JP2008111142A - 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体 Download PDF

Info

Publication number
JP2008111142A
JP2008111142A JP2006292990A JP2006292990A JP2008111142A JP 2008111142 A JP2008111142 A JP 2008111142A JP 2006292990 A JP2006292990 A JP 2006292990A JP 2006292990 A JP2006292990 A JP 2006292990A JP 2008111142 A JP2008111142 A JP 2008111142A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
treatment
lithographic printing
printing plate
aluminum alloy
roughening treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2006292990A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Tashiro
宏 田代
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006292990A priority Critical patent/JP2008111142A/ja
Priority to US11/877,393 priority patent/US20080102404A1/en
Publication of JP2008111142A publication Critical patent/JP2008111142A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41NPRINTING PLATES OR FOILS; MATERIALS FOR SURFACES USED IN PRINTING MACHINES FOR PRINTING, INKING, DAMPING, OR THE LIKE; PREPARING SUCH SURFACES FOR USE AND CONSERVING THEM
    • B41N3/00Preparing for use and conserving printing surfaces
    • B41N3/03Chemical or electrical pretreatment
    • B41N3/034Chemical or electrical pretreatment characterised by the electrochemical treatment of the aluminum support, e.g. anodisation, electro-graining; Sealing of the anodised layer; Treatment of the anodic layer with inorganic compounds; Colouring of the anodic layer
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41NPRINTING PLATES OR FOILS; MATERIALS FOR SURFACES USED IN PRINTING MACHINES FOR PRINTING, INKING, DAMPING, OR THE LIKE; PREPARING SUCH SURFACES FOR USE AND CONSERVING THEM
    • B41N1/00Printing plates or foils; Materials therefor
    • B41N1/04Printing plates or foils; Materials therefor metallic
    • B41N1/08Printing plates or foils; Materials therefor metallic for lithographic printing
    • B41N1/083Printing plates or foils; Materials therefor metallic for lithographic printing made of aluminium or aluminium alloys or having such surface layers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C21/00Alloys based on aluminium
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C21/00Alloys based on aluminium
    • C22C21/02Alloys based on aluminium with silicon as the next major constituent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D11/00Electrolytic coating by surface reaction, i.e. forming conversion layers
    • C25D11/02Anodisation
    • C25D11/04Anodisation of aluminium or alloys based thereon
    • C25D11/18After-treatment, e.g. pore-sealing
    • C25D11/24Chemical after-treatment
    • C25D11/246Chemical after-treatment for sealing layers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25FPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC REMOVAL OF MATERIALS FROM OBJECTS; APPARATUS THEREFOR
    • C25F3/00Electrolytic etching or polishing
    • C25F3/02Etching
    • C25F3/04Etching of light metals

Abstract

【課題】外観欠陥がなく均一な電解粗面化面を有する平版印刷版用支持体を得ることができ、かつ、耐刷性および耐汚れ性に優れた平版印刷版を得ることができる平版印刷版用アルミニウム合金板ならびにそれを用いた平版印刷版用支持体および平版印刷版原版の提供。
【解決手段】アルミニウム合金溶湯を溶湯供給ノズルを介して一対の冷却ローラの間に供給し、前記一対の冷却ローラによって前記アルミニウム合金溶湯を凝固させつつ圧延を行う連続鋳造により得られる平版印刷版用アルミニウム合金板であって、
0.10〜0.20質量%のSiと0.10〜0.40質量%のFeとを含有し、Siの固溶量が200〜600ppmであり、Feの固溶量が250ppm以下である、平版印刷版用アルミニウム合金板。
【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷版用アルミニウム合金板およびそれを用いた平版印刷版用支持体に関する。
従来より、アルミニウム合金板を支持体とする感光性平版印刷版原版はオフセット印刷に幅広く使用されている。
また、一般的に、このアルミニウム合金板には、板厚0.1〜0.5mmの圧延板が用いられており、JIS1000系材料やJIS3000系材料が用いられる。
このようなアルミニウム合金板の製造方法としては、アルミニウム合金溶湯を半連続鋳造法により鋳造したスラブを、均質化熱処理後、熱間圧延、冷間圧延および必要に応じて焼鈍を施してアルミニウム合金板を得る方法(半連続鋳造法(DC法))が一般に採用されている。
一方、平版印刷版用支持体の製造方法としては、シート状またはコイル状のアルミニウム合金板の表面に粗面化処理および陽極酸化処理を施す方法が一般に知られている。
また、平版印刷版原版の製造方法としては、平版印刷版用支持体上に感光液を塗布し乾操させて画像記録層を形成させ、必要に応じて所望のサイズに切りそろえる方法が一般に知られている。そして、この平版印刷版原版は、画像焼付け後に現像処理が施されることにより平版印刷版とされる。
この方法において、画像記録層と平版印刷版用支持体との密着性を向上させるためには、酸性溶液中で行う電気化学的粗面化処理(以下、「電解粗面化処理」ともいう。)を施すことや、陽極酸化処理後に表面処理や下塗液の塗布を施すことが有効であることが知られている。
また、電解粗面化処理を含む粗面化処理を行う場合、粗面化処理により平版印刷版用支持体の表面に微小な凹凸(ピット)が生成することが知られている。
ここで、ピットの径を均一でかつ大きくし、また、ピットの深さを深くすることによって、印刷性能(特に、耐刷性および耐汚れ性)に優れる平版印刷版原版が得られると考えられていた。これは、画像部においては、画像記録層と平版印刷版用支持体との密着性が強固になるため数多くの枚数を印刷しても画像記録層がはく離しにくくなり、非画像部においては、多くの湿し水を表面に保持することが可能となるため汚れが発生しにくくなるという知見に基づくものである。
そして、そのような観点から電解粗面化処理により生成するピットの形状や、電解粗面化処理を施した後の平版印刷版用支持体表面(以下、「電解粗面化面」ともいう。)の均一性を改善する種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3等参照。)。
しかしながら、これらの特許文献に記載の方法は、いずれもアルミニウム(Al)純度が高い材料について検討されているものであって、合金成分の多いAl材料については、そのまま適用しても以下の問題があった。
具体的には、合金成分の多いAl材料として、特許文献4には、「アルミニウム合金連続鋳造圧延板であって、0.20〜0.80wt%のFeを含有し、残部がアルミニウム、結晶粒微細化元素、および不可避的不純物元素から成り、該不純物元素の内でSiの含有量が0.3wt%以下およびCuの含有量が0.05wt%以下であり、Feの固溶量が250ppm以下、Siの固溶量が150ppm以下、かつCuの固溶量が120ppm以下であることを特徴とする電解粗面化平版印刷版用アルミニウム合金素板。」が記載されている。
そして、このような合金成分元素は、Al中に固溶するもの、金属成分として析出するもの、金属間化合物として存在するものからなるが、金属間化合物量は所定量以下とする必要があるため、特許文献4に記載するように鉄(Fe),ケイ素(Si),銅(Cu)の固溶量を低く保つことは析出成分を多くすることになり、耐苛酷インキ汚れ性の劣化等の欠点を引き起こすという問題があった。また、第二相粒子を均一微細に晶出させつつ固溶量を低く保つことも困難であった。
ここで、「苛酷インキ汚れ」とは、印刷を何度も中断しつつ行った場合に、平版印刷版の非画像部表面部分にインキが付着しやすくなった結果、印刷された紙等に表れる点状または円環状の汚れをいう。
この問題を解決すべく、本出願人により、「アルミニウム合金からなる連続鋳造圧延板であって、0.20〜0.80質量%のFeを含有し、残部がアルミニウム、結晶粒微細化元素、および不可避的不純物元素から成り、該不純物元素の内でSiの含有量が0.02〜0.30質量%およびCuの含有量が0.05質量%以下であり、Siの固溶量が150ppm以上1500ppm以下であることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金素板。」が提案されている(特許文献5)。
特開2000−108534号公報 特開2000−37965号公報 特開2000−37964号公報 特開平7−173563号公報(対応EP公開公報、EP0640694) 特開2005−89846号公報
一方、特許文献4に示すような合金成分の多いAl材料を平版印刷版用アルミニウム合金素板に用いた場合においては、素板自体の製造工程の簡素化、製造コストおよび製造時間の低減が十分に図れていなかった。また、平版印刷版用支持体を作製する際の電解粗面化面が均一とならず、外観欠陥も有し、更に、このような平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は耐刷性および耐汚れ性に劣るものであった。
また、本発明者は、特許文献5に記載の平版印刷版用アルミニウム合金素板に粗面化処理を施して製造される平版印刷版用支持体であっても、外観欠陥を有する場合があることを見出した。
そこで、本発明は、外観欠陥がなく均一な電解粗面化面を有する平版印刷版用支持体を得ることができ、かつ、耐刷性および耐汚れ性に優れた平版印刷版を得ることができる平版印刷版用アルミニウム合金板ならびにそれを用いた平版印刷版用支持体および平版印刷版原版を提供することを課題とする。
また、本発明は、製造工程を簡素化し、製造コストおよび製造時間を低減することができる平版印刷版用アルミニウム合金板ならびにそれを用いた平版印刷版用支持体および平版印刷版原版を提供することを課題とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、SiおよびFeを特定の含有量および固溶量とする平版印刷版用アルミニウム合金板を用いることにより、外観欠陥がなく均一な電解粗面化面を有する平版印刷版用支持体を得ることができ、かつ、耐刷性および耐汚れ性に優れた平版印刷版を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(11)を提供する。
(1)アルミニウム合金溶湯を溶湯供給ノズルを介して一対の冷却ローラの間に供給し、上記一対の冷却ローラによって上記アルミニウム合金溶湯を凝固させつつ圧延を行う連続鋳造により得られる平版印刷版用アルミニウム合金板であって、
0.10〜0.20質量%のSiと0.10〜0.40質量%のFeとを含有し、Siの固溶量が200〜600ppmであり、Feの固溶量が250ppm以下である、平版印刷版用アルミニウム合金板。
(2)Cuの含有量が0.02質量%以下である上記(1)に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
(3)上記(1)または(2)に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体。
(4)上記粗面化処理が、上記電気化学的粗面化処理の前に、更にアルカリエッチング処理(第1アルカリエッチング処理)を含む上記(3)に記載の平版印刷版用支持体。
(5)上記電気化学的粗面化処理により生成するピットの径が、0.01〜1.5μmで均一である上記(3)または(4)に記載の平版印刷版用支持体。
(6)上記粗面化処理が、上記電気化学的粗面化処理の後に、更にアルカリエッチング処理(第2アルカリエッチング処理)を含む上記(3)〜(5)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(7)上記電気化学的粗面化処理の電流密度が5A/dm2以上であり、
上記電気化学的粗面化処理の後の上記アルカリエッチング処理(第2アルカリエッチング処理)による上記平版印刷版用アルミニウム合金板の表面の溶解量が0.1g/m2以上である、上記(6)に記載の平版印刷版用支持体。
(8)上記電気化学的粗面化処理が、硝酸を含有する電解液中で、台形波形の交流電流を用いる処理である上記(3)〜(7)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(9)上記電気化学的粗面化処理が、塩酸を含有する電解液中で、正弦波形の交流電流を用いる処理である上記(3)〜(7)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
(10)上記粗面化処理が、硝酸を含有する電解液中でアノード反応における電気量の総和が65〜500C/dm2となる第一の電気化学的粗面化処理、上記平版印刷版用アルミニウム合金板の表面の溶解量が0.1g/m2以上となる第一のアルカリエッチング処理、塩酸を含有する電解液中でアノード反応における電気量の総和が25〜100C/dm2となる第二の電気化学的粗面化処理、および、上記平版印刷版用アルミニウム合金板の表面の溶解量が0.03g/m2以上となる第二のアルカリエッチング処理を含む上記(3)に記載の平版印刷版用支持体。
(11)上記(3)〜(10)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。
以下に説明するように、本発明によれば、外観欠陥がなく均一な電解粗面化面を有する平版印刷版用支持体を得ることができ、かつ、耐刷性および耐汚れ性に優れた平版印刷版を得ることができる平版印刷版用アルミニウム合金板ならびにそれを用いた平版印刷版用支持体および平版印刷版原版を提供するこができる。
また、本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板は、従来法に比べて製造工程を簡素化することができ、製造コストおよび製造時間の低減も図れるため非常に有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[平版印刷版用支持体]
<アルミニウム合金板(圧延アルミ)>
本発明の平版印刷版用支持体には、以下で説明する本発明の平版印刷版用アルミニウム合金板(以下、「本発明のアルミニウム合金板」という。)が用いられる。アルミニウム合金における必須の合金成分は、Al、FeおよびSiであり、不純物としてCuを含有してもよい。
Siは、原材料であるAl地金に不可避不純物として0.03〜0.1質量%前後含有される元素であり、原材料差によるばらつきを防ぐため、意図的に微量添加されることがおおい。Siは、アルミニウム中に固溶した状態で、または、金属間化合物もしくは単独の析出物として存在する。
Siは、電解粗面化処理に影響を与えることが知られている。
そのため、本発明者らは、特に固溶量に注目し、連続鋳造で製造したアルミニウム合金板に電解粗面化処理を施す際にSiの固溶量をある範囲に保つことが、電解粗面化処理の安定性に優れた効果を示すことを見出した。
本発明においては、Siの含有量は0.10〜0.20質量%であり、Siの固溶量は200〜600ppmである。
Siの含有量および固溶量がこの範囲であると、電解粗面化処理の均一性を損なわなず、また、電解粗面化処理後に陽極酸化処理を施したときであっても、陽極酸化皮膜に欠陥が生じ難くなり、平版印刷版としての保水性および耐汚れ性も良好となる。
また、本発明においては、Siの固溶量は、電解粗面化処理の安定性がより向上する観点から、250〜500ppmであるのが好ましく、300〜480ppmであるのがより好ましい。同様に、Siの含有量は、0.10〜0.18質量%であるのが好ましく、0.11〜0.15質量%であるのがより好ましい。
Feは、アルミニウム中に固溶する量は少なく、ほとんどが金属間化合物として残存する。
Feは、アルミニウム合金の機械的強度を高める作用があり、平版印刷版用支持体の強度に大きな影響を与える。Feの含有量が少なすぎると、機械的強度が低すぎて、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際に、版切れを起こしやすくなる。また、高速で大部数の印刷を行う際にも、同様に版切れを起こしやすくなる。一方、Feの含有量が多すぎると、必要以上に高強度となり、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際に、フィットネス性に劣り、印刷中に版切れを起こしやすくなる。例えば、Feの含有量が、1.0質量%より多くなると圧延途中に割れが生じやすくなる。
また、Feの含有量も電解粗面化処理に影響を与えることが知られている。
そのため、本発明者らは、特に固溶量に注目し、連続鋳造で製造したアルミニウム合金板に電解粗面化処理を施す際に、Siの固溶量をある範囲に保つことに加え、Feの固溶量をある値以下に保つことが、電解粗面化処理の安定性により優れた効果を示すことを見出した。
本発明においては、Feの含有量が0.10〜0.40質量%であり、Feの固溶量が250ppm以下である。
Feの含有量および固溶量がこの範囲であると、機械的強度が高くなり、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際の版切れを防止でき、また、高速で大部数の印刷を行う際にも同様に版切れを防止することができる。
また、Feの含有量および固溶量がこの範囲であると、必要以上に高強度とならず、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際のフィットネス性に優れ、印刷中の版切れを防止できる。
また、本発明においては、Feの固溶量は、電解粗面化処理の安定性がより向上する観点から、200ppm以下であるのが好ましい。同様に、Feの含有量は、0.12〜0.39質量%であるのが好ましく、0.15〜0.37質量%であるのがより好ましい。
Cuは、電解粗面化処理を制御するうえで重要な元素である。Cuは非常に固溶しやすい元素で、一部が金属間化合物になる。電解粗面化の均一性に好ましいので0.001質量%以上含有することが望ましい。
Cu含有量が0.020質量%超であると、硝酸液中での電解粗面化処理により生成するピットの径が大きくなりすぎるとともに径の均一性が低下するため、特に耐汚れ性に劣る。
また、本発明者らは、Cu含有量をこの範囲にすることで、塩酸液中で電解粗面化処理により生成する直径0.5μm以下のピットを均一にでき、かつ、電解粗面化面の表面積の増加割合を最大にできることを見出した。表面積の増加割合を大きくすることにより画像記録層との接触面積を大きくできるため、これらの密着力が向上し、耐刷性および耐クリーナ耐刷性に優れたものとなる。また平版印刷版としたときの耐汚れ性が優れたものとなる。
本発明においては、上記観点から、Cuの含有量は、0.020質量%以下であるのが好ましく、0.001〜0.015質量%であるのがより好ましい。
また、Cuの固溶量は、100ppm以下であるのが好ましい。
結晶粒微細化元素は、鋳造時の割れ発生防止のために適宜添加してよい。そのために、例えばTiは0.05質量%以下の範囲で、Bは0.02質量%以下の範囲で添加できる。
アルミニウム合金板の残部は、Alと不可避不純物からなる。
この不可避不純物としては、例えば、Mg、Mn、Zn、Cr、Zr,V,Zn,Be等が挙げられ、これらはそれぞれ0.05質量%以下含まれていてもよい。
また、不可避不純物の大部分は、Al地金中に含有される。不可避不純物は、例えば、Al純度99.5%の地金に含有されるものであれば、本発明の効果を損なわない。
不可避不純物については、例えば、L.F.Mondolfo著「Aluminum Alloys:Structure and properties」(1976年)等に記載されている量の不純物が含有されていてもよい。
本発明者は、上述したように、SiおよびFeを特定量含有するアルミニウム合金素板を連続鋳造圧延材とし、SiおよびFeの固溶量を特定の値にすることにより、電解粗面化処理の安定性が向上し、電解粗面化面の均一性を高めることができることを見出した。
これにより、本発明においては、外観欠陥がなく均一な電解粗面化面を有する平版印刷版用支持体を得ることができ、かつ、耐刷性および耐汚れ性に優れた平版印刷版を得ることができるのである。
一方、これらの固溶量が上限値を越えると、電解粗面化面に直径10μmを越えるような大ピットが形成し易くなり、平版印刷版としての保水性を損ない、耐汚れ性および耐刷性が劣化する。
また、これらの固溶量が下限値を下回ると、電解粗面化面にピットが十分に形成されず、アルミニウム合金板のわずかな故障(例えば、アルミ結晶の大きさの不均一部分、凹凸等)が顕著に可視化され、粗面化処理された電解粗面化面の外観も不均一になり、平版印刷版としての耐刷性も劣化する。
また、本発明者は、熱処理温度および時間を適正値とすることにより、アルミニウム合金板のFおよびSiの固溶量を適正値とすることができることを見出した。
本発明においては、電解粗面化した平版印刷版用支持体に適したアルミニウム合金板を得るために、連続鋳造圧延法を用い、特定の化学組成およびSiの固溶量を特定値とするのが好ましい。
本発明のアルミニウム合金板は、アルミニウム合金溶湯を溶湯供給ノズルを介して一対の冷却ローラの間に供給し、該一対の冷却ローラによって該アルミニウム合金溶湯を凝固させつつ圧延を行う連続鋳造により得られる。
連続鋳造による圧延は、鋳造材表面の凝固速度が大きいので晶出物が微細均一であり、DC鋳造法で必要とする鋳塊の均質化熱処理が不要であり、長時間の処理を施されないことから品質が安定しているため、平版印刷版用支持体用の素板として適切である。
具体的には、以下の方法が好適に例示される。
まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、必要に応じて清浄化処理を施すことができる。
清浄化処理としては、例えば、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するための脱ガス処理(例えば、アルゴンガス、塩素ガス等を用いたフラックス処理等);セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタなどのいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボールなどをろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタなどを用いるフィルタリング処理;このような脱ガス処理とフィルタリング処理とを組み合わせた処理;等が挙げられる。
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好ましい。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57432号、特開平3−162530号、特開平5−140659号、特開平4−231425号、特開平4−276031号、特開平5−311261号、特開平6−136466号の各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、実開平5−49148号公報等に記載されている。本願出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯の脱ガスに関する技術を提案している。
次いで、必要に応じて清浄化処理を施した溶湯を用いて、連続鋳造を施す。
連続鋳造は、アルミニウム合金溶湯を溶湯供給ノズルを介して一対の冷却ローラの間に供給し、該一対の冷却ローラによって該アルミニウム合金溶湯を凝固させつつ圧延を行う工程であり、双ロール法(ハンター法)、3C法に代表される冷却ロールを用いる方法、双ベルト法(ハズレー法)、アルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルトや冷却ブロックを用いる方法等により施すことができる。
連続鋳造法は、一般的には、DC鋳造法に比べて冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対する合金成分固溶度を高くすることができるという特徴を有する。また、冷却速度が100〜1000℃/秒の範囲で凝固する。
連続鋳造法に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開平3−79798号、特開平5−201166号、特開平5−156414号、特開平6−262203号、特開平6−122949号、特開平6−210406号、特開平6−26308号の各公報等に記載されている。
連続鋳造においては、例えば、ハンター法等の冷却ロールを用いる方法を用いると、板厚1〜10mmの鋳造板を直接、連続鋳造することができ、熱間圧延の工程を省略することができるというメリットが得られる。
また、ハズレー法等の冷却ベルトを用いる方法を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板を鋳造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得られる。
連続鋳造後、得られたアルミニウム合金板は、必要に応じて施す冷間圧延工程等を経て、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmの板厚に仕上げられる。
また、冷間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を施してもよい。この中間焼鈍の条件は、具体的には、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱する条件;連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱する条件;等が好適に例示される。
冷間圧延および中間焼鈍の条件については、本願出願人によって提案された技術として、特開平6−220593号、特開平6−210308号、特開平7−54111号、特開平8−92709号の各公報等に記載されている。
更に、連続焼鈍炉を用いて10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
以上の工程によって、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム合金板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、アルミニウム合金板をシート状にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で行うことが好ましい。
また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通してもよい。
更に、アルミニウム合金板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム合金板の表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。
本発明のアルミニウム合金板は、JISに規定されるH18の調質が行われているのが好ましい。中間焼鈍を省略する場合はH19の調質にするのが好ましい。
本発明においては、Si等の合金元素の固溶量を所定値に調整することが容易となる観点から、中間焼鈍または最終冷間圧延の後に熱処理を施すのが好ましい。
具体的には、本発明においては、Siの固溶量を200〜600ppmとし、Feの固溶量を250ppm以下とし、好ましくはCu固溶量を100ppm以下とする。
熱処理の温度は、300℃以上であるのが好ましく、600℃以下であるのが好ましい。熱処理の時間は、5時間以上であるのが好ましく、36時間以下であるのが好ましい。
また、熱処理の条件は、最終の所望板厚における適当な機械的強度を考慮して設定することが望ましい。また、熱処理前に冷間圧延により与えられる歪みが大きい場合ほど、例えばFeの固溶量が低下すること等を考慮して設定することが望ましい。
更に、熱処理はバッチ式の熱処理炉で行うことができる。この場合のコイルの加熱速度は100℃/時間以下である。所定温度における保持時間は所定温度によって異なるが、低温では長く高温では短い。
冷間圧延途中または最終冷間圧延後に適正な条件で熱処理が行われないときは、電解粗面化面のピットの大きさが均一ではなく、保水性を損ないインキ汚れを起こし印刷での耐刷性が劣る。
このような熱処理することによって、SiおよびFeならびにCuの固溶量を所望の値とすることができ、外観欠陥がなく均一な電解粗面化面を有する平版印刷版用支持体を得ることができる平版印刷版用アルミニウム合金板を容易に製造することができる。
<粗面化処理>
本発明の平版印刷版用支持体は、上述した連続鋳造工程ならびに所望により行われる各種工程(例えば、中間焼鈍工程、冷間圧延工程等)を経て得られるアルミニウム合金板の表面に、粗面化処理を施して得られるものである。
粗面化処理としては、一般に、機械的粗面化処理、化学的粗面化処理および電気化学的粗面化処理のうちの1種または2種以上の組み合わせが用いられる。
本発明においては、粗面化処理として、少なくとも電解粗面化処理を施し、電解粗面化処理の前にアルカリエッチング処理(第1アルカリエッチング処理)を施すのが好ましく、電解粗面化処理の後にアルカリエッチング処理(第2アルカリエッチング処理)を施すのが好ましい。
粗面化処理としては、電気化学的粗面化処理を2回行い、それらの間にアルカリ水溶液中でのエッチング処理を行うのが好ましく、具体的には、アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第1アルカリエッチング処理)、酸性水溶液中でのデスマット処理(第1デスマット処理)、硝酸または塩酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理(第1電解粗面化処理)、アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第2アルカリエッチング処理)、酸性水溶液中でのデスマット処理(第2デスマット処理)、塩酸を含有する水溶液中での電気化学的粗面化処理(第2電解粗面化処理)、アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第3アルカリエッチング処理)および酸性水溶液中でのデスマット処理(第3デスマット処理)、陽極酸化処理をこの順に施す処理が好適に例示される。
また、上記アルカリエッチング処理(第1アルカリエッチング処理)の前に、機械的粗面化処理を施すのが好ましい。
更に、上記陽極酸化処理の後に、更に封孔処理および親水化処理を施すのも好ましい。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法においては、上記以外の各種の工程を含んでいてもよい。
以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
<機械的粗面化処理>
本発明においては、アルミニウム合金板の表面の中心平均表面粗さを0.35〜1.0μmとする目的で行われる機械的粗面化処理を施すのが好ましい。
以下、機械的粗面化処理として好適に用いられるブラシグレイン法について説明する。
ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム合金板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。
上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。
ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kg/cm2、より好ましくは15,000〜35,000kg/cm2であり、かつ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
本発明では、ナイロンブラシは複数本用いるのが好ましく、具体的には、3本以上がより好ましく、4本以上が特に好ましい。ブラシの本数を調整することにより、アルミニウム合金板表面に形成される凹部の波長成分を調整できる。
また、ブラシを回転させる駆動モータの負荷は、ブラシローラをアルミニウム合金板に押さえつける前の負荷に対して1kWプラス以上が好ましく、2kWプラス以上がより好ましく、8kWプラス以上が特に好ましい。該負荷を調整することにより、アルミニウム合金板表面に形成される凹部の深さを調整することができる。ブラシの回転数は、100回転以上が好ましく、200回転以上が特に好ましい。
研磨剤は公知の物を用いることができる。例えば、パミストン(パミスストーン)、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくいので粗面化効率に優れる。また、水酸化アルミニウムは過度の荷重がかかると粒子が破損するため、局所的に深い凹部を生成させたくない場合に好適である。
研磨剤のメジアン径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、2〜100μmであるのが好ましく、20〜60μmであるのがより好ましい。研磨剤のメジアン径を調整することにより、アルミニウム合金板表面に形成される凹部の深さを調整することができる。
研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
ブラシと研磨剤とを用いて機械的粗面化処理を行う装置の詳細については、本願出願人によって、特開2002−211159号公報に記載されているものを用いることができる。
ブラシグレイン法以外の機械的粗面化処理としては、上述した冷間圧延の最後に転写によって表面に凹凸を形成する処理等が挙げられ、本発明においては、ブラシグレイン法に代えて、またはブラシグレイン法とともに施すことができる。
<第1アルカリエッチング処理>
第1アルカリエッチング処理は、アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
電解粗面化処理(第1電解粗面化処理)の前に行われる第1アルカリエッチング処理は、機械的粗面化を行った場合は、その凹凸形状をなめらかにすること、電解粗面化処理(第1電解粗面化処理)で均一な凹部を形成させること、および、機械的粗面化を行わない場合には、アルミニウム合金板の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として行われる。
第1アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.1g/m2以上であるのが好ましく、0.5g/m2以上であるのがより好ましく、1g/m2以上であるのが更に好ましく、また、12g/m2以下であるのが好ましく、10g/m2以下であるのがより好ましく、8g/m2以下であるのが更に好ましい。エッチング量の下限が上記範囲にあると、電解粗面化処理(第1電解粗面化処理)において均一なピットを生成でき、更に処理ムラの発生を防止できる。エッチング量の上限が上記範囲にあると、アルカリ水溶液の使用量が少なくなり、経済的に有利となる。
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、メタケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第一リン酸ソーダ、第一リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
第1アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の濃度は、30g/L以上であるのが好ましく、300g/L以上であるのがより好ましく、また、500g/L以下であるのが好ましく、450g/L以下であるのがより好ましい。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、50g/L以上であるのがより好ましく、また、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
第1アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、30℃以上であるのが好ましく、50℃以上であるのがより好ましく、また、80℃以下であるのが好ましく、75℃以下であるのがより好ましい。
第1アルカリエッチング処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また、30秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
アルミニウム合金板を連続的にエッチング処理していくと、アルカリ溶液中のアルミニウムイオン濃度が上昇していき、アルミニウム合金板のエッチング量が変動する。そこで、エッチング液の組成管理を、以下のようにして行うのが好ましい。
即ち、カセイソーダ濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるようにカセイソーダと水とを添加する。そして、カセイソーダと水とを添加することによって増加したエッチング液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加するカセイソーダとしては、工業用の40〜60質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
中でも、アルカリ溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
アルカリエッチング処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いて水洗し、更に、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。
自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置は、水を貯留する貯水タンクと、貯水タンクに水を供給する給水筒と、貯水タンクから自由落下カーテン状の液膜をアルミニウム合金板に供給する整流部とを有する。
この装置においては、給水タンクに給水筒から水が供給され、水が給水タンクからオーバーフローする際に、整流部により整流され、自由落下カーテン状の液膜がアルミニウム板に供給される。この装置を用いる場合、液量は10〜100L/minであるのが好ましい。また、整流部とアルミニウムとの間で水が自由落下カーテン状の液膜として存在する距離Lは、20〜50mmであるのが好ましい。また、アルミニウム板の角度αは、水平方向に対して30〜80°であるのが好ましい。
自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する装置を用いると、アルミニウム合金板に均一に水洗処理を施すことができるので、水洗処理の前に行われた処理の均一性を向上させることができる。自由落下カーテン状の液膜により水洗処理する具体的な装置としては、例えば、特開2003−96584号公報に記載されている装置が好適に挙げられる。
また、水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は0.5〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
<第1デスマット処理>
第1アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(第1デスマット処理)を行うのが好ましい。デスマット処理は、アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させることにより行う。
用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。
なお、第1アルカリエッチング処理の後に行われる第1デスマット処理においては、電解粗面化処理(第1電解粗面化処理)として引き続き硝酸電解が行われる場合には、硝酸電解に用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いるのが好ましい。
デスマット処理液の組成管理においては、酸性溶液濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と温度で管理する方法、電導度と比重と温度とで管理する方法、および、電導度と超音波の伝搬速度と温度とで管理する方法のいずれかを選択して用いることができる。
第1デスマット処理においては、1〜400g/Lの酸および0.1〜5g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
酸性溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、70℃以下であるのが好ましく、60℃以下であるのがより好ましい。
第1デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、40秒以下であるのがより好ましい。
アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム合金板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム合金板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
中でも、酸性溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きかける方法が好ましい。具体的には、φ2〜5mmの孔を10〜50mmピッチで有するスプレー管から、スプレー管1本あたり、10〜100L/minの量でエッチング液を吹き付ける方法が好ましい。スプレー管は複数本設けるのが好ましい。
デスマット処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、アルカリエッチング処理の後の水洗処理と同様である。ただし、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。
なお、第1デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる硝酸電解に用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を行わず、アルミニウム合金板の表面が乾かないように、必要に応じて適宜デスマット処理液をスプレーしながら、硝酸電解工程までアルミニウム板をハンドリングするのが好ましい。
<第1電解粗面化処理>
第1電解粗面化処理は、硝酸または塩酸を含有する水溶液中での電解粗面化処理である。
本発明においては、第1電解粗面化処理は、硝酸を含有する電解液中で、台形波形の交流電流を用いる処理であるのが電解粗面化面のラチチュードが拡大する理由から好ましく、塩酸を含有する電解液中で、正弦波形の交流電流を用いる処理であるのが電解粗面化面の表面形状の制御しやすい理由から好ましい。
なお、第1電解粗面化処理のアルミニウム板表面の平均粗さRaは、0.2〜1.0μmであるのが好ましい。
(硝酸を含有する水溶液中での電解粗面化処理(硝酸電解))
硝酸電解により、好適な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができる。本発明において、アルミニウム板がCuを比較的多量に含有している場合には、硝酸電解において、比較的大きく、かつ、均一な凹部が形成される。その結果、本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版は、耐刷性が優れたものになる。
硝酸を含有する水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、濃度1〜100g/Lの硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。
また、硝酸を含有する水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。
具体的には、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水溶液に、硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を3〜7g/Lとなるように調整した液が好ましい。
硝酸を含有する水溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、また、55℃以下であるのが好ましい。
硝酸電解により、平均開口径1〜10μmのピットを形成することができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、10μmを超えるハニカムピットも生成する。
このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、150C/dm2以上であるのが好ましく、170C/dm2以上であるのがより好ましく、また、600C/dm2以下であるのが好ましく、500C/dm2以下であるのがより好ましい。
この際の電流密度は、電流のピーク値で5A/dm2以上であるのが好ましく、20〜100A/dm2であるのがより好ましい。
(塩酸を含有する水溶液中での電解粗面化処理(塩酸電解))
塩酸を含有する水溶液は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、1〜30g/L、好ましくは2〜10g/Lの塩酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化合物の1つ以上を1g/L〜飽和まで添加して使用することができる。
また、塩酸を含有する水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。さらに、上記した銅と錯体を形成する化合物を1〜200g/Lの割合で添加することもできる。
更に、塩酸を含有する水溶液は、塩酸を2〜10g/L含有する水溶液に、アルミニウム塩(塩化アルミニウム、AlCl3・6H2O)を添加してアルミニウムイオン濃度を3〜7g/L、好ましくは4〜6g/Lにした水溶液であることが特に好ましい。
このような塩酸水溶液を用いて電解粗面化処理を行うと、電解粗面化面がより均一になり、また、低純度のアルミニウム合金板を使用しても、高純度のアルミニウム合金板を使用しても、処理ムラが発生せず、平版印刷版としたときにより優れた耐刷性および耐汚れ性を両立できる。
塩酸を含有する水溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、55℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
塩酸を含有する水溶液への添加物、装置、電源、電流密度、流速、温度としては公知の電気化学的な粗面化に使用するものが用いることができる。電気化学的な粗面化に用いる電源は交流または直流が用いられるが、交流が特に好ましい。
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電流を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径(ピットの径)が0.01〜1.5μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。
また、電気量を増やしていく(電気量の総和(アノード反応)が150〜2000C/dm2)と、平均開口径0.01〜0.4μmのピットを表面に有する平均開口径1〜30μmのピットが生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、10C/dm2以上であるのが好ましく、50C/dm2以上であるのがより好ましく、さらには100C/dm2以上であるのが好ましい。また、2000C/dm2以下であるのが好ましく、600C/dm2以下であるのがより好ましい。
塩酸電解においては、電流密度は、電流のピーク値で5A/dm2以上であるのが好ましく、20〜100A/dm2であるのがより好ましい。
上記大電気量でアルミニウム板を塩酸電解すると、大きなうねりと微細な凹凸を同時に形成させることができ、後述する第二アルカリエッチング処理により該大きなうねりをより均一にすることで、耐汚れ性を向上させることができる。
第1電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094号の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4,203,637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。
また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
アルミニウム合金板を連続的に電解粗面化処理していくと、アルカリ溶液中のアルミニウムイオン濃度が上昇していき、第1電解粗面化処理により形成されるアルミニウム合金板の凹凸の形状が変動する。そこで、硝酸電解液または塩酸電解液の組成管理を、以下のようにして行うのが好ましい。
即ち、硝酸濃度または塩酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度とのマトリクス、または、電導度と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスをあらかじめ作成しておき、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度によって液組成を測定し、液組成の制御目標値になるように硝酸または塩酸と水とを添加する。そして、硝酸または塩酸と水とを添加することによって増加した電解液を、循環タンクからオーバーフローさせることにより、その液量を一定に保つ。添加する硝酸としては、工業用の30〜70質量%のものを用いることができる。添加する塩酸としては、工業用の30〜40質量%のものを用いることができる。
電導度計および比重計としては、それぞれ温度補償されているものを用いるのが好ましい。比重計としては、差圧式のものを用いるのが好ましい。
液組成の測定に用いるために電解液から採取されたサンプルは、電解液とは別の熱交換機を用いて、一定温度(例えば、40±0.5℃)に制御した後に、測定に用いるのが、測定の精度が高くなる点で好ましい。
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、サイン波(sin波、正弦波)、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、サイン波、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。第一塩酸電解の場合には、平均直径1μm以上のピットが均一に生成しやすくなる点でサイン波が特に好ましい。サイン波とは、図4に示したものをいう。
台形波とは、図1に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は0.5〜3msecであるのが好ましい。TPが3msecを超えると、特に硝酸を含有する水溶液を用いると、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ性が低下する傾向にある。
交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。
交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。
図2は、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図2に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図2において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
また、直流を用いた電気化学的粗面化処理には、通常の直流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。具体的には、上記交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液と同様のものを用いることができる。
電気化学的粗面化処理に用いられる直流電源波は、極性の変化しない電流であれば特に限定されず、くし形波、連続直流、商用交流をサイリスタで全波整流したもの等が用いられるが、平滑化された連続直流が好ましい。
直流を用いた電気化学的粗面化処理は、回分法、半連続法および連続法のいずれでも行うことができるが、連続法で行うのが好ましい。
直流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる装置は、交互に配置された陽極と陰極との間に直流電圧を印加し、アルミニウム板を該陽極および該陰極と、間隔を保って通過させることができるものであれば、特に限定されない。
電極は、特に限定されず、電気化学的粗面化処理に用いられる従来公知の電極を用いることができる。
陽極としては、例えば、チタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属に白金族系の金属をめっきし、またはクラッドしたもの;バルブ金属に白金族系の金属の酸化物を塗布し、または焼結させたもの;アルミニウム;ステンレスが挙げられる。中でも、バルブ金属に白金をクラッドしたものが好ましい。電極の内部に水を通して水冷化するなどの方法により、陽極の寿命を更に長くすることができる。
陰極としては、例えば、ブールベイダイヤグラムから、電極電位を負としたときに溶解しない金属等を選択して用いることができる。中でも、カーボンが好ましい。
電極の配列は、波状構造に応じて、適宜選択することができる。また、陽極と陰極とのアルミニウム板の進行方向の長さを変えたり、アルミニウム板の通過速度を変えたり、電解液の流速、液温、液組成、電流密度等を変えることにより、波状構造を調整することができる。また、陽極の槽と陰極の槽とを別個の電解槽とした装置を用いる場合には、各処理槽の電解条件を変えることもできる。
第1電解粗面化処理が終了した後は、ニップローラで液切りし、更に、1〜10秒間水洗処理を行った後、ニップローラで液切りするのが好ましい。
水洗処理は、スプレー管を用いて水洗するのが好ましい。水洗処理に用いられるスプレー管としては、例えば、扇状に噴射水が広がるスプレーチップをアルミニウム板の幅方向に複数個有するスプレー管を用いることができる。スプレーチップの間隔は20〜100mmであるのが好ましく、また、スプレーチップ1本あたりの液量は1〜20L/minであるのが好ましい。スプレー管は複数本用いるのが好ましい。
<第2アルカリエッチング処理>
第1電解粗面化処理と第2電解粗面化処理との間に行われる第2アルカリエッチング処理は、第1電解粗面化処理で生成したスマットを溶解させること、および、第1電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
これにより、第1電解粗面化処理によって形成された大きなピットのエッジ部分が溶解して表面が滑らかになり、インキを該エッジ部分にひっかかりにくくするため、耐汚れ性に優れる平版印刷版を得ることができる。
第2アルカリエッチング処理は、基本的に第1アルカリエッチング処理と同様であるので、異なる点のみ以下に説明する。
第2アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.05g/m2以上であるのが好ましく、0.1g/m2以上であるのがより好ましく、また、4g/m2以下であるのが好ましく、3.5g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が0.05g/m2以上であると、平版印刷版の非画像部において、第1電解粗面化処理で生成したピットのエッジ部分が滑らかとなり、インキがひっかかりにくくなるため、耐汚れ性が優れる。一方、エッチング量が4g/m2以下であると、第1電解粗面化処理で生成した凹凸が大きくなるため、耐刷性が優れる。
第2アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の濃度は、30g/L以上であるのが好ましく、300g/L以上であるのがより好ましく、また、500g/L以下であるのが好ましく、450g/L以下であるのがより好ましい。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、50g/L以上であるのがより好ましく、また、200g/L以下であるのが好ましく、150g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
<第2デスマット処理>
第2アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去する
ために酸洗い(第2デスマット処理)を行うのが好ましい。第2デスマット処理は、第一デスマット処理と同様の方法で行うことができる。
第2デスマット処理においては、硝酸または硫酸を用いるのが好ましい。
第2デスマット処理においては、1〜400g/Lの酸および0.1〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。
硫酸を用いる場合は、具体的には、硫酸濃度100〜350g/Lの硫酸水溶液に、硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を0.1〜5g/Lとなるように調整した液を用いることができる。また、後述する陽極酸化処理に用いられる電解液のオーバーフロー廃液を用いこともできる。
第2デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、20秒以下であるのがより好ましい。
第2デスマット処理においては、酸水溶液の温度は、20℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、70℃以下であるのが好ましく、60℃以下であるのがより好ましい。
<第2電解粗面化処理(第2塩酸電解)>
第2電解粗面化処理は、塩酸を含有する水溶液中での交流または直流を用いた電気化学的粗面化処理である。
本発明においては、上述した第1電解粗面化処理だけでもよいが、この第2電解粗面化処理を組み合わせることにより、さらに複雑な凹凸構造をアルミニウム板の表面に形成させることができ、ひいては、耐刷性を優れたものにすることができる。
第2電解粗面化処理は、上記第1電解粗面化処理において説明した塩酸電解と基本的に同様である。
第2電解粗面化処理における塩酸を含有する水溶液中での電気化学的な粗面化でアルミニウム板が陽極反応にあずかる電気量の総和は、電気化学的な粗面化処理が終了した時点で、10〜200C/dm2の範囲から選択でき、第1電解粗面化処理で形成した粗面を大きくくずさないためには、10〜100C/dm2が好ましく、50〜80C/dm2が特に好ましい。
<第1アルカリエッチング処理−第1電解粗面化処理(硝酸電解)−第2アルカリエッチング処理−第2電解粗面化処理(第2塩酸電解)>
上記処理を組み合わせて行う場合は、硝酸を含有する電解液中でアノード反応における電気量の総和が65〜500C/dm2となる硝酸電解、溶解量が0.1g/m2以上となるアルカリエッチング処理、塩酸を含有する電解液中でアノード反応における電気量の総和が25〜100C/dm2となる第2塩酸電解、および、溶解量が0.03g/m2以上となるアルカリエッチング処理をこの順で施すのが好ましい。
この組み合わせで粗面化処理すれば、耐汚れ性および耐刷性がより優れた平版印刷版を得ることができる平版印刷版用支持体が得られる。
<第3アルカリエッチング処理>
第2電解粗面化処理の後に行われる第3アルカリエッチング処理は、第2電解粗面化処理で生成したスマットを溶解させること、および、第2電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。第3アルカリエッチング処理は、基本的に第1アルカリエッチング処理と同様であるので、異なる点のみ以下に説明する。
第3アルカリエッチング処理においては、エッチング量は、0.05g/m2以上であるのが好ましく、0.1g/m2以上であるのがより好ましく、また、0.3g/m2以下であるのが好ましく、0.25g/m2以下であるのがより好ましい。エッチング量が0.05g/m2以上であると、平版印刷版の非画像部において、第二塩酸電解で生成したピットのエッジ部分が滑らかとなり、インキがひっかかりにくくなるため、耐汚れ性が優れる。一方、エッチング量が0.3g/m2以下であると、第1電解粗面化処理および第2電解粗面化処理で生成した凹凸が大きくなるため、耐刷性が優れる。
第3アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の濃度は、30g/L以上であるのが好ましく、また、前段の塩酸交流電解によって生じた凹凸を小さくしすぎないようにするため、100g/L以下であるのが好ましく、70g/L以下であるのがより好ましい。
また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオンを含有しているのが好ましい。アルミニウムイオン濃度は、1g/L以上であるのが好ましく、3g/L以上であるのがより好ましく、また、50g/L以下であるのが好ましく、8g/L以下であるのがより好ましい。このようなアルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイソーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて調製することができる。
第3アルカリエッチング処理においては、アルカリ溶液の温度は、25℃以上であるのが好ましく、30℃以上であるのがより好ましく、また、60℃以下であるのが好ましく、50℃以下であるのがより好ましい。
第3アルカリエッチング処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また、30秒以下であるのが好ましく、10秒以下であるのがより好ましい。
<第3デスマット処理>
第3アルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(第3デスマット処理)を行うのが好ましい。第3デスマット処理は、基本的に第1デスマット処理と同様であるので、異なる点のみ以下に説明する。
第3デスマット処理においては、5〜400g/Lの酸および0.5〜8g/Lのアルミニウムイオンを含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。硫酸を用いる場合は、具体的には、硫酸濃度100〜350g/Lの硫酸水溶液に、硫酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を1〜5g/Lとなるように調整した液が好ましい。
第3デスマット処理においては、処理時間は、1秒以上であるのが好ましく、4秒以上であるのがより好ましく、また、60秒以下であるのが好ましく、15秒以下であるのがより好ましい。
第3デスマット処理において、デスマット処理液として、引き続き行われる陽極酸化処理に用いられる電解液と同じ種類の液を用いる場合には、デスマット処理後にニップローラによる液切りおよび水洗処理を省略することができる。
<陽極酸化処理>
以上のように処理されたアルミニウム合金板には、陽極酸化処理を施すのが好ましい。
陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
この際、少なくともアルミニウム板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第二、第三の成分が添加されていても構わない。ここでいう第二、第三の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間15秒〜50分であるのが適当であり、所望の陽極酸化皮膜量となるように調整される。
また、特開昭54−81133号、特開昭57−47894号、特開昭57−51289号、特開昭57−51290号、特開昭57−54300号、特開昭57−136596号、特開昭58−107498号、特開昭60−200256号、特開昭62−136596号、特開昭63−176494号、特開平4−176897号、特開平4−280997号、特開平6−207299号、特開平5−24377号、特開平5−32083号、特開平5−125597号、特開平5−195291号の各公報等に記載されている方法を使用することもできる。
中でも、特開昭54−12853号公報および特開昭48−45303号公報に記載されているように、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質量%)であるのが好ましく、50〜200g/L(5〜20質量%)であるのがより好ましく、また、アルミニウムイオン濃度は、1〜25g/L(0.1〜2.5質量%)であるのが好ましく、2〜10g/L(0.2〜1質量%)であるのがより好ましい。このような電解液は、例えば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸に硫酸アルミニウム等を添加することにより調製することができる。
電解液の組成管理は、上述した硝酸電解等の場合と同様の方法を用いて、硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対応する、電導度と比重と温度、または、電導度と超音波伝搬速度と温度により管理するのが好ましい。
電解液の液温は、25〜55℃であるのが好ましく、30〜50であるのがより好ましい。
硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板と対極との間に直流を印加してもよく、交流を印加してもよい。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」(皮膜が周囲より厚くなる部分)が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
具体的には、直流電源の電流配分を、下流側の直流電源の電流が上流側の直流電源の電流以上にするのが好ましい。このような電流配分とすることにより、いわゆる焼けが生じにくくなり、その結果、高速での陽極酸化処理が可能となる。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2程度である。
陽極酸化皮膜の量は1〜5g/m2であるのが好ましい。1g/m2未満であると版に傷が入りやすくなり、一方、5g/m2を超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜4g/m2であるのがより好ましい。また、アルミニウム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m2以下になるように行うのが好ましい。
陽極酸化処理に用いられる電解装置としては、特開昭48−26638号、特開昭47−18739号、特公昭58−24517号、特開2001−11698号の各公報等に記載されているものを用いることができる。
中でも、図3に示す装置が好適に用いられる。図3は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。
図3に示される陽極酸化処理装置410では、アルミニウム板416に電解液を経由して通電するために、アルミニウム板416の進行方向の上流側に給電槽412、下流側に陽極酸化処理槽414を設置してある。アルミニウム板416は、パスローラ422および428により、図3中矢印で示すように搬送される。アルミニウム板416が最初に導入される給電槽412においては、直流電源434の正極に接続された陽極420が設置されており、アルミニウム板416は陰極となる。したがって、アルミニウム板416においてはカソード反応が起こる。
アルミニウム板416が引き続き導入される陽極酸化処理槽414においては、直流電源434の負極に接続された陰極430が設置されており、アルミニウム板416は陽極となる。したがって、アルミニウム板416においてはアノード反応が起こり、アルミニウム板416の表面に陽極酸化皮膜が形成される。
アルミニウム板416と陰極430の間隔は50〜200mmであるのが好ましい。陰極430としてはアルミニウムが用いられる。陰極430としては、アノード反応により発生する水素ガスが系から抜けやすくなるようにするために、広い面積を有する電極でなく、アルミニウム板416の進行方向に複数個に分割した電極であるのが好ましい。
給電槽412と陽極酸化処理槽414との間には、図3に示されるように、中間槽413と呼ばれる電解液が溜まらない槽を設けるのが好ましい。中間槽413を設けることにより、電流がアルミニウム板416を経由せず陽極420から陰極430にバイパスすることを抑止することができる。中間槽413にはニップローラ424を設置して液切りを行うことにより、バイパス電流を極力少なくするようにするのが好ましい。液切りにより出た電解液は、排液口442から陽極酸化処理装置410の外に排出される。
給電槽412に貯留される電解液418は、電圧ロスを少なくするために、陽極酸化処理槽414に貯留される電解液426よりも高温および/または高濃度とする。また、電解液418および426は、陽極酸化皮膜の形成効率、陽極酸化皮膜のマイクロポアの形状、陽極酸化皮膜の硬さ、電圧、電解液のコスト等から、組成、温度等が決定される。
給電槽412および陽極酸化処理槽414には、給液ノズル436および438から電解液を噴出させて給液する。電解液の分布を一定にし、陽極酸化処理槽414でのアルミニウム板416の局所的な電流集中を防ぐ目的で、給液ノズル436および438にはスリットが設けられ、噴出する液流を幅方向で一定にする構造となっている。
陽極酸化処理槽414においては、陽極430からみてアルミニウム板416を挟んだ反対側にはしゃへい板440が設けられ、電流がアルミニウム板416の陽極酸化皮膜を形成させたい面の反対側に流れるのを抑止する。アルミニウム板416としゃへい板440の間隔は5〜30mmであるのが好ましい。直流電源434は複数個用いて、正極側を共通に接続して用いるのが好ましい。これによって、陽極酸化処理槽414中の電流分布を制御することができる。
<封孔処理>
本発明においては、必要に応じて陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる封孔処理を行ってもよい。封孔処理は、沸騰水処理、熱水処理、蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等の公知の方法に従って行うことができる。例えば、特公昭56−12518号公報、特開平4−4194号公報、特開平5−202496号公報、特開平5−179482号公報等に記載されている装置および方法で封孔処理を行ってもよい。
<親水化処理>
陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、例えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載されているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理、米国特許第3,201,247号明細書に記載されているホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,559号に記載されているアルキルチタネート処理、独国特許第1,091,433号明細書に記載されているポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093号明細書および英国特許第1,230,447号明細書に記載されているポリビニルホスホン酸処理、特公昭44−6409号公報に記載されているホスホン酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載されているフィチン酸処理、特開昭58−16893号公報および特開昭58−18291号公報に記載されている親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩による処理、米国特許第3,860,426号明細書に記載されているように、水溶性金属塩(例えば、酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)の下塗層を設ける処理、特開昭59−101651号公報に記載されているスルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする処理が挙げられる。
また、特開昭62−019494号公報に記載されているリン酸塩、特開昭62−033692号公報に記載されている水溶性エポキシ化合物、特開昭62−097892号公報に記載されているリン酸変性デンプン、特開昭63−056498号公報に記載されているジアミン化合物、特開昭63−130391号公報に記載されているアミノ酸の無機または有機酸、特開昭63−145092号公報に記載されているカルボキシ基またはヒドロキシ基を含む有機ホスホン酸、特開昭63−165183号公報に記載されているアミノ基とホスホン酸基を有する化合物、特開平2−316290号公報に記載されている特定のカルボン酸誘導体、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平3−261592号公報に記載されている1個のアミノ基とリンの酸素酸基1個を持つ化合物、特開平3−215095号公報に記載されているリン酸エステル、特開平5−246171号公報に記載されているフェニルホスホン酸等の脂肪族または芳香族ホスホン酸、特開平1−307745号公報に記載されているチオサリチル酸のようなS原子を含む化合物、特開平4−282637号公報に記載されているリンの酸素酸のグループを持つ化合物等を用いた下塗りによる処理も挙げられる。
更に、特開昭60−64352号公報に記載されている酸性染料による着色を行うこともできる。
また、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗層を形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好ましい。
ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,181,461号明細書に記
載されている方法および手順に従って行うことができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を適当量含有してもよい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
アルカリ金属ケイ酸塩処理によって吸着するSi量は蛍光X線分析装置により測定することができ、その吸着量は約1.0〜15.0mg/m2 であるのが好ましい。
このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平版印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に対する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミニウム成分の現像液中への溶出が抑制されて、現像液の疲労に起因する現像カスの発生を低減することができる。
また、親水性の下塗層の形成による親水化処理は、特開昭59−101651号公報および特開昭60−149491号公報に記載されている条件および手順に従って行うこともできる。
この方法に用いられる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビニルスルホン酸、スルホ基を有するp−スチレンスルホン酸等のスルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH2基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ばれる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
<乾燥>
上述したようにして平版印刷版用支持体を得た後、画像記録層を設ける前に、平版印刷版用支持体の表面を乾燥させるのが好ましい。乾燥は、表面処理の最後の処理の後、水洗処理およびニップローラで液切りしてから行うのが好ましい。
乾燥温度は、70℃以上であるのが好ましく、80℃以上であるのがより好ましく、また、110℃以下であるのが好ましく、100℃以下であるのがより好ましい。
乾燥時間は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であるのがより好ましく、また20秒以下であるのが好ましく、15秒であるのがより好ましい。
<液組成の管理>
本発明においては、上述した表面処理に用いられる各種の処理液の組成を、特開2001−121837号公報に記載されている方法で管理するのが好ましい。あらかじめ、種々の濃度の多数の処理液サンプルを調製し、それぞれ二つの液温における超音波の伝搬速度を測定し、マトリクス状のデータテーブルを作成しておき、処理中に、液温および超音波の伝搬速度をリアルタイム測定し、それに基づいて濃度の制御を行うのが好ましい。特に、デスマット処理において、硫酸濃度250g/L以上の電解液を用いる場合においては、上述する方法により、濃度の制御を行うのが好ましい。
なお、電解粗面化処理および陽極酸化処理に用いられる各電解液は、Cu濃度が100ppm以下であるのが好ましい。Cu濃度が高すぎると、ラインを停止するとアルミニウム板上にCuが析出し、ラインを再度稼動した際に析出したCuがパスロールに転写されて、処理ムラの原因となる場合がある。
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版用支持体には、画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物が用いられる。
本発明に好適に用いられる感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に「無処理タイプ」という。)が挙げられる。以下、これらの好適な感光性組成物について説明する。
<サーマルポジタイプ>
<感光層>
サーマルポジタイプの感光性組成物は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、分子中に酸性基を含有する樹脂およびその2種以上の混合物が挙げられる。特に、フェノール性ヒドロキシ基、スルホンアミド基(−SO2 NH−R(式中、Rは炭化水素基を表す。))、活性イミノ基(−SO2NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CONHSO2 R(各式中、Rは上記と同様の意味である。))等の酸性基を有する樹脂がアルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノボラック樹脂が好適に挙げられる。
更に、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に記載されている一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
光熱変換物質としては、記録感度の点で、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好適に挙げられる。染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)が挙げられる。中でも、シアニン染料が好ましく、とりわけ特開2001−305722号公報に記載されている一般式(I)で表されるシアニン染料が好ましい。
サーマルポジタイプの感光性組成物中には、溶解阻止剤を含有させることができる。溶解阻止剤としては、例えば、特開2001−305722号公報の[0053]〜[0055]に記載されているような溶解阻止剤が好適に挙げられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]に記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
また、サーマルポジタイプの画像記録層は、単層に限らず、2層構造であってもよい。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
<中間層>
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
<その他>
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
<サーマルネガタイプ>
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。
光熱変換物質としては、例えば、上述したサーマルポジタイプに用いられる光熱変換物質が挙げられる。特に好ましいシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の[0017]〜[0019]に記載されているものが挙げられる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
サーマルネガタイプの感光性組成物中には、特開2001−133969号公報の[0061]〜[0068]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤)を含有させるのが好ましい。
重合層の製造方法および製版方法については、特開2001−133969号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
<酸架橋層>
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
光熱変換物質としては、重合層に用いられるのと同様のものが挙げられる。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
<フォトポリマータイプ>
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。
また、付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
光重合開始剤としては、種々の光重合開始剤または2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を、使用する光源の波長により適宜選択して用いることができる。例えば、特開2001−22079号公報の[0021]〜[0023]に記載されている開始系が好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
フォトポリマータイプの光重合型感光性組成物中には、特開2001−22079号公報の[0079]〜[0088]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤)を含有させるのが好ましい。
また、フォトポリマータイプの画像記録層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、その共重合体が挙げられる。
更に、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層または接着層を設けるのも好ましい。
<コンベンショナルネガタイプ>
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−281425号公報の[0014]〜[0015]に記載されている焼出し剤、染料、塗膜の柔軟性および耐摩耗性を付与するための可塑剤、現像促進剤等の化合物、塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
コンベンショナルネガタイプの感光層の下には、特開2000−105462号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含有する中間層を設けるのが好ましい。
<コンベンショナルポジタイプ>
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−92660号公報の[0024]〜[0027]に記載されている感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や、特開平7−92660号公報の[0031]に記載されているような塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
コンベンショナルポジタイプの感光層の下には、上述したコンベンショナルネガタイプに好適に用いられる中間層と同様の中間層を設けるのが好ましい。
<無処理タイプ>
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。光熱変換物質は、上述したサーマルポジタイプに用いられるのと同様の染料が好ましい。
熱可塑性微粒子ポリマー型の感光性組成物は、疎水性かつ熱溶融性の微粒子ポリマーが親水性高分子マトリックス中に分散されたものである。熱可塑性微粒子ポリマー型の画像記録層においては、露光により発生する熱により疎水性の微粒子ポリマーが溶融し、互いに融着して疎水性領域、即ち、画像部を形成する。
微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散しうるものがより好ましい。具体的には、Reseach Disclosure No.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号および同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーとしては、例えば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものが挙げられる。
微粒子ポリマーは、反応性官能基を有するのが好ましい。
マイクロカプセル型の感光性組成物としては、特開2000−118160号公報に記載されているもの、特開2001−277740号公報に記載されているような熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル型が好適に挙げられる。
スルホン酸発生ポリマー含有型の感光性組成物に用いられるスルホン酸発生ポリマーとしては、例えば、特開平10−282672号公報に記載されているスルホン酸エステル基、ジスルホン基またはsec−もしくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリマーが挙げられる。
無処理タイプの感光性組成物に、親水性樹脂を含有させることにより、機上現像性が良好となるばかりか、感光層自体の皮膜強度も向上する。親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するもの、親水性のゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。
無処理タイプの画像記録層は、特別な現像工程を必要とせず、印刷機上で現像することができる。無処理タイプの画像記録層の製造方法および製版印刷方法については、特開2002−178655号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
<バックコート>
このようにして、本発明により得られる平版印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設けて得られる本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層を設けることができる。
[製版方法(平版印刷版の製造方法)]
本発明により得られる平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
上記露光の後、画像記録層がサーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、コンベンショナルネガタイプ、コンベンショナルポジタイプおよびフォトポリマータイプのいずれかである場合は、露光した後、現像液を用いて現像して平版印刷版を得るのが好ましい。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのがより好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1〜7、比較例1〜3)
[アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体の製造]
下記表1に示した組成のアルミニウム材(Al−1〜Al−8)に、下記表2に示す熱処理を施して、下記表2に示すSiおよびFeの固溶量を調製し、連続鋳造によりアルミニウム合金板を製造した。
製造した各アルミニウム合金板に、以下の粗面化処理を施し、平版印刷版用支持体を製造した。
Figure 2008111142
<粗面化処理I>
粗面化処理Iとして、下記(a)〜(e)の処理を施した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施した。
(a)アルカリエッチング処理
製造した各アルミニウム合金板に、カセイソーダ濃度25質量%、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、5g/m2であった。
(b)デスマット処理
次いで、温度35℃の1質量%の硝酸水溶液をスプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(c)電解粗面化処理
その後、1質量%硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温50℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比(ta/T、1サイクルに占めるアノード反応時間の割合)0.5であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示すものを2槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、60A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で190C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。アルミニウム板と電解液の相対速度は、電解槽内の平均で1.5m/secであった。
(d)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度5g/L、温度35℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の電気化学的粗面化処理を施した面のエッチング量は、0.1g/m2であった。
(e)デスマット処理
水溶液としては、硫酸濃度300g/L、アルミニウムイオン濃度5g/L、液温35℃を用いて、スプレー管から5秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
粗面化処理Iを施して得られた各平版印刷版用支持体について、以下に示す方法によりSiおよびFeの固溶量、電解粗面化面の均一性、外観欠陥の有無ならびにピットの径を測定した。その結果を下記表2に示した。
(SiおよびFeの固溶量の測定)
SiおよびFeの固溶量は、フェノール溶解抽出法により測定した。
具体的には、得られらた各平版印刷版用支持体からなる試験片を熱フェノールで溶解させた後、ベンジルアルコールを添加した。次いで、ポリテトラフルオロエチレン製フィルターを用いて濾過し、金属間化合物残渣を除去した。次いで、ベンジルアルコールで希釈した後、溶液中に含まれるSiおよびFeを抽出し、標準添加ICP発光分析法で定量した。
なお、各平版印刷版用支持体におけるSiおよびFeの固溶量は、それぞれの作製に用いたアルミニウム合金基板におけるSiおよびFeの固溶量と同様の値である。
(電解粗面化面の均一性の評価)
電解粗面化処理後の各平版印刷版用支持体表面を、走査型電子顕微鏡(SEM:日本電子製5500)で観察(倍率2000倍)し、以下に示す基準で砂目立ての均一性を評価した。
◎:丸いピットが全体の90%以上である。
○:丸いピットが全体の50%以上90%未満である。
△:丸いピットが全体の10%以上50%未満である。
×:丸いピットが全体の10%未満である。
(外観欠陥の有無)
電解粗面化処理後の各平版印刷版用支持体表面を、白灯下で目視により観察し、外観欠陥の有無を確認し、以下に示す基準で評価した。
◎:全体に濃度ムラがなく、スジ状のムラがない。
○:濃度ムラがないが、スジ状ムラが全体の10%未満ある。
△:濃度ムラがみられ、スジ状ムラが全体の10%以上、50%未満ある。
×:全体に濃度ムラが激しく、スジ状ムラがある。
(ピットの径)
電解粗面化処理後の各平版印刷版用支持体表面を、電子顕微鏡により倍率500倍および2000倍(いずれも角度0°)で観測し、以下に示す基準で評価した。
A:0.01〜0.05μmおよび0.05〜1.5μmの平均開口径を有するピットが表面全体に均一に形成。
B:0.01〜0.05μmまたは0.05〜1.5μmの平均開口径を有するピットが表面全体に均一に形成。
C:0.01〜0.05μmの平均開口径を有するピットが表面全体の20%以下の割合(面積比)で形成。
D:1.5μmより大きい平均開口径を有するピットが表面全体の20%以上の割合(面積比)で形成。
<粗面化処理II>
粗面化処理IIとして、下記(a)〜(e)の処理を施した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施した。
(a)機械的粗面化処理
製造した各アルミニウム合金板を、パミストン(粒子径30μm(メジアン径))/水の懸濁液(比重1.5)中でブラシグレイニングした。
(b)アルカリエッチング処理
次いで、カセイソーダ濃度25質量%、アルミニウムイオン濃度100g/L、温度60℃の水溶液をスプレー管から吹き付けて、エッチング処理を行った。アルミニウム板の後に電気化学的粗面化処理を施す面のエッチング量は、0.3g/m2であった。
(C)デスマット処理
次いで、温度30℃の1質量%の硝酸水溶液をスプレー管から10秒間吹き付けて、デスマット処理を行った。
(d)電解粗面化処理
その後、1質量%硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを溶解させてアルミニウムイオン濃度を4.5g/Lとした電解液(液温50℃)を用い、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比(ta/T、1サイクルに占めるアノード反応時間の割合)0.5であった。カーボン電極を対極として用いた。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示すものを2槽使用した。
電気化学的粗面化処理において、交流のピーク時におけるアルミニウム板のアノード反応時の電流密度は、60A/dm2であった。アルミニウム板のアノード反応時の電気量の総和とカソード反応時の電気量の総和との比は0.95であった。電気量はアルミニウム板のアノード時の電気量の総和で190C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。アルミニウム板と電解液の相対速度は、電解槽内の平均で1.5m/secであった。
(e)デスマット処理
温度60℃の硫酸水溶液(濃度300g/L)をスプレー管から3秒間吹き付けて、洗浄処理を行った。
粗面化処理IIを施して得られた各平版印刷版用支持体について、上述した方法によりSiおよびFeの固溶量、電解粗面化面の均一性、外観欠陥の有無ならびにピットの径を測定した。その結果を下記表2に示した。
<粗面化処理III>
粗面化処理IIIとして、下記(a)〜(k)の処理を施した。なお、全ての処理工程の間には水洗処理を施した。
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
図5に模式的に示したような装置を使って、研磨剤(パミス)の水懸濁液(比重1.12g/cm3)を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図5において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。
ここで、研磨剤の平均粒径は40μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を10g/m2溶解した。その後、スプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電解粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(d)電解粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を60℃で行い、アルミニウム板を1.0g/m2溶解し、前段の交流を用いて電解粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電解粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
(g)電解粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
カセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.5g/m2溶解し、前段の交流を用いて電解粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
図6に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(k)親水化処理
液温20℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理槽の中に10秒間浸せきさせることで、親水化処理(アルカリ金属ケイ酸塩処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。
粗面化処理IIIを施して得られた各平版印刷版用支持体について、上述した方法によりSiおよびFeの固溶量、電解粗面化面の均一性、外観欠陥の有無ならびにピットの径を測定した。その結果を下記表2に示した。
Figure 2008111142
[平版印刷版原版の製造]
粗面化処理IIIを施して得られた各平版印刷版用支持体に、以下のサーマルポジタイプの画像記録層を設けて平版印刷版原版を得た。なお、画像記録層を設ける前には、以下の下塗層を設けた。
平版印刷版用支持体上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥し、下塗層の塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/m2であった。
<下塗液組成>
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2008111142
更に、下記組成の感熱層塗布液を調製し、下塗層を設けた平版印刷版用支持体に、この感熱層塗布液を乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が1.8g/m2になるよう塗布し、乾燥させて感熱層(サーマルポジタイプの画像記録層)を形成させ、平版印刷版原版を得た。
<感熱層塗布液組成>
・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40、重量平均分子量7,000、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.90g
・メタクリル酸エチル/メタクリル酸イソブチル/メタクリル酸共重合体(モル比35/35/30) 0.10g
・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.1g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系界面活性剤(ディフェンサF−780F、大日本インキ化学工業社製、固形分30質量%) 0.0045g(固形分換算)
・フッ素系界面活性剤(ディフェンサF−781F、大日本インキ化学工業社製、固形分100質量%) 0.035g
・メチルエチルケトン 12g
Figure 2008111142
得られた各平版印刷版原版をCreo社製TrendSetterを用いてドラム回転速度150rpm、ビーム強度10Wで画像状に描き込みを行った。
その後、下記組成のアルカリ現像液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー940Hを用い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像し、平版印刷版を得た。
<アルカリ現像液組成>
・D−ソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル(重量平均分子量1,000) 0.5質量%
・水 96.15質量%
得られた平版印刷版原版に露光および現像処理を施し、平版印刷版としての耐刷性および耐汚れ性を評価し結果を表3に示した。
(耐汚れ性の評価)
上記で得られた平版印刷版を用い、三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で確認し、以下に示す基準で評価した。
A:ブランケットが汚れていないもの
B:ブランケットがほとんど汚れていないもの
C:ブランケットが少し汚れていたもの
D:ブランケットが汚れているものの許容できる範囲にあるもの
E:ブランケットが汚れており印刷物が明らかに汚れているもの
F:ブランケットの汚れがかなりとなるもの
G:ブランケットの汚れが激しいもの
(耐刷性の評価)
小森コーポレーション社製のリスロン印刷機で、大日本インキ化学工業社製のDIC−GEOS(N)墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。
Figure 2008111142
表3に示す結果から、粗面化処理IIIを施して得られた実施例1〜7の平版印刷版原版は、比較例1〜3で得られた平版印刷版原版に比べ、平版印刷版の耐汚れ性および耐刷性がいずれも良好であることが分かった。
本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法における電気化学的粗面化処理に用いられるサイン波形図の一例を示すグラフである。 本発明の平版印刷版用支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。 本発明の平版印刷版用支持体の作製における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
符号の説明
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
413 中間槽
414 陽極酸化処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 陽極
422、428 パスローラ
424 ニップローラ
430 陰極
434 直流電源
436、438 給液ノズル
440 しゃへい板
442 排液口
610 陽極酸化処理装置
612 給電槽
614 電解処理槽
616 アルミニウム板
618、626 電解液
620 給電電極
622、628 ローラ
624 ニップローラ
630 電解電極
632 槽壁
634 直流電源

Claims (11)

  1. アルミニウム合金溶湯を溶湯供給ノズルを介して一対の冷却ローラの間に供給し、前記一対の冷却ローラによって前記アルミニウム合金溶湯を凝固させつつ圧延を行う連続鋳造により得られる平版印刷版用アルミニウム合金板であって、
    0.10〜0.20質量%のSiと0.10〜0.40質量%のFeとを含有し、Siの固溶量が200〜600ppmであり、Feの固溶量が250ppm以下である、平版印刷版用アルミニウム合金板。
  2. Cuの含有量が0.02質量%以下である請求項1に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1または2に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体。
  4. 前記粗面化処理が、前記電気化学的粗面化処理の前に、更にアルカリエッチング処理を含む請求項3に記載の平版印刷版用支持体。
  5. 前記電気化学的粗面化処理により生成するピットの径が、0.01〜1.5μmで均一である請求項3または4に記載の平版印刷版用支持体。
  6. 前記粗面化処理が、前記電気化学的粗面化処理の後に、更にアルカリエッチング処理を含む請求項3〜5のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
  7. 前記電気化学的粗面化処理の電流密度が5A/dm2以上であり、
    前記電気化学的粗面化処理の後の前記アルカリエッチング処理による前記平版印刷版用アルミニウム合金板の表面の溶解量が0.1g/m2以上である、請求項6に記載の平版印刷版用支持体。
  8. 前記電気化学的粗面化処理が、硝酸を含有する電解液中で、台形波形の交流電流を用いる処理である請求項3〜7のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
  9. 前記電気化学的粗面化処理が、塩酸を含有する電解液中で、正弦波形の交流電流を用いる処理である請求項3〜7のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
  10. 前記粗面化処理が、硝酸を含有する電解液中でアノード反応における電気量の総和が65〜500C/dm2となる第一の電気化学的粗面化処理、前記平版印刷版用アルミニウム合金板の表面の溶解量が0.1g/m2以上となる第一のアルカリエッチング処理、塩酸を含有する電解液中でアノード反応における電気量の総和が25〜100C/dm2となる第二の電気化学的粗面化処理、および、前記平版印刷版用アルミニウム合金板の表面の溶解量が0.03g/m2以上となる第二のアルカリエッチング処理を含む請求項3に記載の平版印刷版用支持体。
  11. 請求項3〜10のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。
JP2006292990A 2006-10-27 2006-10-27 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体 Abandoned JP2008111142A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006292990A JP2008111142A (ja) 2006-10-27 2006-10-27 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
US11/877,393 US20080102404A1 (en) 2006-10-27 2007-10-23 Aluminum alloy plate and support for lithographic printing plate

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006292990A JP2008111142A (ja) 2006-10-27 2006-10-27 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008111142A true JP2008111142A (ja) 2008-05-15

Family

ID=39330627

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006292990A Abandoned JP2008111142A (ja) 2006-10-27 2006-10-27 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体

Country Status (2)

Country Link
US (1) US20080102404A1 (ja)
JP (1) JP2008111142A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011047019A (ja) * 2009-08-28 2011-03-10 Fujifilm Corp 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
JP2015203122A (ja) * 2014-04-11 2015-11-16 株式会社Uacj 表面品質に優れたアルミニウム合金板
JP2019508585A (ja) * 2016-01-27 2019-03-28 ハイドロ アルミニウム ロールド プロダクツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングHydro Aluminium Rolled Products GmbH 成形のために最適化されたアルミニウム合金シート
JP2019510133A (ja) * 2016-01-27 2019-04-11 ハイドロ アルミニウム ロールド プロダクツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングHydro Aluminium Rolled Products GmbH 接着剤接続用アルミニウム合金ストリップ

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102165106B (zh) * 2008-09-30 2014-09-17 富士胶片株式会社 电解处理方法及电解处理装置
CN101525709B (zh) * 2009-04-24 2010-08-11 安徽欣意电缆有限公司 电缆用高延伸率铝合金材料及其制备方法
DE102009045762A1 (de) * 2009-10-16 2011-04-21 Henkel Ag & Co. Kgaa Mehrstufiges Verfahren zur Herstellung von alkaliresistenten anodisierten Aluminiumoberflächen
CN103287009B (zh) 2012-02-24 2015-03-25 比亚迪股份有限公司 一种铝合金树脂复合体的制备方法及其制备的铝合金树脂复合体
CN103290449B (zh) 2012-02-24 2015-05-20 比亚迪股份有限公司 一种表面处理的铝合金及其表面处理的方法和铝合金树脂复合体及其制备方法
CN103286909B (zh) 2012-02-24 2015-09-30 比亚迪股份有限公司 一种金属树脂一体化成型方法和一种金属树脂复合体
CN103286995B (zh) 2012-02-24 2015-06-24 比亚迪股份有限公司 一种铝合金树脂复合体的制备方法及其制备的铝合金树脂复合体
CN103286908B (zh) 2012-02-24 2015-09-30 比亚迪股份有限公司 一种金属树脂一体化成型方法和一种金属树脂复合体
CN103297565B (zh) 2012-02-24 2015-07-22 比亚迪股份有限公司 一种手机壳体及其制备方法
CN103286996B (zh) 2012-02-24 2015-03-25 比亚迪股份有限公司 一种铝合金树脂复合体的制备方法及其制备的铝合金树脂复合体
CN103286910B (zh) 2012-02-24 2015-09-30 比亚迪股份有限公司 一种金属树脂一体化成型方法和一种金属树脂复合体
EP2855740A4 (en) 2012-05-28 2016-03-09 Byd Co Ltd METAL COMPOSITE AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF, METAL RESIN COMPOSITE AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
CN104746066B (zh) 2013-12-31 2017-07-04 比亚迪股份有限公司 一种金属与塑料的结合材料及其制备方法及制备的结合材料
JP6457193B2 (ja) * 2014-03-31 2019-01-23 株式会社神戸製鋼所 接着耐久性に優れたアルミニウム合金材および接合体、または自動車部材
EP3822392A1 (en) * 2019-11-15 2021-05-19 Acondicionamiento Tarrasense Method for polishing parts made of aluminum alloys comprising silicon
CN113084132A (zh) * 2021-04-02 2021-07-09 山西太钢不锈钢股份有限公司 一种降低铁素体不锈钢钢板表面缺陷的生产方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07305133A (ja) * 1994-03-17 1995-11-21 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体、及びその製造方法
JP2000017412A (ja) * 1998-07-01 2000-01-18 Furukawa Electric Co Ltd:The アルミニウム合金板の製造方法
JP2000158099A (ja) * 1998-11-24 2000-06-13 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法
JP2003342658A (ja) * 2002-03-12 2003-12-03 Sky Alum Co Ltd 平版印刷版支持体用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2005089846A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用アルミニウム合金素板および平版印刷版用支持体
JP2005271414A (ja) * 2004-03-25 2005-10-06 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP2006289854A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体の製造方法および支持体

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3454578B2 (ja) * 1993-08-31 2003-10-06 日本軽金属株式会社 平版印刷版用アルミニウム合金素板およびその製造方法
JP2000108534A (ja) * 1998-10-01 2000-04-18 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体
JP4318587B2 (ja) * 2003-05-30 2009-08-26 住友軽金属工業株式会社 平版印刷版用アルミニウム合金板
US20060032760A1 (en) * 2004-08-13 2006-02-16 Fuji Photo Film Co., Ltd. Method of manufacturing lithographic printing plate support
JP2006082387A (ja) * 2004-09-16 2006-03-30 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体の製造方法
US7442491B2 (en) * 2005-03-17 2008-10-28 Fujifilm Corporation Aluminum alloy blank for lithographic printing plate and support for lithographic printing plate
DE602006001085D1 (de) * 2005-07-14 2008-06-19 Fujifilm Corp Träger für eine lithographische Druckplatte und Verfahren zu dessen Herstellung sowie eine vorsensibilisierte Druckplatte

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07305133A (ja) * 1994-03-17 1995-11-21 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体、及びその製造方法
JP2000017412A (ja) * 1998-07-01 2000-01-18 Furukawa Electric Co Ltd:The アルミニウム合金板の製造方法
JP2000158099A (ja) * 1998-11-24 2000-06-13 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用アルミニウム合金支持体の製造方法
JP2003342658A (ja) * 2002-03-12 2003-12-03 Sky Alum Co Ltd 平版印刷版支持体用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2005089846A (ja) * 2003-09-19 2005-04-07 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用アルミニウム合金素板および平版印刷版用支持体
JP2005271414A (ja) * 2004-03-25 2005-10-06 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP2006289854A (ja) * 2005-04-13 2006-10-26 Fuji Photo Film Co Ltd 平版印刷版用支持体の製造方法および支持体

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011047019A (ja) * 2009-08-28 2011-03-10 Fujifilm Corp 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
JP2015203122A (ja) * 2014-04-11 2015-11-16 株式会社Uacj 表面品質に優れたアルミニウム合金板
JP2019508585A (ja) * 2016-01-27 2019-03-28 ハイドロ アルミニウム ロールド プロダクツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングHydro Aluminium Rolled Products GmbH 成形のために最適化されたアルミニウム合金シート
JP2019510133A (ja) * 2016-01-27 2019-04-11 ハイドロ アルミニウム ロールド プロダクツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングHydro Aluminium Rolled Products GmbH 接着剤接続用アルミニウム合金ストリップ
US10889912B2 (en) 2016-01-27 2021-01-12 Hydro Aluminium Rolled Products Gmbh Aluminium alloy strip for adhesive connection
US11131037B2 (en) 2016-01-27 2021-09-28 Hydro Aluminium Rolled Products Gmbh Aluminium alloy sheet optimised for forming
JP7080817B2 (ja) 2016-01-27 2022-06-06 スペイラ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 成形のために最適化されたアルミニウム合金シート

Also Published As

Publication number Publication date
US20080102404A1 (en) 2008-05-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008111142A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
JP4516761B2 (ja) アルミニウム板エンボス加工用ロール
JP4410714B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4250490B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金素板および平版印刷版用支持体
JP5480565B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板および平版印刷版用支持体
JP2008201038A (ja) 平版印刷版用支持体の粗面化方法および平版印刷版用支持体の製造方法
JP2007062216A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2006076104A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2007055231A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4648057B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2007125872A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2005035034A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2006240116A (ja) 平版印刷版用支持体およびその製造方法
JP4268542B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2005001356A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP4510570B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2004243633A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2006056030A (ja) 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版
JP4616128B2 (ja) 平版印刷版用支持体
JP2008114404A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2005047084A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2005047070A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP2006289854A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法および支持体
JP2005146299A (ja) アルミニウム板エンボス加工用ロール
JP2005035098A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080722

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090904

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110920

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20111109