JP2001232965A - 平版印刷版原版の製造方法 - Google Patents

平版印刷版原版の製造方法

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JP2001232965A
JP2001232965A JP2000047000A JP2000047000A JP2001232965A JP 2001232965 A JP2001232965 A JP 2001232965A JP 2000047000 A JP2000047000 A JP 2000047000A JP 2000047000 A JP2000047000 A JP 2000047000A JP 2001232965 A JP2001232965 A JP 2001232965A
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acid
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JP2000047000A
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Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性向上、感光層との密着向上による小網
点部や細線部の安定性、耐刷性を向上した平版印刷版原
版の製造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム基板に、機械的粗面化、エ
ッチング、電気化学的粗面化のうち、少なくとも2工程
を用いて粗面化/エッチングを行なって以下の(1)〜
(4)の要件を満たすアルミニウム板を製造し、電導度
を一定にしながら、初期電流密度を末期電流密度よりも
低位に制御する陽極酸化皮膜生成工程を施して、アルミ
ニウム支持体を得て、該支持体上に赤外線レーザで書き
込み可能な感光層を形成する。(1)水平(X,Y)方
向の分解能が1.9μmであるAFMを用い、240μ
m角の測定範囲で測定し、傾斜度が30度以上の割合
(a30)が70%以内、(2)0.15μm≦Ra≦
0.90μm、(3)Rp≦8Ra、(4)Rmax≦
14Ra。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版の製造方
法に関するものであり、特にアルミニウム板を支持体と
した、レーザ露光適性に優れ、感光層と支持体の密着性
に優れた版印刷版用原版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム板を支持体とする感光性平
版印刷版はオフセット印刷に幅広く使用されている。こ
の平版印刷版の製造方法としては、一般にシート状、あ
るいはコイル状のアルミニウム板の表面を粗面化し、更
に陽極酸化処理を行い、感光液の塗布乾燥を行い、所望
のサイズに切りそろえる方法が一般的である。粗面化工
程に関しては、酸性溶液中で、電気化学的に粗面化処理
を行うことが感光層との密着を向上させる上で有効な手
段である。また、陽極酸化処理の後に、感光液との密着
を向上させるための表面処理や下塗り液の塗布を行うこ
ともある。特に、コイル状のアルミニウム板を用いる場
合には、感光液の塗布乾燥を行った後続けて所望のサイ
ズに切りそろえることもできるが、一旦コイル状に巻き
取って保管し、その後、必要に応じて所望のサィズに切
りそろえることもできる。この製造工程の中で所定のサ
イズに切りそろえられた平版印刷版は複数枚重ねて梱包
される。また、梱包出荷された平版印刷版は、ユーザに
て画像焼き付け、現像処理、印刷機へ取り付けるための
端部を折り曲げる処理等を行われて、印刷機に取り付け
られて使われるが、特に、昨今実用化が進んでいる、コ
ンピュータ等のデジタルデータから赤外線レーザなどを
用いて直接製版する直描型平版印刷版では、画像焼き付
けがレーザ露光装置を用いて行われる。なかには、この
ような平版印刷版原版を印刷機の版胴に取り付けたあ
と、印刷機上で画像焼き付けを行い現像処理をすること
なく直接印刷可能な方式や、印刷機上もしくは別の露光
装置で画像焼き付けを行った後、印刷機に取り付けられ
た状態で、例えば、印刷に用いる湿し水などにより現像
処理を行う機上現像方式等も知られている。
【0003】直描型平版印刷版に用いられる感光層は、
従来のリスフィルムを介して紫外線露光により記録を行
う平版印刷版の感光層とは異なり、非常に繊細でかつ高
感度であることが多く、支持体表面の硬度、形状が均一
になっていることが良好な印刷版を得る上で重要であ
る。このような感光層を有する平版印刷版の記録方法と
しては、レーザ光を利用して露光を行い、露光部を硬化
或いは可溶化さた後、現像処理を行って、レーザ光照射
の有無によって平版印刷版上の表面を画像部と非画像部
に分ける方法や、露光部の記録層を剥離可能な状態とす
る方法、また、露光により感光層の表面の親水性、疎水
性を変化させて画像部と非画像部に分ける方法等が挙げ
られ、現像方式にしても、印刷機に取り付けた状態で湿
し水や物理的な応力を利用して簡易に現像を行える方法
も提案されている。
【0004】このような、レーザ光の照射の有無に基づ
き、画像部と非画像部を分ける仕組みとしては、大きく
わけて2つの仕組みがある。一つはフォトンモードと呼
ぶ方法で、レーザ光の光エネルギーそのものを利用し
て、感光層表面の物性を変化させる方法。もう一つはサ
ーマルモードと呼ぶ方法で、レーザ光を吸収して熱を発
生し、その熱を利用して感光層表面の物性を変化させ
る、あるいは、その熱によって蒸発、体積膨張による剥
離・飛散等を起こして表面の物質の一部を除去する方法
である。また、レーザ光照射は通常非常に短時間に行わ
れるので、その短時間中にレーザ光の当たった場所は、
フォトンモード、サーマルモードによらず表面の物性が
変化しなければならない。
【0005】平板印刷版の支持体に用いられる基板は、
通常感光層との密着を高めるために電解粗面化処理が行
われ、さらに、表面の硬度を保つ陽極酸化工程が重要と
なる。ダイレクト製版が可能な直描型の平版印刷版にお
いては、レーザ光で極短時間の間に表面の物性変化を起
こすために、アルミニウム板を支持体として使用するた
めに、支持体表面が感光層との適度な密着性と保水性を
有し、更に均一に粗面化されていることが必要である。
ここで、均一に粗面化されているということは、粗面化
により生成されたピットの大きさが適度に揃っており、
且つ、該ピットが全面にわたり均一に生成していること
を指す。これらのピットは、版材の印刷性能である汚れ
難さ、耐刷性等に著しい影響を及ぼし、その良否は版材
製造上重要な要素になっている。
【0006】近年コンピューター等のデジタル信号から
直接製版するシステムが情報システムの進展から広まり
つつあり、特に波長760nmから1200nmの赤外
線を放射する固体レーザ及び半導体レーザは、高出力か
つ小型のものが容易に入手できるようになっており、直
接製版の際の記録光源として、これらのレーザは非常に
有用である。このため、平版印刷版用の支持体もレーザ
ー光のハレーションを抑制し、印刷版として重要な特性
である保水性、親水性、耐刷性、印刷の汚れ難さなどが
兼ね備えられた支持体が所望されている。このような赤
外線レーザーによる記録可能な画像形成材料の支持体に
関する改良技術としては、例えば、特公昭61−484
18号公報には、少なくとも5〜12g/m2の酸化物
層を有する陽極酸化支持体が、特開昭63−26049
1号公報には、銀錯体に還元する核を有するゾルを被着
し、粗面化、陽極酸化した支持体が提案されている。U
S4555475号には、陽極酸化皮膜を有する表面に
シリケート処理し2〜8mg/m2のシリケート層を形
成したアルミニウム支持体が、EP164128Bに
は、アルミ表面を砂目立て、陽極酸化した後シリケート
処理した支持体上にカーボンブラックを塗布して感光材
料を作り、画像を形成させる方法が示されている。上記
の各技術は、それぞれ支持体の親水性、記録層との密着
性向上に有用ではあるが、赤外線レーザ記録可能な平版
印刷版の支持体として望ましい、均一なピットの形成の
観点からは未だ不充分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
考慮してなされたものであり、本発明の目的は、アルミ
ニウム支持体に、全面にわたり、均一なピットを形成す
ることで、生産性向上、並びに感光層との密着向上によ
る小網点部や細線部の安定性向上及び耐刷性向上を達成
することができ、安定的に製造し得る平版印刷版原版の
製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、アルミニウム支持体の表面の特性として、所
定の平滑性を有し、所定形状のピットを形成してなるも
のを得ることで上記目的が達成し得ること及びそのよう
な特性のアルミニウム支持体の製造条件を見出し、本発
明を完成した。すなわち、本発明の平版印刷版原版の製
造方法は、アルミニウム基板に、機械的粗面化、苛性ソ
ーダを主体とする液によるエッチング、塩酸または硝酸
を主体とする電気化学的粗面化のうち、少なくとも2工
程を用いて粗面化/エッチングを行なった後、以下の
(1)〜(4)の要件を満たすアルミニウム板を製造
し、その後、硫酸、蓚酸、又は、燐酸を主体とする処理
液により、電導度を一定にしながら、初期電流密度を末
期電流密度よりも低位に制御する陽極酸化皮膜生成工程
を施して、アルミニウム支持体を得て、該支持体上に赤
外線レーザで書き込み可能な感光層を形成することを特
徴とする。 (1)水平(X,Y)方向の分解能が1.9μmである
AFMを用い、240μm角の測定範囲で測定し、傾斜
度が30度以上の割合(a30)が70%以内、 (2)0.15μm≦Ra≦0.90μm、 (3)Rp≦8Ra、 (4)Rmax≦14Ra。ここで、前記陽極酸化皮膜
生成工程を経て得られたアルミニウム支持体が、下記
(5)の条件を満たす表面形状を有することが好まし
い。 (5)表面積差が10%以上90%以内、(表面積差と
は、水平(X,Y)方向の分解能が0.1μmであるA
FM(原子間力顕微鏡)を用いて、50μm平方の測定
範囲で表面形状を測定し、近似3点法で求めた表面積を
1とし、上部投影面積をa0としたとき、〔(a1
0)/a0〕*100の値を%単位で表示したものであ
る。)
【0009】ここで、陽極酸化皮膜生成工程が、処理液
の液温、電導度、及び、比重を一定に制御し、電解液流
速を1〜250cm/secの範囲とし、且つ、電流密
度を変化させるゾーンを3セクション以上設け、第1の
セクションの電流密度を最終セクションの電流密度に対
して60%以下とすることが好ましい態様である。な
お、前記第1のセクションにおける電流密度は0.1〜
15A/dm2の範囲にあることが好ましい。本発明の
製造方法が適用される平版印刷版に設けられる感光層は
赤外線レーザで記録可能であれば、その構成に特に制限
はないが、代表的なものとして、赤外線吸収剤、熱によ
って酸或いはラジカルを発生する化合物、及び酸によっ
て架橋する化合物或いはラジカル重合性化合物を含有す
るネガ型の感光層、或いは、赤外線吸収剤、熱によって
酸を発生する化合物、酸によって分解する結合部を持つ
化合物、を含有することを特徴とするポジ型の感光層等
が挙げられる。
【0010】陽極酸化皮膜形成工程において、電流密度
を段階的に変化させ、初期電流密度を末期電流密度より
も低位に制御することで、陽極酸化において初期には、
電流集中が生じ難く均一な皮膜が生成され、その後、電
流密度を上昇させることで、生産性の向上につながり、
表面粗さの均一性を保持したまま、均一な陽極酸化皮膜
が全面にわたって形成され、支持体の親水化、感光層と
の密着性向上が達成されるものと考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造方法をその素
材、さらに、工程の順に従って詳細に説明する。平版印
刷版用支持体としては、一般に軽量で表面処理性、加工
性、耐蝕性に優れたアルミニウム板が使用されている。
この目的に供されるアルミニウム材質としては、JIS
1050材、JIS 1100材、JIS 1070
材、Al−Mn系合金、Al−Mn−Mg系合金、Al
−Zr系合金、Al−Mg−Si系合金等が使用されて
いる。 JIS 1050材に関しては、本願発明者等によ
って開発された技術が下記の特許公報に開示されてい
る。特開昭59−153861号、特開昭61−513
95号、特開昭62−146694号、特開昭60−2
15725号、特開昭60−215726号、特開昭6
0−215727号、特開昭60−216728号、特
開昭61−272367号、特開昭58−11759
号、特開昭58−42493号、特開昭58−2212
54号、特開昭62−148295号、特開平4−25
4545号、特開平4−165041号、特公平3−6
8939号、特開平3−234594号、特公平1−4
7545号、及び特開昭62−140894号各公報。
また、特公平1−35910号公報、特公昭55−28
874号公報、等に開示された技術も知られている。
【0012】 JIS 1070材に関しては、本願
発明者等によって開発された技術が下記の特許公報に開
示されている。特開平7−81264号、特開平7−3
05133号、特開平8−49034号、特開平8−7
3974号、特開平8−108659号、及び特開平8
−92679号各公報。 Al−Mg系合金に関しては、本願発明者等によっ
て開発された技術が下記の特許公報に開示されている。
特公昭62−5080号、特公昭63−60823号、
特公平3−61753号、特開昭60−203496
号、特開昭60−203497号、特公平3−1163
5号、特開昭61−274993号、特開昭62−23
794号、特開昭63−47347号、特開昭63−4
7348号、特開昭63−47349号、特開昭64−
1293号、特開昭63−135294号、特開昭63
−87288号、特公平4−73392号、特公平7−
100844号、特開昭62−149856号、特公平
4−73394号、特開昭62−181191号、特公
平5−76530号、特開昭63−30294号、及び
特公平6−37116号各公報。また、特開平2−21
5599号、特開昭61−201747号各公報等にも
開示されている。
【0013】 Al−Mn系合金に関しては、本願発
明者等によって開発された技術が下記の特許公報に開示
されている。特開昭60−230951号、特開平1−
306288号、及び特開平2−293189号各公
報。また、特公昭54−42284号、特公平4−19
290号、特公平4−19291号、特公平4−192
92号、特開昭61−35995号、特開昭64−51
992号、特開平4−226394号各公報、米国特許
5、009、722号及び同5、028、276号各明
細書等にも開示されている。 Al−Mn−Mg系合金に関しては、本願発明者等
によって開発された技術が下記の特許公報に開示されて
いる。特開昭62−86143号及び特開平3−222
796号各公報。また、特公昭63−60824号、特
開昭60−63346号、特開昭60−63347号、
特開平1−293350号各公報、欧州特許223、7
37号、米国特許4、818、300号、英国特許1、
222、777号各明細書等にも開示されている。
【0014】 Al−Zr系合金に関しては、本願発
明者等によって開発された技術が下記の特許公報に開示
されている。特公昭63−15978号及び特開昭61
−51395号各公報。また、特開昭63−14323
4号、特開昭63−143235号各公報等にも開示さ
れている。 Al−Mg−Si系合金に関しては、英国特許1、
421、710号等に開示されている。平版印刷版用支
持体に用いるアルミニウム又はアルミニウム合金板を得
るには、一般に、先ず前記したような含有成分及び、合
金成分割合のアルミニウム合金溶湯を常法に従い清浄化
処理を施し、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素
などの不要なガスを除去するために、フラックス処理、
アルゴンガス、塩素ガス等を用いた脱ガス処理、セラミ
ックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等
のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレ
ーク、アルミナボール等を濾材とするフィルタや、グラ
スクロスフィルタ等を用いたフィルタリング、あるい
は、脱ガスとフィルタリングを組み合わせた処理が行わ
れる。これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、
酸化物等の異物による欠陥、溶湯に溶け込んだガスによ
る欠陥を防ぐために実施されることが望ましい。溶湯の
フィルタリングに関しては、特開平6−57432号、
特開平3−162530号、特開平5−140659
号、特開平4−231425号、特開平4−27603
1号、特開平5−311261号、特開平6−1364
66号各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガス
に関しては特開平5−51659号、実開平5−491
48号各公報等に記載されている。本発明者らも特開平
7−40017号公報に溶湯の脱ガスの関する技術を開
示している。
【0015】以上のように、清浄化処理を施された溶湯
を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法
に代表される固体鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代
表される駆動鋳型を用いる方法がある。DC鋳造法を用
いた場合、冷却速度は0.5〜30℃/秒の範囲で凝固
する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成
される。連続鋳造法には、ハンター法、3C法に代表さ
れる冷却ロールを用いる方法が、また、ハズレー法、ア
ルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルトや冷却
ブロックを用いる方法が工業的に行われている。連続鋳
造法を用いる場合には、冷却速度が100〜1000℃
/秒の範囲で凝固する。一般的には、DC鋳造法に比べ
て冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対する合
金成分固溶度を高くできる特徴がある。連続鋳造法に関
しては、本発明等によって、特開平3−79798号、
特開平5−201166号、特開平5−156414
号、特開平6−262203、特開平6−122949
号、特開平6−210406号、特開平6−26308
号各公報等に開示されている。
【0016】DC鋳造を行った場合、板厚300〜80
0mmの鋳塊が製造できる。その鋳塊は、常法に従い、
必要に応じて面削を行い、表層の1〜30mm、好まし
くは1〜10mmを切削する。その前後、必要に応じ
て、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間
化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1時
間以上、48時間以下の熱処理が施される。熱処理が1
時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分とな
る。次いで、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム
圧延板とする。熱間圧延の前または後、またはその途中
において中間焼鈍処理を施してもよい。この場合の中間
焼鈍条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃
で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜1
0時間加熱する方法や、連続焼鈍炉を用いて、10〜2
00℃/秒の昇温速度で加熱すると、結晶組織を細かく
することもできる。
【0017】以上の工程によって、厚さ0.1〜0.5
mmに仕上げられたアルミニウム板は、平面性を改善す
るためにローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置
によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、ア
ルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよう
いが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの
状態で平面性改善を行うことが好ましい。また、板巾を
所定の巾に加工するため、スリッタラインを通してもよ
い。また、アルミニウム板同志の摩擦による傷の発生を
防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設
けてもよい。油膜には、必要に応じて、揮発性のもの
や、不揮発性のものが適宜用いられる。なお、冷間圧延
に関して、本発明等は、特開平6−210308号公報
等に開示している。
【0018】連続鋳造を行った場合、例えば、ハンター
法等の冷却ロールを用いると板厚1〜10mmの鋳造板
を直接連続鋳造でき、熱間圧延の工程を省略できるメリ
ットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ロールを用
いると、板厚10〜50mmの鋳造板が鋳造でき、一般
的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に圧延
することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得ら
れる。これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造の場合に説
明したのと同じように、冷間圧延、中間焼鈍、平面性改
良、スリット等の工程を経て0.1〜0.5mmの板厚
に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼鈍条
件、冷間圧延条件については、本発明者等によって、特
開平6−220593号、特開平6−210308号、
特開平7−54111号、特開平8−92709号各公
報等に開示されている。
【0019】前記した方法で製造されたアルミニウム板
を、平版印刷版用支持体として使用する場合、その用途
によって、以下に述べる種々の特性が望まれる。 強度に関して:印刷版用支持体として必要な腰の強さ
を得るため、0.2%耐力が140MPa以上あること
が望ましい。また、バーニング処理を行ったときにもあ
る程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10
分間加熱後の0.2%耐力が80MPa以上、望ましく
は100MPa以上あることがよい。特に、腰の強さを
求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料
を採用することができるが、印刷機の版胴へのフィット
し易さは劣ってくるため、用途に応じて、材質、微量成
分の添加量は適宜選択される。これらについて、本願出
願人は、特開平7−126820号、特開昭62−14
0894号各公報等に開示している。
【0020】結晶組織に関して:平版印刷版用支持体
として、化学的な表面処理、電気化学的な表面処理を行
う場合、アルミニウム板の表面の結晶組織に起因する面
質不良が発生する場合があり、表面の結晶組織は、あま
り粗大でないことが好ましい。結晶組織の巾としては、
200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ま
しくは50μm以下がよい。結晶組織の長さとしては、
5000μm以下、好ましくは1000μm以下、更に
好ましくは500μm以下がよい。これらに関して、本
願出願人は、特開平6−218495号、特開平7−3
9906号、特開平7−124609号各公報等に開示
している。
【0021】合金成分分布に関して:平版印刷版用支
持体として、化学的な表面処理、電気化学的な表面処理
を行う場合、アルミニウム板の表面の合金成分の不均一
な分布に起因する面質不良が発生する場合があり、表面
の合金成分分布はあまり不均一でないことが好ましい。
これらに関して、本願出願人は、特開平6−48058
号、特開平5−301478号、特開平7−13268
9号各公報等に開示している。 金属間化合物に関して:平版印刷版用支持体として、
化学的な表面処理、電気化学的な表面処理を行う場合、
金属間化合物のサイズや密度の影響を受けることがあ
る。これらに関して、本願出願人は、特開平7−138
687号、特開平4−254545号各公報に開示して
いる。
【0022】アルミニウムの荷姿としては、例えば鉄製
パレットにハードボードとフェルトを敷き、製品両端に
ダンボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包
み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周
部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を
行う。また、包装材としては、ポリエチレンフイルム、
緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードが用
いられる。この他いろいろな形態があるが、安定して、
キズも付かず運送等が可能な事が重要である。
【0023】このようなアルミニウム板に以下に様な表
面処理を行う。まず、前処理が行われるが、前処理とし
ては、代表的には、トリクレン等の溶剤や界面活性剤を
用いてのアルミニウム板表面の圧延油の除去や、水酸化
ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリエッチング剤
を用いての清浄なアルミニウム板表面の露出処理が挙げ
られる。具体的には、溶剤脱脂方法としては、ガソリ
ン、ケロシン、ベンジン、ソルベントナフサ、ノルマル
ヘキサン等の石油系溶剤を用いる方法、トリクロルエチ
レン、メチレンクロライド、パークロルエチレン、1,
1,1−トリクロルエタン等の塩素系溶剤を用いる方法
がある。アルカリ脱脂方法としては、水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウ
ム等のソーダ塩の水溶液を用いる方法、オルトケイ酸ナ
トリウム、メタケイ酸ナトリウム、二号ケイ酸ナトリウ
ム、三号ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩の水溶液を用い
る方法、第一燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第
二燐酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリ
ン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等の燐酸
塩水溶液を用いる方法等がある。アルカリ脱脂方法を用
いる場合、処理時間、処理温度によって、アルミニウム
表面が溶解する可能性があり得るので、脱脂処理につい
ては、溶解現象が伴わないようにする必要がある。界面
活性剤による脱脂処理としては、アニオン界面活性剤、
カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性
活性剤の水溶液が用いられ、各種の市販品等を用いるこ
とが出来る。脱脂方法としては、浸漬法、吹き付け法、
液を布等に含ませて擦る方法等用いることが出来る。ま
た、浸漬や吹き付け法には、超音波を用いてもよい。上
記脱脂処理に関して、例えば特開平2−26793号公
報を参照することができる。
【0024】次いで機械的粗面化処理が行われる。この
機械的粗面化には転写、ブラシ、液体ホーニング等の方
法があり、生産性等を考慮して併用することもできる。
凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法としては、
種々の方法を使用することが出来る。即ち、前述の特開
昭55−74898号、特開昭60−36195号、特
開昭60−203496号各公報の他、転写を数回行う
ことを特徴とした特願平4−175945号明細書、表
面が弾性であることを特徴とした特願平4−20423
5号明細書も適用可能である。また、放電加工・ショッ
トブラスト・レーザー・プラズマエッチングなどを用い
て、微細な凹凸を食刻したロールを用いて繰り返し転写
をおこなうことや、微細粒子を塗布した凹凸のある面
を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰返
し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に
相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させても良
い。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、
特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開
昭63−65017号各公報などが公知となっている。
また、ロール表面にダイス、バイトまたはレーザーなど
を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸
をつけてもよい。このロール表面は、公知のエッチング
処理などをおこなって、形成した角形の凹凸が丸みを帯
びるような処理をおこなってもよい。表面の硬度を上げ
るために焼き入れ、ハードクロムメッキなどを行なって
もよいことは勿論である。
【0025】次に、図を参照しながら、本発明の平版印
刷版原版の製造方法について、工程毎に説明する。図1
は、ブラシを用いた機械的粗面化処理工程の一例を示す
概略図であって、前述のようにして製造されたアルミニ
ウム板の如き被加工板101を支持ローラ107で支持
して矢印方向に走行させ、研磨スラリー103を被加工
板101の表面に均一に散布して、ブラシロール102
を該表面上で回転させて機械的粗面化処理を行う。この
例では、研磨スラリーの散布とブラシロールによる粗面
化処理を2か所で行ている。ブラシを用いる場合、曲げ
弾性率が10,000〜40,000kg/cm2、好
ましくは15,000〜35,000kg/cm2で、
かつ毛腰の強さが500g以下、好ましくは400g以
下であるブラシ毛を用いて、更に粒径20〜80μm、
好ましくは30〜60μmの研磨材を用いることが好ま
しい。ブラシの材質は、上記の機械的強度を備えるもの
が好ましく、上記機械的強度以外でも使用可能である。
例えば合成樹脂や金属から適宜選択できる。合成樹脂と
しては、例えばナイロン等のポリアミド、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレン
テレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート等
を挙げることができる。また金属としては、ステンレス
や真鍮等を挙げることができる。
【0026】また、研磨材の材質も上記の粒径範囲が好
ましく、その材質は制限されるものではなく、従来より
機械的粗面化処理に使用されているアルミナ、シリカ、
炭化ケイ素、窒化ケイ素等から選択される。機械的粗面
化処理は、上記のブラシ毛を有するロールブラシを高速
回転させながらアルミニウム板表面に圧接するととも
に、上記の研磨材をロールブラシに供給することにより
行われる。この時のロールブラシの回転数や圧接力、研
磨材の供給量等は特に制限されない。上記機械的粗面化
に適した装置としては、例えば特公昭50−40047
号公報に記載された装置を挙げることができる。
【0027】この様に機械的粗面化処理を行った後、ア
ルミニウム板の平滑化、均斉化等を目的として、アルミ
ニウム表面をpH11以上、好ましくはpH13以上の
アルカリ溶液を用いて化学的エッチング処理を行う。図
2はアルミニウム表面を化学的エッチング処理を行う工
程の一例を示す概略図であって、アルミニウム板222
をパスロール202及びニップロール201によってエ
ッチング処理槽211内を通過させ、同処理槽内で、調
液タンク205中のアルカリ溶液を送液ポンプ204
(P)によって、導入管212からスプレー203によ
ってアルミニウム板222の幅方向にわたって均一に処
理液(水酸化ナトリウムを主とするエッチング液)をス
プレーして表面エッチングを行う。アルミニウム板ガエ
ッチング槽を出るとき、ニップロールで板の表面を拭っ
て処理液の槽外への持ち出しを防ぐ。
【0028】処理液は調液タンク205で調合し、調合
された処理液は送液ポンプ204を用い、送液配管21
2を通ってスプレー203に送られる。調液タンクから
の処理液は更に給液配管212より分岐している給液配
管212’及び212”を通ってそれぞれを拡散槽20
6あるいは析出槽207にポンプ204を用いて送液す
ることができる。給液量および給液の時期は配管の途中
に設けた弁(図示せず)の操作によって調節することが
できる。調液タンクとエッチング槽とは給液配管212
および戻り液配管213とによって連結され、処理液は
これらの間び循環されている、エッチング処理の間に処
理液中の水酸化ナトリウム成分は反応により減少し、ア
ルミニウムイオン含量は増加し、また水は蒸発し減少す
る等処理液の量および成分濃度濃度は変化する。この
た、調液タンク内の処理液には水酸化ナトリウム溶液と
水の補給がそれぞれ補給配管200及び201からおこ
なわれるが、増加するアルミニウムイオンを除去しない
で補給液によってアルミニウムイオンを除去しないで補
給液によって処理液中のアルミニウムイオンを所定の濃
度に保つのは無駄が多い。
【0029】このため、給液配管212’および21
2”を通って調液タンク内の処理液の一部を拡散透析槽
206および析出槽207へ循環使用中の処理液の一部
を適時に送液し、アルミニウムイオンを系外に除去す
る。拡散透析槽206では、送液された処理液の約70
%が水酸化ナトリウム液として回収され、回収液とし
て回収用配管218を通って調液タンクに戻される。一
方、拡散透析槽で透析によって過飽和のアルミン酸ソー
ダ溶液となった透析廃液は、透析廃液用送液管215を
通って析出槽207へ送られる。拡散透析槽では、蒸発
した水を補給するため給液配管214より水を加えるこ
とが出来る。析出槽207では拡散透析槽からの透析廃
液と調液タンクからの処理液を混合して、混合液から過
飽和のアルミン酸ソーダ溶液中の水酸化アルミニウムの
種子を核として水酸化アルミニウムを結晶化させる。ア
ルミニウムイオンが除去された水酸化ナトリウム液を主
とする処理液と水酸化アルミニウムの結晶との混合物は
送液管216によってシックナー208へ送られ、結晶
化した水酸化アルミニウムは配管217を通ってドラム
フィルター209で離漿し、ホッパー210に集められ
る。一方、水酸化ナトリウム液を主とする処理液は回収
液として回収用配管219を通り、調液タンクに戻さ
れる。本図は拡散透析を用いた方法であるが、結晶化さ
せる晶析法等を使用してもよい。
【0030】化学的エッチング処理におけるエッチング
量は、3g/m2以上25g/m2以下、好ましくは3g
/m2以上15g/m2以下である。エッチング量が5g
/m 2未満では、機械的粗面化処理により形成された凹
凸を平滑化できず、後段の電解処理において均一なピッ
トを生成できない。一方、エッチング量が25g/m 2
を越えると、前記凹凸が消失してしまう。使用可能なア
ルカリ溶液として、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等のソーダ
塩水溶液、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリ
ウム、二号ケイ酸ナトリウム、三号ケイ酸ナトリウム等
のケイ酸塩水溶液、第一燐酸ナトリウム、第二燐酸ナト
リウム、第三燐酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウ
ム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウ
ム等の燐酸塩水溶液等を挙げることができる。処理条件
としては、アルカリ溶液の濃度0.01%〜50重量
%、液温20℃〜90℃、時間5秒〜5分間であり、上
記のエッチング量となるように適時選択される。
【0031】上記アルカリ溶液によりアルミニウム板表
面の化学的エッチング処理すると、その表面に不溶解残
渣部すなわちスマットが生成する。そこで、後述される
電解粗面化処理に使用される酸性溶液と同一組成の酸性
溶液を用いてスマットを除去する。好ましい処理条件
は、液温30〜80℃、時間3秒〜3分である。
【0032】次いで、この様にして処理されたアルミニ
ウム板に電解粗面化処理を行う。本発明における電解粗
面化処理は、陰極電解処理の前後に酸性溶液中での交番
波形電流による第1及び第2の電解処理を行うことが好
ましい。陰極電解処理により、アルミニウム板の表面に
スマットが生成するとともに、水素ガスが発生してより
均一な電解粗面化が可能となる。陰極電解処理により、
アルミニウム板の表面にスマットが生成するとともに、
水素ガスが発生してより均一な電解粗面化が可能とな
る。先ず、酸性溶液中での交番波形電流による第1及び
第2の電解粗面化処理について説明する。尚、この電解
粗面化処理は、第1の処理と第2の処理とが同一条件で
あっても、また好ましい処理条件の範囲においてそれぞ
れ異なっていてもよい。図3は、アルミニウム支持体に
電解粗面化処理を第1及び第2の電解粗面化処理によて
行う工程の一例を示す概略図である。図3において、符
号301はアルミニウム支持体で、この、アルミニウム
支持体301おいて、301aは表面(最初に電解粗面
化処理される方の面)、301bは裏面(後に電解粗面
化処理される方の面)である。また、符号302は、ア
ルミニウム支持体301の表面301aを電解粗面化す
る第1表面側粗面化処理装置、符号303も、アルミニ
ウム支持体301の表面301aを電解粗面化する第2
表面側粗面化処理装置、符号304は、アルミニウム支
持体301の裏側面301bを電解粗面化する裏面側粗
面化処理装置である。これらの表面側粗面化処理装置3
02、303及び裏面側粗面化処理装置304は、それ
ぞれ、電解槽305に交流電源(図示せず)を介して接
続された一対の円弧状の主電極306、306が配設さ
れるとともに、主電極306の上方に回転自在なドラム
ロール307が配置されている。そして、主電極306
とドラムロール307の間には電解液8が充填されてい
る。
【0033】また、第1表面側粗面化処理装置302、
第2表面側粗面化処理装置303及び裏面側粗面化処理
装置304の間には、複数のパスロール9が所定箇所に
配置され、アルミニウム支持体201の走行路を形成し
ている。また、第2表面側粗面化処理装置303と裏面
側粗面化処理装置304の間の走行路は、裏面側粗面化
処理装置304においては表面301aがドラムロール
307に接し、裏面301bが電解液308に漬かるよ
うに、アルミニウム支持体301を反転させる反転走行
路310となっている。そして、この反転走行路310
に、電解液アルミニウム支持体301に散布するスプレ
ー311が複数設けられている。
【0034】以上のような装置でアルミニウム支持体を
製造するには、各粗面化処理装置302、303、30
4の主電極306に通電するとともにアルミニウム支持
体301を走行させる。すると、アルミニウム支持体3
01は、その表面側301aが第1表面側粗面化処理装
置302及び第2表面側粗面化処理装置303で連続し
て粗面化される。表面側301aが粗面化処理されたア
ルミニウム支持体301は、反転走行路310を通っ
て、表面側301aが裏面側粗面化処理装置304のド
ラムロール307に接し、かつ裏面側301bが電解液
8に浸されるように、反転された状態で裏面側粗面化処
理装置304に送られる。そして、この反転走行路31
0を走行中に、スプレー311から電解液を散布してア
ルミニウム支持体301を常に濡れた状態にする。
【0035】この電解粗面化処理は、例えば特公昭48
−28123号公報、英国特許896563号明細書に
記載されている電気化学的グレイン法に従うことができ
る。この電解グレイニングは正弦波形の交流電流を用い
るものであるが、特開昭52−58602号公報に記載
されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。ま
た、特開平3−79799号公報に記載の波形を用いる
こともできる。また、特開昭55−158298、特開
昭56−28898、特開昭52−58602、特開昭
52−152302、特開昭54−85802、特開昭
60−190392、特開昭58−120531、特開
昭63−176187各号公報、特開平1−5889、
特開平1−280590、特開平1−118489、特
開平1−148592、特開平1−178496、特開
平1−188315、特開平1−154797、特開平
2−235794、特開平3−260100、特開平3
−253600、特開平4−72079、特開平4−7
2098、特開平3−267400、特開平1−141
094各号公報に記載の方法も適用できる。また周波数
としては、前述の他に、電解コンデンサーにて提案され
ているものも使用できる。例えば、米国特許42761
29、同4676879号明細書等である。
【0036】電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩
酸等の他、米国特許4671859、同466576、
同4661219、同4618405、同46262
8、同4600482、同4566960、同4566
958、同4566959、同4416972、同43
74710、同4336113、同4184932各号
明細書等の電解液も使用できる。酸性溶液の濃度は0.
5〜2.5重量%が好ましいが、上記のスマット除去処
理での使用を考慮すると、0.7〜2.0重量%が特に
好ましい。また、液温は20〜80℃、特に30〜60
℃が好ましい。
【0037】電解槽、電源としては、色々提案されてい
るが、米国特許4203637号明細書、特開昭56−
123400、特開昭57−59770、特開昭53−
12738、特開昭53−32821、特開昭53−3
2822、特開昭53−32823、特開昭55−12
2896、特開昭55−132884、特開昭62−1
27500、特開平1−52100、特開平1−520
98、特開昭60−67700、特開平1−23080
0、特開平3−257199各号公報等に記載のものが
ある。また、上述した特許以外にも、色々提案されてい
る。例えば、特開昭52−58602、特開昭52−1
52302、特開昭53−12738、特開昭53−1
2739、特開昭53−32821、特開昭53−32
822、特開昭53−32833、特開昭53−328
24、特開昭53−32825、特開昭54−8580
2、特開昭55−122896、特開昭55−1328
84、特公昭48−28123、特公昭51−708
1、特開昭52−133838、特開昭52−1338
40、特開昭52−133844、特開昭52−133
845、特開昭53−149135、特開昭54−14
6234各号公報に記載のもの等ももちろん適用でき
る。
【0038】この電解処理は、陽極電気量30〜400
C/dm2、好ましくは50〜200C/dm2 で行わ
れる。陽極電気量が30C/dm2未満では、均一なピ
ットが生成されず、一方400C/dm2を越えるとピ
ットが大きくなりすぎる。
【0039】上記第1及び第2の電解粗面化処理の間
に、アルミニウム板は陰極電解処理が施される。この陰
極電解処理により、アルミニウム板表面にスマットが生
成するとともに、水素ガスが発生してより均一な電解粗
面化が可能となる。この陰極電解処理は、酸性溶液中で
陰極電気量3〜80C/dm2、好ましくは5〜30C
/dm2で行われる。陰極電気量が3C/dm2未満で
は、スマット付着量が不足し、一方80C/dm2を越
えると、スマット付着量が過剰となり好ましくない。ま
た、電解液は上記第1及び第2の電解粗面化処理で使用
する溶液と同一でも異なっていてもよい。
【0040】第2の電解粗面化処理の後、アルミニウム
板をpH11以上のアルカリ溶液を用いて第2の化学的
エッチング処理を行う。この第2の化学的エッチング処
理に使用されるpH11以上のアルカリ溶液は、上記第
1の化学的エッチング処理で使用されるアルカリ溶液と
同一で構わないし、異なるアルカリ溶液を用いてもよ
い。但し、エッチング量は第1の化学的エッチング処理
とは異なり、0.1〜8g/m2、好ましくは0.2〜
3.0g/m2、更に好ましくは0.5〜1.5g/m2
である。エッチング量が0.1g/m2未満では、電解
処理によって得られたピット端部を平滑化できず、一方
8g/m2を越えるとピットが消失する。
【0041】上記の化学的エッチング処理によりスマッ
トが生成するため、アルミニウム板は、硫酸を主体とす
る溶液を用いてスマットの除去を行う。ここで、硫酸を
主体とする溶液とは、硫酸単独溶液の他、燐酸、硝酸、
クロム酸、塩酸等を適宜混合してなる混合溶液である。
この硫酸を主体とする溶液を用いるスマット除去は、例
えば特開昭53−12739号公報を参照することがで
きる。また、アルカリ処理を組み合わせてもよく、例え
ば特開昭56−51388号公報を参照することができ
る。更に、特開昭60−8091、特開昭63−176
188、特開平1−38291、特開平1−12738
9、特開平1−188699、特開平3−17760
0、特開平3−126891、特開平3−191100
各号公報等に記載された方法を併用することもできる。
【0042】次いで、アルミニウム板の表面に、陽極酸
化皮膜を形成する。図4は、アルミニウム板の表面を陽
極酸化処理する工程の一例を示す概略図である。アルミ
ニウム板416は、図中矢印で示すように搬送される。
電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウ
ム板416は給電電極420によって(+)に荷電され
る。そして、アルミニウム板416は、給電槽412に
おいてローラ422によって上方に搬送され、ニップロ
ーラ424によって下方に方向変換された後、電解処理
槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平
方向に方向転換される。次いで、アルミニウム板416
は、電解電極430によって(−)に荷電されることに
より、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽
414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送され
る。前記陽極酸化処理装置410において、ローラ42
2、ニップローラ424及びローラ428によって方向
転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽
412と電解処理槽414との槽間部において、前記ロ
ーラ422、424、428により山型及び逆U字型に
搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直
流電源434−1〜434−3に接続されている。ま
た、流速をコントロールする吹出しノズルは435であ
り、酸化皮膜を生成する槽414内の流速をコントロー
ルする。
【0043】酸化皮膜生成工程において、酸化皮膜を生
成する槽(414)内の流速をコントロールする事は、
界面の冷却を行い、均一な皮膜を生成する為には重要で
あり、1〜250cm/secにコントロールする事が
必要であり、より好ましくは5〜100cm/secで
ある。また、酸化皮膜を生成する槽の電流密度をコント
ロールするために、3セクション以上のゾーンを設けそ
れぞれコントロールする事が好ましく、初期(第一のセ
クション)の電流密度を低位に制御し、0.1〜15A
/dm2にする事が好ましく、更に好ましくは0.5〜
10A/dm2である。また、第1セクションの電流密
度は、最終セクションの電流密度に対して60%以内が
好ましく、より好ましくは40%以内、更に好ましくは
30%以内である。図4では、434−1(初期)が第
一のセクション、434−2が第二のセクション、43
4−3が第三のセクション(最終)である。また、この
電流密度をコントロールすると共に、温度、また硫酸等
の濃度を制御するが、これらは、オンラインでの直接測
定が難しく、電導度、比重でコントロールする。この場
合、例えば、硫酸濃度50〜300g/lで、アルミニ
ウム濃度5重量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽
極として通電して陽極酸化膜を形成することができる。
前記溶液には燐酸、クロム酸、しゅう酸、スルファミン
酸、ベンゼンスルホン酸等を配合してもよい。形成され
る酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5
〜4.0g/m2であることが好ましい。
【0044】陽極酸化の処理条件は、使用される電解液
によって種々変化するので、一概にいえないが一般的に
は、電解液の濃度が1〜80重量%、液温5〜70℃、
電流密度0.5〜60A/cm2、電圧1〜100V、
電解時間15秒〜50分の範囲であり、上記の被膜量と
なるように調整される。電解装置としては、特開昭48
−26638、特開昭47−18739、特公昭58−
24517各号公報等に紹介されている。また、特開昭
54−81133、特開昭57−47894、特開昭5
7−51289、特開昭57−51290、特開昭57
−54300、特開昭57−136596、特開昭58
−107498、特開昭60−200256、特開昭6
2−136596、特開昭63−176494、特開平
4−176897、特開平4−280997、特開平6
−207299、特開平5−24377、特開平5−3
2083、特開平5−125597、特開平5−195
291各号公報等に記載されている方法も使用できる。
【0045】上述の様に、陽極酸化皮膜を形成した後、
各支持体と感光組成物との密着を最適なものとするため
に、陽極酸化皮膜をエッチングした後、水蒸気並びに、
熱水で封孔処理をして、経時安定性の良い、現像性の良
好な、非画像部の汚れのない感光性印刷版を与える支持
体の封孔処理装置があり、(特公昭56−12518号
公報)このような装置で皮膜生成後処理を行なってもよ
い。また、特開平4−4194号公報、特願平4−33
952、特願平4−33951、特願平3−31524
5各号明細書等の装置、方法で封孔処理を行なってもよ
い。
【0046】他に、米国特許第2946638号明細書
に記載されている弗化ジルコニウム酸カリウム処理、米
国特許第3201247号明細書に記載されているホス
ホモリブデート処理、英国特許第1108559号に記
載されているアルキルチタネート処理、独国特許第10
91433号明細書に記載されているポリアクリル酸処
理、独国特許第1134093号明細書や英国特許第1
230447号明細書に記載されているポリビニルホス
ホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されて
いるホスホン酸処理、米国特許第3307951号明細
書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16
893号や特開昭58−18291号の各公報に記載さ
れている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩に
よる処理や、米国特許第3860426号明細書に記載
されているように、水溶性金属塩(例えば酢酸亜鉛な
ど)を含む親水性セルロース(例えばカルボキシメチル
セルロースなど)の下塗り層を設けたり、特開昭59−
101651号公報に記載されているスルホン酸基を有
する水溶性重合体の下塗りによって親水化処理を行った
ものや、特開昭62−019494号公報に記載されて
いるリン酸塩、特開昭62−033692号公報に記載
されている水溶性エポキシ化合物、特開昭62−097
892号公報に記載のリン酸変性デンプン、特開昭63
−056498号公報に記載のジアミン化合物、特開昭
63−130391号公報記載のアミノ酸の無機または
有機酸、特開昭63−145092号公報に記載のカル
ボキシル基または水酸基を含む有機ホスホン酸、特開昭
63−165183号公報に記載のアミノ基とホスホン
酸基を有する化合物、特開平2−316290号公報に
記載の特定のカルボン酸誘導体、特開平3−21509
5号公報に記載のリン酸エステル、特開平3−2615
92号公報に記載の1個のアミノ基とリンの酸素酸基1
個を持つ化合物、特開平3−215095号公報に記載
のリン酸エステル、特開平5−246171号公報に記
載のフェニルホスホン酸などの脂肪族または芳香族ホス
ホン酸、特開平1−307745号公報に記載のチオサ
リチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−28
2637号公報に記載のリンの酸素酸のグループを持つ
化合物などの下塗りや、特開昭60−64352号公報
に記載されている酸性染料による着色を行なう事もでき
る。
【0047】本発明で測定に使用した原子間力顕微鏡
〔(Atomic Force Microscope)、以下、適宜AMFと称
する〕 は、セイコー電子工業(株)製SP13700
で、測定は1cm角の大きさに切り取ったアルミニウム
板試料ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、
カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働
く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その
際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえた。ピ
エゾスキャナーはXY150μm,Z10μm、走査可
能なものを使用した。カンチレバーはNANOPROBE 社製SI
−DF20で共振周波数120〜150kHz 、バネ定数1
2〜20N/m のもので、DFM モード(Dynamic Force Mo
de) で測定した。また、得られた3次元データを最小二
乗近似することにより試料のわずかの傾きを補正し基準
面を求めた。
【0048】本発明の平版印刷版原版の製造方法に用い
るのに好ましい支持体の表面特性は、それぞれの範囲は
下記である。 (1)表面積差が10%以上90%以内。表面積差と
は、水平(X,Y)方向の分解能が0.1μmであるA
FM(原子間力顕微鏡)を用いて、50μm平方の測定
範囲で表面形状を測定し、近似3点法で求めた表面積を
1とし、上部投影面積をa0としたとき、〔(a1
0)/a0〕*100の値を%単位で表示したものであ
る。 (2)水平(X,Y)方向の分解能が1.9μmである
AFMを用い、240μm角の測定範囲で測定し、傾斜
度が30度以上の割合(a30)が70%以内 (3)0.15μm≦Ra≦0.90μm、 (4)Rp≦8Ra、 (5)Rmax≦14Ra。 上記の数値のうち表面粗さRaは、JIS B0601
−1994に規定されたものであり、また、Rp、Rm
axの説明は下記である。Rmaxは、最大高さ(Ma
ximum height)を表す。最大高さとは、断
面曲線から基準長さだけ抜き取った部分の平均線に平行
な2直線で抜き取り部分を挟んだとき、この2直線の間
隔を断面曲線の縦倍率の方向に測定して、この値をマイ
クロメータ(μm)で表したものをいう。最大高さの求
め方の例を図5に示す。Rpは中心線の深さ(Leve
lling depth)を表す。粗さ曲線から基準長
さだけ抜き取り、その抜き取り部分の最高の山頂から中
心線までの縦方向の間隔を中心線の深さを指す。(図6
参照)中心線の深さは、中心線の定義より明らかなよう
に、図6において山と谷を地ならしたときにできる中心
線と抜き取り部分の最高点を通り中心線に平行に引いた
直線との間隔をマイクロメートル(μm)で表した値で
ある。この中心線の深さは、粗さ曲線の形状を示す一つ
のパラメータであり、図6に示すように、Rmaxが同
じでも、Rpの値は異なる。接触に関する問題で、接触
面積の大、小を考える場合には、有用な表面粗さのパラ
メータの一つである。本発明に用いる支持体のアルミニ
ウム板は、上記の特性の形状を有することが重要であ
り、これらの範囲外の特性を有するものを用いた場合、
例えば、(1)表面積差が10%未満のものは、密着性
が劣り、或いは90%を超えるものは、汚れ難さの特性
が低下する傾向があり、(2)傾斜度が30度以上の割
合(a30)が70%を超えると地汚れが生じやすくな
り、(3)Raが0.15μm未満の場合、適度な保水
性が得られず印刷板として不適当であり、Raが0.9
0μmを超える場合には、その凹凸が感光層の平面性に
影響を与えるおそれがででくるとともに、汚れ難さが大
幅に低下する。また、(4)Rpが8Raを超えると、
現像後にも感光層が充分に除去されず残膜が生じやすく
なったり、非画像部にポツ状の汚れが生じやすくなり、
(5)Rmaxが14Raを超えても同様にポツ状の汚
れが生じやすくなるといつたような不都合を生じる。
【0049】本発明の製造方法により得られた支持体
に、感光層を設けて平板印刷版原版を得る。本発明に係
る平版印刷版の感光層は赤外線レーザで直接記録可能な
感光層であれば特に制限はないが、以下に例示する如き
感光層が挙げられる。 〔I〕o−ナフトキノンジアジド化合物のエステルおよ
びアルカリ可溶性樹脂を含有する感光層。 o−ナフトキノンジアジド化合物のエステルとしては、
o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルまたはo
−ナフトキノンジアジドカルボン酸エステル、及び芳香
族アミノ化合物のo−ナフトキノンジアジドスルホン酸
アミドまたはo−ナフトキノンジアジドカルボン酸アミ
ドが好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂としては、フ
ェノールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾールホルム
アルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂
などノボラック型フェノール樹脂が挙げられ、さらに米
国特許第4,028,111号明細書に記されているよ
うに上記のようなフェノール樹脂と共に、t−ブチルフ
ェノールホルムアルデヒド樹脂のような炭素数3〜8の
アルキル基で置換されたフェノールまたはクレゾールと
ホルムアルデヒドとの縮合物を併用すると、より好まし
い。これらの化合物に、さらに露光により可視像を形成
するためにo−ナフトキノンジアジド、4−スルホニル
クロライド、p−ジアゾジフェニルアミンの無機アニオ
ン塩、トリハロメチルオキサジアゾール化合物、ベンゾ
フラン環を有するトリハロメチルオキサジアゾール化合
物等の化合物などが添加される。また、着色剤として各
種染料を添加することもできる。
【0050】感光層を形成するには、上記各成分を溶解
する溶媒に溶かして支持体上に塗布すればよい。ここで
使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロ
ヘキサノン、メチルエチルケトン、エチレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ
−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセ
テート、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、
水、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフルフリルア
ルコール、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテルなどがあり、これらの溶媒を単独
あるいは混合して使用する。これらの成分からなる感光
性組成物は、支持体上に固形分として0.5〜3.0g
/m2塗布され、感光層が設けられる。なお、〔I〕の
感光層については、本発明者らが先に出願した特開平1
1−84675号公報段落番号〔0027〕〜〔002
8〕に詳細に記載されている。
【0051】〔II〕ジアゾ樹脂と水不溶性かつ親油性光
分子化合物を含有する感光層。 ジアゾ樹脂としては、例えばp−ジアゾジフェニルアミ
ンとホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドの縮合物
と、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩
との有機溶媒可溶の反応生成物であるジアゾ樹脂無機
塩、前記縮合物とスルホン酸類例えばP−トルエンスル
ホン酸またはその塩、ホスフィン酸類例えばベンゼンホ
スフィン酸またはその塩、ヒドロキシル基含有化合物例
えば、2,4−ジヒトロキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸
またはその塩等の反応生成物である有機溶媒可溶性ジア
ゾ樹脂有機酸塩等が挙げられる。本発明において、好適
に用いることができる他のジアゾ樹脂は、カルボキシル
基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リンの酸素酸基お
よびヒドロキシル基のうち少なくとも一つの有機基を有
する芳香族化合物と、ジアゾニウム化合物、好ましくは
芳香族ジアゾニウム化合物とを構造単位として含む共縮
合体であり、該芳香族環としては、好ましくはフェニル
基、ナフチル基をあげることができる。
【0052】本発明に使用するジアゾ樹脂は、各単量体
のモル比及び縮合条件を種々変えることにより、その分
子量は任意の値として得ることができるが、本発明の目
的とする使途に有効に供するためには分子量が約400
〜100,000のもの、好ましくは、約800〜8,
000のものが適当である。水不溶性かつ親油性高分子
化合物としては、下記(1) 〜(15) に示すモノマーをそ
の構造単位とする通常1〜20万の分子量をもつ共重合
体が挙げられる。 (1) 芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタクリ
ルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エス
テル類及びヒドロキシスチレン類、例えばN−(4−ヒ
ドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−,m−,p
−ヒドロキシスチレン、o−,m−,p−ヒドロキシフ
ェニル−アクリレートまたはメタクリレート、(2) 脂肪
族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリ
ル酸エステル類、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレ
ートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−
ヒドロキシブチルメタクリレート(3) アクリル酸、メタ
クリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カル
ボン酸、(4) アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、ア
クリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミ
ル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、
アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸
−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジ
メチルアミノエチルアクリレート等の(置換)アルキル
アクリレート、
【0053】(5) メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレ
ート、アミルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の
(置換)アルキルメタクリレート、(6) アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアク
リルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シク
ロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアク
リルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロ
フェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルア
クリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルア
ミド類、(7) エチルビニルエーテル、2−クロロエチル
ビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プ
ロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチ
ルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニル
エーテル類、(8) ビニルアセテート、ビニルクロロアセ
テート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニル
エステル類、(9) スチレン、α−メチルスチレン、クロ
ロメチルスチレン等のスチレン類、(10)メチルビニルケ
トン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フ
ェニルビニルケトン等のビニルケトン類、
【0054】(11)エチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類、(12)N
−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビ
ニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
等(13)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、
N−アセケチルメタクルアミド、N−プロピオニルメタ
クリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリ
ルアミド等の不飽和イミド、(14)N(o−アミノスルホ
ニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノス
ルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミ
ノ)スルホニルフェニルメタクリルアミド、N−(1−
(3−アミノスルホニル)ナフチル)メタクリルアミ
ド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルア
ミド等のメタクリル酸アミド類、及び上記と同様の置換
基を有するアクリルアミド類、また、o−アミノスルホ
ニルフェニルフメタクリレート、m−アミノスルホニル
フェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニ
ルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニルナフチ
ル)メタクリレート等のメタクリル酸エステル類、及び
上記と同様の置換基を有するアクリル酸エステル類など
の不飽和スルホンアミド
【0055】(15)N−(2−(メタクリロイルオキシ)
−エチル)−2,3−ジメチルマレイミド、ビニルシン
ナメート、などの、側鎖に、架橋性基を有する不飽和モ
ノマー。更に、上記モノマーと共重合し得るモノマーを
共重合させてもよい。(16)米国特許第3,751,25
7号明細書に記載されているフェノール樹脂および例え
ばポリビニルフォルマール樹脂、ポリビニルブチラール
樹脂のようなポリビニルアセタール樹脂。(17)ポリウレ
タンをアルカリ可溶化した特公昭54−19773号、
特開昭57−904747号、同60−182437
号、同62−58242号、同62−123452号、
同62−123453号、同63−113450号、特
開平2−146042号に記載された高分子化合物。ま
た上記共重合体には必要に応じて、ポリビニルブチラー
ル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ
樹脂、ノボラック樹脂、天然樹脂等を添加してもよい。
これらの成分を含む感光性組成物にも、前述と同様に公
知の添加剤を目的に応じて併用することができる。感光
性組成物は固形分濃度1〜50重量%の範囲で好適な溶
剤に溶解され、支持体上に固形分として、おおむね、
0.2〜10g/m2、好ましくは、0.5〜3g/m2
の範囲で塗布され、感光層が設けられる。なお、〔II〕
の感光層については、本発明者らが先に出願した特開平
11−84675号公報段落番号〔0029〕〜〔00
35〕に詳細に記載されている。
【0056】〔III〕光二量化型感光性組成物及び光重
合性感光性組成物を含む感光層 光二量化型感光性組成物としてはマレイミド基やシンナ
ミル基、シンナモイル基、シンナミリデン基、シンナミ
リデンアセチル基やカルコン基などを側鎖、または主鎖
に有するポリマーが挙げられる。これらのポリマーを、
アルカリ水に可溶性または膨潤性とするためには、カル
ボン酸・スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、及びこれら
のアルカリ金属塩やアンモニウム塩、及びアルカリ水に
対し解離するpKa が6〜12の酸基などを、ポリマー中
に含めたものが有用である。必要により上記酸基を有す
るモノマー13種類と、マレイミド基を有するモノマー
を共重合させることもできる。また、これらを含む感光
層にはベンゾフェノン誘導体、ベンズアンスロン誘導
体、キノン類、芳香族ニトロ化合物、ナフトチアゾリン
誘導体、等の増感剤を使用することができる。
【0057】光重合性感光性組成物としては、不飽和カ
ルボン酸及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価ア
ルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪
族多価アミン化合物とのアミドなどが挙げられる。光重
合開始剤としては、α−カルボニル化合物、多核キノン
化合物、トリアリルイミダゾールダイマー/p−アミノ
フェニルケトンの組み合わせ、ベンゾチアゾール系化合
物、トリハロメチル−s−トリアジン化合物等の公知の
ものを使用することができる。また、これらとともに、
アルカリ水可溶性または膨潤性で、かつフィルム形成可
能な高分子重合体としては、ベンジル(メタ)アクリレ
ート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加
重合性ビニルモノマー共重合体、メタクリル酸/メタク
リル酸メチル(またはメタクリル酸エステル)共重合
体、無水マレイン酸共重合体にペンタエリスリトールト
リアクリレートを半エステル化で付加させたものや酸性
ビニル共重合体などが挙げられる。
【0058】〔IV〕電子写真用感光層 例えば、米国特許第3,001,872号明細書に開示
さているZnO 感光層を用いることもできる。また、特開
昭56−161550号、特開昭60−186847
号、特開昭61−238063号各公報などに記載され
ている電子写真感光体を用いた感光層を用いてもよい。
支持体上に設けられる感光層の量は、塗布後の乾燥重量
で、約0.1〜約7g/m2、好ましくは0.5〜4g
/m2の範囲である。〔III〕或いは〔IV〕の感光層につ
いては、本発明者らが先に出願した特開平11−846
75号公報段落番号〔0036〕〜〔0040〕に詳細
に記載されている。
【0059】これらの感光層のなかでも、代表的なもの
として(1)赤外線吸収剤、熱によって酸或いはラジカ
ルを発生する化合物、及び酸によって架橋する化合物或
いはラジカル重合性化合物を含有するネガ型の感光層及
び(2)赤外線吸収剤、熱によって酸を発生する化合
物、酸によって分解する結合部を持つ化合物、を含有す
るポジ型の感光層が挙げられる。 (1)ネガ型の感光層について説明する。このようなネ
ガ型感光層の1つとして、光重合層が挙げられる。光重
合層には、(A)赤外線吸収剤と(B)ラジカル発生剤
(ラジカル重合開始剤)と発生したラジカルにより重合
反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と
を含有し、好ましくは(D)バインダーポリマーを含有
する。赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、こ
の際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開
始剤が分解し、ラジカルを発生する。ラジカル重合性化
合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を
有し、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好
ましくは2個以上有する化合物から選ばれ、発生したラ
ジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。ま
た、感光層の他の態様としては、酸架橋層が挙げられ
る。酸架橋層には、(E)光又は熱により酸を発生する
化合物(以下、酸発生剤と称する)と、(F)発生した
酸により架橋する化合物(以下、架橋剤と称する)とを
含有し、さらに、これらを含有する層を形成するため
の、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可
溶性ポリマーを含む。この酸架橋層においては、光照射
又は加熱により、酸発生剤が分解して発生した酸が、架
橋剤の働きを促進し、架橋剤同士あるいは架橋剤とバイ
ンダーポリマーとの間で強固な架橋構造が形成され、こ
れにより、アルカリ可溶性が低下して、現像剤に不溶と
なる。このとき、赤外線レーザのエネルギーを効率よく
使用するため、感光層中には(A)赤外線吸収剤が配合
される。
【0060】ネガ型平版印刷版原版の記録層に用いられ
る各化合物について以下に述べる。 [(A)赤外線吸収剤]本発明に係る平版印刷版原版の
感光層は、赤外線を発するレーザで画像記録可能な構成
を有する。このような感光層には、赤外線吸収剤を用い
ることが好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を
熱に変換する機能を有している。この際発生した熱によ
り、ラジカル発生剤や酸発生剤が分解し、ラジカルや酸
を発生する。本発明において使用される赤外線吸収剤
は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有す
る染料又は顔料である。
【0061】染料としては、市販の染料及び例えば「染
料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の
文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的
には、例えば、特開平10−39509号公報の段落番
号[0050]〜[0051]に記載のものを挙げるこ
とができる。これらの染料のうち特に好ましいものとし
ては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム
塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、シ
アニン色素が好ましく、特に下記一般式(I)で示され
るシアニン色素が最も好ましい。
【0062】
【化1】
【0063】一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、
またはX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子また
は、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭
化水素基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に、炭
素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の
保存安定性から、R1およびR2は、炭素原子数2個以上
の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2
とは互いに結合し、5員環または6員環を形成している
ことが特に好ましい。Ar1、Ar2は、それぞれ同じで
も異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香
族炭化水素基を示す。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異
なっていても良く、硫黄原子または炭素原子数12個以
下のジアルキルメチレン基を示す。R 3、R4は、それぞ
れ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても
良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好まし
い置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ
基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5
6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていて
も良く、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水
素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子で
ある。また、Z1-は、対アニオンを示す。ただし、R1
〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、
1-は必要ない。好ましいZ1-は、感光層塗布液の保存
安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラ
フルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェート
イオン、およびスルホン酸イオンであり、特に好ましく
は、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイ
オン、およびアリールスルホン酸イオンである。
【0064】本発明において、好適に用いることのでき
る一般式(I)で示されるシアニン色素の具体例として
は、特願平11−310623号明細書の段落番号[0
017]〜[0019]に記載されたものを挙げること
ができる。
【0065】本発明において使用される顔料としては、
市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、
「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年
刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年
刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)
に記載されている顔料が利用できる。
【0066】顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔
料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、
青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、
ポリマー結合色素が挙げられる。これらの顔料の詳細
は、特開平10−39509号公報の段落番号[005
2]〜[0054]に詳細に記載されており、これらを
本発明にも適用することができる。これらの顔料のうち
好ましいものはカーボンブラックである。
【0067】感光層中における、上述の染料又は顔料の
含有量としては、感光層の全固形分重量に対し、0.0
1〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより
好ましく、さらに染料の場合には、0.5〜10重量%
が最も好ましく、顔料の場合には、1.0〜10重量%
が最も好ましい。前記含有量が、0.01重量%未満で
あると、感度が低くなることがあり、50重量%を超え
ると、平版印刷用原版とした場合の非画像部に汚れが発
生することがある。
【0068】[(B)ラジカルを発生する化合物]本発
明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物
としては、オニウム塩が挙げられ、具体的には、ヨード
ニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩である。こ
れらのオニウム塩は酸発生剤としての機能も有するが、
後述するラジカル重合性化合物と併用する際には、ラジ
カル重合の開始剤として機能する。本発明において好適
に用いられるオニウム塩は、下記一般式(III)〜
(V)で表されるオニウム塩である。
【0069】
【化2】
【0070】式(III)中、Ar11とAr12は、それぞ
れ独立に、置換基を有していても良い炭素原子数20個
以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有
する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニ
トロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子
数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個
以下のアリールオキシ基が挙げられる。Z11-はハロゲ
ンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイ
オン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、およびスル
ホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表
し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォ
スフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンで
ある。
【0071】式(IV)中、Ar21は、置換基を有してい
ても良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好
ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素
原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下
のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキ
シ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素
原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数1
2個以下のアリールアミノ基または、炭素原子数12個
以下のジアリールアミノ基が挙げられる。Z21 -はZ11-
と同義の対イオンを表す。
【0072】式(V)中、R31、R32及びR33は、それ
ぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していて
も良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ま
しい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原
子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下の
アルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリール
オキシ基が挙げられる。Z31-はZ11-と同義の対イオン
を表す。
【0073】本発明において、好適に用いることのでき
るオニウム塩の具体例としては、特願平11−3106
23号明細書の段落番号[0030]〜[0033]に
記載されたものを挙げることができる。
【0074】本発明において用いられるオニウム塩は、
極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、
さらに360nm以下であることが好ましい。このよう
に吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版
原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
【0075】これらのオニウム塩は、感光層塗布液の全
固形分に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜
30重量%、特に好ましくは1〜20重量%の割合で感
光層塗布液中に添加することができる。添加量が0.1
重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を
越えると印刷時非画像部に汚れが発生する。これらのオ
ニウム塩は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併
用しても良い。また、これらのオニウム塩は他の成分と
同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加
してもよい。
【0076】[(C)ラジカル重合性化合物]本発明に
係る感光層に使用されるラジカル重合性化合物は、少な
くとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカ
ル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少
なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選
ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く
知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限
定無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、
プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマ
ー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体な
どの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の
例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が
あげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価
アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。ま
た、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求
核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド
類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ
類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン
酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イ
ソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有す
る不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能
もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオー
ル類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキ
シ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステ
ルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコー
ル類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適
である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸
の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換え
た化合物群を使用する事も可能である。
【0077】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルであるラジカル重合性化合物である
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン
酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エス
テル、マレイン酸エステルの具体例は、特願平11−3
10623号明細書の段落番号[0037]〜[004
2]に記載されており、これらを本発明にも適用するこ
とができる。
【0078】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926、特公昭51−47334、特開
昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステ
ル類や、特開昭59−5240、特開昭59−524
1、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有す
るもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有
するもの等も好適に用いられる。
【0079】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等がある。
【0080】その他の好ましいアミド系モノマーの例と
しては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレ
ン構造を有すものをあげる事ができる。
【0081】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(VI)で示される水酸基を含有するビニ
ルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。
【0082】一般式(VI) CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH (ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示
す。)
【0083】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−
49860号、特公昭56−17654号、特公昭62
−39417、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適で
ある。
【0084】さらに、特開昭63−277653,特開
昭63−260909号、特開平1−105238号に
記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有
するラジカル重合性化合物類を用いても良い。
【0085】その他の例としては、特開昭48−641
83号、特公昭49−43191号、特公昭52−30
490号、各公報に記載されているようなポリエステル
アクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を
反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリ
レートやメタクリレートをあげることができる。また、
特公昭46−43946号、特公平1−40337号、
特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、
特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合
物等もあげることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を
含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会
誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも使用することができる。
【0086】これらのラジカル重合性化合物について、
どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用する
か、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終
的な記録材料の性能設計にあわせて、適切な構造、配
合、添加量を任意に選択できる。また、場合によっては
下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しう
る。
【0087】[(D)バインダーポリマー]本発明にお
いては、さらにバインダーポリマーを使用する。バイン
ダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好まし
い。このような「線状有機ポリマー」としては、どれを
使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アル
カリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ
水可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択さ
れる。線状有機ポリマーは、感光層を形成するための皮
膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは
有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能
になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖に
カルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭5
9−44615号、特公昭54−34327号、特公昭
58−12577号、特公昭54−25957号、特開
昭54−92723号、特開昭59−53836号、特
開昭59−71048号に記載されているもの、すなわ
ち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタ
コン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重
合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。ま
た同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘
導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無
水物を付加させたものなどが有用である。
【0088】特にこれらの中で、ベンジル基またはアリ
ル基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ)アクリ
ル樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れてお
り、好適である。
【0089】また、特公平7−12004号、特公平7
−120041号、特公平7−120042号、特公平
8−12424号、特開昭63−287944号、特開
昭63−287947号、特開平1−271741号、
特願平10−116232号等に記載される酸基を含有
するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に
優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
【0090】さらにこの他に水溶性線状有機ポリマーと
して、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド
等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにア
ルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロ
キシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリ
エーテル等も有用である。
【0091】本発明で使用されるポリマーの重量平均分
子量については好ましくは5000以上であり、さらに
好ましくは1万〜30万の範囲であり、数平均分子量に
ついては好ましくは1000以上であり、さらに好まし
くは2000〜25万の範囲である。多分散度(重量平
均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、さらに
好ましくは1.1〜10の範囲である。
【0092】これらのポリマーは、ランダムポリマー、
ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい
が、ランダムポリマーであることが好ましい。
【0093】本発明で使用されるポリマーは従来公知の
方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒と
しては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロ
リド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセト
ン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコ
ールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、
ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶
媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0094】本発明で使用されるポリマーを合成する際
に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始
剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が使用できる。
【0095】本発明で使用されるバインダーポリマーは
単独で用いても混合して用いてもよい。これらポリマー
は、感光層塗布液の全固形分に対し20〜95重量%、
好ましくは30〜90重量%の割合で感光層中に添加さ
れる。添加量が20重量%未満の場合は、画像形成した
際、画像部の強度が不足する。また添加量が95重量%
を越える場合は、画像形成されない。またラジカル重合
可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状
有機ポリマーは、重量比で1/9〜7/3の範囲とする
のが好ましい。
【0096】次に、酸架橋層の構成成分について説明す
る。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前記光重合層に
おいて説明した(A)赤外線吸収剤と同様のものを用い
ることができる。好ましい含有量は、感光層の全固形分
重量に対し、0.01〜50重量%が好ましく、0.1
〜10重量%がより好ましく、さらに染料の場合には、
0.5〜10重量%が最も好ましく、顔料の場合には、
1.0〜10重量%が最も好ましい。前記含有量が、
0.01重量%未満であると、感度が低くなることがあ
り、50重量%を超えると、平版印刷用原版とした場合
の非画像部に汚れが発生することがある。
【0097】[(E)酸発生剤]本実施の形態におい
て、熱により分解して酸を発生する酸発生剤は、200
〜500nmの波長領域の光を照射する又は100℃以
上に加熱することにより、酸を発生する化合物をいう。
前記酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光
ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色
剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知
の酸発生剤等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化合
物及びそれらの混合物等が挙げられる。例えば、S.
I.Schlesinger,Photogr.Sc
i.Eng.,18,387(1974)、T.S.B
al et al,Polymer,21,423(1
980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,06
9,055号明細書、特開平4−365049号等に記
載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055
号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホ
ニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第3
39,049号、同第410,201号の各明細書、特
開平2−150848号、特開平2−296514号に
記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、
同390,214号、同233,567号、同297,
443号、同297,442号、米国特許第4,93
3,377号、同161,811号、同410,201
号、同339,049号、同4,760,013号、同
4,734,444号、同2,833,827号、独国
特許第2,904,626号、同3,604,580
号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホ
ニウム塩、
【0098】J.V.Crivello et al,
Macromolecules,10(6),1307
(1977)、J.V.Crivello et a
l,J.Polymer Sci.,Polymer
Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載
のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Te
h,Proc.Conf.Rad.Curing AS
IA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記
載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,9
05,815号明細書、特公昭46−4605号、特開
昭48−36281号、特開昭55−32070号、特
開昭60−239736号、特開昭61−169835
号、特開昭61−169837号、特開昭62−582
41号、特開昭62−212401号、特開昭63−7
0243号、特開昭63−298339号に記載の有機
ハロゲン化合物、特開平2−161445号公報に記載
の有機金属/有機ハロゲン化物、欧州特許第0290,
750号、同046,083号、同156,535号、
同271,851号、同0,388,343号、米国特
許第3,901,710号、同4,181,531号の
各明細書、特開昭60−198538号、特開昭53−
133022号に記載のo−ニトロベンジル型保護基を
有する光酸発生剤、欧州特許第0199,672号、同
84515号、同199,672号、同044,115
号、同0101,122号、米国特許第4,618,5
64号、同4,371,605号、同4,431,77
4号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2
−245756号、特願平3−140109号に記載の
イミノスルフォネート等に代表される、光分解してスル
ホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号
に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。
【0099】また、これら酸を発生する基又は化合物
を、ポリマーの主鎖若しくは側鎖に導入した化合物も好
適に挙げることができ、例えば、米国特許第3,84
9,137号、独国特許第3,914,407号の各明
細書、特開昭63−26653号、特開昭55−164
824号、特開昭62−69263号、特開昭63−1
46037号、特開昭63−163452号、特開昭6
2−153853号、特開昭63−146029号に記
載の化合物が挙げられる。さらに、V.N.R.Pil
lai,Synthesis,(1),1(198
0)、A.Abad et al,Tetrahedr
on Lett.,(47)4555(1971)、
D.H.R.Barton et al,J.Che
m,Soc,.(B),329(1970)、米国特許
第3,779,778号、欧州特許第126,712号
の各明細書等に記載の、光により酸を発生する化合物も
使用可能である。上述の酸発生剤のうち、下記一般式
(I)〜(V)で表される化合物が好ましい。
【0100】
【化3】
【0101】前記一般式(I)〜(V)中、R1、R2
4及びR5は、同一でも異なっていてもよく、置換基を
有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表す。
3は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素
数10以下の炭化水素基又は炭素数10以下のアルコキ
シ基を表す。Ar1、Ar2は、同一でも異なっていても
よく、置換基を有していてもよい炭素数20以下のアリ
ール基を表す。R6は、置換基を有していてもよい炭素
数20以下の2価の炭化水素基を表す。nは、0〜4の
整数を表す。前記式中、R1、R2、R4及びR5は、炭素
数1〜14の炭化水素基が好ましい。
【0102】前記一般式(I)〜(V)で表される酸発
生剤の好ましい態様は、本発明者らが先に提案した特願
平11−320997号明細書段落番号[0197]〜
[0222]に詳細に記載されている。これらの化合物
は、例えば、特開平2−100054号、特開平2−1
00055号に記載の方法により合成することができ
る。
【0103】また、(E)酸発生剤として、ハロゲン化
物やスルホン酸等を対イオンとするオニウム塩も挙げる
ことができ、中でも、下記一般式(VI)〜(VIII)
で表されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニ
ウム塩のいずれかの構造式を有するものを好適に挙げる
ことができる。
【0104】
【化4】
【0105】前記一般式(VI)〜(VIII)中、X
-は、ハロゲン化物イオン、ClO4 -、PF6 -、SbF6
-、BF4 -又はR7SO3 -を表し、ここで、R7は、置換
基を有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基を表
す。Ar3、Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有して
いてもよい炭素数20以下のアリール基を表す。R8
9、R10は、置換基を有していてもよい炭素数18以
下の炭化水素基を表す。このようなオニウム塩は、特開
平10−39509号公報段落番号[0010]〜[00
35]に一般式(I)〜(III)の化合物として記載され
ている。
【0106】酸発生剤の添加量としては、記録層の全固
形分重量に対し0.01〜50重量%が好ましく、0.
1〜25重量%がより好ましく、0. 5〜20重量%が
最も好ましい。前記添加量が、0.01重量%未満であ
ると、画像が得られないことがあり、50重量%を超え
ると、平版印刷用原版とした時の印刷時において非画像
部に汚れが発生することがある。上述の酸発生剤は単独
で使用してもよいし、2種以上を組合わせて使用しても
よい。
【0107】[(F)架橋剤]次に、架橋剤について説明
する。架橋剤としては、以下のものが挙げられる。 (i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基
で置換された芳香族化合物 (ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル
基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物 (iii)エポキシ化合物
【0108】以下、前記(i)〜(iii)の化合物につ
いて詳述する。前記(i)ヒドロキシメチル基若しくは
アルコキシメチル基で置換された芳香族化合物として
は、例えば、ヒドロキシメチル基、アセトキシメチル基
若しくはアルコキシメチル基でポリ置換されている芳香
族化合物又は複素環化合物が挙げられる。但し、レゾー
ル樹脂として知られるフェノール類とアルデヒド類とを
塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化合物も含まれ
る。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基でポリ
置換された芳香族化合物又は複素環化合物のうち、中で
も、ヒドロキシ基に隣接する位置にヒドロキシメチル基
又はアルコキシメチル基を有する化合物が好ましい。ま
た、アルコキシメチル基でポリ置換された芳香族化合物
又は複素環化合物では、中でも、アルコキシメチル基が
炭素数18以下の化合物が好ましく、下記一般式(1)
〜(4)で表される化合物がより好ましい。
【0109】
【化5】
【0110】
【化6】
【0111】前記一般式(1)〜(4)中、L1〜L
8は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エトキシメチ
ル等の、炭素数18以下のアルコキシ基で置換されたヒ
ドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を表す。これ
らの架橋剤は、架橋効率が高く、耐刷性を向上できる点
で好ましい。
【0112】(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アル
コキシメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物としては、欧州特許公開(以下、「EP−
A」と示す。)第0,133,216号、西独特許第
3,634,671号、同第3,711,264号に記
載の、単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデ
ヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP
−A第0,212,482号明細書に記載のアルコキシ
置換化合物等が挙げられる。なかでも、例えば、少なく
とも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキ
シメチル基若しくはN−アシルオキシメチル基を有する
メラミン−ホルムアルデヒド誘導体が好ましく、N−ア
ルコキシメチル誘導体が最も好ましい。
【0113】(iii) エポキシ化合物としては、1以上の
エポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、オリゴマ
ー、ポリマー状のエポキシ化合物が挙げられ、例えば、
ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成
物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピ
クロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その
他、米国特許第4,026,705号、英国特許第1,
539,192号の各明細書に記載され、使用されてい
るエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0114】架橋剤として、前記(i)〜(iii)の化
合物を用いる場合の添加量としては、感光層の全固形分
重量に対し5〜80重量%が好ましく、10〜75重量
%がより好ましく、20〜70重量%が最も好ましい。
前記添加量が、5重量%未満であると、得られる画像記
録材料の感光層の耐久性が低下することがあり、80重
量%を超えると、保存時の安定性が低下することがあ
る。
【0115】本発明においては、架橋剤として、(iv)
下記一般式(5)で表されるフェノール誘導体も好適に
使用することができる。
【0116】
【化7】
【0117】前記一般式(5)中、Ar1は、置換基を
有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。原料の入手
性の点で、前記芳香族炭化水素環としては、ベンゼン
環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましい。ま
た、その置換基としては、ハロゲン原子、炭素数12以
下の炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、炭素
数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基、ト
リフルオロメチル基等が好ましい。
【0118】上記のうち、高感度化が可能である点で、
Ar1としては、置換基を有していないベンゼン環、ナ
フタレン環、或いは、ハロゲン原子、炭素数6以下の炭
化水素基、炭素数6以下のアルコキシ基、炭素数6以下
のアルキルチオ基又はニトロ基等を置換基として有する
ベンゼン環又はナフタレン環がより好ましい。
【0119】[(G)アルカリ水可溶性高分子化合物]本発
明に係る架橋層に使用可能なアルカリ水可溶性高分子化
合物としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシアリ
ール基を有するポリマー等が挙げられる。前記ノボラッ
ク樹脂としては、フェノール類とアルデヒド類を酸性条
件下で縮合させた樹脂が挙げられる。
【0120】中でも、例えば、フェノールとホルムアル
デヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールと
ホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−ク
レゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹
脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノ
ボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒド
から得られるノボラック樹脂、m−/p−混合クレゾー
ルとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フ
ェノール/クレゾール(m−,p−,o−又はm−/p
−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の
混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂
や、フェノールとパラホルムアルデヒドとを原料とし、
触媒を使用せず密閉状態で高圧下、反応させて得られる
オルソ結合率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好まし
い。前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜
300,000で、数平均分子量が400〜60,00
0のものの中から、目的に応じて好適なものを選択して
用いればよい。
【0121】また、前記側鎖にヒドロキシアリール基を
有するポリマーも好ましく、該ポリマー中のヒドロキシ
アリール基としては、OH基が1以上結合したアリール
基が挙げられる。前記アリール基としては、例えば、フ
ェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナント
レニル基等が挙げられ、中でも、入手の容易性及び物性
の観点から、フェニル基又はナフチル基が好ましい。本
実施の形態に使用可能な、側鎖にヒドロキシアリール基
を有するポリマーとしては、例えば、下記一般式(I
X)〜(XII)で表される構成単位のうちのいずれか1
種を含むポリマーを挙げることができる。但し、本発明
においては、これらに限定されるものではない。
【0122】
【化8】
【0123】一般式(IX)〜(XII)中、R11は、水
素原子又はメチル基を表す。R12及びR13は、同じでも
異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素数
10以下の炭化水素基、炭素数10以下のアルコキシ基
又は炭素数10以下のアリールオキシ基を表す。また、
12とR13が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘキサ
ン環を形成していてもよい。R14は、単結合又は炭素数
20以下の2価の炭化水素基を表す。R15は、単結合又
は炭素数20以下の2価の炭化水素基を表す。R16は、
単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素基を表す。
1は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エ
ステル結合又はアミド結合を表す。pは、1〜4の整数
を表す。q及びrは、それぞれ独立に0〜3の整数を表
す。
【0124】これらのアルカリ可溶性高分子としては、
本発明者らが先に提案した特願平11−320997号
明細書段落番号[0130]〜[0163]に詳細に記載さ
れている。本実施の形態に使用可能なアルカリ水可溶性
高分子化合物は、1種類のみで使用してもよいし、2種
類以上を組合わせて使用してもよい。
【0125】アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量と
しては、感光層の全固形分に対し5〜95重量%が好ま
しく、10〜95重量%がより好ましく、20〜90重
量%が最も好ましい。アルカリ水可溶性樹脂の添加量
が、5重量%未満であると、記録層の耐久性が劣化する
ことがあり、95重量%を超えると、画像形成されない
ことがある。
【0126】また、本発明の方法が適用できる公知の記
録材料としては、特開平8−276558号公報に記載
のフェノール誘導体を含有するネガ型画像記録材料、特
開平7−306528号公報に記載のジアゾニウム化合
物を含有するネガ型記録材料、特開平10−20303
7号公報に記載されている環内に不飽和結合を有する複
素環基を有するポリマーを用いた、酸触媒による架橋反
応を利用したネガ型画像形成材料などが挙げられ、これ
らに記載の記録層を本発明に係るネガ型感光層としての
酸架橋層に適用することができる。
【0127】次に、ポジ型感光層について説明する。ポ
ジ型感光層では、光又は熱によりバインダーである高分
子化合物内の結合が切れたり、高分子間の相互作用が解
けてアルカリ現像駅に対する溶解性が向上する。このよ
うなバインダーポリマーとしては、高分子中の主鎖およ
び/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これら
の共重合体またはこれらの混合物が挙げられる。中で
も、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖
および/または側鎖中に有するものが、アルカリ性現像
液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好まし
い。
【0128】(1)フェノール基(−Ar−OH) (2)スルホンアミド基(−SO2 NH−R) (3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド
基」という。) 〔−SO2 NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CO
NHSO2 R〕 (4)カルボン酸基(−CO2 H) (5)スルホン酸基(−SO3 H) (6)リン酸基(−OPO3 2
【0129】上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有
していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置
換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0130】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子の中でも、(1)フェノ
ール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミ
ド基を有するアルカリ水可溶性高分子が好ましく、特
に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基
を有するアルカリ水可溶性高分子が、アルカリ性現像液
に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確
保する点から最も好ましい。
【0131】上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を
有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、以下
のものを挙げることができる。 (1)フェノール基を有するアルカリ水可溶性高分子と
しては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮
重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合
体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、
m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重
合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm
−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドと
の縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールと
アセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、
フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重
合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側
鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いること
もできる。
【0132】フェノール基を有する化合物としては、フ
ェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミ
ド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、また
はヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0133】アルカリ水可溶性高分子の重量平均分子量
は、5.0×102〜2.0×104で、数平均分子量が
2.0×102 〜1.0×104 のものが、画像形成性
の点で好ましい。また、これらの高分子を単独で用いる
のみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよ
い。組み合わせる場合には、米国特許第4123279
号明細書に記載されているような、t−ブチルフェノー
ルとホルムアルデヒドとの縮重合体や、オクチルフェノ
ールとホルムアルデヒドとの縮重合体のような、炭素数
3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールと
ホルムアルデヒドとの縮重合体を併用してもよい。
【0134】(2)スルホンアミド基を有するアルカリ
水可溶性高分子としては、例えば、スルホンアミド基を
有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分と
して構成される重合体を挙げることができる。上記のよ
うな化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素
原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和
基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げら
れる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニ
ロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基
または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低
分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式1〜5で表
される化合物が挙げられる。
【0135】
【化9】
【0136】〔式中、X1 、X2 は、それぞれ独立に−
O−または−NR27−を表す。R21、R24は、それぞれ
独立に水素原子または−CH3 を表す。R22、R25、R
29、R 32及びR36は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキ
レン基、アリーレン基またはアラルキレン基を表す。R
23、R27及びR33は、それぞれ独立に水素原子、置換基
を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シク
ロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。
また、R26、R37は、それぞれ独立に置換基を有してい
てもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基を表す。R 28、R30及び
34は、それぞれ独立に水素原子または−CH3 を表
す。R31、R 35は、それぞれ独立に単結合、または置換
基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、
シクロアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン
基を表す。Y3 、Y4 は、それぞれ独立に単結合、また
は−CO−を表す。〕
【0137】一般式1〜5で表される化合物のうち、本
発明のポジ型平版印刷用材料では、特に、m−アミノス
ルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノス
ルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミ
ノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用
することができる。
【0138】(3)活性イミド基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、活性イミド基を有する化
合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成
される重合体を挙げることができる。上記のような化合
物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重
合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する
化合物を挙げることができる。
【0139】
【化10】
【0140】具体的には、N−(p−トルエンスルホニ
ル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニ
ル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0141】(4)カルボン酸基を有するアルカリ水可
溶性高分子としては、例えば、カルボン酸基と、重合可
能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合
物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体
を挙げることができる。 (5)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子とし
ては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基
と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する
最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げること
ができる。 (6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子として
は、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分
子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成
単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができ
る。
【0142】ポジ型画像形成材料に用いるアルカリ水可
溶性高分子を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれ
る酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみであ
る必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2
種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2
種以上共重合させたものを用いることもできる。
【0143】共重合の方法としては、従来知られてい
る、グラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共
重合法等を用いることができる。
【0144】前記共重合体は、共重合させる(1)〜
(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中
に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モ
ル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%
未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させるこ
とができない傾向がある。
【0145】ポジ型感光層に使用できる赤外線吸収剤と
しては、特定の官能基を有するバインダーポリマーとの
相互作用によりポジ作用(未露光部は現像抑制され、露
光部では解除され、現像促進する。)を生じさせる必要
があるため、その点でオニウム塩型構造のものが特に好
ましく、具体的には、前記のネガ型の場合に使用できる
赤外線吸収剤のうち、特にシアニン色素、ピリリウム塩
が好ましい。シアニン色素、ピリリウム塩の詳細につい
ては前述の通りである。
【0146】さらに、特願平10−237634号に記
載のアニオン性赤外線吸収剤も好適に使用することがで
きる。このアニオン性赤外線吸収剤は、実質的に赤外線
を吸収する色素の母核にカチオン構造が無く、アニオン
構造を有するものを指す。例えば、(a−1)アニオン
性金属錯体、(a−2)アニオン性カーボンブラック、
(a−3)アニオン性フタロシアニンが挙げられる。
【0147】赤外線吸収剤は吸収した赤外線を熱に変換
する機能を有しており、この際、ネガ型の記録材料で
は、発生した熱により酸或いはラジカルを発生し、感光
層内において架橋或いは重合反応を生起させ、硬化によ
り画像部が形成され、また、ポジ型の記録材料では、レ
ーザ走査により発生した熱或いは光そのものにより化学
反応等が起こり、ポリマー中の結合が溶けて露光部の現
像液に対する溶解性が大きく増加し、現像により除去さ
れて非画像部となる。これらの感光層にも前述のような
公知の添加剤を目的に応じて併用することができる。
【0148】本発明の方法において、支持体上に感光層
を形成するには、前記の如き成分を含有した感光性組成
物を、各成分を溶解する溶媒に溶かして支持体のアルミ
ニウム板上に塗布すればよい。ここで使用される溶媒と
しては、特開昭62−251739号、特開平6−24
2597号公報に記載されているような有機溶剤が単独
あるいは混合して用いられる。感光性組成物は、2〜5
0重量%の固形分濃度で溶解、分散され、支持体上に塗
布・乾燥される。支持体上に塗設される感光性組成物の
層(感光層)の塗布量は用途により異なるが、一般的に
は、乾燥後の重量にして0.3〜4.0g/m2が好ま
しい。塗布量が小さくなるにつれて画像を得るための露
光量は小さくて済むが、膜強度は低下する。塗布量が大
きくなるにつれ、露光量を必要とするが感光膜は強くな
り、例えば、印刷版として用いた場合、印刷可能枚数の
高い(高耐刷の)印刷版が得られる。感光性組成物中に
は、塗布面質を向上するための界面活性剤、特に好まし
くはフッ素系界面活性剤を添加することができる。平版
印刷版の製造に当たっては裏面のバックコート層と表面
の感光性組成物層のどちらが先に支持体上に塗布されて
もよく、また両者が同時に塗布されてもよい。
【0149】感光層を塗布する方式、条件としては、公
知の感光層を塗布する方式、条件の多くを利用できる。
即ち、コーティングロッドを用いる方法、エクストルー
ジョン型コーターを用いる方法、スライドビードコータ
ーを用いる方法等が利用できる。また塗布する条件、液
物性等も感光層の塗布量や感光性組成物の物性に応じて
種々の条件を選択して利用できる。以下にいくつかの方
法に関し詳しく説明する。
【0150】図7は本発明において感光性組成物を塗布
する塗布装置の一例を示すもので、図7において、50
6はワイヤーバー又は溝切りバーで、連続的に走行せし
められているウェブ504と同方向に回転せしめられて
いる。507はバー支持部材でバー506の全長にわた
り設けられ、バー506にたわみが生ずるのを防止する
と共にバー506へ塗布液503を供給する給液器とし
ての機能を備えている。すなわち塗布液503はバー支
持部材507に設けられた給液口508より堰部材50
9との間に形成された給液案内溝510内に供給され、
回転するバーによってピックアップされウェブ504に
塗布されるが、この際、ウェブ504とバー506との
接触部において塗布液503の計量がおこなわれて所望
の塗布量のみがウェブ504に塗布され、他は流下して
新たに供給された塗布液503と共に液だまり511が
形成される。従って、定常状態においては、塗布液50
3は液だまり511を介してウェブ504に塗布される
ことになる。このように液だまり511よりウェブ50
4へ塗布液503を塗布すると、驚くべきことに塗膜の
表面性が従来に比し向上することが認められた。しかも
塗布液をウェブに転移、塗布する機能と所望の塗布液量
に計量するという機能とをバー506が併わせ持ってい
るため、装置全体がコンパクトになり、スペースを有効
に利用しうるだけでなく、各種条件の設定や操作も容易
となった。
【0151】この方式において、塗布量はコーティング
バー表面の溝の大きさ、即ちロッドにワイヤーを巻いて
あるワイヤーバーではワイヤーのサイズにより制御する
塗布量の制御範囲ははっきりした制約はないが、3〜1
00ml/m2が通常用いられる。コーティングバーの
径も特に制約はないが3〜20mmが通常用いられる、
コーティングバーの回転はウェブと同方向、逆方向どち
らでもよく、塗布スピードは10〜150m/分の領域
で用いることができる。また、液物性としては、粘度は
剪断速度100 1/sec 未満で0.7〜500cp、剪
断速度100〜100,000 1/sec においては
0.7〜300cp、より好ましくは100 1/sec 未
満において0.7〜100cp、100〜100,000
において0.7〜60cp、表面張力は20〜70dyne/
cm、より好ましくは25〜50dyne/cm、比重は0.8
〜1.5の領域で塗布可能である。
【0152】また別の方法としては、エクストルージョ
ン型注液器より、塗布液を吐出させ、バックアップロー
ラに巻回されて、走行する支持体上に塗布液架橋を形成
させ、塗布液架橋の背部を減圧もしくは前部を加圧して
塗布する方法を用いることができる。この方式ではウェ
ブと注液器先端のクリアランスに依存するが10〜50
0cc/m2程度の塗布量の液を塗布することができる。塗
布液の条件として、好ましくは剪断速度100 1/se
c 未満で、100〜100,000で0.7〜60cp、
0.7〜100cp、表面張力は20〜50dyne/cm、比
重は0.8〜1.2の領域が好ましい。また、ウェブと
注液器のクリアランスは0.1〜0.5mm程度が通常用
いられる。
【0153】次に乾燥方式条件について記載する。乾燥
方式としては、特開平6−63487号に記載がある乾
燥装置内にパスロールを配置し、ロールにウェブをラッ
プさせて搬送するアーチ型ドライヤー、ウェブの上下面
からノズルによりエアーを供給しウェブを浮上させなが
ら乾燥する方式、あるいは熱風を用いず、高温に種々の
媒体を用いて加熱し、その副射熱により乾燥する方式、
あるいはロールを種々媒体を用いて加熱しそのロールと
ウェブの接触による伝導伝熱により乾燥する方式等があ
る。次に熱風を用いる方式について少し詳しく述べる。
【0154】図8は本発明で用いられる従来の乾燥装置
の一例を示す概略断面図である。案内ロールRに案内さ
れ連続的に走行する長尺アルミニウムウェブ621は、
塗布部622により溶媒を含有する塗布液を塗布され第
1ステップ乾燥ゾーン23に導入される。第1ステップ
乾燥ゾーン623には給気口625及び排気口626が
設けられている。給気口625から40℃〜130℃、
露点−5〜15℃で供給される熱風は、整流板629に
より整流されて、アルミニウムウェブ621に前記塗布
により形成された塗布皮膜表面に風速0.5〜4m/s
で接触し、該塗布膜を乾燥させ排気口626から排出さ
れる。第1ステップ乾燥ゾーン623の出口付近に達し
たアルミニウムウェブ621の該塗布皮膜は、軟膜状態
を呈する。引き続き案内ロールRに案内され連続的に走
行する長尺アルミニウムウェブ621は、第2ステップ
乾燥ゾーン624に導入される。第2ステップ乾燥ゾー
ン624には給気口627及び排気口628が設けられ
ている。給気口627から供給された60℃〜150
℃、露点5〜20℃の熱風はスリット型ノズル630よ
り吹き出し風速5〜15m/sで噴出されアルミニウム
ウェブ621の塗布皮膜面に激しく接触する。これによ
り塗布皮膜の溶媒が蒸発し、塗布皮膜が硬化する。塗布
皮膜と接触した後の気体は排気口628から排出され
る。スリット型ノズルとしては先端のノズルクリアラン
スは0.2〜8mm、ピッチ30〜300mm、ノズル〜ウ
ェブ間距離5〜200mmの条件で通常用いられる。
【0155】上記のようにして設けられた感光層の表面
には、真空焼き枠を用いた密着露光の際の真空引きの時
間を短縮し、且つ焼きボケを防ぐため、マット層を設け
てもよい。具体的には、特開昭50−125805号、
特公昭57−6582号、同61−28986号の各公
報に記載されているようなマット層を設ける方法、特公
昭62−62337号公報に記載されているような固体
粉末を熱融着させる方法などが挙げられる。また、本発
明の方法により得られた平版印刷版の支持体の裏面に、
重ねた場合の感光層の傷付きを防ぐための有機高分子化
合物からなる被覆層(バックコート層)が必要に応じて
設けられる。有機高分子としては、ガラス転移点20℃
以上の、飽和共重合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂及び塩化ビニリデン共重
合樹脂等が挙げられる。
【0156】なお、前述の各感光層として、一層構造の
もののみを説明したが、本発明の方法に適用し得る感光
層はこれに限定されず、公知の多層構造の感光層、例え
ば、物理現像核層、ハロゲン化銀乳剤層の2層からなる
感光層、多官能性モノマーと多官能性バインダーからな
る重合層、ハロゲン化銀と還元剤からなる層、酸素遮断
層の3層を含む感光層、ノボラック樹脂とナフトキノン
ジアジドを含む層、ハロゲン化銀を含む層の2層を含む
感光層、レーザー光照射によって除去されるレーザー光
吸収層、および親油性層あるいは親水性層の何れかある
いは両方からなる2乃至3層からなる感光層等を用いて
もよく、また、有機光導電体を含む感光層を設けてもよ
い。
【0157】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれに制限されるものではない。 (実施例1〜4) 〔支持体の製造〕アルミニウム(JIS 1050材)
を図1の装置で、平均30μm研磨材を用い、回転数、
押し圧を適時変え、Ra(表面粗さ)、Rp(中心線深
さ)、Rmax(最大高さ)をコントロールして各種水
準基板を作成した。次に、図2の装置で、苛性ソーダの
濃度を15%一定とし、温度を50℃で処理し、a30
の値をコントロールするため、各種条件で作成した。水
洗後、硝酸液でデスマットを行った後、図3の装置で、
硝酸1%、Al0.5%、温度45℃、電源波形を特開
平3−79799を用い電気量を50c/dm2〜70
0c/dm2の範囲で変化させ、図2の装置で、苛性ソ
ーダの濃度を10%とし、0.1g/m2から1g/m2
の間でエッチングを行い、表面積差を変えたサンプルを
作成した。その後、図4の装置を用い、酸化皮膜量を3
g/m2になる様に電気量をコントロールし、かつ温度
を50℃にコントロールし、比重、電導度を一定にコン
トロールすると共に、槽414のAlウェブと電極間の
流速と共に、第1セクション〜第3セクションに分け、
それぞれの条件を下記表に示す様に変化させた。表1に
得られた物性値、陽極酸化皮膜生成時の条件を示す。
【0158】
【表1】
【0159】実施例1〜4について、それぞれ感光層と
しては、以下のものを使用した。 〔感光層塗布液(a)〕 ・カーボンブラック分散液 10g ・4−ジアゾジフェニルアミンと ホルムアルデヒド縮合物六フッ化リン酸塩 0.5g ・メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ベンジルメタクリレート 、アクリロニトリルのラジカル共重合体モル比15:30:40:15 重量平 均分子量10万) 5g ・リンゴ酸 0.05g ・FC−430(米国3M社製フッ素系界面活性剤) 0.05g ・1−メトキシ−2−プロパノール 80g ・乳酸エチル 15g .水 5g
【0160】 〔感光層塗布液(b)〕 ・カプリン酸 0.03g ・特定の共重合体(フェノール性水酸基を有する樹脂、スルホンアミド基を有す るモノマー、活性イミノ基を有するモノマーの内、少なくとも1つを共重合成分 として10モル%以上含む共重合体) 0.75g ・m、p−クレゾールノボラック(m,p比=6/4) 0.25g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g ・シアニン染料 0.017g ・ビクトリアピュアブルー BOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.017g ・メガファックF−177(大日本インキ化学工業製界面活性剤) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10g ・メチルエチルケトン 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0161】 〔感光層塗布液(c)〕 ・カプリン酸 0.03g ・m、p−クレゾールノボラック(m,p比=6/4) 1g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g ・シアニン染料 0.017g ・ビクトリアピュアブルー BOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.017g ・メガファックF−177(大日本インキ化学工業製界面活性剤) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10g ・メチルエチルケトン 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
【0162】 〔感光層塗布液(d)〕 ・光重合層感光液 テトラメチロールメタンテトラアクリレート 1.5g 線状有機高分子重合体(B1) 2.0g 増感剤(C1) 0.15g (λmaxTHF479nm、ε=6.9×104) 光開始剤(D1) 0.2g IRGACURE907(E1)(Ciba−Geigy社製) 0.4g ε−フタロシアニン/(B1)分散物 0.2g フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF177 (大日本インキ化学工業(株)製) 0.03g メチルエチルケトン 9g プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5g トルエン 11g ・酸素遮断層 ポリビニルアルコール (ケン化度98モル%、重合度500)の3重量%の水溶液
【0163】 〔感光層塗布液(e)〕 ・重合層塗布液 ペンタエリスリトールテトラアクリレート 2.5g アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合比=80/20)の 20重量%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液 37.5g 顔料分散液 13.0g メチルエチルケトン 74.0g ・感光層基布液(重合層塗布乾燥後に塗布する) ケン化度79.5%のポリビニルアルコール(商品名:PVA−405, クラレ(株)製)の10重量%水溶液 10.5g 下記の添加剤(SH−1)の0.11重量%メタノール溶液 0.41g 下記の添加剤(SH−2)の0.11重量%水溶液 0.41g 上記のハロゲン化銀乳剤 0.50g 界面活性剤(SA−1)の5重畳%水溶液 0.40g 水 7.80g 還元剤分散液 1.20g ・酸素遮断層(感光層塗布乾燥後に塗布する) ケン化度98.5%のポリビニルアルコール(商品名:PVA−105、 クラレ(株)製)の10重量%水溶液 200.0g 塩基プレカーサー(下記構造)分散液 1.25g 界面活性剤水溶液 4.0g
【0164】
【化11】
【0165】 〔感光層塗布液処方(f)〕 ・樹脂層 アセトン−ピロガロール液樹脂のナフトキノン−1,2−ジアジド− (2)−5−スルホン酸エステル 5.0g クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂 10.0g メチルエチルケトン 150g シクロヘキサノン 122g ・感光層(樹脂層塗布乾燥後に塗布する) 塩臭化銀ゼラチン乳剤(Cl:70モル%、Br:30モル%、平均粒子径: 0.28μm、乳剤1kg当りゼラチン量:55g、ハロゲン化銀含有量: 0.85モル) 1000g 1,3−ジエチル−5−[2−(3−(3−スルホプロピル)ベンズオキサゾ ールー2−イリデン)エチリデン]チオヒダントインナトリウム塩の0.1 %メタノール溶液 50ml 4−ヒドロキシ−6−メチル1,3,3a,7−テトラザインデンの0.5% アルカリ水溶液 100ml 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンの2%水溶液 35ml
【0166】〔感光層塗布液(g)〕 ・物理現像核層 カレイ・レー(Carey Lea)法により調製した
銀ゾルを、乾燥重量が銀量で5mg/m2になるように
塗布。 ・ハロゲン化銀層(物理現像核層の上に塗布) 40モル%の塩化物および60モル%の臭化物からなる
平均粒子サイズが0.3μmの塩臭化銀乳剤(銀塩:ゼ
ラチン(重量比)=1:1)を、2.0g/m2塗布。
【0167】 〔感光層塗布液(h)〕 ・光導電層用塗布液 Fastogen Blue 8120 (大日本インキ(株)製 無金属フタ ロシアニン) 1.0重量部 メチルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体 (メタクリル酸20%モル%) 10.0重量部 テトラヒドロフラン 60重量部 シクロヘキサノン 40重量部 ・保護層用塗布液(光導電層の上に塗布する) ポリビニルブチラール (電気化学工業株式会社製 2000−L) 2.0重量部 ステアリン酸 0.5重量部 エタノール 97.5重量部
【0168】 〔感光層塗布液(i)〕 酸の作用でスルホン酸を発生する官能基を 側鎖に有する高分子化合物 1.0g (上記の高分子化合物としては、特開平10−207068記載の物が使用 できる。) o−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロライド 0.1g ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 1−ナフタレン−スルホン酸にした染料 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176PF、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g メチルエチルケトン 10g γ−ブチロラクトン 10g
【0169】〔感光層塗布液(j)〕特開平11−13
9023号公報の記載と同様な方法で作成した、銀薄膜
が露出した感光層
【0170】(比較例1)実施例1と同様のJIS10
50材を図1の装置で、平均30μm研磨材を用い、回
転数、押し圧を適時変え、Ra,Rp,Rmaxをコン
トロールして各種水準を作成した。次に、図2の装置
で、苛性ソーダの濃度を15%一定とし、温度を50℃
で処理し、a30の値をコントロールする為、各種条件
で作成した。水洗後、硝酸液でデスマットを行った後、
図3の装置で、硝酸1%、Al0.5%、温度45℃、
電源波形を特開平3−79799号記載の条件を用い電
気量を50c/dm2〜700c/dm2の範囲で変化さ
せ、図2の装置で、苛性ソーダの濃度を10%とし、
0.1g/m2から1g/m2の間でエッチングを行い、
表面積差を変えたサンプルを作成した。その後、図4の
装置を用い、酸化皮膜量を3g/m2になる様に電気量
をコントロールし、かつ温度、比重、電導度を特に制御
せず、成り行きにし、槽414のAlウェブと電極間の
流速と共に、第1セクション〜第3セクションの条件を
下表の様に変化させた。表2に得られた物性値、陽極酸
化皮膜生成時の条件を示す。感光層は、先に実施例1〜
4で用いたのと同様のものを形成した。
【0171】
【表2】
【0172】(比較例2〜10)実施例1と同様のJI
S 1050材を図1の装置で、平均30μm研磨材を
用い、回転数、押し圧を適時変え、Ra,Rp,Rma
xをコントロールして各種水準を作成した。次に、図2
の装置で、苛性ソーダの濃度を15%一定とし、温度を
50℃で処理し、a30の値をコントロールする為、各
種条件で作成した。水洗後、硝酸液でデススマットを行
った後、図3の装置で、硝酸1%、Al0.5%、温度
45℃、電源波形を特開平3−79799を用い電気量
を50c/dm2〜700c/dm2の範囲で変化させ、
図2の装置で、苛性ソーダの濃度を10%とし、0.1
g/m2から1g/m2の間でエッチングを行い、表面積
差を変えたサンプルを作成した。その後、図4の装置を
用い、酸化皮膜量を3g/m 2になる様に電気量をコン
トロールし、かつ温度を50℃にコントロールし、比
重、電導度を一定に制御すると共に、槽414のAlウ
ェブと電極間の流速と共に、第1セクション〜第3セク
ションの条件を下表の様に変化させた。表3に得られた
物性値、陽極酸化皮膜生成時の条件を示す。なお、感光
層は、実施例1〜4で用いたのと同様のものを形成し
た。
【0173】
【表3】
【0174】〔耐刷性、画像形成性の評価〕以上のよう
にして得られた実施例1〜4、比較例1〜10の平版印
刷版原版の耐刷性、画像形成性等の印刷性能を調べた。
耐刷性は得られた良好な印刷物の枚数で、汚れ性は得ら
れた印刷物の画像部の画像再現性、非画像部の汚れ性を
目視で観察することで評価した。
【0175】その結果、実施例については、いずれの支
持体も生産性が良好で、平版印刷版原版としても一定品
質のものが得られ、かつ、いずれの感光層を形成した場
合においても、耐刷性、網点や細線などの画像再現性、
汚れ性などの印刷性能も良好であった。
【0176】一方、支持体の陽極酸化皮膜工程におい
て、電導度の制御を行わなかった比較例1は、一定品質
の製品が得られず、陽極酸化皮膜工程に付する前のアル
ミニウム基板の特性が本発明の範囲外のものを用いた各
比較例については、比較例2は、汚れ難さが悪く、比較
例3は、耐刷力が劣り、比較例4は、非画像部に汚れが
見られ、汚れ性が劣り、比較例5は、低露光時のポツ状
残膜が問題となり、比較例6、7は、支持体表面にムラ
が生じ、皮膜分布も不均一であった。また、陽極酸化皮
膜工程において、電流密度が一定であった各比較例につ
いては、比較例8は、生産性が劣り、比較例9、10
は、Alエッジ部に電流集中が生じ、製品を作れなかっ
た。
【0177】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版の製造方法によ
れば、アルミニウム板を支持体とした、レーザ露光適性
に優れ、感光層との密着向上による小網点部や細線部の
安定性及び耐刷性に優れた一定品質の平版印刷版用原版
を高い生産性で安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ブラシを用いた機械的粗面化処理工程の一例
を示す概略図である。
【図2】 アルミニウム表面を化学的エッチング処理を
行う工程の一例を示す概略図である。
【図3】 アルミニウム支持体に電解粗面化処理を第1
及び第2の電解粗面化処理によて行う工程の一例を示す
概略図である。
【図4】 アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する工
程の一例を示す概略図である。
【図5】 アルミニウム基板のRmax(最大高さ)の
求め方の例を示す概略図である。
【図6】 アルミニウム基板のRp(中心線の深さ)求
め方の例を示す概略図である。
【図7】 アルミニウム板に塗布液(感光製)を塗布す
る塗布工程の一例を示す構成概略図である。
【図8】 塗布液が塗布されたアルミニウム板を乾燥す
る乾燥工程の一例を示す構成概略図である。
【符号の説明】
101 アルミニウム板 102 ロール状ブラシ 103 研磨スラリー 201 ニップロール 202 パスロール 203 スプレー 204 送液ポンプ 205 調液タンク 211 エッチング処理槽 222 アルミニウム板 301 アルミニウム板 302 第1表面粗面化装置 303 第2表面粗面化装置 304 裏面粗面化装置 306 主電極 307 ドラムローラ 308 電解液 410 陽極酸化処理装置 412 給電槽 414 電解処理槽 416 アルミニウム板 418、426 電解液 430−1 第1のセクションの電解電極 430−2 第2のセクションの電解電極 430−3 第3のセクションの電解電極 434−1 第1のセクションの直流電源 434−2 第2のセクションの直流電源 434−3 第3のセクションの直流電源 504 アルミニウム板 503 塗布液 511 液溜 621 アルミニウム板 622 塗布部 623、624 乾燥ゾーン 625 給気口 626 排気口

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基板に、機械的粗面化、苛
    性ソーダを主体とする液によるエッチング、塩酸または
    硝酸を主体とする電気化学的粗面化のうち、少なくとも
    2工程を用いて粗面化/エッチングを行なった後、以下
    の(1)〜(4)の要件を満たすアルミニウム板を製造
    し、その後、硫酸、蓚酸、又は、燐酸を主体とする処理
    液により、電導度を一定にしながら、初期電流密度を末
    期電流密度よりも低位に制御する陽極酸化皮膜生成工程
    を施して、アルミニウム支持体を得て、 該支持体上に赤外線レーザで書き込み可能な感光層を形
    成することを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。 (1)水平(X,Y)方向の分解能が1.9μmである
    AFMを用い、240μm角の測定範囲で測定し、傾斜
    度が30度以上の割合(a30)が70%以内、(2)
    0.15μm≦Ra≦0.90μm、(3)Rp≦8R
    a、(4)Rmax≦14Ra。
  2. 【請求項2】 前記陽極酸化皮膜生成工程を経て得られ
    たアルミニウム支持体が、下記(5)の条件を満たす表
    面形状を有することを特徴とする請求項1に記載の平版
    印刷版の製造方法。 (5)表面積差が10%以上90%以内、 (表面積差とは、水平(X,Y)方向の分解能が0.1
    μmであるAFM(原子間力顕微鏡)を用いて、50μ
    m平方の測定範囲で表面形状を測定し、近似3点法で求
    めた表面積をa1とし、上部投影面積をa0としたとき、
    〔(a1−a0)/a0〕*100の値を%単位で表示し
    たものである。)
  3. 【請求項3】 前記陽極酸化皮膜生成工程が、処理液の
    液温、電導度、及び、比重を一定に制御し、電解液流速
    を1〜250cm/secの範囲とし、且つ、電流密度
    を変化させるゾーンを3セクション以上設け、第1のセ
    クションの電流密度を最終セクションの電流密度に対し
    て60%以下とすることを特徴とする請求項1又は請求
    項2に記載の平版印刷版の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記1番目のセクションにおける電流密
    度が0.1〜15A/dm2の範囲にあることを特徴と
    する請求項3に記載の平版印刷版原版の製造方法。
  5. 【請求項5】 感光層が、赤外線吸収剤、熱によって酸
    或いはラジカルを発生する化合物、及び酸によって架橋
    する化合物或いはラジカル重合性化合物を含有するネガ
    型の感光層であることを特徴とする、請求項1乃至請求
    項4のいずれか1項に記載の平版印刷版原版の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 感光層が、赤外線吸収剤、熱によって酸
    を発生する化合物、酸によって分解する結合部を持つ化
    合物、を含有することを特徴とするポジ型の感光層であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1
    項に記載の平版印刷版原版の製造方法。
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