JP3788943B2 - 平版印刷版用支持体とその製造方法、および平版印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体とその製造方法、および平版印刷版に関し、特にレーザ露光適性および印刷性能に優れた平版印刷版、前記平版印刷版の基材になる平版印刷版用支持体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷版用支持体は、一般には、帯状のアルミニウム板であるアルミニウムウェブの少なくとも一方の面に、機械的粗面化、酸またはアルカリ溶液中での化学的エッチング、酸性水溶液中でのデスマット処理、電気化学的な粗面化である電解粗面化処理、酸性水溶液中での陽極酸化処理、親水化処理、および封孔処理などから選択される1つ以上の処理を施して砂目立てすることにより製造される。
【0003】
とくに、前記電解粗面化処理は、均一なピットを形成できることから、平版印刷版用アルミニウム支持体の砂目立て方法として一般的に用いられてきた。前記電解粗面化処理としては、とくに、塩酸または硝酸水溶液中での電解粗面化処理が主に行なわれてきた。
【0004】
平版印刷版は、前述の手順で製造された平版印刷版用支持体の粗面化面に感光層などの製版層を形成することにより製造される。
【0005】
近年、コンピュータからのデジタル信号に基き、平版印刷版にレーザ光で直接印刷画像を描き込んで露光する直接製版システムが急速に普及しつつある。また、オフセット印刷機のオフセット胴に取りつけた平版印刷版にレーザ光で印刷画像を直接焼き付ける直描型平版印刷版も使用されるようになってきた。
【0006】
レーザ光で露光するレーザ露光型の平版印刷版としては、たとえば特公昭61−48418号公報に記載の、5〜12g/m2の密度で陽極酸化被膜を形成したアルミニウム支持体ウェブを基材とする平版印刷版、特開昭63−260491号公報に記載の、銀ハロゲン化物と前記銀ハロゲン化物を金属銀に還元する核とを含有するゾルをアルミニウム支持体ウェブに塗布した平版印刷版、米国特許第4555475号明細書に記載の、表面に陽極酸化被膜を形成したアルミニウム支持体ウェブの表面をシリケート処理して2〜8mg/mm2の密度でアルミニウムシリケートを形成した平版印刷版、およびヨーロッパ特許第164128号明細書に記載の、表面に陽極酸化被膜を形成したアルミニウム支持体ウェブの表面をシリケート処理し、その上からさらにカーボンブラックを塗布した平版印刷版などがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記直接製版システムで使用される平版印刷版および直描型平版印刷版においては、通常の平版印刷版に比較してさらに高度な保水性、非画像部の親水性、耐刷性、版面の汚れ難さなどが要求される。また、レーザ光で印刷画像を描き込んだときに製版層においてハレーションが起きないことも要求される。
【0008】
また、オフセット輪転印刷機のブランケット胴の表面に堆積したインキや紙粉などの堆積物による平版印刷版のベタ部や銜え尻部における着肉不良を解決することも求められる。
【0009】
本発明は、保水性、非画像部の親水性、耐刷性、版面の汚れ難さ、およびレーザ露光適性に優れ、前記直接製版システム用の平版印刷版や直描型平版印刷版として好適に使用できる平版印刷版、前記平版印刷版の基材になる平版印刷版用支持体、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
請求項1に記載の発明は、アルミニウム含有量が99重量%以上であり、表面から2μm以内の深さに存在する金属間化合物の密度が500〜35,000個/mm2の範囲であるアルミニウム板を、塩酸溶液に浸漬してから5秒以内に前記塩酸溶液中での電解粗面化処理を開始することにより粗面化し、塩酸溶液中での電解粗面化処理後に前記アルミニウム板を0.05〜0.2g/m 2 のエッチング量でアルカリエッチング処理してなる平版印刷版用支持体と、前記平版印刷版用支持体の粗面化面に形成され、赤外線吸収剤を含有するレーザ製版層とを有する平版印刷版に関する。
【0011】
前記平版印刷版用支持体の粗面化面には、前記塩酸溶液中での電解粗面化により、大きさが0.1μm程度の小波が均一に形成される。したがって、前記平版印刷版用支持体の粗面化面に製版層を形成した平版印刷版は、レーザ露光適性および印刷性能に優れ、直描型平版印刷版として好適に使用できる。
前記平版印刷版用支持体においては、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理後に前記条件でアルカリエッチング処理を行っているから、塩酸溶液中での電解粗面化処理によりアルミニウム板の表面に生じた水酸化アルミニウムの薄層が効果的に除去されるが、表面に形成された小波は良好に残存する。したがって、得られる平版印刷版用支持体は、特に保水性と耐汚れ性とに優れる。
【0012】
前記アルミニウム板は、帯状に連続するアルミニウムウェブであってもよい。
【0013】
前記平版印刷版用支持体は、連続的に製造できるから、高い生産性で製造でき、しかもバラツキも少ない。
【0014】
前記電解粗面化処理においては、前記塩酸溶液の前記アルミニウム板に対する流速が100〜4,000mm/secになるように前記塩酸溶液を流通させることができる。
【0015】
前記平版印刷版用支持体の粗面化面に製版層を形成した平版印刷版は、感度、耐刷性、および機械的強度の何れも優れている。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記粗面化において、硝酸溶液中での電解粗面化処理およびそれに引き続くアルカリエッチング処理を、塩酸溶液中での電解粗面化処理に先立って施してなる平版印刷版に関する。
【0017】
前記平版印刷版用支持体においては、前記硝酸溶液中での電解粗面化処理により、前記アルミニウム板の粗面化面に、前記小波に重ねて山から山までの距離が10〜20μmである中波が形成される。
【0018】
したがって、前記平版印刷版用支持体に製版層を形成した平版印刷版は、保水性と耐刷性との何れにも優れている。
【0019】
さらに、硝酸溶液中での電解粗面化処理後にアルカリエッチング処理することにより、前記電解粗面化処理により表面に生じた水酸化アルミニウム層が効果的に除去される。
【0020】
請求項3に記載の発明は、前記アルカリエッチング処理において、前記アルミニウム板を0.05〜5g/m2のエッチング量でエッチングしてなる平版印刷版に関する。
【0021】
前記条件でアルカリエッチング処理を行なうことにより、電解粗面化処理でアルミニウム板の表面に生じた水酸化アルミニウムの薄層が効果的に除去されるが、電解粗面化処理で形成された凹凸は残存するから、得られる平版印刷版用支持体は、特に保水性に優れる。
【0023】
前記平版印刷版用支持体においては、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理後にアルカリエッチング処理を行っているから、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理により表面に生じた水酸化アルミニウム層が効果的に除去される。したがって、前記平版印刷版用支持体に製版層を形成した平版印刷版は、非画像部の保水性に優れている。
【0025】
前記条件でアルカリエッチング処理を行なうことにより、塩酸溶液中での電解粗面化処理によりアルミニウム板の表面に生じた水酸化アルミニウムの薄層が効果的に除去されるが、表面に形成された小波は良好に残存するから、得られる平版印刷版用支持体は、特に保水性と耐汚れ性とに優れる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、前記硝酸溶液中での電解粗面化処理における前記アルミニウム板が陽極のときの電気量である陽極時電気量をQ1、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理における陽極時電気量をQ2とすると、Q1/Q2が1以上である平版印刷版に関する。
【0027】
前記平版印刷版用支持体の粗面化面には、中波と小波とがバランス良く形成されているから、前記平版印刷版用支持体の製版層を形成した平版印刷版は、レーザ露光適性および印刷性能に優れる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、前記アルミニウム板を粗面化後、陽極酸化処理を行い、前記粗面化により形成された粗面化面に陽極酸化被膜を形成してなる平版印刷版に関する。
【0029】
前記平版印刷版用支持体は、表面に陽極酸化被膜が形成されているから、前記平版印刷版用支持体の粗面化面に製版層を形成した平版印刷版は、非画像部の耐磨耗性に優れている。
【0032】
請求項6に記載の発明は、前記製版層が、赤外線レーザ光で露光するレーザ製版層である平版印刷版に関する。
【0033】
前記平版印刷版は、レーザ露光適性に特に優れている。
【0034】
請求項7に記載の発明は、前記レーザ製版層が、前記レーザ光を吸収して熱に変換する赤外線吸収剤、熱によって酸を発生する酸発生化合物と前記酸との何れか(以下、「酸発生化合物」等という。)、および酸によって架橋する酸架橋性化合物を含有してなる平版印刷版に関する。
【0035】
前記平版印刷版のレーザ製版層をレーザ光で照射すると、前記赤外線吸収剤が前記レーザ光を吸収して熱を発生する。そして、この熱によって前記酸発生化合物が分解して酸が発生し、前記酸架橋性化合物を架橋させる。
【0036】
この平版印刷版を現像液で現像すると、前記レーザ製版層のうち、レーザ光の当らなかった部分は前記現像液に溶解し、レーザ光に当った部分のみが残るから、前記平版印刷版は、レーザ光により、直接印刷画像を描き込むことができる。
【0037】
したがって、コンピュータ製版に好適に使用できる。
【0038】
さらに、前記レーザ製版層は可視光には感じないから、前記平版印刷版は、露光装置への装着および現像などを昼光下で行うことができ、取り扱いが極めて容易である。
【0039】
請求項8に記載の発明は、前記レーザ製版層が前記赤外線吸収剤、前記酸発生化合物等、および酸によって分解する酸分解性化合物を含有してなる平版印刷版に関する。
【0040】
前記平版印刷版のレーザ製版層をレーザ光で照射すると、前記赤外線吸収剤からの熱によって前記酸発生化合物が分解して酸が発生し、前記酸分解性化合物を分解させる。
【0041】
この平版印刷版を現像液で現像すると、前記レーザ製版層のうち、レーザ光の当らなかった部分が残存し、レーザ光に当った部分のみが溶解するから、ポジ画像が得られる。
【0042】
したがって、前記平版印刷版は、ポジ現像特性が要求される用途に好適に使用できる。
【0043】
また、前記レーザ製版層も、請求項12に記載のレーザ製版層と同様、可視光には感じないから、前記平版印刷版もまた、露光装置への装着および現像などを昼光下で行うことができ、取り扱いが極めて容易である。
【0044】
本発明は、前記レーザ製版層が、レーザ光を照射するとラジカルを発生するラジカル発生化合物、アルカリ可溶性バインダ、およびラジカルにより重合するラジカル重合性化合物を含有してなる平版印刷版も包含する。
【0045】
前記平版印刷版をレーザ光で照射すると、前記ラジカル発生化合物が分解してラジカルが発生し、このラジカルにより、前記ラジカル重合性化合物が重合して現像液に溶解しなくなる。
【0046】
前記平版印刷版もまた、請求項9に記載の平版印刷版と同様、レーザ製版層をレーザ光で照射して現像液で現像するだけで印刷画像が形成できるから、直描型平版印刷版として好適である。
【0047】
本発明は、前記レーザ製版層が、酸素遮断層により被覆されてなる平版印刷版も包含する。
【0048】
前記レーザ製版層に含有されるラジカル重合性化合物には、空気中の酸素と反応してラジカル重合しなくなるものが多い。
【0049】
しかし、前記レーザ製版層は、前記酸素遮断層により空気中の酸素から遮断された状態にあるから、長期間に亘ってラジカル重合性が維持される。
【0050】
したがって、前記平版印刷版は、保存性に優れる。
【0051】
本発明は、前記レーザ製版層が、レーザ光が照射されると現像液への溶解性が増大または減少する感光層と、前記感光層に積層されてなり、ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを有してなる平版印刷版も包含する。
【0052】
前記レーザ製版層に形成されたハロゲン化銀含有層は、極めて感度が高く、しかも通常の銀塩写真と同様に現像・定着できる。
【0053】
したがって、極めて短時間でレーザ露光ができるから、オフセット印刷機の印刷胴に装着した状態でのレーザ露光が極めて容易に行え。直描型平版印刷版として極めて好適である。
【0054】
本発明は、前記感光層が、光重合性を有する多官能性モノマーを含有する光重合性層である平版印刷版も包含する。
【0055】
前記平版印刷版におけるレーザ製版層は、前記光重合性層の表面にハロゲン化銀含有層を積層した構成を有しているから、レーザ光を照射することにより、ネガ画像を形成できる。
【0056】
本発明は、前記光重合性層が、重合性官能基を複数有し、前記多官能性モノマーと共重合する多官能性バインダを含有する平版印刷版も包含する。
【0057】
前記平版印刷版においては、前記光重合性層は、前記多官能性モノマーのほかに前記多官能性バインダを含有している。
【0058】
したがって、前記光重合性層にレーザ光が当ると、レーザ光が当った部分においては、前記多官能性バインダが前記多官能性モノマーと共重合し、分子量がさらに高くなる。
【0059】
したがって、前記平版印刷版を露光した刷版は、印刷画像部分の耐久性に特に優れているから、耐刷性が高い。
【0060】
本発明は、前記感光層が、ナフトキノンジアジド類を含有するNQD層である平版印刷版も包含する。
【0061】
前記平版印刷版におけるレーザ製版層は、NQD層と前記NQD層に積層されたハロゲン化銀含有層とを有しているから、前記レーザ製版層にレーザ光で印刷画像を描き込むと、前記ハロゲン化銀含有層において前記印刷画像様に銀が析出する。
【0062】
そこで、前記ハロゲン化銀含有層を現像・定着し、さらにレーザ光を照射すると、前記NQD層における銀の存在しない部分、即ち非画象部分にのみレーザ光が当たり、その部分のNQDが分解する。
【0063】
したがって、前記平版印刷版は、感光層にNQDを用いているにもかかわらず、レーザ露光により、ネガ画像を形成できる。
【0064】
また、ハロゲン化銀含有層を有している故に、レーザ光に対する感度が極めて高く、短時間でレーザ露光を行うことができるから、直描型平版印刷版として好適である。
【0065】
本発明は、前記レーザ製版層が、物理現像核を含有する現像核層と、前記現像核層に積層されてなり、前記ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを備えてなる平版印刷版も包含する。
【0066】
前記平版印刷版は、感度が極めて高いので、直描型平版印刷版として好適である。
【0067】
本発明は、前記レーザ製版層が、レーザ光を照射することにより除去される親油性層であるレーザ除去性親油層を有してなる平版印刷版も包含する。
【0068】
前記平版印刷版の備える製版層は、可視光には感光しないから、露光装置への装着などを昼光下で行うことができ、取り扱いが極めて容易である。さらに、露光後、現像が不要であるという特徴もある。
【0069】
本発明は、前記レーザ除去性親油層が銀薄膜である平版印刷版も包含する。
【0070】
銀は、親油性なので、平版印刷版様支持体の表面に積層された銀薄幕は、インキ受容面として機能する。
【0071】
本発明は、前記製版層が、熱または光により分解して酸を発生する酸発生化合物と、前記酸発生化合物が分解して発生した酸と反応してスルホン酸を放出して疎水化するスルホン酸放出性高分子とを含有してなる平版印刷版も包含する。
【0072】
前記平版印刷版は、製版層における光の当った部分において、スルホン酸放出性高分子がスルホン酸を放出して疎水化するから、露光後、水で現像するか、または何らの現像も行うことなく、オフセット印刷に使用することができるという特長を有する。このように、前記製版層は、現像液による現像が不要であるから、ダイレクト型製版層ということができる。
【0073】
本発明は、アルミニウム含有量が99重量%以上であるアルミニウム板の少なくとも一方の面を粗面化してなり、表面から2μm以内に存在する金属間化合物の密度が500〜35,000個/m2の範囲である平版印刷版用支持体を製造する平版印刷版用支持体の製造方法であって、前記粗面化においては、前記アルミニウム板を塩酸溶液中で電解粗面化処理するともに、前記電解粗面化処理においては、前記アルミニウム板が前記塩酸溶液に浸漬されてから5秒以内に前記電解粗面化を開始することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法も包含する。
【0074】
前記平版印刷版用支持体の製造方法によれば、粗面化面に小波が均一に形成された前記平版印刷版用支持体が得られる。前記平版印刷版用支持体の粗面化面に製版層を形成した平版印刷版は、レーザ露光適性および印刷性能に優れ、直描型平版印刷版として好適に使用できる。
【0075】
【発明の実施の形態】
1.アルミニウム板
本発明に使用されるアルミニウム板は、アルミニウム含有量が99重量%以上であり、具体的には、純アルミニウム板およびアルミニウム含有量が前記範囲にあるアルミニウム合金板が挙げられる。
【0076】
アルミニウム板のアルミニウム含有量が前記範囲内にあれば、感度、耐刷性、および機械的強度の何れにも優れた平版印刷版が得られる。
【0077】
前記アルミニウム板に含まれる微量元素としては、たとえば珪素、鉄、ニッケル、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、チタン、およびバナジウムなどがある。
【0078】
前記純アルミニウムおよびアルミニウム合金としては、通常は、アルミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協会)に記載の、例えばJIS A 1050材、JIS A 3103材、JIS A 3005材、JIS A 1100材、およびJIS A 3004材などが挙げられる。
【0079】
前記アルミニウム板の表面から2μm以内における金属間化合物の密度は、500〜35,000個/m2の範囲である。
【0080】
金属間化合物の密度が500個/m2以上であれば、機械的強度に優れた平版印刷版が得られる。一方、金属間化合物の密度が35,000個/m2以下であれば、感度および耐刷性に優れた平版印刷版が得られる。
【0081】
前記金属間化合物としては、例えばAl3Feなどの2元系金属間化合物、AlFeSiなどの3元系金属間化合物、およびAlFeXSi(Xは、Mn、Cu、Mg、Ti、Cr、およびZnのいずれか1つ)などの4元系金属間化合物などが挙げられる。
【0082】
前記2元系金属間化合物の例としては、Al3Feのほか、Al6Fe、Mg2Si、Ni3Al、MnAl、TiAl3、およびCuAl2などが挙げられる。前記3元系金属間化合物の例としては、α−AlFeSiおよびβ−AlFeSiがある。4元系金属間化合物としては、α−AlFeMnSiおよびβ−AlFeMnSiなどがある。
【0083】
前記金属間化合物の種類、粒径 および密度は、たとえば、Si、Fe、Mn、Cu、Mg、Ti、Cr、およびZnの各元素の添加量を制御したり、粗面化条件を変更したりすることにより制御できる。たとえば、後述するデスマット処理において、処理温度や酸性溶液中の酸濃度を低くすれば、前記金属間化合物が除去される度合いが少なくなり、反対に、処理温度や酸性溶液中の酸濃度を高くすれば、前記金属間化合物がより多く除去される。また、前記金属間化合物の密度を低下させたい場合には、前記デスマット処理において酸性溶液として塩酸溶液を使用することができる。
【0084】
金属間化合物の種類および密度は、粗面化されたアルミニウム板の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、たとえば、前記アルミニウム板の表面における5ヶ所(n=5)について、60μm×50μmの範囲で金属間化合物の粒子の個数を数えて1mm2当りの個数に換算することにより求めることができる。
【0085】
また、EPMA(電子プローブマイクロアナライザ)を用いて前記平版印刷版用支持体の表面を170μm×170μmの範囲で面分析して金属間化合物の種類を特定するとともにその数を数えて1mm2当りの個数に換算することにより求めてもよい。
【0086】
前記アルミニウム板の形態は、帯状に連続するアルミニウムウェブが一般的であるが、少量多品種生産を行う場合には、予め所定の寸法に裁断されたシート状のアルミニウム板も使用できる。
【0087】
前記アルミニウム板の厚みは、一般的には0.1〜1mmの範囲であるが、前記範囲外の厚みを有するアルミニウム板も使用できる。
【0088】
2.粗面化工程
2−1 電解粗面化処理
本発明の平版印刷版用支持体の製造においては、前記アルミニウム板を塩酸中で電解粗面化する。
【0089】
前記電解粗面化処理においては、前記アルミニウム板を塩酸溶液に浸漬してから5秒以内に電流の印加を開始する。したがって、前記アルミニウム板を前記塩酸溶液に浸漬して直ちに電解粗面化を開始してもよい。前記アルミニウム板を塩酸溶液に浸漬してから電解粗面化処理を開始するまでの時間が5秒以内であれば、前記塩酸溶液中で前記アルミニウム板の表面が過剰に腐食することがないから、表面の金属間化合物が脱落して不規則な凹凸が形成されることが防止できる。
【0090】
前記アルミニウム板としてアルミニウムウェブを用い、前記アルミニウムウェブを連続的に搬送しつつ電解粗面化する場合には、後述する電解槽に貯留された塩酸溶液の液面から前記電解槽の備える主極までの前記アルミニウムウェブの搬送方向に沿った距離を、前記アルミニウムウェブが5秒以内に搬送されるように設定することにより、塩酸溶液に浸漬されてから電解粗面化処理を開始するまでの時間を5秒以内に設定できる。
【0091】
前記塩酸水溶液としては、塩酸濃度が1〜100g/リットルの塩酸水溶液に、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸塩、および硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩から選択された1種以上の塩を、1g/リットル〜飽和濃度の範囲で添加したものを挙げることができる。前記塩酸水溶液には、また、銅と錯体を形成する化合物を1〜200g/リットルの濃度になるように添加することもできる。前記塩酸水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、珪素等の前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中に含まれる微量元素が溶解していてもよい。加えて、次亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/リットルの濃度で含有していてもよい。
【0092】
前記塩酸水溶液としては、塩酸を2〜15g/リットル含有する希塩酸に塩化アルミニウムなどのアルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度を2〜7g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。
【0093】
前記塩酸水溶液の液温は、20〜50℃が好ましい。
【0094】
前記電解粗面化処理においては、交流および直流の何れを印加してもよいが、交流を印加することが好ましい。前記交流は、前記アルミニウム板が陽極のときの電気量である陽極時電気量Q2が20〜500C/dm2になるように印加することが好ましく、特に、前記陽極時電気量Q2が25〜75C/dm2になるように印加することが好ましい。
【0095】
前記交流としては、サイン波電流、矩形波電流、台形波電流、および三角波電流など、各種の波形を有する交流電流を用いることができるが、矩形波電流および台形波電流が好ましく、台形波電流が特に好ましい。
【0096】
前記交流の周波数は、0.1〜500Hzが好ましく、40〜150Hzが特に好ましい。
【0097】
台形波を印加する場合には、電流が0からピークに達するまでの立上り時間tp(tpaまたはtpc)は0.1〜10msecの範囲が好ましく、0.5〜2msecの範囲がとくに好ましい。立上り時間tpが0.1以上であれば、電源回路のインピーダンスの影響が小さいので、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が不要であるから、電源回路が安価に構成できる。また、立上り時間tpが10msec以下であれば、塩酸水溶液中の微量成分の影響を受け難いから、均一な粗面化がおこなわれる。
【0098】
前記交流において、アルミニウム板のアノード反応時間taが交流の周期Tに占める割合ta/Tは、0.33〜0.66が好ましく、0.45〜0.55が更に好ましく、0.5が特に好ましい。
【0099】
主極に対向するアルミニウム板に加わる電気量は、アルミニウム板がカソード反応時の電気量Qcとアノード反応時の電気量Qaの比Qc/Qaが0.9〜1の範囲にあることが好ましい。前記電気量比Qc/Qaは、電源電圧を制御することにより制御できる。また、前記交流をサイリスタで整流した直流を印加する補助電極を有する電解槽を使用して電解粗面化処理を行う場合には、前記サイリスタの点弧角を制御することにより、前記電気量比Qc/Qaを制御できる。
【0100】
電流密度は交流のピーク値で電流のアノードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに10〜200A/dm2の範囲が好ましく、15〜35A/dm2の範囲が特に好ましい。
【0101】
電解槽としては、縦型、フラット型、ラジアル型などの公知の電解槽が使用できる。電解槽は、1槽のみ使用してもよく、2槽以上を直列に使用してもよいが、1槽でおこなうことがとくに好ましい。
【0102】
前記電解槽の内部には、前記アルミニウム板に交流または直流を印加する主電極が設けられる。
【0103】
前記電解槽においては、内部を搬送されるアルミニウム板と前記主電極との距離が5〜100mm、好ましくは8〜15mmになるように前記アルミニウム板の走路および主電極を配置することが望ましい。前記主電極はカーボンで形成することが好ましい。
【0104】
前記電解槽内を搬送されるアルミニウム板と前記電解槽の内部を流通する塩酸溶液との平均相対流速は、100〜4000mm/secの範囲が好ましく、15〜300mm/secの範囲が特に好ましい。前記平均相対流速が前記範囲内である限り、前記硝酸水溶液または塩酸水溶液の流通方向は、前記アルミニウム板の搬送方向と同方向および逆方向の何れの方向であってもよい。
【0105】
また、前記アルミニウム板の走路と前記主電極との距離、および前記硝酸水溶液および塩酸水溶液の流速は一定に保持されていることが、均一な電解粗面化を行う上で望ましい。
【0106】
フラット型および縦型の電解槽においては、特公昭61−30036号公報に記載されているように、走行するアルミニウム板が摺動できるように形成された面を内部に設け、静圧を利用して前記アルミニウム板を圧接させつつ走行させることにより、前記距離を一定に保つことができる。
【0107】
一方、ラジアル型の電解槽においては、特開平8−300843号公報に記載されているように、内部に、前記アルミニウム板を搬送する直径の大きなローラを設け、前記ローラを取り囲むように、複数の主電極を円周上に配設し、前記主電極とアルミニウム板の距離を一定に保つことができる。
【0108】
また、前記硝酸水溶液および塩酸水溶液の流速を一定にするには、電解槽の内部に液溜り室を設け、内部を走行するアルミニウム板の巾方向に沿って幅1〜5mmの液吹き出し用のスリットを設けた給液ノズルを用いて前記硝酸水溶液および塩酸水溶液を供給すればよい。また、複数の液溜り室を設け、それぞれの液溜り室を、バルブと流量計とを備える管路で接続し、前記給液ノズルのそれぞれのスリットから吹き出す液量を調整してもよい。
【0109】
前記電解槽内部を走行するアルミニウム板への給電方式としては、たとえばコンダクタローラを用いる直接給電方式と、前記コンダクタローラを用いない液給電方式、換言すれば間接給電方式とがある。
【0110】
前記電解槽において、間接給電方式を用いる場合は、変圧器および可変式誘導電圧調整器などを用いて電流値を制御できる。
【0111】
また、前述のように、前記電解槽の内部に前記主電極のほかに、直流を印加する補助電極を設け、前記補助電極に流れる直流電流の強さを制御することにより、前記電気量比Qa/Qcを制御することができる。前記補助電極は、フェライト等により形成できる。
【0112】
補助電極に流れる電流を制御する方法としては、特公平6−37716号公報および特公平5−42520号公報に記載されているように、サイリスタおよびGTOなどの制御整流器による位相制御、およびダイオードと可変抵抗器とによる制御などが挙げられる。前記方法により、前記補助電極に流れる電流を制御すれば、変圧器の偏磁の影響を小さくすることができ、また、電源装置を安価に製作できるから、コスト的に非常に有利である。
【0113】
ラジアル型の電解槽の一例を図1に示す。図1に示すように、電解槽40は、上部にアルミニウムウェブ11を導入・導出する開口部42を有し、内部には、開口部42から導入されたアルミニウムウェブ11を矢印aの方向に搬送する搬送ドラム12を収容している。
【0114】
電解槽40の内壁面には、搬送ドラム12を取り囲むように1対の主極13aおよび13bが配設されている。主極13aは、電解槽40に貯留された塩酸溶液の液面から主極13aの上端までのアルミニウムウェブ11の搬送方向に沿った距離dを、前記アルミニウムウェブ11が5秒以内に通過するように配設されている。主極13aおよび13bは、何れも交流電源20に接続されている。
【0115】
主極13aの上方に隣接して電解槽40に塩酸溶液を供給する電解液供ノズル14が設けられ、電解槽40の底部における主極13aと13bとの間に同じく塩酸溶液を供給する電解液供給ノズル15が設けられている。電解液供ノズル14および電解液供給ノズル15から供給された塩酸溶液は、開口部42における下流側に設けられた堰44から電解槽40の下流側に溢流する。
【0116】
電解槽40の下流側に隣接して、アルミニウムウェブ11に直流電圧を印加する補助電解槽16が設けられている。
【0117】
電解槽40を通過したアルミニウムウェブ11は、補助電解槽16の底面に沿って搬送される。
【0118】
補助電解槽16の底面には、アルミニウム11の搬送経路である搬送面の幅方向に沿って延在する棒状の補助電極22が設けられている。補助電極22は、交流電源20に接続された1対のサイリスタTh1およびTh2に接続され、サイリスタTh1およびTh2によって位相制御された直流が印加される。
【0119】
直接給電方式を用いる場合は、コンダクタローラとしては、特開昭58−177441号公報に記載されているように、工業用アルミニウムを用いて鋳造し、高温均質化処理を施して表面部分のAl−Fe系昌出物をAl3Feの単一相に変化させて耐食性を向上させたコンダクタローラを用いることができる。また、特開昭56−123400公報に記載されているように、フラット型または縦型の電解槽におけるアルミニウム板の導入部、または前記導入部と前記アルミニウム板の導出部との両方に前記コンダクタローラを配設した電解槽も使用できる。
【0120】
前記電解槽においては、コンダクタローラは、アルミニウム板の上面または下面に接触するように設けることが可能であるが、アルミニウム板の上面に接触するように設け、ニップ装置でアルミニウム板に押しつけるようにするのが特に好ましい。アルミニウム板がコンダクタローラに接する長さは、アルミ進行方向に対して1mm〜300mmが好ましい。アルミニウム板を挟んでコンダクタローラに対向するパスローラはゴム製の胴を有するゴムローラが好ましい。前記コンダクタローラの押しつけ圧、およびゴムローラの胴の硬度は、前記コンダクタローラと前記アルミニウム板との接する箇所においてアークスポットが発生しない条件で任意に設定できる。コンダクタローラがアルミニウム板の上面に接触するように設置することで、コンダクタローラの交換作業・点検作業が簡単になる。コンダクタローラの端部には給電ブラシを回転体に摺動させながら通電する方式を用いるのが好ましい。
【0121】
前記コンダクターローラは、アークスポットの発生を防止するために、前記塩酸水溶液により常に冷却することが好ましい。
【0122】
2−2 その他の粗面化処理
本発明の平版印刷版用支持体の製造においては、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理に先立ち、硝酸溶液中での電解粗面化処理およびそれに引き続くアルカリエッチング処理を前記アルミニウム板に施すことができる。また、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理に引き続いて再度アルカリエッチング処理を行っても良い。
【0123】
さらに、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理に先立つアルカリエッチング処理と前記塩酸溶液中での電解粗面化処理との間、および前記塩酸溶液中での電解粗面化処理に引き続くアルカリエッチング処理の後に、前記アルミニウム板を酸性溶液で処理するデスマット処理を行っても良い。
【0124】
加えて、機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、およびデスマット処理を行ってから前記硝酸溶液中での電解粗面化処理を行なっても良い。
【0125】
したがって、本発明の平版印刷版用支持体は、たとえば以下の手順で前記アルミニウム板を粗面化することにより製造できる。
【0126】
(手順1)
▲1▼機械的粗面化処理
▲2▼アルカリエッチング処理(1)
▲3▼デスマット処理(1)
▲4▼硝酸溶液中での電解粗面化処理
▲5▼アルカリエッチング処理(2)
▲6▼デスマット処理(2)
▲7▼塩酸溶液中での電解粗面化処理
▲8▼アルカリエッチング処理(3)
▲9▼デスマット処理(3)。
【0127】
(手順2)
▲1▼アルカリエッチング処理(1)
▲2▼デスマット処理(1)
▲3▼硝酸溶液中での電解粗面化処理
▲4▼アルカリエッチング処理(2)
▲5▼デスマット処理(2)
▲6▼塩酸溶液中での電解粗面化処理
▲7▼アルカリエッチング処理(3)
▲8▼デスマット処理(3)。
【0128】
以下、前記手順1および手順2における各段階の処理について説明する。
【0129】
(1)機械的粗面化処理
前記機械的粗面化処理においては、前記アルミニウム板の少なくとも一方の面に、ローラ状ブラシで擦って粗面化するブラシグレイニングを施すことができる。
【0130】
前記機械的粗面化処理は、処理後の粗面化面の中心線平均粗さ(Ra)が0.3〜0.6μmの範囲になるように行うことが好ましい。
【0131】
前記機械的粗面化処理によって前記アルミニウム板の表面に、山と山との間隔が10〜30μm程度の大波が形成される。
【0132】
以下、ブラシグレイニングについて説明する。
【0133】
前記ブラシグレイニングを行なうに先立ち、必要に応じて、前記アルミニウム板の表面に付着した圧延油を除去するための脱脂処理を行うことができる。前記脱脂処理としては、例えば界面活性剤による処理、有機溶剤による処理、およびアルカリ水溶液による処理などを行うことができる。但し、圧延油の付着が少い場合は、前記脱脂処理を省略することができる。
【0134】
引き続いて、研磨材スラリーを前記アルミニウム板表面に供給しながら、1種類、または毛径が異なる2種類以上のローラ状ブラシを用いてブラシグレイニングを行う。
【0135】
前記ブラシグレイニングは、特開平6−135175、特公昭50−40047に詳しく記載されているように、粗面化しようとするアルミニウム板を挟んで上方にローラ状ブラシを配置して下方に支持ローラを配置し、前記アルミニウム板を一定速度で搬送しつつ、前記ローラ状ブラシと前記アルミニウム板との間に研磨材スラリーを供給しながら前記ローラ状ブラシを回転させることにより、行うことができる。
【0136】
前記支持ローラは、前記ローラ状ブラシ1本につき、2本づつ配置することができる。前記ローラ状ブラシの下方に位置する1対の支持ローラは、外面の最短距離がローラ状ブラシの外径より小さくなるように配置することが好ましい。
【0137】
前記ブラシグレイニング時においては、前記アルミニウム板を、前記ローラ状ブラシにより、前記2本の支持ローラの間に押し入れるように加圧することが好ましい。
【0138】
本発明に用いられるローラ状ブラシは、ナイロン、ポリプロピレン、動物毛、あるいはスチールワイヤなどから形成したブラシ毛を均一な毛長及び植毛分布で円筒状の胴の側面全体に植設したもの、前記胴の表面全体に多数の小穴を開け、前記ブラシ毛の束であるブラシ毛束を前記小穴のそれぞれに植設したもの、およびチャンネルローラ型のものなどが好ましく用いられる。
【0139】
前記ブラシ毛の材質としてはナイロンが最も好ましい。前記ブラシ毛の植毛後の毛長は、10〜200mmが好ましく、特に25−100mmが好ましい。なおローラ状ブラシに植え込む際の植毛密度は1cm2当り30〜1000本が好ましく、さらに好ましくは50〜300本である。
【0140】
前記ブラシ毛の好ましい毛径は、好ましくは0.2mm〜0.83mmであり、特に好ましくは0.25mm〜0.8mmである。ブラシ毛の断面形状は円が好ましい。毛径が0.2mm以上であれば、得られる平版印刷版のシャドウ部での汚れ性能が良好であり、0.83mm以下であれば、ブランケット汚れの生じ難い平版印刷版が得られる。
【0141】
前記ブラシ毛の材質は、ナイロンが好ましく、特にナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10などが好ましいが、引っ張り強さ、耐摩耗性、吸水による寸法安定性、曲げ強さ、耐熱性、回復性などに優れている点から、ナイロン6・10が最も好ましい。
【0142】
ローラ状ブラシの本数は、好ましくは1本以上10本以下であり、更に好ましくは1本以上6本以下であり、最も好ましくは3本または4本である。特開平6−135175号公報に記載されているように、ブラシ毛の毛径が異なる2以上のローラ状ブラシを組み合わせてもよい。
【0143】
ローラ状ブラシの回転数は、100〜500rpmの範囲が好ましい。ローラ状ブラシは、アルミニウム板の搬送方向と同じ方向に回転(順転)させることが好ましいが、ローラ状ブラシが多数本の場合には、一部のローラ状ブラシを、アルミニウム板の搬送方向とは反対の方向に回転(逆転)させてもよい。前記ローラ状ブラシを3本用いるときは、アルミニウム板の搬送方向に対して最も上流側に位置するローラ状ブラシを順転させ、中央のローラ上ブラシを逆転させ、アルミニウム板の搬送方向に対して最も下流側に位置するローラ状ブラシを順転させることが特に好ましい。ローラ状ブラシを4本用いるときには、前記4本のローラ状ブラシの回転方向は、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側(以下、単に「上流側」という。)からアルミニウム板の搬送方向に対して下流側(以下、単に「下流側」という。)に向かって、順転、逆転、順転、順転が好ましい。
【0144】
また、前記ローラ状ブラシを、アルミニウム板の搬送方向に対して直角の方向に沿って0.0001−1Hzの周期および10〜200mmの振幅でオシレートさせることにより、処理ムラのない表面を有する平版印刷版用アルミニウム支持体が得られる。
【0145】
ローラ状ブラシの押し込み量は、前記モータの消費電力が、1.0〜15kw、更に好ましくは2〜10kwになるように、前記ローラ状ブラシを回転させるモーターの負荷に基いて管理することが好ましい。
【0146】
前記ブラシグレイニングにおいて、太いブラシ毛を植毛したローラ状ブラシで粗面化した後、細いブラシ毛を植毛したローラ状ブラシで処理することにより、親水性、保水性及び密着性のすべてを兼ね備えた平版印刷版が得られるから好ましい。前記平版印刷版は、湿し水が少ない場合のシャドー部のつぶれがないため、水幅が広く、地汚れが発生しにくく、さらに感光層との密着劣化がないという特長を有する。
【0147】
本発明に用いられる研磨材スラリーとしては、珪砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、火山灰、パミスストーン粉末、カーボランダム、金剛砂等の研磨材を、比重1.05〜1.3となるような範囲で水に分散させたものが好ましい。前記研磨材のの平均粒子径は、一般的には1〜50μmであり、好ましくは5−45μmであり、更に好ましくは15−45μmの範囲である。前記平均粒子径は、スラリー液中に含まれる全研磨材の体積に対し、各径の粒子の占める割合の累積度数をとったとき、前記累積割合が50%となる粒子径として求められる。
【0148】
前記ブラシグレイニングにおいては、前記範囲の中心線平均粗さ(Ra)が得られるように、ローラ状ブラシの押し込み量、回転数、回転方向の組み合わせ、ローラ状ブラシの本数、それぞれのローラ状ブラシの直径、ブラシ毛の密度、アルミニウム板に加える張力、前記研磨材スラリーに配合する研磨材の種類、平均粒子径、粒度分布、および前記研磨材スラリーをアルミニウム板に吹きつける流量・方向・角度などを選択することが好ましい。
【0149】
前記機械的粗面化処理においては、前記ブラシグレイニングのほか、側面に研磨面を設けた研磨ローラで擦って粗面化するローラ研磨、研磨材スラリーを吹き付ける方式、ワイヤーブラシによる粗面化、凹凸を付けた圧延ローラの表面形状をアルミニウム板に転写する方式などを用いても良い。
【0150】
(2)アルカリエッチング処理
前記機械的粗面化処理に引き続いてアルカリエッチング処理をおこなうことにより、前記アルミニウム板の表面に食い込んだ研磨材やアルミニウム屑などが除去され、その後に施される電解粗面化処理を、より均一に、しかも効果的に行うことができる。また、硝酸溶液中または塩酸溶液中での電解粗面化処理で前記アルミニウム板の表面に生じた水酸化アルミニウムの被膜を除去できる。
【0151】
前記アルカリエッチング処理は、前記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより行なうことができる。
【0152】
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば前記アルカリ溶液を収容する槽中を連続的に通過させる方法、前記アルカリ溶液を収容する槽中に浸漬する方法、および前記アルカリ溶液を前記アルミニウム板の表面に噴霧する方法などがある。
【0153】
前記アルカリエッチング処理におけるアルミニウム板の溶解量、換言すればエッチング量は、前記機械的粗面化処理に引き続いて行なうアルカリエッチング処理(1)においては2〜15g/m2の範囲が好ましく、特に3〜10g/m2の範囲が好ましい。そして、硝酸溶液中の電解粗面化処理に引き続いて行なうアルカリエッチング処理(2)、および塩酸溶液中の電解粗面化処理に引き続いて行なうアルカリエッチング処理(3)においては、エッチング量は、0.05g/m 2 以上が好ましい。なお、アルカリエッチング処理(2)0.05〜4g/m2の範囲がさらに好ましく、特に0.2〜3.5g/m2の範囲が好ましい。そして、アルカリエッチング処理(3)においては、エッチング量は、特に0.1〜0.3g/m2の範囲が好ましい。
【0154】
前記アルカリ溶液としては、苛性アルカリおよびアルカリ金属塩の溶液等が挙げられる。
【0155】
苛性アルカリとしては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等が挙げられる。
【0156】
前記アルカリ金属塩としては、メタ珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、および珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、アルミン酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウム等のアルカリ金属アルミン酸塩、グルコン酸ナトリウムおよびグルコン酸カリウム等のアルカリ金属アルドン酸塩、並びに第二燐酸ナトリウム、第二燐酸カリウム、第三燐酸ナトリウム、および第三燐酸カリウム等のアルカリ金属燐酸水素塩等が挙げられる。前記アルカリ溶液としては、エッチング速度が速い点および安価である点から、苛性アルカリの溶液、および前記苛性アルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との溶液が特に好ましい。
【0157】
前記アルカリ溶液としては、アルミニウムイオンを所定量含有する水酸化ナトリウム溶液が特に好ましい。
【0158】
前記水酸化ナトリウム溶液中の水酸化ナトリウムの濃度は、前記アルカリエッチング処理(1)〜(3)の何れにおいてもは20〜30重量%の範囲が好ましい。
【0159】
前記アルカリ溶液の液温は、前記アルカリエッチング処理(1)〜(3)の何れにおいては40〜80℃の範囲が好ましい。
【0160】
前記アルカリエッチング処理は、アルミニウム板のエッチング処理に通常に使用されるエッチング装置を用いて行うことができる。前記エッチング装置としては、アルカリ溶液を貯留する槽を有し、前記槽中に前記アルミニウム板を浸漬する形態のもの、およびスプレーノズルを有し、前記スプレーノズルから前記アルミニウム板に向って前記アルカリ溶液を吹き付ける形態のものが挙げられる。前記エッチング装置は、バッチ式であっても連続式であってもよい。
【0161】
前記アルカリエッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。
【0162】
(3)デスマット処理
前記アルカリエッチング処理(1)、(2)、および(3)においては、前記アルミニウム板をアルカリ溶液で処理するので、表面にスマットが生成する。
【0163】
そこで、前記アルカリエッチング処理(1)、(2)、および(3)が終了する毎に、前記アルミニウム板を酸性溶液に接触させてデスマット処理し、表面のスマットを除去する。
【0164】
前記デスマット処理は、前記アルミニウム板を酸性溶液中に浸漬するか、酸性溶液中を通過させるかして行なうことができ、また、前記酸性溶液を、スプレーノズルを用いて吹付けるスプレー処理により行うことができる。
【0165】
前記デスマット処理としては、前記スプレー処理が好ましい。
【0166】
酸性溶液としては、主要な酸成分として、硝酸、硫酸、塩酸、およびクロム酸から選択される1種または2種以上の酸を含有する溶液が挙げられる。前記酸性溶液における前記酸性分の濃度は0.5〜60重量%が好ましい。前記酸性溶液中には、アルミニウムイオン、および前記微量元素のうち前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中に含まれるもののイオンが0〜5重量%溶解していても良い。具体的には、前記アルカリエッチング処理(1)の後に行なうデスマット処理であるデスマット処理(1)においては、前記酸性溶液としては、硝酸を0.5〜1.5重量%含有する硝酸水溶液が好ましく、前記アルカリエッチング処理(2)の後に行なうデスマット処理であるデスマット処理(2)においては、前記酸性溶液としては、硫酸を8〜35重量%含有する硫酸溶液が好ましい。
【0167】
そして、前記アルカリエッチング処理(3)の後に行なうデスマット処理であるデスマット処理(3)においては、前記酸性溶液としては、硝酸を0.5〜1.5重量%含有する硝酸水溶液が好ましい。
【0168】
また、前記デスマット処理(1)および(2)においては、前記酸性溶液として、引き続いて行う電解粗面化処理または後述する陽極酸化処理で排出される廃液を使用すれば、前記電解粗面化処理(1)および前記陽極酸化処理において排出される廃液の量を削減できるから好ましい。また、前記デスマット処理(3)においては、前記酸性溶液として、前記陽極酸化処理で排出される廃液を使用すれば、廃液の量を大幅に削減できるだけでなく、前記デスマット処理(3)後に前記アルミニウム板を洗浄することなく、直ちに前記陽極酸化処理に移行できるから、デスマット処理装置と陽極酸化処理装置との間の洗浄設備を省略できる点でも好ましい。
【0169】
前記酸性溶液の液温は、前記デスマット処理(1)、(2)、および(3)の何れにおいても、常温〜95℃の範囲が好ましく、特に、25〜80℃の範囲が好ましい。
【0170】
処理時間は1〜30秒が好ましく、特に1−5秒が好ましい。
【0171】
デスマット処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましいが、酸性溶液として、次の工程で用いる液と同じ種類・組成の液、または次の工程で排出される廃液を使用する場合には、前記液切りおよび水洗を省略することができる。
【0172】
(4)硝酸溶液中での電解粗面化処理
硝酸溶液中での電解粗面化処理は、前述した塩酸溶液中での電解粗面化処理と同様に行うことができる。但し、前記アルミニウム板が陽極のときの電気量である陽極時電気量Q1と、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理における陽極時電気量Q2との比率Q1/Q2が1以上になるように電流を印加することが好ましい。
【0173】
具体的には、陽極時電気量Q1が40〜400C/dm2になるように印加することが好ましい。
【0174】
なお硝酸溶液としては、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いる硝酸水溶液を使用できる。
【0175】
前記硝酸水溶液としては、硝酸を1〜100g/リットル含む硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、および塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸塩から選択される1種以上の塩を、1g/リットル〜飽和濃度の範囲で添加したものを挙げることができる。前記硝酸水溶液には、銅と錯体を形成する化合物を1〜200g/リットルの濃度になるように添加することもできる。前記硝酸水溶液中には、さらに、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等の前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中に含まれる微量元素が溶解していてもよい。加えて、次亜塩素酸または過酸化水素を1〜100g/リットルの濃度で含有していてもよい。
【0176】
前記硝酸水溶液としては、硝酸を0.5〜1.5重量%含有する希硝酸に、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度を2〜7g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。
【0177】
また、硝酸水溶液中で電解粗面化処理を行っていると、還元反応により、前記硝酸水溶液中にアンモニウムイオンが生成するので、前記硝酸水溶液中に、アンモニウムイオン濃度が50−150ppmになるように、予め硝酸アンモニウムを添加することがとくに好ましい。
【0178】
前記硝酸水溶液の液温は、30〜80℃が好ましく、35〜60℃が特に好ましい。
【0179】
3.陽極酸化処理
粗面化後のアルミニウム板には、陽極酸化処理によって陽極酸化被膜を形成することが好ましい。
【0180】
前記陽極酸化処理に用いられる酸性電解液としては、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、およびそれらの混合物を主要な酸成分とする酸性溶液が用いられるが、陽極酸化処理により多孔質酸化皮膜を形成できる溶液であれば、前記の酸性溶液には限定されない。
【0181】
陽極酸化の処理条件は、用いる酸性電解液の組成によって変わるので、一概には特定できないが、一般的には、前記酸成分の濃度が1〜80重量%であり、液温が5〜70℃であり、電流密度が1〜60A/dm2であり、電圧が1〜100Vであり、処理時間が10秒〜300秒の範囲が適当である。
【0182】
陽極酸化皮膜の量は、1〜5g/m2の範囲が適当である。陽極酸化皮膜の量が1g/m2以上であれば、充分な耐刷性が得られるから、平版印刷版の非画像部に傷が付き難く、したがって、傷の部分にインキが付着する所謂きず汚れが生じ難い。陽極酸化皮膜量が多くなると、アルミニウム板のエッジ部分に酸化皮膜が集中しやすくなるが、陽極酸化皮膜の量が5g/m2以下であれば、このような問題が生じることはない。但し、アルミニウム板のエッジの部分と中心部分の酸化皮膜量の差は1g/m2以下であることが好ましい。
【0183】
前記酸性電解液として硫酸水溶液を用いる場合には、通常は、前記アルミニウム板に直流電流を印加して陽極酸化処理を行なうが、交流を印加して陽極酸化処理を行なってもよい。
【0184】
硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行なう場合には、特開昭54−128453号公報および特開昭48−45303号各公報に詳しく記載されているように、硫酸濃度が10〜300g/リットルであり、アルミニウムイオンの濃度が1〜25g/リットルの硫酸水溶液が好ましく、硫酸濃度が80〜200g/リットルであり、アルミニウムイオンの濃度が2〜10g/リットルである硫酸水溶液が特に好ましい。液温は30〜60℃が好ましく、特に30〜55℃の範囲が好ましい。
【0185】
直流を用いて陽極酸化処理を行なうときは、電流密度は、1〜60A/dm2の範囲が好ましく、特に5〜40A/dm2の範囲が好ましい。アルミニウム板を連続的に陽極酸化する場合は、アルミニウム板の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐために、最上流側においては5〜10A/dm2の低電流密度で陽極酸化処理をおこない、下流側に向かって徐々に電流密度を高め、30〜50A/dm2またはそれよりも高い値にまで電流密度を高くすることが好ましい。電流密度は、5〜15ステップで徐々に上げることが好ましく、各ステップごとに独立した電源装置を設けて前記電源装置のそれぞれにおいて電流密度を制御することにより、下流側に向かって徐々に電流密度を高めることができる。前記アルミニウム板への給電方法は、コンダクタローラを用いない後述する液給電方式が好ましい。特開2001−11698号公報にはその一例が示されている。
【0186】
アルミニウム板への給電方式としては、前記電解粗面化処理のときと同様に、直接給電方式と液給電方式とが挙げられる。
【0187】
直接給電方式は、高速・高電流密度になるとコンダクタローラとアルミニウムウェブ間のスパーク発生の問題が発生して不利なので、ライン速度が30m/分以下の比較的低速・低電流密度の陽極酸化装置で用いられることが多く、間接給電方式は、ライン速度が30m/minを越える高速・高電流密度の陽極酸化装置で用いられることが多い。
【0188】
間接給電方式を使用する場合には、連続表面処理技術(総合技術センター、昭和61年9月30日発行)の289頁にあるように、山越型またはストレート型の槽レイアウトを用いることができる。
【0189】
直接給電方式、間接給電方式ともに、アルミニウムウェブ内の電圧ドロップによるエネルギーロスを少なくする目的で、陽極酸化処理工程は2つ以上に分離し、それぞれの電解装置の給電槽と酸化槽、またはコンダクタローラと酸化槽の間に直流電源を接続して用いることがとくに好ましい。
【0190】
陽極酸化処理工程においては大電流を流すため、ブスバーに流れる電流により発生する磁界により、アルミニウム板にローレンツ力が働く。その結果ウェブが蛇行する問題が生じるため、特開昭57−51290に記載のような方法を用いることが特に好ましい。
【0191】
また、アルミニウム板には大電流が流れるため、アルミニウム板自身を流れる電流による磁界により、アルミニウム板の幅方向において中央に向かってローレンツ力が働く。その結果アルミニウム板に折れが発生しやすくなるため、陽極酸化処理槽内に直径100〜200mmのパスローラーを100〜3000mmピッチで複数設け、1度から15度の角度でラップさせてローレンツ力による折れを防止する方法をとることが特に好ましい。
【0192】
また、陽極酸化被膜は、アルミニウム板のエッジに近づくほど生成量が多くなり、厚さが厚くなるから、巻き取り装置においてアルミニウム板をうまく巻きとれないという問題が生じることがある。前記問題は、特公昭62−30275公報および特公昭55−21840号公報に記載されているように、酸性電解液を撹拌することにより解決できる。酸性電解液を攪拌しても前記問題が十分に解決できない場合には、巻き取り装置を0.1〜10Hzの周期で5〜50mmの振幅でアルミニウム板の幅方向にオシレートさせれば、前記アルミニウム板の巻取りの問題を解決できる。
【0193】
アルミニウム板に電流を通電するための陽極としては、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライトなどを用いることができるが、酸化イリジウムを主体とするものが特に好ましい。酸化イリジウムは熱処理により基材に被覆できる。基材としてはチタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウムなどの所謂バルブ金属が用いられるが、チタンまたはニオブが特に好ましい。前記バルブ金属は比較的電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、その周囲にバルブ金属をクラッドすることが特に好ましい。銅の芯材にバルブ金属をクラッドする場合は、あまり複雑な形状のものは作れないので、各パーツに分割して作成した電極部品を、酸化イリジウムを被覆した後にボルト・ナット等で希望の構造となるように組み立てるのが一般的である。
【0194】
4.製版層
前記平版印刷版用支持体の粗面化面に形成できる製版層としては、レーザ光により露光するレーザ製版層、および可視光で露光する可視光製版層が挙げられる。
【0195】
4−1 レーザ製版層
レーザ製版層としては、
A.a.前記レーザ光を吸収して熱に変換する赤外線吸収剤、
b.熱によって酸を発生する酸発生化合物等、および
c.酸によって架橋する酸架橋性化合物
を含有するもの、
B.a.前記赤外線吸収剤、
b.前記酸発生化合物等、および
c.酸によって分解する酸分解性化合物
を含有するもの、
C.a.レーザ光を照射するとラジカルを発生するラジカル発生化合物、
b.アルカリ可溶性バインダ、および
c.ラジカルにより重合するラジカル重合性化合物
D.A.レーザ光が照射されると現像液への溶解性が増大または減少する感光層
B.前記感光層に積層され、ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを有するもの、
E.A.物理現像核を含有する現像核層と、
B.前記現像核層に積層され、前記ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀含有層とを
有するもの、
F.レーザ光を照射することにより除去される親油性層であるレーザ除去性親油層を有するもの、
などが挙げられる。以下、前記レーザ製版層A〜Fにつき、説明する。
【0196】
A.レーザ製版層A
レーザ製版層Aに配合できる赤外線吸収剤aとしては、760nm〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙げられ、具体的には、カーボンブラックなどの黒色顔料、赤色顔料、金属枌顔料、フタロシアニン系顔料、および前記波長の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、シアニン色素などが挙げられる。
【0197】
酸発生化合物等bに包含される酸発生化合物としては、紫外光、可視光、または熱により分解してカルボン酸またはスルホン酸を発生する化合物が挙げられる。
【0198】
前記酸発生化合物としては、例えばイミノフォスフェート化合物など、熱分解によりカルボン酸を発生するカルボン酸発生化合物、および特開平10−207068号公報の[0034]欄〜[0055]欄に例示されたスルホン酸発生化合物などが挙げられる。
【0199】
他には、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、または光変色剤などとして一般に使用されている化合物も、光または熱分解により、カルボン酸またはスルホン酸などの酸を発生するのであれば、前記酸発生化合物として使用できる。
【0200】
酸発生化合物等bとして使用できる酸としては、各種モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびスルホン酸などが挙げられる。
【0201】
酸架橋性化合物cとしては、酸発生化合物bが分解して発生した酸により架橋して現像液に対する溶解性が低下する化合物が挙げられ、具体的には、アルコキシメチル基およびヒドロキシル基の少なくとも一方を有する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、およびN−アシルオキシメチル基のうちの少なくとも1つを有する化合物、ならびにエポキシ化合物などが挙げられる。
【0202】
前記レーザ製版層Aには、さらに、
ノボラック樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)など、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーのようなアルカリ可溶性樹脂、および
一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(R1は、炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であり、Xは、端結合、O、S、COO、またはCONHであり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または複素環基であり、nおよびmは、何れも1〜3の自然数である。)で示される化合物、具体的には、フェノール性水酸基含有化合物を配合することができる。フェノール性水酸基含有化合物としては、ノニルフェノールなどのアルキルフェノール類が挙げられる。
【0203】
前記レーザ製版層Aには、さらに可塑剤なども配合できる。
【0204】
B.レーザ製版層B
レーザ製版層Bは、前記レーザ製版層Aのところで述べたのと同様の赤外線吸収剤と酸発生化合物等とに加えて、酸分解性化合物を含有する。
【0205】
酸分解性化合物は、酸によって分解する性質を有する化合物であり、具体的には、酸によって分子量が低下してアルカリ性現像液に対する溶解度が高くなる酸分解性高分子化合物が挙げられる。
【0206】
酸分解性高分子化合物としては、たとえば、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基:
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO3H2)
の内の少なくとも1つを主鎖および側鎖の何れかまたは両方に有する高分子が、酸と反応したときのアルカリ性現像液に対する溶解性の増大が大きい点、および酸と反応する前において前記溶解性が小さい点で好ましい。なお、上記(1)〜(6)中、Arは2価のアリール基を表し、Rは炭化水素基を表す。アリール基Arおよび炭化水素基Rの何れも置換基を有していてもよい。
【0207】
前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有し、アルカリ溶液に可溶な高分子の中でも、フェノール基(1)を有するフェノール基含有高分子、スルホンアミド基(2)を有するスルホンアミド基含有高分子、および活性イミド基(3)を有するを有する活性イミド基含有高分子が好ましく、特に、フェノール基含有高分子およびスルホンアミド基含有高分子が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
【0208】
酸性基(1)〜(6)を有する高分子としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
【0209】
(1)フェノール基含有高分子
フェノール基含有高分子としては、たとえば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。
【0210】
さらに、フェノール基を側鎖に有するビニルモノマーであるフェノール性ビニルモノマーの単独重合体、および前記フェノール性ビニルモノマーと他のビニルモノマーとの共重合体を挙げることもできる。
【0211】
フェノール性ビニルモノマーとしては、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等のヒドロキシアルキルスチレン、フェノール基を有する(メタ)アクリルアミド、およびフェノール基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0212】
フェノール基含有高分子の分子量については、重量平均分子量が5.0×102〜2.0×104であり、数平均分子量が2.0×102〜1.0×104であれば、画像形成性の点で好ましい。
【0213】
また、前記フェノール基含有高分子は、単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0214】
前記フェノール基含有高分子を2種以上組み合わせる場合には、米国特許第4123279号明細書に記載されているようなt−ブチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体やオクチルフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体などの炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、および本発明者らが先に出願した特開2000−241972号公報に記載の芳香環上に電子吸引性基を有するフェノール構造を有する高分子などを併用してもよい。
【0215】
(2)スルホンアミド基含有高分子としては、例えば、スルホンアミド基を有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成された重合体を挙げることができる。
【0216】
前記モノマーとしては、重合可能な不飽和基と、非置換スルホンアミド基またはモノ置換スルホンアミド基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーが挙げられる。
【0217】
前記モノマーとしては、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、非置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基とを分子内に有するモノマーが好ましい。
【0218】
前記モノマーとしては、例えば、下記一般式1〜5で表される化合物が挙げられる。
【0219】
【化1】
〔式中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−または−NR27−を表す.R21、R24は、それぞれ独立に水素原子または−CH3を表す。R22、R25、R29、R32およびR36は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基を表す。R23、R27およびR33は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。また、R26、R37は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R28、R30およびR34は、それぞれ独立に水素原子または−CH3を表す。R31、R35は、それぞれ独立に単結合、または置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基を表す。Y3、Y4は、それぞれ独立に単結合、または−CO−を表す。〕
一般式1〜5で表されるモノマーのうちでは、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0220】
(3)活性イミド基含有高分子としては、例えば、活性イミド基を有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成された重合体を挙げることができる。このようなモノマーとしては、下記構造式で表される活性イミド基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーを挙げることができる。
【0221】
【化2】
このようなモノマーとしては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0222】
(4)カルボン酸基を有するカルボン酸基含有高分子としては、例えば、カルボン酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成される重合体を挙げることができる。
【0223】
(5)スルホン酸基を有するスルホン酸基含有高分子としては、例えば、スルホン酸基と重合可能な不飽和基とを分子内にそれぞれ1以上有するモノマーに由来するモノマー単位から主に構成される重合体を挙げることができる。
【0224】
(6)リン酸基を有するアルカリ水可溶性高分子としては、例えば、重合可能な不飽和基と、リン酸基とを分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来するモノマー単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
【0225】
前記高分子は、前記酸性基(1)〜(6)の何れかを有する1種類のモノマー単位のみからなるものには限定されず、同一または異なる酸性基を有する2種以上のモノマー単位からなる共重合体も前記高分子に包含される。
【0226】
前記共重合体としては、酸性基(1)〜(6)の何れかを有するモノマー単位が10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。
【0227】
C.レーザ製版層C
レーザ製版層Cに用いられるラジカル発生剤aとしては、ビニル系モノマーの光重合に通常に使用される光重合開始剤が使用できる。
【0228】
アルカリ可溶性バインダbとしては、たとえばフェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹脂、ピロガロール樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などのフェノール性水酸基を有するフェノール系ポリマー、少なくとも一部のモノマー単位がスルホンアミド基を有するポリマーであるスルホンアミド基含有ポリマー、N−(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリルアミド基などの活性イミド基を有するモノマーの単独重合または共重合により得られる活性イミド基含有ポリマーなどが使用できる。
【0229】
ラジカル重合性化合物cとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルであるエチレン性不飽和カルボン酸多価エステル、前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価アミンとからなるメチレンビス(メタ)アクリルアミド、キシリレン(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボン酸多価アミドなどが挙げられる。
【0230】
ラジカル重合性化合物cとしては、他に、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸モノエステルなども使用できる。
【0231】
レーザ製版層Cには、さらに、チタノセン化合物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、キサンテン色素、クマリン色素などの増感剤を配合してもよい。
【0232】
D.レーザ製版層D
レーザ製版層Dにおける感光層Aとしては、たとえば、前記レーザ製版層A〜Cの何れかが挙げられる。
【0233】
ハロゲン化銀含有層Bにおけるハロゲン化銀および還元剤としては、通常の銀塩写真に使用されるハロゲン化銀および還元剤が挙げられる。
【0234】
E.レーザ製版層E
レーザ製版層Eにおける現像核層Aとしては、たとえばCarey Lea法により調製された銀ゾルから形成された層が挙げられる。
【0235】
ハロゲン化銀Bにおけるハロゲン化銀としては、通常の銀塩写真に使用されるハロゲン化銀が挙げられる。
【0236】
F.レーザ感光像F
レーザ除去性親油層としては、適宜の方法で平版印刷版用支持体の粗面化面に形成された銀層が挙げられる。
【0237】
以下、レーザ製版層A〜Fの形成方法について説明する。
【0238】
レーザ製版層A〜Cは、構成成分を溶剤に溶解または懸濁させたレーザ製版層形成液を平版印刷版用支持体の粗面化面に塗布し、乾燥させて形成できる。
【0239】
前記溶剤としては、レーザ製版層A〜Cの構成成分を溶解し、しかも、室温である程度の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たとえばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミド系溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
【0240】
アルコール系溶剤としては、エタノール、プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およびジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコールエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。
【0241】
また、レーザ製版層形成液は、たとえば、コーティングロッドを用いる方法、エクストルージョン型コーターを用いる方法、スライドビードコーターを用いる方法など、従来公知の方法が使用でき、また公知の条件に従って塗布できる。
【0242】
前記レーザ製版層形成液を塗布後のアルミニウム板を乾燥する装置としては、特開平6−63487号公報に記載の、乾燥装置内にパスロールを配置し、前記パスロールで搬送しつつ乾燥するアーチ型ドライヤー、上下からノズルによりエアーを供給し、ウェブを浮上させながら乾燥するエアードライヤー、高温に加熱された媒体からの輻射熱で乾燥する輻射熱ドライヤー、およびローラを加熱し、前記ローラとの接触による伝導伝熱により乾燥するローラドライヤー等がある。
【0243】
なお、レーザ製版層Cを形成するときは、シラン化合物を水、アルコール、またはカルボン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物などの反応性官能基を有するシリコーン化合物で平版印刷版用支持体の粗面化面を予め処理すると、平版印刷版用支持体と前記レーザ製版層との接着性が向上するから好ましい。
【0244】
レーザ製版層Dは、前述の方法により形成されたレーザ製版層A〜Cに重ねて、ハロゲン化銀ゾルと前記還元剤とをゼラチンなどの乳化剤で乳化したハロゲン化銀乳液を塗布し、乾燥することにより形成できる。
【0245】
レーザ製版層Eにおける現像核層は、たとえば、Carey Lea法により調製した銀ゾルを前記平版印刷版用支持体の表面に塗布し、乾燥することにより、形成できる。
【0246】
ハロゲン化銀含有層は、前記手順で形成された現像各層に重ねて、前記ハロゲン化銀乳液を塗布し、乾燥することにより形成できる。
【0247】
レーザ製版層Fは、たとえば、前記平版印刷版用支持体の粗面化面の全面に前記ハロゲン化銀乳液を塗布し、全面露光・現像・定着を行うことにより形成できる。
【0248】
また、前記平版印刷版用支持体の粗面化面に、銀を無電解鍍金または蒸着などの方法により付着させて銀薄膜を形成してもよい。
【0249】
4−2 可視光製版層
前記可視光製版層としては、たとえば、
a.酸発生化合物と、
b.スルホン酸放出性高分子とを
含有するダイレクト型製版層が挙げられる。
【0250】
前記酸発生化合物としては、レーザ製版層Aおよびレーザ製版層Bのところで述べた酸発生化合物aが挙げられる。特に好ましいものとしては、特開平10−207068号公報の[0034]欄〜[0055]欄に例示されたスルホン酸発生化合物が挙げられる。
【0251】
スルホン酸放出性高分子としては、たとえば、以下の一般式6:
−L−SO2−O−R1 … 一般式6
(式中、Lは、金属原子を含有しない2価の有機基を示し、R1は、置換されてもされていなくてもよいアリール基、アルキル基、または環状イミド基を示す。)
または一般式7:
−L−SO2−SO2−R2 … 一般式7
(式中、Lは、金属原子を含有しない2価の有機基を示し、R2は、置換されてもされていなくてもよいアリール基またはアルキル基を示す。)
で示される構造の側鎖を有する高分子化合物が挙げられる。
【0252】
前記高分子化合物としては、具体的には、特開平10−207068号公報の[0016]欄〜[0033]欄に記載された高分子化合物が挙げられる。
【0253】
前記可視光製版層としては、前記ダイレクト型製版層のほか、感光性樹脂および必要に応じて着色剤などを含有するものが挙げられる。
【0254】
前記感光性樹脂としては、光が当たると現像液に溶けるようになるポジ型感光性樹脂、および光が当たると現像液に溶解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙げられる。
【0255】
ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等が挙げられる。
【0256】
一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポリマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン等のビニル重合性化合物と、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重合開始剤との組み合わせ等が挙げられる。
【0257】
前記着色剤としては、通常の色素のほか、露光により発色する露光発色色素、および露光により殆どまたは完全に無色になる露光消色色素等が使用できる。前記露光発色色素としては、たとえばロイコ色素等が挙げられる。一方、前記露光消色色素としては、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、およびアントラキノン系色素等が挙げられる。
【0258】
前記可視光製版層は、前記ポジ型感光性樹脂またはネガ型感光性樹脂、および前記着色料を溶媒に溶解または懸濁させた製版層形成液を前記平版印刷版用支持体の粗面化面に塗布し、乾燥させることにより形成できる。前記溶媒、塗布方法、および嵌装方法は、前記レーザ製版層のところで述べた通りである。
【0259】
【実施例】
(実施例1〜18、 比較例1〜5)
<平版印刷版用支持体の作製>
表1に示すアルミニウム含有量および金属間化合物密度を有する幅1100 mm、厚さ0.24mmのアルミニウムウェブを以下の手順および条件に従って粗面化した。前記アルミニウムウェブの金属間化合物の密度は、粗面化されたアルミニウム板の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、前記アルミニウム板の表面における5ヶ所(n=5)について、60μm×50μmの範囲で金属間化合物の粒子の個数を数えて1mm2当りの個数に換算することにより求めた。結果を表1に示す。
【0260】
a.機械的粗面化:
研磨材スラリーをスプレー管からアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ブラシにより機械的な粗面化をおこなった。
【0261】
研磨材スラリーとしては、平均粒径が20μmのパミスストーン粉末を7.7重量%水に懸濁させたスラリーを用いた。
【0262】
ローラ状ブラシとしては、8号ナイロンブラシを3本使用した。前記ローラ状ブラシのそれぞれに2本の支持ローラを設けた。前記支持ローラの直径は200mmであり、距離は300mmであった。
【0263】
前記ローラ状ブラシの押し込み量は、前記ローラ状ブラシを回転させる駆動モータの負荷の、前記ローラ状ブラシを押し付ける前の負荷に対する増大量が一定になり、粗面化後のアルミニウム板の平均表面粗さが0.4〜0.5μmになるように制御した。オシレートの振幅は100mmであった。
【0264】
b.アルカリエッチング処理(1)
機械的粗面化処理後のアルミニウムウェブの粗面化面に、スプレー管から、NaOHを26重量%含有する液温60℃のアルカリ溶液を噴きつけ、エッチング量が5g/m2になるようにアルカリエッチング処理を行った。
【0265】
c.デスマット処理(1)
次に、硝酸を1重量%含有する液温35℃の硝酸水溶液を前記アルミニウムウェブの粗面化面に10秒間噴きつけてデスマット処理を行った。
【0266】
d.硝酸溶液中での電解粗面化処理
硝酸を1重量%含有する液温が50℃の硝酸溶液中で、周波数が60Hzの台形波電流を印加して電解粗面化処理を行った。電流密度は50A/dm2であり、アルミニウムウェブが陽極時の電気量Q1は、表1に示す通りであった(なお、前記電気量Q1は、塩酸溶液中での電解粗面化処理におけるアルミニウムウェブが陽極時の電気量Q2との比率で示した。)。
【0267】
e.アルカリエッチング処理(2)
前記電解粗面化後のアルミニウムウェブの粗面化面に、スプレー管から、NaOHを26重量%含有する液温60℃のアルカリ溶液を噴きつけて、表1に示すエッチング量になるようにアルカリエッチング処理を行った。なお、前記エッチング量は、処理時間を増減することにより変化させた。
【0268】
f.デスマット処理(2)
次に、前記アルミニウムウェブの粗面化面に、濃度30重量%、液温35℃の硫酸溶液を10秒間スプレーしてデスマット処理を行った。
【0269】
g.塩酸溶液中での電解粗面化処理
塩酸濃度1重量%、液温35℃の塩酸水溶液中において、周波数60Hzの台形波電流を印加して電解粗面化処理を行なった。
【0270】
電流密度は15A/dm2であり、アルミニウムウェブの陽極時の電気量Q2は50C/dm2であった。
【0271】
h.アルカリエッチング処理(3)
アルカリエッチング処理(2)と同様にして前記アルカリエッチング処理を行った。前記エッチング量も、同様に、処理時間を増減することにより変化させた。
【0272】
i.デスマット処理(3)
デスマット処理(2)と同様にしてデスマット処理を行った。
【0273】
j.陽極酸化処理
硫酸濃度15重量%、液温35℃の硫酸溶液中で、前記アルミニウムウェブに直流を印加して、陽極酸化被膜の被膜量が2g/m2になるように陽極酸化処理を行った。
【0274】
【表1】
<製版層の形成>
上述の手順に沿って作製した平版印刷版用支持体の粗面化面に、下記の処方の塗布液を塗布し、乾燥させ、製版層を形成した。
【0275】
【0276】
< 評 価 >
(1)感度
得られた平版印刷版を、Creo社製Trend Setter 3244を用い、100mJ/cm2の版面エネルギー量で全面露光し、現像液としてSiO2/Na2Oのモル比が1.74の珪酸ナトリウムの5.26%水溶液(pH=12.7)を、リンス液として富士写真フィルム(株)製FR−3(1:7)を仕込んだ富士写真フィルム(株)製自動現像機スタブロン900Dに通して処理した。
【0277】
現像後の平版印刷版の表面をルーペで観察し、残膜の量につき、以下の尺度に従って◎、○、○△、△、△×、×の6段階で評価した。
【0278】
記号
◎ 残膜全く無し
○ 残膜僅かにあり
○△ 残膜少し発生、ルーペ視野内に100μm以下の大きさの残膜が数個
△ 残膜あるが、印刷時に問題にならないレベル
△× 残膜矢や多く、印刷時に汚れが発生するレベル
× 残膜多く、印刷時に汚れが強く発生するレベル。
【0279】
結果を表2に示す。
【0280】
(2)耐刷性
得られた平版印刷版を、Creo社製Trend Setter 3244を用いて140mJ/cm2の版面エネルギーで像様に露光し、感度の評価のときと同様にして現像を行った。
【0281】
現像後の平版印刷版について、印刷性能を評価した。印刷機としてハイデルベルグ社製SOR−Mを使用し、湿し水として富士写真フィルム(株)製EU−3(1:100)にイソプロパノールを10%添加したものを使用し、インキとしては、東洋インキ(株)製マークファイブニュー墨を用いて印刷を行なった。
【0282】
印刷物の非画像部に汚れが発生し始めるまでの枚数に基き、下記の尺度に従って◎、○、○△、△、△×、×の6段階で耐刷性を評価した。
【0283】
記号 非画像部に汚れが発生し始めるまでの枚数
◎ 5万枚以上
○ 4.5万枚以上5万枚未満
○△ 4万枚以上4.5万枚未満
△ 3.5万枚以上4万枚未満
△× 3万枚以上3.5万枚未満
× 3万枚未満。
【0284】
結果を表2に示す。
【0285】
(3)強度
製版層を形成するまえの平版印刷版様支持体につき、JIS Z 2241に従って引張り試験を行った。 印刷物の非画像部に汚れが発生し始めるまでの枚数に基き、下記の尺度に従って◎、○、○△、△、△×、×の6段階で強度を評価した。
【0286】
記号 引張り強度
◎ 150〜180MPa
○ 120〜149MPa
× 119MPa以下。
【0287】
結果を表2に示す。
【0288】
【表2】
(参考例)
<平版印刷版様支持体の作製>
実施例1〜18と同様の手順および条件でアルミニウムウェブを粗面化し、平版印刷版用支持体を作製した。
【0289】
得られた平版印刷版用支持体の粗面化面に、製版層aおよび製版層c〜jを形成した。
【0290】
製版層a、製版層c〜iは、以下に示す組成の塗布液を塗布し、乾燥させて形成した。 製版層jは、特開平11−139023号公報の[0052]〜[0056]欄(実施例1)に記載された手順に従って前記平版印刷版用支持体の粗面化面上に銀薄膜を形成することにより、作製した。
【0291】
製版層a、製版層c〜iの形成に使用した製版層塗布液の組成は、以下の通りである。
【0292】
【0293】
【0294】
b.酸素遮断層塗布液(光重合層塗布液の乾燥後に塗布)
・鹸化度98.5%のポリビニルアルコール(クラレ(株)製、商品名:PVA−105)の3重量%水溶液。
【0295】
なお、線状有機高分子重合体(B1)、増感剤(C1)、光開始剤(D1)、およびIRGACURE907(E1)の分子構造は、以下の通りである。
【0296】
【化3】
【0297】
【0298】
(製版層g)
a.物理現像核層
Carey Lea法により調製した銀ゾルを、銀量が5mg/m2になるように塗布。
b.ハロゲン化銀層(物理現像核層の上に塗布)
40モル%の塩化銀と60モル%の臭化物とからなり、平均粒径が0.3μmの塩臭化物乳剤(銀量:ゼラチン(重量比)=1:1)を2.0g/m2の塗布量で塗布。
【0299】
【0300】
(製版層i)
・酸の作用でスルホン酸を発生する高分子化合物であって、以下の構造式を有す る官能基を側鎖に有する高分子化合物
【0301】
【化4】
【0302】
製版層a〜jの何れを設けた平版印刷版につき、実施例1と同様にして感度、耐刷性、および強度を評価したところ、感度、耐刷性、および強度の何れにも優れていることが判った。
【0303】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レーザ露光適性および印刷性能に優れ、直描型平版印刷版として好適に使用できる平版印刷版、前記平版印刷版の基材になる平版印刷版用支持体、およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法において使用されるラジアル型の電解槽の一例を示す断面図である。
Claims (8)
- アルミニウム含有量が99重量%以上であり、表面から2μm以内の深さに存在する金属間化合物の密度が500〜35,000個/mm2の範囲であるアルミニウム板を、塩酸溶液に浸漬してから5秒以内に前記塩酸溶液中での電解粗面化処理を開始することにより粗面化し、塩酸溶液中での電解粗面化処理後に前記アルミニウム板を0.05〜0.2g/m 2 のエッチング量でアルカリエッチング処理してなる平版印刷版用支持体と、前記平版印刷版用支持体の粗面化面に形成され、赤外線吸収剤を含有するレーザ製版層とを有する平版印刷版。
- 前記粗面化において、硝酸溶液中での電解粗面化処理およびそれに引き続くアルカリエッチング処理を、塩酸溶液中での電解粗面化処理に先立って施してなる請求項1に記載の平版印刷版。
- 前記アルカリエッチング処理において、前記アルミニウム板を0.05〜5g/m2のエッチング量でエッチングしてなる請求項2に記載の平版印刷版。
- 前記硝酸溶液中での電解粗面化処理における前記アルミニウム板が陽極のときの電気量である陽極時電気量をQ1、前記塩酸溶液中での電解粗面化処理における陽極時電気量をQ2とすると、Q1/Q2は1以上である請求項2または3に記載の平版印刷版。
- 前記アルミニウム板を粗面化後、陽極酸化処理を行い、前記粗面化により形成された粗面化面に陽極酸化被膜を形成してなる請求項1〜4の何れか1項に記載の平版印刷版。
- 前記製版層は、赤外線レーザ光で露光するレーザ製版層である請求項1に記載の平版印刷版。
- 前記レーザ製版層は、
a.前記レーザ光を吸収して熱に変換する赤外線吸収剤、
b.熱によって酸を発生する酸発生化合物と前記酸との何れか、および
c.酸によって架橋する酸架橋性化合物
を含有してなる請求項6に記載の平版印刷版。 - 前記レーザ製版層は、
a.前記赤外線吸収剤、
b.前記酸発生化合物と前記酸との何れか、および
c.酸によって分解する酸分解性化合物
を含有してなる請求項6に記載の平版印刷版。
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