JP2003039846A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法、平版印刷版用アルミニウム支持体、および平版印刷原版 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法、平版印刷版用アルミニウム支持体、および平版印刷原版

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JP2003039846A
JP2003039846A JP2001236721A JP2001236721A JP2003039846A JP 2003039846 A JP2003039846 A JP 2003039846A JP 2001236721 A JP2001236721 A JP 2001236721A JP 2001236721 A JP2001236721 A JP 2001236721A JP 2003039846 A JP2003039846 A JP 2003039846A
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JP2001236721A
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English (en)
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Atsuo Nishino
温夫 西野
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐刷力と汚れ性能とが高いレベルで両立し
た平版印刷板用アルミニウム支持体が得られる平版印刷
板用アルミニウム支持体の製造方法、平版印刷板用アル
ミニウム支持体、および平版印刷原版の提供。 【解決手段】アルミニウム板の少なくとも一方の面に、
機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理(1)、デ
スマット処理(1)、硝酸水溶液中での電解粗面化処理
(1)、アルカリエッチング処理(2)、デスマット処
理(2)、塩酸水溶液中での電解粗面化処理(2)、ア
ルカリエッチング処理(3)、デスマット処理(3)、
および(陽極酸化処理を順次行なって粗面化処理する平
版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法、平版印刷版
用アルミニウム支持体、平版印刷原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法、平版印刷版用アルミニウム
支持体、および平版印刷原版に関し、特に、コンピュー
タの印刷データに基き、レーザ光により、印刷画像を直
接に書き込んで製版する所謂デジタル刷版として好適な
支持体が得られる平版印刷版用アルミニウム支持体の製
造方法、前記製造方法で得られた平版印刷版用アルミニ
ウム支持体、および前記平版印刷版用アルミニウム支持
体の粗面化面に画像形成層を形成した平版印刷原版に関
する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷版用アルミニウム支持体は、一
般には、アルミニウム板の少なくとも一方の面に、機械
的粗面化、酸又はアルカリ溶液中での化学的エッチン
グ、酸性水溶液中でのデスマット処理、電気化学的な粗
面化である電解粗面化処理、酸性水溶液中での陽極酸化
処理、親水化処理、および封孔処理などから選択される
1つ以上の処理を組み合わせて粗面化処理することによ
り製造される。
【0003】とくに、前記電解粗面化処理は、均一な凹
凸を得やすいことから、平版印刷版用アルミニウム支持
体の粗面化方法として一般的に用いられてきた。前記電
解粗面化処理としては、とくに、塩酸または硝酸水溶液
中での電解粗面化処理が主に行なわれてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】赤外線レーザ用感光性
画像形成材料で形成された画像形成層を有するダイレク
ト製版用の平版印刷原版、または従来のポジまたはネガ
型フィルムを用いる平版印刷原版に使用されるアルミニ
ウム支持体としては、印刷枚数(耐刷力)と汚れ性能と
を高いレベルで両立させたものが望まれていたが、従来
の平版印刷版用アルミニウム支持体は、この点で十分で
はなかった。
【0005】本発明は、耐刷性と汚れ性能とが高いレベ
ルで両立した平版印刷版用アルミニウム支持体を製造で
きる平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法、前記
製造方法で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体、
および前記平版印刷版用アルミニウム支持体において粗
面化処理された粗面化面に画像形成層を積層した平版印
刷原版を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、アルミニウム板の少なくとも一方の面に、(1) 機械
的に粗面化する機械的粗面化処理、(2) アルカリ溶液に
よりエッチングするアルカリエッチング処理(1)、
(3) 酸性溶液中でデスマット処理するデスマット処理
(1)、(4) 硝酸水溶液中で電解粗面化処理を行なう電
解粗面化処理(1)、(5) アルカリ溶液によりエッチン
グするアルカリエッチング処理(2)、(6) 酸性溶液中
でデスマット処理するデスマット処理(2)、(7) 塩酸
水溶液中で電解粗面化処理を行なう電解粗面化処理
(2)、(8) アルカリ溶液によりエッチングするアルカ
リエッチング処理(3)、(9) 酸性溶液中でデスマット
処理するデスマット処理(3)、および(10)酸性電解液
中で陽極酸化処理する陽極酸化処理を順次施して粗面化
面を形成することを特徴とする平版印刷版用アルミニウ
ム支持体の製造方法に関する。
【0007】前記製造方法においては、前記アルミニウ
ム板に、機械的粗面化処理により、大きさが10〜20
μm程度の凹凸である大波が主に形成され、電解粗面化
処理(1)において硝酸水溶液中で粗面化処理すること
により、大きさが1〜2μm程度の凹凸であるハニカム
ピットが主に形成され、電解粗面化処理(2)において
塩酸水溶液中で電解粗面化処理することにより、ファセ
ット状のピットの一辺の大きさが0.05〜0.3μm
程度の微小波が主に形成されると考えられる。
【0008】したがって、前記製造方法によれば、前記
大波に前記ハニカムピットと前記微微小波とが重畳され
た構造の粗面化面が形成される。
【0009】前記製造方法は、材料として使用できるア
ルミニウム板の組成幅が広いから、前記圧延アルミニウ
ム板や姿勢アルミニウム板のように厳密な組成管理が成
されていなかったり不純物が多かったりするアルミニウ
ム板からも、外観上の不良がなく、耐刷性に優れるだけ
でなく、汚れ性能にも優れ、印刷紙面に汚れを発生させ
ることのない平版印刷原版が得られる。
【0010】請求項2に記載の発明は、前記陽極酸化処
理の後に封孔処理および親水化処理の少なくとも一方を
施す平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に関す
る。
【0011】前記製造方法で得られた平版印刷版用アル
ミニウム支持体は、陽極酸化皮膜と画像形成層との間の
密着性に優れ、また、現像後において、非画像部に画像
形成層が残り難いから、画質に優れた印刷物が得られ
る。
【0012】請求項3に記載の発明は、前記機械的粗面
化処理において、平均表面粗さが0.2〜0.8μmに
なるように粗面化を行なう平版印刷版用アルミニウム支
持体の製造方法に関する。
【0013】前記製造方法においては、機械的粗面化処
理において、前記アルミニウム板の表面に均一で方向性
のない砂目を形成できるから、保水性に優れた粗面化面
が形成できる。したがって、前記製造方法で得られた平
版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化面に画像形成層
を形成した平版印刷原版は、オペレータにとって非常に
刷り易い。
【0014】請求項4に記載の発明は、前記アルカリエ
ッチング処理(1)において、アルミニウム板の溶解量
が2〜15g/m2になるようにアルカリ溶液を用いて
エッチング処理する平版印刷版用アルミニウム支持体の
製造方法に関する。
【0015】前記製造方法では、機械的粗面化処理に引
き続いて行なうアルカリエッチング処理(1)におい
て、アルミニウム板の溶解量がが前記範囲になるように
アルカリエッチング処理を行なっているから、機械的粗
面化処理で前記アルミニウム板の表面に生じたアルミニ
ウム屑や前記アルミニウム板の表面に付着した研磨材な
どは効果的に除去されるが、前記機械的粗面化処理にお
いて形成された砂目は適度に残存する。したがって、前
記製造方法により得られた平版印刷版用アルミニウム支
持体の表面に画像形成層を形成した平版印刷原版は、特
に印刷性能および耐刷性に優れる。
【0016】請求項5に記載の発明は、前記電解粗面化
処理(1)において、硝酸と硝酸アルミニウムと硝酸ア
ンモニウムとを含有する硝酸水溶液中で、前記アルミニ
ウム板のアノード反応時における電気量が50〜300
C/dm2になるように交流電解する平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法に関する。
【0017】前述のように、電解粗面化処理(1)にお
いてハニカムピットが形成されるが、前記製造方法によ
れば、前記電気量が前記範囲になるように交流を印加す
ることにより、適度な大きさのハニカムピットを有する
平版印刷版用アルミニウム支持体を製造できる。
【0018】請求項6に記載の発明は、前記アルカリエ
ッチング処理(2)において、アルミニウム板の溶解量
が0.1〜4g/m2になるようにアルカリ溶液を用い
てエッチング処理する平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法に関する。
【0019】前記製造方法では、電解粗面化処理(1)
に引き続いて行なうアルカリエッチング処理(2)にお
いて、アルミニウム板の溶解量がが前記範囲になるよう
にアルカリエッチング処理を行なっているから、電解粗
面化処理(1)において前記アルミニウム板の表面に生
じる水酸化アルミニウムの被膜は効果的に除去される
が、ハニカムピットは適度に残存する。
【0020】請求項7に記載の発明は、前記電解粗面化
処理(2)において、塩酸と塩化アルミニウムとを含有
する塩酸水溶液を用い、前記アルミニウム板のアノード
反応時の電気量が25ー75C/dm2になるように交
流電解する平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法
に関する。
【0021】前述のように、電解粗面化処理(2)にお
いて微小波が形成されるが、前記製造方法においては、
前記電流密度が前記範囲になるように交流を印加するこ
とにより、適度な大きさの微小波を有する平版印刷版用
アルミニウム支持体が得られる。
【0022】請求項8に記載の発明は、前記アルカリエ
ッチング処理(3)において、アルミニウム板の溶解量
が0.05〜1g/m2になるようにアルカリ溶液でエ
ッチング処理する平版印刷版用アルミニウム支持体の製
造方法に関する。
【0023】前記製造方法では、電解粗面化処理(2)
に引き続いて行なうアルカリエッチング処理(3)にお
いて、アルミニウム板の溶解量がが前記範囲になるよう
にアルカリエッチング処理を行なっているから、電解粗
面化処理(2)において前記アルミニウム板の表面に生
じた水酸化アルミニウムの被膜は効果的に除去される
が、微小波は適度に残存する。
【0024】請求項9に記載の発明は、前記陽極酸化処
理において、陽極酸化皮膜量が1〜5g/m2になるよ
うに陽極酸化処理を行なう平版印刷版用アルミニウム支
持体の製造方法に関する。
【0025】前記製造方法により得られる平版印刷版用
アルミニウム支持体に画像形成層を設けた平版印刷原版
は、耐刷性に特に優れる。
【0026】請求項10に記載の発明は、前記機械的粗
面化処理において、平均粒径が1−50μmであるパミ
ス粉末または珪砂を用い、ブラシ毛の毛径が0.2〜
0.83mmであり、毛長が10〜200mmのローラ
状ブラシを100〜500rpmで回転させつつ、アル
ミニウム板の進行方向に対して直角な方向に0.000
1〜1Hzの周期でオシレートさせて前記アルミニウム
板を擦ることにより粗面化処理する平版印刷版用アルミ
ニウム支持体の製造方法に関する。
【0027】前記製造方法においては、前記条件で機械
的粗面化処理を行なうことにより、平均表面粗さが0.
2〜0.8μmになるように機械的粗面化処理できる。
【0028】請求項11に記載の発明は、前記アルカリ
エッチング処理(1)において、アルカリ溶液として、
NaOHを20〜30重量%含有し、アルミニウムイオ
ンを5〜9重量%含有する液温が40〜80℃の溶液を
用いてエッチング処理する平版印刷版用アルミニウム支
持体の製造方法に関する。
【0029】前記製造方法においては、容易に、前記ア
ルカリエッチング処理(1)における好ましいアルミニ
ウム溶解量の範囲である2〜15g/m2でアルカリエ
ッチング処理できる。
【0030】請求項12に記載の発明は、前記アルカリ
エッチング処理(2)において、アルカリ溶液として、
NaOHを20〜30重量%含有し、アルミニウムイオ
ンを5〜9重量%含有する液温が30〜80℃の溶液を
用いてエッチング処理する平版印刷版用アルミニウム支
持体の製造方法に関する。
【0031】前記製造方法においても、容易に、前記ア
ルカリエッチング処理(2)における好ましいアルミニ
ウム溶解量の範囲である0.1〜4g/m2でアルカリ
エッチング処理できる。
【0032】請求項13に記載の発明は、前記アルカリ
エッチング処理(3)において、アルカリ溶液として、
NaOHを4〜6重量%含有し、アルミニウムイオンを
0.3〜0.7重量%含有する液温が25〜80℃の溶
液を用いてエッチング処理する平版印刷版用アルミニウ
ム支持体の製造方法に関する。
【0033】前記製造方法によれば、容易に、前記アル
カリエッチング処理(3)における好ましいアルミニウ
ム溶解量の範囲である0.05〜1g/m2でアルカリ
エッチング処理できる。
【0034】請求項14に記載の発明は、前記デスマッ
ト処理において、前記酸性溶液として、硝酸および硫酸
の少なくとも一方を主要な酸成分として含む溶液を使用
する平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に関す
る。
【0035】前記製造方法においては、前記アルカリエ
ッチング処理(1)、(2)、および(3)において前
記アルミニウム板の表面に生じたスマットを効果的に除
去できる。
【0036】請求項15に記載の発明は、前記デスマッ
ト処理(1)において、前記酸性溶液として、硝酸を5
〜15g/リットル含有する液温25〜50℃の硝酸水
溶液、または硫酸を80〜200g/リットル含有する
液温25〜80℃の硫酸溶液を使用し、1〜10秒間処
理する平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に関
する。
【0037】アルカリエッチング処理(1)において
は、アルミニウム板の表面に大量のスマットが生じる
が、前記製造方法においては、前記アルカリエッチング
処理(1)に引き続いて行なうデスマット処理(1)を
前記条件で行なうことにより、前記スマットを効果的に
除去できるから外観の良好な平版印刷版用アルミニウム
支持体が得られる。
【0038】請求項16に記載の発明は、前記デスマッ
ト処理(2)および(3)において、前記酸性溶液とし
て、硫酸を80〜350g/リットル含有する液温25
〜80℃の硫酸溶液を使用する平版印刷版用アルミニウ
ム支持体の製造方法に関する。
【0039】前記製造方法によれば、特に外観と耐刷性
とに優れた平版印刷原版が得られる。
【0040】請求項17に記載の発明は、前記デスマッ
ト処理(1)において、前記酸性溶液として、前記電解
粗面化処理(1)において使用された硝酸水溶液を使用
する平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に関す
る。
【0041】前記製造方法によれば、前記デスマット処
理(1)のあと、前記アルミニウム板を水洗することな
く、前記電解粗面化処理(1)を行うことができるか
ら、製造設備を簡略化できるだけでなく、排水の排出量
を大幅に削減できる。
【0042】請求項18に記載の発明は、前記デスマッ
ト処理(2)および(3)において、前記酸性溶液とし
て、前記陽極酸化処理において使用された酸性電解質を
使用する平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に
関する。
【0043】前記製造方法によれば、前記デスマット処
理(3)のあと、前記アルミニウム板を水洗することな
く、陽極酸化処理を行うことができるから、製造設備を
簡略化できるだけでなく、排水の排出量を大幅に削減で
きる。
【0044】請求項19に記載の発明は、前記陽極酸化
処理において、前記酸性電解液として、硫酸とアルミニ
ウムイオンとを含有し、硫酸の濃度が80〜200g/
リットルである硫酸溶液を用い、30〜55℃の液温
で、直流電流により電解処理する平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法に関する。
【0045】前記製造方法によれば、陽極酸化皮膜量
が、1〜5g/m2である平版印刷版用アルミニウム支
持体が極めて容易に作成できる。
【0046】請求項20に記載の発明は、請求項1〜2
0の何れか1項に記載の方法で製造されたことを特徴と
する平版印刷版用アルミニウム支持体に関する。
【0047】前記平版印刷版用アルミニウム支持体は、
粗面化面が、前記大波に前記ハニカムピットと前記微小
波とが重畳された構造を有するから、幅広い組成のアル
ミニウム板から製造できるだけでなく、前記粗面化面に
画像形成層を設けることにより、耐刷性および印刷性能
に優れた平版印刷原版を作成できる。
【0048】請求項21に記載の発明は、請求項21に
記載の平版印刷版用アルミニウム支持体における粗面化
面に、ポジ型またはネガ型の画像形成層を設けてなる平
版印刷原版に関する。
【0049】前記平版印刷原版は、印刷性能に優れ、印
刷紙面に汚れを生じさせることがない。
【0050】
【発明の実施の形態】1.アルミニウム板本発明に使用
されるアルミニウム板は、純アルミニウム板、アルミニ
ウムを主成分として各種微量元素を含むアルミニウム合
金板、およびアルミニウムがラミネートまたは蒸着され
たプラスチックフィルムの中から選ばれる。
【0051】前記微量元素としては、たとえば珪素、
鉄、ニッケル、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、
亜鉛、ビスマス、チタン、およびバナジウムなどがあ
る。
【0052】珪素が多く含まれると、粗面化処理後に陽
極酸化処理を施したときに、陽極酸化皮膜の欠陥とな
り、欠陥部分の保水性が劣り、印刷時に紙が汚れやすく
なる。また、銅が多く含まれると、ハニカムピットが生
成しない部分の面積が多くなり外観故障となる。したが
って、硝酸水溶液および塩酸水溶液中での電気化学的粗
面化処理において均一なハニカムピットを生成させる点
からは、前記微量元素の量は、0.001重量%〜1.
5重量%の範囲が好ましい。
【0053】前記アルミニウム板に使用される純アルミ
ニウムおよびアルミニウム合金としては、通常は、アル
ミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協会)
に記載の、例えばJIS A 1050材、JIS A
3103材、JIS A3005材、JIS A 1
100材、JIS A 3004材、および引っ張り強
度を増す目的でこれらに5重量%以下のマグネシウムを
添加した合金など、公知のアルミニウム材を用いること
ができる。
【0054】また、本発明においては、再生アルミニウ
ム板も使用できる。
【0055】1−1 アルミニウム合金の説明 本発明でアルミニウム板の材料として使用できるアルミ
ニウム合金としては、具体的には以下のものが挙げられ
る。
【0056】(1)AL1 必須成分として、FeをO.2〜1重量%、Siを0.
05〜0.20重量%、Cuを0.006〜0.40重
量%含有し、任意成分としてMgを0,001〜0.0
3受領%、Tiを0.001〜0.04重量%含み、残
部がAlと不可避不純物とからなるアルミニウム合金で
ある。
【0057】前記アルミニウム合金は、JlS A 1
050材に分類され、特に、電気化学的粗面化処理にお
けるピット径と深さとを大きくできるから、汚れ性と耐
刷性のバランスを重視した平版印刷版用支持体に適して
いる。
【0058】(2)AL2 必須成分としてFeを0.1〜0.5重慮%、Siを
0.02−0.10重量%を含有し、任意成分として、
Cuを0.005重量%以下、Mgを0.001〜0.
03重量%、Tiを0,001−0.04重量%、Ni
を0.002〜0.005重量%、Vを0.01〜O、0
5重量%含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる
アルミニウム合金である。
【0059】前記アルミニウム合金は、JlS A 1
050材〜J1S A 1070材に分類される合金で
あって、特に、電気化学的粗面化処理におけるピット径
を小さくすることにより、汚れ性を向上させることがで
き、非シリケート現像と組み合わせることにより、汚れ
性と耐刷性のバランスを両立した平版印刷版版を作製す
ることができる。
【0060】(3)AL3 Alが95−99.4重量%であり、次の元素のうち、
5種類以上を以下の範囲で含むA1合金板である。
【0061】Fe:0.3〜1重量% Si:0.15〜1重量% Cu:0.1〜1重量% Mg:0.1〜1.5重量% Mn:0.1〜1.5重量% Zn:0.1〜0.5重量% Cr:0.01〜0.1重量% Ti:0.03〜0.5重量% 前記アルミニウム合金は、スクラップ材を主原料として
使用できるから、原料コストが安価である。また、前記
アルミニウム合金は、アルミニウム合金AL1およびA
L2に比ベて機械強度が優れる。したがって、アルミニ
ウム合金AL3を使用することにより、原材料コストが
安く、かつ機械強度の優れた高強度型の平版印刷版原版
が製造できる。
【0062】(4)AL4 必須成分として、Mnを0.1−1.5重量%、および
/またはMgを0.1〜1.5重量%含有するアルミニ
ウム合金である。
【0063】前記アルミニウム合金は、機械強度が優れ
ると共に、AL3に比べて、粗面化処理の安定性に更に
優れ、より均一な粗面化面が優れると共に、AL1より
も更に深いピットを生成させやすい。したがって、アル
ミニウム合金AL4を用いることにより、汚れ性と耐刷
生とのバランスが取れ、特に耐刷性に優れ、言い換えれ
ば印刷性能が高く、しかも機械強度の優れた高強度型の
平版印刷原版が得られる。
【0064】1−2 微量元素についての説明 前記アルミニウム合金に含まれる微量元素については、
以下の通りである。 Fe:Feは、新地金においても0.1〜0.2重量
%前後含有される元素であり、アルミニウム中に固溶す
る量は少なく、殆どが金属間化合物として残存する。
【0065】Feは、機械強度を高める作用があるが、
1.0重量%より多いと圧延途中に割れが発生しやすく
なる。一方、Feの含有量を0.1重量%以下にするこ
とは現実的ではない。
【0066】前記金属間化合物としては、A13Fe、
A16Fe、AlFeSi系化合物、およびAlFeS
iMn系化含物などが代表的である。 Si:Siは、新地金においても0.03〜0.1重
量%前麦含有される元素で、アルミニウム製品のスクラ
ップの中にも多く含まれ、アルミニウム中に固溶した状
態、金属間化合物、および単独の析出物として存在す
る。また、平版印刷版用支持体の製造過程で加熱される
と、固溶していたSiが単体Siとして析出することが
ある。
【0067】単体Siが過剰の場合、過酷インキ汚れが
低下することが知られている。また、電気化学的粗面化
性に影響する。
【0068】前記金属間化合物としては、AlFeSi
系化合物、AlFeSiMn系化合物、およびMg2
iなどが代表的である。 Cu:Cuは、新地金の中にも極微量含まれる。ま
た、JlS A 2000系およびJIS A 400
0系アルミニウム材のスクラップに多く含まれる元素で
あり、比較的アルミニウムに中に固溶しやすい。Cu
は、電気化学的粗面化性に大きな影響を及ぼす元素であ
る。 Mg:Mgは、新馳金の中には極微量含まれる。ま
た、JlS A 2000系、3000系、5000
系、および7000系材料のスクラップに多く含まれる
元素である。特に缶エンド材に多く含まれるため、スク
ラツプ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。
【0069】Mgを添加する事で、耐熱軟化性、機械強
度を向上できる。比較的アルミニウム中に固溶しやす
く、Siと金属間化合物を形成することも知られてい
る。 Mn:Mnは、新地金の中には極微量含まれるが、J
lS A 3000系材料のスクラップに多く含まれる
元素である。特に缶ボディ材に多く含まれるため、スク
ラップ材に含まれる主要な不純物金属の1つである。
【0070】Mnも比較的アルミニウム中に固溶しやす
く、Al、Fe、Si等と金属間化合物を形成する。M
nは、アルミニウム合金の機械強度を向上させるが、電
気化学的粗面化性に影響を及ぼす。 Zn:Znは、新地金の中には極微量含まれるが、J
lS A 7000系材料のスクラップに多く含まれる
元素である。比較的アルミニウム中に固溶しやすい。電
気化学滴粗面化性に影響を及ぼす。 Cr:Crは、新地金の中にも極微量含まれることが
あり、JlS A 5000系、6000系、および7
000系材料のスクラップに少量含まれることもある。 Ti:Tiは、結晶微細化剤として通常0.01〜
0.04重量%添加される元素である。主として、Al
との金属間化合物、あるいはTiB2の形で添加され
る。JlS A 5000系、6000系、および70
00系材料のスクラップには不純物金属として比較的多
めに含まれる。過剰に含まれると、電気化学的粗面化性
に影響することがある。
【0071】1−3 金属間化合物の説明 アルミ原材料に含まれる元素やアルミ溶湯に添加された
元素は、鋳造工程で凝固する際、一部はアルミ中にとけ
込み(固溶)、残りは金属間化合物、または単独の晶出物
・析出物として存在する。前記元素が金属間化含物また
は単独の晶出物・析出物として残る割合は、凝固速度の
影響を大きく受ける。たとえば、前記元素は、ローラ式
連続鋳造を採った場合のように急速疑固する場合には大
部分が固溶し、DC鋳造法のように疑固速度が遅い鋳造
法を採った場合には、比較的金属間化合物または単独の
晶出物・析出物として残り易い。
【0072】その後、均熱、焼鈍などの熱処理工程や熱
間圧延工程中に、前記元素の多くは、アルミニウムに再
固溶したり、より安定な金属間化合物に変化したりする
が、厚さ0.1−0.7mm程度の平版印刷版用のアル
ミニウム板になった時点で、前記アルミニウム板の表面
や内部に、金属間化合物または単独の晶出物・析出物と
して存在することが多い。たとえば、DC鋳造法で前記
アルミニウム板を製造した場合においてアルミニウム合
金として前記AL1合金を使用した場合には、得られる
アルミニウム板には、500−20000個/mm2
度の密度で、金属間化含物または単独の晶出物および析
出物が存在する。一方、アルミニウム合金として前記A
L2合金を使用した場合には、得られるアルミニウム板
には、100−10000個/mm2程度の密度で金属
間化合物または単独の晶出物・析出物が存在する。AL
3合金またはAL4合金を使用した場合には、得られる
アルミニウム板には、5000−50000個/mm2
の範囲の金属間化合物または単独の晶出物・析出物が存
在する。
【0073】1−4 アルミニウム板の製造方法 前記アルミニウム板は、DC鋳造法、連続鋳造法、DC
鋳造法から中間焼鈍処理および均熱処理の何れかまたは
両方を省略した製造方法、および連続鋳造法から中間焼
鈍処理を省略した製造方法の何れかにより製造できる。
【0074】2.粗面化処理 本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法に
おいては、本明細書の請求項1に記載のように、 (1) 機械的粗面化処理 (2) アルカリエッチング処理(1) (3) デスマット処理(1) (4) 電解粗面化処理(1) (5) アルカリエッチング処理(2) (6) デスマット処理(2) (7) 電解粗面化処理(2) (8) アルカリエッチング処理(3) (9) デスマット処理(3)、および (10)陽極酸化処理 を順次行なって前記アルミニウム板を粗面化する。
【0075】以下、前記機械的粗面化処理〜陽極酸化処
理のそれぞれについて説明する。
【0076】2−1 機械的粗面化処理 前記機械的粗面化処理においては、前記アルミニウム板
の少なくとも一方の面に、ローラ状ブラシで擦って粗面
化するブラシグレイニングを施すことができる。
【0077】前記機械的粗面化処理は、処理後の粗面化
面の中心線平均粗さ(Ra)は0.3〜0.6μmの範
囲になるように行うことが好ましい。
【0078】以下、ブラシグレイニングについて説明す
る。
【0079】前記ブラシグレイニングを行なうに先立
ち、必要に応じて、前記アルミニウム板の表面に付着し
た圧延油を除去するための脱脂処理を行うことができ
る。前記脱脂処理としては、例えば界面活性剤による処
理、有機溶剤による処理、およびアルカリ性水溶液によ
る処理などを行うことができる。但し、圧延油の付着が
少い場合は、前記脱脂処理を省略することができる。
【0080】引き続いて、研磨材スラリーを前記アルミ
ニウム板表面に供給しながら、1種類、または毛径が異
なる2種類以上のローラ状ブラシを用いてブラシグレイ
ニングを行う。
【0081】前記ブラシグレイニングは、特開平6−1
35175、特公昭50−40047に詳しく記載され
ているように、粗面化しようとするアルミニウム板を挟
んで上方にローラ状ブラシを配置して下方に支持ローラ
を配置し、前記アルミニウム板を一定速度で搬送しつ
つ、前記ローラ状ブラシと前記アルミニウム板との間に
研磨材スラリーを供給しながら前記ローラ状ブラシを回
転させることにより、行うことができる。
【0082】前記支持ローラは、前記ローラ状ブラシ1
本につき、2本づつ配置することができる。前記ローラ
状ブラシの下方に位置する1対の支持ローラは、外面の
最短距離がローラ状ブラシの外径より小さくなるように
配置することが好ましい。
【0083】前記ブラシグレイニング時においては、前
記アルミニウム板を、前記ローラ状ブラシにより、前記
2本の支持ローラの間に押し入れるように加圧すること
が好ましい。
【0084】本発明に用いられるローラ状ブラシは、ナ
イロン、ポリプロピレン、動物毛、あるいはスチールワ
イヤなどから形成したブラシ毛を均一な毛長及び植毛分
布で円筒状の胴の側面全体に植設したもの、前記胴の表
面全体に多数の小穴を開け、前記ブラシ毛の束であるブ
ラシ毛束を前記小穴のそれぞれに植設したもの、および
チャンネルローラ型のものなどが好ましく用いられる。
【0085】前記ブラシ毛の材質としてはナイロンが最
も好ましい。前記ブラシ毛の植毛後の毛長は、10〜2
00mmが好ましく、特に25−100mmが好まし
い。なおローラ状ブラシに植え込む際の植毛密度は1c
2当り30〜1000本が好ましく、さらに好ましく
は50〜300本である。
【0086】前記ブラシ毛の好ましい毛径は、好ましく
は0.2mm〜0.83mmであり、特に好ましくは
0.25mm〜0.8mmである。ブラシ毛の断面形状
は円が好ましい。毛径が0.2mm以上であれば、得ら
れる平版印刷版のシャドウ部での汚れ性能が良好であ
り、0.83mm以下であれば、ブランケット汚れの生
じ難い平版印刷版が得られる。
【0087】前記ブラシ毛の材質は、ナイロンが好まし
く、特にナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・1
0などが好ましいが、引っ張り強さ、耐摩耗性、吸水に
よる寸法安定性、曲げ強さ、耐熱性、回復性などに優れ
ている点から、ナイロン6・10が最も好ましい。
【0088】ローラ状ブラシの本数は、好ましくは1本
以上10本以下であり、更に好ましくは1本以上6本以
下であり、最も好ましくは3本または4本である。特開
平6−135175号公報に記載されているように、ブ
ラシ毛の毛径が異なる2以上のローラ状ブラシを組み合
わせてもよい。
【0089】ローラ状ブラシの回転数は、100〜50
0rpmの範囲が好ましい。ローラ状ブラシは、アルミ
ニウム板の搬送方向と同じ方向に回転(順転)させるこ
とが好ましいが、ローラ状ブラシが多数本の場合には、
一部のローラ状ブラシを、アルミニウム板の搬送方向と
同じ方向に回転(逆転)させてもよい。前記ローラ状ブ
ラシを3本用いるときは、アルミニウム板の搬送方向に
対して最も上流側に位置するローラ状ブラシを順転さ
せ、中央のローラ上ブラシを逆転させ、アルミニウム板
の搬送方向に対して最も下流側に位置するローラ状ブラ
シを順転させることが特に好ましい。ローラ状ブラシを
4本用いるときには、前記4本のローラ状ブラシの回転
方向は、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側(以
下、単に「上流側」という。)からアルミニウム板の搬
送方向に対して下流側(以下、単に「下流側」とい
う。)に向かって、順転、逆転、順転、順転が好まし
い。
【0090】また、前記ローラ状ブラシを、アルミニウ
ム板の搬送方向に対して直角の方向に沿って0.000
1−1Hzの周期および10〜200mmの振幅でオシ
レートさせることにより、処理ムラのない表面を有する
平版印刷版用アルミニウム支持体が得られる。
【0091】ローラ状ブラシの押し込み量は、前記モー
タの消費電力が、1.0〜15kw、更に好ましくは2
〜10kwになるように、前記ローラ状ブラシを回転さ
せるモーターの負荷に基いて管理することが好ましい。
【0092】前記ブラシグレイニングにおいて、太いブ
ラシ毛を植毛したローラ状ブラシで粗面化した後、細い
ブラシ毛を植毛したローラ状ブラシで処理することによ
り、親水性、保水性及び密着性のすべてを兼ね備えた平
版印刷版が得られるから好ましい。前記平版印刷版は、
湿し水が少ない場合のシャドー部のつぶれがないため、
水幅が広く、地汚れが発生しにくく、さらに感光層との
密着劣化がないという特長を有する。
【0093】本発明に用いられる研磨材スラリーとして
は、珪砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、火山灰、
パミス粉末、カーボランダム、金剛砂等の研磨材を、比
重1.05〜1.3となるような範囲で水に分散させた
ものが好ましい。前記研磨材のの平均粒子径は、一般的
には1〜50μmであり、好ましくは5−45μmであ
り、更に好ましくは15−45μmの範囲である。前記
平均粒子径は、スラリー液中に含まれる全研磨材の体積
に対し、各径の粒子の占める割合の累積度数をとったと
き、前記累積割合が50%となる粒子径として求められ
る。
【0094】前記ブラシグレイニングにおいては、前記
範囲の中心線平均粗さ(Ra)が得られるように、ロー
ラ状ブラシの押し込み量、回転数、回転方向の組み合わ
せ、ローラ状ブラシの本数、それぞれのローラ状ブラシ
の直径、ブラシ毛の密度、アルミニウム板に加える張
力、前記研磨材スラリーに配合する研磨材の種類、平均
粒子径、粒度分布、および前記研磨材スラリーをアルミ
ニウム板に吹きつける流量・方向・角度などを選択する
ことが好ましい。
【0095】前記機械的粗面化処理においては、前記ブ
ラシグレイニングのほか、側面に研磨面を設けた研磨ロ
ーラで擦って粗面化するローラ研磨、研磨材スラリーを
吹き付ける方式、ワイヤーブラシによる粗面化、凹凸を
付けた圧延ローラの表面形状をアルミニウム板に転写す
る方式などを用いても良い。その他の方式としては、特
開昭55−074898、特開昭61ー162351、
特開昭63−104889等に記載された方式が挙げら
れる。
【0096】2−2 アルカリエッチング処理 前記アルカリエッチング処理により、前記アルミニウム
板の表面に食い込んだ研磨材やアルミニウム屑などが除
去され、その後に施される電解粗面化処理を、より均一
に、しかも効果的に行うことができる。また、電解粗面
化処理でアルミニウム板の表面に生じた水酸化アルミニ
ウムの被膜を除去できる。
【0097】前記アルカリエッチング処理においては、
前記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることに
より、エッチング処理を行なう。
【0098】アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させ
る方法としては、例えば前記アルカリ溶液を収容する槽
中を連続的に通過させる方法、前記アルカリ溶液を収容
する槽中に浸漬する方法、および前記アルカリ溶液を前
記アルミニウム板の表面に噴霧する方法などがある。
【0099】前記アルカリエッチング処理におけるアル
ミニウム板の溶解量、換言すればエッチング量は、前記
機械的粗面化処理に引き続いて行なうアルカリエッチン
グ処理(1)においては2〜15g/m2の範囲が好ま
しく、特に3−10g/m2の範囲が好ましい。最初の
電解粗面化処理である電解粗面化処理(1)に引き続い
て行なうアルカリエッチング処理(2)においては0.
1〜4g/m2の範囲が好ましく、特に0.2〜3.5
g/m2の範囲が好ましい。そして、最後の電解粗面化
処理である電解粗面化処理(2)に引き続いて行なうア
ルカリエッチング処理、換言すれば最後のアルカリエッ
チング処理であるアルカリエッチング処理(3)におい
ては、0.05〜1g/m2の範囲が好ましく、特に
0.1〜0.3g/m2の範囲が好ましい。
【0100】前記アルカリ溶液としては、苛性アルカリ
およびアルカリ金属塩の溶液等が挙げられる。
【0101】苛性アルカリとしては、水酸化ナトリウム
および水酸化カリウム等が挙げられる。
【0102】前記アルカリ金属塩としては、メタ珪酸ナ
トリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、および
珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、炭酸ナトリウム
および炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、アルミン
酸ナトリウムおよびアルミン酸カリウム等のアルカリ金
属アルミン酸塩、グルコン酸ナトリウムおよびグルコン
酸カリウム等のアルカリ金属アルドン酸塩、並びに第二
燐酸ナトリウム、第二燐酸カリウム、第三燐酸ナトリウ
ム、および第三燐酸カリウム等のアルカリ金属燐酸水素
塩等が挙げられる。前記アルカリ溶液としては、エッチ
ング速度が速い点および安価である点から、苛性アルカ
リの溶液、および前記苛性アルカリとアルカリ金属アル
ミン酸塩との溶液が特に好ましい。
【0103】前記アルカリ溶液としては、アルミニウム
イオンを所定量含有する水酸化ナトリウム溶液が特に好
ましい。
【0104】前記水酸化ナトリウム溶液中の水酸化ナト
リウムおよびアルミニウムイオンの濃度は、前記アルカ
リエッチング処理(1)および前記アルカリエッチング
処理(2)においては、それぞれ20〜30重量%およ
び5〜9重量%の範囲が好ましく、前記アルカリエッチ
ング処理(3)においては、4〜6重量%および0.3
〜0.7重量%の範囲が好ましい。
【0105】前記アルカリ溶液の液温は、前記アルカリ
エッチング処理(1)においては40〜80℃の範囲が
好ましく、前記アルカリエッチング処理(2)において
は30〜80℃の範囲が好ましい。そして、前記アルカ
リエッチング処理(3)においては、25〜80℃の範
囲が好ましい。
【0106】前記アルカリエッチング処理は、アルミニ
ウム板のエッチング処理に通常に使用されるエッチング
装置を用いて行うことができる。前記エッチング装置と
しては、アルカリ溶液を貯留する槽を有し、前記槽中に
前記アルミニウム板を浸漬する形態のもの、およびスプ
レーノズルを有し、前記スプレーノズルから前記アルミ
ニウム板に向って前記アルカリ溶液を吹き付ける形態の
ものが挙げられる。前記エッチング装置は、バッチ式で
あっても連続式であってもよい。
【0107】前記アルカリエッチング処理が終了した後
には、処理液を次工程に持ち込まないためにニップロー
ラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うことが好
ましい。
【0108】2−3 デスマット処理 前記アルカリエッチング処理(1)、(2)、および
(3)においては、前記アルミニウム板をアルカリ溶液
で処理するので、表面にスマットが生成する。
【0109】そこで、前記アルカリエッチング処理
(1)、(2)、および(3)が終了する毎に、前記ア
ルミニウム板を酸性溶液に接触させてデスマット処理
し、表面のスマットを除去する。
【0110】前記デスマット処理は、前記アルミニウム
板を酸性溶液中に浸漬するか、酸性溶液中を通過させる
かして行なうことができ、また、前記酸性溶液を、スプ
レーノズルを用いて吹付けるスプレー処理により行うこ
とができるが、前記スプレー処理が好ましい。
【0111】酸性溶液としては、主要な酸成分として、
硝酸、硫酸、塩酸、およびクロム酸から選択される1種
または2種以上の酸を含有する溶液が挙げられる。前記
酸性溶液における前記酸性分の濃度は0.5〜60重量
%が好ましい。前記酸性溶液中には、アルミニウムイオ
ン、および前記微量元素のうち前記アルミニウム板を形
成するアルミニウム合金中に含まれるもののイオンが0
〜5重量%溶解していても良い。具体的には、前記アル
カリエッチング処理(1)の後に行なうデスマット処理
であるデスマット処理(1)においては、前記酸性溶液
としては、硝酸を5〜15g/リットル含有する硝酸水
溶液または硫酸を80〜200g/リットル含有する硫
酸溶液が好ましく、前記アルカリエッチング処理(2)
の後に行なうデスマット処理であるデスマット処理
(2)および前記アルカリエッチング処理(3)の後に
行なうデスマット処理であるデスマット処理(3)にお
いては、前記酸性溶液としては、硫酸を80〜350g
/リットル含有する硫酸溶液が好ましい。
【0112】また、前記デスマット処理(1)および
(2)においては、前記酸性溶液として、後述する電解
粗面化処理(1)または後述する陽極酸化処理で排出さ
れる廃液を使用すれば、前記電解粗面化処理(1)およ
び前記陽極酸化処理において排出される廃液の量を削減
できるから好ましい。また、前記デスマット処理(3)
においては、前記酸性溶液として、前記陽極酸化処理で
排出される廃液を使用すれば、廃液の量を大幅に削減で
きるだけでなく、前記デスマット処理(3)後に前記ア
ルミニウム板を洗浄することなく、直ちに前記陽極酸化
処理に移行できるから、デスマット処理装置と陽極酸化
処理装置との間の洗浄設備を省略できる点でも好まし
い。
【0113】前記酸性溶液の液温は、前記デスマット処
理(1)、(2)、および(3)の何れにおいても、常
温〜95℃の範囲が好ましく、特に、25〜80℃の範
囲が好ましい。
【0114】処理時間は1〜30秒が好ましく、特に1
−5秒が好ましい。
【0115】デスマット処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液
切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましいが、酸
性溶液として、次の工程で用いる液と同じ種類・組成の
液、または次の工程で排出される廃液を使用する場合に
は、廃液量を少なくすべく、前記液切りおよび水洗を省
略することができる。
【0116】2−4 電解粗面化処理 前述のように、最初の電解粗面化処理である電解粗面化
処理(1)においては、硝酸水溶液内で電解粗面化処理
を行ない、第2回目の電解粗面化処理である電解粗面化
処理(2)においては塩酸水溶液中で電解粗面化処理を
行なう。
【0117】(1)硝酸を主体とする水溶液 電解粗面化処理(1)においては、硝酸水溶液として
は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化
処理に用いる硝酸水溶液を使用できる。
【0118】前記硝酸水溶液としては、硝酸を1〜10
0g/リットル含む硝酸水溶液に、硝酸アルミニウム、
硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸塩、および
塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム
等の塩酸塩から選択される1種以上の塩を、1g/リッ
トル〜飽和濃度の範囲で添加したものを挙げることがで
きる。前記硝酸水溶液には、銅と錯体を形成する化合物
を1〜200g/リットルの濃度になるように添加する
こともできる。前記硝酸水溶液中には、さらに、鉄、
銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリ
カ等の前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金
中に含まれる微量元素が溶解していてもよい。加えて、
次亜塩素酸または過酸化水素を1〜100g/リットル
の濃度で含有していてもよい。
【0119】前記硝酸水溶液としては、硝酸を5〜15
g/リットル含有する希硝酸に、硝酸アルミニウムなど
のアルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度
を2〜7g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。
【0120】また、硝酸水溶液中で電解粗面化処理を行
っていると、還元反応により、前記硝酸水溶液中にアン
モニウムイオンが生成するので、前記硝酸水溶液中に、
アンモニウムイオン濃度が50−150ppmになるよ
うに、予め硝酸アンモニウムを添加することがとくに好
ましい。
【0121】前記硝酸水溶液の液温は、30−80℃が
好ましく、35−60℃が特に好ましい。
【0122】(2)塩酸を主体とする水溶液 電解粗面化処理(2)においては、塩酸水溶液として
は、通常の直流または交流を用いた電気化学的な粗面化
処理に用いる塩酸水溶液を使用できる。
【0123】前記塩酸水溶液としては、塩酸濃度が1〜
100g/リットルの塩酸水溶液に、塩化アルミニウ
ム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸塩、お
よび硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニ
ウム等の硝酸塩から選択された1種以上の塩を、1g/
リットル〜飽和濃度の範囲で添加したものを挙げること
ができる。前記塩酸水溶液には、また、銅と錯体を形成
する化合物を1〜200g/リットルの濃度になるよう
に添加することもできる。前記塩酸水溶液中には、鉄、
銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、珪素
等の前記アルミニウム板を形成するアルミニウム合金中
に含まれる微量元素が溶解していてもよい。加えて、次
亜塩素酸や過酸化水素を1〜100g/リットルの濃度
で含有していてもよい。
【0124】前記塩酸水溶液としては、塩酸を2〜15
g/リットル含有する希塩酸に塩化アルミニウムなどの
アルミニウム塩を添加してアルミニウムイオンの濃度を
2〜7g/リットルに調整した溶液が特に好ましい。
【0125】前記塩酸水溶液の液温は、20−50℃が
好ましい。
【0126】(3)電解粗面化処理の条件 前記電解粗面化処理(1)および(2)の何れにおいて
も、交流および直流の何れを印加してもよいが、交流を
印加することが好ましい。前記交流は、前記アルミニウ
ム板が前記電解粗面化処理の間に陽極反応にあずかる電
気量が20〜500C/dm2になるように印加するこ
とが好ましい。そして、電解粗面化処理(1)において
は50〜300c/dm2の範囲が特に好ましく、電解
粗面化処理(2)においては、25〜75C/dm2
特に好ましい。
【0127】前記交流としては、サイン波電流、矩形波
電流、台形波電流、および三角波電流など、各種の波形
を有する交流電流を用いることができるが、矩形波電流
および台形波電流が好ましく、台形波電流が特に好まし
い。
【0128】前記交流の周波数は、0.1〜500Hz
が好ましいが、前記電解粗面化処理(1)においては4
0〜70Hzの範囲が特に好ましく、電解粗面化処理
(2)においては、40〜150Hzが特に好ましい。
【0129】前記台形波の一例を図1に示す。図1に示
す台形波を用いる場合は、電流が0からピークに達する
までの立上り時間tp(tpaまたはtpc)は0.1〜1
0msecの範囲が好ましく、0.5〜2msecの範
囲がとくに好ましい。立上り時間tpが0.1以上であ
れば、電源回路のインピーダンスの影響が小さいので、
電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が不要である
から、電源回路が安価に構成できる。また、立上り時間
pが10msec以下であれば、電解粗面化処理
(1)および(2)の何れにおいても、硝酸水溶液また
は塩酸水溶液中の微量成分の影響を受け難いから、均一
な粗面化がおこなわれる。
【0130】電気化学的な粗面化に用いる交流の1サイ
クルの条件が、アルミニウム板のアノード反応時間ta
が交流の周期Tに占める割合ta/Tは、0.33−
0.66が好ましく、0.45−0.55が更に好まし
く、0.5が特に好ましい。
【0131】主極に対向するアルミニウム板に加わる電
気量は、アルミニウム板がカソード反応時の電気量Qc
とアノード反応時の電気量Qaの比Qc/Qaが0.9〜
1の範囲にあることが好ましい。この電気量比のコント
ローラは電源が発生する電圧を制御しておこなうことが
できる。図2に示す電解槽を用いるときは、サイリスタ
Thの点弧角を制御して前記電気量比を調整する。
【0132】電流密度は台形波のピーク値で電流のアノ
ードサイクル側Ia、カソードサイクル側Icともに10
〜200A/dm2の範囲が好ましく、15〜35A/
dm 2の範囲が特に好ましい。
【0133】電解粗面化処理(1)および(2)の何れ
においても、電解槽としては、縦型、フラット型、ラジ
アル型などの公知の電解槽が使用できる。電解槽は、1
槽のみ使用してもよく、2槽以上を直列に使用してもよ
いが、電解粗面化処理(1)においては、1槽〜3槽を
直列に使用することが特に好ましく、電解粗面化処理
(2)においては、1槽でおこなうことがとくに好まし
い。電解粗面化処理(1)において電解槽を2層使用す
るときは、第1槽目の電解槽における電流密度および電
気量を第2槽目の電解槽における電流密度および電気量
よりも高くすることがとくに好ましい。
【0134】前記電解槽の内部には、前記アルミニウム
板に交流または直流を印加する主電極が設けられる。
【0135】前記電解槽においては、内部を搬送される
アルミニウム板と前記主電極との距離が5〜100m
m、好ましくは8〜15mmになるように前記アルミニ
ウム板の走路および主電極を配置することが望ましい。
前記主電極はカーボンで形成することが好ましい。
【0136】前記電解槽内を搬送されるアルミニウム板
と前記電解槽の内部を流通する硝酸水溶液または塩酸水
溶液との平均相対流速は、1〜1000m/minの範
囲が好ましく、15〜300m/minの範囲が特に好
ましい。前記平均相対流速が前記範囲内である限り、前
記硝酸水溶液または塩酸水溶液の流通方向は、前記アル
ミニウム板の搬送方向と同方向および逆方向の何れの方
向であってもよい。
【0137】また、前記アルミニウム板の走路と前記主
電極との距離、および前記硝酸水溶液および塩酸水溶液
の流速は一定に保持されていることが、均一な電解粗面
化を行う上で望ましい。
【0138】フラット型および縦型の電解槽において
は、特公昭61−30036号公報に記載されているよ
うに、走行するアルミニウム板が摺動できるように形成
された面を内部に設け、静圧を利用して前記アルミニウ
ム板を圧接させつつ走行させることにより、前記距離を
一定に保つことができる。また、ラジアル型の電解槽に
おいては、特開平8−300843号公報に記載されて
いるように、内部に、前記アルミニウム板を搬送する直
径の大きなローラを設け、前記ローラを取り囲むよう
に、複数の主電極を円周上に配設し、前記主電極とアル
ミニウム板の距離を一定に保つことができる。
【0139】また、前記硝酸水溶液および塩酸水溶液の
流速を一定にするには、電解槽の内部に液溜り室を設
け、内部を走行するアルミニウム板の巾方向に沿って幅
1〜5mmの液吹き出し用のスリットを設けた給液ノズル
を用いて前記硝酸水溶液および塩酸水溶液を供給すれば
よい。また、複数の液溜り室を設け、それぞれの液溜り
室を、バルブと流量計とを備える管路で接続し、前記給
液ノズルのそれぞれのスリットから吹き出す液量を調整
してもよい。
【0140】前記電解槽内部を走行するアルミニウム板
への給電方式としては、たとえばコンダクタローラを用
いる直接給電方式と、前記コンダクタローラを用いない
液給電方式、換言すれば間接給電方式とがある。
【0141】前記電解槽において、間接給電方式を用い
る場合は、変圧器および可変式誘導電圧調整器などを用
いて電流値を制御できる。
【0142】また、前記電解槽の内部に前記主電極のほ
かに、直流を印加する補助陽極を設け、前記補助電極に
流れる直流電流の強さを制御することにより、アルミニ
ウム板に加わる陽極時の電気量と陰極時の電気量の比を
調整することができる。前記補助電極は、フェライト等
により形成できる。
【0143】補助陽極に流れる電流を制御する方法とし
ては、特公平6−37716号公報および特公平5−4
2520号公報に記載されているように、サイリスタお
よびGTOなどの制御整流器による位相制御、およびダ
イオードと可変抵抗器とによる制御などが挙げられる。
前記方法により、前記補助陽極に流れる電流を制御すれ
ば、変圧器の偏磁の影響を小さくすることができ、ま
た、電源装置を安価に製作できるから、コスト的に非常
に有利である。
【0144】直接給電方式を用いる場合は、コンダクタ
ローラとしては、特開昭58−177441号公報に記
載されているように、工業用アルミニウムを用いて鋳造
し、高温均質化処理を施して表面部分のAl−Fe系昌
出物をAl3Feの単一相に変化させて耐食性を向上さ
せたコンダクタローラを用いることができる。また、特
開昭56−123400に記載されているように、フラ
ット型または縦型の電解槽におけるアルミニウム板の導
入部、または前記導入部と前記アルミニウム板の導出部
との両方に前記コンダクタローラを配設した電解槽を使
用することができる。
【0145】前記電解槽においては、コンダクタローラ
は、アルミニウム板の上面または下面に接触するように
設けることが可能であるが、アルミニウム板の上面に接
触するように設け、ニップ装置にてアルミニウム板に押
しつけるようにするのが特に好ましい。アルミニウム板
がコンダクタローラに接する長さは、アルミ進行方向に
対して1mm〜300mmが好ましい。アルミニウム板
を挟んでコンダクタローラに対向するパスローラはゴム
製の胴を有するゴムローラが好ましい。前記コンダクタ
ローラの押しつけ圧、およびゴムローラの胴の硬度は、
前記コンダクタローラと前記アルミニウム板との接する
箇所においてアークスポットが発生しない条件で任意に
設定できる。コンダクタローラがアルミニウム板の上面
に接触するように設置することで、コンダクタローラの
交換作業・点検作業が簡単になる。コンダクタローラの
端部には給電ブラシを回転体に摺動させながら通電する
方式を用いるのが好ましい。
【0146】前記コンダクターローラは、アークスポッ
トの発生を防止するために、前記硝酸水溶液または塩酸
水溶液により常に冷却することが好ましい。
【0147】2−5 陽極酸化処理 アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる酸性電解液
としては、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム
酸、およびそれらの混合物を主要な酸成分とする酸性溶
液が用いられるが、陽極酸化処理により多孔質酸化皮膜
を形成できる溶液であれば、前記の酸性溶液には限定さ
れない。
【0148】陽極酸化の処理条件は、用いる酸性電解液
の組成によって変わるので、一概には特定できないが、
一般的には、前記酸成分の濃度が1〜80重量%であ
り、液温が5〜70℃であり、電流密度が1〜60A/
dm2であり、電圧が1〜100Vであり、処理時間が
10秒〜300秒の範囲が適当である。
【0149】陽極酸化皮膜の量は、1〜5g/m2の範
囲が適当である。陽極酸化皮膜の量が1g/m2以上で
あれば、充分な耐刷性が得られるから、平版印刷版の非
画像部に傷が付き難く、したがって、傷の部分にインキ
が付着する所謂きず汚れが生じ難い。陽極酸化皮膜量が
多くなると、アルミニウム板のエッジ部分に酸化皮膜が
集中しやすくなるが、陽極酸化皮膜の量が5g/m2
下であれば、このような問題が生じることはない。但
し、アルミニウム板のエッジの部分と中心部分の酸化皮
膜量の差は1g/m2以下であることが好ましい。
【0150】前記酸性電解液として硫酸水溶液を用いる
場合には、通常は、前記アルミニウム板に直流電流を印
加して陽極酸化処理を行なうが、交流を印加して陽極酸
化処理を行なってもよい。
【0151】硫酸水溶液中で陽極酸化処理を行なう場合
には、特開昭54−128453号公報および特開昭4
8−45303号各公報に詳しく記載されているよう
に、硫酸濃度が10〜300g/リットルであり、アル
ミニウムイオンの濃度が1〜25g/リットルの硫酸水
溶液が好ましく、硫酸濃度が80〜200g/リットル
であり、アルミニウムイオンの濃度が2−10g/リッ
トルである硫酸水溶液が特に好ましい。液温は30〜6
0℃が好ましく、特に30〜55℃の範囲が好ましい。
【0152】直流を用いて陽極酸化処理を行なうとき
は、電流密度は、1〜60A/dm2の範囲が好まし
く、特に5〜40A/dm2の範囲が好ましい。アルミ
ニウム板を連続的に陽極酸化する場合は、アルミニウム
板の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐために、最上流側に
おいては5〜10A/dm2の低電流密度で陽極酸化処
理をおこない、下流側に向かって徐々に電流密度を高
め、30〜50A/dm2またはそれよりも高い値にま
で電流密度を高くすることが好ましい。電流密度は、5
〜15ステップで徐々に上げることが好ましく、各ステ
ップごとに独立した電源装置を設けて前記電源装置のそ
れぞれにおいて電流密度を制御することにより、下流側
に向かって徐々に電流密度を高めることができる。前記
アルミニウム板への給電方法は、コンダクタローラを用
いない後述する液給電方式が好ましい。特開2001−
11698号公報にはその一例が示されている。
【0153】アルミニウム板への給電方式としては、前
記電解粗面化処理のときと同様に、直接給電方式と液給
電方式とが挙げられる。
【0154】直接給電方式は、高速・高電流密度になる
とコンダクタローラとアルミニウムウェブ間のスパーク
発生の問題が発生して不利なので、ライン速度が30m
/分以下の比較的低速・低電流密度の陽極酸化装置で用
いられることが多く、間接給電方式は、ライン速度が3
0m/minを越える高速・高電流密度の陽極酸化装置
で用いられることが多い。
【0155】間接給電方式を使用する場合には、連続表
面処理技術(総合技術センター、昭和61年9月30日
発行)の289頁にあるように、山越型またはストレー
ト型の槽レイアウトを用いることができる。
【0156】直接給電方式、間接給電方式ともに、アル
ミニウムウェブ内の電圧ドロップによるエネルギーロス
を少なくする目的で、陽極酸化処理工程は2つ以上に分
離し、それぞれの電解装置の給電槽と酸化槽、またはコ
ンダクタローラと酸化槽の間に直流電源を接続して用い
ることがとくに好ましい。
【0157】直接給電方式を用いる場合は、コンダクタ
ローラとしては、前記「2−4 電解粗面化処理」のと
ころで述べたコンダクタローラと同様のものを使用でき
る。
【0158】陽極酸化処理工程においては大電流を流す
ため、ブスバーに流れる電流により発生する磁界によ
り、アルミニウム板にローレンツ力が働く。その結果ウ
ェブが蛇行する問題が生じるため、特開昭57−512
90に記載のような方法を用いることが特に好ましい。
【0159】また、アルミニウム板には大電流が流れる
ため、アルミニウム板自身を流れる電流による磁界によ
り、アルミニウム板の幅方向において中央に向かってロ
ーレンツ力が働く。その結果アルミニウム板に折れが発
生しやすくなるため、陽極酸化処理槽内に直径100〜
200mmのパスローラーを100〜3000mmピッ
チで複数設け、1度から15度の角度でラップさせてロ
ーレンツ力による折れを防止する方法をとることが特に
好ましい。
【0160】また、陽極酸化被膜は、アルミニウム板の
エッジに近づくほど生成量が多くなり、厚さが厚くなる
から、巻き取り装置においてアルミニウム板をうまく巻
きとれないという問題が生じることがある。前記問題
は、特公昭62−30275公報および特公昭55−2
1840号公報に記載されているように、酸性電解液を
撹拌することにより解決できる。酸性電解液を攪拌して
も前記問題が十分に解決できない場合には、巻き取り装
置を0.1〜10Hzの周期で5〜50mmの振幅でア
ルミニウム板の幅方向にオシレートさせれば、前記アル
ミニウム板の巻取りの問題を解決できる。
【0161】アルミニウム板に電流を通電するための陽
極としては、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライトな
どを用いることができるが、酸化イリジウムを主体とす
るものが特に好ましい。酸化イリジウムは熱処理により
基材に被覆できる。基材としてはチタン、タンタル、ニ
オブ、ジルコニウムなどの所謂バルブ金属が用いられる
が、チタンまたはニオブが特に好ましい。前記バルブ金
属は比較的電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、そ
の周囲にバルブ金属をクラッドすることが特に好まし
い。銅の芯材にバルブ金属をクラッドする場合は、あま
り複雑な形状のものは作れないので、各パーツに分割し
て作成した電極部品を、酸化イリジウムを被覆した後に
ボルト・ナット等で希望の構造となるように組み立てる
のが一般的である。
【0162】2−6 封孔処理・親水化処理 陽極酸化処理されたアルミニウム板は、現像液への陽極
酸化皮膜の溶解および非画像部における画像形成層の残
膜の抑制、陽極酸化皮膜の強度、親水性、および感光層
との密着性の向上等を目的に、水洗処理した後、親水化
処理を施すことができる。
【0163】前記親水化処理としては陽極酸化皮膜をア
ルカリ金属珪酸塩の水溶液と接触させて処理するシリケ
ート処理があげられる。
【0164】前記シリケート処理は、アルカリ金属珪酸
塩濃度が通常0.1〜30重量%であり、好ましくは
0.5〜15重量%であり、25℃でのpHが10〜1
3.5であるアルカリ金属珪酸塩の水溶液に、前記アル
ミニウム板を、5〜80℃、好ましくは10〜70℃、
より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒間接触
させることにより、行なうことができる。
【0165】前記アルミニウム板を前記アルカリ金属珪
酸塩の水溶液に接触させる方法としては、浸漬およびス
プレーによる吹き付けなどが挙げられるが、これらの方
法には限定されない。
【0166】なお、アルカリ金属珪酸塩水溶液は、pH
が10より低いとゲル化し、13.5より高いと陽極酸
化皮膜が溶解されてしまうから、前記ゲル化および陽極
酸化皮膜の溶解の問題が生じないpH10〜13.5の
範囲が好ましい。
【0167】前記アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナ
トリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどが使用され
る。
【0168】アルカリ金属珪酸塩の水溶液のpH調整に
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ムなどのアルカリ金属水酸化物が使用される。
【0169】なお、前記水溶液には、アルカリ土類金属
塩または第IVB族金属塩を配合してもよい。
【0170】アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシ
ウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バ
リウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、燐酸塩、酢
酸塩、蓚酸酸塩、硼酸塩などの水溶性塩が挙げられる。
【0171】第IVB族金属塩としては、四塩化チタ
ン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、蓚酸チタン
カリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジル
コニウムなどが挙げられる。
【0172】アルカリ土類金属および第IVB族金属塩
は、単独でも、2種以上の組み合わせでも使用できる。
前記アルカリ土類金属および第IVB族金属塩の好まし
い配合量は、0.01〜10重量%であり、更に好まし
い配合量は、0.05〜5重量%である。
【0173】前記アルミニウム板には、前記親水化処理
に加え、封孔処理を施すこともできる。
【0174】前記封孔処理としては、水蒸気封孔、沸騰
水(熱水)封孔、金属塩封孔(クロム酸塩/重クロム酸
塩封孔、酢酸ニッケル封孔など)、油脂含浸封孔、合成
樹脂封孔、低温封孔(赤血塩やアルカリ土類塩などによ
る)など、陽極酸化皮膜の封孔処理として公知の処理が
挙げられるが、印刷版用支持体としての性能(感光層と
の密着性や親水性)、高速処理、低コスト、低公害性等
の面から、水蒸気封孔が好ましい。
【0175】水蒸気封孔としては、たとえば、加圧また
は常圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対湿度70
%以上、蒸気温度95℃以上で2秒〜180秒程度陽極
酸化皮膜に接触させる特開平4−176690号公報に
開示された方法などが挙げられる。
【0176】他の封孔処理法としては、熱水またはアル
カリ水溶液への浸漬、熱水またはアルカリ吹き付け処
理、亜硝酸塩水溶液への浸漬、および亜硝酸塩水溶液の
吹き付け処理などが挙げられる。前記亜硝酸塩水溶液へ
の浸漬および噴き付け処理は、前記熱水またはアルカリ
水溶液への浸漬および吹き付け処理に代えて行なっても
よく、前記処理に引き続いて行なってもよい。
【0177】前記亜硝酸塩の例としては、周期律表のI
a、IIa 、IIb 、IIIb、IVb 、IVa 、VIa、VIIa、VIII族
の金属の亜硝酸塩である金属亜硝酸塩、および亜硝酸ア
ンモニウムが挙げられる。
【0178】前記金属亜硝酸塩としては、例えばLiN
2、NaNO2、KNO2、Mg(NO22、Ca(N
22 、Zn(NO22、Al(NO23、Zr(N
2 4、Sn(NO23、Cr(NO23、Co(NO
22、Mn(NO22、Ni(NO22等が好ましく、
特にアルカリ金属硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩は2種以
併用することもできる。
【0179】処理条件は、前記アルミニウム板の状態お
よび亜硝酸塩の種類により異なるので一義的には決定で
きないが、例えば亜硝酸ナトリウムを用いた場合には、
濃度は一般的には0.001〜10重量%であり、より
好ましくは0.01〜2重量%である。浴温度は一般的
には室温から約100℃前後であり、より好ましくは6
0〜90℃である。処理時間は一般的には15〜300
秒であり、より好ましくは10〜180秒である。
【0180】亜硝酸塩水溶液のpHは8.0〜11.0
に調整されていることが好ましく、8.5〜9.5に調
整されていることが特に好ましい。亜硝酸塩水溶液のp
Hを上記の範囲に調製するには、例えばアルカリ緩衝液
等を用いて好適に調製することができる。該アルカリ緩
衝液としては、例えば炭酸水素ナトリウムと水酸化ナト
リウムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウ
ムの混合水溶液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム
の混合水溶液、塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混
合水溶液、塩酸と炭酸ナトリウムの混合水溶液、四ホウ
酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液等を好適
に用いることができるが、これらには限定されない。ま
た、上記アルカリ緩衝液はナトリウム以外のアルカリ金
属塩、例えばカリウム塩等も用いることができる。
【0181】前記親水化処理および封孔処理の少なくと
も一方を施した後、感光層との密着性をアップさせるた
めに、特開平5−278362号公報に開示されている
酸性水溶液処理と親水性下塗りを行なってもよく、特開
平4−282637号公報や特願平6−108678号
明細書に開示されている有機層を設けてもよい。
【0182】支持体表面に以上のような処理或いは、下
塗りなどが施された後、支持体の裏面には、必要に応じ
てバックコートが設けられる。このようなバックコート
としては特開平5−45885号公報記載の有機高分子
化合物および特願平4−189448号記載の有機また
は無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られ
る金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。前
記有機または無機金属化合物としては、Si(OC
34、Si(OC254、Si(OC374、Si
(OC494などの珪素アルコキシ化合物が安価で入
手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が耐現
像液性に優れている故に、特に好ましい。
【0183】2−7 水洗処理 なお、前記処理のそれぞれにおいて使用された薬液や研
磨材をアルミニウム板表面から除去すべく、前記各処理
の間に、前記アルミニウム板を水洗処理する水洗工程を
設けてもよい。
【0184】前記水洗工程においては、水洗処理は、種
類および組成の異なる薬液を使用する処理槽の間におい
て行なうのが普通である。前記アルミニウム板が一の処
理槽から出て洗浄工程に入る時間、および前記洗浄工程
が終了してから前記一の洗浄槽に隣接する次の処理槽に
入るまでの時間は、10秒以下が好ましく、0.1〜1
0秒が特に好ましい。前記時間が10秒以下であれば、
前記アルミニウム板の表面の化学的な変性がそれほど進
まないから、処理ムラが発生し難い。また、前記一の処
理槽を出てから次の処理槽までのアルミニウム板の通過
時間は、15秒以下が好ましく、特に5秒以下が好まし
い。前記通過時間が15秒以下であれば、前記アルミニ
ウム板の表面の化学的な変性が進むことが殆どなく、次
工程で均一な粗面化処理を行うことができる。
【0185】前記アルミニウム板の水洗工程において
は、ニップローラーにて液切りした表面を、水洗槽にお
いて、スプレーチップから水を噴射して洗浄するのが一
般的である。水は下流に向かって45度〜90度の角度
で噴射することが好ましい。
【0186】水の噴射圧力は、噴射ノズル直前の圧力で
0.5〜5kg/cm2が好ましく、水温は10〜80
℃が好ましい。
【0187】前記アルミニウム板の搬送速度は20〜2
00m/minが好ましい。
【0188】アルミニウム板に吹き付ける洗浄水の量
は、洗浄工程1回当り0.1〜10リットル/m2が好
ましい。
【0189】前記水洗槽においては、アルミニウム板の
表面および裏面に、最低2本以上のスプレー管から洗浄
水を噴射することが好ましい。一つのスプレー管にはピ
ッチ50mmから200mmの間隔でスプレーチップを
5〜30本設置することが好ましい。スプレーチップの
噴霧角度は10〜150度が好ましく、アルミニウム板
とスプレーチップ噴射面の間隔は10〜250mmが好
ましい。スプレーチップの噴霧の断面形状(スプレーパ
ターン)は環状、円形、楕円形、正方形、長方形などが
あるが、円形・惰円形または正方形・長方形が好まし
い。流量分布(アルミニウム板の表面における噴霧の水
量分配状態)は環状分布、均等分布、山型分布などがあ
るが、スプレーチップをスプレー管に複数並べて使用す
るときは、幅全域での均一な流量分布を容易にする山型
分布が好ましい。流量分布は噴霧圧力とスプレーチップ
とアルミニウム板の距離により変化する。噴霧の粒子径
はスプレーチップの構造、噴霧圧力、噴霧量によって変
わるが、10μm〜10000μmの範囲が好ましく、
とくに100μm〜1000μmの範囲が好ましい。ス
プレーノズルの材質は高速で流れる液体に対して耐摩耗
性があることが好ましく、真鍮、ステンレス、セラミッ
クなどが用いられるが、セラミックノズルが特に好まし
い。
【0190】スプレーチップを設置したスプレーノズル
は、アルミニウム板の進行方向に対して45〜90°の
角度で配置することができるが、スプレーパターンの中
心線のうち長さが長い方の中心線がアルミニウム板の進
行方向と直角になるようにすることが好ましい。
【0191】水洗処理の時間は、1回の水洗工程当り1
0秒以下が工業的に好ましく、特に0.5秒から5秒が
好ましい。
【0192】2−8 パスローラの材質 前記各処理を行なう処理槽および水洗槽においては、前
記アルミニウム板を搬送または支持するパスローラを設
けることができる。
【0193】前記パスローラとしては、鉄鋼ライン、メ
ッキライン、電解コンデンサ製造ライン、PS版製造ラ
インなどの連続生産ラインに用いる表面にメッキ処理ま
たはライニング処理された金属ローラ、樹脂ローラ、ゴ
ムローラ、不織布ローラなどを用いることができる。
【0194】前記パスローラの材質、表面の物性値は、
前記処理に使用される薬液やアルミニウム板の表面の状
態に応じて、要求される耐食性、耐摩耗性、耐熱性、耐
薬品性などを考慮して選定する。
【0195】金属ローラとしては、ハードクロムメッキ
ローラが一般的に用いられる。
【0196】ゴムローラとしては、天然ゴム、イソプレ
ンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブ
チルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエ
チレン、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピクローラヒ
ヒドリンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴム
などのゴム類、および前記ゴム類に微量の添加物を添加
したものから製した胴を有するローラを用いることがで
きる。ゴムローラの胴の硬度は60〜90がとくに好ま
しい。
【0197】また、アルミニウム板が濡れて滑りやすい
箇所において、アルミニウムウェブの搬送速度を制御す
るときには、アルミニウムウェブが濡れた状態でもスリ
ップしにくい不織布ローラを用いることがとくに好まし
い。前記箇所においてゴムローラを用いるときは、ロー
ラに補助駆動用のモータを設けることがとくに好まし
い。
【0198】3.画像形成層 3−1 バックコート層 現像時のアルミ溶解をなくし、画像形成層と平版印刷版
用アルミニウム支持体との擦れによるキズを無くす目的
で、特開平6−32115に記載されているように、有
機高分子化合物ならびに界面活性剤を含む厚さ0.01
−8μmのバックコート層を設けることができる。
【0199】このバックコート層の主成分としては、ガ
ラス転移点20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂及び塩
化ビニリデン共重合樹脂の群から選ばれる少なくとも一
種の樹脂が用いられる。
【0200】飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボ
ン酸ユニットとジオールユニットからなる。
【0201】本発明に用いられるポリエステルのジカル
ボン酸ユニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル
酸などの芳香族ジカルボン酸、およびアジピン酸、アゼ
ライン酸、コハク酸、蓚酸、スベリン酸、セバチン酸、
マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの
飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0202】バックコート層には更に、着色のための染
料や顔料、アルミニウム支持体との密着性向上のための
シランカップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ
樹脂、有機ホスホン酸、有機リン酸およびカチオン性ポ
リマー等、更には滑り剤として通常用いられるワック
ス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、ジメチルシロキサ
ンよりなるシリコーン化合物、変性ジメチルシロキサ
ン、ポリエチレン粉末等が適宜加えられる。
【0203】バックコート層をアルミニウム支持体の裏
面に被覆するには種々の方法が適用できる。このような
方法としては、たとえば、前記樹脂の溶液または乳化分
散液を塗布、乾燥する方法、予めフィルム状に成形した
前記樹脂を接着剤や熱でアルミニウム支持体に貼り合わ
せる方法、および溶融押し出し機で前記樹脂の溶融皮膜
を形成して支持体に貼り合わせる方法等が挙げられる
が、上記の塗布量を確保する上で最も好ましいのは、前
記樹脂の溶液または乳化分散液を塗布、乾燥する方法で
ある。
【0204】3−2 画像形成層 (1)可視光露光型画像形成層 前記可視光露光型画像形成層は、感光性樹脂および必要
に応じて着色剤などを含有する組成物により形成でき
る。
【0205】前記感光性樹脂としては、光が当たると現
像液に溶けるようになるポジ型感光性樹脂、および光が
当たると現像液に溶解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙
げられる。
【0206】ポジ型感光性樹脂としては、キノンジアジ
ド化合物およびナフトキノンジアジド化合物等のジアジ
ド化合物と、フェノールノボラック樹脂およびクレゾー
ルノボラック樹脂等のフェノール樹脂との組み合わせ等
が挙げられる。
【0207】一方、ネガ型感光性樹脂としては、芳香族
ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド類と
の縮合物等のジアゾ樹脂、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、
および前記ジアゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、
(メタ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、およびポ
リウレタン等の結合剤との組み合わせ、並びに(メタ)
アクリレート樹脂およびポリスチレン樹脂等のビニルポ
リマーと、(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレン
等のビニル重合性化合物と、ベンゾイン誘導体、ベンゾ
フェノン誘導体、およびチオキサントン誘導体等の光重
合開始剤との組み合わせ等が挙げられる。
【0208】前記着色剤としては、通常の色素のほか、
露光により発色する露光発色色素、および露光により殆
どまたは完全に無色になる露光消色色素等が使用でき
る。前記露光発色色素としては、たとえばロイコ色素等
が挙げられる。一方、前記露光消色色素としては、トリ
フェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキ
ザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン
系色素、アゾメチン系色素、およびアントラキノン系色
素等が挙げられる。
【0209】前記可視光露光型画像形成層は、前記感光
性樹脂と前記着色剤とを溶剤に配合した感光性樹脂溶液
を塗布して乾燥することにより形成できる。
【0210】前記感光性樹脂溶液に使用される溶剤とし
ては、前記感光性樹脂を溶解し、しかも、室温である程
度の揮発性を有する溶剤が挙げられ、具体的には、たと
えばアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶
剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アミ
ド系溶剤、および炭酸エステル系溶剤等が挙げられる。
【0211】アルコール系溶剤としては、エタノール、
プロパノール、およびブタノール等が挙げられる。ケト
ン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メ
チルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、およ
びジエチルケトン等が挙げられる。エステル系溶剤とし
ては、酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸メチル、蟻酸エ
チル等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、テトラ
ヒドロフランおよびジオキサン等が挙げられ、グリコー
ルエーテル系溶剤としては、エチルセロソルブ、メチル
セロソルブ、およびブチルセロソルブ等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミドおよびジ
メチルアセトアミド等が挙げられる。炭酸エステル系溶
剤としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエ
チル、および炭酸ジブチル等が挙げられる。 (2)レーザ露光型画像形成層 レーザ露光型画像形成層としては、露光・現像後に、レ
ーザ光を照射した部分が残存するネガ型レーザ画像形成
層、レーザ光を照射した部分が除去されるポジ型レーザ
画像形成層、およびレーザ光を照射すると光重合する光
重合型レーザ画像形成層などが主なものとして挙げられ
る。
【0212】A.ネガ型レーザ画像形成層 前記ネガ型レーザ画像形成層は、(A)熱または光によ
り分解して酸を発生する酸前躯体、(B)前記酸前躯体
(A)が分解して発生した酸により架橋する酸架橋性化
合物、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)赤外線吸収
剤、および(E)フェノール性水酸基含有化合物を適宜
の溶剤に溶解または懸濁させたネガ型レーザ画像形成層
形成液から形成できる。
【0213】酸前躯体(A)としては、例えばイミノフ
ォスフェート化合物等のように、紫外光、可視光、また
は熱により分解してスルホン酸を発生する化合物が挙げ
られる。他には、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重
合開始剤、または光変色剤などとして一般に使用されて
いる化合物も、酸前躯体(A)として使用できる。
【0214】酸架橋性化合物(B)としては、アルコキ
シメチル基およびヒドロキシル基の少なくとも一方を有
する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アル
コキシメチル基、またはN−アシルオキシメチル基を有
する化合物、およびエポキシ化合物などが挙げられる。
【0215】アルカリ可溶性樹脂(C)としては、ノボ
ラック樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレン)などの
側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーなどが挙
げられる。
【0216】赤外線吸収剤(D)としては、760nm
〜1200nmの赤外線を吸収する染料および顔料が挙
げられ、具体的には、黒色顔料、赤色顔料、金属枌顔
料、フタロシアニン系顔料、および前記波長の赤外線を
吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニ
ン染料、シアニン色素などが挙げられる。
【0217】フェノール性水酸基含有化合物(E)とし
ては、一般式(R1−X)n−Ar−(OH)m(R1は、
炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であ
り、Xは、端結合、O、S、COO、またはCONHで
あり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基、
または複素環基であり、nおよびmは、何れも1〜3の
自然数である。)で示される化合物が挙げられる。前記
化合物としては、具体的にはノニルフェノールなどのア
ルキルフェノール類などが挙げられる。
【0218】前記ネガ型レーザ画像形成層形成液には、
さらに可塑剤なども配合できる。
【0219】B.ポジ型レーザ画像形成層 前記ポジ型レーザ画像形成層は、(F)アルカリ可溶性
高分子、(G)アルカリ溶解阻害剤、および(H)赤外
線吸収剤を適宜の溶剤に溶解または懸濁させたポジ型レ
ーザ画像形成層形成液により形成できる。
【0220】アルカリ可溶性高分子(F)としては、た
とえばフェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹
脂、ピロガロール樹脂、およびポリ(ヒドロキシスチレ
ン)などのフェノール性水酸基を有するフェノール系ポ
リマー、少なくとも一部のモノマー単位がスルホンアミ
ド基を有するポリマーであるスルホンアミド基含有ポリ
マー、N−(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリ
ルアミド基などの活性イミド基を有するモノマーの単独
重合または共重合により得られる活性イミド基含有ポリ
マーなどが使用できる。
【0221】アルカリ溶解阻害剤(G)としては、加熱
などによりアルカリ可溶性高分子(F)と反応してアル
カリ可溶性高分子(F)のアルカリ可溶性を低下させる
化合物が挙げられ、具体的には、スルホン化合物、アン
モニウム塩、スルホニウム塩、およびアミド化合物など
が挙げられる。たとえば、アルカリ可溶性高分子(F)
として前記ノボラック樹脂を用いる場合には、アルカリ
溶解阻害剤(G)としてスルホン化合物の一種であるシ
アニン色素が好ましい。
【0222】赤外線吸収剤(H)としては、スクワリリ
ウム色素、ピリリウム色素、カーボンブラック、不溶性
アゾ染料、アントラキノン系染料など、750〜120
0nmの赤外域に吸収領域があり、光/熱変換能を有す
る色素、染料、および顔料が挙げられる。
【0223】C.光重合型レーザ画像形成層 光重合型レーザ画像形成層は、(I)分子末端にエチレ
ン性不飽和結合を有するビニル重合性化合物を含有する
光重合型レーザ画像形成層形成液により形成できる。前
記光重合型レーザ画像形成層形成液には、必要に応じ
て、(J)光重合開始剤、および(K)増感剤などを配
合できる。
【0224】ビニル重合性化合物(I)としては、(メ
タ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのエチレ
ン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエス
テルであるエチレン性不飽和カルボン酸多価エステル、
前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価アミンとからな
るメチレンビス(メタ)アクリルアミド、キシリレン
(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和カルボ
ン酸多価アミドなどが挙げられる。
【0225】ビニル重合性化合物(I)としては、他
に、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル
化合物、および(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチルなどのエチレン性不飽和カルボン酸モノ
エステルなども使用できる。
【0226】光重合開始剤(J)としては、ビニル系モ
ノマーの光重合に通常に使用される光重合開始剤が使用
できる。
【0227】増感剤(K)としては、チタノセン化合
物、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベン
ゾイミダゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン
色素、キサンテン色素、クマリン色素などが挙げられ
る。
【0228】前記ネガ型レーザ画像形成層形成液、ポジ
型レーザ画像形成層形成液、または光重合型レーザ画像
形成層形成液に使用される溶剤、および前記ネガ型レー
ザ画像形成層形成液、ポジ型レーザ画像形成層形成液、
または光重合型レーザ画像形成層形成液の塗布方法につ
いては、「(1)可視光露光型画像形成層」のところで
述べた溶剤および塗布方法と同様である。
【0229】なお、前記光重合型レーザ画像形成層を形
成するときは、シラン化合物を水、アルコール、または
カルボン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化
合物などの反応性官能基を有するシリコーン化合物で平
版印刷版用支持体の粗面化面を予め処理すると、平版印
刷版用支持体と前記光重合型レーザ画像形成層との接着
性が向上するから好ましい。
【0230】3−3 塗布方法 前記感光性樹脂溶液、ネガ型レーザ画像形成層形成液、
ポジ型レーザ画像形成層形成液、および光重合型レーザ
画像形成層形成液を前記平版印刷版用アルミニウム支持
体の粗面化面に塗布する方法としては、コーティングロ
ッドを用いる方法、エクストルージョン型コーターを用
いる方法、スライドビードコーターを用いる方法など、
従来公知の方法が使用でき、また公知の条件に従って行
うことができる。
【0231】前記感光性樹脂溶液、ネガ型レーザ画像形
成層形成液、ポジ型レーザ画像形成層形成液、および光
重合型レーザ画像形成層形成液を塗布後のアルミニウム
板を乾燥する装置としては、特開平6−63487号公
報に記載の、乾燥装置内にパスロールを配置し、前記パ
スロールで搬送しつつ乾燥するアーチ型ドライヤー、上
下からノズルによりエアーを供給し、ウェブを浮上させ
ながら乾燥するエアードライヤー、高温に加熱された媒
体からの輻射熱で乾燥する輻射熱ドライヤー、およびロ
ーラを加熱し、前記ローラとの接触による伝導伝熱によ
り乾燥するローラドライヤー等がある。
【0232】
【実施例】以下、実施例を用い、本発明についてさらに
具体的に説明する。
【0233】(実施例1−1〜1−31、比較例1)表
1〜4に示すアルミニウム板に、以下の手順に従って粗
面化処理を行った。機械的粗面化処理〜陽極酸化処理
は、以下にも述べるように表1〜表9に示される条件に
従って行なった。それぞれの処理の後には水洗処理をお
こない、それぞれの処理及び水洗処理の後にはニップロ
ーラに依る液切りをおこなった。但し、一の処置に引き
続いて行なう他の処理において、前記一の処理で使用し
たのと同一の処理液を使用したときは、前記一の処理と
前記他の処理との間においては、水洗を省略した。
【0234】
【表1】
【0235】
【表2】
【0236】
【表3】
【0237】
【表4】
【0238】
【表5】
【0239】
【表6】
【0240】
【表7】
【0241】
【表8】
【0242】
【表9】
【0243】(1)機械的粗面化処理 表1〜4に示す条件で、研磨材スラリーをスプレー管か
らアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するロー
ラー状ブラシにより機械的な粗面化をおこなった。
【0244】ローラ状ブラシにおけるブラシ毛の材質は
6・10ナイロンであった。前記ブラシ毛は、直径30
0mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように
植毛した。ローラ状ブラシは3本、または4本使用し
た。前記ローラ状ブラシのそれぞれに2本の支持ローラ
を設けた。前記支持ローラの直径は200mmであり、
距離は300mmであった。
【0245】前記ローラ状ブラシの押し込み量は、前記
ローラ状ブラシを回転させる駆動モータの負荷の、前記
ローラ状ブラシを押し付ける前の前期駆動モータの負荷
に対する増大量が一定になり、粗面化後のアルミニウム
板の平均表面粗さが0.4〜0.5μmになるように制
御した。オシレートの振幅は100mmであった。
【0246】なお、前記機械的粗面化処理の条件の詳細
については、表5に示す。
【0247】(2)アルカリエッチング処理(1) 機械的粗面化処理後のアルミニウム板に、スプレー管か
ら、NaOHを26重量%、アルミニウムイオンを7.
5重量%含有する液温70℃のアルカリ溶液を噴きつけ
て、粗面化面におけるアルミニウム溶解量が表1〜4に
示す値になるようにアルカリエッチング処理を行った。
【0248】(3)デスマット処理(1) 次に、表1〜4に示す条件に従ってデスマット処理をお
こなった。使用した酸性溶液の種類および液温は、表1
〜4および表6に示すとおりであった。
【0249】(4)電解粗面化処理(1) 水1リットル中に68%硝酸16gと硝酸アルミニウム
63gと硝酸アンモニウム0.4gとを添加した液温5
0℃の硝酸水溶液中で、台形波電流を印加して電解粗面
化処理を行った。前記アルミニウム板のアノード反応時
の電気量、前記台形波電流の周波数、および立上り時間
pは表1〜表4に示す通りであった。交流のduty(ta
/T)は0.5であった。
【0250】電流密度は50A/dm2であり、カーボ
ンの主極に対向する部分でのアルミニウム板がアノード
反応時の電気量の総和Qaとカソード反応時の電気量総
和Qcとの比Qc/Qaは0.95であった。アルミニウ
ム板に加わる電気量として、アルミニウム板が電解槽を
通過する間にアルミニウム板に加わった電気量であって
前記アルミニウム板がアノード反応した電気量の総和を
示した。
【0251】(5)アルカリエッチング処理(2) NaOH26重量%とアルミニウムイオン7.5重量%
とを含有する液温50℃のアルカリ溶液を、スプレー管
より、前記電解粗面化処理後のアルミニウム板に吹き付
けてアルカリエッチング処理を行った。粗面化面におけ
るアルミニウム板の溶解量は表1〜表4に示す通りであ
った。
【0252】(6)デスマット処理(2) 次に、デスマット処理をおこなった。デスマット処理に
用いる酸性水溶液は表1〜表4および表6のとおりであ
った。
【0253】(7)電解粗面化処理(2) 水1リットル中に35%塩酸21gと塩化アルミニウム
40gとを添加した液温35℃の塩酸水溶液中におい
て、台形波電流を印加して電解粗面化処理を行なった。
【0254】前記台形波電流の周波数および立上り時間
pは表1〜4に示す通りであった。前記台形は電流のd
uty(ta/T)は0.5であった。
【0255】電流密度は50A/dm2であり、アルミ
ニウム板がアノード反応時の電気量Qaの総和とカソー
ド反応時の電気量の総和Qcとの比Qc/Qaは0.95
であった。アルミニウム板に加わる電気量として、アル
ミニウム板が電解槽を通過する間にアルミニウム板に加
わった電気量であって前記アルミニウム板がアノード反
応した電気量の総和を示した。前記電気量は、表1〜表
4に示す通りであった。
【0256】(8)アルカリエッチング処理(3) 表7に示す組成および液温のアルカリ溶液E3−1また
はE3−2をスプレー管より前記アルミニウム板に吹き
付けてアルカリエッチング処理を行った。前記アルカリ
溶液の何れを使用したかということ、および粗面化面に
おけるアルミニウムの溶解量については表1〜表4に示
す通りであった。
【0257】(9)デスマット処理(3) 次に、デスマット処理をおこなった。デスマット処理に
おいては、表1〜表4に示す種類の酸性溶液を使用し
た。前記酸性溶液の具体的な種類および液温について
は、表6に示す。
【0258】(10)陽極酸化処理、封孔処理、親水化処理 次に、この板を、表1〜表4に示す条件で陽極酸化処理
した。前記陽極酸化処理において使用した酸性電解液A
1および酸性電解液A2の組成および液温については表
8に示す。
【0259】陽極酸化処理後のアルミニウム板に、封孔
処理および親水化処理の何れか一方または両方を施し
た。封孔処理と親水化処理とのどちらを施したかについ
ては、表1〜表4に示す。
【0260】封孔処理は、100℃、1気圧において飽
和した蒸気チャンバーの中で10秒間処理することによ
り行なった。
【0261】親水化処理は、表1〜表4に示すように、
条件S1〜S3の何れか1つに従って行なった。条件S
1〜S3については、表9に示す。
【0262】(実施例2) (実施例2−1)実施例1−1〜実施例1−31で製造
した平版印刷版用アルミニウム支持体に、下記組成の下
塗り液を塗布し、80℃で30秒間乾燥した。乾燥後の
被覆量は30mg/m2であった。
【0263】 [下塗り液] アミノエチルホスホン酸 0.10g フェニルホスホン酸 0.15g β−アラニン 0.10g メタノール 40g 純 水 60g 次に、前記平版印刷版用アルミニウム支持体に、以下の
組成を有する感光層形成液Aを、塗布量を変化させて塗
布し、110℃で1分間乾燥してポジ型感光性平版印刷
原版を得た。
【0264】 〔感光層形成液A〕 1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドとピロガロール−アセ トン樹脂とのエステル化物(米国特許第3,635,709号明細書の実施例1に記載さ れているもの) … 0.45g クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(メタ/パラ比=6対4、重量 平均分子量3,000 、数平均分子量1,100、未反応のクレゾールを0.7%含有) … 1.1g m−クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(重量平均分子量1,700 、 数平均分子量600、未反応のクレゾールを1%含有) … 0.3g N−(P−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド−ノルマルブチルアク リレート−ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート共重合体( 各モノマーの仕込モル比=40:40:20、重量平均分子量40,000、数平均分 子量20,000) … 0.2g P−ノルマルオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(米国特許第4,123, 279 号明細書に記載されているもの) … 0.021g ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド …0.01g テトラヒドロ無水フタル酸 … 0.1g 安息香酸 … 0.02g 4−〔p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕−2 ,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン … 0.01g 4−〔P−N−(P−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル〕−2,6−ビ ス(トリクロロメチル)−S−トリアジン … 0.02g 2−トリクロロメチル−5−(4−ヒドロキシスチリル)−1,3,4−オキ サジアゾール … 0.01g ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸に置 換した染料 … 0.02g モディパーF−200(日本油脂(株)製フッ素系界面活性剤)を30重量% 含むメチルエチルケトンとメチルイソブチルケトン混合溶剤溶液 … 0.06g メガファックF177(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤) を20重量%含むメチルイソブチルケトン溶液) … 0.02g メチルエチルケトン … 15g 1−メトキシ−2−プロパノール … 10g の組成を有するものを用いた。
【0265】前記感光層形成液Aを塗布して乾燥した感
光層の上に、メチルメタクリレートとエチルアクリレー
トとアクリル酸ソーダとを68/20/12の仕込モル
比で共重合した共重合体の水溶液を静電スプレーしてよ
りマット層を設けた。
【0266】得られた感光性平版印刷原版を、真空焼枠
中で、透明ポジティブフィルムを通し、1mの距離から
3kwのメタルハライドランプにより50秒間露光を行
なったのち、現像液としてSiO2/Na2Oのモル比が
1.74の珪酸ナトリウムの5.26%水溶液(pH=
12.7)を、リンス液として富士写真フィルム(株)
製FR−3(1:7)を仕込んだ富士写真フィルム
(株)製自動現像機スタブロン900Dに通して処理し
た。
【0267】得られた平版印刷版について印刷性能を評
価した。印刷機としてハイデルベルグ社製SOR−Mを
使用し、湿し水として富士写真フィルム(株)製EU−
3(1:100)にイソプロパノールを10%添加した
ものを使用し、インキとしては、東洋インキ(株)製マ
ークファイブニュー墨を用いて印刷を行なった。前記平
版印刷版は、耐刷製および汚れ性が良好であった。
【0268】(実施例2−2)実施例1−1〜実施例1
−31で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、
以下の塗布液を2g/m2の塗布量で塗布して乾燥し、
下地層を形成した。
【0269】 [塗布液] 1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドと ピロガロール−アセトン樹脂のエステル化物 (重量平均分子量2500) 40重量部 フェノールホルムアルデヒド樹脂 (重量平均分子量10000,3核体以上の成分90%) 75重量部 アクリルポリマーI 35重量部 2−(p−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロ ロメチル)−s−トリアジン 3重量部 オイルブルー#603 (オリエント化学工業(株)製) 1.5重量部 メガファックF−176 (大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤) 0.3重量部 メチルエチルケトン 1000重量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000重量部 の組成を有するものを用いた。
【0270】前記アクリルポリマーIは、以下の手順で
合成した。
【0271】N−(p−トルエンスルホニル)メタクリ
ルアミド60.3g、アクリロニトリル10.0gおよ
びエチルアクリレート46.0gをジメチルホルムアミ
ド232.6gに溶解し、窒素気流下、2,2′−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.224g
を重合開始剤として用い、65℃で7時間攪拌した。反
応液を放冷した後、水5リットル中に再沈した。析出し
たポリマーを濾取し、乾燥することでアクリルポリマー
Iを110.4g(収率95%、Mw52,000)を
得た。
【0272】さらに以下のマット形成樹脂液を吹きつけ
てマット層を形成した。マット層形成用樹脂液としてメ
チルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸
(仕込重量比65:20:15)共重合体の一部をナト
リウム塩とした12%水溶液を調製し、回転霧化静電塗
布機で霧化頭回転数25,000rpm、樹脂液の送液
量は40ml/分、霧化頭への印加電圧は−90kV、
塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗
布後2.5秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、つ
いで湿潤した3秒後に温度60℃、湿度10%の温風を
5秒間吹き付けて乾燥させた。
【0273】このようにした作製した平版印刷版に原稿
フィルムを通して1mの距離から3kWのメタルハライ
ドランプを用いて、60秒間露光した。
【0274】 [現像液a(pH約12.4)] D−サッカロース 4.8 重量% 水酸化ナトリウム 0.34重量% 炭酸ナトリウム 0.70重量% テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.03重量% 水 94.7 重量% の組成を有するものを用いた。
【0275】 [現像補充液a(pH約13.0)] D−サッカロース 9.7 重量% 水酸化ナトリウム 1.5 重量% 炭酸ナトリウム 1.0 重量% テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.07重量% 水 残 部 の組成を有するものを用いた。
【0276】 〔フィニッシングガム液〕 アラビアガム 1.8 重量% 酵素変性馬鈴薯澱粉 18.3 重量% 酵素変性玉蜀黍澱粉 3.7 重量% 燐酸化ワキシー玉蜀黍澱粉 1.8 重量% ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.91重量% 第一燐酸アンモニウム 0.27重量% 燐酸(85%) 0.37重量% EDTA−四ナトリウム塩 0.27重量% エチレングリコール 1.8 重量% ベンジルアルコール 2.3 重量% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.04重量% エマルジョン型シリコン消泡剤 0.02重量% 水 68.4 重量% の組成を有するものを用いた。
【0277】 〔リンス液〕 ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(40重量%水溶液) 6.7 重量% ヘキサメタ燐酸ナトリウム 0.8 重量% ベンジルアルコール 1.5 重量% ポリオキシエチレン(エチレンオキシド12モル付加)ノニルフェニルエーテ ル …1.5 重量% ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム …1.4 重量% 燐酸(85重量%) …5.2 重量% 水酸化ナトリウム …2.0 重量% シリコン消泡剤 …0.01重量% 水 …80.89重量% の組成を有するものを用いた。
【0278】次に浸漬型現像槽を有する市販の自動現像
機PS−900D(富士写真フイルム(株)製)の現像
槽に、上記各現像液を20リットル仕込み、30℃に保
温した。PS−900Dの第二浴目には水道水を8リッ
トル、第三浴目にはフィニッシング液:水=1:1希釈
したフィニッシング液を8リットル仕込んだ。このPS
−900Dに前述の露光済みの平版印刷版を通し、現像
処理した。
【0279】現像後の平版印刷版を、実施例2−1と同
様の手順で印刷性能について評価したところ、良好な耐
刷製及び印刷性能を有していることが判った。
【0280】(実施例2−3)実施例1−1〜実施例1
−31で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、
下記組成Aの共重合体の1%水溶液を、ロールコーター
によつて塗布し、乾燥させて下塗り層を形成した。その
乾燥後の塗布量は0.05g/m2であつた。
【0281】[組成A]メチルメタクリレート/エチル
アクリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパ
ンスルホン酸ナトリウム(仕込モル比=50:30:2
0)の共重合体(平均分子量約60000)。
【0282】この下塗り層の上に下記組成の感光層形成
液を塗布し乾燥させて、感光性平版印刷版を得た。これ
を試料とする。
【0283】 [感光層形成液] 2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(米国特許第4123276号明細中 の実施例1に記載されているもの。) …0.87g p−ジアゾジフエニルアミンとパラホルムアルデヒドの縮合物の2−メトキシ −4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸塩 …0.1g “オイルブル−#603”(オリエント化学工業(株)の青色染料) …0.03g メタノール …6g 2−メトキシエタノール …6g の組成を有するものを用いた。
【0284】感光層の乾燥塗布量は、2.0g/m2
あつた。
【0285】前記平版印刷原版に透明ネガ原画を真空密
着し、3kWのメタルハライド灯で1mの距離から60
秒間露光し、以下の組成を有する現像液に1分間浸漬
し、感光層の表面をスポンジで軽く擦つて現像し、市販
の不感脂化ガム液を塗布した。
【0286】 の組成を有するものを用いた。
【0287】この平版印刷版用いて実施例2−1と同様
の手順で印刷したところ、良好な印刷版であることが判
った。
【0288】(実施例2−4)〔カーボンブラック分散
液の作製〕下記重量比による組成物をガラスビーズによ
り10分間分散しカーボンブラック分散液を得た。
【0289】 カーボンブラック 1重量部 ベンジルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体(仕込モル比72:2 8、重量平均分子量7万) 1.6重量部 シクロヘキサノン 1.6重量部 メトキシプロピルアセテート 3.8重量部 〔ネガ型感光性平版印刷原版の作製〕実施例1−1〜1
−31で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、
下記の感光層形成液を塗布し,100℃で2分間乾燥を
してネガ型感光性平版印刷版を得た。乾燥後の被膜量は
2.0g/m2であった。
【0290】[感光層形成液]前記感光層形成液として
は、 前記カーボンブラック分散液 10g 4ージアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドの縮合物の六フッ化リン酸塩 0.5g メタクリル酸と2ーヒドロキシエチルアクリレートとベンジルメタクリレート とアクリロニトリルのラジカル共重合体(モノマー仕込モル比15:30:40 :15、重量平均分子量10万) 5g リンゴ酸 0.05g FCー430(米国3M社製フッ素系界面活性剤) 0.05g 1ーメトキシー2ープロパノール 80g 乳酸エチル 15g 水 5g の組成を有するものを用いた。
【0291】得られたネガ型感光性平版印刷原版を、版
面出力2Wに調節したYAGレーザで露光した後,富士
写真フィルム(株)製現像液,DN−3C(1:1),
ガム液FN−2(1:1)を仕込んだ自動現像機を通し
て処理したところ、ネガ画像が得られた。この平版印刷
版をハイデルSORーKZ機で印刷したところ、良好な
印刷物が得られた。
【0292】(実施例2−5)実施例1−1〜実施例1
−31で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に下
記の下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装
置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被膜量
は20mg/m2であった。
【0293】 <下塗り液> ・メタクリロイルオキシエチルホスホン酸 0.2g ・メチルアクリレートとスチレンスルホン酸ナトリウム塩の仕込みモル比75 :15の共重合体 0.2g ・硝酸カルシウム 0.2g ・メタノール 20g ・イオン交換水 80g。 の組成を有するものを用いた。
【0294】[記録層の形成]前記下塗り層を形成した
支持体上に、下記の記録層塗布液[P−1]をワイヤー
バーで塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間
乾燥して記録層を形成し、さらに、下記オーバーコート
層塗布液を、スライドホッパーを用いて塗布し、温風式
乾燥装置にて120℃で75秒間乾燥して平版印刷版原
版[P−1]を得た。尚、記録層塗布液[P−1]の塗
布量は2.0g/m2であり、オーバーコート層塗布液
の塗布量は2.3g/m2であった。 <記録層用塗布液[P−1]> ・チタノセン型ラジカル発生剤 0.1g (CGI−784 、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) ・重合性化合物(RM−2) 0.60g ・重合性化合物(RM−3) 0.20g ・可視光吸収剤(VR−1) 0.10g ・ポリマー(PB−1) 1.20g ・銅フタロシアニン顔料 0.04g ・重合禁止剤 0.005g (クペロンAl、和光純薬(株)製) ・フッ素系界面活性剤 0.03g (メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン 10g ・γ−ブチロラクトン 5g ・メタノール 7g ・1−メトキシ−2−プロパノール 5g の組成を有するものを用いた。
【0295】なお、記録層用塗布液[P−1]の調製に
用いた重合性化合物RM−2、重合性化合物RM−3、
および可視光吸収剤VR−1は、以下の構造を有してい
る。
【0296】
【化1】
【0297】
【化2】
【0298】
【化3】
【0299】また、ポリマー(PB−1)は、メタクリ
ル酸、N−イソプロピルアクリルアミドおよびエチルメ
タクリレートの共重合体を合成した後、1,2−エポキ
シ−3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキサンと
反応させることにより合成した。組成モル比は、15:
30:20:35であり、重量平均分子量は12万であ
った。ポリマーPB−1の構造式は、以下の通りであ
る。
【0300】
【化4】
【0301】 <オーバーコート層用塗布液> ・ポリビニルアルコール 3.0g (ケン化度98.5モル%、重合度500) ・非イオン性界面活性剤 0.05g (EMAREX NP−10 日本エマルジョン社(株)製) ・イオン交換水 96.95g の組成を有するものを用いた。[現像液組成物の評価]
冨士写真フイルム(株)製自動現像機(LP−850P
2)の現像処理槽に、下記組成の現像液組成物(V−
2)を仕込み、30℃に保温した。自動現像機の第二浴
目には、水道水を仕込み、第三浴目には、FP−2W
(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフ
ィニッシングガム液を仕込んだ。なお、現像液のpH
は、8.1であった。
【0302】 <現像液組成物[V−2]> ・炭酸水素ナトリウム 26g ・エチレングリコールモノナフチルエーテル モノスルフェートのナトリウム塩 30g ・エチレングリコールモノドデシルエーテル 20g ・亜硫酸ナトリウム 3g ・エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム 1g ・水 920g の組成を有するものを用いた。
【0303】次に、サイズ1030×800mmの平版
印刷版原版[P−1]20枚を、405nmの紫光を発
する30mW半導体レーザを用い、レーザビーム径12
μm、版面エネルギー50μJ/cm2の露光条件で走
査露光し、上記の自現機を用いて現像処理した。処理
後、自動現像液を3日間そのまま放置した。その後、平
版印刷版原版[P−1]1枚を、同様にレーザ露光、引
き続き現像処理した。得られた平版印刷版[P−1]
を、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用
いて印刷した。この際、印刷開始後、充分にインキがの
った印刷物をどれだけの枚数得られるかを目視にて評価
した。また、そのときの非画像部の汚れの状態を目視で
観察した。その結果、自現機を放置する前に処理した印
刷版も、放置した後に処理した印刷版も、7万枚の良好
な印刷物が得られた。また、得られた印刷物の非画像部
に汚れの発生は認められなかった。
【0304】(実施例2−6)実施例1−1〜1−31
で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、下記下
塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用
いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被膜量は20
mg/m2であった。
【0305】 <下塗り液> ・4−ジアゾ−3メトキシジフェニルアミンとホルムアルデヒド の縮合物のジブチルナフタレンスルホン酸塩 0.3g ・2−アミノエチルホスホン酸のマグネシウム塩 0.1g ・塩化カルシウム 0.2g ・メタノール 20g ・イオン交換水 80g の組成を有するものを用いた。[記録層の形成]下記記
録層塗布液を前記下塗り層を形成した支持体上に、ワイ
ヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で45
秒間乾燥して記録層を形成し、実施例1の平版印刷版原
版[P−2]を得た。乾燥後の塗布量は2.0g/m2
であった。
【0306】 <記録層用塗布液[P−2]> ・オニウム塩(KO−1) 0.25g ・重合性化合物(RM−1) 0.60g ・赤外線吸収剤(IR−1) 0.06g ・ポリマー(PB−2) 1.40g ・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g ・N−アリルステアリン酸アミド 0.01g ・重合禁止剤 0.005g (イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) ・フッ素系界面活性剤 0.03g (メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株)製) ・メチルエチルケトン 10g ・γ−ブチロラクトン 5g ・メタノール 7g ・1−メトキシ−3−プロパノール 5g の組成を有するものを用いた。
【0307】なお、前記オニウム塩KO−1、重合性化
合物RM−1、および赤外線吸収剤IR−1の構造は、
以下に示す通りである。
【0308】
【化5】
【0309】
【化6】
【0310】
【化7】
【0311】また、ポリマー(PB−2)は、メタクリ
ル酸、N−アクリロイルモルホリンおよびベンジルメタ
クリレートの共重合体を合成した後、3−クロロ−2−
ヒドロキシプロピルメタクリレートと、塩基およびヨウ
化カリウム存在下で反応させることにより合成した。組
成モル比は、15:30:10:45であり、重量平均
分子量は10万であった。構造式は以下の通りである
【0312】
【化8】
【0313】[現像液組成物の評価]版材供給装置(S
A−L8000)、露光装置(Luxel T−900
0CTP)、コンベア(T−9000 Conveyo
r)、自動現像機(LP−1310H)、ストッカー
(ST−1160)より成る冨士写真フイルム(株)C
TP出力システムを用いた。自動現像機の現像処理槽
に、下記組成の現像液組成物(V−1)を仕込み、30
℃に保温した。自動現像機の第二浴目には、水道水を仕
込み、第三浴目には、FP−2W(富士写真フイルム
(株)製):水=1:1希釈したフィニッシングガム液
を仕込んだ。なお、現像液のpHは、8.0であった。
【0314】 <現像液組成物[V−1]> ・炭酸水素カリウム 20g ・ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 30g ・エチレングリコールモノナフチルエーテル 20g ・亜硫酸ナトリウム 3g ・ヒドロキシエタンジホスホン酸カリウム 2g ・シリコーンSA730 0.1g (東芝シリコーン(株)製界面活性剤) ・水 924.9g の組成を有するものを用いた。
【0315】次に、平版印刷版原版[P−2]サイズ1
030×800mmの30枚を、版材供給装置に装填
し、全自動で連続して、露光、現像処理し、ストッカー
へ排出した。処理後、自動現像液を3日間そのまま放置
した。放置した後、平版印刷版原版[P−2]1枚を、
版材供給装置に装填し、全自動で連続して、露光、現像
処理し、ストッカーへ排出した。得られた平版印刷版
[P−2]を、小森コーポレーション(株)製印刷機リ
スロンを用いて印刷した。この際、印刷開始後、充分に
インキがのった印刷物をどれだけの枚数得られるかを目
視にて評価した。また、そのときの非画像部の汚れの状
態を目視で観察した。
【0316】その結果、自現機を放置する前に処理した
印刷版も、放置した後に処理した印刷版も、6万枚の良
好な印刷物が得られた。また、得られた印刷物の非画像
部に汚れの発生は認められなかった。
【0317】(実施例2−7)実施例1−1〜実施例1
−31で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、
下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥
し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15m
g/m2であった。 <下塗り液組成> ・下記の化学式で示される高分子化合物 0.3g
【0318】
【化9】
【0319】 ・メタノール 100 g ・水 1 g の組成を有するものを用いた。
【0320】[感光層の形成]更に、下記組成の感光層
塗布液1を調製し、前記平版印刷版用アルミニウム支持
体の前記下塗り液を塗布した側の面に、この感光層塗布
液1を、バーコーターを用いて、乾燥後の塗布量(感光
層塗布量)が1.0g/m2になるよう塗布し、乾燥し
て感光層を形成させ、平版印刷版を得た。
【0321】 <感光層塗布液1組成> ・カプリン酸 0.03 g ・共重合体1 0.75 g ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00 、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25 g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017g
【0322】
【化10】
【0323】 ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.015g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.05 g ・γ−ブチルラクトン 10 g ・メチルエチルケトン 10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1 g の組成を有するものを用いた。
【0324】<共重合体1>攪拌機、冷却管および滴下
ロートを備えた500mL容の三つ口フラスコに、メタ
クリル酸31.0g(0.36mol)、クロロギ酸エ
チル39.lg(0.36mol)およびアセトニトリ
ル200mLを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪
拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g
(0.36mol)を約1時間かけて滴下ロートにより
滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下で3
0分間混合物を攪拌した。
【0325】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反
応終了後、この混合物を水1Lにこの水を攪拌しながら
投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合
物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mLで
スラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固
体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量
46.9g)。
【0326】つぎに、攪拌機、冷却管および滴下ロート
を備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g
(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.94
g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.80
g(0.015mol)およびN,N−ジメチルアセト
アミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しなが
ら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光
純薬社製)0.15gを加え、65℃°Cに保ちながら
窒素気流下で、混合物を2時間攪拌した。この反応混合
物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94
g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルア
セトアミドおよび「V−65」0.15gの混合物を2
時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、更
に、得られた混合物を65℃で2時間攪拌した。反応終
了後、メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得ら
れた混合物を水2Lにこの水を攪拌しながら投入し、3
0分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出
し、乾燥することにより15gの白色固体の特定の共重
合体1を得た。
【0327】得られた特定の共重合体1の重量平均分子
量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測
定したところ、53,000(ポリスチレン標準)であ
った。
【0328】上記のようにして得られた平版印刷版を出
力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(1
/e2 )の半導体レーザを用いて、主操作速度5m/秒
で露光した後、富士写真フイルム(株)製のPS版用現
像液DP−4(1:8)水希釈液を用いて30秒間現像
した。
【0329】この印刷版を印刷したところ、良好な印刷
版であった。
【0330】(実施例2−8)実施例1−1〜実施例1
−31で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、
下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥
し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は15m
g/m2であった。
【0331】<下塗り液組成> ・下記構造を有する高分子化合物 0.3g
【0332】
【化11】
【0333】 ・メタノール 100g ・水 1g の組成を有するものを用いた。
【0334】[感光層の形成]下記組成の感光層塗布液
1を調製し、前記下塗り液を塗布して下塗り層を形成し
た平版印刷版アルミニウム支持体に、この感光層塗布液
1を、バーコーターを用いて、乾燥後の塗布量が1.0
g/m2になるよう塗布し、乾燥して感光層を形成さ
せ、平版印刷版を得た。
【0335】 <感光層塗布液1組成> ・カプリン酸 0.03 g ・共重合体II 0.75 g ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00 、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25 g ・p−トルエンスルホン酸 0.003g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03 g ・下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017g
【0336】
【化12】
【0337】 ・ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニオ ンにした染料 0.015g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 10 g ・メチルエチルケトン 10 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 1 g <共重合体II>攪拌機、冷却管および滴下ロートを備え
た500mL容の三つ口フラスコに、メタクリル酸3
1.0g(0.36mol)、クロロギ酸エチル39.
lg(0.36mol)およびアセトニトリル200m
Lを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。こ
の混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36mo
l)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下
終了後、氷水浴を取り去り、室温下で30分間混合物を
攪拌した。
【0338】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反
応終了後、この混合物を水1Lにこの水を攪拌しながら
投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合
物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mLで
スラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固
体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量
46.9g)。
【0339】つぎに、攪拌機、冷却管および滴下ロート
を備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g
(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.94
g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.80
g(0.015mol)およびN,N−ジメチルアセト
アミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しなが
ら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光
純薬社製)0.15gを加え、65℃°Cに保ちながら
窒素気流下で、混合物を2時間攪拌した。この反応混合
物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタク
リルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94
g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルア
セトアミドおよび「V−65」0.15gの混合物を2
時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、更
に、得られた混合物を65℃で2時間攪拌した。反応終
了後、メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得ら
れた混合物を水2Lにこの水を攪拌しながら投入し、3
0分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出
し、乾燥することにより15gの白色固体の特定の共重
合体1を得た。
【0340】得られた特定の共重合体1の重量平均分子
量をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測
定したところ、53,000(ポリスチレン標準)であ
った。
【0341】上記のようにして得られた平版印刷版を出
力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(1
/e2 )の半導体レーザを用いて、主操作速度5m/秒
で露光した後、下記組成の非シリケート現像液を用いて
現像した。
【0342】〔現像液(非シリケート現像液)〕非還元
糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウ
ム(K2O)よりなるカリウム塩45%水溶液1リット
ルに、両性界面活性剤パイオニンC−158G(竹本油
脂(株)製)20gと消泡剤オルフィンAK−02(日
信化学(株)製)2.0gを添加して濃縮液を作製し
た。この濃縮液を水で9倍に希釈したものを現像液とし
た。この現像液1の電導度は45mS/cmである。
【0343】この印刷版を用いて印刷したところ、良好
な印刷版であった。
【0344】(実施例2−9) 〔(A)成分共重合体の合成〕 (1)合成例1(共重合体1)攪拌機、冷却管及び滴下ロ
ートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸
31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.
1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを
入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混
合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を
約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了
後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌
した。
【0345】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴
にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応
終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しな
がら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この
混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500m
lでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られ
た固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニ
ルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた
(収量46.9g)。
【0346】次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備え
た100ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスル
ホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.0
210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.0
180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.02
1モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入
れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌し
た。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)
0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間
混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−
アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04
g、メタクリル酸エチル2.05g、アクリロニトリル
1.11g、N,N−ジメチルアセトアミド20g及び
「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロ
ートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間
得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40
gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リッ
トルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪
拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥すること
により15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーによりこの共重合体1の重量平均分
子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,00
0であった。
【0347】(2)合成例2(共重合体2) 合成例1の重合反応において、N−(p−アミノスルホ
ニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.02
10モル)をN−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリ
ルアミド3.72g(0.0210モル)に変えた以外
は、合成例1と同様に重合反応を行い、重量平均分子量
(ポリスチレン標準)47,000の共重合体2を得
た。
【0348】[下塗り液の塗布]実施例1−1〜1−3
1で製造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、下記
下塗り液を塗布し、塗膜を90℃で1分乾燥した。乾燥
後の塗膜の塗布量は10mg/m2であった。
【0349】<下塗り液> β−アラニン 0.5g メタノール 95g 水 5g [画像形成層の形成]前記平版印刷版用アルミニウム支
持体に、感光層形成液A1を塗布し、100℃で2分間
乾燥して、(A)層を形成した。乾燥後の塗布量は1.
4g/m2 であった。さらに、感光層形成液B1を塗布
し、100℃で2分間乾燥して、(B)層を形成し、平
版印刷原版を得た。乾燥後の感光層形成液A1およびB
1の合計塗布量は2.0g/m2であった。
【0350】 <感光層形成液A1> 共重合体1 0.75g シアニン染料A 0.04g p−トルエンスルホン酸 0.002g テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ビクトリアピュアブルー(BOHの対アニオンを1−ナフタレン スルホン酸アニオンに置換した染料)0.015g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.02g γ−ブチルラクトン 8g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g <感光層形成液B1> m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量4000 ) 0.25g シアニン染料A 0.05g ステアリン酸n−ドデシル 0.02g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.05g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g 〔平版印刷原版の性能評価〕前記のようにして作成した
平版印刷原版について、印刷性能評価を行った。
【0351】得られた平版印刷原版を、出力500m
W,波長830nm、ビーム径17μm(1/e2 )の
半導体レーザを用いて主走査速度5m/秒にて露光した
後、富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4、リン
ス液FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写
真フイルム(株)製:「PSプロセッサー900V
R」)を用いて現像した。その際、DP−4は1:8で
希釈したものを用いた。
【0352】この平版印刷版をハイデルベルク社製のハ
イデルKOR−D機で上質紙に印刷したところ、良好な
印刷版であることが判った。
【0353】(実施例2−10) [下塗り層の形成]実施例1−1〜実施例1−31で製
造した平版印刷版用アルミニウム支持体に、下記の下塗
り液を塗布・乾燥し、下塗り層を形成した。
【0354】 <下塗り液> ・下記化合物 0.3g ・メタノール 100g ・水 1g 〔感熱層の形成〕得られた基板に、以下の下層用塗布液
を、塗布量が0.85g/m2になるよう塗布したの
ち、TABAI社製、PERFECT OVEN PH
200にてWind Controlを7に設定して1
40度で50秒間乾燥し、その後、感熱層用塗布液を塗
布量が0.15g/m2になるよう塗布したのち、12
0度で1分間乾燥し、平版印刷版原版を得た。
【0355】〔下層用塗布液〕 ・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリ ル/メタクリル酸メチル36/34/30:重量平均分子量50000) 1.896g・クレゾールノボラック(m/p=6/4 重量平均分子量4 500、残存モノマー0.8wt%) 0.237g ・シアニン染料A(下記構造) 0.109g ・4,4’−ビズヒドロキシフェニルスルホン 0.063g ・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g ・p−トルエンスルホン酸 0.008g ・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒイドロキシナフタレンスルホンに変 えたもの 0.05g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本インキ工業(株)社製 ) 0.035g ・メチルエチルケトン 26.6g ・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g ・γ−ブチロラクトン 13.8g 〔感熱層用塗布液〕 ・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量450 0、未反応クレゾール0.8重量%含有) 0.237g ・シアニン染料A(上記構造) 0.047g ・ステアリン酸ドデシル 0.060g ・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート 0.030g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.110g ・フッ素系界面活性剤〔メガファックMCF−312(30%)、大日本イン キ工業(株)社製〕 0.120g ・メチルエチルケトン 15.1 g ・1−メトキシ−2−プロパノール 7.7 g。
【0356】得られた平版印刷版原版1をCreo社製
Trendsetterにてビーム強度9w、ドラム回
転速度150rpmでテストパターンを画像状に描き込
みを行った。
【0357】書き込みを行った平版印刷版原版に対し
て、現像に際し、下記組成の非シリケート現像液を用い
て現像した。
【0358】〔現像液(非シリケート現像液)〕非還元
糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウ
ムよりなるカリウム塩45%水溶液1リットルに、両性
界面活性剤パイオニンC−158G(竹本油脂(株)
製)20gと消泡剤オルフィンAK−02(日信化学
(株)製)2.0gを添加して濃縮液を作製した。この
濃縮液を水で9倍に希釈したものを現像液とした。この
現像液1の電導度は45mS/cmである。
【0359】この印刷版を用いて印刷したところ、良好
な印刷版であることが判った。
【0360】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐刷力と汚れ性能とが高いレベルで両立した平版印刷版
用アルミニウム支持体が得られる平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法、前記製造方法で製造した平版印
刷版用アルミニウム支持体、および前記平版印刷版用ア
ルミニウム支持体の粗面化面に画像形成層を積層した平
版印刷原版が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る平版印刷版用アルミニウ
ム支持体の製造方法における電解粗面化処理で印加する
ことのできる台形波電流の波形の一例を示す波形図であ
る。
【図2】図2は、本発明に係る平版印刷版用アルミニウ
ム支持体の製造方法において、電解粗面化処理で使用で
きる電解槽の一例である。
【符号の説明】
40 電解槽 42 電解槽本体 44 送りローラ 46A 主極 46B 主極 48A 給液ノズル 48B 給液ノズル 54 補助電解槽 56 補助陽極 Th サイリスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25F 3/04 C25F 3/04 B G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA12 AB03 DA18 DA20 2H096 AA06 CA03 2H114 AA04 AA14 DA04 DA73 EA03 EA04 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 3C058 AA06 AA07 AA09 BA02 BA04 CA01 CB06 CB10 DA02

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム板の少なくとも一方の面
    に、(1) 機械的に粗面化する機械的粗面化処理、(2) ア
    ルカリ溶液によりエッチングするアルカリエッチング処
    理(1)、(3) 酸性溶液中でデスマット処理するデスマ
    ット処理(1)、(4) 硝酸水溶液中で電解粗面化処理を
    行なう電解粗面化処理(1)、(5) アルカリ溶液により
    エッチングするアルカリエッチング処理(2)、(6) 酸
    性溶液中でデスマット処理するデスマット処理(2)、
    (7) 塩酸水溶液中で電解粗面化処理を行なう電解粗面化
    処理(2)、(8) アルカリ溶液によりエッチングするア
    ルカリエッチング処理(3)、(9) 酸性溶液中でデスマ
    ット処理するデスマット処理(3)、および(10)酸性電
    解液中で陽極酸化被膜を形成する陽極酸化処理を順次施
    して粗面化面を形成することを特徴とする平版印刷版用
    アルミニウム支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記陽極酸化処理の後に封孔処理およ
    び親水化処理の少なくとも一方を施す請求項1に記載の
    平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記機械的粗面化処理においては、平
    均表面粗さが0.2〜0.8μmになるように粗面化を
    行なう請求項1または2に記載の平版印刷版用アルミニ
    ウム支持体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリエッチング処理(1)に
    おいては、アルミニウム板の溶解量が2〜15g/m2
    になるようにアルカリ溶液を用いてエッチング処理する
    請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版用アルミ
    ニウム支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電解粗面化処理(1)において
    は、硝酸と硝酸アルミニウムと硝酸アンモニウムとを含
    有する硝酸水溶液中で、前記アルミニウム板のアノード
    反応時における電気量が50〜300C/dm2になる
    ように交流電解する請求項1〜4の何れか1項に記載の
    平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記アルカリエッチング処理(2)に
    おいては、アルミニウム板の溶解量が0.1〜4g/m
    2になるようにアルカリ溶液を用いてエッチング処理す
    る請求項1〜5の何れか1項に記載の平版印刷版用アル
    ミニウム支持体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記電解粗面化処理(2)において
    は、塩酸と塩化アルミニウムとを含有する塩酸水溶液を
    用い、前記アルミニウム板のアノード反応時の電気量が
    25ー75C/dm2になるように交流電解する請求項
    1〜6の何れか1項に記載の平版印刷版用アルミニウム
    支持体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記アルカリエッチング処理(3)に
    おいては、アルミニウム板の溶解量が0.05〜1g/
    2になるようにアルカリ溶液でエッチング処理する請
    求項1〜7の何れか1項に記載の平版印刷版用アルミニ
    ウム支持体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記陽極酸化処理においては、陽極酸
    化皮膜量が、1〜5g/m2になるように陽極酸化処理
    を行なう請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記機械的粗面化処理においては、平
    均粒径が1−50μmであるパミス粉末または珪砂を用
    い、ブラシ毛の毛径が0.2〜0.83mmであり、毛
    長が10〜200mmのローラ状ブラシを100〜50
    0rpmで回転させつつ、アルミニウム板の進行方向に
    対して直角な方向に0.0001〜1Hzの周期でオシ
    レートさせて前記アルミニウム板を擦ることにより粗面
    化処理する請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷
    版用アルミニウム支持体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記アルカリエッチング処理(1)に
    おいては、アルカリ溶液として、NaOHを20〜30
    重量%含有し、アルミニウムイオンを5〜9重量%含有
    する液温が40〜80℃の溶液を用いてエッチング処理
    する請求項7〜10の何れか1項に記載の平版印刷版用
    アルミニウム支持体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記アルカリエッチング処理(2)に
    おいては、アルカリ溶液として、NaOHを20〜30
    重量%含有し、アルミニウムイオンを5〜9重量%含有
    する液温が30〜80℃の溶液を用いてエッチング処理
    する請求項7〜10の何れか1項に記載の平版印刷版用
    アルミニウム支持体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記アルカリエッチング処理(3)に
    おいては、アルカリ溶液として、NaOHを4〜6重量
    %含有し、アルミニウムイオンを0.3〜0.7重量%
    含有する液温が25〜80℃の溶液を用いてエッチング
    処理する請求項9〜12の何れか1項に記載の平版印刷
    版用アルミニウム支持体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記デスマット処理においては、前記
    酸性溶液として、硝酸および硫酸の少なくとも一方を主
    要な酸成分として含む溶液を使用する請求項1〜13の
    何れか1項に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記デスマット処理(1)において
    は、前記酸性溶液として、硝酸を5〜15g/リットル
    含有する液温25〜50℃の硝酸水溶液、または硫酸を
    80〜200g/リットル含有する液温25〜80℃の
    硫酸溶液を使用し、1〜10秒間処理する請求項14に
    記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記デスマット処理(2)および
    (3)においては、前記酸性溶液として、硫酸を80〜
    350g/リットル含有する液温25〜80℃の硫酸溶
    液を使用する請求項14または15に記載の平版印刷版
    用アルミニウム支持体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記デスマット処理(1)において
    は、前記酸性溶液として、前記電解粗面化処理(1)に
    おいて使用された硝酸水溶液を使用する請求項15〜1
    6の何れか1項に記載の平版印刷版用アルミニウム支持
    体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記デスマット処理(2)および
    (3)においては、前記酸性溶液として、前記陽極酸化
    処理において使用された酸性電解液を使用する請求項1
    4〜17の何れか1項に記載の平版印刷版用アルミニウ
    ム支持体の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記陽極酸化処理において、前記酸性
    電解液として、硫酸とアルミニウムイオンとを含有し、
    硫酸の濃度が80〜200g/リットルである硫酸溶液
    を用い、30〜55℃の液温で、直流電流により電解処
    理する請求項1〜18の何れか1項に記載の平版印刷版
    用アルミニウム支持体の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項1〜19の何れか1項に記載の
    方法で製造されたことを特徴とする平版印刷版用アルミ
    ニウム支持体。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の平版印刷版用アル
    ミニウム支持体における粗面化面に、ポジ型またはネガ
    型の画像形成層を設けてなる平版印刷原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1642745A2 (en) 2004-10-04 2006-04-05 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. Aluminum support for planographic printing plate, its manufacturing process, and planographic printing plate material
JP2007062216A (ja) * 2005-08-31 2007-03-15 Fujifilm Corp 平版印刷版用支持体の製造方法

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