JP4541433B2 - 澱粉性食品用品質改良剤および易嚥下加工食品の調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は澱粉質を主体とする食品(米飯、お粥、うどん、芋類など、以下澱粉性食品と呼称する)の摂食・嚥下適性を改善する品質改良剤に関する。本発明はまた、澱粉性食品にアミラーゼ、増粘多糖類等を添加処理する工程を含む易嚥下加工食品の調製方法に関する。
高齢者人口の増加に伴って、摂食・嚥下機能の障害により食べ物、飲み物が正常に摂取できない人が増えている。摂食・嚥下機能に障害のある人は、食べ物を細かく噛み砕くことや、うまく飲み込むことが難しく、とくに、飲み込む際に飲食物を誤って気管へ流しこんでしまうケース(誤嚥という)が多く、これが原因で重篤な肺炎に至る症例がしばしば見られる。これに対して、誤嚥しやすい飲み物や汁物に、適度な粘度をつけるためのとろみ調整食品や、噛む必要がなく飲み込みやすい物性を持ったゼリーやプリン状の食品が開発され、病院や福祉施設などを中心に広く用いられている。
しかしながら、病院や福祉施設等で主食として高頻度で供されるご飯やお粥、うどん、パン等の澱粉性食品においては、摂食・嚥下容易で、手間やコスト面で手軽に利用できる食品はほとんど開発されておらず、病院や福祉施設等では、米飯をミキサーなどの剪断機を用いてペースト状のミキサー粥にして供しているような状況にある。ミキサー粥は、流動状であり噛む必要はないものの、付着性が非常に高くて、まとまりにくい物性のため非常に飲み込みにくい。そこで、ミキサー時にとろみ調整食品等を添加して、物性を改善した形で提供されることが多いが、依然としてその付着性の高さから、口腔内や咽頭に残留しやすく、嚥下機能に障害のある患者にとって食べにくい食品であった。
嚥下容易な澱粉性食品としては、「易嚥下加工米飯及びその加工品」(特許文献1)、「易嚥下粥」(特許文献2)、「咀嚼・嚥下困難者用粥」(特許文献3)等の発明が特許出願されている。また、即席粥状食品については、「即席黒粥粉末の製造方法」(特許文献4)、「即席乾燥粥の製造法」(特許文献5)、「インスタント米粥及びその製法」(特許文献6)、「即席お粥の製造方法」(特許文献7)および「酵素含有ペースト状食品用組成物及びこれを用いてなる調理加工食品」(特許文献8)などが特許出願されている。
しかしながら、これらの先行発明は、膨化米と焙煎した木の実などの混合粉末を加熱殺菌したものとか、粥又は粥と具材とを凍結乾燥処理ないし真空凍結乾燥処理したものとか、加水した米を加熱押出し装置にかけて部分的に密度の異なる米粒大の米の片を製するものなどであり、その目的は、消化性・口当たり・滋養強壮効果・復元性の向上、製造時の具材形状の崩壊防止などを志向するものであって、本発明の澱粉性食品用品質改良剤および易嚥下加工食品の調製方法とは異なる技術である。
本発明者らは、澱粉性食品の摂食嚥下適性を改善する技術として、お粥などの澱粉性食品にアミラーゼを添加して攪拌して十分に粘性を低下させた後、とろみ調製食品を添加し攪拌することにより、摂食嚥下適性が大幅に改善されることを見出した。しかしながら、アミラーゼをはじめとする酵素剤と増粘多糖類を同時に添加できないため、澱粉性食品の摂食・嚥下適性を改善する工程は煩雑であった。
酵素剤および増粘多糖類を同時添加できない理由として、増粘多糖類は、水や液状食品に添加して攪拌力を与えれば、食品の温度が低温(冷蔵温度)でも高温(〜100℃)でも良く溶解し、直ちに粘性を発現するという特性を有しているものが多いことがあげられる。すなわち、お粥などの澱粉性食品にグァーガム等の増粘多糖類を酵素剤と同時添加して攪拌した場合、攪拌直後からお粥の粘度が非常に高まり、結果的に酵素剤中のアミラーゼとお粥中のでん粉との反応を著しく妨げることになるという問題があった。
特開平11−113512号 特開平10−191908号 特開平11−187382号 特開平8−298947号 特開平9−65844号 特開平9−163949号 特開平11−187833号 特開平2002−136275号
本発明は澱粉性食品の摂食・嚥下適性を改善するための品質改良剤、および澱粉性食品にアミラーゼ、増粘多糖類等を添加する工程を含む易嚥下食品の調製方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、酵素剤(アミラーゼ)と増粘多糖類を澱粉性食品に同時添加しても、剪断機による攪拌時は増粘多糖類が粘性を発現せず、食べる際に粘性が出るようにする技術の提供を課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意努力した結果、澱粉性食品をアミラーゼで処理し、増粘多糖類を添加することにより、当該食品の摂食・嚥下適性が改善されることを見出し、本発明を完成させた。
また、本発明者らは、アミラーゼと増粘多糖類を澱粉性食品に同時添加しても、剪断機による攪拌時は増粘多糖類が粘性を発現せず、食べる際に粘性が出るようにするためには、剪断機による処理時に粘性が発現しにくく、食べる際に適当な粘性が発現するような増粘多糖類を用いればよいことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下よりなる。
1.アミラーゼと増粘多糖類もしくは寒天を配合してなる、摂食・嚥下適性の高い物性を付与するための、澱粉性食品用品質改良剤。
2.アミラーゼ活性が100〜1000u/gであり、増粘多糖類または寒天を10〜50重量%配合してなる、前項1に記載の品質改良剤。
3.アミラーゼがα−アミラーゼである前項1または2に記載の品質改良剤。
4.増粘多糖類がジェランガム、アルギン酸ナトリウムまたはカラギーナンである、前項1〜3のいずれか1項に記載の品質改良剤
5.澱粉性食品に、アミラーゼと増粘多糖類もしくは寒天を同時に添加する工程を少なくとも含む、易嚥下加工食品の調製方法。
6.アミラーゼ、増粘多糖類もしくは寒天の食品100gに対する配合量が、アミラーゼ100〜1000u、増粘多糖類もしくは寒天0.1〜1.0重量%である、前項5に記載の調製方法。
7.増粘多糖類がジェランガム、アルギン酸ナトリウムまたはカラギーナンである前項6〜7のいずれか1項に記載の調製方法。
8.剪断機を用いて混合、均質化する工程をさらに含む、前項5から7のいずれか1項に記載の調製方法。
9.前項5〜8のいずれか1項に記載の調製方法により製造される易嚥下加工食品。
10.硬さが500〜2000N/m2、付着量が3g以下である、前項1〜4のいずれか1項に記載の品質改良剤を含む食品、もしくは請求項5〜9のいずれか1項に記載の調製方法により製造される易嚥下加工食品。
本発明の品質改良剤および調製方法により加工した澱粉性食品は、加工前と比較して、適切なかたさ、まとまり感が生じるという利点がある。また、べたつき感(付着性)が少なく、唾液により液状化することがないため、非常に優れた嚥下適性を有する。さらに、温度による物性変化が少ないため、温かい状態で食器に盛り付けて、食べるまでの間に室温近くまで冷めた場合でも、かたさや付着性の急激な上昇が少なく良好な嚥下適性を保てるため実用性が高い。
さらに、本発明の品質改良剤および易嚥下食品の調製方法は、アミラーゼと増粘多糖類もしくはゼラチンを同時に添加することができることから、調製作業が簡素化されており、低コストであるという利点がある。
本発明で使用する食品は澱粉質を主体とする食品(澱粉性食品)である。本発明で使用する澱粉質とは、小麦、大麦、米、トウモロコシ等の穀類、該穀類を原料とする小麦粉、大麦粉、米粉、コーンフラワー等の穀粉、該穀粉、或いは、馬鈴薯、甘藷、片栗、蕨、タピオカ、レンコン等を原料とするコーンスターチ、片栗粉等の澱粉、加工澱粉、デキストリン類等が挙げられ、目的の風味、食感等に応じて適宜選択し、これらを単独であるいは組み合わせて使用することができる。
澱粉性食品の例として、米飯、お粥、澱粉性食品(芋類、穀類等)、澱粉を多く含む加工食品(うどん、そば等)が挙げられる。米飯、お粥、澱粉性食品(芋類、穀類等)がより好ましく、米飯、お粥が特に好ましい。これら食品を単に剪断機(ミキサー等)により処理すると、得られる食品は総じてべたつき感が強く、嚥下困難であるが、本発明の方法により加工することにより、べたつき感が緩和され、嚥下が容易となる。
本発明の澱粉性食品用品質改良剤は、アミラーゼと増粘多糖類もしくは寒天を配合してなる。アミラーゼとは澱粉を加水分解する酵素の総称である。アミラーゼには、非還元性末端から特定数のグルコース単位を切り離していくエキソ型の分解様式を持つものと、ほぼランダムに近い分解様式を持つエンド型のものとがある。エキソ型の分解様式を持つものとしては、エキソ−1,4−α−D−グルコシダーゼ(EC3.2.1.3)、β−アミラーゼ(EC3.2.1.2)、エキソイソマルトトリオヒドロラーゼ(EC3.2.1.95)、エキソマルトテトラオヒドロラーゼ(EC3.2.1.60)、エキソーマルトヘキサオヒドロラーゼ(EC3.2.1.98)がある。また、エンド型の分解様式を持つものとしては、α−アミラーゼ(EC3.2.1.1)のほかにプルラナーゼ(EC3.2.1.41)やイソアミラーゼ(EC3.2.1.68)などがあり、目的に応じて適宜選択することができる。
アミラーゼとして、例えば市販品としてグルコアミラーゼ(長瀬産業製、液状)、β−アミラーゼ(長瀬産業製、粉末)、プルラナーゼ(林原生化研製、粉末)、リクイファーゼL45(HBI製、液状)、液化酵素T(HBI製、粉末)、α−アミラーゼ(シグマ製、粉末)、アミラーゼAH(天野製薬製、粉末)、アミラーゼAD(天野製薬製、液状)などがある。これらの中では耐熱性を有するものが好ましい。なお、酵素の至適温度は様々であるが、例えばα−アミラーゼ(シグマ製)は約40℃、アミラーゼAD(天野製薬製)は60〜70℃、アミラーゼAH(天野製薬製)は90〜95℃、液化酵素T(HBI製)は70〜80℃である。
本発明における澱粉性食品に対するアミラーゼの添加量は、目的とする効果が得られるように適宜決定すればよい。一般的なαアミラーゼ製剤である液化酵素T(HBI製、澱粉液化力 10,000 u/g)であれば、通常、全粥100 gあたり0.01〜0.1 g、好ましくは0.02〜0.05gである。添加量が増すにしたがって甘味が強くなり、食味上問題になることがあるが、この範囲であればほのかな甘味が感じられ、好ましい食味となる。また、添加量が少ないと、澱粉性食品の低粘度化(液状化)が不十分となり、出来上がった酵素・増粘多糖類処理食品も付着性が残ったものとなる。
本発明に用いる増粘多糖類は、液状食品にかたさやまとまりを付与できる食品素材ならば何でも良く、増粘剤、ゲル化剤が挙げられる。増粘多糖類以外のものとして、寒天を増粘多糖類の代わりに添加してもよい。具体的には、例えば、タラガム、グァーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ジェランガム、キサンタンガム、アラビアガム、サイリュームシードガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ペクチン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、カラヤガム、プルラン、カルボキシメチルセルロース、カードラン、グルコマンナン等、が挙げられ、これらの一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。これら増粘多糖類の中でも、1)澱粉性食品に添加し、剪断機で混合・均質化する時点では粘度発現がなく、2)摂食者が食する時点で適度な粘性が発現するものが望ましい。そのような増粘多糖類の一例として、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。また、澱粉を主体とするか、澱粉を多く含む増粘多糖類製剤はアミラーゼの影響を受けるため本発明の澱粉性食品用品質改良剤および易嚥下食品の調製方法には適していない。
本発明に用いる増粘多糖類もしくは寒天として、増粘多糖類製剤もしくは寒天製剤を用いてもよい。増粘多糖類の好適な一例として、ジェランガム(ネイティブ型)製剤およびアルギン酸ナトリウム製剤が挙げられる。 ジェランガム(ネイティブ型)製剤は、高温の澱粉性食品に添加され、剪断機により処理されている間は粘性の発現は見られないが、剪断機による混合・均質化後の澱粉性食品の温度が摂食可能温度以下(おおむね60℃以下)になると、適当な粘性を発現する。
また、アルギン酸ナトリウム製剤は、配合されているカルシウムが徐々に溶解するように設計することで、澱粉性食品(温度は任意である)に添加され剪断機による処理を開始した時点では粘性の発現はなく、その後カルシウムとアルギン酸の反応が進むのに伴いゆっくり粘性が発現して、剪断機による処理の終了時点では適当な粘性となる。
本発明における澱粉性食品用品質改良剤のアミラーゼと増粘多糖類の配合は、アミラーゼ、増粘多糖類の種類により適宜調整することができるが、好ましくはアミラーゼ100〜1000u/g、増粘多糖類10〜50重量%、より好ましくはアミラーゼ200〜500u/gである。本発明の澱粉性食品用品質改良剤において、アミラーゼと増粘多糖類を別々に個装しておいてもよいし、あらかじめ混合しておいてもよいが、あらかじめ混合しておくことが好ましい。
本発明の易嚥下加工食品の調製方法においては、澱粉性食品にアミラーゼと増粘多糖類もしくはゼラチンを添加し、混合・均質化処理を行なう。また、混合・均質化処理は剪断機を用いることが好ましい。本発明に用いる剪断機とは、例えば、ミキサー、フードカッター、マイルダー等の高速剪断機が挙げられる。これらの場合、5000〜20000 rpmで、30〜120秒間混合、均質化することが好ましい。
本発明の易嚥下加工食品の調製方法においては、澱粉性食品100gに対する配合量は、アミラーゼ100〜1000u、増粘多糖類もしくは寒天0.1〜1.0重量%であることが好適である。
本発明の調製方法において、アミラーゼと増粘多糖類もしくは寒天は同時に澱粉性食品に添加されることが好ましい。本発明の調製方法に用いる増粘多糖類はアミラーゼとともに澱粉性食品に同時添加しても、剪断機による攪拌時は粘性を発現せず、食べる際に粘性が出るようなものが好ましい。このような増粘多糖類として、ジェランガムや、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンがより好ましい。
例えば、本発明の調製方法により、前記増粘多糖類(ジェランガムやカラギーナン)をアミラーゼと同時に高温(95〜80℃)のお粥に添加してミキサーで攪拌すると、増粘多糖類は溶解が進むものの、この時点では粘性発現しないため、アミラーゼがお粥と速やかに混ざって、数秒〜数十秒後には非常に低粘度(概ね200mPa・s以下)になる。この低粘度化したお粥を、そのまま放置するか、食器に盛るなどして放置すれば、温度の低下とともに、溶解している増粘多糖類のゲル化が起こり、摂食・嚥下に適した物性のお粥が得られる。このように、調製直後の物性が低粘度であることは、配膳に際しても好ましい。ある程度粘性がついたお粥をミキサーから出す際には、スプーンやへらなどで何回にもわけてかき出す必要があるが、お粥が低粘度であれば、ミキサー容器を傾けて各食器に注ぎ分ければよいため、非常に作業性が良い。
本発明の澱粉性食品用品質改良剤および易嚥下加工食品の調製方法により、澱粉性食品をアミラーゼ処理することにより液状化し、付着性(べたつき感)が減少させるとともに増粘多糖類の混ざりが良くなるという効果がある。さらに、増粘多糖類で処理することにより、嚥下に好適な物性に整えることができる。ここで嚥下に好適な食品物性とは、適度に柔らかく(変形が容易)、べたつき感が少なく、適度にまとまりが良く(口の中でバラけない)であるが、硬さだけを少し増やすとか、まとまりだけをわずかに付与するだけでも、該食品を摂取する者(患者等)にとっての嚥下適性を改善したことになるケースが多い。すなわち、増粘多糖類処理の目的は、理想の物性にすることでなく、その患者に適した物性に近づけることであり、本発明による加工前の食品と比較して、加工後に食品の嚥下適性が高まっていることが必須である。本発明の澱粉性食品用品質改良剤を含む食品、もしくは本発明の調製方法により得られる易嚥下食品の好適な特性は、硬さが500〜2000N/m2であり、付着量が4g以下好ましくは3g以下である。本発明において、硬さとは、試料を直径55mm高さ15mmの円柱状容器に充填し、直径40mm、高さ25mmの円柱状プランジャーにて試料を上方から10mm圧縮した際にプランジャーにかかる応力を言う。本発明において、付着量とは、上記測定法にて、試料を圧縮したプランジャーを、試料面から完全に引き上げた際に、プランジャー面に付着した試料の重量を言う。
本発明の澱粉性食品用品質改良剤を含む食品、もしくは本発明の調製方法により得られる易嚥下食品には、各種のカルシウム類、ビタミン類、鉄分、ミネラル類、食物繊維などの微量栄養素、粉末みそ、粉末ソース、かつおぶしの粉末、脱脂粉乳、粉末ポタージュなどの粉末調味料、乾燥わかめや乾燥野菜の粉末又は小片、細かく砕いた魚肉や肉製品の小片などの小片固形物、フルーツフレーバー、ミルクフレーバーなどの食品香料などのうち任意のものを適宜添加してもよい。これらの任意原料は、一旦澱粉性食品用品質改良剤を含む食品、もしくは本発明の調製方法により得られる易嚥下食品を製した後で加配してもよく、また加工前の澱粉性食品へ加配しておいてもよい。
実施例1
炊きたての全粥200 g(品温90℃)に、α-アミラーゼ製剤(リクイファーゼL45(HBI(株)))の250倍希釈溶液を3 g、ネイティブジェランガム(ケルコゲルHT(大日本製薬(株)製)を0.5 g、デキストリン3g(ネイティブジェランガムとデキストリンは事前に均質になるまで良く混合しておく)を加え、ミキサーで2分間混合・均質化して酵素・増粘多糖類処理粥(以下処理粥とする)を得た。処理粥を室温で放置して品温が50℃まで低下した時点で摂食・嚥下適性を評価したところ、かたさは柔らかめのプリン様であり、均質かつ付着性が少なく、非常に飲み込みやすい物性であった。
実施例2
酵素剤ならびに増粘多糖類などを、表1の配合に従って混合した製剤を調製した。この製剤10gを炊きたての全粥1000 g(品温90℃)に加え、ミキサーで2分間混合・均質化して処理粥を得た。これを室温で放置して品温が50℃まで低下した時点で摂食・嚥下適性を評価したところ、柔らかめのプリン状のかたさであり、均質かつ付着性が少なく、非常に飲み込みやすい物性であった。かたさ応力ならびに付着性を測定した結果を表1A及びBに示す。処理粥は従来のミキサー粥と比べ付着量が少なく、嚥下適性がすぐれていることがわかった。また、炊き上がりの粥に製剤を加えてミキサー攪拌するだけで、嚥下特性のすぐれた粥が得られることから、作業性が良好であった。
Figure 0004541433
実施例3
αアミラーゼ製剤の配合量を変えた製剤A〜Fを調製し、これらを用いて実施例2と同様の条件にて処理粥を調製し、摂食・嚥下適性を評価した。
Figure 0004541433
酵素剤の配合Aの場合は硬さおよび付着量が大きく、摂食・嚥下しにくかった。配合Fの場合は摂食・嚥下に適した物性であったが、甘味が強く食味面で問題があった。配合B〜Eの場合は、摂食・嚥下適性、食味とも良好であった。
Figure 0004541433
×:悪い △:やや悪い ○:良好
実施例4
酵素剤ならびに増粘多糖類などを、表4の配合に従って混合した製剤を調製した。この製剤10gを炊きたての全粥1000 g(品温90℃)に加え、ミキサーで2分間混合・均質化して処理粥を得た。これを室温で放置して品温が50℃まで低下した時点で摂食・嚥下適性を評価したところ、柔らかめのプリン状のかたさであり、均質かつ付着性が少なく、非常に飲み込みやすい物性であった。その際の硬さならびに付着量を測定した結果、それぞれ、1360N/m2、1.9gであった。
Figure 0004541433
*液化酵素T(HBI社製)
実施例5
酵素剤ならびに増粘多糖類などを、表1の配合に従って混合した製剤を調製した。この製剤10gを定法により茹でたうどんの麺1000 g(品温85℃)に加え、ミキサーで2分間混合・均質化した。これを室温で放置して品温が50℃まで低下した時点で摂食・嚥下適性を評価したところ、プリン状のかたさであり、均質かつ付着性が少なく、非常に飲み込みやすい物性であった。その際の硬さならびに付着量を測定した結果、それぞれ、1600N/m2、2.4gであった。
上記に述べたように、本発明の澱粉性食品用品質改良剤および易嚥下食品の調製方法により加工した澱粉性食品は、摂食・嚥下障害患者にとって、より安全性が高いと考えられる。

Claims (2)

  1. 全粥又はうどんに、全粥又はうどん100gに対する配合量として、α−アミラーゼ200〜1000uと、ネイテイブジェランガム0.1〜1.0重量%と、寒天0.1〜1.0重量%とを同時に添加する工程を少なくとも含み、硬さが500〜2000N/m2、付着量が3g以下である易嚥下性全粥又はうどんを調製する方法。
  2. 500〜2000N/m2の硬さ、3g以下の付着性を有する易嚥下性全粥又はうどんを調製するための、α−アミラーゼ100〜1000u/g、ネイテイブジェランガムおよび寒天を主成分とする、全粥又はうどん用品質改良剤。
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