JP3094929B2 - 餅類及び餅菓子類並びにそれらに用いる老化防止剤 - Google Patents

餅類及び餅菓子類並びにそれらに用いる老化防止剤

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JP3094929B2 JP08314466A JP31446696A JP3094929B2 JP 3094929 B2 JP3094929 B2 JP 3094929B2 JP 08314466 A JP08314466 A JP 08314466A JP 31446696 A JP31446696 A JP 31446696A JP 3094929 B2 JP3094929 B2 JP 3094929B2
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博子 栗田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品として一般に販売
されている餅、その他これに類する食品(餅を加工した
ものを含む、以下本明細書において餅類という)、及び
餅菓子、その他これに類する食品(餅生地を加工したも
のを含む、以下本明細書において餅菓子類という)、並
びにこれらの食品を保存したときに生ずる硬化、白色化
等の食感の悪化を抑制ないし防止するための餅類及び餅
菓子類の 老化防止法及び老化防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】餅類及び餅菓子類は、一般に餅米、上新
粉(米粉)、白玉粉、餅粉、求肥粉、寒梅粉、道明寺粉
等を原料として製造される。これらの原料は、適当量の
水を加え、蒸煮して澱粉をα化した後に、臼、ミキサー
等で搗きまとめる。これをこのまま成型して製品とする
場合もあるが、その後二度搗き、三度搗きし、副原料の
添加等の作業を経て、食感を良くした後に製品にする等
の工夫がなされている。餅菓子類には、例えば、各種の
副材料を加えてそれぞれ特徴のある餅生地を調製し、こ
れを皮として練り餡を包むか、練り餡で餅生地を包むな
どして製造されるものがあり、あんころ餅、うぐいす
餅、柏餅、大福餅、蕨餅、葛餅、団子類など多くの種類
がある。
【0003】蕨餅、葛餅は、一般に蕨、甘藷、モチトウ
モロコシ、タピオカ等の澱粉を原料として製造される。
従って、冷蔵保存中に澱粉の老化に伴う硬化現象と白色
不透明化を来し、美感及び食感が低下してしまう。近
年、甘藷澱粉の代りにモチトウモロコシ、或いはタピオ
カ澱粉が用いられているが十分な老化防止効果は得られ
ていない。
【0004】一般に、加熱し糊化した澱粉は時間が経つ
につれて老化現象を起こし硬化する。そのため、餅類及
び餅菓子類の製造は計画的な大量生産や遠隔地への配送
が困難であった。そこで、従来より例えば砂糖や水飴等
の糖類やデキストリン等の澱粉質を添加して老化現象を
遅延させる方法が行われてきたが、かかる方法では製品
の甘味が強く、今日の肥満化回避の風潮に逆行し、消費
者に敬遠される傾向にある。また、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス
テル等の食品用界面活性剤を添加する方法も試みられて
いるが、この方法では、餅類及び餅菓子類に特有の食感
や風味が低下してしまう。
【0005】更に近年、澱粉分解酵素を添加する方法が
開発され、老化防止効果は向上しているが、この方法で
は澱粉分解酵素の添加量や添加時期等の添加条件の選択
が極めて難しく、充分な応用がなされていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような現状に鑑
み、本発明者らは餅類及び餅菓子類の老化を充分に防止
すること、及びその方法が製品を製造する過程で簡単に
活用できること、さらに最終製品の価値を低下させない
こと、等の点に留意して餅類及び餅菓子類の老化防止
を開発することを目指した。従って、本発明の目的は
以上の点を解決することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、如上の点
に鑑み鋭意研究した結果、水溶性ヘミセルロース、特に
豆類由来の水溶性ヘミセルロースが餅類及び餅菓子類の
老化防止効果を有し、飲食品の老化防止剤として有効で
実用し得るという知見を得た。本発明は、かかる知見に
基づいて完成されたものである。
【0008】即ち本発明は、水溶性ヘミセルロース
添加することを特徴とする餅類及び餅菓子類の老化防止
、並びに水溶性ヘミセルロースを有効成分として含む
餅類及び餅菓子類用老化防止剤、である。
【0009】本発明における水溶性ヘミセルロースは豆
類由来、特に大豆、なかでも子葉由来のものが好まし
い。また、大豆ヘミセルロース中に混在する、蛋白質の
含量は少ない方が好ましく、具体的には10重量% 以下、
より好ましくは6 重量% 以下であることが好ましい。
【0010】水溶性ヘミセルロースは、その分子量がど
の様な物でも使用可能であるが、高分子であることが好
ましく、平均分子量が数千〜数百万、具体的には5 千〜
100万であるのが好ましい。分子量が大き過ぎると粘度
が上がりすぎて作業性が悪くなる。なお、この水溶性ヘ
ミセルロースの平均分子量は標準プルラン(昭和電工
(株)製)を標準物質として0.1 M のNaNO3 溶液中の粘
度を測定する極限粘度法で求めた値である。また、ウロ
ン酸の測定は Blumenkrantz 法により、中性糖の測定は
アルジトールアセテート化した後に GLC法により行っ
た。
【0011】水溶性ヘミセルロースは、ヘミセルロース
を含む原料から水抽出や場合によっては酸、アルカリ条
件下で加熱溶出させるか、酵素により分解溶出させるこ
とが出来る。水溶性ヘミセルロース製造法の一例を示す
と以下のようである。
【0012】油糧種子、例えば大豆、パーム、ヤシ、コ
ーン、綿実などの油脂や蛋白質を除去した殻、或いは穀
類、例えば、米、小麦、ビートなどの澱粉や糖等を除い
た粕等の植物を原料のすることが出来る。原料が大豆で
あれば、豆腐や、豆乳、分離大豆蛋白を製造するときに
副生するオカラを利用することができる。
【0013】これらの原料を酸性もしくはアルカリ性の
条件下、好ましくは各々の等電点付近のpHで、好ましく
は130 ℃以下80℃以上、より好ましくは130 ℃以下100
℃以上にて加熱分解し、水溶性画分を分画した後、その
まま乾燥するか、例えば活性炭処理或いは樹脂処理或い
はエタノール沈殿処理して疎水性物質或いは低分子物質
を除去し乾燥することによって、水溶性ヘミセルロース
を得ることができる。また、ヘミセルラーゼ、ペクチナ
ーゼ等により分解抽出しても良い。
【0014】この水溶性ヘミセルロースは、構成糖とし
て、ガラクトース、アラビノース、キシロース、フコー
ス、グルコース、ラムノース及びガラクツロン酸を含む
多糖類である。なお、加水分解で得られる水溶性ヘミセ
ルロースの構成成分の分析結果の詳細は特開平4-325058
号公報に記載されている。
【0015】餅類及び餅菓子類に対する水溶性ヘミセル
ロースの添加量は、特に限定されるものではなく、ま
た、その餅類及び餅菓子類の構成成分の組み合わせによ
り一概に規定できないが、概ね当該食品全量に対し0.05
重量% 〜10重量% 、好ましくは0.1 〜5重量% の範囲内
で使用するのが適当である。
【0016】本発明において、水溶性ヘミセルロースは
単独使用で老化防止を得ることが出来るが、従来より餅
類及び餅菓子類の老化防止剤として使用されてきたシュ
クロース、ラクトース、マルトース等の少糖類、カラギ
ーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、アラ
ビアガム、寒天等の糖類及び糖アルコール類、クエン酸
モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ショ糖脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びグリセリ
ン脂肪酸エステル等の食品用界面活性剤の何れを併用す
ることもできる。
【0017】本発明における水溶性ヘミセルロースは、
これを工業的に餅類及び餅菓子類の製造に使用すると、
製造器具類からの剥離性が改善され、最終製品に加工す
る際の作業性が向上するという効果も有する。また、冷
凍保存後、解凍した際の硬化を抑制する効果も有り、商
品価値を長く保つ事ができる。
【0018】本発明者らによると、従来より老化防止剤
として用いられてきたシュクロース、ラクトース、マル
トース等の少糖類を単独で用いても、硬化防止効果は殆
ど認められなかった。また、カラギーナン、キサンタン
ガム、ローカストビーンガム、アラビアガム等の糖類を
単独で老化防止剤として用いた場合、若干の硬化防止効
果は認められるものの、最終製品の弾力性が失われた
り、べたべたとした付着性の強い食感に変化してしま
い、食品としての価値を失ってしまう。
【0019】本発明の老化防止剤を添加する時期につい
ては、特に制限は無く、原料中に予め添加しておくか、
又は製造工程の途中で添加しても良い。特に、蒸練機、
エクストルーダーを用いて製造する方法においては、著
しい効果が認められる。
【0020】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの例示によって制限されるも
のではない。
【0021】分離大豆蛋白質製造工程において得られた
生オカラに2倍量の水を加え、塩酸にてpHを4.5 に調整
し、120 ℃で1.5 時間加水分解した。冷却後遠心分離し
(10000G ×30分) 、上澄と沈殿物に分離した。こうして
得られた沈殿部を更に等重量の水で水洗し、遠心分離
し、上澄を先の上澄と一緒にして活性炭カラム処理した
後、乾燥して水溶性ヘミセルロースを得た。この水溶性
ヘミセルロースは構成糖としてラムノース,フコース,
アラビノース,キシロース,ガラクトース,グルコー
ス,及びガラクツロン酸から成り、平均分子量が210,00
0 であった。(以下本発明品 (1)という)
【0022】水溶性ヘミセルロース357g、シュクロース
143gをリボン式混合機に入れ、約20分間混合した。混合
後、取り出し、本発明に係る老化防止剤500gを得た。
(以下本発明品(2)という)
【0023】水溶性ヘミセルロース357g、アラビアガム
143gをリボン式混合機に入れ、約20分間混合した。混合
後、取り出し、本発明に係る老化防止剤500gを得た。
(以下本発明品(3)という)
【0024】水溶性ヘミセルロース357g、コハク酸モノ
グリセリド143gをリボン式混合機に入れ、約20分間混合
した。混合後、取り出し、本発明に係る老化防止剤500g
を得た。(以下本発明品(4)という)
【0025】実施例1 (蕨餅) 蕨粉(甘薯澱粉、播磨食糧工業(株)製)76.4g 、水34
3.6gをミキサーで混合し、弱火にかけながら透明になる
まで練り上げ、氷冷成型して蕨餅を得た(対照品
(1))。
【0026】別に以下に挙げるものを、ミキサーにて混
合する前に添加して、それぞれを調製した。 ─────────────────────────────────── 本発明品(5) 本発明品(1)を1.2g 本発明品(6) 本発明品(2)を1.7g 本発明品(7) 本発明品(3)を1.7g 本発明品(8) 本発明品(4)を1.7g 比較品(1) シュクロース0.5g 比較品(2) アラビアガム0.5g 比較品(3) コハク酸モノグリセリド0.5g ───────────────────────────────────
【0027】調製後の各蕨餅は冷蔵温度(4 ℃)に保存
し、経時的な老化現象を見るために、食感、白色度を官
能検査すると共に、餅の硬さをレオメーターで測定し
た。レオメーターによる硬さ等の評価は、餅の硬さは、
縦30mm、横35mm、高さ25mmに成形した餅をレオメーター
(不動工業(株)製 NRM-2002J)を用い、感圧軸φ8mm
球型、テーブルスピード30cm/minの条件で測定した。数
値が高いほど硬いことを示す。
【0028】官能検査の食感は、パネラーが、蕨餅を食
した時の柔らかさ、弾力性等を総合評価し、良いものか
ら順に、◎(非常に良好)、(良好)、△(少し劣
る)、×(劣る)として示した。白色度は目視で観察し
た。−は白色化していないことを示し、+は白色化して
いることを示す。また、±は白色化の傾向が認められる
ことを示す。また、餅を調製する際の成形容器からの剥
離性について、剥離性が良いものから順に◎(非常に良
好)、(良好)、△(少し劣る)、×(劣る)と示し
た。以上の結果を以下に示す。なお、以下の評価はパネ
ラー15名が評価したうち最も多かった評価で示した。
【0029】 蕨餅の硬さ、食感及び白色度の経時変化 ─────────────────────────────────── 直後 1日目 2日目 ─────────────────────────────────── A B C D A B C A B C ─────────────────────────────────── 本発明品(5) 52 ◎ − ◎ 95 − 108 △ ± 本発明品(6) 56 ◎ − ◎ 105 − 121 △ + 本発明品(7) 48 ◎ − 91 ± 102 △ + 本発明品(8) 59 ◎ − 106 ± 162 △ + 対照品(1) 57 ◎ − × 148 × + 351 × + 比較品(1) 62 ◎ − × 112 △ + 218 × + 比較品(2) 51 ◎ − × 118 △ + 239 × + 比較品(3) 65 ◎ − △ 135 △ + 256 × + ─────────────────────────────────── 但し、A:ゲル強度(g/cm), B:食感, C:白色度, D:剥離性
【0030】以上の結果から明らかなように、本発明品
(5)〜(8)は、何れも2 日間保存しても、柔らかさを保
持し, 白色化も1 日保存しても、抑制されていた。これ
に対して、対照品(1)は1 日目から硬化が始まり、白色
化も顕著であり、餅特有の食感は完全に失われ、食に耐
えない状態であった。
【0031】比較品(1)〜(3)は対照品(1)に比べる
と、何れもわずかながら、老化を抑制する傾向にあった
が、保存1 日目から硬くなる傾向にあり、2 日目では、
対照品と同様の食感になっていた。比較品(2)はべたべ
たとして歯にこびりつくような餅になっており、比較品
(3)はサクサクした食感の餅になっており、餅特有の餅
々しさに欠けていた。以上の結果から、本発明品は、硬
化防止、及び食感改良に著しい効果があることが判っ
た。
【0032】実施例2 白玉団子 上新粉100g、砂糖20g 、熱湯100gをミキサーにて混合
し、蒸篭に入れて30分間蒸煮した後、よく搗きあげ、直
径3.0cm の団子に成形して、白玉団子を得た(対照品
(2))。
【0033】別に以下に挙げるものを、ミキサーにて混
合する前に添加して、それぞれを調製した。 ─────────────────────────────────── 本発明品(9) 本発明品(1)を1.0g 本発明品(10) 本発明品(4)を1.4g 比較品(4) コハク酸モノグリセリド0.4g 比較品(5) アラビアガム1.0g 比較品(6) アラビアガム1.0g 及び コハク酸モノグリセリド0.4g ───────────────────────────────────
【0034】調製後の各白玉団子は冷蔵温度(4 ℃)に
保存し、経時的な老化現象を見るために、食感(柔らか
さ)を官能検査すると共に、餅の硬さをレオメーターで
測定した。レオメーターによる団子の硬さは、不動工業
(株)製 NRM-2002Jを用い、感圧軸φ2mm 針型、テーブ
ルスピード30cm/minの条件で測定した。数値が高いほど
硬いことを示す。
【0035】官能検査の食感は、パネラーが、白玉団子
を食した時の柔らかさ、弾力性等を総合評価し、良いも
のから順に、◎(非常に良好)、(良好)、△(少し劣
る)、×(劣る)と示した。また、蒸上がりの蒸し器か
らの剥離性について、剥離性が良いものから順に◎(非
常に良好)、(良好)、△(少し劣る)、×(劣る)と
示した。以上の結果を以下に示す。なお、以下の評価は
パネラー15名が評価したうち最も多かった評価で示し
た。
【0036】 白玉団子の硬さ、食感の経時変化 ─────────────────────────────────── 直後 1日目 2日目 ─────────────────────────────────── A B C A B A B ─────────────────────────────────── 本発明品(9) 308 ◎ ◎ 446 ◎ 536 ◎ 本発明品(10) 300 ◎ ◎ 486 ◎ 559 ◎ 対照品(2) 356 ◎ × 1015 △ 1453 × 比較品(4) 388 ◎ △ 645 992 △ 比較品(5) 366 × 432 × 856 △ 比較品(6) 308 ◎ △ 486 ◎ 559 ◎ ───────────────────────────────────
【0037】 3日目 5日目 ─────────────────────────────────── A B A B ─────────────────────────────────── 本発明品(9) 612 ◎ 721 本発明品(10) 628 ◎ 755 △ 対照品(2) 1912 × 1857 × 比較品(4) 1395 × 1689 × 比較品(5) 1204 × 1623 × 比較品(6) 781 △ 952 △ ─────────────────────────────────── 但し、A:ゲル強度(g/cm), B:食感,
【0038】以上の結果から明らかなように、本発明品
(9)及び (10)は、5 日間保存しても、柔らかさを保持
していた。特に、コハク酸モノグリセリドを含まない水
溶性ヘミセルロースは、団子の老化防止効果が顕著に認
められた。更に蒸煮後の蒸し器からの剥離性は良好であ
り、団子製造時の作業性も向上していた。これに対し
て、対照品(2)は1 日目から硬化が始まり、保存3 日目
で硬さはピークになり、餅特有の食感は完全に失われ、
食に耐えない状態であった。
【0039】比較品 (4)、比較品 (5)、比較品 (6)は対
照品 (2)に比べると、何れもわずかながら、老化を抑制
する傾向にあったが、比較品 (4)は保存2 日目から硬く
なる傾向にあり、蒸煮後の蒸し器からの剥離性は良好だ
が、サクサクした食感の餅になっており、餅特有の餅々
しさに欠けていた。また、比較品 (5)は、蒸煮後の蒸し
器からの剥離性は悪く、食感もべたべたとして歯にこび
りつく感じであり、餅特有の餅々しさに欠けていた。更
に、比較品 (6)は、対照品或いは、比較品 (4)及び比較
品(5)と比較した場合、食感の改良効果は認められた
が、本発明品と比べると5 日間保存したときの老化抑制
効果は明らかに劣っていた。以上の結果から、本発明品
は、硬化防止、及び食感改良に著しい効果があることが
判った。
【0040】実施例3 餅米(もち米)を用いた餅 餅米200g、水180gを蒸練機に入れて蒸煮し練合して、丸
餅を成型した(対照品(3))。別に以下に挙げるもの
を、蒸練機に入れる前に添加して、それぞれを調製し
た。
【0041】 ─────────────────────────────────── 本発明品(11) 本発明品(1)を2.0g 本発明品(12) 本発明品(4)を2.8g 比較品(7) コハク酸モノグリセリド0.8g 比較品(8) アラビアガム2.0g 比較品(9) アラビアガム2.0g 及び コハク酸モノグリセリド0.8g ───────────────────────────────────
【0042】調製後の各丸餅は冷蔵温度(4 ℃)に保存
し、経時的な老化現象を見るために、食感(柔らかさ)
を官能検査すると共に、餅の硬さをレオメーターで測定
した。レオメーターによる丸餅の硬さは、不動工業
(株)製 NRM-2002Jを用い、感圧軸φ2mm 針型、テーブ
ルスピード30cm/minの条件で測定した。数値が高いほど
硬いことを示す。
【0043】官能検査の食感は、パネラーが、丸餅を食
した時の柔らかさ、弾力性等を総合評価し、良いものか
ら順に、◎(非常に良好)、(良好)、△(少し劣
る)、×(劣る)と示した。以上の結果を以下に示す。
なお、以下の評価はパネラー15名が評価したうち最も多
かった評価で示した。
【0044】 丸餅の硬さ、食感の経時変化 直後 1日目 2日目 ─────────────────────────────────── A B A B A B ─────────────────────────────────── 本発明品(11) 226 ◎ 273 ◎ 302 ◎ 本発明品(12) 235 ◎ 284 ◎ 314 対照品(3) 248 ◎ 396 △ 563 × 比較品(7) 250 ◎ 403 △ 526 △ 比較品(8) 246 ◎ 397 480 比較品(9) 256 ◎ 315 357 ───────────────────────────────────
【0045】 3日目 5日目 ─────────────────────────────────── A B A B ─────────────────────────────────── 本発明品(11) 361 495 本発明品(12) 383 527 対照品(3) 810 × 1028 × 比較品(7) 603 × 833 × 比較品(8) 526 × 809 × 比較品(9) 410 × 620 × ─────────────────────────────────── 但し、A:ゲル強度(g/cm), B:食感,
【0046】以上の結果から明らかなように、本発明品
(11)及び(12)は、5 日間保存しても、柔らかさを保
持していた。コハク酸モノグリセリドの有無に関わら
ず、水溶性ヘミセルロースを餅に添加することにより、
老化防止効果が顕著に認められた。これに対して、対照
品 (3)は1 日目から硬化が始まり、保存3 日目ですでに
餅特有の食感は完全に失われ、食に耐えない状態であっ
た。
【0047】比較品 (7)、比較品 (8)、比較品 (9)は対
照品 (3)に比べると、何れもわずかながら、老化を抑制
する傾向にあったが、比較品(7)は保存2 日目から硬く
なる傾向にあり、白玉団子の同様にさくい食感の餅にな
っており、餅特有の餅々しさに欠けていた。また、比較
品(8)は、べたべたとして歯にこびりつく食感であり、
これも餅特有の餅々しさに欠けていた。更に、比較品
(9)は対照品或いは、比較品(7)及び比較品(8)と比較
した場合、食感の改良効果は認められたが、本発明品と
比べると5 日間保存したときの老化抑制効果は明らかに
劣っていた。以上の結果から、本発明品は、硬化防止、
及び食感改良に著しい効果があることが判った。
【0048】実施例4 冷凍保存した餅の硬化抑制 実施例3 と全く同様にして丸餅を作製し、真空包装した
後、レトルト殺菌処理して−20℃で冷凍し保存した。(
以下対照品(4) という) 実施例3 で調製した餅に水溶性ヘミセルロースを2.0g添
加する以外は全く同様の方法で丸餅を作製した。( 以下
本発明品(13)という)
【0049】冷凍した各丸餅は、1 〜7 日間冷凍保存時
の経時的な老化現象を見るために、室温で解凍した後、
食感( 柔らかさ) を官能検査すると共に、餅の硬さをレ
オメーターで測定した。レオメーターによる餅の硬さ
は、不動工業( 株) 製 NRM-2002Jを用い、感圧軸φ2mm
針型、テーブルスピード30cm/minの条件で測定した。数
値が高いほど硬いことを示す。
【0050】官能検査の食感は、パネラーが蕨餅を食し
た時の柔らかさ、弾力性等を総合評価し、良いものから
順に、◎(非常に良好)、○(良好)、△(少し劣
る)、×(劣る)と示した。以上の結果を以下に示す。
なお、以下の評価はパネラー15名が評価したうちの最も
多かった評価で示した。
【0051】 冷凍餅の解凍時の硬さ、食感の経時変化について ─────────────────────────────────── A B C D E 対照品 (4) 1 403 511 26.8 ○ 2 409 543 32.8 △ 3 396 583 47.2 × 7 400 692 73.0 × ─────────────────────────────────── 発明品 (13) 1 396 388 −2.0 ◎ 2 386 413 7.0 ◎ 3 404 435 7.7 ○ 7 399 489 22.6 ○ ─────────────────────────────────── 但し、A:冷凍日数(日)、B:冷凍前のゲル強度(g/cm) 、C:冷凍後のゲル 強度(g/cm) 、D:冷凍解凍後のゲル強度の変化率(%)、E:食感
【0052】以上の結果から明らかなように、本発明品
(13)は7日間冷凍保存しても食感は良好であり、柔ら
かさを保持していた。これに対して対照品(4)は冷凍3
日目で既に硬くなる傾向に有り、そのままでは食に耐え
ない状態であった。このことから、本発明の水溶性ヘミ
セルロースを添加することにより、餅を柔らかいまま長
時間保存することが可能になることが判った。
【0053】
【発明の効果】以上の如く、餅類及び餅菓子類を製造す
る際に水溶性ヘミセルロースを添加することによって、
餅類及び餅菓子類の食感を損なうことなく老化を充分に
防止し、製造時の作業性を向上させ、冷凍保存時の経時
的な硬化を抑制し、かつ餅類及び餅菓子類の大量製造を
可能にするという効果が得られた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 鈴木 恵理子 (56)参考文献 特開 平6−121647(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 1/10 A23G 3/00 JAFICファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性ヘミセルロース を添加することを
    特徴とする餅類の老化防止法
  2. 【請求項2】水溶性ヘミセルロース を添加することを
    特徴とする餅菓子類の老化防止法
  3. 【請求項3】水溶性ヘミセルロースが大豆由来である、
    請求項1または請求項2記載の 老化防止法
  4. 【請求項4】水溶性ヘミセルロースを有効成分として含
    む餅類及び餅菓子類用老化防止剤。
  5. 【請求項5】水溶性ヘミセルロースが大豆由来である、
    請求項4記載の老化防止剤。
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