JP5014781B2 - 表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置 - Google Patents

表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、塗装を施すアルミニウム製品に好適に用いられる表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置に関する。
電気製品、器物、装飾品、建材などの塗装を施すアルミニウム製品に用いられるアルミニウム材やアルミニウム合金材などのアルミニウム材料は、塗膜の密着性を高めるため、下地処理が行われる。このような下地処理として、アルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する方法がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開平8−283990号公報 特開2003−147550号公報
しかしながら、従来の技術を用いてアルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成したものでは、密着性や耐食性が不十分である場合があり、より一層高い密着性および耐食性が要求されていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高い密着性および耐食性が得られる無孔質陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置を提供することを課題としている。
本発明者は、上記課題を解決するために、アルミニウム材料を電解液中で電解する電解工程の電解条件に着目し、電解工程を条件の異なる複数回の電解工程とした場合における各電解工程の最適な条件について、鋭意検討を行ない、本発明を想到した。
本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法は、アルミニウム材料を電解液中で電解する電解工程を行うことにより、前記アルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する表面処理アルミニウム材料の製造方法において、前記電解工程は、3回以上の電解工程からなり、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして行なう電流密度増加工程と、前記電流密度増加工程よりも後に行なわれ、前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして行なう電流密度減少工程とを含むことを特徴とする。
本発明において「無孔質陽極酸化皮膜」とは、空孔率が5%以下である陽極酸化皮膜のことを意味する。
アルミニウム材料中にはFe、Si、Tiなどの元素が添加されているが、これらの元素が晶析出する部分の周辺部は、電解工程を行なった場合に陽極酸化皮膜が形成されにくい。このため、アルミニウム材料の電解工程を行なうと、これらの元素が存在する部分の周辺部に、皮膜の膜厚が薄くて緻密さが不十分であるバリヤー性の弱い欠陥部分が形成されてしまう場合がある。このような欠陥部分は、腐食の起点となる。また、同一の電解電流密度を保持して電解工程を行なうと、初期に形成された無孔質陽極酸化皮膜のバリヤー性の弱い部分に電流が集中し、バリヤー性の弱い部分が発熱して、無孔質陽極酸化皮膜の表層が多孔質化してしまう場合があった。
ここで、電解工程を複数回とし、複数回の電解工程のうち少なくとも1回の電解工程を、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして行なうと、前回までの電解工程で形成された無孔質陽極酸化皮膜のバリヤー性の弱い部分に電流が集中し、バリヤー性の弱い部分が発熱するので、皮膜の局部的な溶解が促進される。その結果、アルミニウム材料中に含まれるFe、Si、Tiなどの晶析出部が化学的に溶解したり、物理的に脱落したりする。このことによって、前回までの電解工程において形成された欠陥部分が修復され、耐食性を低下させる腐食の起点を少なくすることができる。
しかし、電解電流密度が高いと、皮膜生成時の発熱が大きくなり、局部的に多孔質化してしまう。このため、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして電解工程を行なった後に、前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして電解工程を行なう。前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして電解工程を行なうと、前回の電解工程よりも皮膜生成時の発熱が小さくなり、皮膜の成長が均一化するので、前回までの電解工程において局部的に多孔質化した皮膜が修復され、均一で緻密な空孔率の低い皮膜が形成される。
本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法では、電解工程は、3回以上の電解工程からなり、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして行なう電流密度増加工程と、前記電流密度増加工程よりも後に行なわれ、前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして行なう電流密度減少工程とを含むので、電流密度増加工程によって、耐食性を低下させる腐食の起点を少なくした後、電流密度減少工程によって、前回までの電解工程において局部的に多孔質化した皮膜が修復され、均一で緻密な空孔率の低い皮膜が形成される。また、このようにして形成された無孔質陽極酸化皮膜は、空孔率が低く均一であるため、無孔質陽極酸化皮膜に含まれる電解液成分や水分などの塗装乾燥で放出されるガス成分が極めて少ないものとなり、密着性に優れたものとなる。したがって、本発明によれば、高い密着性および耐食性の得られる無孔質陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料が得られる。
本発明において、電流密度を変化させる工程は、直列に配置した電解槽を用いてアルミ条に連続的に行なってもよいし、単一槽のバッチ処理で変化させてもよい。
また、上記の表面処理アルミニウム材料の製造方法では、2回目以降の電解工程は、前回の電解工程終了後0.3秒以上電解を中断する中断工程を行なってから行なうことができる。
このような方法とすることで、皮膜生成時に発生した熱を放散させることができ、皮膜生成時の発熱に起因する局部的な多孔質化を抑制することができる。
また、上記の表面処理アルミニウム材料の製造方法では、前記3回以上の電解工程のうち少なくとも最後の1回の電解工程が、前記電解液としてpH8以上のアルカリ性電解液を用いる方法とすることができる。
電解液としてアルカリ性のものを用いると、水酸基などの無孔質陽極酸化皮膜の表面に密着性を高める官能基が形成されやすい。特に、最後の1回の電解工程において、電解液としてpH8以上のアルカリ性電解液を用いると効果的である。このため、上記の表面処理アルミニウム材料の製造方法において、3回以上の電解工程のうち少なくとも最後の1回の電解工程を、電解液としてpH8以上のアルカリ性電解液を用いる方法とすることで、より一層密着性に優れた無孔質陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料が得られる。
また、上記の表面処理アルミニウム材料の製造方法では、前記無孔質陽極酸化皮膜の空孔率が、2%以下である方法とすることができる。
空孔率が2%以下であると、空孔中に含まれる水分や不純物など密着性を低下させる成分が少ないものとなる。また、空孔率が2%以下であると、腐食の起点となる空孔が少ないので、欠陥が少なく、耐食性の高いものとなる。よって、空孔率が2%以下であると、耐食性および密着性に非常に優れたものとなる。さらに、空孔率が1%以下であることが好ましい。
本発明の表面処理アルミニウム材料の製造装置は、アルミニウム材料を電解液中で電解する電解工程を行うことにより、前記アルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する表面処理アルミニウム材料の製造装置であって、上流から下流まで直列に配置された3つ以上の電解槽を備え、前記3つ以上の電解槽は、一つ前の電解槽よりも高い電解電流密度で電解工程を行なう電流密度増加槽と、前記電流密度増加槽よりも下流に配置され、一つ前の電解槽よりも低い電解電流密度で電解工程を行なう電流密度減少槽とを備えることを特徴とする。
このような製造装置とすることで、電解工程を3回以上行うことができ、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして行なう電流密度増加工程と、電流密度増加工程よりも後に前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして行なう電流密度減少工程とを行なうことができる。したがって、本発明の表面処理アルミニウム材料の製造装置によれば、高い密着性および耐食性の得られる無孔質陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料を製造できる。
本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法および表面処理アルミニウム材料の製造装置によれば、空孔率が低く、密着性および耐食性に優れた無孔質陽極酸化皮膜を有し、電気製品、器物、装飾品、建材などの塗装を施すアルミニウム製品に好適な表面処理アルミニウム材料を提供できる。
以下、本発明に係る表面処理アルミニウム材料の製造装置および表面処理アルミニウム材料の製造方法の第1実施形態について詳細に説明する。
本発明において用いられるアルミニウム材料としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることができ、特に限定されない。具体的には、例えば、純アルミ系の1000系合金、Al−Cu系、Al−Cu−Mg系の2000系合金、Al−Mn系の3000系合金、Al−Si系の4000系合金、Al−Mg系の5000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金、Al−Zn−Mg−Cu系、Al−Zn−Mg系の7000系合金、Al−Fe−Mn系の8000系合金などが用いられ、成形用合金、構造用合金、電気用合金、AC1A,AC2A,AC3A,AC4Bなどの鋳造用合金などが用いられる。
また、アルミニウム材料としては、上記の合金に溶体化処理、時効処理などの種々の調質処理を施したものも用いることができる。さらに、これらのアルミニウム合金を表面にクラディングしたクラッド材も使用できる。また、予めプレス成形加工などを施した加工材であってもよく、未加工の板材、押出材、鋳造品であってもよい。本発明にあっては、これらの合金のなかでも、1000系合金、3000系合金、5000系合金が好ましい。
本実施形態においては、アルミニウム材料に対して電解工程を行う前に前処理を行なう。ここでの前処理は、特に限定されず、アルミニウム材料の表面に付着した油脂分を除去することができ、アルミニウム材料表面の不均質な酸化物皮膜が除去できる処理であればいかなる処理であってもよい。具体的には、例えば、アルミニウム材料に対して、弱アルカリ性の脱脂液による脱脂処理を施したのち、水酸化ナトリウム水溶液でアルカリエッチングをし、硝酸水溶液中でデスマット処理を行う方法や、脱脂処理後に酸洗浄を行う方法などが適宜選択して用いられる。
次いで、前処理後のアルミニウム材料を電解液中で電解することにより、アルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する電解工程を行う。
本実施形態においては、電解工程は、4つの電解槽を備えた図1に示す表面処理アルミニウム材料の製造装置を用いて複数回行なわれる。図1において、符号1は電解槽、符号2は電解液、符号3は搬送ロール、符号4、5は巻き取りロール、符号6は板状のアルミニウム材料を示している。
図1に示す製造装置では、電解槽1は上流から下流まで直列に配置された第1電解槽1a、第2電解槽1b、第3電解槽1c、第4電解槽1dの4つの電解槽からなる。
図1に示すように、第1電解槽1a、第2電解槽1b、第3電解槽1c、第4電解槽1dは互いに離間して配置されており、電解槽間の離間距離dが後述する中断工程に対応する時間に相当するように予め設定されている。
本実施形態においては、第1電解槽1aを用いて1回目の電解工程が行なわれ、第2電解槽1bを用いて2回目の電解工程が行なわれ、第3電解槽1cを用いて3回目の電解工程が行なわれ、第4電解槽1dを用いて4回目の電解工程が行なわれるようになっている。
より詳細には、図1に示すように、巻き取りロール4に巻きつけられたアルミニウム材料6は、搬送ロール3によって搬送されて第1電解槽1a内の電解液2中で電解され(1回目)た後、搬送ロール3によって搬送されて第1電解槽1a内から取り出され、0.3秒以上電解を中断する中断工程を行なう。そして、中間工程の終了したアルミニウム材料6は、搬送ロール3によって搬送されて第2電解槽1b内の電解液2中で電解され(2回目)る。その後、搬送ロール3によって搬送されて第2電解槽1b内から取り出され、0.3秒以上電解を中断する中断工程を行なう。そして、中間工程の終了したアルミニウム材料6は、搬送ロール3によって搬送されて第3電解槽1c内の電解液2中で電解され(3回目)る。
なお、電解工程は、3回以上行なえばよく、3回以上の電解工程が、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして行なう電流密度増加工程と、電流密度増加工程よりも後に行なわれ、前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして行なう電流密度減少工程とを含めばよい。
よって、電解工程は、図1に示す第4電解槽1dにおいて電解工程を行なわず、1回目〜3回目の3回のみで電解工程を終了してもよいが、さらに1回または複数回の電解工程を行なってもよい。本実施形態においては、3回目の電解工程終了後、必要に応じて上記と同様にして中間工程と4回目の電解工程とが行なわれ、巻き取りロール5に巻き取られて、電解工程が終了する。
なお、本実施形態において、電流密度増加工程を行なう電解槽が、図1に示す表面処理アルミニウム材料の製造装置における電流密度増加槽であり、電流密度減少工程を行なう電解槽が、図1に示す表面処理アルミニウム材料の製造装置において電流密度増加槽よりも下流に配置されている電流密度減少槽である。
ここで、各電解工程に共通の電解条件について説明する。
電解槽1内に収容される電解液2としては、無孔質陽極酸化皮膜を生成する電解質であるホウ酸、ホウ酸塩、リン酸塩、アジピン酸塩、フタル酸塩、ケイ酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、マロン酸塩、クエン酸塩などの群から選ばれる1種または2種以上の電解質を溶解した水溶液などが用いられる。これらの電解質のなかでもホウ酸、アジピン酸塩、フタル酸塩が酸化皮膜の性状、コストなどの点で好ましい。また、電解液2としてアルカリ性のものを用いる場合、上記の電解質と水酸化ナトリウムとを含む水溶液や、ケイ酸塩を溶解した水溶液などを用いることができる。
また、電解液2中の電解質濃度は2重量%からその電解質の飽和濃度の範囲で選ばれる。また、電解液2の液温は15〜70℃の範囲とすることができ、浴温を70℃超えの高温とする必要はない。
アルミニウム材料6は、各電解槽1a、1b、1c、1d内で、陽極となるように電源(図示略)に接続されて電解される。また、陰極(図示略)には、各電解槽1a、1b、1c、1d内に配置された不溶性の導電材料が用いられる。
また、電解電流としては、直流電流が用いられ、直流電解では直流密度0.2〜20A/dm程度で電解が行われる。また、全ての電解工程の合計の電解時間は数秒〜10分程度とされる。
印加電圧は、直流電流では、電圧1Vに対して形成される酸化皮膜厚さが約1.4nmとなる関係があることから約5〜300V、好ましくは約20〜100Vの範囲とされる。電源装置などの点からは100V以下とすることが好ましく、このような低電圧での電解でも密着性と塗装後耐食性に優れた無孔質陽極酸化皮膜が得られる。
次に、各電解工程において変化させる電解条件について説明する。
(電解電流密度)
本実施形態においては、電解工程は、3回以上の電解工程からなり、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして行なう電流密度増加工程と、前記電流密度増加工程よりも後に行なわれ、前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして行なう電流密度減少工程とを含む。
具体的には、例えば、電解工程として1回目〜4回目の4回の電解工程を行なう場合、電解電流密度は以下に示すように増減させることができる。
1回目<2回目<3回目>4回目、1回目<2回目=3回目>4回目、1回目=2回目<3回目>4回目など。
また、例えば、電解工程として1回目〜3回目の3回の電解工程を行なう場合、電解電流密度は以下に示すように増減させることができる。
1回目<2回目>3回目。
前回の電解工程と今回の電解工程との電解電流密度の差は、前回の電解工程の電解電流密度の3%以上であることが好ましく、6%以上であることがより好ましい。前回の電解工程と今回の電解工程との電解電流密度の差を、前回の電解工程の電解電流密度の3%以上とすることで、電流密度増加工程による耐食性を低下させる腐食の起点を少なくする効果や、電流密度減少工程による前回までの電解工程において局部的に多孔質化した皮膜の修復効果をより高めることができ、より一層密着性および耐食性に優れた無孔質陽極酸化皮膜が得られる。
(電解液のpH)
電解液2のpHは、2〜12とすることができ、全ての電解工程のうち少なくとも最後の1回の電解工程に用いる電解液のpHを8以上、好ましくは9以上、より好ましくは10以上のアルカリ性電解液とすることが望ましい。
また、図1に示すように、2回目以降の電解工程は、前回の電解工程終了後0.3秒以上電解を中断する中断工程を行なってから行なうことが望ましい。中断工程において電解を中断する時間は0.3秒以上、より好ましくは0.8秒以上とされる。なお、電解を中断する時間が30秒を超えると、製造に要する時間が長くなるため、好ましくない。
このようにして得られた表面処理アルミニウム材料は、空孔率が5%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下で、密着性および耐食性に優れた無孔質陽極酸化皮膜を有するものとなる。
アルミニウム材料として幅1000mm、厚み0.3mmのコイル状のJIS1100アルミニウム合金板材を用い、5%水酸化ナトリウム水溶液で50℃、10秒間エッチング処理を行い、水で10秒間洗浄したのち、5%硝酸水溶液を用いて室温で10秒間中和処理を行い、水で10秒間洗浄する前処理を行なった。次いで、図1に示す製造装置を用い、前処理後のアルミニウム材料を、表1および表2に示す電解液、電解電流密度(直流)、電解時間で1回または複数回の電解工程を行なうとともに、各電解工程の間に表1および表2に示す電解を中断する時間の中断工程を行い実施例1〜4および比較例1〜2の無孔質陽極酸化皮膜を有する表面処理アルミニウム材料を得た。
Figure 0005014781
Figure 0005014781
なお、電解工程の回数が4回未満である場合、電解工程を行なわない電解槽に電解液を入れないでアルミニウム材料を通過させた。また、表1に示すアルカリ性の電解液は、水酸化ナトリウムを含有させることによって電解液のpHを調整して得られたものである。
このようにして得られた表面処理アルミニウム材料の無孔質陽極酸化皮膜の膜厚を調べた。また、以下に示すようにして、表面処理アルミニウム材料の密着性、耐食性、空孔率を調べた。その結果を表1および表2に示す。
(密着性)
実施例1〜4および比較例1〜2の表面処理アルミニウム材料に、アクリル系樹脂を5μmの厚みで塗装し、260℃で20秒の焼付け処理を行ない、120℃の温水に30分間浸漬させた後、碁盤目試験を行なった。密着性は、100桝中に剥離のない場合を◎、剥離が5個以下である場合を○、剥離が5個を超える場合を×として評価した。
(耐食性)
実施例1〜4および比較例1〜2の表面処理アルミニウム材料に、アクリル系樹脂を5μmの厚みで塗装し、260℃で20秒の焼付け処理を行なった。次いで、JIS規格の塩水噴霧試験を270日間行って腐食状態を観察した。耐食性は、腐食がない場合を◎、腐食面積が3%以下である場合を○、腐食面積が3%を超える場合を×として評価した。
(空孔率)
表面処理アルミニウム材料の陽極酸化皮膜の任意の表面を20箇所、5万倍の倍率で透過電子顕微鏡を用いて観察し、孔の面積率を測定した。
表1および表2より、本発明の実施例では、全て密着性および耐食性の評価が◎または○となり、比較例と比較して高い密着性および耐食性が得られることが確認できた。
また、表1に示すように、本発明の実施例の陽極酸化皮膜は、空孔率が0.3%以下の無孔質陽極酸化皮膜であった。
また、中断工程の時間以外の条件は同じである実施例1と実施例4とを比較すると、中断工程の時間が0.3秒以上である実施例1では、中断工程の時間が0.3未満である実施例4と比較して、耐食性および密着性に優れていることが確認できた。
図1は本発明の表面処理アルミニウム材料の製造装置の一例を示した図であって、本発明の製造装置を用いる本発明の表面処理アルミニウム材料の製造方法の一例を説明するための図である。
符号の説明
1…電解槽、2…電解液、3…搬送ロール、4、5…巻き取りロール、6…アルミニウム材料、1a…第1電解槽、1b…第2電解槽、1c…第3電解槽、1d…第4電解槽。

Claims (5)

  1. アルミニウム材料を電解液中で電解する電解工程を行うことにより、前記アルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する表面処理アルミニウム材料の製造方法において、
    前記電解工程は、3回以上の電解工程からなり、前回の電解工程よりも電解電流密度を高くして行なう電流密度増加工程と、前記電流密度増加工程よりも後に行なわれ、前回の電解工程よりも電解電流密度を低くして行なう電流密度減少工程とを含むことを特徴とする表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  2. 2回目以降の電解工程は、前回の電解工程終了後0.3秒以上電解を中断する中断工程を行なってから行なうことを特徴とする請求項1に記載の表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  3. 前記3回以上の電解工程のうち少なくとも最後の1回の電解工程が、前記電解液としてpH8以上のアルカリ性電解液を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  4. 前記無孔質陽極酸化皮膜の空孔率が、2%以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の表面処理アルミニウム材料の製造方法。
  5. アルミニウム材料を電解液中で電解する電解工程を行うことにより、前記アルミニウム材料の表面に無孔質陽極酸化皮膜を形成する表面処理アルミニウム材料の製造装置であって、
    上流から下流まで直列に配置された3つ以上の電解槽を備え、
    前記3つ以上の電解槽は、一つ前の電解槽よりも高い電解電流密度で電解工程を行なう電流密度増加槽と、前記電流密度増加槽よりも下流に配置され、一つ前の電解槽よりも低い電解電流密度で電解工程を行なう電流密度減少槽とを備えることを特徴とする表面処理アルミニウム材料の製造装置。
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