JP2003251950A - 平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法

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JP2003251950A JP2002053250A JP2002053250A JP2003251950A JP 2003251950 A JP2003251950 A JP 2003251950A JP 2002053250 A JP2002053250 A JP 2002053250A JP 2002053250 A JP2002053250 A JP 2002053250A JP 2003251950 A JP2003251950 A JP 2003251950A
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aluminum
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aqueous solution
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Atsuo Nishino
温夫 西野
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低純度のアルミニウム圧延板(合金成分を多く
含むアルミニウム板または合金成分を調製していないア
ルミニウム板)を使用でき、かつ、粗面化処理による処
理ムラが発生せず、平版印刷版としたときに耐刷性およ
び印刷性能(汚れ性能)を両立できる平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法を提供する。 【解決手段】アルミニウム板を順に、アルミニウム板を
順に、1)塩酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽
極時の電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Q
aが0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理
し、2)硝酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽極
時の電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qa
が0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理し、
3)陽極酸化処理することを特徴とする平版印刷版用ア
ルミニウム支持体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用アル
ミニウム支持体の製造方法に関する。特に、従来の平版
印刷版用に用いられているアルミニウム板以外に低純度
のアルミニウム圧延板(合金成分を多く含むアルミニウ
ム板または合金成分を調製していないアルミニウム板)
を使用でき、かつ、粗面化処理による処理ムラが発生せ
ず、また本発明の製造方法により得られる平版印刷版用
アルミニウム支持体を平版印刷版としたときに耐刷性お
よび印刷性能(汚れ性能)を両立できる平版印刷版用ア
ルミニウム支持体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】平版印刷版用アルミニウム支持体は、機
械的粗面化、酸またはアルカリ水溶液中での化学的エッ
チング、酸性水溶液中でのデスマット処理、酸性水溶液
中での陽極酸化処理、親水化処理、封孔処理などのうち
1つ以上を組み合わせて粗面化処理するのが一般的であ
る。電気化学的な粗面化処理は均一な凹凸を得やすいこ
とから平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化方法と
して一般的に用いられてきた。特に塩酸または硝酸水溶
液中での電気化学的な粗面化処理を主として用いるのが
一般的である。 【0003】従来、均一な凹凸を得られるとして用いら
れてきた、硝酸を主体とする水溶液を用いた電解粗面化
法においては、アルミニウム合金板の合金成分の調整を
厳密に行う必要がある。種々のアルミニウム材料からな
るアルミニウム合金板、特に不純物元素の含有量の多い
アルミニウム合金板に対し、従来最適と考えられている
範囲の一定の粗面化処理の条件で行うと、均一な凹凸の
粗面化形状を形成することができないという問題があ
る。 【0004】一方、近年、平版印刷版用アルミニウム支
持体として、アルミニウム板の圧延工程を簡素化したア
ルミニウム圧延板、汎用のアルミニウム板、飲料缶など
からリサイクルされた合金成分を調整してない地金を用
いて圧延した安価なアルミニウム板を用いることは省エ
ネルギー、資源の有効利用の観点から望まれている。し
かし、これらの低純度アルミニウム板(合金成分を多く
含むアルミニウム板または合金成分を調製していないア
ルミニウム板)を用いて平版印刷版用アルミニウム支持
体を製造すると、アルミ結晶方位が起因するストリーク
と呼ばれる処理ムラが発生しやすい。また、従来の電気
化学的な粗面化処理では、均一な粗面化が行えず、外観
上の故障(処理ムラ)または印刷性能(とくに汚れ性
能)が劣るという問題点がある。 【0005】さらに、ダイレクト製版用の赤外線レーザ
用感光性画像形成材料で形成された画像形成層を有する
平版印刷版用のアルミニウム支持体として、印刷枚数
(耐刷性)と汚れ性能の両立した性能を有する平版印刷
版用アルミニウム支持体が望まれている。しかし、アル
ミニウム合金板の合金成分の調整をしていないと、やは
り電気化学的な粗面化処理が均一に行われず、耐刷性と
汚れ性能の両立した性能を有する平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造は困難である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、平版印刷版
用アルミニウム支持体用として従来用いられなかった低
純度アルミニウム圧延板(合金成分を多く含むアルミニ
ウム板または合金成分を調製していないアルミニウム
板)を使用でき、かつ、粗面化処理による処理ムラが発
生せず、また本発明の製造方法により得られる平版印刷
版用アルミニウム支持体を平版印刷版としたときに(以
下単に「平版印刷版としたときに」という場合があ
る。)耐刷性および印刷性能(汚れ性能)を両立できる
平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法を提供する
ことを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、塩酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理を行っ
た後、硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理を行
い、かつ、塩酸水溶液中および硝酸水溶液中での電気化
学的な粗面化処理に用いる交流のアルミニウム板の陽極
時の電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qa
を特定の値とすると、平版印刷版用アルミニウム支持体
用として用いられるアルミニウム板合金成分量のラチチ
ュードが広くても、該粗面化処理による処理ムラが発生
せず均一な粗面化処理が可能となり、平版印刷版とした
ときに優れた耐刷性および印刷性能(汚れ性能)を両立
できることを知見し、本発明を完成した。 【0008】すなわち、(1)本発明は、アルミニウム
板を順に、 1)塩酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽極時の
電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qaが
0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理し、 2)硝酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽極時の
電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qaが
0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理し、 3)陽極酸化処理することを特徴とする平版印刷版用ア
ルミニウム支持体の製造方法を提供する。 【0009】また、(2)本発明は、アルミニウム板を
順に、 1)機械的に粗面化処理し、 2)塩酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽極時の
電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qaが
0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理し、 3)硝酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽極時の
電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qaが
0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理し、 4)陽極酸化処理することを特徴とする平版印刷版用ア
ルミニウム支持体の製造方法を提供する。 【0010】ここで、前記塩酸水溶液が、塩酸を1〜1
0g/L含有する水溶液に、アルミニウム塩(塩化アル
ミニウム、AlCl3 ・6H2 O)を10〜70g/L
の割合で添加してアルミニウムイオン濃度が1〜8g/
Lにした水溶液であるのが好ましい。前記塩酸水溶液
は、塩酸を1〜10g/L含有するのが好ましく、2〜
6g/L含有するのが特に好ましい。添加する塩化アル
ミニウム6水和物は、10〜70g/Lであるのが好ま
しく、20〜50g/Lであるのがより好ましく、35
〜45g/Lであるのが特に好ましい。塩化アルミニウ
ム6水和物を添加した塩酸水溶液のアルミニウムイオン
濃度は、1〜8g/Lであるのが好ましく、2〜6g/
Lであるのがより好ましく、4〜5g/Lであるのが特
に好ましい。 【0011】また、(3)本発明は、前記塩酸水溶液中
および/または前記硝酸水溶液中での電気化学的な粗面
化処理の前および/または後にアルカリ水溶液中での化
学的なエッチング処理および酸性水溶液中でのデスマッ
ト処理を行うことを特徴とする(1)または(2)に記
載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法を提供
する。 【0012】ここで、アルミニウム板を順に、 1)アルカリ水溶液中でエッチング処理し、(第1アル
カリエッチング処理) 2)酸性水溶液中でデスマット処理し、(第1デスマッ
ト処理) 3)塩酸を主体とする水溶液中で電気化学的に粗面化処
理し、(第1電気化学的粗面化処理) 4)アルカリ水溶液中でエッチング処理し、(第2アル
カリエッチング処理) 5)酸性水溶液中でデスマット処理し、(第2デスマッ
ト処理) 6)硝酸を主体とする水溶液中で電気化学的に粗面化処
理し、(第2電気化学的粗面化処理) 7)アルカリ水溶液中でエッチング処理し、(第3アル
カリエッチング処理) 8)酸性水溶液中でデスマット処理し、(第3デスマッ
ト処理) 9)陽極酸化処理するのが特に好ましい。 【0013】また、(4)本発明は、前記陽極酸化処理
の後に、封孔処理または親水化処理、あるいは、封孔処
理および親水化処理を行うことを特徴とする(1)〜
(3)のいずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム支
持体の製造方法を提供する。 【0014】また、(5)本発明は、前記デスマット処
理に、前記塩酸水溶液中および/または前記硝酸水溶液
中での電気化学的な粗面化処理、あるいは、前記陽極酸
化処理で用いた電解液の廃液を用いることを特徴とする
(1)〜(4)のいずれかに記載の平版印刷版用アルミ
ニウム支持体の製造方法を提供する。 【0015】また、(6)本発明は、前記アルミニウム
板が、下記第1表に示す組成を有するアルミニウム板
(AL1〜AL4)であることを特徴とする(1)〜
(5)に記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造
方法を提供する。 【0016】 【表1】 【0017】また、(7)本発明は、(1)〜(6)の
いずれかに記載の平版印刷版用アルミニウム支持体の製
造方法により製造した平版印刷版用アルミニウム支持体
を提供する。 【0018】また、(8)本発明は、(7)に記載の平
版印刷版用アルミニウム支持体の上に、レーザで直接描
画し、光熱変換により発生する熱によりアルカリ現像液
に対する可溶性が変化するポジ型画像形成層を有するこ
とを特徴とする平版印刷版原版を提供する。 【0019】また、(9)本発明は、レーザで直接描画
し、光熱変換により発生する熱によりアルカリ現像液に
対する可溶性が変化する感光層が、下記A層とB層を順
次積層し、B層に、光を吸収して発熱する化合物を含有
することを特徴とする(8)に記載の平版印刷版原版を
提供する。 A層:モノマー(a−1)〜(a−3)の少なくとも1
つを共重合成分として10モル%以上含む共重合体を5
0質量%以上含有する層 B層:フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶
性樹脂を50質量%以上含有する層 【0020】また、(10)本発明は、(7)に記載の
平版印刷版用アルミニウム支持体の上に、レーザで直接
描画し、光熱変換により発生する熱によりアルカリ現像
液に対する可溶性が変化するネガ型画像形成層を有する
ことを特徴とする平版印刷版原版を提供する。 【0021】また、(11)本発明は、(7)に記載の
平版印刷版用アルミニウム支持体の上に、ラジカル付加
重合反応を利用したレーザで直接描画可能な画像形成層
を有することを特徴とする平版印刷版原版を提供する。 【0022】また、(12)本発明は、(7)に記載の
平版印刷版用アルミニウム支持体の上に、ポジ型感光性
画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版原版を
提供する。 【0023】また、(13)本発明は、(7)に記載の
平版印刷版用アルミニウム支持体の上に、ネガ型感光性
画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版原版を
提供する。 【0024】また、(14)本発明は、現像処理液が、
ケイ酸を含むアルカリ性水溶液で現像することを特徴と
する(8)〜(13)のいずれかに記載の平版印刷版原
版の現像処理方法を提供する。 【0025】また、(15)本発明は、現像処理液が、
ケイ酸を含まず、糖類を含むアルカリ性水溶液で現像す
ることを特徴とする(8)〜(13)のいずれかに記載
の平版印刷版原版の現像処理方法を提供する。 【0026】 【発明の実施の形態】<アルミニウム合金板(圧延アル
ミ)>本発明に使用されるアルミニウム板は、純アルミ
ニウム板、アルミニウムを主成分として微量の異元素を
含む合金板、またはアルミニウムがラミネートまたは蒸
着されたプラスチックフィルムの中から選ばれる。アル
ミニウム板に含まれる微量の異元素は、元素周期表に記
載されているものの中から選択された、1種以上で、そ
の含量は0.001wt%〜1.5wt%である。該ア
ルミニウム合金に含まれる異元素の代表例には、ケイ
素、鉄、ニッケル、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、チタン、バナジウムなどがある。
通常はアルミニウムハンドブック第4版(1990、軽
金属協会)に記載の、従来より公知の素材のもの、例え
ばJIS A 1050材、JIS A 3103材、
JIS A 3005材、JIS A 1100材、J
IS A 3004材または引っ張り強度を増す目的で
これらに5wt%以下のマグネシウムを添加した合金を
用いることができる。 【0027】また、本発明に用いるアルミニウム板は、
飲料缶などをスクラップして再生した不純物の多く含ま
れる地金を圧延して得たアルミニウム板も用いることが
できる。例えば、前記第1表に示す組成を有するアルミ
ニウム板が挙げられる。本発明の平版印刷版用アルミニ
ウム支持体の製造方法では、上記微量元素が多く含まれ
ていても、硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化で均一
な砂目形状(ハニカムピット)が得られる。また、Si
成分が多く含まれていても、粗面化処理後に陽極酸化処
理を施したときに、陽極酸化皮膜の欠陥が発生せず、印
刷時に紙が汚れることもない。さらに、Cu成分が多く
含まれても、ハニカムピットが生成しない部分の面積が
少なく外観故障となることもない。 【0028】本発明の平版印刷板用アルミニウム支持体
の製造方法に用いるアルミニウム板は、DC鋳造法から
中間焼鈍処理もしくは均熱処理、または、中間焼鈍処理
および均熱処理を省略して製造されたアルミニウム板、
あるいは、連続鋳造法から中間焼鈍処理を省略して製造
されたアルミニウム板を用いることができる。 【0029】本発明で用いるアルミニウム板の厚みは
0.05〜0.8mm、好ましくは0.1mm〜0.6
mmである。 【0030】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法においては、上記アルミニウム合金板に、酸
性水溶液の中での電気化学的粗面化処理を含む表面処理
を施して平版印刷版用アルミニウム支持体を得るが、こ
の表面処理には、更に各種の処理が含まれていてもよ
い。なお、本発明に用いられる各種の工程においては、
その工程に用いられる処理液の中に使用するアルミニウ
ム合金板の合金成分が溶出するので、処理液はアルミニ
ウム合金板の合金成分を含有していてもよく、特に、処
理前にそれらの合金成分を添加して処理液を定常状態に
して用いるのが好ましい。 【0031】本発明においては、後述する各処理を組合
わせて粗面化することができるが、各電気化学的粗面化
処理の前には、アルカリエッチング処理またはデスマッ
ト処理を施すのが好ましく、また、アルカリエッチング
処理とデスマット処理とをこの順に施すのも好ましい。
また、各電気化学的粗面化処理の後には、アルカリエッ
チング処理またはデスマット処理を施すのが好ましく、
また、アルカリエッチング処理とデスマット処理とをこ
の順に施すのも好ましい。また、各電気化学的粗面化処
理後のアルカリエッチング処理は、省略することもでき
る。本発明においては、これらの処理の前に機械的粗面
化処理を施すのも好ましい。また、各電気化学的粗面化
処理を2回以上行ってもよい。また、これらの後に、陽
極酸化処理、封孔処理、親水化処理などを施すのも好ま
しい。 【0032】特に、表面処理が、アルカリエッチング処
理、デスマット処理、塩酸水溶液の中での電気化学的粗
面化処理、アルカリエッチング処理および/またはデス
マット処理、硝酸水溶液の中での電気化学的粗面化処
理、アルカリエッチング処理および/またはデスマット
処理、陽極酸化処理をこの順に含むのは、本発明の好ま
しい態様の一つである。この場合、表面処理が、陽極酸
化処理の後に、封孔処理および/または親水化処理を含
むのは、本発明の好ましい態様の一つである。また、こ
の場合、表面処理が、最初のアルカリエッチング処理の
前に、機械的粗面化処理を含むのは、本発明の好ましい
態様の一つである。 【0033】以下、機械的粗面化処理、第1アルカリエ
ッチング処理、第1デスマット処理、第1電気化学的粗
面化処理、第2アルカリエッチング処理、第2デスマッ
ト処理、第2電気化学的粗面化処理、第3アルカリエッ
チング処理、第3デスマット処理、陽極酸化処理、封孔
処理および親水化処理のそれぞれについて、詳細に説明
する。 【0034】なお、本明細書においては、塩酸水溶液中
での電気化学的粗面化処理を第1電気化学的粗面化処理
といい、硝酸水溶液中での電気化学的粗面化処理を第2
電気化学的粗面化処理といい、その後に再度行うときを
順次第n次電気化学的粗面化処理という場合がある。ま
た、最初にアルカリエッチング処理を行うときを、第1
とし、異なる処理を行った後に再度行うときを第2と
し、順次第n次とする。デスマット処理も同様に、第
1、第2、……、第n次という場合がある。なお、デス
マット処理は、アルカリエッチング処理の後に行うのが
好ましく、同様に、第1、第2、……、第n次という場
合がある。 【0035】<機械的な粗面化処理>本発明において
は、機械的粗面化処理は電気化学的粗面化処理の前に行
うのが好ましい。機械的粗面化処理によりアルミニウム
板の表面積が増大する。まず、アルミニウム板をブラシ
グレイニングするに先立ち、所望により、表面の圧延油
を除去するための脱脂処理、例えば界面活性剤、有機溶
剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われ
る。但し、圧延油の付着が少い場合は脱脂処理は省略す
ることができる。引き続いて、1種類または毛径が異な
る少なくとも2種類のブラシを用いて、研磨スラリー液
をアルミニウム板表面に供給しながら、ブラシグレイニ
ングを行う。 【0036】機械的な粗面化処理については、特開平6
−135175号公報、特公昭50−40047号公報
に詳しく記載されている。該ブラシグレイニングにおい
て初めに用いるブラシを第1ブラシと呼び、最終に用い
るブラシを第2ブラシと呼ぶ。図5において、51はア
ルミニウム合金板、52、54はローラ状ブラシ、53
は研磨スラリー液および55、56、57、58は支持
ローラである。該グレイン時、図5に示すように、アル
ミニウム板51を挟んでローラ状ブラシ52および54
と、それぞれ二本の支持ローラ55、56および57、
58を配置する。二本の支持ローラ55、56および5
7、58は互の外面の最短距離がローラ状ブラシ52お
よび54の外径よりそれぞれ小なるように配置され、ア
ルミニウム板51がローラ状ブラシ52および54によ
り加圧され、2本の支持ローラ55、56および57、
58の間に押し入れられる様な状態でアルミニウム板を
一定速度で搬送し、かつ研磨スラリー液53をアルミニ
ウム板上に供給してローラ状ブラシを回転させることに
より表面を研磨することが好ましい。 【0037】本発明に用いられるブラシは、ローラ状の
台部にナイロン、ポリプロピレン、動物毛、あるいは、
スチールワイヤなどのブラシ材を均一な毛長および植毛
分布をもって植え込んだもの、台部に小穴を開けブラシ
毛束を植込んだもの、また、チャンネルローラ型のもの
などが好ましく用いられる。その中でも好ましい材料は
ナイロンであり、好ましい植毛後の毛長は10〜200
mmである。なおブラシローラに植え込む際の植毛密度
は1cm2 当り30〜1000本が好ましく、さらに好
ましくは50〜300本である。該ブラシの好ましい毛
径は、0.24〜0.83mmであり、更に好ましくは
0.295〜0.72mmである。毛の断面形状は円が
好ましい。毛径が0.24mmよりも小さいとシャドウ
部での汚れ性能が悪くなり、0.83mmよりも大きい
とブランケット上の汚れ性能が悪くなる場合がある。毛
の材質はナイロンが好ましく、ナイロン6、ナイロン6
・6、ナイロン6・10などが用いられるが、引っ張り
強さ、耐摩耗性、吸水による寸法安定性、曲げ強さ、耐
熱性、回復性などでナイロン6・10が最も好ましい。 【0038】ブラシの本数は、好ましくは1本以上10
本以下であり、更に好ましくは1本以上6本以下であ
る。ブラシローラは特開平6−135175号公報に記
載のように毛径の異なるブラシローラを組み合わせても
よい。次にブラシローラの回転は好ましくは100rp
mから500rpmで任意に選ばれる。支持ローラはゴ
ムあるいは金属面を有し真直度のよく保たれたものが用
いられる。ブラシローラの回転方向は図5に示すように
アルミニウム板の搬送方向に順転に行うのが好ましい
が、ブラシローラが多数本の場合は一部のブラシローラ
を逆転としてもよい。ブラシの押し込み量は、ブラシの
回転駆動モーターの負荷で管理することが好ましく、回
転駆動モータの消費電力が1.0〜15kw、更に2〜
10kwとなるように管理することが好ましい。 【0039】本発明において、上記太いブラシで粗面化
した後、細いブラシで処理することにより、親水性、保
水性および密着性のすべてを兼備えた支持体が得られて
好ましい。その場合、湿し水が少ない場合のシャドー部
のつぶれがないため水幅が広く、地汚れが発生しにく
く、さらに感光層との密着劣化がないことである。本発
明に用いられる研磨スラリー液は、ケイ砂、水酸化アル
ミニウム、アルミナ粉、火山灰、軽石、カーボランダ
ム、金剛砂などの平均粒子径1〜50μm(好ましくは
20〜45μm)の研磨剤を、比重1.05〜1.3と
なるような範囲で水に分散させたものが好ましい。平均
粒子径とは、スラリー液中に含まれる全研磨材の体積に
対し、各径の粒子の占める割合の累積度数をとったと
き、累積割合が50%となる粒子径をいう。なお、機械
的な粗面化後の中心線平均粗さ(Ra)は0.3〜1.
0μmとなる様に処理されることが好ましい。もちろん
スラリー液を吹き付ける方式、ワイヤーブラシを用いた
方式、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウ
ム板に転写する方式などを用いても良い。その他の方式
としては、特開昭55−074898号公報、特開昭6
1ー162351号公報、特開昭63−104889号
公報などに記載されている。 【0040】このようにアルミニウム板をブラシグレイ
ニングした後、次いで、アルミニウム板の表面を化学的
にエッチングしておくことが好ましい。この化学的エッ
チング処理は、ブラシグレイニング処理されたアルミニ
ウム板の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑など
を取り除く作用を有し、その後に施される電気化学的な
粗面化をより均一に、しかも効果的に達成させることが
できる。 【0041】<アルカリ水溶液中での化学的なエッチン
グ処理(第1アルカリエッチング処理)>第1アルカリ
エッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアルカリ
溶液に接触させることにより、エッチングを行う。第1
アルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行って
いない場合には、前記アルミニウム合金板(圧延アル
ミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜を除去するこ
とを目的として、また、機械的粗面化処理を行った場合
には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ
部分を溶解させ、滑らかなうねりを持つ表面を得ること
を目的として行われる。アルミニウム合金板をアルカリ
溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム
合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方
法、アルミニウム合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中
に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム合金
板の表面に噴きかける方法が挙げられる。 【0042】かかる化学的エッチング方法の詳細は、米
国特許第3,834,398号明細書に記載されてい
る。より具体的に説明すると、アルミニウムを溶解し得
る溶液、より具体的にはアルカリの水溶液へ浸漬する方
法である。上記のアルカリとしては、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、第三リン酸ナトリウム、第三リン
酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリ
ウム、炭酸ナトリウムなどが含まれる。塩基の水溶液を
使用するとエッチング速度が早い。 【0043】化学的エッチングは、これらのアルカリの
0.05〜40質量%(wt%)水溶液を用い、40℃
〜100℃の液温において5〜300秒処理するのが好
ましい。アルカリ水溶液の濃度は1〜30wt%が好ま
しく、アルミニウムは勿論アルミニウム合金中に含有す
る合金成分が0〜10wt%含有していてよい。アルカ
リ水溶液としては、特に苛性ソーダを主体とする水溶液
が好ましい。液温は常温〜95℃で、1〜120秒間処
理することが好ましい。 【0044】エッチング処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち込まないためにニップローラーによる液
切りとスプレーによる水洗を行うことが好ましい。アル
ミニウム板の化学的なエッチング量としては片側のアル
ミニウム板の溶解量が0.001〜30g/m2 が好ま
しく、より好ましくは、1〜15g/m2であり、特に
好ましくは、3〜12g/m2 である。 【0045】<酸性エッチング処理>酸性エッチング処
理は、酸性水溶液中でアルミニウム板を化学的にエッチ
ングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の後に
行うのが好ましい。また、上記電気化学的粗面化処理の
前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行
う場合は、アルカリエッチング処理の後に酸性エッチン
グ処理を行うのも好ましい。アルミニウム板に上記アル
カリエッチング処理を施した後に、上記酸性エッチング
処理を施すと、アルミニウム板表面のシリカを含む金属
間化合物または単体Siを除去することができ、その後
の陽極酸化処理において生成する陽極酸化皮膜の欠陥を
なくすことができる。その結果、印刷時にチリ状汚れと
称される非画像部に点状のインクが付着するトラブルを
防止することができる。 【0046】酸性エッチング処理に用いられる酸性水溶
液としては、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、ま
たはこれらの2種以上の混酸を含有する水溶液が挙げら
れる。中でも、硫酸水溶液が好ましい。酸性水溶液の濃
度は、50〜500g/Lであるのが好ましい。酸性水
溶液は、アルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に
含有される合金成分を含有していてもよい。 【0047】酸性エッチング処理は、液温を60〜90
℃、好ましくは70〜80℃とし、1〜10秒間処理す
ることにより行うのが好ましい。このときのアルミニウ
ム板の溶解量は0.001〜0.2g/m2 であるのが
好ましい。また、酸濃度、例えば、硫酸濃度とアルミニ
ウムイオン濃度は、常温で晶出しない範囲から選択する
ことが好ましい。好ましいアルミニウムイオン濃度は
0.1〜50g/Lであり、特に好ましくは5〜15g
/Lである。また、酸性エッチング処理が終了した後に
は、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップロー
ラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ま
しい。 【0048】<酸性水溶液中でのデスマット処理(第1
デスマット処理)>化学的なエッチングをアルカリ水溶
液を用いて行うと、一般にアルミニウムの表面にはスマ
ットが生成するので、この場合にはリン酸、硝酸、硫
酸、クロム酸、塩酸、またはこれらの2以上の酸を含む
混酸でデスマット処理する。酸性水溶液の濃度は0.5
〜60wt%が好ましい。さらに酸性水溶液中にはアル
ミニウムはもちろんアルミニウム合金中に含有する合金
成分が0〜5wt%が溶解していても良い。また、デス
マット処理液として、電気化学的な粗面化処理で発生し
た廃液、陽極酸化処理で発生した廃液を用いることが特
に好ましい。 【0049】液温は常温から95℃で実施され、30〜
70℃が特に好ましい。処理時間は1〜120秒が好ま
しく、特に1〜5秒が好ましい。デスマット処理が終了
した後には、処理液を次工程に持ち込まないためにニッ
プローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行うこ
とが好ましい。ニップローラーによる液切りとスプレー
による水洗は、デスマット処理液が、次の工程で用いる
液と同じ種類の液、または同じ組成の液を用いるときは
省略することができる。また、電気化学的な粗面化処理
に用いる装置で、電極の溶解防止と粗面化形状のコント
ロールのために補助陽極槽を使用するとき、補助陽極槽
をアルミニウム板に交流が流れて電気化学的粗面化処理
を行う槽の前に持ってくる場合は、電気化学的な粗面化
処理の前の酸性水溶液中でのデスマット工程を省略する
こともできる。 【0050】<電気化学的な粗面化処理>本発明におけ
る電気化学的な粗面化処理は、塩酸を主体とする水溶液
中で特定条件下における電気化学的な粗面化処理(第1
電気化学的粗面化処理)と硝酸を主体とする水溶液中で
特定条件下における電気化学的な粗面化処理(第2電気
化学的粗面化処理)に特徴がある。本発明の製造方法で
は、塩酸を主体とする水溶液中で特定条件下における電
気化学的な粗面化処理を行った後、硝酸を主体とする水
溶液中で特定条件下における電気化学的な粗面化処理を
行うことに特徴がある。これらの特定条件下における電
気化学的な粗面化処理および陽極酸化処理、必要によ
り、機械的粗面化処理、本明細書で説明する各表面処理
を行うことにより、本発明の目的を達成することができ
る。また、電気化学的な粗面化処理は複数回行ってもよ
いし、前記硝酸を主体とする水溶液中での電気化学的な
粗面化処理を行った後再度塩酸を主体とする水溶液中で
の電気化学的な粗面化処理を行ってもよい。以下、特定
条件下における電気化学的な粗面化処理について説明す
る。 【0051】(1)塩酸を主体とする水溶液(第1電気
化学的粗面化処理) 本発明でいう塩酸を主体とする水溶液は、通常の直流ま
たは交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるもの
を使用でき、1〜10g/Lの塩酸水溶液に、硝酸アル
ミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウムなどの硝
酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化ア
ンモニウムなどの塩酸イオンを有する塩酸または硝酸化
合物の1つ以上を1g/L〜飽和まで添加して使用する
ことができる。また、銅と錯体を形成する化合物を1〜
200g/Lの割合で添加することもできる。塩酸を主
体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、
チタン、マグネシウム、シリカなどのアルミニウム合金
中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素酸や
過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。塩酸水
溶液は、液温15〜50℃、塩酸を1〜10g/L含有
する水溶液にアルミニウム塩(塩化アルミニウム)を添
加してアルミニウムイオンが1〜5g/Lにした水溶液
であることがより好ましい。塩酸水溶液は、液温15〜
50℃、塩酸を1〜10g/L含有する水溶液に、アル
ミニウム塩(塩化アルミニウム、AlCl3 ・6H
2 O)を10〜70g/Lの割合で添加してアルミニウ
ムイオン濃度が1〜8g/Lにした水溶液であることが
特に好ましい。このような塩酸水溶液を用いて電気化学
的粗面化処理を行うと、該粗面化処理による表面形状が
均一になり、低純度のアルミニウム圧延板(合金成分を
多く含むアルミニウム板または合金成分を調製していな
いアルミニウム板)を使用しても、該粗面化処理による
処理ムラが発生せず、平版印刷版としたときに優れた耐
刷性および印刷性能(汚れ性能)を両立できる。ここ
で、塩酸水溶液は、塩酸を1〜10g/L含有するのが
好ましく、2〜6g/L含有するのが特に好ましい。添
加する塩化アルミニウム6水和物は、10〜70g/L
であるのが好ましく、20〜50g/Lであるのがより
好ましく、35〜45g/Lであるのが特に好ましい。
塩化アルミニウム6水和物を添加した塩酸水溶液のアル
ミニウムイオン濃度は、1〜8g/Lであるのが好まし
く、2〜6g/Lであるのがより好ましく、4〜5g/
Lであるのが特に好ましい。塩酸を主体とする水溶液中
への添加物、装置、電源、電流密度、流速、温度として
は公知の電気化学的な粗面化に使用するものが用いるこ
とができる。電気化学的な粗面化に用いる電源は交流ま
たは直流が用いられるが、交流が特に好ましい。塩酸を
主体とする水溶液中での電気化学的な粗面化でアルミニ
ウム板が陽極反応にあずかる電気量は、電気化学的な粗
面化処理が終了した時点で、10〜1000C/dm2
の範囲から選択でき、20〜80C/dm2 が好まし
く、25〜60C/dm2 が特に好ましい。 【0052】(2)硝酸を主体とする水溶液(第2電気
化学的粗面化処理) 本発明でいう硝酸を主体とする水溶液は、通常の直流ま
たは交流を用いた電気化学的な粗面化処理に用いるもの
を使用でき、1〜100g/Lの硝酸水溶液に、硝酸ア
ルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウムなどの
硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化
アンモニウムなどの塩酸イオンを有する塩酸または硝酸
化合物の1つ以上を1g/L〜飽和まで添加して使用す
ることができる。また、銅と錯体を形成する化合物を1
〜200g/Lの割合で添加することもできる。硝酸を
主体とする水溶液中には、鉄、銅、マンガン、ニッケ
ル、チタン、マグネシウム、シリカなどのアルミニウム
合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。次亜塩素
酸や過酸化水素を1〜100g/L添加してもよい。液
温15〜90℃、硝酸を5〜15g/L含有する水溶液
にアルミニウム塩(硝酸アルミニウム)を添加してアル
ミニウムイオンが3〜50g/Lにした水溶液であるこ
とが特に好ましい。硝酸を主体とする水溶液中への添加
物、装置、電源、電流密度、流速、温度としては公知の
電気化学的な粗面化に使用するものが用いることができ
る。電気化学的な粗面化に用いる電源は交流または直流
が用いられるが、交流が特に好ましい。硝酸を主体とす
る水溶液中での電気化学的な粗面化でアルミニウム板が
陽極反応にあずかる電気量は、電気化学的な粗面化処理
が終了した時点で、10〜1000C/dm2 の範囲か
ら選択でき、30〜500C/dm2 が好ましく、45
〜300C/dm2 が特に好ましい。 【0053】塩酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理
を行い小波構造の砂目形状を形成させた後、硝酸水溶液
中での電気化学的な粗面化処理を行うと、塩酸水溶液中
での電気化学的な粗面化処理で形成された小波構造は硝
酸水溶液中での電気化学的な粗面化処理で溶解するが、
均一な中波構造の砂目形状を形成させることができ、処
理ムラが発生せず、平版印刷版としたときに優れた耐刷
性および印刷性能(汚れ性能)を両立できる。 【0054】(3)電気化学的な粗面化 電気化学的な粗面化処理とは、酸性水溶液中で、アルミ
ニウム板とこれに対向する電極との間に、直流または交
流を加えて電気化学的に粗面化処理することをいう。本
発明では、交流が特に好ましいが、該交流は単相、二
相、三相などのいずれでもよい。また、交流と直流とを
重畳した電流を用いることもできる。電解処理槽は公知
のものが何れも使用でき、電気化学的な粗面化に用いる
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型など公知の表
面処理に用いる電解槽が使用可能である。電解処理槽は
複数個設けても良い。また、酸またはアルカリ水溶液中
でのエッチング処理、酸性水溶液中でのデスマット処
理、酸または中性塩水溶液中でのアルミニウム板のカソ
ード電解処理などを挟んで電気化学的な粗面化処理を繰
り返し行っても良い。 【0055】a)アルミニウム板への給電方法 アルミニウム板への給電方式はコンダクタロールを用い
た直接給電方式またはコンダクタロールを用いない液給
電方式(間接給電方式)を用いることができる。電解槽
内を通過する電解液はアルミニウムウェブの進行とパラ
レルでもカウンターでもよい。ひとつの電解槽には1個
以上の交流電源が接続することができる。間接給電方式
を用いるときは、特公平6−37716号公報、特公平
5−42520号公報に記載の補助陽極を用いた方法
で、アルミニウム板に加わる陽極時の電気量と陰極時の
電気量の比を調整することが好ましい。補助陽極に流れ
る電流はサイリスタ、ダイオード、GTOなどの整流素
子を用いて制御することが特に好ましい。特公平6−3
7716号公報に記載の方式を用いれば、電気化学的な
粗面化反応が行われる主極のカーボン電極に対向するア
ルミニウム板表面における交流電流の陽極時の電気量と
陰極時の電気量(電流値)を容易に制御できる。また、
電源装置制作上も変圧器の偏磁の影響も小さく非常にコ
スト的に有利である。 【0056】サイン波を用いた電気化学的な粗面化を行
うときの電流値の制御方法は、変圧器、可変式誘導電圧
調整器などを併用して用い、電解に用いる電流値を可変
式誘導電圧調整器にフィードバックして行う。そのと
き、電流値を制御する方法では特開昭55−25381
号公報に記載のように、サイリスタで位相制御する方式
を併用することもできる。 【0057】電気化学的な粗面化処理ではアルミニウム
板と電極の距離と液流速が一定でないと電流の偏りが発
生しやすく、その結果アルミニウム表面の処理ムラとな
って平版印刷板用支持体として適さないものが製造され
てしまう。その問題点を解決するために、内部に液たま
り室を設け、アルミニウムウェブの巾方向に1〜5mm
の液吹き出し用のスリットを設けた給液ノズルを用いる
ことができる。また、複数の液たまり室を設け、それぞ
れの液たまり室につながる配管にはバルブと流量計を設
けてそれぞれのスリットから吹き出す液量を調整するこ
とを行うのが特に好ましい。アルミニウムウェブと電極
の距離は5〜100mm、特に8〜15mmが好まし
い。この距離を一定に保つために特公昭61−3003
6号公報に記載の、走行するウェブを摺動しうる面に静
圧を利用してウェブを摺動面に圧接させつつ走行させる
方式が用いられる。または特開平8−300843号公
報に記載のように直径の大きなローラーを用いて電極と
アルミニウム板の距離を一定に保つ方法も用いることが
できる。 【0058】直接給電方式を用いるときは、特開昭58
−177441号公報に記載のようなコンダクタロール
を用い、特開昭56−123400号公報に記載の装置
で電気化学的に粗面化処理することが好ましい。コンダ
クタロールはアルミニウムウェブの上面または下面に設
けることが可能であるが、アルミニウム板の上面に設
け、ニップ装置にてアルミニウム板に押しつけるように
するのが特に好ましい。アルミニウム板がコンダクタロ
ールに接する長さは、アルミ進行方向に対して1〜30
0mmが好ましい。アルミニウム板を挟んでコンダクタ
ロールに対向するパスロールはゴム製のロールであるこ
とが好ましい。押しつけ圧、ゴムロールの硬度はアーク
スポットの発生しない条件で任意に設定する。コンダク
タロールをアルミニウム板の上面に設置することで、コ
ンダクタロールの交換作業・点検作業が簡単になる。コ
ンダクタロールの端部には給電ブラシを回転体に摺動さ
せながら通電する方式を用いるのが好ましい。アルミニ
ウム板に押しつけられたコンダクターロールにはアーク
スポットの発生を防止するために常に電気化学的な粗面
化に用いる電解液と同じ組成、同じ温度の電解液により
常に冷却する事が好ましい。電解液の中に異物が入ると
アークスポットの原因になりやすいので、冷却に用いる
スプレーに濾布などを巻いたり、スプレー管の上流側の
配管にメッシュの細かいフィルターを入れるなどする事
が好ましい。 【0059】b)交流を用いた電気化学的な粗面化 電気化学的な粗面化に用いる交流電源波形は、サイン
波、矩形波、台形波、三角波などを用いることができる
が、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ま
しい。周波数は0.1〜500Hzが好ましく、40〜
120Hzが更に好ましく、45〜65Hzが特に好ま
しい。台形波を用いる場合は、電流が0からピークに達
するまでの時間tpは0.1〜2msecが好ましく、
0.2〜1.5msecが特に好ましい。電源回路のイ
ンピーダンスの影響のため、tpが0.1未満であると
電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要とな
り、電源の設備コストが高くなる。2msecより大き
くなると、電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり
均一な粗面化が行われにくくなる。電気化学的な粗面化
に用いる交流の1サイクルの条件が、アルミニウム板の
アノード反応時間taが交流の周期Tに占める割合(本
発明において「duty」という。)ta/Tは、0.
33〜0.66が好ましく、0.45〜0.55が更に
好ましく、0.5が特に好ましい。アルミニウム合金板
の表面には、カソード反応時に、水酸化アルミニウムを
主体とする酸化皮膜が生成し、更に、酸化皮膜の溶解や
破壊が生じることがある。そして、酸化皮膜の溶解や破
壊が生じると、溶解や破壊が生じた部分は、次のアルミ
ニウム合金板のアノード反応時におけるピッティング反
応の開始点となる。したがって、交流のdutyの選択
は均一な電解粗面化処理を行う点で、特に重要である。 【0060】主極に対向するアルミニウム板に加わる電
気量は、アルミニウム板がカソード反応時の電気量Qc
とアノード反応時の電気量Qaの比Qc/Qaが0.9
〜1.0の範囲であり、好ましくは、0.92〜0.9
8であり、特に好ましくは、0.94〜0.96であ
る。Qc/Qaがこの範囲であると、粗面化処理による
処理ムラが発生せず、平版印刷版としたときに耐刷性お
よび印刷性能(汚れ性能)を両立できる。また、Qc/
Qaが1.0超では、電極が溶解する場合がある。この
電気量比のコントロールは電源が発生する電圧を制御し
て行うことができる。電解粗面化処理を、主極のアノー
ド電流を分流する補助電極を有する交流電解槽を用いて
行う場合には、特開昭60−43500号公報および特
開平1−52098号公報に記載されているように、補
助電極に分流するアノード電流の電流値を制御すること
により、Qc/Qaを制御することができる。電流密度
は台形波のピーク値で電流のアノードサイクル側Ia、
カソードサイクル側Icともに10〜200A/dm2
が好ましい。Ia/Icは0.5〜3の範囲にあること
が好ましい。本発明で交流を用いた電気化学的な粗面化
に用いる電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型など
公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特
開平5−195300号公報に記載のようなラジアル型
電解槽またはフラット型が特に好ましい。電極はカーボ
ンを主電極とし、補助陽極としてフェライトを用いるこ
とが特に好ましい。また、交流電解槽を複数台直列に配
設した電解粗面化処理装置も好適に用いることができ
る。 【0061】補助陽極を有する電解槽は、主極を有する
電解槽の前または後に設置することができるが、特に塩
酸を主体とする電気化学的な粗面化工程で用いる補助電
極を有する電解槽は、主極を有する電解槽の前に持って
くることが、処理ムラの発生を低減できる点で好まし
い。また、補助電極を有する電解槽の入口(液面)と主
極を有する電解槽の入口(液面)までの距離があまり長
いと塩酸の化学的な溶解反応でアルミニウム板中の金属
間化合物が溶解して深い穴となり、その部分の感光層が
厚塗りとなって印刷時のムラとなる。そのためアルミニ
ウム板が補助電極を有する電解槽の入口(液面)から主
極を有する電解槽の入口(液面)までの時間を3秒以下
とすることが好ましい。 【0062】電解粗面化処理においては、1または2以
上の交流電解槽において、1つの電解槽内で極性の異な
る電源端子につながれた、主極と主極の間のアルミニウ
ム合金板と、これらの主極との間に交流が流れない休止
期間を1回以上設け、前記休止期間の長さを0.001
〜0.6秒とすると、ハニカムピットがアルミニウム合
金板の表面全体に均一に形成されるので好ましい。より
好ましくは0.005〜0.55秒、更に好ましくは
0.01〜0.5秒である。直列に配置された2以上の
交流電解槽を用いる場合には、一の交流電解槽と他の交
流電解層との間におけるアルミニウム合金板に交流が流
れない時間を0.001〜20秒とするのが好ましい。
より好ましくは0.1〜15秒、更に好ましくは1〜1
2秒である。 【0063】図2に、本発明に好適に用いられるフラッ
ト型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の一例の断
面模式図を示す。図2において、2は交流電解槽、4
A、4B、4Cは主極、6A、6Bは搬送ローラ、8A
は導入ローラ、8Bは導出ローラおよび100は電解粗
面化処理装置である。電解粗面化処理装置100は、ア
ルミニウムウェブWを略水平方向に搬送しつつ三相の交
流(以下「三相交流電流」ともいう。)を印加して電解
粗面化処理を施す電解粗面化処理装置である。 【0064】電解粗面化処理装置100は、アルミニウ
ムウェブWの搬送方向aに沿って延在し上面が開放され
た浅い箱状の交流電解槽2と、交流電解槽2の底面近傍
に搬送方向aに沿って、アルミニウムウェブWの搬送経
路である搬送面Tに対して平行に配設された三つの板状
の主極4A、4Bおよび4Cと、交流電解槽2の内部に
おける搬送方向aに対して上流側(以下、単に「上流
側」という。)および搬送方向aに対して下流側(以
下、単に「下流側」という。)の端部近傍に配設され、
交流電解槽2内部においてアルミニウムウェブWを搬送
する搬送ローラ6Aおよび6Bと、交流電解槽2の上方
における上流側に位置し、アルミニウムウェブWを交流
電解槽2の内部に導入する導入ローラ8Aと、交流電解
槽2の上方における下流側に位置し、交流電解槽2内部
を通過したアルミニウムウェブWを交流電解槽2の外部
に導出する導出ローラ8Bとを備える。交流電解槽2内
部には、上述した酸性水溶液が貯留されている。主極4
A、4Bおよび4Cは、それぞれ三相の交流を発生させ
る交流電源TacのU端子、V端子およびW端子に接続
されている。したがって、主極4A、4Bおよび4Cに
印加される交流は、位相が120°ずつずれている。 【0065】電解粗面化処理装置100の作用について
以下に説明する。アルミニウムウェブWは、導入ローラ
8Aによって交流電解槽2の内部に導入され、搬送ロー
ラ6Aおよび6Bによって搬送方向aに沿って一定速度
で搬送される。交流電解槽2の内部において、アルミニ
ウムウェブWは、主極4A、4Bおよび4Cに対して平
行に移動するとともに、主極4A、4Bおよび4Cから
交流を印加される。これにより、アルミニウムウェブW
において、アノード反応とカソード反応とが交互に起
き、アノード反応が起きているときには主にハニカムピ
ットが生じ、カソード反応が起きているときには主に水
酸化アルミニウムの皮膜が生じて、表面が粗面化され
る。主極4A、4Bおよび4Cに印加される交流は、上
述したように位相が120°ずつずれているから、主極
4Bにおいては、主極4Aの位相(U相)よりも120
°遅れた位相(V相)でアノード反応とカソード反応と
が繰り返され、主極4Cにおいては、主極4Bよりも1
20°遅れた位相(W相)でアノード反応とカソード反
応とが繰り返される。したがって、アルミニウムウェブ
Wにおいては、周波数の同一の単相の交番波形電流を印
加した場合に比べて、3倍の頻度でアノード反応とカソ
ード反応とが繰り返されるから、高い搬送速度および電
流密度で電解粗面化処理を行う場合においても、幅方向
の縞であるチャタマークが生じにくい。 【0066】図3に、本発明に好適に用いられるフラッ
ト型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の他の一例
の断面模式図を示す。図3において、図2と同一の符号
は、図2において前記符号が示す要素と同一の要素を示
し、10は補助電解槽、12は補助電極、14A、14
Bは搬送ローラ、16Aは導入ローラ、16Bは導出ロ
ーラ、102は電解粗面化処理装置およびTh1、Th
2、Th3はサイリスタである。電解粗面化処理装置1
02は、上述した電解粗面化処理装置100が備える交
流電解槽2の前段に補助電解槽10を配設した電解粗面
化処理装置である。補助電解槽10は、上面が開放され
た箱型であり、底面近傍に、アルミニウムウェブWの搬
送面Tに対して平行に板状の補助電極12が設けられて
いる。補助電解槽10の上流側壁面の近傍と下流側壁面
の近傍とには、アルミニウムウェブWを補助電極12の
上方において搬送する搬送ローラ14Aおよび14Bが
配設されている。また、補助電解槽10の上方における
上流側には、アルミニウムウェブWを補助電解槽10の
内部に導入する導入ローラ16Aが設けられ、補助電解
槽10の上方における下流側には、補助電解槽10内部
を通過したアルミニクムウェブWを外部に導出する導出
ローラ16Bが設けられている。補助電解槽10内部に
は、上述した酸性水溶液が貯留されている。 【0067】交流電源TacのU相、V相およびW相
は、それぞれ補助電極12に接続され、U相、V相およ
びW相のそれぞれと補助電極12との間には、サイリス
タTh1、Th2およびTh3が介装されている。サイ
リスタTh1、Th2およびTh3は、いずれも点弧時
に交流電源Tacから補助電極12に向って電流が流れ
るように接続されている。したがって、サイリスタTh
1、Th2およびTh3のいずれを点弧したときも、補
助電極12にはアノード電流が流れるから、サイリスタ
Th1、Th2およびTh3を位相制御することによ
り、補助電極12に流れるアノード電流の電流値を制御
することができ、したがって、Qc/Qaの値も制御す
ることができる。 【0068】図4に、本発明に好適に用いられるラジア
ル型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の一例の断
面模式図を示す。図4において、20は交流電解槽、2
6A、26Bは主極、34は補助電解槽、35は上流側
案内ローラ、36は補助電極、22は交流電解槽本体、
22Aは開口部、24は送りローラ、28A、28Bは
給液ノズル、30Aは上流側案内ローラ、30Bは下流
側案内ローラ、32は溢流槽、34Aは補助電解槽の底
面、104は電解粗面化処理装置およびTh4、Th5
はサイリスタである。電解粗面化処理装置104は、酸
性水溶液が貯留される交流電解槽本体22を備える交流
電解槽20と、交流電解槽本体22内部に収容され、水
平方向に伸びる軸線の周りに回転可能に配設され、アル
ミニウムウェブWを、図4における左方から右方に向か
って、搬送方向aで送る送りローラ24とを備えてい
る。交流電解槽本体22内部には、上述した酸性水溶液
が貯留されている。交流電解槽本体22の内壁面は、送
りローラ24を囲むように略円筒状に形成されており、
前記内壁面上には、半円筒状の主極26Aおよび26B
が送りローラ24を挟んで設けられている。主極26A
および26Bは、複数の小電極に分割され、それぞれの
小電極の間には、絶縁性のスペーサーが介装されてい
る。小電極は、例えば、グラファイトや金属を用いて形
成することができ、スペーサーは、例えば、塩化ビニル
樹脂により形成することができる。スペーサーの厚さは
1〜10mmであるのが好ましい。また、図4において
は簡略的に示したが、主極26Aおよび26Bのいずれ
においても、スペーサーにより分割された小電極のそれ
ぞれが交流電源Tacに接続されている。 【0069】交流電解槽20の上部には、アルミニウム
ウェブWを交流電解槽本体22に導入し、また、導出す
るための開口部22Aが形成されている。交流電解槽本
体22における開口部22Aの近傍には、交流電解槽本
体22に酸性水溶液を補充する給液ノズル28Aが設け
られている。また、給液ノズル28Bも別途設けられて
いる。交流電解槽20の上方における開口部22A近傍
には、アルミニウムウェブWを交流電解槽本体22内部
に案内する一群の上流側案内ローラ30Aと、交流電解
槽本体22内で電解粗面化処理されたアルミニウムウェ
ブWを外部に案内する一群の下流側案内ローラ30Bと
が配設されている。 【0070】交流電解槽20においては、交流電解槽本
体22の下流側に隣接して溢流槽32が設けられてい
る。溢流槽32内部には、上述した酸性水溶液が貯留さ
れている。溢流槽32は、交流電解槽本体22から溢流
した酸性水溶液を一時貯留し、交流電解槽本体22にお
ける酸性水溶液の液面の高さを一定に保持する機能を有
する。 【0071】交流電解槽本体22の前段(上流)には、
補助電解槽34が設けられている。補助電解槽34は、
交流電解槽本体22よりも浅く、底面34Aが平面状に
形成されている。そして、底面34A上には、円柱状の
補助電極36が複数本儲けられている。補助電解槽34
内部には上述した酸性水溶液が貯留されている。補助電
極36は、白金などの高耐食性の金属、フェライトなど
により形成されているのが好ましい。また、補助電極3
6は板状であってもよい。補助電極36は、交流電源T
acにおける主極26Aが接続される側に、主極26A
に対して並列に接続され、中間には、サイリスタTh4
が、点弧時に交流電源Tacにおける前記側から補助電
極36に向かって電流が流れるように接続されている。
また、交流電源Tacにおける主極26Bが接続された
側も、サイリスタTh5を介して補助電極36に接続さ
れている。サイリスタTh5も、点弧時に交流電源Ta
cにおける主極26Bが接続された側から補助電極36
に向かって電流が流れるように接続されている。サイリ
スタTh4およびTh5のいずれを点弧したときも、補
助電極36にはアノード電流が流れる。したがって、サ
イリスタTh4およびTh5を位相制御することによ
り、補助電極36に流れるアノード電流の電流値を制御
することができ、したがって、Qc/Qaの値も制御す
ることができる。 【0072】電解粗面化処理装置104の作用について
以下に説明する。図4における左方から、アルミニウム
合金板Wは、まず、上流側案内ロ一ラ35によって補助
電解槽34内に案内され、次いで上流側案内ローラ30
Aによって交流電解槽本体22に案内される。そして、
送りローラ24によって図4における左方から右方に向
かって送られ、下流側案内ロ一ラ30Bにより導出され
る。交流電解槽本体22および補助電解槽34の内部に
おいて、アルミニウムウェブWは、主極26Aおよび2
6Bに印加された交流電流と、補助電極36に印加され
たアノード電流とにより、主極26Aおよび26Bに面
する側の表面が粗面化され、ほぼ均一なハニカムピット
が形成される。 【0073】(4)粗面化に用いる廃液のリサイクル 各粗面化処理に用いた液(廃液)は可能な限りリサイク
ルすることが好ましい。アルミニウムイオンが溶けた苛
性ソーダ水溶液では晶析法によるアルミニウムと苛性ソ
ーダの分離を行うことができる。アルミニウムイオンが
溶けた硫酸水溶液、硝酸水溶液または塩酸水溶液では電
気透析法やイオン交換樹脂による硫酸または硝酸の回収
を行うことができる。アルミニウムイオンが溶けた塩酸
水溶液では特開2000−282272号公報に記載さ
れているような蒸発による回収を行うこともできる。本
発明では、電気化学的粗面化処理で用いた電解液の廃液
をデスマット処理(第1、第2および第3デスマット処
理)に用いるのが好ましい。また、電気化学的な粗面化
処理、または、陽極酸化処理の前に行うデスマット処理
は、デスマット処理の後に行う粗面化処理または陽極酸
化処理と同じ種類の液を用いることが好ましく、同じ組
成の液を用いることが特に好ましい。そうすることで、
デスマット処理とその次の工程の間に設ける水洗工程を
省略することができ、設備の簡素化と廃液量の低減が可
能となる。 【0074】<アルカリ水溶液中での化学的なエッチン
グ処理(第2および第3アルカリエッチング処理)>第
1電気化学的粗面化処理の後で第2電気化学的粗面化処
理の前に第2アルカリエッチング処理を行うのが好まし
い。この処理により第2電気化学的粗面化処理を均一に
行うことができ、かつ、アルミニウム板の表面形状が均
一で耐刷性および印刷性能に優れた平版印刷版が得られ
る。また、第2電気化学的粗面化処理の後で陽極酸化処
理の前に第3アルカリエッチング処理を行うのが好まし
い。この処理により第2電気化学的粗面化処で生成した
スマット成分(水酸化アルミニウムが主成分)を除去で
き、かつ、アルミニウム板の表面形状が均一で耐刷性お
よび印刷性能に優れた平版印刷版が得られる。第2アル
カリエッチング処理および第3アルカリエッチング処理
は、上記アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させ
ることにより、エッチングを行う。アルカリの種類、ア
ルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法およ
びそれに用いる装置は、第1アルカリエッチング処理の
場合と同様のものが挙げられる。アルカリ溶液に用いら
れるアルカリとしては、第1アルカリエッチング処理の
場合と同様のものが挙げられる。アルカリ溶液の濃度
は、エッチング量に応じて決定することができるが、
0.01〜80質量%であるのが好ましい。アルカリ溶
液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間
は1〜60秒であるのが好ましい。第2アルカリエッチ
ング処理においては、アルミニウム板(電解粗面化処理
を施した面)の溶解量は、好ましくは、0.001〜3
0g/m2 であり、より好ましくは、0.1〜2g/m
2 であり、特に好ましくは、0.1〜0.6g/m 2
ある。第3アルカリエッチング処理においては、アルミ
ニウム板(電解粗面化処理を施した面)の溶解量は、好
ましくは、0.001〜30g/m2 であり、より好ま
しくは、0.1〜4g/m2 であり、特に好ましくは、
0.2〜1.5g/m 2 である。 【0075】<酸性水溶液中でのデスマット処理(第2
および第3デスマット処理)>第2アルカリエッチング
処理の後に第2デスマット処理を行うのが好ましい。第
2電気化学的粗面化処理をより均一に行うことができ
る。また、第3アルカリエッチング処理の後に第3デス
マット処理を行うのが好ましい。第3アルカリエッチン
グ処理で発生した水酸化物を除去でき、かつ、印刷時に
支持体と感光層の密着性が高い平版印刷版が得られる。
第2デスマット処理および第3デスマット処理は、例え
ば、上記アルミニウム合金板をリン酸、塩酸、硝酸、硫
酸などの濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニ
ウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触さ
せることにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に
接触させる方法は、第1デスマット処理の場合と同様の
ものが挙げられる。第2デスマット処理および第3デス
マット処理においては、酸性溶液として、後述する陽極
酸化処理において排出される硫酸溶液の廃液を用いるの
が好ましい。また、該廃液の代わりに、硫酸濃度が10
0〜600g/L、アルミニウムイオン濃度が1〜10
g/Lであり、液温が60〜90℃である硫酸溶液を用
いることもできる。第2デスマット処理および第3デス
マット処理の液温は、25〜90℃であるのが好まし
い。また、第2デスマット処理および第3デスマット処
理の処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。第
2デスマット処理および第3デスマット処理に用いられ
る酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金
成分が溶け込んでいてもよい。 【0076】<陽極酸化処理>アルミニウム板の表面の
耐磨耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アル
ミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては
多孔質酸化皮膜を形成するものならば、いかなるもので
も使用することができる。一般には硫酸、リン酸、シュ
ウ酸、クロム酸、またはそれらの混合液が用いられる。
それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決め
られる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質によって変
わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃
度が1〜80wt%、液温は5〜70℃、電流密度1〜
60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10秒〜
300秒の範囲にあれば適当である。硫酸法は通常直流
電流で処理が行われるが、交流を用いることも可能であ
る。陽極酸化皮膜の量は1〜5g/m2 の範囲が適当で
ある。1g/m2よりも少ないと耐刷性が不十分であっ
たり、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなって、
同時にきずの部分にインキが付着する、いわゆるきず汚
れが生じやすくなる。また、陽極酸化皮膜量が多くなる
と、アルミニウムエッチ部分へ酸化皮膜が集中しやすく
なるので、アルミニウム板のエッチの部分と中心部分の
酸化皮膜量の差は、1g/m2 以下であることが好まし
い。 【0077】硫酸水溶液中での陽極酸化については、特
開昭54−128453号、特開昭48−45303号
各公報に詳しく記載されている。硫酸濃度10〜300
g/L、アルミニウムイオン濃度1〜25g/Lとする
ことが好ましく、50〜200g/Lの硫酸水溶液中に
硫酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を
2〜10g/Lとすることが特に好ましい。液温は30
〜60℃が好ましい。直流法を用いるとき、電流密度1
〜60A/dm2 、特に5〜40A/dm2 が好まし
い。連続的にアルミニウムシートを陽極酸化する場合
は、アルミニウム板の焼けと呼ばれる電流集中を防ぐた
めに最初5〜10A/dm2 の低電流密度で陽極酸化処
理を行い、後半に行くに従い徐々に電流密度を上げて3
0〜50A/dm2 になるまで、あるいはそれ以上に電
流密度を設定することが特に好ましい。電流密度は5〜
15ステップで徐々に上げることが好ましい。各ステッ
プごとには独立した電源装置を持ち、この電源装置の電
流値で電流密度をコントロールする。給電方法はコンダ
クタローラを用いない液給電方式が好ましい。特開20
01−11698Aにはその一例が示されている。 【0078】硫酸水溶液中にはアルミニウム板に含まれ
る微量成分元素が少量溶解していても良いのはもちろん
である。陽極酸化処理中の硫酸水溶液にはアルミが溶出
するため、工程の管理のためには硫酸濃度とアルミニウ
ムイオン濃度を管理する必要がある。アルミニウムイオ
ン濃度を低く設定すると陽極酸化を行う硫酸水溶液の更
新を頻繁に行わなければならず、廃液量が増えて経済的
でないばかりでなく環境面でも問題である。また、アル
ミニウムイオン濃度を高く設定すると電解電圧が高くな
り電力コストがかさみ経済的でない。好ましい陽極酸化
の硫酸濃度、アルミイオン濃度、液温としては、 (その1) 硫酸濃度 100〜200g/L(更に130〜180
g/L) アルミニウムイオン濃度 2〜10g/L(更に3〜7
g/L) 液温30〜40℃(更に33〜38℃) (その2) 硫酸濃度 50〜125g/L(更に80〜120g/
L) アルミニウムイオン濃度 2〜10g/L(更に3〜7
g/L) 液温40〜70(更に50〜60℃) である。 【0079】陽極酸化処理でのアルミニウム板電への給
電方式は、コンダクタロールを用いて直接アルミニウム
板に給電する直接給電方式と、電解液を通じてアルミニ
ウム板に給電する液給電方式がある。直接給電方式はラ
イン速度30m/min以下の比較的低速・低電流密度
の陽極酸化装置で、間接給電方式はライン速度30m/
minを越える高速・高電流密度の陽極酸化装置で用い
られることが多い。間接給電方式は、連続表面処理技術
(総合技術センター、昭和61年9月30日発行)の2
89頁にあるように、山越型またはストレート型の槽レ
イアウトを用いることができる。高速・高電流密度にな
るとコンダクタロールとアルミニウムウェブ間のスパー
ク発生の問題が発生するため、直接給電ロール方式は不
利である。直接給電方式、間接給電方式ともに、アルミ
ニウムウェブ内の電圧ドロップによるエネルギーロスを
少なくする目的で、陽極酸化処理工程は2つ以上に分離
し、それぞれの電解装置の給電槽と酸化槽、またはコン
ダクタロールと酸化槽の間に直流電源を接続して用いる
ことが特に好ましい。直接給電方式を用いる場合は、コ
ンダクタロールはアルミを用いるのが一般的である。ロ
ールの寿命を長くするために、特公昭61−50138
号公報に記載されているような、工業用純アルミニウム
を用いて鋳造したのち、高温均質化処理を施してAl−
Fe系晶出物をAl3 Feの単一層として耐食性を向上
させたものを用いることが特に好ましい。陽極酸化処理
工程においては大電流を流すため、ブスバーに流れる電
流により発生する磁界により、アルミニウム板にローレ
ンツ力が働く。その結果ウェブが蛇行する問題が生じる
ため、特開昭57−51290号公報に記載されている
ような方法を用いることが特に好ましい。 【0080】また、アルミニウム板には大電流が流れる
ため、アルミニウム板自身を流れる電流による磁界によ
り、アルミニウム板の幅方向において中央に向かってロ
ーレンツ力が働く。その結果アルミニウム板に折れが発
生しやすくなるため、陽極酸化処理槽内に直径100〜
200mmのパスローラーを100〜3000mmピッ
チで複数設け、1〜15度の角度でラップさせてローレ
ンツ力による折れを防止する方法をとることが特に好ま
しい。また、陽極酸化皮膜はアルミニウム板の幅方向で
生成量が異なり、エッチに近づくほど生成量が多くなり
厚さが厚くなる。その結果巻き取り装置にてアルミニウ
ム板をうまく巻きとれない問題が生じる。これを解決す
るには、特公昭62−30275号公報または特公昭5
5−21840号公報に記載の方法で液流を撹拌するこ
とにより解決できる。その方法においても不十分な場合
は、アルミニウム板の巻き取り装置を0.1〜10Hz
の周期で5〜50mmの振幅でアルミニウムウェブの幅
方向にオシレートさせて巻き取る方法を併用して用いる
ことが特に好ましい。 【0081】硫酸法では通常、直流電流で処理が行われ
るが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮膜の
量は1〜10g/m2 の範囲が適当である。一般的平版
印刷版材料の場合、陽極酸化皮膜量は1〜5g/m
2 で、1g/m2 よりも少ないと耐刷性が不十分であっ
たり、平版印刷版の非画像部に傷が付きやすくなって、
同時に傷の部分にインキが付着する、いわゆる傷汚れが
生じやすくなる。また、陽極酸化皮膜量が多くなると、
アルミニウム板のエッチ部分へ酸化皮膜が集中しやすく
なるので、アルミニウム板のエッチの部分と中心部分の
酸化皮膜量の差は、1g/m2 以下であることが好まし
い。連続的な陽極酸化処理は液給電方式を用いるのが一
般的である。アルミニウム板に電流を通電するための陽
極としては、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライトな
どを用いることができるが、酸化イリジウムを主体とす
るものが特に好ましい。酸化イリジウムは熱処理により
基材に被覆される。基材としてはチタン、タンタル、ニ
オブ、ジルコニウムなどの所謂バルブ金属が用いられる
が、チタンまたはニオブが特に好ましい。前記バルブ金
属は比較的電気抵抗が大きいため、芯材に銅を用い、そ
の周囲にバルブ金属をクラッドすることが特に好まし
い。銅の芯材にバルブ金属をクラッドする場合は、あま
り複雑な形状のものは作れないので、各パーツに分割し
て作成した電極部品を、酸化イリジウムを被覆した後に
ボルト・ナットなどで希望の構造となるように組み立て
るのが一般的である。 【0082】本発明では、デスマット処理液の送液設
備、濃度調整設備を簡素化し、設備コストを低減できる
点で、陽極酸化処理で生じる酸廃液は、デスマット処理
(第1、第2および第3デスマット処理)に用いるのが
好ましい。 【0083】<親水化処理>親水化処理は、平版印刷版
用アルミニウム支持体の製造に一般的に用いられる公知
の親水化処理を用いることができるが、アルカリ金属ケ
イ酸塩で処理するのが好ましく、以下に詳細に説明す
る。陽極酸化処理された支持体は、水洗処理された後、
現像液への陽極酸化皮膜の溶解抑制、感光層成分の残膜
抑制、陽極酸化皮膜強度向上、陽極酸化皮膜の親水性向
上、感光層との密着性向上などを目的に、以下のような
処理を行うことができる。そのひとつとしては陽極酸化
皮膜をアルカリ金属のケイ酸塩水溶液と接触させて処理
するシリケート処理が挙げられる。この場合、アルカリ
金属ケイ酸塩の濃度は0.1〜30質量%、好ましくは
0.5〜15質量%であり、25℃でのpHが10〜1
3.5である水溶液に5〜80℃、好ましくは10〜7
0℃、より好ましくは15〜50℃で0.5〜120秒
間接触させる。接触させる方法は、浸せきでもスプレー
による吹き付けでも、いかなる方法によってもかまわな
い。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液はpHが10より低い
と液はゲル化し、13.5より高いと陽極酸化皮膜が溶
解されてしまう場合がある。本発明に用いられるアルカ
リ金属ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウ
ム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケ
イ酸塩水溶液のpH調整に使用される水酸化物として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ムなどがある。なお、上記処理液にはアルカリ土類金属
塩もしくは第IVA族(4族)金属塩を配合してもよ
い。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝
酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムの
ような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、
シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性塩が挙げられる。第
IVA族(4族)金属塩としては、四塩化チタン、三塩
化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリ
ウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニ
ウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属もしくは第I
VA族(4族)金属塩は単独または2種以上組み合わせ
て使用する事ができる。これらの金属塩の好ましい範囲
は、0.01〜10質量%であり、更に好ましくは0.
05〜5.0質量%である。 【0084】<封孔処理>他には、各種封孔処理も挙げ
られ、一般的に陽極酸化皮膜の封孔処理方法として知ら
れている、水蒸気封孔、沸騰水(熱水)封孔、金属塩封
孔(クロム酸塩/重クロム酸塩封孔、酢酸ニッケル封孔
など)、油脂含浸封孔、合成樹脂封孔、低温封孔(赤血
塩やアルカリ土類塩などによる)などを用いる事ができ
るが、印刷版用支持体としての性能(感光層との密着性
や親水性)、高速処理、低コスト、低公害性などの面か
ら水蒸気封孔が比較的好ましい。その方法としては、例
えば特開平4−176690号公報にも記載されている
加圧または常圧の水蒸気を連続または非連続的に、相対
湿度70%以上・蒸気温度95℃以上で2秒〜180秒
程度陽極酸化皮膜に接触させる方法などが挙げられる。
他の封孔処理法としては、支持体を80〜100℃程度
の熱水またはアルカリ水溶液に浸漬または吹き付け処理
する方法や、これに代えるか、あるいは引き続き、亜硝
酸溶液で浸漬または吹き付け処理することができる。亜
硝酸溶液に含有する亜硝酸塩などの例としては、例えば
LiO2 、NaNO2 、KNO2 、Mg(NO2 2
Ca(NO2 2 、Zn(NO3 2 、Al(NO2
3 、Zr(NO2 4 、Sn(NO2 3 、Cr(NO
2 3 、Co(NO2 2 、Mn(NO2 2 、Ni
(NO2 2 などが好ましく挙げられ、特にアルカリ金
属硝酸塩が好ましい。亜硝酸塩などは2種以上併用する
こともできる。 【0085】処理条件は、支持体の状態およびアルカリ
金属の種類により異なるので一義的には決定できない
が、例えば亜硝酸ナトリウムを用いた場合には、濃度は
一般的には0.001〜10質量%、より好ましくは
0.01〜2質量%、浴温度は一般的には室温から約1
00℃前後、より好ましくは60〜90℃、処理時間は
一般的には15〜300秒、より好ましくは10〜18
0秒のそれぞれの範囲から選択すればよい。亜硝酸水溶
液のpHは8.0〜11.0に調製されていることが好
ましく、8.5〜9.5に調製されていることが特に好
ましい。亜硝酸水溶液のpHを上記の範囲に調製するに
は、例えばアルカリ緩衝液などを用いて好適に調製する
ことができる。該アルカリ緩衝液としては、限定はされ
ないが例えば炭酸水素ナトリウムと水酸化ナトリウムの
混合水溶液、炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合
水溶液、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合水
溶液、塩化ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合水溶
液、塩酸と炭酸ナトリウムの混合水溶液、四ホウ酸ナト
リウムと水酸化ナトリウムの混合水溶液などを好適に用
いることができる。また、上記アルカリ緩衝液はナトリ
ウム以外のアルカリ金属塩、例えばカリウム塩なども用
いることができる。以上のような、シリケート処理また
は封孔処理を施した後、感光層との密着性をアップさせ
るために特開平5−278362号公報に記載されてい
る酸性水溶液処理と親水性下塗りを行うことや、特開平
4−282637号公報や特願平6−108678号明
細書(特開平7−314937号公報)に記載されてい
る有機層を設けてもよい。 【0086】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法は、上記処理の他に、以下の処理を行うこと
もできる。 【0087】<アルミニウム板の水洗方法>アルミニウ
ム板を酸またはアルカリ水溶液中での処理、または研磨
剤を用いて機械的に粗面化した後には、薬液や研磨剤を
アルミニウム板表面から除去する目的で洗浄工程を設け
るのが常法である。洗浄は薬液の種類、組成の異なる処
理槽の中間に設けるのが普通であるが、処理槽から洗浄
工程に入る時間、または、洗浄から次の処理槽に入るま
での時間は10秒以下が好ましく、0.1〜10秒が特
に好ましい。10秒を越えると表面の化学的な変性が進
み、処理ムラが発生しやすくなる場合がある。また水洗
工程を挟んだ処理槽と処理槽の間隔は、アルミニウムウ
ェブの通過時間で15秒以下、特に5秒以下が好まし
い。15秒を越えると表面の化学的な変性が進んで次工
程で均一な粗面化処理が行われにくくなる場合がある。
アルミニウム板を洗浄するにあたっては、以下の方法を
用いることが好ましく、排水量を減少させるという目的
で、ドライアイスパウダーを用いた水洗方式が好まし
い。 【0088】(1)水による洗浄 平版印刷板用アルミニウム支持体の洗浄方法としては、
ニップローラーにて液切りした表面を、スプレーチップ
から噴射した水を用いて洗浄する方法を用いるのが一般
的である。水はアルミニウム板の走行方向の下流に向か
って45〜90度の角度で噴射することが好ましい。水
の噴射圧力は、噴射ノズル直前の圧力で、通常0.5〜
5kg/cm2 、液温は10〜80℃が好ましい。走行
するアルミニウム板の移動速度は20〜200m/mi
nであることが好ましい。アルミニウム板に吹き付けら
れる水の液量は、ひとつの洗浄工程で0.1〜10L/
2 の液量が吹き付けられることが好ましい。一つの洗
浄槽には、アルミニウム板の表面に最低2本以上、裏面
に最低2本以上のスプレー管から洗浄水が噴射される。
一つのスプレー管にはピッチ50〜200mmの間隔で
スプレーチップが5〜30本設置される。スプレーチッ
プの噴霧角度は10〜150度、アルミニウム板とスプ
レーチップ噴射面の間隔は10〜250mmが好まし
い。スプレーチップの噴霧の断面形状(スプレーパター
ン)は環状、円形、楕円形、正方形、長方形などがある
が、円形・惰円形または正方形・長方形が好ましい。流
量分布(アルミニウム板の表面における噴霧の水量分配
状態)は環状分布、均等分布、山型分布などがあるが、
スプレーチップをスプレー管に複数並べて使用するとき
は、幅全域での均一な流量分布を容易にする山型分布が
好ましい。流量分布は噴霧圧力とスプレーチップとアル
ミニウム板の距離により変化する。噴霧の粒子径はスプ
レーチップの構造、噴霧圧力、噴霧量によって変わる
が、10〜10000μm、特に100〜1000μm
が好ましい。スプレーノズルの材質は高速で流れる液体
に対して耐摩耗性があることが好ましい。その材質は真
鍮、ステンレス、セラミックなどが用いられるが、セラ
ミックノズルが特に好ましい。スプレーチップを設置し
たスプレーノズルはアルミニウム板の進行方向に対して
45〜90度に配置することができるが、スプレーパタ
ーンの中心のうち長さが長い方の中心線がアルミニウム
板の進行方向と直角になるようにすることが好ましい。
水洗処理工程を通過する洗浄時間は、工業的に10秒以
下が好ましく、特に好ましくは0.5〜5秒が好まし
い。 【0089】(2)ドライアイスパウダーを使った洗浄 ドライアイスパウダーをアルミニウム板の両面に噴射し
て洗浄する方法には、特開平10−66905号公報に
記載されているような公知のショットブラスト装置を用
いることができる。噴射ノズルは特開平10−2890
1号公報、特開平10ー28902号公報に記載されて
いるような公知の噴射ノズルをアルミニウム板の両面に
複数個並べることができる。噴射ノズルは横一直線に配
置しても良いが、アルミニウム板表面の噴射パターンが
アルミニウム板の巾方向で重なるように斜めに設置する
ことが好ましい。噴射ノズルとアルミニウム板の間隔は
1〜100mmが好ましく、特に10〜50mmが好ま
しい。また、パウダー状のドライアイスを製造する方法
は実開平7−38104号公報に記載されているような
製造装置を用いることができる。噴射用の気体はGN2
ガス、または空気を用いることができる。パウダー状の
ドライアイスは1〜1000μmであり、その平均粒径
は10〜100μmが好ましい。噴射ノズル一個あたり
のLCO2 (液化炭酸ガス)供給量は0.1〜1kg/
minが好ましく、その供給圧力は1〜20MPaが好
ましい。アルミニウム板での洗浄圧力は1〜20MPa
が好ましい。 【0090】<パスロールの材質>ロールは、表面にメ
ッキ処理またはライニング処理された公知の鉄鋼、メッ
キ、電解コンデンサ、PS板などの連続生産ラインに用
いる金属ロール、樹脂ロール、ゴムロール、不織布ロー
ルから選定して用いることができる。ロールの材質、表
面の物性値は薬液やそのときのアルミニウム表面の状態
に応じて耐食性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性などを考
慮して選定する。金属ロールではハードクロムメッキロ
ールが一般的に用いられる。ゴムロールでは天然ゴム、
イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエン
ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルフォ
ン化ポリエチレン、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピ
クロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、フッ
素ゴムなどはもちろんそれらに微量の添加物を添加した
ものを用いることができる。ゴムロールの硬度は60〜
90が特に好ましい。 【0091】上記に詳細に説明した本発明の平版印刷版
用アルミニウム支持体の製造方法によれば、低純度のア
ルミニウム合金板(合金成分を多く含むアルミニウム板
または合金成分を調製していないアルミニウム板)を用
いた場合であっても、表面の凹凸が均一な平版印刷版用
アルミニウム支持体を得ることができる。また、本発明
の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方法により得
られた平版印刷版用アルミニウム支持体は、後述するよ
うに感光層を設け平版印刷版原版とすると、これを製版
して平版印刷版としたときに、印刷性能に優れ、かつ、
耐刷性に優れる。 【0092】本発明で得られた平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いた、平版印刷版およびその製造方法につ
いて説明する。 【0093】<下塗り層>本発明においては、このよう
にして得られた本発明の平版印刷版用アルミニウム支持
体上に、感光層を設ける前に、必要に応じて、例えば、
ホウ酸亜鉛などの水溶性金属塩のような無機下塗層や、
有機下塗層を設けてもよい。 【0094】有機下塗層に用いられる有機化合物として
は、例えば、カルボキシメチルセルロース;デキストリ
ン;アラビアガム;スルホン酸基を側鎖に有する重合体
および共重合体;ポリアクリル酸;2−アミノエチルホ
スホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類;置換基
を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホス
ホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メ
チレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸などの有機
ホスホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン
酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸
などの有機リン酸;置換基を有していてもよいフェニル
ホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフ
ィン酸、グリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン
酸;グリシン、β−アラニンなどのアミノ酸類;トリエ
タノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシル基を有する
アミンの塩酸塩;黄色染料が挙げられる。これらは単独
で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。 【0095】有機下塗層は、水もしくはメタノール、エ
タノール、メチルエチルケトンなどの有機溶媒、または
それらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液
をアルミニウム板上に塗布し乾燥することにより設けら
れる。上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.
005〜10質量%であるのが好ましい。塗布の方法
は、特に限定されず、バーコーター塗布、回転塗布、ス
プレー塗布、カーテン塗布などのいずれの方法も用いる
ことができる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜2
00mg/m2 であるのが好ましく、5〜100mg/
2 であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷
性がより良好になる。 【0096】<感光層>本発明により得られる平版印刷
版用アルミニウム支持体に、感光層を設けて、平版印刷
版原版が得られる。感光層は、特に限定されないが、例
えば、通常の可視光で露光する可視光露光型製版層、赤
外線レーザ光などのレーザ光で露光するレーザ露光型製
版層が挙げられる。なかでも、レーザで直接描画し、
光熱変換により発生する熱によりアルカリ現像液に対す
る可溶性が変化するポジ型画像形成層、 レーザで直接描画し、光熱変換により発生する熱によ
りアルカリ現像液に対する可溶性が変化する感光層が、
下記A層とB層を順次積層し、B層に、光を吸収して発
熱する化合物を含有する感光層、 A層:モノマー(a−1)〜(a−3)の少なくとも1
つを共重合成分として10モル%以上含む共重合体を5
0質量%以上含有する層 B層:フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶
性樹脂を50質量%以上含有する層 レーザで直接描画し、光熱変換により発生する熱によ
りアルカリ現像液に対する可溶性が変化するネガ型画像
形成層、 ラジカル付加重合反応を利用したレーザで直接描画可
能な画像形成層、 ポジ型感光性画像形成層、 ネガ型感光性画像形成層、が好ましい。以下、感光層
について説明する。 【0097】(1)可視光露光型製版層 可視光露光型製版層は、感光性樹脂および必要に応じて
着色剤などを含有する組成物により形成することができ
る。感光性樹脂としては、光が当たると現像液に溶ける
ようになるボジ型感光性樹脂、光が当たると現像液に溶
解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙げられる。ポジ型感
光性樹脂としては、例えば、キノンジアジド化合物、ナ
フトキノンジアジド化合物などのジアジド化合物と、フ
ェノールノボラック樹脂、クレゾール−ノボラック樹脂
などのフェノール樹脂との組み合わせが挙げられる。ネ
ガ型感光性樹脂としては、例えば、ジアゾ樹脂(例え
ば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒドなどのア
ルデヒド類との縮合物)、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、
前記ジアゾ樹脂の有機酸塩などのジアゾ化合物と、(メ
タ)アクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン
樹脂などの結合剤との組み合わせ、(メタ)アクリレー
ト樹脂、ポリスチレン樹脂などのビニルポリマーと、
(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどのビニル重
合性化合物と、ベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導
体、チオキサントン誘導体などの光重合開始剤との組み
合わせが挙げられる。 【0098】着色剤としては、通常の色素のほか、露光
により発色する露光発色色素、露光によりほとんどまた
は完全に無色になる露光消色色素などを用いることがで
きる。露光発色色素としては、例えば、ロイコ色素が挙
げられる。露光消色色素としては、例えば、トリフェニ
ルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン
系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色
素、アゾメチン系色素、アントラキノン系色素が挙げら
れる。 【0099】可視光露光型製版層は、例えば、上記感光
性樹脂と上記着色剤とを溶剤に配合した感光性樹脂溶液
を塗布し、その後、乾燥させることにより形成すること
ができる。感光性樹脂溶液に用いられる溶剤としては、
上記感光性樹脂を溶解することができ、かつ、室温であ
る程度の揮発性を有する溶剤が挙げられる。具体的に
は、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステ
ル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶
剤、アミド系溶剤、炭酸エステル系溶剤が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、エタノール、プロ
パノール、ブタノールが挙げられる。ケトン系溶剤とし
ては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチル
ケトンが挙げられる。エステル系溶剤としては、例え
ば、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチ
ルが挙げられる。エーテル系溶剤としては、例えば、テ
トラヒドロフラン、ジオキサンが挙げられる。グリコー
ルエーテル系溶剤としては、例えば、エチルセロソル
ブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブが挙げられ
る。アミド系溶剤としては、例えば、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミドが挙げられる。炭酸エステ
ル系溶剤としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピ
レン、炭酸ジエチル、炭酸ジブチルが挙げられる。 【0100】感光性樹脂溶液の塗布方法は、特に限定さ
れず、回転塗布法、ワイヤーバー塗布法、ディップ塗布
法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、ブレード塗布
法などの従来公知の方法を用いることができる。 【0101】(2)レーザ露光型製版層 レーザ露光型製版層としては、例えば、レーザ光を照射
した部分が残存するネガ型レーザ製版層、レーザ光を照
射した部分が除去されるポジ型レーザ製版層、レーザ光
を照射すると光重合する光重合型レーザ製版層が主なも
のとして挙げられる。 【0102】ネガ型レーザ製版層は、(A)熱または光
により分解して酸を発生させる酸前駆体、(B)酸前駆
体(A)が分解して発生した酸により架橋する酸架橋性
化合物、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)赤外線吸収
剤、および(E)フェノール性水酸基含有化合物を適当
な溶剤に溶解させ、または懸濁させたネガ型レーザ製版
層形成液を用いて形成することができる。 【0103】酸前駆体(A)としては、例えば、イミノ
フォスフェート化合物のように、紫外光、可視光または
熱により分解してスルホン酸を発生させる化合物が挙げ
られる。ほかには、光カチオン重合開始剤、光ラジカル
重合開始剤、光変色剤などとして一般に使用されている
化合物も、酸前駆体(A)として用いることができる。
酸架橋性化合物(B)としては、例えば、アルコキシメ
チル基およびヒドロキシル基のうち少なくとも一方を有
する芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アル
コキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有す
る化合物、エポキシ化合物が挙げられる。アルカリ可溶
性樹脂(C)としては、例えば、ノボラック樹脂、ポリ
(ヒドロシスチレン)などの側鎖にヒドロキシアリール
基を有するポリマーが挙げられる。 【0104】赤外線吸収剤(D)としては、例えば、波
長760〜1200nmの赤外線を吸収する染料および
顔料が挙げられる。具体的には、例えば、黒色顔料、赤
色顔料、金属粉顔料、フタロシアニン系顔料;前記波長
の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フ
タロシアニン染料、シアニン色素が挙げられる。フェノ
ール性水酸基含有化合物(E)としては、例えば、一般
式 (R1 −X)n −Ar−(OH)m (式中、R1 は、炭素数6〜32のアルキル基またはア
ルケニル基であり、Xは、単結合、O、S、COOまた
はCONHであり、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式
炭化水素基または複素環基であり、nおよびmは、それ
ぞれ1〜8の自然数である。)で表される化合物が挙げ
られる。そのような化合物としては、例えば、ノニルフ
ェノールなどのアルキルフェノール類が挙げられる。ネ
ガ型レーザ製版層形成液には、上記各成分のほかに、可
塑剤などを配合することもできる。 【0105】ボジ型レーザ製版層は、(F)アルカリ可
溶性高分子、(G)アルカリ溶解阻害剤、および(H)
赤外線吸収剤を適当な溶剤に溶解させ、または懸濁させ
たポジ型レーザ製版層形成液を用いて形成することがで
きる。アルカリ可溶性高分子(F)としては、例えば、
フェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹脂、ピ
ロガロール樹脂、ポリ(ヒドロキシスチレン)などのフ
ェノール性水酸基を有するフェノール系ポリマー;少な
くとも一部のモノマー単位がスルホンアミド基を有する
ポリマーであるスルホンアミド基含有ポリマー;N−
(p−トルエンスルホニル)(メタ)アクリルアミド基
などの活性イミド基を有するモノマーの単独重合または
共重合により得られる活性イミド基含有ポリマーが挙げ
られる。 【0106】アルカリ溶解阻害剤(G)としては、例え
ば、加熱などによりアルカリ可溶性高分子(F)と反応
してアルカリ可溶性高分子(F)のアルカリ溶解性を低
下させる化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ス
ルホン化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩、アミ
ド化合物が挙げられる。アルカリ可溶性高分子(F)と
アルカリ溶解阻害剤(G)の組み合わせとしては、アル
カリ可溶性高分子(F)としてノボラック樹脂、アルカ
リ溶解阻害剤(G)としてスルホン化合物の一種である
シアニン色素の組み合わせが好適に挙げられる。赤外線
吸収剤(H)としては、例えば、スクワリリウム色素、
ピリリウム色素、カーボンブラック、不溶性アゾ染料、
アントラキノン系染料などの波長750〜1200nm
の赤外域に吸収領域があり、光/熱変換能を有する色
素、染料および顔料が挙げられる。 【0107】光重合型レーザ製版層は、(I)分子末端
にエチレン性不飽和結合を有するビニル重合性化合物を
含有する光重合型レーザ製版層形成液を用いて形成する
ことができる。光重合型レーザ製版層形成液には、必要
に応じて、(J)光重合開始剤、(K)増感剤などを配
合することができる。ビニル重合性化合物(I)として
は、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価ア
ルコールとのエステルであるエチレン性不飽和カルボン
酸多価エステル;前記エチレン性不飽和カルボン酸と多
価アミンとからなるメチレンビス(メタ)アクリルアミ
ド;キシリレン(メタ)アクリルアミドなどのエチレン
性不飽和カルボン酸多価アミドが挙げられる。ビニル重
合性化合物(I)としては、ほかに、スチレン、α−メ
チルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アク
リル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどのエチレ
ン性不飽和カルボン酸モノエステルが挙げられる。光重
合開始剤(J)としては、ビニル系モノマーの光重合に
通常使用される光重合開始剤を用いることができる。増
感剤(K)としては、例えば、チタノセン化合物、トリ
アジン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイミダ
ゾール系化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、キ
サンテン色素、クマリン色素が挙げられる。 【0108】上述したネガ型レーザ製版層形成液、ポジ
型レーザ製版層形成液および光重合型レーザ製版層形成
液に使用される溶剤、ならびに、ネガ型レーザ製版層形
成液、ポジ型レーザ製版層形成液および光重合型レーザ
製版層形成液の塗布方法については、上記感光性樹脂溶
液について挙げた溶剤および塗布方法を用いることがで
きる。なお、光重合型レーザ製版層を形成させる場合に
おいては、シラン化合物を水、アルコールまたはカルボ
ン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物な
どの反応性官能基を有するシリコーン化合物を用いて、
平版印刷版用アルミニウム支持体の粗面化処理面をあら
かじめ処理しておくと、支持体と光重合型レーザ製版層
との接着性が向上するため好ましい。 【0109】(3)レーザで直接描画し、光熱変換によ
り発生する熱によりアルカリ現像液に対する可溶性が変
化する感光層が、下記A層とB層を順次積層し、B層
に、光を吸収して発熱する化合物を含有する感光層を、
以下に簡単に説明する。 A層:モノマー(a−1)〜(a−3)の少なくとも1
つを共重合成分として10モル%以上含む共重合体を5
0質量%以上含有する層 B層:フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶
性樹脂を50質量%以上含有する層 【0110】A層は、以下のモノマー(a−1)1分子
中に、窒素原子上に少なくとも一つの水素原子が結合し
たスルホンアミド基を有するモノマー、(a−2)1分
子中に、下記式で表される活性イミノ基を有するモノマ
ー、(a−3)フェノール性水酸基を有するアクリルア
ミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタク
リル酸エステル、およびヒドロキシスチレンから選択さ
れるモノマー、のうち少なくとも1つを共重合成分とし
て10モル%以上含む共重合体を50質量%以上含有す
る層である。 【0111】 【化1】 【0112】B層は、フェノール性水酸基を有するアル
カリ水溶液可溶性樹脂を50質量%以上含有する層であ
る。上記感光層は、A層とB層とが順次積層され、か
つ、少なくとも該B層のフェノール性水酸基を有するア
ルカリ水溶液可溶性樹脂を50質量%以上含有するB層
に、光を吸収して発熱する化合物を含有する感光層であ
る。詳細は、特開平11−218914号公報に記載さ
れている。 【0113】<バックコート>現像時のアルミ溶解をな
くし、感光層とアルミニウム板のこすれによるキズをな
くす目的で、特開平6−32115号公報に記載の有機
高分子化合物ならびに界面活性剤を含む、厚さ0.01
〜8μmのバックコート層を設けることが知られてい
る。しかし、この厚さを積極的にコントロールすること
で印刷版用原版の厚さを補正することが可能となる。 【0114】このバックコート層の主成分としては、ガ
ラス転移点20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および
塩化ビニリデン共重合樹脂の群から選ばれる少なくとも
一種の樹脂が用いられる。飽和共重合ポリエステル樹脂
は、ジカルボン酸ユニットとジオールユニットからな
る。本発明に用いられるポリエステルのジカルボン酸ユ
ニットとしてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸など
の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、コ
ハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン酸、マロン
酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの飽和脂
肪族ジカルボン酸などが挙げられる。バックコート層に
は更に、着色のための染料や顔料、アルミニウム支持体
との密着性向上のためのシランカップリング剤、ジアゾ
ニウム塩からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有機リ
ン酸およびカチオン性ポリマーなど、更には滑り剤とし
て通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸ア
ミド、ジメチルシロキサンよりなるシリコーン化合物、
変性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末などが適宜
加えられる。 【0115】バックコート層をアルミニウム支持体の裏
面に被覆するには種々の方法が適用できる。例えば適当
な溶媒の溶液にして、または乳化分散液にして塗布、乾
燥する方法、例えば予めフィルム状に成形したものを接
着剤や熱でアルミニウム支持体に貼り合わせる方法およ
び溶融押し出し機で溶融皮膜を形成し、支持体に貼り合
わせる方法などが挙げられるが、上記の塗布量を確保す
る上で最も好ましいのは溶液にして塗布、乾燥する方法
である。ここで使用される溶媒としては、特開昭62−
251739号公報に記載されているような有機溶剤が
単独あるいは混合して用いられる。 【0116】<マット層>上記のようにして設けられた
感光層の表面には、必要に応じて、真空焼き枠を用いた
密着露光の際の真空引きの時間を短縮し、かつ、焼きボ
ケを防ぐため、マット層が設けられる。具体的には、特
開昭50−125805号、特公昭57−6582号、
同61−28986号の各公報に記載されているような
マット層を設ける方法、特公昭62−62337号公報
に記載されているような固体粉末を熱融着させる方法な
どが挙げられる。連続的に走行する長尺アルミニウム板
にマット層を塗布する場合、事前に温度調整装置におい
て所定の温度に調整し、次に湿潤装置において表面を湿
潤した後、静電塗装装置により微細な液滴をアルミニウ
ム板の表面の塗布する。次いで、再度設けられた湿潤装
置にて表面を再湿潤した後、乾燥装置により乾燥する。
本発明に用いられるマット層の平均径は100μm以下
が好ましく、これよりも平均径が大きくなるとPS版を
重ねて保存する場合、感光層とバックコート層との接触
面積が増大し、滑り性が低下、感光層およびバックコー
ト層双方の表面に擦れ傷を生じ易い。マット層の平均高
さは10μm以下が好ましく、より好ましくは2〜8μ
mである。この範囲より平均高さが高いと細線が付き難
く、ハイライトドットも点減りし、調子再現上好ましく
ない。平均高さが2μm以下では真空密着性が不十分で
焼きボケを生じる。マット層の塗布量は5〜200mg
/m2が好ましく、更に好ましくは20〜150mg/
2 である。塗布量がこの範囲よりも大きいと感光層と
バックコート層との接触面積が増大し擦れ傷の原因とな
り、これよりも小さいと真空密着性が不十分となる。 【0117】<塗布>また感光層およびバックコート層
を塗布する方式条件としては、公知の感光層を塗布する
方式、条件の多くを利用できる。即ち、コーティングロ
ッドを用いる方法、エクストルージョン型コーターを用
いる方法、スライドビードコーターを用いる方法が利用
できる。また塗布する条件も公知特許に記載した条件を
利用できる。感光性組成物の塗布方法としては特公昭5
8−4589号公報、特開昭59−123568号公報
などに記載されているコーティングロッドを用いる方法
や特開平4−244265号公報などに記載されている
エクストルージョン型コーターを用いる方法、あるいは
特公平1−57629号公報、特願平8−288656
号公報などに記載されているスライドビードコーターを
用いる方法などを用いることができる。 【0118】<乾燥>粗面化処理後または感光層、マッ
ト層およびバックコート層の塗布後のアルミニウム板の
乾燥方式条件について記載する。乾燥方式としては、特
開平6−63487号公報に記載がある乾燥装置内にパ
スロールを配置し、ロールにウェブをラップさせて搬送
するアーチ型ドライヤー、ウェブの上下面からノズルに
よりエアーを供給しウェブを浮上させながら乾燥する方
式、あるいは熱風を用いず、高温に種々の媒体を用いて
加熱し、その副射熱により乾燥する方式、あるいはロー
ルを種々媒体を用いて加熱しそのロールとウェブの接触
による伝導伝熱により乾燥する方式などがある。 【0119】このようにして得られた平版印刷版原版
を、必要に応じて、適当な大きさに裁断して、露光し現
像して製版することにより、平版印刷版が得られる。可
視光露光型製版層(感光性製版層)を設けた平版印刷版
原版の場合には、印刷画像が形成された透明フィルムを
重ねて通常の可視光を照射することにより露光し、その
後、現像を行うことにより製版することができる。レー
ザ露光型製版層を設けた平版印刷版原版の場合には、各
種レーザ光を照射して印刷画像を直接書き込むことによ
り露光し、その後、現像することにより製版することが
できる。 【0120】<露光>露光方法は、特開平9−6881
0号公報、特開平11−218914号公報、特願20
00−378507号明細書および特願2001−17
3968号明細書に記載されたものをはじめ、公知の方
法を使用できる。 【0121】<現像液>本発明で用いる現像液、補充液
などは、特開平9−68810号公報、特開平11−2
18914号公報、特願2000−378507号明細
書および特願2001−173968号明細書に記載さ
れたものをはじめ、公知のものを使用できる。なかで
も、ケイ酸を含むアルカリ性水溶液、および、ケイ酸を
含まず、糖類を含むアルカリ性水溶液を用いることがで
きる。具体的には、ケイ酸を含むアルカリ性水溶液とし
て、現像液および補充液の主成分は、ケイ酸、リン酸、
炭酸、硼酸、フェノール類、糖類、オキシム類およびフ
ッ素化アルコール類から選ばれる少なくとも一種の化合
物を含有し、pHが12. 0より高く13. 0未満の範
囲であるアルカリ性水溶液である。これらのうちフェノ
ール類、糖類、オキシム類およびフッ素化アルコール類
の如き弱酸性物質としては、解離指数(pKa)が1
0. 0〜13. 2のものが好ましい。詳細は特開平9−
68810号公報に記載されている。また、ケイ酸を含
むアルカリ性水溶液として、アルカリ剤はケイ酸ナトリ
ウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸塩が好ましい。その
理由はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2 とアル
カリ金属酸化物M2 Oの比率と濃度によって現像性の調
節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62
004号公報、特公昭57−7427号公報に記載され
ているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられ
る。詳細は特開平11−218914号公報に記載され
ている。また、ケイ酸を含まず、糖類を含むアルカリ性
水溶液としては、従来から知られている、緩衝作用を有
する有機化合物と塩基とを主成分とし、実質上、二酸化
ケイ素を含有しないアルカリ現像液を用いることを要す
る。本発明では、このような現像液を以下、「非シリケ
ート現像液」と称する。なお、ここで「実質上」とは不
可避の不純物及び副生成物としての微量の二酸化ケイ素
の存在を許容することを意味する。現像工程に、このよ
うな非シリケート現像液を適用することで、傷の発生抑
制効果は発現され、画像部に欠陥のない、良好な平版印
刷版を得ることができる。アルカリ水溶液としては、特
にpH12.5〜13.5のものが好ましい。該非シリ
ケート現像液は、前記したように緩衝作用を有する有機
化合物と塩基とを主成分とするものである。詳細は特開
2000−378507号公報に記載されている。 【0122】また、現像方法および現像後の処理も、特
開平9−68810号公報、特開平11−218914
号公報、特願2000−378507号明細書および特
願2001−173968号明細書に記載されたものを
はじめ、公知のものを使用できる。 【0123】 【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.平版印刷版用アルミニウム支持体の製造 (実施例1−1〜1−17および比較例1−1〜1−
3)第2表に示すように、第1表に示す組成の各アルミ
ニウム合金板に、各表面処理を施し、各平版印刷版用ア
ルミニウム支持体を得た。第2表に示す表面処理は、機
械的粗面化処理、第1アルカリエッチング処理、第1デ
スマット処理、第1電気化学的粗面化処理(塩酸水溶
液)、第2アルカリエッチング処理、第2デスマット処
理、第2電気化学的粗面化処理(硝酸水溶液)、第3ア
ルカリエッチング処理、第3デスマット処理、陽極酸化
処理、封孔処理および親水化処理を、この順に組み合わ
せて行ったものである。各処理の詳細は、以下のとおり
である。なお、各工程の粗面化処理の後には水洗処理を
行った。粗面化処理および水洗処理の後にはニップロー
ラによる液切りを行った。また、同じ種類の液を使った
処理が連続して行われるケースでは、その工程の間での
水洗は省略した。 【0124】(1)機械的粗面化処理 研磨材A(軽石を粉砕し、その中に含まれる粒子の平均
粒径が40μmとなるように分級した研磨材)、また
は、研磨材B(ケイ砂を用い、その中に含まれる粒子の
平均粒径が20μmとなるように分級した研磨材)と水
との懸濁液(比重1.12)を研磨スラリー液として、
スプレー管にてアルミニウム板の表面に供給しながら、
回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面
化を行った。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン
を使用し、毛長50mmの3号ブラシを用いた。ナイロ
ンブラシはΦ300mmのステンレス製の筒に穴をあけ
て密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用し
た。ブラシ下部の2本の支持ローラ(Φ200mm)の
距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回
転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニ
ウム板に押さえつける前の負荷に対して管理し、粗面化
後のアルミニウム板の平均表面粗さが0.45〜0.5
5μmになるように押さえつけた。ブラシの回転方向は
アルミニウム板の移動方向と同じであった。 【0125】(2)第1アルカリエッチング処理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する水溶液、70℃をスプレー
管より吹き付けてアルミニウム板のエッチング処理を行
った。後の工程で電気化学的に粗面化処理する面のアル
ミニウム板の溶解量は第2表に示したとおりであった。 【0126】(3)第1デスマット処理 デスマット処理に用いる酸性水溶液は以下の処理液のい
ずれかであった。 処理液A:次工程の電気化学的な粗面化工程に用いた塩
酸の廃液を用いた。その液温は30℃であった。デスマ
ット液はスプレーにて吹き付けて2秒間デスマット処理
を行った。 処理液B:前記、電気化学的な粗面化工程に用いた硝酸
の廃液を用いた。その液温は30℃であった。デスマッ
ト液はスプレーにて吹き付けて2秒間デスマット処理を
行った。 処理液C:後記、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫
酸100g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/L
溶解)を用い、液温60℃で2秒間デスマット処理を行
った。 【0127】(4)第1電気化学的粗面化処理(塩酸水
溶液) 液温35℃、塩酸濃度3g/Lの水溶液に塩化アルミニ
ウムを添加してアルミニウムイオン濃度を5g/Lに調
整した電解液を用いた。台形波交流電流を発生する電源
を用いて電気化学的な粗面化処理を行った。その交流電
流の周波数は60Hz、電流のゼロからピークに達する
までの時間Tpは0.3msecであった。交流のdu
ty(ta/T)は0.5であった。電流密度は交流の
ピーク時でアルミニウム板のアノード反応時50A/d
2であり、アルミニウム板がアノード反応時の電気量
の総和とカソード反応時の電気量総和の比は0.95で
あった。アルミニウム板に加わる電気量は、アルミニウ
ム板のアノード反応時の電気量の総和で第2表に示し
た。電解処理槽は図4に示すラジアル型のものを1槽用
いた。補助電解槽34の入口(液面)から交流電解槽2
0の入口(液面)までのアルミニウム板の通過する時間
は2秒であった。 【0128】(5)第2アルカリエッチング処理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する水溶液、45℃をスプレー
管より吹き付けてアルミニウム板のエッチング処理を行
った。後の工程で電気化学的に粗面化処理する面のアル
ミニウム板の溶解量は第2表に示す。 【0129】(6)第2デスマット処理 デスマット処理に用いる酸性水溶液は以下の処理液のい
ずれかであった。 処理液A:次工程の電気化学的な粗面化工程に用いた硝
酸の廃液を用いた。その液温は35℃であった。デスマ
ット液はスプレーにて吹き付けて2秒間デスマット処理
を行った。 処理液B:後記、陽極酸化処理工程で発生した廃液(硫
酸100g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g/L
溶解)を用い、液温35℃で2秒間デスマット処理を行
った。 【0130】(7)第2電気化学的粗面化処理(硝酸水
溶液) 液温50℃、硝酸濃度9.5g/Lの水溶液に硝酸アル
ミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を5g/L
に調整した電解液を用いた。台形波交流電流を発生する
電源を用いて電気化学的な粗面化処理を行った。その交
流電流の周波数は60Hz、電流のゼロからピークに達
するまでの時間Tpは0.8msecであった。交流の
duty(ta/T)は0.5であった。電流密度は交
流のピーク時でアルミニウム板のアノード反応時60A
/dm2であり、アルミニウム板がアノード反応時の電
気量の総和とカソード反応時の電気量総和の比は0.9
5であった。アルミニウム板に加わる電気量は、アルミ
ニウム板のアノード反応時の電気量の総和で第2表に示
した。電解処理槽は図4に示すラジアル型のものを2槽
用いた。 【0131】(8)第3アルカリエッチング処理 アルミニウム板を、NaOH27wt%、アルミニウム
イオン6.5wt%含有する水溶液、45℃をスプレー
管より吹き付けてアルミニウム板のエッチング処理を行
った。上記工程(7)で電気化学的に粗面化処理した面
のアルミニウム板の溶解量は第2表に示した。 【0132】(9)第3デスマット処理 デスマット処理に用いる酸性水溶液は以下の処理液のい
ずれかであった。 処理液A:次工程の陽極酸化処理工程で発生した廃液
(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g
/L溶解)を用い、液温35℃で4秒間デスマット処理
を行った。 処理液B:次工程の陽極酸化処理工程で発生した廃液
(硫酸170g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g
/L溶解)を用い、液温70℃で4秒間デスマット処理
を行った。 処理液C:次工程の陽極酸化処理工程で発生した廃液
(硫酸100g/L水溶液中にアルミニウムイオン5g
/L溶解)を用い、液温35℃で4秒間デスマット処理
を行った。 【0133】(10)陽極酸化処理 次に、この板を、次のいずれかの条件で陽極酸化処理し
た。 条件A:硫酸170g/Lに硫酸アルミニウムを添加し
てアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液を用
いて、液温33℃で、電流密度10A/dm2で2.4
g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた。 条件B:硫酸100g/Lに硫酸アルミニウムを添加し
てアルミニウムイオン濃度を5g/Lとした電解液を用
いて、液温50℃で、電流密度10A/dm2で3g/
2 の直流陽極酸化皮膜を設けた。 【0134】(11)封孔処理 100℃1気圧において飽和した蒸気チャンバーの中で
10秒間蒸気封孔処理した。 【0135】(12)親水化処理 つぎのいずれかの親水化処理を行った。 条件A:ケイ酸ナトリウム1質量%水溶液で25℃で7
秒間浸漬処理した。 条件B:ケイ酸ナトリウム2.5質量%水溶液で70℃
で5秒間浸漬処理した。その後、乾燥した。 【0136】2.平版印刷版用アルミニウム支持体の表
面形状の評価 各実施例および比較例で得られた各平版印刷版用アルミ
ニウム支持体の表面形状を走査型電子顕微鏡を用いて倍
率2000倍で観察し、表面に生成したハニカムピット
の均一性を評価した。結果を第2表に示す。なお、評価
は、表面の凹凸の均一性が良好であったものを「○」、
不均一であったものを「×」と表した。 【0137】3.電気化学的粗面化処理における電極の
溶解 第1電気化学的粗面化処理または第2電気化学的粗面化
処理において、電極の溶解を確認した。電極が溶解まっ
たく溶解していない場合を「なし」、電極が少しでも溶
解している場合を「あり」と表した。 【0138】 【表2】【0139】 【表3】 【0140】4.平版印刷版の製造と汚れ性能の評価
(実施例2−1〜2−11) (実施例2−1)実施例1−11で製造した平版印刷版
用アルミニウム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・
乾燥し、露光処理後、下記の現像液を用いて現像処理し
た。この平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が
良好な印刷版であった。 【0141】あらかじめ、下塗り層を形成させた。下塗
り層は、下記組成の下塗り液を塗布し80℃、30秒間
乾燥した。乾燥後の被覆量は30mg/m2 であった。 <下塗り液> アミノエチルホスホン酸 0.10g フェニルホスホン酸 0.15g β−アラニン 0.10g メタノール 40g 純 水 60g このようにして作製した基板上に次の感光液を塗布量を
変化させて塗布し、110℃で1分間乾燥してポジ型感
光性平版印刷版を得た。 【0142】 <感光液> 1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドとピロガロール−ア セトン樹脂とのエステル化物(米国特許第3,635,709号明細書の実施例 1に記載されているもの) 0.45g クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(メタ,パラ比;6対4、重 量平均分子量3,000、数平均分子量1,100、未反応のクレゾールを0. 7%含有) 1.1g m−クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(重量平均分子量1,7 00、数平均分子量600、未反応のクレゾールを1%含有) 0.3g ポリ〔N−(P−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド−コ−ノルマ ルブチルアクリレート−コ−ジエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリ レート〕(各モノマーのモル比は順に40:40:20、重量平均分子量40, 000、数平均分子量20,000) 0.2g 【0143】 P−ノルマルオクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂(米国特許第4, 123,279号明細書に記載されているもの) 0.02g ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロライド 0.01g テトラヒドロ無水フタル酸 0.1g 安息香酸 0.02g 4−〔p−N,N−ビス(エトキシカルボニルメチル)アミノフェニル〕− 2,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン 0.01g 4−〔P−N−(P−ヒドロキシベンゾイル)アミノフェニル〕−2,6− ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン 0.02g 2−トリクロロメチル−5−(4−ヒドロキシスチリル)−1,3,4−オ キサジアゾール 0.01g ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸に した染料 0.02g 【0144】 モディパーF−200(日本油脂(株)製フッ素系界面活性剤、30質量% のメチルエチルケトンとメチルイソブチルケトン混合溶剤溶液) 0.06g メガファックF177(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤 、20質量%のメチルイソブチルケトン溶液) 0.02g メチルエチルケトン 15g 1−メトキシ−2−プロパノール 10g 【0145】この様にして塗布された感光層の上に特公
昭61−28986号公報実施例1に記載の方法に基づ
いて、(メチルメタクリレート/エチルアクリレート/
アクリル酸ソーダ=68/20/12)の共重合体水溶
液を静電スプレーすることによりマット層を設けた。こ
のようにして作られた感光性平版印刷版を、真空焼枠中
で、透明ポジテイブフィルムを通して1mの距離から3
kwのメタルハライドランプにより、50秒間露光を行
ったのち、現像液としてSiO2 /Na2 Oのモル比が
1.74のケイ酸ナトリウムの5.26%水溶液(pH
=12.7)を、リンス液として富士写真フィルム
(株)製FR−3(1:7)を仕込んだ富士写真フィル
ム(株)製自動現像機スタブロン900Dに通して処理
した。このポジ型感光性平版印刷版について、印刷評価
した。印刷機はハイデルベルグ社製SOR−Mを、湿し
水は富士写真フィルム(株)製EU−3(1:100)
にイソプロパノールを10%添加したものを、インキは
東洋インキ(株)製マークファイブニュー墨を用いた。 【0146】(実施例2−2)実施例1−1〜1−9、
1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、露光
処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これらの
平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好な印
刷版であった。 【0147】下記組成の塗布液を塗燥重量2g/m2
なるように支持体に設けた。 1,2−ジアゾナフトキノン−5−スルホニルクロリドとピロガロール−ア セトン樹脂のエステル化物(重量平均分子量2,500) 40質量部 フェノールホルムアルデヒド樹脂(重量平均分子量10,000、3核体以 上の成分90%) 75質量部 アクリルポリマーI 35質量部 2−(p−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s− トリアジン 3質量部 オイルブルー#603(オリエント化学工業(株)製)1.5質量部 メガファックF−176(大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性 剤) 0.3質量部 メチルエチルケトン 1000質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 1000質量部 【0148】アクリルポリマーIは以下のようにして合
成した。N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルア
ミド60.3g、アクリロニトリル10.0gおよびエ
チルアクリレート46.0gをジメチルホルムアミド2
32.6gに溶解し、窒素気流下、2,2′−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.224gを重
合開始剤として用い、65℃で7時間攪拌した。反応液
を放冷した後、水5リットル中に再沈した。析出したポ
リマーを濾取し、乾燥することでアクリルポリマーIを
110.4g(収率95%、Mw52,000)を得
た。 【0149】さらに以下のマット形成樹脂液を吹きつけ
てマット層を形成した。マット層形成用樹脂液としてメ
チルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸
(仕込質量比65:20:15)共重合体の一部をナト
リウム塩とした12%水溶液を準備し、回転霧化静電塗
布機で霧化頭回転数25,000rpm、樹脂液の送液
量は40ml/分、霧化頭への印加電圧は−90kV、
塗布時の周囲温度は25℃、相対湿度は50%とし、塗
布後2.5秒で塗布面に蒸気を吹き付けて湿潤させ、つ
いで湿潤した3秒後に温度60℃、湿度10%の温度を
5秒間吹き付けて乾燥させた。 【0150】このようにした作製したPS版に原稿フィ
ルムを通して1mの距離から3kWのメタルハライドラ
ンプを用いて、60秒間露光した。 【0151】 <現像液および現像処理> <現像液a(pH約12.4)> D−サッカロース 4.8質量% 水酸化ナトリウム 0.34質量% 炭酸ナトリウム 0.70質量% テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.03質量% 水 94.13質量% <現像補充液a(pH約13.0)> D−サッカロース 9.7質量% 水酸化ナトリウム 1.5質量% 炭酸ナトリウム 1.0質量% テトラブチルアンモニウムブロマイド 0.07質量% 水 88.73質量% <フィニッシングガム液> アラビアガム 1.8質量% 酵素変性馬鈴薯澱粉 18.3質量% 酵素変性玉蜀黍澱粉 3.7質量% リン酸化ワキシー玉蜀黍澱粉 1.8質量% ジオクチルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩 0.91質量% 第一リン酸アンモニウム 0.27質量% リン酸(85%) 0.37質量% EDTA−四ナトリウム塩 0.27質量% エチレングリコール 1.8質量% ベンジルアルコール 2.3質量% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.04質量% エマルジョン型シリコン消泡剤 0.02質量% 水 68.42質量% <リンス液> ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(40質量%水溶液) 6.7質量% ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.8質量% ベンジルアルコール 1.5質量% ポリオキシエチレン(エチレンオキシド12モル付加)ノニルフェニルエー テル 1.5質量% ジオクチルスルホ琥珀酸ナトリウム 1.4質量% リン酸(85質量%) 5.2質量% 水酸化ナトリウム 2.0質量% シリコン消泡剤 0.01質量% 水 80.89質量% 【0152】次に浸漬型現像槽を有する市販の自動現像
機PS−900D(富士写真フイルム(株)製)の現像
槽に、上記各現像液を20リットル仕込み、30℃に保
温した。PS−900Dの第二浴目には水道水を8リッ
トル、第三浴目にはフィニッシング液:水=1:1希釈
したフィニッシング液を8リットル仕込んだ。この様に
準備したPS−900Dに前述の露光済みのPS版を通
し、現像処理した。 【0153】(実施例2−3)実施例1−10で製造し
た平版印刷版用アルミニウム支持体を用いて、下記の感
光層を塗布・乾燥し、露光処理後、下記の現像液を用い
て現像処理した。この平版印刷版を用いて印刷したとこ
ろ汚れ性能が良好な印刷版であった。 【0154】このアルミニウム板に下記組成Aの共重合
体の1%水溶液をロールコーターによつて塗布し乾燥さ
せて下塗り層を形成した。その乾燥後の塗布量は0.0
5g/m2 であつた。 <組成A>メチルメタクリレート/エチルアクリレート
/2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
ナトリウム(50:30:20モル比)共重合体(平均
分子量約60,000) この下塗り層の上に下記組成の溶液を塗布し乾燥させ
て、感光性平版印刷版を得た。これを試料とする。 2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(米国特許第4,123,2 76号明細中の実施例1に記載されているもの) 0.87g p−ジアゾジフエニルアミンとパラホルムアルデヒドの縮合物の2−メトキ シ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸塩 0.1g オイルブル−#603(オリエント化学工業(株) の青色染料) 0.03g メタノール 6g 2−メトキシエタノール 6g 感光層の乾燥塗布量は、2.0g/m2 であつた。 【0155】透明ネガ原画を真空密着して、3kwのメ
タルハライド灯で1mの距離から60秒間露光し、次の
現像液に1分間浸漬し、感光層の表面をスポンジで軽く
擦つて現像し、市販の不感脂化ガム液を塗布した。 <現像液> 亜硫酸ナトリウム 5g ベンジルアルコール 30g 炭酸ナトリウム 5g イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム 12g 純水 1000g 【0156】(実施例2−4)実施例1−1〜1−9、
1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、露光
処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これらの
平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好な印
刷版であった。 【0157】<カーボンブラック分散液の作製>下記質
量比による組成物をガラスビーズにより10分間分散し
カーボンブラック分散液を得た。 カーボンブラック 1質量部 ベンジルメタクリレートとメタクリル酸の共重合体(モル比72:28,重 量平均分子量70,000) 1.6質量部 シクロヘキサノン 1.6質量部 メトキシプロピルアセテート 3.8質量部 【0158】<ネガ型感光性平版印刷版の作製>上記に
より得られたアルミニウム板に下記感光液を塗布し、1
00℃で2分間乾燥をしてネガ型感光性平版印刷版を得
た。乾燥後の重量は2.0g/m2 であった。 【0159】 <感光液> 前記カーボンブラック分散液 10g 4−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドの縮合物の六フッ化リン酸 塩 0.5g メタクリル酸、2ーヒドロキシエチルアクリレート、ベンジルメタクリレー ト、アクリロニトリルのラジカル共重合体(モル比15:30:40:15,重 量平均分子量100,000) 5g リンゴ酸 0.05g FC−430(米国3M社製フッ素系界面活性剤) 0.05g 1−メトキシ−2−プロパノール 80g 乳酸エチル 15g 水 5g 【0160】得られたネガ型感光性平版印刷版を版面出
力2Wに調節したYAGレーザで露光した後,富士写真
フィルム(株)製現像液,DN−3C(1:1),ガム
液FN−2(1:1)を仕込んだ自動現像機を通して処
理したところ、ネガ画像が得られた。この平版印刷版を
ハイデルSOR−KZ機で印刷した。 【0161】(実施例2−5)実施例1−1〜1−9、
1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、露光
処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これらの
平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好な印
刷版であった。 【0162】アルミニウム支持体に下記下塗り液をワイ
ヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で
30秒間乾燥した。乾燥後の被服量は20mg/m2
あった。 【0163】 <下塗り液> メタクリロイルオキシエチルホスホン酸 0.2g メチルアクリレートとスチレンスルホン酸ナトリウム塩のモル比75:15 の共重合体 0.2g 硝酸カルシウム 0.2g メタノール 20g イオン交換水 80g 【0164】<記録層の形成>下記記録層塗布液<P−
2>を前記下塗り層を形成した支持体上に、ワイヤーバ
ーで塗布し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間乾
燥して記録層を形成し、さらに、下記オーバーコート層
塗布液をスライドホッパーを用いて塗布し、温風式乾燥
装置にて120℃で75秒間乾燥して平版印刷版原版
[PS−1]を得た。記録層の塗布量は2.0g/m2
であり、オーバーコート層の塗布量は2.3g/m2
あった。なお、記録層用塗布液の調製に用いた赤外線吸
収剤などの構造は以下に示す通りである。また、ポリマ
ー(PB−2)は、メタクリル酸、N−イソプロピルア
クリルアミドおよびエチルメタクリレートの共重合体を
合成した後、1,2−エポキシ−3−メタクリロイルオ
キシメチルシクロヘキサンと反応させることにより合成
した。組成モル比は、15:30:20:35であり、
重量平均分子量は120,000であった。 【0165】 <記録層用塗布液[P−2]> チタノセン型ラジカル発生剤(CGI−784 、チバ・スペシャルティ・ケ ミカルズ(株)製) 0.1g 重合性化合物(RM−2) 0.60g 重合性化合物(RM−3) 0.20g 可視光吸収剤(VR−1) 0.10g ポリマー(PB−2) 1.20g 銅フタロシアニン顔料 0.04g 重合禁止剤(クペロンAl、和光純薬(株)製) 0.005g フッ素系界面活性剤(メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株 )製) 0.03g メチルエチルケトン 10g γ−ブチロラクトン 5g メタノール 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 5g 【0166】重合性化合物RM−2 【化2】 【0167】重合性化合物RM−3 【化3】 【0168】可視光吸収剤VR−1 【化4】 【0169】ポリマーPB−2 【化5】 【0170】 <オーバーコート層用塗布液> ポリビニルアルコール(ケン化度98.5モル%、重合度500) 3.0g 非イオン性界面活性剤(EMAREX NP−10 日本エマルジョン社( 株)製) 0.05g イオン交換水 96.95g 【0171】<現像液組成物の評価>冨士写真フイルム
(株)製自動現像機(LP−850P2)の現像処理槽
に、下記組成の現像液組成物(V−2)を仕込み、30
℃に保温した。自動現像機の第二浴目には、水道水を仕
込み、第三浴目には、FP−2W(富士写真フイルム
(株)製):水=1:1希釈したフィニッシングガム液
を仕込んだ。なお、現像液のpHは、8.1であった。 【0172】 <現像液組成物[V−2]> 炭酸水素ナトリウム 26g エチレングリコールモノナフチルエーテルモノスルフェートのナトリウム塩 30g エチレングリコールモノドデシルエーテル 20g 亜硫酸ナトリウム 3g エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム 1g 水 920g 【0173】次に、平版印刷版原版[PS−1]サイズ
1030×800mmの20枚を405nmの紫光を発
する30mW半導体レーザを用い、レーザビーム径12
μm、版面エネルギー50μJ/cm2 の露光条件で走
査露光し、上記の自現機を用いて現像処理した。処理
後、自動現像液を3日間そのまま放置した。放置した
後、平版印刷版原版[PS−1]1枚を、同様にレーザ
露光、引き続き現像処理した。得られた平版印刷版[P
S−1]を、小森コーポレーション(株)製印刷機リス
ロンを用いて印刷した。この際、印刷開始後、充分にイ
ンキがのった印刷物をどれだけの枚数得られるかを目視
にて評価した。また、そのときの非画像部の汚れの状態
を目視で観察した。その結果、自現機を放置する前に処
理した印刷版も、放置した後に処理した印刷版も、7万
枚の良好な印刷物が得られた。また、得られた印刷物の
非画像部に汚れの発生は認められなかった。 【0174】(実施例2−6)実施例1−1〜1−9、
1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、露光
処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これらの
平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好な印
刷版であった。 【0175】<下塗り>次に、このアルミニウム支持体
に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥
装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆
量は20mg/m2 であった。 【0176】 <下塗り液> 4−ジアゾ−3メトキシジフェニルアミンとホルムアルデヒドの縮合物のジ ブチルナフタレンスルホン酸塩 0.3g 2−アミノエチルホスホン酸のマグネシウム塩 0.1g 塩化カルシウム 0.2g メタノール 20g イオン交換水 80g 【0177】<記録層の形成>下記記録層塗布液を前記
下塗り層を形成した支持体上に、ワイヤーバーで塗布
し、温風式乾燥装置にて120℃で45秒間乾燥して記
録層を形成し、平版印刷版原版[PS−2]を得た。乾
燥後の塗布量は2.0g/m2 であった。なお、記録層
用塗布液の調製に用いた赤外線吸収剤などの構造は以下
に示す通りである。また、ポリマー(PB−1)は、メ
タクリル酸、N−アクリロイルモルホリンおよびベンジ
ルメタクリレートの共重合体を合成した後、3−クロロ
−2−ヒドロキシプロピルメタクリレートと、塩基およ
びヨウ化カリウム存在下で反応させることにより合成し
た。組成モル比は、15:30:10:45であり、重
量平均分子量は10万であった。 【0178】 <記録層用塗布液[P−1]> オニウム塩(KO−1) 0.25g 重合性化合物(RM−1) 0.60g 赤外線吸収剤(IR−1) 0.06g ポリマー(PB−1) 1.40g ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g N−アリルステアリン酸アミド 0.01g 重合禁止剤(イルガノックス1010、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ (株)製) 0.005g フッ素系界面活性剤(メガファックKF309、大日本インキ化学工業(株 )製) 0.03g メチルエチルケトン 10g γ−ブチロラクトン 5g メタノール 7g 1−メトキシ−3−プロパノール 5g 【0179】オニウム塩KO−1 【化6】 【0180】重合性化合物RM−1 【化7】 【0181】赤外線吸収剤IR−1 【化8】 【0182】ポリマーPB−1 【化9】 【0183】<現像液組成物の評価>版材供給装置(S
A−L8000)、露光装置(Luxel T−900
0CTP)、コンベア(T−9000 Conveyo
r)、自動現像機(LP−1310H)、ストッカー
(ST−1160)よりなる冨士写真フイルム(株)C
TP出力システムを用いた。自動現像機の現像処理槽
に、下記組成の現像液組成物(V−1)を仕込み、30
℃に保温した。自動現像機の第二浴目には、水道水を仕
込み、第三浴目には、FP−2W(富士写真フイルム
(株)製):水=1:1希釈したフィニッシングガム液
を仕込んだ。なお、現像液のpHは、8.0であった。 【0184】 <現像液組成物[V−1]> 炭酸水素カリウム 20g ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 30g エチレングリコールモノナフチルエーテル 20g 亜硫酸ナトリウム 3g ヒドロキシエタンジホスホン酸カリウム 2g シリコーンSA730(東芝シリコーン(株)製界面活性剤) 0.1g 水 924.9g 【0185】次に、平版印刷版原版[PS−2]サイズ
1030×800mmの30枚を、版材供給装置に装填
し、全自動で連続して、露光、現像処理し、ストッカー
へ排出した。処理後、自動現像液を3日間そのまま放置
した。放置した後、平版印刷版原版[PS−2]1枚
を、版材供給装置に装填し、全自動で連続して、露光、
現像処理し、ストッカーへ排出した。得られた平版印刷
版[PS−2]を、小森コーポレーション(株)製印刷
機リスロンを用いて印刷した。この際、印刷開始後、充
分にインキがのった印刷物をどれだけの枚数得られるか
を目視にて評価した。また、そのときの非画像部の汚れ
の状態を目視で観察した。その結果、自現機を放置する
前に処理した印刷版も、放置した後に処理した印刷版
も、6万枚の良好な印刷物が得られた。また、得られた
印刷物の非画像部に汚れの発生は認められなかった。 【0186】(実施例2−7)実施例1−1〜1−9、
1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、露光
処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これらの
平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好な印
刷版であった。 【0187】下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で1
5秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆
量は15mg/m2 であった。 【0188】<下塗り液組成> 下記高分子化合物 0.3g メタノール 100g 水 1g 【0189】 【化10】 【0190】<感光層の形成>更に、下記組成の感光層
塗布液1を調製し、下塗りしたアルミニウム支持体に、
この感光層塗布液1をバーコーターを用いて、乾燥後の
塗布量(感光層塗布量)が1.0g/m2 になるよう塗
布し、乾燥して感光層を形成させ、平版印刷版を得た。 【0191】 <感光層塗布液1組成> カプリン酸 0.03g 後述する特定の共重合体1 0.75g m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25g p−トルエンスルホン酸 0.003g テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g 下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017g 【0192】 【化11】 【0193】 ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.015g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.05g γ−ブチルラクトン 10g メチルエチルケトン 10g 1−メトキシ−2−プロパノール 1g 【0194】<特定の共重合体1>攪拌機、冷却管およ
び滴下ロートを備えた500mL容の三つ口フラスコ
に、メタクリル酸31.0g(0.36mol)、クロ
ロギ酸エチル39.lg(0.36mol)およびアセ
トニトリル200mLを入れ、氷水浴で冷却しながら混
合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.
4g(0.36mol)を約1時間かけて滴下ロートに
より滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下
で30分間混合物を攪拌した。 【0195】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反
応終了後、この混合物を水1Lにこの水を攪拌しながら
投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合
物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mLで
スラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固
体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量
46.9g)。 【0196】つぎに、攪拌機、冷却管および滴下ロート
を備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g
(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.94
g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.80
g(0.015mol)およびN,N−ジメチルアセト
アミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しなが
ら混合物を攪拌した。この混合物に下記に示す「V−6
5」(和光純薬社製)0.15gを加え、65℃に保ち
ながら窒素気流下で、混合物を2時間攪拌した。この反
応混合物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)
メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.
94g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチ
ルアセトアミドおよび下記「V−65」0.15gの混
合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終
了後、更に、得られた混合物を65℃で2時間攪拌し
た。反応終了後、メタノール40gを混合物に加え、冷
却し、得られた混合物を水2Lにこの水を攪拌しながら
投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過によ
り取り出し、乾燥することにより15gの白色固体の特
定の共重合体1を得た。得られた特定の共重合体1の重
量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーにより測定したところ、53,000(ポリスチレン
標準)であった。 【0197】アゾ系重合開始剤 【化12】 【0198】上記のようにして得られた平版印刷版を出
力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(1
/e2 )の半導体レーザを用いて、主操作速度5m/秒
で露光した後、富士写真フイルム(株)製のPS版用現
像液DP−4(1:8)水希釈液を用いて30秒間現像
した。 【0199】(実施例2−8)実施例1−1〜1−9、
1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、露光
処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これらの
平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好な印
刷版であった。 【0200】下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で1
5秒間乾燥し、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆
量は15mg/m2 であった。 【0201】<下塗り液組成> 下記高分子化合物 0.3g メタノール 100g 水 1g 【0202】 【化13】 【0203】<感光層の形成>更に、下記組成の感光層
塗布液1を調製し、下塗りしたアルミニウム支持体に、
この感光層塗布液1をバーコーターを用いて、乾燥後の
塗布量(感光層塗布量)が1.0g/m2 になるよう塗
布し、乾燥して感光層を形成させ、平版印刷版を得た。 【0204】 <感光層塗布液1組成> カプリン酸 0.03g 後述する特定の共重合体1 0.75g m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量3,5 00、未反応クレゾール0.5質量%含有) 0.25g p−トルエンスルホン酸 0.003g テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g 下記構造式で表されるシアニン染料A 0.017g 【0205】 【化14】【0206】 ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを1−ナフタレンスルホン酸アニ オンにした染料 0.015g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製 ) 0.05g γ−ブチルラクトン 10g メチルエチルケトン 10g 1−メトキシ−2−プロパノール 1g 【0207】<特定の共重合体1>攪拌機、冷却管およ
び滴下ロートを備えた500mL容の三つ口フラスコ
に、メタクリル酸31.0g(0.36mol)、クロ
ロギ酸エチル39.lg(0.36mol)およびアセ
トニトリル200mLを入れ、氷水浴で冷却しながら混
合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.
4g(0.36mol)を約1時間かけて滴下ロートに
より滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、室温下
で30分間混合物を攪拌した。 【0208】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30mol)を加え、油
浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反
応終了後、この混合物を水1Lにこの水を攪拌しながら
投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合
物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mLで
スラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固
体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量
46.9g)。 【0209】つぎに、攪拌機、冷却管および滴下ロート
を備えた20mL容の三つ口フラスコに、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g
(0.0192mol)、メタクリル酸エチル2.94
g(0.0258mol)、アクリロニトリル0.80
g(0.015mol)およびN,N−ジメチルアセト
アミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しなが
ら混合物を攪拌した。この混合物に上記「V−65」
(和光純薬社製)0.15gを加え、65℃に保ちなが
ら窒素気流下で、混合物を2時間攪拌した。この反応混
合物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタ
クリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94
g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルア
セトアミドおよび上記「V−65」0.15gの混合物
を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了
後、更に、得られた混合物を65℃で2時間攪拌した。
反応終了後、メタノール40gを混合物に加え、冷却
し、得られた混合物を水2Lにこの水を攪拌しながら投
入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により
取り出し、乾燥することにより15gの白色固体の特定
の共重合体1を得た。得られた特定の共重合体1の重量
平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー
により測定したところ、53,000(ポリスチレン標
準)であった。 【0210】上記のようにして得られた平版印刷版を出
力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(1
/e2 )の半導体レーザを用いて、主操作速度5m/秒
で露光した後、下記組成の非シリケート現像液を用いて
現像した。 【0211】<現像液(非シリケート現像液)>非還元
糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウ
ム(K2 O)よりなるカリウム塩45%水溶液1リット
ルに、両性界面活性剤パイオニンC−158G(竹本油
脂(株)製)20gと消泡剤オルフィンAK−02(日
信化学(株)製)2.0gを添加して濃縮液を作製し
た。この濃縮液を水で9倍に希釈したものを現像液とし
た。この現像液1の電導度は45mS/cmである。 【0212】(実施例2−9)実施例1−1〜1−9、
1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミニウ
ム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、露光
処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これらの
平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好な印
刷版であった。 【0213】<(A)成分共重合体の合成> 合成例1(共重合体1) 攪拌機、冷却管および滴下ロートを備えた500ml三
ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モ
ル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)お
よびアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却し
ながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミ
ン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロ
ートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、
室温下で30分間混合物を攪拌した。 【0214】この反応混合物に、p−アミノベンゼンス
ルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴
にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応
終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しな
がら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この
混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500m
lでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られ
た固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニ
ルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた
(収量46.9g)。 【0215】次に攪拌機、冷却管および滴下ロートを備
えた100ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノス
ルホニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.
0210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.
0180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.0
21モル)およびN,N−ジメチルアセトアミド20g
を入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪
拌した。この混合物に上記「V−65」(和光純薬
(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気
流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらに
N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミ
ド5.04g、メタクリル酸エチル2.05g、アクリ
ロニトリル1.11g、N,N−ジメチルアセトアミド
20gおよび上記「V−65」0.15gの混合物を2
時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さら
に65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了
後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた
混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、
30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出
し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲル
パーミエーションクロマトグラフィーによりこの共重合
体1の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定した
ところ53,000であった。 【0216】合成例2(共重合体2) 合成例1の重合反応において、N−(p−アミノスルホ
ニルフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.02
10モル)をN−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリ
ルアミド3.72g(0.0210モル)に変えた以外
は、合成例1と同様に重合反応を行い、重量平均分子量
(ポリスチレン標準)47,000の共重合体2を得
た。 【0217】<基板の作製>厚み0.3mmのアルミニ
ウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄し
て脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミ
ス−水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく
洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水
溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さら
に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂
目立て表面のエッチング量は約3g/m2 であった。次
にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/d
2 で3g/m2 の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗
し、乾燥し、さらに、下記下塗り液を塗布し、塗膜を9
0℃で1分乾燥した。乾燥後の塗膜の塗布量は10mg
/m2 であった。 【0218】<下塗り液> β−アラニン 0.5g メタノール 95g 水 5g 【0219】得られた基板に以下の感光液A1を塗布
し、100℃で2分間乾燥して、A層を形成した。乾燥
後の塗布量は1.4g/m2 であった。その後、以下の
感光液B1を塗布し、100℃で2分間乾燥して、B層
を形成し、平版印刷版を得た。乾燥後の感光液の合計塗
布量は2.0g/m2 であった。 【0220】 <感光液A1> 共重合体1 0.75g 上記シアニン染料A 0.04g p−トルエンスルホン酸 0.002g テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ビクトリアピュアブルー(BOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸 アニオンにした染料) 0.015g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株 )製) 0.02g γ−ブチルラクトン 8g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g <感光液B1> m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量4,0 00) 0.25g 上記シアニン染料A 0.05g ステアリン酸n−ドデシル 0.02g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株 )製) 0.05g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g 【0221】得られた平版印刷版を、出力500mW、
波長830nm、ビーム径17μm(1/e2 )の半導
体レーザを用いて主走査速度5m/秒にて露光した後、
富士写真フイルム(株)製現像液、DP−4、リンス液
FR−3(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写真フ
イルム(株)製:「PSプロセッサー900VR」)を
用いて現像した。その際、DP−4は1:8で希釈した
ものを用いた。この印刷版をハイデルベルク社製のハイ
デルKOR−D機で上質紙に印刷した。 【0222】(実施例2−10)実施例1−1〜1−
9、1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミ
ニウム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、
露光処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これ
らの平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好
な印刷版であった。 【0223】あらかじめ、下塗り層を形成させた。下塗
り層は、下記組成の下塗り液を塗布し80℃、30秒間
乾燥した。乾燥後の被覆量は30mg/m2 であった。 <下塗り液> 下記化合物 0.3g メタノール 100g 水 1g 【0224】 【化15】 【0225】<感熱層の形成>得られた基板に以下の下
層用塗布液を塗布量が0.85g/m2 になるよう塗布
したのち、TABAI社製、PERFECT OVEN
PH200にてWind Controlを7に設定
して140度で50秒間乾燥し、その後、感熱層用塗布
液を塗布量が0.15g/m2 になるよう塗布したの
ち、120度で1分間乾燥し、平版印刷版原版を得た。 【0226】 <下層用塗布液> N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリ ル/メタクリル酸メチル(36/34/30:重量平均分子量50,000) 1.896g クレゾールノボラック(m/p=6/4 重量平均分子量4,500、残存 モノマー0.8wt%) 0.237g シアニン染料A(下記構造) 0.109g 4,4’−ビズヒドロキシフェニルスルホン 0.063g 無水テトラヒドロフタル酸 0.190g p−トルエンスルホン酸 0.008g エチルバイオレットの対イオンを6−ヒイドロキシナフタレンスルホンに変 えたもの 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本インキ工業(株)社製 ) 0.035g メチルエチルケトン 26.6g 1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g γ−ブチロラクトン 13.8g 【0227】 【化16】【0228】 <感熱層用塗布液> m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量 4500、未反応クレゾール0.8重量%含有) 0.237g シアニン染料A(上記構造) 0.047g ステアリン酸ドデシル 0.060g 3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート 0.030g フッ素系界面活性剤(メガファックF176、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.110g フッ素系界面活性剤〔メガファックMCF−312(30%)、大日本イン キ工業(株)社製〕 0.120g メチルエチルケトン 15.1 g 1−メトキシ−2−プロパノール 7.7 g 【0229】得られた平版印刷版原版をCreo社製T
rendsetterにてビーム強度9w、ドラム回転
速度150rpmでテストパターンを画像状に描き込み
を行った。書き込みを行った平版印刷版原版に対して、
現像に際し、下記組成の非シリケート現像液を用いて現
像した。 <現像液(非シリケート現像液)>非還元糖と塩基とを
組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウム(K2 O)
よりなるカリウム塩45%水溶液1リットルに、両性界
面活性剤パイオニンC−158G(竹本油脂(株)製)
20gと消泡剤オルフィンAK−02(日信化学(株)
製)2.0gを添加して濃縮液を作製した。この濃縮液
を水で9倍に希釈したものを現像液とした。この現像液
1の電導度は45mS/cmである。 【0230】(実施例2−11)実施例1−1〜1−
9、1−12〜1−17で製造した平版印刷版用アルミ
ニウム支持体を用いて、下記の感光層を塗布・乾燥し、
露光処理後、下記の現像液を用いて現像処理した。これ
らの平版印刷版を用いて印刷したところ汚れ性能が良好
な印刷版であった。 【0231】下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で1
5秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15
mg/m2 であった。 【0232】<下塗り液の組成> 分子量2.8万の下記共重合体 0.3g メタノール 100g 水 1g 【0233】 【化17】 【0234】得られた基板に以下の感光層形成用塗布液
1を塗布量が1.8g/m2 になるよう塗布し、乾燥し
た。 <感光層塗布液1の組成> m, p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量8,0 00、未反応クレゾール0.5質量%含有 1.0g シアニン染料A(下記構造) 0.1g テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g p−トルエンスルホル酸 0.002g エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン 酸にしたもの 0.02g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株 )製) 0.05g メチルエチルケトン 12g 【0235】 【化18】 【0236】平版印刷版をクレオ社製プレートセッター
Trendsetter3244Fを用いて(回転数:
150rpm)露光し、現像処理した。浸漬型現像槽を
有する市販の自動現像機LP−900H(富士写真フィ
ルム(株)製)の現像処理槽に、下記組成のアルカリ現
像処理液C(pH約13)を20リットル仕込み、30
℃に保温した。LP−900Hの第二浴目には、水道水
を8リットル、第三浴目には、FP−2W(富士フィル
ム(株)製):水=1:1稀釈したフィニッシングガム
液を8リットル仕込んだ。 【0237】 <アルカリ現像処理液Cの組成> SiO2 ・K2 O(K2 O/SiO2 =1.1(モル比))4.0質量% クエン酸 0.5質量% ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1,000) 0.5質量% 水 95.0質量% 【0238】本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体
の製造方法によれば、アルミニウム合金板のアルミニウ
ム含有率によらず、塩酸水溶液中での電気化学的な粗面
化処理を行った後、硝酸水溶液中での電気化学的な粗面
化処理を行い、かつ、塩酸水溶液中および硝酸水溶液中
での電気化学的な粗面化処理に用いる交流のアルミニウ
ム板の陽極時の電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、
Qc/Qaが0.9〜1.0であると、表面のハニカム
ピットが極めて均一な平版印刷版用アルミニウム支持体
を得ることができることが分かる(実施例1−1〜1−
17)。したがって、飲料缶をスクラップし、リサイク
ルして得られるアルミニウム合金板を用いた場合(実施
例1−16)でも、表面のハニカムピットが極めて均一
な平版印刷版用アルミニウム支持体を得ることができ
る。また、本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体の
製造方法により得られた平版印刷版用アルミニウム支持
体は、コンベンショナルタイプの可視光露光型製版層を
設けた場合(実施例2−2、2−3)およびレーザー製
版層を設けた場合(実施例2−4〜2−11)のいずれ
においても、平版印刷版としたときに、耐刷性および印
刷性能(汚れ性能)に優れる。 【0239】これに対して、平版印刷版用アルミニウム
支持体の製造において、塩酸水溶液中および硝酸水溶液
中での電気化学的な粗面化処理に用いる交流のアルミニ
ウム板の陽極時の電気量Qaと陰極時の電気量Qcの
比、Qc/Qaが0.9未満であると、得られる平版印
刷版用アルミニウム支持体の表面のハニカムピットが不
均一であり(比較例1−1)、また、Qc/Qaが1.
0超であると、電気化学的な粗面化処理における電極が
溶解する(比較例1−2)。また、電気化学的な粗面化
処理において、硝酸水溶液中での電気化学的な粗面化処
理のみを行ったものでは、表面形状が不均一であった
(比較例1−3)。 【0240】 【発明の効果】本発明によれば、平版印刷版用アルミニ
ウム支持体用として用いられなかった低純度のアルミニ
ウム圧延板(合金成分を多く含むアルミニウム板または
合金成分を調製していないアルミニウム板)を使用で
き、かつ、粗面化処理による処理ムラが発生せず、平版
印刷版としたときに耐刷性および印刷性能(汚れ性能)
を両立できる平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方
法を提供することできる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の電気化学的粗面化に好ましく用いら
れる台形波交流電源波形の一例を示す波形図である。 【図2】 本発明に用いられるフラット型交流電解槽を
備える電解粗面化処理装置の一例を示す断面図である。 【図3】 本発明に用いられるフラット型交流電解槽を
備える電解粗面化処理装置の他の一例を示す断面図であ
る。 【図4】 本発明に用いられるラジアル型交流電解槽を
備える電解粗面化処理装置の一例を示す断面図である。 【図5】 本発明において機械的粗面化処理に用いられ
るブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図であ
る。 【符号の説明】 2、20 交流電解槽 4A、4B、4C、26A、26B 主極 6A、6B、14A、14B 搬送ローラ 8A、16A 導入ローラ 8B、16B 導出ローラ 10、34 補助電解槽 12、36 補助電極 22 交流電解槽本体 22A 開口部 24 送りローラ 28A、28B 給液ノズル 30A 上流側案内ローラ 30B 下流側案内ローラ 32 溢流槽 34A 補助電解槽の底面 35 上流側案内ローラ 51 アルミニウム合金板 52、54 ローラ状ブラシ 53 研磨スラリー液 55、56、57、58 支持ローラ 100、102、104 電解粗面化処理装置 a 搬送方向 T 搬送面 Tac 電源 Th1、Th2、Th3、Th4、Th5 サイリスタ W アルミニウムウェブ ta アノード反応時間 tb カソード反応時間 tc 電流が0からピークに達するまでの時間 Ia アノードサイクル側のピーク時の電流 Ic カソードサイクル側のピーク時の電流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/00 503 G03F 7/00 503 7/09 501 7/09 501 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AB03 DA18 2H096 AA07 CA03 CA20 LA16 2H114 AA04 AA14 DA04 EA03 EA04 EA08 FA04 GA08 GA09

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】アルミニウム板を順に、 1)塩酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽極時の
    電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qaが
    0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理し、 2)硝酸水溶液中で、交流のアルミニウム板の陽極時の
    電気量Qaと陰極時の電気量Qcの比、Qc/Qaが
    0.9〜1.0の条件で電気化学的に粗面化処理し、 3)陽極酸化処理することを特徴とする平版印刷版用ア
    ルミニウム支持体の製造方法。
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