JP2005254638A - 平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフ輪印刷機によるブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分又は網点部の着肉不良による汚れを解決し、かつ耐刷性を損なわない平版印刷版原版を得ることのできる平版印刷版用支持体の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う工程を有することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う工程を有することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
【選択図】なし
Description
非画像部の汚れにくさ、網点部の絡みにくさに優れ、特にオフ輪印刷機によるブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分、または網点部の着肉不良を解決し、しかも耐刷性にも優れる平版印刷版を得ることができる平版印刷版用支持体の製造方法に関する。
アルミニウム板を支持体とする感光性平版印刷版はオフセット印刷に幅広く使用されている。この平版印刷版の製造方法としては、一般にシート状、あるいはコイル状のアルミニウム板の表面を粗面化し、更に陽極酸化処理を行い、感光液の塗布乾燥を行い、所望のサイズに切りそろえられる。粗面化工程に関しては、酸性溶液中で、電気化学的に粗面化処理を行うことが感光層との密着を向上させる上で有効な手段である。また、陽極酸化処理の後に、感光液との密着を向上させるための表面処理や下塗り液の塗布を行うこともある。
特に、コイル状のアルミニウム板を用いる場合には、感光液の塗布乾燥を行った後続けて所望のサイズに切りそろえることが出来るが、一旦コイル状に巻き取って保管し必要に応じて所望のサイズに切りそろえることも出来る。この製造工程の中で所望のサイズに切りそろえられた平版印刷版は複数枚重ねて梱包される。
また、梱包出荷された平版印刷版は、ユーザにて画像焼付け、現像処理、印刷機への取り付けるための端部を折り曲げる処理等を行われて、印刷機に取り付けられて印刷版として使われる。
また、梱包出荷された平版印刷版は、ユーザにて画像焼付け、現像処理、印刷機への取り付けるための端部を折り曲げる処理等を行われて、印刷機に取り付けられて印刷版として使われる。
一般に、アルミニウム板を平版印刷版基板として使用するためには、感光材との適度な密着性と保水性を有し、更に均一に粗面化されていることが必要である。均一に粗面化されているということは、生成されたピットの大きさが適度に揃っており、かつその様なピットが全面均一に生成していることが必要である。また、このピットは、版材の印刷性能である汚れにくさ、耐刷性等に著しい影響を及ぼし、その良否は版材製造上重要な要素になっている。
昨今実用化が進んでいる、直描型平版印刷版では、ネガフィルムに光を通して画像焼付けする従来法と異なり、画像焼付けが画像信号に応じたレーザ露光装置で行われる。さらに、直描型平版印刷版を印刷機の版胴に取り付けたあと、印刷機上で画像焼付けを行い現像処理無し(無処理方式)で印刷可能な方式や、印刷機上もしくは別の露光装置で画像焼付けを行った後、印刷機に取り付けられた状態で現像処理を行う方式(機上現像方式)等も知られている。
直描型の平均印刷版はレーザ光を利用して露光後、現像処理を行って、レーザ光照射の有無によって平版印刷版上の表面を画像部と非画像部に分ける。
画像部と非画像部の違いを与える仕組みは、大きく分けて2通りある。一つはフォトンモードと呼ぶ方法で、レーザ光の光エネルギそのものを利用して、感光層表面の物性を変化させる方法。もう一つはサーマルモードと呼ぶ方法で、レーザ光を吸収して熱を発生し、その熱を利用して感光層表面の物性を変化させる、あるいは、その熱によって蒸発、体積膨張による剥離・飛散等を起こして表面の物質の一部を除去する方法(無処理方式)である。
直描型の平均印刷版はレーザ光を利用して露光後、現像処理を行って、レーザ光照射の有無によって平版印刷版上の表面を画像部と非画像部に分ける。
画像部と非画像部の違いを与える仕組みは、大きく分けて2通りある。一つはフォトンモードと呼ぶ方法で、レーザ光の光エネルギそのものを利用して、感光層表面の物性を変化させる方法。もう一つはサーマルモードと呼ぶ方法で、レーザ光を吸収して熱を発生し、その熱を利用して感光層表面の物性を変化させる、あるいは、その熱によって蒸発、体積膨張による剥離・飛散等を起こして表面の物質の一部を除去する方法(無処理方式)である。
レーザ光照射は通常非常に短時間に行われるので、その短時間中にレーザ光の当たった場所は、フォトンモード、サーマルモードによらず表面の物性が極短時間で変化を起こすために、直描型平版印刷版ならではの問題が生じる。
直描型平版印刷版に用いられる感光層は従来の平版印刷版の感光層とは異なり、非常に繊細でかつ高感度であることが多く、表面の硬度、形状が均一になっている事が重要である。表面の硬度、形状の不均一性が存在すると、製造工程において、コイル状のアルミニウム板に、感光液の塗布乾燥を行った後、一旦コイル状に巻き取って保管する際や印刷機に取り付ける際に不均一性が増幅され易いのでアルミニウム支持体のより高度な均質性が要求されることになる。
直描型平版印刷版に用いられる感光層は従来の平版印刷版の感光層とは異なり、非常に繊細でかつ高感度であることが多く、表面の硬度、形状が均一になっている事が重要である。表面の硬度、形状の不均一性が存在すると、製造工程において、コイル状のアルミニウム板に、感光液の塗布乾燥を行った後、一旦コイル状に巻き取って保管する際や印刷機に取り付ける際に不均一性が増幅され易いのでアルミニウム支持体のより高度な均質性が要求されることになる。
また、近年コンピューター等のデジタル信号から直接製版するシステムが情報システムの進展から広まりつつあり、特に固体レーザ、半導体レーザ小型化、高出力化の進展とあいまり、急速に世の中に普及しつつあり、平版印刷版支持体もレーザ光のハレーションを抑制し、印刷版として重要な特性である保水性、親水性、耐刷性、印刷の汚れ難さなどの要求特性を兼ね備える平版印刷版用支持体が望まれてきた。
また、これらの平版印刷版用支持体から製造される平版印刷版でもオフ輪印刷機を用いる印刷時にブランケット残りと呼ばれるインクの転写不良(着肉不良)が発生するという問題がある。
ここで、ブランケット残りとは、ベタ画像部に対応するブランケットの一部分に紙粉を巻き込んだインクが堆積し、結果としてその堆積(ブランケット上の堆積物)部分の周辺でインクの転写不良(着肉不良)を起こす現象である。この現象が起こると印刷物の画像部の一部が欠けてしまうため印刷不良が生じる。この現象は、支持体が印刷機に取付けられる部分に近い、ベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分で特徴的に見られ、また微細な網点部でも特徴的に見られる。画像部(ベタ部)くわえ尻部分ブランケット残りの現象は紙粉の巻き込みに大きく依存し、平版印刷版用支持体の非画像部の表面形状(凹凸形状)が影響することが知られているが、耐刷性を損なわずに着肉不良を解決することはできなかった。
ここで、ブランケット残りとは、ベタ画像部に対応するブランケットの一部分に紙粉を巻き込んだインクが堆積し、結果としてその堆積(ブランケット上の堆積物)部分の周辺でインクの転写不良(着肉不良)を起こす現象である。この現象が起こると印刷物の画像部の一部が欠けてしまうため印刷不良が生じる。この現象は、支持体が印刷機に取付けられる部分に近い、ベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分で特徴的に見られ、また微細な網点部でも特徴的に見られる。画像部(ベタ部)くわえ尻部分ブランケット残りの現象は紙粉の巻き込みに大きく依存し、平版印刷版用支持体の非画像部の表面形状(凹凸形状)が影響することが知られているが、耐刷性を損なわずに着肉不良を解決することはできなかった。
保水性、親水性、耐刷性、印刷の汚れにくさなどの性能を向上させようとする技術としては、特許文献1に、電解粗面化処理後アルカリエッチングし、次いで硝酸または塩酸溶液中で電解粗面化する平版印刷版用支持体の製造方法が記載されている。この支持体は平版印刷版の耐刷性、耐汚れ性、絡みにくさを向上させる支持体である。また、特許文献3では、支持体表面に形成される粗面において中波と小波とを重畳させて、そのピット径の組合せにより耐汚れ性と耐刷性とを向上させた平版印刷版用の支持体が提案されている。しかしながらこれらの支持体でも耐刷性を維持したままブランケット残りを充分に改良することはできなかった。
特許文献2では、粗面化、陽極酸化処理を施されたアルミニウム板において、該粗面化をa)硝酸系電解溶液中で電気化学的に直径800〜2000nmのピットを生成し、b)アルカリ水溶液中で化学的エッチングをアルミニウムの溶解量が4〜6g/m2になるように行い、c)酸でデスマット処理を行う平版印刷版用支持体の製造方法が記載されている。別に、粗面化、陽極酸化処理を施されたアルミニウム板において、該粗面化をa)機械的に長さ30〜50μm、幅5〜15μmの凹部を中心間隔50〜200μmで生成し、b)塩酸系電解溶液中で電気化学的に直径7〜25μmのピットを生成し、c)硝酸系電解溶液中で電気化学的に直径600〜1000nmのピットを生成し、d)アルカリ水溶液中で化学的エッチングをアルミニウムの溶解量が3〜5g/m2になるように行い、e)酸でデスマット処理を行うことを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法が記載されている。これらの支持体は、平版印刷版原版の支持体として印刷適性の点から親水性、保水性及び感光層との接着性が良好であると説明されているが、アルカリエッチングでのアルミニウムの溶解量を上げると耐刷性が劣るという問題点がある。
更なる生産性(耐刷性)向上、印刷適正(網点部の絡みにくさ)の向上、耐汚れ性(非画像部の汚れにくさ)に優れた印刷版原版が求められており、特にオフ輪印刷機によるブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分又は網点部の着肉不良による汚れを解決する事が求められていた。しかし、耐汚れ性の向上は耐刷性を損なうので、耐刷性を損なわずに高度の耐汚れ性の向上は困難であった。
本発明者らは、鋭意検討した結果下記の各発明を行った。すなわち
(1)アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う工程を有する平版印刷版用支持体の製造方法。
(2)アルミニウム板を機械的粗面化処理後、アルミニウム溶解量1〜15g/m2で第2アルカリエッチング処理した後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を施す上記(1)記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(3)上記塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理が、周波数30〜150Hzの交流電解、陽極時総電気量20〜100C/dm2の条件で行う上記(1)または(2)に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(4)上記第2アルカリエッチング処理後、硫酸又は硝酸水溶液によるデスマット処理を行うことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(5)上記第3のアルカリエッチング後のアルミニウム板に、陽極酸化処理、または陽極酸化処理及び表面シリケート量1〜8mg/m2の親水化処理施す上記(1)〜(4)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法により得られた平版印刷版用支持体上に0.5〜2g/m2の記録層を有する平版印刷版原版。
(7)上記記録層が、赤外線吸収剤、熱によって酸を発生する化合物、および、酸によって架橋する化合物、を含有することを特徴とする上記(6)に記載の平版印刷版原版。
(8)上記記録層が、レーザ光照射によってラジカルを発生する化合物、アルカリに可溶のバインダー、および、多官能性のモノマーまたはプレポリマーを含有する層;並びに酸素遮断層の2層を含む上記(6)に記載の平版印刷版原版。
(9)上記記録層が、上記(1)〜(5)に記載の製造方法によって得られる平版印刷版原版用支持体の粗面化面に可視光またはレーザ光で露光される製版性組成物よりなる層を有することを特徴とする上記(6)に記載の平版印刷版原版。
(10)上記記録層が、エネルギーを吸収して酸を発生する化合物、酸によってスルホン酸またはカルボン酸を発生する官能基を側鎖に有する高分子化合物、および可視光を吸収することで酸発生剤にエネルギーを与える化合物を含む上記(6)に記載の平版印刷版原版。
(1)アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う工程を有する平版印刷版用支持体の製造方法。
(2)アルミニウム板を機械的粗面化処理後、アルミニウム溶解量1〜15g/m2で第2アルカリエッチング処理した後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を施す上記(1)記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(3)上記塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理が、周波数30〜150Hzの交流電解、陽極時総電気量20〜100C/dm2の条件で行う上記(1)または(2)に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(4)上記第2アルカリエッチング処理後、硫酸又は硝酸水溶液によるデスマット処理を行うことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(5)上記第3のアルカリエッチング後のアルミニウム板に、陽極酸化処理、または陽極酸化処理及び表面シリケート量1〜8mg/m2の親水化処理施す上記(1)〜(4)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法により得られた平版印刷版用支持体上に0.5〜2g/m2の記録層を有する平版印刷版原版。
(7)上記記録層が、赤外線吸収剤、熱によって酸を発生する化合物、および、酸によって架橋する化合物、を含有することを特徴とする上記(6)に記載の平版印刷版原版。
(8)上記記録層が、レーザ光照射によってラジカルを発生する化合物、アルカリに可溶のバインダー、および、多官能性のモノマーまたはプレポリマーを含有する層;並びに酸素遮断層の2層を含む上記(6)に記載の平版印刷版原版。
(9)上記記録層が、上記(1)〜(5)に記載の製造方法によって得られる平版印刷版原版用支持体の粗面化面に可視光またはレーザ光で露光される製版性組成物よりなる層を有することを特徴とする上記(6)に記載の平版印刷版原版。
(10)上記記録層が、エネルギーを吸収して酸を発生する化合物、酸によってスルホン酸またはカルボン酸を発生する官能基を側鎖に有する高分子化合物、および可視光を吸収することで酸発生剤にエネルギーを与える化合物を含む上記(6)に記載の平版印刷版原版。
本発明は、更なる生産性向上、印刷適正の向上、耐汚れ性に優れた印刷版原版を得ることのできる平版印刷版用支持体の製造方法を提供する。特にオフ輪印刷機によるブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分又は網点部の着肉不良による汚れを解決し、かつ耐刷性を損なわない平版印刷版原版を得ることのできる平版印刷版用支持体の製造方法である。
[平版印刷版用支持体の製造方法]
本発明の平版印刷版用支持体は、アルミニウム板に、少なくとも、硝酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理と塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理を施し、その前、中間、その後に特定のアルカリエッチング処理を、第1、2、3と行うことにより製造される。
本発明の平版印刷版用支持体は、アルミニウム板に、少なくとも、硝酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理と塩酸水溶液を用いた電気化学的粗面化処理を施し、その前、中間、その後に特定のアルカリエッチング処理を、第1、2、3と行うことにより製造される。
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
本発明に用いられるアルミニウム板は、公知の組成を用いることができる。例えば、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板を用いることもできる。
本発明に用いられるアルミニウム板は、公知の組成を用いることができる。例えば、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板を用いることもできる。
本明細書においては、上述したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる各種の基板をアルミニウム板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれてもよい異元素には、ケイ素、銅、鉄、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。
このように本発明に用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、例えば、アルミニウムハンドブック第4版(1990年、軽金属協会発行)に記載されている従来公知の素材、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A1070、Mnを含むJIS A3004、国際登録合金 3103A等のAl−Mn系アルミニウム板を適宜利用することができる。また、引張強度を増す目的で、これらのアルミニウム合金に0.1質量%以上のマグネシウムを添加したAl−Mg系合金、Al−Mn−Mg系合金(JIS A3005)を用いることもできる。更に、ZrやSiを含むAl−Zr系合金やAl−Si系合金を用いることもできる。更に、Al−Mg−Si系合金を用いることもできる。
また、使用済みアルミニウム飲料缶を溶解させたUBC(Used Beverage Can)地金を圧延して得られるアルミニウム板を用いることもできる。
特に好ましいのは、Si:0.07〜0.09質量%、Cu:0.15質量%以下、Fe:0.20〜0.29質量%、Mn:0.01質量%以下、Mg:0.01質量%以下、Cr:0.01質量%以下、Zn:0.01質量%以下、Ti:0.02質量%以下、Al:99.4質量%以上であるアルミニウム板である。
また、使用済みアルミニウム飲料缶を溶解させたUBC(Used Beverage Can)地金を圧延して得られるアルミニウム板を用いることもできる。
特に好ましいのは、Si:0.07〜0.09質量%、Cu:0.15質量%以下、Fe:0.20〜0.29質量%、Mn:0.01質量%以下、Mg:0.01質量%以下、Cr:0.01質量%以下、Zn:0.01質量%以下、Ti:0.02質量%以下、Al:99.4質量%以上であるアルミニウム板である。
JIS1050材に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開昭59−153861号、特開昭61−51395号、特開昭62−146694号、特開昭60−215725号、特開昭60−215726号、特開昭60−215727号、特開昭60−216728号、特開昭61−272367号、特開昭58−11759号、特開昭58−42493号、特開昭58−221254号、特開昭62−148295号、特開平4−254545号、特開平4−165041号、特公平3−68939号、特開平3−234594号、特公平1−47545号および特開昭62−140894号の各公報に記載されている。また、特公平1−35910号公報、特公昭55−28874号公報等に記載された技術も知られている。
JIS1070材に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−81264号、特開平7−305133号、特開平8−49034号、特開平8−73974号、特開平8−108659号および特開平8−92679号の各公報に記載されている。
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するために、フラックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス処理、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理、あるいは、脱ガス処理とフィルタリング処理を組み合わせた処理が行われる。
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好ましい。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57432号、特開平3−162530号、特開平5−140659号、特開平4−231425号、特開平4−276031号、特開平5−311261号、特開平6−136466号の各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、実開平5−49148号公報等に記載されている。本願出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯の脱ガスに関する技術を提案している。
ついで、上述したように清浄化処理を施された溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される固体鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる方法がある。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。なお、均熱処理を行わない場合には、コストを低減させることができるという利点がある。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。なお、均熱処理を行わない場合には、コストを低減させることができるという利点がある。
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよい。中間焼鈍処理の条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
以上の工程によって、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、アルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で行うことが好ましい。また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通してもよい。また、アルミニウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。
一方、連続鋳造法としては、双ロール法(ハンター法)、3C法に代表される冷却ロールを用いる方法、双ベルト法(ハズレー法)、アルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルトや冷却ブロックを用いる方法が、工業的に行われている。連続鋳造法を用いる場合には、冷却速度が100〜1000℃/秒の範囲で凝固する。連続鋳造法は、一般的には、DC鋳造法に比べて冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対する合金成分固溶度を高くすることができるという特徴を有する。連続鋳造法に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開平3−79798号、特開平5−201166号、特開平5−156414号、特開平6−262203号、特開平6−122949号、特開平6−210406号、特開平6−26308号の各公報等に記載されている。
連続鋳造を行った場合において、例えば、ハンター法等の冷却ロールを用いる方法を用いると、板厚1〜10mmの鋳造板を直接、連続鋳造することができ、熱間圧延の工程を省略することができるというメリットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ベルトを用いる方法を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板を鋳造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得られる。
これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造について説明したのと同様に、冷間圧延、中間焼鈍、平面性の改善、スリット等の工程を経て、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmの板厚に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼鈍条件および冷間圧延条件については、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−220593号、特開平6−210308号、特開平7−54111号、特開平8−92709号の各公報等に記載されている。
本発明に用いられるアルミニウム板は、JISに規定されるH18の調質が行われているのが好ましい。
このようにして製造されるアルミニウム板には、以下に述べる種々の特性が望まれる。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が120MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−126820号公報、特開昭62−140894号公報等に記載されている。
また、アルミニウム板は、引張強度が160±15N/mm2、0.2%耐力が140±15MPa、JIS Z2241およびZ2201に規定される伸びが1〜10%であるのがより好ましい。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が120MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−126820号公報、特開昭62−140894号公報等に記載されている。
また、アルミニウム板は、引張強度が160±15N/mm2、0.2%耐力が140±15MPa、JIS Z2241およびZ2201に規定される伸びが1〜10%であるのがより好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム板は、連続した帯状のシート材または板材である。即ち、アルミニウムウェブであってもよく、製品として出荷される平版印刷版原版に対応する大きさ等に裁断された枚葉状シートであってもよい。
アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性があるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要がある。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい荷姿であることが好ましい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性があるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要がある。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい荷姿であることが好ましい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1〜0.6mm程度である。この厚みは、印刷機の大きさ、印刷版の大きさ、ユーザーの希望等により適宜変更することができる。
<表面処理>
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法は、アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口(平均ピット)径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う。本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、これら以外の各種の工程を含んでいてもよい。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法は、アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口(平均ピット)径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う。本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、これら以外の各種の工程を含んでいてもよい。
以下に、表面処理の方法の好適な実施態様を例示する。
<実施態様1>
アルミニウム板を機械的粗面化処理後、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、アルミニウム溶解量1〜15g/m2で第2アルカリエッチング処理した後、塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を施し、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う製造方法。
<実施態様2>
第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を、周波数30〜150Hzの交流電解、陽極時総電気量20〜100C/dm2の条件で行う製造方法。
<実施態様3>
アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、硫酸又は硝酸水溶液によるデスマット処理を行い、塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を施し、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う製造方法、さらに、第1および・または第3アルカリエッチング後にも硫酸又は硝酸水溶液によるデスマット処理を行う製造方法。
<実施態様4>
アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化(以下、硝酸電解ということがある。)を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化(以下、塩酸電解ということがある。)を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行い、その後、陽極酸化処理、または陽極酸化処理及びシリケート処理を1〜8mg/m2施す製造方法。
<実施態様1>
アルミニウム板を機械的粗面化処理後、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、アルミニウム溶解量1〜15g/m2で第2アルカリエッチング処理した後、塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を施し、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う製造方法。
<実施態様2>
第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を、周波数30〜150Hzの交流電解、陽極時総電気量20〜100C/dm2の条件で行う製造方法。
<実施態様3>
アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、硫酸又は硝酸水溶液によるデスマット処理を行い、塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を施し、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う製造方法、さらに、第1および・または第3アルカリエッチング後にも硫酸又は硝酸水溶液によるデスマット処理を行う製造方法。
<実施態様4>
アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化(以下、硝酸電解ということがある。)を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化(以下、塩酸電解ということがある。)を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行い、その後、陽極酸化処理、または陽極酸化処理及びシリケート処理を1〜8mg/m2施す製造方法。
これらの方法において、アルカリエッチング処理の後には、デスマット処理を行うのが好ましい。また、陽極酸化処理した後には、封孔処理および/または親水化処理を行うのが好ましく、封孔処理、または、封孔処理およびその後の親水化処理を行うのがより好ましい。
以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、上述したアルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。本発明は硝酸電解、塩酸電解の前後、およびその中間に、アルミニウム溶解量を所定量とする条件でエッチング処理を行うことを特徴とする。
アルカリエッチング処理は、上述したアルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。本発明は硝酸電解、塩酸電解の前後、およびその中間に、アルミニウム溶解量を所定量とする条件でエッチング処理を行うことを特徴とする。
<第1アルカリエッチング>
硝酸電解または必要によりその前に行われるプレ電解(塩酸電解)の前に行われる第1アルカリエッチング処理は、通常は機械的粗面化後に行われ、その後の硝酸電解またはプレ電解で均一な凹部を形成させること、および、アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として行われる。
第1アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.3g/m2以上であるのが好ましく、3g/m2以上であるのがより好ましく、また、15g/m2以下であるのが好ましく、12g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が少なすぎると、硝酸電解またはプレ電解において均一なピット生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が多すぎると、アルカリ水溶液の使用量が多くなり、経済的に不利となる。
<第2アルカリエッチング>
硝酸電解の後に行われる第2アルカリエッチング処理は、硝酸電解で生成したスマットを溶解させること、および、硝酸電解により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。本発明の特徴の1つは、第2アルカリエッチング量にあり、これを適正範囲とすることによって、極微小時間での露光適正に優れ、特にオフ輪印刷機によるブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分、または網点部の着肉不良を解決し、レーザ記録材料である感光層と支持体の密着性に優れ、耐刷性にも優れる平版印刷版が得られる平版印刷版用支持体を製造する。
硝酸電解または必要によりその前に行われるプレ電解(塩酸電解)の前に行われる第1アルカリエッチング処理は、通常は機械的粗面化後に行われ、その後の硝酸電解またはプレ電解で均一な凹部を形成させること、および、アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として行われる。
第1アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.3g/m2以上であるのが好ましく、3g/m2以上であるのがより好ましく、また、15g/m2以下であるのが好ましく、12g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が少なすぎると、硝酸電解またはプレ電解において均一なピット生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が多すぎると、アルカリ水溶液の使用量が多くなり、経済的に不利となる。
<第2アルカリエッチング>
硝酸電解の後に行われる第2アルカリエッチング処理は、硝酸電解で生成したスマットを溶解させること、および、硝酸電解により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。本発明の特徴の1つは、第2アルカリエッチング量にあり、これを適正範囲とすることによって、極微小時間での露光適正に優れ、特にオフ輪印刷機によるブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分、または画像部くわえ尻部分、または網点部の着肉不良を解決し、レーザ記録材料である感光層と支持体の密着性に優れ、耐刷性にも優れる平版印刷版が得られる平版印刷版用支持体を製造する。
第2アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.3g/m2以上であるのが好ましく、3g/m2超、4g/m2超であるのが好ましく、5g/m2以上であるのがより好ましく、5.5g/m2以上であるのがさらに好ましく、6g/m2超であるのが最も好ましい。また、15g/m2以下であるのが好ましく、12g/m2以下であるのがより好ましく、8g/m2以下、7g/m2以下であるのがさらに好ましい。エッチング量が少なすぎると、平版印刷版の非画像部において、硝酸電解またはプレ電解で生成したピットのエッジ部分が滑らかとならず、インキがひっかかりやすくなるため、耐汚れ性(非画像部または網点部の微細欠陥)が悪くなる場合がある。一方、エッチング量が多すぎると、硝酸電解またはプレ電解で生成した凹凸が小さくなるため、耐刷性が悪くなる場合がある。
<第3アルカリエッチング>
塩酸電解の後に行われる第3アルカリエッチング処理は、塩酸電解で生成したスマットを溶解させること、および、塩酸電解により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
第3アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.05g/m2以上であるのが好ましく、0.1g/m2以上であるのがより好ましく、また、1.0g/m2以下であるのが好ましく、0.3g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が少なすぎると、平版印刷版の非画像部において、前工程の塩酸電解で生成したピットのエッジ部分が滑らかとならず、インキがひっかかりやすくなるため、耐汚れ性が悪くなる場合がある。一方、エッチング量が多すぎると、最初の硝酸電解で生成した凹凸が小さくなるため、耐刷性が悪くなる場合がある。
塩酸電解の後に行われる第3アルカリエッチング処理は、塩酸電解で生成したスマットを溶解させること、および、塩酸電解により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
第3アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.05g/m2以上であるのが好ましく、0.1g/m2以上であるのがより好ましく、また、1.0g/m2以下であるのが好ましく、0.3g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が少なすぎると、平版印刷版の非画像部において、前工程の塩酸電解で生成したピットのエッジ部分が滑らかとならず、インキがひっかかりやすくなるため、耐汚れ性が悪くなる場合がある。一方、エッチング量が多すぎると、最初の硝酸電解で生成した凹凸が小さくなるため、耐刷性が悪くなる場合がある。
第3アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の濃度は、30g/L以上であるのが好ましく、また、前段の塩酸電解によって生じた凹凸を小さくしすぎないようにするため、100g/L以下であるのが好ましく、70g/L以下であるのがより好ましい。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、3g/L以上であるのがより好ましく、また、50g/L以下であるのが好ましく、8g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、3g/L以上であるのがより好ましく、また、50g/L以下であるのが好ましく、8g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
第1、2、3アルカリエッチングのアルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
第1アルカリエッチング処理および第2アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の濃度は、30g/L以上であるのが好ましく、300g/L以上であるのがより好ましく、また、500g/L以下であるのが好ましく、450g/L以下であるのがより好ましい。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、50g/L以上であるのがより好ましく、また、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、50g/L以上であるのがより好ましく、また、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
第1アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、30℃以上であるのが好ましく、50℃以上であるのがより好ましく、また、80℃以下であるのが好ましく、75℃以下であるのがより好ましい。
第2アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、30℃以上であるのが好ましく、35℃以上であるのがより好ましく、また、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
第3アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、25℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
第2アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、30℃以上であるのが好ましく、35℃以上であるのがより好ましく、また、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
第3アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、25℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
アルカリエッチング処理においては、処理時間は、アルカリエッチング時のアルミニウムの溶解量によって異なるが、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また、30秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
アルミニウム板を連続的にエッチング処理していくと、アルカリ溶液中のアルミニウムイオン濃度が上昇していき、アルミニウム板のエッチング量が変動する。そこで、エッチング液の組成管理を、以下のようにして行うのが好ましい。
即ち、カセイソーダ濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるようにカセイソーダと水とを添加する。そして、カセイソーダと水とを添加することによって増加したエッチング液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加するカセイソーダとしては、工業用の40〜60質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
即ち、カセイソーダ濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるようにカセイソーダと水とを添加する。そして、カセイソーダと水とを添加することによって増加したエッチング液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加するカセイソーダとしては、工業用の40〜60質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
中でも、アルカリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
アルカリエッチング処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。
水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。
図1は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置の模式的な断面図である。図1に示されているように、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置100は、水102を貯留する貯水タンク104と、貯水タンク104に水を供給する給水筒106と、貯水タンク104から自由落下カーテン状の液膜をアルミニウム板1に供給する整流部108とを有する。
装置100においては、給水タンク104に給水筒106から水102が供給され、水102が給水タンク104からオーバーフローする際に、整流部108により整流され、自由落下カーテン状の液膜がアルミニウム板1に供給される。装置100を用いる場合、液量は10〜100L/minであるのが好ましい。また、装置100とアルミニウム1との間の水102が自由落下カーテン状の液膜として存在する距離Lは、20〜50mmであるのが好ましい。また、アルミニウム板の角度αは、水平方向に対して30〜80°であるのが好ましい。
装置100においては、給水タンク104に給水筒106から水102が供給され、水102が給水タンク104からオーバーフローする際に、整流部108により整流され、自由落下カーテン状の液膜がアルミニウム板1に供給される。装置100を用いる場合、液量は10〜100L/minであるのが好ましい。また、装置100とアルミニウム1との間の水102が自由落下カーテン状の液膜として存在する距離Lは、20〜50mmであるのが好ましい。また、アルミニウム板の角度αは、水平方向に対して30〜80°であるのが好ましい。
図1に示されるような自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いると、アルミニウム板に均一に水洗処理を施すことができるので、水洗処理の前に行われた処理の均一性を向上させることができる。
自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する具体的な装置としては、例えば、特開2003−96584号公報に記載されている装置が好適に挙げられる。
自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する具体的な装置としては、例えば、特開2003−96584号公報に記載されている装置が好適に挙げられる。
また、水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は0.5〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
<デスマット処理>
アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)を行うのが好ましい。デスマット処理は、アルミニウム板を酸性溶液に接触させることにより行う。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。
アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)を行うのが好ましい。デスマット処理は、アルミニウム板を酸性溶液に接触させることにより行う。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。
第1アルカリエッチング処理の後の第1デスマット処理においては、硝酸を用いるのが好ましい。引き続き硝酸電解が行われるので、それに用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いるのが好ましく、
第2アルカリエッチング処理の後の第2デスマット処理においては、硝酸または硫酸を用いるのが好ましい。引き続き塩酸電解が行われるので、それらに用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いることもできる。
第3アルカリエッチング処理の後の第3デスマット処理においては、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液(例えば、硫酸)と同じ種類の液を用いるのが、第3デスマット処理と陽極酸化処理との間の水洗工程を省略することができる点で好ましい。
第2アルカリエッチング処理の後の第2デスマット処理においては、硝酸または硫酸を用いるのが好ましい。引き続き塩酸電解が行われるので、それらに用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いることもできる。
第3アルカリエッチング処理の後の第3デスマット処理においては、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液(例えば、硫酸)と同じ種類の液を用いるのが、第3デスマット処理と陽極酸化処理との間の水洗工程を省略することができる点で好ましい。
デスマット処理液の組成管理においては、酸性溶液濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と温度で管理する方法、電導度と比重と温度とで管理する方法、および、電導度と超音波の伝搬速度と温度とで管理する方法のいずれかを選択して用いることができる。
第1デスマット処理においては、1〜400g/Lの酸および0.1〜5g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
第2デスマット処理においては、1〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
第3デスマット処理においては、5〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
第2デスマット処理においては、1〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
第3デスマット処理においては、5〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
酸性溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、70℃以下であるのが好ましく、60℃以下であるのがより好ましい。
第1デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、40秒以下であるのがより好ましい。
第2デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
第3デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
第2デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
第3デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
中でも、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
中でも、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
デスマット処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、アルカリエッチング処理の後の水洗処理と同様である。ただし、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。
水洗処理は、アルカリエッチング処理の後の水洗処理と同様である。ただし、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。
なお、第1デスマット処理および第2デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる硝酸電解または塩酸電解に用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理をおこなわず、アルミニウム板の表面が乾かないように、必要に応じて適宜デスマット処理液をスプレーしながら、硝酸電解工程または塩酸電解工程までアルミニウム板をハンドリングするのが好ましい。
第2デスマット処理および第3デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液と同じ種類の液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を省略することができる。
第2デスマット処理および第3デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液と同じ種類の液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を省略することができる。
<硝酸電解>
硝酸電解は、硝酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理である。硝酸電解により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。本発明においては、硝酸電解により平均開口径0.8〜5μmのピットを形成する。硝酸電解において特定の凹部が形成される結果、その後の第2アルカリエッチング、塩酸電解により特性の優れた平版印刷版が得られる平版印刷版用支持体が製造できる。
硝酸電解は、硝酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理である。硝酸電解により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。本発明においては、硝酸電解により平均開口径0.8〜5μmのピットを形成する。硝酸電解において特定の凹部が形成される結果、その後の第2アルカリエッチング、塩酸電解により特性の優れた平版印刷版が得られる平版印刷版用支持体が製造できる。
硝酸電解は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094号の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4,203,637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。
また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
硝酸を含有する水溶液は、濃度1〜100g/Lの硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、硝酸を含有する水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。
具体的には、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
具体的には、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
アルミニウム板を連続的に電解粗面化処理していくと、アルカリ溶液中のアルミニウムイオン濃度が上昇していき、硝酸電解により形成されるアルミニウム板の凹凸の形状が変動する。そこで、硝酸電解液の組成管理を、以下のようにして行うのが好ましい。
即ち、硝酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように硝酸と水とを添加する。そして、硝酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する硝酸としては、工業用の30〜70質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、40±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
即ち、硝酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように硝酸と水とを添加する。そして、硝酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する硝酸としては、工業用の30〜70質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、40±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
硝酸を含有する水溶液の温度は、30℃以上であるのが好ましく、また、55℃以下であるのが好ましい。
電気化学的粗面化処理には交流電源波を用いることが好ましい。用いる交流電源は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。台形波とは、図2に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は0.5〜3msecであるのが好ましい。TPが3msecを超えると、特に硝酸を含有する水溶液を用いると、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ性が低下する傾向にある。
台形波交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。
台形波交流の周波数は0.1〜150Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
台形波交流の周波数は0.1〜150Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図3に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図3において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
硝酸電解により、平均開口径0.8〜5μmのピットを形成する。好ましくは平均開口径1〜3μmのピットを形成する。この範囲であるとその後の特定の条件の第2アルカリエッチング、塩酸電解により、さらに特性の優れた平版印刷版が得られる平版印刷版用支持体が製造できる。
このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、150C/dm2以上であるのが好ましく、170C/dm2以上であるのがより好ましく、また、400C/dm2以下であるのが好ましく、350C/dm2以下であるのがより好ましい。この際の電流密度は、電流のピーク値で20〜100A/dm2であるのが好ましい。
硝酸電解が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
水洗処理は、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
硝酸電解の前に、下記プレ電解を行うと、硝酸電解において、深い凹部が形成されない。
プレ電解は、硝酸電解時のピット形成の起点を形成させる工程である。アルミニウム板の材質の影響を受けにくく、非常に腐食性の高い塩酸を用いてわずかに電解を行うことにより、表面に均一に起点となるピットを形成させることができる。
プレ電解において、塩酸濃度は1〜15g/Lであるのが好ましく、また、陽極時の電気量は30〜70C/m2であるのが好ましい。
プレ電解の後は、スマット除去のためにアルカリエッチングを行うのが好ましい。アルカリエッチングにおけるアルミニウム溶解量は、0.2〜0.6g/m2であるのが好ましい。
プレ電解は、硝酸電解時のピット形成の起点を形成させる工程である。アルミニウム板の材質の影響を受けにくく、非常に腐食性の高い塩酸を用いてわずかに電解を行うことにより、表面に均一に起点となるピットを形成させることができる。
プレ電解において、塩酸濃度は1〜15g/Lであるのが好ましく、また、陽極時の電気量は30〜70C/m2であるのが好ましい。
プレ電解の後は、スマット除去のためにアルカリエッチングを行うのが好ましい。アルカリエッチングにおけるアルミニウム溶解量は、0.2〜0.6g/m2であるのが好ましい。
<塩酸電解>
塩酸電解は、塩酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理である。塩酸電解により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。
塩酸電解は、塩酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理である。塩酸電解により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。
塩酸電解は、電解液が異なるほかは、上述した硝酸電解とほぼ同様の方法で行うことができる。以下、異なる点のみ説明する。
塩酸を含有する水溶液は、濃度1〜100g/Lの塩酸の水溶液に、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、塩酸を含有する水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。
具体的には、塩酸濃度2〜10g/Lの硝酸水溶液に、塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
具体的には、塩酸濃度2〜10g/Lの硝酸水溶液に、塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
塩酸を含有する水溶液の温度は、25℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、55℃以下であるのが好ましく、40℃以下であるのがより好ましい。
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。台形波交流の周波数は30〜150Hzのものを用いることが好ましく、60〜120Hzがより好ましい。30Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、150Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、20C/dm2以上であるのが好ましく、30C/dm2以上であるのがより好ましい。また、100C/dm2以下であるのが好ましく、70C/dm2以下であるのがより好ましい。この際の電流密度は、電流のピーク値で20〜100A/dm2であるのが好ましい。
この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、20C/dm2以上であるのが好ましく、30C/dm2以上であるのがより好ましい。また、100C/dm2以下であるのが好ましく、70C/dm2以下であるのがより好ましい。この際の電流密度は、電流のピーク値で20〜100A/dm2であるのが好ましい。
アルミニウム板を連続的に電解粗面化処理していくと、アルカリ溶液中のアルミニウムイオン濃度が上昇していき、塩酸電解により形成されるアルミニウム板の凹凸の形状が変動する。そこで、塩酸電解液の組成管理を、以下のようにして行うのが好ましい。
即ち、塩酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように塩酸と水とを添加する。そして、塩酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する塩酸としては、工業用の10〜40質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、35±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
即ち、塩酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように塩酸と水とを添加する。そして、塩酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する塩酸としては、工業用の10〜40質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、35±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
<陽極酸化処理>
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施されてもよい。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施されてもよい。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この際、少なくともアルミニウム板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間15秒〜50分であるのが適当であり、所望の陽極酸化皮膜量となるように調整される。
また、特開昭54−81133号、特開昭57−47894号、特開昭57−51289号、特開昭57−51290号、特開昭57−54300号、特開昭57−136596号、特開昭58−107498号、特開昭60−200256号、特開昭62−136596号、特開昭63−176494号、特開平4−176897号、特開平4−280997号、特開平6−207299号、特開平5−24377号、特開平5−32083号、特開平5−125597号、特開平5−195291号の各公報等に記載されている方法を使用することもできる。
中でも、特開昭54−12853号公報および特開昭48−45303号公報に記載されているように、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質量%)であるのが好ましく、50〜200g/L(5〜20質量%)であるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度は、1〜25g/L(0.1〜2.5質量%)であるのが好ましく、2〜10g/L(0.2〜1質量%)であるのがより好ましい。このような電解液は、例えば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸に硫酸アルミニウム等を添加することにより調製することができる。
電解液の組成管理は、上述した硝酸交流電解等の場合と同様の方法を用いて、硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度により管理するのが好ましい。
電解液の液温は、25〜55℃であるのが好ましく、30〜50℃であるのがより好ましい。
硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板と対極との間に直流を印加してもよく、交流を印加してもよい。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」(皮膜が周囲より厚くなる部分)が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
具体的には、直流電源の電流配分を、下流側の直流電源の電流が上流側の直流電源の電流以上にするのが好ましい。このような電流配分とすることにより、いわゆる焼けが生じにくくなり、その結果、高速での陽極酸化処理が可能となる。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」(皮膜が周囲より厚くなる部分)が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
具体的には、直流電源の電流配分を、下流側の直流電源の電流が上流側の直流電源の電流以上にするのが好ましい。このような電流配分とすることにより、いわゆる焼けが生じにくくなり、その結果、高速での陽極酸化処理が可能となる。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2程度である。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2程度である。
陽極酸化皮膜の量は1〜5g/m2であるのが好ましい。1g/m2未満であると版に傷が入りやすくなり、一方、5g/m2を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜4g/m2であるのがより好ましい。また、アルミニウム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m2以下になるように行うのが好ましい。
陽極酸化処理に用いられる電解装置としては、特開昭48−26638号、特開昭47−18739号、特公昭58−24517号、特開2001−11698号の各公報等に記載されているものを用いることができる。
中でも、図4に示す装置が好適に用いられる。図4は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。
中でも、図4に示す装置が好適に用いられる。図4は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。
図4に示される陽極酸化処理装置410では、アルミニウム板416に電解液を経由して通電するために、アルミニウム板416の進行方向の上流側に給電槽412、下流側に陽極酸化処理槽414を設置してある。アルミニウム板416は、パスローラ422および428により、図4中矢印で示すように搬送される。アルミニウム板416が最初に導入される給電槽412においては、直流電源434の正極に接続された陽極420が設置されており、アルミニウム板416は陰極となる。したがって、アルミニウム板416においてはカソード反応が起こる。
アルミニウム板416が引き続き導入される陽極酸化処理槽414においては、直流電源434の負極に接続された陰極430が設置されており、アルミニウム板416は陽極となる。したがって、アルミニウム板416においてはアノード反応が起こり、アルミニウム板416の表面に陽極酸化皮膜が形成される。
アルミニウム板416と陰極430の間隔は50〜200mmであるのが好ましい。陰極430としてはアルミニウムが用いられる。陰極430としては、アノード反応により発生する水素ガスが系から抜けやすくなるようにするために、広い面積を有する電極でなく、アルミニウム板416の進行方向に複数個に分割した電極であるのが好ましい。
アルミニウム板416と陰極430の間隔は50〜200mmであるのが好ましい。陰極430としてはアルミニウムが用いられる。陰極430としては、アノード反応により発生する水素ガスが系から抜けやすくなるようにするために、広い面積を有する電極でなく、アルミニウム板416の進行方向に複数個に分割した電極であるのが好ましい。
給電槽412と陽極酸化処理槽414との間には、図4に示されるように、中間槽413と呼ばれる電解液が溜まらない槽を設けるのが好ましい。中間槽413を設けることにより、電流がアルミニウム板416を経由せず陽極420から陰極430にバイパスすることを抑止することができる。中間槽413にはニップローラ424を設置して液切りを行うことにより、バイパス電流を極力少なくするようにするのが好ましい。液切りにより出た電解液は、排液口442から陽極酸化処理装置410の外に排出される。
給電槽412に貯留される電解液418は、電圧ロスを少なくするために、陽極酸化処理槽414に貯留される電解液426よりも高温および/または高濃度とする。また、電解液418および426は、陽極酸化皮膜の形成効率、陽極酸化皮膜のマイクロポアの形状、陽極酸化皮膜の硬さ、電圧、電解液のコスト等から、組成、温度等が決定される。
給電槽412および陽極酸化処理槽414には、給液ノズル436および438から電解液を噴出させて給液する。電解液の分布を一定にし、陽極酸化処理槽414でのアルミニウム板416の局所的な電流集中を防ぐ目的で、給液ノズル436および438にはスリットが設けられ、噴出する液流を幅方向で一定にする構造となっている。
陽極酸化処理槽414においては、陽極430からみてアルミニウム板416を挟んだ反対側にはしゃへい板440が設けられ、電流がアルミニウム板416の陽極酸化皮膜を形成させたい面の反対側に流れるのを抑止する。アルミニウム板416としゃへい板440の間隔は5〜30mmであるのが好ましい。直流電源434は複数個用いて、正極側を共通に接続して用いるのが好ましい。これによって、陽極酸化処理槽414中の電流分布を制御することができる。
また、図5に示される陽極酸化処理装置は、上述した図4に示される陽極酸化処理装置を2槽直列に連結させたものである。
<封孔処理>
封孔処理は、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる処理である。封孔処理を行うことにより、平版印刷版原版の現像性(感度)を向上させることができる。
陽極酸化皮膜が、皮膜面にほぼ垂直な方向にポアと称する細孔を有する多孔質皮膜であることはよく知られている。本発明においては、陽極酸化処理に高封孔率の封孔処理を施すのが好ましい。封孔率は50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが更に好ましい。ここで、「封孔率」は、下記式により定義される。
封孔処理は、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる処理である。封孔処理を行うことにより、平版印刷版原版の現像性(感度)を向上させることができる。
陽極酸化皮膜が、皮膜面にほぼ垂直な方向にポアと称する細孔を有する多孔質皮膜であることはよく知られている。本発明においては、陽極酸化処理に高封孔率の封孔処理を施すのが好ましい。封孔率は50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、90%以上であるのが更に好ましい。ここで、「封孔率」は、下記式により定義される。
封孔率=[(封孔前の表面積−封孔後の表面積)/封孔前の表面積]×100%
表面積は、例えば、簡易BET方式の表面積測定装置(例えば、QUANTASORB(カンタソーブ)、湯浅アイオニクス社製)を用いて測定することができる。
封孔処理は、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、重クロム酸塩処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム塩処理、電着封孔処理、特公昭36−22063号公報等に記載されているようなフッ化ジルコン酸処理、特開平9−244227号公報に記載されているリン酸塩および無機フッ素化合物を含む水溶液での処理、特開平9−134002号公報に記載されている糖を含む水溶液での処理、特開2000−81704号公報および特開2000−89466号公報に記載されているチタンとフッ素を含む水溶液での処理、米国特許3,181,461号明細書等に記載されているアルカリ金属ケイ酸塩処理が挙げられる。
好適な封孔処理の一例として、アルカリ金属ケイ酸塩処理が挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩処理は、液のゲル化および陽極酸化皮膜の溶解を起こすことのない25℃においてpH10〜13であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を用いて、アルカリ金属ケイ酸塩濃度、処理温度、処理時間等の処理条件を適宜選択して行うことができる。好適なアルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高く調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を配合することができる。
更に、必要に応じて、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液にアルカリ土類金属塩および/または4族(第IVA族)金属塩を配合してもよい。このアルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;アルカリ土類金属の硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩等の水溶性の塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。アルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜5.0質量%であるのがより好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、0.05〜5.0質量%であるのがより好ましい。
好適な封孔処理の別の一例として、フッ化ジルコン酸処理が挙げられる。フッ化ジルコン酸処理は、フッ化ジルコン酸ナトリウム、フッ化ジルコン酸カリウム等のフッ化ジルコン酸塩を用いて行われる。中でも、フッ化ジルコン酸ナトリウムを用いるのが好ましい。これにより、平版印刷版原版の現像性(感度)が優れたものとなる。フッ化ジルコン酸処理に用いられるフッ化ジルコン酸溶液の濃度は、0.01〜2質量%であるのが好ましく、0.1〜0.3質量%であるのがより好ましい。
フッ化ジルコン酸塩溶液は、リン酸二水素ナトリウムを含有するのが好ましい。リン酸二水素ナトリウムの濃度は、0.01〜3質量%であるのが好ましく、0.1〜0.3質量%であるのがより好ましい。
フッ化ジルコン酸塩溶液は、アルミニウムイオンを含有していてもよい。その場合、フッ化ジルコン酸塩溶液のアルミニウムイオン濃度は、1〜500mg/Lであるのが好ましい。
フッ化ジルコン酸塩溶液は、リン酸二水素ナトリウムを含有するのが好ましい。リン酸二水素ナトリウムの濃度は、0.01〜3質量%であるのが好ましく、0.1〜0.3質量%であるのがより好ましい。
フッ化ジルコン酸塩溶液は、アルミニウムイオンを含有していてもよい。その場合、フッ化ジルコン酸塩溶液のアルミニウムイオン濃度は、1〜500mg/Lであるのが好ましい。
封孔処理の温度は、20〜90℃であるのが好ましく、50〜80℃であるのがより好ましい。
封孔処理の時間(溶液中への浸せき時間)は、1〜20秒であるのが好ましく、5〜15秒であるのがより好ましい。
封孔処理の時間(溶液中への浸せき時間)は、1〜20秒であるのが好ましく、5〜15秒であるのがより好ましい。
また、必要に応じて、封孔処理を行った後、上述したアルカリ金属ケイ酸塩処理、ポリビニルホスホン酸、ポリアクリル酸、スルホ基等を側鎖に有するポリマーまたはコポリマー、特開平11−231509号公報に記載されているアミノ基とホスフィン基、ホスホン基およびリン酸基からなる群から選ばれる基とを有する有機化合物またはその塩等を含む溶液に浸し、または塗布する処理等の表面処理を行うことができる。
<親水化処理>
陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
また、特開昭62−019494号公報に記載されているリン酸塩、特開昭62−033692号公報に記載されている水溶性エポキシ化合物、特開昭62−097892号公報に記載されているリン酸変性デンプン、特開昭63−056498号公報に記載されているジアミン化合物、特開昭63−130391号公報に記載されているアミノ酸の無機または有機酸、特開昭63−145092号公報に記載されているカルボキシ基またはヒドロキシ基を含む有機ホスホン酸、特開昭63−165183号公報に記載されているアミノ基とホスホン酸基を有する化合物、特開平2−316290号公報に記載されている特定のカルボン酸誘導体、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平3−261592号公報に記載されている1個のアミノ基とリンの酸素酸基1個を持つ化合物、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平5−246171号公報に記載されているフェニルホスホン酸等の脂肪族または芳香族ホスホン酸、特開平1−307745号公報に記載されているチオサリチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−282637号公報に記載されているリンの酸素酸のグループを持つ化合物等を用いた下塗りによる処理も挙げられる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
また、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記載されている方法および手順に従って行うことができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
アルカリ金属ケイ酸塩処理によって吸着するSi量は蛍光X線分析装置により測定することができ、その吸着量は約1.0〜15.0mg/m2であるのが好ましい。
このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低減することができる。
このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低減することができる。
また、親水性の下塗層の形成による親水化処理は、特開昭59−101651号公報および特開昭60−149491号公報に記載されている条件および手順に従って行うこともできる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
<乾燥>
上述したようにして平版印刷版用支持体を得た後、画像記録層を設ける前に、平版印刷版用支持体の表面を乾燥させるのが好ましい。乾燥は、表面処理の最後の処理の後、水洗処理およびニップローラで液切りしてから行うのが好ましい。
乾燥温度は、70℃以上であるのが好ましく、80℃以上であるのがより好ましく、また、110℃以下であるのが好ましく、100℃以下であるのがより好ましい。
乾燥時間は、2〜15秒であるのが好ましい。
上述したようにして平版印刷版用支持体を得た後、画像記録層を設ける前に、平版印刷版用支持体の表面を乾燥させるのが好ましい。乾燥は、表面処理の最後の処理の後、水洗処理およびニップローラで液切りしてから行うのが好ましい。
乾燥温度は、70℃以上であるのが好ましく、80℃以上であるのがより好ましく、また、110℃以下であるのが好ましく、100℃以下であるのがより好ましい。
乾燥時間は、2〜15秒であるのが好ましい。
<液組成の管理>
本発明においては、上述した表面処理に用いられる各種の処理液の組成を、特開2001−121837号公報に記載されている方法で管理するのが好ましい。あらかじめ、種々の濃度の多数の処理液サンプルを調製し、それぞれ二つの液温における超音波の伝搬速度を測定し、マトリクス状のデータテーブルを作成しておき、処理中に、液温および超音波の伝搬速度をリアルタイム測定し、それに基づいて濃度の制御を行うのが好ましい。特に、デスマット処理において、硫酸濃度250g/L以上の電解液を用いる場合においては、上述する方法により、濃度の制御を行うのが好ましい。
なお、電解粗面化処理および陽極酸化処理に用いられる各電解液は、Cu濃度が100ppm以下であるのが好ましい。Cu濃度が高すぎると、ラインを停止するとアルミニウム板上にCuが析出し、ラインを再度稼動した際に析出したCuがパスロールに転写されて、処理ムラの原因となる場合がある。
本発明においては、上述した表面処理に用いられる各種の処理液の組成を、特開2001−121837号公報に記載されている方法で管理するのが好ましい。あらかじめ、種々の濃度の多数の処理液サンプルを調製し、それぞれ二つの液温における超音波の伝搬速度を測定し、マトリクス状のデータテーブルを作成しておき、処理中に、液温および超音波の伝搬速度をリアルタイム測定し、それに基づいて濃度の制御を行うのが好ましい。特に、デスマット処理において、硫酸濃度250g/L以上の電解液を用いる場合においては、上述する方法により、濃度の制御を行うのが好ましい。
なお、電解粗面化処理および陽極酸化処理に用いられる各電解液は、Cu濃度が100ppm以下であるのが好ましい。Cu濃度が高すぎると、ラインを停止するとアルミニウム板上にCuが析出し、ラインを再度稼動した際に析出したCuがパスロールに転写されて、処理ムラの原因となる場合がある。
[平版印刷版原版]
本発明により得られる平版印刷版用支持体には、感光層、感熱層等の画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物、レーザ製版性組成物が用いられる。
本発明においては、平版印刷版用支持体に設けられる画像記録層の種類は特に限定されず、如何なる種類の画像記録層であってもよい。
本発明に好適に用いられる感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に「無処理タイプ」という。)が挙げられる。
また、本発明により得られる平版印刷版用支持体は、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ等として、レーザ光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術に好適に用いられる。これらの画像記録層はレーザ製版性組成物として以下で説明する。
以下、これらの好適な画像記録層用組成物について説明する。
本発明により得られる平版印刷版用支持体には、感光層、感熱層等の画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物、レーザ製版性組成物が用いられる。
本発明においては、平版印刷版用支持体に設けられる画像記録層の種類は特に限定されず、如何なる種類の画像記録層であってもよい。
本発明に好適に用いられる感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に「無処理タイプ」という。)が挙げられる。
また、本発明により得られる平版印刷版用支持体は、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ等として、レーザ光のような高収斂性の輻射線にデジタル化された画像情報を担持させて、その光で平版印刷版原版を走査露光し、リスフィルムを介することなく、直接平版印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術に好適に用いられる。これらの画像記録層はレーザ製版性組成物として以下で説明する。
以下、これらの好適な画像記録層用組成物について説明する。
<サーマルポジタイプ>
<感光層>
サーマルポジタイプの感光性組成物は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
<感光層>
サーマルポジタイプの感光性組成物は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、分子中に酸性基を含有する樹脂およびその2種以上の混合物が挙げられる。特に、フェノール性ヒドロキシ基、スルホンアミド基(−SO2NH−R(式中、Rは炭化水素基を表す。))、活性イミノ基(−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R(各式中、Rは上記と同様の意味である。))等の酸性基を有する樹脂がアルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノボラック樹脂が好適に挙げられる。
更に、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に記載されている一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノボラック樹脂が好適に挙げられる。
更に、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に記載されている一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
光熱変換物質としては、記録感度の点で、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好適に挙げられる。染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)が挙げられる。中でも、シアニン染料が好ましく、とりわけ特開2001−305722号公報に記載されている一般式(I)で表されるシアニン染料が好ましい。
サーマルポジタイプの感光性組成物中には、溶解阻止剤を含有させることができる。溶解阻止剤としては、例えば、特開2001−305722号公報の[0053]〜[0055]に記載されているような溶解阻止剤が好適に挙げられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]に記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]に記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
また、サーマルポジタイプの画像記録層は、単層に限らず、2層構造であってもよい。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
<中間層>
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
<その他>
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
<サーマルネガタイプ>
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質(赤外線吸収剤)が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質(赤外線吸収剤)が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。
光熱変換物質としては、例えば、上述したサーマルポジタイプに用いられる光熱変換物質が挙げられる。特に好ましいシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の[0017]〜[0019]に記載されているものが挙げられる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
サーマルネガタイプの感光性組成物中には、特開2001−133969号公報の[0061]〜[0068]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤)を含有させるのが好ましい。
重合層の製造方法および製版方法については、特開2001−133969号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
<酸架橋層>
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
光熱変換物質としては、重合層に用いられるのと同様のものが挙げられる。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
<フォトポリマータイプ>
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。
また、付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。
また、付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
光重合開始剤としては、種々の光重合開始剤または2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を、使用する光源の波長により適宜選択して用いることができる。例えば、特開2001−22079号公報の[0021]〜[0023]に記載されている開始系が好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
フォトポリマータイプの光重合型感光性組成物中には、特開2001−22079号公報の[0079]〜[0088]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤)を含有させるのが好ましい。
また、フォトポリマータイプの画像記録層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、その共重合体が挙げられる。
更に、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層または接着層を設けるのも好ましい。
更に、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層または接着層を設けるのも好ましい。
<コンベンショナルネガタイプ>
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−281425号公報の[0014]〜[0015]に記載されている焼出し剤、染料、塗膜の柔軟性および耐摩耗性を付与するための可塑剤、現像促進剤等の化合物、塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
コンベンショナルネガタイプの感光層の下には、特開2000−105462号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含有する中間層を設けるのが好ましい。
<コンベンショナルポジタイプ>
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−92660号公報の[0024]〜[0027]に記載されている感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や、特開平7−92660号公報の[0031]に記載されているような塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
コンベンショナルポジタイプの感光層の下には、上述したコンベンショナルネガタイプに好適に用いられる中間層と同様の中間層を設けるのが好ましい。
<無処理タイプ>
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。光熱変換物質は、上述したサーマルポジタイプに用いられるのと同様の染料が好ましい。
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。光熱変換物質は、上述したサーマルポジタイプに用いられるのと同様の染料が好ましい。
熱可塑性微粒子ポリマー型の感光性組成物は、疎水性かつ熱溶融性の微粒子ポリマーが親水性高分子マトリックス中に分散されたものである。熱可塑性微粒子ポリマー型の画像記録層においては、露光により発生する熱により疎水性の微粒子ポリマーが溶融し、互いに融着して疎水性領域、即ち、画像部を形成する。
微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散しうるものがより好ましい。具体的には、ReseachDisclosureNo.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号および同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーとしては、例えば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものが挙げられる。
微粒子ポリマーは、反応性官能基を有するのが好ましい。
微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散しうるものがより好ましい。具体的には、ReseachDisclosureNo.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号および同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーとしては、例えば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものが挙げられる。
微粒子ポリマーは、反応性官能基を有するのが好ましい。
マイクロカプセル型の感光性組成物としては、特開2000−118160号公報に記載されているもの、特開2001−277740号公報に記載されているような熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル型が好適に挙げられる。
スルホン酸発生ポリマー含有型の感光性組成物(可視光製版性組成物)としては、たとえば、
a.酸発生化合物と、
b.スルホン酸発生ポリマーとを含有する無処理タイプ(ダイレクト型製版性組成物)が挙げられる。
a.酸発生化合物と、
b.スルホン酸発生ポリマーとを含有する無処理タイプ(ダイレクト型製版性組成物)が挙げられる。
前記スルホン酸発生ポリマーを構成する酸発生化合物としては、後にレーザ製版性組成物Aおよびレーザ製版性組成物Bのところで述べる酸発生化合物aが挙げられる。特に好ましいものとしては、特開平10−207068号公報の[0034]欄〜[0055]欄に例示されたスルホン酸発生化合物が挙げられる。
スルホン酸発生ポリマーとしては、たとえば、以下の一般式:
−L−SO2−O−R1
(式中、Lは、金属原子を含有しない2価の有機基を示し、R1は、置換されてもされていなくてもよいアリール基、アルキル基、または環状イミド基を示す。)
または一般式:
−L−SO2−SO2−R2
(式中、Lは、金属原子を含有しない2価の有機基を示し、R2は、置換されてもされていなくてもよいアリール基またはアルキル基を示す。)で示される構造の側鎖を有する高分子化合物が挙げられる。
−L−SO2−O−R1
(式中、Lは、金属原子を含有しない2価の有機基を示し、R1は、置換されてもされていなくてもよいアリール基、アルキル基、または環状イミド基を示す。)
または一般式:
−L−SO2−SO2−R2
(式中、Lは、金属原子を含有しない2価の有機基を示し、R2は、置換されてもされていなくてもよいアリール基またはアルキル基を示す。)で示される構造の側鎖を有する高分子化合物が挙げられる。
前記高分子化合物としては、具体的には、特開平10−207068号公報の[0016]欄〜[0033]欄に記載された高分子化合物が挙げられる。
また、スルホン酸発生ポリマーとしては、例えば、特開平10−282672号公報に記載されているスルホン酸エステル基、ジスルホン基またはsec−もしくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリマーが挙げられる。
無処理タイプの感光性組成物に、親水性樹脂を含有させることにより、機上現像性が良好となるばかりか、感光層自体の皮膜強度も向上する。親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するもの、親水性のゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。
無処理タイプの画像記録層は、特別な現像工程を必要とせず、印刷機上で現像することができる。無処理タイプの画像記録層の製造方法および製版印刷方法については、特開2002−178655号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
(レーザ製版性組成物)
レーザ製版性組成物としては、
A.a.前記レーザ光を吸収して熱に変換する赤外線吸収剤、
b.熱によって酸を発生する酸発生化合物等、および
c.酸によって架橋する酸架橋性化合物を含有するもの、
B.a.前記赤外線吸収剤、
b.前記酸発生化合物等、および
c.酸によって分解する酸分解性化合物を含有するもの、
C.a.レーザ光を照射するとラジカルを発生するラジカル発生化合物、
b.アルカリ可溶性バインダ、および
c.ラジカルにより重合するラジカル重合性化合物
D.a.レーザ光が照射されると現像液への溶解性が増大または減少する感光層 b.前記感光層に積層され、ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを有するもの、
E.a.物理現像核を含有する現像核層と、
b.前記現像核層に積層され、前記ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを有するもの、
F.レーザ光を照射することにより除去される親油性層であるレーザ除去性親油層を有するもの、などが挙げられる。以下、前記レーザ製版性組成物A〜Fにつき、説明する。
レーザ製版性組成物としては、
A.a.前記レーザ光を吸収して熱に変換する赤外線吸収剤、
b.熱によって酸を発生する酸発生化合物等、および
c.酸によって架橋する酸架橋性化合物を含有するもの、
B.a.前記赤外線吸収剤、
b.前記酸発生化合物等、および
c.酸によって分解する酸分解性化合物を含有するもの、
C.a.レーザ光を照射するとラジカルを発生するラジカル発生化合物、
b.アルカリ可溶性バインダ、および
c.ラジカルにより重合するラジカル重合性化合物
D.a.レーザ光が照射されると現像液への溶解性が増大または減少する感光層 b.前記感光層に積層され、ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを有するもの、
E.a.物理現像核を含有する現像核層と、
b.前記現像核層に積層され、前記ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを有するもの、
F.レーザ光を照射することにより除去される親油性層であるレーザ除去性親油層を有するもの、などが挙げられる。以下、前記レーザ製版性組成物A〜Fにつき、説明する。
<A.レーザ製版性組成物A>
レーザ製版性組成物Aに配合できる赤外線吸収剤aとしては、760nm〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙げられ、具体的には、カーボンブラックなどの黒色顔料、赤色顔料、金属枌顔料、フタロシアニン系顔料、および前記波長の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、シアニン色素などが挙げられる。
レーザ製版性組成物Aに配合できる赤外線吸収剤aとしては、760nm〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙げられ、具体的には、カーボンブラックなどの黒色顔料、赤色顔料、金属枌顔料、フタロシアニン系顔料、および前記波長の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、シアニン色素などが挙げられる。
酸発生化合物等bに包含される酸発生化合物としては、紫外光、可視光、または熱により分解してカルボン酸またはスルホン酸を発生する化合物が挙げられる。
前記酸発生化合物としては、例えばイミノフォスフェート化合物など、熱分解によりカルボン酸を発生するカルボン酸発生化合物、および特開平10−207068号公報の[0034]欄〜[0055]欄に例示されたスルホン酸発生化合物などが挙げられる。
他には、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、または光変色剤などとして一般に使用されている化合物も、光または熱分解により、カルボン酸またはスルホン酸などの酸を発生するのであれば、前記酸発生化合物として使用できる。
酸発生化合物等bとして使用できる酸としては、各種モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびスルホン酸などが挙げられる。
酸架橋性化合物cとしては、酸発生化合物bが分解して発生した酸により架橋して現像液に対する溶解性が低下する化合物が挙げられ、具体的には、アルコキシメチル基およびヒドロキシル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、およびN−アシルオキシメチル基のうちの少なくとも1つを有する化合物、ならびにエポキシ化合物などが挙げられる。
前記レーザ製版性組成物Aには、さらに、ノボラック樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)など、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーのようなアルカリ可溶性樹脂、および
一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(R1は、炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であり、Xは、単結合、O、S、COO、またはCONHであり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または複素環基であり、nおよびmは、何れも1〜3の自然数である。)で示される化合物、具体的には、フェノール性水酸基含有化合物を配合することができる。フェノール性水酸基含有化合物としては、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール類が挙げられる。
一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(R1は、炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であり、Xは、単結合、O、S、COO、またはCONHであり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または複素環基であり、nおよびmは、何れも1〜3の自然数である。)で示される化合物、具体的には、フェノール性水酸基含有化合物を配合することができる。フェノール性水酸基含有化合物としては、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール類が挙げられる。
前記レーザ製版性組成物Aには、さらに可塑剤なども配合できる。
<B.レーザ製版性組成物B>
レーザ製版性組成物Bは、前記レーザ製版性組成物Aのところで述べたのと同様の赤外線吸収剤と酸発生化合物等とに加えて、酸分解性化合物を含有する。
レーザ製版性組成物Bは、前記レーザ製版性組成物Aのところで述べたのと同様の赤外線吸収剤と酸発生化合物等とに加えて、酸分解性化合物を含有する。
酸分解性化合物は、酸によって分解する性質を有する化合物であり、具体的には、酸によって分子量が低下してアルカリ性現像液に対する溶解度が高くなる酸分解性高分子化合物が挙げられる。
酸分解性高分子化合物としては、たとえば、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基:(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
の内の少なくとも1つを主鎖および側鎖の何れかまたは両方に有する高分子が、酸と反応したときのアルカリ性現像液に対する溶解性の増大が大きい点、および酸と反応する前において前記溶解性が小さい点で好ましい。なお、上記(1)〜(6)中、Arは2価のアリール基を表し、Rは炭化水素基を表す。アリール基Arおよび炭化水素基Rの何れも置換基を有していてもよい。
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
の内の少なくとも1つを主鎖および側鎖の何れかまたは両方に有する高分子が、酸と反応したときのアルカリ性現像液に対する溶解性の増大が大きい点、および酸と反応する前において前記溶解性が小さい点で好ましい。なお、上記(1)〜(6)中、Arは2価のアリール基を表し、Rは炭化水素基を表す。アリール基Arおよび炭化水素基Rの何れも置換基を有していてもよい。
前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有し、アルカリ溶液に可溶な高分子の中でも、フェノール基(1)を有するフェノール基含有高分子、スルホンアミド基(2)を有するスルホンアミド基含有高分子、および活性イミド基(3)を有する活性イミド基含有高分子が好ましく、特に、フェノール基含有高分子およびスルホンアミド基含有高分子が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
酸性基(1)〜(6)を有する高分子としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基含有高分子フェノール基含有高分子としては、たとえば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。
さらに、フェノール基を側鎖に有するビニルモノマーであるフェノール性ビニルモノマーの単独重合体、および前記フェノール性ビニルモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体を挙げることもできる。
フェノール性ビニルモノマーとしては、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等のヒドロキシアルキルスチレン、フェノール基を有する(メタ)アクリルアミド、およびフェノール基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
フェノール基含有高分子の分子量については、重量平均分子量が5.0×102〜2.0×104であり、数平均分子量が2.0×102〜1.0×104であれば、画像形成性の点で好ましい。
また、前記フェノール基含有高分子は、単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
前記フェノール基含有高分子を2種以上組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているようなt−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体やオクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体などの炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、および本発明者らが先に出願した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有する高分子などを併用してもよい。
(2)スルホンアミド基含有高分子としては、例えば、スルホンアミド基を有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成された重合体を挙げることができる。
前記モノマーとしては、重合可能な不飽和基と、非置換スルホンアミド基またはモノ置換スルホンアミド基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーが挙げられる。
前記モノマーとしては、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、非置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基とを分子内に有するモノマーが好ましい。
前記モノマーとしては、例えば、下記一般式1〜5で表される化合物が挙げられる。
(3)活性イミド基含有高分子としては、例えば、活性イミド基を有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成された重合体を挙げることができる。このようなモノマーとしては、下記構造式で表される活性イミド基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーを挙げることができる。
(4)カルボン酸基を有するカルボン酸基含有高分子としては、例えば、カルボン酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成される重合体を挙げることができる。
(5)スルホン酸基を有するスルホン酸基含有高分子としては、例えば、スルホン酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成される重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、重合可能な不飽和基と、リン酸基とを分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来するモノマー単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
前記高分子は、前記酸性基(1)〜(6)の何れかを有する1種類のモノマー単位のみからなるものには限定されず、同一または異なる酸性基を有する2種以上のモノマー単位からなる共重合体も前記高分子に包含される。
前記共重合体としては、酸性基(1)〜(6)の何れかを有するモノマー単位が10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。
<C.レーザ製版性組成物C>
レーザ製版性組成物Cに用いられるラジカル発生剤aとしては、ビニル系モノマーの光重合に通常に使用される光重合開始剤が使用できる。
レーザ製版性組成物Cに用いられるラジカル発生剤aとしては、ビニル系モノマーの光重合に通常に使用される光重合開始剤が使用できる。
アルカリ可溶性バインダbとしては、たとえばフェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などのフェノール性水酸基を有するフェノール系ポリマー、少なくとも一部のモノマー単位がスルホンアミド基を有するポリマーであるスルホンアミド基含有ポリマー、N−(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリルアミド基などの活性イミド基を有するモノマーの単独重合または共重合により得られる活性イミド基含有ポリマーなどが使用できる。
ラジカル重合性化合物cとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルであるエチレン性不飽和カルボン酸多価エステル、前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価アミンとからなるメチレンビス(メタ)アクリルアミド、キシリレン(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸多価アミドなどが挙げられる。
ラジカル重合性化合物cとしては、他に、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸モノエステルなども使用できる。
レーザ製版性組成物Cには、さらに、チタノセン化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素などの増感剤を配合してもよい。
<D.レーザ製版性組成物D>
レーザ製版性組成物Dにおける感光層aとしては、たとえば、前記レーザ製版性組成物A〜Cの何れかが挙げられる。
レーザ製版性組成物Dにおける感光層aとしては、たとえば、前記レーザ製版性組成物A〜Cの何れかが挙げられる。
ハロゲン化銀含有層Bにおけるハロゲン化銀および還元剤としては、通常の銀塩写真に使用されるハロゲン化銀および還元剤が挙げられる。
<E.レーザ製版性組成物E>
レーザ製版性組成物Eにおける現像核層Aとしては、たとえばCarey Lea法により調製された銀ゾルから形成された層が挙げられる。
レーザ製版性組成物Eにおける現像核層Aとしては、たとえばCarey Lea法により調製された銀ゾルから形成された層が挙げられる。
ハロゲン化銀Bにおけるハロゲン化銀としては、通常の銀塩写真に使用されるハロゲン化銀が挙げられる。
<F.レーザ製版性組成物F>
レーザ除去性親油層としては、適宜の方法で平版印刷版用支持体の粗面化面に形成された銀層が挙げられる。
レーザ除去性親油層としては、適宜の方法で平版印刷版用支持体の粗面化面に形成された銀層が挙げられる。
以下、レーザ製版性組成物A〜Fの形成方法について説明する。
レーザ製版性組成物A〜Cは、構成成分を溶剤に溶解または懸濁させたレーザ製版性組成物形成液を平版印刷版用支持体の粗面化面に塗布し、乾燥させて形成できる。
前記溶剤としては、レーザ製版性組成物A〜Cの構成成分を溶解し、しかも、室温である程度の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たとえばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、エタノール、プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およびジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコールエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。
また、レーザ製版性組成物形成液は、たとえば、コーティングロッドを用いる方法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、スライドビードコーターを用いる方法など、従来公知の方法が使用でき、また公知の条件に従って塗布できる。
前記レーザ製版性組成物形成液を塗布後のアルミニウム板を乾燥する装置としては、特開平6−63487号公報に記載の、乾燥装置内にパスロールを配置し、前記パスロールで搬送しつつ乾燥するアーチ型ドライヤー、上下からノズルによりエアーを供給し、ウェブを浮上させながら乾燥するエアードライヤー、高温に加熱された媒体からの輻射熱で乾燥する輻射熱ドライヤー、およびローラを加熱し、前記ローラとの接触による伝導伝熱により乾燥するローラドライヤー等がある。
なお、レーザ製版性組成物Cを形成するときは、シラン化合物を水、アルコール、またはカルボン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物などの反応性官能基を有するシリコーン化合物で平版印刷版用支持体の粗面化面を予め処理すると、平版印刷版用支持体と前記レーザ製版性組成物との接着性が向上するから好ましい。
レーザ製版性組成物Dは、前述の方法により形成されたレーザ製版性組成物A〜Cに重ねて、ハロゲン化銀ゾルと前記還元剤とをゼラチンなどの乳化剤で乳化したハロゲン化銀乳液を塗布し、乾燥することにより形成できる。
レーザ製版性組成物Eにおける現像核層は、たとえば、Carey Lea法により調製した銀ゾルを前記平版印刷版用支持体の表面に塗布し、乾燥することにより、形成できる。
ハロゲン化銀含有層は、前記手順で形成された現像各層に重ねて、前記ハロゲン化銀乳液を塗布し、乾燥することにより形成できる。
レーザ製版性組成物Fは、たとえば、前記平版印刷版用支持体の粗面化面の全面に前記ハロゲン化銀乳液を塗布し、全面露光・現像・定着を行うことにより形成できる。
また、前記平版印刷版用支持体の粗面化面に、銀を無電解鍍金または蒸着などの方法により付着させて銀薄膜を形成してもよい。
<オーバーコート層>
無処理タイプの平版印刷版原版においては、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、上記画像記録層上に、水溶性のオーバーコート層を設けることができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去できるものが好ましく、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。
水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的には、例えば、ポリ酢酸ビニル(ただし、加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)およびその変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を2種以上混合して用いることもできる。
無処理タイプの平版印刷版原版においては、親油性物質による感熱層表面の汚染防止のため、上記画像記録層上に、水溶性のオーバーコート層を設けることができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去できるものが好ましく、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。
水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的には、例えば、ポリ酢酸ビニル(ただし、加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリルアミドおよびその共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドンおよびその共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体およびそのアルカリ金属塩またはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)およびその変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を2種以上混合して用いることもできる。
また、オーバーコート層には、上述した光熱変換剤のうち水溶性のものを添加してもよい。更に、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等の非イオン系界面活性剤を添加することができる。
オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2であるのが好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚れ等の親油性物質による感熱層表面の良好な汚染防止ができる。
オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2であるのが好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚れ等の親油性物質による感熱層表面の良好な汚染防止ができる。
<酸素遮断層>
前記レーザ製版性組成物層が、酸素遮断層によりさらに被覆されていることが好ましい。前記レーザ製版性組成物層に含有されるラジカル重合性化合物には、空気中の酸素と反応すればラジカル重合しなくなる場合がある。しかし、酸素遮断層により空気中の酸素から遮断された状態にあれば、長期間に亘ってラジカル重合性が維持される。
酸素遮断層の具体的組成物は、特開2003−246159号公報に記載されている。
前記レーザ製版性組成物層が、酸素遮断層によりさらに被覆されていることが好ましい。前記レーザ製版性組成物層に含有されるラジカル重合性化合物には、空気中の酸素と反応すればラジカル重合しなくなる場合がある。しかし、酸素遮断層により空気中の酸素から遮断された状態にあれば、長期間に亘ってラジカル重合性が維持される。
酸素遮断層の具体的組成物は、特開2003−246159号公報に記載されている。
<バックコート層>
このようにして、本発明により得られる平版印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設けて得られる本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層を設けることができる。
このようにして、本発明により得られる平版印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設けて得られる本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層を設けることができる。
[製版方法(平版印刷版の製造方法)]
本発明により得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
本発明により得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
前記記録層は、感光性材料、および必要な添加剤を溶媒に溶解または懸濁させた製版性組成物形成液を前記平版印刷版用支持体の粗面化面に塗布し、乾燥させることにより形成される。好ましい塗布量は、乾燥後の質量で0.5〜2g/m2とすることが好ましい。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
上記露光の後、画像記録層がサーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、コンベンショナルネガタイプ、コンベンショナルポジタイプおよびフォトポリマータイプのいずれかである場合は、露光した後、現像液を用いて現像して平版印刷版を得るのが好ましい。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのがより好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液を用いて現像する平版印刷版原版の処理方法を用いると、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて現像する場合における問題、即ち、SiO2に起因する固形物が析出しやすいこと、現像液の廃液を処理する際の中和処理においてSiO2に起因するゲルが生成すること等の問題の発生を防止することができる。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのがより好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液を用いて現像する平版印刷版原版の処理方法を用いると、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて現像する場合における問題、即ち、SiO2に起因する固形物が析出しやすいこと、現像液の廃液を処理する際の中和処理においてSiO2に起因するゲルが生成すること等の問題の発生を防止することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.アルミニウム板の調製
Si:0.075質量%、Fe:0.255質量%、Cu:0.025質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Ti:0.022質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、鋳塊を面削した後、均質化処理を行い、その後、順に熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍および冷間圧延を行い、板厚0.24mmの実施例1〜20のアルミニウム板および比較例1〜6のアルミニウム板を得た。
1.アルミニウム板の調製
Si:0.075質量%、Fe:0.255質量%、Cu:0.025質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Ti:0.022質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、鋳塊を面削した後、均質化処理を行い、その後、順に熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍および冷間圧延を行い、板厚0.24mmの実施例1〜20のアルミニウム板および比較例1〜6のアルミニウム板を得た。
2.表面処理
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。
表面処理は、以下の(a)〜(j)の各種処理を連続的に行うことにより行った。
(a)機械的粗面化処理
平均粒径20μmのパミスを研磨材として含有する研磨材スラリー(比重1.08)を、スプレー管にてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。
ローラ状ブラシは8号ナイロンブラシを用い、回転数250rpmで研磨した。ブラシ毛は、ナイロン6・10であり、直経300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。ローラ状ブラシは3本使用した。上記ローラ状ブラシのそれぞれに2本の支持ローラを設けた。上記支持ローラの直径は200mmであり、距離は300mmであった。ブラシ毛の直径は0.5mmであり、毛長は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(b)第1アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%(260g/L)、アルミニウムイオン濃度10質量%(100g/L)、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、処理時間を変更して、表1に示す量とした。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
平均粒径20μmのパミスを研磨材として含有する研磨材スラリー(比重1.08)を、スプレー管にてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。
ローラ状ブラシは8号ナイロンブラシを用い、回転数250rpmで研磨した。ブラシ毛は、ナイロン6・10であり、直経300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。ローラ状ブラシは3本使用した。上記ローラ状ブラシのそれぞれに2本の支持ローラを設けた。上記支持ローラの直径は200mmであり、距離は300mmであった。ブラシ毛の直径は0.5mmであり、毛長は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。
(b)第1アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%(260g/L)、アルミニウムイオン濃度10質量%(100g/L)、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、処理時間を変更して、表1に示す量とした。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
(c)デスマット処理
温度35℃の硝酸濃度1質量%(10g/L)の硝酸水溶液をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。硝酸水溶液としては、後述する(d)硝酸水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラによる液切りを行わずに、アルミニウム板に硝酸水溶液が付着している状態で搬送した。搬送時間は25秒間であった。
温度35℃の硝酸濃度1質量%(10g/L)の硝酸水溶液をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。硝酸水溶液としては、後述する(d)硝酸水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理工程の廃液を用いた。
その後、ニップローラによる液切りを行わずに、アルミニウム板に硝酸水溶液が付着している状態で搬送した。搬送時間は25秒間であった。
(d)硝酸水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(硝酸電解)
電気化学的粗面化処理を行う直前に、アルミニウム板に、後述する硝酸交流電解に用いた電解液と同じ組成および温度を有する電解液を吹き付けた。
その後、1質量%(10g/L)硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温50℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが1.2msec、duty比1:1であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを2槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、50A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で200C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
電気化学的粗面化処理を行う直前に、アルミニウム板に、後述する硝酸交流電解に用いた電解液と同じ組成および温度を有する電解液を吹き付けた。
その後、1質量%(10g/L)硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温50℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが1.2msec、duty比1:1であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを2槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、50A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で200C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
(e)第2アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%(260g/L)、アルミニウムイオン濃度10質量%(100g/L)、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、処理時間を変更して、表1に示す量とした。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%(260g/L)、アルミニウムイオン濃度10質量%(100g/L)、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、処理時間を変更して、表1に示す量とした。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
(f)デスマット処理
30質量%(300g/L)硫酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を2g/Lとした水溶液(液温35℃)をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
30質量%(300g/L)硫酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を2g/Lとした水溶液(液温35℃)をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
(g)塩酸水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理(塩酸電解)
1質量%(10g/L)塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、表1に示す周波数の交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが0.8msec、duty比1:1であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを1槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、50A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量は電解時間を調整して、表1に示す条件とした。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。アルミニウム板と電解液の相対速度は、電解槽内の平均で1.5m/secであった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
1質量%(10g/L)塩酸水溶液に塩化アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(液温35℃)を用い、表1に示す周波数の交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図2に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間Tpが0.8msec、duty比1:1であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図3に示すものを1槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、50A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量は電解時間を調整して、表1に示す条件とした。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。アルミニウム板と電解液の相対速度は、電解槽内の平均で1.5m/secであった。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
(h)第3アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%(260g/L)、アルミニウムイオン濃度0.5質量%(5g/L)、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、処理時間を変更して、表1に示す条件とした。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%(260g/L)、アルミニウムイオン濃度0.5質量%(5g/L)、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、処理時間を変更して、表1に示す条件とした。
その後、ニップローラで液切りし、更に、後述する水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗することにより行った。
(i)デスマット処理
硝酸濃度1質量%(10g/L)、アルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液(液温35℃)をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。その後、ニップローラで液切りし、水洗処理した。
硝酸濃度1質量%(10g/L)、アルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液(液温35℃)をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。その後、ニップローラで液切りし、水洗処理した。
(j)陽極酸化処理
図5に示す陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行った。
電解液としては、15質量%(150g/L)硫酸水溶液に硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(温度35℃)を用いた。陽極酸化処理は、最終的な酸化皮膜量が2.7g/m2となる条件で行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
図5に示す陽極酸化処理装置を用いて陽極酸化処理を行った。
電解液としては、15質量%(150g/L)硫酸水溶液に硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液(温度35℃)を用いた。陽極酸化処理は、最終的な酸化皮膜量が2.7g/m2となる条件で行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
(k)シリケート処理
アルミニウム板をケイ酸ソーダ1.0質量%水溶液(液温20℃)に浸せきし、親水化処理を行った。浸せき時間を調整し、蛍光X線分析装置で測定したアルミニウム板表面のSi量が、表1に示す量となる条件で行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
更に、90℃の風を10秒間吹き付けて乾燥させて、平版印刷版用支持体を得た。
アルミニウム板をケイ酸ソーダ1.0質量%水溶液(液温20℃)に浸せきし、親水化処理を行った。浸せき時間を調整し、蛍光X線分析装置で測定したアルミニウム板表面のSi量が、表1に示す量となる条件で行った。
その後、ニップローラで液切りし、更に、スプレー管に取り付けられたスプレーチップから扇状に噴き出す水で5秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りした。
更に、90℃の風を10秒間吹き付けて乾燥させて、平版印刷版用支持体を得た。
3.平版印刷版用支持体の表面の観察
実施例1〜20、および比較例1〜6の硝酸電解後のアルミニウム板の表面を、真上から走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で撮影し、得られたSEM写真において開口(ピット)の周囲が環状に連なっている開口を50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出した。表1に示す平均開口径の凹凸が生成していた。
実施例1〜20、および比較例1〜6の硝酸電解後のアルミニウム板の表面を、真上から走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で撮影し、得られたSEM写真において開口(ピット)の周囲が環状に連なっている開口を50個抽出し、その直径を読み取って開口径とし、平均開口径を算出した。表1に示す平均開口径の凹凸が生成していた。
4.平版印刷版原版の作成
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、以下のようにしてサーマルポジタイプの画像記録層を設けて平版印刷版原版を得た。なお、画像記録層を設ける前には、後述するように下塗層を設けた。
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、以下のようにしてサーマルポジタイプの画像記録層を設けて平版印刷版原版を得た。なお、画像記録層を設ける前には、後述するように下塗層を設けた。
平版印刷版用支持体上に、下記組成の下塗液をバーコーター塗布し、80℃で15秒間乾燥し、下塗層の塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は17mg/m2であった。
<下塗液組成>
・下記式で表される化合物A 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
・下記式で表される化合物A 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
下記組成の感光層下層用塗布液を調製し、下塗層を形成させた平版印刷版用支持体に、この感光層下層用塗布液を乾燥後の塗布量が0.85g/m2になるようバーコーターで塗布し、160℃で44秒間乾燥させて、直ちに17〜20℃の冷風で平版印刷版用支持体の温度が35℃になるまで冷却して感光層下層を形成させた。ついで、下記組成の感光層最上層用塗布液を調製し、感光層下層を形成させた平版印刷版用支持体に、この感光層最上層用塗布液を乾燥後の塗布量が0.22g/m2になるようにバーコーターで塗布し、148℃で25秒間乾燥させて、更に20〜26℃の風で徐冷して感光層最上層を形成させた。
<感光層下層用塗布液組成>
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(モル比36/34/30、重量平均分子量50,000、酸価2.65) 2.1g
・下記式で表されるシアニン染料A 0.13g
・4,4′−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホンに変えたもの 0.078g
・下記式で表される塗布面状改良用フッ素系界面活性剤B(重量平均分子量35,000) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(モル比36/34/30、重量平均分子量50,000、酸価2.65) 2.1g
・下記式で表されるシアニン染料A 0.13g
・4,4′−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.13g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホンに変えたもの 0.078g
・下記式で表される塗布面状改良用フッ素系界面活性剤B(重量平均分子量35,000) 0.007g
・メチルエチルケトン 25.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.0g
<感光層最上層用塗布液組成>
・m,p−クレゾール−ノボラック樹脂(m/p比=6/4、重量平均分子量4,500、未反応クレゾール0.8質量%含有、ガラス転移点75℃) 0.35g
・下記式で表されるアクリル系樹脂C 0.042g
・上記式で表されるシアニン染料A 0.019g
・下記式で表されるアンモニウム化合物D 0.004g
・上記式で表される塗布面状改良用フッ素系界面活性剤B 0.0045g
・下記式で表されるフッ素系界面活性剤E 0.0033g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
・m,p−クレゾール−ノボラック樹脂(m/p比=6/4、重量平均分子量4,500、未反応クレゾール0.8質量%含有、ガラス転移点75℃) 0.35g
・下記式で表されるアクリル系樹脂C 0.042g
・上記式で表されるシアニン染料A 0.019g
・下記式で表されるアンモニウム化合物D 0.004g
・上記式で表される塗布面状改良用フッ素系界面活性剤B 0.0045g
・下記式で表されるフッ素系界面活性剤E 0.0033g
・メチルエチルケトン 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0g
5.平版印刷版原版の評価
平版印刷版の耐刷性および網点部の汚れにくさを下記の方法で評価した。
(1)耐刷性
得られた平版印刷版原版をCreo社製TrendSetterを用いてドラム回転速度150rpm、ビーム強度10Wで画像状に描き込みを行った。
その後、下記組成のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像し、平版印刷版を得た。なお、いずれの平版印刷版原版も感度は良好であった。
平版印刷版の耐刷性および網点部の汚れにくさを下記の方法で評価した。
(1)耐刷性
得られた平版印刷版原版をCreo社製TrendSetterを用いてドラム回転速度150rpm、ビーム強度10Wで画像状に描き込みを行った。
その後、下記組成のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像し、平版印刷版を得た。なお、いずれの平版印刷版原版も感度は良好であった。
<アルカリ現像液組成>
・D−ソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル(重量平均分子量1,000) 0.5 質量%
・水 96.15質量%
・D−ソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル(重量平均分子量1,000) 0.5 質量%
・水 96.15質量%
得られた平版印刷版を、小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
(2)汚れにくさ(耐汚れ性)
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後における非画像部の汚れを目視で観察し、汚れにくさを評価した。
汚れのない方から順に、◎、○、○△、△、△×、×の6段階で評価した。
(3)網点部におけるインキの絡みにくさ
小森コーポレーション社製のSOR−M印刷機で、大日本インキ化学工業(株)製のDIC−GEOS(H)墨を用いて、湿し水を少なくして印刷を行い、網点部におけるインキの絡みにくさを評価した。
インキの絡みが認められない順に、◎、○、○△、△、△×、×の6段階で評価した。
(2)ブランケット上堆積物による画像のくわえ尻部分および網点部の着肉不良
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるオフ輪印刷機のブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分または画像部くわえ尻部分および網点部のブランケットの汚れを目視およびマイクロスコープで評価した。
さらに印刷を継続し、印刷枚数増加とともにベタ部くわえ尻部分または画像部くわえ尻部分および網点部のインキの付着不良の発生頻度と発生した際の枚数を調べた。
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後における非画像部の汚れを目視で観察し、汚れにくさを評価した。
汚れのない方から順に、◎、○、○△、△、△×、×の6段階で評価した。
(3)網点部におけるインキの絡みにくさ
小森コーポレーション社製のSOR−M印刷機で、大日本インキ化学工業(株)製のDIC−GEOS(H)墨を用いて、湿し水を少なくして印刷を行い、網点部におけるインキの絡みにくさを評価した。
インキの絡みが認められない順に、◎、○、○△、△、△×、×の6段階で評価した。
(2)ブランケット上堆積物による画像のくわえ尻部分および網点部の着肉不良
三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるオフ輪印刷機のブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分または画像部くわえ尻部分および網点部のブランケットの汚れを目視およびマイクロスコープで評価した。
さらに印刷を継続し、印刷枚数増加とともにベタ部くわえ尻部分または画像部くわえ尻部分および網点部のインキの付着不良の発生頻度と発生した際の枚数を調べた。
ベタ画像部および網点部の付着不良が起きなかったものから順に、◎○、◎、○、○△、△、△×、×の7段階で評価し、×は1万枚印刷時にすでにベタ部分または網点部でインキの付着不良が発生していたことを示す。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法により得られた平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は、いずれも耐刷性、汚れにくさ、網点部の絡みにくさおよびブランケット上の堆積物によるベタ部くわえ尻部分または画像部くわえ尻部分および網点部の耐着肉不良に優れている。
1 アルミニウム板
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
100 自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置
102 水
104 貯水タンク
106 給水筒
108 整流部
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
413 中間槽
414 陽極酸化処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 陽極
422、428 パスローラ
424 ニップローラ
430 陰極
434 直流電源
436、438 給液ノズル
440 しゃへい板
442 排液口
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
100 自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置
102 水
104 貯水タンク
106 給水筒
108 整流部
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
413 中間槽
414 陽極酸化処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 陽極
422、428 パスローラ
424 ニップローラ
430 陰極
434 直流電源
436、438 給液ノズル
440 しゃへい板
442 排液口
Claims (9)
- アルミニウム板に、第1アルカリエッチング後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化を行い平均開口径0.8〜5μmのピットを形成し、次いでアルミニウム溶解量0.3〜15g/m2で第2アルカリエッチング後、塩酸水溶液中で電気化学的粗面化を行い、更に第3アルカリエッチングをアルミニウム溶解量0.05〜1.0g/m2で行う工程を有することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
- アルミニウム板を機械的粗面化処理後、アルミニウム溶解量1〜15g/m2で第2アルカリエッチング処理した後、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を施すことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理が、周波数30〜150Hzの交流電解、陽極時総電気量20〜100C/dm2の条件で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記第2アルカリエッチング処理後、硫酸又は硝酸水溶液によるデスマット処理を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記第3のアルカリエッチング後のアルミニウム板に、陽極酸化処理、または陽極酸化処理及び表面シリケート量1〜8mg/m2の親水化処理施すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた平版印刷版用支持体上に0.5〜2g/m2の記録層を有することを特徴とする平版印刷版原版。
- 前記記録層が、赤外線吸収剤、熱によって酸を発生する化合物、および、酸によって架橋する化合物、を含有することを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版原版。
- 前記記録層が、レーザ光照射によってラジカルを発生する化合物、アルカリに可溶のバインダー、および、多官能性のモノマーまたはプレポリマーを含有する層;並びに酸素遮断層の2層を含むことを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版原版。
- 前記記録層が、エネルギーを吸収して酸を発生する化合物、酸によってスルホン酸またはカルボン酸を発生する官能基を側鎖に有する高分子化合物、および可視光を吸収することで酸発生剤にエネルギーを与える化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の平版印刷版原版。
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-
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- 2004-03-12 JP JP2004070025A patent/JP2005254638A/ja not_active Withdrawn
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