JP2011211033A - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

積層セラミック電子部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 焼成後のクラックやノンラミネーション等の構造欠陥を有効に防止でき、かつ耐圧不良が改善された積層セラミック電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 セラミック粒子を含むグリーンシートの形成工程と、導電性粒子を含む電極ペーストを用いて電極パターンを形成する工程と、電極パターンと相補関係にある余白パターンを余白セラミック粒子を含む余白ペーストを用いて形成する工程とを有し、電極パターンの単位体積あたりの導電性粒子の質量をd1、電極パターン厚みをt1、余白パターンの単位体積あたりの余白セラミック粒子の質量をd2、余白セラミック粒子の平均粒子径をr2、余白パターン厚みをt2、セラミック粒子の平均粒子径をr3とした場合に、0.9≦r2/r3≦1.1、0.7≦t2/t1≦0.9および1.25≦d1/d2≦1.67である電子部品の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサは、通常、キャリアシート上に誘電体ペーストを用いてドクターブレード法などによりセラミックグリーンシートを形成し、この上に内部電極形成用の導電性ペーストを所定パターンで印刷し、乾燥させて内部電極パターンを形成する。その後、キャリアシートからセラミックグリーンシートを剥離し、これを所望の層数まで積層する。
ここで、積層前にセラミックグリーンシートをキャリアシートから剥離する方法と、積層圧着後にキャリアシートを剥離する方法の2種類の積層法が知られているが、両者ともに大きな違いはない。最後にこの積層体をチップ状に切断してグリーンチップが作成される。これらのグリーンチップを焼成後、外部電極を形成し積層セラミックコンデンサが得られる。
ところで近年、電子機器の軽薄短小化が進んできている。これに伴い、その電子機器に使用される積層セラミックコンデンサにおいても、より一層の小型化・高容量化が進められている。積層セラミックコンデンサを小型化・高容量化するために最も効果的な方法は、内部電極と誘電体層を双方ともに可能な限り薄くし(薄層化)、かつそれらを可能な限り多く積層する(多層化)ことである。
しかしながら、積層セラミックコンデンサのように、セラミックグリーンシートと内部電極パターンとを交互に積層する場合には、セラミックグリーンシートの間に挟まれる内部電極パターンの同列上には、電極が形成されない隙間(余白パターン部分)が形成される。この余白パターン部分のために、内部電極パターンが存在する部分との間で段差を生じ、それが原因で、製品チップの変形、クラック、シート間のデラミネーションなどが問題になる。特に、コンデンサの高容量化を狙って、さらに1層あたりの誘電体層厚みを内部電極の厚み程度にまで薄くした場合、段差が生じた部分で誘電体層が切断されやすくなり、その結果、内部電極間の短絡などによるショート不良を生じ易く、不良率が増大する傾向にあった。
そこで近年、このような段差によって生じる諸問題を解決するために、内部電極(内部電極パターン)の形成に引き続き、内部電極が形成されていない隙間(余白パターン部分)に、電極段差を解消するための余白ペーストを用いて余白パターンを形成し、形成面を平坦化しつつ積層していく技術が知られている。
このような技術の1つとして、たとえば特許文献1が挙げられる。特許文献1では、内部導体が形成された絶縁体層上において、内部導体の段差を補償する段差補償層を設けたセラミック積層体が開示されている。このセラミック積層体においては、段差補償層を構成するセラミック粒子の平均粒径を、絶縁体層を構成するセラミック粒子の平均粒径よりも小さくしている。
しかしながら、内部電極層および誘電体層のさらなる薄層化および多層化が進むと、余白パターン形成時に段差を解消した場合であっても、焼成後にクラックやノンラミネーション等の構造欠陥が生じるという問題があった。また、誘電体層を構成するセラミック粒子と余白パターンを構成するセラミック粒子との間の焼結性のバランスが崩れ、焼成後において、耐圧不良が発生するという問題もあった。
特開2002−289456号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、焼成後のクラックやノンラミネーション等の構造欠陥を有効に防止でき、かつ耐圧不良が改善された積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、
セラミック粒子を含むグリーンシートを形成する工程と、
導電性粒子を含む電極ペーストを用いて前記グリーンシートまたは支持シートの表面に電極パターンを形成する工程と、
前記グリーンシートまたは前記支持シートの表面において前記電極パターンと相補関係にある余白パターンを、余白セラミック粒子を含む余白ペーストを用いて形成する工程と、
前記グリーンシートと前記電極パターンおよび前記余白パターンとを積層する工程と、を有し、
乾燥後の前記電極パターンの単位体積あたりの前記導電性粒子の質量をd1とし、積層方向における前記電極パターンの乾燥後の厚みをt1とし、
乾燥後の前記余白パターンの単位体積あたりの前記余白セラミック粒子の質量をd2、前記余白セラミック粒子の平均粒子径をr2とし、積層方向における前記余白パターンの乾燥後の厚みをt2とし、
前記セラミック粒子の平均粒子径をr3とした場合に、
0.9≦r2/r3≦1.1、0.7≦t2/t1≦0.9および1.25≦d1/d2≦1.67である関係を満足することを特徴とする。
本発明においては、電極パターンおよび余白パターンの焼結時の収縮を考慮して、乾燥後の電極パターンの厚み(t1)よりも乾燥後の余白パターンの厚み(t2)を若干小さくし、上記の範囲としている。導電性粒子は、余白セラミック粒子よりも焼結し始めるのが早く、しかもより大きく収縮するため、上記のようにすることで、焼成時において電極パターンと余白パターンとの段差が低減される。
ただし、焼成時の導電性粒子の焼結(収縮)だけではなく、脱バインダ時等において、バインダ等が除去されてもこれらのパターンの厚みは収縮する。そのため、単に余白パターンの厚みを電極パターンの厚みよりも薄くしただけでは、焼成後のノンラミネーションが増加してしまう。
そこで、本発明では、乾燥後の電極パターンの単位体積あたりの導電性粒子の質量(d1)および乾燥後の余白パターンの単位体積あたりの余白セラミック粒子の質量(d2)を上記の範囲としている。このようにすることで、焼成後のクラックだけではなく、ノンラミネーションを効果的に抑制することができる。
また、グリーンシートおよび余白パターンの一部は、焼成後にはどちらもセラミック層となるが、これらの焼結度合いのバランスが異なると、耐圧不良が発生してしまう。そこで、さらに本発明では、グリーンシートおよび余白パターンの焼結度合いのバランスを良好にするために、グリーンシートに含まれるセラミック粒子の平均粒子径(r3)と、余白パターンに含まれる余白セラミック粒子の平均粒子径(r2)とを上記の範囲としている。このような範囲とすることで、グリーンシートを形成するセラミック粒子の焼結度合いが良好となり、耐圧不良を抑制することができる。
なお、電極パターンおよび余白パターンは、グリーンシートの表面に形成されてもよいし、接着層等を介して形成されてもよい。また、支持シートとしてのキャリアシート上に形成されてもよい。
好ましくは、前記t2が1.2μm以下である。
好ましくは、前記グリーンシートと前記電極パターンおよび前記余白パターンとを積層する積層数が200層以上である。
電極パターンおよびグリーンシートの薄層化および多層化が進むほど、本発明の効果が大きくなるため、t2および積層数を上記の範囲とすることが好ましい。
好ましくは、前記セラミック粒子の組成と前記余白セラミック粒子の組成とが実質的に同じである。このようにすることで、セラミック層の組成ズレを防止することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2(A)〜図2(C)は本発明の一実施形態に係る製造方法において、グリーンシート、電極パターンおよび余白パターンの形成方法を示す要部断面図である。 図3(A)〜図3(C)は本発明の他の実施形態に係る製造方法において、転写法を用いて、グリーンシート、電極パターンおよび余白パターンの形成方法を示す要部断面図である。 図4(A)〜図4(C)は図3の続きの工程を示す要部断面図である。 図5(A)、図5(B)は本発明の他の実施形態に係る製造方法において、転写法を用いて、グリーンシート、電極パターンおよび余白パターンを有する積層体ユニットの形成方法を示す要部断面図である。 図6(A)、図6(B)は図5の続きの工程を示す要部断面図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
積層セラミックコンデンサ
まず、本発明に係る方法により製造される電子部品の一実施形態として、積層セラミックコンデンサの全体構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素子本体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に、これらの内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第1端部の外側に形成してある第1端子電極6の内側に対して電気的に接続してある。また、交互に積層される他方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の第2端部の外側に形成してある第2端子電極8の内側に対して電気的に接続してある。
誘電体層10の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムあるいはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層10の厚みは特に限定されないが、本実施形態では、好ましくは2μm以下に薄層化されている。
内部電極層12に含有される導電性材料は特に限定されないが、誘電体層10の構成材料が耐還元性を有している場合には、導電性金属として比較的安価な卑金属を用いることができる。導電性材料として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層12は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層12の厚さは、好ましくは1.2μm以下、より好ましくは0.8μm以下に薄層化されている。
端子電極6および8の材質も特に限定されないが、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極6および8の厚みも特に限定されないが、通常10〜50μm程度である。
積層セラミックコンデンサ2の形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。積層セラミックコンデンサ2が直方体形状の場合は、通常、縦(0.6〜5.7mm、好ましくは0.6〜3.2mm)×横(0.3〜5.0mm、好ましくは0.3〜1.6mm)×厚み(0.1〜1.9mm、好ましくは0.3〜1.6mm)程度である。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ2は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、端子電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法の一例について具体的に説明する。
ペーストの調製
まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を構成することになるグリーンシートを製造するための誘電体ペースト、焼成後に図1に示す内部電極層を構成することとなる電極パターンを形成するための電極ペースト、および電極パターンの段差を解消する余白パターンを形成するための余白ペーストを準備する。
本実施形態では、誘電体ペーストは、セラミック粒子の集合であるセラミック粉末(誘電体原料)と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
セラミック粉末としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。セラミック粒子の平均粒子径をr3とすると、r3は、好ましくは0.02〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmである。なお、極めて薄いグリーンシートを形成するためには、グリーンシート厚みよりも細かい粉体を使用することが望ましい。
セラミック粉末は、誘電体ペースト中に、好ましくは10〜50質量%含まれる。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いられるバインダとしては、特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂などの通常の各種バインダが用いられるが、好ましくは、アクリル樹脂、あるいはポリビニルブチラールなどのブチラール樹脂が用いられる。
また、有機ビヒクルに用いられる有機溶剤も特に限定されず、テルピネオール、アルコール、ブチルカルビトール、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ステアリン酸ブチル、イソボニルアセテートなどの有機溶剤が用いられる。
また、水系ペーストにおけるビヒクルは、水に水溶性バインダを溶解させたものである。水溶性バインダとしては特に限定されず、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、水溶性アクリル樹脂、エマルジョンなどが用いられる。
誘電体ペースト中のバインダ、溶剤等の含有量は特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、有機溶剤(または水)は10〜50質量%程度とすればよい。
誘電体ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、ガラスフリット、絶縁体、帯電除剤などから選択される添加物が含有されても良い。ただし、これらの総含有量は、10質量%以下とすることが望ましい。可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。バインダとして、ブチラール樹脂を用いる場合には、可塑剤は、バインダ100質量%に対して、25〜100質量%の含有量であることが好ましい。可塑剤が少なすぎると、グリーンシートが脆くなる傾向にあり、多すぎると、可塑剤が滲み出し、取り扱いが困難である。
次に、電極ペーストを準備する。本実施形態では、電極ペーストは、上記した導電性金属や合金からなる導電性材料、あるいは焼成後に導電性材料となる各種酸化物、有機金属化合物、またはレジネート等と、有機ビヒクルとを混練して調製する。この電極ペーストは、導電性粒子の集合である導電性粉末と有機ビヒクルとを含有する。
このような導電性粉末は、球状、リン片状等、その形状に特に制限はなく、また、これらの形状のものが混合したものであってもよい。また、導電性粒子の平均粒子径をr1とすると、r1は、好ましくは0.05〜0.2μmである。
導電性粉末は、電極ペースト中に、好ましくは30〜60質量%含まれる。また、乾燥後の電極パターンの単位体積あたりの導電性粒子の質量をd1とすると、d1は、好ましくは4〜6g/cmである。
有機ビヒクルに含まれるバインダとしては、たとえばエチルセルロース、アクリル樹脂、ポリビニルブチラールなどのブチラール樹脂、ポリビニルアセタールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、または、これらの共重合体などが例示される。これらのなかでも、エチルセルロース、あるいはポリビニルブチラールなどのブチラール樹脂が好ましい。また、誘電体ペーストに含まれるバインダと同じバインダであってもよいし、異なっていてもよい。
有機溶剤としては、たとえばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン、アセトン、イソボニルアセテート等公知のものはいずれも使用可能である。電極ペースト中のバインダ、有機溶剤等の含有量は、誘電体ペーストと同様に、特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、有機溶剤(または水)は30〜65質量%程度とすればよい。
電極ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、安定剤などが含まれていてもよい。たとえば、接着性を改善するために、可塑剤としてフタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが含まれていてもよい。
また、電極ペースト中には、上記誘電体ペーストに含まれるセラミック粉末と同じセラミック粉末が共材として含まれていても良い。共材は、焼成過程において導電性粉末の焼結を抑制する作用を奏する。共材として用いるセラミック粉末は、導電性ペースト中に、導電性粉末100質量%に対して、好ましくは2.5〜25質量%で含まれる。共材量が少なすぎると、導電性粉末の焼結抑制効果が低下し、焼成後の内部電極層12のライン性(連続性)が悪化し、見かけの誘電率が低下する。一方で、共材量が多すぎると、焼成後の内部電極層12のライン性が悪化しやすくなり、見かけの誘電率も低下する傾向にある。
次に、余白ペーストを準備する。本実施形態では、余白ペーストは、余白セラミック粒子の集合である余白セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られる有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
余白セラミック粉末としては、誘電体ペーストに含まれるセラミック粉末の組成と異なる組成を有するものであってもよいが、実質的に同じ組成であることが好ましい。余白パターンは焼成後に誘電体層を構成するため、焼成後の誘電体層の組成ズレを防止できるからである。
また、余白セラミック粒子の平均粒子径をr2とすると、r2は、好ましくは0.02〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.3μmである。
また、本実施形態では、r2とr3とは、0.9≦r2/r3≦1.1、好ましくは0.95≦r2/r3≦1.05の関係にある。後述するが、r2とr3とがこのような関係にあることで、焼成時におけるセラミック粒子と余白セラミック粒子との焼結性のバランスを良好にすることができる。その結果、焼結体において、耐圧不良の発生を抑制することができる。
余白セラミック粉末は、余白ペースト中に、好ましくは30〜60質量%含まれる。また、乾燥後の余白パターンの単位体積あたりの余白セラミック粒子の質量をd2とすると、d2は、好ましくは3〜4g/cmである。
有機ビヒクルに含まれるバインダとしては、本実施形態ではエチルセルロース樹脂、アルキド樹脂またはアクリル樹脂を主成分とすることが好ましい。また、これらは組み合わせて用いても良い。誘電体ペーストまたは電極ペーストに含まれるバインダと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
有機溶剤も、誘電体ペーストまたは電極ペーストに含まれる溶剤と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
余白ペースト中のバインダ、有機溶剤等の含有量は、誘電体ペーストまたは電極ペーストと同様に、特に限定されず、通常の含有量、たとえばバインダは1〜5質量%程度、有機溶剤(または水)は30〜65質量%程度とすればよい。
また、余白ペーストは、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、安定剤などが含まれていてもよい。たとえば、接着性を改善するために、可塑剤としてフタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが含まれていてもよい。
なお、各ペーストは、上記各成分をボールミルや3本ロールミルなどで混合・混練し、スラリー化することにより作製することができる。
グリーンシート、電極パターンおよび余白パターンの形成
上記で準備した誘電体ペーストを用いて、ダイコート法、ドクターブレード法などにより、図2(A)に示すように、支持体としてのキャリアシート20上に、好ましくは0.6〜1.2μm、より好ましくは0.8〜1.0μm程度の厚みで、グリーンシート10aを形成する。
キャリアシート20としては、たとえばPETフィルムなどが用いられ、剥離性を改善するために、シリコーンなどがコーティングしてあるものが好ましい。キャリアシート20の厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜100μmである。
グリーンシート10aは、キャリアシート20に形成された後に乾燥される。グリーンシート10aの乾燥温度は、好ましくは50〜100℃であり、乾燥時間は、好ましくは1〜20分である。
本実施形態では、乾燥後のグリーンシート10aの厚みが、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.8μm以下であることが好ましい。近年望まれている薄層化の要求に応えるためである。
次に、図2(B)に示すように、キャリアシート20上に形成されたグリーンシート10aの表面に、電極パターン12aを形成する。
電極パターン12aの形成方法は、層を均一に形成できる方法であれば特に限定されないが、電極ペーストを用いたスクリーン印刷法あるいはグラビア印刷法などが用いられる。
本実施形態では、上記の電極ペーストを用いて、スクリーン印刷法によりグリーンシートの表面に電極パターンを形成した後、これを乾燥する。
乾燥後の電極パターン12aの厚さをt1とすると、t1は好ましくは0.3〜1.0μm、より好ましくは0.3〜0.8μmである。電極パターン12aの厚さが厚すぎると、積層数を減少せざるをえなくなり取得容量が少なくなり、高容量化しにくくなる。一方、厚みが薄すぎると均一に形成することが困難であり、電極途切れが発生しやすくなる。
次に、電極パターン12aが形成されたグリーンシート10aの表面に、図2(B)に示す電極パターン12aが形成されていないグリーンシート10aの表面隙間(余白パターン部分50)に、図2(C)に示すように、余白パターン10bを形成する。すなわち、グリーンシートの表面において電極パターンと相補関係にある余白パターン10bを形成する。その後乾燥する。
余白パターン10bの形成方法は、電極パターン12aの形成方法と同様にすればよく、本実施形態では余白ペーストを用いて、スクリーン印刷法により電極パターンが形成されたグリーンシートの表面に余白パターンを形成する。
乾燥後の余白パターン10bの厚さをt2とすると、t2は好ましくは0.25〜0.9μm、より好ましくは0.25〜0.75μmである。
このように、本実施形態では、余白パターンの厚みt2を、電極パターンの厚みt1よりも小さくしている。具体的には、0.7≦t2/t1≦0.9、好ましくは0.8≦t2/t1≦0.9である。このような余白パターンを形成するには、電極パターンを形成する場合と比較して、たとえばスクリーンのメッシュの隙間を小さくする等してメッシュにおけるペーストの透過体積を小さくすればよい。
従来は、段差を解消するために、電極パターンの厚みと余白パターンの厚みとを同じにしている。しかしながら、このようにすると、パターン形成時(あるいは乾燥時)には確かに段差は解消されるものの、電極パターン(導電性金属)の焼結による収縮と、余白パターン(セラミック)の焼結による収縮とが異なるため、焼成時に電極パターンと余白パターンとの段差が生じてしまう。その結果、この段差に起因して、焼成後の積層セラミック電子部品(積層セラミックコンデンサなど)にクラックが発生してしまう。このようなクラックは、電極層およびセラミック層の薄層化および多層化が進むほど顕著となる傾向にあった。
これに対し、本実施形態では、電極パターン12aの厚みt1と余白パターン10bの厚みt2とを上記の関係とすることで、焼成時に生じる段差が低減される。その結果、焼成後のクラックを効果的に防止することができる。
しかしながら、特に積層セラミック電子部品における積層数が増加すると、余白パターンの厚みを電極パターンの厚みよりも小さくしただけでは、焼成時のノンラミネーションが増加する傾向にある。
そこで、本実施形態では、電極パターンの単位体積あたりの導電性粒子の質量であるd1と、余白パターンの単位体積あたりの余白セラミック粒子の質量であるd2と、を特定の関係としている。具体的には、d1/d2が1.25〜1.67、好ましくは1.4〜1.6である。
脱バインダ時あるいは焼成の初期段階においては、余白パターンおよび電極パターンに含まれるバインダ等が除去されるため、これらのパターンの厚みが減少する。さらに焼成が進むと、導電性粒子およびセラミック粒子等が焼結し始め、これらのパターンの厚みはさらに減少する。すなわち、焼成時における電極パターンおよび余白パターンの収縮(体積減少)は、d1およびd2にも関連する。
したがって、d1およびd2が上記の関係を満足するようにすることで、焼成時に生じる段差をより低減し、焼成後のノンラミネーションを効果的に防止することができる。特に、電極パターン等の薄層化が進むほど、あるいは積層数が増加するほど顕著な効果が得られる。具体的には、積層数は200以上が好ましく、400以上がより好ましい。
なお、上記では、グリーンシートの表面に電極パターンを形成してから、余白パターンを形成しているが、形成する順序が逆であってもよい。すなわち、グリーンシートの表面に余白パターンを形成してから、電極パターンを形成してもよい。電極パターンと余白パターンとは相補関係にあるからである。
グリーンチップの作製、焼成など
次に、以上のような、電極パターン12aと余白パターン10bが表面に形成されたグリーンシート10aを複数積層して、グリーン積層体を得る。そして、得られたグリーン積層体を所定のサイズに切断して、グリーンチップを作製し、脱バインダ工程および焼成工程を行う。
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電性材料としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、下記の条件で行えばよい。
保持温度は200〜600℃、特に250〜500℃、保持時間は0.5〜20時間とすることが好ましい。また、雰囲気は加湿したNとHとの混合ガスとすることが好ましい。昇温速度は5〜300℃/時間とすることが好ましい。
焼成は、下記の条件で行えばよい。昇温速度は50〜500℃/時間とすることが好ましい。また、保持温度は1100〜1300℃とし、保持時間は0.5〜8時間とすることが好ましい。冷却速度は昇温速度と同様にするのが好ましい。また、雰囲気は加湿したNとHとの混合ガス等とすることが好ましい。このとき、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−2Pa以下、特に10−2〜10−8 Paにて行うことが好ましい。
このような焼成を行った後の熱処理(アニール処理)は、保持温度または最高温度を、好ましくは800℃以上として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために絶縁抵抗寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、焼成時の還元雰囲気よりも高い酸素分圧であり、好ましくは10−3Pa〜1Paである。前記範囲未満では、誘電体層10の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層12が酸化する傾向にある。
その他の熱処理条件としては、保持時間を0〜6時間、雰囲気用ガスを加湿したNガス等とすることが好ましい。
なお、脱バインダ処理、焼成および熱処理は、それぞれを連続して行っても、独立に行ってもよい。
このようにして得られた焼結体(素子本体4)には、例えばバレル研磨、サンドブラスト等にて端面研磨を施し、端子電極用ペーストを焼きつけて端子電極6,8が形成される。端子電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、端子電極6,8上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。
このようにして本発明に係る方法により製造された積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
その他の実施形態
たとえば、上述した実施形態では、各種ペーストを用いて、グリーンシートの表面に電極パターンおよび余白パターンを直接形成しているが、以下のように転写法を用いて、グリーンシートの表面に電極パターンおよび余白パターンを形成してもよい。
誘電体ペースト、電極ペーストおよび余白ペーストについては、上述の実施形態において用いたものを用いればよい。
まず、誘電体ペーストを用いて、ドクターブレード法などにより、図4(A)に示すように、第2支持シートとしてのキャリアシート30上にグリーンシート10aを形成する。グリーンシート10aは、キャリアシート30に形成された後に乾燥される。
次に、上記のキャリアシート30とは別に、図3(A)に示すように、第1支持シートとしてのキャリアシート20を準備し、その上に、剥離層22を形成する。
次に、剥離層の表面に、電極パターン12aを印刷法で形成した後、またはその前に、図2(B)に示す内部電極パターン12aが形成されていないグリーンシート10aの表面隙間(余白パターン部分50)に、図2(C)に示すように、余白パターン10bを形成する。形成された電極パターンおよび余白パターンの厚みは、上述の実施形態と同様にすればよい。
次に、上記のキャリアシート20および30とは別に、キャリアシート26の表面に接着層28が形成してある接着層転写用シートを準備する。
図3(B)に示すように、キャリアシート26に形成してある接着層28を、電極パターン12aおよび余白パターン10bの表面に押し付け、加熱加圧して、その後キャリアシート26を剥がすことにより、図3(C)に示すように、接着層28を、電極パターン12aおよび余白パターン10bの表面に転写する。
その後に、電極パターン12aおよび余白パターン10bを、図4(A)に示すキャリアシート30の表面に形成してあるグリーンシート10aの表面に接着する。そのために、図4(B)に示すように、電極パターン12aおよび余白パターン10bを、接着層28を介して、グリーンシート10aの表面にキャリアシート20と共に押し付ける。そして、加熱加圧して、図4(C)に示すように、電極パターン12aおよび余白パターン10bをグリーンシート10aの表面に転写する。ただし、グリーンシート側のキャリアシート30が引き剥がされることから、グリーンシート10a側から見れば、グリーンシート10aが電極パターン12aおよび余白パターン10bに接着層28を介して転写される。
このような図3(A)〜図4(C)に示す工程により、グリーンシート10a上に、電極パターン12aおよび余白パターン10bが形成される。これを複数積層することで、グリーンシート10aと電極パターン12aおよび余白パターン10bとが交互に多数積層されたグリーン積層体を得る。その後は、上述の実施形態と同様にすればよい。
また、グリーンシート、電極パターンおよび余白パターンの形成条件は、上述の実施形態と同様にすればよい。剥離層および接着層は公知の方法により形成すればよく、転写時の加熱加圧条件も公知の条件とすればよい。
この実施形態においては、グリーンシートと電極パターンおよび余白パターンとを接着層を介して転写法により積層したが、図5および図6に示すように、グリーンシート10aの表面に電極パターン12aおよび余白パターン10bを形成して得られる積層体ユニットU1a〜U1cを、接着層28を介して外層用グリーンシート上に積層してもよい。あるいは、積層体ユニットを積層して所定の積層数とした積層体ブロックを形成し、これを、接着層を介して積層してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明に係る積層セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る積層セラミック電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、積層圧電アクチュエータ、積層バリスタなどにも適用できることは勿論である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
誘電体ペーストの作製
まず、グリーンシートを形成するための誘電体ペーストを作製した。平均粒子径r3が0.15μmであるBaTiO系粒子を含む誘電体材料と、有機ビヒクルとを、ボールミルで混合し、誘電体ペーストを得た。有機ビヒクルは、誘電体材料100質量%に対して、バインダとしてポリビニルブチラール:6質量%、可塑剤としてフタル酸ビス(2エチルヘキシル)(DOP):3質量%、溶剤としてメチルエチルケトン:60質量%、トルエン:20質量%の配合とした。
余白ペーストの作製
次いで、余白パターンを形成するための余白ペーストを作製した。平均粒子径r2が0.15μmであるBaTiO系粒子を含む誘電体材料と、有機ビヒクルとを、ボールミルで混合し、余白ペーストを得た。有機ビヒクルは、誘電体材料100質量%に対して、バインダとしてエチルセルロース:4.5質量%、可塑剤としてフタル酸ベンジルブチル(BBP):6.3質量%、溶剤としてターピネオール:90質量%の配合とした。
なお、誘電体ペーストに含まれるセラミック粒子の平均粒子径r3および余白ペーストに含まれる余白セラミック粒子の平均粒子径r2はどちらも0.15μmである。また、セラミック粒子および余白セラミック粒子の組成は同じであった。
電極ペーストの作製
さらに、電極パターンを形成するための電極ペーストを作製した。平均粒子径r1が0.15μmである導電性粒子としてのNi粒子を含む導電性粉末と、有機ビヒクルとを、ボールミルで混合し、電極ペーストを得た。有機ビヒクルは、誘電体材料100質量%に対して、バインダとしてエチルセルロース:5質量%、溶剤としてターピネオール:95質量%の配合とした。
積層セラミックコンデンサ試料の作製
次いで、上記で作製した誘電体ペースト、余白ペーストおよび電極ペーストを用い、以下のようにして、積層セラミックコンデンサを製造した。
まず、PETフィルム上に、誘電体ペーストを用いて、乾燥後の厚みが0.8μmとなるようにグリーンシートを形成した。
次に、得られたグリーンシートの上に、電極ペーストを用いて、スクリーン印刷法により、乾燥後の厚みt1が0.8μmとなるように内部電極パターンを形成した。その後、グリーンシート上の内部電極パターンが形成されていない余白パターン部分(図2(B)参照)に、余白ペーストを用いて、スクリーン印刷法により、乾燥後の厚みt2が表1および2に示す厚みとなるように余白パターン(図2(C)参照)を形成した。これを乾燥することにより、図2(C)に示すような内部電極パターンおよび余白パターンを持つグリーンシートを得た。内部電極パターンの単位体積あたりの導電性粒子の質量であるd1は5g/cmであった。また、余白パターンの単位体積あたりの余白セラミック粒子の質量であるd2は表1および2に示す値とした。
次に、内部電極パターンおよび余白パターンを持つグリーンシートを、積層数が400となるまで積層してグリーン積層体を得た。
次に、得られたグリーン積層体を所定サイズに切断した後、脱バインダ処理、焼成及びアニールを下記の条件にて行い、焼結体を得た。
脱バインダは、昇温速度:15℃/時間、保持温度:280℃、保持時間:8時間、処理雰囲気:空気雰囲気、の条件で行った。
焼成は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1200〜1380℃、保持時間:2時間、降温速度:300℃/時間、処理雰囲気:還元雰囲気(酸素分圧:10−6PaにNとHとの混合ガスを水蒸気に通して調整した)、の条件で行った。
アニールは、保持温度:900℃、保持時間:9時間、降温速度:300℃/時間、処理雰囲気:加湿したNガス雰囲気、の条件で行った。焼成及びアニールにおけるガスの加湿には、ウェッターを用い、水温は35℃とした。
次に、得られた焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、In−Ga合金を塗布して、試験用電極を形成し、積層セラミックコンデンサ試料を得た。
コンデンサ試料のサイズは、縦1.0mm×横0.5mm×高さ0.5mmであり、一対の内部電極層間に挟まれる誘電体層の厚みは約0.7μm、内部電極層の厚みは0.6μmであった。また積層数は400であった。
コンデンサ試料の評価
得られたコンデンサ試料について、ノンラミネーションおよびクラックの発生率を評価した。
得られたコンデンサ試料を切断し、その断面を観察して、ノンラミネーションおよびクラックの有無を評価した。これを1000個のコンデンサ試料に対して行い、その発生率を算出した。ノンラミネーションの発生率は0%、クラックの発生率は0%であることが好ましい。結果を表1および2に示す。
Figure 2011211033
Figure 2011211033
表1より、電極パターンの厚みt1と、余白パターンの厚みt2とが、本発明の範囲内であり、かつ電極パターンの単位体積あたりの導電性粒子の質量d1と、余白パターンの単位体積あたりの余白セラミック粒子の質量d2とが、本発明の範囲内である場合には、ノンラミネーションおよびクラックが発生していないことが確認できた。
表2より、電極パターンの厚みt1と、余白パターンの厚みt2とが、本発明の範囲内であっても、電極パターンの単位体積あたりの導電性粒子の質量d1と、余白パターンの単位体積あたりの余白セラミック粒子の質量d2とが、本発明の範囲外である場合には、ノンラミネーションおよびクラックが多く発生することが確認できた。
実施例2
誘電体ペーストに含まれるBaTiO系粒子(セラミック粒子)の平均粒子径r3を表3に示す値とした以外は、試料番号8と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製し、以下に示す耐圧不良の発生率を評価した。
耐圧不良
耐圧不良については、60Vの直流電圧を1秒印加し、抵抗が6000Ω未満のコンデンサ試料を不良と判断し、耐圧不良発生率を算出した。耐圧不良の発生率は30%以下であることが好ましい。結果を表3に示す。
Figure 2011211033
表3より、誘電体ペーストに含まれるBaTiO系粒子(セラミック粒子)の平均粒子径r3と、余白ペーストに含まれるBaTiO系粒子(余白セラミック粒子)の平均粒子径r2とが、本発明の範囲内である場合に、耐圧不良の発生率が低減されていることが確認できた。
実施例3
グリーンシートと、電極パターンおよび余白パターンとの積層数を表4に示す数とした以外は、試料番号9、33および39と同様にして、積層セラミックコンデンサを作製し、クラック発生率を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2011211033
表4より、積層数が多くなるほど、本発明の効果が大きくなることが確認できた。特に積層数が200層以上の場合に、本発明の効果は顕著になることが確認できた。
2… 積層セラミックコンデンサ
4… コンデンサ素子本体
6,8… 端子電極
10… 誘電体層
10a… グリーンシート
10b… 余白パターン
10c… 外層用グリーンシート
12… 内部電極層
12a… 電極パターン
20、26… キャリアシート
22… 剥離層
28… 接着層
U1a〜U1c… 積層体ユニット

Claims (4)

  1. セラミック粒子を含むグリーンシートを形成する工程と、
    導電性粒子を含む電極ペーストを用いて前記グリーンシートまたは支持シートの表面に電極パターンを形成する工程と、
    前記グリーンシートまたは前記支持シートの表面において前記電極パターンと相補関係にある余白パターンを、余白セラミック粒子を含む余白ペーストを用いて形成する工程と、
    前記グリーンシートと前記電極パターンおよび前記余白パターンとを積層する工程と、を有し、
    乾燥後の前記電極パターンの単位体積あたりの前記導電性粒子の質量をd1とし、積層方向における前記電極パターンの乾燥後の厚みをt1とし、
    乾燥後の前記余白パターンの単位体積あたりの前記余白セラミック粒子の質量をd2、前記余白セラミック粒子の平均粒子径をr2とし、積層方向における前記余白パターンの乾燥後の厚みをt2とし、
    前記セラミック粒子の平均粒子径をr3とした場合に、
    0.9≦r2/r3≦1.1、0.7≦t2/t1≦0.9および1.25≦d1/d2≦1.67である関係を満足することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記t2が1.2μm以下である請求項1に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記グリーンシートと前記電極パターンおよび前記余白パターンとを積層する積層数が200層以上である請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記セラミック粒子の組成と前記余白セラミック粒子の組成とが実質的に同じである請求項1〜3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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