JP5026347B2 - 酸性濃厚流動食用ゲル化剤及びゲル状酸性濃厚流動食の製造方法 - Google Patents
酸性濃厚流動食用ゲル化剤及びゲル状酸性濃厚流動食の製造方法 Download PDFInfo
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Description
項1.アルギン酸ナトリウム、中性の水に不溶又は難溶のカルシウム塩及びキレート剤を含有し、アルギン酸ナトリウム1質量部に対し0.1〜2質量部のキレート剤を用いることを特徴とする酸性濃厚流動食用ゲル化剤。
項2.中性の水に不溶又は難溶のカルシウム塩が、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三水素カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、焼成カルシウム、未焼成カルシウム及びそれらの水和物から選ばれる1種以上である項1に記載のゲル化剤。
項3.キレート剤が、リン酸塩、縮合リン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、グルコン酸塩及びクエン酸塩から選ばれる1種以上である項1又は2に記載のゲル化剤。
項4.項1〜3のいずれかに記載の酸性濃厚流動食用ゲル化剤を溶液状態で酸性濃厚流動食に添加することを特徴とする、ゲル状酸性濃厚流動食の製造方法。
項5.更に加熱殺菌を行なうことを特徴とする、項4に記載の常温流通可能なゲル状酸性濃厚流動食の製造方法。
項6.項4又は5に記載の方法にて製造されたゲル状酸性濃厚流動食。
項7.内径4mm、長さ300mmのチューブに、1mm/秒の速度で35mm押し込んだ際の荷重が60N以下であることを特徴とする、項6に記載のゲル状酸性濃厚流動食。
2質量部、更に好ましくは0.5〜1質量部のキレート剤を添加することを特徴とする。ここで、キレート剤の添加量が0.1質量部より少なくなると、ゲル化剤溶液と酸性濃厚流動食の混合時に、急激なゲル化、粘度上昇が起こり、均一なゲルの調製、容器への充填が困難になる。一方、キレート剤の添加量が2質量部より多くなると、カルシウムイオンを過剰にキレートするため、アルギン酸アニオンにカルシウムイオンが供給されず、ゲル化しない、あるいはゲル化に長時間を要する。本発明では上記特定量のキレート剤を添加することにより、酸性の濃厚流動食であってもゲル化させることができる。その上、調製されたゲル状酸性濃厚流動食は均一で、食塊形成性もよく、付着性が小さい上に離水も少なく、咀嚼・嚥下困難者が飲み込みやすいゲル状酸性濃厚流動食となることを特徴とする。また、調製された酸性濃厚流動食は経管投与時のチューブ流動性にも優れ、過度な負担なく注入可能であり、チューブへの付着も少なく、衛生面からも優れた経管投与用ゲル状酸性濃厚流動食となる。
本発明の酸性濃厚流動食を構成するタンパク質としては、従来から食品に汎用されているものであれば特に限定されず、各種タンパク質を用いることができる。具体的には、脱脂粉乳、脱脂豆乳粉末、カゼイン、ホエイタンパク質、全乳タンパク質、大豆タンパク質、小麦タンパク質、及びこれらタンパク質の分解物等が挙げられる。これらタンパク質、特に乳タンパク質は酸性条件下で著しく凝集し、均質にゲルを形成することが困難である。タンパク質が凝集、沈殿を生じた場合は、外観上美しくないだけでなく、凝集したタンパク質により付着性が増大し、喫食時に喉にはりつく、経管投与時にチューブ内壁への残渣が増加するなどの問題点が生じる。しかし、本発明の酸性濃厚流動食用ゲル化剤を用いることにより、乳タンパク質を含有する場合においても、またタンパク質含量が1〜15質量%、更には10質量%以上と高いタンパク質含量を有する濃厚流動食であっても、タンパク質の凝集や沈殿が抑制された、均質なゲル状酸性濃厚流動食を提供することが可能である。
本発明の酸性濃厚流動食を構成する脂質は、一般に食用として利用されている脂質であれば特に限定されず、各種脂質を用いることができる。具体的には、大豆油、綿実油、サフラワー油、コーン油、米油、ヤシ油、シソ油、ゴマ油、アマニ油等の植物油や、イワシ油、タラ肝油等の魚油、必須脂肪酸源としての長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等を挙げることができ、好ましくは、通常炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)である。長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)に代わり、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を用いることにより、脂質の吸収性が高まる一方で、調製されたゲル状酸性濃厚流動食の付着性が増大し、咀嚼・嚥下困難者が喫食した際に喉にはりつきやすい、経管投与時に使用されるチューブ内壁の残渣が増加する傾向が見られる。しかし、本発明の酸性濃厚流動食用ゲル化剤を用いることにより、付着性が低減され、咀嚼・嚥下困難者が飲み込みやすく、経管投与用に使用した際もチューブ内壁の残渣が少なく、品質の安定したゲル状酸性濃厚流動食の提供が可能となる。本発明の酸性濃厚流動食中の脂質の含有量としては、1〜20質量%、好ましくは5〜10質量%である。
本発明の酸性濃厚流動食を構成する炭水化物として、一般に食用として利用されている各種糖質を用いることができる。具体的には、グルコース、フルクトース等の単糖類、マルトース、蔗糖等の二糖類等の通常の各種の糖類や、キシリトール、ソルビトール、グリセリン、エリスリトール等の糖アルコール類、デキストリン、シクロデキストリン等の多糖類、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラクトスクロース等のオリゴ糖類等が挙げられ、好ましくは、デキストリンを用いることができる。味覚に与える影響が糖質の中では低いためである。本発明の酸性濃厚流動食中の炭水化物の含有量としては、10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%である。
本発明の酸性濃厚流動食では、一般に食用として利用されているものが使用できる。例えば、ミネラルであれば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄等は食品添加物扱いの塩の形で添加することができる。ビタミンであれば、例えば、ビタミンB1、B2、B6、B12、C、D、K、ナイアシン、ニコチン酸アミド、パントテン酸、又は葉酸等を使用することができる。濃厚流動食中のミネラル、ビタミンの量は「日本人の食事摂取基準[2005年度版]」に記載の推奨量、目安量、目標量又は上限量に従い適宜設定することが可能である。
表1に示す割合の栄養成分を配合して、熱量2.0kcal/gの液状の酸性濃厚流動食を調製した。まず水に大豆多糖類を添加し、室温で10分間撹拌を行った。さらに乳タンパク、および乳化剤を添加後、加温を開始し、さらに炭水化物(デキストリン、砂糖)を添加して80℃で10分間撹拌を行った。その調製液にあらかじめ80℃に加温しておいた油脂を加え、3分間撹拌を行った。そこにミネラル酵母、ビタミンミックス、塩類、および甘味料を添加し、さらに1分間撹拌した後、20℃に冷却した。あらかじめ水に加熱溶解した後、20℃に冷却した酸性メタリン酸Na溶液を添加し、pH3.8に調整した。これを再度75℃に加温した後、香料を添加し、均質化(14,700kPa)した。これを酸性濃厚流動食Aとした。
(ゲル化):ゲル化したものは○、ゲル化しなかったものは×とした。
(充填時の状態):充填時に液状のものは○、ゲル化・高粘度化したものは×とした。
(殺菌後の凝集):殺菌後に均一なゲルのものは○、凝集・分離したものは×とした。
以下は、上記3項目でともに○のもののみ評価した。
(離水):胃瘻用チューブを通過させた後、試料から生じる離水の少ないものから順に(少ない)−<±<+<++<+++(多い)の5段階で評価した。
実験例1で使用した酸性濃厚流動食A及び各種ゲル化剤を用いて、ゲル状酸性濃厚流動食を調製した。詳細には、常温(25℃)の水に表4に示すゲル化剤を添加し、攪拌した。そこに実験例1で調製した酸性濃厚流動食A(25℃)を添加し、1分間攪拌した。耐熱性の容器に充填し、一旦冷却した後、85℃湯浴中で30分間加熱殺菌処理を行った。その後冷却し、実施例4及び比較例8〜9のゲル状酸性濃厚流動食を調製した。
実験例1の実施例1〜3のゲル状酸性濃厚流動食について、チューブ流動性を評価した。評価方法は、ゲル状酸性濃厚流動食25mlを充填した50mlシリンジ(テルモ社製、テルモシリンジ カテーテルチップ型 ss−50Cz)の先端に胃瘻用シリコンチューブ(内径4mm、長さ300mm、)を接続する。これを、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製、TA−XZT2i)に垂直にセットし、治具(円柱状、直径50mm)にて1mm/秒の速度で35mm押込む。この際に検出された荷重の最大値が60N以下であれば、チューブ流動性に優れると判断する。結果を表5に示す。
Claims (2)
- アルギン酸ナトリウム、中性の水の不溶又は難溶のカルシウム塩及びキレート剤を含有し、アルギン酸ナトリウム1質量部に対し0.1〜2質量部のキレート剤を用いることを特徴とする酸性濃厚流動食用ゲル化剤を、溶液状態で酸性濃厚流動食に添加することを特徴とする、ゲル状酸性濃厚流動食の製造方法。
- 更に加熱殺菌を行うことを特徴とする、請求項1に記載の常温流通可能なゲル状酸性濃厚流動食の製造方法。
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