JP2005073926A - ゲル化組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 実質的に水に不溶の機能性成分が均一に分散されているため、使い始めから使い終わりまで一定して、芳香性、消臭性、防虫性等の機能を発揮でき、また装飾性にも優れたゲル状組成物を提供すること、さらに、製造時に配合した成分が沈降又は浮遊することなく、均一な分散状態を維持したままで固化したゲル状製品を提供すること。
【解決手段】 少なくとも次の成分(A)ないし成分(D)
(A)カラギーナン及び/又は脱アシル型ジェランガム
(B)ネイティブ型ジェランガム
(C)水
(D)実質的に水に不溶の機能性成分
を含有することを特徴とするゲル化組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくとも次の成分(A)ないし成分(D)
(A)カラギーナン及び/又は脱アシル型ジェランガム
(B)ネイティブ型ジェランガム
(C)水
(D)実質的に水に不溶の機能性成分
を含有することを特徴とするゲル化組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、内部に実質的に水に不溶の機能性成分を均一に分散した状態で保持してなるゲル化組成物に関し、さらには、使用の初期から終期まで機能性成分の安定した性能を維持することができるゲル化組成物及びこれを利用したゲル状製品に関するものである。
従来から、ゲル化組成物の調製には、カラギーナン、寒天、ゼラチン、ジェランガム、ネイティブジェランガム等のゲル化剤が用いられている。さらにこのゲル化組成物は、ゲル化剤と、ローカストビーンガム、タラガム、グアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の増粘剤と併用することによって、ゲル物性の改良が図られている。そして、これらのゲル化剤や増粘剤の選択並びにそれらの組合せの態様は、個々の目的や用途に応じて種々変えることができるものである。
ところで、芳香成分又は消臭成分を、そのままの状態で又はカプセル化してゲル中に配合したゲル状の芳香剤又は消臭剤が開発されている。また、活性炭等の吸着剤をゲル中に分散したゲル状脱臭剤も提案されている(特許文献1)。
このようなゲル状製品は、使い始めから使い終わりまで一定して有効な芳香・消臭・脱臭効果を発揮させるために、芳香・消臭・脱臭成分等の成分をゲル内部に均一な状態で溶解若しくは分散保持させることが必要である。また、装飾性を与えることを目的に粒状物をゲル中に均一に分散させることも行われている。
このようなゲル状製品は、通常、ゲル化剤及び芳香・消臭・脱臭成分を加熱し流動状態にして分散・溶解し、しかる後、適当な容器に充填し、冷却する事により固化させ製造するものである。このようにゲル状製品はその製造工程において、固化(ゲル化)するまで一定の時間を必要とするため、その間に芳香・消臭・脱臭成分や粒状物等の機能性成分が底部に沈降したり、あるいは上部に浮遊し、その均一性が損なわれるという問題点があった。
この問題点を解決するためキサンタンガムを増粘剤として使用することが提案されているが(特許文献2)、分散の長期安定化を図るには添加量を多くする必要があり、その結果加熱時でも粘度が高くなり、容器に充填しにくかったり、使用後の残査が増えてしまうという問題点があった。
本発明の課題は、かかる問題点を解決し、使い始めから使い終わりまで一定して芳香性等の機能性を有効に発揮したり、粒状物等が均一に分散され装飾性の優れたゲル化組成物を提供することである。また、製造時において、内部に配合した実質的に水に不溶の機能性成分が沈降又は浮遊することなく、均一な分散状態を維持したまま調製されたゲル状製品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、特定のゲル化剤を組み合わせたゲル化組成物が、上記問題点を解決することを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は 少なくとも次の成分(A)ないし成分(D)
(A)カラギーナン及び/又は脱アシル型ジェランガム
(B)ネイティブ型ジェランガム
(C)水
(D)実質的に水に不溶の機能性成分
を含有することを特徴とするゲル化組成物を提供するものである。
(A)カラギーナン及び/又は脱アシル型ジェランガム
(B)ネイティブ型ジェランガム
(C)水
(D)実質的に水に不溶の機能性成分
を含有することを特徴とするゲル化組成物を提供するものである。
また本発明は、上記のゲル化組成物を加熱下に容器に充填した後、室温まで冷却し、ゲル化せしめてなるゲル状製品を提供するものである。
本発明のゲル化組成物によれば、ゲル化剤として成分(A)と成分(B)を組み合わせて用いることによって、機能性成分を均一にゲル中に分散させた状態で固化させることが可能となる。特に、機能性成分の比重及び平均粒径が特定の範囲にあるときに上記効果を顕著に得ることができる。また、このように機能性成分をゲル化組成物中に均一に保持することによって、使い始めから終わりまで均一な芳香性、消臭性等の機能性を発揮することができ、また機能性成分として装飾性を有する液体又は固体の粒状物を用いた場合には、分散が均一であるため装飾性の高いゲル状製品を提供できる。
本発明のゲル化組成物には、ゲル化剤として、成分(A)カラギーナン及び/又は脱アシル型ジェランガム並びに成分(B)ネイティブ型ジェランガムが含有される。
成分(A)のうち、カラギーナンは、海藻の紅藻類等に含まれる物質であり、一般に商業的に入手できるものを使用できる。
また、成分(A)のうち、脱アシル型ジェランガムは、下記の構造式(1)で表される化合物である。
(式中、Mは水素原子、ナトリウム原子又はカリウム原子を示し、nは自然数である)
上記式(1)におけるMのうち、好ましいものとしては、カリウム原子が挙げられる。また、nは好ましくは、100〜10000の範囲の自然数である。
この脱アシル型ジェランガムは、スフィンゴモナス・エロデア(Sphingomonas elodea)によって産出する微生物多糖類の脱アシル化体であり、一般に商業的に入手できるものも使用することができる。
成分(A)におけるカラギーナンと脱アシル化ジェランガムの含有割合は、特に限定されないが、重量比で、100:1〜1:100が好ましく、特に好ましくは10:1〜1:10である。
成分(A)のゲル化組成物全体における含有量は、0.1〜10質量%(以下、「%」と略記する)が好ましい。含有量が、0.1%未満だとゲル強度が弱くなりすぎる場合があり、また10%より多いと、水や揮散性成分が蒸発又は揮散した後に残存するゲル量が多くなりすぎ、美感上好ましくない場合がある。揮散性成分の溶解性や分散性をより高めるという観点から、成分(A)は、特に好ましくは0.1〜5%、さらにより好ましくは0.3〜3%の範囲で含有される。
また、成分(B)のネイティブ型ジェランガムは、下記の構造式(2)で表される化合物である。
(式中、Mは水素原子、ナトリウム原子又はカリウム原子を示し、nは自然数である)
式(2)におけるMのうち、好ましいものは、カリウム原子である。また、nは好ましくは、100〜10000の範囲の自然数である。
この成分(B)は、スフィンゴモナス・エロデア(Sphingomonas elodea)によって産出する微生物多糖類であり、一般に商業的に入手できるものも使用することができる。
また、成分(B)のゲル化組成物全体における含有量は、0.01〜10%が好ましい。含有量が、0.01%未満だと成分(D)を安定に分散させるのに必要な粘度が得られなくなる場合があり、また10%より多いと、水や揮散性成分が蒸発又は揮散した後の残査が多くなりすぎ、美観上好ましくない。成分(D)の分散性をより高めるという観点から、特に好ましくは0.01〜3%、さらにより好ましくは0.01〜1%の範囲で含有される。
さらに、上記成分(A)と成分(B)の含有量の比率は、特に限定されないが、成分(A)100重量部に対して成分(B)を0.1〜1000重量部の比率で配合することが好ましい。特に好ましくは、成分(A)100重量部に対して、成分(B)1〜100重量部である。0.1重量部より少ないと、加熱状態での充分な粘度が得られず、粒状物が充分に分散しなくなってしまい、1000重量部より多いと、充分なゲル強度が得られない。
本発明のゲル化組成物には、上記成分(A)、成分(B)と共にゲルを生成させるため、必須成分(C)として水が含有される。成分(C)はイオン交換水が好ましい。成分(C)の含有量は、それ以外の各成分の含有量に応じて残量だけ用いられるが、好ましくは50〜99%の範囲で用いられる。
本発明のゲル化組成物における成分(D)は、実質的に水に不溶の機能性成分である。この成分(D)の例としては、常温で気体となって芳香性、消臭性、防虫性、殺虫性、防カビ性等の機能を発揮する実質的に水に不溶の液体又は固体が挙げられる。また、別な成分(D)の例としては、臭気等を吸着して脱臭性機能を発揮する実質的に水に不溶の液体又は固体が挙げられる。更に成分(D)の他の別な例としては、ゲル中に分散し、装飾性を付与することのできる実質的に水に不溶の液体又は固体が挙げられる。これらの成分(D)は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。
これら成分(D)は、最終的なゲル状製品に芳香性、消臭性、脱臭性、防虫性、殺虫性、防カビ性等や、装飾性を付与することができるものであり、その具体的例としては、次のものが挙げられる。
まず、芳香性を付与することのできる機能性成分としては、揮散性を有し芳香性を有する物質であれば特に限定はされないが、例えば医薬品、医薬部外品、香粧品(化粧料、芳香料を含む)、食品等の分野において従来より使用されている香料等を広く挙げることができる。
具体的には、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ラバンジン油、ベルガモット油、パチュリ油、シダーウッド油等の天然精油;α−ピネン、β−ピネン、リモネン、p−サイメン、ターピノレン、α−ターピネン、γ−ターピネン、α−フェランドレン、ミルセン、カンフェン、オシメン等の炭化水素テルペン;ヘプタナール、オクタナール、デカナール、ベンズアルデヒド、サリシリックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シトロネラール、ハイドロキシシトロネラール、ハイドロトロピックアルデヒド、リグストラール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、リラ−ル、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン等のアルデヒド類;エチルフォーメート、メチルアセテート、エチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルイソブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレート、イソブチルアセテート、イソブチルイソブチレート、イソブチルブチレート、イソブチルイソバレレート、イソアミルアセテート、イソアミルプロピオネート、アミルプロピオネート、アミルイソブチレート、アミルブチレート、アミルイソバレレート、アリルヘキサノエート、エチルアセトアセテート、エチルヘプチレート、ヘプチルアセテート、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、エチルオクチレート、スチラリルアセテート、ベンジルアセテート、ノニルアセテート、ボルニルアセテート、リナリルアセテート、安息香酸リナリル、エチルシンナメート、ヘキシルサリシレート、メンチルアセテート、ターピニルアセテート、アニシルアセテート、フェニルエチルイソブチレート、ジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、エチレンブラシレート、γ−ウンデカラクトン、γ−ノニルラクトン、シクロペンタデカノライド、クマリン等のエステル・ラクトン酸;アニソール、p−クレジルメチルエーテル、ジメチルハイドロキメン、メチルオイゲノール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、アネトール、ジフェニルオキサイド、ローズオキサイド、ガラクソリド、アンブロックス等のエーテル類;イソプロピルアルコール、cis−3−ヘキセノール、ヘプタノール、2−オクタノール、ジメトール、ジヒドロミルセノール、リナロール、ベンジルアルコール、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、ターピネオール、テトラハイドロゲラニオール、l−メントール、セドロール、サンタロール、チモール、アニスアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;ジアセチル、メントン、アセトフェノン、α−又はβ−ダマスコン、α−又はβ−ダマセノン、α−、β−又はγ−ヨノン、α−、β−又はγ−メチルヨノン、メチル−β−ナフチルケトン、ベンゾフェノン、テンタローム、アセチルセドレン、α−又はβ−イソメチルヨノン、α−、β−又はγ−イロン、マルトール、エチルマルトール、cis−ジャスモン、ジヒドロジャスモン、l−カルボン、ジヒドロカルボン等のケトン類等を例示することができる。これらは、1種単独で使用することもでき、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
また、消臭性を付与することのできる機能性成分としては、揮散性を有する物質であって消臭性を有するものならば特に限定はされないが、具体的には、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、シトロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類又はポリフェノールを主成分とする植物抽出物型消臭剤;ベタイン化合物、二価鉄イオン又は安定化二酸化炭素を主成分とする反応型消臭剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用することもでき、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
更に、脱臭性を付与することのできる機能性成分としては、臭気について吸着性を有する物質ならば特に限定はされないが、活性炭、備長炭等の炭;ゼオライト、セピオライト、銀担持ゼオライト等のアルミノケイ酸塩;酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物;シリカゲル、活性アルミナ、活性白土等の吸着剤が挙げられる。これらは、1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
更にまた、防虫性又は殺虫性を付与することのできる機能性成分としては、揮散性を有し防虫性又は殺虫性を有する物質であれば特に限定されないが、具体的には、パラジクロロベンゼン、ナフタリン、樟脳、アレスリン、プラレトリン、フタルスリン、レスメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、フェンバレレート、シペルメトリン、シフェノトリン、エンペントリン、テラレスリン、イミプロスリン、トランスフルスリン、フェンプロパトリン、フェンフルスリン、2−3−5−6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル(1R)−トランス−3−(2−クロロ−2−フルオロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
また更に、防カビ性を付与することのできる機能性成分としては、揮散性を有し防カビ性を有する物質であれば特に限定されないが、具体的には、チモール、α−ブロムシンナミックアルデヒド、パラクロロメタキシレノール、オルトフェニルフェノール、3−ヨード−2−プロピルブチルカーバメート、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
一方、装飾性を付与することのできる機能性成分としては、常温で液体であっても固体であってもよく、具体的には、色素を油性液体に溶解したもの、ラメ、光輝性顔料、色彩を施したマイクロカプセル若しくはゼラチンカプセル、粉砕した野菜や果物、香辛料、胡麻等の種子、パルプ、ファイバー、金属片、プラスチック成型物、フィルム等が挙げられ、これらの1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。
成分(D)としては、上記したような単独物質の他に、固体担体に上記機能性成分を担持させたものを挙げることもできる。その場合の固体担体としては、特に制限はされないが、好適にはゼオライト、酸化チタン、シリカゲル、セラミック若しくは活性炭等の多孔性物質又はサイクロデキストリン等の各種包接化合物等が挙げられる。また、上記機能性成分をカプセル又はマイクロカプセル等の基材に包含させたものも挙げることができる。これらの担体や基材はその形状に特に制限はなく、任意の形状をとることができる。
上記の複数の機能性を併せ持つ成分(D)の例としては、脱臭性と装飾性を併せ持つ銀担持ゼオライトが挙げられる。また、その別の例としては、上記した芳香性若しくは消臭性を有する物質を含有し、色彩を施したマイクロカプセル又はゼラチンカプセル、芳香性若しくは消臭性を有する液状物に色素を溶解したもの等が挙げられる。
上記した成分(D)は、1種単独で使用することもでき、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
成分(D)のゲル化組成物ないしゲル状製品中での形状は、成分(D)が固体の場合は、粒状物として存在することが好ましい。ここで、粒状物の形状、粒径、比重等は、本発明の効果を妨げなければ、特に制限されるものではなく、形状としては、粉末状、顆粒状、球状、楕円状、破砕状、角状、多角形状又は破片状のいずれであってもよい。
この粒状物の粒径は、平均粒径0.1μm〜5cmの範囲を挙げることができる。好ましくは0.5μm〜5mmの範囲、より好ましくは1μm〜3mmの範囲である。さらに、粒状物の比重は、0.01〜10g/cm3の範囲を挙げることができる。好ましくは0.1〜5g/cm3の範囲であり、より好ましくは0.5〜4g/cm3である。
また、成分(D)が液状物の場合は、装飾性の点で液滴状で存在することが好ましい。この液滴の大きさは、平均直径0.1μm〜1cm、好ましくは、0.1μm〜5mm、より好ましくは、1μm〜1mmであることが好ましい。
ゲル化組成物全体に対する成分(D)の含有量としては、それぞれの効果を発揮する量であれば特に制限されないが、成分(D)が揮散性又は吸着性を付与する成分であるときは、その揮散性成分の種類に応じて、0.1〜20%の範囲から適宜選択使用することができる。好ましくは、0.5〜5%である。また、成分(D)が装飾性を付与する成分であるときは、0.01〜30%の範囲から適宜選択使用することができる。好ましくは0.01〜20%、より好ましくは0.01〜5%である。
なお、本発明のゲル化組成物は、上記本発明の効果を妨げない範囲で、上記必須成分の他に、その他のゲル化剤、増粘剤、糊料又は分散安定剤等を配合することもできる。かかるゲル化剤や増粘剤等としては、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天、ファーセルラン等の海藻多糖類;グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム等の種子多糖類;アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム等の樹脂多糖類;ペクチン等の果皮多糖類;キサンタンガム、カードラン、プルラン等の発酵多糖類;グルコマンナン等の植物多糖類;ゼラチン、カゼインナトリウム等の蛋白質;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、発酵セルロース、それらのアルカリ金属塩等のセルロース類若しくはそれらの誘導体;デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン誘導体;メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体の加水分解物等の合成ポリマーを例示することができる。
本発明のゲル化組成物の調製に際しては、さらに必要に応じて、ゲル化助剤としてカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アルミニウム等の金属イオン;コハク酸、無水コハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、フタル酸、アスパラギン酸等の有機酸若しくはそれらの塩;塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸若しくはそれらの塩等を含有させることができる。具体的には、乳酸カルシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム等を例示することができる。これらのゲル化助剤の種類やその含有量は、ゲル化組成物が備える所望のゲル強度に応じて適宜選択することができ、使用するゲル化助剤の種類によっても異なるが、通常ゲル化組成物全体に対して0.01〜3%の範囲で使用される。
本発明のゲル化組成物の調製に際しては、さらに必要に応じて揮散に伴うゲル表面の乾燥防止及び成分(A)、成分(B)の一次分散剤のために水溶性溶媒を含有させることができる。水溶性溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;プロピレングリコール、エチレングリコール等のグリコール類;3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられる。
さらに、本発明のゲル化組成物には、必須成分である上記成分(D)以外に、その使用目的や用途に応じて、香料、消臭剤、防虫剤等を界面活性剤を用いて可溶化させて含有させることもできる。さらに着色剤、忌避剤、ゲル化組成物自身の防カビ剤、防腐剤、抗菌剤、界面活性剤、紫外線吸収剤等を含有させることもできる。これらは、医療分野、医薬部外品分野、香粧品分野、食品分野において通常使用されるものを任意に用いることができる。
本発明のゲル化組成物を利用するゲル状製品の製造方法は、特に制限されないが、その一例としては、以下の製造方法が挙げられる。先ず、成分(A)と成分(B)を成分(C)に加熱しながら溶解し、次いでその中に成分(D)を添加し、撹拌することによって、成分(D)を均一に分散させ、かかる分散状態を維持しながらゲル化点以下まで冷却する。
この際、成分(D)の添加時期は特に制限されず、成分(A)及び成分(B)と同時に成分(C)に添加してもよい。また、成分(D)の分散が妨げられなければ、成分(A)及び成分(B)を成分(C)に溶解した液を所定温度まで冷却した後、まだゲル化する前に成分(D)を添加してもよい。特に揮散性成分については、高温下では不安定になりやすいので、ゲル化温度に近い温度まで冷却した時点で添加することが好ましい。
成分(D)は、そのままの状態で成分(A)、成分(B)及び成分(C)に添加することもできるが、一旦適当な溶剤に溶解又は分散させたり、必要に応じて界面活性剤とともにそれらに添加することもできる。
本発明のゲル化組成物のゲル化温度は、通常30〜50℃の範囲にある。従って、本発明のゲル化組成物は、上記製造工程において、成分(D)を均一に分散した後、温度を30〜50℃以下にすることによって固化させることができる。なお、容器への充填は、容器充填過程での固化を防止するために、一般にゲル化温度より10〜20℃高い液温で行うことが好ましい。固化は、通常5〜120分、好ましくは5〜60分の時間内で行うことが望ましい。ゲル化組成物の容量が50〜500mlの範囲にある場合は、自然冷却によって上記時間内で固化させることができる。
また、本発明のゲル化組成物のpHは、特に制限されないが、好ましくはpH4〜9、特に好ましくはpH4〜8、さらにより好ましくはpH5〜8の範囲になるように調整することが望ましい。
このようにして製造された容器に充填されたゲル化組成物は、ゲル化製品として好適に使用できる。ゲル化製品のゲル剤は、成分(D)の機能に応じて、芳香剤、脱臭剤、消臭剤、防虫剤、殺虫剤、防カビ剤等が挙げられる。
以下、実施例等を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、下記の処方において%とは、特に指定しない限り、質量%を意味するものとする。
実 施 例 1
表1に記載の処方に従って、ゲル化組成物を調製した。具体的には、表1において乳酸カルシウムを除く各成分をイオン交換水に加えて分散させた後、90℃以上に加熱して溶解させ、そこに乳酸カルシウムを加え、撹拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これを55℃に冷却し、ゲル化していない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させて発明品1〜3及び比較品1〜5のゲル化剤を調製した。
表1に記載の処方に従って、ゲル化組成物を調製した。具体的には、表1において乳酸カルシウムを除く各成分をイオン交換水に加えて分散させた後、90℃以上に加熱して溶解させ、そこに乳酸カルシウムを加え、撹拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これを55℃に冷却し、ゲル化していない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させて発明品1〜3及び比較品1〜5のゲル化剤を調製した。
これらのゲル状製品について、成分(D)である光輝性顔料の分散性及びゲル状態について下記の基準に従って目視で評価した。結果を表2に示す。また、本発明品1の外観を図1に、比較品1の外観を図2に示す。
<粒状物の分散性>
◎:均一に分散してゲル化していた
○:約半分が沈降、約半分が均一に分散してゲル化していた
×:90%以上が沈降してゲル化していた
<ゲル化組成物のゲル状態>
○:均一にゲル化していた
△:不均一にゲル化していた
×:ゲル化しなかった
◎:均一に分散してゲル化していた
○:約半分が沈降、約半分が均一に分散してゲル化していた
×:90%以上が沈降してゲル化していた
<ゲル化組成物のゲル状態>
○:均一にゲル化していた
△:不均一にゲル化していた
×:ゲル化しなかった
表2、図1及び図2に示す結果から明らかなように、成分(A)の脱アシル型ジェランガム及び/又はカラギーナンに成分(B)ネイティブ型ジェランガムを併用すると、粒状物の分散性とゲル状態が極めて良好なゲル状製品が調製できた。また、容器に入れた状態で装飾性の優れた脱臭器として用いることができた。一方、比較品は光輝性顔料のほとんどが沈降した状態でゲル化してしまった。
実 施 例 2
下記の処方と製造方法で脱臭性を有するゲル状製品を製造した。
<処方>
(1)脱アシル型ジェランガム*3) 0.6g
(2)ネイティブ型ジェランガム*4) 0.1g
(3)脱臭性成分*5) 0.5g
(4)光輝性顔料*1) 0.2g
(5)プロピレングリコール 4g
(6)塩化カルシウム 0.07g
(7)水 残量
計 100g
*1)実施例1と同じ
*3)三栄源FFI(株)製
*4)三栄源FFI(株)製
*5)銀担持ゼオライト:商品名「ゼオミック」((株)シナネンゼオミック製)
下記の処方と製造方法で脱臭性を有するゲル状製品を製造した。
<処方>
(1)脱アシル型ジェランガム*3) 0.6g
(2)ネイティブ型ジェランガム*4) 0.1g
(3)脱臭性成分*5) 0.5g
(4)光輝性顔料*1) 0.2g
(5)プロピレングリコール 4g
(6)塩化カルシウム 0.07g
(7)水 残量
計 100g
*1)実施例1と同じ
*3)三栄源FFI(株)製
*4)三栄源FFI(株)製
*5)銀担持ゼオライト:商品名「ゼオミック」((株)シナネンゼオミック製)
<製造方法>
上記処方に示した(1)、(2)及び(4)を(7)に加えて分散させた後、90℃以上に加熱して溶解し、その後(3)、(5)及び(6)を加え、撹拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これを55℃に冷却し、ゲル化しない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させてゲル状製品を調製した。
上記処方に示した(1)、(2)及び(4)を(7)に加えて分散させた後、90℃以上に加熱して溶解し、その後(3)、(5)及び(6)を加え、撹拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これを55℃に冷却し、ゲル化しない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させてゲル状製品を調製した。
実施例2のゲル状製品は、脱臭性成分、光輝性顔料(いずれも成分(D)に該当)がゲル中に均一に分散していた。そして、脱臭剤として装飾性にも優れたものであった。
実 施 例 3
下記の処方と製造方法で芳香剤を含有するゲル状製品を製造した。
<処方>
(1)脱アシル型ジェランガム*3) 0.6g
(2)ネイティブ型ジェランガム*4) 0.1g
(3)香料*6) 1g
(4)プロピレングリコール 4g
(5)塩化カルシウム 0.07g
(6)水 残量
計 100g
*3)実施例2と同じ
*4)実施例2と同じ
*6)ライム系香料(長谷川香料(株)製)
油性染料0.003gにより緑色に着色されている。
下記の処方と製造方法で芳香剤を含有するゲル状製品を製造した。
<処方>
(1)脱アシル型ジェランガム*3) 0.6g
(2)ネイティブ型ジェランガム*4) 0.1g
(3)香料*6) 1g
(4)プロピレングリコール 4g
(5)塩化カルシウム 0.07g
(6)水 残量
計 100g
*3)実施例2と同じ
*4)実施例2と同じ
*6)ライム系香料(長谷川香料(株)製)
油性染料0.003gにより緑色に着色されている。
<製造方法>
(1)、(2)及び(4)を(6)に加えて分散させた後、90℃以上に加熱して溶解し、(5)を加え55℃まで冷却した。次いで(3)を加え、撹拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これを45℃に冷却し、ゲル化しない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させてゲル状製品を調製した。
(1)、(2)及び(4)を(6)に加えて分散させた後、90℃以上に加熱して溶解し、(5)を加え55℃まで冷却した。次いで(3)を加え、撹拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これを45℃に冷却し、ゲル化しない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させてゲル状製品を調製した。
実施例3のゲル状製品は、液体の粒状物である緑色に着色された香料がゲル中に0.1mm〜3mmの粒径を持ちつつ均一分散していることが確認できた(図3)。さらに、揮散性を有する香料が含有された実施例3のゲル状製品を室温で放置させたところ、約3ヶ月間初期から終期にわたって変わらない芳香を発した。容器に入れた状態で芳香剤として優れていた。
実 施 例 4
下記の処方と製造方法で芳香性成分を含有するゲル状製品を製造した。
<処方>
(1)カラギーナン 1.5g
(2)ネイティブ型ジェランガム*4) 0.1g
(3)香料*7) 1g
(4)界面活性剤*8) 4g
(5)光輝性顔料*1) 0.2g
(6)プロピレングリコール 3g
(7)エタノール 5g
(8)塩化カリウム 0.2g
(9)水 残量
*1)実施例1と同じ
*4)実施例2と同じ
*7)ソープ系香料(高砂香料工業(株)製)
*8)非イオン系界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテル:商品名「サンノ
ニック」(三洋化成工業(株)製)
下記の処方と製造方法で芳香性成分を含有するゲル状製品を製造した。
<処方>
(1)カラギーナン 1.5g
(2)ネイティブ型ジェランガム*4) 0.1g
(3)香料*7) 1g
(4)界面活性剤*8) 4g
(5)光輝性顔料*1) 0.2g
(6)プロピレングリコール 3g
(7)エタノール 5g
(8)塩化カリウム 0.2g
(9)水 残量
*1)実施例1と同じ
*4)実施例2と同じ
*7)ソープ系香料(高砂香料工業(株)製)
*8)非イオン系界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテル:商品名「サンノ
ニック」(三洋化成工業(株)製)
<製造方法>
上記処方に示した(1)、(2)を(6)に加えて分散させたものと(5)と(8)を(9)に加えて分散させた後、80℃以上に加熱して溶解し、60℃まで冷却した。次いで(3)、(4)、(7)の混合液を加え、攪拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これをゲル化しない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させてゲル状製品を調製した。
上記処方に示した(1)、(2)を(6)に加えて分散させたものと(5)と(8)を(9)に加えて分散させた後、80℃以上に加熱して溶解し、60℃まで冷却した。次いで(3)、(4)、(7)の混合液を加え、攪拌しながら各成分が系内で均一になるように分散させた。これをゲル化しない状態で容器に充填し、室温下で自然冷却させてゲル状製品を調製した。
実施例4のゲル状製品は、光輝性顔料(成分(D)に該当)が、ゲル中に均一に分散していた。このゲル状製品を室温で放置させたところ、約3ヶ月間初期から後期にわたって変わらない芳香を発し、装飾性にも優れたものであった。
比 較 例 1
実施例3においてネイティブ型ジェランガムを用いない以外は実施例3と同一処方で、同様の製造方法でゲル状製品を調製した。しかし、ゲルの上部に香料が層状に浮遊・堆積してしまい、美観を損ねるものであった(図4)。このものを室温に放置したところ初期は芳香を発したものの、数週間で芳香を発しなくなった。
実施例3においてネイティブ型ジェランガムを用いない以外は実施例3と同一処方で、同様の製造方法でゲル状製品を調製した。しかし、ゲルの上部に香料が層状に浮遊・堆積してしまい、美観を損ねるものであった(図4)。このものを室温に放置したところ初期は芳香を発したものの、数週間で芳香を発しなくなった。
本発明のゲル化組成物によれば、ゲル内部に機能性成分を均一に分散させた状態で固化、保持させることが可能になるため、使い始めから終わりまで均一な芳香性、消臭性、防虫性等の機能を発揮するゲル状製品を得ることができる。また、機能性成分として装飾性を有する粒状物を用いた場合には、粒状物の分散が均一で装飾性の高いゲル状製品を提供できる。
Claims (10)
- 少なくとも、次の成分(A)ないし成分(D)
(A)カラギーナン及び/又は脱アシル型ジェランガム
(B)ネイティブ型ジェランガム
(C)水
(D)実質的に水に不溶の機能性成分
を含有することを特徴とするゲル化組成物。 - ゲル化組成物全体に対して、成分(A)を0.1〜10質量%、成分(B)を0.01〜10質量%含有する請求項1記載のゲル化組成物。
- 成分(D)が、平均粒径0.1μm〜5cmで、かつ比重0.01〜10g/cm3の固体の粒状物である請求項1又は請求項2記載のゲル化組成物。
- 成分(D)が、液滴の平均直径0.1μm〜1cmで、かつ比重0.1〜2g/cm3の液体である請求項1又は請求項2記載のゲル化組成物。
- 成分(D)が、揮散性、吸着性又は装飾性を有する機能性成分である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載のゲル化組成物。
- 成分(D)が、芳香性、消臭性、脱臭性、防虫性、殺虫性、防カビ性又は装飾性を有する機能性成分である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載のゲル化組成物。
- ゲル化組成物全体に対して、成分(D)を0.01〜30質量%含有する請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載のゲル化組成物。
- 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載のゲル化組成物を加熱下に容器に充填した後、室温まで冷却し、ゲル化せしめてなるゲル状製品。
- ゲル剤が芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、殺虫剤又は防カビ剤である請求項第8項記載のゲル状製品。
- 成分(A)及び成分(B)を、加熱下に成分(C)に溶解させた液中に、成分(D)を分散させ、その分散液の温度をゲル化温度より10〜20℃高く保ちつつ、容器に充填することを特徴とする請求項8又は請求項9の何れかの請求項記載のゲル状製品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003307584A JP2005073926A (ja) | 2003-08-29 | 2003-08-29 | ゲル化組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006014933A (ja) * | 2004-07-01 | 2006-01-19 | Ogawa & Co Ltd | ゲル芳香剤 |
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JP2009247286A (ja) * | 2008-04-07 | 2009-10-29 | Sanei Gen Ffi Inc | ミキサー食又はブレンダー食に適応可能な咀嚼・嚥下困難者用固形化補助剤及び該固形化補助剤を含有したミキサー食又はブレンダー食 |
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EP3601375A4 (en) * | 2017-03-30 | 2021-01-13 | DSM IP Assets B.V. | GELLANGUMMI WITH DOUBLE GEL TEMPERATURES, MANUFACTURING PROCESS AND USE OF IT |
-
2003
- 2003-08-29 JP JP2003307584A patent/JP2005073926A/ja active Pending
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US11390694B2 (en) | 2017-03-30 | 2022-07-19 | Dsm Ip Assets B.V. | Gellan gum with double setting temperatures and the preparation method and use thereof |
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