JP6385640B2 - タンパク質及び酸性多糖類を含有する、酸性ゲル状飲食品の凝集物形成抑制方法 - Google Patents

タンパク質及び酸性多糖類を含有する、酸性ゲル状飲食品の凝集物形成抑制方法

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Description

本発明は、タンパク質及び酸性多糖類を含有する酸性ゲル状飲食品における凝集物形成を抑制する方法に関する。具体的には、タンパク質及び酸性多糖類をpH2.5〜6の酸性条件下で併用する場合に生じる凝集物の形成や、ゲル化阻害を抑制する方法に関する。本発明はまた、タンパク質及び酸性多糖類を含有しつつも、pH2.5〜6の酸性条件下で均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品に関する。
κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類及びLMペクチン等の酸性多糖類を、pH2.5〜6の酸性条件下でタンパク質と共存させると凝集物を形成する。これは、酸性条件下で帯電したタンパク質と、硫酸基やカルボキシル基などの電解基を有する酸性多糖類(κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類、及びLMペクチン等)が相互作用することに由来する。凝集物の形成は、外観や食感の低下を引き起こし、ゲル化阻害を引き起こす場合もある。
従来技術では、これら酸性多糖類とタンパク質を含有し、かつ均一な組織を有するpH2.5〜6の酸性ゲル状飲食品を提供できず、タンパク質を含有する酸性ゲル状飲食品には、タンパク質と相互作用しない中性多糖類を用いる必要があった。中性多糖類のうちゲル化剤として使用できるのは寒天のみである。必然と、得られるゲル状飲食品の食感は寒天特有の脆い食感となり、ゲル状飲食品の食感にバリエーションを付与することができなかった。
κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類及びLMペクチン等の酸性多糖類は、食感改良効果以外にも、離水防止、耐熱性付与等の機能を有する。しかし、従来技術では、タンパク質を含有する酸性ゲル状飲食品において、これら酸性多糖類が有する機能(食感改良、離水防止、耐熱性付与等)を十分に発揮させることができないことも問題視されていた。
特許文献1には、タンパク質及びキサンタンガムを含有する液のpHをタンパク質の等電点以下に低下せしめることを特徴とするゲル状食品の製法が開示されている。
特許文献1に開示された技術は、水溶液中で加水分解によりグルコン酸を放出する「グルコノデルタラクトン」を用いた技術であり、液全体のpHを徐々に低下させることで、キサンタンガム単独使用でゲルを形成させる技術である。従って、ゲルを形成するまでに2時間以上の時間を要し、工業規模での製造ラインに適さない。また、酸性ゲル状飲食品に通常用いられるpH調整剤(クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、リン酸、アスコルビン酸等)を用いた場合は、凝集物の形成やゲル化阻害を引き起こす等の問題を抱えていた。
更には、グルコノデルタラクトンを用いた場合も、厳格に製造条件を設定しなければならず、特定条件を満たさない場合はゲル化せず、汎用性が低い技術であった。
特許文献2には、エステル化度36〜50のLMペクチン及びカラギーナンを含有し、pHを3.7〜4.0、クエン酸酸度を0.3〜0.5%に調整することを特徴とする、牛乳と混合してもすぐに固まらず、冷却してはじめて固まるデザートベースの製造方法が開示されている。
特許文献2に開示された技術は保存安定性の側面から、牛乳と混合する前のデザートベース自体のpHを3.7〜4.0に調整する技術であり、かつ当該デザートベースは店舗や家庭で牛乳と混合することを特徴とする。従って、牛乳(乳タンパク質)と混合後に加熱殺菌を行わないため、タンパク質の凝集物形成やゲル化阻害が問題視されにくい範囲での使用である。更には凝集物形成が目立たない間に冷却してゲル化されている可能性が高い。かかるLMペクチン及びカラギーナンを用いた場合であっても、通常のゲル状飲食品に用いられる殺菌条件(80〜95℃で30〜60分等)では、依然として凝集物の形成やゲル化阻害が課題となっていた。
特許文献3には、酸乳製品にゲル化剤を添加してゲル化酸乳製品を製造する方法において、高メトキシルペクチン(HMペクチン)、カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸プロピレングリコールから成る群から選んだ安定剤で酸乳を安定化する工程、安定化した酸乳に低メトキシルペクチン(LMペクチン)、カラジーナンおよびフルセレラランからなる組から選んだゲル化剤を添加する工程、およびその後この混合物をゲル化するのに充分な温度状態におく工程から成ることを特徴とする方法が開示されている。
特許文献3に開示された技術も特許文献2と同様、乳タンパク質(牛乳、ヨーグルト等)と混合後、加熱殺菌を行っておらず、通常のゲル状飲食品に用いられる殺菌条件を用いると、凝集物やゲル化阻害が発生し、均一な酸性ゲル状飲食品を提供することができなかった。更には、特許文献3に開示された製法は、安定剤を用いて予め酸乳を安定化する工程が必須であり、製造工程が煩雑であるといった問題も抱えていた。
また、近年の高齢者人口の増加に伴い、食べ物を噛み砕き・飲み込む動作に障害を有する咀嚼・嚥下機能低下者が増加している。咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食品に求められる食感や物性としては、1)適度なかたさを有すること、2)食塊形成性(咀嚼後の食品のまとまりやすさ)に優れること、3)口腔及び咽頭への付着が少ないこと、及び4)保水性が高いこと(離水が少ないこと)等が挙げられる。
しかし、上述のとおり、タンパク質を含む場合にpH2.5〜6の酸性条件下で使用できる多糖類は、寒天などの中性多糖類に限られる。寒天を用いて得られるゲルは一般的に硬くて脆い食感であり、食塊形成性に劣る、離水が発生しやすいなど、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感や物性を付与することが難しい場合があった。
特に、効率的な栄養摂取に適した濃厚流動食などの飲食品は、タンパク質、脂質や炭水化物等を含む総合栄養食であるが、酸性多糖類を用いた場合、酸性条件下でタンパク質(正に帯電)と多糖類(負に帯電)が静電的に相互作用し、全くゲル化しない、若しくはゲル化しても食感的なざらつきが強い、付着性が強い、離水が多いなどの問題があり、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した物性を付与することが非常に困難とされている。実際に市販されているゲル状濃厚流動食の大半はpHが6を超える中性タイプである。
特許文献4には寒天と、ジェランガム、カラギナン、ペクチン等の酸性多糖類を併用したpH3〜4の総合栄養補給用ゲル状飲料組成物が開示されている。しかし特許文献4に開示された技術は、pH3〜4で凝集しないタンパク質素材を必須成分として用いており、本願発明の課題が存在しない。更には、用いるタンパク質素材が限定され、汎用性が低いといった問題を抱えていた。
特公平06−57111号公報 特開2009−261252号公報 特開昭50−123852号公報 WO2004/010796号公報
上記従来技術に鑑み、本発明ではタンパク質及び酸性多糖類をpH2.5〜6の条件下で併用する場合に生じる、凝集物の形成を抑制する方法を提供することを目的とする。
ひいては、タンパク質及び酸性多糖類を含有しつつも、均一な食感や組織を有する酸性ゲル状飲食品を提供すること、並びに酸性多糖類が有する本来の機能(食感改良、離水防止、耐熱性付与機能等)を期待した酸性ゲル状飲食品の処方設計を可能とすることを目的とする。
本発明ではまた、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感と物性を有するpH2.5〜6の酸性ゲル状飲食品を提供することを目的とする。特には、タンパク質、脂質や炭水化物等を複合的に含有する濃厚流動食であっても、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感と物性を有する、酸性ゲル状濃厚流動食を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のごとき課題を解決すべく鋭意研究した結果、タンパク質及び酸性多糖類と併用して、ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを用いることで、pH2.5〜6の酸性条件下であってもタンパク質及び酸性多糖類が凝集物を形成することなく、またゲル化が阻害されることなく、様々な食感を有する酸性ゲル状飲食品を提供できることを見出し、本発明に至った。
更に、本発明者らはタンパク質及び酸性多糖類と併用して、ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを用いることで、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感と物性を有するpH2.5〜6の酸性ゲル状飲食品を提供できること、更には、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感と物性を有する酸性のゲル状濃厚流動食を提供できることを見出した。
本発明は以下の態様を有する、タンパク質及び酸性多糖類を含有する酸性ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法に関する;
項1.タンパク質及び酸性多糖類をpH2.5〜6の酸性条件下で併用する場合に生じる凝集物の形成を抑制する方法であって、ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを添加することを特徴とする、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法。
項2.酸性多糖類が、κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類及びLMペクチンからなる群から選択される一種以上である、項1に記載のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法。
項3.タンパク質含有酸性ゲル状飲食品が、酸性ゲル状デザート、酸性ゲル状調味料又は酸性ゲル状濃厚流動食である、項1又は2に記載のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法。
本発明はまた、以下の態様を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品に関する;
項4.以下の(1)〜(3)を含有する、pHが2.5〜6であるタンパク質含有酸性ゲル状飲食品;
(1)タンパク質、
(2)pH2.5〜6でタンパク質と相互作用して凝集物を形成する酸性多糖類、
(3)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナン。
項5.酸性ゲル状デザート、酸性ゲル状調味料又は酸性ゲル状濃厚流動食である、項4に記載のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品。
本発明によれば、pH2.5〜6の酸性条件下で、タンパク質及び酸性多糖類を併用する場合に生じる凝集物の形成やゲル化阻害を抑制することができる。これにより、κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類、及びLMペクチン等の酸性多糖類を含有しつつも、均一な組織を有する酸性ゲル状飲食品を提供できる。
また、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品に使用できる多糖類の制約を受けず、従来から使用されている寒天などの中性多糖類に加え、酸性多糖類を用いることができる。従って、酸性多糖類が有する本来の機能(食感改良、離水防止、耐熱性付与機能等)を期待した酸性ゲル状飲食品の処方設計が可能となる。
更に、本発明により、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感と物性を有するpH2.5〜6の酸性ゲル状飲食品を提供できる。特には、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感と物性を有する酸性のゲル状濃厚流動食を提供できる。
実験例9において、UHT殺菌後の比較例9−1のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の組織の一部を採取し、顕微鏡観察した場合の画像を示した写真である。 実験例9において、UHT殺菌後の実施例9−1のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の組織の一部を採取し、顕微鏡観察した場合の画像を示した写真である。
1.凝集物の形成を抑制する方法
本発明は、タンパク質及び酸性多糖類をpH2.5〜6の酸性条件下で併用する場合に生じる凝集物の形成を抑制する方法に関する。本発明の方法を用いることで、凝集物に由来するざらつきのない、滑らかな食感を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できる。また、凝集物形成によりゲル化阻害が生じる場合がある。かかる点、本発明は凝集物の形成抑制を図ることで、ゲル化阻害を抑制する方法にも関する。
タンパク質の種類は、従来から食品に使用されているものであれば特に限定されず、各種タンパク質を用いることができる。例えば、乳タンパク質(牛乳、脱脂粉乳、全粉乳、乳清タンパク質、カゼイン等)、大豆タンパク質(豆乳等)、小麦タンパク質、米タンパク質等が挙げられる。目安として、牛乳に含まれるタンパク質は約3質量%、脱脂粉乳は約35質量%、全粉乳は約25質量%、豆乳は約3.5質量%である。好ましくは乳タンパク質である。なお、本発明においてタンパク質とはペプチドも含む。
タンパク質含有酸性ゲル状飲食品中におけるタンパク質の含量は、目的とするゲル状飲食品によって適宜調整することができ、特に制限されないが、通常0.1〜15質量%である。なお、タンパク質含量が0.35質量%以上、更には0.5質量%以上、特には1質量%以上となると酸性多糖類との相互作用が大きく、pH2.5〜6の酸性条件下で、凝集物形成やゲル化阻害が顕著に発生してしまう。本発明ではかかるタンパク質含量であっても、凝集物の形成やゲル化阻害が抑制された、均一なタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できるという利点を有する。
本発明の対象であるタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、酸性多糖類を含有することを特徴とする。酸性多糖類とは、硫酸基やカルボキシル基などのマイナスの電荷を有する多糖類である。好ましくは、κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類及びLMペクチンからなる群から選択される一種以上である。
一方、タンパク質はプラスとマイナスの電荷を持つが、系のpHが低下するほどプラスの電荷が増大する。特にpH2.5〜6の範囲では、タンパク質のプラスの電荷と酸性多糖類のマイナスの電荷が相互作用し、凝集物の形成やゲル化阻害等の各種問題を引き起こす。
かかるところ、κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類及びLMペクチン等の酸性多糖類を、本発明の方法によりタンパク質と相互作用させずに用いることで、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品の食感改良とバリエーション化(弾力を有するゲル状飲食品等、様々な食感を有するゲル状飲食品を提供できる)、離水防止、耐熱性付与等の効果を期待できる。本発明において、酸性多糖類はゲル化剤として使用されることが望ましい。例えば、キサンタンガムであれば、ローカストビーンガムと併用してゲル化剤として使用されることが望ましい。
本発明において、ジェランガムは、脱アシル型ジェランガム及びネイティブ型ジェランガムのいずれも使用することができる。本発明においてLMペクチン(低メトキシルペクチン)は、エステル化度が50%以下のペクチンをいう。
本発明において、アルギン酸類とは、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム又はアルギン酸アンモニウムを指す。
タンパク質含有酸性ゲル状飲食品中における酸性多糖類の含量は、対象飲食品に求められる食感やレオロジー特性等によって適宜調整可能であり、特に制限されない。通常、0.01〜2質量%、好ましくは0.05〜1質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
本発明における、タンパク質及び酸性多糖類をpH2.5〜6の酸性条件下で併用する場合に生じる凝集物の形成を抑制する方法は、ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを添加することを特徴とする。
かかる特定のカラギナンを用いることで、タンパク質及び酸性多糖類をpH2.5〜6の条件下で併用する場合であっても、凝集物の形成やゲル化阻害が生じることなく、均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供することができる。
すなわち上記特定のカラギナンは、本飲食品中で主として安定剤の機能を果たす。
カラギナンは紅藻類海藻から抽出、精製される天然高分子であり、分子量は通常、100,000〜1,500,000である。D−ガラクトースと、3,6アンヒドロ−D−ガラクトースから構成される多糖類であるカラギナンの基本構造単位モノマーを下記(化1)に示した。カラギナンの種類は、この結合様式を変えることなく、硫酸基の位置、アンヒドロ糖の有無によって区別される(参照:特表2005−518463号公報)。各成分の基本構造について、(化2)に示した。
本発明では、上記基本構造を有するι(イオタ)カラギナン、λ(ラムダ)カラギナン、κ2(カッパツー)カラギナン、並びにμ(ミュー)成分及びν(ニュー)成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンを添加することを特徴とする。なお、本発明では、硫酸基含量が20〜40%のカラギナンを用いることが好ましい。
ιカラギナンは、(化2)に示すι成分を基本構造とするカラギナンである。商業上入手可能なιカラギナンとして、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P−90」を例示できる。
λカラギナンは、(化2)に示すλ成分を基本構造とするカラギナンである。商業上入手可能なλカラギナンとして、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P−30」を例示できる。
κ2カラギナンは、分子の一部がι成分で置換されたκカラギナン((化2)に示すκ成分を基本構造とするカラギナン)をいう。具体的には、κカラギナンの分子構造中にιカラギナンの構造を一部有する、すなわちκカラギナンとιカラギナンがハイブリッド化していることを特徴とするカラギナンである。ιカラギナンによるκカラギナンの置換率は特に制限されないが、置換率として1〜49%程度、好ましくは10〜40%を例示できる。商業上入手可能なκ2カラギナンとして、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「サンサポート[登録商標]P−40」を例示できる。
μ成分及びν成分(化2)はそれぞれκ成分及びι成分の前駆体である。一般的に市場に流通しているκカラギナン及びιカラギナンは、各々μカラギナン及びνカラギナンをアルカリ処理して得られるカラギナンであり、通常、μ及びν成分をほとんど含まない。本発明では好ましくはμ成分及びν成分を総量で8質量%以上、好ましくは12質量%以上含有するカラギナンを用いる。μ成分及びν成分の上限は特に制限されないが、好ましくは50質量%である。
μ成分及びν成分を含有するカラギナンとして、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「カラギニンHi−pHive(「Hi−pHive」はCPケルコ社の登録商標)」を商業上入手することが可能である。
当該製品はμ成分を2〜7質量%、ν成分を10〜17質量%含有するものである。
なお、μ成分及びν成分を含有するカラギナンは、それ自体でゲルを形成しないという特徴を有している。
タンパク質含有酸性ゲル状飲食品中における、ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンの含量は、ゲル状飲食品の種類によって適宜調整することが可能であるが、通常、0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜4質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。0.01質量%を下回ると、十分に凝集物の形成やゲル化阻害を抑制できない場合がある。一方で5質量%を上回ると、べったりとした重い食感となり嗜好性の面で好ましくない場合がある。また、使用する多糖類の種類とタンパク質の種類によっては逆に凝集物を形成する可能性がある。
本発明の方法の対象となるタンパク質含有酸性ゲル状飲食品のpHは2.5〜6の範囲である。かかるpHに調整することで、タンパク質及び酸性多糖類が相互作用し、凝集物形成やゲル化阻害等の種々の問題を引き起こす。
特に、pHが4.6未満、更にはpHが3〜4.5の範囲において凝集物の形成、ゲル化阻害が顕著に発生するが、本発明によれば上記pHの範囲であっても凝集物形成やゲル化阻害が抑制されたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できる。
本発明はタンパク質を含有し、pHが2.5〜6である各種のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品に応用可能である。具体的には、ゼリー、プリン、ババロア、ムース、ドリンクゼリー、ジャム、グミ、フラワーペースト、フラワーシート、ホイップクリーム等の酸性ゲル状デザート、酸性ゲル状調味料(ゲル状ドレッシングなど)、酸性ゲル状濃厚流動食(総合栄養食品)等を例示できる。
酸性条件下におけるタンパク質の安定剤として、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、HM(高メトキシル)ペクチン等の多糖類が知られている。本発明では、これら多糖類を併用しても良い。なお、本発明では、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品中に含まれる、水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース及びHMペクチンからなる群から選択される1種以上の含量が0.05質量%以下、更にはこれら多糖類を使用しない場合であっても、均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できるという利点を有する。
本発明では、タンパク質を含有するpH2.5〜6の酸性ゲル状飲食品に使用できるゲル化剤として、従来汎用されてきた寒天を併用することも可能である。
しかし、寒天を用いた場合は脆くて硬い食感となりやすく食感にバリエーションを付与することが難しい、離水が発生しやすい等の問題も有する。
本発明では、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品中における寒天含量が0.5質量%以下、又は0.15質量%以下、更には寒天を使用しない場合であっても、酸性多糖類をゲル化剤として利用でき、均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できる。
以上のように本発明の方法によれば、pH2.5〜6の酸性条件下であってもタンパク質及び酸性多糖類を併用することができ、使用する多糖類の種類に制限されず、様々な処方設計が可能となる。
これにより、例えば咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感と物性を有する酸性ゲル状飲食品を提供できるという利点も有する。具体的には、下記1)〜4)を満たす咀嚼・嚥下機能低下者用の喫食に適した酸性ゲル状飲食品を提供できる。
1)適度なかたさを有すること、2)食塊形成性(咀嚼後の食品のまとまりやすさ)に優れること、3)口腔及び咽頭への付着が少ないこと、及び4)保水性が高いこと(離水が少ないこと)。
1)適度なかたさを有すること
本特性に関して、ユニバーサルデザインフード(UDF)は、「かたさ」によって以下の区分に分類されている。
区分1:容易にかめる / かたさ500,000N/m以下
区分2:歯ぐきでつぶせる / かたさ50,000N/m以下
区分3:舌でつぶせる / かたさ20,000N/m以下
区分4:かまなくてよい / かたさ5,000N/m以下
ユニバーサルデザインフード(UDF)は、日本介護食品協議会が、利用者が選択する際の目安となるよう、食品を「かたさ」や「粘度」に応じて4段階に区分したものである。区分選択の目安は、ユバーサルデザインフード自主規格 第2版(日本介護食品協議会)を参照することができる。本発明では、ゲル化剤の添加量を適宜調整することで、各区分に応じた「かたさ」を対象飲食品に付与することができる。「かたさ」の測定方法は以下のとおりである。
「かたさ」の測定方法
試料を直径40mm、高さ15mmの容器に充填し、直線運動により圧縮応力を測定することが可能な装置(例.テクスチャーアナライザーTA−XT2i(Stable Micro Systems社製))および直径20mmのプランジャーを用いて、測定温度20℃、圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmで1回圧縮を行う。そのときの最大圧縮応力を「かたさ」とする。
2)食塊形成性に優れること
食塊形成性(咀嚼後の食品のまとまりやすさ、口腔・咽頭相において食塊がばらばらにならないこと)は、飲み込む力が衰えた咀嚼・嚥下機能低下者が対象飲食品を飲み込みやすいか否かの指標となる。
食塊形成性の指標として、例えば、特別用途食品の「えん下困難者用食品の試験方法(実施例参照)」に従って測定した「凝集性」をあげることができ、「凝集性」の範囲として好ましくは0.2〜0.9、更に好ましくは0.2〜0.6を例示できる。「凝集性」の測定方法は以下のとおりである。
「凝集性」の測定方法
試料を直径40mm、高さ15mmの容器に充填し、直線運動により圧縮応力を測定することが可能な装置(例.テクスチャーアナライザーTA−XT2i(Stable Micro Systems社製))および直径20mm、高さ8mmのプランジャーを用いて、測定温度20℃、圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmで2回連続圧縮を行う。2回連続圧縮を行った際に得られる応力−距離曲線より、第二バイトの圧縮時の正の応力値と移動距離の積により求められる面積A2を、第一バイトの圧縮時の正の応力値と移動距離の積により求められる面積A1で割った値、すなわちA2/A1を「凝集性」とする。
3)口腔及び咽頭への付着が少ないこと
咀嚼・嚥下機能低下者は筋肉の衰えなどから食塊を口腔から咽頭へ送り込む機能が低下しており、スムースに咽頭相を通過することができるよう付着の少ない食感が求められる。
付着性の指標として、例えば、特別用途食品の「えん下困難者用食品の試験方法(実施例参照)」に従って測定した「付着性」をあげることができ、「付着性」の範囲として1500J/m以下、好ましくは1000J/m以下、更に好ましくは400J/m以下を例示できる。「付着性」の測定方法は以下のとおりである。
「付着性」の測定方法
試料を直径40mm、高さ15mmの容器に充填し、直線運動により圧縮応力を測定することが可能な装置(例.テクスチャーアナライザーTA−XT2i(Stable Micro Systems社製))および直径20mm、高さ8mmのプランジャーを用いて、測定温度20℃、圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmで2回連続圧縮を行う。2回連続圧縮を行った際に得られる応力−距離曲線より、第一バイトの圧縮後に現れる負の応力値と移動距離の積により求められる面積を「付着性」とする。
4)保水性が高いこと(離水が少ないこと)
飲食品からの離水は、誤嚥を引き起こす要因となり得る。特に咀嚼・嚥下機能低下者用の食品では保水性の高さが求められる。
2.タンパク質含有酸性ゲル状飲食品
本発明はまた、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品に関する発明であり、当該ゲル状飲食品は、下記(1)〜(3)を含有し、pHを2.5〜6に調整する以外は常法のゲル状飲食品の製法に従って調製可能である。
(1)タンパク質、
(2)pH2.5〜6でタンパク質と相互作用して凝集物を形成する酸性多糖類、
(3)ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナン。
例えば、上記(1)〜(3)、及び必要に応じて糖類、油脂等を加熱撹拌後、酸を用いてpH調整を行う。次いで、均質化処理を行い、容器に充填し、その前後に殺菌処理を行った後、冷却することで均一なタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製できる。pH調整には、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸、酢酸、リン酸、アスコルビン酸等の酸又は塩類を用いることができる。
pH2.5〜6でタンパク質と相互作用して凝集物を形成する酸性多糖類とは、硫酸基やカルボキシル基などの電解基を有する多糖類であり、pH2.5〜6でタンパク質と相互作用して凝集物を形成する多糖類を指す。具体的には、κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸類、LMペクチン等を例示できる。
タンパク質含有酸性ゲル状飲食品に用いられる殺菌条件としては、例えば70〜95℃で20〜60分間、好ましくは80〜95℃で20〜60分間;レトルト殺菌の場合90〜125℃で10〜30分間、好ましくは120〜125℃で20〜30分間;UHT殺菌の場合100〜145℃で3〜60秒間、好ましくは130〜145℃で6〜60秒間;の加熱殺菌等を例示できる。殺菌温度が高く、殺菌時間が長くなるほどタンパク質と酸性多糖類が相互作用しやすく、凝集物の形成やゲル化阻害が発生しやすい。かかるところ、本発明では上記殺菌処理を行った場合であっても、凝集物の形成やゲル化阻害が抑制され、均一な組織と食感を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できる。
従来のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の製法では、タンパク質を水溶性大豆多糖類、カルボキシメチルセルロース、HMペクチン等の多糖類を用いて安定化した後に、ゲル化剤を混合する必要があるなど、製造工程が煩雑となる場合が多かった。かかる点、本発明の構成要件をとることで、上記(1)〜(3)をオールミックス後、pH調整工程をとるといった極めて簡便な製造工程で、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製することも可能である。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを意味する。
実験例1 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(モデル系)
表1及び表2の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製した。
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無、ゲル強度及び凝集物の形成)を評価した。結果を表2に示す。
注1)「サンサポート※P−90*」を使用。
なお、本発明で用いたカラギナンは全て硫酸基含量が20〜40%の範囲内である。
注2)「サンサポート※P−30*」を使用。
注3)「サンサポート※P−40*」を使用。
注4)「カラギニンHi−pHive*」(μ成分を2〜7質量%、ν成分を10〜17質量%含有するカラギナン100質量%)を使用。
注5)ゲル化が阻害されなかったもの(容器から取り出して静置した場合に、容器の形状を保つもの)を○、ゲル化しなかったもの(容器から取り出して静置した場合に、容器の形状を保たずに広がるもの、ペースト状あるいはゾル状のもの)を×とした。
(ゲル強度の測定(注6))
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品について、各々のゲル強度を測定した。ゲル強度は、テクスチャーアナライザー TA-XT2i(Stable Micro Systems社製)を用いて測定した(測定条件:プランジャー直径11.3mm、侵入速度1mm/s、品温5℃)。
表中、斜線で示している部分(比較例1−1)はゲル化せず、ゲル強度の測定が不可能であったものを示す(ゲル化の阻害)。
(凝集物形成の評価)
下記表3に示す基準に従って凝集物形成を評価した。
安定剤を不使用とした比較例1−1のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質及びキサンタンガムの相互作用によりゲルを形成せず、凝集物形成も著しかった。
ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンを各々用いて調製した実施例1−1〜1−8のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質及びキサンタンガムを含有しつつも、両者が凝集物を形成したり、ゲル化が阻害されることなく、均一な組織を有するゲルを形成した。また、得られたゲルは弾力的な食感を有していた。
一方、上記特定のカラギナン以外のカラギナン、例えばκカラギナンを用いた場合は、目的とするタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製することができなかった。
例えば、κカラギナンを0.3%添加した比較例1−2のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、凝集物形成を抑制することができなかった。更にはゲル強度が弱く、キサンタンガム及びローカストビーンガムを用いたゲル特有の弾力ある食感を有することができなかった。
κカラギナンの添加量を0.6%まで増加した比較例1−3のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、一定のゲル強度を有するものの、1m程遠目にも凝集物の形成が確認され、商品価値がないゲル状飲食品であった。
実験例2 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(モデル系)
表4及び表5の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で60分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製した。
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無及び凝集物の形成)を評価した。結果を表5に示す。
安定剤を不使用とした比較例2−1のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質及びネイティブ型ジェランガムの相互作用によりゲルを形成せず、凝集物形成も著しかった。
ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンを各々用いて調製した実施例2−1〜2−4のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質及びネイティブ型ジェランガムを含有しつつも、両者が凝集物を形成したり、ゲル化が阻害されることなく、均一な組織を有するゲルを形成した。また、得られたゲルは弾力的な食感を有していた。
また、表5に示すように上記特定のカラギナンを用いることで、0.05質量%と低添加量であってもタンパク質及び酸性多糖類(ネイティブ型ジェランガム)の凝集物形成を顕著に抑制することができた。
一方、上記特定のカラギナン以外のカラギナン、例えばκカラギナンを用いた場合(比較例2−2)はゲルを形成せず、凝集物形成も著しかった。
実験例3 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(モデル系)
表6及び表7の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。90℃で20分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製した。
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無、ゲル強度及び凝集物の形成)を評価した。結果を表7に示す。
注7)κカラギナン40質量%、ローカストビーンガム40質量%及びキサンタンガム20質量%含有製剤を使用。
安定剤無添加区では、タンパク質及びLMペクチンの相互作用によりゲルを形成せず、凝集物形成も著しかった(比較例3−1)。かかるところ、安定剤としてιカラギナン(実施例3−1)及びμ成分及びν成分を含有するカラギナン(実施例3−2)を用いることで、凝集物形成もなく、均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製できた。また、得られたゲルは弾力的な食感を有していた。
カラギナンとしてκカラギナンを用いた比較例3−2は凝集物形成の程度がひどく、分離も発生してしまい、商品価値がないものであった。
比較例3−3及び比較例3−4は、酸性条件下における乳タンパク質の安定化剤として多用される水溶性大豆多糖類及びHMペクチンを各々用いた例である。
水溶性大豆多糖類を用いた場合(比較例3−3)は1m程遠目からも確認できるほどの凝集物が形成され、かつ得られた酸性ゲル状飲食品のゲル強度も低く、商品価値がないものであった。HMペクチンを用いた場合(比較例3−4)は、ゲルを形成しなかった。
実施例3−3〜3−5及び比較例3−5〜3−6は、酸性多糖類としてκカラギナン及びキサンタンガム、並びに中性多糖類としてローカストビーンガムをゲル化剤として用いた例である。
安定剤としてιカラギナン(実施例3−3)、κ2カラギナン(実施例3−4)並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナン(実施例3−5)を用いることで、顕著に凝集物の形成を抑制することができ、均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製できた。
安定剤無添加区(比較例3−5)は、酸性多糖類及びタンパク質の相互作用によりゲルを形成しなかった。安定剤としてκカラギナンを用いた場合(比較例3−6)は、凝集物形成の程度がひどく、更には分離も発生していた。
実験例4 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(マンゴープリン)
表8及び表9の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(マンゴープリン)を調製した。
具体的には、水、ヤシ油にグラニュー糖、脱脂粉乳、ゲル化剤、安定剤及び乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃で10分間加熱撹拌した。マンゴーピューレ、色素、香料及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行い、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することで、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(マンゴープリン)を調製した。
得られた酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無及び凝集物の形成)を評価した。結果を表9に示す。
注8)κカラギナン30質量%、グルコマンナン20質量%、ローカストビーンガム12質量%及びこんにゃく粉10質量%含有製剤を使用。
注9)κカラギナン33質量%及びローカストビーンガム45質量%含有製剤を使用。
λカラギナン(実施例4−1、実施例4−5)、μ成分及びν成分を含有するカラギナン(実施例4−2、4−6)、ιカラギナン(実施例4−3)、並びにκ2カラギナン(実施例4−4)を用いたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質及びκカラギナンを含有しつつも、両者が凝集物を形成したり、ゲル化が阻害されることなく、均一で弾力のある食感を有するゲルを形成した。一方、安定剤不使用の比較例4−1及び比較例4−3は、タンパク質及びゲル化剤中に含まれるκカラギナンが相互作用して凝集物を形成し、ゲルを形成しなかった。
同様にして、酸性条件下における乳タンパク質の安定化剤として多用される水溶性大豆多糖類及びHMペクチンを用いた比較例4−2及び比較例4−4も、タンパク質及びκカラギナンが相互作用して凝集物を形成し、ゲルを形成しなかった。
実験例5 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(ヨーグルト風ゼリー)
表10の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(ヨーグルト風ゼリー)を調製した。具体的には、水にグラニュー糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤の粉体混合物を添加し、80℃で10分間加熱撹拌溶解した。クエン酸及び香料を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。容器に充填し、85℃で30分間殺菌後、冷却することで、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(ヨーグルト風ゼリー)を調製した。
注10)κカラギナン20質量%、キサンタンガム7.7質量%及びローカストビーンガム6.6質量%含有製剤を使用。
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品(ヨーグルト風ゼリー)は、タンパク質、κカラギナン及びキサンタンガムを含有しつつも、両者が相互作用して凝集物を形成したり、ゲル化が阻害されることなく、均一な組織で滑らかな食感を有する弾力あるゲル状飲食品であった。
実験例6 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(モデル系)
表10の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製した。
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無、ゲル強度及び凝集物の形成)を評価した。結果を表10に示す。
安定剤無添加区では、タンパク質及び脱アシル型ジェランガムの相互作用によりゲルを形成せず、凝集物形成も著しかった(比較例6−1)。
一方、安定剤としてιカラギナン(実施例6−1)を用いることで、凝集物形成もなく、均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製できた。また、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品に従来使用することができなかった脱アシル型ジェランガムを使用することで、ゲル状飲食品に耐熱性を付与することができた。
実験例7 pH変化に対する安定化試験(モデル系)
pH変化に伴う、安定剤によるタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の安定化試験を実施した。
(タンパク質含有酸性ゲル状飲食品の調製)
表11及び表12の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製した。
(評価)
pH3〜4の試験区はゲル化の有無を「○、×」で評価した。pH4.5〜6の試験区は実施例及び比較例のいずれもゲルを形成したため、凝集物形成の様子を表3の基準と同様に「−、±、+、++、+++」で5段階評価した。
注11)水溶性大豆多糖類50質量%及びHMペクチン50質量%含有製剤を使用。
安定剤無添加区の比較例7−1は、pH4以下ではゲルを形成しなかった。pH4.5以上ではゲルを形成したが、タンパク質及び酸性多糖類(κカラギナン及びキサンタンガム)の相互作用により凝集物を形成し、その程度はひどく、分離も発生していた。
同様にして、酸性条件下における乳タンパク質の安定化剤として多用される水溶性大豆多糖類及びHMペクチンを含有する安定化剤を用いた比較例7−2も、pH4以下ではゲルを形成せず、pH4.5以上ではゲルを形成したが、凝集物形成の程度はひどく、分離も発生していた。
一方、μ成分及びν成分を含有するカラギナンを用いた実施例7−1は、pH3〜6までの広範囲でゲルを形成し、更に凝集物形成の程度がひどいpH4.5〜6での凝集物形成を顕著に抑制し、均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できた。また、得られたゲルは弾力的な食感を有していた。
実験例8 pH変化に対する安定化試験(モデル系)
pH変化に伴う、安定剤(ιカラギナン)による、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品の安定化試験を実施した。
(タンパク質含有酸性ゲル状飲食品の調製)
表13及び表14の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製した。
(評価)
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無、ゲル強度及び凝集物の形成)を評価した。結果を表14に示す。
安定化剤としてιカラギナンを用いた場合、pH3.8〜6の広範囲で酸性多糖類及びタンパク質の相互作用による凝集物形成を顕著に抑制することができた。
一方、安定剤無添加区では、pH3.8〜4でゲルを形成せず、pH4.5〜6では酸性多糖類及びタンパク質による凝集物形成が発生し、商品価値を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を提供できなかった。
実験例9 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(マンゴープリン)
表15に示す処方に従って、酸性ゲル状飲食品(マンゴープリン)を調製した。
具体的には、水、ヤシ油にグラニュー糖、脱脂粉乳、ゲル化剤、安定剤及び乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃で10分間加熱撹拌した。マンゴーピューレ、色素、香料及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行った後、108℃で10秒のUHT殺菌を行い、容器に充填及び冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品(マンゴープリン)を調製した。
安定剤無添加区(比較例9−1)では、タンパク質及び酸性多糖類の相互作用によりゲルを形成せず、凝集物形成も著しかった。比較例9−1のマンゴープリン(冷却固化後のプリン)の組織を一部採取し、顕微鏡にて観察して得られた画像を図1に示す。図1からも明らかなように、タンパク質粒子が非常に粗く、ゲル化が阻害されているのが分かる。
一方、μ成分及びν成分を含有するカラギナンを用いた実施例9−1は、UHT殺菌後も粗い粒子が形成されることなく、ざらつきのない均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品(マンゴープリン)であった。図1と同様にして、撮影したUHT殺菌後の様子を図2に示す。
実験例10 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(酸性ゲル状濃厚流動食)
表16に示す処方に従って、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(酸性ゲル状濃厚流動食)を調製した。
具体的には、常温で水、油脂を撹拌しながら脱脂粉乳、カゼインナトリウム、デキストリン、乳化剤、水溶性大豆多糖類、HMペクチン、安定剤及びゲル化剤を添加し、80℃まで加温後、80℃で10分間撹拌した。クエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。容器に充填し、85℃で30分間殺菌後、冷却することで、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(酸性ゲル状濃厚流動食)を調製した。
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の状態評価(ゲル化の有無、凝集物の形成)、及び物性測定を実施した。結果を表17に示す。
(物性測定)
「えん下困難者用食品の試験方法」に従って各種力学特性を測定した。
直径40mm、高さ15mmの容器の中でゲル化させた試料(酸性ゲル状濃厚流動食)について、直径20mm、高さ8mmのプランジャーおよびテクスチャーアナライザーTA−XT2i(Stable Micro Systems社製)を用いて、各種力学特性を測定した。測定温度20℃、圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmで2回連続圧縮を行った。
(かたさ(注12))
実験例1とは異なり、実験例10では上記「えん下困難者用食品の試験方法」に準拠して「かたさ」を測定した。具体的には、2回連続圧縮を行った際に得られる応力−距離曲線より、第一バイトにおける最大圧縮応力を「かたさ」とした。
表中、「測定不能」とは、ゲル化せず、「かたさ」の測定が不可能であったものを示す。
(付着性(注13))
2回連続圧縮を行った際に得られる応力−距離曲線より、第一バイトの圧縮後に現れる負の応力値と移動距離の積により求められる面積を「付着性」とした。本数値が小さい程、付着性が小さいことを意味する。
(凝集性(注14))
2回連続圧縮を行った際に得られる応力−距離曲線より、第二バイトの圧縮時の正の応力値と移動距離の積により求められる面積A2を、第一バイトの圧縮時の正の応力値と移動距離の積により求められる面積A1で割った値、すなわちA2/A1を「凝集性」とした。ゲル状試料の場合、本数値が小さい程まとまりがなく、大きいほどまとまりがあることを意味する。ただし、咀嚼・嚥下機能低下者向けには0.2〜0.6程度が適してるとされる。
μ成分及びν成分を含有するカラギナンを使用した実施例10−1及び10−2は、タンパク質と、酸性多糖類としてκカラギナン(実施例10−1)又はキサンタンガム(実施例10−2)を含有しつつも、両者が凝集物を形成したり、ゲル化が阻害されることなく、均一なゲルを形成した。更に、実施例10−1及び10−2で得られた酸性ゲル状濃厚流動食は、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適したかたさ、良好な食塊形成性を有しており、付着性も小さく、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感及び物性を有していた。加えて、実施例10−1及び10−2の酸性ゲル状濃厚流動食は離水の発生も顕著に抑制されていた。
一方、安定剤不使用の比較例10−1及び比較例10−2は、タンパク質と、ゲル化剤中に含まれるκカラギナン、キサンタンガムが相互作用して凝集物を形成し、ゲルを形成しなかった。
実験例11 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(酸性ゲル状濃厚流動食)
表18に示す処方に従って、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(酸性ゲル状濃厚流動食)を調製した。
具体的には、常温で水、油脂を撹拌しながら脱脂粉乳、カゼインナトリウム、デキストリン、乳化剤、水溶性大豆多糖類、HMペクチン、κカラギナン(ゲル化剤)及び安定剤を添加し、80℃まで加温後、80℃で10分間撹拌した。クエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。容器に充填し、85℃で30分間殺菌後、冷却することで、タンパク質を含有する酸性ゲル状飲食品(酸性ゲル状濃厚流動食)を調製した。
μ成分及びν成分を含有するカラギナンを用いた実施例11−1のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質、脂質及び炭水化物を複合的に含有する濃厚流動食であっても、酸性多糖類とタンパク質が凝集物を形成することなく、均一で滑らかな食感を有していた、更には、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適したかたさ、良好な食塊形成性を有しており、付着性も小さく、咀嚼・嚥下機能低下者の喫食に適した食感及び物性を有していた。また、実施例11−1の酸性ゲル状濃厚流動食は、離水の発生も顕著に抑制されており、保水性も高かった。
一方、μ成分及びν成分を含有するカラギナンを用いていない比較例11−1のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質とκカラギナンが相互作用して凝集物を形成し、ゲル自体を形成できなかった。
実験例12 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(イチゴプリン)
表19に示す処方に従って、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(イチゴプリン)を調製した。
具体的には、水、ヤシ油、牛乳、生クリームに砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤、メタリン酸ナトリウム、乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃で10分間加熱撹拌した。イチゴ果汁、色素、香料及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行い、容器に充填後、121℃で20分間レトルト殺菌し、冷却することでタンパク質含有ゲル状飲食品(イチゴプリン)を調製した。
得られた酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無及び凝集物の形成)を評価した。結果を表19に示す。
注15)キサンタンガム8質量%、ローカストビーンガム8質量%、寒天14質量%、グァーガム3質量%、発酵セルロース8質量%含有製剤を使用。
安定剤無添加区(比較例12−1)はゲルを形成するものの、タンパク質及びキサンタンガムの相互作用により凝集物が形成された(30cmの距離で凝集物形成が確認された)。
一方、安定剤としてμ成分及びν成分を含有するカラギナンを用いた実施例12−1のタンパク質含有酸性ゲル状飲食品は、タンパク質及びキサンタンガムを含有しつつも、両者が凝集物を形成することなくゲルを形成し、滑らかで弾力のあるイチゴプリンであった。
実験例13 タンパク質含有 酸性ゲル状飲食品(モデル系)
表20の処方に基づき、タンパク質含有酸性ゲル状飲食品(モデル系)を調製した。具体的には、水に砂糖、脱脂粉乳、ゲル化剤及び安定剤を添加し、80℃で10分間加熱溶解した。色素及びクエン酸を添加し、全量が100質量部となるようにイオン交換水で補正した。15MPaで均質化処理を行なった後、容器に充填した。85℃で30分間殺菌後、冷却することでタンパク質含有酸性ゲル状飲食品を調製した。
得られたタンパク質含有酸性ゲル状飲食品の状態(ゲル化の有無及び凝集物の形成)を評価した。結果を表20に示す。
安定剤無添加区(比較例13−1)では、タンパク質及び酸性多糖類の相互作用によりゲルを形成せず、凝集物形成も著しかった。一方、μ成分及びν成分を含有するカラギナンを用いた実施例13−1は、殺菌後も凝集物が形成されることなく、ざらつきのない均一な組織を有するタンパク質含有酸性ゲル状飲食品であった。

Claims (2)

  1. 乳タンパク質及び酸性多糖類をpH2.5〜6の酸性条件下で併用する場合に生じる凝集物の形成を抑制する方法であって、
    ιカラギナン、λカラギナン、κ2カラギナン、並びにμ成分及びν成分を含有するカラギナンからなる群から選択される一種以上のカラギナンと、前記乳タンパク質と、κカラギナン、キサンタンガム、ジェランガム及びLMペクチンからなる群から選択される一種以上の酸性多糖類とを含有する混合物とすることを含む乳タンパク質含有酸性ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法。
  2. 乳タンパク質含有酸性ゲル状飲食品が、酸性ゲル状デザート、酸性ゲル状調味料又は酸性ゲル状濃厚流動食である、請求項1に記載の乳タンパク質含有酸性ゲル状飲食品の凝集物形成を抑制する方法。
JP2012263685A 2011-11-30 2012-11-30 タンパク質及び酸性多糖類を含有する、酸性ゲル状飲食品の凝集物形成抑制方法 Active JP6385640B2 (ja)

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