JP5018154B2 - 内部電極形成ペースト、積層型セラミック型電子部品、およびその製造方法 - Google Patents

内部電極形成ペースト、積層型セラミック型電子部品、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、スクリーン印刷用内部電極形成ペーストと、その内部電極形成ペーストを用いて製造される積層型セラミック型電子部品と、その積層型セラミック電子部品の製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化により、積層セラミックコンデンサなどの積層型電子部品の小型化・高性能化が要望されている。この種の積層セラミックコンデンサの製造では、通常、グリーンシートを、内部電極前駆層を介して積層し、積層体を形成する。この積層体を所定の寸法に切断し、脱バインダ処理、焼成処理、および熱処理を行い、焼結体を得る。この焼結体に、端子電極を形成することによって、コンデンサが完成する。電極前駆層は、電極材粉体とバインダとを含むペーストを印刷して形成される。
電子部品の小型化・高性能化を推進するため、誘電体層厚み及び電極層厚みは1μm以下、積層数は800層を越えるようになってきている。従来用いている電極材粉体の粒子径は0.4μm程度である。このため、電極層の厚みが1μm以下になると、電極層の厚み方向に配列する電極材粉体の粒子数は2〜3個となり均質な電極層の形成が困難となる。また、このような電極層では表面粗さが不十分であり、ショート不良・耐圧不良が発生しやすい。
電極層をより薄く均一に形成するために微細な電極材粉体を用いることが検討される。しかしながら、微細な電極材粉体を用いると、同重量の電極材粉体の合計表面積は増大する。このため、バインダ量が一定の場合には、粒子表面積当たりのバインダ量が減少する。この結果、接着力が低下するため、グリーンシート積層時に、シートの位置ズレや、層間剥離(デラミネーション)などの積層不良が発生することがある。また、積層体の保形力が低下するために、熱処理(脱バインダ及び焼成)の際に、チップ割れやクラックの原因となってしまう。
このため、バインダ量を増やすことで、積層時の接着性を改善して積層不良を防止する方法が考えられる。しかしながら、バインダ量が増えると、脱バインダが難しくなるため熱処理時にチップ割れやクラックが増加するという問題が発生する。
特許文献1には、この種の電極前駆層を形成するペーストとして、「少なくとも無機粉末と、バインダ樹脂と、有機溶剤とを含有したグラビア印刷用インクであって、前記バインダ樹脂が、エチルセルロース樹脂と、数平均分子量が300〜5000であってテルペン樹脂、テルペンフェノール系樹脂、石油系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリイソプレン系樹脂、ポリエーテル系樹脂の中から選択された少なくとも1種の低分子量樹脂とを含み、前記低分子量樹脂の含有量が、重量%で0.5〜10%であることを特徴とするグラビア印刷用インク」が開示されている。
グラビア印刷用インクの粘度は、一般に0.3〜2(dPa・s)程度であり、スクリーン印刷への適用性はない。生産性を向上し、また厚みの薄い電極層を形成するためには、スクリーン印刷法を採用することが有効である。
特開2005−126505号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、スクリーン印刷用内部電極形成ペーストにおいて、微細な電極材粉体を使用した場合であっても、バインダを増量することなく、十分な接着力が得られるペーストを提供することを目的としている。
本発明者等は、上記目的を達成するために、鋭意検討を行った結果、内部電極形成ペーストを構成するバインダとして、特定の組成を有するバインダを用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、下記事項を要旨として含む。
(1)電極材粉体と、
主バインダとしてのエチルセルロース系樹脂と、
副バインダとしての、アルキルフェノール樹脂および数平均分子量が700以下のテルペン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂とを含むスクリーン印刷用内部電極形成ペースト。
(2)エチルセルロース系樹脂の数平均分子量が1万〜20万である(1)に記載の内部電極形成ペースト。
(3)副バインダのガラス転移点が50℃以下である(1)または(2)に記載の内部電極形成ペースト。
(4)副バインダが、テルペン樹脂であり、主バインダ100重量部に対し20〜80重量部の副バインダを含む(1)〜(3)の何れかに記載の内部電極形成ペースト。
(5)副バインダが、アルキルフェノール樹脂であり、主バインダ100重量部に対し70〜90重量部の副バインダを含む(1)〜(3)の何れかに記載の内部電極形成ペースト。
(6)電極材粉体100重量部に対して、主バインダと副バインダとを合計で4.2〜6.65重量部含む(1)〜(5)のいずれかに記載の内部電極形成ペースト。
(7)前記電極材粉末がNiを含む(1)〜(6)のいずれかに記載の内部電極形成ペースト。
(8)前記電極材粉体の平均粒子径が、0.05〜0.3μmである(1)〜(7)のいずれかに記載の内部電極形成ペースト。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の内部電極形成ペーストを用いて製造された内部電極層と、誘電体層とを有する積層型セラミック電子部品。
(10)内部電極層の厚みが1.0μm以下である(9)に記載の積層型セラミック電子部品。
(11)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の内部電極形成ペーストを準備する工程と、
誘電体グリーンシートを成形する工程と、
前記誘電体グリーンシート上に、前記内部電極形成ペーストをスクリーン印刷して内部電極前駆層を形成する工程と、
内部電極前駆層が形成された複数の誘電体グリーンシートを積層して積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼成する工程と、
を有する積層型セラミック電子部品の製造方法。
(12)誘電体グリーンシートが、誘電体粉体と、バインダとしてのアクリル系樹脂とを含む(11)に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
本発明によれば、スクリーン印刷用内部電極形成ペーストにおいて、微細な電極材粉体を使用した場合であっても、バインダ量を増やすことなく、十分な接着力が得られるペーストが提供される。
接着力が維持されるため、グリーンシート積層時に、シートの位置ズレや、層間剥離(デラミネーション)などの積層不良の発生は低減される。また、積層体の保形力が維持され、熱処理(脱バインダ及び焼成)の際に、チップ割れやクラックの発生も低減される。この結果、厚みの薄い電極層を有する積層型セラミック電子部品を歩留まり良く製造できるようになる。
以下に本発明に係る内部電極形成ペースト、積層型セラミック型電子部品、およびその製造方法について、さらに具体的に説明する。
本発明に係る内部電極形成ペーストは、電極材粉体と、主バインダとしてのエチルセルロース系樹脂と、副バインダとしての、テルペン樹脂およびアルキルフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂とを含む。
エチルセルロース系樹脂と、特定の副バインダとを併用することで、微細な電極材粉体を使用した場合であっても、バインダ量を増やすことなく、十分な接着力が得られる内部電極形成ペーストが得られる。
主バインダとしてのエチルセルロース系樹脂としては、各種市販のエチルセルロース系樹脂が特に制限されることがなく用いられるが、本発明においては、特に数平均分子量が好ましくは1万〜20万、さらに好ましくは2万〜10万、特に好ましくは5万〜10万のエチルセルロース系樹脂が用いられる。
エチルセルロース系樹脂の数平均分子量が低すぎる場合には、ペースト粘度が低下して、その結果、内部電極形成ペーストの印刷時に、ペーストのたれやにじみ等が発生する恐れがある。また、ペースト粘度の低下によって印刷むらが生じて、均一な電極パターンを形成できない恐れがある。一方、エチルセルロース系樹脂の数平均分子量が高すぎる場合には、ペースト粘度が高くなり、塗工性が低下し、厚みの薄い電極層の形成が困難になる場合がある。
なお、エチルセルロース系樹脂の数平均分子量は、GPC装置により測定しポリスチレン換算した値である。
本発明の内部電極形成ペーストのバインダ成分は、上記エチルセルロース系樹脂を主バインダとし、副バインダとしての、アルキルフェノール樹脂および数平均分子量が700以下のテルペン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂をさらに含有する。
副バインダとしてのアルキルフェノール樹脂およびテルペン樹脂としては、各種市販のアルキルフェノール樹脂およびテルペン樹脂が特に制限されることがなく用いられるが、本発明においては、特にガラス転移点が好ましくは50℃以下、さらに好ましくは−20〜40℃のアルキルフェノール樹脂およびテルペン樹脂が用いられる。
副バインダのガラス転移点が高すぎる場合には、積層時のシート間の接着性が十分に改善されない恐れがある。
なお、副バインダを構成する樹脂のガラス転移点は、SII社製EXSTAR6000 DSC6220を用い、測定温度範囲−100℃〜+120℃、昇温速度10℃/分にて測定した。
また、副バインダとしてアルキルフェノール樹脂を使用する場合、その配合量は、主バインダ100重量部に対して、70〜90重量部、好ましくは80〜90重量部であることが特に望ましい。このような配合比でアルキルフェノール樹脂を用いることで、本発明の効果がより確実に奏される。
また、副バインダとしてテルペン樹脂を使用する場合、その数平均分子量は700以下、好ましくは300〜700である。この際のテルペン樹脂の配合量は、主バインダ100重量部に対して、20〜80重量部、好ましくは60〜80重量部であることが特に望ましい。このような特定の数平均分子量を有するテルペン樹脂を特定の配合比で用いることで、本発明の効果がより確実に奏される。
本発明の内部電極形成ペーストにおいては、電極材粉体100重量部に対して、主バインダと副バインダとは合計で、好ましくは4.2〜6.65重量部、さらに好ましくは5.95〜6.65重量部の割合で配合される。
上記のように、特定の主バインダと副バインダとを併用することで、微細な電極材粉体を使用した場合であっても、バインダ量を増やすことなく、十分な接着力が得られるペーストが提供される。
したがって、本発明の内部電極形成ペーストは、特に微細な電極材粉体を使用した際に有用である。このため、電極材粉体の平均粒子径は、好ましくは0.05〜0.30μm、さらに好ましくは0.1〜0.25μmである。
電極層をより薄く均一に形成するために微細な電極材粉体を用いると、同重量の電極材粉体の合計表面積は増大する。このため、バインダ量が一定の場合には、粒子表面積当たりのバインダ量が減少する。この結果、接着力が低下し、積層不良が発生する。しかし、本発明の内部電極形成ペーストによれば、特定の主バインダと副バインダとを併用することで、バインダ量を増やすことなく、十分な接着力が得られる。
内部電極形成ペーストの製造に用いる電極材粉体(導体材料)としては、好ましくは、Ni、Ni合金、あるいはこれらの混合物を用いる。電極材粉体は、球状、リン片状等の形状のものを用いるが、その形状に特に制限はない。また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。電極材粉体の平均粒子径は、特に限定はされないが、粒子形状が球状の場合、0.05〜0.5μm、好ましくは0.2〜0.4μm程度である。特に本発明の内部電極形成ペーストは、薄くかつ高密度を実現するための微細な電極材粉体において特に有用であり、平均粒子径が0.05〜0.30μm程度であっても、バインダ量を増量することなく、十分な接着力が得られる。
なお、電極材粉体の平均粒子径は、SEM撮影用の金属ホルダーに電極ペーストを塗布して乾燥させて、SEM写真を撮影し、その写真から電極材粉体の粒子径を計測した。計測数は、200として平均粒子径を求めた。
本発明の内部電極形成ペーストは、上記電極材粉体およびバインダ成分を必須成分として含むが、さらに必要に応じ、上記以外の樹脂成分、溶剤を含んでいてもよい。また、内部電極形成ペーストには、後述する誘電体グリーンシート用ペーストに含まれるセラミック粉体と同じセラミック粉体(共材)が含まれていてもよい。共材が含まれることによって、電極材粉体である金属の焼成過程における焼結を適度に抑制し、十分な有効面積を持った内部電極層を形成することができる。
内部電極形成ペーストに含まれていても良い、上記以外の樹脂成分として、分散剤が含まれている。分散剤としては、特に限定はされないがポリスチレングリコール系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、エステル系分散剤、エーテル系分散剤などが例示される。分散剤は、電極材分体重量を100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部含有される。分散剤含有量が少なすぎると添加効果が不十分となり、多すぎるとミセル形成や再凝集による分散性低下の不都合を生じることがある。
また、内部電極形成ペーストに含まれていてもよい溶剤としては、テルピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどがあげられる。内部電極形成ペーストに含まれる溶剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、内部電極形成ペースト全量に対して、60重量%以下、好ましくは、50〜60重量%とする。
内部電極形成ペーストには、接着性の改善のために、可塑剤が含まれてもよい。可塑剤としては、フタル酸ベンジルブチル(BBP)などのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。可塑剤は、バインダ樹脂の合計100重量部に対して、150重量部以下、好ましくは25重量部以上150重量部以下、さらに好ましくは25〜100重量部で含有される。可塑剤の添加により、そのペーストを用いて形成される内部電極層の接着力は高まり、内部電極層と、後述するグリーンシートとの接着力が向上する。
本発明に係る内部電極形成ペーストは、上記電極材粉体、主バインダ、副バインダおよび必要に応じ用いられる他の成分を適宜な方法で混合することで得られる。たとえば、電極材粉体、バインダ、共材、溶剤、分散剤等を用意して、3本ロールにて混合する。その後分散剤を添加して再度3本ロールにて混合を行うことで、電極材粉体及び共材の分散性に優れたペーストが得られる。
また、本発明の内部電極ペーストの25℃における粘度は、好ましくは20〜150dPa・s、さらに好ましくは50〜120dPa・s、特に好ましくは60〜100dPa・sである。ペースト粘度がこの範囲にあると、スクリーン印刷による電極前駆層の形成が容易になる。
なお、電極ペーストの粘度は、TAインストロメンツ社 Model-AR2000ETCを用いて、V50での値である。
本発明に係る内部電極形成ペーストは、コンデンサ、圧電素子、PTCサーミスタ、NTCサーミスタおよびバリスタ等の積層型セラミック電子部品における内部電極層を形成するために好ましく用いられる。
このような積層型セラミック電子部品の内部電極層をより薄く均一に形成するためには、内部電極形成ペーストに含まれる電極材粉体として、より微細な電極材粉体を用いる必要がある。しかしながら、微細な電極材粉体を用いると、同重量の電極材粉体の合計表面積は増大する。このため、バインダ量が一定の場合には、粒子表面積当たりのバインダ量が減少する。この結果、接着力が低下するため、グリーンシート積層時に、積層不良が発生することがある。
しかし、前述したように、本発明の内部電極形成ペーストによれば、特定の主バインダと副バインダとを併用することで、微細な電極材粉体を使用した場合であっても、バインダ量を増やすことなく、十分な接着力が得られる。したがって、本発明の内部電極形成ペーストは、特に膜厚の薄い内部電極層の形成に有用である。本発明の内部電極形成ペーストを用いた積層型セラミック電子部品における内部電極層の厚みは、好ましくは1.0μm以下、好ましくは0.4〜1.0μm、さらに好ましくは0.5〜0.8μmである。
次に、本発明の内部電極形成ペーストを使用した積層型セラミック電子部品の一実施態様について、積層セラミックコンデンサを例にとって説明するが、本発明は、かかる実施態様に限定されるものではない。まず、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。内部電極層12は、本発明の内部電極形成ペーストを用いて形成されている。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の一方の端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の他方の端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウムおよび/またはチタン酸バリウムなどの誘電体材料で構成される。各誘電体層10の厚みは、特に限定されないが、数μm〜数百μmのものが一般的である。特に本実施形態では、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、特に好ましくは1.0μm以下に薄層化されている。また、内部電極層12も、1.0μm以下、好ましくは0.4〜1.0μm、さらに好ましくは0.5〜0.9μmに薄層化されている。
端子電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられる。また、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.6mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
次に、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2の製造方法の一例を説明する。
まず、図2Aに示すように、キャリアシート20を準備し、その上に、誘電体ペースト(グリーンシート用ペースト)を塗布して、グリーンシート10aを形成する。このグリーンシート10aは、図1に示す誘電体層10を構成することになる。キャリアシート20としては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコーンなどがコーティングしてあるものが好ましい。これらのキャリアシート20の厚みは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmである。
図2Aのグリーンシート10aの形成法としては、ドクターブレード法あるいはダイコーター法などが挙げられる。好ましくは、0.5〜30μm、より好ましくは0.5〜10μm程度の厚みでグリーンシート10aを形成する。
グリーンシート10aは、キャリアシート20に形成された後に乾燥される。グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。乾燥後のグリーンシート10aの厚みは、乾燥前に比較して、5〜25%の厚みに収縮する。乾燥後のグリーンシート10aの厚みは、3μm以下が好ましい。
誘電体ペーストは、誘電体原料(セラミック粉体)、有機ビヒクル、無機添加物、可塑剤、分散剤および有機溶剤を混練して得られる有機溶剤系ペーストで構成される。
誘電体原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。より具体的には、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、および/またはチタン酸バリウムならびにこれらの複合酸化物があげられる。誘電体原料は、通常、平均粒子径が0.4μm以下、好ましくは0.1〜0.3μm程度の粉体として用いられる。なお、きわめて薄いグリーンシート10aを形成するためには、グリーンシート10aの厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
有機ビヒクルに用いられるバインダは、特に限定されるものではなく、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂などの通常の各種バインダが用いることができる。特に、グリーンシート10aのバインダとしてアクリル系樹脂を用いた場合には、本発明の内部電極形成ペーストから形成される内部電極前駆層12aとの接着性が向上する。好ましく使用されるアクリル系樹脂は、アクリル酸エステル単量体単位とメタクリル酸エステル単量体単位を主成分とする共重合体で構成されている。アクリル酸エステル単量体単位とメタクリル酸エステル単量体単位の共重合比は、たとえば重量比で10〜30:90〜70程度とすることができる。
また、アクリル系樹脂の酸価(アクリル系樹脂中の1g中の遊離酸を中和するのに要するKOHのmg数)は、1〜10mgKOH/g、好ましくは2〜7mgKOH/gである。アクリル系樹脂の酸価は誘電体原料との分散に関係するが、アクリル系樹脂の酸価が上記範囲外では誘電体原料の分散性が悪くなる恐れがある。アクリル系樹脂の酸価は、アクリル酸エステル単量体単位の配合量で調整することができる。たとえば、アクリル酸エステル単量体単位やメタクリル酸エステル単量体単位の配合量を増加させると酸価は上昇し、逆に減少させると酸価は下降する。アクリル系樹脂の酸価は、JIS−K0070に準じた方法により測定することができる。
有機ビヒクルは、誘電体シートの強度を向上させることにより、支持体PETフィルムからの剥離性に寄与する。また、積層時のシートとシートの接着性にも寄与している。有機ビヒクルの添加量は、誘電体原料100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは3〜7重量部である。有機ビヒクルが少なすぎるとシートの強度が確保できないために、支持体PETフィルムから剥いだ際にシートが破れてしまい積層が出来なくなってしまう。また、有機ビヒクルが多すぎると、後工程での熱処理が困難となりチップが割れる不具合が発生する。
可塑剤としては、特に限定されないが、フタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類等が例示される。好ましくは、アジピン酸ジオクチル(DOA)、フタル酸ブチルブチレングリコール(BPBG)、フタル酸ジドデシル(DDP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)などが用いられる。中でもDBP,DOP及びBBPから選ばれる一つ以上を用いることが好ましい。可塑剤の添加量は、誘電体原料100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部で含有される。可塑剤を用いることにより、有機ビヒクル中のバインダのTgを制御し、支持体PETフィルムからのシートの剥離性に改善効果がある。
分散剤としては、特に限定されないが、ポリカルボン酸塩系分散剤、ノニオン系分散剤などが例示される。本件においては、ポリカルボン酸塩系分散剤が用いられる。分散剤は、誘電体原料100重量部に対して0.5〜3重量部、好ましくは1.0〜1.5重量部で含有される。
溶剤としては、特に限定されず、アルコール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ミネラルスピリット、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ターピネオール、ブチルカルビトールなどが例示されるが、好ましくはアセトン、MEK、トルエン、酢酸エチル及び酢酸ブチルの1種以上を用いる。溶剤は、誘電体ペースト中の不揮発分濃度が20〜50重量%、より好ましくは30〜40重量%となる範囲で含まれる。溶剤量が少なすぎると薄く塗布することが難しく、多すぎると乾燥ムラにより厚みがばらつく不都合がある。
誘電体ペースト中には、必要に応じて、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。誘電体ペースト中に、これらの添加物を添加する場合には、総含有量を、約10質量%以下にすることが望ましい。
誘電体ペーストは、混合及び粉砕と、分散処理を施すことにより作製される。その手法については特に限定されないが、本実施形態の混合及び粉砕としては、ボールミル粉砕及び湿式ジェットミルを用いた方法が好ましい。また、分散処理としては、高せん断力をかける方法が好ましい。
次に、図2Bに示すように、キャリアシート20上に形成したグリーンシート10aの表面に、本発明の内部電極形成ペーストを用いて内部電極前駆層12aを所定パターンで形成する。内部電極前駆層12aは、焼成後に、図1に示す内部電極層12を構成することになる。
内部電極前駆層12aの厚さは、好ましくは、0.1〜1.5μm、より好ましくは、0.1〜1.0μm程度である。内部電極前駆層12aは、単一の層で構成してあってもよく、あるいは2以上の組成の異なる複数の層で構成してあってもよい。
内部電極前駆層12aの形成方法としては、スクリーン印刷法が採用される。
本実施形態では、内部電極形成ペーストを所定のパターン状にスクリーン印刷することによって、内部電極前駆層12aを形成する。内部電極前駆層12aは、前述した本発明の内部電極形成ペーストから形成される。
また、図2Bに示すように、内部電極前駆層12a形成の前後に、グリーンシート10aの表面において内部電極前駆層12aのパターンが形成されない部分に、内部電極前駆層12aと実質的に同じ厚みの余白パターン層14を形成してもよい。
余白パターン層14は、グリーンシート10aを形成するためのペーストと同様のペーストを用いて形成される。また、余白パターン層14は、内部電極前駆層12aあるいはグリーンシート10aと同様の方法によって形成することができる。
内部電極前駆層12aおよび余白パターン層14は、必要に応じて乾燥される。内部電極前駆層12aおよび余白パターン層14の乾燥温度は、乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは70〜120℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜10分である。
かくして、キャリアシート20上に、グリーンシート10aおよび、その上に形成された内部電極前駆層12aおよび余白パターン層14からなる積層体ユニットUaが得られる。この積層体ユニットUaを複数準備する。
その後、1方の積層体ユニットUaから、キャリアシート20を剥離する。そして、1方の積層体ユニットUaにおけるグリーンシート10aが、他方の積層体ユニットUaにおける内部電極層12および余白パターン層14の上面に接するような位置関係で、両積層体ユニットUaを積層する。このような積層を複数回繰り返すことによって、積層体を形成する。
なお、積層体ユニットUaを2つ重ねた構造を持つ積層体ユニットUb(図2C)を用いて、積層体を形成してもよい。このように、積層体ユニットを厚くすることによって、積層体ユニットの強度が高くなる。その結果、積層工程において積層体ユニットが破損することを防止できる。
次に、積層体の上面および/または下面に、外層用のグリーンシート(電極層が形成されていないグリーンシート)を積層した後、積層体に対して最終加圧を行う。最終加圧時の圧力は、好ましくは10〜200MPaである。また、加熱温度は、40〜100℃が好ましい。その後に、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。
外層用シートの調製に用いる外層用ペーストは、概略としては前記誘電体ペーストと同様の組成であり、その作製方法もほぼ同様である。但し、外層用シートの場合は、シート厚みが5〜100μm、好ましくは5〜50μm程度であり、誘電体シートよりもはるかに厚い。そのために、外層用ペーストとしては、ペースト中の不揮発分濃度を50〜80重量%程度にする必要がある。不揮発分濃度が高いことによりペースト粘度が高くなるため、ボールミル時に小径メディアでは動きが悪く、混合・粉砕の効率が低下してしまう。そこで、外層用ペーストの場合は大径メディアに置き換えて用いる。大径メディアを用いることにより誘電体粉末に対する粉砕効果が低下してしまうが、外層用シートの場合は誘電体シートのような薄層化や高密度化が必要とされないことから、大径メディアを用いても問題にはならない。
外層用シートの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されないが、本実施形態では、ダイコータ法が好ましく採用される。外層用シート厚みは、8.0〜10.0μm程度であり、外層の厚さが100μmになるように、外層用シートを積層した後、上記積層体ユニットを100層積層し、さらに外層用シートを100μm積層し、積層体が得られる。その後に、積層体を所定サイズに切断し、グリーンチップを形成する。
このグリーンチップは、脱バインダ処理、焼成処理が行われ、そして、誘電体層を再酸化するため、熱処理が行われる。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の電極材粉体にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時間、
保持温度:200〜800℃、特に250〜600℃、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス。
焼成条件は、下記の条件が好ましい。
昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜1250℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8 Paにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
このような焼成を行った後の熱処理は、保持温度または最高温度を、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1000〜1100℃として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲を超えると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1Pa、より好ましくは10−2Pa〜1Paである。前記範囲未満では、誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層が酸化する傾向にある。そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が好ましい。
保持時間:0〜6時間、特に1〜4時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
なお、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は0〜75℃程度が好ましい。また脱バインダ処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。これらを連続して行なう場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の際の保持温度まで昇温して焼成を行ない、次いで冷却し、熱処理の保持温度に達したときに雰囲気を変更して熱処理を行なうことが好ましい。一方、これらを独立して行なう場合、焼成に際しては、脱バインダ処理時の保持温度までNガスあるいは加湿したNガス雰囲気下で昇温した後、雰囲気を変更してさらに昇温を続けることが好ましく、熱処理時の保持温度まで冷却した後は、再びNガスあるいは加湿したNガス雰囲気に変更して冷却を続けることが好ましい。また、熱処理に際しては、Nガス雰囲気下で保持温度まで昇温した後、雰囲気を変更してもよく、熱処理の全過程を加湿したNガス雰囲気としてもよい。
このようにして得られた焼結体(図1の素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6、8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、端子電極用ペーストは、上記した電極用ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、上述した実施形態では、グリーンシート10aとその上に形成された内部電極前駆層12aとからなる積層体ユニットUaを複数個積層して、多層積層体を得ているが、グリーンシート10aの形成と内部電極前駆層12aの形成を交互に繰り返してもよい。この場合においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本発明の方法は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限らず、積層インダクタ、多層基板等、その他の積層型電子部品の製造方法としても適用することが可能である。
(実施例)
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下の実施例および比較例における物性評価は以下のように行った。
「シートの接着力」
アクリル系樹脂をバインダとする厚さ0.9μmの誘電体グリーンシート上に、後述する内部電極形成ペーストを用いて厚さ0.8μmの内部電極前駆層をスクリーン印刷により形成した積層体ユニットを2枚準備した。一方の積層体ユニットの内部電極前駆層上に、他方の積層体ユニットの誘電体グリーンシート側を積層した。別に、支持フィルム上にブチラール系樹脂を塗布してなる接着フィルムを準備した。該接着フィルムのブチラール系樹脂層に、上記積層体の誘電体グリーンシート側を貼着し、測定サンプルを調製した。測定サンプルの支持フィルム側を吸着テーブルに固定した。
次いで、1mm角の両面粘着テープを先端に貼着した引上治具を準備した。引上治具先端の粘着テープを、前記測定サンプル上面の内部電極前駆層に貼着し、引上治具を垂直に引き上げた。この際の、積層体ユニット界面(一方の誘電体グリーンシートと他方の内部電極前駆層との界面)での剥離力を測定し、シートの接着力とした。
なお、誘電体グリーンシートは、以下のようにして調製した。
先ず、1リットルのポリスチレン製樹脂容器にφ2mmのZrOメディアを1.8kg投入し、平均粒子径が0.2μmの誘電体粉末200g(これを100重量部とする)と、無機添加剤として(Ba,Ca)SiO及びY、MnO、Vを含んだ混合物を4.2重量部と、アクリル酸ブチル単量体単位とメタクリル酸メチル単量体単位からなる共重合体(重合比=18:82)(ガラス転移点Tgが70℃、平均分子量が45万、酸価5mgKOH/g)6重量部と、微量の可塑剤と分散剤と、溶剤(MEK:トルエン=88:12、重量比)180重量部を投入した。周速45m/分にて混合粉砕を行った。得られたスラリーの不揮発分濃度は35%程度であった。次に、このスラリーを湿式ジェットミル((株)スギノマシン製 HJP−25005)にて混合分散して、誘電体ペーストを得た。得られた誘電体ペーストを、ドクターブレード法で塗工し、厚さ0.9μmの誘電体グリーンシートを得た。
「表面粗さ」
アクリル系樹脂をバインダとする誘電体グリーンシート上に、内部電極前駆層を形成した。80℃で約5分乾燥した後、内部電極前駆層の平均表面粗さRaを、表面粗さ計(サーフコーダ:SE-30D、小坂研究所(株)製)を用いて測定した。
なお、平均表面粗さRaとは、粗さ曲線を中心線から折り返し、その粗さ曲線と中心線によって得られた面積を長さLで割った値(単位:μm)である。
「積層ズレ」
外層用シートを作製するための外層用ペーストを、前記誘電体ペーストと同様にして製造した。ただし、ボールミル時にφ2mmのZrOメディアに代えてφ10mmのZrOメディアを用いた。
得られた外層用ペーストを、ダイコータ法により塗工し、厚さ8.0〜10.0μmの外層用シートを作製した。外層用シートを、総厚が100μmになるように積層した後、上記積層体ユニットを100層積層し、さらに外層用シートを100μm積層し、積層ブロックを得た。
得られた積層ブロックの中央部で2分割した。切断方向は、電極パターンの長手方向に対して垂直に切断した。切断面の中央部(積層ブロック中央)を、顕微鏡を用いて観察して、電極の積層ズレを計測した。積層ズレが50μm以上の場合では、後工程となる切断工程が困難となる。また切断しても内部電極が端面に出てきてしまうために、端子電極を付ける際にショート不良を起こすことがある。
「クラック発生率」
上記で得た、2分割された積層ブロックを、約2.0×1.2mmで切断し、積層型コンデンサグリーンチップを得た。積層型コンデンサグリーンチップ100個を、以下の条件で焼成し、積層型コンデンサチップを得た。
脱バインダ:200℃/時間にて昇温して、400℃で2時間保持し、脱バインダー処理を行った。(炉内雰囲気は、N若しくはHを含む)
焼成:200℃/時間にて昇温して、1200℃で2時間保持し、焼成を行った。(炉内雰囲気は、N若しくはHを含む)
焼成物の外観は、金属顕微鏡を用いて200倍にて観察して、クラックが発生したチップ数をカウントしてクラック発生率を算出した。
「総合評価」
下記特性のすべてを満たす場合を「良好」とし、いずれかを満たさない場合を「不良」と判定した。
シートの接着力:20N/cm2以上
表面粗さ:0.1μm以下
積層ズレ:50μm以下
クラック発生率:2%未満
(実施例1)
主バインダとして、数平均分子量2〜10万程度のエチルセルロース系樹脂と、平均粒子径0.2μmのNi粉を含む原料ペーストを準備した。該原料ペーストは、Ni粉100重量部に対してエチルセルロース系樹脂3.5重量部を含む。
また、副バインダとして、下記の樹脂を準備した。
テルペン樹脂A:ガラス転移点38℃、数平均分子量(700)
テルペン樹脂B:ガラス転移点−25℃、数平均分子量(500)
アルキルフェノール樹脂:ガラス転移点37℃
原料ペースト中のエチルセルロース系樹脂100重量部に対して、上記副バインダを20重量部添加し、脱泡ミキサー(イプロス社製)にて混合を行い、内部電極形成ペーストを調製した。
得られた内部電極形成ペーストを使用して、上記の方法により「シートの接着力」を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
また、副バインダとして、エチルセルロース系樹脂を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
また、副バインダとして、テルペン樹脂C(ガラス転移点23℃、数平均分子量800)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005018154
(実施例2)
副バインダとしてのテルペン樹脂Aおよびアルキルフェノール樹脂の添加量を表2に記載のように変化させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた内部電極形成ペーストを使用して、上記の方法により「シートの接着力」、「表面粗さ」、「積層ズレ」、「クラック発生率」を評価した。結果を表2に示す。
(比較例3)
副バインダとしてのエチルセルロース系樹脂の添加量を表2に記載のように変化させた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた内部電極形成ペーストを使用して、実施例2と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005018154
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ誘電体粒子の概略断面図である。 図2A〜図2Cは、本発明の一実施形態に係る、内部電極層およびグリーンシートの積層方法を示す要部断面図である。
符号の説明
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
10a… グリーンシート
12… 内部電極層
12a… 内部電極前駆層
14… 余白パターン層
20… キャリアシート(支持体)
Ua,Ub… 積層体ユニット

Claims (10)

  1. 電極材粉体と、
    主バインダとしてのエチルセルロース系樹脂と、
    副バインダとしてのアルキルフェノール樹脂とを含むスクリーン印刷用内部電極形成ペーストであって、
    前記副バインダが、主バインダ100重量部に対し70〜90重量部で、
    前記内部電極形成ペーストの25℃における粘度が、50〜120dPa・sであることを特徴とするスクリーン印刷用内部電極形成ペースト。
  2. エチルセルロース系樹脂の数平均分子量が1万〜20万である請求項1に記載の内部電極形成ペースト。
  3. 副バインダのガラス転移点が50℃以下である請求項1または2に記載の内部電極形成ペースト。
  4. 電極材粉体100重量部に対して、主バインダと副バインダとを合計で4.2〜6.65重量部含む請求項1〜3のいずれかに記載の内部電極形成ペースト。
  5. 前記電極材粉末がNiを含む1〜4のいずれかに記載の内部電極形成ペースト。
  6. 前記電極材粉体の平均粒子径が、0.05〜0.3μmである請求項1〜5のいずれかに記載の内部電極形成ペースト。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の内部電極形成ペーストを用いて製造された内部電極層と、誘電体層とを有する積層型セラミック電子部品。
  8. 内部電極層の厚みが1.0μm以下である請求項7に記載の積層型セラミック電子部品。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の内部電極形成ペーストを準備する工程と、
    誘電体グリーンシートを成形する工程と、
    前記誘電体グリーンシート上に、前記内部電極形成ペーストをスクリーン印刷して内部電極前駆層を形成する工程と、
    内部電極前駆層が形成された複数の誘電体グリーンシートを積層して積層体を形成する工程と、
    前記積層体を焼成する工程と、
    を有する積層型セラミック電子部品の製造方法。
  10. 誘電体グリーンシートが、誘電体粉体と、バインダとしてのアクリル系樹脂とを含む請求項9に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
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