JP6220092B1 - 餅生地用改良剤及び餅生地用改良剤を用いた餅生地の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】餅生地の本来の食感であるもちもち感や餅生地の原料に由来する風味を損なうことなく、包装材料または付着材料に対する剥がれ性を改良する餅生地用改良剤及びその餅生地用改良剤を用いた餅生地を提供する。【解決手段】分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含有する、餅生地のもちもち感を維持しつつ、剥がれ性を改良するために用いるための改良剤。分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を含有する餅生地原料を蒸煮処理を含む工程に供して餅生地を得ることを含む、餅生地の製造方法。餅生地に分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を添加し、次いで、蒸煮処理に付すことを含む、餅生地の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、餅生地の剥がれ性を改良する餅生地用改良剤及び該餅生地用改良剤を用いた餅生地の製造方法に関する。
求肥、あんこ餅、柏餅、団子、わらび餅等の餅製品は、原料として米粉や澱粉を含む穀粉等を使用し、例えば、糯米を蒸した後に搗く、白玉粉や上新粉等の米粉に熱湯を加えて混捏して成形した後、蒸煮処理して搗くことで製造され、澱粉質が溶出するため、一般に餅製品は適度な軟らかさと粘りのある食感を有するのが特徴である。しかし、餅生地特有の食感を有する半面、製造時には製造装置や包装装置への餅生地の付着による収率が低下するといった問題、柏餅、桜餅、笹団子等の葉で包まれた餅製品の葉を剥がす際に、餅生地が葉に付着し、うまく剥れないといった問題、餅製品同士がくっ付いてしまう問題、食べる際に手に付着して食べ難いなどの問題があった。そこで、餅生地を製造する際には、油脂、乳化剤等が付着防止用途として使用されているが、餅生地の製造後の付着抑制までは十分な効果があるとはいえず、また、餅生地が硬くなりやすいなどの課題が残されていた。
また、その他に餅生地の付着を防止する方法として、例えば、特許文献1には、モチの歯つき、付着を防止するために、モチにポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するが記載されている。
特許文献2には、製造設備に対する過度の付着防止が可能になり、べたつきが少なく歯への過度の付着が少なく、室温や冷蔵又は冷凍での保存時に老化程度が低く且つ外観や食感が好ましい餅類を製造するために、餅類の製造に際し、糖及び/又は糖アルコールと食品用界面活性剤との混合物からなる品質改良剤を添加することが記載されている。
特許文献3には、餅生地の硬化を促進し硬化した餅生地の切断性を向上させ、餅生地の付着性を低下させるために、エリスリトールまたはグリセロールを有効成分とし、更に可溶性デンプンを含有する餅生地用改良剤が記載されている。
特許文献4には、食感にすぐれ、製造後の品質の経時劣化が極めて少ないとともに、機械的に生産が容易な和菓子類を製造するために、YA粘度保持指数50〜150のタピオカ加工澱粉を和菓子類に用いることが記載されている。
特開昭62−253352号公報 特開平3−117459号公報 特開平5−103619号公報 特開平6−165643号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献3の方法では、餅生地の付着性は低下するが、餅生地が硬化しやすく、特に特許文献3の方法では米菓や切り餅の餅生地の硬化を促進することを目的としているため、餅としての軟らかな食感は損なわれてしまっていた。
特許文献2の方法では、保存中の餅の老化による硬化は抑制されるが、粉や米重量に対して10〜300%の改良剤を配合することは大幅なコストアップとなり、また、実施例に示されたような、糖類に特許記載の改良剤のみを用いた餅は、砂糖を用いた通常の餅とは味質が大きく異なるため、実用的な技術ではなかった。
特許文献4の方法は、加熱後も一定粘度を保持するようなジエステル化タピオカ澱粉を、原料粉重量の30%以上使用することで効果を示す技術である。特許文献4に示された澱粉は、我々が見出した餅生地改良剤と比べて餅の食感が硬くなりやすい物性であり、糯米を主原料とする求肥やあんこ餅などは、原料粉の30%を特許記載のタピオカ澱粉に置換すると、餅の風味がなくなり食感も非常に硬くなるため、実用的な技術とは言いがたい。
上記従来技術にかんがみ、本発明の目的は、餅生地の本来の食感であるもちもち感や餅生地の原料である糯米や粳米などに由来する香りや味(原料由来風味)を損なうことなく、包装材料または付着材料に対する剥がれ性を改良する餅生地用改良剤及びその餅生地用改良剤を用いた餅生地を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の分子量を有する澱粉分解物を餅生地原料に添加して餅生地原料と共に蒸煮処理に供することで、餅生地本来の食感であるもちもち感や原料由来風味を損なうことなく、剥がれ性が改良された餅生地を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含有する、餅生地のもちもち感を維持しつつ、剥がれ性を改良するために用いるための改良剤。
[2]
前記澱粉分解物が、澱粉を酸化処理、酸処理、及び酵素処理から成る群から選ばれる少なくとも1種の処理により得られる分解物である、[1]に記載の改良剤。
[3]
前記剥がれ性は、粘着性を有する餅生地表面からの包装材料または付着材料の剥がれに関する、[1]又は[2]に記載の改良剤。
[4]
蒸煮処理前の餅生地原料に添加して用いられる、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の改良剤。
[5]
前記餅生地はエリスリトール及び/又はグリセロールを含有しない、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の改良剤。
[6]
分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を含有する餅生地原料を蒸煮処理を含む工程に供して餅生地を得ることを含む、餅生地の製造方法。
[7]
分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を水等に懸濁して加熱し、餅生地表面に添加もしくは餅生地に混捏することを含む、餅生地の製造方法。
[8]
餅生地に分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を添加し、次いで、蒸煮処理に付すことを含む、餅生地の製造方法。
[9]
蒸煮処理工程後に得られる餅生地は、前記澱粉分解物のα化物を含有する、[6]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法。
[10]
前記工程が、餅生地を包装材料で包装する工程、及び/又は餅生地に付着材料を付着させる工程をさらに含む、[6]〜[9]のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明の、分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含有する改良剤は、餅生地のもちもち感や原料由来風味を維持しつつ、剥がれ性を改良するために用いることができる。
本発明の餅生地改良剤によれば、餅生地の本来の食感であるもちもち感や原料由来の風味を損なうことなく、餅生地の包装材料または付着材料等に対する剥がれ性を改良することができる。具体的には、餅生地製造時の機械や型への付着抑制や包装材料、柏餅、桜餅や笹団子などの葉から剥れを容易にすること、また、餅製品同士のくっ付きの抑制や、歯への付着も抑えることができる。
本発明の澱粉分解物は、澱粉原料を分解して所定の分子量を有する分解物にすることによって得られるものである。
澱粉の分解方法としては、澱粉を分解して所定の分子量にできる方法ではいずれの方法でもよく、例えば、酸化処理、酸処理、酵素処理等が挙げられる。これらの処理は単独でも組み合わせでもよい。
本発明に用いる澱粉原料の酸化処理は、澱粉原料の酸化剤による処理である。本発明の酸化剤としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、さらし粉、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、過酢酸、硝酸などを挙げることができる。これらの酸化剤を用いて所定の分子量を有するように酸化処理を施すことができる。
酸処理は、澱粉原料の酸による処理である。酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、酢酸などの無機酸又は有機酸を挙げることができる。これらの酸の1種又は2種以上を用いて所定の分子量を有するように酸化処理を施すことができる。
本発明の酵素分解処理は、澱粉原料の澱粉分解酵素による処理である。たとえば、澱粉原料を水に懸濁した後、酵素の最適pH及び温度を考慮して、pHを例えば、4〜6に調整し、澱粉分解酵素を添加して、たとえば、約40℃で所定の分子量となるまで分解反応し、その後、水洗・ろ過、乾燥することで得る酵素分解処理澱粉分解物を得ることができる。なお、酵素分解処理に使用できる酵素としては、α‐アミラーゼ、β‐アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等が挙げられ、複数の酵素を併用しても良い。
原料澱粉としては、食用として利用可能な澱粉であればよく、例えば、コーンスターチ、タピオカ、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、緑豆澱粉、片栗澱粉、葛澱粉、蕨澱粉、サゴ澱粉、オオウバユリ澱粉などが挙げられる。この中でも、コスト及び効果の点からコーンスターチ又はタピオカが好ましい。また、いずれの澱粉においても通常の澱粉に加え、ウルチ種、ワキシー種、ハイアミロース種のように、育種学的手法もしくは遺伝子工学的手法において改良されたものを用いてもよい。更に、本発明においては原料澱粉に2種以上の加工処理を施してもよい。すなわち、酸化処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理といった化学修飾処理や、α化処理、造粒処理、湿熱処理、ボールミル処理、微粉砕処理、加熱処理、温水処理、漂白処理、殺菌処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理といった加工処理が挙げられる。
本発明の澱粉分解物の分子量が5,000〜900,000の範囲である必要があり、分子量が8,000〜800,000の範囲であることが好ましく、50,000〜700,000の範囲であることがより好ましい。
分子量が5,000未満であると餅生地の剥がれ性改良効果が十分に得られないため好ましくない。また、分子量が900,000より高くても餅にベタつきが生じて剥がれが悪くなり、餅のやわらかな食感が損なわれる澱粉もあるため好ましくない。
なお、本特許で分子量とは、重量平均分子量を指す。分子量は一例として以下の方法で求めることができる。高速液体クロマトグラフィー装置にShodex OHpak SB−806M HQなどのゲルろ過カラムを連結し、50mMの硝酸ナトリウム溶液を溶離液として用いる。1%濃度に調製した澱粉分解物糊液10μmをカラムに通し、RI検出器 (HITACHI L−2490など)で検出した値から、計算ソフトにより分子量を算出する。
本発明の改良剤を用いることができる餅生地とは、餅生地原料粉に、適当量の水を加え、蒸煮して澱粉をα化した後に、臼、ミキサー等で搗きまとめたものである。餅生地原料粉は、例えば、餅米、上新粉(米粉)、白玉粉、餅粉、求肥粉、寒梅粉、道明寺粉、蕨粉、馬鈴薯澱粉、甘藷粉、片栗粉、きび粉、コーンスターチ、タピオカ粉等である。得られた餅生地は、このまま成型して製品として使用される場合もあるが、副原料の添加等の作業を経て、食感を良くした後に製品にする場合もある。特に糖類(砂糖、水あめ、マルトース、トレハロース、オリゴ糖、還元糖等)を含有する餅生地はべた付きが強いことから本発明の改良剤を用いることができる餅生地として有効である。餅生地を用いた餅製品としては、例えば、あんころ餅、うぐいす餅、柏餅、桜餅、ちまき、大福餅、草餅、羽二重餅、蕨餅、葛餅、団子類などが挙げられる。
本発明の改良剤は、粘着性を有する餅生地表面からの包装材料または笹団子、柏餅、桜餅などのような笹の葉、柏葉、桜葉等の付着材料からの剥がれ性を改良するために用いることが好ましい。
本発明の改良剤は、後述する蒸煮処理前の餅生地原料に添加して用いることが好ましい。蒸煮処理前の餅生地原料に添加し、その後、蒸煮処理することで、改良剤に含まれる澱粉分解物がα化され、それにより、餅生地のもちもち感を発揮することができ、かつ剥がれ性を付与することができるからである。
また、本発明の改良剤を用いる餅生地は、エリスリトール及び/又はグリセロールを含有しないものであることができる。特許文献3には、エリスリトール及び/又はグリセロールを含有する餅生地に関する発明であるのに対して、本発明は、エリスリトール及び/又はグリセロールを含有しない餅生地においても、餅生地のもちもち感を発揮することができ、かつ剥がれ性を付与することができる。
<餅生地の製造方法>
本発明の改良剤を用いる餅生地の製造方法は、方法の如何を問わず、分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物が加熱によりα化された状態で餅生地の少なくとも表面の一部、好ましくは全部に含有された状態を提供できる方法であれば良い。例えば、本発明の改良剤を餅生地原料に予め混合し、次いで加熱する方法、餅生地を製造した後、本発明の改良剤を水等に懸濁させて加熱し、餅生地の表面に添加もしくは餅生地に練り込む方法、餅生地を製造した後、本発明の改良剤を餅生地の表面に添加もしくは餅生地に練り込み再度加熱するなどの方法などが挙げられる。
本発明の製造方法の第1の態様は、分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を含有する餅生地原料を蒸煮処理を含む工程に供して餅生地を得ることを含む、餅生地の製造方法である。
本発明の製造方法の第2の態様は、分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を水等に懸濁させて加熱し、餅生地の表面に添加もしくは餅生地に練り込むことを含む、餅生地の製造方法である。
本発明の製造方法の第3の態様は、餅生地に分子量が5,000〜900,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を添加し、次いで、蒸煮処理に付すことを含む、餅生地の製造方法である。
いずれの方法においても、得られる餅生地は、澱粉分解物のα化物を含有する。加熱することで改良剤に含まれる澱粉分解物がα化され、それにより、餅生地のもちもち感を発揮することができ、かつ剥がれ性を付与することができる。
本発明の製造方法は、加熱され澱粉分解物がα化された、本発明の改良剤が含まれる餅生地を包装材料で包装する工程、及び/又は餅生地に付着材料を付着させる工程をさらに含むことができる。本発明の製造方法で得られる餅生地は、剥がれ性に優れることから、包装材料で包装した餅生地が容易に包装材料から剥がれ、あるいは柏餅、桜餅、笹団子などのように柏葉、桜葉、笹の葉等の付着材料を貼り付けた餅生地の場合も、容易に剥がすことができる。
本発明の改良剤は、餅生地原料粉が糯種である場合、餅生地原料粉及び5,000〜900,000の範囲の澱粉分解物を100質量部として、同澱粉分解物が0.3〜8.0質量部含有されることが好ましい。0.3質量部以上であれば、餅生地の剥がれ性改良効果が良好に得られるため好ましい。8.0質量部以下であれば、餅のやわらかな食感が損なわれ難いので好ましい。また、餅生地原料粉が粳種である場合、餅生地原料粉及び5,000〜900,000の範囲の澱粉分解物を100質量部として、同澱粉分解物が0.2〜0.8質量部含有されることが好ましい。0.2質量部以上であれば、餅生地の剥がれ性改良効果が良好に得られるため好ましい。0.8質量部以下であれば、餅のやわらかな食感が損なわれ難いので好ましい。
本発明の改良剤は、澱粉分解物に加えて、必要に応じて、水、油脂、澱粉、加工澱粉、難消化性の多糖類、オリゴ糖甘味料、蛋白質、酵素、ペプチド、ミネラル、着色料、着香料、調味料、保存料、乳化剤、安定化剤、賦形剤、増量剤、pH調整剤、食品添加物等から選ばれる1種又は2種以上の成分を適宜配合することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(酸処理澱粉の調製)
300kgの未加工タピオカに水を加えて45%濃度の澱粉懸濁液を調製し、10.5kgの硫酸を添加して50℃で2時間反応した。次に、3%の苛性ソーダ水溶液を添加してpH7に調整した後、水洗、脱水、乾燥して酸処理タピオカ 250kg(試料5)を得た。また、硫酸の添加量を適宜調整して試料1を、未加工タピオカをワキシーコーンスターチまたはコーンスターチに変え、硫酸の添加量を適宜調整して試料2、3、4を得た。
試料1、2、3、4、5の分子量は、1500、8000、1万、8万、23万であった。
尚、特許文献4の段落0018に記載の方法では、次亜塩素酸の使用量が少ないため、酸化タピオカ澱粉は殆ど低分子化していない。この方法で得られた酸化タピオカ澱粉が殆ど低分子化していないことは、特許文献4記載のYA粘度保持指数を満たすことからも明らかである。
(酸化澱粉の調製)
300kgの未加工タピオカに水を加えて40%濃度の澱粉懸濁液を調製し、これに有効塩素12%の次亜塩素酸ナトリウム75kgを、60分間かけて添加しつつアルカリ剤を適宜添加してpHをアルカリ性に保った。その後、90分間攪拌を維持し、酸化反応を行った。次いで、ピロ亜硫酸ナトリウムを加えて酸化反応を終了した後、塩酸を加えて中和した。反応後、澱粉を水洗、脱水、乾燥して、酸化タピオカ250kg(試料8)を得た。
また、未加工タピオカを馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチまたはサゴ澱粉に変え、次亜塩素酸ナトリウム量等を適宜調整して試料6、7、9、10を得た。試料6、7、8、9、10の分子量は、それぞれ30万、40万、70万、70万、80万であった。
未加工のタピオカ澱粉を試料11、未加工のコーンスターチを試料12とした。試料11および12の分子量は、文献(「澱粉科学の事典」朝倉書店)から数百万と推察された。
実施例1(求肥)
試料1〜12を、表1に示した配合で混合し、餅生地(求肥)を得た。すなわち、上白糖40質量部を水40質量部に溶解した後、あらかじめ混合した白玉粉19.6質量部および試料1〜12 0.4質量部を加えて懸濁液を調製した。懸濁液を耐熱性容器に入れて電子レンジで加熱し、卓上ミキサーで攪拌して、加熱と攪拌を2回繰り返してなめらかな餅状の求肥生地を得た。50gの求肥生地を5×10cmのプラスチック袋に詰め、薄く伸ばして真空でパッキングし、急速凍結機(-30℃)で冷凍して求肥パックを作製した。
また、白玉粉19.6質量部および試料1〜12 0.4質量部の代わりに白玉粉20.0質量部を用いた以外は同様の方法により、求肥パック(比較例1)を作製した。
こうして得られた求肥パックを、室温で解凍して軟らかな餅生地の状態に戻してから、プラスチック袋を開いて剥がれ性改良効果(剥がれの良さ)について目視で評価した。剥がれの評価は、5×10cmのプラスチック袋の3辺をハサミで切りとり、プラスチックフィルムを手で剥がして評価し、4…袋からほぼ全て剥がれた、3…袋から半分以上剥がれた、2…袋から少し剥がれた、1…袋から剥がれなかった、の基準で行った。また、求肥のもちもち感について、8名のパネラーにより官能評価を行った。食感の評価は、4…比較例1と比較して同等のもちもち感あり、3…比較例1と比較してほぼ同等のもちもち感あり、2…比較例1と比較して少し硬いがもちもち感あり、1…もちもち感がない、の基準で行い、その平均点を四捨五入して整数で表したものを評点とした。この結果を表2に示す。
表2に示したように、試料2〜10の澱粉分解物では、プラスチック袋からの求肥の剥がれおよびもちもち感のいずれにおいても優れているのに対し、分子量の低い試料1及び分子量の高い試料11、12においては剥がれ性改良効果が認められず、試料11及び12ではもちもち感もやや損なわれていた。尚、剥がれ性能及びもちもち感は、分子量が同等であれば、澱粉の種類によって、殆ど違いは無かった。また、試料1から12のいずれにおいても、餅の香りや味は比較例1と違いがなかった。
実施例2(柏餅)
試料1、2、3、4、8、12を用いて、表3に示した配合で柏餅を作製した。すなわち、柏粉39.88部、試料1、2、3、4、8または12を0.12部、上白糖20部を粉体混合した後、水40部を加えて生地を捏ねた。蒸し器で生地を蒸し、熱いうちに生地を伸ばして成型し、餡をはさんでから柏葉に包んで柏餅を作製した。
また、柏粉39.88質量部および試料1、2、3、4、8、12を0.12質量部の代わりに柏粉40質量部を用いた以外は同様の方法により、柏餅(比較例2)を作製した。
得られた柏餅を常温で1日保存してから、柏葉を剥がして、剥がれ性改良効果(剥がれの良さ)について目視で評価した。剥がれの評価は、各10個ずつ行い、葉から剥がれたものを1点、葉から剥がれなかったものを0点として採点し、合計点数で評価した。また、柏餅のもちもち感について、8名のパネラーにより官能評価を行った。食感の評価は、4…比較例2と比較して同等のもちもち感あり、3…比較例2と比較してほぼ同等のもちもち感あり、2…比較例2と比較して少し硬いがもちもち感あり、1…もちもち感がない、の基準で行い、その平均点を四捨五入して整数で表したものを評点とした。この結果を表4に示す。
表4に示したように、試料2、3、4、8の澱粉分解物では、柏葉からの餅の剥がれおよびもちもち感のいずれにおいても優れているのに対し、分子量の低い試料1および分子量の高い試料12においては剥がれ性改良効果が認められず、試料12ではもちもち感も損なわれていた。また、試料1、2、3、4、8、12のいずれにおいても、餅の香りや味は比較例2と違いがなかった。
実施例3(求肥)
試料3または8を、表5に示した配合で混合し、実施例1と同様に白玉粉に置換する改良剤の添加量が異なる求肥パックを作製し、付着性抑制効果および食感について評価した。求肥パックの作製方法および評価方法は、実施例1の方法に準じた。この結果を表5に示す。
表5に示したように、白玉粉に対する試料3または8の添加量が0.3%以上8%以下の場合は、プラスチック袋からの求肥の剥がれおよびもちもち感のいずれにおいても優れていた。8%の以下の添加量では試料3または8のいずれにおいても、餅の香りや味は比較例1と違いがなかった。
実施例4(柏餅)
試料8を用いて、表6に示した配合で、実施例3と同様に柏粉に置換する改良剤の添加量が異なる柏餅を作製し、剥がれ性改良効果および食感について評価した。柏餅の作製方法および評価方法は、実施例2の方法に準じた。この結果を表6に示す。
表6に示したように、柏粉に対する試料8の添加量が0.2%以上0.8%以下の場合は、柏葉からの餅の剥がれおよびもちもち感のいずれにおいても優れていた。また、いずれの添加量においても、餅の香りや味は比較例2と違いがなかった。
本発明は、餅生地に関する分野において有用である。

Claims (10)

  1. 分子量が8,000〜700,000の範囲である澱粉分解物を含有する、糖類を含有する餅生地のもちもち感を維持しつつ、剥がれ性を改良するために用いるための改良剤。
  2. 前記澱粉分解物が、澱粉を酸化処理、酸処理、及び酵素処理から成る群から選ばれる少なくとも1種の処理により得られる分解物である、請求項1に記載の改良剤。
  3. 前記剥がれ性は、粘着性を有する糖類を含有する餅生地表面からの包装材料または付着材料の剥がれに関する、請求項1又は2に記載の改良剤。
  4. 蒸煮処理前の糖類を含有する餅生地原料に添加して用いられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の改良剤。
  5. 前記餅生地はエリスリトール及び/又はグリセロールを含有しない、請求項1〜4のいずれか1項に記載の改良剤。
  6. 分子量が8,000〜700,000の範囲である澱粉分解物を含有し、かつ糖類を含有する餅生地原料を蒸煮処理を含む工程に供して餅生地を得ることを含み、
    前記餅生地原料粉は糯種又は粳種であり、
    前記澱粉分解物の含有量は、餅生地原料粉及び澱粉分解物を100質量部としたときに、餅生地原料粉が糯種である場合は0.3〜8質量部であり、餅生地原料粉が粳種である場合は0.2〜0.8質量部である、
    餅生地の製造方法。
  7. 分子量が8,000〜700,000の範囲である澱粉分解物を水等に懸濁して加熱し、糖類を含有する餅生地表面に添加もしくは餅生地に混捏することを含み、
    前記餅生地原料粉は糯種又は粳種であり、
    前記澱粉分解物の含有量は、餅生地原料粉及び澱粉分解物を100質量部としたときに、餅生地原料粉が糯種である場合は0.3〜8質量部であり、餅生地原料粉が粳種である場合は0.2〜0.8質量部である、
    餅生地の製造方法。
  8. 糖類を含有する餅生地に分子量が8,000〜700,000の範囲である澱粉分解物を含む分解物を添加し、次いで、蒸煮処理に付すことを含み、
    前記餅生地原料粉は糯種又は粳種であり、
    前記澱粉分解物の含有量は、餅生地原料粉及び澱粉分解物を100質量部としたときに、餅生地原料粉が糯種である場合は0.3〜8質量部であり、餅生地原料粉が粳種である場合は0.2〜0.8質量部である、
    餅生地の製造方法。
  9. 蒸煮処理、表面添加または混捏工程後に得られる餅生地は、前記澱粉分解物のα化物を含有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記工程が、餅生地を包装材料で包装する工程、及び/又は餅生地に付着材料を付着させる工程をさらに含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2017075343A 2017-04-05 2017-04-05 餅生地用改良剤及び餅生地用改良剤を用いた餅生地の製造方法 Active JP6220092B1 (ja)

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