JP6042609B2 - 飲食品用ゲル化剤 - Google Patents

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Description

本発明は、インスタントゲル化剤として利用可能な飲食品用のゲル化剤に関する。詳細には、0〜70℃の温度帯の飲食品と混合し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、別途加熱や冷却工程を要せず、簡便に当該飲食品にゲル化性を付与できるゲル化剤に関する。更に、本発明は、喫食時にゲル状飲食品を再加温した場合であっても、保形性が大きく低下することなく、良好なかたさ、食塊形成性を保持可能なゲル状飲食品を提供する方法に関する。
飲食品にゲル化性を付与する(ゲル化させる)ゲル化剤として、寒天、ゼラチン、カラギナン及びジェランガムなどの各種ゲル化剤が用いられている。しかし、飲食品を凝固させるゲル化機能を発揮させるためには、ゲル化剤を含有した飲食品を、一旦80℃以上に加熱後、ゲル化温度まで冷却する必要があり、ゲル状飲食品の調製に通常1〜3時間程の時間を要していた。特に、ゼラチンでは、冷却に一晩かかる場合があった。
上記常法は、工業規模でゲル状飲食品を製造する場合に有効な手段である。しかし、家庭や病院内で手軽にゲル状飲食品を調製したい場合に、製造方法が煩雑である、喫食可能となるまでに長時間を要し、その場で直ぐに喫食できないといった問題を抱えていた。
例えば、食物を噛み砕き、飲み込むという一連の動作に障害をもつ、いわゆる咀嚼・嚥下困難者の誤嚥防止を目的として、飲食品を増粘・ゲル化させる技術が用いられるが、喫食毎に上記調理工程をとることは咀嚼・嚥下困難者本人やその介護者にかかる負担が非常に大きい。更に、調理時に火傷の恐れがあるなど、使い勝手が悪いものであった。
当該従来技術に鑑み、撹拌により飲食品にゲル化性を付与する技術が特許文献1及び2に開示されている。
具体的には、キサンタンガム2〜40重量部に対し、グルコマンナン98〜60重量部の割合で粉体混合した混合物をゲル化剤として用い、5000rpm以上の撹拌で飲食品にゲル化性を付与する技術(特許文献1)、及びキサンタンガム1〜50%、ジェランガム90〜10%、グァーガム50〜1%の配合比のゲル化剤をデンプン含有食品に添加し、4500rpm以上の撹拌で飲食品を半固形化する技術(特許文献2)が開示されている。
特許文献1に開示された技術は水やお茶のような単純系の飲食品を、特許文献2に開示された技術はデンプンを含有する飲食品をゲル化させることができる。しかし、特許文献1に開示されたゲル化剤を用いて調製されたゲル状飲食品は、付着性が強く、喫食した際に咽頭にへばりつきやすいという課題を抱えていた。特に、咀嚼・嚥下困難者は筋肉の衰えなどから食塊を咽頭から食道へ送り込む機能が低下しており、付着性が大きい食品はスムースに咽頭相を通過させることができず、咀嚼・嚥下困難者用のゲル化剤として不十分であった。また、特許文献2に開示された技術は、酵素を含むため、食品本来の味を損ねてしまう、デンプン含有食品以外の飲食品をゲル化させることができず、汎用性が低いといった課題を抱えていた。
更に、お粥、うどん、味噌汁等の温かい状態で喫食される食品は、ゲル状飲食品を調製後、喫食に適した温度まで加温することが望ましい。同様にして、調製から喫食までの時間、喫食に適した温度帯でゲル状飲食品が保温される場合がある。特許文献1及び2に開示されたゲル化剤では、このような再加温によって調製されたゲル状飲食品の保形性が大きく低下し、かたさや食塊形成性が著しく低下してしまうといった問題を抱えていた。
特開2008−301775号公報 特開2011−167142号公報
上記従来技術に鑑み、本発明では飲食品に簡便にゲル化性を付与可能なゲル化剤、及び当該ゲル化剤を用いたゲル状飲食品の製造方法を提供することを目的とする。具体的には、0〜70℃の温度帯の飲食品に添加するか、または当該飲食品を添加した後、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、別途加熱や冷却工程を要せず、簡便に当該飲食品にゲル化性を付与することができるゲル化剤、及び当該ゲル化剤を用いたゲル状飲食品の製造方法を提供することを目的とする。かかる点、本発明は利便性の高いインスタントゲル化剤を提供することにもある。
更に、本発明は、喫食時にゲル状飲食品を再加温した場合であっても、ゲル化によって付与された保形性が大きく低下することなく、良好なかたさ、食塊形成性を保持することができるゲル状飲食品を提供することを目的とする。
また、本発明では咀嚼・嚥下困難者の喫食に適したゲル状飲食品を調製可能なゲル化剤、及び当該ゲル化剤を用いたゲル状飲食品の製造方法を提供することを目的とする。具体的には咀嚼・嚥下困難者が飲み込みやすいような良好な食塊形成性を有し、また、口腔及び咽頭への付着性が小さいゲル状飲食品を調製可能なゲル化剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、0〜70℃の飲食品に下記(1)〜(3)を必須成分とするゲル化剤を添加するか、または当該ゲル化剤に上記飲食品を添加し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、別途加熱や冷却工程を要せず、簡便に飲食品にゲル化性を付与できること、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適した食感とレオロジー特性を付与できること、及び得られたゲル状飲食品が加温耐性に優れることを見出して本発明に至った;
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上。
本発明は、以下の態様を有する、飲食品用のゲル化剤に関する;
(I-1).以下の(1)〜(3)を必須成分として含有し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌で飲食品にゲル化性を付与することを特徴とする、飲食品用のゲル化剤;
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上。
(I-2).上記ゲル化剤が(1)キサンタンガムを3〜65質量%の割合で含有するものである、(I-1)記載のゲル化剤。
(I-3).(1)キサンタンガム100質量部に対して、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムを総量で10質量部以上150質量部未満の割合で含有する、(I-1)または(I-2)記載のゲル化剤。
(I-4).(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される少なくとも一種を、κカラギナンについては5〜200質量部、寒天については5〜300質量部、脱アシル型ジェランガムについては5〜200質量部の割合で含有する、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載するゲル化剤。
(I-5).粉末状または顆粒状を有する(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載するゲル化剤
(I-6).ゲル化後、加温される飲食品に用いることを特徴とする、(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載のゲル化剤。
(I-7).飲食品が米飯食品、麺類、スープ、飲料、濃厚流動食、経腸栄養剤、シチュー、カレー、又は惣菜である、(I-1)乃至(I-6)のいずれかに記載のゲル化剤。
(I-8).ゲル状飲食品100質量%中に含まれる(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%となるように、飲食品に用いられる(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載のゲル化剤。
また本発明は、以下の態様を有する、ゲル状飲食品の製造方法に関する:
(II-1).飲食品に、以下の(1)〜(3)またはこれらを含有する(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載のゲル化剤を添加するか、または下記の(1)〜(3)の混合物または上記ゲル化剤に飲食品を添加し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことを特徴とする、ゲル状飲食品の製造方法;
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上。
(II-2).飲食品が米飯食品、麺類、スープ、飲料、濃厚流動食、経腸栄養剤、シチュー、カレー、又は惣菜である、(II-1)に記載する製造方法。
(II-3).ゲル状飲食品100質量%中の(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%となるように、(1)〜(3)またはこれらを含有する(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載のゲル化剤を用いる(II-1)または(II-2)に記載する製造方法。
第一の効果として、本発明のゲル化剤を用いることで、加熱及び冷却工程をとることなく、短時間で簡便にゲル状飲食品を調製することができる。具体的には、本発明のゲル化剤を0〜70℃の温度帯の飲食品に添加するか、または当該飲食品を本発明のゲル化剤に添加した後、水存在下、家庭用のミキサーやフードプロセッサーを用いて回転速度4000rpm以上の撹拌を行うことで、飲食品にゲル化性を付与することができる。
本発明のゲル化剤を用いる第二の効果として、飲食品に対して、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適した食感とレオロジー特性を付与することができる。
具体的には、咀嚼・嚥下困難者が飲み込みやすいような良好な食塊形成性を有し、また、口腔及び咽頭への付着性が小さいゲル状飲食品を調製することができる。
本発明のゲル化剤を用いる第三の効果として、得られたゲル状飲食品が加温耐性に優れるという効果を挙げることができる。
具体的には、調製したゲル状飲食品を再度喫食に適した温度(30〜70℃)まで加温した場合や、調製から喫食までの間、喫食に適した温度帯(30〜70℃)で保温した場合であっても、ゲル化によって付与された保形性が大きく低下することなく、良好なかたさ、食塊形成性を保持可能であるという利点を有する。
実施例1−1で調製されたゲル状飲食品(うどんを、だし汁とゲル化剤とともにミキサーにかけてゲル化させた飲食品[ゲル状うどん])の写真を示す。 実施例1−1で調製された再加温後のゲル状飲食品(ゲル状うどん)の写真を示す。 比較例1−2で調製された再加温後のうどん(ゲル化が不十分な状態)の写真を示す。 実施例2−2で調製されたゲル状飲食品(缶詰の味付さばを、水とゲル化剤とともにミキサーにかけてゲル化させた飲食品[ゲル状さば])の写真を示す。 比較例2−3で調製されたさば(ゲル化が不十分な状態)の写真を示す。 実施例2−2で調製された再加温後のゲル状飲食品(ゲル状さば)の写真を示す。 比較例2−1で調製された再加温後のさば(ゲルが融解した状態)の写真を示す。 実施例3−1で調製された再加温後のゲル状飲食品(味噌汁をゲル化剤とともにミキサーにかけてゲル化させた飲食品[ゲル状味噌汁])の写真を示す。 比較例3−1で調製された再加温後の味噌汁(ゲルが融解した状態)の写真を示す。
(I)飲食品用のゲル化剤
本発明のゲル化剤は、下記の3種を必須成分として用いることを特徴とする。
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上。
キサンタンガムは、キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestris)が菌体外に生産する多糖類であり、D−マンノース、D−グルコース、D−グルクロン酸で構成されている。主鎖はβ−1,4結合しているD−グルコースからなり、側鎖は主鎖のD−グルコース残基1つおきにD−マンノース2分子とD−グルクロン酸が結合している。側鎖の末端にあるD−マンノースはピルビン酸塩となっている場合がある。また、主鎖に結合したD−マンノースのC−6位はアセチル化されている場合がある。なお、キサンタンガムの分子量は大きく、制限はされないものの、一般的に300万付近とされている。キサンタンガムは冷水に溶解し、他の多糖類に比べて低濃度で高い粘度を示す。キサンタンガムは単独ではゲルを形成しないが、本発明では、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上を併用することで、飲食品に簡便にゲル化性を付与することができる。
商業上入手可能なキサンタンガム製剤として、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンエース[登録商標]」を例示することができる。
ゲル化剤中、キサンタンガムは3〜65質量%、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは5〜40質量%含有することが望ましい。
本発明で用いるグルコマンナンは、コンニャク芋に含まれる多糖類であり、制限はされないものの、一般的にD−グルコースとD−マンノースがほぼ、1:1.6のモル比で、β−1,4結合により重合した難消化性の多糖類であり、その分子量は約100万〜200万とされている。
ローカストビーンガムは、β−D−マンノースの主鎖がβ−1,4結合、α−D−ガラクトースの側鎖がα−1,6結合した多糖類であり、制限はされないものの、一般的にマンノースとガラクトースの比率が約4:1であるとされている。
本発明のゲル化剤は、キサンタンガム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上150質量部未満のグルコマンナン及び/又はローカストビーンガム(両方使用する場合は、両方の総量を意味する。以下、同じ。)、更に好ましくは50〜140質量部のグルコマンナン及び/又はローカストビーンガムを併用できる。
上記割合でキサンタンガムとグルコマンナン及び/又はローカストビーンガムを併用することで、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適したゲル状飲食品、特には付着性が低減され、飲み込みやすいゲル状飲食品を提供できる。
本発明のゲル化剤は、上記(1)及び(2)に加えて、更に(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上を併用することを特徴とする。
カラギナンは、紅藻類海藻より得られる多糖類で、D−ガラクトースが交互にα−1,3、β−1,4結合した直鎖状多糖類で、分子中の硫酸基結合部位とアンヒドロ構造の相違により、主としてκ(カッパ)タイプ、ι(イオタ)タイプ、λ(ラムダ)タイプの3種に大別される。本発明では、カラギナンの中でもκカラギナンを用いることを特徴とし、例えば、λカラギナンやιカラギナンを用いた場合は、加温耐性に優れたゲル状飲食品を得ることができない。
商業上入手可能なκカラギナン製剤として、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「カラギニンCSK−1(F)」を例示することができる。
寒天は、紅藻類より得られる多糖類で、主成分はアガロースとアガロペクチンである。アガロースはD−ガラクトースと3,6−アンヒドロ−L−ガラクトースが交互に連なった直鎖状多糖類で、アガロペクチンは0〜3%の硫酸基を含んでいる。
本発明で用いる寒天は、天草、オゴノリ、オバクサ、イタニクサなどの紅藻類を原料として熱水抽出して凝固させたものを乾燥させた各種のものをいずれも使用することができ、糸寒天、棒寒天、フレーク寒天、粉末寒天など各種形状の寒天を用いることができる。
商業上入手可能な寒天製剤として、例えば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「ゲルアップ[登録商標]J−1630」を例示することができる。
ジェランガムは、Sphingomonas elodeaが産出する発酵多糖類である。D−グルコース、D−グルクロン酸、D−グルコースとL−ラムノースの4つの糖からなるモノマーが重合したものであり、1→3結合したグルコースのC−6位にアセチル基(1/2残基)が、C−2位にグリセリル基が結合しているネイティブ型のジェランガムと、これらのアシル基が脱エステル化した脱アシル型ジェランガムが存在する。本発明では、脱アシル型ジェランガムを用いることを特徴とする。
商業上入手可能な脱アシル型ジェランガム製剤として、「ケルコゲル[CPケルコ社登録商標]」を例示することができる。
(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上の添加量は、対象飲食品に応じて適宜調整することが可能であるが、具体的には、ゲル化剤に含まれる(1)キサンタンガムと、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量100質量部に対して、(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上が、κカラギナンの場合、5〜200質量部、好ましくは10〜150質量部、寒天の場合、5〜300質量部、好ましくは10〜250質量部、脱アシル型ジェランガムの場合、5〜200質量部、好ましくは10〜150質量部となるように添加することが望ましい。κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される二種以上を併用する場合も、上記添加量に従って併用できる。
本発明のゲル化剤は、下記(1)〜(3)の多糖類にデキストリン等の賦形剤を粉体混合して調製可能である。
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上。
更に、本発明のゲル化剤は造粒により顆粒化されていることが望ましい。例えば上記粉体混合物を、任意のバインダー液(例えば、イオン交換水や、デキストリン、ガム質、金属塩を含有する水溶液)を用いて造粒する方法が挙げられる。造粒方法としては、流動層造粒、噴霧乾燥造粒、圧縮造粒、押出し造粒等の造粒機械を用いて実施できる。また、粉末状のゲル化剤、若しくは前記方法によって得られる造粒物(顆粒状のゲル化剤)を各種打錠機により打錠して、錠剤化することもできる。
以上のように、本発明のゲル化剤は、粉末状、顆粒状、または錠剤状を有することができる。
かくして得られた本発明のゲル化剤は、ゲル化する対象の飲食品に添加するか、または本発明のゲル化剤に当該飲食品を添加し、その後、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌条件で撹拌する工程を有するゲル状飲食品の製造に用いられることを特徴とする。
ここで飲食品に対する本発明のゲル化剤の配合割合は、ゲル状飲食品に求められる食感やレオロジー特性によって適宜調整することができ、制限はされないものの、最終的に調製されるゲル状飲食品100質量%中の含有割合に換算して、通常、(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/またはローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%、より好ましくは0.25〜1.5質量%となるような割合を挙げることができる。
0〜70℃の温度帯の飲食品にゲル化性を付与する撹拌条件としては、具体的には、4000rpmの回転速度で1分間程度以上、またはそれに相当する撹拌条件を挙げることができる。4000rpmの回転速度で1分間程度以上の条件に相当する撹拌条件としては、制限されないが、10000rpmの回転速度で10秒程度以上、好ましくは30秒程度以上の撹拌を例示することができる。なお、撹拌時間の上限は、ゲル化性を付与するという目的が達成できる限り、特に制限されないが、手軽にゲル化性を付与できるという本発明の目的から、5分程度以内、好ましくは3分程度以内を例示することができる。一般的には、家庭用ミキサー、フードプロセッサー、ハンドミキサー、ブレンダー、クッキングカッター、プロペラ撹拌機等の機器を用いて撹拌することで実現できる。
本発明において、ゲル化性を付与する対象飲食品の形状は特に制限なく、固形状、半固形状(半流動状)、及び流動状などの形状を有するものが含まれる。但し、ゲル状飲食品を製造するためには、飲食品の水分含量を所定量以上に調整することが好ましい。かかる水分含量としては、制限されないが、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上を例示することができる。例えば、飲食品が半固形状(半流動状)または流動状の形状を有し、水分含量が所定量以上である場合は、そのままゲル状飲食品の製造に使用することができるが、飲食品が固形状または半固形状(半流動状)の形状を有し、水分含量が所定量よりも低い場合は、撹拌前、好ましくはゲル化剤を添加する前に、別途水分を添加して水分含量が所定量以上になるように調整することが好ましい。
また本発明において「水存在下・・・撹拌する」とは、飲食物に最初から含まれている水分、またはゲル状飲食品を調製するために飲食品に別途添加した水分の存在下で、飲食品を撹拌することを意味する。水分含有量としては、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特により好ましくは70質量%以上を例示することができる。
本発明のゲル化剤は、0〜70℃、好ましくは4〜60℃の温度帯の飲食品に簡便にゲル化性を付与できる(ゲル化できる)という利点を有する。通常、飲食品にゲル化性を付与するためには、ゲル化剤を含有する飲食品を80℃以上に加熱後、ゲル化温度まで冷却する必要があったが、本発明では、0〜70℃の通常ゲルを形成しない温度帯の飲食品であっても、対象飲食品に簡便にゲル化性を付与することが可能である。具体的には、本発明のゲル化剤は、30〜70℃、好ましくは30〜60℃の温度帯で用いても冷却工程を経ることなく、対象飲食品にゲル化性を付与することができる。また、4〜45℃、更には4〜25℃と低温帯の飲食品であっても簡便にゲル化性を付与することができる。なお、飲食品が70℃を超える場合でも、本発明のゲル化剤は使用可能である。
本発明において「ゲル化」または「ゲル化性」とは、静置状態において、自重で流動しない状態または性質をいう。この意味で、本発明において「ゲル化性を付与する」とは、「保形性を付与する」と言い換えることもできる。
咀嚼・嚥下困難者用飲食品は、咀嚼・嚥下困難者やその介護者がベットサイドや家庭内で対象飲食品に増粘剤やゲル化剤を添加し、汎用の調理機器を用いて調製される場合が多い。かかる点、本発明のゲル化剤は、家庭用ミキサーやブレンダーを用いて実施でき、特別な加熱設備や冷却設備が不要であるため、ベットサイドや家庭で容易に咀嚼・嚥下困難者用飲食品が調製できるという利点を有する。
なお、本発明のゲル化剤は対象とする飲食品と混合後、水存在下、回転速度4000rpm以上で撹拌することでゲル化効果を奏する。一方で、手撹拌のような弱い撹拌では、所望のゲルを調製することができない。
本発明のゲル化剤は、特に咀嚼・嚥下困難者用のゲル化剤として有用性が高い。
ゲル状飲食品が咀嚼・嚥下困難者用食品として適用される際は、以下の食感やレオロジー特性が求められる。1)適度なかたさを有すること、2)食塊形成性(咀嚼後の食品のまとまりやすさ)に優れること、3)口腔及び咽頭への付着性が小さいこと、及び4)保水性が高いこと(離水が少ないこと)。特に、咀嚼・嚥下困難者は筋肉の衰えなどから食塊を咽頭から食道へ送り込む機能が低下しており、口腔・咽頭相において食塊がばらばらにならないこと(食塊形成性)や、スムースに咽頭相を通過することが可能な付着性の小ささが飲み込みやすさの重要な要素となる。かかる点、本発明のゲル化剤を用いることで、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適した食感やレオロジー特性を有するゲル状の飲食品を提供できる。
上記の1)に関して、ユニバーサルデザインフード(UDF)では、かたさによって以下の区分に分類されている。
区分1:容易にかめる / かたさ500000N/m以下
区分2:歯ぐきでつぶせる / かたさ50000N/m以下
区分3:舌でつぶせる / かたさ20000N/m以下
区分4:かまなくてよい / かたさ5000N/m以下
ユニバーサルデザインフード(UDF)は、日本介護食品協議会が、利用者が選択する際の目安として、食品を「かたさ」や「粘度」に応じて4段階に区分したものである。区分選択の目安は、ユニバーサルデザインフード自主規格 第2版(日本介護食品協議会)を参照することができる。
本発明では、ゲル化剤の添加量を適宜調整することで、各区分に応じた「かたさ」を対象飲食品に付与することができる。
本発明のゲル化剤は、加温耐性に優れたゲル状飲食品を提供できるという利点も有する。
具体的には、調製したゲル状飲食品を再度喫食に適した温度(30〜70℃、好ましくは40〜65℃)まで加温した場合や、調製から喫食までの間、喫食に適した温度帯(30〜70℃、好ましくは40〜65℃)で保温した場合であっても、ゲル化によって付与された保形性が大きく低下することなく、良好なかたさ、食塊形成性を保持可能であるという利点を有する。
以上のように、本発明のゲル化剤は、ゲル状飲食品を調製後、30℃以上に加温又は保温した場合であっても、良好な保形性(良好なかたさ、食塊形成性等)を保持することができる。
(II)ゲル状飲食品の製造方法
本発明は、簡便にゲル状の飲食品を製造する方法にも関する。具体的には、飲食品に下記(1)〜(3)を添加するか、またはこれらの混合物に飲食品を添加した後、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌条件で撹拌することを特徴とする、ゲル状飲食品の製造方法に関する。
(1)キサンタンガム、
(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、
(3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上。
上記ゲル状飲食品の製造は、上記(1)〜(3)の成分を含有するゲル化剤(合剤)、好ましくは(I)の欄で説明した本発明のゲル化剤を使用することで簡便に実施することができる。本発明では、かかる製造工程において、飲食品に上記(1)〜(3)の成分(好ましくは、本発明のゲル化剤)を添加するか、またはこれらの混合物(好ましくは、本発明のゲル化剤)に飲食品を添加した後の加熱工程が不要であるという利点を有する。なお、本発明ではゲル状飲食品を調製後、喫食に適した温度に加温することも可能である。
飲食品に対する(1)〜(3)成分の添加量は、求められる食感やレオロジー特性によって適宜調整することができるが、具体的には、最終的に調製されるゲル状飲食品100質量%中に含まれる(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が、0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%、更に好ましくは0.25〜1.5質量%となるように添加することが望ましい。また、上記3成分を含む組成物として前述する本発明のゲル化剤を使用する場合も、同様に、ゲル状飲食品100質量%中に含まれる(1)キサンタンガム、並びに(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガムの総量が0.1〜2質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%、更に好ましくは0.25〜1.5質量%となるように、本発明のゲル化剤を添加することが望ましい。
本発明において、飲食品のゲル化をより効率的に行うためには、ゲル化性を付与する前に飲食品の水分含量が50質量%以上になるように調整することが望ましい。例えば、ゲル化させる飲食品の水分含量が50質量%未満の場合は、本発明のゲル化剤を添加する際に、別途水分を添加することで、飲食品の水分含量を50質量%以上に調整することが可能である。
また本発明は、特に制限されないが、好ましくは30〜70℃の温度帯で喫食される飲食品に用いられることが望ましい。具体的には、お粥等の米飯食品、うどんやラーメン等の麺類、味噌汁等のスープ、お茶・コーヒー等の飲料、濃厚流動食(総合栄養食品)、経腸栄養剤、シチュー、カレー、惣菜(野菜類、魚介類、肉類等を含む惣菜)などが挙げられる。なお、濃厚流動食は、1kcal/ml程度の濃度に調整され、長期間の単独摂取によっても著しい栄養素の過不足が生じないように、各栄養素の質的構成が考慮されている栄養食品である。当該濃厚流動食には、天然濃厚流動食、人工濃厚流動食、及び混合濃厚流動食が含まれる。また、経腸栄養剤は、経腸栄養法(経鼻栄養法、胃瘻・空腸瘻栄養法など)で注入される栄養剤である。これらの濃厚流動食(総合栄養食品)や経腸栄養剤は、咀嚼・嚥下困難者用の食事代替や栄養補給を目的として用いられる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、文中の「UDF」とは、ユニバーサルデザインフードの略称である。
実験例1 飲食品のゲル化(1)
うどん(水分含量82.5質量%)に対するゲル化試験を行った。
30℃に調温したうどん(麺)50g、だし汁50g及び各種ゲル化剤(表1:実施例1−1〜1−3、比較例1−1〜1−2)をミキサー(ジュースミキサー/TESCOM社製)に投入し、回転速度10000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、ゲル化の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。結果を表2に示す。
さらに、室温で30分間静置後の試料を60℃の恒温槽に30分間入れたときのゲル保持の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。結果を表3に示す。
評価項目
(ゲル化の有無):ミキサーで撹拌後、試料を高さ60mmの花形容器に35mmまで充填し、室温で30分間静置後のゲル化の状態を目視観察した。ゲル化したもの(静置状態において自重で流動しないもの)を○、ゲルを形成するが、保形性が不十分であるもの(容器からゲル状飲食品を取り出した際に容易に形状が変化し、崩れやすいもの)を△、ゲル化しなかったものを×とした。
(ゲル保持の有無):室温で30分間静置後の試料を60℃30分間加温後、ゲルの保持状態を目視観察した。ゲルを保持したもの(静置状態において自重で流動しないもの)を○、ゲルを保持するが、保持力が不十分であるもの(ゲル化当初の形状を保持できないもの)を△、ゲルを保持できず融解したものを×とした。
(かたさ):ミキサーで撹拌後の試料を直径40mm、高さ15mmのステンレスシャーレに満量充填し、テクスチャーアナライザーを使用して、直径20mm、高さ8mm樹脂製のプランジャーを用い、圧縮速度10mm/sec、クリアランス5mmで一軸圧縮測定した。圧縮時の最大応力をかたさとした。ミキサーで撹拌後、室温で30分間静置後の試料、及び60℃30分間加温後の試料を測定した。
(付着性):ミキサーで撹拌後、室温で30分間静置後の試料、及び60℃30分間加温後の試料について、喫食した際の喉へのはりつきを官能評価した。
(食塊形成性):ミキサーで撹拌後、室温で30分間静置後の試料、及び60℃30分間加温後の試料について、喫食した際の口腔内でのまとまり感(形の保持力)を評価した。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)寒天を含有する、本発明のゲル化剤(実施例1−1〜1−3)は、30℃のうどんであっても、加熱及び冷却工程をとることなく、撹拌のみの極めて簡便な操作でゲル化性を付与することができた(ゲル化させることができた)。得られたゲル状飲食品(ゲル状うどん)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例1−1〜1−3で得られたゲル状飲食品(ゲル状うどん)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
図1に実施例1−1で調製されたゲル状飲食品(ゲル状うどん)の写真を示す。容器からの型離れがよく、極めて良好な保形性を有することが見て取れる。
また、60℃30分間加温した場合であっても、得られたゲル状飲食品(ゲル状うどん)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。更に実施例1−1〜1−3で得られたゲル状飲食品(ゲル状うどん)は、保水性にも優れており、60℃30分間加温後、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
図2に実施例1−1で調製されたゲル状飲食品(ゲル状うどん)(60℃30分間加温後)の写真を示す。容器からの型離れがよく、極めて良好な保形性を有することが見て取れる。以上のように、実施例1−1〜1−3のゲル状飲食品(ゲル状うどん)は、加温耐性にも優れることが確認された。
比較例1−1は、実施例1−1から寒天を除いた例である。ゲル化(固形化)はするものの、表2から明らかなように、食感的な付着性が大きく咽頭にへばり付く食感であり、食塊形成性(食感的なまとまり感)が十分でなく、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、試料を60℃30分間加温した場合、表3から明らかなように、食感的な付着感はさらに増し、食塊形成性(食感的なまとまり感)はより低下し、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性には到底及ばなかった。また、ゲルを保持するが、保持力が不十分であり、ゲル化当初の形状を保持できず、容器からの型離れも悪かった。
比較例1−2は、実施例1−2から寒天を除いた例であるが、比較例1−1と同様に、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。60℃30分間加温した場合(図3)も、比較例1−1と同様、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、ゲルを保持するが、保持力が不十分であり、ゲル化当初の形状を保持できず、容器からの型離れも悪かった。
実験例2 飲食品のゲル化(2)
さば(水分含量50.0質量%)に対するゲル化試験を行った。
45℃に調温したさばの味付缶詰(液部を除いた個体部)50g、水50g及び各種ゲル化剤(表4)をミキサー(ジュースミキサー/TESCOM社製)に投入し、回転速度10000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、ゲル化の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表5に示す。
さらに、室温で30分間静置後の試料を60℃の恒温槽に30分間入れたときのゲル保持の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表6に示す。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)脱アシル型ジェランガムを含有する、本発明のゲル化剤(実施例2−1〜2−3)は、加熱及び冷却工程をとることなく、撹拌のみの極めて簡便な操作でさばにゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状さば)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例2−1〜2−3で得られたゲル状飲食品(ゲル状さば)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
図4に実施例2−2で調製されたゲル状飲食品(ゲル状さば)の写真を示す。容器からの型離れがよく、極めて良好な保形性を有することが見て取れる。
また、60℃30分間加温した場合であっても、表6及び図6から明らかなように、得られたゲル状飲食品(ゲル状さば)はかまなくてよいかたさ(UDFの区分4:かたさ5000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。更に実施例2−1〜2−3で得られたゲル状飲食品(ゲル状さば)は、保水性にも優れており、60℃30分間加温後、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
比較例2−1は、実施例2−1から脱アシル型ジェランガムを除いた例である。ゲル化(固形化)はするものの、表5から明らかなように、食感的な付着性が大きく咽頭にへばり付く食感であり、食塊形成性(食感的なまとまり感)が十分でなく、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、試料を60℃30分間加温した場合、表6及び図7から明らかなように、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、ゲルを保持するが、保持力が不十分であり、ゲル化当初の形状を保持できず、容器からの型離れも悪かった。
比較例2−2は、実施例2−2から脱アシル型ジェランガムを除いた例であるが、比較例2−1と同様に、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。60℃30分間加温した場合、表6から明らかなように、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、ゲルを保持するが、保持力が不十分であり、ゲル化当初の形状を保持できず、容器からの型離れも悪かった。
比較例2−3は、特許文献2に開示された咀嚼・嚥下補助剤を用いた例である。本咀嚼・嚥下補助剤を用いた場合であっても、表5及び図5から明らかなように、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、ゲルを保持するが、保持力が不十分であり、ゲル化当初の形状を保持できず、容器からの型離れも悪かった。60℃30分間加温した場合、ゲルが融解してしまった。
比較例2−4は、特許文献1に開示された咀嚼・嚥下補助剤を用いた例である。本咀嚼・嚥下補助剤を用いた場合であっても、比較例2−1と同様に、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。60℃30分間加温した場合、比較例2−3と同様、ゲルが融解してしまった。
実験例3 飲食品のゲル化(3)
味噌汁(水分含量91.7質量%)に対するゲル化試験を行った。
60℃に調温した味噌汁100g及び各種ゲル化剤(表7)をミキサー(ジュースミキサー/TESCOM社製)に投入し、回転速度10000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、ゲル化の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表8に示す。
さらに、室温で30分間静置後の試料を60℃の恒温槽に30分間入れたときのゲル保持の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表9に示す。
(1)キサンタンガム、(2)グルコマンナン及び/又はローカストビーンガム、並びに(3)κカラギナンを含有する、本発明のゲル化剤(実施例3−1〜3−2)は、加熱及び冷却工程をとることなく、撹拌のみの極めて簡便な操作で味噌汁にゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は歯ぐきでつぶせるかたさ(UDFの区分2:かたさ50000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例3−1〜3−2で得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
また、60℃30分間加温した場合であっても、表9及び図8から明らかなように、実施例3−1〜3−2で得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。更に実施例3−1〜3−2で得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は、保水性にも優れており、60℃30分間加温後、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
比較例3−1は、キサンタンガム及びグルコマンナンを使用し、κカラギナンを不使用とした例である。ゲル化(固形化)はするものの、表8から明らかなように、食感的な付着性が大きく咽頭にへばり付く食感であり、食塊形成性(食感的なまとまり感)が十分でなく、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。また、試料を60℃30分間加温した場合、表9及び図9から明らかなように、ゲルが融解してしまった。
比較例3−2は、実施例3−1からκカラギナンを除いた例であるが、比較例3−1と同様に、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。60℃30分間加温した場合も、比較例3−1と同様、ゲルが融解してしまった。
比較例3−3及び比較例3−4は、κカラギナンの代わりにλカラギナン若しくはιカラギナンを使用した例である。本試験区も、比較例3−1と同様に、咀嚼・嚥下困難者に適した食感、レオロジー特性にならなかった。60℃30分間加温した場合も、比較例3−1と同様、ゲルが融解してしまった。
実施例4 飲食品のゲル化(4)
味噌汁(水分含量91.7質量%)に対するゲル化試験を行った。
60℃に調温した味噌汁100g及び表10に記載の粉体混合物を造粒した顆粒品をミキサー(Oster Blender/Oster社製)に投入し、回転速度6000rpmで30秒間撹拌した。ミキサーで撹拌後、調製した試料を容器に充填し、室温で30分間静置後に、ゲル化の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表11に示す。
さらに、室温で30分間静置後の試料を60℃の恒温槽に30分間入れたときのゲル保持の有無、レオロジー特性(かたさ)及び食感(付着性と食塊形成性)を評価した。評価基準は実験例1に従った。結果を表12に示す。
キサンタンガム、グルコマンナン、ローカストビーンガム、κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムを含有する、実施例4−1に示すゲル化剤は、加熱工程をとることなく、回転速度10000rpmよりも低い撹拌で味噌汁にゲル化性を付与することができた。得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は歯ぐきでつぶせるかたさ(UDFの区分2:かたさ50000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。また、得られたゲルは均一であった。更に実施例4−1で得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は、保水性にも優れており、1時間以上放置しても離水は見られなかった。
また、60℃30分間加温した場合であっても、表12から明らかなように、実施例4−1で得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は舌でつぶせるかたさ(UDFの区分3:かたさ20000N/m以下に相当)で、良好な食塊形成性を有し、かつ付着性も小さく、咀嚼・嚥下困難者の喫食に適する食感とレオロジー特性であった。更に実施例4−1で得られたゲル状飲食品(ゲル状味噌汁)は、保水性にも優れており、60℃30分間加温後、1時間以上放置しても離水は見られなかった。

Claims (4)

  1. 0〜70℃の飲食品に、下記の(1)〜(3)を添加するか、または下記の(1)〜(3)の混合物に0〜70℃の飲食品を添加し、水存在下、回転速度4000rpm以上の撹拌を行い、加熱工程を経ずに前記飲食品にゲル化性を付与することを特徴とする、ゲル状飲食品の製造方法;
    (1)キサンタンガム、
    (2)グルコマンナン、
    (3)κカラギナン、寒天及び脱アシル型ジェランガムからなる群から選択される一種以上。
  2. 前記ゲル状飲食品が、加温される飲食品である、請求項1に記載のゲル状飲食品の製造方法。
  3. 前記飲食品が米飯食品、麺類、スープ、飲料、濃厚流動食、経腸栄養剤、シチュー、カレー、又は惣菜である請求項1又は2に記載のゲル状飲食品の製造方法。
  4. (1)キサンタンガム100質量部に対して、(2)グルコマンナンを10質量部以上150質量部未満(ただし、ローカストビーンガムを併用する場合は、キサンタンガム100質量部に対して、グルコマンナン及びローカストビーンガムの総量が10質量部以上150質量部未満)の割合で用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲル状飲食品の製造方法。
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