JPWO2017150389A1 - 澱粉を含む食品組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、澱粉を含む食品組成物において、澱粉のゲル化時又は増粘時の特性(硬さ、弾力又は保形性の付与作用)を向上させ、更に澱粉からの糖の溶出を抑制でき、熱安定性を備えさせる技術を提供することである。澱粉と共に多糖類(セルロースを除く)によって複合化されているセルロースを含有させた食品組成物は、硬さ、弾力、又は保形性が良好になり、澱粉のゲル化時又は増粘時の特性が向上し、更に澱粉からの糖の溶出抑制及び熱安定性向上も図られる。

Description

本発明は、澱粉のゲル化時又は増粘時の特性が向上しており、澱粉からの糖の溶出を抑制でき、熱安定性を備える澱粉含有食品組成物に関する。
従来、ゲル状やペースト状の食品の製造に増粘剤又はゲル化剤として澱粉が使用されている。また、リン酸架橋やアジピン酸架橋等の架橋化を施した澱粉は、未加工の澱粉に比して、ゲルやペーストに保形性や硬さを向上させ得ることが知られている。しかしながら、澱粉の架橋度が高くなるにつれ、付与できる保形性や硬さは増すが、それと共に脆さが生じ、更に澱粉の老化速度も速くなるという欠点がある。このような脆さや老化は、食感の低下や離水といった望ましくない現象を引き起こしてしまう。
一方、澱粉粒を約10℃以上約70℃以下の温度で酵素処理することにより、澱粉が有する増粘機能及びゲル形成機能を向上させ得ることが知られている(特許文献1参照)。更に、このようにして得られる酵素処理澱粉を使用することにより、弾力に富み、優れた食感を備えるゲル状食品が得られることが知られている。特許文献1が開示する酵素処理澱粉は、化学修飾を利用せず、又は化学修飾や物理的処理と併用することで、硬さ、保形性、及び弾力等に優れたゲル状食品の製造を実現しており、食品業界に有益な技術進歩をもたらしている。
しかしながら、従来、化学的処理や酵素処理を施していない澱粉を使用したゲル状又はペースト状食品において、澱粉のゲル化時又は増粘時の特性を向上させ得る技術については十分な検討がなされていないのが現状である。
また、近年、スーパーやコンビニエンスストア等を介した流通形態では、澱粉を含むゲル状食品(麺類、饅頭等)については、澱粉がα化されてそのまま又は簡易な加熱で喫食できる状態で流通することが多くなっているが、このようなゲル状食品では、流通段階で食品同士が結着するという欠点がある。そのため、澱粉がα化された状態で流通するゲル状食品には、食品同士の結着を抑制することが求められている。
更に、澱粉を含むペースト状食品(例えば、フラワーペースト等)は、熱安定性に乏しく、加熱されると外観形状を安定に維持できなくなるという欠点がある。そのため、澱粉を含むペースト状食品に耐熱性を備えさせる技術の開発も望まれている。
国際公開第2011/21372号
本発明の目的は、澱粉を含む食品組成物において、澱粉のゲル化時又は増粘時の特性(硬さ、弾力又は保形性の付与作用)を向上させ、更に澱粉からの糖の溶出を抑制でき、熱安定性を備えさせる技術を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、澱粉と共に多糖類(セルロースを除く)によって複合化されているセルロースを含有させた食品組成物は、硬さ、弾力、又は保形性が良好になり、澱粉のゲル化時又は増粘時の特性が向上することを見出した。また、本発明者は、当該食品組成物は、澱粉からの糖の溶出を抑制することもできることを見出した。更に、本発明者は、当該食品組成物は、優れた熱安定性を備え、加熱によっても外観形状を安定に維持できることをも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、以下に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 澱粉と、多糖類(但し、セルロースを除く)によって複合化されているセルロースを含有することを特徴とする、食品組成物。
項2. 前記セルロースが、結晶セルロース、発酵セルロース、及びセルロースナノファイバーからなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の食品組成物。
項3. 前記セルロースを複合化している多糖類が、キサンタンガム、カルボキシルメチルセルロース、デキストリン、カラヤガム、及びグアガムからなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の食品組成物。
項4. 前記セルロースを複合化している多糖類として、少なくともキサンタンガムを含む、項1〜3のいずれかに記載の食品組成物。
項5. 前記澱粉:前記多糖類(但し、セルロースを除く)によって複合化されているセルロースの重量比が、99.9:0.1〜80:20である、項1〜4のいずれかに記載の食品組成物。
項6. 前記多糖類(但し、セルロースを除く)によって複合化されているセルロースが、0.0001〜19重量%含まれる、項1〜5のいずれかに記載の食品組成物。
項7. ゲル状又はペースト状である、項1〜6のいずれかに記載の食品組成物。
本発明の食品組成物によれば、澱粉が備えるゲル化時又は増粘時の特性(硬さ、弾力又は保形性を付与する特性)が向上しており、化学的処理や酵素処理を施していない澱粉を使用しても、優れた硬さ、弾力又は保形性を付与して、優れた食感を呈することができる。また、本発明の食品組成物では、優れた保存安定性も備えており、優れた硬さ、弾力又は保形性を長期間にわたって安定に保持することもできる。また、本発明の食品組成物を利用したゲル状食品では、食品同士の結着やべたつきを抑制でき、喫食し易い状態で流通させることができる。更に、本発明の食品組成物の一態様では、熱安定性を備えており、加熱によっても外観形状を安定に維持することができる。
試験例7において、実施例21及び比較例14のフラワーペーストの加熱処理前後の外観を観察した写真である。
本明細書において、「弾力」とはゲル状食品が有するゲル強度によってもたらされる物性であり、噛んだ際の歯への抵抗の大きさの指標である。「保形性」とはペースト状食品が有する形状保持特性であり、舌と上あごでつぶす際の抵抗の大きさの指標である。
本発明の食品組成物は、澱粉と、多糖類(但し、セルロースを除く)によって複合化されているセルロース(以下、複合化セルロースと表記することがある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の食品組成物について詳述する。
[澱粉]
本発明の食品組成物において、澱粉は、ゲル化剤又は増粘剤として機能し、食品組成物をゲル状又はペースト状にする役割を果たす。
本発明の食品組成物において使用される澱粉の種類については、特に制限されないが、例えば、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、もち米澱粉、トウモロコシ澱粉、ワキシーコーンスターチ、サゴ澱粉、馬鈴薯澱粉、緑豆澱粉、甘藷澱粉、ワキシー馬鈴薯澱粉、ワキシータピオカ澱粉等が挙げられる。
また、本発明の食品組成物において使用されている澱粉は、未加工澱粉であってもよく、また、化学的処理、物理的処理、酵素処理等の加工が施された加工澱粉であってもよい。従来、加工澱粉を使用することにより、付与される硬さ、弾力又は保形性の向上が図られることが知られているが、本発明において加工澱粉を使用することにより、このようなゲル化時又は増粘時の特性をより一層向上させることが可能になる。
化学的処理が施された加工デンプンの種類としては、特に制限されないが、例えば、リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酸化デンプン、アセチル化酸化デンプン、リン酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられる。
また、物理的処理が施された加工デンプンの種類としては、特に制限されないが、例えば、湿熱処理澱粉、熱抑制処理澱粉、温水処理澱粉、酸処理澱粉、漂白澱粉、α化澱粉等が挙げられる。
湿熱処理澱粉とは、澱粉を糊化しない程度の低水分状態で加熱処理することにより得られる加工澱粉である。「澱粉を糊化させない程度の低水分状態」としては、具体的には、水分含量が50重量%以下程度、好ましくは5〜30重量%程度以下、より好ましくは5〜25重量%程度、更に好ましくはま5〜20重量%程度であることが挙げられる。湿熱処理澱粉の製造方法については、特に制限されないが、例えば、澱粉の水分量を前述する範囲に調整した後に、90〜125℃程度で0.5〜20時間程度加熱を行う方法が挙げられる。また、当該加熱は、密閉容器内で相対湿度約100%の条件下で行うことが好ましい。湿熱処理澱粉の製造時の水分量が多い程、また加熱温度が高く加熱時間が長い程、膨潤がより抑制されている湿熱処理澱粉を得ることができる。
熱抑制処理澱粉とは、極めて低水分に乾燥した澱粉粒を、ドライ加熱処理することにより澱粉粒の結晶構造を強化した加工澱粉である。「極めて低水分に乾燥した澱粉粒」とは、具体的には、澱粉粒の水分含量が1%未満程度、好ましくは0%程度であることが挙げられる。「極めて低水分に乾燥した澱粉粒」を得る方法については、特に制限されないが、例えば、澱粉粒のpHを7.0以上、好ましくは7.0〜10.5に調整した後に、水分含量を前述する範囲になるまで脱水する方法が挙げられる。脱水は熱的脱水であってもよく、非熱的脱水であってもよい。また、ドライ加熱処理の条件についても、特に制限されないが、例えば、100〜200℃程度で3〜20時間程度が挙げられる。熱抑制処理澱粉における膨潤の抑制の程度は、ドライ加熱処理時の澱粉粒のpH、加熱温度、及び加熱時間に依存し、pHが高い程、加熱処理温度が高い程、また熱処理時間が長い程、膨潤がより抑制されている熱抑制処理澱粉を得ることができる。
温水処理澱粉とは、澱粉を水に分散させた状態で、澱粉を糊化しない程度の温度で加熱処理することにより得られる加工澱粉である。温水処理澱粉の製造方法については、特に制限されないが、例えば、澱粉が1〜50重量%となる濃度で水に分散させた状態で、30〜70℃程度の温度範囲で各澱粉の糊化開始温度以下に設定し、1〜48時間程度加熱(温水処理)を行う方法が挙げられる。
酸処理澱粉とは、塩酸や硫酸等の酸で澱粉を処理することにより得られる加工澱粉である。酸処理澱粉の製造方法については、特に制限されないが、例えば、酸を添加してpHを3以下程度に調整した酸性水溶液中に、澱粉を1〜50重量%となる濃度で水に分散させた状態で、20〜70℃程度の温度範囲内で各澱粉の糊化開始温度以下に設定し、で1〜168時間程度インキュベートする方法が挙げられる。
漂白澱粉とは、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤で澱粉を処理することにより得られる加工澱粉である。漂白澱粉の製造方法については、例えば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素量10%の場合)を澱粉に対して100〜1000ppm加えpHが8〜12の水溶液中で、澱粉を1〜50重量%となる濃度で水に分散させた状態で、20〜70℃程度の温度範囲内で各澱粉の糊化開始温度以下に設定し、0.1〜6時間程度インキュベートする方法が挙げられる(酸化澱粉と区別するためにカルボニル基が0.1%以下になるように調製)。
α化澱粉とは、澱粉を水に分散させた状態で、糊化開始温度以上で加熱を行い、乾燥されることにより得られる加工澱粉である。α化澱粉の製造方法としては、澱粉を1〜80重量%となる濃度で水に分散させた状態で50℃〜200℃以下の温度で加熱し半糊化又は糊化させ乾燥する方法が挙げられる。加熱方法については、特に制限されないが、一般的に工業生産する場合であれば、例えば、ドラムドライヤーやエクストルーダーで連続的に生産する方法が挙げられる。ドラムドライヤーやエクストルーダーを使用した場合は、高温で加熱されるため、乾燥工程を一般的に必要としない。また、半糊化又は糊化された澱粉の乾燥は、例えば、送風乾燥、スプレードライ、フーズドライ等によって行ってもよい。
酵素処理が施された加工デンプンの種類としては、特に制限されないが、例えば、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ等の澱粉分解酵素によって、澱粉の一部が加水分解されている加工澱粉が挙げられる。
本発明の食品組成物に使用される加工澱粉は、前記、化学的処理、物理的処理、酵素処理等の内、1種の処理が施されているものであってもよく、また、これらの処理の内、2種以上の処理が組み合わされて施されているものであってもよい。
本発明の食品組成物において、澱粉として、未加工澱粉及び加工澱粉の中から1種を単独で使用してもよく、またこれらの中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。
澱粉の中でも、ゲル化時又は増粘時の特性をより一層効果的に向上させるという観点から、下記測定条件で測定される破断応力が、500g以下になるものが好ましく、10〜400gになるものが更に好ましく、20〜300gになるものが特に好ましい。
<破断応力の測定方法>
澱粉20重量部を水80重量部に懸濁させて撹拌を行い、これを折幅45mmのケーシングに充填する。次いで、40℃から90℃まで1時間かけて昇温し、30分間90℃で保持する。その後、4℃にて16時間静置する。次いで、25℃で4時間放置して室温に戻したものを分析試料にする。レオメータを用いて、25℃で以下の測定条件で分析試料の破断応力を求める
レオメータを用いた破断応力の測定条件
試料台の高さ:25mm
アダプター:粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2
試料の移動速度:6cm/min
ゲル化時又は増粘時の特性をより一層効果的に向上させるという観点から、澱粉の好適な具体例として、未加工タピオカ澱粉、加工タピオカ澱粉、未加工馬鈴薯澱粉、加工馬鈴薯澱粉、未加工ワキシーコーンスターチ、加工ワキシーコーンスターチ;更に好ましくは未加工タピオカ澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉(タピオカ由来のリン酸架橋澱粉)、アセチル化リン酸架橋タピオカ澱粉(タピオカ由来のリン酸架橋酢酸澱粉)、オクテニルコハク酸化タピオカ澱粉(タピオカ由来のオクテニルコハク酸澱粉ナトリウム)、アセチル化リン酸架橋酵素処理タピオカ澱粉(タピオカ由来の酵素処理アセチル化リン酸架橋澱粉)、アセチル化タピオカ澱粉(タピオカ由来の酢酸澱粉)、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉(タピオカ由来のヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)、未加工馬鈴薯澱粉、及び未加工ワキシーコーンスターチが挙げられる。
本発明の食品組成物において、澱粉の含有量については、当該食品組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%が挙げられる。より具体的には、本発明の食品組成物がゲル状である場合、当該食品組成物における澱粉の含有量として、0.5〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、更に好ましくは2〜85重量%が挙げられる。また、本発明の食品組成物がペースト状である場合、当該食品組成物における澱粉の含有量として、0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%が挙げられる。
[複合化セルロース]
本発明の食品組成物において、複合化セルロースは澱粉と共存することで、澱粉によって付与される硬さ、弾力又は保形性を向上させる役割を果たす。更に、澱粉と共存状態にある複合化セルロースは、澱粉から糖が遊離して溶出するのを抑制する役割も果たす。また、食品組成物がゲル状である場合には、複合化セルロースは食品同士の結着やべたつきを抑制する作用も発揮する。また、澱粉と共存状態にある複合化セルロースは、熱安定性を高める役割も果たし、例えば、本発明の食品組成物がペースト状である場合には、加熱によっても外観形状を安定に維持させるのに寄与する。
複合化セルロースは、水素結合、イオン結合、及び/又は疎水結合等によってセルロースの表面に前記多糖類が付着している複合体であり、公知の物質である。
複合化セルロースは、化学的処理が施されていないものが使用される。複合化セルロースを構成するセルロースの種類については、化学的処理が施されていない限り、特に制限されないが、例えば、結晶セルロース、発酵セルロース、セルロースナノファイバー等が挙げられる。
結晶セルロースとは、パルプ繊維中の非結晶部分を取り除くことで得られたセルロース結晶部分を精製したものである。発酵セルロースとは、アセトバクター属、シュードモナス属、アグロバクテリウム属等のセルロース産生菌によって産生されるセルロースである。また、セルロースナノファイバーとは、ナノサイズの繊維径をもった繊維状セルロースである。
また、化学処理が施されているセルロースの種類については、特に制限されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アセチルセルロース等が挙げられる。
保形性及び澱粉の老化抑制効果をより一層向上させるという観点から、複合化セルロースを構成するセルロースとして、好ましくは結晶セルロース、発酵セルロースが挙げられる。
複合化セルロースにおいて、セルロースは、1種のもの単独で構成されていてもよく、また2種以上のものを組み合わせて構成されていてもよい。
複合化セルロースにおいて、セルロースに対して複合化させる多糖類(セルロース以外)の種類については、特に制限されないが、例えば、キサンタンガム、カラヤガム、グァガム、アラビアガム、タラガム、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ペクチン、デキストリン、マルトデキストリン等が挙げられる。これらの多糖類は、1種単独でセルロースとの複合化に使用してもよく、2種以上を組み合わせてセルロースとの複合化に使用してもよい。
複合化セルロースの中でも、より一層効果的に、保形性及び澱粉の老化抑制効果を向上させるという観点から、好ましくはキサンタンガム、カルボキシルメチルセルロース、デキストリン、カラヤガム、グァガム、更に好ましくは少なくともキサンタンガムによって複合化されている複合化セルロースが挙げられる。
また、複合化セルロースを構成するセルロースと多糖類(セルロース以外)の比率については、特に制限されないが、例えば、セルロース100重量部当たり、多糖類(セルロース以外)が1〜2000重量部、好ましくは5〜1500重量部、更に好ましくは10〜1000重量部が挙げられる。
複合化セルロースの製造方法については、特開平9−121787号公報等に記載されている公知の手法に従えばよい。具体的には、複合化セルロースの製造方法として、セルロースのゲルを多糖類(セルロース以外)の溶液に浸漬して、多糖類(セルロース以外)をセルロースのゲルに含浸させて複合化する方法が挙げられる。また、セルロースとして発酵セルロースを使用する場合であれば、セルロース産生菌を培養して発酵セルロースを産生させる際に、培地中に多糖類(セルロース以外)を添加して培養を行うことによって、複合化セルロースを得るここともできる。
複合化セルロースについては、サンアーティストPN、サンアーティストPG(以上、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、ビバピュアーMCG500F(レッテンマイヤー社製)等として商業的に入手可能であり、本発明では商業的に入手したものを使用してもよい。
本発明の食品組成物において、澱粉と複合化セルロースとの比率については、特に制限されないが、例えば、澱粉:複合化セルロースが重量比で99.9:0.1〜80:20、好ましくは99.5:0.5〜85:15、更に好ましくは99:1〜90:10が挙げられる。
本発明の食品組成物において、複合化セルロースの含有量については、当該食品組成物の形態、前記澱粉と複合化セルロースとの比率等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.0001〜19重量%、好ましくは0.0005〜18重量%が挙げられる。より具体的には、本発明の食品組成物がゲル状である場合、当該食品組成物における複合化セルロースの含有量として、0.0005〜19重量%、好ましくは0.001〜18重量%、更に好ましくは0.002〜17重量%が挙げられる。また、本発明の食品組成物がペースト状である場合、当該食品組成物における複合化セルロースの含有量として、0.0001〜4重量%、好ましくは0.0003〜3重量%、更に好ましくは0.0005〜2重量%が挙げられる。
本発明の食品組成物において、澱粉の含有量については、当該食品組成物の形態、前記澱粉と複合化セルロースとの比率等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%が挙げられる。より具体的には、本発明の食品組成物がゲル状である場合、当該食品組成物における澱粉の含有量として、0.5〜95重量%、好ましくは1〜90重量%、更に好ましくは2〜85重量%が挙げられる。また、本発明の食品組成物がペースト状である場合、当該食品組成物における澱粉の含有量として、0.1〜20重量%、好ましくは0.3〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%が挙げられる。
[形態]
本発明の食品組成物は、澱粉がゲル化剤又は増粘剤としての役割を果たすことにより、優れた保形性を発現できるので、ゲル状又はペースト状であることが好ましい。本発明の食品組成物がゲル状食品である場合には、良好な硬さ及び弾力を備えることができる。また、本発明の食品組成物がペースト状食品である場合には、優れた保形性を備えることができる。
ゲル状食品の種類については、特に制限されないが、例えば、ゼリー、ムース、プディング、ヨーグルト、水まんじゅう、くず餅、ういろう等の菓子類;うどん、ソバ、冷麦、そうめん、中華そば、パスタ、スパゲッティ、マカロニ等の麺類;蒲鉾、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、魚肉すり身、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ等の水産練り製品等が挙げられる。また、ビスケット、クッキー、クラッカー、おかき、煎餅、膨化スナック等の菓子類;パン、クッキー、ビスケット、ピザ生地、パイ生地、アイスクリームのコーンカップ、モナカの皮、シュークリームの皮等のベーカリー類;スポンジケーキ、シフォンケーキ、カステラ、マドレーヌ、フィナンシェ、パウンドケーキ、ロールケーキ等の洋菓子類等も、製造工程中に一旦ゲルを形成し、焼成等により、水分が減少したゲルを含有しているため、ゲル状食品に含まれる。
本発明の食品組成物がゲル状である場合には、硬さや弾力に優れたゲル化時の特性に加えて、澱粉から遊離する糖の溶出を抑制できる。また、本発明の食品組成物がゲル状である場合には、食品同士の結着抑制や食品のベタツキ抑制が可能になる。そのため、例えば、本発明の食品組成物が、わらびもち、水まんじゅう、くず餅等の和菓子である場合には、複数個が接触する状態で容器に纏めて収容しても、1個ずつ分離して喫食することが容易になる。また、例えば、本発明の食品組成物が、澱粉がα化された状態で流通されている麺類である場合には、喫食時に麺をほぐし易くすることができる。
また、ペースト状食品の種類については、特に制限されないが、例えば、カスタードクリーム、ホイップクリーム、サワークリーム等のクリーム類;ソフトクリーム等の冷菓;ミートソース、ホワイトソース、デミグラスソース、蒲焼きのたれ、みたらし団子のたれ等のソース・たれ類;フラワーペースト、植物(野菜、芋類、フルーツ等)ペースト、チーズペースト、流動食、離乳食等が挙げられる。
ペースト状食品の内、一定の形態を保持するもの(例えば、クリーム類、フラワーペースト等)は、従来技術では加熱により外観形状が変化することが多いが、本発明では熱安定性を備え、加熱によっても外観形状を安定に維持することが可能になっている。このような本発明の効果を鑑みれば、本発明の食品組成物の好適な一態様として、熱に晒されても形状を安定に維持することが求められるペースト状食品(例えば、クリーム類、フラワーペースト等)が挙げられる。
[製造方法]
本発明の食品組成物は、澱粉及び複合化セルロースと共に、食品形態に応じた食品原料を混合し、食品形態に応じた工程に供することにより製造することができる。本発明の食品組成物の製造方法については、特に制限されないが、好適な一態様として、(1)澱粉、複合化セルロース、及び水を混合した混合物を澱粉が糊化する温度に加熱する糊化工程、及び(2)澱粉が糊化した混合物を冷却して、ゲル状又はペースト状にする冷却工程を包含する製造方法が挙げられる。本発明の食品組成物に、澱粉及び複合化セルロース以外の食品原料を含有させる場合には、前記糊化工程前、前記糊化工程中、前記糊化工程後冷却工程前、及び前記冷却工程後の中から選ばれる少なくとも1つのタイミングで当該食品原料を添加すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下に示す実施例において使用した複合化セルロース1〜3は、以下の通りである。
複合化セルロース1
・ビバピュアーMCG500F(レッテンマイヤー社製)
・当該複合化セルロース1は、結晶セルロースがキサンタンガムによって複合化されている。
・当該複合化セルロース1において、結晶セルロースは85重量%、キサンタンガムは15重量%含まれている。
複合化セルロース2
・セオラスRC−N30(旭化成ケミカルズ株式会社製)
・当該複合化セルロース2は、結晶セルロースが、キサンタンガム及びデキストリンによって複合化されている。
・当該複合化セルロース2において、結晶セルロースは75重量%、キサンタンガムは5重量%、デキストリンは20重量%含まれている。
複合化セルロース3
・サンアーティストPN(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
・当該複合化セルロース3は、発酵セルロースが、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース及びデキストリンによって複合化されている。
・当該複合化セルロース3において、発酵セルロースは18.3重量%、キサンタンガムは12.1重量%、カルボキシメチルセルロースは6.2重量%、デキストリンは63.4重量%含まれている。
試験例1:ゲルの物性の評価(1)
1.ゲルの調製
表1及び2に示す組成となるように、各原料を水に懸濁させて撹拌を行い、これを折幅45mmのクレハロンケーシングに充填した。次いで、40℃から90℃まで1時間かけて昇温し、30分間90℃で保持した。その後、冷蔵庫(4℃)にて16時間静置した。次いで、室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻し、分析試料にした。
2.破断応力、破断距離の測定
得られた各ゲル(分析試料)の破断応力及び破断距離を、レオテック社製レオメータ(RT−2010J−CW)を用いて測定した。レオメータの測定条件は、試験項目として破断試験を実施した。試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を6cm/minで測定した。また、澱粉単独で製造した各ゲルの破断応力を100%とした場合の各ゲルの破断応力の割合(%)を破断応力変化率として算出した。そして、破断応力、破断距離の積値をゲル強度(g・cm)とし、各ゲルのゲル強度を100%とした場合の各ゲルのゲル強度の割合(%)をゲル強度変化率として算出した。
3.結果
得られた結果を表1及び2に示す。この結果、澱粉と共にセルロース及び/又はキサンタンガムを含むゲルでは、澱粉単独の場合に比べて破断応力が低下していた。これに対して、澱粉と共に複合化セルロースを含むゲルでは、澱粉単独の場合に比べて破断応力、ゲル強度の向上が認められた。以上の結果から、複合化セルロースによって澱粉を含むゲルに硬さ及び弾力を付与できることが明らかとなった。
試験例2:ゲルの物性の評価(2)
1.ゲルの調製
表3に示す組成となるように、各原料を水に懸濁させて撹拌を行い、これを折幅45mmのクレハロンケーシングに充填した。次いで、40℃から90℃まで1時間かけて昇温し、30分間90℃で保持した。その後、冷蔵庫(4℃)にて16時間静置した。次いで、室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻し、分析試料にした。
2.破断応力、破断距離の測定
得られた各ゲル(分析試料)の応力を、Stable Micro Systems社製テクスチャーアナライザー(TA. XT. PLUS)を用いて測定を行った。測定条件は、試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を1cm/secで測定した。なお、本試験に供した分析試料は、レオメータを用いた測定においてゲルが破断しないため、歪み率60%時(使用アダプターの移動距離が15mm移動した時点)の応力を求めた。また、澱粉単独で製造した各ゲルの歪み率60%時の応力を100%とした場合の各ゲルの歪み率60%時の応力の割合(%)を応力変化率として算出した。
3.結果
得られた結果を表3に示す。この結果からも、複合化セルロースによって澱粉を含むゲルに弾力を付与できることが確認された。
試験例3:ゲルの物性の経時的変化の評価
前記実施例4〜10及び比較例6〜7のゲルの経時的安定性を評価した。具体的には、ゲルの製造時において、90℃で30分間の加熱後に、冷蔵庫(4℃)にて16時間静置した場合と1週間静置した場合について、ゲルの破断応力の測定を行った。破断応力の測定条件は、前記試験例1と同様であり、以下の算出式に従って、破断応力の経時変化(g/日)を算出した。
得られた結果を表4に示す。通常、澱粉を用いて形成したゲルでは、破断応力の増加に伴って、破断応力の経時変化が大きくなる傾向を示すが、澱粉と共に複合化セルロースを含むゲルでは、澱粉を単独で含むゲルに比べて、破断応力が増加していたにも拘らず、破断応力の経時変化は同等又は低下していた。即ち、本結果から、澱粉と複合化セルロースを含むゲルでは、ゲルの物性の経時変化を少なくする、又は変わらないまま、硬さを付与できるという特筆すべき特性があることが明らかとなった。
試験例4:ゲルからの糖の溶出抑制効果の評価
1.ゲルの調製
表5及び6に示す組成となるように、各原料を水に懸濁させて撹拌を行い、これを折幅45mmのクレハロンケーシングに充填した。次いで、40℃から90℃まで1時間かけて昇温し、30分間90℃で保持した。その後、冷蔵庫(4℃)にて16時間静置した。次いで、室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻し、分析試料にした。
2.糖の溶出率の測定
各ゲルを1辺が0.5cmのさいの目にカットし、3個を50ml容チューブに入れた。チューブに入れたゲル重量を測定し、総重量がゲル重量の10倍になるように水を加えた。次いで、80℃で1時間の加熱処理を行った後に、室温まで冷却し、遠心分離(5000g、10分)を行い、上澄みを回収した。回収した上澄みを水で5倍稀釈し、溶出糖量をフェノール硫酸法によって測定した。澱粉単独で製造した各ゲルの溶出糖量を100%とした場合の各ゲルの溶出糖量の割合(%)を溶出糖率として算出した。
3.結果
得られた結果を表5及び6に示す。この結果から、澱粉を含むゲルに複合化セルロースを含有させることにより、澱粉から遊離して溶出される糖の量を低減できることが確認された。
試験例5:調理麺(チルド・冷やし中華の麺)の調製及び評価
1.調理麺(チルド・冷やし中華の麺)の調製
表7に示す組成の調理麺(チルド・冷やし中華の麺)を製造した。具体的には、先ず、水以外の原料をミキサーに投入し、次いで水を加えて減圧下(−700mmHg)にて混合して生地を作成した。次いで、生地をまとめて、30分間熟成させた後、生麺機を用いて、最終麺厚を1.6mmに設定して複合及び圧延を行いった後、麺厚1.6mm及び麺長28cmとなるように切り出して、麺線に加工した。次いで、各麺線150gを量り取り、沸騰浴中で3分20秒間茹でた。その後、水道水にて冷却(30秒間で2回)した後に、氷水で60秒間冷却した。続いて、水をよく切った後に、茹で時の歩留まり率を測定するために重量の測定を行った後に、冷蔵庫(4℃)にて保存した。
2.歩留まりの評価
麺の製造において、実施例19と比較例12について歩留まりを比較した。なお、歩留まり(%)は、以下の算出式に従って算出した。
実施例19の麺では歩留まりが187%であったのに対して、比較例12の麺では歩留まりが173%であり、実施例19では、比較例12の場合に比して茹で時の歩留まり率が1割以上向上していた。
3.試食試験による評価
冷蔵庫での保存1日後に、得られた麺を用いて冷やし中華を調製し、試食試験により、ほぐれ、なめらかさ、表面の硬さ、弾力、及び粘りについて以下の判定基準で評価した。<ほぐれのべたつきの判定基準>
スープをかけた後、はしを用いて麺をほぐす際のほぐしやすさを以下の基準で評点化した。
5点:比較例12に比べてほぐれやすい。
4点:比較例12に比べてややほぐれやすい。
3点:比較例12と同等。
2点:比較例12に比べてややほぐれにくい。
1点:比較例12に比べてほぐれにくい。
<なめらかさの判定基準>
麺をすする時に唇に感じる抵抗感(麺線表面の荒れ)を以下の基準で評点化した。
5点:比較例12に比べてなめらかで抵抗がない。
4点:比較例12に比べてややなめらかで抵抗がない。
3点:比較例12と同等。
2点:比較例12に比べてややざらざらし抵抗を感じる。
1点:比較例12に比べてざらざらし抵抗を感じる。
<表面の硬さの判定基準>
麺の表面に歯が当たった時の硬さを以下の基準で評点化した。
5点:比較例12に比べて硬い。
4点:比較例12に比べてやや硬い。
3点:比較例12と同等。
2点:比較例12に比べてやややわらかい。
1点:比較例12に比べてやわらかい。
<弾力の判定基準>
噛んだ際の歯への抵抗の程度を以下の基準で評点化した。
5点:比較例12に比べて大きい。
4点:比較例12に比べてやや大きい。
3点:比較例12と同等。
2点:比較例12に比べてやや小さい。
1点:比較例12に比べて小さい。
<粘りの判定基準>
麺を噛みしめた時の切れにくさを以下の基準で評点化した。
5点:比較例12に比べて切れにくい。
4点:比較例12に比べてやや切れにくい。
3点:比較例12と同等。
2点:比較例12に比べてやや切れやすい。
1点:比較例12に比べて切れやすい。
得られた結果を表8に示す。実施例19の麺では、適度な硬さ、弾力、粘り、なめらかさがあり、非常に良好な食感であった。更に、実施例19の麺では、麺同士の結着が少なく、ほぐれ易く、喫食し易かった。
試験例6:水まんじゅうの調製及び評価
1.水まんじゅうの調製
表9に示す組成の水まんじゅうを製造した。具体的には、先ず、表9に示す原料を加熱調理機(KRミニ;株式会社カジワラ製)に加え、ブリックスが55になるまで、120℃で約40分間加熱撹拌し、生地を得た。生地を50℃まで冷却した後に、包餡機(CN001;レオン自動機株式会社製)を用いてこしあんを包み、−80℃まで急速冷凍して保存した。
2.試食試験による評価
得られた水まんじゅうを自然解凍した後に、試食試験を行い、表面のべたつき、弾力、
及び弾力について以下の判定基準で評価した。
<表面のべたつきの判定基準>
表面を触った際の手へのくっつき具合を以下の基準で評点化した。
5点:比較例13に比べてくっつかない。
4点:比較例13に比べてややくっつかない。
3点:比較例13と同等。
2点:比較例13に比べてややくっつきやすい。
1点:比較例13に比べてくっつきやすい。
<硬さの判定基準>
歯が当たった時の弾力を以下の基準で評点化した。
5点:比較例13に比べて柔らかい。
4点:比較例13に比べてやや柔らかい。
3点:比較例13と同等。
2点:比較例13に比べてやや硬い。
1点:比較例13に比べて硬い。
<弾力の判定基準>
噛んだ際の歯への抵抗の大きさを以下の基準で評点化した。
5点:比較例13に比べて小さい。
4点:比較例13に比べてやや小さい。
3点:比較例13と同等。
2点:比較例13に比べてやや大きい。
1点:比較例13に比べて大きい。
得られた結果を表10に示す。実施例20の水まんじゅうは、比較例13に比べて、硬さ及び弾力が向上しており、良好な食感を有していた。また、実施例20の水まんじゅうは、比較例10に比べて、生地のべたつきが減少しており、玉離れ(くっついたまんじゅう同士の分離)が非常に良好であった。
3.製造効率の評価
実施例20と比較例13の水まんじゅうの製造効率を比較したところ、実施例20では、比較例13に比べて、加熱調理機及び包餡機からの生地離れが改善されており、実施例20の場合では製造効率の向上も認められた。この製造効率の向上は、実施例20において、表面のべたつきを抑制できていたことに起因していると考えられる。
試験例7:フラワーペーストの調製及び評価
1.フラワーペーストの調製
表11に示す組成のフラワーペーストを製造した。具体的には、先ず、表11に示す原料を混合後、撹拌(ホモジナイズ:7000rpm、ミキサー50rpm、5分間)を行った。次いで、90℃に到達するまで加熱しながら撹拌(ホモジナイズ:800rpm、ミキサー50rpm)を行い、90℃に達した時点で冷却し、フラワーペーストを得た。
2.試食試験による評価
得られたフラワーペーストについて試食試験を行い、保形性、なめらかさ、粘りのなさ、及び口どけについて以下の判定基準で評価した。
<保形性の判定基準>
舌と上あごでつぶす際の抵抗の大きさを以下の基準で評点化した。
5点:比較例14に比べて大きい。
4点:比較例14に比べてやや大きい。
3点:比較例14と同等。
2点:比較例14に比べてやや小さい。
1点:比較例14に比べて小さい。
<なめらかさの判定基準>
舌と上あごでつぶす際の舌触りを以下の基準で評点化した。
5点:比較例14に比べてなめらかである。
4点:比較例14に比べてややなめらかである。
3点:比較例14と同等。
2点:比較例14に比べてややざらざらする。
1点:比較例14に比べてざらざらする。
<粘りのなさの判定基準>
上あごや歯にまとわりつき度合の大きさを以下の基準で評点化した。
5点:比較例14に比べて小さい(粘らない)。
4点:比較例14に比べてやや小さい(粘らない)。
3点:比較例14と同等。
2点:比較例14に比べてやや大きい(粘る)。
1点:比較例14に比べて大きい(粘る)。
<口どけの判定基準>
口に残っている時間を以下の基準で評点化した。
5点:比較例14に比べて時間が短い(口どけ良い)。
4点:比較例14に比べてやや時間が短い(口どけ良い)。
3点:比較例14と同等。
2点:比較例14に比べてやや時間が長い(口どけ悪い)。
1点:比較例14に比べて時間が長い(口どけ悪い)。
得られた結果を表12に示す。その結果、実施例21のフラワーペーストは、比較例14に比して、保形性、なめらかさ、粘りのなさ、及び口どけの点で優れており、良好な食感であった。
3.耐熱性試験
クッキングシートを引いた天板に、絞り袋を用いて各フラワーペースト10gを絞り出した。クッキングシート上のフラワーペーストに100ml容ビーカーを被せて蓋をし、オーブンを用いて180℃で10分間加熱を行った。加熱前後のフラワーペーストの外観形状を観察し、耐熱性について評価した。
得られた結果を図1に示す。比較例14のフラワーペーストは、加熱後に形状を保持できず変形していたが、実施例21のフラワーペーストでは、加熱後の変形を抑制できていた。

Claims (7)

  1. 澱粉と、多糖類(但し、セルロースを除く)によって複合化されているセルロースを含有することを特徴とする、食品組成物。
  2. 前記セルロースが、結晶セルロース、発酵セルロース、及びセルロースナノファイバーからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の食品組成物。
  3. 前記セルロースを複合化している多糖類が、キサンタンガム、カルボキシルメチルセルロース、デキストリン、カラヤガム、及びグアガムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の食品組成物。
  4. 前記セルロースを複合化している多糖類として、少なくともキサンタンガムを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の食品組成物。
  5. 前記澱粉:前記多糖類(但し、セルロースを除く)によって複合化されているセルロースの重量比が、99.9:0.1〜80:20である、請求項1〜4のいずれかに記載の食品組成物。
  6. 前記多糖類(但し、セルロースを除く)によって複合化されているセルロースが、0.0001〜19重量%含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載の食品組成物。
  7. ゲル状又はペースト状である、請求項1〜6のいずれかに記載の食品組成物。
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