキサー食又はブレンダー食を調製することができず、イオタカラギナンを用いて調製されたゲルも付着性が大きく、特に再加温することにより付着性が増大する。
一方、本発明者らは含気によっても咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食品を提供可能な固形化補助剤について鋭意研究を重ね、ネイティブ型ジェランガムが、他のゲル化剤に比べてゲル化温度が高く、含気性に優れている点に着目してネイティブ型ジェランガムを用いてミキサー食又はブレンダー食を調製した。しかし、ネイティブ型ジェランガムを用いた場合であっても含気することによる付着性の低減効果は低く、本発明者らは更に鋭意研究を重ね、ネイティブ型ジェランガムに特定量の脱アシル型ジェランガムを併用することにより食感的なねばり、付着性が低減することを見出した。かかる効果は、含気させることで小さい気泡がゲル構造に充填され、気泡同士の接触面で弾性が発現するためと考えられる。
同様にして、本発明は上記構成をとることを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食の再加温耐性付与方法に関する。従来、粥、野菜、果物、惣菜、調理ソース(カレーやシチュー)といったミキサー食やブレンダー食は温かい状態で喫食される場合が多く、咀嚼・嚥下困難者においてもQOL(Quality Of Life)向上の観点から、再加温しても喫食可能な咀嚼・嚥下困難者用食品の提供が望まれていた。しかし、ゼラチンや寒天といった従来の固形化補助剤を用いて調製された咀嚼・嚥下困難者用食品は、例えば約60℃に再加温した場合にゲルが融解したり、ゲル強度が著しく低下するなどして、食感や物性が変化する(食塊形成性が低下する)という問題があった。かかる点、ミキサー食又はブレンダー食中に以下の配合割合(a)〜(c)を満たすように調製した固形化補助剤を配合することにより、60〜70℃に食品を再加温した際においても食感や物性がほとんど変化せず、咀嚼・嚥下困難者用食品として適した食感と物性を有するミキサー食又はブレンダー食を提供することが可能である;
(a)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.02〜2質量%のネイティブ型ジェランガム、
(b)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.001〜0.5質量%の脱アシル型ジェランガム、
(c)ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガム。
ミキサー食又はブレンダー食の付着性低減及び/又は再加温耐性付与は、前述に記載の方法によって提供することが可能である。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「質量部」、「%」は「質量%」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
実験例1 ミキサー粥の調製(1)
処方を表1に示す。以下の手順に従ってミキサー粥を調製した。予め米を5倍量の水で炊飯し、全粥を調製した。調製した全粥に80℃の湯を添加後、各固形化補助剤(増粘多糖類)を加えてミキサー(16800rpm)で30秒間攪拌し、実施例1〜3、比較例1〜7のミキサー粥を調製した。なお、固形化補助剤として脱アシル型ジェランガムを使用した実施例1〜3及び比較例2〜4は、各固形化補助剤を添加する際に、乳酸カルシウム・5水和物を各々0.1部ずつ添加した。
Figure 0005031645
注1)ケルコゲルHT使用
注2)ケルコゲル使用
注3)ビストップ※3000−C*使用
注4)ビストップ※D−2050*使用
注5)カラギニン※CSK−1*使用
注6)ゲルアップ※CSI−1*使用
実施例1〜3及び比較例1〜7のミキサー粥につき、調製直後に、食塊形成性および付着性を官能評価した。更に、ミキサー粥を室温(約20℃)で2時間静置後、60℃で30分間加温して再度食感を官能評価した。評価基準は下記の通りである。結果を表2に示す。
(食塊形成性):食塊形成性が良く、まとまり感があるものから順に、+++>++>+>±>−の5段階で評価した。
(付着性):喉へのへばりつき(付着性)の小さいものから順に、+++>++>+>±>−の5段階で評価した。
Figure 0005031645
実施例1〜3のミキサー粥は、舌で容易に潰せる程度の柔らかさでありながら食塊形成性が良く、付着性も小さく、更には表面が滑らかであり、非常に飲み込みやすい食感であった。かかる付着性の低減効果は60℃で再加温した際により顕著であり、喫食前にミキサー粥を再加温した場合においても、咀嚼・嚥下困難者用食品として極めて優れた食感を有するミキサー粥であった。比較例1〜4は、ネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムの配合比率を変えて調製したミキサー粥である。ネイティブ型ジェランガム単独(比較例1)では、付着性があって飲み込みにくく、一方、脱アシル型ジェランガム単独(比較例2)では、脆く、食塊形成性が低いため飲み込みにくく、いずれも嚥下困難者用食品に適さない食感であった。また、ネイティブ型ジェランガムに対する脱アシル型ジェランガムの配合比率が低すぎる場合(比較例3)は、食塊形成性および付着性ともに十分な改善効果がなく、逆にネイティブ型ジェランガムに対する脱アシル型ジェランガムの配合比率が高すぎる場合(比較例4)は、付着性は低下するが、脆くなり、食塊形成性が低下した。比較例5は、ネイティブ型ジェランガムと、脱アシル型ジェランガムの代わりにカッパカラギナンを併用して調製したミキサー粥である。調製直後は、実施例1と同程度の食塊形成性、付着性であったが、再加温によって食塊形成性が著しく低下し、付着性も強くなり、飲み込みにくい食感であった。比較例6は、ネイティブ型ジェランガムの代わりにキサンタンガムとローカストビーンガムを併用して調製したミキサー粥である。食塊形成性が低く、付着性も大きく、いずれの項目においても、実施例に及ばなかった。比較例7は、ネイティブ型ジェランガムと脱アシル型ジェランガムの代わりに、イオタカラギナンを単独で使用して調製したミキサー粥である。調製直後は実施例2に匹敵する食塊形成性を有し、付着感も小さく、飲み込みやすかったが、比較例5と同様、再加温により食塊形成性が低下し、付着性が大きくなった。その他、一般的に汎用性が高いといわれる寒天の使用を試みたが、固形化しなかった。
実施例4 ミキサー粥の調製(2)
粥に本発明の固形化補助剤を直接添加することにより、ミキサー粥を調製した。詳細には、予め5倍量の水で炊飯して調製した全粥99.66質量部に、本発明の固形化補助剤(ネイティブ型ジェランガム0.2質量部、脱アシル型ジェランガム0.04質量部及び乳酸カルシウム・5水和物0.1質量部)を添加し、ミキサー(16800rpm)で30秒間攪拌することにより実施例4のミキサー粥を調製した。調製されたミキサー粥を喫食したところ、舌で容易に潰せる程度の柔らかさでありながら、食塊形成性が良く、付着性も小さく、更には表面が滑らかであり、飲み込みやすい食感であった。更に実施例4のミキサー粥を2時間室温(約20℃)で静置後、60℃で30分間加温して再度食感を官能評価したところ、60℃で再加温することにより更なる付着性の低減効果が得られ、また食塊形成性も良く、咀嚼・嚥下困難者用食として優れた食感を有するミキサー粥であった。
実施例5 ミキサー粥の調製(3)
処方を表3に示す。以下の手順に従ってミキサー粥を調製した。予め米を5倍量の水で炊飯し、全粥を調製した。調製した全粥に80℃の湯を添加後、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム及びアラビアガムを添加した。ミキサー(16800rpm)で15秒間攪拌し、実施例5のミキサー粥を調製した。調製直後のミキサー粥について食感を官能評価した。更にミキサー粥を室温(約20℃)で2時間静置後、60℃で30分間加温後、再度食感を官能評価した。
Figure 0005031645
注7)ビストップ※D−2041*使用
実施例5のミキサー粥は、舌で容易に潰せる程度の柔らかさでありながら、食塊形成性が良く、付着性も小さく、更には表面が滑らかであり、非常に飲み込みやすい食感であった。かかる付着性の低減効果は60℃で再加温した際により顕著であり、喫食前にミキサー粥を再加温した場合においても、付着性が顕著に低減され、咀嚼・嚥下困難者用食品として極めて優れた食感を有するミキサー粥であった。アラビアガムを使用することにより、ミキサー処理時の流動性が改善され、より短時間で均一に原材料を混合することができた。実際に、実施例5のミキサー粥は15秒間といった短時間の攪拌条件にも関わらず、アラビアガムを併用せずに30秒間の攪拌条件下で調製された実施例3と同程度の均一性を有するミキサー粥であった。アラビアガムは同時に、付着性を低減する効果があり、アラビアガムを使用せずに調製した実施例3に比べて、更に飲み込みやすかった。アラビアガムはミキサーやブレンダー処理時の作業性の改善に効果があり、米粒からの溶出成分及び米粒の表面糊化に由来する粘性発現を抑制することによるものと考えられる。
実施例6〜11 液状食品の固形化
表4に示す配合処方で各原料を粉体混合した後、流動層造粒機を用いて顆粒化し、顆粒状の固形化補助剤(実施例6)を得た。このとき脱イオン水をバインダーに用いた。得られた顆粒状の固形化補助剤を、予め80℃に加熱した各種液状食品に添加し、ミキサー(16800rpm)で30秒間攪拌し、固形化させた(実施例7〜11)。実施例7〜11について、調製直後に食感を官能評価した。更に、室温(約20℃)で2時間静置後、60℃で30分間加温して、再度食感を官能評価した。
Figure 0005031645
Figure 0005031645
Figure 0005031645
(柔らかさ):柔らかい順に+++>++>+>±>−の5段階で評価した。
実施例6の固形化補助剤は、粉体に比べて粉立ちが抑えられ、液状食品に添加した際にダマができなかった。実施例6の固形化補助剤を用いて調製された実施例7〜11は、いずれも舌で容易に潰せる程度の柔らかさで、食塊形成性が良く、付着性も小さく、再加温してもこれらの食感的特徴は維持された。このことから、実施例6の固形化補助剤は固形状食品だけでなく液状食品に対しても、咀嚼・嚥下困難者に適した食感を付与すること可能であった。

Claims (4)

  1. ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガムを含有する嚼・嚥下困難者用固形化補助剤を含有することを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食。
  2. 咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤が更にアラビアガムを含有する、請求項1に記載の咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食。
  3. ミキサー食又はブレンダー食中に以下の配合割合(a)〜(c)を満たすように調製した固形化補助剤を配合することを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食の付着性低減方法;
    (a)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.02〜2質量%のネイティブ型ジェランガム、
    (b)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.001〜0.5質量%の脱アシル型ジェランガム、
    (c)ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガム。
  4. ミキサー食又はブレンダー食中に以下の配合割合(a)〜(c)を満たすように調製した固形化補助剤を配合することを特徴とする、咀嚼・嚥下困難者用ミキサー食又はブレンダー食の再加温耐性付与方法;
    (a)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.02〜2質量%のネイティブ型ジェランガム、
    (b)ミキサー食又はブレンダー食に対し、0.001〜0.5質量%の脱アシル型ジェランガム、
    (c)ネイティブ型ジェランガム1質量部に対し、0.01〜1質量部の脱アシル型ジェランガム。
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